根菜類収穫機
【課題】 本発明は、土壌の硬軟の差異や根菜類の引き抜き抵抗の差異等の作業条件の差異に適応して、圃場の根菜類の近くの土壌を適正に解し、根菜類を良好に引き抜いて搬送して収穫作業の適正化を図ることを課題とする。
【解決手段】 走行部と、圃場の根菜類の近くの土壌を切りながら解すソイラ(37)と、該ソイラ(37)により近くの土壌が解された根菜類を引き抜いて搬送する引抜搬送装置を設けた根菜類収穫機において、ソイラ(37)は、一部が土壌内に突入する刃部(37a)と、該刃部(37a)を取り付ける取付部(37b)を備え、刃部(37a)を上下に延設すると共に、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)で異なる形状とし、刃部(37a)を上下反対に向けて着脱可能に構成した。
【解決手段】 走行部と、圃場の根菜類の近くの土壌を切りながら解すソイラ(37)と、該ソイラ(37)により近くの土壌が解された根菜類を引き抜いて搬送する引抜搬送装置を設けた根菜類収穫機において、ソイラ(37)は、一部が土壌内に突入する刃部(37a)と、該刃部(37a)を取り付ける取付部(37b)を備え、刃部(37a)を上下に延設すると共に、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)で異なる形状とし、刃部(37a)を上下反対に向けて着脱可能に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参や大根や蕪等の根菜類を圃場から引き抜いて収穫する根菜類収穫機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
走行部と、圃場の根菜類の近くの土壌を切りながら解すソイラと、該ソイラにより近くの土壌が解された根菜類を引き抜いて搬送する引抜搬送装置を設け、ソイラは、一部(下部)が土壌内に突入する刃部と、該刃部を取り付ける取付部を備え、刃部を上下に延設した構成の根菜類収穫機が知られている。前記刃部の上下方向の一端部となる上部の前端縁は、上下方向に直線状に延びる直線形状であり、刃部の上下方向の他端部となる下端部の前端縁は、下側ほど圃場の根菜類に近づく側に曲がる曲がり形状であり、刃部の上下方向の一端部と他端部で前端縁が異なる形状となっている。また、上下に振動する振動アームに取付部を介して刃部を装着する構成としている。また、左右一対のソイラを設け、上下に振動する左右一対の振動アームに各々の取付部を介して各々の刃部を装着する構成としている(特許文献1〜特許文献3参照)。
【0003】
更に、引抜搬送装置で搬送する根菜類に付着する土を落とす左右一対の土落とし部材を左右各々の振動アームに取り付けた構成が知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005‐102546号公報
【特許文献2】特開2005‐151932号公報
【特許文献3】特開2010‐227056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景技術のソイラは、上下に延設される刃部の下端部が土壌内に突入する構成であり、刃部を上下反対に向けて装着するものではない。従って、土壌の硬軟の差異や根菜類の引き抜き抵抗の差異に拘らず、同一の曲がり形状である刃部の下端部により土壌を解すことになる。
【0006】
本発明は、土壌の硬軟の差異や根菜類の引き抜き抵抗の差異等の作業条件の差異に適応して、圃場の根菜類の近くの土壌を適正に解し、根菜類を良好に引き抜いて搬送して収穫作業の適正化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、走行部(A)と、圃場の根菜類の近くの土壌を切りながら解すソイラ(37)と、該ソイラ(37)により近くの土壌が解された根菜類を引き抜いて搬送する引抜搬送装置(24)を設けた根菜類収穫機において、ソイラ(37)は、一部が土壌内に突入する刃部(37a)と、該刃部(37a)を取り付ける取付部(37b)を備え、刃部(37a)を上下に延設すると共に、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)で異なる形状とし、刃部(37a)を上下反対に向けて着脱可能に構成した根菜類収穫機とした。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)の前端縁を上下方向に直線状に延びる直線形状とし、刃部(37a)の上下方向の他端部(128)の前端縁を、該他端部(128)が下部となるよう刃部(37a)を装着した状態で下側へいくほど圃場の根菜類に近づく側に曲がる曲がり形状とした請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、上下に振動する振動アーム(33)に取付部(37b)を介して刃部(37a)を装着する構成とし、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)の前端縁を、上下方向の中央部で屈曲させて同一直線上に配置させない構成とし、一端部(127)と他端部(128)の何れが上部となるよう刃部(37a)を装着した状態でも前端縁が上側へいくほど後側位置となる構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、ソイラ(37)を、収穫する根菜類の栽培条に対して未収穫の根菜類が位置する側にのみ設け、収穫する根菜類の栽培条に対して既収穫側には、ソイラ(37)を設けないか又は前記ソイラ(37)よりも上下幅の小さい別のソイラを設ける構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、左右一対のソイラ(37)を設け、上下に振動する左右一対の振動アーム(33)に各々の取付部(37b)を介して各々の刃部(37a)を装着する構成とし、引抜搬送装置(24)で搬送する根菜類に付着する土を落とす左右一対の土落とし部材(39)を左右各々の振動アーム(33)に取り付け、左右一対の土落とし部材(39)の間隔を調節可能な構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)で異なる形状であるため、刃部(37a)を上下反対に向けて着脱することにより、土壌の硬軟の差異や根菜類の引き抜き抵抗の差異等の作業条件の差異に応じて、土壌内に突入する刃部(37a)の下端部の形状を変更して土壌の解し作用の強弱を変更でき、圃場の根菜類の近くの土壌を適正に解し、根菜類を良好に引き抜いて搬送することができ、収穫作業の適正化が図れる。しかも、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)のうち、土壌内に突入しない刃部(37a)の上部側が根菜類の茎葉部を案内する作用を施し、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを解きながら収穫する栽培条の根菜類を収穫でき、収穫作業の適正化が図れる。更に、刃部(37a)の上部により、ソイラ(37)が掘り起こした土壌が隣接する栽培条の根菜類へ降りかかるのを防止できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、例えば、砂地等で崩れやすい土壌であったり、軟らかい土壌であったり、根菜類が引き抜き抵抗の小さい形状や寸法であったりして、土壌の解し作用が弱くても良いときは、前端縁が直線形状である刃部(37a)の上下方向の一端部(127)を下側に向けて刃部(37a)を装着し、前端縁が直線形状である一端部(127)を土壌内に突入させて弱い土壌の解し作用を得ることができ、必要以上に土壌を掘り起こすことにより圃場の根菜類が不適正な姿勢になったり根菜類に傷を付けたりするようなことを抑えられる。このとき、土壌内に突入しない刃部(37a)の上部側は、上側へいくほど根菜類から離れる側に曲がっているので、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部を収穫する栽培条側から離れる側に案内でき、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを良好に解くことができる。逆に、例えば、粘土質等で粘りのある土壌であったり、硬い土壌であったり、根菜類が引き抜き抵抗の大きい形状や寸法であったりして、強い土壌の解し作用が必要なときは、前端縁が曲がり形状である刃部(37a)の上下方向の他端部(128)を下側に向けて刃部(37a)を装着し、曲がり形状である他端部(128)を土壌内に突入させて圃場の根菜類の下方部分の土壌を掘り起こしながら強い土壌の解し作用を得ることができ、引抜搬送装置(24)による根菜類の引き抜き抵抗を小さくでき、引き抜きで根菜類(例えば根菜類の茎葉部)がちぎれるようなことを抑えられる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)を下側に向けて刃部(37a)を装着した状態でも、刃部(37a)の上下方向の他端部(128)を下側に向けて刃部(37a)を装着した状態でも、刃部(37a)の上部の前端縁が上側へいくほど後側位置となるので、機体の前進に伴って根菜類の茎葉部を下方から案内でき、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部を分草する抵抗は比較的小さくなり、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを良好に解くことができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、ソイラ(37)が掘り起こした土壌が既収穫側へ供給されやすくなるため、刃部(37a)の上部によりソイラ(37)が掘り起こした土壌が未収穫側の栽培条へ降りかかるのを的確に防止できる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、左右一対の土落とし部材(39)の間隔を、引抜搬送装置(24)により搬送する根菜類の形状や寸法に応じて調節でき、引抜搬送装置(24)による根菜類の搬送抵抗を抑えて根菜類を良好に搬送しながら、根菜類に付着する土を的確に落とすことができ、収穫作業の適正化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】根菜類収穫機の背面図
【図4】根菜類収穫機の要部側面図
【図5】根菜類収穫機の要部平面図
【図6】別の例のソイラ及び土落としブラシを示す側面図
【図7】別の例のソイラ及び土落としブラシを示す平面図
【図8】別の例の刃部を示す正面図
【図9】別の例2のソイラ及び土落としブラシを示す側面図
【図10】別の例2のソイラ及び土落としブラシを示す平面図
【図11】別の例2のソイラの前端部を示す底面図
【図12】別の例3のソイラ及び土落としブラシを示す側面図
【図13】選別搬送部及び収容部の側面図
【図14】茎葉切断部の要部正面図
【図15】茎葉切断部の要部平面図
【図16】茎葉切断部の要部側面図
【図17】茎葉切断部の要部背面図
【図18】第1回転刃と第2回転刃の上下位置調整構造を示す側断面図
【図19】第1回転刃と第2回転刃の上下位置調整構造を示す別例の側断面図
【図20】円盤刃の平面図
【図21】円盤刃の側面図
【図22】別例の円盤刃の平面図
【図23】押出ディスクの取付を示す平面図
【図24】押出ディスクを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
根菜類収穫機の一例である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を或いは可食部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する引継搬送部Eと、該引継搬送部Eから人参を引き継いで人参を機体後側へ搬送しつつ搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0019】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、走行部Aは、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0020】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1及び図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0021】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0022】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0023】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を縦ラグ25aで引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を横ラグ26aで掬い上げる横引起し装置26と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31を設ける。
【0024】
さらに、前記引抜フレーム15,15の機体前側下部から機体前後方向おいて略中間位置に亘って左右のソイラフレーム32,32を取り付け、該ソイラフレーム32,32の前側端部に左右の振動アーム33,33の前側端部を取り付ける。そして、前記機体フレーム1の前側にエンジン7の駆動力を受けて回転する振動シャフト34を引抜搬送装置24に向けて延出し、該振動シャフト34と該振動アーム33,33の後側端部との間に振動アーム33,33を振動させる側面視V字形状の振動ロッド35を取り付けて振動装置36を構成する。機体内側の振動アーム33は、振動ロッド35の下端側に回動自在に取り付ける。
【0025】
そして、前記ソイラフレーム32,32と振動アーム33,33との連結部に人参の周囲の土を切り解す左右のソイラ37,37を機体前側に向けて取り付け、振動アーム33,33の該ソイラ37,37の基部を取り付けた箇所の内側に左右の土落としステー38,38の基部を取り付け、振動装置36を構成する。
【0026】
なお、前記ソイラ37は、土中に進入して人参の周囲の土を解す刃部37aと、該刃部37aからに後上方に向かう円弧状の取付部37bとから構成すると、ソイラ37が土中に進入する際にかかる抵抗が分散されて小さくなるので、機体の進行が円滑になり作業能率が向上すると共に、土質や天候などによる圃場条件の違いや人参の種類や生育状態の違いに合わせてソイラ37の上下位置調節が容易に行えるので、人参が掘り取りやすくなり、作業能率が向上する。
【0027】
さらに、振動装置36を振動させる振動シャフト34の回転数は、ミッションケース8の変速動作に連動しない構成とすることによって、走行速度が低速の場合でも振動幅が変わらないので、低速作業時でも高速作業時でも左右のソイラ37,37を同じ幅で振動させることができるので、作業能率が向上するとともに、人参の周囲の土が切り解されて抜き残しが少なくなるので、収穫作業後に抜き残された人参を抜き取る作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0028】
また、該土落としステー38,38の後部に、人参に付着した土を落とす、ポリプロピレンやアクリル等の合成樹脂、あるいは棕櫚や羊歯など天然素材を用いた土落とし部材である土落としブラシ39,39を取り付ける。なお、該土落としブラシ39,39は、上下に亘って同じ長さの毛を用いると、人参に接触する機会の多い上側の毛が摩耗した際、土落としブラシ39,39の上下を転換させれば摩耗していない毛を人参に接触させることができるので、土落としブラシ39,39を長持ちさせることができる。
【0029】
さらに、前記土落としブラシ39,39の左右の間隔を機体前側が最も広く幅W1、機体後側に向かうほど狭くなるように配置するとともに、土落としブラシ39,39の左右幅の最も狭い部分幅W2を左右外側方向に向けて構成する。
【0030】
そして、前記左右のソイラ37,37の前端部に圃場面に垂れている茎葉を掬い上げる左右の掬上突起40,40を先端部が前記横引起し装置26の横ラグ26aよりも前方に位置するように配置する。また、該掬上突起40,40の前側に掬上突起40,40で掬い上げられた茎葉を引抜搬送装置24の挟持始端部に案内する左右の案内バー41,41を、平面視で「ハ」の字型となるように機体後側に向かうほど案内バー41,41同士の左右間隔が小さくなるように取り付ける。
【0031】
なお、該案内バー41,41はピアノ線などの柔軟性に富み、且つある程度の硬さを有する円柱形の弾性材で構成すると、振動幅が大きくなり、茎葉の絡み付き防止効果が向上する。
【0032】
さらに、前記掬上突起40,40よりも左右幅が広く且つ掬上突起40,40の上面を覆う後上り傾斜姿勢の左右の分草体42,42を夫々設ける。なお、分草体42,42の上部には、前記案内バー41,41が突出する空間部を形成する。
【0033】
ここで、本発明に係るソイラ37及び土落としブラシ39の別の例について説明する。 尚、本例における土落としブラシ39は、前述の例のような上下に亘る複数の毛を用いたものでなく、弾性のある棒材120を用い、該棒材120に複数のローラ121を設けたものである。以下、本例の説明は、前述の例と異なる構成を主に説明し、前述の例と同様な構成については省略する。
【0034】
左右のソイラフレーム32は、前後水平に延びており、その断面は上下方向に沿う上下板部32aと上下板部32aの上端から左右方向の外側に延びる左右板部32bを備えたL字形となっている。ソイラフレーム32の前端部に設けた回動支点軸122回りに振動アーム33が揺動するのであるが、ソイラ37は、取付部37bにより、振動アーム33における振動ロッド35の連結支点と回動支点軸122の間の前側部分に、複数(2本)の取付ボルト123を介して取り付けられている。取付部37bは、前記複数(2本)の取付ボルト123を挿通する複数(2個)の取付用孔124を、更に異なる位置に複数組(3組)設けており、取付ボルト123を挿通する取付用孔124を選択することによりソイラ37を複数段階(3段階)に高さ調節できる構成としている。また、取付部37bは前後に配置される2本の取付ボルト123により振動アーム33に取り付ける構成であるので、ソイラ37を、上下反対に向けて取付部37bにより振動アーム33に取り付けることができる。
【0035】
振動アーム33の回動支点軸122は、ソイラフレーム32のL字形内の空間に配置された軸受125を支持し、該軸受125を介して振動アーム33が取り付けられる。回動支点軸122は、軸受125と同様にソイラフレーム32のL字形内に配置されるナット126により、ソイラフレーム32の上下板部32aに締付固定されている。ナット126とは左右反対側となる回動支点軸122の頭部122aは、極めて薄く構成され、ソイラフレーム32の左右方向内側の突出を抑えて引抜搬送装置24により搬送される根菜類に傷が付かないようにしている。
【0036】
刃部37aの前端縁は、鋸刃状に凹凸が施されており、機体側面視で上下中央部を頂点として上下各々に直線状に延びる山形に構成されている。前記頂点よりも上側部分と下側部分が、刃部37aの上下方向の一端部127と他端部128になる。刃部37aは、機体側面視で前記頂点を通る前後方向の中心線129に対して上下対称になっている。従って、一端部127と他端部128の前端縁は、上下方向の中央部である前記頂点で屈曲するように接続され、同一直線上にない。尚、複数組(3組)の取付用孔124のうち、高さ調節における中段位置となる複数(2個)の取付用孔124は、前記中心線129上に位置する。残りの組の複数(2個)の取付用孔124は、各々の組で前記中心線129と平行な直線上に位置する。また、刃部37aの装着状態の切替で一端部127と他端部128の何れがソイラ37の上部であっても、更に振動アーム33の揺動によるソイラ37の上下揺動範囲の全域に亘って、ソイラ37の上部の前端縁は後上がりになり、該前端縁が上側へいくほど後側に位置する。そして、ソイラ37の上部は、上下揺動しながら隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを解いて根菜類の茎葉部を分草する分草部として作用する。
【0037】
尚、ソイラ37の前端縁は鋸刃状に凹凸が施されているので、分草効果を高めることができる。そして、茎葉部の絡みが激しく茎葉部の分草が困難な状況では、鋸刃状の前端縁により茎葉部を切断する構成となっており、隣接する栽培条の根菜類を巻き込むようなことを防止できる。尚、鋸刃状の前端縁には逃がしがあり、茎葉部の切り屑が前端縁に残らないようにしている。また、鋸刃状の前端縁により、土壌を切り裂く作用を十分に得ることができ、土壌の解し効果を高めている。
【0038】
また、刃部37aの上下方向の一端部127の前端縁は、同じ左右位置で上下方向に直線状に延びる直線形状であるが、刃部37aの上下方向の他端部128の前端縁は、前記頂点から同じ左右位置で上下方向に直線状に延びる直線部分128aに続いて左右方向に曲がる曲がり部分128bを備えた曲がり形状になっている。そして、他端部128が下側となるようソイラ37を装着した状態では、曲がり部分128bは下側へいくほど圃場の根菜類の栽培条側に位置し、圃場の根菜類の下方に曲がり部分128bの先端部が位置する。従って、他端部128が上部となるようソイラ37を装着すると、曲がり部分128bは上側へいくほど根菜類から離れる側(左右方向外側)に曲がることになる。
【0039】
左右各々の土落としブラシ39は、弾性のある棒材120を、各々の振動アーム33の振動ロッド35との連結支点近くに2本の棒材用取付ボルト130により取り付けた構成となっている。尚、2本の棒材用取付ボルト130は、前下側と後上側に配置される。棒材120の端部にはU字状に屈曲させた環状部分120aを形成し、該環状部分120aに棒材用取付ボルト130を挿通する構成となっている。棒材120は、環状部分120aから上側へ延びる上側延設部120bと、上側延設部120bの上端で屈曲して斜め後下側に直線状に延びる土落とし作用部120cと、土落とし作用部120cの後端に続いて斜め後下側に直線状に延びる退避部120dを備えて構成される。尚、土落とし作用部120cは機体平面視で後側へいくほど収穫する根菜類の栽培条側(内側)に位置し、従って、左右の土落とし作用部120cの間隔は、後側へいくほど狭くなっている。また、退避部120dは機体平面視で後側へいくほど収穫する根菜類の栽培条の反対側(外側)に位置し、従って、左右の退避部120dの間隔は、後側へいくほど広くなっている。
【0040】
土落とし作用部120c及び退避部120dには、複数(多数)のローラ121を遊転するように設けている。このローラ121は、硬質樹脂で形成され、耐摩耗性に優れている。ローラ121により根菜類との接触抵抗を低減する構成であるが、退避部120dの後端すなわち最も後に位置する最後尾ローラ121aを、固定ボルト131により棒材120に固定している。従って、最後尾ローラ121aよりも前のローラ121は、最後尾ローラ121aにより棒材120から抜けないように規制される。尚、土落とし作用部120cの前端すなわち最も前に位置するローラ121も、棒材120に固定してもよい。また、多数のローラ121が個別に回転するので、圃場の根菜類の株間が狭く複数の根菜類が同時に土落とし作用部120cに供給されるときでも、根菜類に接触する各々のローラ121が自由に回転して接触抵抗を低減できる。更に、各々のローラ121の端部には面取りが施されており、ローラ121に接触する根菜類に傷が付かないようにしている。また、複数のローラ121を交換するときは、固定ボルト131を弛めて最後尾ローラ121aを外すことにより最後尾ローラ121aよりも前のローラ121を棒材120から取り外して行う。
【0041】
棒材120は、弾性のある金属製であるが、振動アーム33の振動が伝わっても共振しない形状で且つ十分な強度を備えている。また、棒材120は、振動アーム33から硬質の圧縮スプリングである各々の取付スプリング132を介して棒材用取付ボルト130で取り付けられており、棒材用取付ボルト130の締め込み量を変化させることで左右位置を変更できる構成となっている。つまり、2本の棒材用取付ボルト130の締め込み量が少なければ棒材120が栽培条側(内側)に位置し、2本の棒材用取付ボルト130の締め込み量が多ければ棒材120が栽培条の反対側(外側)に位置する構成となっている。また、前下側の棒材用取付ボルト130の締め込み量を多くし後上側の棒材用取付ボルト130の締め込み量を少なくすれば棒材120が栽培条側(内側)に位置し、前下側の棒材用取付ボルト130の締め込み量を少なく後上側の棒材用取付ボルト130の締め込み量を多くすれば棒材120が栽培条の反対側(外側)に位置する。これにより、左右の土落としブラシ39の間隔を変更できる。
【0042】
尚、上述の例では、上述の構成のソイラ37を左右各々設ける構成としたが、収穫する根菜類の栽培条に対して既に根菜類がない既収穫側には、上述の構成のソイラ37を設けないか、又は上述の構成のソイラ37よりも上下幅の小さい、例えば前述の例や後述の別の例3のような上下幅の小さい別のソイラ37を設けてもよい。
【0043】
上述の例から更に異なる別の例2について説明する。上述の例と異なる構成を主に説明し、上述の例と同様な構成については省略する。
このソイラ37は、取付部37bとは別に、刃部37aとなる前端部のみを着脱する着脱部133を設けたものである。これにより、着脱部分が小さくなるので、刃部37aの上下反転のための着脱が容易に行える。着脱部133は、上下2本の着脱ボルト134により刃部37aを取付部37bに装着する構成であり、着脱ボルト134を挿通する刃部37a側の上下の着脱用孔135を上下入れ替えて刃部37aを上下反対向きで装着する。尚、2本の着脱ボルト134のうちの1本をピンに代え、ピンにより上下一方の着脱用孔135の位置決めを行い、1本の着脱ボルト134で刃部37aを装着することもできる。また、着脱ボルト134が収穫する根菜類の栽培条側に突出しない構成とすれば、着脱ボルト134により根菜類に傷が付くようなことを防止できる。尚、刃部37aの前端縁は、機体側面視で上下に亘って直線状に形成したが、上述のように山形に構成してもよいものである。
【0044】
土落としブラシ39は、ローラ121を備えず、棒材120の土落とし作用部120cの前後2箇所に土落とし板136を固着した構成としている。土落とし板136が、根菜類の表面に付着する土を掻き取って除去する構成となっている。
【0045】
上述の別の例2から更に異なる別の例3について説明する。上述の別の例2と異なる構成を主に説明し、上述の別の例2と同様な構成については省略する。
このソイラ37の着脱部133は、着脱ボルト134を一切使用せず、取付部37b側に形成されて前側に突出する着脱部材137に刃部37aをワンタッチで嵌め込んで装着する構成となっている。刃部37aの後部37aaは、機体平面視でコの字形に形成され、後側に開放する嵌め込み用空間を備えている。この嵌め込み用空間に着脱部材137が挿入されてはめ込まれる構成である。刃部37aは、取付部37bから下側に位置し、取付部37bの上側に殆ど突出せず、上下幅が小さく構成されている。刃部37aを装着した状態で、着脱部材137は刃部37aの上下幅の略中央に位置する。従って、振動アーム33により刃部37aが下動したとき、着脱部材137の一部が土壌内に突入する。また、着脱部材137は刃部37aの曲がり部分128bよりも上側に位置する。これにより、刃部37aの上下に真直な部分を利用して刃部37aを着脱部材137にしっかりと装着することができる。尚、刃部37aの前端縁は、機体側面視で上下に亘って直線状に形成したが、前述のように山形に構成してもよいものである。
【0046】
また、前記引抜搬送通路Rの下方で且つ土落としブラシ39,39の後端部よりも後方の機体フレーム1上に、引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根尾部を切断する尾部切断装置43を取り付けることにより、収穫部Cが構成される。
【0047】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
前記伝動ケース22に駆動力を伝動する左右伝動軸94,94を取り付け、該左右伝動軸94,94の上部に左右伝動ケース95,95を取り付けると共に、該左右伝動ケース95,95内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右第1ギアユニット96,96を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右伝動軸94,94に左右第2ギアユニット97,97を機体後側に向かって取り付け、該左右第2ギアユニット97,97の後端部に左右第1出力軸98,98を機体上方に向けて軸着する。
【0048】
そして、前記左右第1ギアユニット96,96の前端部に左右第2出力軸99,99を機体下方に向けて軸着し、該左右第2出力軸99,99に左右肩揃え駆動プーリ100,100を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース95,95の前端下部に左右肩揃え従動プーリ101,101を軸着した左右回転軸102,102を設け、該左右肩揃え従動プーリ101,101と前記左右肩揃え駆動プーリ100,100との前後間に複数の左右肩揃えテンションプーリ103,103…を回転自在に取り付ける。そして、該左右肩揃え従動プーリ101,101と前記左右肩揃え駆動プーリ100,100と左右肩揃えテンションプーリ103,103…との間に左右肩揃え搬送ベルト104,104を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から引き継がれる人参の茎葉部の切断位置を略一定に揃える機体内外側一対の肩揃え装置44i,44oが、引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0049】
また、前記左右第1出力軸98,98に左右茎葉搬送駆動プーリ106,106を軸着し、前記左右第1ギアユニット96,96よりも機体前側で且つ肩揃え装置44i,44oの上方に左右茎葉搬送従動プーリ107,107を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ106,106と左右茎葉搬送従動プーリ107,107とに左右茎葉搬送ベルト108,108を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置109が、前記左右伝動ケース95,95の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。(ここで、「排葉」とは切断された茎葉部を意味する)
さらに、前記左右第1出力軸98,98の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ110,110を軸着し、前記左右伝動ケース95,95の上方に左右残葉搬送従動プーリ111,111を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111との前後間に複数の左右残葉搬送テンションプーリ112,112…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111と左右残葉搬送テンションプーリ112,112…とに左右残葉搬送ベルト113,113を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置114が、前記排葉搬送装置109の上方に構成される。
【0050】
上記排葉搬送装置109と残葉搬送装置114とから、機体内外側一対の茎葉部挟持搬送装置45i,45oが構成される。
そして、前記機体外側の肩揃え装置44oの後方で且つ機体外側の茎葉搬送装置45oを構成する機体外側の第1ギアユニット96から下方へ突出する駆動軸28に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第1回転刃46oを取り付け、機体内側の肩揃え装置44iの後方で且つ機体内側の茎葉搬送装置45iを構成する機体内側の第1ギアユニット96から下方へ突出する駆動軸28に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第2回転刃46iを回転駆動するように取り付け、該第2回転刃46iを第1回転刃46oよりも下方に配置して茎葉切断装置47を構成する。なお、第1切断刃46oと第2切断刃46iとは、外周縁部がオーバーラップする配置とし、前側で根菜類を挟み込むように回転させ、第1回転刃46oと第2回転刃46iは外周刃先が滑らかな円弧状の円刃と外周刃先が凹凸の鋸丸刃を組み合わせた構成とする。
【0051】
また、前記第2切断刃46iの下方で且つ第1切断刃46oの駆動軸28の下方に第1切断刃46o及び第2切断刃46iの板厚よりも厚いスペーサー48を装着し、該スペーサー48の下方に、切断前の人参の可食部に側方から接触して弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって茎葉部挟持搬送装置45i,45oの搬送方向に対して直交する方向である機体内側方向に押し出し、後述する残葉処理コンベア57に人参の肩部が残葉処理ローラ56を配置した側の機体内側に向けられた状態で落下させる押出ディスク49を装着する。該押出ディスク49は、ゴム等の変形し易く弾性力の強い弾性体で構成し、前記第1切断刃46oと共に回転する構成とする。なお、スペーサー48は、最大径の人参が接触しない程度の外径とする。
【0052】
なお、スペーサー48を円盤刃にすることも考えられる。
また、押出ディスク49は第1切断刃46oと略同径、もしくは第1切断刃46oよりもやや大径とすると、押出ディスク49が人参の肩部に接触しやすくなり、人参の肩部が機体内側方向を向いた姿勢にすることができ、残葉処理コンベア57で確実に根部に残った茎葉部が処理され、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0053】
また、押出ディスク49は、図23の如く、第1回転刃46oの外周円の内側で偏芯して取り付け、人参の植付間隔と同期して回転しないようにすることで、人参の飛ばし位置が分散するようにする。
【0054】
また、押出ディスク49の外周は、図24の如く、部分的に凹凸を大きくして大小の人参を飛ばし易くする。
さらに、押出ディスク49は、外周縁が下向きになった皿状にしたり、外周縁にスリットを設けて柔らかくしたりしても良い。
【0055】
なお、押出ディスク49は、適宜に取り外しできるようにする。
そして、スペーサー48の厚みは、第1切断刃46o、第2切断刃46iの平均的な厚みが1mm前後であるので、2mm前後とすると第1切断刃46o及び第2切断刃46iが押出ディスク49を巻き込みにくくなる。
【0056】
第1回転刃46oと第2回転刃46iの駆動軸28への取付は、図18に示す如く、第1回転刃46o(第2回転刃46i)を駆動回転する駆動軸28と、第1回転刃46oと第2回転刃46iを取付け固定する取付部材81と、取付部材81の高さ位置を調節する調節ノブ82を設け、該取付部材81は、駆動軸28に対して一体回転且つ軸芯方向スライド自在に取り付け、調節ノブ82は、駆動軸28に対してネジ部82c,28bを介して係合し、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能に取り付けた構成としている。調節ノブ82の外周は六角形状として回し易くする。六角形状の角部はわすかにカットしても良い。
【0057】
駆動軸28の下端には、座金91を介してニップル92を取り付け、駆動軸28の中心に設ける注油孔を通して角柱部28aへグリスを供給する。座金91は、調節ノブ82の抜け止めになる。
【0058】
従って、調節ノブ82を回転操作するだけの容易な操作で、取付部材81が上下移動して、第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さすなわち根菜類の茎葉部挟持搬送装置45i,45oからの間隔が調節可能となり、茎葉部の身を切断したり肩部近くの可食部を切断したり、変更出来る。
【0059】
また、駆動軸28に対する調節ノブ82の回転を規制する回転規制手段(スプリング82aとボール82b)を設けているので、駆動軸28の駆動回転中に調節ノブ82が駆動軸28に対して回転して第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さが変化するのが防止され、切断処理を適確に行える。回転規制手段(スプリング82aとボール82b)を設ける位置は六角形状の最大径となる頂点に向けて設ける。
【0060】
なお、上記回転規制手段は、調節ノブ82を駆動軸28に対して回転方向に一体的に固定するよう構成でき、また、調節ノブ82が駆動軸28に対して一定角度以上回転しようとするとその回転に対する抵抗が大きくなるように構成することもできる。
【0061】
図示例は、後者の構成をとることで、第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さを調節するとき、上記回転規制手段の解除操作が必要なく、その回転規制手段による抵抗に抗して調節ノブ82を駆動軸28に対して回転操作するだけで調節が可能となり、調節操作が非常に容易に行える。更に、取付部材81に対する第1回転刃46o(第2回転刃46i)の固定を解除する(図例ではネジ止めを外す)と、第1回転刃46oと第2回転刃46iの回転中心側に形成した孔を調節ノブ82を通過できるように、その孔の大きさと調節ノブ82の大きさを設定している。これにより、調節ノブ82を外すことなく、第1回転刃46o(第2回転刃46i)を取り外すことができ、回転刃の交換が容易に行える。
【0062】
図19に第1回転刃46oと第2回転刃46iの上下移動固定手段の別例を示す。駆動軸28の下部に形成した回り止め用の角柱部28aにその軸線方向のみに移動可能に取付部材81を挿通し、この取付部材81に第1回転刃46o(第2回転刃46i)を固定するとともに、取付部材81を上下に位置決めする調節ノブ82を駆動軸28の下端のねじ部28bに調節ノブ82の下部に形成したネジ孔82cを螺合させて取付ける。調節ノブ82には、角柱部28aの外周を転動可能なスプリング82aにより弾圧されるボール82bによる回転規制手段を内設する。第1回転刃46o(第2回転刃46i)を保持する支持部27cと取付部材81との間には係合球体83を介在して支持部27cと取付部材81とが一体的に回転するようにしつつ第1回転刃46o(第2回転刃46i)側を止め輪83aによって回転軸芯方向への移動を規制し、また、取付部材81の下部側外周に形成した溝と調節ノブ82の上部側の回転方向複数箇所に形成した孔とに係合球体84を介在させ、更に、その係合球体84が飛出さないように止め輪84aを取り付ける。これにより、調節ノブ82は、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能となる。
【0063】
図19の縦断面図は、断面左半分側が回動調節状態で、断面右半分側が回動固定状態を示している。駆動軸28の下部に回り止めの角柱部28aを介して固定スリーブ85とその下端の大径部86を固定する。固定スリーブ85には、外周面を等分周して軸線方向溝による係止溝85a…を形成し、その下方に形成したねじ部85bに第1回転刃46o(第2回転刃46i)の支持部27dと連結する筒部87を螺合する。この筒部87には通孔87bを形成し、固定スリーブ85の係止溝85a…との間に介在可能な係合球体87aを通孔87bから進退自在に設けるとともに、筒部87の外周には係合球体87aの進退を制御するスライドスリーブ88を設ける。
【0064】
スライドスリーブ88は、筒部87の外周に形成した軸線方向溝87cに介在する係合球体88aによって軸線方向にスライド動作可能に構成する。このスライドスリーブ88は、筒部87の上端の支持部27dに達する上限位置から大径部86に達する下限位置の範囲をスライドストローク範囲とし、コイルスプリング89を設けて下限位置に付勢する。また、筒部87の係合球体87aの進退を制御するテーパ88bを形成し、このテーパ88bはスライドストロークの下限位置で係合球体87aを内方の係止溝85a…内に拘束して筒部87の回動を規制し、一方、スライドストロークの上限位置で係合球体87aの拘束を解除して支持部27dの回動を許容するように傾斜面を形成する。
【0065】
上記の構成で、第1回転刃46oと第2回転刃46iは、上下させて茎葉部挟持搬送装置45i,45o(詳しくは肩揃え装置44i,44o)との間隔を狭くしたり広くすることで茎葉部を切断したり可食部を切断したりするようになる。
【0066】
第1ギアユニット96と第1回転刃46oとの間及び第1ギアユニット96と第2回転刃46iの固定スリーブ85との間で駆動軸28を覆う蛇腹90を設けて葉が巻き付かないようにしている。
【0067】
なお、調節ノブ82とスライドスリーブ88は、慣性力を小さくするために中空にすると良い。
機体の外側に位置する第1回転刃46oは機外から交換し易いので、図21の如く、二枚の鋸円盤刃NH1,NH2を重ねた状態に取り付け、上下の鋸円盤刃NH1,NH2の取付位相を合わせて外周縁を凹凸の大きな鋸刃状にして可食部切断に適したり、位相をずらせて外周縁を凹凸の少ない或いは凹凸の無い円刃状にして茎葉部の切断に適したりするようにすると良い。二枚の鋸円盤刃NH1,NH2は、外周の鋸刃が同一でも異なっていても良い。
【0068】
第1回転刃46oと第2回転刃46iは、図22の如く、外周円状の周縁部に窪みKを設けて先端の摩耗によって鋸刃状になる形状にしても良い。また、第1回転刃46oと第2回転刃46iは、外周刃縁を厚み方向に波打たせた形状にしても良い。外周刃縁を波打たせた円盤刃は機体外側の第1回転刃46oのみでも良く、第1回転刃46oと第2回転刃46iを外周刃縁が波打った円盤刃とする場合には、先端交差部を接触させて研がれるようにしても良い。
【0069】
なお、第1回転刃46oと第2回転刃46iを肩揃え搬送ベルト104の第2出力軸99に設けることも考えられる。
前記茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設け、該茎葉切断装置47の下方で且つ後述する残葉処理コンベア57の上方に、落下してくる人参を受けるクッションプレート51を、残葉処理コンベア57の搬送方向に沿って少なくとも人参の落下位置よりも搬送方向下手側に亘って配置する。
【0070】
なお、該規制プレート50及びクッションプレート51は、ゴムや塩化ビニル等の軟質材で構成すると、衝突の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値を向上させることができる。
【0071】
また、前記機体内側及び外側の茎葉部挟持搬送装置45i,45oの終端部から茎葉切断装置47によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ52を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
【0072】
上記構成により、機体外側の第1切断刃46oの回転軸80の下方に装着された押出ディスク49は、茎葉部切断前の作物に接触すると弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって押し出し、切り残された茎葉部が残る人参の肩部を茎葉部挟持搬送装置45i,45oの搬送経路に対して直交する方向である機体内側方向に向けることができるので、残葉処理コンベア57に設けた残葉処理ローラ56で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。この押出ディスク49は機体外側に設けられているので、正常に引抜搬送装置24に挟持搬送されてきた人参であれば、機体外側に向かって押し出されることはない。
【0073】
また、茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設けたことにより、落下中に人参の姿勢が変化することを防止でき、人参の肩部に残る茎葉部を残葉処理コンベア57で確実に除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0074】
そして、茎葉切断装置47の下方で且つ残葉処理コンベア57の上方に、落下してきた人参を受けるクッションプレート51を設けたことにより、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0075】
また、押出ディスク49に押し出された人参は、下端部(以下、「尻尾部」という)から落下するが、収穫作業中は一定方向に動き続けている残葉処理コンベア57上に落下すると残葉処理コンベア57の搬送力により、肩部が搬送方向の反対側を向いてしまうことがある。しかしながら、クッションプレート51を残葉処理コンベア57の上方に設けたことにより、人参はクッションプレート51に接触して残葉処理コンベア57の搬送方向に沿う姿勢となってから残葉処理コンベア57に載って搬送されるので、残葉処理コンベア57で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0076】
さらに、茎葉切断装置47で人参から切断された排葉切断された茎葉部を圃場に排出する排葉シュータ52が、既掘り側人参を収穫し終えた側に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側人参を収穫していない側の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト18,18や左右従動プーリ16,16等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0077】
次に、引継搬送部Eについて説明する。
前記茎葉切断装置47の下方に前後残葉処理フレーム53を設け、該前後残葉処理フレーム53の左右両側の前後間に左右残葉処理ローラ54,54を回転自在に取り付ける。そして、該左右残葉処理ローラ54,54にゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト55を無端状に巻回し、該残葉処理ベルト55の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト55と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ56を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア57を構成する。
【0078】
また、該残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に茎葉切断装置47よりも機体前側に落下した作物を受ける格子状の受け台58を下り傾斜姿勢で設け、機体左右一側部で且つ該受け台58よりも機体内側に汲上搬送駆動ローラ59を設けると共に、左右他側部側に汲上搬送従動ローラ60を設ける。そして、前記残葉処理コンベア57よりも機体前側で且つ残葉処理コンベア57に隣接させて、汲上搬送駆動ローラ59と汲上搬送従動ローラ60とに汲上搬送ベルト61を無端状に巻回して、前記残葉処理コンベア57と受け台58とから人参を引き継いで機体左右他側に汲上搬送する汲上搬送コンベア62が構成される。
【0079】
前記残葉処理コンベア57と上り傾斜姿勢に設ける汲上搬送コンベア62とから、引継搬送部Eが構成される。
上記構成により、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ローラ56が、茎葉切断装置47で切り残された人参の残葉を千切り取りながら汲上搬送コンベア62に人参を搬送するため、人参の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0080】
また、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ベルト55をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置47で茎葉部を切除された人参が落下しても残葉処理ベルト55が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0081】
そして、残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に格子状の受け台58を下り傾斜姿勢に設けたことによって、茎葉切断装置47よりも機体前側で茎葉部が千切れる等して落下した人参を、機外に落とすことなく受け止めることができると共に、受けた人参を汲上搬送コンベア62に向かって移動させることができるので、収穫作業後に機外に落ちた人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、茎葉切断装置47よりも機体前側で落下した人参を搬送経路に戻すことができるので、作業能率が向上する。
【0082】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
操縦部Bの後部に左右選別搬送フレーム63,63を取り付け、該左右選別搬送フレーム63,63の機体前側の左右間に選別搬送駆動ローラ64を回転自在に取り付け、該選別搬送駆動ローラ64よりも機体後側に選別搬送従動ローラ65を回転自在に取り付ける。また、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65との間に選別搬送テンションローラ66を回転自在に取り付ける。そして、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65と選別搬送テンションローラ66とに複数の弾性体突起を備える弾性体ベルト67を無端状に巻回することによって、後上り傾斜姿勢の選別搬送コンベア68が構成される。さらに、該選別搬送コンベア68を始端部が引継搬送部Eの汲上コンベア62の終端下方に位置するように配置する。
【0083】
また、前記選別搬送従動ローラ65の回転軸にシュータ69を上下回動自在に取り付け、該シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けることによって、選別搬送部Fが構成される。
【0084】
上記のように、シュータ69を上下回動自在に設けたことによって、シュータ69を下方回動させると人参を後述する収容部Gに設置するコンテナやフレコンバッグ等の収容容器73に緩やかに落とすことができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0085】
また、シュータ69を上方に回動させると、選別搬送コンベア68の終端側を塞ぐストッパとなるため、人参が満杯になったコンテナを交換する際、選別搬送コンベア68を停止させなくても人参が終端部から落下することを防止することができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の品質が向上すると共に、選別搬送コンベア68の動力の入切を頻繁に行う必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0086】
また、シュータ69を上方回動させてストッパとし、選別搬送コンベア68を停止させないことによって、人参は選別搬送コンベア68の終端側に溜まるので、従来のように汲上搬送コンベア58の搬送終端部から落下してきた人参が選別搬送コンベア68の搬送始端部に滞留している人参に接触して傷付くことが防止されるので、人参の商品価値が向上する。
【0087】
さらに、シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けたことによって、補助作業者は後述する補助作業座席78に座ったままシュータ69を上下回動させることができるので、補助作業者の労力が軽減される。
【0088】
次に、収容部Gについて説明する。
図1〜図3で示すように、前記左右選別搬送フレーム63,63の下部に左右支持フレーム71,71を設け、該左右支持フレーム71,71に伸縮自在なダンパ72の一端を取り付ける。そして、左右選別搬送フレーム63,63の後下部に人参を収容するコンテナやフレコンバッグ、袋体等の収容容器73を設置する収容容器置台74を上下回動自在に且つ上り傾斜姿勢に取り付けると共に、該収容容器置台74にダンパ72の他端を取り付ける。
【0089】
また、該収容容器置台74の後端部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を上下回動自在で且つ上り傾斜姿勢で取り付ける。さらに、前記収容容器置台74や選別搬送コンベア68や右クローラ6Rよりも機体左右他側に機体前後方向に長い人参を収容した収容容器73を積載する収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付ける。
【0090】
そして、該収容容器積載台76の機体外側に、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77を取り付け、該支持フレーム77の上に補助作業者が着座する補助作業座席78を取り付ける。そして、前記収容容器積載台76の後部に予備の収容容器73を設置する第2予備収容容器置台79を取り付けて、収容部Gが構成される。
【0091】
上記のように、上り傾斜姿勢に設けられた収容容器置台74に伸縮自在なダンパ72の他端を取り付けていることによって、収容容器73に人参が収容されて重くなるにつれて収容容器置台74が下降するため、人参が収容容器73の一部に偏って投入されることが防止されるので、収容容器73交換の頻度が減少し、作業者の労力が軽減される。
【0092】
また、収容容器置台74の後部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を設けたことによって、人参が満載された収容容器73が収容容器置台74から取り除かれるとダンパ72が伸びて収容容器置台74が上り傾斜姿勢に戻り、予備収容容器置台75に設置されている収容容器74が収容容器置台74に滑り落ちて設置されるので、収容容器73を手作業で設置する必要がなくなり、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0093】
そして、機体左右外側に収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付けていることによって、圃場へ向かう際や圃場から帰る際には収容容器積載台76を機体内側に折り畳んで機体の左右幅をコンパクトにすることができるので、小型のトラックにも積み込みやすく、輸送性が向上する。
【0094】
さらに、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77上に補助作業座席78を設けたことによって、補助作業者は選別搬送コンベア68に近い位置で選別作業ができるので選別精度が向上すると共に、収容容器73が収容容器積載台76上を移動するのを妨げないため、作業能率が向上する。
【0095】
また、収容容器積載台76の後部に第2予備収容容器置台79を取り付けたことによって、機体に多くの収容容器73を搭載しておくことができるので、長時間連続して収穫作業を続けることができ、作業能率が向上する。
【0096】
以上により、この根菜類収穫機は、走行部Aと、圃場の根菜類の近くの土壌を切りながら解すソイラ37と、該ソイラ37により近くの土壌が解された根菜類を引き抜いて搬送する引抜搬送装置24を設け、ソイラ37は、一部が土壌内に突入する刃部37aと、該刃部37aを取り付ける取付部37bを備え、刃部37aを上下に延設すると共に、刃部37aの上下方向の一端部127と他端部128で異なる形状とし、刃部37aを上下反対に向けて着脱可能に構成している。
【0097】
よって、刃部37aの上下方向の一端部127と他端部128で異なる形状であるため、刃部37aを上下反対に向けて着脱することにより、土壌の硬軟の差異や根菜類の引き抜き抵抗の差異等の作業条件の差異に応じて、土壌内に突入する刃部37aの下端部の形状を変更して土壌の解し作用の強弱を変更でき、圃場の根菜類の近くの土壌を適正に解し、根菜類を良好に引き抜いて搬送することができ、収穫作業の適正化が図れる。しかも、刃部37aの上下方向の一端部127と他端部128のうち、土壌内に突入しない刃部37aの上部側が根菜類の茎葉部を案内する作用を施し、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを解きながら収穫する栽培条の根菜類を収穫でき、収穫作業の適正化が図れる。更に、刃部37aの上部により、ソイラ37が掘り起こした土壌が隣接する栽培条の根菜類へ降りかかるのを防止できる。
【0098】
また、刃部37aの上下方向の一端部127の前端縁を上下方向に直線状に延びる直線形状とし、刃部37aの上下方向の他端部128の前端縁を、該他端部128が下部となるよう刃部37aを装着した状態で下側へいくほど圃場の根菜類に近づく側に曲がる曲がり形状としている。
【0099】
よって、例えば、砂地等で崩れやすい土壌であったり、軟らかい土壌であったり、根菜類が引き抜き抵抗の小さい形状や寸法であったりして、土壌の解し作用が弱くても良いときは、前端縁が直線形状である刃部37aの上下方向の一端部127を下側に向けて刃部37aを装着し、前端縁が直線形状である一端部127を土壌内に突入させて弱い土壌の解し作用を得ることができ、必要以上に土壌を掘り起こすことにより圃場の根菜類が不適正な姿勢になったり根菜類に傷を付けたりするようなことを抑えられる。このとき、土壌内に突入しない刃部37aの上部側は、上側へいくほど根菜類から離れる側に曲がっているので、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部を収穫する栽培条側から離れる側に案内でき、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを良好に解くことができる。逆に、例えば、粘土質等で粘りのある土壌であったり、硬い土壌であったり、根菜類が引き抜き抵抗の大きい形状や寸法であったりして、強い土壌の解し作用が必要なときは、前端縁が曲がり形状である刃部37aの上下方向の他端部128を下側に向けて刃部37aを装着し、曲がり形状である他端部128を土壌内に突入させて圃場の根菜類の下方部分の土壌を掘り起こしながら強い土壌の解し作用を得ることができ、引抜搬送装置24による根菜類の引き抜き抵抗を小さくでき、引き抜きで根菜類(例えば根菜類の茎葉部)がちぎれるようなことを抑えられる。
【0100】
また、上下に振動する振動アーム33に取付部37bを介して刃部37aを装着する構成とし、刃部37aの上下方向の一端部127と他端部128の前端縁を、上下方向の中央部で屈曲させて同一直線上に配置させない構成とし、一端部127と他端部128の何れが上部となるよう刃部37aを装着した状態でも前端縁が上側へいくほど後側位置となる構成としている。
【0101】
よって、刃部37aの上下方向の一端部127を下側に向けて刃部37aを装着した状態でも、刃部37aの上下方向の他端部128を下側に向けて刃部37aを装着した状態でも、刃部37aの上部の前端縁が上側へいくほど後側位置となるので、機体の前進に伴って根菜類の茎葉部を下方から案内でき、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部を分草する抵抗は比較的小さくなり、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを良好に解くことができる。
【0102】
また、ソイラ37を、収穫する根菜類の栽培条に対して未収穫の根菜類が位置する側にのみ設け、収穫する根菜類の栽培条に対して既収穫側には、ソイラ37を設けないか又は前記ソイラ37よりも上下幅の小さい別のソイラを設ける構成としている。
【0103】
よって、ソイラ37が掘り起こした土壌が既収穫側へ供給されやすくなるため、刃部37aの上部によりソイラ37が掘り起こした土壌が未収穫側の栽培条へ降りかかるのを的確に防止できる。
【0104】
また、左右一対のソイラ37を設け、上下に振動する左右一対の振動アーム33に各々の取付部37bを介して各々の刃部37aを装着する構成とし、引抜搬送装置24で搬送する根菜類に付着する土を落とす左右一対の土落とし部材39を左右各々の振動アーム33に取り付け、左右一対の土落とし部材39の間隔を調節可能な構成としている。
【0105】
よって、左右一対の土落とし部材39の間隔を、引抜搬送装置24により搬送する根菜類の形状や寸法に応じて調節でき、引抜搬送装置24による根菜類の搬送抵抗を抑えて根菜類を良好に搬送しながら、根菜類に付着する土を的確に落とすことができ、収穫作業の適正化が図れる。
【符号の説明】
【0106】
A:走行部、24:引抜搬送装置、33:振動アーム、37:ソイラ、37a:刃部、37b:取付部、39:土落としブラシ(土落とし部材)、127:刃部の上下方向の一端部、128:刃部の上下方向の他端部、128b:曲がり部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参や大根や蕪等の根菜類を圃場から引き抜いて収穫する根菜類収穫機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
走行部と、圃場の根菜類の近くの土壌を切りながら解すソイラと、該ソイラにより近くの土壌が解された根菜類を引き抜いて搬送する引抜搬送装置を設け、ソイラは、一部(下部)が土壌内に突入する刃部と、該刃部を取り付ける取付部を備え、刃部を上下に延設した構成の根菜類収穫機が知られている。前記刃部の上下方向の一端部となる上部の前端縁は、上下方向に直線状に延びる直線形状であり、刃部の上下方向の他端部となる下端部の前端縁は、下側ほど圃場の根菜類に近づく側に曲がる曲がり形状であり、刃部の上下方向の一端部と他端部で前端縁が異なる形状となっている。また、上下に振動する振動アームに取付部を介して刃部を装着する構成としている。また、左右一対のソイラを設け、上下に振動する左右一対の振動アームに各々の取付部を介して各々の刃部を装着する構成としている(特許文献1〜特許文献3参照)。
【0003】
更に、引抜搬送装置で搬送する根菜類に付着する土を落とす左右一対の土落とし部材を左右各々の振動アームに取り付けた構成が知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005‐102546号公報
【特許文献2】特開2005‐151932号公報
【特許文献3】特開2010‐227056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景技術のソイラは、上下に延設される刃部の下端部が土壌内に突入する構成であり、刃部を上下反対に向けて装着するものではない。従って、土壌の硬軟の差異や根菜類の引き抜き抵抗の差異に拘らず、同一の曲がり形状である刃部の下端部により土壌を解すことになる。
【0006】
本発明は、土壌の硬軟の差異や根菜類の引き抜き抵抗の差異等の作業条件の差異に適応して、圃場の根菜類の近くの土壌を適正に解し、根菜類を良好に引き抜いて搬送して収穫作業の適正化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、走行部(A)と、圃場の根菜類の近くの土壌を切りながら解すソイラ(37)と、該ソイラ(37)により近くの土壌が解された根菜類を引き抜いて搬送する引抜搬送装置(24)を設けた根菜類収穫機において、ソイラ(37)は、一部が土壌内に突入する刃部(37a)と、該刃部(37a)を取り付ける取付部(37b)を備え、刃部(37a)を上下に延設すると共に、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)で異なる形状とし、刃部(37a)を上下反対に向けて着脱可能に構成した根菜類収穫機とした。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)の前端縁を上下方向に直線状に延びる直線形状とし、刃部(37a)の上下方向の他端部(128)の前端縁を、該他端部(128)が下部となるよう刃部(37a)を装着した状態で下側へいくほど圃場の根菜類に近づく側に曲がる曲がり形状とした請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、上下に振動する振動アーム(33)に取付部(37b)を介して刃部(37a)を装着する構成とし、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)の前端縁を、上下方向の中央部で屈曲させて同一直線上に配置させない構成とし、一端部(127)と他端部(128)の何れが上部となるよう刃部(37a)を装着した状態でも前端縁が上側へいくほど後側位置となる構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、ソイラ(37)を、収穫する根菜類の栽培条に対して未収穫の根菜類が位置する側にのみ設け、収穫する根菜類の栽培条に対して既収穫側には、ソイラ(37)を設けないか又は前記ソイラ(37)よりも上下幅の小さい別のソイラを設ける構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、左右一対のソイラ(37)を設け、上下に振動する左右一対の振動アーム(33)に各々の取付部(37b)を介して各々の刃部(37a)を装着する構成とし、引抜搬送装置(24)で搬送する根菜類に付着する土を落とす左右一対の土落とし部材(39)を左右各々の振動アーム(33)に取り付け、左右一対の土落とし部材(39)の間隔を調節可能な構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)で異なる形状であるため、刃部(37a)を上下反対に向けて着脱することにより、土壌の硬軟の差異や根菜類の引き抜き抵抗の差異等の作業条件の差異に応じて、土壌内に突入する刃部(37a)の下端部の形状を変更して土壌の解し作用の強弱を変更でき、圃場の根菜類の近くの土壌を適正に解し、根菜類を良好に引き抜いて搬送することができ、収穫作業の適正化が図れる。しかも、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)のうち、土壌内に突入しない刃部(37a)の上部側が根菜類の茎葉部を案内する作用を施し、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを解きながら収穫する栽培条の根菜類を収穫でき、収穫作業の適正化が図れる。更に、刃部(37a)の上部により、ソイラ(37)が掘り起こした土壌が隣接する栽培条の根菜類へ降りかかるのを防止できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、例えば、砂地等で崩れやすい土壌であったり、軟らかい土壌であったり、根菜類が引き抜き抵抗の小さい形状や寸法であったりして、土壌の解し作用が弱くても良いときは、前端縁が直線形状である刃部(37a)の上下方向の一端部(127)を下側に向けて刃部(37a)を装着し、前端縁が直線形状である一端部(127)を土壌内に突入させて弱い土壌の解し作用を得ることができ、必要以上に土壌を掘り起こすことにより圃場の根菜類が不適正な姿勢になったり根菜類に傷を付けたりするようなことを抑えられる。このとき、土壌内に突入しない刃部(37a)の上部側は、上側へいくほど根菜類から離れる側に曲がっているので、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部を収穫する栽培条側から離れる側に案内でき、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを良好に解くことができる。逆に、例えば、粘土質等で粘りのある土壌であったり、硬い土壌であったり、根菜類が引き抜き抵抗の大きい形状や寸法であったりして、強い土壌の解し作用が必要なときは、前端縁が曲がり形状である刃部(37a)の上下方向の他端部(128)を下側に向けて刃部(37a)を装着し、曲がり形状である他端部(128)を土壌内に突入させて圃場の根菜類の下方部分の土壌を掘り起こしながら強い土壌の解し作用を得ることができ、引抜搬送装置(24)による根菜類の引き抜き抵抗を小さくでき、引き抜きで根菜類(例えば根菜類の茎葉部)がちぎれるようなことを抑えられる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)を下側に向けて刃部(37a)を装着した状態でも、刃部(37a)の上下方向の他端部(128)を下側に向けて刃部(37a)を装着した状態でも、刃部(37a)の上部の前端縁が上側へいくほど後側位置となるので、機体の前進に伴って根菜類の茎葉部を下方から案内でき、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部を分草する抵抗は比較的小さくなり、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを良好に解くことができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、ソイラ(37)が掘り起こした土壌が既収穫側へ供給されやすくなるため、刃部(37a)の上部によりソイラ(37)が掘り起こした土壌が未収穫側の栽培条へ降りかかるのを的確に防止できる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、左右一対の土落とし部材(39)の間隔を、引抜搬送装置(24)により搬送する根菜類の形状や寸法に応じて調節でき、引抜搬送装置(24)による根菜類の搬送抵抗を抑えて根菜類を良好に搬送しながら、根菜類に付着する土を的確に落とすことができ、収穫作業の適正化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】根菜類収穫機の背面図
【図4】根菜類収穫機の要部側面図
【図5】根菜類収穫機の要部平面図
【図6】別の例のソイラ及び土落としブラシを示す側面図
【図7】別の例のソイラ及び土落としブラシを示す平面図
【図8】別の例の刃部を示す正面図
【図9】別の例2のソイラ及び土落としブラシを示す側面図
【図10】別の例2のソイラ及び土落としブラシを示す平面図
【図11】別の例2のソイラの前端部を示す底面図
【図12】別の例3のソイラ及び土落としブラシを示す側面図
【図13】選別搬送部及び収容部の側面図
【図14】茎葉切断部の要部正面図
【図15】茎葉切断部の要部平面図
【図16】茎葉切断部の要部側面図
【図17】茎葉切断部の要部背面図
【図18】第1回転刃と第2回転刃の上下位置調整構造を示す側断面図
【図19】第1回転刃と第2回転刃の上下位置調整構造を示す別例の側断面図
【図20】円盤刃の平面図
【図21】円盤刃の側面図
【図22】別例の円盤刃の平面図
【図23】押出ディスクの取付を示す平面図
【図24】押出ディスクを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
根菜類収穫機の一例である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を或いは可食部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する引継搬送部Eと、該引継搬送部Eから人参を引き継いで人参を機体後側へ搬送しつつ搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0019】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、走行部Aは、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0020】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1及び図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0021】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0022】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0023】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を縦ラグ25aで引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を横ラグ26aで掬い上げる横引起し装置26と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31を設ける。
【0024】
さらに、前記引抜フレーム15,15の機体前側下部から機体前後方向おいて略中間位置に亘って左右のソイラフレーム32,32を取り付け、該ソイラフレーム32,32の前側端部に左右の振動アーム33,33の前側端部を取り付ける。そして、前記機体フレーム1の前側にエンジン7の駆動力を受けて回転する振動シャフト34を引抜搬送装置24に向けて延出し、該振動シャフト34と該振動アーム33,33の後側端部との間に振動アーム33,33を振動させる側面視V字形状の振動ロッド35を取り付けて振動装置36を構成する。機体内側の振動アーム33は、振動ロッド35の下端側に回動自在に取り付ける。
【0025】
そして、前記ソイラフレーム32,32と振動アーム33,33との連結部に人参の周囲の土を切り解す左右のソイラ37,37を機体前側に向けて取り付け、振動アーム33,33の該ソイラ37,37の基部を取り付けた箇所の内側に左右の土落としステー38,38の基部を取り付け、振動装置36を構成する。
【0026】
なお、前記ソイラ37は、土中に進入して人参の周囲の土を解す刃部37aと、該刃部37aからに後上方に向かう円弧状の取付部37bとから構成すると、ソイラ37が土中に進入する際にかかる抵抗が分散されて小さくなるので、機体の進行が円滑になり作業能率が向上すると共に、土質や天候などによる圃場条件の違いや人参の種類や生育状態の違いに合わせてソイラ37の上下位置調節が容易に行えるので、人参が掘り取りやすくなり、作業能率が向上する。
【0027】
さらに、振動装置36を振動させる振動シャフト34の回転数は、ミッションケース8の変速動作に連動しない構成とすることによって、走行速度が低速の場合でも振動幅が変わらないので、低速作業時でも高速作業時でも左右のソイラ37,37を同じ幅で振動させることができるので、作業能率が向上するとともに、人参の周囲の土が切り解されて抜き残しが少なくなるので、収穫作業後に抜き残された人参を抜き取る作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0028】
また、該土落としステー38,38の後部に、人参に付着した土を落とす、ポリプロピレンやアクリル等の合成樹脂、あるいは棕櫚や羊歯など天然素材を用いた土落とし部材である土落としブラシ39,39を取り付ける。なお、該土落としブラシ39,39は、上下に亘って同じ長さの毛を用いると、人参に接触する機会の多い上側の毛が摩耗した際、土落としブラシ39,39の上下を転換させれば摩耗していない毛を人参に接触させることができるので、土落としブラシ39,39を長持ちさせることができる。
【0029】
さらに、前記土落としブラシ39,39の左右の間隔を機体前側が最も広く幅W1、機体後側に向かうほど狭くなるように配置するとともに、土落としブラシ39,39の左右幅の最も狭い部分幅W2を左右外側方向に向けて構成する。
【0030】
そして、前記左右のソイラ37,37の前端部に圃場面に垂れている茎葉を掬い上げる左右の掬上突起40,40を先端部が前記横引起し装置26の横ラグ26aよりも前方に位置するように配置する。また、該掬上突起40,40の前側に掬上突起40,40で掬い上げられた茎葉を引抜搬送装置24の挟持始端部に案内する左右の案内バー41,41を、平面視で「ハ」の字型となるように機体後側に向かうほど案内バー41,41同士の左右間隔が小さくなるように取り付ける。
【0031】
なお、該案内バー41,41はピアノ線などの柔軟性に富み、且つある程度の硬さを有する円柱形の弾性材で構成すると、振動幅が大きくなり、茎葉の絡み付き防止効果が向上する。
【0032】
さらに、前記掬上突起40,40よりも左右幅が広く且つ掬上突起40,40の上面を覆う後上り傾斜姿勢の左右の分草体42,42を夫々設ける。なお、分草体42,42の上部には、前記案内バー41,41が突出する空間部を形成する。
【0033】
ここで、本発明に係るソイラ37及び土落としブラシ39の別の例について説明する。 尚、本例における土落としブラシ39は、前述の例のような上下に亘る複数の毛を用いたものでなく、弾性のある棒材120を用い、該棒材120に複数のローラ121を設けたものである。以下、本例の説明は、前述の例と異なる構成を主に説明し、前述の例と同様な構成については省略する。
【0034】
左右のソイラフレーム32は、前後水平に延びており、その断面は上下方向に沿う上下板部32aと上下板部32aの上端から左右方向の外側に延びる左右板部32bを備えたL字形となっている。ソイラフレーム32の前端部に設けた回動支点軸122回りに振動アーム33が揺動するのであるが、ソイラ37は、取付部37bにより、振動アーム33における振動ロッド35の連結支点と回動支点軸122の間の前側部分に、複数(2本)の取付ボルト123を介して取り付けられている。取付部37bは、前記複数(2本)の取付ボルト123を挿通する複数(2個)の取付用孔124を、更に異なる位置に複数組(3組)設けており、取付ボルト123を挿通する取付用孔124を選択することによりソイラ37を複数段階(3段階)に高さ調節できる構成としている。また、取付部37bは前後に配置される2本の取付ボルト123により振動アーム33に取り付ける構成であるので、ソイラ37を、上下反対に向けて取付部37bにより振動アーム33に取り付けることができる。
【0035】
振動アーム33の回動支点軸122は、ソイラフレーム32のL字形内の空間に配置された軸受125を支持し、該軸受125を介して振動アーム33が取り付けられる。回動支点軸122は、軸受125と同様にソイラフレーム32のL字形内に配置されるナット126により、ソイラフレーム32の上下板部32aに締付固定されている。ナット126とは左右反対側となる回動支点軸122の頭部122aは、極めて薄く構成され、ソイラフレーム32の左右方向内側の突出を抑えて引抜搬送装置24により搬送される根菜類に傷が付かないようにしている。
【0036】
刃部37aの前端縁は、鋸刃状に凹凸が施されており、機体側面視で上下中央部を頂点として上下各々に直線状に延びる山形に構成されている。前記頂点よりも上側部分と下側部分が、刃部37aの上下方向の一端部127と他端部128になる。刃部37aは、機体側面視で前記頂点を通る前後方向の中心線129に対して上下対称になっている。従って、一端部127と他端部128の前端縁は、上下方向の中央部である前記頂点で屈曲するように接続され、同一直線上にない。尚、複数組(3組)の取付用孔124のうち、高さ調節における中段位置となる複数(2個)の取付用孔124は、前記中心線129上に位置する。残りの組の複数(2個)の取付用孔124は、各々の組で前記中心線129と平行な直線上に位置する。また、刃部37aの装着状態の切替で一端部127と他端部128の何れがソイラ37の上部であっても、更に振動アーム33の揺動によるソイラ37の上下揺動範囲の全域に亘って、ソイラ37の上部の前端縁は後上がりになり、該前端縁が上側へいくほど後側に位置する。そして、ソイラ37の上部は、上下揺動しながら隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを解いて根菜類の茎葉部を分草する分草部として作用する。
【0037】
尚、ソイラ37の前端縁は鋸刃状に凹凸が施されているので、分草効果を高めることができる。そして、茎葉部の絡みが激しく茎葉部の分草が困難な状況では、鋸刃状の前端縁により茎葉部を切断する構成となっており、隣接する栽培条の根菜類を巻き込むようなことを防止できる。尚、鋸刃状の前端縁には逃がしがあり、茎葉部の切り屑が前端縁に残らないようにしている。また、鋸刃状の前端縁により、土壌を切り裂く作用を十分に得ることができ、土壌の解し効果を高めている。
【0038】
また、刃部37aの上下方向の一端部127の前端縁は、同じ左右位置で上下方向に直線状に延びる直線形状であるが、刃部37aの上下方向の他端部128の前端縁は、前記頂点から同じ左右位置で上下方向に直線状に延びる直線部分128aに続いて左右方向に曲がる曲がり部分128bを備えた曲がり形状になっている。そして、他端部128が下側となるようソイラ37を装着した状態では、曲がり部分128bは下側へいくほど圃場の根菜類の栽培条側に位置し、圃場の根菜類の下方に曲がり部分128bの先端部が位置する。従って、他端部128が上部となるようソイラ37を装着すると、曲がり部分128bは上側へいくほど根菜類から離れる側(左右方向外側)に曲がることになる。
【0039】
左右各々の土落としブラシ39は、弾性のある棒材120を、各々の振動アーム33の振動ロッド35との連結支点近くに2本の棒材用取付ボルト130により取り付けた構成となっている。尚、2本の棒材用取付ボルト130は、前下側と後上側に配置される。棒材120の端部にはU字状に屈曲させた環状部分120aを形成し、該環状部分120aに棒材用取付ボルト130を挿通する構成となっている。棒材120は、環状部分120aから上側へ延びる上側延設部120bと、上側延設部120bの上端で屈曲して斜め後下側に直線状に延びる土落とし作用部120cと、土落とし作用部120cの後端に続いて斜め後下側に直線状に延びる退避部120dを備えて構成される。尚、土落とし作用部120cは機体平面視で後側へいくほど収穫する根菜類の栽培条側(内側)に位置し、従って、左右の土落とし作用部120cの間隔は、後側へいくほど狭くなっている。また、退避部120dは機体平面視で後側へいくほど収穫する根菜類の栽培条の反対側(外側)に位置し、従って、左右の退避部120dの間隔は、後側へいくほど広くなっている。
【0040】
土落とし作用部120c及び退避部120dには、複数(多数)のローラ121を遊転するように設けている。このローラ121は、硬質樹脂で形成され、耐摩耗性に優れている。ローラ121により根菜類との接触抵抗を低減する構成であるが、退避部120dの後端すなわち最も後に位置する最後尾ローラ121aを、固定ボルト131により棒材120に固定している。従って、最後尾ローラ121aよりも前のローラ121は、最後尾ローラ121aにより棒材120から抜けないように規制される。尚、土落とし作用部120cの前端すなわち最も前に位置するローラ121も、棒材120に固定してもよい。また、多数のローラ121が個別に回転するので、圃場の根菜類の株間が狭く複数の根菜類が同時に土落とし作用部120cに供給されるときでも、根菜類に接触する各々のローラ121が自由に回転して接触抵抗を低減できる。更に、各々のローラ121の端部には面取りが施されており、ローラ121に接触する根菜類に傷が付かないようにしている。また、複数のローラ121を交換するときは、固定ボルト131を弛めて最後尾ローラ121aを外すことにより最後尾ローラ121aよりも前のローラ121を棒材120から取り外して行う。
【0041】
棒材120は、弾性のある金属製であるが、振動アーム33の振動が伝わっても共振しない形状で且つ十分な強度を備えている。また、棒材120は、振動アーム33から硬質の圧縮スプリングである各々の取付スプリング132を介して棒材用取付ボルト130で取り付けられており、棒材用取付ボルト130の締め込み量を変化させることで左右位置を変更できる構成となっている。つまり、2本の棒材用取付ボルト130の締め込み量が少なければ棒材120が栽培条側(内側)に位置し、2本の棒材用取付ボルト130の締め込み量が多ければ棒材120が栽培条の反対側(外側)に位置する構成となっている。また、前下側の棒材用取付ボルト130の締め込み量を多くし後上側の棒材用取付ボルト130の締め込み量を少なくすれば棒材120が栽培条側(内側)に位置し、前下側の棒材用取付ボルト130の締め込み量を少なく後上側の棒材用取付ボルト130の締め込み量を多くすれば棒材120が栽培条の反対側(外側)に位置する。これにより、左右の土落としブラシ39の間隔を変更できる。
【0042】
尚、上述の例では、上述の構成のソイラ37を左右各々設ける構成としたが、収穫する根菜類の栽培条に対して既に根菜類がない既収穫側には、上述の構成のソイラ37を設けないか、又は上述の構成のソイラ37よりも上下幅の小さい、例えば前述の例や後述の別の例3のような上下幅の小さい別のソイラ37を設けてもよい。
【0043】
上述の例から更に異なる別の例2について説明する。上述の例と異なる構成を主に説明し、上述の例と同様な構成については省略する。
このソイラ37は、取付部37bとは別に、刃部37aとなる前端部のみを着脱する着脱部133を設けたものである。これにより、着脱部分が小さくなるので、刃部37aの上下反転のための着脱が容易に行える。着脱部133は、上下2本の着脱ボルト134により刃部37aを取付部37bに装着する構成であり、着脱ボルト134を挿通する刃部37a側の上下の着脱用孔135を上下入れ替えて刃部37aを上下反対向きで装着する。尚、2本の着脱ボルト134のうちの1本をピンに代え、ピンにより上下一方の着脱用孔135の位置決めを行い、1本の着脱ボルト134で刃部37aを装着することもできる。また、着脱ボルト134が収穫する根菜類の栽培条側に突出しない構成とすれば、着脱ボルト134により根菜類に傷が付くようなことを防止できる。尚、刃部37aの前端縁は、機体側面視で上下に亘って直線状に形成したが、上述のように山形に構成してもよいものである。
【0044】
土落としブラシ39は、ローラ121を備えず、棒材120の土落とし作用部120cの前後2箇所に土落とし板136を固着した構成としている。土落とし板136が、根菜類の表面に付着する土を掻き取って除去する構成となっている。
【0045】
上述の別の例2から更に異なる別の例3について説明する。上述の別の例2と異なる構成を主に説明し、上述の別の例2と同様な構成については省略する。
このソイラ37の着脱部133は、着脱ボルト134を一切使用せず、取付部37b側に形成されて前側に突出する着脱部材137に刃部37aをワンタッチで嵌め込んで装着する構成となっている。刃部37aの後部37aaは、機体平面視でコの字形に形成され、後側に開放する嵌め込み用空間を備えている。この嵌め込み用空間に着脱部材137が挿入されてはめ込まれる構成である。刃部37aは、取付部37bから下側に位置し、取付部37bの上側に殆ど突出せず、上下幅が小さく構成されている。刃部37aを装着した状態で、着脱部材137は刃部37aの上下幅の略中央に位置する。従って、振動アーム33により刃部37aが下動したとき、着脱部材137の一部が土壌内に突入する。また、着脱部材137は刃部37aの曲がり部分128bよりも上側に位置する。これにより、刃部37aの上下に真直な部分を利用して刃部37aを着脱部材137にしっかりと装着することができる。尚、刃部37aの前端縁は、機体側面視で上下に亘って直線状に形成したが、前述のように山形に構成してもよいものである。
【0046】
また、前記引抜搬送通路Rの下方で且つ土落としブラシ39,39の後端部よりも後方の機体フレーム1上に、引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根尾部を切断する尾部切断装置43を取り付けることにより、収穫部Cが構成される。
【0047】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
前記伝動ケース22に駆動力を伝動する左右伝動軸94,94を取り付け、該左右伝動軸94,94の上部に左右伝動ケース95,95を取り付けると共に、該左右伝動ケース95,95内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右第1ギアユニット96,96を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右伝動軸94,94に左右第2ギアユニット97,97を機体後側に向かって取り付け、該左右第2ギアユニット97,97の後端部に左右第1出力軸98,98を機体上方に向けて軸着する。
【0048】
そして、前記左右第1ギアユニット96,96の前端部に左右第2出力軸99,99を機体下方に向けて軸着し、該左右第2出力軸99,99に左右肩揃え駆動プーリ100,100を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース95,95の前端下部に左右肩揃え従動プーリ101,101を軸着した左右回転軸102,102を設け、該左右肩揃え従動プーリ101,101と前記左右肩揃え駆動プーリ100,100との前後間に複数の左右肩揃えテンションプーリ103,103…を回転自在に取り付ける。そして、該左右肩揃え従動プーリ101,101と前記左右肩揃え駆動プーリ100,100と左右肩揃えテンションプーリ103,103…との間に左右肩揃え搬送ベルト104,104を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から引き継がれる人参の茎葉部の切断位置を略一定に揃える機体内外側一対の肩揃え装置44i,44oが、引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0049】
また、前記左右第1出力軸98,98に左右茎葉搬送駆動プーリ106,106を軸着し、前記左右第1ギアユニット96,96よりも機体前側で且つ肩揃え装置44i,44oの上方に左右茎葉搬送従動プーリ107,107を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ106,106と左右茎葉搬送従動プーリ107,107とに左右茎葉搬送ベルト108,108を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置109が、前記左右伝動ケース95,95の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。(ここで、「排葉」とは切断された茎葉部を意味する)
さらに、前記左右第1出力軸98,98の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ110,110を軸着し、前記左右伝動ケース95,95の上方に左右残葉搬送従動プーリ111,111を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111との前後間に複数の左右残葉搬送テンションプーリ112,112…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111と左右残葉搬送テンションプーリ112,112…とに左右残葉搬送ベルト113,113を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置114が、前記排葉搬送装置109の上方に構成される。
【0050】
上記排葉搬送装置109と残葉搬送装置114とから、機体内外側一対の茎葉部挟持搬送装置45i,45oが構成される。
そして、前記機体外側の肩揃え装置44oの後方で且つ機体外側の茎葉搬送装置45oを構成する機体外側の第1ギアユニット96から下方へ突出する駆動軸28に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第1回転刃46oを取り付け、機体内側の肩揃え装置44iの後方で且つ機体内側の茎葉搬送装置45iを構成する機体内側の第1ギアユニット96から下方へ突出する駆動軸28に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第2回転刃46iを回転駆動するように取り付け、該第2回転刃46iを第1回転刃46oよりも下方に配置して茎葉切断装置47を構成する。なお、第1切断刃46oと第2切断刃46iとは、外周縁部がオーバーラップする配置とし、前側で根菜類を挟み込むように回転させ、第1回転刃46oと第2回転刃46iは外周刃先が滑らかな円弧状の円刃と外周刃先が凹凸の鋸丸刃を組み合わせた構成とする。
【0051】
また、前記第2切断刃46iの下方で且つ第1切断刃46oの駆動軸28の下方に第1切断刃46o及び第2切断刃46iの板厚よりも厚いスペーサー48を装着し、該スペーサー48の下方に、切断前の人参の可食部に側方から接触して弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって茎葉部挟持搬送装置45i,45oの搬送方向に対して直交する方向である機体内側方向に押し出し、後述する残葉処理コンベア57に人参の肩部が残葉処理ローラ56を配置した側の機体内側に向けられた状態で落下させる押出ディスク49を装着する。該押出ディスク49は、ゴム等の変形し易く弾性力の強い弾性体で構成し、前記第1切断刃46oと共に回転する構成とする。なお、スペーサー48は、最大径の人参が接触しない程度の外径とする。
【0052】
なお、スペーサー48を円盤刃にすることも考えられる。
また、押出ディスク49は第1切断刃46oと略同径、もしくは第1切断刃46oよりもやや大径とすると、押出ディスク49が人参の肩部に接触しやすくなり、人参の肩部が機体内側方向を向いた姿勢にすることができ、残葉処理コンベア57で確実に根部に残った茎葉部が処理され、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0053】
また、押出ディスク49は、図23の如く、第1回転刃46oの外周円の内側で偏芯して取り付け、人参の植付間隔と同期して回転しないようにすることで、人参の飛ばし位置が分散するようにする。
【0054】
また、押出ディスク49の外周は、図24の如く、部分的に凹凸を大きくして大小の人参を飛ばし易くする。
さらに、押出ディスク49は、外周縁が下向きになった皿状にしたり、外周縁にスリットを設けて柔らかくしたりしても良い。
【0055】
なお、押出ディスク49は、適宜に取り外しできるようにする。
そして、スペーサー48の厚みは、第1切断刃46o、第2切断刃46iの平均的な厚みが1mm前後であるので、2mm前後とすると第1切断刃46o及び第2切断刃46iが押出ディスク49を巻き込みにくくなる。
【0056】
第1回転刃46oと第2回転刃46iの駆動軸28への取付は、図18に示す如く、第1回転刃46o(第2回転刃46i)を駆動回転する駆動軸28と、第1回転刃46oと第2回転刃46iを取付け固定する取付部材81と、取付部材81の高さ位置を調節する調節ノブ82を設け、該取付部材81は、駆動軸28に対して一体回転且つ軸芯方向スライド自在に取り付け、調節ノブ82は、駆動軸28に対してネジ部82c,28bを介して係合し、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能に取り付けた構成としている。調節ノブ82の外周は六角形状として回し易くする。六角形状の角部はわすかにカットしても良い。
【0057】
駆動軸28の下端には、座金91を介してニップル92を取り付け、駆動軸28の中心に設ける注油孔を通して角柱部28aへグリスを供給する。座金91は、調節ノブ82の抜け止めになる。
【0058】
従って、調節ノブ82を回転操作するだけの容易な操作で、取付部材81が上下移動して、第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さすなわち根菜類の茎葉部挟持搬送装置45i,45oからの間隔が調節可能となり、茎葉部の身を切断したり肩部近くの可食部を切断したり、変更出来る。
【0059】
また、駆動軸28に対する調節ノブ82の回転を規制する回転規制手段(スプリング82aとボール82b)を設けているので、駆動軸28の駆動回転中に調節ノブ82が駆動軸28に対して回転して第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さが変化するのが防止され、切断処理を適確に行える。回転規制手段(スプリング82aとボール82b)を設ける位置は六角形状の最大径となる頂点に向けて設ける。
【0060】
なお、上記回転規制手段は、調節ノブ82を駆動軸28に対して回転方向に一体的に固定するよう構成でき、また、調節ノブ82が駆動軸28に対して一定角度以上回転しようとするとその回転に対する抵抗が大きくなるように構成することもできる。
【0061】
図示例は、後者の構成をとることで、第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さを調節するとき、上記回転規制手段の解除操作が必要なく、その回転規制手段による抵抗に抗して調節ノブ82を駆動軸28に対して回転操作するだけで調節が可能となり、調節操作が非常に容易に行える。更に、取付部材81に対する第1回転刃46o(第2回転刃46i)の固定を解除する(図例ではネジ止めを外す)と、第1回転刃46oと第2回転刃46iの回転中心側に形成した孔を調節ノブ82を通過できるように、その孔の大きさと調節ノブ82の大きさを設定している。これにより、調節ノブ82を外すことなく、第1回転刃46o(第2回転刃46i)を取り外すことができ、回転刃の交換が容易に行える。
【0062】
図19に第1回転刃46oと第2回転刃46iの上下移動固定手段の別例を示す。駆動軸28の下部に形成した回り止め用の角柱部28aにその軸線方向のみに移動可能に取付部材81を挿通し、この取付部材81に第1回転刃46o(第2回転刃46i)を固定するとともに、取付部材81を上下に位置決めする調節ノブ82を駆動軸28の下端のねじ部28bに調節ノブ82の下部に形成したネジ孔82cを螺合させて取付ける。調節ノブ82には、角柱部28aの外周を転動可能なスプリング82aにより弾圧されるボール82bによる回転規制手段を内設する。第1回転刃46o(第2回転刃46i)を保持する支持部27cと取付部材81との間には係合球体83を介在して支持部27cと取付部材81とが一体的に回転するようにしつつ第1回転刃46o(第2回転刃46i)側を止め輪83aによって回転軸芯方向への移動を規制し、また、取付部材81の下部側外周に形成した溝と調節ノブ82の上部側の回転方向複数箇所に形成した孔とに係合球体84を介在させ、更に、その係合球体84が飛出さないように止め輪84aを取り付ける。これにより、調節ノブ82は、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能となる。
【0063】
図19の縦断面図は、断面左半分側が回動調節状態で、断面右半分側が回動固定状態を示している。駆動軸28の下部に回り止めの角柱部28aを介して固定スリーブ85とその下端の大径部86を固定する。固定スリーブ85には、外周面を等分周して軸線方向溝による係止溝85a…を形成し、その下方に形成したねじ部85bに第1回転刃46o(第2回転刃46i)の支持部27dと連結する筒部87を螺合する。この筒部87には通孔87bを形成し、固定スリーブ85の係止溝85a…との間に介在可能な係合球体87aを通孔87bから進退自在に設けるとともに、筒部87の外周には係合球体87aの進退を制御するスライドスリーブ88を設ける。
【0064】
スライドスリーブ88は、筒部87の外周に形成した軸線方向溝87cに介在する係合球体88aによって軸線方向にスライド動作可能に構成する。このスライドスリーブ88は、筒部87の上端の支持部27dに達する上限位置から大径部86に達する下限位置の範囲をスライドストローク範囲とし、コイルスプリング89を設けて下限位置に付勢する。また、筒部87の係合球体87aの進退を制御するテーパ88bを形成し、このテーパ88bはスライドストロークの下限位置で係合球体87aを内方の係止溝85a…内に拘束して筒部87の回動を規制し、一方、スライドストロークの上限位置で係合球体87aの拘束を解除して支持部27dの回動を許容するように傾斜面を形成する。
【0065】
上記の構成で、第1回転刃46oと第2回転刃46iは、上下させて茎葉部挟持搬送装置45i,45o(詳しくは肩揃え装置44i,44o)との間隔を狭くしたり広くすることで茎葉部を切断したり可食部を切断したりするようになる。
【0066】
第1ギアユニット96と第1回転刃46oとの間及び第1ギアユニット96と第2回転刃46iの固定スリーブ85との間で駆動軸28を覆う蛇腹90を設けて葉が巻き付かないようにしている。
【0067】
なお、調節ノブ82とスライドスリーブ88は、慣性力を小さくするために中空にすると良い。
機体の外側に位置する第1回転刃46oは機外から交換し易いので、図21の如く、二枚の鋸円盤刃NH1,NH2を重ねた状態に取り付け、上下の鋸円盤刃NH1,NH2の取付位相を合わせて外周縁を凹凸の大きな鋸刃状にして可食部切断に適したり、位相をずらせて外周縁を凹凸の少ない或いは凹凸の無い円刃状にして茎葉部の切断に適したりするようにすると良い。二枚の鋸円盤刃NH1,NH2は、外周の鋸刃が同一でも異なっていても良い。
【0068】
第1回転刃46oと第2回転刃46iは、図22の如く、外周円状の周縁部に窪みKを設けて先端の摩耗によって鋸刃状になる形状にしても良い。また、第1回転刃46oと第2回転刃46iは、外周刃縁を厚み方向に波打たせた形状にしても良い。外周刃縁を波打たせた円盤刃は機体外側の第1回転刃46oのみでも良く、第1回転刃46oと第2回転刃46iを外周刃縁が波打った円盤刃とする場合には、先端交差部を接触させて研がれるようにしても良い。
【0069】
なお、第1回転刃46oと第2回転刃46iを肩揃え搬送ベルト104の第2出力軸99に設けることも考えられる。
前記茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設け、該茎葉切断装置47の下方で且つ後述する残葉処理コンベア57の上方に、落下してくる人参を受けるクッションプレート51を、残葉処理コンベア57の搬送方向に沿って少なくとも人参の落下位置よりも搬送方向下手側に亘って配置する。
【0070】
なお、該規制プレート50及びクッションプレート51は、ゴムや塩化ビニル等の軟質材で構成すると、衝突の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値を向上させることができる。
【0071】
また、前記機体内側及び外側の茎葉部挟持搬送装置45i,45oの終端部から茎葉切断装置47によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ52を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
【0072】
上記構成により、機体外側の第1切断刃46oの回転軸80の下方に装着された押出ディスク49は、茎葉部切断前の作物に接触すると弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって押し出し、切り残された茎葉部が残る人参の肩部を茎葉部挟持搬送装置45i,45oの搬送経路に対して直交する方向である機体内側方向に向けることができるので、残葉処理コンベア57に設けた残葉処理ローラ56で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。この押出ディスク49は機体外側に設けられているので、正常に引抜搬送装置24に挟持搬送されてきた人参であれば、機体外側に向かって押し出されることはない。
【0073】
また、茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設けたことにより、落下中に人参の姿勢が変化することを防止でき、人参の肩部に残る茎葉部を残葉処理コンベア57で確実に除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0074】
そして、茎葉切断装置47の下方で且つ残葉処理コンベア57の上方に、落下してきた人参を受けるクッションプレート51を設けたことにより、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0075】
また、押出ディスク49に押し出された人参は、下端部(以下、「尻尾部」という)から落下するが、収穫作業中は一定方向に動き続けている残葉処理コンベア57上に落下すると残葉処理コンベア57の搬送力により、肩部が搬送方向の反対側を向いてしまうことがある。しかしながら、クッションプレート51を残葉処理コンベア57の上方に設けたことにより、人参はクッションプレート51に接触して残葉処理コンベア57の搬送方向に沿う姿勢となってから残葉処理コンベア57に載って搬送されるので、残葉処理コンベア57で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0076】
さらに、茎葉切断装置47で人参から切断された排葉切断された茎葉部を圃場に排出する排葉シュータ52が、既掘り側人参を収穫し終えた側に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側人参を収穫していない側の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト18,18や左右従動プーリ16,16等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0077】
次に、引継搬送部Eについて説明する。
前記茎葉切断装置47の下方に前後残葉処理フレーム53を設け、該前後残葉処理フレーム53の左右両側の前後間に左右残葉処理ローラ54,54を回転自在に取り付ける。そして、該左右残葉処理ローラ54,54にゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト55を無端状に巻回し、該残葉処理ベルト55の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト55と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ56を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア57を構成する。
【0078】
また、該残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に茎葉切断装置47よりも機体前側に落下した作物を受ける格子状の受け台58を下り傾斜姿勢で設け、機体左右一側部で且つ該受け台58よりも機体内側に汲上搬送駆動ローラ59を設けると共に、左右他側部側に汲上搬送従動ローラ60を設ける。そして、前記残葉処理コンベア57よりも機体前側で且つ残葉処理コンベア57に隣接させて、汲上搬送駆動ローラ59と汲上搬送従動ローラ60とに汲上搬送ベルト61を無端状に巻回して、前記残葉処理コンベア57と受け台58とから人参を引き継いで機体左右他側に汲上搬送する汲上搬送コンベア62が構成される。
【0079】
前記残葉処理コンベア57と上り傾斜姿勢に設ける汲上搬送コンベア62とから、引継搬送部Eが構成される。
上記構成により、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ローラ56が、茎葉切断装置47で切り残された人参の残葉を千切り取りながら汲上搬送コンベア62に人参を搬送するため、人参の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0080】
また、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ベルト55をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置47で茎葉部を切除された人参が落下しても残葉処理ベルト55が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0081】
そして、残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に格子状の受け台58を下り傾斜姿勢に設けたことによって、茎葉切断装置47よりも機体前側で茎葉部が千切れる等して落下した人参を、機外に落とすことなく受け止めることができると共に、受けた人参を汲上搬送コンベア62に向かって移動させることができるので、収穫作業後に機外に落ちた人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、茎葉切断装置47よりも機体前側で落下した人参を搬送経路に戻すことができるので、作業能率が向上する。
【0082】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
操縦部Bの後部に左右選別搬送フレーム63,63を取り付け、該左右選別搬送フレーム63,63の機体前側の左右間に選別搬送駆動ローラ64を回転自在に取り付け、該選別搬送駆動ローラ64よりも機体後側に選別搬送従動ローラ65を回転自在に取り付ける。また、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65との間に選別搬送テンションローラ66を回転自在に取り付ける。そして、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65と選別搬送テンションローラ66とに複数の弾性体突起を備える弾性体ベルト67を無端状に巻回することによって、後上り傾斜姿勢の選別搬送コンベア68が構成される。さらに、該選別搬送コンベア68を始端部が引継搬送部Eの汲上コンベア62の終端下方に位置するように配置する。
【0083】
また、前記選別搬送従動ローラ65の回転軸にシュータ69を上下回動自在に取り付け、該シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けることによって、選別搬送部Fが構成される。
【0084】
上記のように、シュータ69を上下回動自在に設けたことによって、シュータ69を下方回動させると人参を後述する収容部Gに設置するコンテナやフレコンバッグ等の収容容器73に緩やかに落とすことができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0085】
また、シュータ69を上方に回動させると、選別搬送コンベア68の終端側を塞ぐストッパとなるため、人参が満杯になったコンテナを交換する際、選別搬送コンベア68を停止させなくても人参が終端部から落下することを防止することができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の品質が向上すると共に、選別搬送コンベア68の動力の入切を頻繁に行う必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0086】
また、シュータ69を上方回動させてストッパとし、選別搬送コンベア68を停止させないことによって、人参は選別搬送コンベア68の終端側に溜まるので、従来のように汲上搬送コンベア58の搬送終端部から落下してきた人参が選別搬送コンベア68の搬送始端部に滞留している人参に接触して傷付くことが防止されるので、人参の商品価値が向上する。
【0087】
さらに、シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けたことによって、補助作業者は後述する補助作業座席78に座ったままシュータ69を上下回動させることができるので、補助作業者の労力が軽減される。
【0088】
次に、収容部Gについて説明する。
図1〜図3で示すように、前記左右選別搬送フレーム63,63の下部に左右支持フレーム71,71を設け、該左右支持フレーム71,71に伸縮自在なダンパ72の一端を取り付ける。そして、左右選別搬送フレーム63,63の後下部に人参を収容するコンテナやフレコンバッグ、袋体等の収容容器73を設置する収容容器置台74を上下回動自在に且つ上り傾斜姿勢に取り付けると共に、該収容容器置台74にダンパ72の他端を取り付ける。
【0089】
また、該収容容器置台74の後端部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を上下回動自在で且つ上り傾斜姿勢で取り付ける。さらに、前記収容容器置台74や選別搬送コンベア68や右クローラ6Rよりも機体左右他側に機体前後方向に長い人参を収容した収容容器73を積載する収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付ける。
【0090】
そして、該収容容器積載台76の機体外側に、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77を取り付け、該支持フレーム77の上に補助作業者が着座する補助作業座席78を取り付ける。そして、前記収容容器積載台76の後部に予備の収容容器73を設置する第2予備収容容器置台79を取り付けて、収容部Gが構成される。
【0091】
上記のように、上り傾斜姿勢に設けられた収容容器置台74に伸縮自在なダンパ72の他端を取り付けていることによって、収容容器73に人参が収容されて重くなるにつれて収容容器置台74が下降するため、人参が収容容器73の一部に偏って投入されることが防止されるので、収容容器73交換の頻度が減少し、作業者の労力が軽減される。
【0092】
また、収容容器置台74の後部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を設けたことによって、人参が満載された収容容器73が収容容器置台74から取り除かれるとダンパ72が伸びて収容容器置台74が上り傾斜姿勢に戻り、予備収容容器置台75に設置されている収容容器74が収容容器置台74に滑り落ちて設置されるので、収容容器73を手作業で設置する必要がなくなり、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0093】
そして、機体左右外側に収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付けていることによって、圃場へ向かう際や圃場から帰る際には収容容器積載台76を機体内側に折り畳んで機体の左右幅をコンパクトにすることができるので、小型のトラックにも積み込みやすく、輸送性が向上する。
【0094】
さらに、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77上に補助作業座席78を設けたことによって、補助作業者は選別搬送コンベア68に近い位置で選別作業ができるので選別精度が向上すると共に、収容容器73が収容容器積載台76上を移動するのを妨げないため、作業能率が向上する。
【0095】
また、収容容器積載台76の後部に第2予備収容容器置台79を取り付けたことによって、機体に多くの収容容器73を搭載しておくことができるので、長時間連続して収穫作業を続けることができ、作業能率が向上する。
【0096】
以上により、この根菜類収穫機は、走行部Aと、圃場の根菜類の近くの土壌を切りながら解すソイラ37と、該ソイラ37により近くの土壌が解された根菜類を引き抜いて搬送する引抜搬送装置24を設け、ソイラ37は、一部が土壌内に突入する刃部37aと、該刃部37aを取り付ける取付部37bを備え、刃部37aを上下に延設すると共に、刃部37aの上下方向の一端部127と他端部128で異なる形状とし、刃部37aを上下反対に向けて着脱可能に構成している。
【0097】
よって、刃部37aの上下方向の一端部127と他端部128で異なる形状であるため、刃部37aを上下反対に向けて着脱することにより、土壌の硬軟の差異や根菜類の引き抜き抵抗の差異等の作業条件の差異に応じて、土壌内に突入する刃部37aの下端部の形状を変更して土壌の解し作用の強弱を変更でき、圃場の根菜類の近くの土壌を適正に解し、根菜類を良好に引き抜いて搬送することができ、収穫作業の適正化が図れる。しかも、刃部37aの上下方向の一端部127と他端部128のうち、土壌内に突入しない刃部37aの上部側が根菜類の茎葉部を案内する作用を施し、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを解きながら収穫する栽培条の根菜類を収穫でき、収穫作業の適正化が図れる。更に、刃部37aの上部により、ソイラ37が掘り起こした土壌が隣接する栽培条の根菜類へ降りかかるのを防止できる。
【0098】
また、刃部37aの上下方向の一端部127の前端縁を上下方向に直線状に延びる直線形状とし、刃部37aの上下方向の他端部128の前端縁を、該他端部128が下部となるよう刃部37aを装着した状態で下側へいくほど圃場の根菜類に近づく側に曲がる曲がり形状としている。
【0099】
よって、例えば、砂地等で崩れやすい土壌であったり、軟らかい土壌であったり、根菜類が引き抜き抵抗の小さい形状や寸法であったりして、土壌の解し作用が弱くても良いときは、前端縁が直線形状である刃部37aの上下方向の一端部127を下側に向けて刃部37aを装着し、前端縁が直線形状である一端部127を土壌内に突入させて弱い土壌の解し作用を得ることができ、必要以上に土壌を掘り起こすことにより圃場の根菜類が不適正な姿勢になったり根菜類に傷を付けたりするようなことを抑えられる。このとき、土壌内に突入しない刃部37aの上部側は、上側へいくほど根菜類から離れる側に曲がっているので、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部を収穫する栽培条側から離れる側に案内でき、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを良好に解くことができる。逆に、例えば、粘土質等で粘りのある土壌であったり、硬い土壌であったり、根菜類が引き抜き抵抗の大きい形状や寸法であったりして、強い土壌の解し作用が必要なときは、前端縁が曲がり形状である刃部37aの上下方向の他端部128を下側に向けて刃部37aを装着し、曲がり形状である他端部128を土壌内に突入させて圃場の根菜類の下方部分の土壌を掘り起こしながら強い土壌の解し作用を得ることができ、引抜搬送装置24による根菜類の引き抜き抵抗を小さくでき、引き抜きで根菜類(例えば根菜類の茎葉部)がちぎれるようなことを抑えられる。
【0100】
また、上下に振動する振動アーム33に取付部37bを介して刃部37aを装着する構成とし、刃部37aの上下方向の一端部127と他端部128の前端縁を、上下方向の中央部で屈曲させて同一直線上に配置させない構成とし、一端部127と他端部128の何れが上部となるよう刃部37aを装着した状態でも前端縁が上側へいくほど後側位置となる構成としている。
【0101】
よって、刃部37aの上下方向の一端部127を下側に向けて刃部37aを装着した状態でも、刃部37aの上下方向の他端部128を下側に向けて刃部37aを装着した状態でも、刃部37aの上部の前端縁が上側へいくほど後側位置となるので、機体の前進に伴って根菜類の茎葉部を下方から案内でき、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部を分草する抵抗は比較的小さくなり、隣接する栽培条の根菜類の茎葉部との絡みを良好に解くことができる。
【0102】
また、ソイラ37を、収穫する根菜類の栽培条に対して未収穫の根菜類が位置する側にのみ設け、収穫する根菜類の栽培条に対して既収穫側には、ソイラ37を設けないか又は前記ソイラ37よりも上下幅の小さい別のソイラを設ける構成としている。
【0103】
よって、ソイラ37が掘り起こした土壌が既収穫側へ供給されやすくなるため、刃部37aの上部によりソイラ37が掘り起こした土壌が未収穫側の栽培条へ降りかかるのを的確に防止できる。
【0104】
また、左右一対のソイラ37を設け、上下に振動する左右一対の振動アーム33に各々の取付部37bを介して各々の刃部37aを装着する構成とし、引抜搬送装置24で搬送する根菜類に付着する土を落とす左右一対の土落とし部材39を左右各々の振動アーム33に取り付け、左右一対の土落とし部材39の間隔を調節可能な構成としている。
【0105】
よって、左右一対の土落とし部材39の間隔を、引抜搬送装置24により搬送する根菜類の形状や寸法に応じて調節でき、引抜搬送装置24による根菜類の搬送抵抗を抑えて根菜類を良好に搬送しながら、根菜類に付着する土を的確に落とすことができ、収穫作業の適正化が図れる。
【符号の説明】
【0106】
A:走行部、24:引抜搬送装置、33:振動アーム、37:ソイラ、37a:刃部、37b:取付部、39:土落としブラシ(土落とし部材)、127:刃部の上下方向の一端部、128:刃部の上下方向の他端部、128b:曲がり部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部(A)と、圃場の根菜類の近くの土壌を切りながら解すソイラ(37)と、該ソイラ(37)により近くの土壌が解された根菜類を引き抜いて搬送する引抜搬送装置(24)を設けた根菜類収穫機において、ソイラ(37)は、一部が土壌内に突入する刃部(37a)と、該刃部(37a)を取り付ける取付部(37b)を備え、刃部(37a)を上下に延設すると共に、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)で異なる形状とし、刃部(37a)を上下反対に向けて着脱可能に構成した根菜類収穫機。
【請求項2】
刃部(37a)の上下方向の一端部(127)の前端縁を上下方向に直線状に延びる直線形状とし、刃部(37a)の上下方向の他端部(128)の前端縁を、該他端部(128)が下部となるよう刃部(37a)を装着した状態で下側へいくほど圃場の根菜類に近づく側に曲がる曲がり形状とした請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
上下に振動する振動アーム(33)に取付部(37b)を介して刃部(37a)を装着する構成とし、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)の前端縁を、上下方向の中央部で屈曲させて同一直線上に配置させない構成とし、一端部(127)と他端部(128)の何れが上部となるよう刃部(37a)を装着した状態でも前端縁が上側へいくほど後側位置となる構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
ソイラ(37)を、収穫する根菜類の栽培条に対して未収穫の根菜類が位置する側にのみ設け、収穫する根菜類の栽培条に対して既収穫側には、ソイラ(37)を設けないか又は前記ソイラ(37)よりも上下幅の小さい別のソイラを設ける構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
左右一対のソイラ(37)を設け、上下に振動する左右一対の振動アーム(33)に各々の取付部(37b)を介して各々の刃部(37a)を装着する構成とし、引抜搬送装置(24)で搬送する根菜類に付着する土を落とす左右一対の土落とし部材(39)を左右各々の振動アーム(33)に取り付け、左右一対の土落とし部材(39)の間隔を調節可能な構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項1】
走行部(A)と、圃場の根菜類の近くの土壌を切りながら解すソイラ(37)と、該ソイラ(37)により近くの土壌が解された根菜類を引き抜いて搬送する引抜搬送装置(24)を設けた根菜類収穫機において、ソイラ(37)は、一部が土壌内に突入する刃部(37a)と、該刃部(37a)を取り付ける取付部(37b)を備え、刃部(37a)を上下に延設すると共に、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)で異なる形状とし、刃部(37a)を上下反対に向けて着脱可能に構成した根菜類収穫機。
【請求項2】
刃部(37a)の上下方向の一端部(127)の前端縁を上下方向に直線状に延びる直線形状とし、刃部(37a)の上下方向の他端部(128)の前端縁を、該他端部(128)が下部となるよう刃部(37a)を装着した状態で下側へいくほど圃場の根菜類に近づく側に曲がる曲がり形状とした請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
上下に振動する振動アーム(33)に取付部(37b)を介して刃部(37a)を装着する構成とし、刃部(37a)の上下方向の一端部(127)と他端部(128)の前端縁を、上下方向の中央部で屈曲させて同一直線上に配置させない構成とし、一端部(127)と他端部(128)の何れが上部となるよう刃部(37a)を装着した状態でも前端縁が上側へいくほど後側位置となる構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
ソイラ(37)を、収穫する根菜類の栽培条に対して未収穫の根菜類が位置する側にのみ設け、収穫する根菜類の栽培条に対して既収穫側には、ソイラ(37)を設けないか又は前記ソイラ(37)よりも上下幅の小さい別のソイラを設ける構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
左右一対のソイラ(37)を設け、上下に振動する左右一対の振動アーム(33)に各々の取付部(37b)を介して各々の刃部(37a)を装着する構成とし、引抜搬送装置(24)で搬送する根菜類に付着する土を落とす左右一対の土落とし部材(39)を左右各々の振動アーム(33)に取り付け、左右一対の土落とし部材(39)の間隔を調節可能な構成とした請求項1に記載の根菜類収穫機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−9650(P2013−9650A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145973(P2011−145973)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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