説明

根菜類収穫機

【課題】
作物を圃場から引き抜き、茎葉部を切断し、残された茎葉部を処理して収穫する根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】
第1回転刃46oを挟持搬送装置45の搬送経路に対して機体外側に配置し、第1回転刃46oの下側に所定間隔をおいて押出回転体49を設け、押出回転体49を、茎葉部切断前の作物との接触により弾性変形し、茎葉部切断後の作物を弾性復元力によって挟持搬送装置45の搬送経路に対して機体内側に直交する方向に押し出す構成とし、第2回転刃46iを挟持搬送装置45の搬送経路に対して機体内側に配置すると共に第2回転刃46iの外周縁部を第1回転刃46oと押出回転体49との上下方向の間隔部に入り込ませ、切断装置47の後側に、搬送装置57上へ落下する作物の姿勢を、茎葉部の残る側が搬送装置57の搬送方向下手側を向くように規制する規制部材50を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から引き抜き、切断装置で茎葉部を切断し、切り残された茎葉部を残葉処理装置で処理して収穫する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の根菜類収穫機としては、切断装置で茎葉部を切断されて落下する作物の根部をベルトコンベアで受けて搬送し、このベルトコンベアと処理ローラとで根部に残る茎葉部を切除する技術が存在する。(特許文献1,2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006‐034248号公報
【特許文献2】特開2009‐106196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された根菜類収穫機では、作物がベルトコンベアに落下する際の方向を一定に定めることができず、茎葉部の残る側が処理ローラとは反対の方向を向くと、茎葉部が除去されないまま搬送され、後工程で残った茎葉部を処理する手間がかかり、作業能率が低下する問題がある。
【0005】
本発明は、これらの問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)から作物の茎葉部を引き継いで機体前側から機体後部へ向けて搬送する挟持搬送装置(45i,45o)を設け、該挟持搬送装置(45i,45o)の搬送経路上に作物の茎葉部を切断する左右一対の第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)とからなる切断装置(47)を設け、該切断装置(47)の下方に作物を機体外側から機体内側に搬送する搬送装置(57)を設け、該搬送装置(57)の搬送終端部上に、作物に残る茎葉部を除去する残葉処理回転体(56)を設けた根菜類収穫機において、前記第1回転刃(46o)を挟持搬送装置(45i,45o)の搬送経路に対して機体外側に配置し、該第1回転刃(46o)の下側に所定間隔をおいて押出回転体(49)を設け、該押出回転体(49)を、茎葉部切断前の作物との接触により弾性変形し、茎葉部切断後の作物を弾性復元力によって挟持搬送装置(45i,45o)の搬送経路に対して機体内側に直交する方向に押し出す構成とし、前記第2回転刃(46i)を挟持搬送装置(45i,45o)の搬送経路に対して機体内側に配置すると共に該第2回転刃(46i)の外周縁部を第1回転刃(46o)と押出回転体(49)との上下方向の間隔部に入り込ませ、前記切断装置(47)の後側に、前記搬送装置(57)上へ落下する作物の姿勢を、茎葉部の残る側が搬送装置(57)の搬送方向下手側を向くように規制する規制部材(50)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記押出回転体(49)の外周縁部に、茎葉部切断前の作物との接触により弾性変形し、茎葉部切断後の作物を弾性復元力により押し出す複数の押出突起(49a)を等間隔を空けて設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記第1回転刃(46o)と押出回転体(49)との上下方向の間隔部に前記第2回転刃(46i)の厚みよりも厚いスペーサー(48)を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機とした。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記切断装置(47)の下方で且つ搬送装置(57)の上方に、切断装置(47)による茎葉部切断後の作物を受けて搬送装置(57)に案内する案内部材(51)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、押出回転体(49)は茎葉部切断前の作物との接触により弾性変形するため、押出回転体(49)が切断装置(47)による茎葉部の切断を妨げず、茎葉部の切断精度を向上させることができる。
【0011】
そして、茎葉部切断後の作物を弾性復元力で茎葉搬送装置(45i,45o)の搬送経路に対して直交する方向に向かって押し出すので、作物の茎葉部が残る側、いわゆる肩部が搬送装置(57)の搬送終端部上に設けた残葉処理回転体(56)を向いた姿勢で落下し、作物に残る茎葉部を残葉処理回転体(56)で確実に除去することができ、後工程で茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率を向上させることができる。
【0012】
また、切断装置(47)の後側に作物の姿勢を所定方向に規制する規制部材(50)を設けたことにより、落下中の作物の姿勢が搬送装置(57)の搬送方向下手側を向くように規制でき、作物の肩部に残る茎葉部が残葉処理回転体(56)で確実に除去され、後工程で茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率をいっそう向上させることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、押出突起(49a)を押出回転体(49)の外周縁部に等間隔に設けたことにより、押出突起(49a)が搬送されて来る多数の作物に断続的に接触し、作物を1本ずつ確実に茎葉搬送装置(45i,45o)の搬送経路に対して直交する方向に向かって押し出すので、作物同士がぶつかり合って肩部が搬送装置(57)の搬送終端部側を向いた姿勢が乱れることを防止でき、作物の肩部に残る茎葉部を残葉処理回転体(56)で確実に除去できるので、作業能率を向上させることができる。
【0014】
また、弾性突起(49a)を等間隔に設けたことにより、隣接する弾性突起(49a)の間の空間部に切断前の茎葉部が入り込むため、茎葉部が切断装置(47)から逃げることを防止でき、茎葉部を確実に切断でき、作業能率を向上させることができる。
【0015】
また、押出突起(49a)を弾性体で構成したことにより、押出突起(49a)が作物に接触する際に作物を傷付けることを防止でき、商品価値を向上させることができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、第1回転刃(46o)と押出回転体(49)との上下方向の間隔部に、第2回転刃(46i)の厚みよりも厚いスペーサー(48)を設けたことにより、押出回転体(49)と第2回転刃(46i)との間に隙間が生じ、作物との接触によって上方に押し上げられた押出回転体(49)が切断装置(47)に巻き込まれて切断されることを防止でき、切断装置(47)に巻き込まれた押出回転体(49)を取り出す作業や押出回転体(49)の交換作業が必要なく、作業能率を向上させることができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、作物を搬送するために駆動している搬送装置(57)に作物が直接落下しないため、落下する作物が搬送装置(57)の駆動力によって姿勢を変更されることを防止でき、作物の肩部に残る茎葉部がより確実に除去されるので、作業能率をいっそう向上させることができる。
【0017】
また、作物の落下距離が短くなるので、落下の衝撃で作物が傷付くことを防止でき、商品価値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】根菜類収穫機の背面図
【図4】根菜類収穫機の要部側面図
【図5】根菜類収穫機の要部平面図
【図6】選別搬送部及び収容部の側面図
【図7】茎葉切断部の要部正面図
【図8】茎葉切断部の要部平面図
【図9】茎葉切断部の要部側面図
【図10】茎葉切断部の要部背面図
【図11】押出ディスクの平面図
【図12】押出ディスクの平面図
【図13】尾部切断装置の別実施例の正面図
【図14】尾部切断装置の別実施例の側面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図10に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する引継搬送部Eと、該引継搬送部Eから人参を引き継いで人参を機体後側へ搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、選別搬送部Eから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0020】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0021】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1及び図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0022】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0023】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0024】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を縦ラグ25aで引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を横ラグ26aで掬い上げる横引起し装置26と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31を設ける。
【0025】
さらに、前記引抜フレーム15,15の機体前側下部から機体前後方向おいて略中間位置に亘って左右のソイラフレーム32,32を取り付け、該ソイラフレーム32,32の前側端部に左右の振動アーム33,33の前側端部を取り付ける。そして、前記機体フレーム1の前側にエンジン7の駆動力を受けて回転する振動シャフト34を引抜搬送装置24を設けた側に向けて延出し、該振動シャフト34と該振動アーム33,33の後側端部との間に振動アーム33,33を振動させる側面視V字形状の振動ロッド35を取り付けて伝動装置Gを構成する。機体内側の振動アーム33は、振動ロッド35の下端側に回動自在に取り付ける。
【0026】
そして、前記ソイラフレーム32,32と振動アーム33,33との連結部に人参の周囲の土を切り解す左右のソイラ37,37を機体前側に向けて取り付け、振動アーム33,33の該ソイラ37,37の基部を取り付けた箇所の内側に左右の土落しステー38,38の基部を取り付け、振動装置36を構成する。
【0027】
なお、該ソイラ37は、土中に進入して人参の周囲の土を解す刃部37bと、該刃部37bからに後上方に向かう円弧状の取付部37aとから構成すると、ソイラ37が土中に進入する際にかかる抵抗が分散されて小さくなるので、機体の進行が円滑になり作業能率が向上すると共に、土質や天候などによる圃場条件の違いや人参の種類や生育状態の違いに合わせてソイラ37の上下位置調節が容易に行なえるので、人参が掘り取りやすくなり、作業能率が向上する。
【0028】
さらに、振動装置36を振動させる振動シャフト34の回転数は、ミッションケース8の変速動作に連動しない構成とすることによって、走行速度が低速の場合でも振動幅が変わらないので、低速作業時でも高速作業時でも左右のソイラ37,37を同じ幅で振動させることができるので、作業能率が向上するとともに、人参の周囲の土が切り解されて抜き残しが少なくなるので、収穫作業後に抜き残された人参を抜き取る作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0029】
また、該土落しステー38,38の後部に、人参に付着した土を落とす、ポリプロピレンやアクリル等の合成樹脂、あるいは棕櫚や羊歯など天然素材を用いた土落しブラシ39,39を取り付ける。なお、該土落しブラシ39,39は、上下に亘って同じ長さの毛を用いると、人参に接触する機会の多い上側がの毛が摩耗した際、土落しブラシ39,39の上下を転換させれば摩耗していない毛を人参に接触させることができるので、土落しブラシ39,39を長持ちさせることができる。
【0030】
さらに、前記土落しブラシ39,39の左右の間隔を機体前側が最も広く(幅W1)、機体後側に向かうほど狭くなるように配置するとともに、土落しブラシ39,39の左右幅の最も狭い部分(幅W2)を左右外側方向に向けて構成する。
【0031】
そして、前記左右のソイラ37,37の前端部に圃場面に垂れている茎葉を掬い上げる左右の掬上突起40,40を先端部が前記横引起し装置26の横ラグ26aよりも前方に位置するように配置する。また、該掬上突起40,40の前側に掬上突起40,40で掬い上げられた茎葉を引抜搬送装置24の挟持始端部に案内する左右の案内バー41,41を、平面視で「ハ」の字型となるように機体後側に向かうほど案内バー41,41同士の左右間隔が小さくなるように取り付ける。
【0032】
なお、該案内バー41,41はピアノ線などの柔軟性に富み、且つある程度の硬さを有する円柱形の弾性材で構成すると、振動幅が大きくなり、茎葉の絡み付き防止効果が向上する。
【0033】
さらに、前記掬上突起40,40よりも左右幅が広く且つ掬上突起40,40の上面を覆う後上り傾斜姿勢の左右の分草体42,42を夫々設ける。なお、分草体42,42の上部には、前記案内バー41,41が突出する空間部を形成する。
【0034】
また、前記引抜搬送通路Rの下方で且つ土落しブラシ39,39の後端部よりも後方の機体フレーム1上に、引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根(尾部)を切断する尾部切断装置43を取り付けることにより、収穫部Cが構成される。
【0035】
上記構成により、機体前側に縦引起し装置25と横引起し装置26とを設けたことによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を縦引起し装置25の縦ラグ25aで引き起こし、引き起こされた茎葉を横引起し装置26の横ラグ26aで掬い上げて引抜搬送装置24の挟持搬送始端部に移動させることができ、人参の茎葉が確実に引抜搬送装置24に挟持されて圃場から引き抜かれるので、抜き残される人参が減少し、作業能率が向上する。
【0036】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
そして、ソイラ37,37の先端部の掬上突起40,40に分草体42,42を設け、横引起し装置26が引き継ぎ損なった茎葉を分草体42で掬い上げ、案内バー41,41を介して引抜搬送装置24の挟持始端部に茎葉を案内する構成としたことによって、茎葉がいっそう確実に引抜搬送装置24に挟持されて圃場から引き抜かれるので、抜き残される人参が減少し、作業能率が向上する。
【0037】
さらに、縦引起し装置25、横引起し装置26や分草体42,42で茎葉を掬い上げることによって、人参を隠していた茎葉を取り除き、収穫する人参の視認性を向上させることができるので、人参の引き抜き位置が合わせやすくなり、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。加えて、分草体42,42は薄い板状の掬上突起40,40の周囲を覆う程度の左右幅であるので、収穫する人参の周囲の視認を妨げない。
【0038】
そして、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことによって、ゲージ輪31を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0039】
そして、機体フレーム9と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0040】
そして、左右のソイラ37,37を振動させる左右の振動アーム33,33に、土落しブラシ39,39を配置した左右の土落しステー38,38を取り付けたことによって、土落しブラシ39,39を配置したソイラ37,37とともに機体上下方向に振動するので、人参に付着した土を上下方向に亘って確実に削ぎ落とすことができるとともに、人参本体も振動するので、土落しブラシ39,39を配置したが接触しない部分の土も振動で落とすことができ、選別作業者が人参の傷(割れ、折れ、打ち身、腐りなど)や形状異常(二又、曲がり過ぎ、極小など)を判別しやすくなるため、人参の選別精度が向上する。
【0041】
また、土落しステー38,38の基部を、振動アーム33,33のソイラ37,37の基部とは反対側に取り付けたことによって、土落しステー38,38が隣接条の、特に未堀側(まだ引き抜いていない側)の人参から離間するので、土落しステー38,38が未掘側の人参に接触することが防止でき、人参が傷付くことが防止されて商品価値が向上する。加えて、人の手も近付きにくくなるので、安全性が向上する。
【0042】
さらに、土落しブラシ39,39が振動装置36によって振動することにより、特別に振動機構を設ける必要がなく、部品点数が削減されてコストダウンや資源保全が図られるとともに、機体構成が簡潔になり、機体の組み立てやメンテナンスが容易化される。
【0043】
そして、土落しブラシ39,39の間隔を機体前側が最も広く、機体後側を狭くなる配置としたことによって、人参のように上側の径が下側の径より大きな作物が通過する際、土落しブラシ39,39の左右間に引っ掛かることなく通過することができるので、人参の収穫作業が中断されることがなく、作業能率が向上する。また、人参に付着していた土を上下方向に亘って確実に落とすことができ、選別作業者が人参の傷や形状異常を判別しやすくなるため、人参の選別精度が向上する。
【0044】
また、土落しブラシ39,39の後側が狭く形成されたことにより、小径の人参が通過する際、少なくとも土落しブラシ39,39の最も狭い後端部付近で土落しバー38,38に接触するので、人参に付着していた土を確実に落とすことができ、選別作業者が人参の傷や形状異常を判別しやすくなるため、人参の選別精度が向上する。
【0045】
そして、土落しブラシ39,39を機体フレーム1及び尾部切断装置43よりも機体前側に配置したことによって、人参に付着していた土は振動するソイラ37,37上や圃場に落下するので、機体に付着した土を除去する作業が省略されるので、メンテナンス性が向上すると共に作業者の労力が軽減される。特に、土落しブラシ39,39の左右を連結していないことにより土はいっそう落下しやすく、また左右を連結していないことにより、土落しブラシ39,39の角度調節を左右別々に行うことができるので、様々な作業条件に対応することができる。
【0046】
そして、人参に付着していた土が取り除かれた状態で尾部切断装置43に接触するので、尾部切断装置43の内部に人参から落下した土が溜まることが防止されてメンテナンス性が向上するとともに、土に接触する抵抗で尾部切断装置43の切断刃(図示せず)が破損することが防止されるので、耐久性が向上する。
【0047】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
図1〜図3及び図9で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右伝動軸94,94を取り付け、該左右伝動軸94,94の上部に左右伝動ケース95,95を取り付けると共に、該左右伝動ケース95,95内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右第1ギアユニット96,96を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右伝動軸94,94に左右第2ギアユニット97,97を機体後側に向かって取り付け、該左右第2ギアユニット97,97の後端部に左右第1出力軸98,98を機体上方に向けて軸着する。
【0048】
そして、前記左右第1ギアユニット96,96の前端部に左右第2出力軸99,99を機体下方に向けて軸着し、該左右第2出力軸99,99に左右首揃え駆動プーリ100,100を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース95,95の前端下部に左右首揃え従動プーリ101,101を軸着した左右回転軸102,102を設け、該左右首揃え従動プーリ101,101と前記左右首揃え駆動プーリ100,100との前後間に複数の左右首揃えテンションプーリ103,103…を回転自在に取り付ける。そして、該左右首揃え従動プーリ101,101と前記左右首揃え駆動プーリ100,100と左右首揃えテンションプーリ103,103…との間に左右首揃え搬送ベルト104,104を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から引き継がれる人参の茎葉部の切断位置を略一定に揃える機体内外側一対の首揃え装置44i,44oが、引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0049】
また、前記左右第1出力軸98,98に左右茎葉搬送駆動プーリ106,106を軸着し、前記左右第1ギアユニット96,96よりも機体前側で且つ首揃え装置44i,44oの上方に左右茎葉搬送従動プーリ107,107を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ106,106と左右茎葉搬送従動プーリ107,107とに左右排葉搬送ベルト108,108を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置109が、前記左右伝動ケース95,95の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0050】
さらに、前記左右第1出力軸98,98の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ110,110を軸着し、前記左右伝動ケース95,95の上方に左右残葉搬送従動プーリ111,111を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111との前後間に複数の左右残葉搬送テンションプーリ112,112…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111と左右残葉搬送テンションプーリ112,112…とに左右残葉搬送ベルト113,113を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置114が、前記排葉搬送装置109の上方に構成される。
【0051】
上記排葉搬送装置109と残葉搬送装置114とから、機体内外側一対の茎葉搬送装置45i,45oが構成される。
そして、前記機体外側の首揃え装置44oの後方で且つ機体外側の茎葉搬送装置45oを構成する機体外側の第1ギアユニット96に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第1回転刃46oを取り付け、機体内側の首揃え装置44iの後方で且つ機体内側の茎葉搬送装置45iを構成する機体内側の第1ギアユニット96に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第2回転刃46iを回転自在に取り付け、該第2回転刃46iの外周縁部を第1回転刃46oよりも下方に配置して茎葉切断装置47を構成する。なお、第1切断刃46oと第2切断刃46iとは、茎葉部の外周縁部がオーバーラップする配置とし、互いに機体左右の内側方向に回転する構成とする。
【0052】
また、前記第2切断刃46iの下方で且つ第1切断刃46oの回転軸fの下方に第1切断刃46o及び第2切断刃46iの板厚よりも厚いスペーサー48を装着し、該スペーサー48の下方に、茎葉部切断前の人参の茎葉部と根部の境目(以下、肩部と呼称)近傍に側方から接触して弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって茎葉搬送装置45i,45oの搬送方向に対して直交する方向(機体内側方向)に押し出し、後述する残葉処理コンベア57に人参の肩部が残葉処理ローラ56を配置した側(機体内側)に向けられた状態で落下させる押出ディスク49を装着する。該押出ディスク49は、ゴム等の変形し易く弾性力の強い弾性体で構成し、前記第1切断刃46oと共に回転する構成とする。
【0053】
なお、押出ディスク49にベアリング(図示せず)等を設け、押出ディスク49を人参との接触により回転する構成としてもよく、全く回転しない構成としてもよい。
また、押出ディスク49は第1切断刃46oと略同径、もしくは第1切断刃46oよりもやや大径とすると、押出ディスク49が人参の肩部に接触しやすくなり、人参の肩部が機体内側方向を向いた姿勢にすることができ、残葉処理コンベア57で確実に根部に残った茎葉部が処理され、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0054】
そして、スペーサー48の厚みは、第1切断刃46o、第2切断刃46iの平均的な厚みが1mm前後であるので、2mm前後とすると第1切断刃46o及び第2切断刃46iが押出ディスク49を巻き込みにくくなる。胴切り(茎葉部と根部の境目でなく、根部の上部を切断する方法。野菜ジュース等の加工品は外観の良し悪しがさほど重要でなく、茎葉部が無いことが重要であるため、このような切断方法が可能となる)など、第1切断刃46o及び第2切断刃46iの厚みを厚くする必要がある場合は、スペーサー48の厚みをそれ以上にするとよい。
【0055】
さらに、図11で示すように、押出ディスク49を、スターホイルのように該周部に複数の尖り形状の押出突起49aを等間隔に設ける構成とすると、押出突起49aが人参に断続的に接触し、人参を1本ずつ機体内側方向に押し出すので、確実に人参の肩部の向きを残葉処理ローラ56を設けた残葉処理コンベア57の搬送方向終端側(機体内側方向)を向く姿勢とすることができ、残葉処理ローラ56で確実に根部に残った茎葉部を処理できるので、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0056】
加えて、押出突起49a同士の間の空間部に搬送中の茎葉部が入り込むので、茎葉部が茎葉切断装置47から逃げることが防止され、確実に茎葉部を切断して人参を機体内側方向に押し出せるので、茎葉部が切断されなかった茎葉搬送装置45i,45oの終端部まで人参が移動して排出されることがなく、作業能率が向上すると共に、排出された人参を圃場から拾い集める必要もなく、作業にかかる労力が軽減される。
【0057】
さらに、図12で示すように、押出突起49aを円弧状に形成すると、上述の尖り形状の押出突起49aよりも接触時間が短くなるので、落下する人参をより確実に1本ずつ押し出すことができ、いっそう作業能率が向上すると共に、茎葉部が茎葉切断装置47からいっそう逃げにくくなるので、上記の作業能率向上効果と作業にかかる労力の軽減効果が著しいものとなる。
【0058】
そして、前記茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設け、該茎葉切断装置47の下方で且つ後述する残葉処理コンベア57の上方に、落下してくる人参を受けるクッションプレート51を、残葉処理コンベア57の搬送方向に沿って少なくとも人参の落下位置よりも搬送方向下手側に亘って配置する。
【0059】
なお、該規制プレート50及びクッションプレート51は、ゴムや塩化ビニル等の軟質材で構成すると、衝突の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値を向上させることができる。
【0060】
また、前記機体内側及び外側の茎葉搬送装置45i,45oの終端部から茎葉切断装置47によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ52を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
【0061】
上記構成により、機体外側の第1切断刃46oの回転軸fの下方に装着された押出ディスク49は、茎葉部切断前の作物に接触すると弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって押し出し、切り残された茎葉部が残る人参の肩部を茎葉搬送装置45i,45oの搬送経路に対して直交する方向(機体内側方向)に向けることができるので、残葉処理コンベア57に設けた残葉処理ローラ56で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。この押出ディスク49は機体外側に設けられているので、正常に引抜搬送装置24に挟持搬送されてきた人参であれば、機体外側に向かって押し出されることはない。
【0062】
また、茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設けたことにより、落下中に人参の姿勢が変化することを防止でき、人参の肩部に残る茎葉部を残葉処理コンベア57で確実に除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0063】
そして、茎葉切断装置47の下方で且つ残葉処理コンベア57の上方に、落下してきた人参を受けるクッションプレート51を設けたことにより、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0064】
また、押出ディスク49に押し出された人参は、下端部(以下、尻尾部と呼称)から落下するが、収穫作業中は一定方向に動き続けている残葉処理コンベア57上に落下すると残葉処理コンベア57の搬送力により、肩部が搬送方向の反対側を向いてしまうことがある。しかしながら、クッションプレート51を残葉処理コンベア57の上方に設けたことにより、人参はクッションプレート51に接触して残葉処理コンベア57の搬送方向に沿う姿勢となってから残葉処理コンベア57に載って搬送されるので、残葉処理コンベア57で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0065】
さらに、茎葉切断装置47で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ52が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト19,19や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0066】
次に、引継搬送部Eについて説明する。
前記茎葉切断装置47の下方に前後残葉処理フレーム53,53を設け、該前後残葉処理フレーム53,53の左右両側の前後間に左右残葉処理ローラ54,54を回転自在に取り付ける。そして、該左右残葉処理ローラ54,54にゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト55を無端状に巻回し、該残葉処理ベルト55の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト55と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ56を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア57を構成する。
【0067】
また、該残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に茎葉切断装置47よりも機体前側に落下した作物を受ける格子状の受け台58を下り傾斜姿勢で設け、機体左右一側部で且つ該受け台58よりも機体内側に汲上搬送駆動ローラ59を設けると共に、左右他側部側に汲上搬送従動ローラ60を設ける。そして、前記残葉処理コンベア57よりも機体前側で且つ残葉処理コンベア57に隣接させて、汲上搬送駆動ローラ59と汲上搬送従動ローラ60とに汲上搬送ベルト61を無端状に巻回して、前記残葉処理コンベア57と受け台58とから人参を引き継いで機体左右他側に汲上搬送する汲上搬送コンベア62が構成される。
【0068】
前記残葉処理コンベア57と上り傾斜姿勢に設ける汲上搬送コンベア62とから、汲上搬送部Eが構成される。
上記構成により、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ローラ56が、茎葉切断装置47で切り残された人参の残葉を千切り取りながら汲上搬送コンベア62に人参を搬送するため、人参の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0069】
また、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ベルト55をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置47で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト55が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0070】
そして、残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に格子状の受け台58を下り傾斜姿勢に設けたことによって、茎葉切断装置47よりも機体前側で茎葉部が千切れる等して落下した人参を、機外に落とすことなく受け止めることができると共に、受けた人参を汲上搬送コンベア62に向かって移動させることができるので、収穫作業後に機外に落ちた人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、茎葉切断装置47よりも機体前側で落下した人参を搬送経路に戻すことができるので、作業能率が向上する。
【0071】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図2、図3及び図6で示すように、操縦部Bの後部に左右選別搬送フレーム63,63を取り付け、該左右選別搬送フレーム63,63の機体前側の左右間に選別搬送駆動ローラ64を回転自在に取り付け、該選別搬送駆動ローラ64よりも機体後側に選別搬送従動ローラ65を回転自在に取り付ける。また、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65との間に選別搬送テンションローラ66を回転自在に取り付ける。そして、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65と選別搬送テンションローラ66とに複数の弾性体突起を備える弾性体ベルト67を無端状に巻回することによって、後上り傾斜姿勢の選別搬送コンベア68が構成される。さらに、該選別搬送コンベア68を始端部が汲上搬送部Eの汲上コンベア62の終端下方に位置するように配置する。
【0072】
また、前記選別搬送従動ローラ65の回転軸にシュータ69を上下回動自在に取り付け、該シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けることによって、選別搬送部Fが構成される。
【0073】
上記のように、シュータ69を上下回動自在に設けたことによって、シュータ69を下方回動させると人参を後述する収容部Gに設置するコンテナやフレコンバッグ等の収容容器73に緩やかに落とすことができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0074】
また、シュータ69を上方に回動させると、選別搬送コンベア68の終端側を塞ぐストッパとなるため、人参が満杯になったコンテナを交換する際、選別搬送コンベア68を停止させなくても人参が終端部から落下することを防止することができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の品質が向上すると共に、選別搬送コンベア68の動力の入切を頻繁に行う必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0075】
また、シュータ69を上方回動させてストッパとし、選別搬送コンベア68を停止させないことによって、人参は選別搬送コンベア68の終端側に溜まるので、従来のように汲上搬送コンベア58の搬送終端部から落下してきた人参が選別搬送コンベア68の搬送始端部に滞留している人参に接触して傷付くことが防止されるので、人参の商品価値が向上する。
【0076】
さらに、シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けたことによって、補助作業者は後述する補助作業座席78に座ったままシュータ69を上下回動させることができるので、補助作業者の労力が軽減される。
【0077】
次に、収容部Gについて説明する。
図1〜図3で示すように、前記左右選別搬送フレーム63,63の下部に左右支持フレーム71,71を設け、該左右支持フレーム71,71に伸縮自在なダンパ72の一端を取り付ける。そして、左右選別搬送フレーム63,63の後下部に人参を収容するコンテナやフレコンバッグ、袋体等の収容容器73を設置する収容容器置台74を上下回動自在に且つ上り傾斜姿勢に取り付けると共に、該収容容器置台74にダンパ72の他端を取り付ける。
【0078】
また、該収容容器置台74の後端部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を上下回動自在で且つ上り傾斜姿勢で取り付ける。さらに、前記収容容器置台74や選別搬送コンベア68や右クローラ6Rよりも機体左右他側に機体前後方向に長い人参を収容した収容容器73を積載する収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付ける。
【0079】
そして、該収容容器積載台76の機体外側に、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77を取り付け、該支持フレーム77の上に補助作業者が着座する補助作業座席78を取り付ける。そして、前記収容容器積載台76の後部に予備の収容容器73を設置する第2予備収容容器置台79を取り付けて、収容部Gが構成される。
【0080】
上記のように、上り傾斜姿勢に設けられた収容容器置台74に伸縮自在なダンパ72の他端を取り付けていることによって、収容容器73に人参が収容されて重くなるにつれて収容容器置台74が下降するため、人参が収容容器73の一部に偏って投入されることが防止されるので、収容容器73交換の頻度が減少し、作業者の労力が軽減される。
【0081】
また、収容容器置台74の後部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を設けたことによって、人参が満載された収容容器73が収容容器置台74から取り除かれるとダンパ72が伸びて収容容器置台74が上り傾斜姿勢に戻り、予備収容容器置台75に設置されている収容容器74が収容容器置台74に滑り落ちて設置されるので、収容容器73を手作業で設置する必要がなくなり、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0082】
そして、機体左右外側に収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付けていることによって、圃場へ向かう際や圃場から帰る際には収容容器積載台76を機体内側に折り畳んで機体の左右幅をコンパクトにすることができるので、小型のトラックにも積み込みやすく、輸送性が向上する。
【0083】
さらに、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77上に補助作業座席78を設けたことによって、補助作業者は選別搬送コンベア68に近い位置で選別作業ができるので選別精度が向上すると共に、収容容器73が収容容器積載台76上を移動するのを妨げないため、作業能率が向上する。
【0084】
また、収容容器積載台76の後部に第2予備収容容器置台79を取り付けたことによって、機体に多くの収容容器73を搭載しておくことができるので、長時間連続して収穫作業を続けることができ、作業能率が向上する。
【0085】
以下、本件人参の収穫機の別実施例を説明する。
図13、図14で示すように、機体内側に円周上にラック80aを形成した左尾部切断フレーム80を設け、機体外側に右尾部切断フレーム81を設け、該左尾部切断フレーム80と右尾部切断フレーム81の外周部より内側に円形状の左右の仕切部材82,82を取り付ける。そして、該仕切部材82,82よりも外周で且つ左尾部切断フレーム80と右尾部切断フレーム81の外周部よりも内周に、中心部ほど左右方向に長い、人参の下部に付着した泥を除去する左右の泥落しブラシ83,83…を円周状に配置する。
【0086】
また、前記左右の仕切部材82,82よりも内周部で且つ左尾部切断フレーム80と右尾部切断フレーム81との左右間に、人参の下端部から下方に垂れ下がるヒゲ根を切断する正面視(背面視)で「コ」の字形状のヒゲ根切断刃84を回転軸85に軸着して設け、該回転軸85の機体外側端部を第1ベアリング86に軸着して右尾部切断フレーム81に取り付ける。さらに、前記回転軸85の機体内側端部を左尾部切断フレーム80に取り付けた第2ベアリング87を貫通させ、該回転軸85の機体内側端部に第1カウンタギア88を軸着し、該第1カウンタギア88よりも機体内側に設ける取付フレーム89の下部を貫通させ、前記回転刃85を人参の搬送方向に沿った回転方向(側面視で時計回り方向)に回転させる駆動モータ90の出力軸と連結する。
【0087】
そして、該取付フレーム89の上部に、左右の尾部切断フレーム80,81を人参の搬送方向とは逆方向(側面視で反時計回り)に回転させる第2カウンタギア91を第1カウンタギア88と前記左尾部切断フレーム80のラック80aとに噛み合わせて回転自在に取り付ける。
【0088】
また、前記左右の尾部切断フレーム80,81の下部で且つ左右の泥落しブラシ83,83…の左右間に、ヒゲ根切断刃84に付着したヒゲ根や泥等の夾雑物を除去するスクレーパ92を取り付けて、泥落し付き尾部切断装置93を構成してもよい。
【0089】
なお、スクレーパ92は正面視(背面視)で台形形状とし、ゴム等の弾性体で構成すると、泥落しブラシ83,83…に干渉することなく回転刃85に付着した夾雑物を確実に落とすことができ、ヒゲ根切断刃84の切断性が長時間維持され、作業能率が向上する。
【0090】
また、スクレーパ92の上面にブラシ体94を設けると、ヒゲ根切断刃84が摩耗しにくくなり、ヒゲ根切断刃84の耐久性が向上する。
【符号の説明】
【0091】
24 引抜搬送装置
45i 茎葉搬送装置(挟持搬送装置)
45o 茎葉搬送装置(挟持搬送装置)
46i 第2切断刃(第2切断部材)
46o 第1切断刃(第1切断部材)
47 茎葉切断装置(切断装置)
48 スペーサー
49 押出ディスク(押出回転体)
49a 押出突起
50 規制プレート(規制部材)
51 クッションプレート(案内部材)
56 残葉処理ローラ(残葉処理回転体)
57 残葉処理コンベア(搬送装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)から作物の茎葉部を引き継いで機体前側から機体後部へ向けて搬送する挟持搬送装置(45i,45o)を設け、該挟持搬送装置(45i,45o)の搬送経路上に作物の茎葉部を切断する左右一対の第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)とからなる切断装置(47)を設け、該切断装置(47)の下方に作物を機体外側から機体内側に搬送する搬送装置(57)を設け、該搬送装置(57)の搬送終端部上に、作物に残る茎葉部を除去する残葉処理回転体(56)を設けた根菜類収穫機において、
前記第1回転刃(46o)を挟持搬送装置(45i,45o)の搬送経路に対して機体外側に配置し、該第1回転刃(46o)の下側に所定間隔をおいて押出回転体(49)を設け、該押出回転体(49)を、茎葉部切断前の作物との接触により弾性変形し、茎葉部切断後の作物を弾性復元力によって挟持搬送装置(45i,45o)の搬送経路に対して機体内側に直交する方向に押し出す構成とし、前記第2回転刃(46i)を挟持搬送装置(45i,45o)の搬送経路に対して機体内側に配置すると共に該第2回転刃(46i)の外周縁部を第1回転刃(46o)と押出回転体(49)との上下方向の間隔部に入り込ませ、前記切断装置(47)の後側に、前記搬送装置(57)上へ落下する作物の姿勢を、茎葉部の残る側が搬送装置(57)の搬送方向下手側を向くように規制する規制部材(50)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記押出回転体(49)の外周縁部に、茎葉部切断前の作物との接触により弾性変形し、茎葉部切断後の作物を弾性復元力により押し出す複数の押出突起(49a)を等間隔を空けて設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記第1回転刃(46o)と押出回転体(49)との上下方向の間隔部に前記第2回転刃(46i)の厚みよりも厚いスペーサー(48)を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記切断装置(47)の下方で且つ搬送装置(57)の上方に、切断装置(47)による茎葉部切断後の作物を受けて搬送装置(57)に案内する案内部材(51)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−273621(P2010−273621A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130272(P2009−130272)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】