説明

根菜類収穫機

【課題】
作業速度を速くしても作物がひげ根切断装置に接触したり、左右に揺さ振られてひげ根切断装置から逃げることを防止し、確実に作物のひげ根を切断できる根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】
作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置24を設け、引抜搬送装置24の下方に搬送中の作物のひげ根を切断する下部切断装置47を設け、引抜搬送装置24の搬送終端側で茎葉部の切断位置を揃える位置揃え装置71を設け、位置揃え装置71の上方に引抜搬送装置24から茎葉部を引き継ぎ後方に搬送する茎葉搬送装置80を設け、茎葉搬送装置80の下方で且つ位置揃え装置71の後方に茎葉部を切断する茎葉切断装置76を設け、下部切断装置47の搬送方向前側に作物を受けて案内する根部案内部材46を設け、下部切断装置47と引抜搬送装置24の間に作物の姿勢を整える支持案内機構59を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から引き抜き、作物の根部下部のひげ根を取り除いて収穫する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の根菜類収穫機としては、引抜搬送装置で搬送中の作物が下部切断装置の上方を通過する際、作物の根部下部を下部切断装置のカバーに形成したスリットに案内し、搬送方向に沿って回転する切断回転刃で切断する技術が存在する。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007− 28992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された根菜類収穫機では、収穫作業の能率を上げるべく引抜搬送装置の搬送速度を速くすると、作物が下部切断装置のカバーに接触して弾かれ、作物の根部下部が切断されずに後方に搬送されてしまい、収穫作業後に人手で作物の根部下部を取り除かなければならず、作業者の労力が増大するという問題がある。
【0005】
また、茎葉を挟持して搬送している作物が前後左右に揺さ振られると、下部切断装置の上方を通過する作物の根部下部が下部切断装置の切断作用域に接触せず、作物の根部下部が切断されずに後方に搬送されてしまい、収穫作業後に人手で作物の根部下部を取り除かなければならず、作業者の労力が増大するという問題がある。
【0006】
本発明は、これらの問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、機体左右一側に作物を圃場から引き抜き搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)の搬送経路の下方に搬送中の作物の根部下部を切断する下部切断装置(47)を設け、前記引抜搬送装置(24)の搬送終端側で作物の上部を接触させて作物の茎葉部の切断位置を揃える位置揃え装置(71)を設け、該位置揃え装置(71)の上方に引抜搬送装置(24)から茎葉部を引き継ぎ後方に搬送する茎葉搬送装置(80)を設け、該茎葉搬送装置(80)の下方で且つ位置揃え装置(71)の後方に作物の茎葉を切断する茎葉切断装置(76)を設けた根菜類収穫機において、前記下部切断装置(47)の搬送方向前側に作物の根部下部を受けて案内する根部案内部材(46)を設け、該下部切断装置(47)と引抜搬送装置(24)との上下間に作物の姿勢を整えて案内する支持案内機構(59)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記根部案内部材(46)を弾性材で構成し、該根部案内部材(46)の基部側を端部側よりも厚く構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記根部案内部材(46)の内部に空間部(46a)を構成し、該空間部(46a)に流入する空気の量に応じて根部案内部材(46)が伸縮する構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機とした。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記引抜搬送装置(24)の搬送方向前後間で且つ位置揃え装置(71)よりも搬送方向前方に張圧回転体(49)を設け、該張圧駆動回転体(49)の回転軸に前記支持案内機構(59)の駆動回転体(50a)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記支持案内機構(59)を、上段支持案内機構(57)と下段支持案内機構(58)とで構成したことを特徴とする請求項1または4記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明の効果は、下部切断装置(47)の搬送方向前側に根部案内部材(46)を設けたことにより、作物の根部下部を根部案内部材(46)で受けて減速させてから下部切断装置(47)に作物の根部下部を案内するので、作物の根部下部が下部切断装置(47)から逃げて切断されないまま後方に搬送されてしまうことを防止でき、収穫後に手作業で作物の根部下部を除去する必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0013】
また、下部切断装置(47)と引抜搬送装置(24)との上下間に支持案内機構(59)を設けたことにより、引抜搬送装置(24)で搬送中の作物が前後左右に揺さ振られることを防止できるので、作物の根部下部が下部切断装置(47)から離れて切断されないまま後方に搬送されてしまうことを防止でき、収穫後に手作業で作物の根部下部を除去する必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0014】
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、根部案内部材(46)を弾性体で構成したことにより、作物が根部案内部材(46)に接触すると根部案内部材(46)が撓んで衝撃を吸収するので、作物が下部切断装置(47)から逃げることを防止でき、収穫後に手作業で作物の根部下部を除去する必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0015】
また、根部案内部材(46)の基部を端部よりも厚く構成したことにより、作物と接触した際に根部案内部材(46)が撓み易いので、作物を受けると確実に下部切断装置(47)に案内することができ、作物の根部下部が確実に切断される。
【0016】
請求項3記載の発明の効果は、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、
根部案内部材(46)に空間部(46a)を形成し、この空間部(46a)に流入する空気の量に応じて根部案内部材(46)が伸縮する構成としたことにより、作物の根部下部の長さや、引抜搬送装置(24)の搬送速度に合わせて根部案内部材(46)の長さを調節することができるので、作物の根部下部が確実に切断される。
【0017】
請求項4記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、引抜搬送装置(24)に設けた張圧回転体(49)の回転軸に支持案内機構(59)の駆動回転体(50)を設けたことにより、支持案内機構(59)を駆動回転させて作物を引抜搬送方向(24)の搬送方向に移動させることができるので、支持案内機構(59)が引抜搬送装置(24)の作物の搬送を妨げることがなく、作物が下部切断装置(47)から逃げることを防止でき、収穫後に手作業で作物の根部下部を除去する必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0018】
また、支持案内機構(59)の駆動力を引抜搬送装置(24)から得ることができるので、支持案内機構(59)に駆動力を伝動する伝動機構を新たに設ける必要がなく、機体の構成が簡略になりメンテナンス性が向上すると共に、部品点数が削減される。
【0019】
請求項5記載の発明の効果は、請求項1または4記載の発明の効果に加えて、支持案内機構(59)を上段支持案内機構(57)と下段支持案内機構(58)とで構成したことにより、作物を上下二点で支持することができるので、引抜搬送装置(24)の搬送により作物が揺さ振られることがいっそう防止され、作物を受けると確実に下部切断装置(47)に案内して作物の根部下部を確実に切断できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】根菜類収穫機の要部拡大側面図
【図4】根菜類収穫機の要部拡大平面図
【図5】根菜類収穫機の要部拡大図
【図6】ひげ根切断装置の周囲の要部側面図
【図7】ひげ根切断装置の要部平面図
【図8】ひげ根切断装置の要部側面図
【図9】ひげ根切断装置の要部正面図
【図10】茎葉切断部の側面図
【図11】位置揃え装置の要部平面図
【図12】位置揃え装置の要部正面図
【図13】(a)位置揃え装置の要部側面断面図、(b)位置揃え装置の要部側面図
【図14】選別搬送部の側面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図14に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する引継搬送部Eと、該引継搬送部Eから人参を引き継いで人参を機体後側へ搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、選別搬送部Eから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0022】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1〜図2で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0023】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1及び図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0024】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0025】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
まず、図1、図2で示すように、左右の引抜フレーム15,15の機体前側に左右の従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右の駆動プーリ17,17を装着し、該左右の従動プーリ16,16と左右の駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右の挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数の左右のテンションローラ19,19…によって該左右の挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右の挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に機体左右方向の横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右の駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0026】
また、図3〜図5で示すように、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を縦ラグ25aで引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を横ラグ26aで掬い上げる横引起し装置26と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31を設ける。
【0027】
さらに、前記引抜フレーム15,15の機体前側下部から機体前後方向おいて略中間位置に亘って左右のソイラフレーム32,32を取り付け、該ソイラフレーム32,32の前側端部に左右の振動アーム33,33の前側端部を取り付ける。そして、前記機体フレーム1の前側にエンジン7の駆動力を受けて回転する振動シャフト34を引抜搬送装置24を設けた側に向けて延出し、該振動シャフト34と該振動アーム33,33の後側端部との間に振動アーム33,33を振動させる側面視V字形状の振動ロッド35を取り付けて伝動装置Gを構成する。機体内側の振動アーム33は、振動ロッド35の下端側に回動自在に取り付ける。
【0028】
そして、前記振動アーム33,33の前後方向の略中央位置に人参の周囲の土を切り解す左右のソイラ37,37を機体前側に向けて取り付け、振動アーム33,33の該ソイラ37,37の基部を取り付けた箇所の内側に人参に付着した土を落とす側面視でU字形状の左右の土落しバー38,38の基部を取り付け、該土落しバー38,38の端部側の作用部を圃場面に対して略水平姿勢に配置して、振動装置36を構成する。
【0029】
なお、振動装置36を振動させる振動シャフト34の回転数は、ミッションケース8の変速動作に連動しない構成とすることによって、走行速度が低速の場合でも振動幅が変わらないので、低速作業時でも高速作業時でも左右のソイラ37,37を同じ幅で振動させることができるので、作業能率が向上するとともに、人参の周囲の土が切り解されて抜き残しが少なくなるので、収穫作業後に抜き残された人参を抜き取る作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0030】
また、該土落しバー38,38はピアノ線などの柔軟性に富み、且つある程度の硬さを有する円柱形の弾性材で構成し、表面をポリ塩化ビニルやスポンジ、ウレタンなどの軟質材でチューブ状に構成するカバー39,39で覆う。
【0031】
なお、該カバー39,39は土落しバー38,38から着脱自在に取り付けておくと、カバー39,39が摩擦等で劣化した際、すぐに交換することができる。
さらに、前記土落しバー38,38の左右の間隔を機体前側が最も広く、機体後側に向かうほど狭くなるように形成するとともに、土落しバー38,38の左右幅の最も狭い部分を左右外側方向に曲げて構成する。
【0032】
そして、前記左右のソイラ37,37の前端部に圃場面に垂れている茎葉を掬い上げる左右の掬上突起40,40を先端部が前記横引起し装置26の横ラグ26aよりも前方に位置するように配置する。また、該掬上突起40,40の前側に掬上突起40,40で掬い上げられた茎葉を引抜搬送装置24の挟持始端部に案内する左右の案内バー41,41を、平面視で「ハ」の字型となるように機体後側に向かうほど案内バー41,41同士の左右間隔が小さくなるように取り付ける。
【0033】
なお、該案内バー41,41はピアノ線などの柔軟性に富み、且つある程度の硬さを有する円柱形の弾性材で構成すると、振動幅が大きくなり、茎葉の絡み付き防止効果が向上する。
【0034】
また、図6〜図9で示すように、前記引抜搬送通路Rの下方で且つ土落しバー38,38の後端部よりも後方の掘取フレーム20に複数のスリット43s…を形成した円弧形状のガイドカバー43を取り付ける。
【0035】
そして、該ガイドカバー43の内側に引抜搬送装置24で搬送中の人参の根部下部のひげ根を切断する正面視(または背面視)でコの字形状の回転切断刃44を設け、該回転切断刃44の回転径の内側に駆動力を供給する駆動モータ45を出力軸45aを介して取り付ける。
【0036】
なお、上記駆動モータ45は、平面視では回転切断刃44を引抜搬送装置24の人参の搬送方向と同一方向に、側面視では時計回り(右回り)に回転させる。この駆動モータ45は機体のバッテリ(図示せず)から電力を受け、操縦部Bからの操作で駆動する電動モータを用いているが、油圧モータ等を用いてもよい。
【0037】
加えて、変速レバー13の切替による走行速度の変化に合わせて該駆動モータ45の回転数が変化する構成としてもよい。これにより、走行速度を上げて引抜搬送装置24に引抜搬送される人参の数が多くなると共に、引抜搬送装置24の搬送速度が高速化すると、駆動モータ45の回転数が増大し、回転切断刃44の回転速度が増加するので、人参の根部下部のひげ根を確実に切断することができ、作業能率が向上するとともに、ひげ根の切り残しが減少するので、後工程で作業者がひげ根を切除する必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0038】
また、走行速度を下げると引抜搬送装置24で搬送される人参の数が少なくなるので、回転切断刃44を高速で回転させる必要がなく、駆動モータ45の回転数を少なくできるので、駆動モータ45の出力軸45aや回転切断刃44にかかる負荷が軽減され、耐久力が向上する。
【0039】
そして、前記ガイドカバー43の前部に引抜搬送装置24で搬送中の人参の根部下部を受ける根部ガイド46を機体前下方に向かって傾斜姿勢で配置し、該根部ガイド46の左右両側部が左右方向中央部よりも上方に位置する正面視でV字状或いは舌状に構成する。また、該根部ガイド46をゴム等の弾性部材で構成すると共に、根部ガイド46の基部側(ガイドカバー43側)を端部側(機体前側)よりも厚みを付けて構成することにより、ひげ根切断装置47が形成される。
【0040】
なお、該根部ガイド46を空気の出入により伸縮自在な素材で形成し、根部ガイド46の内部に空間部46aを形成すると共に、該空間部46aの先端側(機体前側)まで空気が入ると伸張し、先端側(機体前側)から空気が抜けると根部ガイド46の非ガイド作用側(機体後側)に退避する構成としてもよい。
【0041】
上記構成により、コンプレッサ等(図示せず)で根部ガイド46に形成した空間部46aに空気を出入りさせて根部ガイド46の前後長さを変化させ、圃場に植生する人参の生育状況や品種による長さの違い、引抜搬送装置24の搬送速度等の条件に合わせて根部ガイド46の作用域の長さを変更することにより、人参の根部下部のひげ根をガイドカバー43に形成したスリット43s…に案内して切断回転刃44に接触させて確実にひげ根を切断することができるので、収穫作業後に作業者が手作業でひげ根を取り除く必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0042】
そして、根部ガイド46に形成した空間部46aをガイドカバー43に形成した複数のスリット43s…に接触させて配置することにより、切断回転刃44の回転によって発生する空気で根部ガイド46を伸縮させることができるので、コンプレッサ等を設ける必要がなく、部品点数が削減される。
【0043】
空間部46aへの空気の流入量は、切断回転刃44の回転を高速にするほど多くなり、高速作業になるほど根部ガイド46が伸びるので、高速作業時でも適確に人参の根部下部を受けてガイドカバー43のスリット43s…にひげ根を案内することができ、収穫作業後に作業者が手作業でひげ根を取り除く必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0044】
また、図6〜図9で示すように、前記引抜搬送装置24を構成する左右の挟持搬送ベルト18,18の巻回域内で且つひげ根説断装置47の前端部の上方近傍に左右の前側遊動プーリ48,48を回転自在に設け、左右の挟持搬送ベルト18,18の巻回域内で且つひげ根説断装置47の後端部の上方近傍に左右の前側遊動プーリ49,49を回転自在に設ける。そして、該左右の前側遊動プーリ49,49の左右の回転軸49a,49aの下端部側に左右の上段駆動プーリ50a,50aと左右の下段駆動プーリ51a,51aを軸着し、左右の前側遊動プーリ48,48の左右の回転軸48a,48aの下端部側に左右の上段従動プーリ50b,50bと左右の下段従動プーリ51b,51bを軸着する。
【0045】
さらに、該左右の回転軸48a,48aのうち、左右の上段従動プーリ50b,50bと左右の下段従動プーリ51b,51bとの間に左右の支持プレート52,52を設け、該支持プレート52,52の上部に左右の上段テンションプーリ53,53を回転自在に設け、支持プレート52,52の下部に左右の下段テンションプーリ54,54を回転自在に設け、該左右の下段テンションプーリ54,54を左右の上段テンションプーリ53,53の左右間隔よりも狭く配置する。
【0046】
そして、前記左右の上段駆動プーリ50a,50aと左右の上段従動プーリ51a,51aと左右の上段テンションプーリ53,53とに左右の上段支持案内ベルト55,55を無端状に巻回し、前記左右の下段駆動プーリ51a,51aと左右の下段従動プーリ51b,51bと左右の下段テンションプーリ54,54とに左右の下段支持案内ベルト56,56を無端状に巻回することにより、引抜搬送装置24で搬送中の人参が左右方向に揺さ振られてひげ根切断装置47から逃げることを防止する上段支持案内装置57と下段支持案内装置58が構成される。
【0047】
該上段支持案内装置57と下段支持案内装置58を組み合わせることにより、人参支持案内装置59が構成され、引抜搬送装置24とひげ根切断装置47と人参支持案内装置59とを組み合わせることにより、収穫部Cが構成される。
【0048】
上記構成により、機体前側に縦引起し装置25と横引起し装置26とを設けたことによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を縦引起し装置25の縦ラグ25aで引き起こし、引き起こされた茎葉を横引起し装置26の横ラグ26aで掬い上げて引抜搬送装置24の挟持搬送始端部に移動させることができ、人参の茎葉が確実に引抜搬送装置24に挟持されて圃場から引き抜かれるので、抜き残される人参が減少し、作業能率が向上する。
【0049】
さらに、ソイラ37,37の先端部の掬上突起40,40に分草体42,42を設け、横引起し装置26が引き継ぎ損なった茎葉を分草体42で掬い上げ、案内バー41,41を介して引抜搬送装置24の挟持始端部に茎葉を案内する構成としたことによって、茎葉がいっそう確実に引抜搬送装置24に挟持されて圃場から引き抜かれるので、抜き残される人参が減少し、作業能率が向上する。
【0050】
また、縦引起し装置25、横引起し装置26や分草体42,42で茎葉を掬い上げることによって、人参を隠していた茎葉を取り除き、収穫する人参の視認性を向上させることができるので、人参の引き抜き位置が合わせやすくなり、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。加えて、分草体42,42は薄い板状の掬上突起40,40の周囲を覆う程度の左右幅であるので、収穫する人参の周囲の視認を妨げない。
【0051】
そして、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことによって、ゲージ輪31を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0052】
そして、機体フレーム9と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0053】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
そして、左右のソイラ37,37を振動させる左右の振動アーム33,33に左右の土落しバー38,38の基部を配置したことによって、土落しバー38,38はソイラ37,37とともに機体上下方向に振動するので、人参に付着した土を上下方向に亘って確実に削ぎ落とすことができるとともに、人参本体も振動するので、土落しバー38,38が接触しない部分の土も振動で落とすことができ、選別作業者が人参の傷(割れ、折れ、打ち身、腐りなど)や形状異常(二又、曲がり過ぎ、極小など)を判別しやすくなるため、人参の選別精度が向上する。
【0054】
また、土落しレバー38,38の基部を、振動アーム33,33のソイラ37,37の基部とは反対側に取り付けたことによって、土落しバー38,38が隣接条の、特に未堀側(まだ引き抜いていない側)の人参から離間するので、土落しレバー38,38が未掘側の人参に接触することが防止でき、人参が傷付くことが防止されて商品価値が向上する。加えて、人の手も近付きにくくなるので、安全性が向上する。
【0055】
さらに、土落しバー38,38の端部側の作用部を圃場面に対して略水平姿勢に配置したことによって、引抜搬送装置24で後上り傾斜方向に搬送される人参が土落しバー38,38を通過する際、人参の上端部から下端部までが土落しバー38,38に接触するので、人参に付着した土を上下方向に亘って確実に削ぎ落とすことができるので、選別作業者が人参の傷や形状異常を判別しやすくなるため、人参の選別精度が向上する。
【0056】
また、土落しバー38,38が振動装置36によって振動することにより、特別に振動機構を設ける必要がなく、部品点数が削減されてコストダウンや資源保全が図られるとともに、機体構成が簡潔になり、機体の組み立てやメンテナンスが容易化される。
【0057】
そして、土落しバー38,38の間隔を機体前側が最も広く、機体後側を狭く形成したことによって、人参のように上側の径が下側の径より大きな作物が通過する際、土落しバー38,38の左右間に引っ掛かることなく通過することができるので、人参の収穫作業が中断されることがなく、作業能率が向上する。また、人参に付着していた土を上下方向に亘って確実に落とすことができ、選別作業者が人参の傷や形状異常を判別しやすくなるため、人参の選別精度が向上する。
【0058】
また、土落しバー38,38の後側が狭く形成されたことにより、小径の人参が通過する際、少なくとも土落しバー38,38の最も狭い後端部付近で土落しバー38,38に接触するので、人参に付着していた土を確実に落とすことができ、選別作業者が人参の傷や形状異常を判別しやすくなるため、人参の選別精度が向上する。
【0059】
さらに、土落しバー38,38の左右間の最も狭い部分を左右外側方向に曲げたことによって、土落しバー38,38の後端部が人参に接触せず、丸みのある屈曲部に接触するので、人参が傷付くことが防止されて商品価値が向上する。
【0060】
また、土落しバー38,38をピアノ線などの弾性のある金属で構成したことによって、土落しバー38,38の左右間を左右間隔よりも大径の人参が通過しても、土落しバー38,38は左右外側方向に退避することができるので、人参が詰まって動かなくなり作業が中断されることが防止され、作業能率が向上する。
【0061】
そして、土落しバー38,38にポリ塩化ビニルやスポンジ、ウレタンなどの軟質材のカバー39を夫々設けたことによって、土落しバー38,38の左右間隔と人参の径が同じか或いはそれ以上大径であり、土落しバー38,38が人参の表面に密着する場合に人参に過剰な圧力がかかることを防止できるので、人参が傷付くことが防止されて商品価値が向上する。
【0062】
さらに、土落しバー38,38が機体フレーム1及び尾部切断装置43よりも機体前側に配置したことによって、人参に付着していた土は振動するソイラ37,37上や圃場に落下するので、機体に付着した土を除去する作業が省略されるので、メンテナンス性が向上すると共に作業者の労力が軽減される。特に、土落しバー38,38の左右を連結していないことにより土はいっそう落下しやすく、また左右を連結していないことにより、土落しバー38,38の角度調節を左右別々に行うことができるので、様々な作業条件に対応することができる。
【0063】
そして、ガイドカバー43の前部に根部ガイド46を設けたことにより、引抜搬送装置24の人参の搬送速度を速くしても、人参の根部下部を根部ガイド46が受けて減速させてからガイドカバー43に形成したスリット43s…に根部下部のひげ根を案内して切断回転刃44に接触させ、確実に切断することができるので、収穫作業後に作業者が手作業でひげ根を取り除く必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0064】
また、根部ガイド46の左右両側部を左右方向中央部よりも上方に位置させ、正面視でV字形状(舌形状)に構成したことにより、根部ガイド46に接触した人参が左右方向に逃げることを防止できるので、確実に人参の根部下部のひげ根を切断回転刃44に接触させて確実に切断することができるので、収穫作業後に作業者が手作業でひげ根を取り除く必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0065】
さらに、根部ガイド46をゴム等の弾性部材で構成したことにより、根部ガイド46に人参が勢いよく接触しても傷付きにくいため、人参の商品価値が維持される。
そして、根部ガイド46の基部側(ガイドカバー43側)を端部側(機体前側)よりも厚く構成したことにより、人参と接触した際に根部ガイド46の端部側が撓み易いので、確実に人参の根部下部のひげ根を切断回転刃44に接触させて確実に切断することができるので、収穫作業後に作業者が手作業でひげ根を取り除く必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0066】
また、引抜搬送装置24の下方で且つひげ根切断装置47の上方に上段支持案内装置57と下段支持案内装置58からなる人参支持案内装置59を設けたことにより、ひげ根切断装置47の上方を通過する人参を左右から人参支持案内装置59で受けるので、人参が左右に揺さ振られて根部下部のひげ根がひげ根切断装置47から逃げることが防止され、収穫作業後に作業者が手作業でひげ根を取り除く必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0067】
さらに、上段支持案内装置57の左右の上段駆動プーリ50a,50aと下段支持案内装置58の下段駆動プーリ51a,51aへの駆動力を引抜搬送装置24に設けた左右の前側遊動プーリ49,49の左右の回転軸49a,49aから得る構成としたことにより、人参支持案内装置59に駆動力を供給する伝動機構を新たに構成する必要がなく、機体の構成が簡略になりメンテナンス性が向上すると共に、部品点数が削減される。
【0068】
そして、下段支持案内装置58の左右の下段テンションプーリ54,54を上段支持案内装置57の左右の上段テンションプーリ53,53の左右間隔よりも狭く配置したことにより、上段支持案内装置57が人参に接触する位置と下段支持案内装置58が人参に接触する位置を異ならせることができるので、上下で太さの異なる人参の根部に上段支持案内装置57と下段支持案内装置58とが接触しやすくなり、人参が左右に揺さ振られることが防止され、収穫作業後に作業者が手作業でひげ根を取り除く必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0069】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
図1、図2及び図10で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右の伝動軸60,60を取り付け、該左右の伝動軸60,60の上部に左右の伝動ケース61,61を取り付けると共に、該左右の伝動ケース61,61内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット62,62を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸60,60に左右の第2ギアユニット63,63を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット63,63の後端部に左右の第1出力軸64,64を機体上方に向けて軸着する。
【0070】
そして、前記の左右第1ギアユニット62,62の前端部に左右の第2出力軸65,65を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸65,65に左右の位置揃え駆動スプロケット66,66を軸着する。さらに、前記左右の伝動ケース61,61の前下部に左右の位置揃えフレーム67,67を設け、該左右の位置揃えフレーム67,67の前側に左右の位置揃え従動プーリ68,68を回転自在に取り付ける。
【0071】
また、図11〜図13で示すように、該左右の位置揃え従動プーリ68,68と左右の位置揃え駆動スプロケット66,66とに、該左右の位置揃え駆動スプロケット66,66の突起部が貫通する孔部69a…を等間隔に複数形成し、人参の根部や茎葉部と接触する位置揃え作用面に複数の上下方向の突起69b…を人参の標準的な搬送間隔である約100mm毎に形成したクローラ式の左右の位置揃えベルト69,69を無端状に巻回する。
【0072】
該左右の位置揃えベルト69,69のうち、前記左右の位置揃え従動プーリ68,68と左右の位置揃え駆動スプロケット66,66とに接触する内周面を断面視で凹形状に形成し、左右の位置揃えベルト69,69の外周面には、左右の位置揃え駆動スプロケット66,66の突起部の露出を防止する防護突起69cを夫々無端状に形成する。また、左右の位置揃えベルト69,69の下部側を曲面形状(R形状)に構成すると共に、左右幅を上部及び上下方向中央部よりも狭く(薄く)構成する。
【0073】
なお、左右の位置揃えベルト69,69の左右幅を狭く(薄く)構成する範囲は、左右の位置揃えベルト69,69の下端部から上方に5〜10mmの範囲とすると、人参の根部上部に接触して左右の位置揃えベルト69,69の下部が屈曲しても、屈曲部が左右の位置揃え駆動スプロケット66,66の突起部に接触することがなく、左右の位置揃えベルト69,69が破損することを防止できる。
【0074】
また、前記左右の位置揃えベルト69,69の下部に、人参の標準的な搬送間隔である約100mm毎に切れ目を形成する。
そして、前記位置揃え従動プーリ68,68と位置揃え駆動スプロケット66,66との前後間で且つ左右の位置揃えフレーム67,67上に、左右の位置揃えベルト69,69を巻回域内から位置揃え作用面側に張圧する複数の張圧プレート70a…と1または複数の張圧スプリング70b…とから構成される、左右の張圧ガイド70,70を取り付けて、人参の根部を下部に接触させて適切な茎葉部の切断位置に揃える位置揃え装置71が構成される。
【0075】
なお、左右の位置揃え駆動スプロケット66,66に駆動力を伝達する左右の第2出力軸65,65のうち、左右どちらか一方の長さを変更可能に構成し、位置揃え装置71の左右の高さが異なる構成とすると、茎葉部が太い品種を収穫する際、茎葉部が位置揃え装置71の左右間に詰まってしまうことを防止できるので、詰まった人参の茎葉部を取り除くために収穫作業を停止する必要がなく、作業能率が向上する。
【0076】
さらに、図10で示すように、前記左右の第1ギアユニット62,62の位置揃え装置71の後方位置に左右の切断刃回転軸72,72を軸着し、該切断刃回転軸72,72に左右のベアリング73,73を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング73,73に左右の支持プレート74,74を取り付け、該支持プレート74,74に左右の茎葉切断刃75,75を取り付けて、茎葉切断装置76が構成される。
【0077】
また、前記左右の第1出力軸64,64に左右の茎葉搬送駆動プーリ77,77を軸着し、前記左右の第1ギアユニット62,62よりも機体前側で且つ位置揃え装置71の上方に左右の茎葉搬送従動プーリ78,78を回転自在に取り付ける。そして、該左右の茎葉搬送駆動プーリ77,77と左右の茎葉搬送従動プーリ78,78とに左右の排葉搬送ベルト79,79を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置80が、前記左右の伝動ケース61,61の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0078】
さらに、前記左右の第1出力軸64,64の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ81,81を軸着し、前記左右の伝動ケース61,61の上方に左右の残葉搬送従動プーリ82,82を回転自在に取り付けるとともに、該左右の残葉搬送駆動プーリ81,81と左右残葉搬送従動プーリ82,82との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ83,83…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ81,81と左右残葉搬送従動プーリ82,82と左右残葉搬送テンションプーリ83,83…とに左右残葉搬送ベルト84,84を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置85が、前記排葉搬送装置80の上方に構成される。
【0079】
そして、上記排葉搬送装置80と残葉搬送装置85の終端部から茎葉切断装置76によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ86を設けることにより、茎葉切断部Dを構成する。
【0080】
上記構成により、人参に付着していた泥土が左右の位置揃えベルト69,69の内側に入り込んでも、この泥土を左右の位置揃え駆動スプロケット66,66の外周に設けた複数の突起部が左右の位置揃えベルト69,69に形成した複数の孔部69a…から外側に押し出すので、泥土が左右の位置揃えベルト69,69をスリップさせて左右の位置揃え駆動スプロケット66,66から外れることを防止でき、人参の収穫作業が中断されることが防止され、作業能率が向上すると共に、作業者が左右の位置揃えベルト69,69を取り付け直す作業が必要なく、作業者の労力が軽減される。
【0081】
そして、左右の位置揃えベルト69,69のうち、人参の茎葉部や根部が接触する位置揃え作用側(外周側)に防護突起69cを夫々形成したことにより、左右の位置揃え駆動スプロケット66,66の突起部が人参の根部や茎葉部に接触することを防止できるので、人参の根部が左右の位置揃え駆動スプロケット66,66の突起部に傷付けられることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0082】
また、左右の位置揃え駆動スプロケット66,66の突起部が人参の茎葉部を傷つけることがないため、人参の根部上部が位置揃え装置71の下端部に接触するまで確実に引き上げることができるので、人参の茎葉部の切断位置が一定となり、人参の根部に茎葉部が残ることが防止され、作業者がこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業者の労力が軽減される。
【0083】
さらに、左右の位置揃えベルト69,69の位置揃え作用側に、上下方向の複数の突起69b…を人参の搬送間隔に合わせて形成したことにより、人参が前後方向に揺さ振られることを防止できるので、人参同士が衝突して茎葉部の切断姿勢が乱れることが防止され、人参の根部が茎葉切断装置76に切断されることがなく人参の商品価値が維持されると共に、茎葉切断装置76が茎葉部を切り残すことが防止され、作業者がこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業者の労力が軽減される。
【0084】
そして、左右の位置揃えベルト69,69の下部側を曲面形状(R形状)に構成し、左右幅を上部及び上下方向中央部よりも狭く(薄く)構成したことにより、人参が上方に引き上げられて位置揃え装置71の下端部に接触する際、左右の位置揃えベルト69,69の下部側が互いに近接し合う方向に屈曲するので、人参の大小にかかわらず茎葉部の切断位置を統一することができ、人参の根部に茎葉がいっそう残りにくくなる。
【0085】
また、左右の位置揃えベルト69,69の下部に等間隔に切れ目を形成したことにより、人参が位置揃え装置71の下端部に接触すると左右の位置揃えベルト69,69の下部側がいっそう屈曲しやすくなるので、人参の茎葉部の切断位置をより確実に統一することができ、人参の根部に茎葉がよりいっそう残りにくくなる。
【0086】
さらに、位置揃え従動プーリ68,68と位置揃え駆動スプロケット66,66との前後間に、張圧プレート70aと張圧スプリング70b…で構成される左右の張圧ガイド70,70を設けたことにより、人参の茎葉部や人参の根部上部が接触すると機体外側に退避し、人参が通過すると元の位置に復帰するので、人参の茎葉部の切断位置を適切な位置に揃えることができると共に、人参の茎葉部や根部の径が大きいものが位置揃え装置71の左右間に詰まって作業が中断することを防止できるので、詰まった人参の茎葉部や根部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0087】
そして、茎葉切断装置76で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ86が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト18,18や左右従動プーリ16,16等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0088】
次に、引継搬送部Eについて説明する。
図2で示すように、前記茎葉切断装置76の下方に前後残葉処理フレーム87,87を設け、該前後残葉処理フレーム87,87の左右両側の前後間に左右残葉処理ローラ88,88を回転自在に取り付ける。そして、該左右残葉処理ローラ88,88にゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト89を無端状に巻回し、該残葉処理ベルト89の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト89と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ90を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア91を構成する。
【0089】
また、該残葉処理コンベア91の始端側で且つ機体前側に茎葉切断装置76よりも機体前側に落下した作物を受ける格子状の受け台92を下り傾斜姿勢で設け、機体左右一側部で且つ該受け台92よりも機体内側に汲上搬送駆動ローラ93を設けると共に、左右他側部側に汲上搬送従動ローラ94を設ける。そして、前記残葉処理コンベア91よりも機体前側で且つ残葉処理コンベア91に隣接させて、汲上搬送駆動ローラ93と汲上搬送従動ローラ94とに汲上搬送ベルト95を無端状に巻回して、前記残葉処理コンベア91と受け台92とから人参を引き継いで機体左右他側に汲上搬送する汲上搬送コンベア96が構成される。
【0090】
前記残葉処理コンベア91と上り傾斜姿勢に設ける汲上搬送コンベア96とから、汲上搬送部Eが構成される。
上記構成により、残葉処理コンベア91を構成する残葉処理ローラ90が、茎葉切断装置76で切り残された人参の残葉を千切り取りながら汲上搬送コンベア96に人参を搬送するため、人参の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0091】
また、残葉処理コンベア91を構成する残葉処理ベルト89をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置76で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト89が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0092】
そして、残葉処理コンベア91の始端側で且つ機体前側に格子状の受け台92を下り傾斜姿勢に設けたことによって、茎葉切断装置76よりも機体前側で茎葉部が千切れる等して落下した人参を、機外に落とすことなく受け止めることができると共に、受けた人参を汲上搬送コンベア96に向かって移動させることができるので、収穫作業後に機外に落ちた人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、茎葉切断装置76よりも機体前側で落下した人参を搬送経路に戻すことができるので、作業能率が向上する。
【0093】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図2、図14で示すように、操縦部Bの後部に左右の選別搬送フレーム97,97を取り付け、該左右の選別搬送フレーム97,97の機体前側の左右間に選別搬送駆動ローラ98を回転自在に取り付け、該選別搬送駆動ローラ98よりも機体後側に選別搬送従動ローラ99を回転自在に取り付ける。また、前記選別搬送駆動ローラ98と選別搬送従動ローラ99との間に選別搬送テンションローラ100を回転自在に取り付ける。そして、前記選別搬送駆動ローラ98と選別搬送従動ローラ99と選別搬送テンションローラ100とに複数の弾性体突起を備える弾性体ベルト101を無端状に巻回することによって、後上り傾斜姿勢の選別搬送コンベア102が構成される。さらに、該選別搬送コンベア102を始端部が汲上搬送部Eの汲上搬送コンベア96の終端下方に位置するように配置する。
【0094】
また、前記選別搬送従動ローラ99の回転軸にシュータ103を上下回動自在に取り付け、該シュータ103の機体左右外側にシュータ103を上下回動させる操作レバー104を取り付けることによって、選別搬送部Fが構成される。
【0095】
上記のように、シュータ103を上下回動自在に設けたことによって、シュータ103を下方回動させると人参を後述する収容部Gに設置するコンテナやフレコンバッグ等の収容容器107に緩やかに落とすことができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0096】
また、シュータ103を上方に回動させると、選別搬送コンベア102の終端側を塞ぐストッパとなるため、人参が満杯になったコンテナを交換する際、選別搬送コンベア102を停止させなくても人参が終端部から落下することを防止することができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の品質が向上すると共に、選別搬送コンベア102の動力の入切を頻繁に行う必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0097】
また、シュータ103を上方回動させてストッパとし、選別搬送コンベア102を停止させないことによって、人参は選別搬送コンベア102の終端側に溜まるので、従来のように汲上搬送コンベア92の搬送終端部から落下してきた人参が選別搬送コンベア102の搬送始端部に滞留している人参に接触して傷付くことが防止されるので、人参の商品価値が向上する。
【0098】
さらに、シュータ103の機体左右外側にシュータ103を上下回動させる操作レバー104を取り付けたことによって、補助作業者は後述する補助作業座席112に座ったままシュータ103を上下回動させることができるので、補助作業者の労力が軽減される。
【0099】
次に、収容部Gについて説明する。
図1、図2及び図14で示すように、前記左右選別搬送フレーム97,97の下部に左右支持フレーム105,105を設け、該左右支持フレーム105,105に伸縮自在なダンパ106の一端を取り付ける。そして、左右選別搬送フレーム97,97の後下部に人参を収容するコンテナやフレコンバッグ、袋体等の収容容器107を設置する収容容器置台108を上下回動自在に且つ上り傾斜姿勢に取り付けると共に、該収容容器置台108にダンパ106の他端を取り付ける。
【0100】
また、該収容容器置台108の後端部に予備の収容容器107を設置する予備収容容器置台109を上下回動自在で且つ上り傾斜姿勢で取り付ける。さらに、前記収容容器置台108や選別搬送コンベア102や右クローラ6Rよりも機体左右他側に機体前後方向に長い人参を収容した収容容器107を積載する収容容器積載台110を機体内側へ折り畳み自在に取り付ける。
【0101】
そして、該収容容器積載台110の機体外側に、収容容器積載台110の上方を越えて且つ選別搬送コンベア102に向けて屈曲させた支持フレーム111を取り付け、該支持フレーム111の上に補助作業者が着座する補助作業座席112を取り付ける。そして、前記収容容器積載台108の後部に予備の収容容器107を設置する第2予備収容容器置台113を取り付けて、収容部Gが構成される。
【0102】
上記のように、上り傾斜姿勢に設けられた収容容器置台108に伸縮自在なダンパ106の他端を取り付けていることによって、収容容器107に人参が収容されて重くなるにつれて収容容器置台108が下降するため、人参が収容容器107の一部に偏って投入されることが防止されるので、収容容器107の交換の頻度が減少し、作業者の労力が軽減される。
【0103】
また、収容容器置台108の後部に予備の収容容器107を設置する予備収容容器置台109を設けたことによって、人参が満載された収容容器107が収容容器置台108から取り除かれるとダンパ106が伸びて収容容器置台108が上り傾斜姿勢に戻り、予備収容容器置台109に設置されている収容容器108が収容容器置台108に滑り落ちて設置されるので、収容容器107を手作業で設置する必要がなくなり、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0104】
そして、機体左右外側に収容容器積載台110を機体内側へ折り畳み自在に取り付けていることによって、圃場へ向かう際や圃場から帰る際には収容容器積載台110を機体内側に折り畳んで機体の左右幅をコンパクトにすることができるので、小型のトラックにも積み込みやすく、輸送性が向上する。
【0105】
さらに、収容容器積載台110の上方を越えて且つ選別搬送コンベア102に向けて屈曲させた支持フレーム111上に補助作業座席112を設けたことによって、補助作業者は選別搬送コンベア102に近い位置で選別作業ができるので選別精度が向上すると共に、収容容器107が収容容器積載台110上を移動するのを妨げないため、作業能率が向上する。
【0106】
また、収容容器積載台110の後部に第2予備収容容器置台113を取り付けたことによって、機体に多くの収容容器107を搭載しておくことができるので、長時間連続して収穫作業を続けることができ、作業能率が向上する。
【符号の説明】
【0107】
24 引抜搬送装置
46 根部案内部材(根部ガイド)
46a 空間部
47 ひげ根切断装置(下部切断装置)
49 後側遊動プーリ(張圧回転体)
50a 上段駆動プーリ駆動回転体)
57 上段支持案内装置(上段支持案内機構)
58 下段支持案内装置(下段支持案内機構)
59 人参支持案内装置(支持案内機構)
76 茎葉切断装置
80 茎葉搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体左右一側に作物を圃場から引き抜き搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)の搬送経路の下方に搬送中の作物の根部下部を切断する下部切断装置(47)を設け、前記引抜搬送装置(24)の搬送終端側で作物の上部を接触させて作物の茎葉部の切断位置を揃える位置揃え装置(71)を設け、該位置揃え装置(71)の上方に引抜搬送装置(24)から茎葉部を引き継ぎ後方に搬送する茎葉搬送装置(80)を設け、該茎葉搬送装置(80)の下方で且つ位置揃え装置(71)の後方に作物の茎葉を切断する茎葉切断装置(76)を設けた根菜類収穫機において、前記下部切断装置(47)の搬送方向前側に作物の根部下部を受けて案内する根部案内部材(46)を設け、該下部切断装置(47)と引抜搬送装置(24)との上下間に作物の姿勢を整えて案内する支持案内機構(59)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記根部案内部材(46)を弾性材で構成し、該根部案内部材(46)の基部側を端部側よりも厚く構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記根部案内部材(46)の内部に空間部(46a)を構成し、該空間部(46a)に流入する空気の量に応じて根部案内部材(46)が伸縮する構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記引抜搬送装置(24)の搬送方向前後間で且つ位置揃え装置(71)よりも搬送方向前方に張圧回転体(49)を設け、該張圧駆動回転体(49)の回転軸に前記支持案内機構(59)の駆動回転体(50a)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
前記支持案内機構(59)を、上段支持案内機構(57)と下段支持案内機構(58)とで構成したことを特徴とする請求項1または4記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−135790(P2011−135790A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296490(P2009−296490)
【出願日】平成21年12月26日(2009.12.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】