説明

根菜類収穫機

【課題】 本発明は、根菜類の処理精度を所望に維持しながら、多量の根菜類を収穫できるようにして作業能率を向上させることを課題とする。
【解決手段】 根菜類収穫機において、左右一対の挟持搬送帯(18)に対して左右一対の肩揃え搬送帯(104)及び左右一対の茎葉搬送帯(108)を2組設け、左右一対の挟持搬送帯(18)による根菜類の収穫用搬送経路の左右に、左右一対の肩揃え搬送帯(104)及び左右一対の茎葉搬送帯(108)による根菜類の茎葉切断用搬送経路を各々配置し、収穫用搬送経路上には搬送される根菜類の搬送路を左右に分岐させる分岐体(128)を設け、該分岐体(128)で分岐されて搬送される根菜類を左右各々の茎葉切断用搬送経路の搬送始端部に案内する案内体(130、131)を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参や大根や蕪等の根菜類を圃場から引き抜いて収穫する根菜類収穫機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
根菜類収穫機において、機体を走行させる走行部と、操縦者が搭乗する操縦部と、機体左右一側で圃場から根菜類である人参を引き抜いて機体後上側へ向けて搬送する収穫部と、該収穫部から人参を引き継いで後側へ向けて搬送しながら茎葉部又は可食部を切断する茎葉切断部と、茎葉切断部から落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送すると共に搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部と、選別搬送部から排出される人参を収容する収容部を設け、収穫部には、圃場から引き抜いた根菜類を挟持して茎葉切断部へ搬送する左右一対の挟持搬送帯となる挟持搬送ベルトを設け、茎葉切断部には、根菜類の茎葉部を挟持して搬送しながら根菜類の高さを揃える左右一対の肩揃え搬送帯となる肩揃え搬送ベルトと、該肩揃え搬送ベルトから引き継いで根菜類の茎葉部を挟持して搬送する左右一対の茎葉搬送帯となる茎葉搬送ベルトと、該茎葉搬送ベルトで搬送される根菜類の茎葉部を切断する切断刃を設けた構成が公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010‐252705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業能率を向上させるべく、機体を高速で走行させたり収穫部により圃場の複数条分(例えば2条分)の根菜類を同時に収穫したりする等して、収穫部により多量の根菜類を収穫することが考えられるが、多量の根菜類が収穫部ひいては茎葉切断部で搬送されると、その分搬送される根菜類の搬送ピッチが狭くなり、搬送される根菜類どうしが接触して干渉し合うと、肩揃え搬送ベルトによる根菜類の高さを揃える精度が十分に得られないことが考えられる。
【0005】
本発明は、根菜類の処理精度を所望に維持しながら、多量の根菜類を収穫できるようにして作業能率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、走行部(A)と、前側から圃場の根菜類を引き抜いて後側へ向けて搬送する収穫部(C)と、該収穫部(C)から根菜類を引き継いで後側へ向けて搬送しながら茎葉部又は可食部を切断する茎葉切断部(D)を設け、収穫部(C)には、圃場から引き抜いた根菜類を挟持して茎葉切断部(D)へ搬送する左右一対の挟持搬送帯(18)を設け、茎葉切断部(D)には、根菜類の茎葉部を挟持して搬送しながら根菜類の高さを揃える左右一対の肩揃え搬送帯(104)と、該肩揃え搬送帯(104)から引き継いで根菜類の茎葉部を挟持して搬送する左右一対の茎葉搬送帯(108)と、該茎葉搬送帯(108)で搬送される根菜類の茎葉部を切断する切断刃(46i,46o)を設けた根菜類収穫機において、左右一対の挟持搬送帯(18)に対して左右一対の肩揃え搬送帯(104)及び左右一対の茎葉搬送帯(108)を2組設け、左右一対の挟持搬送帯(18)による根菜類の収穫用搬送経路の左右に、左右一対の肩揃え搬送帯(104)及び左右一対の茎葉搬送帯(108)による根菜類の茎葉切断用搬送経路を各々配置し、収穫用搬送経路上には搬送される根菜類の搬送路を左右に分岐させる分岐体(128)を設け、該分岐体(128)で分岐されて搬送される根菜類を左右各々の茎葉切断用搬送経路の搬送始端部に案内する案内体を設けた根菜類収穫機とした。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、左右一対の挟持搬送帯(18)は根菜類の茎葉部を挟持して搬送する構成とし、分岐体(128)及び案内体を挟持搬送帯(18)の下方に配置した請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、挟持搬送帯(18)に対して、案内体よりも分岐体(128)を下側に離れた位置に配置した請求項2に記載の根菜類収穫機とした。
また、請求項4に係る発明は、機体平面視で2組の肩揃え搬送帯(104)及び茎葉搬送帯(108)を互いに重複させて配置した請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、案内体を、左右の茎葉切断用搬送経路の左右内側に位置する内側案内体(130)と、左右の茎葉切断用搬送経路の左右外側に位置する外側案内体(131)で構成し、分岐体(128)を内側案内体(130)に支持させた構成とすると共に、内側案内体(130)及び分岐体(128)を一体で機体の前後方向に位置調節可能に設けた請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0010】
また、請求項6に係る発明は、茎葉切断用搬送経路の搬送始端部には、肩揃え搬送帯(104)に連動して駆動回転して根菜類に付着する土を除去する除去ブラシ(136)を設けた請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、左右の茎葉切断用搬送経路に根菜類を振り分けて搬送するので、茎葉切断用搬送経路上での根菜類の搬送ピッチを広くでき、搬送される根菜類どうしが干渉し合うのを抑え、肩揃え搬送帯(104)により所望の精度で根菜類の高さを揃え、ひいては切断刃(46i,46o)により根菜類の所望の位置で切断することができる。また、左右の茎葉切断用搬送経路に対して共通の収穫用搬送経路を設けた構成であるから、左右の茎葉切断用搬送経路に対応して左右に収穫用搬送経路を設ける構成と比較して、構造が簡単になり、機体の軽量化及びコストダウンが図れる。更に、左右の茎葉切断用搬送経路が収穫用搬送経路の左右に振り分け配置されるので、収穫用搬送経路に対する茎葉切断用搬送経路の偏位量を小さくできると共に、分岐体(128)及び案内体を介して根菜類を左右に良好に振り分けながら円滑に搬送することができ、根菜類の処理精度を所望に維持しながら、多量の根菜類を収穫できて作業能率の向上が図れる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、茎葉部を挟持する挟持搬送帯(18)の下方で、分岐体(128)及び案内体が根菜類の可食部に作用して搬送を分岐及び案内させることができ、根菜類を左右に良好に振り分けながら的確に案内することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、請求項2に係る発明の効果に加えて、分岐体(128)を下側に離れた位置に配置したので、搬送される根菜類が先ず分岐体(128)に接触して該分岐体(128)により根菜類の下部を左右に振り分けて分岐し易く、分岐体(128)と挟持搬送帯(18)により根菜類を適正な姿勢に安定させ、その後、分岐体(128)で位置決めされた根菜類の下部と挟持搬送帯(18)で位置決めされた根菜類の上部の間で案内体が根菜類に接触して、該案内体により円滑に根菜類を案内することができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、左右の茎葉切断用搬送経路の互いの間隔を狭めることができ、収穫用搬送経路に対する茎葉切断用搬送経路の偏位量を小さくできるので、根菜類を左右に良好に振り分けながら円滑に搬送することができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、分岐体(128)の前後位置を調節して根菜類の搬送状況に応じて、搬送の分岐作用を適正に得られるようにできる。また、内側案内体(130)の前後位置を変更することにより、外側案内体(131)と内側案内体(130)の間の案内経路の幅を変更でき、根菜類の形状(太さ等)に応じて円滑に案内させることができる。しかも、内側案内体(130)と分岐体(128)を互いの位置関係を変化させずに前後位置調節できるので、前後位置調節に拘らず分岐体(128)から内側案内体(130)への根菜類の受け継ぎを適正に維持できる。
【0016】
請求項6に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、除去ブラシ(136)により、茎葉切断用搬送経路の搬送始端部で根菜類に付着する土を除去でき、肩揃え搬送帯(104)により根菜類の高さを適正に揃えることができ、ひいては切断刃(46i,46o)により根菜類を適正な位置で切断できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】根菜類収穫機の背面図
【図4】根菜類収穫機の要部側面図
【図5】根菜類収穫機の要部平面図
【図6】尾部切断装置を示す側面図
【図7】尾部切断装置を示す平面図
【図8】分岐体及び案内体を示す側面図
【図9】分岐体及び案内体を示す平面図
【図10】茎葉搬送ベルト及び残葉搬送ベルトの位置を示す背面図
【図11】選別搬送部及び収容部の側面図
【図12】茎葉切断部の要部正面図
【図13】茎葉切断部の要部平面図
【図14】茎葉切断部の要部側面図
【図15】茎葉切断部の要部背面図
【図16】第1回転刃と第2回転刃の上下位置調整構造を示す側断面図
【図17】第1回転刃と第2回転刃の上下位置調整構造を示す別例の側断面図
【図18】円盤刃の平面図
【図19】円盤刃の側面図
【図20】別例の円盤刃の平面図
【図21】押出ディスクの取付を示す平面図
【図22】押出ディスクを示す平面図
【図23】異なる汲上搬送コンベアを示す平面図
【図24】異なる汲上搬送コンベアを示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
根菜類収穫機の一例である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を或いは可食部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する引継搬送部Eと、該引継搬送部Eから人参を引き継いで人参を機体後側へ搬送しつつ搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0019】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、走行部Aは、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0020】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1及び図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0021】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0022】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。尚、引抜搬送経路Rが、左右一対の挟持搬送ベルト18による根菜類の収穫用搬送経路となる。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0023】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を縦ラグ25aで引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を横ラグ26aで掬い上げる横引起し装置26と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31を設ける。
【0024】
さらに、前記引抜フレーム15,15の機体前側下部から機体前後方向おいて略中間位置に亘って左右のソイラフレーム32,32を取り付け、該ソイラフレーム32,32の前側端部に左右の振動アーム33,33の前側端部を取り付ける。そして、前記機体フレーム1の前側にエンジン7の駆動力を受けて回転する振動シャフト34を引抜搬送装置24に向けて延出し、該振動シャフト34と該振動アーム33,33の後側端部との間に振動アーム33,33を振動させる側面視V字形状の振動ロッド35を取り付けて振動装置36を構成する。機体内側の振動アーム33は、振動ロッド35の下端側に回動自在に取り付ける。
【0025】
そして、前記ソイラフレーム32,32と振動アーム33,33との連結部に人参の周囲の土を切り解す左右のソイラ37,37を機体前側に向けて取り付け、振動アーム33,33の該ソイラ37,37の基部を取り付けた箇所の内側に左右の土落としステー38,38の基部を取り付け、振動装置36を構成する。
【0026】
なお、前記ソイラ37は、土中に進入して人参の周囲の土を解す刃部37aと、該刃部37aからに後上方に向かう円弧状の取付部37bとから構成すると、ソイラ37が土中に進入する際にかかる抵抗が分散されて小さくなるので、機体の進行が円滑になり作業能率が向上すると共に、土質や天候などによる圃場条件の違いや人参の種類や生育状態の違いに合わせてソイラ37の上下位置調節が容易に行えるので、人参が掘り取りやすくなり、作業能率が向上する。
【0027】
さらに、振動装置36を振動させる振動シャフト34の回転数は、ミッションケース8の変速動作に連動しない構成とすることによって、走行速度が低速の場合でも振動幅が変わらないので、低速作業時でも高速作業時でも左右のソイラ37,37を同じ幅で振動させることができるので、作業能率が向上するとともに、人参の周囲の土が切り解されて抜き残しが少なくなるので、収穫作業後に抜き残された人参を抜き取る作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0028】
また、該土落としステー38,38の後部に、人参に付着した土を落とす、ポリプロピレンやアクリル等の合成樹脂、あるいは棕櫚や羊歯など天然素材を用いた土落とし部材である土落としブラシ39,39を取り付ける。なお、該土落としブラシ39,39は、上下に亘って同じ長さの毛を用いると、人参に接触する機会の多い上側の毛が摩耗した際、土落としブラシ39,39の上下を転換させれば摩耗していない毛を人参に接触させることができるので、土落としブラシ39,39を長持ちさせることができる。
【0029】
さらに、前記土落としブラシ39,39の左右の間隔を機体前側が最も広く幅W1、機体後側に向かうほど狭くなるように配置するとともに、土落としブラシ39,39の左右幅の最も狭い部分幅W2を左右外側方向に向けて構成する。
【0030】
そして、前記左右のソイラ37,37の前端部に圃場面に垂れている茎葉を掬い上げる左右の掬上突起40,40を先端部が前記横引起し装置26の横ラグ26aよりも前方に位置するように配置する。また、該掬上突起40,40の前側に掬上突起40,40で掬い上げられた茎葉を引抜搬送装置24の挟持始端部に案内する左右の案内バー41,41を、平面視で「ハ」の字型となるように機体後側に向かうほど案内バー41,41同士の左右間隔が小さくなるように取り付ける。
【0031】
なお、該案内バー41,41はピアノ線などの柔軟性に富み、且つある程度の硬さを有する円柱形の弾性材で構成すると、振動幅が大きくなり、茎葉の絡み付き防止効果が向上する。
【0032】
さらに、前記掬上突起40,40よりも左右幅が広く且つ掬上突起40,40の上面を覆う後上り傾斜姿勢の左右の分草体42,42を夫々設ける。なお、分草体42,42の 上部には、前記案内バー41,41が突出する空間部を形成する。
また、前記引抜搬送通路Rの下方で且つ土落としブラシ39,39の後端部よりも後方の機体フレーム1上に、引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根尾部を切断する尾部切断装置43を設けている。尾部切断装置43は、引抜搬送通路Rの搬送中心線上に位置する大径の第一尾部切断具120と、引抜搬送通路Rの搬送中心線のやや側方(右側)で第一尾部切断具120の側方(右側)に位置する小径の第二尾部切断具121と、第一尾部切断具120の前方に配置されゴム製の弾性板で構成された振分ガイド122と、第一尾部切断具120と第二尾部切断具121の間の前方に配置され前端が平面視V字形の仕分けガイド123を備えている。尚、振分ガイド122は、接触する人参に傷が付きにくいように、少なくとも上部を弾性体で構成すればよい。また、仕分けガイド123の後端は、第一尾部切断具120(尾部切断装置43)の後端まで後側に延びている。第一尾部切断具120及び第二尾部切断具121の各々は、対向する尾部切断刃124を備えて共通の左右方向の切断具駆動軸125により駆動回転し、回転の180度の位相ごとに尾部切断刃124が人参の尾部に作用して切断する構成となっている。従って、第一尾部切断具120及び第二尾部切断具121は共通の切断具駆動軸125で回転するので、構造が簡単になりコストダウンが図れる。切断具駆動軸125を駆動する切断駆動モータ126は、第二尾部切断具121よりも大径で重量のある第一尾部切断具120側(第一尾部切断具120の左側)で且つ一部が第一尾部切断具120の内部空間に位置するよう配置されており、回転負荷があまりかからないようにして第一尾部切断具120及び第二尾部切断具121を良好に駆動できる。尚、切断具駆動軸125よりも上側位置で、尾部切断刃124が人参の尾部を切断する。第一尾部切断具120と第二尾部切断具121は、尾部切断刃124の位相を互いに90度異ならせており、第一尾部切断具120と第二尾部切断具121が同時に切断作用しないようにして切断具駆動軸125の駆動抵抗が局所的に増大するのを防止している。第一尾部切断具120及び第二尾部切断具121の各々の少なくとも上側の外周部分には、前後方向に延びるスリット127aを左右に複数配列した安全ガード127を設けている。人参の尾部は、スリット127aから安全ガード127内に進入し、第一尾部切断具120又は第二尾部切断具121により切断される。振分ガイド122は、引抜搬送通路Rの搬送中心線上から第二尾部切断具121の前方へ案内するべく、右側へいくほど後位となる斜面状に構成されている。機体平面視で振分ガイド122の第二尾部切断具121側の端部(右端、後端)の位置に仕分けガイド123があり、仕分けガイド123は振分ガイド122よりも高位で、左右挟持搬送ベルト18の後上がり傾斜の搬送軌跡に対して高位(前記搬送軌跡に近い位置)に配置されている。仕分けガイド123及び振分ガイド122は、左右挟持搬送ベルト18よりも下側に配置されている。
【0033】
従って、土落としブラシ39,39を通過して引抜搬送通路R上で斜め後上方に搬送されてくる人参は、先ず振分ガイド122により長尺のものと短尺のものとに振り分けられる。すなわち、長尺の人参は、下部が振分ガイド122に接触しながら搬送され、振分ガイド122により第二尾部切断具121側へ案内される。短尺の人参は、下部が振分ガイド122に接触せずあるいは極めて小さい接触力で接触しながら搬送されるので、引抜搬送通路Rの搬送中心線上でそのまま振分ガイド122を越えて後側へ搬送され、第一尾部切断具120へ供給される。振分ガイド122で左右に振り分けられた人参は、仕分けガイド123により確実に仕分けられて第一尾部切断具120又は第二尾部切断具121へ供給される。長尺の人参は小径の第二尾部切断具121で切断され、短尺の人参は大径の第一尾部切断具120で切断されるので、人参の長さに対応して適切な位置で尾部を切断できる。尚、機体側面視で、振分ガイド122の上端を通り且つ左右挟持搬送ベルト18の後上がり傾斜と平行な線(図6参照)よりも下側に第二尾部切断具121は配置され、第一尾部切断具120の尾部切断刃124は第一尾部切断具120の回転により前記線よりも上側に突出する位置に配置されている。尚、第二尾部切断具121を通過した長尺の人参は、左右挟持搬送ベルト18の搬送により、後述する分岐体128よりも前側で再度引抜搬送通路Rの搬送中心線上に復帰する。よって、短尺の人参は尾部切断装置43が作用する箇所でも引抜搬送通路Rの搬送中心線上で搬送されるので、短尺で左右挟持搬送ベルト18から脱落したり搬送姿勢が悪化する等の搬送のトラブルを防止して的確に搬送することができる。
【0034】
従来の尾部切断装置は、引抜搬送通路上に単一の尾部切断具を設けた構成であり、人参の長さに拘らず所定の位置で尾部を切断するので、長尺の人参では不必要に下部を切除したり、短尺の人参では適正に尾部を切断できなかったりする不都合が生じることが考えられる。また、従来の尾部切断装置は、例えば長尺の人参に続いて短尺の人参が供給される場合、長尺の人参へ切断作用力が奪われる分、短尺の人参の尾部の切断を適正に行いにくい不都合が考えられる。
【0035】
尚、前述では、第一尾部切断具120及び第二尾部切断具121を回転する構成として第一尾部切断具120を大径とし第二尾部切断具121を小径としたが、第一尾部切断具120及び第二尾部切断具121を直線移動軌跡で切断する構成とし、左右挟持搬送ベルト18の後上がり傾斜の搬送軌跡に対して第一尾部切断具120を第二尾部切断具121よりも上側に配置してもよい。すなわち、第一尾部切断具120及び第二尾部切断具121がいかなる構成であろうが、左右挟持搬送ベルト18の後上がり傾斜の搬送軌跡に対して、第一尾部切断具120の切断作用位置が第二尾部切断具121の切断作用位置よりも上側に配置されればよいのである。
【0036】
そして、引抜搬送装置24、主として左右挟持搬送ベルト18を支持する引抜搬送フレーム129を、左右挟持搬送ベルト18に沿って後上がりに傾斜させて設けている。引抜搬送フレーム129には、内側案内体130と外側案内体131を取り付けて設けている。内側案内体130は、断面円形の棒材を平面視V字型に形成して構成され、前後方向の長孔133を備える内側案内体取付部132を介して引抜搬送フレーム129に取り付けられ、前記長孔133により前後位置調節可能に設けられている。外側案内体131は、断面円形の棒材で内側案内体130の左右各々外側に該内側案内体130と並行して構成され、外側案内体取付部134を介して引抜搬送フレーム129に固定して取り付けられている。内側案内体130の前端部から下側に延びる延長部135を介して分岐体128を設けている。これにより、内側案内体130を介して分岐体128を支持するので、分岐体128の格別な支持構造が不要となり、構造が簡単になる。分岐体128は、根菜類の搬送の分岐における抵抗を低減するべく遊転ローラで構成され、左右挟持搬送ベルト18の下方で引抜搬送経路R上に配置され、左右挟持搬送ベルト18で搬送される根菜類の可食部に接触して根菜類の搬送路を左右に分岐させる構成となっている。分岐体128で左右に分岐された根菜類は、左右各々の内側案内体130と外側案内体131の間の案内経路を介して後述する左右各々の左右肩揃え搬送ベルト104,104の搬送始端部へ案内される。内側案内体130及び外側案内体131は、引抜搬送フレーム129及び左右挟持搬送ベルト18の後上がり傾斜よりも小さい傾斜角度で後上がりに傾斜しており、引抜搬送経路Rに対して左右対称に構成され、分岐体128で分岐されて搬送される根菜類を左右各々の後述する茎葉切断用搬送経路の搬送始端部に案内する。尚、外側案内体131は、分岐体128よりも前側となる前部131aと分岐体128から後側となる後部131bを備え、前部131aが引抜搬送経路Rに並行して前後真直方向に延び、後部131bが内側案内体130に並行して後側へいくほど左右外側となるよう斜めに延びている。
【0037】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。この茎葉切断部Dは、前記分岐体128による根菜類の搬送の分岐に対応して左右に2組設けられている。
前記伝動ケース22に駆動力を伝動する左右伝動軸94,94を取り付け、該左右伝動軸94,94の上部に左右伝動ケース95,95を取り付けると共に、該左右伝動ケース95,95内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右第1ギアユニット96,96を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右伝動軸94,94に左右第2ギアユニット97,97を機体後側に向かって取り付け、該左右第2ギアユニット97,97の後端部に左右第1出力軸98,98を機体上方に向けて軸着する。
【0038】
そして、前記左右第1ギアユニット96,96の前端部に左右第2出力軸99,99を機体下方に向けて軸着し、該左右第2出力軸99,99に左右肩揃え駆動プーリ100,100を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース95,95の前端下部に左右肩揃え従動プーリ101,101を軸着した左右回転軸102,102を設け、該左右肩揃え従動プーリ101,101と前記左右肩揃え駆動プーリ100,100との前後間に複数の左右肩揃えテンションプーリ103,103…を回転自在に取り付ける。そして、該左右肩揃え従動プーリ101,101と前記左右肩揃え駆動プーリ100,100と左右肩揃えテンションプーリ103,103…との間に左右肩揃え搬送ベルト104,104を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から引き継がれる人参の茎葉部の切断位置を略一定に揃える機体内外側一対の肩揃え装置44i,44oが、引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0039】
左右肩揃え従動プーリ101の左右各々の回転軸102には、根菜類に付着する土を除去する除去ブラシ136を設けている。除去ブラシ136は、左右肩揃え従動プーリ101の下方に配置され、肩揃え従動プーリ101と一体で回転することにより肩揃え搬送ベルト104に連動して駆動回転する。尚、回転軸102の回転方向の逆方向に締め付け固定するボルトにより、回転軸102に除去ブラシ136が固定されている。
【0040】
また、前記左右第1出力軸98,98に左右茎葉搬送駆動プーリ106,106を軸着し、前記左右第1ギアユニット96,96よりも機体前側で且つ肩揃え装置44i,44oの上方に左右茎葉搬送従動プーリ107,107を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ106,106と左右茎葉搬送従動プーリ107,107とに左右茎葉搬送ベルト108,108を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置109が、前記左右伝動ケース95,95の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される(ここで、「排葉」とは切断された茎葉部を意味する)。尚、左右肩揃え搬送ベルト104及び左右茎葉搬送ベルト108による根菜類の搬送経路が、茎葉切断用搬送経路となる。
【0041】
さらに、前記左右第1出力軸98,98の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ110,110を軸着し、前記左右伝動ケース95,95の上方に左右残葉搬送従動プーリ111,111を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111との前後間に複数の左右残葉搬送テンションプーリ112,112…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111と左右残葉搬送テンションプーリ112,112…とに左右残葉搬送ベルト113,113を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置114が、前記排葉搬送装置109の上方に構成される。尚、上記排葉搬送装置109と残葉搬送装置114とから、一対の茎葉部挟持搬送装置45i,45oが構成される。
【0042】
尚、左側の茎葉切断部Dにおける右側の肩揃え搬送ベルト104、茎葉搬送ベルト108及び残葉搬送ベルト113と、右側の茎葉切断部Dにおける左側の肩揃え搬送ベルト104、茎葉搬送ベルト108及び残葉搬送ベルト113は、機体平面視で互いに重複して配置されている。すなわち、左右肩揃え搬送ベルト104、左右茎葉搬送ベルト108及び左右残葉搬送ベルト113は、左右の茎葉切断部Dで干渉しないように異なる高さに配置されている。また、左右の茎葉切断用搬送経路は、引抜搬送経路Rに対して左右対称位置に配置されている。
【0043】
そして、前記機体外側の肩揃え装置44oの後方で且つ機体外側の茎葉搬送装置45oを構成する機体外側の第1ギアユニット96から下方へ突出する駆動軸28に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第1回転刃46oを取り付け、機体内側の肩揃え装置44iの後方で且つ機体内側の茎葉搬送装置45iを構成する機体内側の第1ギアユニット96から下方へ突出する駆動軸28に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第2回転刃46iを回転駆動するように取り付け、該第2回転刃46iを第1回転刃46oよりも下方に配置して茎葉切断装置47を構成する。なお、第1切断刃46oと第2切断刃46iとは、外周縁部がオーバーラップする配置とし、前側で根菜類を挟み込むように回転させ、第1回転刃46oと第2回転刃46iは外周刃先が滑らかな円弧状の円刃と外周刃先が凹凸の鋸丸刃を組み合わせた構成とする。
【0044】
また、前記第2切断刃46iの下方で且つ第1切断刃46oの駆動軸28の下方に第1切断刃46o及び第2切断刃46iの板厚よりも厚いスペーサー48を装着し、該スペーサー48の下方に、切断前の人参の可食部に側方から接触して弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって茎葉部挟持搬送装置45i,45oの搬送方向に対して直交する方向である機体内側方向に押し出し、後述する残葉処理コンベア57に人参の肩部が残葉処理ローラ56を配置した側の機体内側に向けられた状態で落下させる押出ディスク49を装着する。該押出ディスク49は、ゴム等の変形し易く弾性力の強い弾性体で構成し、前記第1切断刃46oと共に回転する構成とする。なお、スペーサー48は、最大径の人参が接触しない程度の外径とする。
【0045】
なお、スペーサー48を円盤刃にすることも考えられる。
また、押出ディスク49は第1切断刃46oと略同径、もしくは第1切断刃46oよりもやや大径とすると、押出ディスク49が人参の肩部に接触しやすくなり、人参の肩部が機体内側方向を向いた姿勢にすることができ、残葉処理コンベア57で確実に根部に残った茎葉部が処理され、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0046】
また、押出ディスク49は、図23の如く、第1回転刃46oの外周円の内側で偏芯して取り付け、人参の植付間隔と同期して回転しないようにすることで、人参の飛ばし位置が分散するようにする。
【0047】
また、押出ディスク49の外周は、図24の如く、部分的に凹凸を大きくして大小の人参を飛ばし易くする。
さらに、押出ディスク49は、外周縁が下向きになった皿状にしたり、外周縁にスリットを設けて柔らかくしたりしても良い。
【0048】
なお、押出ディスク49は、適宜に取り外しできるようにする。
そして、スペーサー48の厚みは、第1切断刃46o、第2切断刃46iの平均的な厚みが1mm前後であるので、2mm前後とすると第1切断刃46o及び第2切断刃46iが押出ディスク49を巻き込みにくくなる。
【0049】
第1回転刃46oと第2回転刃46iの駆動軸28への取付は、図18に示す如く、第1回転刃46o(第2回転刃46i)を駆動回転する駆動軸28と、第1回転刃46oと第2回転刃46iを取付け固定する取付部材81と、取付部材81の高さ位置を調節する調節ノブ82を設け、該取付部材81は、駆動軸28に対して一体回転且つ軸芯方向スライド自在に取り付け、調節ノブ82は、駆動軸28に対してネジ部82c,28bを介して係合し、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能に取り付けた構成としている。調節ノブ82の外周は六角形状として回し易くする。六角形状の角部はわすかにカットしても良い。
【0050】
駆動軸28の下端には、座金91を介してニップル92を取り付け、駆動軸28の中心に設ける注油孔を通して角柱部28aへグリスを供給する。座金91は、調節ノブ82の抜け止めになる。
【0051】
従って、調節ノブ82を回転操作するだけの容易な操作で、取付部材81が上下移動して、第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さすなわち根菜類の茎葉部挟持搬送装置45i,45oからの間隔が調節可能となり、茎葉部の身を切断したり肩部近くの可食部を切断したり、変更出来る。
【0052】
また、駆動軸28に対する調節ノブ82の回転を規制する回転規制手段(スプリング82aとボール82b)を設けているので、駆動軸28の駆動回転中に調節ノブ82が駆動軸28に対して回転して第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さが変化するのが防止され、切断処理を適確に行える。回転規制手段(スプリング82aとボール82b)を設ける位置は六角形状の最大径となる頂点に向けて設ける。
【0053】
なお、上記回転規制手段は、調節ノブ82を駆動軸28に対して回転方向に一体的に固定するよう構成でき、また、調節ノブ82が駆動軸28に対して一定角度以上回転しようとするとその回転に対する抵抗が大きくなるように構成することもできる。
【0054】
図示例は、後者の構成をとることで、第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さを調節するとき、上記回転規制手段の解除操作が必要なく、その回転規制手段による抵抗に抗して調節ノブ82を駆動軸28に対して回転操作するだけで調節が可能となり、調節操作が非常に容易に行える。更に、取付部材81に対する第1回転刃46o(第2回転刃46i)の固定を解除する(図例ではネジ止めを外す)と、第1回転刃46oと第2回転刃46iの回転中心側に形成した孔を調節ノブ82を通過できるように、その孔の大きさと調節ノブ82の大きさを設定している。これにより、調節ノブ82を外すことなく、第1回転刃46o(第2回転刃46i)を取り外すことができ、回転刃の交換が容易に行える。
【0055】
図19に第1回転刃46oと第2回転刃46iの上下移動固定手段の別例を示す。駆動軸28の下部に形成した回り止め用の角柱部28aにその軸線方向のみに移動可能に取付部材81を挿通し、この取付部材81に第1回転刃46o(第2回転刃46i)を固定するとともに、取付部材81を上下に位置決めする調節ノブ82を駆動軸28の下端のねじ部28bに調節ノブ82の下部に形成したネジ孔82cを螺合させて取付ける。調節ノブ82には、角柱部28aの外周を転動可能なスプリング82aにより弾圧されるボール82bによる回転規制手段を内設する。第1回転刃46o(第2回転刃46i)を保持する支持部27cと取付部材81との間には係合球体83を介在して支持部27cと取付部材81とが一体的に回転するようにしつつ第1回転刃46o(第2回転刃46i)側を止め輪83aによって回転軸芯方向への移動を規制し、また、取付部材81の下部側外周に形成した溝と調節ノブ82の上部側の回転方向複数箇所に形成した孔とに係合球体84を介在させ、更に、その係合球体84が飛出さないように止め輪84aを取り付ける。これにより、調節ノブ82は、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能となる。
【0056】
図19の縦断面図は、断面左半分側が回動調節状態で、断面右半分側が回動固定状態を示している。駆動軸28の下部に回り止めの角柱部28aを介して固定スリーブ85とその下端の大径部86を固定する。固定スリーブ85には、外周面を等分周して軸線方向溝による係止溝85a…を形成し、その下方に形成したねじ部85bに第1回転刃46o(第2回転刃46i)の支持部27dと連結する筒部87を螺合する。この筒部87には通孔87bを形成し、固定スリーブ85の係止溝85a…との間に介在可能な係合球体87aを通孔87bから進退自在に設けるとともに、筒部87の外周には係合球体87aの進退を制御するスライドスリーブ88を設ける。
【0057】
スライドスリーブ88は、筒部87の外周に形成した軸線方向溝87cに介在する係合球体88aによって軸線方向にスライド動作可能に構成する。このスライドスリーブ88は、筒部87の上端の支持部27dに達する上限位置から大径部86に達する下限位置の範囲をスライドストローク範囲とし、コイルスプリング89を設けて下限位置に付勢する。また、筒部87の係合球体87aの進退を制御するテーパ88bを形成し、このテーパ88bはスライドストロークの下限位置で係合球体87aを内方の係止溝85a…内に拘束して筒部87の回動を規制し、一方、スライドストロークの上限位置で係合球体87aの拘束を解除して支持部27dの回動を許容するように傾斜面を形成する。
【0058】
上記の構成で、第1回転刃46oと第2回転刃46iは、上下させて茎葉部挟持搬送装置45i,45o(詳しくは肩揃え装置44i,44o)との間隔を狭くしたり広くすることで茎葉部を切断したり可食部を切断したりするようになる。
【0059】
第1ギアユニット96と第1回転刃46oとの間及び第1ギアユニット96と第2回転刃46iの固定スリーブ85との間で駆動軸28を覆う蛇腹90を設けて葉が巻き付かないようにしている。
【0060】
なお、調節ノブ82とスライドスリーブ88は、慣性力を小さくするために中空にすると良い。
機体の外側に位置する第1回転刃46oは機外から交換し易いので、図21の如く、二枚の鋸円盤刃NH1,NH2を重ねた状態に取り付け、上下の鋸円盤刃NH1,NH2の取付位相を合わせて外周縁を凹凸の大きな鋸刃状にして可食部切断に適したり、位相をずらせて外周縁を凹凸の少ない或いは凹凸の無い円刃状にして茎葉部の切断に適したりするようにすると良い。二枚の鋸円盤刃NH1,NH2は、外周の鋸刃が同一でも異なっていても良い。
【0061】
第1回転刃46oと第2回転刃46iは、図22の如く、外周円状の周縁部に窪みKを設けて先端の摩耗によって鋸刃状になる形状にしても良い。また、第1回転刃46oと第2回転刃46iは、外周刃縁を厚み方向に波打たせた形状にしても良い。外周刃縁を波打たせた円盤刃は機体外側の第1回転刃46oのみでも良く、第1回転刃46oと第2回転刃46iを外周刃縁が波打った円盤刃とする場合には、先端交差部を接触させて研がれるようにしても良い。
【0062】
なお、第1回転刃46oと第2回転刃46iを肩揃え搬送ベルト104の第2出力軸99に設けることも考えられる。
前記茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設け、該茎葉切断装置47の下方で且つ後述する残葉処理コンベア57の上方に、落下してくる人参を受けるクッションプレート51を、残葉処理コンベア57の搬送方向に沿って少なくとも人参の落下位置よりも搬送方向下手側に亘って配置する。
【0063】
なお、該規制プレート50及びクッションプレート51は、ゴムや塩化ビニル等の軟質材で構成すると、衝突の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値を向上させることができる。
【0064】
また、前記機体内側及び外側の茎葉部挟持搬送装置45i,45oの終端部から茎葉切断装置47によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ52を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
【0065】
上記構成により、機体外側の第1切断刃46oの回転軸80の下方に装着された押出ディスク49は、茎葉部切断前の作物に接触すると弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって押し出し、切り残された茎葉部が残る人参の肩部を茎葉部挟持搬送装置45i,45oの搬送経路に対して直交する方向である機体内側方向に向けることができるので、残葉処理コンベア57に設けた残葉処理ローラ56で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。この押出ディスク49は機体外側に設けられているので、正常に引抜搬送装置24に挟持搬送されてきた人参であれば、機体外側に向かって押し出されることはない。
【0066】
また、茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設けたことにより、落下中に人参の姿勢が変化することを防止でき、人参の肩部に残る茎葉部を残葉処理コンベア57で確実に除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0067】
そして、茎葉切断装置47の下方で且つ残葉処理コンベア57の上方に、落下してきた人参を受けるクッションプレート51を設けたことにより、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0068】
また、押出ディスク49に押し出された人参は、下端部(以下、「尻尾部」という)から落下するが、収穫作業中は一定方向に動き続けている残葉処理コンベア57上に落下すると残葉処理コンベア57の搬送力により、肩部が搬送方向の反対側を向いてしまうことがある。しかしながら、クッションプレート51を残葉処理コンベア57の上方に設けたことにより、人参はクッションプレート51に接触して残葉処理コンベア57の搬送方向に沿う姿勢となってから残葉処理コンベア57に載って搬送されるので、残葉処理コンベア57で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0069】
さらに、茎葉切断装置47で人参から切断された排葉切断された茎葉部を圃場に排出する排葉シュータ52が、既掘り側人参を収穫し終えた側に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側人参を収穫していない側の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト18,18や左右従動プーリ16,16等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0070】
次に、引継搬送部Eについて説明する。
前記茎葉切断装置47の下方に前後残葉処理フレーム53を設け、該前後残葉処理フレーム53の左右両側の前後間に左右残葉処理ローラ54,54を回転自在に取り付ける。そして、該左右残葉処理ローラ54,54にゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト55を無端状に巻回し、該残葉処理ベルト55の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト55と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ56を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア57を構成する。
【0071】
また、該残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に茎葉切断装置47よりも機体前側に落下した作物を受ける格子状の受け台58を下り傾斜姿勢で設け、機体左右一側部で且つ該受け台58よりも機体内側に汲上搬送駆動ローラ59を設けると共に、左右他側部側に汲上搬送従動ローラ60を設ける。そして、前記残葉処理コンベア57よりも機体前側で且つ残葉処理コンベア57に隣接させて、汲上搬送駆動ローラ59と汲上搬送従動ローラ60とに汲上搬送ベルト61を無端状に巻回して、前記残葉処理コンベア57と受け台58とから人参を引き継いで機体左右他側に上り傾斜姿勢で汲上搬送する汲上搬送コンベア62が構成される。尚、汲上搬送コンベア62は、水平方向に搬送する搬送コンベアに構成することもできる。
【0072】
上記構成により、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ローラ56が、茎葉切断装置47で切り残された人参の残葉を千切り取りながら汲上搬送コンベア62に人参を搬送するため、人参の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0073】
また、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ベルト55をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置47で茎葉部を切除された人参が落下しても残葉処理ベルト55が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0074】
そして、残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に格子状の受け台58を下り傾斜姿勢に設けたことによって、茎葉切断装置47よりも機体前側で茎葉部が千切れる等して落下した人参を、機外に落とすことなく受け止めることができると共に、受けた人参を汲上搬送コンベア62に向かって移動させることができるので、収穫作業後に機外に落ちた人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、茎葉切断装置47よりも機体前側で落下した人参を搬送経路に戻すことができるので、作業能率が向上する。
【0075】
残葉処理コンベア57の上方で且つ茎葉切断装置47の下方には、茎葉切断装置47から落下する人参に接触して該人参に付着する土を落とす一対の土落とし回転ブラシ137を設けている。落下する人参が一対の土落とし回転ブラシ137の間に供給され、人参の落下作用により一対の土落とし回転ブラシ137が互いに逆転しながら(一対の土落とし回転ブラシ137間で下向きに回転しながら)土を落とす。尚、一対の土落とし回転ブラシ137は、一般的な人参の直径に等しい40〜60mm程度の間隔を空けて配置することが望ましい。人参から落とした土は、残葉処理コンベア57上に載り、いずれ機外へ排出される。これにより、専用の土回収コンベア等の土回収装置が不要になり、コストダウンが図れる。
【0076】
尚、一対の土落とし回転ブラシ137は、左右に配置し、植毛された接触部の形態を螺旋状にし、螺旋状の接触部により左右茎葉搬送ベルト108及び左右残葉搬送ベルト113の搬送方向とは反対側(前側)へ人参を移送する作用が生じるべく、人参の落下で回転する構成とする。これにより、左右茎葉搬送ベルト108及び左右残葉搬送ベルト113で搬送されてきた方向(後方)とは反対方向(前方)に移送する作用を人参に与えることができるので、左右茎葉搬送ベルト108及び左右残葉搬送ベルト113の搬送による人参が後方へ移動しようとする作用を一対の土落とし回転ブラシ137により抑えることができ、クッションプレート51ひいては残葉処理コンベア57へ人参が落下するときの衝撃を抑えて人参に傷が付くようなことを抑えると共に、土落とし回転ブラシ137による土落とし作用も高めることができる。特に、残葉処理コンベア57の搬送方向が前方である場合、残葉処理コンベア57へ人参が落下するときの衝撃を更に抑えられると共に、土落とし回転ブラシ137による移送作用で人参を残葉処理コンベア57上に円滑に引き継いで搬送させることができる。尚、前述では、残葉処理コンベア57は左右方向に搬送する構成として説明したが、残葉処理コンベア57の搬送方向を前後方向に構成してもよい。また、クッションプレート51を無くし、残葉処理コンベア57へ直接人参を落下供給する構成にすることができる。
【0077】
収穫物である根菜類の可食部を搬送するコンベアである汲上搬送コンベア62は、上記の構成に代えて、搬送用の搬送ラグ138を所定間隔おきに備えるスラットコンベアの構成とすることができる。この汲上搬送コンベア62は、コンベアの搬送路に対して左右に一対設けた駆動チェーン139と、一対の駆動チェーン139の間に連結して設けた搬送ラグ138と、前記搬送路の下方に所定の配列ピッチで配置した複数の搬送ブラシ140を備えている。搬送ラグ138は、人参を搬送する搬送面側が人参の外周面に合わせて凹状の曲面に形成され、一対の駆動チェーン139の駆動により搬送方向に移動しながら人参を搬送する。複数の搬送ブラシ140は、各々の回転中心軸141と一体で回転し且つ機体に対して移動しないように設けられ、回転中心軸141の端部に固着して設けた駆動用ローラ142の駆動により回転する。駆動用ローラ142は、上側から接触する駆動チェーン139の駆動により回転する構成となっている。従って、搬送ブラシ140を駆動回転させる駆動機構を前記駆動チェーン139で共用したので、構造が簡単になりコストダウンが図れる。搬送ブラシ140の駆動回転により、搬送される人参は搬送ラグ138の曲面に案内されて自転しながら搬送され、搬送ブラシ140により人参に付着する土を良好に落とすことができる。搬送ブラシ140で落とした土は、搬送ブラシ140どうしの間の隙間から下方へ排出される。
【0078】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
操縦部Bの後部に左右選別搬送フレーム63,63を取り付け、該左右選別搬送フレーム63,63の機体前側の左右間に選別搬送駆動ローラ64を回転自在に取り付け、該選別搬送駆動ローラ64よりも機体後側に選別搬送従動ローラ65を回転自在に取り付ける。また、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65との間に選別搬送テンションローラ66を回転自在に取り付ける。そして、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65と選別搬送テンションローラ66とに複数の弾性体突起を備える弾性体ベルト67を無端状に巻回することによって、後上り傾斜姿勢の選別搬送コンベア68が構成される。さらに、該選別搬送コンベア68を始端部が引継搬送部Eの汲上コンベア62の終端下方に位置するように配置する。
【0079】
また、前記選別搬送従動ローラ65の回転軸にシュータ69を上下回動自在に取り付け、該シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けることによって、選別搬送部Fが構成される。
【0080】
上記のように、シュータ69を上下回動自在に設けたことによって、シュータ69を下方回動させると人参を後述する収容部Gに設置するコンテナやフレコンバッグ等の収容容器73に緩やかに落とすことができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0081】
また、シュータ69を上方に回動させると、選別搬送コンベア68の終端側を塞ぐストッパとなるため、人参が満杯になったコンテナを交換する際、選別搬送コンベア68を停止させなくても人参が終端部から落下することを防止することができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の品質が向上すると共に、選別搬送コンベア68の動力の入切を頻繁に行う必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0082】
また、シュータ69を上方回動させてストッパとし、選別搬送コンベア68を停止させないことによって、人参は選別搬送コンベア68の終端側に溜まるので、従来のように汲上搬送コンベア58の搬送終端部から落下してきた人参が選別搬送コンベア68の搬送始端部に滞留している人参に接触して傷付くことが防止されるので、人参の商品価値が向上する。
【0083】
さらに、シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けたことによって、補助作業者は後述する補助作業座席78に座ったままシュータ69を上下回動させることができるので、補助作業者の労力が軽減される。
【0084】
次に、収容部Gについて説明する。
図1〜図3で示すように、前記左右選別搬送フレーム63,63の下部に左右支持フレーム71,71を設け、該左右支持フレーム71,71に伸縮自在なダンパ72の一端を取り付ける。そして、左右選別搬送フレーム63,63の後下部に人参を収容するコンテナやフレコンバッグ、袋体等の収容容器73を設置する収容容器置台74を上下回動自在に且つ上り傾斜姿勢に取り付けると共に、該収容容器置台74にダンパ72の他端を取り付ける。
【0085】
また、該収容容器置台74の後端部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を上下回動自在で且つ上り傾斜姿勢で取り付ける。さらに、前記収容容器置台74や選別搬送コンベア68や右クローラ6Rよりも機体左右他側に機体前後方向に長い人参を収容した収容容器73を積載する収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付ける。
【0086】
そして、該収容容器積載台76の機体外側に、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77を取り付け、該支持フレーム77の上に補助作業者が着座する補助作業座席78を取り付ける。そして、前記収容容器積載台76の後部に予備の収容容器73を設置する第2予備収容容器置台79を取り付けて、収容部Gが構成される。
【0087】
上記のように、上り傾斜姿勢に設けられた収容容器置台74に伸縮自在なダンパ72の他端を取り付けていることによって、収容容器73に人参が収容されて重くなるにつれて収容容器置台74が下降するため、人参が収容容器73の一部に偏って投入されることが防止されるので、収容容器73交換の頻度が減少し、作業者の労力が軽減される。
【0088】
また、収容容器置台74の後部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を設けたことによって、人参が満載された収容容器73が収容容器置台74から取り除かれるとダンパ72が伸びて収容容器置台74が上り傾斜姿勢に戻り、予備収容容器置台75に設置されている収容容器74が収容容器置台74に滑り落ちて設置されるので、収容容器73を手作業で設置する必要がなくなり、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0089】
そして、機体左右外側に収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付けていることによって、圃場へ向かう際や圃場から帰る際には収容容器積載台76を機体内側に折り畳んで機体の左右幅をコンパクトにすることができるので、小型のトラックにも積み込みやすく、輸送性が向上する。
【0090】
さらに、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77上に補助作業座席78を設けたことによって、補助作業者は選別搬送コンベア68に近い位置で選別作業ができるので選別精度が向上すると共に、収容容器73が収容容器積載台76上を移動するのを妨げないため、作業能率が向上する。
【0091】
また、収容容器積載台76の後部に第2予備収容容器置台79を取り付けたことによって、機体に多くの収容容器73を搭載しておくことができるので、長時間連続して収穫作業を続けることができ、作業能率が向上する。
【0092】
以上により、この根菜類収穫機は、走行部(A)と、前側から圃場の根菜類を引き抜いて後側へ向けて搬送する収穫部(C)と、該収穫部(C)から根菜類を引き継いで後側へ向けて搬送しながら茎葉部又は可食部を切断する茎葉切断部(D)を設け、収穫部(C)には、圃場から引き抜いた根菜類を挟持して茎葉切断部(D)へ搬送する左右一対の挟持搬送帯(18)を設け、茎葉切断部(D)には、根菜類の茎葉部を挟持して搬送しながら根菜類の高さを揃える左右一対の肩揃え搬送帯(104)と、該肩揃え搬送帯(104)から引き継いで根菜類の茎葉部を挟持して搬送する左右一対の茎葉搬送帯(108)と、該茎葉搬送帯(108)で搬送される根菜類の茎葉部を切断する切断刃(46i,46o)を設け、左右一対の挟持搬送帯(18)に対して左右一対の肩揃え搬送帯(104)及び左右一対の茎葉搬送帯(108)を2組設け、左右一対の挟持搬送帯(18)による根菜類の収穫用搬送経路の左右に、左右一対の肩揃え搬送帯(104)及び左右一対の茎葉搬送帯(108)による根菜類の茎葉切断用搬送経路を各々配置し、収穫用搬送経路上には搬送される根菜類の搬送路を左右に分岐させる分岐体(128)を設け、該分岐体(128)で分岐されて搬送される根菜類を左右各々の茎葉切断用搬送経路の搬送始端部に案内する案内体を設けている。
【0093】
よって、左右の茎葉切断用搬送経路に根菜類を振り分けて搬送するので、茎葉切断用搬送経路上での根菜類の搬送ピッチを広くでき、搬送される根菜類どうしが干渉し合うのを抑え、肩揃え搬送帯(104)により所望の精度で根菜類の高さを揃え、ひいては切断刃(46i,46o)により根菜類の所望の位置で切断することができる。また、左右の茎葉切断用搬送経路に対して共通の収穫用搬送経路を設けた構成であるから、左右の茎葉切断用搬送経路に対応して左右に収穫用搬送経路を設ける構成と比較して、構造が簡単になり、機体の軽量化及びコストダウンが図れる。更に、左右の茎葉切断用搬送経路が収穫用搬送経路の左右に振り分け配置されるので、収穫用搬送経路に対する茎葉切断用搬送経路の偏位量を小さくできると共に、分岐体(128)及び案内体を介して根菜類を左右に良好に振り分けながら円滑に搬送することができ、根菜類の処理精度を所望に維持しながら、多量の根菜類を収穫できて作業能率の向上が図れる。
【0094】
また、左右一対の挟持搬送帯(18)は根菜類の茎葉部を挟持して搬送する構成とし、分岐体(128)及び案内体を挟持搬送帯(18)の下方に配置している。
よって、茎葉部を挟持する挟持搬送帯(18)の下方で、分岐体(128)及び案内体が根菜類の可食部に作用して搬送を分岐及び案内させることができ、根菜類を左右に良好に振り分けながら的確に案内することができる。
【0095】
また、挟持搬送帯(18)に対して、案内体よりも分岐体(128)を下側に離れた位置に配置している。
よって、分岐体(128)を下側に離れた位置に配置したので、搬送される根菜類が先ず分岐体(128)に接触して該分岐体 により根菜類の下部を左右に振り分けて分岐し易く、分岐体(128)と挟持搬送帯(18)により根菜類を適正な姿勢に安定させ、その後、分岐体(128)で位置決めされた根菜類の下部と挟持搬送帯(18)で位置決めされた根菜類の上部の間で案内体が根菜類に接触して、該案内体により円滑に根菜類を案内することができる。
【0096】
また、機体平面視で2組の肩揃え搬送帯(104)及び茎葉搬送帯(108)を互いに重複させて配置している。
よって、左右の茎葉切断用搬送経路の互いの間隔を狭めることができ、収穫用搬送経路に対する茎葉切断用搬送経路の偏位量を小さくできるので、根菜類を左右に良好に振り分けながら円滑に搬送することができる。
【0097】
また、案内体を、左右の茎葉切断用搬送経路の左右内側に位置する内側案内体(130)と、左右の茎葉切断用搬送経路の左右外側に位置する外側案内体(131)で構成し、分岐体(128)を内側案内体(130)に支持させた構成とすると共に、内側案内体(130)及び分岐体(128)を一体で機体の前後方向に位置調節可能に設けている。
【0098】
よって、分岐体(128)の前後位置を調節して根菜類の搬送状況に応じて、搬送の分岐作用を適正に得られるようにできる。また、内側案内体(130)の前後位置を変更することにより、外側案内体(131)と内側案内体(130)の間の案内経路の幅を変更でき、根菜類の形状(太さ等)に応じて円滑に案内させることができる。しかも、内側案内体(130)と分岐体(128)を互いの位置関係を変化させずに前後位置調節できるので、前後位置調節に拘らず分岐体(128)から内側案内体(130)への根菜類の受け継ぎを適正に維持できる。
【0099】
また、茎葉切断用搬送経路の搬送始端部には、肩揃え搬送帯(104)に連動して駆動回転して根菜類に付着する土を除去する除去ブラシ(136)を設けている。
よって、除去ブラシ(136)により、茎葉切断用搬送経路の搬送始端部で根菜類に付着する土を除去でき、肩揃え搬送帯(104)により根菜類の高さを適正に揃えることができ、ひいては切断刃(46i,46o)により根菜類を適正な位置で切断できる。
【0100】
尚、この実施の形態における各種のベルトは、チェーンにより実施することも可能であり、所謂、帯体(無端帯)であればよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部(A)と、前側から圃場の根菜類を引き抜いて後側へ向けて搬送する収穫部(C)と、該収穫部(C)から根菜類を引き継いで後側へ向けて搬送しながら茎葉部又は可食部を切断する茎葉切断部(D)を設け、収穫部(C)には、圃場から引き抜いた根菜類を挟持して茎葉切断部(D)へ搬送する左右一対の挟持搬送帯(18)を設け、茎葉切断部(D)には、根菜類の茎葉部を挟持して搬送しながら根菜類の高さを揃える左右一対の肩揃え搬送帯(104)と、該肩揃え搬送帯(104)から引き継いで根菜類の茎葉部を挟持して搬送する左右一対の茎葉搬送帯(108)と、該茎葉搬送帯(108)で搬送される根菜類の茎葉部を切断する切断刃(46i,46o)を設けた根菜類収穫機において、左右一対の挟持搬送帯(18)に対して左右一対の肩揃え搬送帯(104)及び左右一対の茎葉搬送帯(108)を2組設け、左右一対の挟持搬送帯(18)による根菜類の収穫用搬送経路の左右に、左右一対の肩揃え搬送帯(104)及び左右一対の茎葉搬送帯(108)による根菜類の茎葉切断用搬送経路を各々配置し、収穫用搬送経路上には搬送される根菜類の搬送路を左右に分岐させる分岐体(128)を設け、該分岐体(128)で分岐されて搬送される根菜類を左右各々の茎葉切断用搬送経路の搬送始端部に案内する案内体を設けた根菜類収穫機。
【請求項2】
左右一対の挟持搬送帯(18)は根菜類の茎葉部を挟持して搬送する構成とし、分岐体(128)及び案内体を挟持搬送帯(18)の下方に配置した請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
挟持搬送帯(18)に対して、案内体よりも分岐体(128)を下側に離れた位置に配置した請求項2に記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
機体平面視で2組の肩揃え搬送帯(104)及び茎葉搬送帯(108)を互いに重複させて配置した請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
案内体を、左右の茎葉切断用搬送経路の左右内側に位置する内側案内体(130)と、左右の茎葉切断用搬送経路の左右外側に位置する外側案内体(131)で構成し、分岐体(128)を内側案内体(130)に支持させた構成とすると共に、内側案内体(130)及び分岐体(128)を一体で機体の前後方向に位置調節可能に設けた請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項6】
茎葉切断用搬送経路の搬送始端部には、肩揃え搬送帯(104)に連動して駆動回転して根菜類に付着する土を除去する除去ブラシ(136)を設けた請求項1に記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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