説明

柵状欠陥検出装置および柵状血管検出方法

【課題】動画データ等の多量の画像データからバレット食道等の注目する性状の判定を効率良く行うことができる柵状欠陥検出装置を提供する。
【解決手段】食道内の粘膜表面を撮像した医用画像から線構造を抽出する線構造抽出手段と、前記線構造の持つ形状特徴量から胃側となる各終端を算出する終端算出手段と、前記形状特徴量から抽出された線構造が柵状血管であるか否かを判定する柵状血管判定手段と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に対する多量の画像データから注目する性状の判定を効率良く行う柵状欠陥検出装置および柵状血管検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡を用いた内視鏡検査においては、内視鏡装置或いは内視鏡観察装置により撮像された生体内の画像データは、CRTなどの表示装置上に即時表示されるとともに、外部に動画像データとして蓄積され、医師は検査中または検査後に動画像または動画像内のフレーム画像を静止画像として閲覧して診断を行う場合が一般的に行われる。
【0003】
また近年、飲み込み型のカプセル内視鏡が使用される状況にある。
【0004】
例えば、特開2004−645号公報に開示されているように、カプセル内視鏡によって体内で撮像された画像データは、順次無線通信により外部に動画像データとして蓄積され、医師は動画または動画像内のフレーム画像を静止画像として閲覧して診断を行う。
【0005】
また、特開2004−188026号公報に開示されているように、静止画像に対して画像解析処理を適用し、その解析結果を内視鏡画像上または別の表示領域上に表示する装置がある。
【0006】
この画像解析結果を利用することにより、医師は主観によらない、IHb、血管解析などの画像解析値という客観的な判定基準の下に診断を下すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−645号公報
【特許文献2】特開2004−188026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし医師による内視鏡検査後の動画像の閲覧またはカプセル内視鏡による動画像の閲覧において、動画像に含まれるフレーム画像の枚数は膨大であるため、病変として疑わしき部位の撮像個所を動画像の中から見つけ出すとともに、その個所のフレーム画像を1枚1枚抽出して画像解析処理を適用し、各々の画像解析結果を下にして診断を下すことは、非常に労力を必要とする作業となる。
【0009】
このような問題に対して、前記の静止画像に対する画像解析装置を応用し、動画像に含まれる全てのフレーム画像に対して、一括して同一の画像解析処理を適用し、その結果を記憶するシステムを実現することは可能である。
【0010】
しかし、全てのフレーム画像に対して一括して同一の画像解析処理を適用するため、処理時間が増大し、処理結果を得るまでに長時間待たなければならない。また、パラメータを変更して画像解析処理を適用するような場合にも、適切な処理結果を得るまでに長時間かかる。また、適切な解析処理結果を得るまでに記憶することが必要となるデータ量も増大する欠点がある。
【0011】
また、内視鏡装置による食道検査のスクリーニングにおいては、バレット粘膜或いはバレット食道の有無などが調べられる。バレット粘膜は、食道と胃の接続部としての胃食道接合部において、逆流性食道炎等の影響により食道を形成する扁平上皮が胃の粘膜に置換されたもので、円柱上皮とも呼ばれる。このバレット粘膜が正常な粘膜境界から3cm以上、食道管腔断面に対して全周性に生じた場合にバレット食道という疾患として診断される。
【0012】
バレット食道は、特に欧米人において増加しており、高い確率で腺癌が発生することから大きな問題となっているため、バレット粘膜の早期発見が非常に重要なものとなっている。
【0013】
このため、バレット食道やバレット粘膜等の生体特徴量を客観的に判定して、術者にその判定結果を提供できる医用画像処理装置が望まれる状況にある。
【0014】
(発明の目的)
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、動画データ等の多量の画像データからバレット食道等の注目する性状の判定を効率良く行うことができる柵状欠陥検出装置および柵状血管検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の柵状血管検出装置は、食道内の粘膜表面を撮像した医用画像から線構造を抽出する線構造抽出手段と、前記線構造の持つ形状特徴量から胃側となる各終端を算出する終端算出手段と、前記形状特徴量から抽出された線構造が柵状血管であるか否かを判定する柵状血管判定手段と、を具備することを特徴とする。
【0016】
本発明の柵状血管検出方法は、生体粘膜表面を撮像した医用画像を入力する第1のステップと、前記医用画像から線構造を抽出する第2のステップと、前記線構造の持つ形状特徴量を算出する第3のステップと、前記形状特徴量から粘膜構造が柵状血管であるか否かを判定する第4のステップと、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、多量の画像データの場合にもバレット食道等の注目する性状の判定を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施例1を備えた内視鏡システムの全体構成を示すブロック図。
【図2】図2は内視鏡の経口的な挿入により内視鏡検査される上部消化管の各部を模式的に示す図。
【図3】図3は食道と胃の境界付近を撮像した内視鏡画像の例を示す図。
【図4】図4は本実施例の画像処理装置の主要部の機能的な構成を示す図。
【図5】図5は画像記憶部に記憶される動画像データがそれぞれ静止画像データの集まりとして記憶されていることを示す図。
【図6】図6は解析情報記憶部に格納される解析結果や処理プログラム記憶部に格納される情報等を示す図。
【図7】図7は内視鏡画像と共に解析結果を表示したモニタ表示例を示す図。
【図8】図8は本実施例によるバレット食道の性状判定を行う処理手順のフローチャート図。
【図9】図9は胃食道接合部の検出処理を行う処理手順を使用或いは生成される画像等の情報と共に示すフローチャート図。
【図10】図10は柵状血管端点境界等を示す図。
【図11】図11は図9における柵状血管抽出処理の詳細を示すフローチャート図。
【図12】図12は図11の処理を行う際の動作説明用の画像例を示す図。
【図13】図13は図10におけるバレット粘膜判定処理の詳細を示すフローチャート図。
【図14】図14は図9の変形例のフローチャート図。
【図15】図15は図14等の動作説明に用いる画像例を示す図。
【図16】図16は図14におけるバレット粘膜判定処理の詳細を示すフローチャート図。
【図17】図17は本発明の実施例2の画像処理装置の主要部の機能的な構成を示す図。
【図18】図18は本実施例によるバレット食道の性状判定を行う処理手順のフローチャート図。
【図19】図19は噴門検出処理を行う処理手順を使用或いは生成される画像等の情報と共に示すフローチャート図。
【図20】図20は図19の動作説明図。
【図21】図21は図19の集中度算出処理の詳細を示すフローチャート図。
【図22】図22は図19の閉口噴門判定処理を示すフローチャート図。
【図23】図23は変形例における噴門検出処理を行う処理手順を使用或いは生成される画像等の情報と共に示すフローチャート図。
【図24】図24は図23及び図25の動作説明図。
【図25】図23におけるエッジ成分生成角度算出処理の詳細を示すフローチャート図。
【図26】図26は図23の開口噴門判定処理を示すフローチャート図。
【図27】図27は本発明の実施例2の画像処理装置の主要部の機能的な構成を示す図。
【図28】図28は本実施例によるバレット食道の性状判定を行う処理手順のフローチャート図。
【図29】図29は変形例によるバレット食道の性状判定を行う処理手順のフローチャート図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0020】
図1から図16は本発明の実施例1に係り、図1は本発明の実施例1を備えた内視鏡システムの全体構成を示し、図2は内視鏡の経口的な挿入により内視鏡検査される上部消化管の各部を模式的に示し、図3は食道と胃の境界付近を撮像した内視鏡画像の例を示し、図4は本実施例における画像処理装置の機能的な構成を示し、図5は画像記憶部に記憶される動画像データがそれぞれ静止画像データの集まりとして記憶されていることを示す。
【0021】
図6は解析情報記憶部に格納される解析結果や処理プログラム記憶部に格納される情報等を示し、図7は、内視鏡画像と共に解析結果を表示したモニタ表示例を示し、図8は本実施例によるバレット食道の性状判定を行う処理手順のフローチャートを示し、図9は胃食道接合部の検出処理を行う処理手順を使用或いは生成される画像等の情報とともに示す。
【0022】
図10は柵状血管端点境界等を示し、図11は図9における柵状血管抽出処理のフローチャートを示し、図12は図11の処理を行う際の動作説明用の画像例を示し、図13は図10におけるバレット粘膜判定処理のフローチャートを示し、図14は図9の変形例のフローチャートを示し、図15は図14等の動作説明に用いる画像例を示し、図16は図14におけるバレット粘膜判定処理のフローチャートを示す。
図1に示す内視鏡システム1は、内視鏡観察装置2と、この内視鏡観察装置2により得られた画像に対して画像処理を行うパーソナルコンピュータ等により構成される医用画像処理装置(以下、単に画像処理装置と略記)3と、この画像処理装置3により画像処理された画像を表示するモニタ4とから構成される。
【0023】
内視鏡観察装置2は、体腔内に挿入され、体内を撮像する体内撮像装置を形成する内視鏡6と、この内視鏡6に照明光を供給する光源装置7と、内視鏡6の撮像手段に対する信号処理を行うカメラコントロールユニット(CCUと略記)8と、このCCU8から出力される映像信号が入力されることにより、撮像素子で撮像した内視鏡画像を表示するモニタ9とを有する。
内視鏡6は、体腔内に挿入される挿入部11とこの挿入部11の後端に設けられた操作部12とを有する。また挿入部11内には照明光を伝送するライトガイド13が挿通されている。
【0024】
このライトガイド13の後端は、光源装置7に接続される。そして、この光源装置7から供給される照明光をライトガイド13により伝送し、挿入部11の先端部14に設けた照明窓に取り付けられた先端面から(伝送した照明光を)出射し、患部等の被写体を照明する。
照明窓に隣接する観察窓に取り付けた対物レンズ15と、この対物レンズ15の結像位置に配置された固体撮像素子しての例えば電荷結合素子(CCDと略記)16とにより撮像装置17が設けてある。そして、このCCD16の撮像面に結像された光学像は、このCCD16により光電変換される。
このCCD16は、信号線を介してCCU8と接続され、このCCU8からのCCD駆動信号が印加されることにより、CCD16は光電変換した画像信号を出力する。この画像信号は、CCU8内の映像処理回路により信号処理され、映像信号に変換される。この映像信号はモニタ9に出力され、モニタ9の表示面には、内視鏡画像が表示される。この映像信号は、画像処理装置3にも入力される。
【0025】
本実施例では、内視鏡6は、口部からその挿入部11の先端部14が挿入され、食道から胃の境界付近まで挿入されて、その境界付近に検出対象粘膜となる食道の通常の粘膜(具体的には扁平上皮)が変性して胃の粘膜部分の性状を呈するようになった粘膜としてのバレット粘膜が存在するか否かの内視鏡検査を行うような場合に使用される。
この場合、体内の生体粘膜表面を撮像した内視鏡画像に対応する映像信号は、画像処理装置3にも入力され、その映像信号に対して以下に説明するような画像処理方法により、バレット粘膜の存在或いはバレット食道という疾患に達した状態であるか否かの検出(判定)処理を行う。
【0026】
この画像処理装置3は、内視鏡観察装置2から入力される内視鏡画像に対応する映像信号が入力される画像入力部21と、この画像入力部21から入力された画像データに対する画像処理を行う中央演算処理装置としてのCPU22と、このCPU22により画像処理を実行させる処理プログラム(制御プログラム)を記憶する処理プログラム記憶部23とを有する。
また、この画像処理装置3は、画像入力部21から入力される画像データ等を記憶する画像記憶部24と、CPU22により処理された解析情報等を記憶する解析情報記憶部25と、CPU22により処理された画像データ及び解析情報等を記憶装置インタフェース26を介して記憶する記憶装置としてのハードディスク27と、CPU22により処理された画像データ等を表示するための表示処理を行う表示処理部28と、ユーザが画像処理のパラメータ等のデータ入力や指示操作を行うキーボードなどからなる入力操作部29とを有する。
【0027】
そして、この表示処理部28により生成された映像信号は、表示モニタ4に出力され、この表示モニタ4の表示面には画像処理された処理画像が表示される。なお、画像入力部21、CPU22、処理プログラム記憶部23、画像記憶部24、解析情報記憶部25、記憶装置インタフェース26、表示処理部28、入力操作部29は、データバス30を介して互いに接続されている。
本実施例では検査あるいは診断対象部位として、食道と胃の接合部周辺部であり、内視鏡6により得られた画像に対して画像解析を行うことにより、この周辺部にバレット食道の可能性の部位が存在するかの性状判定を行う。
【0028】
このため、内視鏡6の挿入部11をその先端側から患者の口内に挿入して撮像を行う。図2は、内視鏡6を患者の体腔内に経口的に挿入した際に、内視鏡先端が位置する体腔部位を表す図である。内視鏡6の先端部14は、口31内に挿入されることにより、食道入口32から食道33内に進入し、その途中で上皮境界34、胃食道接合部35を経て胃36側に進み、さらに噴門37を経て胃36内部に至る。
内視鏡6を挿入する操作を行うことにより、上記の順に撮像された動画像データが取得される。このようにして取得された動画像データは、画像記憶部24に記憶され、その動画像データを構成する静止画像のフレーム画像に対して画像解析を行う。
図3は、食道33と胃36の境界近辺において撮像される内視鏡画像の概略図である。この内視鏡画像において、噴門37は、胃内部への入口であって開閉する。
この噴門37の外側に略放射状に走行する柵状血管38は、食道33側のみに存在し、食道33の管腔に沿って縦に伸びる血管である。
【0029】
また、食道33側の粘膜組織と胃36側の粘膜組織の境界としての上皮境界(一点鎖線で図示)39から噴門へは赤みの強い粘膜色調であり(分布する上皮は円柱上皮と呼ばれる)、その逆方向は白味のかった粘膜色調である(分布する上皮は扁平上皮と呼ばれる)ことから、内視鏡観察によって上皮境界を判別することが可能である。
柵状血管38の端点を結んだ線(破線で図示)は、内視鏡観察では容易には識別しにくい境界線であり(実際に線が存在するわけではない)、これは胃食道接合部35と呼ばれ、胃36と食道33の組織上の境界となる。
正常な場合には、上皮境界39は胃食道接合部35付近にあるが、逆流性食道炎等の影響により食道33を形成する扁平上皮が胃36の粘膜(円柱上皮或いはバレット粘膜)に置換されると、この上皮境界39が食道33側にせり上がる。
【0030】
そして、このバレット粘膜が正常な粘膜境界から3cm以上、食道管腔断面に対して全周性に生じた場合にバレット食道という疾患と診断される。
図4は、画像処理装置3の主要部における機能的な構成を示す。
内視鏡6により撮像されて画像処理装置3に入力された動画の画像データは、画像記憶(画像記録)手段としての画像記憶部24に動画像データVm1,Vm2、…等のようにして記憶される。
この場合、動画像データVm1、Vm2、…は、静止画像を経時的に蓄積したデータ構造である。このため、各動画像データVm1、Vm2、…は、例えば図5に示すようにフレーム番号が0、1、…、MAX_COUNTの静止画像データVs0、Vs1、…、VsM(ここで、M=MAX_COUNT)のように割り当てられて画像記憶部24に記憶されている。
【0031】
また、同時に画像記憶部24に記憶されたフレーム時間も記憶される。なお、静止画像データは、JPG等による圧縮した画像データで記憶しても良い。
そして、画像処理が開始すると、画像記憶部24から読み出された例えば動画像データVm1における指定されたフレーム番号の範囲の静止画像データが、CPU22及び処理プログラムにより、ソフトウェアで構成される画像抽出ブロック41に抽出される。
そして、抽出された各静止画像データが順次、画像解析ブロック42と表示処理ブロック43とに送られる。
画像解析ブロック42は、上皮境界を検出する上皮境界検出ブロック44と、胃食道接合部を検出する胃食道接合部検出ブロック45と、バレット食道か否かを判定するバレット食道判定ブロック46とを備えている。
【0032】
上皮境界検出ブロック44は、例えば、画像中の粘膜色調の相違をエッジとして検出することにより、画像内に存在する上皮境界線を点列として検出する。
胃食道接合部検出ブロック45は、例えば、柵状血管の端点を結んだ線を点列として検出する(その検出方法の詳細は、後述する)。
バレット食道判定ブロック46は、上皮境界の形状、扁平上皮の縞状残存、上皮境界の胃食道接合部との距離、距離の標準偏差、距離の最大値・最小値などの特徴量を算出し、撮像された対象部位がバレット食道であるか否かを判定する。
このバレット食道判定ブロック46により判定された判定結果の情報は、解析情報記憶部25に記憶されると共に、表示処理ブロック43に送られ、画像抽出ブロック41を経てモニタ4に表示される静止画像中に、画像解析ブロック42による解析による判定結果の情報が表示される。
【0033】
図6(A)は、解析情報記憶部25に記憶される解析結果の例を示し、図6(B)は、処理プログラム記憶部23により解析処理を行う際に使用されたり、或いは設定される情報例を示す。
また、図7は、モニタ4に判定結果の情報を、その解析が行われた静止画像中に表示した表示例を示す。
本実施例では、図8を参照して説明するように、動画像データからバレット食道を含む静止画像データがあるか否かの性状判定する場合、バレット食道の性状判定を行おうとする判定対象部位を撮像した画像よりも時間的に前或いは後(略同時の場合もある)に撮像された第1の特徴(量)を備えた基準部位(本実施例では胃食道接合部)を撮像しているか否かの判定処理を行う。
【0034】
そして、その判定処理によりその基準部位を撮像していると判定した場合に、そのフレームより後方側或いは前方側のフレームの静止画像に対して第2の特徴(量)(本実施例では上皮境界の特徴)を検出し、第2の特徴の検出結果に基づき、バレット食道の判定を行うような画像処理手錠とすることにより、性状判定対象となるバレット食道の性状判定を効率良く行うようにしていることが特徴となっている。
このような画像解析処理を行うことにより、第1の特徴を備えていない画像に対しては、第2の特徴を検出する処理等を省くことができるようにして、目的とする性状判定対象に対する性状判定結果を短時間に効率良く得られるようにして、多量の画像データの場合にも対応できるようにしている。
次に本実施例の画像処理装置3による動作を図8のフローチャートを参照して説明する。
【0035】
処理プログラムに沿った処理を行うCPU22に対して、ユーザは入力操作部29から動画像データのファイル名を指定すると、CPU22は、指定された動画像データの最大フレーム数を画像記憶部24から読み出して、図6(B)に示すように最大フレーム数を表すパラメータMAX_COUNTに代入し、処理プログラムに沿った処理をスタートする。
最初のステップS1において、CPU22は、フレーム番号変数COUNTの初期設定、つまりCOUNT=0に設定する。
次のステップS2においてCPU22は、フレーム番号変数COUNTとMAX_COUNTとを比較し、COUNT> MAX_COUNTであればこの処理を終了する。
【0036】
このステップS2の判定が逆の場合、つまり、COUNT≦ MAX_COUNTの場合には、ステップS3に進み、このステップS3において画像抽出ブロック41は、フレーム番号=COUNTの画像を抽出する。
そして次のステップS4において胃食道接合部検出ブロック45は、そのフレーム番号の画像から第1の特徴を検出する処理として、本実施例では胃食道接合部検出の処理を行う。
検出処理の結果、胃食道接合部35を示す線の点列が得られるか否かにより、ステップS5に示すように胃食道接合部35が存在するか否かの判定を行う。
そして、このステップS5において、胃食道接合部35が存在しないと判定した場合には、次のステップS6に進み、フレーム番号変数COUNTの値を1つ加算してステップS2に戻り、ステップS2からステップS6の処理を繰り返す。
【0037】
一方、ステップS5において、胃食道接合部35が存在すると判定した場合には、ステップS7の第2の特徴を検出して、その検出結果に基づいて性状判定対象となるバレット食道か否かの性状判定処理側の処理に移る。
このステップS7において、バレット食道の判定処理を開始するために、変数Nの設定、具体的には変数N=0の設定をする。
そして次のステップS8において、所定の定数MAX_N、より具体的にはバレット食道か否かの判定処理を行おうとする最大のフレーム番号とを比較する。そして、比較結果がN>MAX_Nであれば、この処理を終了する。本実施例では、このように予め設定された最大のフレーム番号より後のフレーム番号のものに対してはバレット食道か否かの判定を行わないようにしている。
【0038】
一方、ステップS8の比較結果が逆の場合、つまり、N≦MAX_Nの場合には、ステップS9に進み、このステップS9において画像抽出ブロック41は、フレーム番号=COUNT+Nの画像を抽出する。すなわち、胃食道接合部35を検出した画像から時間的にNフレーム経過した画像を抽出する(この時点では、Nは初期設定された0の状態であるため、最初は胃食道接合部35が検出された画像からバレット食道の判定処理を行うようになり、以後の処理から分かるように時間的に後に撮像された画像に対して順次バレット食道か否かの判定処理が行われることになる)。
そして、ステップS10において胃食道接合部検出ブロック45は、そのフレーム番号の画像から胃食道接合部35の検出処理を行う。
【0039】
そして次のステップS11において、上皮境界検出ブロック44は、そのフレーム番号の画像から第2の特徴の検出処理としての上皮境界34の検出処理を行う。なお、上皮境界34を検出する処理は、例えば特願2004−360319号における図4のステップS1からS4までの処理により上皮境界34を検出する。食道側の扁平上皮と胃側の円柱上皮とは、上述したように色調が異なるので、内視鏡画像データに対してエッジ処理、細線化処理を行った後、生成された境界の点列を結ぶことにより、上皮境界34を算出(検出)することができる。
次のステップS12においてバレット食道判定ブロック46は、ステップS10において検出した胃食道接合部35を示す線の点列と、ステップS11において検出した上皮境界34を示す線の点列とを使用して、撮像された画像中の性状判定対象となる部位がバレット食道であるか否かを判定する。
【0040】
具体的には、後述する図13のバレット粘膜の判定処理の所で説明する処理により、バレット食道か否かを判定することができる。
そして、このバレット食道判定ブロック46は、ステップS13においてバレット食道か否かの判定結果とフレーム番号を表示処理ブロック43に渡す。表示処理ブロック43は、指定されたフレーム番号の示す画像データを、その内部の図示しないバッファ内から抽出し、その画像データ上に判定結果を重畳する。そして、その画像データは、モニタ4に送られ、表示面にその画像が判定結果と共に表示される。
例えばバレット食道と判定した場合には、図6(B)に示すように、この判定対象の画像中に、例えば”バレット食道の疑いあり”と表示する。
このステップS13の処理の後、次のステップS14において変数Nが、1つ増大された後、ステップS8に戻る。そして、ステップS8からステップS14までの処理が繰り返される。このようにして、変数Nがその最大値MAX_Nを超えるとこの処理を終了する。
【0041】
このような構成及び処理を行う本実施例によれば、撮像された内視鏡画像の動画データを構成する解析対象となる静止画データに対して、バレット食道か否かの画像解析を行う場合、バレット食道の判定を行う部位の周辺部に存在する柵状血管の端点となる胃食道接合部35の特徴を有する画像を検出する処理を撮像順に行う。そして、その処理によりその特徴を有する画像以降の画像に対してバレット食道の性状判定に必要となる上皮境界34の特徴の検出処理及びその検出結果と胃食道接合部35との位置関係等からバレット食道か否かを判定するようにしているので、効率良くバレット食道等か否かを判定することができる。
また、以下で説明するようにバレット食道とそのバレット食道の疾患に至る前症状としてのバレット粘膜(バレット上皮)の判定も行うことができるので、早期治療等に適した判定を行うことができる。
【0042】
また、本実施例では、バレット食道か否かの性状判定を行う最大フレーム番号を予め設定して、その最大フレーム番号より後のフレーム番号の画像に対しては、バレット食道か否かの性状判定を行わないようにしているので、バレット食道か否かの性状判定を行う必要のない画像に対して時間を費やすことを防止することもできる。
つまり、図2に示すように食道33内を口31側から順次撮像し、胃36の内部、つまり噴門37の内部まで撮像したような場合には、胃内部側の画像に対してはバレット食道か否かの性状判定を行う必要のない画像となる。このような場合には、その画像のフレーム番号をMAX_Nと設定しておくことにより、バレット食道か否かの性状判定を行わないようにすることができる。
【0043】
次に胃食道接合部35の検出処理を図9から図13を参照して説明する。なお、以下では、胃食道接合部35を検出した後、さらに上皮境界34の検出及びバレット粘膜判定処理まで行う画像解析処理の場合で説明する。この画像解析処理は、バレット粘膜か否かを適切に判定する装置及び方法を提供することを目的とし、このような画像解析処理を行うことにより、バレット粘膜か否かを適切に判定することができる。
この場合の処理手順及び生成されるデータなどを図9に示す。図9における左側が処理内容を示し、その右側の枠内が使用されたり、生成される画像等の情報を示す。
【0044】
画像解析の処理がスタートすると、最初のステップS21において、処理対象画像に対してエッジ抽出処理が行われる。このエッジ抽出処理は、例えばRGB画像におけるGの色成分画像に対してバンドパスフィルタを適用することによりエッジ画像を生成する。
バンドパスフィルタによるエッジ抽出手法は公知の技術である。また、処理対象画像より、輝度成分を用いてエッジ画像を生成しても良い。血管のエッジだけでなく他の形状(輪郭)のエッジが抽出される場合、処理対象画像のR成分に対してバンドパスフィルタを適用して抽出される形状のエッジを除外すると、血管のエッジのみを抽出することができる。
なお、図8のステップS4の胃食道検出処理に該当する処理部分は、図9におけるステップS21からステップS26までを用いる。
【0045】
図9における次のステップS22において、エッジ画像に対して2値化処理を行い、2値化画像を生成する。本実施例における2値化処理は、エッジ画像の各画素の画素値と規定の閾値との大小比較により、2値化画像の各画素を0または1に決定する。
次のステップS23において、2値化画像に対して公知の細線化手法を適用して、細線化処理して細線化画像を生成する。
次のステップS24において、この細線化画像に対して、食道33に特有な柵状血管を抽出する柵状血管抽出処理を行い、抽出した柵状血管情報を保存する。この処理のフローチャートを図11に示す(この説明は後述)。
【0046】
次のステップS25において、上記柵状血管抽出処理において保存した柵状血管の端点座標を取得し、端点座標点列を線分で結ぶ境界線生成処理を行い、境界線情報を生成(取得)する。この処理により生成される境界線情報、より具体的には柵状血管端点境界を図10(A)に示す。
次のステップS26において、上記境界線画像生成処理により取得した境界線情報(柵状血管端点境界)と、あらかじめ取得しておいた暗部と上皮境界34とを含む画像を生成する。この画像を図10(B)に示す。
次のステップS27において、あらかじめ取得しておいた扁平上皮と円柱上皮の上皮境界34との位置関係から、バレット食道ないしはバレット粘膜であるか否かを判定するバレット食道判定処理を行う。その処理の詳細は、図13を参照して後述する。
【0047】
このようにして、バレット食道ないしはバレット粘膜の判定を行い、その判定結果を表示してこの処理を終了する。
次に図11を参照して、図9のステップS24の柵状血管抽出処理を説明する。
この柵状血管抽出処理がスタートすると、最初のステップS31において、細線化画像から未処理の線分を取得する。その場合の画像例を図12(A)に示す。
次のステップS32において、線分の画素数を線分長Lとして算出する。そして、次のステップS33において、算出した線分長Lを所定の閾値thre1と比較してその大小を判定する。この判定処理において、L>ther1であれば次のステップS34に進み、L≦ther1であればその線分は柵状血管ではないと判定してステップS41に移る。本実施例においては、例えばther1=50としている。
【0048】
ステップS34において線分の分岐・交差点数C、屈折点数Bを算出し、ステップS35において所定の閾値εとの大小を判定する。C≦CthかつB<εであれば次のステップS36に進み、C>CthまたはB≧εであればその線分は、抽出対象とする柵状血管ではなく、樹枝状血管と判定してステップS41に移る。本実施例においてはCth=0,ε=3とした。
【0049】
ステップS36において線分の2端点のうち、あらかじめ取得しておいた画像暗部により近い方の端点を取得し、ステップS37において端点と暗部中心を結ぶベクトルvを算出する。
次のステップS38においてベクトルvと、線分終点及び始点とを結んだ直線の成す角θを算出する。そして次のステップS39において、算出した角θと所定の閾値thre2との大小を判定する。
【0050】
そしてステップS39の判定処理において、θ<thre2(例えば図12(B)におけるθ1)であれば次のステップS40に進み、逆にθ≧thre2(例えば図12(B)におけるθ2)であればその線分は、柵状血管ではないと判定してステップS41に移る。本実施例においてはthre2=45°とした。
ステップS40においてステップS31にて抽出した線分に対して、ステップS39の判定条件を満たすものを柵状血管と判定し、柵状血管情報としてその線分に関する情報(前述の線分長L、線分の分岐・交差点数C、屈折点数B、線分の座標点列、端点の座標、角θ)を保存する。このようにして、図12(C)に示すように柵状血管を抽出することができる。
【0051】
なお、ステップS41において、未処理の線分の有無を判定し、未処理線分があればステップS31へのループ処理を実施し、未処理の線分がなければこの処理を終了する。
なお、ステップS36〜ステップS39において、マッチドフィルタを用いて暗部方向に伸びる血管のみを抽出しても良い。
次に図13を参照して、図9のステップS28のバレット粘膜判定処理を説明する。 ステップS51において、前述の境界線画像生成処理により生成した境界線画像を取得する。これは図10(B)となる。
次のステップS52において、この画像全体を所定の本数、つまりN本の放射線で分割する。例えばN=8として分割した場合を図10(C)で示している。
次のステップS53において、i本目の放射線[i]を示す変数iを初期値1に設定する。
【0052】
そして、次のステップS54において、i本目の放射線[i]と上皮境界34が交わる点P1、i本目の放射線[i]と形成した境界が交わる点P2を算出する。点P1及び点P2を算出した画像を図10(C)上に示している。
次のステップS55において、点P1、及びP2間の距離Q[i]を算出する。
次のステップS56において、すべての放射線について処理を行ったか否かを判定する。つまり、iが放射線数Nか否かを判定し、Nに達しない場合にはステップS57においてiを1つ増大した後、ステップS54に戻り、同様の処理を実施し、すべての放射線について実施済みであればステップS58に進む。
このようにして、全ての放射線、つまりN個において点P1−P2間の距離Q[i]を算出したら、ステップS58において、そのN個の距離Q[i]を用いて分散σを算出する。
【0053】
次のステップS59において、分散σと所定の閾値thre3との大小を判定する。そして、σ>thre3であればステップS60に進み、逆にσ≦thre3であれば、その画像はバレット粘膜の所見ではないと判定してこの処理を終了する。本実施例においてはthre3=5とした。
ステップS60において、ステップS51において取得した画像に対して、ステップS59の判定条件を満たす場合には、バレット粘膜の所見の画像であると判定し、その判定結果を表示や告知及び保存等してこの処理を終了する。
図9から図13に示した処理に従ってバレット粘膜(バレット上皮)か否かを判定することにより、精度のよい判定を行うことができる。
【0054】
つまり、このような処理においては、胃食道接合部35と上皮境界34とをそれぞれ検出して、その検出結果からバレット粘膜か否かを判定するようにしているので、適切かつ精度の良い判定を行うことができる。
なお、図13の処理の一部を以下のように変更して、画像中における食道33の半径(或いは直径)を算出(推定)し、その半径の値として既知の統計値を採用することにより、バレット粘膜からバレット食道を含めた定量的に近い判定を行うようにしても良い。
図13における例えばステップS55とS56との間に暗部中央O−点P1(或いは暗部中央O−点P2)との距離(説明を明確にするためにR[i]とする)も算出する処理を行う。
【0055】
そして、ステップS56の判定処理を経て全ての放射線[i]に対して、点P1−P2間の距離Q[i]と共に、距離R[i]も算出する。その後、図13のステップS58の距離Q[i]の分散σを算出する代わりに、上記距離R[i]の平均値Ravを算出して、その平均値Raveを食道33における上皮境界34付近における半径の評価値(推定値)とする。
通常の成人或いは患者と体型が類似した人の場合の食道33の統計上の半径値Rs(cm)を予めメモリ等に格納しておき、上記平均値Ravとして半径値Rsを用いて上記点P1−P2間の距離Q[i]の平均値を評価する。
そして、その距離Q[i]の平均値が3.0cm以上か否かを判定して、3.0cm以上の場合にはバレット食道と判定する。
【0056】
また、距離Q[i]の平均値が、例えば1.5cm程度の場合にはバレット粘膜がかなり進行した状態と判定する。また、距離Q[i]の平均値が、例えば0.5cm程度の場合のようにバレット粘膜化した初期症状が現れている等の判定を行うようにすることもできる。
このように本変形例によれば、定量的に近い状態でバレット食道か否かを判定できると共に、バレット粘膜の場合にもその症状の進行の程度を定量的に判定することができ、その判定結果を表示などすることにより、早期の治療を行い易くできるる。
また、図9によるバレット粘膜判定処理の代わりに、図14に示す変形例のフローチャートのように行っても良い。
【0057】
本変形例における前述の処理のフローチャートとの変更点は、図9におけるステップS25の血管端点抽出処理、ステップS26の境界線生成処理、ステップS27の境界線画象生成処理に替わって、図14に示すようにステップS61の上皮境界柵状血管画像生成処理を行う。この処理により生成した上皮境界柵状血管画像を用いてステップS62のバレット粘膜判定処理を行うようにしている。
ステップS61の上皮境界柵状血管画像生成処理においては、上述した柵状血管抽出処理において取得した柵状血管と、あらかじめ取得しておいた暗部と上皮境界線を含む上皮境界柵状血管画像を図15(A)に示すように生成する。
そして次のステップ62において、前のステップS61で生成した上皮境界柵状血管画像を用いてバレット粘膜判定処理を行う。このバレット粘膜判定処理のフローチャートを図16に示す。
【0058】
図16に示すように最初のステップS63において、あらかじめ取得しておいた上皮境界34、柵状血管を含む画像を取得する。
次のステップS64において、上皮境界線と交差する柵状血管数Jを初期化、つまりJ=0に設定しておく。
次のステップS65においてQ本の柵状血管から処理対象血管を取得する。さらに次のステップS66において、処理対象血管が上皮境界34と交わるか否かを判定する。交わる場合は、次のステップS67に進んで柵状血管数Jに1を加算し、交わらない場合はステップS65の処理に戻り、次の処理対象血管を取得して同じ処理を繰り返す。
ステップS67を行った後、次のステップS68においてすべての柵状血管について処理を行ったか否かを判定し、未処理の柵状血管があればステップS65に戻り、同じ処理を繰り返し、逆に全ての柵状血管について実施済みであれば、次のステップS69に進む。
【0059】
このようにして、上皮境界34と交わる柵状血管数Jを算出した画像例を図15(B)に示す。この図15(B)の場合には、柵状血管の数Qが7で、その内6(=J)本が上皮境界34と交わっている。
ステップS69において、J/Qと所定の閾値thre4との大小を判定する。そして、J/Q>thre4であれば次のステップS70に進み、逆にJ/Q≦thre4であれば、その画像はバレット粘膜の所見ではないと判定してこの処理を終了する。本実施例においてはthre4=0.5としている。
ステップS70において、ステップS63において取得した画像がステップS66及びステップS69の判定条件を満たす場合にはバレット粘膜の所見の画像であると判定し、モニタ4に表示する等して、この処理を終了する。
【0060】
本変形例では、上皮境界34の内側に柵状血管の端点がどの程度存在するかによりバレット粘膜か否かを判定できる。
以上説明したように本実施例によれば、内視鏡画像の動画データを構成する多量の静止画データに対して、バレット食道か否かの解析を行う場合、バレット食道の判定を行う部位の周辺部に存在する第1の特徴部位としての柵状血管の胃側端点となる胃食道接合部35の特徴を有する画像を検出する処理を行い、その処理により検出された画像の後の画像に対して、第2の特徴部位としての上皮境界34の検出処理等を行って、バレット食道か否かを判定するようにしているので、効率良くバレット食道等か否かの性状判定することができる。従って、手作業による抽出作業の労力を軽減することができる効果が得られる。
【0061】
また、上記のように最初にその特徴を検出される第1の特徴部位として設定されている胃食道接合部35は、バレット食道の性状判定にも利用されるので、その特徴の検出が有効に利用できる。
また、バレット食道の疾患に至る前症状のバレット粘膜(バレット上皮)の判定も行うことができるので、早期治療等に適した判定を行うことができる。
また、バレット食道か否かの判定を行う必要のない画像に対してはその処理を行わないようにすることもできる。
なお、本実施例では動画データを使用して説明しているが、1検査において連続する複数の静止画データに対して適用してもよい(他の実施例等にも同様に適用できる)。
【実施例2】
【0062】
次に本発明の実施例2を図17から図26を参照して説明する。上述した実施例1においては、バレット食道か否かの判定を行うために、最初に胃食道接合部35の検出処理を行うことにより、胃食道接合部35を含む画像を検出するようにしていた。
胃食道接合部35の検出処理は、検出処理の負担が重いので、処理速度が遅くなり、処理速度の改善、検出速度の改善の余地がある。胃食道接合部35の検出よりも処理速度を速くでき、検出精度が高いと見込まれる生体部位の検出処理として、噴門検出処理が考えられる。
本実施例では、この点に着目して処理速度等を向上するものである。
本実施例の画像処理装置のハードウェアの構成は実施例1と同様に図1を採用できる。また、本実施例の処理プログラムによりCPU22により構成される機能的な構成を、図17に示す。図17に示す構成は、図4の構成にける画像解析ブロック42内に、さらに噴門検出ブロック47を備えた構成である。
【0063】
本実施例による処理のフローチャートを図18に示す。このフローチャートによりバレット食道の判定を行い、判定結果を表示等する。
上記噴門検出ブロック47は、例えば、暗部の検出と、検出した暗部の形状及び暗部のエッジ近辺における明度変化の急峻の度合いから画像データ内に存在する噴門37を検出する。その詳細は、図19により後述する。
図18に示す処理手順は、図8のフローチャートの処理手順において、ステップS4の胃食道接合部35の検出処理の代わりに、ステップS4′の噴門37の検出処理を行い、かつステップS4の後のステップS5の胃食道接合部35の存在の判定処理の代わりにステップS5′の噴門37の存在の判定処理を行う変更となっている。
【0064】
また、図8の処理手順において、ステップS9のフレーム番号=COUNT+Nの画像を抽出する代わりに、図18のステップS9′に示すようにフレーム画像=COUNT−Nの画像を抽出する。
すなわち、実施例1においては、胃食道接合部35は、バレット食道を判定する部位周辺部であるため、画像中にその部位が検出されるようになった状態から時間的に後の画像を調べることにより、その部位周辺部により接近した画像が得られるため、内視鏡6の先端部14を挿入しながら撮像を行う場合の撮像条件に対応するものとなっていた。
これに対して、図2から分かるように、噴門37は、胃食道接合部35や上皮境界34を通り過ぎ、胃内部に入る入り口となる部位であるため、この噴門検出がされた画像から時間的にNフレーム分遡ったフレーム画像を抽出することになる。そして、この画像からより以前に撮像した画像に遡る向きで順次バレット食道か否かの判定を行う。
【0065】
本実施例によれば、胃食道接合部35の検出よりも検出処理の負担が軽い噴門37を検出した後、その噴門37が検出された画像に基づいてバレット食道の判定処理を行うようにしているので、バレット食道の判定をより短時間に行うことができるようになる。
従って、より効率良くバレット食道の判定処理側に移行でき、より短時間に実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0066】
次に図19から図22を参照して噴門37の検出処理を説明する。図19は閉じた場合の閉口噴門検出を行う処理フロ−を使用するデータ或いは生成されるデータと共に示す。
【0067】
噴門37の検出処理が開始すると、ステップS71に示すように処理対象画像に対してエッジ検出処理を行い、エッジ画像を生成する。
このエッジ抽出処理は、本実施例では、Rの色成分画像に対してバンドパスフィルタを適用することによりエッジ画像を生成する。
バンドパスフィルタによるエッジ抽出手法は公知の技術である。また、処理対象画像より、輝度成分を用いてエッジ画像を生成しても良い。
【0068】
次のステップS72において、エッジ画像に対して2値化処理を行い、2値化画像を生成する。本実施例における2値化処理は、エッジ画像の各画素の画素値と規定の閾値との大小比較により、2値化画像の各画素を0または1に決定する。
次のステップS73において、2値化画像に対して公知の細線化手法を適用して、細線化処理して細線化画像を生成する。生成された細線化画像例を図20(A)に示す。
次のステップS74において、この細線化画像における全ての細線における分岐・交差点を算出する分岐・交差点算出処理を行う。図20(B)は図20(A)の細線化画像に対して算出された分岐・交差点の例を示す。この図20(B)では、分岐・交差点の数Hcが5の場合を示している。
【0069】
このステップS74の分岐・交差点算出処理により算出された分岐・交差点の座標を分岐・交差点情報として保存する。
次のステップS75において、上記分岐・交差点の座標値から分岐・交差点の集中度を算出する集中度算出処理を行い、集中度情報を算出する。
【0070】
この集中度算出処理を図21のフローチャートにより説明する。最初のステップS77において、上述したNc個の分岐・交差点の座標値を取得する。次のステップS78において、Nc個の分岐・交差点のx座標値の分散σx、y座標値の分散σyとして、両分散σx、σyを算出する。そして、次のステップS79において、算出した両分散σx、σyを集中度情報として保存してこの処理を終了する。
なお、この集中度算出処理における分散を求める代わりに、標準偏差、又は変動係数、又はNc個の分岐・交差点の重心からの距離の平均値等を求め、それを集中度情報としても良い。
図19に戻り、ステップS75による集中度算出処理により算出された集中度情報を用いて、次のステップS76において閉口噴門判定処理を行う。
【0071】
この閉口噴門判定処理は図22のステップS76aに示すように分岐・交差点数Ncと集中度情報(σx、σy)とがそれぞれ所定の閾値thre_Nとthre_x、thre_yとの大小関係をそれぞれ比較して判定を行う。
そして、ステップS76aにおけるNc>thre_N、かつσx<thre_x、かつσy<thre_yの条件を満たすと判定した場合には、ステップS76bに示すように閉口噴門37と判定する。一方、ステップS76aの条件を満たさないと判定した場合、つまりNc≦thre_N、或いはσx≧thre_x、或いはσy≧thre_yとなる場合には、ステップS76cに示すように閉口噴門37でないと判定する。
このようにして噴門判定処理を行った後、図19に示す噴門検出の処理を終了する。
このようにして噴門37を検出することができる。
【0072】
以上のべたように本実施例によれば、最初に噴門37を検出する処理を行い、噴門37が検出された場合には時間的にさかのぼる画像に対して判定対象となるバレット食道を判定する処理を行うようにしているので、多量の画像データの場合に対しても効率良くバレット食道の判定を行うことができる。
また、実施例1で説明したようにバレット食道の判定を行う場合、バレット粘膜の判定を行うこともでき、この判定により早期の治療を行うのに有効となる。
また、図23は変形例における噴門検出のフローチャート処理を示す。
本変形例は、図19に示した処理フローチャートにおいて、ステップS74の分岐・交差点算出処理、及び次のステップS75の集中度算出処理の代わりに開口噴門を検出することを目的としたステップS81のエッジ成分生成角度算出処理を行い、このエッジ成分生成角度算出処理により算出された生成角度情報を基にステップS82の開口噴門を検出(判定)する開口噴門判定処理を行うようにしている。
【0073】
図23に示す処理は、図19におけるステップS71からステップS73までは同じである。
ステップS71に示すように処理対象画像に対してエッジ抽出処理を行い、エッジ画像を生成し、さらにエッジ画像に対してステップS72の2値化処理を行い、2値化画像を生成し、さらにステップS73の細線化処理により図24(A)に示す細線化画像を生成する。
次に、暗部を含む画像に対して予め画像暗部を抽出するために暗部抽出の閾値を用いた暗部2値化処理を画像を、上記細線化処理で取得した細線化画像に重畳した図24(B)に示す画像に対して、ステップS81のエッジ成分生成角度算出処理を行い、大きなエッジ角度の生成角度情報を算出する。
【0074】
そして、ステップS82の開口噴門判定処理により開口噴門か否かの判定を行う。
図25は、図23のステップS81のエッジ成分生成角度算出処理の詳細を示すフローチャートである。
最初のステップS83において、画像中の暗部の特徴点を1点選択する。本実施例では、例えば暗部の重心点を算出している。
次のステップS84において、この算出した重心点或いは中心点等の特徴点を中心として画像を、放射状の線により周方向に複数個、例えばM個の領域に分割する。
次のステップS85において、上述した図24(A)に示す細線化画像における細線の内から、1本の線分iを抽出(取得)する。
【0075】
次のステップS86において、抽出した線分iが存在する角度θ[i]を算出する。つまり、線分iが存在する領域数Niをカウントし、そのカウントにより線分iが存在する角度θ[i]をθ[i]=Ni×(360/M)°より算出する。
このようにして算出した例を図24(C)に示す。図24(C)では線分iが0°の分割線の領域から270°の分割線の領域までの領域数Niが6の場合を示している。
次のステップS87において、未処理の線分の有無を判定し、未処理の線分があればステップS85に戻り、未処理の線分を取得して同様の処理を行う。
一方、未処理の線分が無い場合には、このエッジ成分生成角度算出の処理を終了する。
【0076】
図23に戻り、ステップS81のエッジ成分生成角度算出処理により生成した角度θ[i]の角度情報を用いて次のステップS82の開口噴門判定処理により、開口する噴門か否かの判定を行う。
【0077】
この開口噴門判定処理は、例えば図26のステップS82aに示すように角度θ[i]が所定の閾値thre5とで大小関係の判定をする。つまり、θ[i]>thre5の条件を満たすか否かの判定を行う。そして、θ[i]>thre5の条件を満たす場合には、ステップS82bに示すように開口噴門のエッジであると判定し、逆にこの条件を満たさない場合には、開口噴門のエッジでないと判定する。このようにして、噴門を検出する処理を終了する。
このようにして開口する噴門を検出することができる。
そして、噴門を検出した画像からバレット食道を検出する処理を行うことにより、効率良くバレット食道などの判定を行うことができる。
【実施例3】
【0078】
次に図27から図29を参照して本発明の実施例3を説明する。本実施例の画像処理装置のハードウェアの構成は実施例1と同様であり、図1を採用できる。また、本実施例における処理プログラムを実行するCPU22により構成される主要部の機能的な構成を図27に示す。図27に示す構成は、図4の構成における画像解析ブロック42内に、さらに処理継続判定ブロック48を備えた構成である。
この処理継続判定ブロック48は、上皮境界検出ブロック44が検出した上皮境界線の点列の有無を判定し、判定結果に応じて画像解析ブロック42の動作を制御する。
本実施例による処理手順のフローチャートを図28に示す。このフローチャートによりバレット食道の判定を行い、その判定結果を表示等する。
【0079】
図28に示すフローチャートによる処理方法は、実施例1における図8の処理手順において、胃食道接合部35を検出する処理の代わりに、より簡単な処理で検出することができる上皮境界34を検出する処理を行う。
まず、上皮境界34が検出される画像を検索し、上皮境界34が検出される画像を検索できたらバレット食道の判定を行う処理側に移る。
以下、図28のフローチャートを参照してその処理手順を説明する。なお、最初のステップS1からS3までは、図8のフローチャートの場合と同じ処理であるため、その説明を省略する。
【0080】
ステップS3のフレーム番号がCOUNTの画像を抽出して、次のステップS91の上皮境界34の検出処理を行う。
そして、検出処理された上皮境界34に対して、次のステップS92において処理継続判定ブロック48は、ステップS91により上皮境界34を示す線の点列が得られるか否かの判定により、上皮境界34の存在の有無の判定を行う。
このステップS92の判定により、上皮境界34が存在しないと判定した場合には、ステップS6に進み、フレーム番号変数COUNTの値を1つ増分してステップS2に戻り、ステップS2からステップS92までの処理、つまり上皮境界34を検出する解析動作を継続する。
【0081】
一方、ステップS92の判定により、上皮境界34が存在すると判定した場合には、上皮境界34を検出する解析動作から、ステップS93側に移り、バレット食道を判定する解析動作に移る。
【0082】
このステップS93において、胃食道接合部検出ブロック45は、そのフレーム番号の画像から胃食道接合部35の検出処理を行う。
この胃食道接合部35の検出処理を行った後、次のステップS94において、バレット食道判定ブロック46は、ステップS93において検出した胃食道接合部35を示す線の点列とステップS91において検出した上皮境界34を示す線の点列とを使用して、撮像された画像中の対象部位がバレット食道であるか否かを判定する。
そして、バレット食道であると判定した場合には、バレット食道判定ブロック46は、ステップS95においてその判定結果とフレーム番号を表示処理ブロック43に渡す。この表示処理ブロック43は、指定されたフレーム番号の画像をバッファ内から抽出し、その画像データ上に判定結果を重畳する。例えば、図7に示すように表示する。
【0083】
次のステップS96において、COUNTを1増分する。そして、次のステップS97において、次のフレーム番号(=COUNT)の画像を新規に取得する。そしてその画像に対して上皮境界34の検出処理を行う。
次のステップS98において、前の検出処理により上皮境界34が存在するか否かの判定を行う。
【0084】
このステップS98において、処理継続判定ブロック48は、前のステップS97により上皮境界34を示す線の点列が得られるか否かの判定により、上皮境界34の存在の有無の判定を行う。
このステップS98の判定により、上皮境界34が存在しないと判定した場合には、ステップS93からステップS98の処理ループ、つまりバレット食道判定処理側の解析処理の動作から抜けて、この処理を終了する。
【0085】
一方、上皮境界34が存在すると判定した場合には、ステップS93に戻り、胃食道接合部35を検出する処理を行ってバレット食道の判定処理を継続して行う。このようにして、上皮境界34の存在が検出される場合には上記処理ループ内の処理を繰り返し、上皮境界34の存在が検出されなくなるとこの処理を終了することになる。
このように動作する本実施例によれば、最初に上皮境界34の検出処理を行い、この検出処理により上皮境界34が検出された画像からバレット食道の存在の有無を判定する処理側に移り、この処理側において再び上皮境界34の存在が検出されなくなると、この処理を終了するようにしているので、バレット食道の判定を効率良く行うことができる。
【0086】
つまり、本実施例によれば、処理継続判定手段を設け、バレット食道の性状判定に必要な上皮境界34の周辺部の画像のみを検出すると共に、その画像中に上皮境界34が検出されなくなると、バレット食道の判定処理を終了する制御を行うようにているので、手間をかけることを必要としないで、バレット食道の判定処理に必要な画像を抽出して、バレット食道の判定処理を行うことができる。
つまり、実施例1の場合よりもさらにバレット食道の判定処理を短時間かつ、手間をかけないで行うことができる。
【0087】
なお、本実施例では、フレーム画像から上皮境界34を検出後、フレーム画像が連続する時間的に後方のフレーム画像を、次の上皮境界検出の対象画像としているが、時間的に撮像する方向等に応じて時間的に前方に遡ってフレーム画像を取得して検出対象画像としてもよい。
また、連続するフレーム画像の取得間隔をN(ここで、Nは1、2、3、…の自然数)とし、ステップS97においてCOUNT←COUNT+Nに増分して、次の取得フレーム画像を指定するようにしてもよい。
次に本実施例の変形例を説明する。1枚1枚の画像毎にバレット食道であるか否かの判定をすると、画像データに含まれるノイズ、ハレーション、光量経時変化、シェーディング等の影響により、本来バレット食道を撮像しているにもかかわらず、バレット食道ではない、と誤った判定をしてしまう可能性がある。
【0088】
そこで本変形例では図29に示す処理手順により改善している。図29に示すフローチャートによる処理手順は、図28の処理手順において、ステップS1からステップS94までは同じ処理である(但し図29ではさらにフレーム番号の変数Nbを用いるため、この変数NbをステップS1で0に初期化している)。
図28ではステップS94の判定結果から次のステップS95において判定結果を表示するようにしていたが、本変形例ではステップS94の判定処理の後、次のフレーム番号に変えて上皮境界34の検出処理や胃食道接合部35の検出処理等を行ってバレット食道の判定処理を行う。
このようにして、上皮境界34が存在しない画像になった場合にはそれまでバレット食道か否かの判定を行った全ての判定結果からバレット食道か否かを総合的に判定し、その判定結果を表示するようにしたものである。
【0089】
以下、図29を参照して処理手順を説明する。なお、ステップS1からS94までは図28と同じ(但し、上記のようにステップS1において、もう1つのフレーム番号の変数Nbも0に初期化する)であるため、その説明を省略する。
ステップS94において、ステップS92による上皮境界34の存在する位置とステップS93による胃食道接合部35の検出処理とによりバレット食道か否かを判定する。そして、そのバレット食道の判定結果は一旦蓄積しておき、次のステップS101によりフレーム番号Nbの変数を1つ増分する。そして、次のステップS102において、このNbを1つ大きくしたフレーム番号COUNT+Nbの画像を抽出する。
【0090】
次のステップS103において上皮境界34の検出処理を行う。この検出処理の後、次のステップS104において、上皮境界34が存在するか否かの判定を行い、存在する場合にはステップS93に戻り、胃食道接合部35の検出処理を行って同様にバレット食道か否かの判定等の処理を行う。
一方、上皮境界34が存在しないと判定した場合には、ステップS105に移り、ステップS93からステップS104までの処理により取得したバレット食道の判定結果を全て取得する。
そして、次のステップS106において、これら全てのバレット食道の判定結果から総合的にバレット食道か否かの判定を行う。そして、次のステップS107において、総合的な判定結果を画像に重畳して表示し、この処理を終了する。
【0091】
バレット食道判定ブロック46は、ステップS106における総合的にバレット食道か否かの判定を以下のように行う。
例えばバレット食道と判定した画像の枚数Naと、バレット食道か否かの判定を行った画像枚数Nbとの比率Na/Nbを算出する。バレット食道判定ブロック46は、この比率Na/Nbが0.8よりも大きい場合には、撮像対象がバレット食道であると判定し、ステップS107にて、バレット食道判定に使用したNb枚すべての画像に対して”バレット食道の疑いあり”との情報を重畳するようにする。
このように処理動作を行う本変形例によれば、実施例3と同様の効果を有すると共に、さらに複数枚の画像それぞれにおいてバレット食道か否かの判定した結果の情報を用いてさらに総合的に判定するようにしているので、バレット食道か否かをより信頼性の高い状態で判定することができる。
【0092】
なお、上述の説明では、細長の挿入部を有する内視鏡6を体内に挿入して撮像した内視鏡画像の場合に対して画像処理する場合で説明したが、口から飲み込むことにより体内を撮像するカプセル型内視鏡により撮像された内視鏡画像の場合にも同様に適用できる。
カプセル型内視鏡の場合には、通常一定間隔などで連続的に静止画像を撮像する体内撮像装置となる。また、この場合には、口から飲み込まれると後戻りすることなく食道33、胃、小腸、大腸へと移動しながら撮像を行う。このような場合にも、本発明は適用可能である。
また、本発明は上述した各実施例等を部分的等で組み合わせて構成される実施例の場合も含む。
【0093】
[付記]1.請求項1において、前記性状判定手段は、前記判定結果を行った画像上に前記判定結果を重畳して出力する。 2.請求項1において、前記性状判定手段は、前記第2の生体特徴検出手段による検出結果により前記判定結果を出力すると共に、前記判定結果が複数得られた場合には、複数の判定結果に基づいて総合的な判定結果を出力する。 3.請求項1において、前記性状判定手段は、食道内の疾患としてのバレット食道の性状判定を行うバレット食道判定手段である。 4.請求項1において、前記性状判定手段は、食道内の疾患としてのバレット食道の性状判定と、バレット食道の疾患に至る前のバレット粘膜の存在を判定するバレット判定手段である。
【0094】
5.請求項1において、前記性状判定手段は、食道内の胃食道接合部よりも食道側の粘膜が胃側粘膜としての円柱上皮に変性したバレット粘膜の存在を判定するバレット粘膜判定手段である。
【0095】
6.請求項1において、前記第1の生体特徴検出手段は、食道内における胃と食道の境界としての胃食道接合部、若しくは食道側の扁平上皮と胃側の円柱上皮との境界となる上皮境界、若しくは食道から胃の入り口となる噴門とのいずれかを検出する。 7.付記3又は4において、前記第1又は第2の生体特徴検出手段は、前記バレット食道の性状判定に利用する部位或いは粘膜境界を検出する。 8.付記7において、前記部位或いは粘膜境界は、胃食道接合部若しくは上皮境界である。
【0096】
9.請求項1において、前記第2の生体特徴検出手段は、食道内における胃と食道の境界としての胃食道接合部、若しくは食道側の扁平上皮と胃側の円柱上皮との境界となる上皮境界を検出する。
【0097】
10.付記3において、前記バレット食道判定手段は、胃食道接合部と上皮境界の検出結果に基づいてバレット食道の性状判定を行う。 11.付記4において、前記バレット判定手段は、胃食道接合部と上皮境界の検出結果に基づいてバレット食道ないしはバレット粘膜の性状判定を行う。 12.付記10又は11において、前記胃食道接合部を検出するために柵状血管を検出する柵状血管検出手段を有する。 13.付記6において、前記第1の生体特徴検出手段は、前記噴門として閉口する噴門又は開口する噴門を検出する。 14.請求項1において、前記動画像データ又は静止画像データは、挿入部を有する内視鏡又は口から飲み込まれるカプセル型内視鏡により生成される。
【0098】
15.体内撮像装置によって撮像された体内の動画像データ又は連続的に撮像された複数枚の静止画像データからフレーム画像データを抽出処理する画像抽出処理ステップと、
前記画像抽出処理ステップにより抽出したフレーム画像データを画像解析し、画像解析結果を出力する処理を行う画像解析処理ステップと、
を備え、
前記画像解析処理ステップは、
第1の生体特徴を検出する処理を行う第1の生体特徴検出処理ステップと、
前記第1の生体特徴検出処理ステップの検出結果に基づき、前記第1の生体特徴検出処理ステップで検出に使用した画像よりも時間的に前方または後方に撮像されたフレーム画像に対して、第2の生体特徴を検出する処理を行う第2の生体特徴検出処理ステップと、
前記第2の生体特徴検出処理ステップの検出結果に基づき、生体の性状を判定して判定結果を出力する処理を行う性状判定処理ステップと、
を備えることを特徴とする医用画像処理方法。
【0099】
16.付記15において、前記第2の生体特徴検出処理ステップは、前記第1の生体特徴検出処理ステップの検出結果に基づき、所定枚数のフレーム画像を取得して、該フレーム画像に対して第2の生体特徴の検出処理を行う。 17.付記15において、前記第2の生体特徴検出処理ステップは、前記第1の生体特徴検出処理ステップの検出結果に基づき、
前記第1の生体特徴検出処理ステップが処理したフレーム画像よりも時間的に前方または後方に撮像されたフレーム画像を順次取得し、
取得したフレーム画像に対して前記第1の生体特徴検出処理ステップを適用したときの検出結果に基づきフレ−ム画像の取得を中断する。
【0100】
18.付記15において、前記性状判定処理ステップは、前記判定結果を行った画像上に前記判定結果を重畳して出力する。 19.付記15において、前記性状判定処理ステップは、前記第2の生体特徴検出処理ステップによる検出結果により前記判定結果を出力すると共に、前記判定結果が複数得られた場合には、複数の判定結果に基づいて総合的な判定結果を出力する。 20.付記15において、前記性状判定処理ステップは、食道内の疾患としてのバレット食道の性状判定を行うバレット食道判定処理ステップである。 21.付記15において、前記性状判定処理ステップは、食道内の疾患としてのバレット食道の性状判定と、バレット食道の疾患に至る前のバレット粘膜の存在を判定するバレット判定処理ステップである。
【0101】
22.付記15において、前記性状判定処理ステップは、食道内の胃食道接合部よりも食道側の粘膜が胃側粘膜としての円柱上皮に変性したバレット粘膜の存在を判定するバレット粘膜判定処理ステップである。 23.付記15において、前記第1の生体特徴検出処理ステップは、食道内における胃と食道の境界としての胃食道接合部、若しくは食道側の扁平上皮と胃側の円柱上皮との境界となる上皮境界、若しくは食道から胃の入り口となる噴門とのいずれかを検出する。
【0102】
24.食道内の粘膜表面を撮像した医用画像から線構造を抽出する線構造抽出手段と、
前記線構造の持つ形状特徴量から胃側となる各終端を算出する終端算出手段と、
前記形状特徴量から抽出された線構造が柵状血管であるか否かを判定する柵状血管判定手段と、
を具備することを特徴とする柵状血管検出装置。 25.生体粘膜表面を撮像した医用画像を入力する第1のステップと、
前記医用画像から線構造を抽出する第2のステップと、
前記線構造の持つ形状特徴量を算出する第3のステップと、
前記形状特徴量から粘膜構造が柵状血管であるか否かを判定する第4のステップと、
を具備することを特徴とする柵状血管の検出方法。 26.付記24において、前記形状特徴量として分岐・交差点、生成角度としたことを特徴とする。
【0103】
(付記24〜26の背景)
従来、バレット食道或いはバレット粘膜の判定を行う有効な装置或いは方法が無かった。
このため、バレット食道或いはバレット粘膜の判定を行う有効な装置或いは方法を提供することを目的として、付記24〜26の構成にした。 (付記24〜26の効果)
胃と食道との境界の胃食道接合部となる柵状血管の胃側の終端を検出するようにしているので、上皮境界の検出結果とからバレット食道或いはバレット粘膜の判定を適切に行うことができる。
【0104】
27.食道内の粘膜表面を撮像した医用画像から上皮境界と胃食道接合部とを検出する上皮境界&胃食道接合部検出手段と、
検出された前記上皮境界及び胃食道接合部からバレット粘膜ないしはバレット食道の存在を判定するバレット判定手段と、
を備えたことを特徴とするバレット検出装置。 28.食道内の粘膜表面を撮像した医用画像から上皮境界と胃食道接合部とを検出する処理を行う上皮境界&胃食道接合部検出ステップと、
検出された前記上皮境界及び胃食道接合部からバレット粘膜ないしはバレット食道の存在の判定処理をするバレット判定処理ステップと、
を備えたことを特徴とするバレット検出方法。
【0105】
(付記27、28の背景)
従来、バレット食道或いはバレット粘膜の判定を行う有効な装置或いは方法が無かった。
このため、バレット食道或いはバレット粘膜の判定を行う有効な装置或いは方法を提供することを目的として、付記27、28の構成にした。 (付記27、28の効果)
胃と食道との境界の胃食道接合部と、上皮境界の検出を行い、これらの検出結果からバレット食道或いはバレット粘膜の判定を適切に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
食道内部等を撮像した多量の内視鏡の画像データから食道バレット等の場合の性状を判定するためにその部位周辺部の胃食道接合部、上皮境界等の第1の特徴を検出する処理を、その存在が判定されるまで順次フレーム番号を変えて繰り返し、その特徴を有すると判定された画像からそれ以降の画像に対しては判定対象となる食道バレット等の第2の特徴を検出する検出処理に移行する。このような処理を行うことにより、最初から第2の特徴の検出処理及びその判定処理を行う場合よりも効率的な処理を行えるようにした。
【符号の説明】
【0107】
1…内視鏡システム
2…内視鏡観察装置
3…画像処理装置
4…モニタ
6…内視鏡
7…光源装置
8…CCU
11…挿入部
14…先端部
16…CCD
17…撮像装置
21…画像入力部
22…CPU
22a…幾何学的画像変換手段
22b…展開図出力手段
22c…上皮境界検出手段
22d…上皮境界解析手段
23…処理プログラム記憶部
24…画像記憶部
25…解析情報記憶部
27…ハードディスク
28…表示処理部
29…入力操作部
33…食道
34…上皮境界
35…胃食道接合部
36…胃
37…噴門
38…柵状血管
39…上皮境界
41…画像抽出ブロック
42…画像解析ブロック
43…表示処理ブロック
44…上皮境界検出ブロック
45…胃食道接合部検出ブロック
46…バレット食道判定ブロック
47…噴門検出ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食道内の粘膜表面を撮像した医用画像から線構造を抽出する線構造抽出手段と、
前記線構造の持つ形状特徴量から胃側となる各終端を算出する終端算出手段と、
前記形状特徴量から抽出された線構造が柵状血管であるか否かを判定する柵状血管判定手段と、
を具備することを特徴とする柵状血管検出装置。
【請求項2】
前記形状特徴量が、分岐・交差点、生成角度であることを特徴とする請求項1に記載の柵状血管検出装置。
【請求項3】
生体粘膜表面を撮像した医用画像を入力する第1のステップと、
前記医用画像から線構造を抽出する第2のステップと、
前記線構造の持つ形状特徴量を算出する第3のステップと、
前記形状特徴量から粘膜構造が柵状血管であるか否かを判定する第4のステップと、
を具備することを特徴とする柵状血管の検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2011−167529(P2011−167529A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87561(P2011−87561)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2005−38116(P2005−38116)の分割
【原出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】