根菜類収穫機
【課題】 本発明の目的は、収穫するべき根菜作物が茎葉繁茂状況下にあっても、切断位置を揃えるための肩揃え装置に詰まる事態を防止し、また、切断位置の不揃いによる垂れ葉の残留を最小限に抑えて茎葉部を切断することができる根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】根菜類収穫機は、引抜搬送装置(4)と、ガイド部材(22)を備えた対向ベルトによる肩揃え装置(13)と、茎葉搬送機構(11)により後送しつつ茎葉切断機構(12)によって切断する茎葉切断装置(5)とを備えて構成され、上記肩揃え装置(13)の導入口部には、その通路幅(W3)より小なる所定の幅(W2)内に束状茎葉部の幅寸法を規制する幅規制部材(23)を設けたものである。
【解決手段】根菜類収穫機は、引抜搬送装置(4)と、ガイド部材(22)を備えた対向ベルトによる肩揃え装置(13)と、茎葉搬送機構(11)により後送しつつ茎葉切断機構(12)によって切断する茎葉切断装置(5)とを備えて構成され、上記肩揃え装置(13)の導入口部には、その通路幅(W3)より小なる所定の幅(W2)内に束状茎葉部の幅寸法を規制する幅規制部材(23)を設けたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挟持搬送装置と茎葉切断装置とを備えてニンジン等の根菜作物を走行収穫しつつその上部の茎葉を切断する野菜収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2に示される野菜収穫機が知られている。これらの野菜収穫機は、挟持搬送装置と茎葉切断装置とを備えてニンジン等の根菜作物を収穫走行しつつ茎葉部を切断することができる。
【0003】
詳細には、挟持搬送装置は、後ろ上がりに傾斜配置した対向ベルト機構によって圃場作物の茎葉を挟持して引抜き、吊下げ姿勢で作物を上昇搬送し、これを走行機体の走行速度と対応稼動することにより、作物を引抜いて直立姿勢で上昇搬送する。茎葉切断装置は、挟持搬送装置から根塊部を上限高さ位置に規制する肩揃え装置を介して引き継ぐ対向ベルト機構によって後送し、これに臨むカッタ部により、所定高さ位置で茎葉を切除した根塊部を収穫することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3459362号公報
【特許文献2】特開2000−270644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2記載の発明では、根菜作物の茎葉部が繁茂している場合に、大束状の茎葉部が肩揃え装置の左右間に詰まってしまい、作業を中断して詰まった作物を取り除かねばならず、また、一部茎葉が肩揃え装置の左右間に入り込めなかった場合は、茎葉部の切断位置が揃えられないことがあり、茎葉部が作物に残ったまま後工程に送られてしまい、残った茎葉部を除去する作業が必要となり、作業能率が低下する欠点がある。
また、圃場から引き抜かれる際に引抜搬送装置に挟持されなかった垂れ葉は、茎葉切断装置を外れて茎葉部が収穫対象の根塊部に残留したまま後工程に送られることから、その除去作業が必要となり、作業能率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、収穫するべき根菜作物が茎葉繁茂状況下にあっても、切断位置を揃えるための肩揃え装置に詰まる事態を防止し、また、切断位置の不揃いによる垂れ葉の残留を最小限に抑えて茎葉部を切断することができる根菜類収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、圃場に植生する作物の茎葉部を引き抜いて後ろ上がりに傾斜搬送する引抜搬送装置(4)と、該引抜搬送装置(4)で挟持搬送中の作物の上部を接触させて上方移動を規制しながら後方に案内するガイド部材(22)と、該ガイド部材(22)の搬送方向後側で作物の茎葉部の切断位置を揃える肩揃え装置(13)と、該肩揃え装置(13)の搬送方向後側で前記引抜搬送装置(4)から作物の茎葉部を引き継いで後方に搬送する茎葉搬送機構(11)と、該茎葉搬送装置(11)の下方で且つ前記肩揃え装置(13)の搬送終端部の後方で作物の茎葉部を切断する茎葉切断装置(5)とを備えた根菜類収穫機において、前記肩揃え装置(13)の搬送始端部よりも前側に肩揃え装置(13)の左右間の通路幅(W3)よりも狭い幅(W2)内に茎葉部の幅寸法を規制する幅規制部材(23)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0008】
上記構成により、圃場から引き抜かれた作物は茎葉部を挟持されて後上り傾斜方向に搬送され、この作物の上端部はガイド部材(22)に過度の上昇を規制されつつ後方の肩揃え装置(13)に搬送され、該肩揃え装置(13)の搬送始端部に設けた幅規制部材(23)で茎葉部はその幅を肩揃え装置(13)の通路幅(W3)を通過可能な束状で且つ所定の幅(W2)に整えられるので、作物は肩揃え装置(13)の間隔部を支障なく通過することができるので、肩揃え装置(13)で作物の茎葉切断位置が整えられて所定の位置で茎葉部と根部とが切断分離される。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記幅規制部材(23)を対向回転可能な一対の規制回転体(23a,23a)で構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
上記幅規制部材(23)を一対の規制回転体(23a,23a)としたことにより、簡易な構成の回転体の回転力で茎葉部を両側から確実に押圧して一定の幅に揃えられる。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記規制回転体(23a,23a)の外縁部に切削面(23s)をそれぞれ形成し、前記規制回転体(23a,23a)の回転速度を一側と他側とで速度差が生じる構成としたことを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機とした。
上記規制回転体(23a,23a)の外縁に形成した切削面(23s)は、肩揃え装置(13)に沿って後送される根菜作物の茎葉部との相対速度差によって切削作用を及ぼすことから、茎葉部の両側縁が所定幅に削り取られる。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記茎葉搬送機構(11)の搬送経路の下方で且つ茎葉切断装置(5)よりも前側位置に、茎葉部の両外側部を切断する補助切断機構(31)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
上記引抜搬送装置(4)に挟持されずにその外側部に垂れたまま茎葉切断装置(5)に至った垂れ葉が切断され、その後に茎葉部が切断される。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記ガイド部材(22)の下方に根菜作物の下部を挟持して同速で搬送する補助搬送機構(24)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
上記ガイド部材(22)の下方に補助搬送機構(24)を設けたことにより、作物の下部が同速搬送挟持されているので、回転式の幅規制部材(23)を茎葉部に接触させる際に作物の搬送姿勢が整えられる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明の効果は、肩揃え装置(13)の導入口部に設けた幅規制部材(23)が、通路幅よりも小さな所定寸法内に束状の茎葉部の幅を規制することにより、肩揃え装置(13)を支障なく通過して高さ位置が整えられた後、茎葉切断装置(5)により所定の位置で根塊部が切断分離されるので、収穫するべき根菜作物の茎葉が大量に繁茂している状況であっても、引抜搬送に際して大径の茎葉部が肩揃え装置(13)に詰まることを防止でき、また、所定の切断位置が確保されることにより垂れ葉の残留を最小限に抑えて根塊部を切断することができるので、肩揃え装置(13)の詰まりや残留する垂れ葉による付帯的な対応処理に煩わされることなく、天候次第の収穫作業を能率良く進めることにより、計画に沿った出荷および機器運用が可能となる。
【0014】
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加え、幅規制部材(23)を一対の規制回転体(23a,23a)で構成したことにより、簡易な構成の回転体の回転力で茎葉部を両側から確実に押圧して一定の幅に揃えることができるので、茎葉部が肩揃え装置(13)に詰まることが防止され、作業能率が向上する。
【0015】
請求項3記載の発明の効果は、請求項2記載の発明の効果に加え、規制回転体(23a,23a)の外縁に形成した切削面(23s)は、肩揃え装置(13)に沿って後送される根菜作物の茎葉部との相対速度差によって切削作用を及ぼすことから、茎葉部の両側縁を削り取ることができるので、押圧された茎葉部の膨張や、押圧された茎葉部が硬くなり茎葉切断装置(5)で切断し損なうことを防止でき、茎葉部の最大幅が確実に所定寸法内に抑えられて肩揃え装置における茎葉部の詰まりを確実に防止することができ、作業能率が向上する。
【0016】
請求項4記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加え、引抜搬送装置(4)に挟持されずにその外側部に垂れたまま茎葉切断装置(5)に至り、茎葉切断装置(5)から逃げて切断されない場合でも、補助切断機構(31)により、回転刃もしくは円弧形状の固定刃で、垂れ葉を引っ掛けてちぎり取ることから、その後の茎葉部の切断により、作物から茎葉部を確実に除去することができ、作業能率が向上する。
【0017】
請求項5記載の発明の効果発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、ガイド部材の下方に補助搬送機構(31)を設けたことにより、作物の下部が同速搬送挟持されているので、回転式の幅規制部材(23)を茎葉部に接触させる際に作物の搬送姿勢が乱れることを防止でき、茎葉部の押圧や肩揃え装置(13)への引き継ぎが安定して行われ、茎葉部が適切に切断されて作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】野菜収穫機の側面図
【図2】野菜収穫機の平面図
【図3】茎葉切断装置の側面図
【図4】茎葉切断装置の平面図
【図5】肩揃え装置の要部拡大側面図
【図6】肩揃え装置の要部拡大平面図
【図7】肩揃え装置の作用説明用の断面図
【図8】規制回転体の動作状態の要部拡大正面図
【図9】(a) 規制回転体の別実施例の要部拡大平面図(b) 規制回転体の別実施例の要部拡大正面図
【図10】対向回転体の別実施例の要部平面図
【図11】切断部の別実施例の要部拡大平面図
【図12】補助切断装置の別実施例の要部正面図
【図13】残葉除去機構の要部拡大側面図
【図14】残葉除去機構の別実施例の要部拡大側面図
【図15】補助切断機構と切断機構の別実施例の要部側面図
【図16】補助切断機構と切断機構の別実施例の要部平面図
【図17】補助切断部を固定刃とした別実施例の平面図
【図18】補助切断部を固定刃とした別実施例の側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1、図2は、それぞれ、本発明に係る野菜収穫機の側面図および平面図である。
野菜収穫機1は、左右のクローラ2、2による走行部によって走行可能に支持された機体に各種作業機器を搭載して構成される。すなわち、機体の先端位置で根菜作物の茎葉部を引起す周回ラグ機構による引起し装置3、引き起こされた茎葉部を挟持して引抜き搬送する対向配置の周回ベルトによる挟持ベルト機構を後ろ上がりに傾斜配置した引抜搬送装置4、その下方で搬送中の根菜作物の尻尾を切り落とす尻尾切断装置4a、引抜搬送装置4の後部に搬送された根菜作物の茎葉部を後送しつつ切断する挟持ベルト機構と円板カッタによる茎葉切断装置5等が搭載され、また、残葉処理と選別作業のための選別部6、選別された野菜をコンテナに収容するための収容部7、各作業装置の稼動操作と機体走行のための運転操作部8等が配置される。
【0020】
茎葉切断装置5は、その側面図および平面図を図3、図4にそれぞれ示すように、引抜搬送装置4が挟持した茎葉部の基部側を挟持して後方に搬送する基部搬送ベルト11と、その中間行程位置に介設する対向回転刃による切断機構12と、基部搬送ベルト11の前端位置で引抜搬送装置4が引抜き搬送してきた根菜作物を所定高さ位置で引き継ぐための肩揃え装置13と、基部搬送ベルト11の上方に平行して茎葉の上部を挟持搬送する上部搬送ベルト14等から構成される。この茎葉切断装置5により、引抜搬送装置4が引抜き搬送してきた根菜作物を引き継いで後送する間に根塊部が切断落下するとともに、茎葉部が後方に排出される。
【0021】
(肩揃え装置)
肩揃え装置13は、その要部拡大側面図および平面図を図5、図6にそれぞれ示すように、引抜搬送装置4から茎葉部を引き継いで基部搬送ベルト11に引き渡す間に根塊部の高さ位置を揃える肩揃え挟持機構21によって構成され、その導入側には、所定幅寸法W1の通路を確保してその両側部において根菜作物の根塊部の上端に干渉して肩高さを揃えつつ案内するガイド部材22を備え、さらに、このガイド部材22の前部位置には、束状の茎葉部の幅寸法を規制する隙間W2を挟んで対向配置したローラ等の回転部材による幅規制部材23を設けて肩揃え補助部を構成する。その幅規制部材23の隙間W2は、肩揃え挟持機構21の通路幅寸法W3より小さく設定する。また、必要により、根塊部の下部を挟持搬送する対向ベルトによる補助搬送機構24を設ける。
【0022】
上記構成の肩揃え装置13は、作用説明の断面図を図7に示すように、その導入口側に設けた幅規制部材23が、通路幅W3より小なる所定の幅寸法W2内に束状の茎葉部の幅を規制することから、肩揃え装置を支障なく通過することによって高さ位置が整えられ、茎葉切断装置5により所定の位置で根塊部が切断分離される。
【0023】
したがって、収穫するべき根菜作物の茎葉が大量繁茂状況にあっても、引抜き搬送に際して大束状の茎葉部が肩揃え挟持機構21に詰まる事態を防止でき、また、所定の切断位置が確保されることにより垂れ葉の残留を最小限に抑えて根塊部の切断が可能となることから、肩揃え装置13の詰まりや残留垂れ葉による付帯的な対応処理に煩わされることなく、天候次第の収穫作業を能率良く進めることにより計画に沿った出荷および機器運用が可能となる。
【0024】
上記構成における幅規制部材23については、所定の隙間W2を挟んで対向回転動作可能な対向回転体によって構成することにより、簡易な構成の回転体の回転力で茎葉部を両側から確実に押圧して押しつぶすことにより一定の幅W2に揃えることができるので、茎葉部が肩揃え挟持機構21に詰まることが防止され、いっそう作業能率が向上する。また、対向回転体を、引抜搬送装置4を構成するテンションプーリ等に軸着した回転軸4bの端部に取り付けることにより、引抜搬送装置4の駆動力で回転させることができる。この場合、回転方向は、根菜作物の移送方向について同等かそれ以上の周速とすることにより、停滞することなく肩揃え挟持機構21への引き渡しができる。
【0025】
また、上記対向回転体による幅規制部材23は、ガイド部材22とセットで設置することにより、根塊部の肩が揃えられることから、茎葉部の基部側を容易に押しつぶすことができる。上記ガイド部材22の縦方向の幅は、横方向の幅より小さく設定し、左右の間隔W1を可変に構成することで、茎葉部の基部側を回転体に合わせることができる。
【0026】
肩揃え挟持機構21も作用部を可変に構成し、肩揃え補助部を構成するガイド部材22とび幅規制部材23とをセットで使用することにより、肩揃え性能を向上することができる。また、上記対向回転体は、左右で速度差のある押圧ローラを構成し、肩揃え補助部22,23は、堀取クラッチと連動して堀取部の駆動時に作動するように構成してもよい。
【0027】
次に、対向回転体の別の構成例について説明する。
対向回転体には、その外縁部に切削面23sを形成するとともに、肩揃え装置13に沿って後送される根菜作物の茎葉部に対して相対速度差をとって駆動することにより、対向回転体の外縁に形成した切削面23sは、相対速度差によって切削作用を及ぼすことから、茎葉部の両側縁を削り取ることができるので、茎葉部の最大幅が所定寸法W2内に抑えられて肩揃え装置13における茎葉部の詰まりを確実に防止することができ、一層作業能率が向上する。このように、茎葉部の外縁部を削り取ることにより、押圧された茎葉部が膨張することや、押圧された茎葉部が硬くなり茎葉切断装置5で切断し損なうことを防止でき、作業能率の一層の向上が可能となる。
【0028】
具体的には、肩揃え補助部の対向回転体23を超高速回転とした場合は、動作状態の要部拡大正面図を図8に示すように、茎葉部の所定部分を削り取ることができるので、肩揃え性能を向上することができる。その回転体の厚さTは、ベルト幅と同等かそれ以上とする。回転体の形状は、歯面を鋸歯状とすることで、容易に削ることができる。また、別の構成例として、要部拡大平面図(a)および正面図(b)を図9に示すように、上下に複数段の円板23a…を設け、茎葉部に傷を付けるように構成する。円板23aの間には、小径のカラー23bを設ける。さらに、別の構成例として、対向回転体23cの要部平面図を図10に示すように、肩揃え挟持機構21と共通の波型形状とすることで、肩揃え性能を向上することができる。
【0029】
(補助搬送)
次に、補助搬送機構については、ガイド部材22の下方に根菜作物の下部を挟持する対向ベルトによる補助搬送機構を設けることにより、作物の下部が挟持されているので、回転式の幅規制部材を茎葉部に接触させる際に作物の搬送姿勢が乱れることを防止でき、茎葉部の押圧や肩揃え装置への引き継ぎが安定して行われ、茎葉部が適切に切断されて作業能率を向上することができる。
【0030】
(補助切断)
次に、茎葉切断装置5における垂れ葉の切断のための補助切断部について説明する。
垂れ葉は、引抜搬送装置4に挟持されずにその外側部に垂れたまま茎葉切断装置5に進入し、茎葉切断装置5内において切断機構12から逃げて切断されない場合があることから、切断部の拡大平面図を図11に示すように、茎葉搬送装置4の搬送経路下方で且つ切断機構12よりも前側位置で茎葉通路の両外側部を切断範囲とする補助切断機構31を設けることにより、引抜搬送装置4に挟持されずにその外側部に垂れたまま切断機構12に至った垂れ葉が切断され、その後に茎葉部が切断される。この補助切断機構31は、回転刃もしくは円弧形状の固定刃で、垂れ葉を引っ掛けてちぎり取ることにより、根菜作物から茎葉部を確実に除去することができ、作業能率を向上することができる。
【0031】
詳細には、肩揃え挟持機構21と切断機構12との間に、垂れ葉を切り落とすための対向動作する切断刃による補助切断機構31を肩揃え挟持機構21の出口のベルトが左右に開く位置に配置することにより、タッピング装置の全長を短く構成することができる。また、肩揃え挟持機構21の左右の駆動軸21a,21aの幅Aおよび切断機構12の駆動軸12b,12bの幅B内に配置することにより、タッピング装置の全長を短く構成することができる。
【0032】
補助切断部は、別例として要部正面図を図12に示すように、切断機構12と同軸上に回転刃32a,32aを設けて補助切断機構32を構成することにより、簡易に構成することができる。この場合、各駆動軸12b,12bのフランジ側をカッター側と独立して高さ調節機構12c,12cを設けることにより、それぞれの側で一体に高さ調節が可能となる。
【0033】
切断機構12の両回転刃12a,12aの間は、隙間なしまたはラップさせ、補助切断機構32の回転刃32a,32aは、所定の隙間Cを空ける。切断機構12の回転刃12a,12aを上に、補助切断機構32の回転刃32a,32aを下に配置し、それぞれ、着脱可能に、かつ、両軸を回転駆動可能に構成する。
【0034】
補助切断機構31と切断機構12を個別に駆動する場合は、一方の軸を駆動し、他方の軸を従動軸として伝動構成し、伝動構成を容易にするためには、切断機構12の左右の軸12b,12bを駆動側とし、補助切断機構31の左右の軸32b,32bを従動側とする。この場合の伝動構成は、側面図と平面図をそれぞれ図15、図16に示す例のように、補助切断機構31の左右の軸31b,31bについて、カッター側とフランジ側を独立してフランジ側に高さ調節機構31c,31cを設け、補助切断機構31と切断機構12のカッター側をベルト等の伝動手段33で連結するとともに、フランジ側を同様に伝動手段34で連結する。
【0035】
このフランジ側の伝動手段33により、いずれかの高さ調節機構12c,31cの操作によって両方同時に高さ調節が可能となる。また、補助切断機構31については、両サイドから隙間調節が容易にできるように、調節ボルト35による隙間調節機構を設ける。
【0036】
また、補助切断部を固定刃で構成する例36については、平面図と側面図をそれぞれ図17、図18に示すように、左右の円弧状の固定刃36a,36aと角度変更可能なそれぞれの偏心固定部36b、36bとにより、隙間調節可能に簡易に構成することができる。
【0037】
(残葉除去)
次に、残葉除去のために、ガイド部材22の前方には、ブラシ状の残葉除去機構41を設ける。この残葉除去機構41は、要部拡大側面図を図13に示すように、対向ローラ等の回転体41a,41aにより構成し、ガイド部材22の引抜搬送装置4の方向幅より広く構成する。駆動は、引抜搬送装置4のプーリ4d、4dから回転を取出すことによって製造コストを抑えることができ、特に、引抜搬送装置4のベルト4c、4cの戻り側のプーリ4d、4dを利用することにより、回転体41a,41aの径を大きく取ることができる。回転体41a,41aの外周は、根菜作物が傷付かないように、をスポンジ等の弾性材で構成し、引抜搬送装置4の搬送方向に、それより速く回転させる。
【0038】
残葉除去機構41の下方には、根塊部の下部を固定してフラ付きを防止するために、対向配置の周回ベルト機構42による下部押さえを残葉除去機構41の前後に及んで設け、これを引抜搬送装置4のプーリ4d、4dによって低コストで構成することできる。また、低コストの下部押さえの例として、別の構成例の要部拡大側面図を図14に示すように、対向ローラ43によって構成することができる。この場合、残葉除去機構41と対向ローラ43が垂直方向にラップするように構成する。
【符号の説明】
【0039】
1 野菜収穫機
4 引抜搬送装置
5 茎葉切断装置
11 基部搬送ベルト(茎葉搬送機構)
12 切断機構
13 肩揃え装置
21 挟持機構
22 ガイド部材
23 幅規制部材(規制回転体)
24 補助搬送機構
31 補助切断機構
32 補助切断機構
32a 回転刃
41a 回転体
41 残葉除去機構
42 周回ベルト機構
43 対向ローラ
C 隙間(垂れ葉切断幅)
T 幅規制厚さ
W1 所定幅寸法
W2 隙間
W3 通路幅寸法
【技術分野】
【0001】
本発明は、挟持搬送装置と茎葉切断装置とを備えてニンジン等の根菜作物を走行収穫しつつその上部の茎葉を切断する野菜収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2に示される野菜収穫機が知られている。これらの野菜収穫機は、挟持搬送装置と茎葉切断装置とを備えてニンジン等の根菜作物を収穫走行しつつ茎葉部を切断することができる。
【0003】
詳細には、挟持搬送装置は、後ろ上がりに傾斜配置した対向ベルト機構によって圃場作物の茎葉を挟持して引抜き、吊下げ姿勢で作物を上昇搬送し、これを走行機体の走行速度と対応稼動することにより、作物を引抜いて直立姿勢で上昇搬送する。茎葉切断装置は、挟持搬送装置から根塊部を上限高さ位置に規制する肩揃え装置を介して引き継ぐ対向ベルト機構によって後送し、これに臨むカッタ部により、所定高さ位置で茎葉を切除した根塊部を収穫することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3459362号公報
【特許文献2】特開2000−270644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2記載の発明では、根菜作物の茎葉部が繁茂している場合に、大束状の茎葉部が肩揃え装置の左右間に詰まってしまい、作業を中断して詰まった作物を取り除かねばならず、また、一部茎葉が肩揃え装置の左右間に入り込めなかった場合は、茎葉部の切断位置が揃えられないことがあり、茎葉部が作物に残ったまま後工程に送られてしまい、残った茎葉部を除去する作業が必要となり、作業能率が低下する欠点がある。
また、圃場から引き抜かれる際に引抜搬送装置に挟持されなかった垂れ葉は、茎葉切断装置を外れて茎葉部が収穫対象の根塊部に残留したまま後工程に送られることから、その除去作業が必要となり、作業能率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、収穫するべき根菜作物が茎葉繁茂状況下にあっても、切断位置を揃えるための肩揃え装置に詰まる事態を防止し、また、切断位置の不揃いによる垂れ葉の残留を最小限に抑えて茎葉部を切断することができる根菜類収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、圃場に植生する作物の茎葉部を引き抜いて後ろ上がりに傾斜搬送する引抜搬送装置(4)と、該引抜搬送装置(4)で挟持搬送中の作物の上部を接触させて上方移動を規制しながら後方に案内するガイド部材(22)と、該ガイド部材(22)の搬送方向後側で作物の茎葉部の切断位置を揃える肩揃え装置(13)と、該肩揃え装置(13)の搬送方向後側で前記引抜搬送装置(4)から作物の茎葉部を引き継いで後方に搬送する茎葉搬送機構(11)と、該茎葉搬送装置(11)の下方で且つ前記肩揃え装置(13)の搬送終端部の後方で作物の茎葉部を切断する茎葉切断装置(5)とを備えた根菜類収穫機において、前記肩揃え装置(13)の搬送始端部よりも前側に肩揃え装置(13)の左右間の通路幅(W3)よりも狭い幅(W2)内に茎葉部の幅寸法を規制する幅規制部材(23)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0008】
上記構成により、圃場から引き抜かれた作物は茎葉部を挟持されて後上り傾斜方向に搬送され、この作物の上端部はガイド部材(22)に過度の上昇を規制されつつ後方の肩揃え装置(13)に搬送され、該肩揃え装置(13)の搬送始端部に設けた幅規制部材(23)で茎葉部はその幅を肩揃え装置(13)の通路幅(W3)を通過可能な束状で且つ所定の幅(W2)に整えられるので、作物は肩揃え装置(13)の間隔部を支障なく通過することができるので、肩揃え装置(13)で作物の茎葉切断位置が整えられて所定の位置で茎葉部と根部とが切断分離される。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記幅規制部材(23)を対向回転可能な一対の規制回転体(23a,23a)で構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
上記幅規制部材(23)を一対の規制回転体(23a,23a)としたことにより、簡易な構成の回転体の回転力で茎葉部を両側から確実に押圧して一定の幅に揃えられる。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記規制回転体(23a,23a)の外縁部に切削面(23s)をそれぞれ形成し、前記規制回転体(23a,23a)の回転速度を一側と他側とで速度差が生じる構成としたことを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機とした。
上記規制回転体(23a,23a)の外縁に形成した切削面(23s)は、肩揃え装置(13)に沿って後送される根菜作物の茎葉部との相対速度差によって切削作用を及ぼすことから、茎葉部の両側縁が所定幅に削り取られる。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記茎葉搬送機構(11)の搬送経路の下方で且つ茎葉切断装置(5)よりも前側位置に、茎葉部の両外側部を切断する補助切断機構(31)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
上記引抜搬送装置(4)に挟持されずにその外側部に垂れたまま茎葉切断装置(5)に至った垂れ葉が切断され、その後に茎葉部が切断される。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記ガイド部材(22)の下方に根菜作物の下部を挟持して同速で搬送する補助搬送機構(24)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
上記ガイド部材(22)の下方に補助搬送機構(24)を設けたことにより、作物の下部が同速搬送挟持されているので、回転式の幅規制部材(23)を茎葉部に接触させる際に作物の搬送姿勢が整えられる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明の効果は、肩揃え装置(13)の導入口部に設けた幅規制部材(23)が、通路幅よりも小さな所定寸法内に束状の茎葉部の幅を規制することにより、肩揃え装置(13)を支障なく通過して高さ位置が整えられた後、茎葉切断装置(5)により所定の位置で根塊部が切断分離されるので、収穫するべき根菜作物の茎葉が大量に繁茂している状況であっても、引抜搬送に際して大径の茎葉部が肩揃え装置(13)に詰まることを防止でき、また、所定の切断位置が確保されることにより垂れ葉の残留を最小限に抑えて根塊部を切断することができるので、肩揃え装置(13)の詰まりや残留する垂れ葉による付帯的な対応処理に煩わされることなく、天候次第の収穫作業を能率良く進めることにより、計画に沿った出荷および機器運用が可能となる。
【0014】
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加え、幅規制部材(23)を一対の規制回転体(23a,23a)で構成したことにより、簡易な構成の回転体の回転力で茎葉部を両側から確実に押圧して一定の幅に揃えることができるので、茎葉部が肩揃え装置(13)に詰まることが防止され、作業能率が向上する。
【0015】
請求項3記載の発明の効果は、請求項2記載の発明の効果に加え、規制回転体(23a,23a)の外縁に形成した切削面(23s)は、肩揃え装置(13)に沿って後送される根菜作物の茎葉部との相対速度差によって切削作用を及ぼすことから、茎葉部の両側縁を削り取ることができるので、押圧された茎葉部の膨張や、押圧された茎葉部が硬くなり茎葉切断装置(5)で切断し損なうことを防止でき、茎葉部の最大幅が確実に所定寸法内に抑えられて肩揃え装置における茎葉部の詰まりを確実に防止することができ、作業能率が向上する。
【0016】
請求項4記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加え、引抜搬送装置(4)に挟持されずにその外側部に垂れたまま茎葉切断装置(5)に至り、茎葉切断装置(5)から逃げて切断されない場合でも、補助切断機構(31)により、回転刃もしくは円弧形状の固定刃で、垂れ葉を引っ掛けてちぎり取ることから、その後の茎葉部の切断により、作物から茎葉部を確実に除去することができ、作業能率が向上する。
【0017】
請求項5記載の発明の効果発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、ガイド部材の下方に補助搬送機構(31)を設けたことにより、作物の下部が同速搬送挟持されているので、回転式の幅規制部材(23)を茎葉部に接触させる際に作物の搬送姿勢が乱れることを防止でき、茎葉部の押圧や肩揃え装置(13)への引き継ぎが安定して行われ、茎葉部が適切に切断されて作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】野菜収穫機の側面図
【図2】野菜収穫機の平面図
【図3】茎葉切断装置の側面図
【図4】茎葉切断装置の平面図
【図5】肩揃え装置の要部拡大側面図
【図6】肩揃え装置の要部拡大平面図
【図7】肩揃え装置の作用説明用の断面図
【図8】規制回転体の動作状態の要部拡大正面図
【図9】(a) 規制回転体の別実施例の要部拡大平面図(b) 規制回転体の別実施例の要部拡大正面図
【図10】対向回転体の別実施例の要部平面図
【図11】切断部の別実施例の要部拡大平面図
【図12】補助切断装置の別実施例の要部正面図
【図13】残葉除去機構の要部拡大側面図
【図14】残葉除去機構の別実施例の要部拡大側面図
【図15】補助切断機構と切断機構の別実施例の要部側面図
【図16】補助切断機構と切断機構の別実施例の要部平面図
【図17】補助切断部を固定刃とした別実施例の平面図
【図18】補助切断部を固定刃とした別実施例の側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1、図2は、それぞれ、本発明に係る野菜収穫機の側面図および平面図である。
野菜収穫機1は、左右のクローラ2、2による走行部によって走行可能に支持された機体に各種作業機器を搭載して構成される。すなわち、機体の先端位置で根菜作物の茎葉部を引起す周回ラグ機構による引起し装置3、引き起こされた茎葉部を挟持して引抜き搬送する対向配置の周回ベルトによる挟持ベルト機構を後ろ上がりに傾斜配置した引抜搬送装置4、その下方で搬送中の根菜作物の尻尾を切り落とす尻尾切断装置4a、引抜搬送装置4の後部に搬送された根菜作物の茎葉部を後送しつつ切断する挟持ベルト機構と円板カッタによる茎葉切断装置5等が搭載され、また、残葉処理と選別作業のための選別部6、選別された野菜をコンテナに収容するための収容部7、各作業装置の稼動操作と機体走行のための運転操作部8等が配置される。
【0020】
茎葉切断装置5は、その側面図および平面図を図3、図4にそれぞれ示すように、引抜搬送装置4が挟持した茎葉部の基部側を挟持して後方に搬送する基部搬送ベルト11と、その中間行程位置に介設する対向回転刃による切断機構12と、基部搬送ベルト11の前端位置で引抜搬送装置4が引抜き搬送してきた根菜作物を所定高さ位置で引き継ぐための肩揃え装置13と、基部搬送ベルト11の上方に平行して茎葉の上部を挟持搬送する上部搬送ベルト14等から構成される。この茎葉切断装置5により、引抜搬送装置4が引抜き搬送してきた根菜作物を引き継いで後送する間に根塊部が切断落下するとともに、茎葉部が後方に排出される。
【0021】
(肩揃え装置)
肩揃え装置13は、その要部拡大側面図および平面図を図5、図6にそれぞれ示すように、引抜搬送装置4から茎葉部を引き継いで基部搬送ベルト11に引き渡す間に根塊部の高さ位置を揃える肩揃え挟持機構21によって構成され、その導入側には、所定幅寸法W1の通路を確保してその両側部において根菜作物の根塊部の上端に干渉して肩高さを揃えつつ案内するガイド部材22を備え、さらに、このガイド部材22の前部位置には、束状の茎葉部の幅寸法を規制する隙間W2を挟んで対向配置したローラ等の回転部材による幅規制部材23を設けて肩揃え補助部を構成する。その幅規制部材23の隙間W2は、肩揃え挟持機構21の通路幅寸法W3より小さく設定する。また、必要により、根塊部の下部を挟持搬送する対向ベルトによる補助搬送機構24を設ける。
【0022】
上記構成の肩揃え装置13は、作用説明の断面図を図7に示すように、その導入口側に設けた幅規制部材23が、通路幅W3より小なる所定の幅寸法W2内に束状の茎葉部の幅を規制することから、肩揃え装置を支障なく通過することによって高さ位置が整えられ、茎葉切断装置5により所定の位置で根塊部が切断分離される。
【0023】
したがって、収穫するべき根菜作物の茎葉が大量繁茂状況にあっても、引抜き搬送に際して大束状の茎葉部が肩揃え挟持機構21に詰まる事態を防止でき、また、所定の切断位置が確保されることにより垂れ葉の残留を最小限に抑えて根塊部の切断が可能となることから、肩揃え装置13の詰まりや残留垂れ葉による付帯的な対応処理に煩わされることなく、天候次第の収穫作業を能率良く進めることにより計画に沿った出荷および機器運用が可能となる。
【0024】
上記構成における幅規制部材23については、所定の隙間W2を挟んで対向回転動作可能な対向回転体によって構成することにより、簡易な構成の回転体の回転力で茎葉部を両側から確実に押圧して押しつぶすことにより一定の幅W2に揃えることができるので、茎葉部が肩揃え挟持機構21に詰まることが防止され、いっそう作業能率が向上する。また、対向回転体を、引抜搬送装置4を構成するテンションプーリ等に軸着した回転軸4bの端部に取り付けることにより、引抜搬送装置4の駆動力で回転させることができる。この場合、回転方向は、根菜作物の移送方向について同等かそれ以上の周速とすることにより、停滞することなく肩揃え挟持機構21への引き渡しができる。
【0025】
また、上記対向回転体による幅規制部材23は、ガイド部材22とセットで設置することにより、根塊部の肩が揃えられることから、茎葉部の基部側を容易に押しつぶすことができる。上記ガイド部材22の縦方向の幅は、横方向の幅より小さく設定し、左右の間隔W1を可変に構成することで、茎葉部の基部側を回転体に合わせることができる。
【0026】
肩揃え挟持機構21も作用部を可変に構成し、肩揃え補助部を構成するガイド部材22とび幅規制部材23とをセットで使用することにより、肩揃え性能を向上することができる。また、上記対向回転体は、左右で速度差のある押圧ローラを構成し、肩揃え補助部22,23は、堀取クラッチと連動して堀取部の駆動時に作動するように構成してもよい。
【0027】
次に、対向回転体の別の構成例について説明する。
対向回転体には、その外縁部に切削面23sを形成するとともに、肩揃え装置13に沿って後送される根菜作物の茎葉部に対して相対速度差をとって駆動することにより、対向回転体の外縁に形成した切削面23sは、相対速度差によって切削作用を及ぼすことから、茎葉部の両側縁を削り取ることができるので、茎葉部の最大幅が所定寸法W2内に抑えられて肩揃え装置13における茎葉部の詰まりを確実に防止することができ、一層作業能率が向上する。このように、茎葉部の外縁部を削り取ることにより、押圧された茎葉部が膨張することや、押圧された茎葉部が硬くなり茎葉切断装置5で切断し損なうことを防止でき、作業能率の一層の向上が可能となる。
【0028】
具体的には、肩揃え補助部の対向回転体23を超高速回転とした場合は、動作状態の要部拡大正面図を図8に示すように、茎葉部の所定部分を削り取ることができるので、肩揃え性能を向上することができる。その回転体の厚さTは、ベルト幅と同等かそれ以上とする。回転体の形状は、歯面を鋸歯状とすることで、容易に削ることができる。また、別の構成例として、要部拡大平面図(a)および正面図(b)を図9に示すように、上下に複数段の円板23a…を設け、茎葉部に傷を付けるように構成する。円板23aの間には、小径のカラー23bを設ける。さらに、別の構成例として、対向回転体23cの要部平面図を図10に示すように、肩揃え挟持機構21と共通の波型形状とすることで、肩揃え性能を向上することができる。
【0029】
(補助搬送)
次に、補助搬送機構については、ガイド部材22の下方に根菜作物の下部を挟持する対向ベルトによる補助搬送機構を設けることにより、作物の下部が挟持されているので、回転式の幅規制部材を茎葉部に接触させる際に作物の搬送姿勢が乱れることを防止でき、茎葉部の押圧や肩揃え装置への引き継ぎが安定して行われ、茎葉部が適切に切断されて作業能率を向上することができる。
【0030】
(補助切断)
次に、茎葉切断装置5における垂れ葉の切断のための補助切断部について説明する。
垂れ葉は、引抜搬送装置4に挟持されずにその外側部に垂れたまま茎葉切断装置5に進入し、茎葉切断装置5内において切断機構12から逃げて切断されない場合があることから、切断部の拡大平面図を図11に示すように、茎葉搬送装置4の搬送経路下方で且つ切断機構12よりも前側位置で茎葉通路の両外側部を切断範囲とする補助切断機構31を設けることにより、引抜搬送装置4に挟持されずにその外側部に垂れたまま切断機構12に至った垂れ葉が切断され、その後に茎葉部が切断される。この補助切断機構31は、回転刃もしくは円弧形状の固定刃で、垂れ葉を引っ掛けてちぎり取ることにより、根菜作物から茎葉部を確実に除去することができ、作業能率を向上することができる。
【0031】
詳細には、肩揃え挟持機構21と切断機構12との間に、垂れ葉を切り落とすための対向動作する切断刃による補助切断機構31を肩揃え挟持機構21の出口のベルトが左右に開く位置に配置することにより、タッピング装置の全長を短く構成することができる。また、肩揃え挟持機構21の左右の駆動軸21a,21aの幅Aおよび切断機構12の駆動軸12b,12bの幅B内に配置することにより、タッピング装置の全長を短く構成することができる。
【0032】
補助切断部は、別例として要部正面図を図12に示すように、切断機構12と同軸上に回転刃32a,32aを設けて補助切断機構32を構成することにより、簡易に構成することができる。この場合、各駆動軸12b,12bのフランジ側をカッター側と独立して高さ調節機構12c,12cを設けることにより、それぞれの側で一体に高さ調節が可能となる。
【0033】
切断機構12の両回転刃12a,12aの間は、隙間なしまたはラップさせ、補助切断機構32の回転刃32a,32aは、所定の隙間Cを空ける。切断機構12の回転刃12a,12aを上に、補助切断機構32の回転刃32a,32aを下に配置し、それぞれ、着脱可能に、かつ、両軸を回転駆動可能に構成する。
【0034】
補助切断機構31と切断機構12を個別に駆動する場合は、一方の軸を駆動し、他方の軸を従動軸として伝動構成し、伝動構成を容易にするためには、切断機構12の左右の軸12b,12bを駆動側とし、補助切断機構31の左右の軸32b,32bを従動側とする。この場合の伝動構成は、側面図と平面図をそれぞれ図15、図16に示す例のように、補助切断機構31の左右の軸31b,31bについて、カッター側とフランジ側を独立してフランジ側に高さ調節機構31c,31cを設け、補助切断機構31と切断機構12のカッター側をベルト等の伝動手段33で連結するとともに、フランジ側を同様に伝動手段34で連結する。
【0035】
このフランジ側の伝動手段33により、いずれかの高さ調節機構12c,31cの操作によって両方同時に高さ調節が可能となる。また、補助切断機構31については、両サイドから隙間調節が容易にできるように、調節ボルト35による隙間調節機構を設ける。
【0036】
また、補助切断部を固定刃で構成する例36については、平面図と側面図をそれぞれ図17、図18に示すように、左右の円弧状の固定刃36a,36aと角度変更可能なそれぞれの偏心固定部36b、36bとにより、隙間調節可能に簡易に構成することができる。
【0037】
(残葉除去)
次に、残葉除去のために、ガイド部材22の前方には、ブラシ状の残葉除去機構41を設ける。この残葉除去機構41は、要部拡大側面図を図13に示すように、対向ローラ等の回転体41a,41aにより構成し、ガイド部材22の引抜搬送装置4の方向幅より広く構成する。駆動は、引抜搬送装置4のプーリ4d、4dから回転を取出すことによって製造コストを抑えることができ、特に、引抜搬送装置4のベルト4c、4cの戻り側のプーリ4d、4dを利用することにより、回転体41a,41aの径を大きく取ることができる。回転体41a,41aの外周は、根菜作物が傷付かないように、をスポンジ等の弾性材で構成し、引抜搬送装置4の搬送方向に、それより速く回転させる。
【0038】
残葉除去機構41の下方には、根塊部の下部を固定してフラ付きを防止するために、対向配置の周回ベルト機構42による下部押さえを残葉除去機構41の前後に及んで設け、これを引抜搬送装置4のプーリ4d、4dによって低コストで構成することできる。また、低コストの下部押さえの例として、別の構成例の要部拡大側面図を図14に示すように、対向ローラ43によって構成することができる。この場合、残葉除去機構41と対向ローラ43が垂直方向にラップするように構成する。
【符号の説明】
【0039】
1 野菜収穫機
4 引抜搬送装置
5 茎葉切断装置
11 基部搬送ベルト(茎葉搬送機構)
12 切断機構
13 肩揃え装置
21 挟持機構
22 ガイド部材
23 幅規制部材(規制回転体)
24 補助搬送機構
31 補助切断機構
32 補助切断機構
32a 回転刃
41a 回転体
41 残葉除去機構
42 周回ベルト機構
43 対向ローラ
C 隙間(垂れ葉切断幅)
T 幅規制厚さ
W1 所定幅寸法
W2 隙間
W3 通路幅寸法
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に植生する作物の茎葉部を引き抜いて後ろ上がりに傾斜搬送する引抜搬送装置(4)と、該引抜搬送装置(4)で挟持搬送中の作物の上部を接触させて上方移動を規制しながら後方に案内するガイド部材(22)と、該ガイド部材(22)の搬送方向後側で作物の茎葉部の切断位置を揃える肩揃え装置(13)と、該肩揃え装置(13)の搬送方向後側で前記引抜搬送装置(4)から作物の茎葉部を引き継いで後方に搬送する茎葉搬送機構(11)と、該茎葉搬送装置(11)の下方で且つ前記肩揃え装置(13)の搬送終端部の後方で作物の茎葉部を切断する茎葉切断装置(5)とを備えた根菜類収穫機において、
前記肩揃え装置(13)の搬送始端部よりも前側に肩揃え装置(13)の左右間の通路幅(W3)よりも狭い幅(W2)内に茎葉部の幅寸法を規制する幅規制部材(23)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記幅規制部材(23)を対向回転可能な一対の規制回転体(23a,23a)で構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記規制回転体(23a,23a)の外縁部に切削面(23s)をそれぞれ形成し、前記規制回転体(23a,23a)の回転速度を一側と他側とで速度差が生じる構成としたことを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記茎葉搬送機構(11)の搬送経路の下方で且つ茎葉切断機構(12)よりも前側位置に、茎葉部の両外側部を切断する補助切断機構(31)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
前記ガイド部材(22)の下方に根菜作物の下部を挟持して同速で搬送する補助搬送機構(24)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項1】
圃場に植生する作物の茎葉部を引き抜いて後ろ上がりに傾斜搬送する引抜搬送装置(4)と、該引抜搬送装置(4)で挟持搬送中の作物の上部を接触させて上方移動を規制しながら後方に案内するガイド部材(22)と、該ガイド部材(22)の搬送方向後側で作物の茎葉部の切断位置を揃える肩揃え装置(13)と、該肩揃え装置(13)の搬送方向後側で前記引抜搬送装置(4)から作物の茎葉部を引き継いで後方に搬送する茎葉搬送機構(11)と、該茎葉搬送装置(11)の下方で且つ前記肩揃え装置(13)の搬送終端部の後方で作物の茎葉部を切断する茎葉切断装置(5)とを備えた根菜類収穫機において、
前記肩揃え装置(13)の搬送始端部よりも前側に肩揃え装置(13)の左右間の通路幅(W3)よりも狭い幅(W2)内に茎葉部の幅寸法を規制する幅規制部材(23)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記幅規制部材(23)を対向回転可能な一対の規制回転体(23a,23a)で構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記規制回転体(23a,23a)の外縁部に切削面(23s)をそれぞれ形成し、前記規制回転体(23a,23a)の回転速度を一側と他側とで速度差が生じる構成としたことを特徴とする請求項2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記茎葉搬送機構(11)の搬送経路の下方で且つ茎葉切断機構(12)よりも前側位置に、茎葉部の両外側部を切断する補助切断機構(31)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
前記ガイド部材(22)の下方に根菜作物の下部を挟持して同速で搬送する補助搬送機構(24)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−41477(P2011−41477A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189860(P2009−189860)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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