説明

根菜収穫機

【課題】 根菜類を収穫する際の根菜類の根部への損傷を抑制できる根菜収穫機を提供する。
【解決手段】
走行機台100と、茎葉引き起こし機構30と、挟持搬送機構70とを備えた根菜収穫機100は、茎葉引き起こし機構30において引き起こしベルト30L,30Rの土壌側を巻き掛ける第1引き起こしプーリー31L,31Rに、挟持搬送機構70において搬送ベルト73L,73Rの機構30側を巻き掛ける第1搬送プーリー74L,74Rに、それぞれ根菜類損傷防止用緩衝材33,78が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大根等の根菜類を収穫する根菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
大根等の根菜類を収穫する根菜収穫機として、例えば、走行機台における車輌幅方向一方側の前方に配設された茎葉引き起こし機構の下方で振動刃を土壌中に挿入して、土壌中より根菜類を掘り起こすと共に該掘り起こされた根菜類を該茎葉引き起こし機構にて引き起こし、該引き起こされた根菜類の茎葉を、茎葉引き起こし機構の後方に配設された挟持搬送機構にて挟持して車輌後方且つ斜め上方に引き上げ、該引き上げられた根菜類を選別コンベア機構にてコンテナ台に載置されたコンテナへ向けて搬送し、該搬送された根菜類をコンテナに収納する根菜収穫機は、従来から公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような根菜収穫機では、茎葉引き起こし機構において、土壌中に植立する根菜類の茎葉を車輌幅方向両側から挟持して挟持搬送機構に向けて引き起こす一対の引き起こしベルトが、土壌側で一対の第1引き起こしプーリーに、土壌側とは反対側で一対の第2引き起こしプーリーにそれぞれ巻き掛けられており、また、挟持搬送機構において、車輌幅方向両側から挟持して車輌後方且つ斜め上方に向けて搬送する一対の搬送ベルトが、茎葉引き起こし機構側で一対の第1搬送プーリーに、茎葉引き起こし機構側とは反対側で一対の第2搬送プーリーにそれぞれ巻き掛けられており、根菜類が収穫されるにあたり、土壌中に植立する根菜類の茎葉が、茎葉引き起こし機構の一対の引き起こしベルトによって車輌幅方向両側から挟持されて挟持搬送機構に向けて引き起こされ、該引き起こされた根菜類の茎葉が、挟持搬送機構の一対の搬送ベルトによって車輌幅方向両側から挟持されて車輌後方且つ斜め上方に向けて搬送され、さらに選別コンベア機構を経てコンテナに収納される。
【特許文献1】特開平9−262019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記したような従来の根菜収穫機では、根菜類の茎葉を引き起こす際に、茎葉引き起こし機構における土壌側に配置された第1引き起こしプーリーが根菜類の根部に接触したり、また、根菜類を引き上げる際に、挟持搬送機構における茎葉引き起こし機構側に配置された第1搬送プーリーが根菜類の根部に接触し、該根部が損傷してしまうことがある。特に、大根等の根菜類は、根部が地面から突出し、該突出した突出部分が屈曲していたり、突出量が一定でないため、該根部の突出部分に引き起こしプーリーや搬送プーリーが接触して損傷を受けやすい。
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、根菜類を収穫する際の根菜類の根部への損傷を抑制できる根菜収穫機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、次の第1及び第2の根菜収穫機を提供する。
(1)第1根菜収穫機
走行機台と、前記走行機台における車輌幅方向一方側の前方に配設された茎葉引き起こし機構と、前記茎葉引き起こし機構の後方に配設された挟持搬送機構であって、前記茎葉引き起こし機構によって引き起こされた根菜類の茎葉を挟持して車輌後方且つ斜め上方に引き上げる挟持搬送機構とを備え、前記茎葉引き起こし機構は、土壌中における根菜類の茎葉を車輌幅方向両側から挟持して前記挟持搬送機構に向けて引き起こす一対の引き起こしベルトと、前記一対の引き起こしベルトの土壌側をそれぞれ巻き掛ける一対の第1引き起こしプーリーと、前記一対の引き起こしベルトの土壌側とは反対側をそれぞれ巻き掛ける一対の第2引き起こしプーリーとを有しており、前記一対の第1引き起こしプーリーには、それぞれ根菜類損傷防止用緩衝材が設けられている根菜収穫機。
【0007】
(2)第2根菜収穫機
走行機台と、根菜類の茎葉を挟持して車輌後方且つ斜め上方に引き上げる挟持搬送機構とを備え、前記挟持搬送機構は、車輌幅方向両側から挟持して車輌後方且つ斜め上方に向けて搬送する一対の搬送ベルトと、前記一対の搬送ベルトの車輌前後方向前方側をそれぞれ巻き掛ける一対の第1搬送プーリーと、前記一対の搬送ベルトの車輌前後方向後方側をそれぞれ巻き掛ける一対の第2搬送プーリーとを有しており、前記一対の第1搬送プーリーには、それぞれ根菜類損傷防止用緩衝材が設けられている根菜収穫機。
【0008】
本発明に係る第1根菜収穫機では、前記茎葉引き起こし機構における前記一対の第1引き起こしプーリーにそれぞれ根菜類損傷防止用緩衝材が設けられているので、根菜類の茎葉を引き起こす際に、たとえ土壌側に配置された前記第1引き起こしプーリーが根菜類の根部に接触したとしても、該緩衝材によって、該根菜類の根部に対して衝撃を与え難くすることができ、それだけ該根部への損傷を抑えることができる。
【0009】
また、本発明に係る第2根菜収穫機では、前記挟持搬送機構における前記一対の第1搬送プーリーにそれぞれ根菜類損傷防止用緩衝材が設けられているので、根菜類を引き上げる際に、たとえ車輌前後方向前方側に配置された前記第1搬送プーリーが根菜類の根部に接触したとしても、該緩衝材によって、該根菜類の根部に対して衝撃を与え難くすることができ、それだけ該根部への損傷を抑えることができる。
【0010】
このように本発明に係る第1及び第2の根菜収穫機によれば、根菜類を収穫する際の該根菜類の根部への損傷を抑制することができる。例えば、大根等のように、根部が地面から突出し、該突出した突出部分が屈曲していたり、突出量が一定でない根菜類であっても、該根部に対する損傷を受け難くすることができる。
【0011】
本発明に係る第1根菜収穫機において、前記緩衝材が、前記一対の第1引き起こしプーリーの両側面のうち少なくとも一方に設けられている場合を例示できる。この場合、該緩衝材が、前記第1引き起こしプーリーの径と同等又は該第1引き起こしプーリー径より大径のものであることが好ましい。
【0012】
ところで、前記茎葉引き起こし機構は、土壌側で前記一対の第1引き起こしプーリーにそれぞれ巻き掛けられた前記一対の引き起こしベルトによって、土壌中における根菜類の茎葉を車輌幅方向両側から挟持して前記挟持搬送機構に向けて引き起こすので、比較的前記一対の第1引き起こしプーリーの前側面が根菜類の根部に接触しやすい。そこで、本発明に係る第1根菜収穫機において、前記緩衝材は、前記一対の第1引き起こしプーリーの前側面に設けられていることが好ましい。こうすることで、根菜類の根部への損傷を良好に抑えることができる。いずれにしても、前記緩衝材が角部を除去した面取り形状とされていると、根菜類の根部に対してさらに衝撃を与え難くすることができ、それだけ該根部への損傷を抑えることができる。
【0013】
本発明に係る第2根菜収穫機において、前記走行機台における車輌幅方向一方側の前方に配設された茎葉引き起こし機構をさらに備えていてもよい。この場合、前記挟持搬送機構は、前記茎葉引き起こし機構の後方に配設され、該茎葉引き起こし機構によって引き起こされた根菜類の茎葉を挟持して車輌後方且つ斜め上方に引き上げるものとすることができる。また、本発明に係る第2根菜収穫機において、前記緩衝材が、前記一対の第1搬送プーリーの両側面のうち少なくとも一方に設けられている場合を例示できる。この場合、該緩衝材が、前記第1搬送プーリーの径と同等又は該第1搬送プーリー径より大径のものであることが好ましい。
【0014】
ところで、前記挟持搬送機構は、車輌前後方向前方側で前記一対の第1搬送プーリーにそれぞれ巻き掛けられた前記一対の搬送ベルトによって、根菜類の茎葉を車輌幅方向両側から挟持して車輌後方且つ斜め上方に向けて搬送するので、比較的前記一対の第1搬送プーリーの下側面が根菜類の根部に接触しやすい。そこで、本発明に係る第2根菜収穫機において、前記緩衝材は、前記一対の第1搬送プーリーの下側面に設けられていることが好ましい。こうすることで、根菜類の根部への損傷を良好に抑えることができる。いずれにしても、前記緩衝材が角部を除去した面取り形状とされていると、根菜類の根部に対してさらに衝撃を与え難くすることができ、それだけ該根部への損傷を抑えることができる。
【0015】
前記一対の第1引き起こしプーリー及び前記一対の第1搬送プーリーに設けられる前記根菜類損傷防止用緩衝材の材質としては、例えば、耐磨耗スポンジ、耐磨耗軟質ゴム等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明に係る第1根菜収穫機によると、根菜類を収穫する際の根菜類の根部への損傷を抑制することができる。例えば、大根等のように、根部が地面から突出し、該突出した突出部分が屈曲していたり、突出量が一定でない根菜類であっても、該根部に対する損傷を受け難くすることができる。
【0017】
また、本発明に係る第1根菜収穫機において、前記緩衝材が、前記一対の第1引き起こしプーリーの前側面に設けられていることで、根菜類の根部への損傷を良好に抑えることができる。また、本発明に係る第2根菜収穫機において、前記緩衝材が、前記一対の第1搬送プーリーの下側面に設けられていることで、根菜類の根部への損傷を良好に抑えることができる。いずれにしても、前記緩衝材が角部を除去した面取り形状とされていると、根菜類の根部に対してさらに衝撃を与え難くすることができ、それだけ該根部への損傷を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る根菜収穫機の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施に係る根菜収穫機100の概略構成を示す平面図であり、図2は同側面図である。
【0019】
図1及び図2に示す根菜収穫機100は、走行機台10における車輌幅方向(図2中X方向)一方側(本実施形態では進行方向(図中矢印Y1方向)に向かって左側)の前方に根菜類を掘取り、車輌後方(図中矢印Y2方向)へ搬送し、茎葉部分を切除する機構と、その根部をコンテナCに収容する機構が配設されている。即ち、この根菜収穫機100は、水平方向に沿って配置された前記走行機台10における車輌幅方向X一方側(本実施形態では進行方向Y1に向かって左側)の前方において掘り起こし機構20、茎葉引き起こし機構30及びゲージ輪34が配設されており、また前記走行機台10における車輌幅方向X他方側(本実施形態では進行方向Y1に向かって右側)の前方上部には、前記運転席50が配設されている。
【0020】
前記運転席50は、前部にフロントコラム51が配設され、該フロントコラム51に操向操作を行うハンドル52が突設され、該ハンドル52の近傍には図示を省略した各種変速レバー、クラッチレバー等が設けられている。前記フロントコラム51の側部には、サイドコラム53が立設され、このサイドコラム53上に、後述する昇降装置90の昇降操作を行う第1から第3操作レバー54,55,56が突設されている。前記運転席50の下方には、エンジンEが設けられていて、このエンジンEの後方に前記コンテナ台600が配設されている。
【0021】
前記茎葉引き起こし機構30の後方には、挟持搬送機構70が配設されており、また、この挟持搬送機構70の搬送終端部70aの下方には、搬送始端部800aが位置するように選別コンベア機構800が車輌幅方向Xに沿って配設されている。
【0022】
この根菜収穫機100では、前記走行機台10の左側前方の前記掘り起こし機構20にて土壌中に植立する根菜類の根部を浮き上がらせ、該浮き上がった根菜類の茎葉部を前記茎葉引き起こし機構30にて前記挟持搬送機構70に向けて引き起こし、該引き起こされた根菜類の茎葉部を前記挟持搬送機構70にて後方Y2斜め上方に引き上げ、該引き上げられた根菜類を、前記選別コンベア機構800にて前記運転席50の後側に向けて横送りし、さらに該横送りされた根菜類を、前記選別コンベア機構800の搬送終端部800bが内側方に位置するように前記コンテナ台600上に載置されたコンテナCに収納するようにしている。
【0023】
以下に図1及び図2に示す根菜収穫機100の具体的構成について説明する。前記走行機台10は、下方にクローラ式走行装置11を具備しており、該走行機台10に前記掘り起こし機構20、前記茎葉引き起こし機構30、前記挟持搬送機構70や前記選別コンベア機構800等の各種構成機構が支持されている。
【0024】
前記掘り起こし機構20は、振動刃21を有しており、この振動刃31が土壌中に侵入して土壌を振動させることで、土壌中の根菜類の根部を浮き上がらせて掘り上げるものである。具体的には、前記掘り起こし機構20は、前記走行機台10の前端の上方と下方にそれぞれ車輌幅方向Xに沿って回動支点軸22,23が横設されていて、この回動支点軸22,23に上リンク24及び下リンク25の後部がそれぞれ枢支され、前記上リンク24及び前記下リンク25の前部が該リンク24,25が平行リンクを形成するように前記振動刃21に枢結されている。また、前記上リンク24の後部と前記回動支点軸22との間には偏心カム(図示省略)が介装され、前記回動支点軸22がクラッチ、ベルト(図示省略)を介してエンジンEの出力プーリー(図示省略)から駆動されることで、前記振動刃21が振動駆動され、これにより土壌中の根菜類の根部の下方より土が振動して、該根部が浮き上がるようになり、そうすると根菜類を容易に引き抜くことができるようになる。
【0025】
前記茎葉引き起こし機構30は、土壌中における根菜類の茎葉を車輌幅方向X両側から挟持して前記挟持搬送機構70に向けて引き起こす左右一対の引き起こしベルト30L,30Rと、前記一対の引き起こしベルト30L,30Rの土壌側をそれぞれ巻き掛ける左右一対の第1引き起こしプーリー31L,31Rと、前記一対の引き起こしベルト30L,30Rの土壌側とは反対側をそれぞれ巻き掛ける左右一対の第2引き起こしプーリー32L,32Rとを有している。
【0026】
図3は前記茎葉引き起こし機構30における土壌側の前記左右一対の引き起こしベルト30L,30R部分を拡大した一部断面を含む概略側面図である。なお、図3では、進行方向Y1に向かって左側の部分の構成を示しているが、左右部分はいずれも実質的に同じ構成をしており、ここでは、進行方向Y1に向かって左側部分に代表させて示している。また、括弧内の符号は右側部分の符号を示している。後述する図5及び図8についても同様である。
【0027】
前記一対の引き起こしベルト30L,30Rは、図3に示すように、それぞれ、上下のベルトが2本1組になっており、いずれも外周面に周方向に沿って等間隔に配設された複数のタイン30aがベルト外周面から外方へ突出した無端ベルトからなっている。図1に示すように、前記一対の第1引き起こしプーリー31L,31Rは、それぞれ、前記茎葉引き起こし機構30の下部に側面が対向するように所定の間隔をおいて配設されており、また、前記一対の第2引き起こしプーリー32L,32Rは、それぞれ、前記茎葉引き起こし機構30の上部に側面が対向するように所定の間隔をおいて配設されており、前記一対の引き起こしベルト30L,30Rが土壌側でそれぞれ前記第1引き起こしプーリー31L,31Rに巻き掛けられ、土壌側とは反対側でそれぞれ前記第2引き起こしプーリー32L,32Rに巻き掛けられている。これにより、前記一対の引き起こしベルト30L,30Rは、土壌中における根菜類の茎葉を前記タイン30aを介して車輌幅方向X両側から挟持して前記挟持搬送機構70に向けて引き起こすことができる。また、前記ゲージ輪34は、根菜類の葉部の挟持位置を調節するものであり、前記掘り起こし機構20に設けられている。
【0028】
前記運転席50の後方に配設されたコンテナ台600は、図2に示すように、コンテナCを載置する水平姿勢(図中実線参照)と、後端部600bが地面に接地する接地姿勢(図中鎖線参照、以下傾斜姿勢という。)とをとり得るように、車輌幅方向Xに沿った枢支軸P回り揺動自在とされている。このコンテナ台600の後端部にはストッパー機構60が設けられている。
【0029】
図4は前記コンテナ台600の後端部に設けられた前記ストッパー機構60の構成及び動作を説明するための概略側面図であって、図4(A)は前記ストッパー機構60のストッパー62が前記コンテナ台600の上面600aより上方へ突出する突出位置に位置している状態を示しており、図4(B)は前記ストッパー機構60のストッパー62が前記コンテナ台600の上面600aより下方へ退避する退避位置に位置している状態を示している。
【0030】
図4に示すストッパー機構60は、前記コンテナ台600が水平姿勢をとる際には該コンテナ台600に載置されるコンテナCが後方へ移動することを防止し、且つ、該コンテナ台600が傾斜姿勢をとる際には該コンテナ台600に載置されるコンテナCが後方へ移動することを許容するように構成されている。
【0031】
さらに説明すると、前記ストッパー機構60は、前記ストッパー62の他、揺動アーム61、作動アーム63、リンク64及び付勢部材65を有している。
【0032】
前記揺動アーム61は、車輌幅方向Xに沿った第1支点P1回り揺動自在に前記コンテナ台600に支持されている。前記ストッパー62は、前記コンテナ台600の後端部600bより後方に位置するように前記揺動アーム61に設けられており、該揺動アーム61の前記第1支点P1回りの揺動に応じて、該コンテナ台600の上面600aより上方へ突出する突出位置(図4(A)参照)と、該コンテナ台600の上面600aより下方へ退避する退避位置(図4(B)参照)とをとり得るように構成されている。
【0033】
前記作動アーム63は、車輌幅方向Xに沿った第2支点P2回り揺動自在に前記コンテナ台600に支持されている。この作動アーム63は、前記コンテナ台600が水平姿勢をとる際には地面eから離間され、且つ、前記コンテナ台600が傾斜姿勢をとる際には地面eに当接する接地端部63aを有していて、該接地端部63aが、側面視において、下方へ突出されたソリ形状とされている。
【0034】
前記リンク64は、前記揺動アーム61及び前記作動アーム63を連結するものであり、一端部で前記揺動アーム61の前記ストッパー62が設けられている側とは反対側端部61aに、他端部で前記第2支点P2から前記接地端部63aに向かう途中に設けられた接続部631を介して車輌幅方向Xに沿う軸線回り揺動自在に接続されている。
【0035】
前記付勢部材65は、前記ストッパー62が突出位置に位置する方向へ前記揺動アーム61を付勢するものであり、本実施形態では、巻きバネからなっている。この巻きバネ65は、両端部651,652が巻き部分から所定量突出しており、一端部651が前記コンテナ台600に、他端部652が前記揺動アーム61に係止された状態で、前記ストッパー62が突出位置に位置する方向へ前記揺動アーム61を付勢するように、前記巻き部分が前記第1支点P1に嵌入されている。
【0036】
また、前記コンテナ台600は、図1に示すように、車輌幅方向X一方側(本実施形態では進行方向Y1に向かって左側)に位置する第1コンテナ台610と、車輌幅方向X他方側(本実施形態では進行方向Y1に向かって右側)に位置する第2コンテナ台620とを有していて、前記第2コンテナ台620は、前記第1コンテナ台610と同一平面上に位置する基準姿勢と、前記第1コンテナ台610に対して車輌前後方向Yに沿った軸線回り下方側へ揺動された折れ姿勢とをとり得るように構成されている。
【0037】
さらに説明すると、前記第2コンテナ台620は、前記第1コンテナ台610に、車輌前後方向Yに沿って並設された3個の蝶番630を介して該方向Yに沿った軸線回りに回動自在に設けられている。また、前記第1コンテナ台610の前端には、前記コンテナ台600が水平姿勢をとる際に該コンテナ台600に載置されるコンテナCの前方(図中矢印Y1方向)へのオーバーランを防止する固定部材640が設けられている。この固定部材640は、車輌幅方向Xの一端部から他端部にかけて前記第1コンテナ台を基準にして垂直方向に延びており、車輌幅方向Xの前記第2コンテナ台620側の上端部640aに前記第2コンテナ台620に連結される連結部材(ここでは、一端が該上端部640aに連結され、他端に係合部641aを有する鎖状の連結部材641)が設けられている。
【0038】
前記第2コンテナ台620は、車輌幅方向Xの前記第2コンテナ台620とは反対側の前端に係止部621が設けられており、該係止部621に前記固定部材640に連結された前記連結部材641の前記係合部641aが係止されることで、前記第1コンテナ台610と同一平面上に位置する基準姿勢をとることができる。一方、前記連結部材641の前記係合部641aが取り外されることで、前記第1コンテナ台610に対して車輌前後方向Yに沿った軸線回り下方側へ揺動された折れ姿勢をとることができる。なお、前記ストッパー機構60は、本実施形態では前記第1コンテナ台610に設けられている。
【0039】
また、前記コンテナ台600に、コンテナCの荷降ろしの際に該コンテナCが落下しやすいように表面の摩擦力を低くした摩擦力低減部材(例えば、エンジニアリングプラスチック(ポリエチレン、ポリアセタール、MCナイロン)等からなる摩擦力低減部材)が設けられていてもよい。
【0040】
前記挟持搬送機構70は、図2に示すように、前記茎葉引き起こし機構30によって引き起こされた根菜類の茎葉を挟持して車輌後方Y2且つ斜め上方に引き上げるものであり、後部において下方へ延設したコンベア支持フレーム71の下部が前記走行機台10より上方へ突出した支持体72に支持されており、この支持体72は水平方向の上下回動軸72aを有しており、該上下回動軸72aを中心に上下に回動して、引き上げ高さを変更したり、持ち上げたりできるように構成されている。
【0041】
この挟持搬送機構70は、搬送フレーム73aを車輌前後方向(図中Y方向)平行に、前低後高に傾斜して配置し、該搬送フレーム73aの後部下面が前記コンベア支持フレーム71によって支持されており、図1に示すように、車輌幅方向X両側から挟持して車輌後方Y2且つ斜め上方に向けて搬送する左右一対の搬送ベルト73L,73Rと、前記一対の搬送ベルト73L,73Rの前記茎葉引き起こし機構30側をそれぞれ巻き掛ける左右一対の第1搬送プーリー74L,74Rと、前記一対の搬送ベルト73L,73Rの前記茎葉引き起こし機構30側とは反対側をそれぞれ巻き掛ける左右一対の第2搬送プーリーと75L,75Rを有している。
【0042】
図5は前記挟持搬送機構70における前記茎葉引き起こし機構30側の前記左右一対の搬送ベルト73L,73R部分を拡大した一部断面を含む概略側面図である。前記一対の第1搬送プーリー74L,74Rは、図1及び図5に示すように、それぞれ、前記挟持搬送機構70の前部に側面が対向するよう所定の間隔をおいて配設されており、また、前記一対の第2搬送プーリー75L,75Rは、それぞれ、前記挟持搬送機構70の後部に側面が対向するよう所定の間隔をおいて配設されている。前記一対の搬送ベルト73L,73Rは無端ベルトかなり、前記茎葉引き起こし機構30側でそれぞれ前記第1搬送プーリー74L,74Rに巻き掛けられ、前記茎葉引き起こし機構30側とは反対側でそれぞれ前記第2引き起こしプーリー75L,75Rに巻き掛けられ、さらに前記第1搬送プーリー74L,74Rと前記第2引き起こしプーリー75L,75Rとの間において複数のガイドプーリー76が設けられている。これにより、前記一対の搬送ベルト73L,73Rは、前記茎葉引き起こし機構30によって引き起こされた根菜類の茎葉を挟持して車輌後方Y2且つ斜め上方に引き上げることができる。
【0043】
また、前記挟持搬送機構70の搬送終端部近傍には前記搬送ベルト73L,73Rにて搬送される根菜類の茎葉部を切断するカッター79aが配置されており、搬送中途部分から後部の下面には、左右一対の搬送ベルト(図示省略)を巻回した補助搬送コンベア77が設けられており、該補助搬送コンベア77の搬送終端部下方には、根菜類の根部を前記選別コンベア機構800に導くガイド部材77aが設けられている。これにより、前記搬送ベルト73L,73Rにて搬送されてきた根菜類が所定の位置でカッター79aによって切断され、茎葉部側は前記搬送ベルト73L,73Rにてさらに搬送されて、該搬送ベルト73L,73Rの後方に設けられた茎葉排出ガイド73bから、該茎葉排出ガイド73bの下方に配置された茎葉排出シュート73cを介して圃場面に落下される。一方、根部側は前記補助搬送コンベア77にて搬送された後、前記ガイド部材77aによって前記選別コンベア機構800に案内される。
【0044】
前記一対の第1引き起こしプーリー31L,31Rの両側面のうち少なくとも一方(本実施形態では前側面)には、図3に示すように、それぞれ根菜類損傷防止用緩衝材33(例えば、耐磨耗スポンジ、耐磨耗軟質ゴム等からなる緩衝材)が設けられている。この緩衝材33は、前記第1引き起こしプーリー31L,31Rの径と同等又は該第1引き起こしプーリー径より大径(図示例では大径)のものであり、角部を除去した面取り形状とされている。
【0045】
また、前記一対の第1搬送プーリー74L,74Rの両側面のうち少なくとも一方(本実施形態では下側面)には、図5に示すように、それぞれ根菜類損傷防止用緩衝材78(例えば、耐磨耗スポンジ、耐磨耗軟質ゴム等からなる緩衝材)が設けられている。この緩衝材78は、前記第1搬送プーリー74L,74Rの径と同等又は該第1搬送プーリー径より大径(図示例では大径)のものであり、角部を除去した面取り形状とされている。
【0046】
前記選別コンベア機構800は、前記挟持搬送機構70から供給される根菜類を車輌幅方向X他方側(本実施形態では進行方向Y1に向かって右側)へ向けて搬送するものであり、軸線が車輌前後方向Yに沿うように車輌幅方向Xに所定の間隔をおいて並設された左右一対のプーリー81と、該一対のプーリー81に巻き掛けられた幅広の搬送ベルト82とを備え、該搬送ベルト82上で根菜類を搬送しつつ該根菜類に付着した土を落とすように構成されている。このとき、根菜収穫機を操作する作業者とは別に配備された選別者によって根菜類の選別作業が行われる。また、この選別コンベア機構800は、車輌幅方向に沿って位置調整可能とされている。
【0047】
即ち、前記選別コンベア機構800は、搬送終端部800bが前記コンテナ台600の上方に位置する出位置と、搬送終端部800bが前記ステップ台650の上方に位置する退位置との間で位置調整可能とされている。これについて、図6を参照しながら以下に説明する。
【0048】
図6は前記選別コンベア機構800の出退機構を説明するための図であって、図6(A)は該選別コンベア機構800の退位置の状態を車輌後方から視た概略側面図であり、図6(B)は該選別コンベア機構800の出位置の状態(ロック状態)を車輌後方から視た概略側面図である。
【0049】
前記選別コンベア機構800は、図6に示すように、前記一対のプーリー81を支持するコンベア支持部80、コンベア台83、前後一対のスライド支持部84、スライドコロ85及びスライドロック機構86を備えている。前記コンベア台83は、前記挟持搬送機構70の搬送終端部下方に配設されており、このコンベア台83上の車輌前後方向Y両端部に、長手方向が車輌幅方向Xに沿うように且つ前記コンテナ台600側が該コンベア台83から突出するように、前記一対のスライド支持部84が設けられている。前記スライドコロ85は、軸方向中央部に周方向に沿って溝部85aを有しており、前記一対のスライド支持部84の車輌幅方向Xの両端部にそれぞれ軸線が車輌前後方向Yに向くように回転自在に配設されている。前記コンベア支持部80は、下方に突出し且つ車輌幅方向Xに延びるスライドガイド部80aを有している。これにより、前記コンベア支持部80が前記スライドコロ85上に載置され、前記スライドガイド部80aが前記スライドコロ85の溝部85aに係入されることで、該コンベア支持部80が車輌幅方向Xに沿って往復移動することができる。
【0050】
前記スライドロック機構86は、車輌前後方向Yに沿った第1軸線861a回り回動自在に前記一対のスライド支持部84にそれぞれ支持された回動レバー861と、前記コンベア支持部80を押圧する押圧部材862であって、車輌前後方向Yに沿った第2軸線862’回り回動自在に前記スライド支持部84に支持された押圧部材862と、前記回動レバー861に設けられた偏芯カム863であって、前記回動レバー861の前記第1軸861a線回りの回動に応じて、前記押圧部材862を前記コンベア支持部80へ押圧する押圧位置と前記コンベア支持部80への押圧を解除する押圧解除位置とをとり得る偏芯カム863と、前記偏芯カム863が前記コンベア支持部80への押圧を解除する方向へ前記回動レバー861を付勢する付勢部材864とを備えている。
【0051】
前記回動レバー861は、前記一対のスライド支持部84にそれぞれ配設されており、回動軸(前記第1軸線861a)が互いに連動するように連結部材(図示せず)にて連結されている。
【0052】
前記押圧部材862は、前記コンベア支持部80の側端部上方に配置される押圧部862aと、一端部が前記押圧部862aの車輌幅方向Xの一端部に連設され、他端部がコンテナ台600側の前記スライドコロ85の回転軸(前記第2軸線862’)に回動自在に連結された第1支持部862bと、一端部が前記押圧部862aの車輌幅方向Xの他端部に連設され、他端部が前記回動レバー861の回動軸(前記第1軸線861a)に支持された第2支持部862cとを有している。前記第2支持部862cは、前記回動レバー861の回動軸861aの径より大きい径の貫通孔862c’を有していて、該貫通孔862c’に前記回動レバー861の回動軸861aが嵌入されており、これにより前記押圧部材862は、前記押圧部862aが前記コンベア支持部80の側端部上面に接触、離反するように、前記第2軸線862’回り揺動可能とされている。
【0053】
前記偏芯カム863は、前記押圧部材862における前記第2支持部862cの前記貫通孔862c’内周面と前記回動レバー861の回動軸(前記第1軸線861a)との間に配設されている。これにより、前記回動レバー861の前記第1軸861a線回りの回動(図中反時計回りの回動)によって、前記押圧部材862を前記コンベア支持部80へ押圧し、前記回動レバー861の前記第1軸861a線回りの回動(図中時計回りの回動)によって、前記コンベア支持部80への押圧を解除することができる。なお、このスライドロック機構86においては、図示例の如く、前記押圧部材862における前記押圧部862aの前記コンベア支持部80への当接側に摩擦板865が設けられていてもよい。また、前記付勢部材864は、本実施形態では、巻きバネからなり、一端部が前記回動レバー861に他端部がコンベア台83に設けられた支持部83aに接続されている。
【0054】
また、前記走行機台10は、図1に示すように、車輌幅方向Xに関し前記挟持搬送機構70と前記コンテナ台600との間にステップ台650を有しており、このステップ台650は、前記選別コンベア機構800を挟んで車輌前後方向Y両側に選別者用スペース651が設けられている。なお、本実施形態では、前記ステップ台650において前記退位置に位置する前記選別コンベア機構800の搬送終端部の下方に掃除口652が設けられている。
【0055】
図7は前記昇降装置90の概略構成を模式的に示した平面図である。前記昇降装置90は、図2及び図7に示すように、掘り起こし機構昇降装置91、茎葉引き起こし機構昇降装置92及び挟持搬送機構昇降装置93を備えている。なお、前記昇降装置91、92及び93は、本実施形態では、いずれも油圧シリンダーからなる昇降シリンダーである。
【0056】
前記掘り起こし機構昇降シリンダー91は、前記走行機台10上に固設された支持部材12に車輌幅方向Xに沿う第1回動軸P3回り回動自在に設けられていて、シリンダーロッド部91aが前記下リンク25に、該下リンク25の後端部から前記支点軸23を基準にして上方に延設されたアーム25aを介して第2回動軸P4回り回動自在に連結されている。この昇降シリンダー91は前記第1操作レバー54を操作することで作動するようになっている。これにより、前記第1操作レバー54の操作により、前記掘り起こし機構20の前記振動刃21(ひいては前記掘り起こし機構20に設けられた前記ゲージ輪34)を上下動させることができ、これにより土壌中への侵入深さを調節することができる。
【0057】
前記茎葉引き起こし機構昇降シリンダー92は、前記下リンク25に車輌幅方向Xに沿う第3回動軸P5回り回動自在に設けられていて、シリンダーロッド部92aが、回動リンク部材920の第1リンク921に車輌幅方向Xに沿う第4回動軸P6回り回動自在に連結されている。なお、前記回動リンク部材920は、車輌幅方向Xに沿う第5回動軸P7回りに互いに回動自在とされた第1及び第2リンク921,922からなり、前記第1リンク921の一端部921aが前記走行機台10上の前記支持部材12に、前記第2リンク922の他端部922aが前記茎葉引き起こし機構30の上部にそれぞれ車輌幅方向Xに沿う第6及び第7回動軸P8,P9回り回動自在に設けられている。この昇降シリンダー92は前記第2操作レバー55を操作することで作動するようになっている。これにより、前記第2操作レバー55の操作により、前記茎葉引き起こし機構30を上下動させることができる。
【0058】
前記挟持搬送機構昇降シリンダー93は、前記前記挟持搬送機構70において上方に延設された73bを介して第8回動軸P10回り回動自在に設けられていて、シリンダーロッド部93aが、前記回動リンク部材920の第5回動軸P7に回動自在に連結されている。この昇降シリンダー93は前記第3操作レバー56を操作することで作動するようになっている。これにより、前記第3操作レバー56の操作により、前記前記挟持搬送機構70の搬送始端部側を上下動させることができる。
【0059】
このように構成された昇降装置90において、前記掘り起こし機構昇降シリンダー91によって前記掘り起こし機構20を上下動させることで、それに連動して前記茎葉引き起こし機構30及び前記挟持搬送機構70を上下動させることができるし、また、前記掘り起こし機構昇降シリンダー91による前記掘り起こし機構20の上下動に拘わらず、前記茎葉引き起こし機構昇降シリンダー92と前記挟持搬送機構昇降シリンダー93とによって前記茎葉引き起こし機構30と前記挟持搬送機構70との相対位置を任意に変更することができる。例えば、前記茎葉引き起こし機構30の上下位置を大きく変えないで、前記茎葉引き起こし機構30の上下位置を変更することができる。
【0060】
以上説明した根菜収穫機100では、根菜類(以下、大根を例にとって説明する)を収穫するにあたり、前記選別コンベア機構800において前記コンベア支持部80が前記コンベア台83上を前記スライドコロ85を介して前記搬送終端部800bが前記コンテナ台600の上方に位置する出位置に位置するようにスライドされる。このとき前記スライドロック機構86において前記回動レバー861が作業者によって操作されると該出位置でロックされる。さらに、作業者によって前記第1から第3操作レバー54〜56が操作されることで前記掘り起こし機構20(ひいては前記ゲージ輪34)、前記茎葉引き起こし機構30及び前記挟持搬送機構70が所望の上下位置に設定され、そのあと収穫作業が開始される。
【0061】
収穫作業が開始されると、前記走行装置11が操向され、機体が大根列に沿って進行しつつ前記掘り起こし機構20の前記振動刃21によって大根の根部が浮き上がり、図8に示すように、前記茎葉引き起こし機構30において、前記根菜類損傷防止用緩衝材33を付設した土壌側の前記一対の第1引き起こしプーリー31L,31Rに巻き掛けられた前記一対の引き起こしベルト30L,30Rによって大根Dの茎葉部D1が車輌幅方向X両側から挟持されて前記挟持搬送機構70に向けて引き起こされ、さらに、前記挟持搬送機構70において、前記根菜類損傷防止用緩衝材78を付設した前記茎葉引き起こし機構30側の前記第1搬送プーリー74L,74Rに巻き掛けられた前記一対の搬送ベルト73L,73Rによって大根Dの茎葉D1が車輌幅方向X両側から挟持されて該大根Dの根部D2と共に車輌後方Y2且つ斜め上方に向けて搬送され、そのあと搬送途中に設けられた前記カッター79aにより茎葉部D1が切断される。
【0062】
図1及び図2に示す前記カッター79aによって切断された大根の茎葉部は、そのまま前記挟持搬送機構70に搬送されて、前記茎葉排出ガイド73bから前記茎葉排出シュート73cを介して圃場面に落下される。一方、大根の根部は前記補助搬送コンベア77にて搬送された後、前記ガイド部材77aを介して前記選別コンベア機構800に案内される。
【0063】
前記選別コンベア機構800では、前記ガイド部材77aにて案内された大根の根部が前記搬送ベルト82上で搬送されつつ該根部に付着した土が落とされる。このとき、前記選別者によって大根の選別作業が行われ、該選別された大根の根部が順次前記コンテナC内に収納される。大根の根部(以下、単に大根ということがある)が収納されたコンテナCを空のコンテナCに入れ換える際や収穫作業が全て終了した際にはコンテナCの積み降ろし作業が行われる。
【0064】
この積み降ろし作業では、まず、大根が収納されたコンテナCが載置された前記コンテナ台600は水平姿勢にされている。そして、前記コンテナ台600が水平姿勢から傾斜姿勢へ移行されると、図4(B)に示すように、前記接地端部63aに作用する該コンテナ台600の自重によって前記作動アーム63が前記第2支点P2回り一方側へ押動され、これにより、前記ストッパー62が突出位置から退避位置へ移動するように前記揺動アーム61が前記第1支点P1回り他方側へ揺動し、大根が収納されたコンテナCが降ろされる。さらに収穫作業を行うときは空のコンテナCを前記コンテナ台600に載せ、該コンテナ台600が傾斜姿勢から水平姿勢へ移行されると、図3(A)に示すように、前記接地端部63aが地面から離間して前記巻きバネ65の付勢力によって前記作動アーム63が前記第2支点P2回り他方側へ回動され、これにより、前記ストッパー62が退避位置から突出位置へ移動するように前記揺動アーム61が前記第1支点P1回り一方側へ揺動し、空のコンテナCが積み込まれる。
【0065】
このように図1及び図2に示す根菜収穫機100によると、前記走行機台10が、車輌幅方向Xに関し前記挟持搬送機構70と前記コンテナ台600との間にステップ台650を有していて、該ステップ台650が、前記選別コンベア機構800を挟んで車輌前後方向Y両側に選別者用スペース651が設けられているので、選別者による根菜類の選別作業の作業性が良い。
【0066】
また、前記走行機台10における車輌幅方向Xにおいて前記運転席50の反対側に前記挟持搬送機構70が配設されるので、該挟持搬送機構70をバランスよく配置することができる。
【0067】
また、前記選別コンベア機構800が、車輌幅方向Xに沿って位置調整可能とされているので、コンテナCに対して該選別コンベア機構800の位置を任意に設定でき、選別者の作業性が良好なものとなる。例えば、収穫作業を行わないときに、前記コンベア支持部80を前記ステップ台650の上方に位置する退位置でロックすることで、前記選別コンベア機構800を挟んで車輌前後方向両側に設けられた選別者用スペース651において選別者が行き来しやすくなる。また、コンテナCが、可倒壁を有するものである場合には、該コンテナCの可倒壁を倒したり、起こしたりする際に有利となる。
【0068】
また、前記ステップ台650に前記掃除口652が設けられているので、選別作業で生じた不要物(例えば、根菜類の茎葉部や土等)を前記掃除口652にスムーズに落下させることができる。
【0069】
さらに、前記根菜収穫機100によると、前記コンテナ台600の後端部600bに設けられた前記ストッパー機構60について、前記コンテナ台600が水平姿勢をとる際には該コンテナ台600に載置されるコンテナCが後方へ移動することを防止し、且つ、該コンテナ台600が傾斜姿勢をとる際には該コンテナ台600に載置されるコンテナCが後方へ移動することを許容するように構成されているので、コンテナCの積み降ろしにあたって、例えば、荷降ろし作業の際には、前記ストッパー機構60によって水平姿勢から傾斜姿勢への移行中にコンテナCの滑り落ちを防止することができ、また積み込み作業の際には、前記ストッパー機構60によって傾斜姿勢から水平姿勢への移行中にコンテナCの滑り落ちを防止することができ、いずれにしてもコンテナCを一人の作業者のみで積み降ろしすることができ、従って、積み降ろし作業が容易となる。さらに、従来のような固定解除自在具等の操作部材による操作の必要がなく、コンテナCの積み降ろしの際の手間を軽減させることができると共に、コンテナCを固定するための構成を簡素化でき、それだけ根菜収穫機100の小型化且つ低コスト化を実現することができる。
【0070】
また、前記コンテナ台600が前記運転席50の後方に設置され、コンテナCを後方に降ろすように構成されているため、シンプルな構成で、すでに大根を掘り出した側の圃場にコンテナCを降ろすことができ、これにより、次行程の邪魔をすることなく、収穫作業を行うことができる。
【0071】
また、前記作動アーム63の接地端部63aが、側面視において、下方へ突出されたソリ形状とされているので、荷降ろしの際に接地する前記作動アーム63の前記接地端部63aを変形し難くすることができる。
【0072】
また、前記コンテナ台600が、車輌幅方向X一方側に位置する第1コンテナ台610と、車輌幅方向X他方側に位置する第2コンテナ台620とを有し、前記第2コンテナ台620が、前記第1コンテナ台610と同一平面上に位置する基準姿勢と、前記第1コンテナ台610に対して車輌前後方向Yに沿った軸線回り下方側へ揺動された折れ姿勢とをとり得るように構成されているので、前記コンテナ台600の全幅を小さくすることができる。
【0073】
また、前記コンテナ台600に、コンテナCの荷降ろしの際に該コンテナCが落下しやすいように表面の摩擦力を低くした摩擦力低減部材が設けられていると、コンテナCの荷降ろしの際に該コンテナCの滑りをよくすることができる。
【0074】
さらに、前記根菜収穫機100では、前記茎葉引き起こし機構30における前記一対の第1引き起こしプーリー31L,31Rにそれぞれ根菜類損傷防止用緩衝材33が設けられているので、大根Dの茎葉D1を引き起こす際に、たとえ土壌側に配置された前記第1引き起こしプーリー31L,31Rが大根Dの根部D2に接触したとしても、該緩衝材33によって、該大根Dの根部D2に対して衝撃を与え難くすることができ、それだけ該根部D2への損傷を抑えることができる。
【0075】
また、前記挟持搬送機構70における前記一対の第1搬送プーリー74L,74Rにそれぞれ根菜類損傷防止用緩衝材78が設けられているので、大根Dを引き上げる際に、たとえ茎葉引き起こし機構30側に配置された前記第1搬送プーリー74L,74Rが大根Dの根部D2に接触したとしても、該緩衝材78によって、該大根Dの根部D2に対して衝撃を与え難くすることができ、それだけ該根部D2への損傷を抑さえることができる。
【0076】
従って、前記根菜収穫機100によれば、大根Dを収穫する際の該大根Dの根部D2への損傷を抑制することができる。例えば、根部D2が地面eから突出し、該突出した突出部分が屈曲していたり、突出量が一定でない大根であっても、該根部D2に対する損傷を受け難くすることができる。
【0077】
また、前記茎葉引き起こし機構30において、前記緩衝材33が、前記一対の第1引き起こしプーリー31L,31Rの前側面に設けられているので、大根Dの根部D2への損傷を良好に抑えることができる。また、前記挟持搬送機構70において、前記緩衝材78が、前記一対の第1搬送プーリー74L,74Rの下側面に設けられているので、大根Dの根部D2への損傷を良好に抑えることができる。いずれにしても、前記緩衝材33,78が角部を除去した面取り形状とされているので、大根Dの根部D2に対してさらに衝撃を与え難くすることができ、それだけ該根部D2への損傷を抑えることができる。
【0078】
さらに、大根Dを引き抜く際に前記緩衝材33,78によっても茎葉D1を挟持できるため、すべりが少なく、安定した引き抜き性能が確保することができる。
【0079】
また、前記挟持搬送機構70において、前記搬送ベルト73L,73Rがスポンジを付設したスポンジ付き搬送ベルトである場合、前記緩衝材78が設けられていないと、スポンジが破損しやすくスポンジ破損時に該スポンジ付き搬送ベルト全てを交換することになるところ、本実施形態のように前記緩衝材78が設けられることで、スポンジ付き搬送ベルトのスポンジ部の破損を抑制することができる。従って、スポンジ付き搬送ベルトを交換しなくても、前記緩衝材78のみを交換すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明の実施に係る根菜収穫機の概略構成を示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施に係る根菜収穫機の概略構成を示す側面図である。
【図3】図3は、茎葉引き起こし機構における土壌側の左右一対の引き起こしベルト部分を拡大した一部断面を含む概略側面図である。
【図4】図4は、コンテナ台の後端部に設けられたストッパー機構の構成及び動作を説明するための概略側面図であって、図4(A)は、ストッパー機構のストッパーがコンテナ台の上面より上方へ突出する突出位置に位置している状態を示しており、図4(B)は、ストッパー機構のストッパーがコンテナ台の上面より下方へ退避する退避位置に位置している状態を示している。
【図5】図5は、挟持搬送機構における茎葉引き起こし機構側の左右一対の搬送ベルト部分を拡大した一部断面を含む概略側面図である。
【図6】図6は、選別コンベア機構の出退機構を説明するための図であって、図6(A)は、該選別コンベア機構の退位置の状態を車輌後方から視た概略側面図であり、図6(B)は、該選別コンベア機構の出位置の状態(ロック状態)を車輌後方から視た概略側面図である。
【図7】図7は、昇降装置の概略構成を模式的に示した平面図である。
【図8】図8は、緩衝材が設けられた茎葉引き起こし機構及び緩衝材が設けられた挟持搬送機構の収穫作業中の状態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0081】
10…走行機台 30…茎葉引き起こし機構
30L,30R…一対の引き起こしベルト
31L,31R…一対の第1引き起こしプーリー
32L,32R…一対の第2引き起こしプーリー 33…根菜類損傷防止用緩衝材
70…挟持搬送機構 73L,73R…一対の搬送ベルト
74L,74R…一対の第1搬送プーリー 75L,75R…一対の第2搬送プーリー
78…根菜類損傷防止用緩衝材 100…根菜収穫機 D…根菜類
D1…根菜類の茎葉 X…車輌幅方向 Y2…車輌後方

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機台と、
前記走行機台における車輌幅方向一方側の前方に配設された茎葉引き起こし機構と、
前記茎葉引き起こし機構の後方に配設された挟持搬送機構であって、前記茎葉引き起こし機構によって引き起こされた根菜類の茎葉を挟持して車輌後方且つ斜め上方に引き上げる挟持搬送機構とを備え、
前記茎葉引き起こし機構は、土壌中における根菜類の茎葉を車輌幅方向両側から挟持して前記挟持搬送機構に向けて引き起こす一対の引き起こしベルトと、前記一対の引き起こしベルトの土壌側をそれぞれ巻き掛ける一対の第1引き起こしプーリーと、前記一対の引き起こしベルトの土壌側とは反対側をそれぞれ巻き掛ける一対の第2引き起こしプーリーとを有しており、
前記一対の第1引き起こしプーリーには、それぞれ根菜類損傷防止用緩衝材が設けられていることを特徴とする根菜収穫機。
【請求項2】
前記緩衝材は、前記一対の第1引き起こしプーリーの両側面のうち少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の根菜収穫機。
【請求項3】
前記緩衝材は、前記第1引き起こしプーリーの径と同等又は該第1引き起こしプーリー径より大径のものであることを特徴とする請求項2に記載の根菜収穫機。
【請求項4】
前記緩衝材は、前記一対の第1引き起こしプーリーの前側面に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の根菜収穫機。
【請求項5】
前記緩衝材は、角部を除去した面取り形状とされていることを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の根菜収穫機。
【請求項6】
走行機台と、
根菜類の茎葉を挟持して車輌後方且つ斜め上方に引き上げる挟持搬送機構とを備え、
前記挟持搬送機構は、車輌幅方向両側から挟持して車輌後方且つ斜め上方に向けて搬送する一対の搬送ベルトと、前記一対の搬送ベルトの車輌前後方向前方側をそれぞれ巻き掛ける一対の第1搬送プーリーと、前記一対の搬送ベルトの車輌前後方向後方側をそれぞれ巻き掛ける一対の第2搬送プーリーとを有しており、
前記一対の第1搬送プーリーには、それぞれ根菜類損傷防止用緩衝材が設けられていることを特徴とする根菜収穫機。
【請求項7】
前記走行機台における車輌幅方向一方側の前方に配設された茎葉引き起こし機構をさらに備え、前記挟持搬送機構は、前記茎葉引き起こし機構の後方に配設され、該茎葉引き起こし機構によって引き起こされた根菜類の茎葉を挟持して車輌後方且つ斜め上方に引き上げるものであることを特徴とする請求項6に記載の根菜収穫機。
【請求項8】
前記緩衝材は、前記一対の第1搬送プーリーの両側面のうち少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の根菜収穫機。
【請求項9】
前記緩衝材は、前記第1搬送プーリーの径と同等又は該第1搬送プーリー径より大径のものであることを特徴とする請求項8に記載の根菜収穫機。
【請求項10】
前記緩衝材は、前記一対の第1搬送プーリーの下側面に設けられていることを特徴とする請求項8又は9に記載の根菜収穫機。
【請求項11】
前記緩衝材は、角部を除去した面取り形状とされていることを特徴とする請求項8から10の何れかに記載の根菜収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−238755(P2006−238755A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57213(P2005−57213)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(504352788)オサダ農機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】