説明

根菜類収穫機

【課題】選別搬送装置に石等の夾雑物が噛み込んで過負荷がかかることがあっても、駆動軸の破損を防止して選別搬送装置の耐久性を向上することができる野菜収穫機を提供する。
【解決手段】根菜類収穫機は、圃場から作物を引抜く引抜搬送装置(4)と、この引抜搬送装置(4)から受けた収穫作物を搬送無端体(11)によって展開搬送する選別搬送装置(6)とを備えて構成され、上記選別搬送装置(6)の搬送無端体(11)は、一対の周回支持体(12,13)によって周回可能に支持し、一方の周回支持体(12)を駆動する駆動軸(12a)を設けるとともに、この駆動軸(12a)と周回支持体(12)との間に伝動力を所定の範囲に抑える過負荷対応伝動機構を介設したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引抜搬送装置、選別搬送装置等を備えてニンジン等の根菜作物の収穫作業を行う根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
根菜類収穫機は、特許文献1記載の発明のように、引抜搬送装置が圃場から作物を引き抜き、葉側を分離した根側を下方の残葉処理装置に受けて残葉を取除き、続いて選別搬送装置によって展開搬送することにより、作業者が不適格物を取り分けて搬送先のコンテナに適格収穫物が順次収容される。
上記選別搬送装置は、スラットコンベヤ等の搬送無端体を備え、この搬送無端体は、始端と終端で一対の周回支持体によって周回可能に支持され、周回支持体の駆動軸を一端に設けて搬送無端体を周回駆動することにより、引抜搬送装置から受けた根菜類を展開搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−034249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、収穫された根菜類には圃場の土石その他の夾雑物が付着していることから、搬送無端体上を収穫物とともに夾雑物が搬送されるので、選別搬送装置に石等の夾雑物が噛み込んで過負荷がかかり、選別搬送装置の耐久性の低下を招いており、また、駆動軸の破損によってその修理に要する労力が避けられないのみならず、収穫のタイミング遅れによる品質低下という問題が避けられなかった。
【0005】
本発明の目的は、選別搬送装置に石等の夾雑物が噛み込んで過負荷がかかることがあっても、駆動軸の破損を防止して選別搬送装置の耐久性を向上することができる野菜収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、圃場から作物を引抜く引抜搬送装置(4)と、この引抜搬送装置(4)から受けた収穫作物を搬送無端体(11)によって展開搬送する選別搬送装置(6)とを備える根菜類収穫機において、上記選別搬送装置(6)の搬送無端体(11)は、一対の周回支持体(12,13)によって周回可能に支持し、一方の周回支持体(12)を駆動する駆動軸(12a)を設けるとともに、この駆動軸(12a)と周回支持体(12)との間に伝動力を所定の範囲に抑える過負荷対応伝動機構を設けたことを特徴とする根菜類収穫機である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記過負荷対応伝動機構は、駆動軸(12a)に対して周回支持体(12)を回転可能に構成するとともに、この周回支持体(12)の片面側からシアーボルト(21)によって伝動する伝動ディスク(22)と、同周回支持体(12)の他面側に臨んでその移動範囲(A)を制限するストッパプレート(23)とを駆動軸(12a)に設けて構成したことを特徴とする根菜類収穫機である。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記過負荷対応伝動機構は、周回支持体(12)と駆動軸(12a)との間に設けた動力伝達制限用の爪クラッチ(31)に伝動限度調節用の弾発調節部(31c)を備えて構成したことを特徴とする根菜類収穫機である。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明において、前記過負荷対応伝動機構にその動作センサ(32)とその信号で動作する報知装置とを設けたことを特徴とする根菜類収穫機である。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記過負荷対応伝動機構は、駆動軸(12a)から周回支持体(12)に伝動するボス部(41)に同駆動軸(12a)が偏心位置に移動して伝動可能な切欠(B)を形成するとともに、同駆動軸(12a)を偏心位置から弾発復帰させる戻しバネ(43)を弾発力調節可能に構成してなることを特徴とする根菜類収穫機である。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記搬送無端体(11)は、左右の周回支持体(12)を並列して一体に構成し、それぞれの外側に過負荷対応伝動機構を設けたことを特徴とする根菜類収穫機である。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記過負荷対応伝動機構は、左右の周回支持体(12)のそれぞれの外側に駆動軸(12a)と一体に設けた伝動ディスク(52)と、それぞれの伝動ディスク(52)に弾発調節可能に支持した弾発体(53)と、それぞれの弾発体(53)を受けてその弾発力に応じた駆動力を周回支持体(12)に伝動する所定間隔で形成した複数の凹部(54)とから構成したことを特徴とする根菜類収穫機である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明により、根菜類収穫機の選別搬送装置(6)は、駆動軸(12a)から過負荷対応伝動機構を介して動力を受ける周回支持体(12)によって搬送無端体(11)が周回動作することから、引抜搬送装置(4)から受けた根菜類を周回支持体(12)によって展開搬送し、このとき、選別搬送装置(6)に石等の夾雑物が噛み込んで過負荷がかかることがあっても、過負荷対応伝動機構が駆動軸(12a)からの伝動力を制限することができるので、交換の容易でない駆動軸(12a)の破損が防止され、選別搬送装置(6)の耐久性が向上すると共に、破損が生じた際の修理に要する労力が軽減される。
【0014】
請求項2に係る発明により、請求項1に係る発明の効果に加え、周回支持体(12)の片面側からシヤボルト(21)によって伝動する伝動ディスク(22)を設けたことから、過負荷がかかるとシアーボルト(21)の自己破断によって駆動軸(12a)までの伝動系が保護されるとともに、ストッパプレート(23)の範囲で周回支持体(12)が可動保持される。したがって、過負荷がかかる状態となっても駆動軸(12a)に伝動される負荷を軽減、及び遮断することができるので、選別搬送装置(6)の耐久性が向上すると共に、破損が生じた際の修理に要する労力が軽減される。
また、周回支持体(12)の他面側に臨んでその移動範囲(A)を制限するストッパプレート(23)を設けたことから、ストッパプレート(23)による移動空間により、過負荷がかかる状態から逃げることができるので、周回支持体(12)の破損が防止され、破損が生じた際の修理に要する労力が軽減される。
【0015】
請求項3に係る発明により、請求項1に係る発明の効果に加え、周回支持体(12)と駆動軸(12a)との間に設けた動力伝達制限用の爪クラッチ(31)により、過負荷が作用したときに、弾発調節部(31c)の設定による張力よりも強い力がかかると爪クラッチ(31)の遮断動作によって駆動軸(12a)への過負荷の伝動を遮断する構成としたことにより、確実に駆動軸(12a)への過負荷を遮断することができるので、駆動軸(12a)の破損が防止され、選別搬送装置(6)の耐久性が向上すると共に、破損が生じた際の修理に要する労力が軽減される。
また、伝動限度調節用の弾発調節部(31c)により張力を調節することができるので、低い負荷でクラッチ装置が切れることが頻発するときは、張力を高めると多少の負荷ではクラッチ(31)が切れなくなるので、作業が中断されることが防止され、作業能率が向上する。
【0016】
請求項4に係る発明により、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、過負荷対応伝動機構にその動作センサ(32)による報知装置を設けたことから、過負荷対応伝動機構が作動すると動作センサ(32)によって報知部材を作動させて作業者に知らせることにより、作業者は過負荷の原因となっている夾雑物等を早期に除去することができるので、選別搬送装置(6)の破損が防止され、修理に要する労力が軽減されると共に、作業能率が向上する
【0017】
請求項5に係る発明により、請求項1に係る発明の効果に加え、周回支持体(12)のボス部(41)に偏心伝動が可能な切欠(B)を形成したことから、周回支持体(12)に過負荷がかかると、周回支持体(12)がボス部(41)の切欠(B)によって復帰可能に退避動作するため、周回支持体(12)も過負荷から逃げることができるので、過負荷による破損が防止され、修理に要する労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0018】
請求項6に係る発明により、請求項1に係る発明の効果に加え、左右並列の周回支持体(12)を一体に構成し、それぞれに過負荷対応伝動機構を設けたことから、過負荷が一方の周回支持体(12)にかかった際、左右の周回支持体(12)に過負荷が伝わるため、過負荷を分散することができるので、耐久性が向上する。
【0019】
請求項7に係る発明により、請求項6に係る発明の効果に加え、左右一体の周回支持体(12)のそれぞれの外側に設けた伝動ディスク(52)の弾発体(53)と複数の凹部(54)とにより伝動する構成としたことから、凹部(54)に弾発体(53)が入り込むことによって周回支持体(12)が一体に伝動回転し、過負荷がかかって弾発体(53)が凹部(54)から外れると駆動回転が遮断されるので、過負荷による破損が防止される。
また、円周上に所定間隔ごとに凹部(54)を形成したことにより、過負荷により外れた弾発体(53)は別の凹部(54)にすぐに入り込むことができるので、周回支持体(12)が空回りして左右の位相が乱れることが防止されると共に、すぐに駆動力伝動を復帰させることができるので、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】収穫処理部の背面図
【図3】駆動側の支軸の拡大平面図
【図4】過負荷対応伝動機構の別の構成例の要部拡大断面図
【図5】偏心式の過負荷対応伝動機構の要部拡大縦断面図(a)および部分破断側面図(b)
【図6】2列一体の過負荷対応伝動機構の縦断面図(a)およびスプロケット側面図(b)
【図7】伝動力限定式の過負荷対応伝動機構の伝動部の断面図(a)および側面図(b)
【図8】別構成による偏心式の過負荷対応伝動機構の縦断面図(a)および側面図(b)
【図9】選別搬送装置と泥落とし機構の搬送線側面図
【図10】肩揃部の要部平面図
【図11】テンションローラの支持部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態として示す根菜類収穫機の一種であるニンジン収穫機は、図1の機体側面図に示すように、機体フレーム1を走行可能に支持する左右のクローラ2による走行部と、機体幅の片側に配置の操縦座席3aおよび操縦パネル3bによる操縦部と、機体幅の他側の引抜搬送装置4による収穫部と、機体後部の茎葉切断装置4a、残葉処理装置5および選別搬送装置6による収穫処理部と、その後端部で収穫作物を受けるコンテナRを配置する収容容器載置台7による回収部と、収穫作物を回収したコンテナRを操縦部側で順送り積載する貯留台(不図示)による収容部とから構成される。なお、以下の説明において、機体幅の操縦部側を既刈側、収穫部側を未刈側と云う。
【0022】
選別搬送装置6について詳細に説明すると、図2の収穫処理部の背面図に示すように、引抜搬送装置4の後部に機体を横断して低位配置の残葉処理装置5と選別搬送装置6を配置する。残葉処理装置5は、クリーンコンベヤ5aと巻込み回転の斜行ローラ5bとを備えて残葉を引抜きいた上で選別搬送装置6に送出する。
【0023】
選別搬送装置6は、並列チェーンによるスラットコンベヤ等の搬送無端体11を備え、この搬送無端体11は、並列チェーンの始端と終端で一対の周回支持体であるスプロケット12,13を設けた支軸12a,13aによって周回可能に支持され、一端の支軸12aに伝動系を設けて駆動し、傾斜境界に周回支持体中間軸14a,14bを設ける。
【0024】
駆動側の支軸12aには、図3の拡大平面図に示すように、スプロケット12との間に伝動力を所定の範囲に制限する過負荷対応伝動機構を介設する。具体的には、駆動軸12aにフランジ状の伝動ディスク22を取付け、そのボス部22aにスプロケット12を回転可能に構成し、このスプロケット12をその片面側からシアーボルト21によって伝動ディスク22に固定し、他面側には、スプロケット12の移動範囲Aを制限的に確保する隙間を空けてワッシャー状のストッパプレート23を設け、これら伝動ディスク22とストッパプレート23を駆動軸12aの軸端にボルト固定する。
【0025】
上記シアーボルト21による過負荷対応伝動機構は、過負荷がかかるとシアーボルト21の自己破断によって駆動軸12aまでの伝動系が保護されるとともに、ストッパプレート23の範囲で周回支持体が可動保持される。したがって、過負荷がかかる状態となっても駆動軸12aに伝動される負荷を軽減、及び遮断することができるので、選別搬送装置6の耐久性が向上すると共に、破損が生じた際の修理に要する労力が軽減される。また、ストッパプレート23による移動空間により、過負荷がかかる状態から逃げることができるので、スプロケット12の破損が防止され、破損が生じた際の修理に要する労力が軽減される。
【0026】
次に、過負荷対応伝動機構の別の構成例について説明すると、図4の要部拡大断面図に示すように、スプロケット12と駆動軸12aとの間に伝動力制限用のバネ式の爪クラッチ31を設ける。この爪クラッチ31は、駆動軸12aと一体の固定側31aとスプロケット12を取付けて可動側31bの間に爪による係合部31cを形成し、さらに、可動側31bを貫通する駆動軸12aの軸端にバネによる弾発部31dを連結して係合部31cに圧接力を作用する。この弾発部31dには、駆動軸12aの軸端にナットを螺合してバネ力調節用の調節部31eを一体に構成する。
【0027】
上記構成の爪クラッチ31による過負荷対応伝動機構は、過負荷を受けて係合部31cに強い力がかかると可動側31bが軸線方向に待避し相対回動動作し、爪クラッチ31が駆動軸12aへの過負荷の伝動を遮断して駆動軸12aの破損を防止するとともに、過負荷の解消により伝動が再開されて選別搬送作業を継続することができる。
【0028】
また、弾発部31dのバネ調節により伝動限度を調節することができるので、低い負荷でクラッチ31が切れることが頻発するときは、バネ力を高めると多少の負荷では過負荷対応伝動機構が切れなくなるので、作業が中断されることが防止され、作業能率が向上する。
【0029】
また、爪クラッチ31の遮断動作を検出する動作センサであるリミットスイッチ32を選別搬送装置6のフレーム6fに取付けた支持部32sを介してスプロケット12の近傍に固定し、その検出信号に応じて発報動作するブザー等の報知装置を設けることにより、作業者は過負荷の原因となっている夾雑物等を早期に除去することができるので、選別搬送装置の破損が防止され、修理に要する労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0030】
この場合において、爪クラッチ31の動作信号が一定回数以上連続して検出された場合にエンジンを停止するように機器制御を構成することにより、異物の咬み込み等による過負荷の影響を最小限に抑えて必要な措置をとることが可能となる。
【0031】
次に、スプロケット12の偏心移動によってチェーン飛びを解消する過負荷対応伝動機構について説明する。
この過負荷対応伝動機構は、図5の要部拡大縦断面図(a)及び部分破断側面図(b)に示すように、スプロケット12にボス部41を形成して矩形断面の駆動軸12aに伝動支持するとともにボス部41を位置決めするフランジ部材42を駆動軸12aに一体に取付ける。
【0032】
ボス部41には切欠Bを形成してこの切欠Bを待避空間としてボス部41を駆動軸12aから偏心移動可能に軸心移動機構を構成し、その偏心位置から弾発復帰可能にボス部41に作用する戻しばね43をフランジ部材42に設け、沈みプラグ43aを螺合保持することによって戻しばね43を圧力調節可能にフランジ部材42の外径内に構成して異物の絡みつきを防止する。
【0033】
上記構成の伝動機構は、左右並列するスプロケット12,12の少なくとも一方に構成することにより、スプロケット12に過負荷がかかると、ボス部41がその切欠Bによって偏心位置に移動するため、スプロケット12が過負荷から逃げることができるので、過負荷による破損が防止され、修理に要する労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0034】
次に、左右並列するスプロケット12,12の過負荷対応伝動機構について説明する。
左右並列するスプロケット12,12の過負荷対応伝動機構は、図6の縦断面図(a)およびスプロケット側面図(b)に示すように、両スプロケット12,12を間の筒部材51によって一体に構成し、これを駆動軸12aに軸支し、その両側に接して伝動ディスク52,52を駆動軸12aに取付けて配置する。この伝動ディスク52,52に弾発調節可能にばね付勢した鋼球によって構成した弾発ボール53,53による弾発体を安定作用のために同一の角度位置に対向して設け、この弾発ボール53,53を受けてその弾発力に応じて伝動する複数の凹部54…をスプロケット12,12にその歯数と対応するように所定間隔で左右共通の角度位置に配置する。
【0035】
上記構成の左右のスプロケット12,12は、並列して一体に構成し、それぞれの外側に過負荷対応伝動機構を設けたことから、過負荷が一方のスプロケット12にかかった際に、左右のスプロケット12,12に過負荷が伝わるため、過負荷を分散することができるので、耐久性が向上する。
【0036】
また、スプロケット12,12の凹部54…に弾発ボール53,53が入り込むことによってスプロケット12,12が一体に回転することから、過負荷がかかって弾発ボール53,53が凹部から外れると駆動回転が遮断されるので、過負荷による破損が防止される。
【0037】
また、円周上に所定間隔ごとに凹部54…を形成したことにより、過負荷により外れた弾発ボール53,53は別の凹部54…にすぐに入り込むことができるので、スプロケット12,12が空回りして左右の位相が乱れることが防止されると共に、すぐに駆動力伝動を復帰させることができるので、作業能率が向上する。
【0038】
次に、駆動軸12aの伝動力を一定に抑える過負荷対応伝動機構について説明する。
この過負荷対応伝動機構は、図7の伝動部の断面図(a)および側面図(b)に示すように、伝動ディスク61のボス部61aに軸受61bを設けてスプロケット12を軸支するとともに、伝動ディスク61に長孔62を形成し、この長孔62の範囲内にスプロケット12からピン63を立設してその回動範囲を規制し、伝動ディスク61にスプリング64を取付けてスプロケット12のピン63と連結して伝動部を構成する。
【0039】
上記構成の伝動部は、伝動ディスク61をコンベヤ外側として駆動軸12aにキー固定することにより、駆動軸12aからスプリング64による一定の駆動力を長孔62の長さの範囲内でスプロケット12に伝動可能に構成することにより、駆動軸12aからの伝動の際にスプロケット12に過負荷が作用すると長孔62の範囲で、伝動力が一定に抑えられてチェーン飛びを解消することができる。
【0040】
次に、スプロケット12の偏心移動による過負荷対応伝動機構の別構成例について説明する。
この過負荷対応伝動機構は、図8の縦断面図(a)および側面図(b)に示すように、スプロケット12のボス部71と矩形断面の駆動軸12aとの間を貫通ボルト72によってその長さの範囲で遊動連結するとともに、ボス部71に切欠Bを形成してこの切欠Bの範囲でボス部71を駆動軸12aに対して偏心移動可能に伝動支持し、その偏心位置から弾発復帰可能にボス部71に作用する戻しばね73を貫通ボルト72に圧力調節可能に取付けて構成することにより、スプロケット12に過負荷がかかると、ボス部71がその切欠Bによって偏心位置に移動するため、スプロケット12が過負荷から逃げることができるので、簡易な構成によりチェーン飛びを解消することができる。
【0041】
また、選別搬送装置6は、図9の搬送線側面図に示すように、残葉処理装置5のクリーンコンベヤ5aから受けた収穫ニンジンの泥落としのために、選別コンベヤ6aの駆動側のスプロケット91の直後にスラットコンベヤローラ6b…を回転させる回転部材を設け、チェーン等の無端伝動部材によってスプロケット軸91aと回転部材軸とを連結し、スラットコンベヤローラ6b…と回転部材とを接触させることによりスラットコンベヤを回転させる。回転部材はクリーンコンベヤの終端下に配置するとともに、選別コンベヤ6aの駆動軸91aと中間部のアイドル軸92aとの間に複数列に構成し、無端伝動部材によって回転させ、これを選別コンベヤのアイドル軸と終端の従動軸との間に複列に構成する。
【0042】
引抜搬送装置4の後部に備える肩揃装置については、図10の要部平面図に示すように、左右の周回ベルト101,101を対向動作可能に支持し、それぞれに設けたテンションローラ101a,101aを千鳥状に配置し、そのいずれか一方について、テンションローラ101aの支持部を図11の断面図に示すように、テンションローラ101aの上方に設けた支持部材102から圧力調整ネジ103と復帰用のスプリング104とによって左右に可動支持することにより、コンパクトな構成によってニンジンを傷めることなく良好な肩揃え動作が可能となる。
【0043】
この場合において、ベルト101が上方から外れないように支持部材102の作用側の先端部102aをテンションローラ101aより突出する。また、テンションローラ101aの代わりに従動スプロケットによって構成しても作用効果は同様である。
【符号の説明】
【0044】
1 機体フレーム
4 引抜搬送装置
6 選別搬送装置
6a 選別コンベヤ
11 搬送無端体
12 スプロケット(周回支持体)
13 スプロケット(周回支持体)
12a 支軸(駆動軸)
13a 支軸
21 シアーボルト
22 伝動ディスク
23 ストッパプレート
31 爪クラッチ
31d 弾発部
31e 調節部
32 リミットスイッチ(動作センサ)
41 ボス部
42 フランジ部材
43 戻しばね
51 筒部材
52 伝動ディスク
53 弾発ボール
54 凹部
A 移動範囲
B 切欠(軸心移動機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場から作物を引抜く引抜搬送装置(4)と、この引抜搬送装置(4)から受けた収穫作物を搬送無端体(11)によって展開搬送する選別搬送装置(6)とを備える根菜類収穫機において、
上記選別搬送装置(6)の搬送無端体(11)は、一対の周回支持体(12,13)によって周回可能に支持し、一方の周回支持体(12)を駆動する駆動軸(12a)を設けるとともに、この駆動軸(12a)と周回支持体(12)との間に伝動力を所定の範囲に抑える過負荷対応伝動機構を介設したことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記過負荷対応伝動機構は、駆動軸(12a)に対して周回支持体(12)を回転可能に構成するとともに、この周回支持体(12)の片面側からシアーボルト(21)によって伝動する伝動ディスク(22)と、同周回支持体(12)の他面側に臨んでその移動範囲(A)を制限するストッパプレート(23)とを駆動軸(12a)に設けて構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記過負荷対応伝動機構は、周回支持体(12)と駆動軸(12a)との間に設けた動力伝達制限用の爪クラッチ(31)に伝動限度調節用の弾発調節部(31c)を備えて構成したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記過負荷対応伝動機構にその動作センサ(32)とその信号で動作する報知装置とを設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
前記過負荷対応伝動機構は、駆動軸(12a)から周回支持体(12)に伝動するボス部(41)に同駆動軸(12a)が偏心位置に移動して伝動可能な切欠(B)を形成するとともに、同駆動軸(12a)を偏心位置から弾発復帰させる戻しバネ(43)を弾発力調節可能に構成してなることを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項6】
前記搬送無端体(11)は、左右の周回支持体(12)を並列して一体に構成し、それぞれの外側に過負荷対応伝動機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項7】
前記過負荷対応伝動機構は、左右の周回支持体(12)のそれぞれの外側に駆動軸(12a)と一体に設けた伝動ディスク(52)と、それぞれの伝動ディスク(52)に弾発調節可能に支持した弾発体(53)と、それぞれの弾発体(53)を受けてその弾発力に応じた駆動力を周回支持体(12)に伝動する所定間隔で形成した複数の凹部(54)とから構成したことを特徴とする請求項6記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−81414(P2013−81414A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222993(P2011−222993)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】