説明

核酸抽出装置

【課題】溶液排出時のコンタミネーションの要因となるミストの飛散を防止することが可能な核酸抽出装置を実現する。
【解決手段】加圧ノズル12と抽出カラム35とを接触させシール部材36を圧縮させ密着させる。吸引ファン52を動作させ密閉流路内(カラム保持ブロック37、抽出液受けタンク54)の気体を仕切り板55により液受けタンク54の底部方向に流れた後に吸引ファン52の方向に流動させる。加圧ノズル12により抽出カラム35内を加圧し抽出カラム35内の溶液を排出する。排出液は自重で液受けタンク54の下部に到達する。抽出カラム35内の内容液が僅かとなると排出液中に気体が巻き込まれ霧状となる。霧状となった溶液は吸引ファン52により作られた気体流の中心となり吸引ファン52の方向へ流動される。溶液を含むミストは保護フィルタ51で捕捉され密閉流路外部に排出されることは無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸を含有する試料から核酸を抽出するための核酸抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝情報を担う物質である核酸の分析は、学術研究や医療等の多岐の分野で実施されている。核酸の分析方法としては、主にPCR(Polymerase Chain Reaction)等の核酸増幅技術を利用されることが多い。
【0003】
PCRとは核酸を塩基配列特異的に増幅する方法であり、極微量の目的遺伝子の検出や定量が可能である。PCR等の核酸分析においては生物試料等から抽出した核酸を用いるが、この核酸抽出では分析反応に対する阻害物質、例えば、分析結果に擬陽性をもたらすような外部環境に由来する核酸等を含むコンタミネーション物質の影響を排除する必要がある。
【0004】
生物試料等から核酸を抽出する方法としては、フェノールやクロロホルム等の毒劇物を使用し、エタノール沈殿等の操作を行う従来方法があるが、近年では、非特許文献1に記載されるようなカオトロピック物質の存在下でシリカ含有核酸結合性固相等に核酸が結合する性質を利用する方法や、特許文献1に記載されているようなカオトロピック物質と水溶性有機溶媒の存在下でアセチルセルロース等の有機高分子に核酸が結合する性質を利用する方法がより一般的となっている。
【0005】
特許文献1に記載された方法は、アセチルセルロース等の有機高分子を核酸結合用の部材として備える抽出カートリッジに核酸を含有する溶液を投入し、加圧によって核酸結合用部材を通して溶液を排出し、核酸を核酸結合用部材に結合させる方法である。この方法においては、溶液全量が排出された直後の抽出カラム内部の圧力変化を解析し、圧力開放弁を作動させて抽出カラム内部の加圧エアを放出することにより、残留加圧エアによるミスト状の排出液飛散を抑止してコンタミネーション発生リスクを軽減させている。
【0006】
また、特許文献2には、抽出カラムからの排出液を仕切りのある空間に吐出することで、複数個設置した抽出カラムからの排出液によるコンタミネーションの発生を防止している。
【0007】
【特許文献1】特開2005−204578号公報
【特許文献2】特開2006−197851号公報
【非特許文献1】J.Clin.Microbiol.,28(3),495-503 (1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、核酸抽出装置においては、抽出カラム内の溶液は、理想的には、全工程で全て排出されていることが望ましい。
【0009】
しかしながら、抽出カラム内の溶液を全量排出させる場合、抽出カラム内に液体が残っているうちは液体が連続した状態で排出されているが、残量が少なくなると気体と液体の混合状態での排出となり、最終的には霧状ミストとなる。
【0010】
ミストは空気中を浮遊し、抽出カラムの外周側面に付着し、抽出カラムを移動させる際にこのカラムより離れ、他の抽出カラムや容器、試薬ボトル等に付着し、コンタミネーションを発生させる可能性がある。
【0011】
核酸抽出処理装置は小型化の傾向にあり、各々の検体を処理する位置が近接する、または同時に複数検体の処理を行なうなど、コンタミネーション発生のリスクは高まりつつある。
【0012】
また、抽出処理された核酸は後の工程で増幅処理をされる場合があり、その場合は更にリスクが増大する。例えば、前述のPCRの増幅技術を用いた場合、30サイクルで10億倍程度に増幅することが可能であり、核酸含有試料から発生するわずかなミストの飛散が非常に大きな影響を与えることになる。
【0013】
従来技術においては、核酸含有ミストの飛散をある程度抑制することが可能であるが、外部への飛散を確実に防止することは困難である。
【0014】
本発明の目的は、溶液排出時のコンタミネーションの要因となるミストの飛散を防止することが可能な核酸抽出方法及び装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成される。
【0016】
核酸結合性固相を有する抽出カラムに供給された液体を加圧して上記核酸結合性固相を通して上記抽出カラムから排出し、核酸含有液体試料から目的の核酸を抽出する核酸抽出方法において、抽出カラムの液体排出口に、上記抽出カラムから排出された液体を収容する液体収容タンクを接続し、抽出カラムに供給された液体を加圧して上記核酸結合性固相を通して上記抽出カラムから排出し、上記液体収容タンク内の気体と共に浮遊する液体成分を捕捉し、上記気体と共に浮遊する液体成分を除去した後に、上記気体を上記液体収容タンク外に送気する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、溶液排出時のコンタミネーションの要因となるミストの飛散を防止することが可能な核酸抽出方法及び装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明による核酸抽出装置を核酸精製用装置に適用した場合の例である。
【0020】
図1は本発明の第1の実施形態における溶液排出流路の概略構成図、図2は本発明の第1の実施形態における抽出カラムの概略構成図、図3は本発明が適用される核酸精製用装置の概略構成平面図、図4は核酸精製用装置の動作系のブロックダイヤグラム、図5は本発明の第1の実施形態における動作フローチャートである。
【0021】
図1において、本発明の第1の実施形態における溶液排出流路は密閉流路となっている。この密閉流路は、抽出カラム保持ブロック37と、液受けタンク54と、開閉バルブ53と、保護フィルタ51と、吸引ファン52とにより形成される。
【0022】
抽出カラム保持ブロック37は、抽出カラム35を設置する台座であり、液受けタンク54と接続されている。抽出カラム35は抽出カラム保持ブロック37に設けられた筒状の連通穴に収まるように設置されている。抽出カラム35は、溶液排出時には、図4に示す加圧ポンプ10を連通させるために下方向に押し下げられた加圧ノズル12及びシール部材36を介して抽出カラム保持ブロック37と密着し、排液流路が隙間無く接続される。
【0023】
排液受けタンク54は、抽出カラム保持ブロック37の下方に位置し、抽出カラム35の排出開口部32より排出された液体を一時的に保持する機能を持つ。排液受けタンク54の材質は排出される液体による侵食、変形、溶解等の影響がないものが望ましい。例えば金属であればステンレスや、樹脂であればPP(ポリプロピレン)である。
【0024】
また、開閉バルブ53は、排液受けタンク54の下部に位置し、排液受けタンク54内に一時的に保持された排出液の排出液回収ボトル(図示せず)への排出を制御する機能を有する。開閉バルブ53は、電磁弁、ピンチコック等、任意に流路の開閉ができるもので、かつ、排液受けタンク54と同様に液体による機能低下が無い材質、例えばテフロン(登録商標)で形成されていることが望ましい。
【0025】
保護フィルタ51は密閉流路内にあり、後述する吸引手段よりも流路の上流側に設置されている。この保護フィルタ51は、密閉流路内に発生したミストを捕捉し、抽出カラム35より排出されたミストが密閉流路外に飛散するのを防ぐ機能を有する。なお、保護フィルタ51に要求される性能は、例えば粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有するHEPAフィルタ相当以上のものが望ましい。
【0026】
吸引ファン52は、密閉流路内の気体を吸引し、保護フィルタ51へ気体を誘導する機能を有する。吸引ファン52は保護フィルタ51による圧力損失での吸引効率低下を防ぐため、より吸引力、もしくは風量の大きなものが望ましい。例えばシロッコファンである。
【0027】
次に、本発明の第1の実施形態における抽出カラム35内から液体を排出する動作について説明する。ここでは、本発明を第2洗浄液の排出工程に適用した場合について説明する。なお、抽出カラム35は抽出カラム保持ブロック37上に設置されており、既に第2洗浄液が分注されているものとする。
【0028】
抽出カラム35内の第2洗浄液を排出するため、加圧ポンプ10(後述する図4に示す)と接続された加圧ノズル12を抽出カラム35上に下降させる。加圧ノズル12の先端には抽出カラム35と加圧ノズル12との接続を確実なものとするためのシール部材36が取り付けてある。シール部材36は弾力性のある樹脂であり、例えばシリコンゴムである。
【0029】
加圧ノズル12と抽出カラム35とを接触させた後、更に一定量加圧ノズル12を下降させ、シール部材36を圧縮させつつ密着させる。次に、吸引ファン52を動作させる。この吸引ファン52の動作により、密閉流路内の気体は吸引ファン52の方向へ流動する。この時、気体は密閉流路の内壁に沿って流動する。本発明の第1の実施形態では密閉流路中に仕切り板55が設けられている。この仕切り板55は、吸引ファン52と対向するように配置され、抽出カラム35から排出された気体が、液受けタンク54の底部方向に流れた後に、吸引ファン52の方向に流動するように形成される。
【0030】
つまり、仕切り板55の設置により、図1に気体の流れ99として示すように、密閉流路内の気体は抽出カラム35の排出開口部32から、ほぼ垂直下方に流動した後、方向を変えて吸引ファン52の方向に流動する。
【0031】
なお、保護フィルタ51を介して吸引ファン52へ向かう気体の流動が、垂直方向において一度、吸引ファン52の位置よりも低い位置を通過することで、抽出カラム35より排出される溶液が排出開口部32の鉛直下降方向に流動が実現できれば、仕切り板55は必ずしも設ける必要はない。
【0032】
このような気体の流れが形成された後、加圧ポンプ10を動作させ、抽出カラム35内を加圧する。この結果、抽出カラム35内の内部圧力が上昇し、第2洗浄液を排出する。第2洗浄液の排出開始直後の排出液は、抽出カラム35の排出開口部32から連続して排出され、自重で液受けタンク54の下部に到達する。
【0033】
これに対して、抽出カラム35内の内容液量が僅かとなると、排出液中に気体が巻き込まれ、液滴状となり、最終的には霧状となる。霧状となった溶液は吸引ファン52によって作られた気体の流れの中心となり、気流に包まれるようにして吸引ファン52の方向へ流動される。そして、溶液を含むミストは保護フィルタ51によって捕捉されるため、密閉流路外部に排出されることは無い。
【0034】
抽出カラム35内の溶液の密閉流路内への排出が終了すると、加圧ポンプ10の動作が停止されると共に、吸引ファン52の動作を停止し、所定時間後、密閉流路の洗浄液を排出容器内に排出する。
【0035】
以上のように、抽出カラム35からの排出液を一旦収容する液受けタンクを、核酸抽出に使用される送気ユニットとして構成することにより、コンタミネーションの原因となる溶液を含むミスト(気体と共に浮遊する液体成分)の密閉流路外への飛散を防止することが出来る。
【0036】
図2は、本発明の第1の実施形態における抽出カラム35の一例を示す図である。この図2に示した例は、核酸結合性固相を備える抽出カラムである。
【0037】
図2において、抽出カラム35は、核酸含有液体試料、洗浄液、溶出液等の溶液を投入する開口部30、加圧機構を接続する接続部31、溶液を排出する為の排出開口部32が形成された配管部38を備え、配管38内部に核酸結合性固相33を保持部材34により固定化したものである。
【0038】
核酸結合性固相33としては、例えば、ガラス、シリカ、ケイソウ土等、或いは、アセチルセルロース等を含有する固相であり、連続する複数の通液孔を有して通液可能であり、通液の際に溶液との十分な接触効率を得られるように、微細且つ緊密なフィルタ状の構造であるものが使用できる。
【0039】
保持部材34は、核酸結合性固相33の形状や設置位置を維持することができ、且つ、連続する複数の通液孔を有し通液可能である部材が使用でき、例えばプリプロピレン粒子の焼結体等が使用できる。
【0040】
図2に示す抽出カラム35において、抽出カラム35の内部容量を2ml、抽出カラム35の材質をポリプロピレン、核酸結合性固相33を平均粒子保持径0.7μmのガラス繊維濾紙、保持部材34を平均粒子保持径約100マイクロμmのポリプロピレン粒子焼結体としたものを使用する。
【0041】
抽出カラム35の核酸結合性固相33の通液孔は、微細且つ緊密な構造であり、試料と結合液の混合液のような粘性の大きい溶液に対しては通液抵抗が大きく、通液処理を効率的に行う為には大きな圧力を印加する必要がある。しかし、大きな圧力の印加により溶液を通液させた場合は、溶液全量を排出する直後の残圧が大きく、ミスト状や液滴状の排出液の飛散が発生し得るため、コンタミネーション発生リスクを排除することが必要となる。
【0042】
次に、図3を用いて核酸の精製用装置100の概略構成を説明する。図3において、核酸の精製用装置100は、水平方向(X方向)に移動可能な2本のアーム16、17を具備する。一方のアーム16には、抽出カラム35内の液体を加圧する加圧ノズル12を保持する加圧ノズルホルダ18がアーム16の長さ方向に沿って水平方向(Y方向)に移動可能に取り付けられている。
【0043】
他方のアーム17には、分注ノズル(図示せず)を保持するノズルホルダ19がアーム17の長さ方向に沿って水平方向(Y方向)に移動可能に取り付けられている。
【0044】
加圧ノズル12、分注ノズルは、対応するアーム16、17に対し、いずれも上下方向(Z方向)に動作できる。アーム16の水平移動領域とアーム17の水平移動領域とは、部分的にオーバーラップするので、各アームの取り付け高さ位置を違えてある。
【0045】
本体架台上の作業面5には、未使用の多数の分注用チップ42を載置したチップラック41が所定エリアにセットされる。これらのチップラック41は、各分注用チップ42を挿入し上下方向に保持し得る穴を有しており、分注用チップ42の先端が作業面5又はチップラック41底面に接触しないような高さを持った箱形をなしている。チップラック41は最大25本までの分注用チップ42を保持できる。
【0046】
作業面5には、さらに処理ブロック61が配置されており、処理ブロック61上には未使用の処理容器21を事前に設置しておく。処理対象となる検体、すなわち核酸を含有する試料を収容した検体容器20が複数本ずつ保持される検体ラック14が所定エリアにセットされる。この例では、検体ラック14は5本の検体容器20を保持できる。
【0047】
また、作業面5には、未使用の精製品用容器28を複数個保持した精製品容器ラック27が所定エリアにセットされる。この精製品用容器28は、精製処理がなされた核酸含有液を試料別に回収するものである。この例では、容器ラック27は、5本の精製品用容器28を保持できる。
【0048】
作業面5には、試薬分注ノズルに接続された分注用チップ42を試薬分注ノズルから取り外すためのチップ外し器65が配置される。作業面5上の所定位置には、核酸結合性固相33への核酸の結合を促進する結合促進物質の溶液を収容した結合試薬ボトル23、抽出カラム35内の固相33を洗浄するための洗浄液を収容した第1洗浄液ボトル24、第2洗浄液ボトル25、固相33に結合された核酸を溶出させるための溶出液を収容した溶出液ボトル26がセットされる。
【0049】
抽出カラム35を加圧する加圧ポンプ10と、検体、結合試薬、第1洗浄液、第2洗浄液、溶解液を吸引、分注するシリンジポンプ11(図4に示す)は、それぞれ、アーム16、17上の加圧ノズル12、試薬分注ノズルに取り付けられており、加圧ポンプ10は抽出カラム35内の溶液の排出と、シリンジポンプ11(図4に示す)は各溶液の吸入動作と排出動作を行なう。
【0050】
試薬分注ノズルへの分注用チップ42の装着は、チップラック41上において、試薬分注ノズルを降下して分注用チップ42をノズルの先端に嵌合することにより達成される。また、試薬分注ノズルに接続された分注用チップ42を試薬分注ノズルから取り外す場合は、チップ外し器65を利用する。試薬分注ノズルより取り外された分注用チップ42は、チップ廃棄口に落下し回収箱(図示せず)内に回収される。なお、62は廃液ユニット、63は溶離ユニット、64は抽出カラムハンドラー、67及び68は待機位置である。
【0051】
次に、核酸の精製用装置100の電気系構成について図4を参照して説明する。図4において、動作制御部としてのPC80には、操作条件及び検体情報を入力するための操作パネルとしてのキーボード81、入力情報や警告情報等を表示するための表示装置としてのCRT82、装置の各機構部を制御する機構制御部83等が接続される。
【0052】
機構制御部83は、加圧ポンプ10に吸排動作を行わせるためのピストン駆動用のステッピングモータ71、シリンジポンプ11に吸排動作を行わせるためのプランジャ駆動用のステッピングモータ72、加圧ノズルホルダ18を水平移動及び上下動させるためのステッピングモータ73、分注ノズルホルダ19を水平移動及び上下動させるためのステッピングモータ74、アーム16を水平移動させるためのステッピングモータ75、アーム17を水平移動させるためのステッピングモータ76、抽出カラムハンドラー63を動作させるためのステッピングモータ77の動作を制御する。また、機構制御部83は、開閉弁53、吸引ファン52の動作を制御する。核酸精製用装置100の各部は、所定のプログラムに従って動作される。
【0053】
次に、本発明の第1の実施形態による密閉流路を用いた核酸抽出装置での一連の抽出工程について説明する。図5は、核酸抽出工程の動作フローチャートである。
【0054】
核酸の抽出方法は、(1)核酸含有試料に結合試薬を添加した混合液を抽出カラムに投入し、抽出カラム内部を加圧して混合液を核酸結合性固相内部を通して排出する結合工程と、(2)第一洗浄液を抽出カラムに投入し、抽出カラム内部を加圧して洗浄液を核酸結合性固相内部を通して排出する第1洗浄工程と、(3)第2洗浄液を抽出カラムに投入し、抽出カラム内部を加圧して洗浄液を核酸結合性固相内部を通して排出する第2浄工程と、(4)溶出液を抽出カラムに投入し、抽出カラム内部を加圧して洗浄液を核酸結合性固相内部を通して排出し、核酸溶液を得る溶出工程とを備える。
【0055】
なお、核酸含有試料としては、例えば、全血、血漿、血清、尿、大便、唾液、喀痰、精液等の体液、動植物の組織や細胞、微生物、細菌、ウイルス等、及びそれらの懸濁物、或いは溶解物が使用できる。
【0056】
また、結合試薬としては、核酸含有試料中の核酸を遊離化し、且つ核酸と核酸結合性固相の結合を促進し得るものであり、各種のカオトロピック塩が使用できる。カオトロピック塩としては、チオシアン酸グアニジン、塩酸グアニジン、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、過塩素酸ナトリウム等を使用できる。また、核酸の遊離化を促進する為に界面活性剤やタンパク質分解酵素等が使用できる。
【0057】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート等が使用できる。また、核酸含有試料に内在、或いは外部環境に由来する核酸分解酵素を不活性化する為に、2-メルカプトエタノールやジチオトレイトール等の還元剤やエチレンジアミン四酢酸塩等の金属キレート剤が使用できる。また、核酸の遊離化を促進するために、加温、攪拌、ホモジナイズ、超音波等の処理を併用することができる。また、核酸と核酸結合性固相の結合を促進する為に有機溶媒を使用できる。
【0058】
有機溶媒としては水溶性有機溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、乳酸エチル等が使用できる。
【0059】
次に、核酸抽出装置を用いた核酸の抽出工程を詳細に説明する。核酸含有試料を検体容器20に入れて検体ラック14に保持させ、装置100上の検体設置位置に設置する。分注チップ42を有するチップラック41、各ボトル23、24、25、26、処理容器21、及び精製品用容器28を、それぞれ所定の場所にセットした後、精製用装置100による核酸抽出操作を開始する。
【0060】
まず、待機位置67に位置していたアーム17とノズルホルダ19とを動作させ、分注ノズルをチップラック41上へ移動し、第1番目の分注用チップ42を分注ノズルに嵌合する。次いで、取り付けた分注用チップ42を検体ラック14上へ移動し、目的とする検体容器20へ降下し、シリンジポンプ11に吸引動作させることにより分注用チップ42内に所定量の核酸含有試料を吸引する。
【0061】
次に、分注用チップ42を検体容器20内から上昇させ、分注用チップ42の先端に少量の空気を引入し、次いで、分注ノズルを処理ブロック61上の第1番目の処理容器21まで移動する。そして、分注用チップ42を検体容器20内に降下し、シリンジポンプ11の吐出動作により処理容器21内に所定量の検体を吐出する。
【0062】
その後、分注ノズルをチップ外し器65まで移動させ、分注用チップ42を分注ノズルより取り外す。取外された分注チップ42はチップ外し器65の下方に位置する使用済みチップ回収箱(図示せず)内に自然落下し、回収される。
【0063】
次に、ノズルホルダ19を動作させ、分注ノズルをチップラック41上へ移動し、第2番目の分注用チップ42を分注ノズルに嵌合する。次いで、取り付けた分注用チップ42を結合試薬ボトル23上へ移動し、このボトル23内へ降下し、シリンジポンプ11に吸引動作させることにより、分注用チップ42内に所定量の結合試薬を吸引する。
【0064】
次に、分注用チップ42を結合試薬ボトル23内から上昇させ、分注用チップ42の先端に少量の空気を引入し、次いで、分注ノズルを処理ブロック61上の第1番目の処理容器21まで移動し、分注用チップ42を処理容器21内に降下し、シリンジポンプ11の吐出動作により所定量の結合試薬を吐出する。
【0065】
結合試薬の吐出後に、再び、既に処理容器21内に吐出されている結合試薬および核酸含有試料の全量を同じ分注用チップ42内への吸入し、さらに、吐出して、この吸引吐出動作を繰り返し行う。これにより、核酸含有試料と結合試薬とを混合する。その後、処理容器21内の溶液全量を分注用チップ42内に吸引する。
【0066】
分注チップ42内への混合溶液の吸引後、分注用チップ42の先端に少量の空気を引き込んだ後、排液ユニット62上の第1番目の抽出カラム35の位置へ移動する。その後、分注用チップ42の先端を抽出カラム35内まで下降させ、分注用チップ42の混合液全量を吐出する。吐出終了後、分注ノズルをチップ外し器65の位置まで移動し、分注用チップ42を廃棄する。
【0067】
次に、アーム16に取り付けられた加圧ノズル12を前工程までの溶液を吐出された抽出カラム35上まで移動させる。その後、加圧ノズル35を下降させ、下降ノズル35の先端に取り付けられているシール部材36を介して抽出カラム35に密着させる。
【0068】
次に、加圧ポンプ10を動作させ、抽出カラム35内の溶液を排出させる。抽出カラム35から排出された混合液は、一旦、液受けタンク54内に納められる。液受けタンク54の下部には開閉弁53を介して排出液回収ボトル(図示せず)が接続されており、抽出カラム35を通して排出された溶液は、開閉弁53を開状態とすることで、全て排出液回収ボトルに回収される。
【0069】
抽出カラム35内の結合試薬と検体の混合液を排出後、加圧ノズルを上昇させ、一旦待機位置68に移動させる。
【0070】
以上の動作が図5のステップ100〜104の動作に対応する。
【0071】
次に、図5のステップ105〜108の動作を説明する。
待機位置に位置していたアーム17とノズルホルダ19とを動作させ、分注ノズルをチップラック41上へ移動し、第3番目の分注用チップを分注ノズル13に嵌合する。次いで、取り付けた分注用チップ42を第1洗浄液ボトル24上へ移動し、ボトル24内へ降下し、シリンジポンプ11に吸引動作させることにより、分注用チップ42内に所定量の第1洗浄試薬を吸引する。
【0072】
第1洗浄液としては、核酸と核酸結合性固相の結合を維持して、タンパク質等の非特異的な結合物を除去し得るものであり、結合液において用いることができるカオトロピック塩、界面活性剤、還元剤、金属キレート剤、有機溶媒等を含む溶液が使用できる。
【0073】
次に、分注用チップ42を第1洗浄試薬ボトル23内から上昇させ、分注用チップ42の先端に少量の空気を引入し、次いで、分注ノズルを抽出カラム35上まで移動し、分注用チップ42を抽出カラム35内に降下させ、シリンジポンプ11の吐出動作により所定量の第1洗浄試薬を排出する。その後、分注ノズルをチップ外し器65まで移動させ、分注用チップ42を分注ノズルより取り外す。
【0074】
次に、アーム17に取り付けられた加圧ノズル12を前工程までの溶液が吐出された抽出カラム35上まで移動させる。その後、加圧ノズル12を下降させ、加圧ノズル12の先端に取り付けられているシール部材36を介して抽出カラム35に密着させる。次に、加圧ポンプ10を動作させ、抽出カラム35内の第1洗浄液を排出させる。抽出カラム35から排出された第1洗浄液は、一旦、液受けタンク54内に納められた後、開閉弁53を開状態として全て排出液回収ボトル56に回収される。抽出カラム35内の第1洗浄液を排出後、加圧ノズル12を上昇させ、一旦待機位置68に移動させる。
【0075】
以上の動作が図5のステップ105〜108の動作に対応する。
【0076】
次に、図5のステップ109〜117の動作を説明する。
【0077】
待機位置に位置していたアーム17とノズルホルダ19を動作させ、分注ノズルをチップラック41上へ移動し、第4番目の分注用チップ42を分注ノズルに嵌合する。次いで、取り付けた分注用チップ42を第2洗浄液ボトル25上へ移動し、このボトル25内へ降下し、シリンジポンプ11に吸引動作させることにより、分注用チップ42内に所定量の第2洗浄試薬を吸引する。
【0078】
次に、分注用チップ42を第2洗浄試薬ボトル25内から上昇させ、分注用チップ42の先端に少量の空気を引入し、次いで、分注ノズルを抽出カラム35上まで移動し、分注用チップ42を抽出カラム35内に降下させる。そして、シリンジポンプ11の吐出動作により所定量の第2洗浄試薬を抽出カラム35に排出する。
【0079】
第2洗浄液としては、核酸と核酸結合性固相33との結合を維持して、第1洗浄液で除去しきれなかった非特異的な結合物と第1洗浄液の残留成分を除去し、且つ、次工程の溶出液に持ち越されて後段の分析反応を阻害しない水準まで除去可能なものであり、エタノールやアセトン等の揮発性を有する有機溶媒等を含有する溶液が使用できる。
【0080】
次に、分注ノズルをチップ外し器65まで移動させ、分注用チップ42を分注ノズルから取り外す。
【0081】
次に、アーム16に取り付けられた加圧ノズル12を前工程までの溶液が吐出された抽出カラム35上まで移動させる。その後、加圧ノズル12を下降させ、加圧ノズル12先端に取り付けられているシール部材36を介して抽出カラム35に密着させる。次に、吸引ファン52を動作させ、抽出カラム35の排出開口部32付近の気体を吸引ファン52の方向へ吸引し、流動させる。
【0082】
次に、加圧ポンプ10を動作させ、抽出カラム35内の溶液及び第2洗浄液を排出する。
【0083】
その後、加圧ノズル12を僅かに上昇させ、加圧ポンプ10を加圧開始位置まで移動させる。次に、再び加圧ノズル12を下降させ、抽出カラム35に密着させる。次に、加圧ポンプ10を動作させ、抽出カラム35内の溶液の排出動作を繰り返す。
【0084】
排出動作を指定回数(例えば10回)繰り返した後、加圧ノズル12を上昇させ、一旦、待機位置68に移動させる。排出動作完了後、吸引ファン52を停止させ、気体の流動を停止する。気体の流動が停止するまで待ち時間を置いた後、開閉弁53を開状態とし、廃液受けタンク54内の液体を排出し、開閉弁53を閉とする。
【0085】
以上の動作が図5のステップ109〜117の動作に対応する。
【0086】
次に、図5のステップ118〜123の動作を説明する。
【0087】
抽出カラムハンドラー64にて抽出カラム35を排液ユニット62から溶出ユニット63へ移動させる。次に待機位置に位置していたアーム17とノズルホルダ19を動作させ、分注ノズルをチップラック41上へ移動し、第5番目の分注用チップ42を分注ノズルに嵌合する。次いで、取り付けた分注用チップ42を溶出液ボトル26上へ移動し、このボトル26内へ降下し、シリンジポンプ11に吸引動作させることにより、分注用チップ42内に所定量の溶出液を吸引する。
【0088】
次に、分注用チップ42を溶出液ボトル25内から上昇させ、分注用チップ42の先端に少量の空気を引入する。次いで、分注ノズルを抽出カラム35上まで移動し、分注用チップ42を抽出カラム35内に降下させ、シリンジポンプ11の吐出動作により所定量の溶出液を吐出する。溶出液としては、核酸を核酸結合性固相33から溶出し、且つ、後段の分析反応を阻害する成分を含有しないものであり、核酸分解酵素を含有しない純水、或いは低塩濃度緩衝液等が使用できる。
【0089】
次に、分注ノズルをチップ外し器65まで移動させ、分注用チップ42を分注ノズルより取り外す。そして、アーム16に取り付けられた加圧ノズル12を前工程までの溶液を吐出された抽出カラム35上まで移動させる。その後、加圧ノズル12を下降させ、シール部材36を介して抽出カラム35に密着させる。
【0090】
次に、加圧ポンプ10を動作させ、抽出カラム35内の溶液を排出させる。排出された溶液は溶出ユニット62下部のある精製品容器ラック27上の精製品容器28内に排出される。設置された抽出カラム35内の溶液排出後、加圧ノズル12を上昇させ、一旦、待機位置68に移動した後、停止する。
【0091】
以上の動作により1検体分の核酸抽出作業が終了する。
【0092】
本発明の第1の実施形態においては、抽出カラム35内の核酸含有溶液等を密閉流路内に排出しながら、核酸含有溶液等のミストを含んだ気体を、ミストを捕捉する保護フィルタ51を介して外部に放出し、抽出カラム35内の核酸含有溶液等の排出終了後、密閉流路内の核酸含有溶液等を回収するように構成している。
【0093】
したがって、本発明の第1の実施形態によれば、溶液排出時のコンタミネーションの要因となるミストの飛散を防止することが可能な核酸抽出方法及び装置を実現することができる。
【0094】
なお、上述した例では、1つの検体を処理する場合について説明したが、複数検体を同時に処理することも可能である。図3に示した核酸精製用装置100の場合、最大5検体分まで同時に設置が可能である。この場合、検体分注、結合試薬、第1洗浄試薬、第2洗浄試薬、溶出試薬の分注は検体毎に分注作業を繰返し行い、加圧による抽出カラム35内の各溶液の排出は必要なポンプを複数個備えることで複数の抽出カラム35の同時加圧が可能となる。
【0095】
また、密閉流路はお互いの気流の干渉を避けるため、複数個の抽出カラム35毎に流路を設置する必要はあるが、密閉流路内の気体を流動させるための手段は共通化することも可能である。
【0096】
なお、抽出後の核酸を対象とする後段の分析反応としては、PCR(;Polymerase Chain Reaction)、RT-PCR(;Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction)、LCR(;Ligase Chain Reaction)、SDA(;Strand Displacement Amplification)、NASBA(;Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)、TMA(;Transcription-Mediated Amplification)、 LAMP(;Loop-mediated isothermal amplification)、 ICAN(;Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)等の核酸増幅、逆転写反応、核酸伸長反応、制限酵素等の酵素反応、或いは電気泳動等の核酸分析が適用できる。
【0097】
次に、本発明の第2の実施形態について図6を参照して説明する。本発明の第2の実施形態では、密閉流路内の気体の流動を起こすための送気ポンプ90が用いられ、吸引ファン52は省略されている。送気ポンプ90は送気流路91によって抽出カラム保持ブロック37に接続されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0098】
図6において、抽出カラム保持ブロック37には、送気流路91を通って流入する気体を密閉流路内に導入するための開口部95が複数個形成される。これらの開口部95を、抽出カラム35の排出開口部32近傍に形成することで、気体の流れを液受けタンク54の底部方向に向けることができ、排出開口部32から排出されるミストを保護フィルタ51へ導くと共に、吹き返しによる抽出カラム35への付着を防止することができる。
【0099】
本発明の第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0100】
なお、本発明の第2の実施形態において、上述した第1の実施形態の吸引ファン52と組み合わせ、送気ポンプ90と吸引ファン52とを同時に機能させることも有効である。
【0101】
また、本発明の第2の実施形態において、送気流路91中にヒータを設置することも可能である。抽出カラム保持ブロック37に流入する気体を加熱することにより、気体中を流動したミストが加熱され短時間で蒸発し、保護フィルタ51に直接付着するミスト量を削減する効果が期待できる。
【0102】
また、ヒータで加熱する部位として、抽出カラム保持ブロック37を加熱することも可能である。この場合、核酸精製工程に影響が出ないよう、一定範囲内に温度を制御する必要がある。
【0103】
次に、本発明の第3の実施形態について図7を参照して説明する。本発明の第3の実施形態では、密閉流路内の気体の流動を起こすために真空ポンプ93が用いられ、吸引ファン52及び保護フィルタ51は省略されている。真空ポンプ93は、開閉バルブ94及び真空バッファタンク92を介して密閉流路に接続されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0104】
開閉バルブ94は、通常、閉となっており、閉となった状態で真空バッファタンク92を一定以上の真空状態になるように吸引している。抽出カラム35より内容液を液受けタンク54へ排出すると同時に、開閉バルブ94を開くことで真空バッファタンク92内へ密閉流路内の空気が吸引される。これにより、気体の流動を起こし、密閉流路内のミストを真空バッファタンク92内に吸引する。
【0105】
密閉流路内に気体の流動を起こす時間は真空バッファタンク92に容量が大ききほど、また、真空ポンプ93の能力が高いほど長くなるが、真空ポンプ93を連続動作させた状態で開閉バルブ94を適切なタイミングで開状態にすることを繰り返すことで断続的に気体の流動を起こすことも可能である。
【0106】
真空バッファタンク92内に収容されたミストは、別途廃棄処理等を行なうことが可能である。
【0107】
以上のように、本発明の第3の実施形態においては、抽出カラム35からの核酸含有溶液等を密閉流路内に放出しながら、核酸含有溶液等のミストを含んだ気体を、真空バッファタンク92内に吸引し、その後、密閉流路内の核酸含有溶液等を回収するように構成している。
【0108】
したがって、本発明の第3の実施形態によれば、溶液排出時のコンタミネーションの要因となるミストの飛散を防止することが可能な核酸抽出方法及び装置を実現することができる。
【0109】
また、図1に示した、抽出カラム保持ブロック37と、液受けタンク(液収容タンク)54と、保護フィルタ51と、吸引ファン52と、仕切り板55とにより、核酸抽出装置に使用される送気ユニットが構成され、この送気ユニットは核酸抽出装置の部品として別個、取り扱い等が可能である。
【0110】
また、送気ユニットとしては、図6に示した、抽出カラム保持ブロック37と、液受けタンク(液収容タンク)54と、保護フィルタ51と、送気ポンプ90と、仕切り板55と、送気流路91とにより構成されるものがある。
【0111】
さらに、送気ユニットとしては、図7に示した、抽出カラム保持ブロック37と、液受けタンク(液収容タンク)54と、真空ポンプ93と、真空バッファタンク92と、開閉バルブ94と、仕切り板55とにより構成されるものもある。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1の実施形態における溶液排出流路の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における抽出カラムの概略構成図である。
【図3】本発明が適用される核酸精製用装置の概略構成平面図である。
【図4】核酸精製用装置の動作系のブロックダイヤグラムである。
【図5】本発明の第1の実施形態における動作フローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態における溶液排出流路の概略構成図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における溶液排出流路の概略構成図である。
【符号の説明】
【0113】
5・・・作業面、10・・・加圧ポンプ、11・・・シリンジポンプ、12・・・加圧ノズル、14・・・検体ラック、16、17・・・アーム、18・・・加圧ノズルホルダ、19・・・分注ノズルホルダ、20・・・検体容器、21・・・処理容器、23・・・結合試薬ボトル、24・・・第1洗浄液ボトル、25・・・第2洗浄液ボトル、26・・・溶出液ボトル、27・・・精製品容器ラック、28・・・精製品用容器、30・・・開口部、31・・・接続部、32・・・排出開口部、33・・・核酸結合性固相、34・・・保持部材、35・・・抽出カラム、36・・・シール部材、37・・・抽出カラム保持ブロック、38・・・配管部、41・・・チップラック、42・・・分注用チップ、51・・・保護フィルタ、52・・・吸引ファン、53・・・開閉弁、54・・・排液受けタンク、55・・・仕切り板、61・・・処理ブロック、62・・・排液ユニット、63・・・溶出ユニット、64・・・抽出カラムハンドラー、65・・・チップ外し器、67、68・・・待機位置、71〜77・・・ステッピングモータ、80・・・PC、81・・・キーボード、82・・・CRT、83・・・機構制御部、90・・・送気ポンプ、91・・・送気流路、92・・・真空バッファタンク、93・・・真空ポンプ、94・・・開閉バルブ、95・・・開口部、99・・・気体の流れ、100・・・精製用装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸結合性固相を有する抽出カラムに供給された液体を加圧して上記核酸結合性固相を通して上記抽出カラムから排出し、核酸含有液体試料から目的の核酸を抽出する核酸抽出方法において、
抽出カラムの液体排出口に、上記抽出カラムから排出された液体を収容する液体収容タンクを接続し、
抽出カラムに供給された液体を加圧して上記核酸結合性固相を通して上記抽出カラムから排出し、
上記液体収容タンク内の気体と共に浮遊する液体成分を捕捉し、上記気体と共に浮遊する液体成分を除去した後に、上記気体を上記液体収容タンク外に送気することを特徴とする核酸抽出方法。
【請求項2】
請求項1記載の核酸抽出方法において、上記液体収容タンクの内部に、仕切り板を配置し、上記液体収容タンク内の気体を、上記抽出カラムの液体排出口付近から、上記液体収容タンクの底部に向かって流れた後、上記気体と共に浮遊する液体成分が除去されることを特徴とする核酸抽出方法。
【請求項3】
核酸結合性固相を有する抽出カラムと、この抽出カラムに供給された液体を加圧して上記核酸結合性固相を通して上記抽出カラムから排出させる加圧手段とを有し、核酸含有液体試料から目的の核酸を抽出する核酸抽出装置において、
抽出カラムの液体排出口に接続され、上記抽出カラムから排出された液体を収容する液体収容タンクと、
上記液体収容タンク内の気体と共に浮遊する液体成分を捕捉する手段と、
上記液体収容タンク内の上記浮遊液体成分が、気体と共に上記捕捉手段に向かって流れるように送気する送気手段と、
を備えることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項4】
請求項3記載の核酸抽出装置において、上記捕捉手段は上記液体収容タンクの側面に配置された保護フィルタであり、上記送気手段は、上記液体収容タンクの側面に配置され、上記保護フィルタを通過した気体を上記液体収容タンク外に排気する吸引ファンであることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項5】
請求項4記載の核酸抽出装置において、上記液体収容タンクの内部に、上記保護フィルタに対向する位置に配置された仕切り板を備え、上記吸引ファンにより送気される気体は、上記抽出カラムの液体排出口付近から、上記液体収容タンクの底部に向かって流れた後、上記保護フィルタに向かって流れることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項6】
請求項3記載の核酸抽出装置において、上記捕捉手段は上記液体収容タンクの側面に配置された保護フィルタであり、上記液体収容タンクには、上記抽出カラムの液体排出口との接続部分付近に送気流路が形成され、上記送気手段は、上記送気流路を通して、気体を液体収容タンク内に送る送気ポンプであることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項7】
請求項6記載の核酸抽出装置において、上記液体収容タンクの内部に、上記保護フィルタに対向する位置に配置された仕切り板を備え、上記送気ポンプにより送気される気体は、上記抽出カラムの液体排出口付近から、上記液体収容タンクの底部に向かって流れた後、上記保護フィルタに向かって流れることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項8】
請求項6記載の核酸抽出装置において、上記送気流路には、送気ポンプから上記液体収容タンク内に送気される気体を加熱するヒータが配置されていることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項9】
請求項3記載の核酸抽出装置において、上記捕捉手段は上記液体収容タンクの側面に開閉バルブを介して接続される真空バッファタンクであり、上記送気手段は、上記真空バッファタンクに接続される真空ポンプであることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項10】
請求項9記載の核酸抽出装置において、上記液体収容タンクの内部に配置された仕切り板を備え、上記真空ポンプにより真空バッファタンクを介して送気される気体は、上記抽出カラムの液体排出口付近から、上記液体収容タンクの底部に向かって流れた後、上記真空バッファタンクに向かって流れることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項11】
核酸結合性固相を有する抽出カラムを用いて、核酸含有液体試料から目的の核酸を抽出する核酸抽出装置に使用される送気ユニットであって、
抽出カラムの液体排出口に接続され、上記抽出カラムから排出された液体を収容する液体収容タンクと、
上記液体収容タンクの側面に配置され、上記液体収容タンク内の気体と共に浮遊する液体成分を捕捉する保護フィルタと、
上記液体収容タンクの側面に配置され、上記保護フィルタを通過した気体を上記液体収容タンク外に排気する吸引ファンと、
上記液体収容タンクの内部の上記保護フィルタに対向する位置に配置され、上記吸引ファンにより送気される気体を、上記抽出カラムの液体排出口付近から、上記液体収容タンクの底部に向かって流れた後、上記保護フィルタに向かって流すための仕切り板と、
を備えることを特徴とする核酸抽出装置に使用される送気ユニット。
【請求項12】
核酸結合性固相を有する抽出カラムを用いて、核酸含有液体試料から目的の核酸を抽出する核酸抽出装置に使用される送気ユニットであって、
抽出カラムの液体排出口に接続され、上記抽出カラムの液体排出口との接続部分付近に送気流路が形成され、上記抽出カラムから排出された液体を収容する液体収容タンクと、
上記液体収容タンクの側面に配置され、上記液体収容タンク内の気体と共に浮遊する液体成分を捕捉する保護フィルタと、
上記液体収容タンクの上記送気流路を通して、気体を液体収容タンク内に送る送気ポンプと、
上記液体収容タンクの内部の上記保護フィルタに対向する位置に配置され、上記送気ポンプにより送気される気体を、上記抽出カラムの液体排出口付近から、上記液体収容タンクの底部に向かって流れた後、上記保護フィルタに向かって流すための仕切り板と、
を備えることを特徴とする核酸抽出装置に使用される送気ユニット。
【請求項13】
核酸結合性固相を有する抽出カラムを用いて、核酸含有液体試料から目的の核酸を抽出する核酸抽出装置に使用される送気ユニットであって、
抽出カラムの液体排出口に接続され、上記抽出カラムから排出された液体を収容する液体収容タンクと、
上記液体収容タンクの側面に配置され、上記液体収容タンク内の気体と共に浮遊する液体成分を捕捉する保護フィルタと、
上記液体収容タンクの側面に開閉バルブを介して接続される真空バッファタンクと、
上記真空バッファタンクに接続される真空ポンプと、
上記液体収容タンクの内部に配置され、上記真空ポンプにより真空バッファタンクを介して送気される気体を、上記抽出カラムの液体排出口付近から、上記液体収容タンクの底部に向かって流れた後、上記真空バッファタンクに向かって流すための仕切り板と、
を備えることを特徴とする核酸抽出装置に使用される送気ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−22187(P2009−22187A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187361(P2007−187361)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】