根菜収穫機
【課題】人参などの根菜の茎葉部を引きちぎったり傷めたりすることなく、分草して引き起して挟持無端帯に搬送させる根菜収穫機を提供する。
【解決手段】機体進行方向の前面側で左右一対の挟持無端帯3・3の根菜の未掘り起こし側の前方の下部に分草装置14を設け、該分草装置は略垂直面内に上向きに移動する分草タイン15を具備し、根菜の既掘り起こし側の前方の下部に引き起こし装置16を設け、該引き起こし装置は分草タインと略直交し、分草装置のタインケース側面と対峙して上向きに移動する引き起しタイン17を具備し、該引き起しタインが圃場面から上向きに移動するとき、先端が分草装置における分草タインの非作用側となるタインケース側面と対峙するように配置し、根菜未掘り起こし側の下側の走行クローラ2aの外縁よりも外側に前記左右一対の挟持無端帯の先端側が位置するように配置した。
【解決手段】機体進行方向の前面側で左右一対の挟持無端帯3・3の根菜の未掘り起こし側の前方の下部に分草装置14を設け、該分草装置は略垂直面内に上向きに移動する分草タイン15を具備し、根菜の既掘り起こし側の前方の下部に引き起こし装置16を設け、該引き起こし装置は分草タインと略直交し、分草装置のタインケース側面と対峙して上向きに移動する引き起しタイン17を具備し、該引き起しタインが圃場面から上向きに移動するとき、先端が分草装置における分草タインの非作用側となるタインケース側面と対峙するように配置し、根菜未掘り起こし側の下側の走行クローラ2aの外縁よりも外側に前記左右一対の挟持無端帯の先端側が位置するように配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参等の根菜類の収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
左右一対の挾持無端帯により圃場に植生している根菜類を挾持して引き抜き搬送する収穫機において、左右の挾持無端帯の間に茎葉部を挾持させるための茎葉処理部を備えることは周知である。また、茎葉処理部には、タインをいわゆる横回しさせる引き起こし装置やタインをいわゆる縦回しさせる分草装置、及びデバイダ等が配置され、掘り取り条と未掘り取り条との茎葉部を分離し、且つ掘り取り条の茎葉部が左右の挾持無端帯の間に挾持されるまで引き起こし保持することも周知である。
【特許文献1】特開平8−168309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
引き起こし装置や分草装置の性能を適正に得るためには、そのタインを確実に茎葉部に引っかけることが必要である。
また、引き起こし装置や分草装置の性能を適正に得るためには、そのタイン先端の回行軌跡下端を畝の上面に可久的に接近又は摺接するように、茎葉処理部の対地高さを調節する必要がある。
本発明は、引き起こし装置や分草装置の性能を適正に得ながら、かつ、茎葉処理部の性能を適正に得ることができるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
圃場に植生している根菜Kの茎葉部を挟持して引き抜き搬送する左右一対の挟持無端帯3・3と、該左右の挟持無端帯3・3の間に根菜Kの茎葉部を挟持させるための茎葉処理部を備えた収穫機において、機体進行方向の前面側で前記左右一対の挟持無端帯3・3の、根菜Kの未掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を未掘り起こし側の根菜Kの茎葉部と絡まないように分離するための分草装置14を設け、該分草装置14は略垂直面内に上向きに移動する分草タイン15を具備し、同じく、根菜Kの既掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を引き起こすための引き起こし装置16を設け、該引き起こし装置16は前記分草タイン15と略直交し、分草装置14のタインケース65側面と対峙して上向きに移動する引き起しタイン17を具備し、且つ引き起しタイン17が圃場面19から上向きに移動するとき、先端が分草装置14における分草タイン15の非作用側となるタインケース65側面と対峙するように配置し、走行機体1の下方に左右一対の走行クローラ2a・2bを配置し、該走行クローラ2a・2bのうちの、根菜未掘り起こし側の下側の走行クローラ2aの外縁よりも外側に、前記左右一対の挟持無端帯3・3からなる挟持搬送体の少なくとも先端側が位置するように配置したものである。
【発明の効果】
【0005】
以上実施例から明らかなように、本発明の根菜収穫機は、次のような効果を奏するものである。
圃場に植生している根菜Kの茎葉部を挟持して引き抜き搬送する左右一対の挟持無端帯3・3と、該左右の挟持無端帯3・3の間に根菜Kの茎葉部を挟持させるための茎葉処理部を備えた収穫機において、機体進行方向の前面側で前記左右一対の挟持無端帯3・3の、根菜Kの未掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を未掘り起こし側の根菜Kの茎葉部と絡まないように分離するための分草装置14を設け、該分草装置14は略垂直面内に上向きに移動する分草タイン15を具備し、同じく、根菜Kの既掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を引き起こすための引き起こし装置16を設け、該引き起こし装置16は前記分草タイン15と略直交し、分草装置14のタインケース65側面と対峙して上向きに移動する引き起しタイン17を具備し、且つ引き起しタイン17が圃場面19から上向きに移動するとき、先端が分草装置14における分草タイン15の非作用側となるタインケース65側面と対峙するように配置し、走行機体1の下方に左右一対の走行クローラ2a・2bを配置し、該走行クローラ2a・2bのうちの、根菜未掘り起こし側の下側の走行クローラ2aの外縁よりも外側に、前記左右一対の挟持無端帯3・3からなる挟持搬送体の少なくとも先端側が位置するように配置したので、分草装置14における略垂直面内にて上向き移動する分草タイン15と、この分草装置14におけるタインケース側面65aに直交するような引き起しタイン17を有する引き起こし装置16とにより、掘り起こすべき根菜Kにおける垂れ下がった茎葉部の左右両側を上向きに引き起こし掻上げることができるから、始端ホイール11・11に巻掛けられる左右一対の挟持無端帯3・3からなる挟持搬送手段の挟持搬送の開始部にて、前記茎葉部を確実に挟持させることができるのである。
引き起こし装置や分草装置の性能を適正に得るために、そのタインを確実に茎葉部に引っかけることが可能となったのである。
また、引き起こし装置や分草装置の性能を適正に得ながら、かつ、茎葉処理部の性能を適正に得ることが出来るようになったのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
図1は根菜収穫機の側面図、図2は概略平面図、図3は正面図、図4は動力伝達系統の平面図である。
図2に示す平面視において、走行機体1の下方に左右一対の走行クローラ2a,2 bを配置し、走行機体1上には、人参等の根菜Kの既掘り起こし側(図2において上側、進行方向右側)の走行クローラ2bの外縁よりも内側(未掘り起こし側)に、前端から操縦コラム4,運転座席5,エンジン6を配置し、走行機体1の後端側には、トランスミッション7を配置し、該トランスミッション7から前記左右一対の走行クローラ2a・2bの後端に配置された駆動輪8(図1参照)に動力伝達される。
また、根菜Kの未掘り起こし側(図2において下側、進行方向左側の走行クローラ2aの外縁より外側(未掘り起こし側)に、左右一対の挟持無端帯3、3からなる挟持搬送手段の少なくとも先端側が位置するように配置される。
【0007】
走行機体1の後部寄り部位の作業部回動支点9にてブラケット10aを介して上下回動可能に支持された支持フレーム10に装着された始端ホイール11・11及び後端ホイール12・12には、前記左右一対の挟持無端帯3・3が巻き掛けられ、各挟持無端帯3の前後中途部は多数の中間ホイール13‥‥にて略一直線上に支持されている。
図2及び図4に示すように、左右一対の挟持無端帯3・3による根菜Kの茎葉部の挟持搬送ラインHが、前記根菜Kの未掘り起こし側の走行クローラ2aの外縁より外側にて、平面視にて走行機体1の進行方向と平行状となるように配置される。なお、前記始端ホイール11・11と一体的に回転する大径の掻込みホイール(図示せず)を設けることにより、挟持搬送の開始部を構成する。
【0008】
前記左右一対の挟持無端帯3・3のうち、根菜Kの未掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を、それより未掘り起こし側の根菜Kの茎葉部と絡まないように分離するための分草装置14を備える。この分草装置14は、回転駆動する無端ベルトに、基端が所定間隔にて多数装着された分草タイン15が走行機体1の進行方向の前面側において、略垂直面内にて圃場面19から上向きに移動するように構成されている。
【0009】
また、前記左右一対の挟持無端帯3・3のうち、根菜Kの既掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を引き起こすための引き起こし装置16が配置されている。この引き起こし装置16は、回転駆動する無端ベルトに、基端が所定間隔にて多数装着されたタイン17が始端ホイール11の前面側にて前記分草装置14におけるタイン15と互いに略直交するように配置され、且つタイン17が圃場面19から上向きに移動するとき、当該タイン17の先端が分草装置14におけるタイン15の非作用側となるタインケース側面と対峙するように配置されている。
【0010】
このように、分草装置14における略垂直面内にて上向き移動するタイン15と、この分草装置14におけるタインケース側面65aに直交するようなタイン17を有する引き起こし装置16とにより、掘り起こすべき根菜Kにおける垂れ下がった茎葉部の左右両側を上向きに引き起こし掻上げることができるから、始端ホイール11・11に巻掛けられる左右一対の挟持無端帯3・3からなる挟持搬送手段の挟持搬送の開始部にて、前記茎葉部を確実に挟持させることができる。
【0011】
さらに、サブソイラを昇降操作するための昇降リンク機構としての上リンク22と下リンク23の各基端側の回動支点20・21は、前記作業部回動支点9よりも前方である走行機体の内側面に配置され、該上下回動支点20・21を中心にして上下回動可能な平行リンクとしての上リンク22、下リンク23の先端側に縦支持杆24が連結され、この縦支持杆24の下端には、掘り起こし刃25が固定されている。
【0012】
そして、図1及び図2に示すように、前記上部の回動支点20の入力軸20aに固定したプーリ28と、前記エンジン6の出力プーリ27とに無端帯29を巻き掛けして入力軸20aを回転させ、この入力軸20aに被嵌した偏心ボス(図示せず)を介して、前記上リンク22の基端を連結し、この上リンク22を上下方向に振動駆動させる。
これにより、圃場面19から差し込んだ掘り起こし刃25を、根菜Kの根部より下方にて上下及び/又は前後に振動させて、走行機体1の前進移動につれて根菜Kの根部の引き抜きが容易になるように構成されている。
【0013】
また、前記下部のリンク23の基端と走行機体1との間に装着された油圧シリンダ26にて前記平行な上下リンク22・23を昇降回動させるように構成されている。
【0014】
また図1、図2及び図4に示す如く、前記作業部回動支点9と同芯軸上に設けたパイプ状の動力伝達横フレーム30の先端に、前向きパイプフレーム31を連結し、該前向きパイプフレーム31の先端には、左右一対の挾持無端帯3、3の長手方向中途部の上方において根菜Kの既掘り起こし側に向かって延びる引き起こし用伝達パイプ32を連結し、該引き起こし用伝達パイプ32の未掘り起こし側端部から前方向に延びる伝達ケース33を介して、前記分草装置14の上部に分草用伝達ケース34を連結する。
そして、前記上部の回動支点20と同軸の入力軸20aに固定したプーリ37からベルト等の無端帯38を介して前記作業部回動支点9と同芯軸上であって、動力伝達横フレーム30内に嵌挿される入力軸39の突出端に固定したプーリ40に動力伝達し、さらに、前向きパイプフレーム31、引き起こし用伝達パイプ32、伝達ケース33及び分草用伝達ケース34内の伝達軸等の伝達機構を介して、引き起こし装置16及び分草装置14に各々動力伝達される。
【0015】
また、前記作業部回動支点9と同芯軸である入力軸39に固定されたプーリからチェン41を介して後部伝動ケース42に動力伝達し、前記左右一対の挾持無端帯3、3における両後端ホイール12と同軸の入力部に動力伝達して両挾持無端帯3、3を回動駆動すると共に、前記両後端ホイール12より下部にて、根菜Kの茎葉部を水平後方に搬送するための、左右一対で上下に配置された無端搬送帯43a・43bからなる茎葉排出装置43、及び左右一対の水平回転する回転刃44a・44aからなる切断手段44に回転力を伝達する。
なお、前記両後端ホイール12より下部には、根菜Kの根部の上端を水平後方向に案内することにより、前記茎葉排出装置43へ茎葉部を受け継がせるための左右一対の案内杆45が配置されている。
【0016】
前記切断手段44の下方には、茎葉部を切除分離された根菜Kの根部を受け止め、走行機体1の後端の側方(根菜Kの既掘り起こし側)に搬送するための、選別コンベヤ46が配置されており、前記トランスミッション7のPTO出力軸36から、プーリ、チェン47a、47bを介して選別コンベヤ46への入力部46aに動力伝達される。
この選別コンベヤ46は、一対の無端チェン間に多数の棒状のスラット46bが一定間隔にて張り渡されているものであり、走行機体1の後端にて歩行する作業者が、選別コンベヤ46上の根菜Kのうち不良品を選り分ける。選別コンベヤ46の排出端には、良品の根菜Kを受け止め、蓄積するためのコンテナ48を載置する前後長手のコンテナ台49がある。このコンテナ台49は走行機体1の側面に対して基端が蝶番を介して上下回動可能に連結され、非作業時には、上向きに会同し、作業時にはコンテナ台49が略水平となるように姿勢保持される。
【0017】
なお、前記切断手段44にて切断されて落下する根菜Kの根部が選別コンベヤ46における隣接するスラット46bの隙間に刺さり込まないように寝かせた状態に姿勢変更させると共に、落下する根部が金属製等の固いスラット46bに直接激突しないようにするためのゴム板製の緩衝材50が根部の落下経路に配置されている。
【0018】
また、前述のように、前記左右一対の挾持無端帯3・3、引き起こし装置16及び分草装置14は、前記作業部回動支点9を中心にして一体的に上下回動するように各装置部のフレーム同士は連結されており、それらの前部側から前向きに突出する支持杆51の前端に装着された接地前輪52にて圃場面19に対して支持される。
そして、非作業時や路上走行時には、前記掘り起こし刃25や、前記左右一対の挾持無端帯3、3、引き起こし装置16及び分草装置14の下端が地面に干渉しないようこれらの部分を上昇位置に保持するには、油圧シリンダ26を駆動させると、昇降リンク機構である平行状の上下リンク22・23の前端側が上向き回動する。
このとき、下リンク23の側面に設けた押し上げ用の回転可能なローラ53の上面が前記一対の挾持無端帯3、3の支持フレーム10の下面側等に設けた側面視「へ」字状のガイドレール54の下面に沿って移動するように構成しておけば、1つの油圧シリンダ26のピストンロッド突出動の作動にて、掘り起こし刃25と共に挾持無端帯3、3、引き起こし装置16及び分草装置14の下端を一体的に圃場面19より上方に大きく持ち上げることが可能となるのである。
【0019】
次に、前記の構成による根菜Kの収穫作業について説明する。
実施例では、圃場に列状に植生された人参等の根菜Kをその1列毎に収穫する場合であって、オペレータは運転座席5に座ってエンジン6を駆動し、走行機体1を前進させながら、油圧シリンダ26のピストンロッドを後退させると、収穫すべき列の位置の地面に掘り起こし刃25を押し込み、オペレータは操向ハンドルを操作して走行機体1の向きを調節し、左右一対の挾持無端帯3・3を巻掛けている左右一対の始端ホイール11、11の間が前記未掘り起こし側の根菜Kの列に位置するように位置合わせする。
走行機体1の前進につれて、分草装置14の下端のタイン15の上昇移動にて、掘り起こすべき根菜Kの茎葉部と、それより未掘り起こし側の根菜Kの茎葉部とを絡まないように分離する。また、前記上部のリンク22の基部の偏心回転ボスにより上下揺動する掘り起こし刃25が心土をほぐして収穫すべき列の根菜Kの根部より下方を掘り起こす。
次いで、引き起こし装置16のタイン17の回動にて、茎葉部が挾持無端帯3・3の上縁よりも上方に引き起こされる。左右一対の挾持無端帯3・3の始端ホイール11・11の箇所で、前記引き起こされた茎葉部を挾持開始し、前記一対の挾持無端帯3、3が走行機体1の後方に行くに従って上昇するように配置されているので、茎葉部が挾持された根菜Kの根部は圃場から軽い力で引き抜かれる。
【0020】
一対の挾持無端帯3・3の挾持搬送ラインHに沿って走行機体1の後方に向けて揚上させられる根菜Kの根部の上端は、案内杆45の下面箇所にて拘束され、略水平後方に移動し、それより上方の茎葉部は、茎葉排出装置43の左右一対、上下の搬送帯43a・43bにて挾持されながら走行機体1の後方に移動させられる。その途次、切断手段44の左右一対の回転刃44a・44aにて、根菜Kの根部と茎葉部との間が切断されるから、その根菜Kの根部は自由落下し、緩衝材50に一旦受け止められ緩衝された後、選別コンベヤ46に載って横移動し、コンテナ台49後部のコンテナ48に集積されて収穫される。前記切断された茎葉部は、茎葉排出装置43の後端から圃場面19に放出されるが、そのとき、未掘り起こし側の圃場面19に落下しないように湾曲したガイド板55にて案内される。
【0021】
図6乃至図10に示すように、分草装置14及び引き起こし装置16は、下部をこれら装置部のフレームに支持し、上部をこれら伝達ケースに支持する基板60と、基板60の下端部に下向きに弾圧付勢して取り付けるテンションプーリを兼ねる従動プーリ61と、基板60の上部に伝達ケースから突出させる駆動軸62に係合軸支させる駆動プーリ63と、これらプーリ61・63の間に張設するタイン15・17である突起付きの無端ベルト64と、基板60にボルト止めにて着脱自在に取り付けられ、基板60とでタインケース65を形成するタインケース側面65aとで構成されている。
【0022】
そして、分草装置14においては作用側となるタインケース65の前面においてタイン15がタインケース65から機体進行方向に向いて突出して下から上に移動し、引き起こしによる分草作用を得る一方、引き起こし装置16においては作用側となるタインケース65の一側面(未掘り起こし側)においてタイン17がタインケース65から機体の側方(未掘り起こし側)に向いて突出して下から上に移動し、引き起こし作用を得る。タインケース65の作用側上部でタイン15・17が作用側から非作用側に反転する以前に設けるタインケース65のタイン入口66と、タインケース65の非作用側の下部でタイン15、17が非作用側から作用側に反転する以前に設けるタインケース65のタイン出口67との間に置いて、タイン15・17がタインケース65の内側を移動するように構成している。
【0023】
また、タイン15・17は略水平方向又は若干の上向き方向でタインケース65から突出させ、タイン15・17を確実に根菜Kの茎葉部に引っかけ、当該装置14・16の性能を適正に得るように構成している。
【0024】
また、根菜Kの茎葉部をタイン15・17により引き起こし時に、タイン15・17に引っかかり持ち回るちぎれ茎葉をタインケース65の内部に取り込み(積極的)、非作用側でタインケース65から排出させるもので、ちぎれ茎葉をタインケース65の内部に取り込むタイン入口66をタイン15・17先端の回行軌跡68より外側まで延設し、即ちタイン15・17先端の回行軌跡68とタイン入口66の端部との隙間Lを、通常であればタイン15・17が入るだけの僅かな隙間でよいところを、タイン15・17に引っかけたちぎれ茎葉も一緒にタイン入口66からこのタイン入口66に引っかかることなく、タインケース65の内部に取り込み易くするため、タイン15・17が入るだけの僅かな隙間にプラスαの隙間を加えた隙間に形成している。
【0025】
また、タインケース65の非作用側断面積を作用側断面積より拡張形成し、タインケース65の内部に足り込んだちぎれ茎葉の流通性を向上させることによって、タインケース65の内部でちぎれ茎葉を停留させることなく、タインケース65のタイン出口67からのちぎれ茎葉の排出性能を高めるように構成している。
【0026】
なお、上記構成は引き起こし装置16のタインケース65にて図示しているが、分草装置にも実施可能であることは明らかである。
【0027】
また、タイン15・17が作用側から非作用側に反転する以前にタインケース65のタイン入口66を設けることにより、又はタイン入口66をタイン15・17先端の回行軌跡68より上記したように外側まで延設することにより、タイン15・17が作用側から非作用側に反転するときに、遠心力がちぎれ茎葉に働き、これが飛散するのを防止している。
また、特に該実施例では引き起こし装置16のタイン17は、未掘り起こし側から既掘り起こし側に、即ち運転座席5側に向かって作用側から非作用側に反転するので、ちぎれ茎葉の飛散防止は効果的であり、またさらにちぎれ茎葉の飛散をより確実に防止すべく、引き起こし装置16のカバー65aにはちぎれ茎葉の既掘り起こし側への飛散防止板69が取り付けられている。
【0028】
また、引き起こし装置16の機体進行方向となる前面側下部には、デバイダ70が配置される。このデバイダ70は引き起こし装置16の前面側下部に基端を支軸71を介して上下揺動自在に機体進行方向に突出支持させる取り付けアーム72の先端に取り付けられる。
また、引き起こし装置16の機体進行方向となる前面側上部に、ブラケット73及び位置決め具74を介して、上下動自在に上部を支持する操作杆75を設け、この操作杆75の下端をデバイダ70に連結し、操作杆75の上下操作及び操作位置での位置決めによって、デバイダ70を、このデバイダ70と前記引き起こし装置16及び分草装置14とで構成する左右の挟持無端帯3の間に根菜Kの茎葉部を(適正に)挟持させるための茎葉処理部において、デバイダ70以外の茎葉処理部材14・16とは別個に単独で対地高さ調節を行うように構成している。
【0029】
これによって、例えば引き起こし装置16のタイン17と分草装置14のタイン15の回行軌跡68の下端を圃場面19である畝上面に可及的に接近又は摺接させるように、茎葉処理部の対地高さを調節したとき、デバイダ70の先端が畝の法面に掛かることにより、その法面から浮き上がってしまう場合、デバイダ70を単独でこの先端が畝の法面に可及的に接近又は摺接させるように、下降側に調節し、この畝の法面に倒伏した茎葉部を拾い上げて引き起こし装置16のタイン17の作用範囲内に誘導させるようにする。この対地高さではデバイダ70の先端が畝の上面に位置し土中に突入する場合には、デバイダ70を単独でこの先端が畝の上面に可及的に接近又は摺接するように、上昇側に調節し、畝の上面においてデバイダ70を適正に機能させるように構成している。
【0030】
この他、デバイダ70が単独で対地高さ調節可能であると、機体が左右前後に傾いた状態で作業する場合でも、常にデバイダ70及び引き起こし装置16及び分草装置14の適正な対地高さが得られるので効果的である。
【0031】
図11及び図12に示す如く、上方に切断手段44、茎葉排出装置43、挾持無端帯3が配置される選別コンベヤ46の、搬送側下方の走行機体1上に、コンテナ載置台76を介して不良品の根菜を収容するため屑コンテナ77を載置し、選別コンベヤ46上で作業者によって選り分けた不良品の根菜を屑コンテナ77に収容収集すると共に、作業部回動支点9の上方を覆い、挾持無端帯3によって挾持搬送される根菜Kから落ちるが作業部回動支点9に付着積載してこの回動を阻害するのを防止するための屋根形の支点カバー78を設ける。
この支点カバー78の頂上部から、後下がりに傾斜するカバー78のカバー後面79の先端を、前記屑コンテナ77の前側上方に延設し、カバー後面79の上方に位置する挾持無端帯3から茎葉排出装置43への受継ぎ部において、未成熟で茎葉部が短いために受継ぎミスで落下する未成熟の根菜等をカバー後面79で受け止め屑コンテナ77に案内投入することにより、不良品の根菜や未成熟の根菜など屑根菜を圃場に放出することなく回集し、作業後の圃場に屑根菜が散乱し、収穫後の圃場の体裁を悪化させるのを防止するように構成している。
【0032】
また、前記カバー後面79の途中から先部を篩線79aで構成し、泥土のみをカバー後面79の下側に篩落とし、カバー後面79に泥土が堆積し、屑根菜の流下を阻害するのを防止するように構成している。
【0033】
また、選別コンベヤ46において落下してくる根菜Kが倒れる側のコンベヤフレーム80の上面でその所定範囲にはゴム板製の緩衝材81が配置され、根部がコンベヤフレーム80の金属面に倒伏当接し、この根部が損傷するのを防止するように構成している。
【0034】
図1において、符号82は作業部回動支点9の前方で、挾持無端帯3の中間部下方にて配置する左右一対の、水平回転する回転刃87から成る切断手段で、この切断手段82は挾持無端帯3による挾持搬送中に根部の先端を切断し切り揃える。この切断手段82は入力軸39からベルト伝動で動力が伝達される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】根菜収穫機の側面図。
【図2】概略平面図。
【図3】正面図。
【図4】動力伝達系統の平面図。
【図5】昇降機構の側面図。
【図6】茎葉処理部の側面図。
【図7】茎葉処理部の正面図。
【図8】タインケースの断面図。
【図9】引き起こし装置の正面図。
【図10】分草装置の側面図。
【図11】選別コンベヤ部の側面図。
【図12】選別コンベヤ部の背面図。
【符号の説明】
【0036】
K 根菜
H 挟持搬送ライン
3 挾持無端帯
14 分草装置
15 分草タイン
16 引き起こし装置
17 引き起しタイン
65 タインケース
66 タイン入口
67 タイン出口
70 デバイダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参等の根菜類の収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
左右一対の挾持無端帯により圃場に植生している根菜類を挾持して引き抜き搬送する収穫機において、左右の挾持無端帯の間に茎葉部を挾持させるための茎葉処理部を備えることは周知である。また、茎葉処理部には、タインをいわゆる横回しさせる引き起こし装置やタインをいわゆる縦回しさせる分草装置、及びデバイダ等が配置され、掘り取り条と未掘り取り条との茎葉部を分離し、且つ掘り取り条の茎葉部が左右の挾持無端帯の間に挾持されるまで引き起こし保持することも周知である。
【特許文献1】特開平8−168309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
引き起こし装置や分草装置の性能を適正に得るためには、そのタインを確実に茎葉部に引っかけることが必要である。
また、引き起こし装置や分草装置の性能を適正に得るためには、そのタイン先端の回行軌跡下端を畝の上面に可久的に接近又は摺接するように、茎葉処理部の対地高さを調節する必要がある。
本発明は、引き起こし装置や分草装置の性能を適正に得ながら、かつ、茎葉処理部の性能を適正に得ることができるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
圃場に植生している根菜Kの茎葉部を挟持して引き抜き搬送する左右一対の挟持無端帯3・3と、該左右の挟持無端帯3・3の間に根菜Kの茎葉部を挟持させるための茎葉処理部を備えた収穫機において、機体進行方向の前面側で前記左右一対の挟持無端帯3・3の、根菜Kの未掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を未掘り起こし側の根菜Kの茎葉部と絡まないように分離するための分草装置14を設け、該分草装置14は略垂直面内に上向きに移動する分草タイン15を具備し、同じく、根菜Kの既掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を引き起こすための引き起こし装置16を設け、該引き起こし装置16は前記分草タイン15と略直交し、分草装置14のタインケース65側面と対峙して上向きに移動する引き起しタイン17を具備し、且つ引き起しタイン17が圃場面19から上向きに移動するとき、先端が分草装置14における分草タイン15の非作用側となるタインケース65側面と対峙するように配置し、走行機体1の下方に左右一対の走行クローラ2a・2bを配置し、該走行クローラ2a・2bのうちの、根菜未掘り起こし側の下側の走行クローラ2aの外縁よりも外側に、前記左右一対の挟持無端帯3・3からなる挟持搬送体の少なくとも先端側が位置するように配置したものである。
【発明の効果】
【0005】
以上実施例から明らかなように、本発明の根菜収穫機は、次のような効果を奏するものである。
圃場に植生している根菜Kの茎葉部を挟持して引き抜き搬送する左右一対の挟持無端帯3・3と、該左右の挟持無端帯3・3の間に根菜Kの茎葉部を挟持させるための茎葉処理部を備えた収穫機において、機体進行方向の前面側で前記左右一対の挟持無端帯3・3の、根菜Kの未掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を未掘り起こし側の根菜Kの茎葉部と絡まないように分離するための分草装置14を設け、該分草装置14は略垂直面内に上向きに移動する分草タイン15を具備し、同じく、根菜Kの既掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を引き起こすための引き起こし装置16を設け、該引き起こし装置16は前記分草タイン15と略直交し、分草装置14のタインケース65側面と対峙して上向きに移動する引き起しタイン17を具備し、且つ引き起しタイン17が圃場面19から上向きに移動するとき、先端が分草装置14における分草タイン15の非作用側となるタインケース65側面と対峙するように配置し、走行機体1の下方に左右一対の走行クローラ2a・2bを配置し、該走行クローラ2a・2bのうちの、根菜未掘り起こし側の下側の走行クローラ2aの外縁よりも外側に、前記左右一対の挟持無端帯3・3からなる挟持搬送体の少なくとも先端側が位置するように配置したので、分草装置14における略垂直面内にて上向き移動する分草タイン15と、この分草装置14におけるタインケース側面65aに直交するような引き起しタイン17を有する引き起こし装置16とにより、掘り起こすべき根菜Kにおける垂れ下がった茎葉部の左右両側を上向きに引き起こし掻上げることができるから、始端ホイール11・11に巻掛けられる左右一対の挟持無端帯3・3からなる挟持搬送手段の挟持搬送の開始部にて、前記茎葉部を確実に挟持させることができるのである。
引き起こし装置や分草装置の性能を適正に得るために、そのタインを確実に茎葉部に引っかけることが可能となったのである。
また、引き起こし装置や分草装置の性能を適正に得ながら、かつ、茎葉処理部の性能を適正に得ることが出来るようになったのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
図1は根菜収穫機の側面図、図2は概略平面図、図3は正面図、図4は動力伝達系統の平面図である。
図2に示す平面視において、走行機体1の下方に左右一対の走行クローラ2a,2 bを配置し、走行機体1上には、人参等の根菜Kの既掘り起こし側(図2において上側、進行方向右側)の走行クローラ2bの外縁よりも内側(未掘り起こし側)に、前端から操縦コラム4,運転座席5,エンジン6を配置し、走行機体1の後端側には、トランスミッション7を配置し、該トランスミッション7から前記左右一対の走行クローラ2a・2bの後端に配置された駆動輪8(図1参照)に動力伝達される。
また、根菜Kの未掘り起こし側(図2において下側、進行方向左側の走行クローラ2aの外縁より外側(未掘り起こし側)に、左右一対の挟持無端帯3、3からなる挟持搬送手段の少なくとも先端側が位置するように配置される。
【0007】
走行機体1の後部寄り部位の作業部回動支点9にてブラケット10aを介して上下回動可能に支持された支持フレーム10に装着された始端ホイール11・11及び後端ホイール12・12には、前記左右一対の挟持無端帯3・3が巻き掛けられ、各挟持無端帯3の前後中途部は多数の中間ホイール13‥‥にて略一直線上に支持されている。
図2及び図4に示すように、左右一対の挟持無端帯3・3による根菜Kの茎葉部の挟持搬送ラインHが、前記根菜Kの未掘り起こし側の走行クローラ2aの外縁より外側にて、平面視にて走行機体1の進行方向と平行状となるように配置される。なお、前記始端ホイール11・11と一体的に回転する大径の掻込みホイール(図示せず)を設けることにより、挟持搬送の開始部を構成する。
【0008】
前記左右一対の挟持無端帯3・3のうち、根菜Kの未掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を、それより未掘り起こし側の根菜Kの茎葉部と絡まないように分離するための分草装置14を備える。この分草装置14は、回転駆動する無端ベルトに、基端が所定間隔にて多数装着された分草タイン15が走行機体1の進行方向の前面側において、略垂直面内にて圃場面19から上向きに移動するように構成されている。
【0009】
また、前記左右一対の挟持無端帯3・3のうち、根菜Kの既掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を引き起こすための引き起こし装置16が配置されている。この引き起こし装置16は、回転駆動する無端ベルトに、基端が所定間隔にて多数装着されたタイン17が始端ホイール11の前面側にて前記分草装置14におけるタイン15と互いに略直交するように配置され、且つタイン17が圃場面19から上向きに移動するとき、当該タイン17の先端が分草装置14におけるタイン15の非作用側となるタインケース側面と対峙するように配置されている。
【0010】
このように、分草装置14における略垂直面内にて上向き移動するタイン15と、この分草装置14におけるタインケース側面65aに直交するようなタイン17を有する引き起こし装置16とにより、掘り起こすべき根菜Kにおける垂れ下がった茎葉部の左右両側を上向きに引き起こし掻上げることができるから、始端ホイール11・11に巻掛けられる左右一対の挟持無端帯3・3からなる挟持搬送手段の挟持搬送の開始部にて、前記茎葉部を確実に挟持させることができる。
【0011】
さらに、サブソイラを昇降操作するための昇降リンク機構としての上リンク22と下リンク23の各基端側の回動支点20・21は、前記作業部回動支点9よりも前方である走行機体の内側面に配置され、該上下回動支点20・21を中心にして上下回動可能な平行リンクとしての上リンク22、下リンク23の先端側に縦支持杆24が連結され、この縦支持杆24の下端には、掘り起こし刃25が固定されている。
【0012】
そして、図1及び図2に示すように、前記上部の回動支点20の入力軸20aに固定したプーリ28と、前記エンジン6の出力プーリ27とに無端帯29を巻き掛けして入力軸20aを回転させ、この入力軸20aに被嵌した偏心ボス(図示せず)を介して、前記上リンク22の基端を連結し、この上リンク22を上下方向に振動駆動させる。
これにより、圃場面19から差し込んだ掘り起こし刃25を、根菜Kの根部より下方にて上下及び/又は前後に振動させて、走行機体1の前進移動につれて根菜Kの根部の引き抜きが容易になるように構成されている。
【0013】
また、前記下部のリンク23の基端と走行機体1との間に装着された油圧シリンダ26にて前記平行な上下リンク22・23を昇降回動させるように構成されている。
【0014】
また図1、図2及び図4に示す如く、前記作業部回動支点9と同芯軸上に設けたパイプ状の動力伝達横フレーム30の先端に、前向きパイプフレーム31を連結し、該前向きパイプフレーム31の先端には、左右一対の挾持無端帯3、3の長手方向中途部の上方において根菜Kの既掘り起こし側に向かって延びる引き起こし用伝達パイプ32を連結し、該引き起こし用伝達パイプ32の未掘り起こし側端部から前方向に延びる伝達ケース33を介して、前記分草装置14の上部に分草用伝達ケース34を連結する。
そして、前記上部の回動支点20と同軸の入力軸20aに固定したプーリ37からベルト等の無端帯38を介して前記作業部回動支点9と同芯軸上であって、動力伝達横フレーム30内に嵌挿される入力軸39の突出端に固定したプーリ40に動力伝達し、さらに、前向きパイプフレーム31、引き起こし用伝達パイプ32、伝達ケース33及び分草用伝達ケース34内の伝達軸等の伝達機構を介して、引き起こし装置16及び分草装置14に各々動力伝達される。
【0015】
また、前記作業部回動支点9と同芯軸である入力軸39に固定されたプーリからチェン41を介して後部伝動ケース42に動力伝達し、前記左右一対の挾持無端帯3、3における両後端ホイール12と同軸の入力部に動力伝達して両挾持無端帯3、3を回動駆動すると共に、前記両後端ホイール12より下部にて、根菜Kの茎葉部を水平後方に搬送するための、左右一対で上下に配置された無端搬送帯43a・43bからなる茎葉排出装置43、及び左右一対の水平回転する回転刃44a・44aからなる切断手段44に回転力を伝達する。
なお、前記両後端ホイール12より下部には、根菜Kの根部の上端を水平後方向に案内することにより、前記茎葉排出装置43へ茎葉部を受け継がせるための左右一対の案内杆45が配置されている。
【0016】
前記切断手段44の下方には、茎葉部を切除分離された根菜Kの根部を受け止め、走行機体1の後端の側方(根菜Kの既掘り起こし側)に搬送するための、選別コンベヤ46が配置されており、前記トランスミッション7のPTO出力軸36から、プーリ、チェン47a、47bを介して選別コンベヤ46への入力部46aに動力伝達される。
この選別コンベヤ46は、一対の無端チェン間に多数の棒状のスラット46bが一定間隔にて張り渡されているものであり、走行機体1の後端にて歩行する作業者が、選別コンベヤ46上の根菜Kのうち不良品を選り分ける。選別コンベヤ46の排出端には、良品の根菜Kを受け止め、蓄積するためのコンテナ48を載置する前後長手のコンテナ台49がある。このコンテナ台49は走行機体1の側面に対して基端が蝶番を介して上下回動可能に連結され、非作業時には、上向きに会同し、作業時にはコンテナ台49が略水平となるように姿勢保持される。
【0017】
なお、前記切断手段44にて切断されて落下する根菜Kの根部が選別コンベヤ46における隣接するスラット46bの隙間に刺さり込まないように寝かせた状態に姿勢変更させると共に、落下する根部が金属製等の固いスラット46bに直接激突しないようにするためのゴム板製の緩衝材50が根部の落下経路に配置されている。
【0018】
また、前述のように、前記左右一対の挾持無端帯3・3、引き起こし装置16及び分草装置14は、前記作業部回動支点9を中心にして一体的に上下回動するように各装置部のフレーム同士は連結されており、それらの前部側から前向きに突出する支持杆51の前端に装着された接地前輪52にて圃場面19に対して支持される。
そして、非作業時や路上走行時には、前記掘り起こし刃25や、前記左右一対の挾持無端帯3、3、引き起こし装置16及び分草装置14の下端が地面に干渉しないようこれらの部分を上昇位置に保持するには、油圧シリンダ26を駆動させると、昇降リンク機構である平行状の上下リンク22・23の前端側が上向き回動する。
このとき、下リンク23の側面に設けた押し上げ用の回転可能なローラ53の上面が前記一対の挾持無端帯3、3の支持フレーム10の下面側等に設けた側面視「へ」字状のガイドレール54の下面に沿って移動するように構成しておけば、1つの油圧シリンダ26のピストンロッド突出動の作動にて、掘り起こし刃25と共に挾持無端帯3、3、引き起こし装置16及び分草装置14の下端を一体的に圃場面19より上方に大きく持ち上げることが可能となるのである。
【0019】
次に、前記の構成による根菜Kの収穫作業について説明する。
実施例では、圃場に列状に植生された人参等の根菜Kをその1列毎に収穫する場合であって、オペレータは運転座席5に座ってエンジン6を駆動し、走行機体1を前進させながら、油圧シリンダ26のピストンロッドを後退させると、収穫すべき列の位置の地面に掘り起こし刃25を押し込み、オペレータは操向ハンドルを操作して走行機体1の向きを調節し、左右一対の挾持無端帯3・3を巻掛けている左右一対の始端ホイール11、11の間が前記未掘り起こし側の根菜Kの列に位置するように位置合わせする。
走行機体1の前進につれて、分草装置14の下端のタイン15の上昇移動にて、掘り起こすべき根菜Kの茎葉部と、それより未掘り起こし側の根菜Kの茎葉部とを絡まないように分離する。また、前記上部のリンク22の基部の偏心回転ボスにより上下揺動する掘り起こし刃25が心土をほぐして収穫すべき列の根菜Kの根部より下方を掘り起こす。
次いで、引き起こし装置16のタイン17の回動にて、茎葉部が挾持無端帯3・3の上縁よりも上方に引き起こされる。左右一対の挾持無端帯3・3の始端ホイール11・11の箇所で、前記引き起こされた茎葉部を挾持開始し、前記一対の挾持無端帯3、3が走行機体1の後方に行くに従って上昇するように配置されているので、茎葉部が挾持された根菜Kの根部は圃場から軽い力で引き抜かれる。
【0020】
一対の挾持無端帯3・3の挾持搬送ラインHに沿って走行機体1の後方に向けて揚上させられる根菜Kの根部の上端は、案内杆45の下面箇所にて拘束され、略水平後方に移動し、それより上方の茎葉部は、茎葉排出装置43の左右一対、上下の搬送帯43a・43bにて挾持されながら走行機体1の後方に移動させられる。その途次、切断手段44の左右一対の回転刃44a・44aにて、根菜Kの根部と茎葉部との間が切断されるから、その根菜Kの根部は自由落下し、緩衝材50に一旦受け止められ緩衝された後、選別コンベヤ46に載って横移動し、コンテナ台49後部のコンテナ48に集積されて収穫される。前記切断された茎葉部は、茎葉排出装置43の後端から圃場面19に放出されるが、そのとき、未掘り起こし側の圃場面19に落下しないように湾曲したガイド板55にて案内される。
【0021】
図6乃至図10に示すように、分草装置14及び引き起こし装置16は、下部をこれら装置部のフレームに支持し、上部をこれら伝達ケースに支持する基板60と、基板60の下端部に下向きに弾圧付勢して取り付けるテンションプーリを兼ねる従動プーリ61と、基板60の上部に伝達ケースから突出させる駆動軸62に係合軸支させる駆動プーリ63と、これらプーリ61・63の間に張設するタイン15・17である突起付きの無端ベルト64と、基板60にボルト止めにて着脱自在に取り付けられ、基板60とでタインケース65を形成するタインケース側面65aとで構成されている。
【0022】
そして、分草装置14においては作用側となるタインケース65の前面においてタイン15がタインケース65から機体進行方向に向いて突出して下から上に移動し、引き起こしによる分草作用を得る一方、引き起こし装置16においては作用側となるタインケース65の一側面(未掘り起こし側)においてタイン17がタインケース65から機体の側方(未掘り起こし側)に向いて突出して下から上に移動し、引き起こし作用を得る。タインケース65の作用側上部でタイン15・17が作用側から非作用側に反転する以前に設けるタインケース65のタイン入口66と、タインケース65の非作用側の下部でタイン15、17が非作用側から作用側に反転する以前に設けるタインケース65のタイン出口67との間に置いて、タイン15・17がタインケース65の内側を移動するように構成している。
【0023】
また、タイン15・17は略水平方向又は若干の上向き方向でタインケース65から突出させ、タイン15・17を確実に根菜Kの茎葉部に引っかけ、当該装置14・16の性能を適正に得るように構成している。
【0024】
また、根菜Kの茎葉部をタイン15・17により引き起こし時に、タイン15・17に引っかかり持ち回るちぎれ茎葉をタインケース65の内部に取り込み(積極的)、非作用側でタインケース65から排出させるもので、ちぎれ茎葉をタインケース65の内部に取り込むタイン入口66をタイン15・17先端の回行軌跡68より外側まで延設し、即ちタイン15・17先端の回行軌跡68とタイン入口66の端部との隙間Lを、通常であればタイン15・17が入るだけの僅かな隙間でよいところを、タイン15・17に引っかけたちぎれ茎葉も一緒にタイン入口66からこのタイン入口66に引っかかることなく、タインケース65の内部に取り込み易くするため、タイン15・17が入るだけの僅かな隙間にプラスαの隙間を加えた隙間に形成している。
【0025】
また、タインケース65の非作用側断面積を作用側断面積より拡張形成し、タインケース65の内部に足り込んだちぎれ茎葉の流通性を向上させることによって、タインケース65の内部でちぎれ茎葉を停留させることなく、タインケース65のタイン出口67からのちぎれ茎葉の排出性能を高めるように構成している。
【0026】
なお、上記構成は引き起こし装置16のタインケース65にて図示しているが、分草装置にも実施可能であることは明らかである。
【0027】
また、タイン15・17が作用側から非作用側に反転する以前にタインケース65のタイン入口66を設けることにより、又はタイン入口66をタイン15・17先端の回行軌跡68より上記したように外側まで延設することにより、タイン15・17が作用側から非作用側に反転するときに、遠心力がちぎれ茎葉に働き、これが飛散するのを防止している。
また、特に該実施例では引き起こし装置16のタイン17は、未掘り起こし側から既掘り起こし側に、即ち運転座席5側に向かって作用側から非作用側に反転するので、ちぎれ茎葉の飛散防止は効果的であり、またさらにちぎれ茎葉の飛散をより確実に防止すべく、引き起こし装置16のカバー65aにはちぎれ茎葉の既掘り起こし側への飛散防止板69が取り付けられている。
【0028】
また、引き起こし装置16の機体進行方向となる前面側下部には、デバイダ70が配置される。このデバイダ70は引き起こし装置16の前面側下部に基端を支軸71を介して上下揺動自在に機体進行方向に突出支持させる取り付けアーム72の先端に取り付けられる。
また、引き起こし装置16の機体進行方向となる前面側上部に、ブラケット73及び位置決め具74を介して、上下動自在に上部を支持する操作杆75を設け、この操作杆75の下端をデバイダ70に連結し、操作杆75の上下操作及び操作位置での位置決めによって、デバイダ70を、このデバイダ70と前記引き起こし装置16及び分草装置14とで構成する左右の挟持無端帯3の間に根菜Kの茎葉部を(適正に)挟持させるための茎葉処理部において、デバイダ70以外の茎葉処理部材14・16とは別個に単独で対地高さ調節を行うように構成している。
【0029】
これによって、例えば引き起こし装置16のタイン17と分草装置14のタイン15の回行軌跡68の下端を圃場面19である畝上面に可及的に接近又は摺接させるように、茎葉処理部の対地高さを調節したとき、デバイダ70の先端が畝の法面に掛かることにより、その法面から浮き上がってしまう場合、デバイダ70を単独でこの先端が畝の法面に可及的に接近又は摺接させるように、下降側に調節し、この畝の法面に倒伏した茎葉部を拾い上げて引き起こし装置16のタイン17の作用範囲内に誘導させるようにする。この対地高さではデバイダ70の先端が畝の上面に位置し土中に突入する場合には、デバイダ70を単独でこの先端が畝の上面に可及的に接近又は摺接するように、上昇側に調節し、畝の上面においてデバイダ70を適正に機能させるように構成している。
【0030】
この他、デバイダ70が単独で対地高さ調節可能であると、機体が左右前後に傾いた状態で作業する場合でも、常にデバイダ70及び引き起こし装置16及び分草装置14の適正な対地高さが得られるので効果的である。
【0031】
図11及び図12に示す如く、上方に切断手段44、茎葉排出装置43、挾持無端帯3が配置される選別コンベヤ46の、搬送側下方の走行機体1上に、コンテナ載置台76を介して不良品の根菜を収容するため屑コンテナ77を載置し、選別コンベヤ46上で作業者によって選り分けた不良品の根菜を屑コンテナ77に収容収集すると共に、作業部回動支点9の上方を覆い、挾持無端帯3によって挾持搬送される根菜Kから落ちるが作業部回動支点9に付着積載してこの回動を阻害するのを防止するための屋根形の支点カバー78を設ける。
この支点カバー78の頂上部から、後下がりに傾斜するカバー78のカバー後面79の先端を、前記屑コンテナ77の前側上方に延設し、カバー後面79の上方に位置する挾持無端帯3から茎葉排出装置43への受継ぎ部において、未成熟で茎葉部が短いために受継ぎミスで落下する未成熟の根菜等をカバー後面79で受け止め屑コンテナ77に案内投入することにより、不良品の根菜や未成熟の根菜など屑根菜を圃場に放出することなく回集し、作業後の圃場に屑根菜が散乱し、収穫後の圃場の体裁を悪化させるのを防止するように構成している。
【0032】
また、前記カバー後面79の途中から先部を篩線79aで構成し、泥土のみをカバー後面79の下側に篩落とし、カバー後面79に泥土が堆積し、屑根菜の流下を阻害するのを防止するように構成している。
【0033】
また、選別コンベヤ46において落下してくる根菜Kが倒れる側のコンベヤフレーム80の上面でその所定範囲にはゴム板製の緩衝材81が配置され、根部がコンベヤフレーム80の金属面に倒伏当接し、この根部が損傷するのを防止するように構成している。
【0034】
図1において、符号82は作業部回動支点9の前方で、挾持無端帯3の中間部下方にて配置する左右一対の、水平回転する回転刃87から成る切断手段で、この切断手段82は挾持無端帯3による挾持搬送中に根部の先端を切断し切り揃える。この切断手段82は入力軸39からベルト伝動で動力が伝達される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】根菜収穫機の側面図。
【図2】概略平面図。
【図3】正面図。
【図4】動力伝達系統の平面図。
【図5】昇降機構の側面図。
【図6】茎葉処理部の側面図。
【図7】茎葉処理部の正面図。
【図8】タインケースの断面図。
【図9】引き起こし装置の正面図。
【図10】分草装置の側面図。
【図11】選別コンベヤ部の側面図。
【図12】選別コンベヤ部の背面図。
【符号の説明】
【0036】
K 根菜
H 挟持搬送ライン
3 挾持無端帯
14 分草装置
15 分草タイン
16 引き起こし装置
17 引き起しタイン
65 タインケース
66 タイン入口
67 タイン出口
70 デバイダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に植生している根菜Kの茎葉部を挟持して引き抜き搬送する左右一対の挟持無端帯3・3と、該左右の挟持無端帯3・3の間に根菜Kの茎葉部を挟持させるための茎葉処理部を備えた収穫機において、機体進行方向の前面側で前記左右一対の挟持無端帯3・3の、根菜Kの未掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を未掘り起こし側の根菜Kの茎葉部と絡まないように分離するための分草装置14を設け、該分草装置14は略垂直面内に上向きに移動する分草タイン15を具備し、同じく、根菜Kの既掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を引き起こすための引き起こし装置16を設け、該引き起こし装置16は前記分草タイン15と略直交し、分草装置14のタインケース65側面と対峙して上向きに移動する引き起しタイン17を具備し、且つ引き起しタイン17が圃場面19から上向きに移動するとき、先端が分草装置14における分草タイン15の非作用側となるタインケース65側面と対峙するように配置し、走行機体1の下方に左右一対の走行クローラ2a・2bを配置し、該走行クローラ2a・2bのうちの、根菜未掘り起こし側の下側の走行クローラ2aの外縁よりも外側に、前記左右一対の挟持無端帯3・3からなる挟持搬送体の少なくとも先端側が位置するように配置したことを特徴とする根菜収穫機。
【請求項1】
圃場に植生している根菜Kの茎葉部を挟持して引き抜き搬送する左右一対の挟持無端帯3・3と、該左右の挟持無端帯3・3の間に根菜Kの茎葉部を挟持させるための茎葉処理部を備えた収穫機において、機体進行方向の前面側で前記左右一対の挟持無端帯3・3の、根菜Kの未掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を未掘り起こし側の根菜Kの茎葉部と絡まないように分離するための分草装置14を設け、該分草装置14は略垂直面内に上向きに移動する分草タイン15を具備し、同じく、根菜Kの既掘り起こし側の前方の下部には、引き抜くべき根菜Kの茎葉部を引き起こすための引き起こし装置16を設け、該引き起こし装置16は前記分草タイン15と略直交し、分草装置14のタインケース65側面と対峙して上向きに移動する引き起しタイン17を具備し、且つ引き起しタイン17が圃場面19から上向きに移動するとき、先端が分草装置14における分草タイン15の非作用側となるタインケース65側面と対峙するように配置し、走行機体1の下方に左右一対の走行クローラ2a・2bを配置し、該走行クローラ2a・2bのうちの、根菜未掘り起こし側の下側の走行クローラ2aの外縁よりも外側に、前記左右一対の挟持無端帯3・3からなる挟持搬送体の少なくとも先端側が位置するように配置したことを特徴とする根菜収穫機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−20646(P2006−20646A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246740(P2005−246740)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【分割の表示】特願平10−131335の分割
【原出願日】平成10年4月24日(1998.4.24)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【分割の表示】特願平10−131335の分割
【原出願日】平成10年4月24日(1998.4.24)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
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