説明

根菜類収穫機

【課題】
作物を貯留するコンテナを、作業者が殆ど労力を要することなく移動させることのできる根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】
作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置24を設け、作物を収容した収容容器107を貯留する貯留台122を設け、貯留台122に載置した収容容器107を移動させる貯留移動機構120を設け、引抜搬送装置24の下方に引抜搬送装置24から作物を引き継ぎ搬送する搬送装置92を設け、搬送装置92から排出される作物を収容する収容容器107を載置する受け台108を貯留台122の一側で且つ搬送装置92の搬送終端部下方に設け、受け台108を収容容器107が作物を収容し始める傾斜姿勢から貯留台122と同じ高さもしくは略同じ高さとなる位置まで回動する構成とし、受け台108に載置した収容容器107を貯留台122に送り出す送出移動機構101を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から引き抜いて収穫する、根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、引抜搬送装置で作物を圃場から引き抜き、茎葉処理装置で茎葉を除去し、茎葉が除去された作物を搬送コンベアで搬送し、搬送コンベアから排出される作物を受け台に載置したコンテナで回収し、作物を満杯に収容したコンテナを貯留台に貯留する根菜類収穫機の技術が存在する。(特許文献1、2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003− 23826号公報
【特許文献2】特開2008− 54623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された根菜類収穫機では、受け台に載置したコンテナに作物が満載されるたびに、搬送コンベアを長時間停止させてコンテナを貯留台に移動させねばならず、作業能率が低下する問題がある。
【0005】
また、作物が満載されたコンテナを受け台から貯留台に移動させるために、作業者や補助作業者が操縦部や座席等の作業位置から離れなければならず、その間機体の操縦や作物の選別等の作業を行うことができず、作業能率が低下する問題がある。
【0006】
本発明は、この問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、圃場から作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置(24)を設け、作物を収容した収容容器(107)を貯留する貯留台(122)を設け、該貯留台(122)に載置した収容容器(107)を移動させる貯留移動機構(120)を設け、前記引抜搬送装置(24)の下方に引抜搬送装置(24)から作物を引き継いで搬送する搬送装置(92)を設け、前記搬送装置(92)から排出される作物を収容する収容容器(107)を載置する受け台(108)を前記貯留台(122)の一側で且つ搬送装置(92)の搬送終端部の下方に設け、該受け台(108)を収容容器(107)が作物を収容し始める傾斜姿勢から貯留台(122)と同じ高さもしくは略同じ高さとなる位置まで回動する構成とし、該受け台(108)に載置した収容容器(107)を貯留台(122)に送り出す送出移動機構(101)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記受け台(108)に作物を収容中の収容容器(107)の移動を規制する規制部材(102)を設け、該受け台(108)の一側に空の収容容器(107)を載置する予備載置台(109)を受け台(108)に対して上方傾斜姿勢から水平姿勢もしくは略水平姿勢となる位置まで回動する構成とし、該予備載置台(109)と規制部材(102)とを連動部材(103,104,105)で連結し、前記予備載置台(109)を下方回動させると連動部材(103,104,105)が規制部材(102)の規制状態を解除する構成としたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記受け台(108)を支持する支持機枠(96)を搬送装置(92)の搬送方向下手側に設け、該支持機枠(96)に受け台(108)に載置した収容容器(107)の重量の増減に応じて伸縮する伸縮部材(99)を設け、該伸縮部材(99)の伸縮に応じて支持機枠(96)が受け台(108)に載置した収容容器(107)が作物を収容し始める傾斜姿勢から貯留台(122)と同じ高さもしくは略同じ高さとなる位置まで回動する構成としたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記受け台(108)の一側に受け台(108)が貯留台(122)と同じ高さもしくは略同じ高さまで回動すると貯留台(122)に係合する係合部材(106)を設けたことを特徴とする請求項1または3記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、収容容器(107)が作物を収容し始める傾斜姿勢から貯留台(122)と同じ高さ、もしくは略同じ高さとなる位置まで回動可能な受け台(108)を設けたことにより、受け台(108)を貯留台(122)と同じもしくは略同じ高さまで下方に回動させると、作業者は作物が収容された収容容器(107)を貯留台(122)側に押すだけで受け台(108)から貯留台(122)に移動させることができるので、作業者が収容容器(107)を動かしやすい位置まで移動して収容容器(107)を移動させる動作が省略され、作業能率が向上する。
【0012】
また、貯留台(122)に貯留移動機構(120)を設け、受け台(108)に送出移動機構(110)を設けたことにより、作業者は受け台(108)に載置された収容容器(107)を貯留台(122)側に軽く押すだけで移動させることができるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、前記受け台(108)に収容容器(107)の移動を規制する規制部材(102)を設けたことにより、前記搬送装置(92)から排出される作物を収容中の収容容器(107)が機体の傾斜や振動等により貯留台(122)に移動してしまうことを防止でき、収容容器(107)は作物を収容してから貯留台(122)に送られるので、作業能率が向上する。
【0014】
また、搬送装置(92)の搬送終端部から作物が受け台(108)や圃場に落下することを防止できるので、落下の衝撃で作物が傷付くことが防止され、作物の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に圃場に落下した作物を手作業で拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0015】
そして、受け台(108)の後部に空の収容容器(107)を載置する予備載置台(109)を設けたことにより、作業者は作物を収容した収容容器(107)を貯留台(122)に移動させながら予備載置台(109)に載置している空の収容容器(107)を受け台(108)に設置することができるので、搬送装置(92)を停止させない、あるいは搬送装置(92)を停止させる時間が短縮されるので、作業能率が向上する。
【0016】
さらに、規制部材(102)と予備載置台(109)とを連動部材(103,104,105)で連結したことにより、予備載置台(109)を水平姿勢、もしくは略水平姿勢になるまで下方に回動させると、規制部材(102)が収容容器(107)の底部よりも下方に回動するため、予備載置台(109)に載置した空の収容容器(107)を下方で且つ受け台(108)側に向けて押すと、この空の収容容器(107)が受け台(108)の作物が収容された収容容器(107)を押し出して貯留台(122)に移動させるので、作物が収容された収容容器(107)と空の収容容器(107)を同時に移動させることができ、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、収容容器(107)の重量の増減に応じて伸縮する伸縮部材(99)を設けたことにより、収容容器(107)に作物が収容されて重量が増加すると、伸縮部材(99)が縮んで受け台(108)を貯留台(122)と同じ高さもしくは略同じ高さまで自動的に回動させるので、作業者が収容容器(107)の作物の収容量に応じて受け台(108)を手作業で下方回動させる必要がなく、作業能率が向上すると共に作業能率が向上する。
【0018】
また、収容容器(107)を受け台(108)から取り除くと、伸縮部材(99)が伸びて受け台(108)を上方回動させるため、作業者が受け台(108)を手作業で上方回動させる必要がなく、作業能率が向上すると共に作業能率が向上する。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、請求項1または3記載の発明の効果に加えて、受け台(108)の一側に係合部材(106)を設け、貯留台(122)の受け台(108)から収容容器(107)を受ける側に延長部(121)を形成したことにより、受け台(108)が貯留台(122)と同じ高さもしくは略同じ高さまで下降すると係合部材(106)が延長部(121)に接触して受け台(108)の下降が停止するので、受け台(108)と貯留台(128)との高さを自動的に揃えることができ、収容容器(107)が受け台(108)から貯留台(122)に円滑に移送されて、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】根菜類収穫機の要部拡大斜視図
【図4】茎葉切断部の側面図
【図5】茎葉切断部の平面図
【図6】茎葉切断部の肩揃え装置の要部平面図
【図7】(a)肩揃え装置の搬送体の平面図、(b)肩揃え装置の搬送体の側面図、(c)肩揃え装置の搬送体の正面図
【図8】肩揃え装置の側面断面図
【図9】残葉処理コンベアの平面図
【図10】残葉処理コンベアの要部側面図
【図11】残葉処理コンベアの別実施例の平面図
【図12】残葉処理コンベアの別実施例の要部側面図
【図13】引継シュータと選別搬送コンベアの平面図
【図14】引継シュータと選別搬送コンベアの要部背面図
【図15】残葉処理コンベアの別実施例の平面図
【図16】残葉処理コンベアの別実施例の要部側面図
【図17】残葉処理コンベアの別実施例の要部側面図
【図18】残葉処理コンベアの別実施例の要部側面図
【図19】残葉処理コンベアの別実施例の要部側面図
【図20】引継シュータと選別搬送コンベアの別実施例の要部背面図
【図21】(a)引継シュータの別実施例の平面図、(b)引継シュータの別実施例の側面図
【図22】引継シュータと選別搬送コンベアの別実施例の要部背面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図14に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理する残葉処理部Eと、残葉処理部Eから人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、該選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。
【0022】
なお、本件においては、平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0023】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1、図2で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0024】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0025】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0026】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1、図2で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0027】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置25を設け、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置26を設けると共に、該横引起し装置26の前部に設ける分草杆27を設ける。さらに、正逆転自在な駆動モータ29を作動させると上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に、引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31を設け、前記エンジン7の駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33を設け、該振動フレーム33に、人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ34,34を設ける。
【0028】
そして、前記引抜搬送通路Rの下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参の下部のひげ根を切断するひげ根切断装置35を取り付けて、収穫部Cを構成する。
上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることにより、圃場に倒伏した人参の茎葉を分草杆27で起こしてから、縦引起し装置25と横引起し装置26とで掻き上げながら人参の収穫作業をすることができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業後に人手で抜き残された人参を引き抜く必要が無く、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0029】
また、人参に振動フレーム33や左右振動ソイラ34,34等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
そして、上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことにより、ゲージ輪31を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0030】
そして、機体フレーム9と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0031】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
さらに、引抜搬送装置24の搬送経路の下方にひげ根切断装置35を設けたことにより、収穫作業の後工程や収穫後の洗浄、選別作業の前にひげ根を取り除く作業が省略されるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0032】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
図1、図2及び図4〜図8で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右の伝動軸36,36を取り付け、該左右の伝動軸36,36の上部に左右伝動ケース37,37を取り付けると共に、該左右の伝動ケース37,37内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット38,38を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸36,36に左右の第2ギアユニット39,39を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット39,39の後端部に左右の第1出力軸40,40を機体上方に向けて軸着する。
【0033】
そして、前記の左右第1ギアユニット38,38の前端部に左右の第2出力軸41,41を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸41,41に左右の位置揃え駆動スプロケット42,42を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース37,37の前下部に側面視L字型の左右の位置揃えフレーム43,43を取り付け、該位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に左右の位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右回転軸46,46を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃え駆動スプロケット42,42との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット47,47を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット47,47と位置揃え駆動スプロケット42,42と位置揃え従動スプロケット45,45とに左右の位置揃えチェーン48,48を無端状に巻回する。
【0034】
なお、前記位置揃え駆動スプロケット42,42は、位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
そして、前記伝動ケース37,37に左右の受け板49,49を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板49,49と位置揃えフレーム43,43との間に、前記位置揃え従動スプロケット45,45を張圧して位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させる左右の張圧バネ50,50を取り付ける。該張圧バネ50,50は、受け板49,49を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット47,47にかかる張圧力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。
【0035】
また、前記左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成、該孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45の回転軸46,46を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット45,45を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット47,47は張圧バネ50,50に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット47,47は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く作業能率が向上する。
【0036】
加えて、位置揃え装置54L,54Rの搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置の左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置54L,54Rの左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれる。
【0037】
さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置61に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことが無く、商品価値が向上する。
【0038】
そして、前記位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…に、位置揃えチェーン48,48の上部と下部と茎葉部の接触面を覆う正面視コの字型のガイドカバー51…を取り付け、位置揃えガイド体52を構成する。
【0039】
なお、図8(a)〜(c)で示すように、該ガイドカバー51…は、平面視において前後一側方を凸状のR部51a、前後他側方を凹状のR部51bを形成し、茎葉部との接触面に前後他側方に、後続のガイドカバー51の前後一側方の凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを形成する。直線部では前方のガイドカバー51の凹状のR部51bに後続のガイドカバー51の凸状のR部51aが入り込み、この後続の凸状のR部を前方の突出部51cが覆うことによって、ガイドカバー51同士の間隔部を覆うことができるので、ガイドカバー51同士の間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることが防止され、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0040】
また、ガイドカバー51は凸状のR部51aと凹状のR部51bを有し、リンク48aに1つずつ取り付けられていることにより、ガイドカバー51同士は干渉し合うことが無く位置揃えチェーン48,48の移動に追従することができるので、位置揃え装置54L,54Rの移動がスムーズになり、作業能率が向上する。
【0041】
加えて、位置揃えチェーン48,48が円弧軌跡で移動する際、突出部51cを有することにより、ガイドカバー51同士の間に大きな間隔部が生じないため、この間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0042】
なお、位置揃えガイド体52は、複数のガイドカバー51…ではなく、位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う、断面形状コの字型としてもよい。
そして、前記位置揃えチェーン48,48の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃えテンションスプロケット47,47との間に、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート53L,53Rを機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、左右の位置揃え装置54L,54Rが引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成される。
【0043】
該テンションプレート53L,53Rは、前記伝動ケース37,37に長穴を形成して取付軸53a,53aをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸53a,53aの端部に板体53b,53bを溶着して構成する。
【0044】
なお、テンションプレート53L,53Rは、左右の位置揃え装置54L,54Rに略平行位置に設けてもよいが、機体外側の位置揃え装置53Rの前側にテンションプレート52Rを設ける場合、機体内側の位置揃え装置53Lのテンションプレート52Lは位置揃え装置53Rのテンションプレート52Rよりも機体後側に設けると、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過する際、テンションプレート52Lまたはテンションプレート52Rの無い側に位置揃えチェーン48及び位置揃えガイド体52が移動するので、人参の茎葉部の径が大きくても位置揃え装置54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0045】
加えて、テンションプレート53L,53Rの張力は、前記張圧バネ50,50の張力よりも弱く設定すると、大径の茎葉部が通過して負荷がかかると位置揃えチェーン48,48が適正な位置まで撓んで退避することができ、54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0046】
そして、前記位置揃え駆動スプロケット42,42の近傍で且つ位置揃えガイド体52,52の外側位置で伝動ケース37,37に長穴を形成し、この長穴に位置揃えガイド体52,52の表面に付着した茎葉部の切れ端や泥等を落とす左右のスクレーパ55,55を位置揃えガイド体52,52の軌跡に沿って位置調節時際に取り付ける。
【0047】
なお、スクレーパ55,55は、後下り傾斜姿勢で配置することにより、茎葉部の切れ端や泥を下方に落下させやすくなる。
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の位置揃え装置54L,54Rの後方位置に左右の切断刃回転軸56,56を軸着し、該切断刃回転軸56,56に左右のベアリング57,57を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング57,57に左右の支持プレート59,59を取り付け、該支持プレート59,59に左右の茎葉切断刃60,60を取り付けて、茎葉切断装置61が構成される。
【0048】
また、前記左右第1出力軸40,40に左右茎葉搬送駆動プーリ62,62を軸着し、前記左右第1ギアユニット38,38よりも機体前側で且つ位置揃え装置54L,54Rの上方に左右茎葉搬送従動プーリ63,63を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ62,62と左右茎葉搬送従動プーリ63,63とに左右排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、前記左右の伝動ケース37,37の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0049】
さらに、前記左右第1出力軸40,40の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ66,66を軸着し、前記伝動ケース37,37の上方に左右残葉搬送従動プーリ67,67を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67と左右残葉搬送テンションプーリ68,68…とに左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成される。
【0050】
上記排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット42,42が、茎葉部が通過する位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置54L,54Rを停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が向上する。
【0051】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42を位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット42,42がいっそう位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。
【0052】
そして、位置揃え従動スプロケット45,45を張圧する左右の張圧バネ50,50を設けたことにより、位置揃え装置54L,54Rに茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン48,48がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置54L,54Rが確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要が無く、作業能率が向上する。
【0053】
また、左右の受け板49,49を前後方向に移動させることで張圧バネ50,50の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0054】
さらに、左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、この孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した回転軸46,46を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、張圧バネ50,50に張圧された位置揃え従動スプロケット45,45は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0055】
また、大径の茎葉部が通過する際、左右の位置揃え装置54L,54Rに大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット45,45は孔部44,44に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置54L,54Rの前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0056】
なお、人参の茎葉部が須らく大径であることが収穫作業前にわかっている場合には、位置揃え従動スプロケット45,45を左右の位置揃え装置54L,54Rの左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置54L,54Rの搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0057】
そして、位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…毎にガイドカバー51…を取り付けて位置揃えガイド体52を構成したことにより、任意の箇所のガイドカバー51を自在に着脱できるので、一部のガイドカバー51が損傷しても、新しいガイドカバー51に取り替えるだけで適正な位置揃え性能が維持され、茎葉部が適正に切断されるので、作業能率が向上する。
【0058】
また、位置揃えガイド体52全体を取り替える必要がないので、コストダウンを図ることができる。
さらに、ガイドカバー51の着脱は、工具を必要とせず手作業で行なえるので、交換作業を容易に行なうことができる。
【0059】
そして、ガイドカバー51が位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う正面視コの字形状としたことにより、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間に空間部が生じないので、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0060】
また、ガイドカバー51に凸上のR部51aと凹状のR部51bとを形成し、後続のガイドカバー51の凸状のR部51aを前側のガイドカバー51の凹状のR部51bに近接させて位置揃えチェーン48に取り付けることにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…は追従して移動できるので、位置揃え装置54L,54Rは一定の周速で動作するため、茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0061】
さらに、凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを設けたことにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…同士の前後間に生じる空間部をこの突出部51cが覆うため、ガイドカバー51…同士の前後間の空間部で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0062】
そして、位置揃えチェーン48,48の巻回域内に左右のテンションプレート53L,53Rを設けたことにより、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート53Lまたはテンションプレート53Rが押圧していない部分の位置揃えチェーン48,48は位置揃え駆動スプロケット42,42の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間に噛み込まれることが無く、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0063】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42の外周を移動する位置揃えガイド体52,52に付着した茎葉部の破片や泥等の夾雑物を擦り落とす左右のスクレーパ55,55を設けたことによって、茎葉部の移動経路から離れて位置で位置揃えガイド体52,52に付着した夾雑物を除去することができるので、茎葉部の破片が位置揃え装置54L,54Rの各部に絡み付くことが防止され、機体を止めて絡み付いた茎葉部の破片を取り除く必要が無く作業能率が向上すると共に、泥の塊が人参の根部を傷つけることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0064】
さらに、スクレーパ55,55は長穴に沿って取り付け位置を変更することができるので、収穫作業を行う圃場の人参の茎葉部の径の平均に合わせて最適な位置にスクレーパ55,55を設定し、確実に茎葉部の破片や泥等の夾雑物を位置揃えガイド体52,52から除去することにより、上記の効果がさらに向上する。
【0065】
そして、茎葉切断装置61で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ71が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト19,19や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0066】
次に、残葉処理部Eについて説明する。
図1、図2及び図9、図10で示すように、前記茎葉切断装置61の下方に前後の残葉処理フレーム72,72を設け、該前後の残葉処理フレーム72f,72rの機体外側(左右一側)の前後間に第1残葉処理ローラ73aを回転自在に取り付ける。また、前記残葉処理フレーム72f,72rの機体内側(左右他側)の前後間で且つ第1残葉処理ローラ73aよりも下方位置に第2残葉処理ローラ73bを回転自在に取り付ける。そして、該第1残葉処理ローラ73aと第2残葉処理ローラ73bとにゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回する。
【0067】
さらに、該残葉処理ベルト74の巻回域内で且つ機体上側に残葉処理プレート75を取り付け、該残葉処理プレート75の機体内側端部を下方に向かって折り曲げる。そして、機体後側の残葉処理フレーム72rの機体外側の端部寄りにエンジン7の動力を伝動する伝動ギアボックス76を設け、機体前側の残葉処理フレーム72fの機体左右他側の端部寄りに支持アーム77aの基部を取り付ける。また、該支持アーム77aの端部に過負荷に応じて伸縮するスプリング77bの一側部を取り付け、該スプリング77bの他側部に平面視L字形状の支持プレート77cを取り付ける。そして、該支持プレート77cと前記ギアボックス76との間に、人参の根部に残った残葉を残葉処理プレート75と共に挟み込んで切除する残葉処理ローラ78を回転自在に取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア79を構成することにより、残葉処理部Eが構成される。
【0068】
なお、該残葉処理コンベア79は、機体左右一側から左右他側に向けて2〜5度程度傾斜している。
この傾斜姿勢により、落下した人参は残葉処理ベルト74の駆動と残葉処理コンベア79の傾斜により下手側に移動するので、残葉処理コンベア76上で人参の移動が停止することがなく、手作業で停止した人参を動かす必要がなく、作業能率が向上する。また、残葉処理コンベア76が若干(約2〜5度)傾斜していることにより、機体が圃場の状態等により機体左右一側方向に傾斜しても残葉処理コンベア79は地面に対して略水平状態となるに留まるので、人参が残葉処理コンベア79上に停滞したり、残葉処理コンベア79の搬送方向とは逆方向に移動することがなく、こうした人参を手作業で搬送経路に戻す必要がなく、作業能率が向上する。
【0069】
上記構成により、残葉処理コンベア79を構成する残葉処理プレート75と残葉処理ローラ78が、茎葉切断装置61で切り残された人参の残葉を挟んでちぎり取るため、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0070】
また、残葉処理コンベア79を構成する残葉処理ベルト74をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置61で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト74が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0071】
そして、残葉処理ローラ78の前側端部を支持プレート77cに取り付けたことにより、残葉処理ローラ78が石等の硬いものを噛み込んで過負荷がかかると、過負荷の強さに応じてスプリング77bが縮んで支持アーム77a側に移動し、支持プレート77cと残葉処理ローラ78の前側とが残葉処理コンベア79の搬送方向下手側に退避するので、過負荷により伝動ギアボックス76や残葉処理ローラ78の回転軸が破損することを防止でき、残葉処理コンベア79の耐久性が向上して長持ちする。
【0072】
加えて、残葉処理ローラ78と残葉処理ベルト74との間に石等が入り込みにくくなるので、石等が残葉処理ベルト74を破ってしまうことを防止でき、残葉処理ベルト74の耐久性が向上して長持ちする。
【0073】
さらに、残葉処理プレート75の機体内側端部を下方に折り曲げたことにより、残葉処理ローラ78が後退すると残葉処理ローラ78と残葉処理プレート75との間に隙間が生じるので、石等がこの隙間から残葉処理コンベア79の搬送終端側に移動しやすくなり、残葉処理ベルト74を破ってしまうことを防止でき、残葉処理ベルト74の耐久性が向上して長持ちする。
【0074】
なお、図11及び図12で示すように、残葉処理プレート75の左右他側端部の近傍に回動支点80aを設けて上下方向に回動自在な回動部80を構成し、該回動支点80aの近傍で且つ残葉処理プレート75の裏側(機体下側)に背面視L字形状の第2支持プレート81を取り付ける。そして、該第2支持プレート81と回動部80との間に過負荷に応じて伸縮する第2スプリング82を取り付け、回動部80に過負荷がかかると回動部80が下方回動して退避する構成としてもよい。
【0075】
上記構成では、過負荷がかかると、過負荷の強さに応じて残葉処理ローラ78の前側が搬送方向下手側に退避すると共に、回動部80が過負荷の強さに応じて機体下方側に退避するので、比較的大きい石等を噛み込んでも通り抜けられるだけの隙間が生じるので、いっそう伝動ギアボックス76や残葉処理ベルト74が破損することを防止でき、伝動ギアボックス76や残葉処理ベルト74の耐久性が向上して長持ちする。
【0076】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図1〜図3及び図13、図14で示すように、前記残葉処理コンベア79よりも機体前側で且つ下方位置に、前後の第1搬送フレーム83,83を機体左右他側に向かって上方傾斜させて設け、該第1搬送フレーム83,83の機体内側端部(機体左右他側端部)で且つ外側に前後の第2搬送フレーム84,84を略直線状に取り付ける。そして、該第1搬送フレーム83,83の機体外側端部に前後の駆動スプロケット85,85を夫々回転自在に取り付け、第1搬送フレーム83,83の機体内側端部に前後の中継スプロケット86,86を夫々回転自在に取り付けると共に、第2搬送フレーム84,84の機体左右他側端部に前後の従動スプロケット87,87を夫々回転自在に取り付ける。
【0077】
また、該駆動スプロケット85,85と中継スプロケット86,86と従動スプロケット87,87とに前後の伝動チェーン88,88を夫々無端状に巻回する。さらに、該伝動チェーン88,88に人参を載せて搬送する複数の搬送プレート90…を回動自在に取り付け、該複数の搬送プレート90…のうち、数個おきに金属材や硬質の樹脂材をゴムや塩化ビニル等の弾性体で被覆して構成する搬送ラグ91…を取り付けることにより、機体左右一側から左右他側に亘って人参を搬送する選別搬送コンベア92が構成される。
【0078】
なお、搬送プレート90…は、表面をゴム等の軟質部材でコーティングすると残葉処理コンベア79から引き継ぐ際の人参の落下の衝撃を軽減でき、人参が傷つくことが防止され、人参の商品価値が向上する。また、搬送ラグ91…は、比較的硬いゴム等の弾性材のみで構成してもよい。
【0079】
さらに、前記引抜搬送装置24の引抜搬送経路Rの下方で且つ選別搬送コンベア92の搬送始端部よりも機体外側に、引抜搬送装置24の搬送途中で落下する人参を受ける格子状の引継シュータ93を、機体内側方向に向かう傾斜姿勢で且つ上下方向に回動自在に取り付ける。そして、該引継シュータ93の内側端部を前記選別搬送コンベア92の搬送始端側の上部に近接させ、該引継シュータ93の内側端部が前記搬送ラグ91…が接触するたびに上下方向に回動する構成とする。
【0080】
そして、前記機体フレーム1の機体左右他側の後部で且つ選別搬送コンベア92よりも機体後側に、前記選別搬送コンベア92で搬送中の人参の選別作業や後述するコンテナ107の移動や設置を行なう補助作業者が搭乗する搭乗ステップ94を配置し、該搭乗ステップ94上で且つ選別搬送コンベア92の中継スプロケット86,86を配置した近傍位置に補助作業座席95を取り付けることによって、選別搬送部Fが構成される。
【0081】
上記構成によれば、搬送プレート90…に数個おきに搬送ラグ91…を設けたことにより、選別搬送コンベア92のうち、特に機体外側から機体内側に上方傾斜している部分(第1搬送フレーム83,83の左右幅に亘る部分)において、人参が選別搬送コンベア87の下方(機体外側)に向かって転げ落ちることをこの搬送ラグ91…が防止することができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、商品価値が向上する。
【0082】
また、同じ人参が選別搬送コンベア92に長時間乗り続けることを防止できるので、作業能率が向上する。
そして、搬送ラグ91を、金属板の表面をゴム等の弾性体で被覆して構成したことにより、人参が搬送ラグ91に接触する際の衝撃で曲がることがなく、人参が搬送ラグ91に当たりながらも落下してしまうことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0083】
さらに、弾性体で金属材(鉄板等)や硬質の樹脂材(アクリル板等)を被覆していることにより、人参が搬送ラグ91に接触する際に傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0084】
また、搬送プレート90…が選別搬送コンベア92の非搬送作用側に移動すると、搬送ラグ91…の上端部が下を向くので、搬送ラグ91…を上端部が選別搬送コンベア92の底部(図示せず)に接触する長さにすると、選別搬送コンベア92の底板に付着した茎葉部の切れ端や泥等の夾雑物を削ぎ落とすスクレーパとして作用させることができ、選別搬送コンベア92の内部に夾雑物が溜まることが防止され、メンテナンス性が向上する。
【0085】
そして、引抜搬送装置24の引抜搬送経路Rの下方に、搬送途中で落下する人参を引き継いで選別搬送コンベア92に移動させる引継シュータ93を機体外側から機体内側に向かって下り傾斜姿勢で設けたことにより、搬送途中で落下した人参を機体フレーム1や機外に散らばらせることなく搬送経路に戻らせることができ、収穫作業の能率が向上すると共に、落下した人参を作業者が拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0086】
また、引継シュータ93の機体内側端部を選別搬送コンベア92の搬送始端部上方に位置させ、引継シュータ93の内側端部に搬送ラグ91…が接触するたびに引継シュータ93が上下回動する構成としたことにより、引継シュータ93上に載った人参を上下回動の度に落下させることができるので、人参が引継シュータ93に滞留してしまうことが防止され、作業能率が向上する。
【0087】
さらに、選別搬送コンベア92の後方に補助作業者が搭乗する搭乗ステップ94を配置したことにより、補助作業者は走行する機体に搭乗して移動することができるので、機体の後を追って補助作業者が自力で移動する必要が無く、労力が大幅に軽減される。
【0088】
そして、補助作業者が着座する補助作業座席95を搭乗ステップ94に配置したことにより、補助作業者は補助作業座席95に着座して選別作業等を行うことができるので、立ったままの作業よりも疲れにくく、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0089】
次に、収容部Gの構成について説明する。
図1〜図3に示すように、前記選別搬送コンベア92の第2搬送フレーム84,84の搬送方向下手側(機体内側)に、正(背)面視で逆L字形状の前後の支持フレーム96,96の基部側を機体上下方向に回動自在に取り付け、該支持フレーム96,96の基部側の下部に機体下方に向けて前後の支持アーム97,97を機体上下方向に回動可能に取り付ける。このとき該支持フレーム96,96と支持アーム97,97は、水平状態の機体に対して所定角度傾斜した姿勢、具体的には30〜45度傾斜した姿勢で取り付ける。
【0090】
そして、前記第2搬送フレーム84,84の支持アーム97,97よりも機体外側位置に、該支持アーム97,97の下方への回動位置を規制する前後のストッパ98,98を取り付け、支持アーム97,97の下端部と前記支持フレーム96,96の機体下方に向かう長辺部との間に、伸縮自在で且つ伸長方向への反力が一定もしくは略一定となるよう設定された前後のガスダンパ(ガススプリング)99,99を取り付ける。該ガスダンパ99,99を最も伸張した状態にすると支持フレーム96,96が水平状態の機体に対して所定角度傾斜した姿勢となり、所定角度傾斜した姿勢よりも上方に支持フレーム96,96を回動させる場合にはガスダンパ99,99はそれ以上伸張せず、所定角度傾斜した姿勢よりも下方に支持フレーム96,96を回動させる場合にはガスダンパ99,99は収縮する。
【0091】
また、前記支持フレーム96,96の下端部の前後間に亘って第1受け台フレーム100aを取り付け、該第1受け台フレーム100aの機体前側端部の近傍と機体後側端部の近傍とに後述するコンテナ107の移動を補助する前後の移動ローラ101,101の一側端部を回転自在に軸着し、該前後の移動ローラ101,101の他側端部を第2受け台フレーム100bに軸着する。
【0092】
なお、移動ローラ101,101は第1受け台フレーム100aと第2受け台フレーム100bとの間の前後端部近傍だけでなく、第1受け台フレーム100a及び第2受け台フレーム100bの前後間に亘って複数設けてもよい。
【0093】
そして、前記第1受け台フレーム100aと第2受け台フレーム100bとを跨いで門型のストッパアーム102を機体前後方向に回動自在に取り付け、該門型のストッパアーム102の回動軸の端部に、ストッパアーム102の回動方向とは略180度逆方向に回動する第1連動アーム103を取り付ける。さらに、前記第2受け台フレーム100bの後端部で且つ機体後側の移動ローラ101の回転軸の両側部に機体前後方向に第2連動アーム104を回動自在に取り付け、該第2連動アーム104の上端部と第1連動アーム103の下端部との間に連動ロッド105を取り付ける。また、前記第1受け台フレーム100aと第2受け台フレーム100bとの前端部に機体前側に突出する係合プレート106を夫々取り付けることにより、前記選別搬送コンベア92の搬送終端部から排出される人参を受けるコンテナ107を載置する受け台108が形成される。
【0094】
さらに、前記第1受け台フレーム100aと第2受け台フレーム100bとの後端部で且つ前記第2連動アーム104を軸着する機体後側の移動ローラ101の回転軸の左右両端部に、空のコンテナ108を1個又は複数個載置する予備コンテナ載置台109を機体前後方向に回動自在に取り付け、機体後側の前記支持フレーム96と予備コンテナ載置台109の機体左右一側との間に予備コンテナ載置台109を機体前側に牽引して後上り傾斜姿勢を維持する牽引スプリング109aを取り付ける。
【0095】
また、前記受け台108よりも機体前側で且つ機体フレーム1の機体左右他側に一体の、又は複数の回動軸を前記受け台108に接触しない位置まで設け、この回動支点に左右一対の貯留フレーム110,110の左右一側を設け、前記第1受け台フレーム100aと第2受け台フレーム100bの左右間隔と略同じ間隔を空けて、貯留フレーム110,110の左右他側を設ける。そして、該左右の貯留フレーム110,110の前端部側に駆動回転軸111に軸着した左右の駆動プーリ112,112を回転自在に設け、該駆動回転軸111の機体左右他側端部に駆動力を供給する駆動モータ113を取り付ける。さらに、前記左右の貯留フレーム110,110の後端部近傍に従動回転軸114に軸着した左右の従動プーリ115,115を回転自在に取り付け、該従動回転軸114と駆動回転軸111との前後間に、1つ又は複数の張圧回転軸116に軸着した左右の張圧プーリ117,117を取り付ける。
【0096】
そして、前記駆動プーリ112,112と従動プーリ115,115と張圧プーリ117,117とに亘って移送ベルト118,118を夫々無端状に巻回し、前記従動回転軸114に、前記駆動モータ113を駆動させる接触式あるいは近接式のスイッチ119を設けることにより、コンテナ107を機体前方に向かって移動させるコンテナ移送装置120が構成される。
【0097】
また、前記貯留フレーム110,110の後端部に機体後方に向かって突出する延長プレート121を夫々取り付けることにより、人参が満載されたコンテナ107を複数個載置可能なコンテナキャリア122が構成される。該コンテナキャリア122は、機体フレーム1に設けた回動軸(図示せず)を回動支点として、機体左右方向に約90度回動する。
【0098】
前記受け台108とコンテナキャリア122とを組み合わせることにより、収容部Gが構成される。
上記構成により、収穫作業時には受け台108の支持フレーム96,96を水平状態に対して所定角度(30〜45度)傾斜した姿勢とし、この傾斜した受け台108にコンテナ107を載置することにより、コンテナ107の開口部が選別搬送コンベア92の搬送終端部を向く傾斜姿勢となるので、選別搬送コンベア92の搬送終端部とコンテナ107の底部との距離、即ち人参の落下距離を小さくすることができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0099】
また、支持フレーム96,96と支持アーム97,97とを伸縮自在且つ伸張方向への反力が一定もしくは略一定であるガスダンパ99,99で連結したことにより、コンテナ107に人参が収容されて重量が増加するにつれて受け台108が自動的に下降するので、作業者、補助作業者が手作業で受け台108を下降させる必要がなく、作業者の労力が軽減されると共に、選別搬送コンベア92の搬送終端部から落下する人参の落下距離が殆ど変化しないので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、商品価値が向上する。
【0100】
さらに、最下降した受け台108から人参が満載されたコンテナ107をコンテナキャリア122に移動させると、ガスダンパ99,99は一定もしくは略一定の反力で伸張して支持フレーム96,96を上方に回動させて所定の傾斜姿勢(30〜45度傾斜した姿勢)に自動的に戻すので、作業者、補助作業者が手作業で受け台108を下降させる必要がなく、作業者の労力が軽減されると共に、コンテナ107を取り除いたときに受け台108が急速に上昇することがなく、勢いの付いた受け台108が補助作業者にぶつかって怪我をすることが防止され、作業の安全性が向上する。
【0101】
そして、支持アーム97,97の下方回動を制限するストッパ98,98を設けたことにより、受け台108は所定の高さ以下に下降することがなく、コンテナキャリア122との高さを合わせ易く、受け台108からコンテナキャリア122へのコンテナ107の移動が円滑になり、作業能率が向上する。
【0102】
また、受け台108の前端部に係合プレート106,106を設け、コンテナキャリア122の後端部に延長プレート121,121を設けたことにより、受け台108がコンテナキャリア122と略同じ高さまで下降すると、係合プレート106,106が延長プレート121,121に接触して受け台108のそれ以下への下降が規制され、受け台108とコンテナキャリア121との高さをより正確に合わせることができるので、受け台108からコンテナキャリア122へのコンテナ107の移動がいっそう円滑になり、作業能率がいっそう向上する。
【0103】
さらに、受け台108に少なくとも2つ以上の移動ローラ101,101を設けたことにより、コンテナ107は前方又は後方からの比較的軽い力で移動するので、補助作業者が搭乗ステップ94に搭乗して、あるいは補助作業座席95に着座してコンテナ107を前方に向かって手で押し出す、あるいは足で蹴り出すと、容易に受け台108からコンテナキャリア122に移動するので、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0104】
そして、受け台108の前側にストッパアーム102を設けたことにより、人参を収容中のコンテナ107が勝手にコンテナキャリア122に移動してしまうことを防止できるので、コンテナ107に人参を満載することが容易になり、作業能率が向上する
また、ストッパアーム102と同じ回動軸に第1連動アーム103を軸着し、機体後側の移動ローラ101の回転軸に第2連動アーム104と予備コンテナ載置台109とを軸着すると共に、第1連動アーム103と第2連動アーム104とを連動ロッド105で連結したことにより、補助作業者が予備コンテナ置き台109に載置しているコンテナ107を下方に押し下げると、予備コンテナ置き台109が下方回動して第2連動アーム104が後方に回動し、連動ロッド105を介して第1連動アーム103が機体後方に回動すると共に、ストッパアーム102が前方に回動して規制解除状態となるので、補助作業者は空のコンテナ107を前方に押し出すだけで人参が満載されたコンテナ107をコンテナキャリア122に移動させると同時に空のコンテナ107を受け台108に載置することができるので、選別搬送コンベア92を停止させることなく、あるいは極めて短い時間(約10〜20秒程度)選別搬送コンベア92を止めればコンテナ107の移動及び設置作業を行うことができるので、作業能率が著しく向上する。
【0105】
加えて、図2及び図3で示すように、補助作業座席95は予備コンテナ載置台109の機体他側の側方に位置するので、補助作業者は補助作業座席から立つことなく人参の満載されたコンテナ107の移動及び空のコンテナ107の設置作業を行うことができ、作業者の労力が軽減されると共に、作業に集中することができる。
【0106】
そして、コンテナ107がストッパアーム102の上方を通過すると、ストッパアーム102が起き上がってコンテナ107の機体前方への移動を規制する規制状態に復帰するので、受け台108に載置する空のコンテナ107が機体前側に移動してしまうことを防止できるので、作業能率が向上する。
【0107】
さらに、受け台108の後部に予備コンテナ載置台109を配置し、予備コンテナ載置台109と機体後側の受け台108の支持フレーム96との間に牽引スプリング109aを設けたことにより、予備コンテナ載置台109は牽引スプリングによって機体前側に向かって牽引されて後上り傾斜姿勢となるので、受け台108に載置されているコンテナ107をコンテナキャリア122に移動させると、自動的に空のコンテナ107が予備コンテナ置き台109から受け台108に移動するので、コンテナ107を交換する際に選別搬送コンベア92の駆動を停止させなくても交換を行なえるので、作業能率が向上する。
【0108】
また、補助作業座席95に着座した補助作業者は、補助作業座席95に座ったまま予備コンテナ置き台109に載置された空のコンテナ107の後部を強めに機体前側に押し出す(蹴り出す)ことにより、受け台108に載置されている人参を貯留したコンテナ107を空のコンテナ107で押してコンテナキャリア122に向かって移動させることができるので、コンテナ107が確実に交換されると共に、受け台108に空のコンテナ107が載置される際のタイムラグを減らすことができ、停止させていない選別搬送コンベア92の搬送終端部から人参が圃場に落下することを防止するので、人参が落花の衝撃で傷付くことが防止できて人参の商品価値が向上すると共に、落下した人参を収穫作業後に人手で拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0109】
そして、コンテナキャリア122の機体前側から機体後端部よりもやや前側位置にまで亘って、コンテナ107を機体前側に向かって自動的に搬送するコンテナ移送装置120を構成したことにより、受け台108からコンテナキャリア122に人参が満載されたコンテナ107が送られるとコンテナ移送装置120が作動してコンテナ107を機体前側に向かって所定距離移動させるので、作業者や補助作業者が手作業でコンテナ107を移動させる必要が無く、作業能率が向上する。
【0110】
また、受け台108に載置する空のコンテナ107とコンテナキャリア122に移動された人参を満載したコンテナ107との間隔が自動的に開かれるので、受け台108からコンテナキャリア122へのコンテナ107の移動がコンテナキャリア122に既に載置されているコンテナ107に妨げられないので、補助作業者は受け台108上のコンテナを一定の力で押し出すことができ、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0111】
さらに、コンテナ移送装置120の駆動モータ113を作動させるスイッチ119をコンテナキャリア122の後側近傍に設け、このスイッチ119を近接スイッチ又は接触スイッチとしたことにより、受け台108から押し出されたコンテナ107がコンテナキャリア122の後側に設けたスイッチ119の上方を通過している間のみ駆動モータ113が駆動してコンテナ移送装置120が作動するので、不要なときに余分なエネルギーを消費せず省エネ化を図ることができる。
【0112】
また、スイッチ119の上方をコンテナ107が通過する間だけ駆動モータ113が駆動することにより、一度の駆動でコンテナ107はコンテナキャリア122をコンテナ107約一個分移動するので、最初にコンテナキャリア122に移動させたコンテナ107がコンテナ移送装置120の前端部に留まってコンテナ移送装置120や駆動モータ113に負荷をかけることを防止でき、コンテナ移送装置120や駆動モータ113の破損が防止され、耐久性が向上する。
【0113】
そして、コンテナキャリア122が回動軸を回動支点として左右方向に回動可能であり、受け台108の支持フレーム96,96が上下回動自在であると共に、予備コンテナ載置台109を前後方向に回動可能であることにより、予備コンテナ載置台109を受け台108の上方に向かって前方回動させ、受け台108を選別搬送コンベア92の上方に向かって上方回動させると共に、コンテナキャリア122を機体フレーム1に向かって回動させることにより、収容部G全体を折り畳むことができるので、機体収納時の左右幅が短くなりコンパクト化が図られ、軽トラ等の輸送手段への積載が容易になると共に、機体の収容場所が多少狭くても収容容易に収容することができる。
【0114】
以下、本件人参の収穫機の別実施例を説明する。
図15、図16で示すように、残葉処理ベルト74の巻回域内で且つ残葉処理ローラ78の機体前側端部の近傍に、側面視でL字形状の第3支持プレート123を設け、該第3支持プレート123の機体左右他側(機体内側)の端部に、側面視でL字形状で且つ平面視で前後幅が残葉処理コンベア79の搬送方向下手側ほど狭くなるテーパ形状の回動プレート124を、ジョイント125を介して取り付ける。そして、前記第3支持プレート123の下方屈曲部と回動プレート124の下方屈曲部とに亘って回動プレート124を上方に張圧する張圧スプリング126を設ける構成とする。
【0115】
上記構成により、残葉処理ローラ78の機体前側端部の近傍で石等の夾雑物が残葉処理ローラ78と回動プレート124との間に入り込もうとして過負荷がかかると、回動プレート124が下方に回動して残葉処理ローラ78と坐尿処理ベルト74との間に隙間が生じるので、石等の夾雑物はこの隙間から残葉処理コンベア79の搬送方向下手側に移動するため、残葉処理ベルト74が破られて破損することを防止でき、残葉処理コンベア79の耐久性が向上する。
【0116】
また、図17で示すように、第2支持プレート81に板バネ材で構成する円弧形状のバネ体127を設け、該バネ体127の上方を残葉処理ローラ78が通過して配置される構成としてもよい。
【0117】
上記構成により、バネ体127は人参に残る茎葉部に対しては、残葉処理ローラ78とバネ体127とでこの茎葉部を挟み込んで切断することができるので、人参に残る茎葉部を取り除くことができ、収穫作業の後工程で補助作業者が残った茎葉部を切除する作業が必要なくなると共に、収穫作業後の洗浄や選別等の作業の前に人手で茎葉部を除去する必要がなくなるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0118】
また、残葉処理ローラ78とバネ体127との間に石等の夾雑物が入り込み過負荷がかかったときには、バネ体127が下方に潰れて残葉処理ローラ78とバネ体127との間に石等が通過する隙間が生じるので、石等の夾雑物はこの隙間から残葉処理コンベア79の搬送方向下手側に移動するため、残葉処理ベルト74が破られて破損することを防止でき、残葉処理コンベア79の耐久性が向上する。
【0119】
なお、図18で示すように、バネ体127の円弧部の頂点を残葉処理ローラ78の下点よりも残葉処理コンベア79の搬送方向上手側に寄せて配置すると、石等を噛み込んだ際にバネ体127が早く潰れて隙間が生じるので、残葉処理ベルト74を石等が擦りにくく、残葉処理コンベア79の耐久性がいっそう向上する。
【0120】
また、図19で示すように、残葉処理ベルト74の巻回域内にトルクスプリング等(図示せず)の張力により、下方回動すると自動的に上方回動する回動アーム128を上下回動自在に設け、該回動アーム128の残葉処理コンベア79の搬送方向下手側の端部に残葉処理ローラ78に残葉処理ベルト74を介して接触して人参に残る茎葉部を引きちぎる押圧ローラ129を回転自在に設ける構成としてもよい。
【0121】
上記構成により、人参の茎葉部は残葉処理ローラ78と押圧ローラ129とで挟み込んで引きちぎることができ、るので、人参に残る茎葉部を取り除くことができ、収穫作業の後工程で補助作業者が残った茎葉部を切除する作業が必要なくなると共に、収穫作業後の洗浄や選別等の作業の前に人手で茎葉部を除去する必要がなくなるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0122】
また、石等の夾雑物が入り込み過負荷がかかったときには、回動アーム128が下方に回動して残葉処理ローラ78と押圧ローラ129との間に石等が通過する隙間が生じるので、石等の夾雑物はこの隙間から残葉処理コンベア79の搬送方向下手側に移動するため、残葉処理ベルト74が破られて破損することを防止でき、残葉処理コンベア79の耐久性が向上する。
【0123】
なお、異常な負荷がかかり、回動アーム128が下方回動したまま復帰しなくなった場合、エンジン7を停止する、あるいは残葉処理コンベア79への駆動力の供給を断ち、残葉処理コンベア79を停止させる構造とすると、残葉処理コンベア79だけでなく機体全体に過負荷がかかることを防止でき、機体の耐久性が向上する。
【0124】
図20、図21で示すように、引継シュータ93の機体左右一側(機体外側)の端部下部に、該引継シュータ93の端部が搬送ラグ91…に接触した際に引継シュータ93が回動する量を決める回動規制ロッド130を設け、該回動規制ロッド130の上部に、引継シュータ93の機体外側下部に接触して引継シュータ93の機体左右一側(機体外側)の下がり過ぎを防止するストッパ131を取り付ける。そして、該回動規制ロッド130の下端側に螺子溝を切った孔部を形成し、この孔部にボルト等の螺子溝を切った調節体132を上下位置調節自在に取り付ける構成としてもよい。
【0125】
上記構成により、引継シュータ93の機体左右一側(機体外側)に人参が落下したときでも、回動規制ロッド130が回動フレーム20に接触して下り過ぎを防止するので、機体外側に向かって人参を移動させてしまうことを防止でき、人参が落下の衝撃で傷付くことが無く、人参の商品価値が向上する。
【0126】
また、回動規制ロッド130の下端側に調節体132を上下方向に位置調節自在に設けたことにより、回動規制ロッド130が回動フレーム20に接触する距離を変更することができ、人参の品種や収穫作業を行う圃場の条件等、様々な作業条件に対応することができるので、作業能率が向上する。
【0127】
図22で示すように、回動規制ロッド130の代わりに、引継シュータ93の機体左右一側の端部側に距離を検出する距離センサ133を設け、引継シュータ93の左右他側端部(機体内側端部)に伸縮自在なシリンダ134を設け、引継シュータ93の左右一側端部と回動フレーム20又は機体フレーム1までの距離を距離センサ133で検出し、該距離センサ133の検出結果に応じてシリンダ134を伸縮させて引継シュータ93の傾斜角度を自動的に調節可能な構成としてもよい。
【0128】
上記構成によれば、引継シュータ93の傾斜角度を距離センサ133の検出結果に応じて変更可能としたことで、作業者や補助作業者が手作業で修正する必要がないので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【符号の説明】
【0129】
24 引抜搬送装置
92 選別搬送コンベア(搬送装置)
96 支持フレーム(支持機枠)
99 ガスダンパ(伸縮部材)
101 移動ローラ(送出移動機構)
102 ストッパアーム(規制部材)
103 第1連動アーム(連動部材)
104 第2連動アーム(連動部材)
105 連動ロッド(連動部材)
106 係合プレート(係合部材)
107 コンテナ(収容容器)
108 受け台
109 予備コンテナ載置台(予備載置台)
120 コンテナ移送装置(貯留移動機構)
122 コンテナキャリア(貯留台)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場から作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置(24)を設け、作物を収容した収容容器(107)を貯留する貯留台(122)を設け、該貯留台(122)に載置した収容容器(107)を移動させる貯留移動機構(120)を設け、前記引抜搬送装置(24)の下方に引抜搬送装置(24)から作物を引き継いで搬送する搬送装置(92)を設け、前記搬送装置(92)から排出される作物を収容する収容容器(107)を載置する受け台(108)を前記貯留台(122)の一側で且つ搬送装置(92)の搬送終端部の下方に設け、該受け台(108)を収容容器(107)が作物を収容し始める傾斜姿勢から貯留台(122)と同じ高さもしくは略同じ高さとなる位置まで回動する構成とし、該受け台(108)に載置した収容容器(107)を貯留台(122)に送り出す送出移動機構(101)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記受け台(108)に作物を収容中の収容容器(107)の移動を規制する規制部材(102)を設け、該受け台(108)の一側に空の収容容器(107)を載置する予備載置台(109)を受け台(108)に対して上方傾斜姿勢から水平姿勢もしくは略水平姿勢となる位置まで回動する構成とし、該予備載置台(109)と規制部材(102)とを連動部材(103,104,105)で連結し、前記予備載置台(109)を下方回動させると連動部材(103,104,105)が規制部材(102)の規制状態を解除する構成としたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記受け台(108)を支持する支持機枠(96)を搬送装置(92)の搬送方向下手側に設け、該支持機枠(96)に受け台(108)に載置した収容容器(107)の重量の増減に応じて伸縮する伸縮部材(99)を設け、該伸縮部材(99)の伸縮に応じて支持機枠(96)が受け台(108)に載置した収容容器(107)が作物を収容し始める傾斜姿勢から貯留台(122)と同じ高さもしくは略同じ高さとなる位置まで回動する構成としたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記受け台(108)の一側に受け台(108)が貯留台(122)と同じ高さもしくは略同じ高さまで回動すると貯留台(122)に係合する係合部材(106)を設けたことを特徴とする請求項1または3記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−92123(P2011−92123A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250527(P2009−250527)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】