説明

核燃料要素のクリーニングのための装置および方法

本発明は液体が充填されたスペース(2)内の核燃料要素(8)をクリーニングするための装置(9)および方法に関する。燃料要素(8)は開口部(8b)を有する内部スペース(8a)を備える。装置(9)は、連結要素(11)を備え、連結要素は、開口部(8b)およびフロー手段(16、32)を備える燃料要素(8)の一部に連結されるように構成されており、フロー手段は、少なくとも燃料要素(8)のクリーニング処理の一部の間において、開口部(8b)を介して、燃料要素(8a)の内部空間を介した液体の流れを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が充填されたスペース内の核燃料要素(nuclear fuel element)をクリーニングするための装置および方法に関し、ここで、燃料要素は開口部を有する内部スペースを備え、装置は、連結要素を備え、連結要素は、開口部およびフロー手段を備える燃料要素の一部に連結されるように構成されており、フロー手段は、少なくとも燃料要素のクリーニング処理の一部の間において、開口部を介して、燃料要素の内部空間を介した液体の流れを生成する。
【背景技術】
【0002】
BWR(沸騰水型原子炉)のための核燃料要素は、管状の形状を有し、かつ、スペーサ、燃料棒等を備える内部スペースを有する。原子炉タンクに接続されるシステムにおけるメンテナンスおよび修理作業に関連して、金属粒子、金属片、金属繊維が形成され、その後の操作の間に、原子炉の水により原子炉のタンクへ運ばれるリスクが存在する。また、原子炉タンクが開いている時間には、粒子が原子炉タンクに落ちるリスクが存在する。後の動作の間に、そうした粒子は原子炉の水と共に原子炉タンク内を循環する。そうした粒子を捕らえるために、原子炉の水が通過する適切な場所において、異なる種類のフィルタを配置することが公知である。しかしながら、特に、細かい粒子は燃料要素内に閉じ込められてしまい、燃料棒などの傷つきやすい部分に対して磨り減らせて損傷を生じさせ得る。燃料要素内に閉じ込められた粒子は原子炉の水と共に循環せず、それゆえ従来のフィルタによって捕らえることもできない。
【0003】
原子炉の水は、腐食物質から主に出る不純物(クラッド、かす)を含む。動作中の原子炉の水が燃料棒に接触して加熱される場合に、原子炉の水中のそうした不純物は燃料棒の外側表面上に沈着物を形成することとなる。こうした沈着物はとりわけ、原子炉の水が、燃料要素内で圧力低下を益々被り、燃料棒と共に熱交換が低くなってしまう結果となる。
【0004】
特許文献1は、原子炉タンク内の複数の燃料要素の上端に取り付けられたカバーを備えるクリーニングデバイスを示す。このカバーは連結部を備え、これを介して液体が燃料要素に供給可能である。この液体は、上端から下側端へと燃料要素を介して押し下げられる。燃料要素を介して流れる液体は、燃料要素内に閉じ込められている粒子をそれにより分離する。分離された粒子は、燃料要素の下側端において、分離構造部内において捕らえられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ国特許第199 14 218号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、シンプルかつ効果的な方法において、液体が充填されたスペース内における核燃料要素のクリーニングを可能にする装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述で示した目的は、以下でまず規定された装置を用いて達成され、該装置は、連結要素に連結した開口部を有する流路を備え、上記フロー手段は、少なくとも燃料要素のクリーニング処理の一部の間、燃料要素の内部スペースから装置の流路への液体の流れを生成するように構成され、該装置は、流路内にフィルタ要素を備え、上記流路は、燃料要素の内部スペースからの液体の流れで運ばれた粒子および沈着物を捕捉するように構成される、ことを特徴とする。燃料要素内のスペーサ、燃料棒、および他の構成要素は、原子炉の水を循環させるために、相対的に狭い通路を形成する。それゆえ、原子炉の水によって運ばれた粒子が燃料要素内部に付着するリスクが常に存在する。燃料要素の内側に付着した粒子を分離させるために、装置は、従って、燃料要素に連結される。装置の液体手段が稼動した場合、液体の流れは燃料要素を介して生成される。動作中の燃料要素を介した液体の流れよりも、より大きくてよいまたはより小さくてよい液体の流れを生成することによって、そのようなコンポーネント(component)は、開口部を介して、燃料要素からの液体の流れを用いて、分離および運ばれることができる。有利にも、その流れは交互に起きて、その結果、燃料要素内に付着していた粒子はねじり取られて、ゆるんで放たれる。そのような液体の流れを用いて、燃料要素内の、特に燃料棒上の沈着物は、燃料要素からの液体の流れによって分離および運ばれることができる。
【0008】
本発明によれば、装置は流路を備え、この流路は、連結要素に連結する開口部を有し、ここで上記フロー手段は、少なくとも燃料要素のクリーニング処理の一部の間に、燃料要素の内部スペースから装置の流路への液体の流れを生成するように構成される。それにより、燃料要素の内部スペースからの液体は装置へと吸い込まれることができる。この装置は流路内にフィルタ要素を備え、流路(flow channel)は、燃料要素の内部スペースからの液体の流れによって運ばれる粒子および沈着物を捕捉するように構成される。流れ経路(flow passage)に細かい網の目のフィルタ要素を配置することによって、フィルタ要素はまた、燃料要素の内部スペースから分離された相対的に細かな粒子を捕捉することができる。フィルタ要素は、有利にも、取替えができるように、装置に除去可能に取付けられる。それゆえ、除去して、粒子をなくすことができるか、または使用後に新しいものと取り替えることができる。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、このフロー手段は、燃料要素の内部空間を介して液体の流れを生成するように構成され、液体の流れは、燃料要素のクリーニング処理の間、所定のプログラムに従って可変である。効果的な方法において粒子および沈着物を分離させるために、燃料要素を介した流れを可変とすることが適切である。これは、第1のあらかじめ決定されたプログラムによってなされることができる。特定のプログラムが、異なる種類の燃料要素をクリーニングするために用いられることができる。このようなフロー手段は、有利にも、燃料要素のクリーニング処理の間の内部空間を介した断続的な液体の流れを生成するように構成される。クリーニング処理の間の燃料要素を介した流れを周期的に妨げることによって、燃料要素を介した断続的な液体の流れが生成され、その結果、非常に効果的な方法において、燃料要素の内部空間から粒子および沈着物を分離させる。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、上記フロー手段は、流路内に配置されたポンプを備える。1つのこのような適切なポンプは、燃料要素を介した比較的大きな液体の流れを吸い込むことができる。上記フロー手段は、流路内の意図された流れの方向に対して、ポンプの上流の位置において、流路内に配置されたフローバルブを備えることができ、ここで、フローバルブが、ポンプが液体を燃料要素の内部空間から吸い込まないようにする第1の位置に、および、フローバルブが、ポンプが液体を燃料要素の内部空間から吸い込むことができるようにする第2の位置に、フローバルブは調節可能である。このようなフローバルブを用いて、燃料要素を介した断続的な液体の流れがシンプルな方法において、かつポンプをオフまたはオンにする必要なく、生成できる。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、フローバルブは、第1の位置において、開口部を有するポンプを周囲の液体につなげる(connect)構成を有する。フローバルブはこのように、ポンプに代替のソースを供給し、燃料要素との連結が妨げられた場合に、この代替のソースから、ポンプは液体を吸い込むことができる。ここで、フローバルブが第1の位置に設定されている場合、ポンプはオフにされる必要がない。有利にも、フローバルブは、第1の位置において、開口部を有する燃料要素の内部空間を周囲の液体につなげる構成を有する。フローバルブがポンプと燃料要素との連結を妨げる時、燃料要素において液体の流れが存在する。フローバルブはこの場合、この液体の流れのために代替のルートを生成する。フローバルブが第1の位置へと変えられた時に、燃料要素内の液体の流れは、そこにおいて、突然に緩慢にされない。それにより、燃料要素上の連結位置から装置を取り除くことができる力を、この液体の流れが生成しないようにする。また、燃料要素が稼動を止められた場合、入ってくるコンポーネントは、残留の温度上昇を有し得て、これはまた、燃料要素を介した上方への液体の流れを生じさせる。このような液体の流れを許容することは、燃料要素を冷却するために必要である。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、装置は、第1の位置および第2の位置において、フローバルブを設定するように構成された力要素を備える。有利にも、この力要素は、第1の構成部品を備え、これは、第1の位置にフローバルブを設定するために継続的な力を用いて動作し、ならびに、この力要素は、第2の構成部品を備え、これは、稼働中の状態において、第1の位置にフローバルブを設定するために、第1の構成部品よりもさらなる力を用いて、反対の方向において、動作する。第1の構成部品はバネ要素であってよく、第2の構成部品は空気圧シリンダーであってよい。もちろん、他のタイプの構成部品が、第1の位置と第2の位置との間においてフローバルブを設定するために用いられることができる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、装置は、異なる形状を用いた連結要素の除去可能な連結を可能にする連結部分を備える。効果的な方法において、装置が燃料要素から液体を吸い込むことができるために、連結要素と燃料要素との連結の間に固い連結が確立される必要がある。装置が異なるタイプの燃料要素をクリーニングするために用いられる場合、装置は、燃料要素の特定のタイプに適合される形状を有する異なるタイプの連結要素が備わっていることが可能であることが必要とされる。連結要素は、燃料要素の端部上に設定されるか、または端部の上に滑り落ちる(slip over)ように構成されるカップ形状の部分を備えることができる。このようなカップ形状部分により、装置と燃料要素との間に固い連結を確立することができる。装置は、燃料要素上の連結位置に装置を持ち上げるために、かつ、クリーニング処理の後に、燃料要素上の連結位置から、装置を持ち上げるために、巻上げデバイスによって把持されるように構成された把持部分を備えることができる。原子炉施設内の既存のチャージングマシンは、原子炉タンク内の個々の燃料要素のクリーニング処理の間に、装置を適用および移動させるために、用いられることができる。
【0014】
上述で示された目的はまた、液体が充填されたスペースにおける核燃料要素(8)をクリーニングするための方法を用いて達成され、ここで、燃料要素は、開口部を有する内部空間を備える。上記方法は、装置を燃料要素の一部に連結するステップであって、燃料要素は開口部を備え、少なくとも燃料要素のクリーニング処理の一部の間において、装置を利用して、内部空間を介した液体の流れを生成する、ステップを含む方法であって、上記ステップは、少なくとも燃料要素のクリーニング処理の一部の間において、連結要素に連結した開口部を有する装置の流路への、燃料要素の内部空間からの液体の流れを生成し、かつ、装置の流路において、燃料要素の内部空間からフィルタ要素への液体の流れによって運ばれた粒子および沈着物を捕捉することを特徴とする。このような液体の流れを用いて、粒子および沈着物は、燃料要素の内部スペースから分離可能であり、フィルタ要素において捕捉可能である。
【0015】
有利にも、燃料要素の内部スペースを介した断続的な液体の流れは、取付けられた装置を利用して生成される。それにより、燃料要素の内部スペースの非常に効果的なクリーニング処理が提供される。上記方法はまた、原子炉のタンク内に配置された燃料要素に装置を連結するステップを含むことができる。そこで、燃料要素は、それがクリーニングされる時に、原子炉タンクから持ち上げられる必要はない。しかしながら、原子炉タンクから持ち上げられて出され、例えば、原子炉プール内に配置されている燃料要素に、装置を連結することは可能である。以下において、一例として、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、原子炉タンク内の、本発明に係る装置を示す。
【図2】図2は、装置が燃料要素に連結されたときの位置にある装置を示す。
【図3】図3は、装置が第1の位置にあるときの、装置のフィルタ要素およびフローバルブの断面を示す。
【図4】図4は、フローバルブが第2の位置に移動したときの、対応する装置の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、沸騰水型原子炉BWRのための原子炉タンク1を示す。原子炉タンク1はここでは開いた位置にある。原子炉タンク1は原子炉プール2の底表面に配置される。原子炉タンク1および原子炉プール2は水で充填されている。サービスブリッジ3は原子炉プール2を横切って架かっている。サービスブリッジ3は可動式で配置されたチャージングマシン4が備わっている。チャージングマシン4は伸縮自在のブーム5を有し、これを用いて、構成部品を原子炉タンク1内に上げ下げすることができる。原子炉タンク1はここでは部分的に内部の構成部品が取り除かれて空である。原子炉タンク1から取り出される内部の構成部品は、原子炉プール2内の異なる位置に配置可能である。減速材タンク6内に配置された炉心は、この場合、原子炉タンク1内に残される。フレーム7は、多数の燃料要素8の位置を規定する減速材タンク6の上側部分におけるグリッドを形成する。
【0018】
とりわけ、原子炉タンク1に連結されるシステムのメンテナンスおよび修理の作業中には、金属粒子、金属片、金属繊維、その他が形成され、その後の操作の間に、原子炉の水により原子炉タンク1へ運ばれるリスクが存在する。原子炉タンク1が開かれている時間の間にもまた、そうした粒子が原子炉タンク1内に落下するリスクがある。その後の操作の間に、そうした粒子は、原子炉の水と共に原子炉タンク1内を循環する。粒子を取り除いて原子炉の水を浄化するためには、原子炉タンク1内の適切な位置にフィルタを配置することが公知である。特に、しかしながら、細かい粒子は燃料要素8内に閉じ込められてしまい、燃料棒などの傷つきやすい部分に対して磨り減らせて損傷を生じさせ得る。これらの粒子は原子炉の水によって循環しないので、従来のフィルタによって捕らえることもできない。原子炉の水は、循環する原子炉の水と接触する物質の腐食から主に生じる、いわゆるクラッドと呼ばれる、回避できない不純物を含む。操作の間、原子炉の水の中のそのような不純物は、燃料棒の外側表面上に沈着物を形成する。
【0019】
図1は、内部粒子および沈着物を取り除き、燃料要素8をクリーニングするように構成された装置9を示す。装置9は、原子炉タンク1内の燃料要素8の上端部分に、チャージングマシン4を利用して、適用される。燃料要素8はこの場合、原子炉タンク1内に残される。しかしながら、原子炉プール2内または連結燃料プール内における任意の位置において、燃料要素8を持ち上げ、かつ燃料要素8に装置9を適用することができる。図2は、装置9および燃料要素8の上部を詳細に示す。燃料要素8は、内部空間8aを有する細長の管状要素を備え、この内部空間は、とりわけ、燃料棒8cおよびスペーサを備えて、内部空間8a内での所望の相互の位置において燃料棒を保持する。上部プレート8dは、所望の位置において、燃料棒8cの上部を保持する。操作中、燃料棒8cは、内部空間8aを循環する原子炉の水を加熱する。結果として生じる蒸気および加熱された水は内部空間8aを上昇して、燃料要素8の上端にある出口開口部8bを介して出る。新しい原子炉の水が入口開口部を介して内部空間8aに導入され、この入口開口部は燃料要素8の下端に位置する。
【0020】
装置9は相対的に細長の構造を有する。装置9は、第1の端部において、把持部10を備え、これは、チャージングマシン4が燃料要素8に装置9を適用した場合に、チャージングマシン4によって把持されるように構成されている。装置9は、第2の反対側の端部において、吸入カバー11の形をした連結要素を備える。吸入カバー11は、燃料要素8の上端部分の外側形状および大きさに実質的に対応する内部形状および大きさを有するカップ形状の部分を有する。吸入カバー11は、それにより、チャージングマシン4を利用して、下げられ、かつ燃料要素8の上端部分の上に配置されることができるか、またはそれに添えられる(affix)ことができる。吸入カバー11は、燃料要素8上の吸入カバー11の配置を容易にするための適切な形状をした制御表面が備わっていてよい。装置9は、細長の流路12を備え、これは吸入カバー11内の入口開口部13から出口部分15内の出口開口部14へと延びている。把持部分10は、この場合、出口部分15に取付可能である。出口部分15は湾曲した形状を有しているので、出口開口部14は把持部分10と並んで配置される。装置は、概略的に示されたポンプ16を備え、これは流路12内の原子炉の水を運ぶように構成される。ポンプ16と吸入カバー11との間において、装置9は、フローバルブを取り囲むフィルタおよび管状部分18を取り囲む管状部分17を備える。フローバルブは力要素19によって制御される。
【0021】
図3および図4は、装置9の上述の管状部分17および18の断面図を示す。管状部分17は、ここではフィルタバスケットからなるフィルタ要素21を受け取るための空間を形成している1つの内部壁要素20を備える。管状部分17は、例えばネジ22等の除去可能の取付け要素によって取り付けられる。ここで管状部分17は、フィルタ要素21がクリーニングまたは取替えが必要とされる場合に、装置から取外し可能である。管状部分18は、シフト可能に配置されたバルブ体23の形態をしたフローバルブを備える。バルブ体23は円筒形の壁要素を備える。バルブ体23は内部壁部分24を備え、これはバルブ体23の内部空間を、第1のチャンバ25と第2のチャンバ26とに分ける。第1のチャンバ25には周囲開口部25aが備わっている。第2のチャンバ26は、第1の周囲開口部26aおよび他のより小さ周囲開口部26bが備わっており、これらは、第1の周囲開口部26aとは異なる高さにおいて配置されている。半径方向に突出した制御要素27は、バルブ体23に固定して取り付けられている。力要素19は、空気圧シリンダー19aおよびバネ要素19bを構成する。空気圧シリンダー19aは、取付け要素28によって、装置9に固定して取り付けられている。空気圧シリンダー19aは、制御要素27に取り付けられている可動式部分を有する。バネ要素19bは、一端において、取付け要素29によって装置9に固定して取り付けられ、反対側の端において、制御要素27に連結されている。バネ要素19bは、図3に示されている第1の位置まで、制御要素27およびバルブ体23をシフトしようとする力を発揮する。空気圧シリンダー19が稼動されると、制御要素27はバネ要素19bの影響に対抗して上方へと、図4において示されている第2の位置へとシフトする。
【0022】
管状部分18はバルブ体23を取り囲み、第1の開口部30、第2の開口部31、および第3の開口部32を有する。フロー要素33は、第1の開口部30および第3の開口部32の高さのところで、管状部分18周囲に配置される。管状部分18は、下端において、吸入カバー11を適用するための、連結部分34を備える。連結部分34は、吸入カバー11を除去可能に適用することができる、ネジ35または他の取付け要素を備えることができる。それにより、異なるタイプの燃料要素8に連結される場合に、適切な形状を有する異なる吸入カバー11が装置9に取り付けられることができる。
【0023】
原子炉タンク1内の燃料要素8がクリーニングされる場合、装置9は、チャージングマシンの伸縮自在のブーム5のグリッパーの把持ハンドル10を利用して、取り付けられる。チャージングマシン4は、装置9の適切な位置に配置され、調整情報を利用して、あるいはカメラまたは類似の検出要素からの情報を用いてクリーニングされる燃料要素8の、実質的に垂直方向における上方の位置に、装置9を移動させる。装置9は、次いで、下げられて、燃料要素8に浸されて、吸入カバー11は、燃料要素8の上端部分および燃料要素8aの内部空間のための開口部8bを取り囲む。装置9が所望の方法において燃料要素8に連結されると、ポンプ16が稼動される。これは、適切な制御デバイスによってオペレータによりなされることができる。オペレータは、操作ブリッジ3または原子炉プール2の側の適切な位置に立つことができる。制御デバイスは、制御信号および電力をポンプ16に送るケーブルが備わっていてよい。
【0024】
ポンプ16が稼動している場合、バルブ体23は、好ましくは、図3に示される第1の位置にある。この位置において、バルブ体25aの第1のチャンバ25への開口部は、管状部分30の第1の開口部として、対応する位置に位置づけられる。それにより、ポンプ16は、この場合、開口部30、25aを介して、第1のチャンバ25へ、周囲の原子炉の水を吸い込む。第1のチャンバ25から、原子炉の水は、装置12の流路へとさらに吸い込まれ、管状部分17まで上がり、そして、フィルタ要素21を有するコンパートメントへと下がる。原子炉の水は、次いで、フィルタ要素21を介して吸い込まれ、図3の矢印に従って、ポンプ16の方向に、さらに、流路12内を上方へ上がる。ポンプ16から、原子炉の水は、流路12内において上方に押され、出口部分15内の出口開口部14から外に出る。バルブ体26の第2のチャンバは、吸入カバー11および燃料要素8aの内部空間と常に接触した状態にある。また、原子炉がオフの時、燃料棒には、残留の温度上昇(residual elevated temperature)が生じ得て、これは、燃料要素8aの内部空間を介した原子炉の水の上方への流れを生成する。このような液体の流れは、燃料要素8aの内部空間からバルブ体26の第2のチャンバへと送られる。この場合、バルブ体26の第2のチャンバ26bの他のより小さい開口部は、管状部分32の第3の開口部の位置に対応する位置に配置される。それにより、原子炉の水のそうした生じ得る上昇する流れは、開口部32を介して、第2のチャンバ26から、周囲の原子炉の水へと送られることができる。バルブ体23が第1の位置にある時、装置9内のポンプ16は、燃料要素8aの内部空間を介して原子炉の水の流れを生成しない。
【0025】
バルブ体23が、特定の期間(1〜3秒の範囲内であってよい)にオンとなった後、空気圧シリンダー19aは稼動される。空気圧シリンダー19aは、制御要素27に力を提供して、バルブ体23は、図4に示される第2の位置に設定される。バルブ体23が第2の位置にある時、バルブ体26の第2のチャンバは、開口部26aを介して、管状部分31の第2の開口部に連結する。管状部分31の第2の開口部は、ポンプ16に連結されているチャネル部分36に連結される。同時に、第2のチャンバ26と、周囲の原子炉の水との間のつながりが妨げられる。その理由は、第2のチャンバ26bの開口部が、管状部分32の第3の開口部からシフトされるからである。同時に、第1のチャンバ25と、周囲の原子炉の水との間のつながりが妨げられる。その理由は、チャンバ25aの第1の開口部が、管状部分30の第1の開口部からシフトされるからである。それにより、ポンプ16は、管状部分30の第1の開口部を介して原子炉の水中において、もはや吸い込まない。
【0026】
バルブ体の第2の位置において、ポンプ16は、従って、燃料要素8aの内部空間から、原子炉の水中において吸い込む。原子炉の水は、吸入カバー11を利用して、装置9に吸い込まれ、吸入カバー11は、従って、燃料要素8の上端部分に連結される。原子炉の水は、入口開口部13を介して、吸入カバー11から、装置12の流路へと送られる。その後、原子炉の水は第2のチャンバ26に達する。原子炉の水は、さらに、他の位置にある開口部26a、31に相次いで、第2のチャンバ26および管状部分18を介して、チャネル部分36へと吸い込まれる。その後、原子炉の水は、フィルタ要素21まで吸い込まれる。燃料要素8からの任意の粒子または沈着物は、フィルタ要素21において捕捉される。原子炉の水はさらにくみ上げられ、出口部分15の出口開口部14を介して出る。特定の期間(10〜15秒の範囲内であってよい)の後、空気圧シリンダー19aは稼動を停止されて、バルブ体23は、バネ要素19bによって、第1の位置へと戻される。燃料要素8のクリーニング処理の間、バルブ体23は、第1の位置と第2の位置との間で、所定の回数(5〜15回の範囲内であってよい)、移動される。
【0027】
本装置9の燃料要素のクリーニング処理は、従って、比較的強いポンプ16を用いて、燃料要素8aの内部空間を介して原子炉の水を吸い込むことを含む。それにより、燃料要素8を介した液体の流れが生成され、燃料要素8内に付いた任意の粒子、および燃料棒の表面上に形成された沈着物を分離させることができる。この効果をさらに向上させるために、装置9のバルブ体23は、従って、上述の位置の間で、数回、移動される。これにより、燃料要素8aの内部空間を介した断続的な流れが提供される。燃料要素8aの内部空間を介した原子炉の水の断続的な流れは、燃料要素8の内側に付いた粒子を分離し、燃料棒表面8cから沈着物を分離する、本装置の能力を著しく向上させる。このようにして分離された粒子および沈着物は、原子炉の水によって装置9へと運ばれ、ここでそうした粒子および沈着物はフィルタ要素21に付着する。燃料要素のクリーニング処理が終了した時、チャージングマシン4が稼動して、原子炉の炉心のまだクリーニングが施されていない燃料要素8に装置9を移動させる。
【0028】
本発明は、図面に示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内において自由に修正可能なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填されたスペース(2)における核燃料要素(8)をクリーニングするための装置(9)であって、前記燃料要素(8)は、開口部(8b)を有する内部空間(8a)を備え、前記装置(9)は連結要素(11)を備え、前記連結要素は、前記開口部(8b)およびフロー手段(16、32)を備える前記燃料要素(8)の一部に連結されるように構成されており、前記フロー手段は、少なくとも燃料要素(8)のクリーニング処理の一部の間において、前記開口部(8b)を介して、前記燃料要素(8a)の内部空間を介した液体の流れを生成する、装置(9)であり、
前記装置(9)は、前記連結要素(11)に連結した開口部(13)を有する流路(12)を備え、前記フロー手段(16、32)は、少なくとも前記燃料要素(8)のクリーニング処理の一部の間、前記燃料要素(8a)の内部空間から前記装置(12)の流路への液体の流れを生成するように構成され、前記装置(9)は、前記流路(12)において、フィルタ要素(21)を備え、前記フィルタ要素(21)は、前記燃料要素(8a)の内部空間からの液体の流れによって運ばれた粒子および沈着物を捕捉するように構成されることを特徴とする、装置(9)。
【請求項2】
前記フィルタ要素(21)は、取替えができるように、前記装置(9)に除去可能に取付けられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フロー手段(16、32)は、前記燃料要素(8a)の内部空間を介して液体の流れを生成するように構成され、前記液体の流れは、前記燃料要素(8)のクリーニング処理の間、所定のプログラムに従って可変であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記フロー手段(16、32)は、燃料要素(8)のクリーニング処理の間、前記内部空間(8a)を介して断続的な液体の流れを生成するように構成されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記フロー手段は、前記流路(12)内に配置されるポンプ(16)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記フロー手段は、前記流路(12)内の意図された流れの方向に対して、前記ポンプ(16)の上流の位置において、前記流路(12)内に配置されたフローバルブ(23)を備え、
前記フローバルブ(32)が、前記ポンプ(16)が液体を前記燃料要素(8a)の内部空間から吸い込まないようにする第1の位置に、および、前記フローバルブ(32)が、前記ポンプ(16)が液体を前記燃料要素(8a)の内部空間から吸い込むことができるようにする第2の位置に、前記フローバルブ(32)は調節可能であることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記フローバルブ(23)は、前記第1の位置において、開口部(30)を有する前記ポンプ(16)を周囲の液体につなげる構成を有することを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記フローバルブ(23)は、前記第1の位置において、開口部(32)を有する前記燃料要素(8a)の内部空間を周囲の液体につなげる構成を有することを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置(9)は、前記第1の位置および前記第2の位置において、前記フローバルブ(23)を設定するように構成された力要素(19)を備えることを特徴とする、請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置(9)は、異なる構成を用いた前記連結要素(11)の除去可能な連結を可能にする連結部分(34)を備える、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記連結要素(11)は、前記燃料要素(8)の端部上に設定されるか、または端部の上に滑り落ちるように構成されるカップ形状の部分を備えることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、燃料要素(8)に前記装置(9)を適用するために、かつ、前記燃料要素のクリーニング処理の後に、前記燃料要素(8)から前記装置(9)を持ち上げるために、巻上げデバイス(4)によって把持されるように構成された把持部分(10)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
液体が充填されたスペースにおける核燃料要素(8)をクリーニングするための方法であって、前記燃料要素(8)は、開口部(8b)を有する内部空間(8a)を備え、前記方法は、装置(9)を前記燃料要素(8)の一部に連結するステップであって、前記燃料要素(8)は前記開口部(8b)を備え、少なくとも前記燃料要素(8)のクリーニング処理の一部の間において、前記装置(9)を利用して、前記内部空間(8a)を介した液体の流れを生成する、ステップを含む方法であって、
前記ステップは、少なくとも前記燃料要素(8)のクリーニング処理の一部の間において、前記連結要素(11)に連結した開口部(13)を有する前記装置(9)の流路(12)への、前記燃料要素(8a)の内部空間からの液体の流れを生成し、かつ、前記装置(9)の流路(12)において、前記燃料要素(8)の内部空間(8a)からフィルタ要素(21)への液体の流れによって運ばれた粒子および沈着物を捕捉することを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記ステップは、取付けられた前記装置(9)を利用して、前記燃料要素(8a)の内部スペースを介して断続的な液体の流れを生成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップは、原子炉タンク(1)内に配置された燃料要素(8)に前記装置を連結することを特徴とする、請求項13または請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−506832(P2013−506832A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532048(P2012−532048)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051047
【国際公開番号】WO2011/040873
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(504446548)ウェスティングハウス エレクトリック スウェーデン アーベー (26)