説明

棒材切断機の棒材供給装置

【課題】干渉音や衝撃音を発生させず、しかも棒材を横基準部材へ押し当てるアクチュエータを用いなくても水平方向の位置出しが可能な棒材切断機の棒材供給装置を提供する。
【解決手段】回動軸31が第1回動位置にあるときにはチェインコンベア23( 棒材搬送装置) 上の複数本の棒材22に対するストッパとして機能し且つその回動軸31が第2回動位置にあるときには高さ基準として機能する高さ基準ローラ33と、回動軸31が第1回動位置にあるときには送込位置Aに位置する1本の棒材22を支持する支持部材として機能し且つその回動軸31が第2回動位置にあるときには横基準として機能する横基準ローラ34と、回動軸31が第1回動位置と第2回動位置との間の回動過程にあるときには、上記1本の棒材22の次に位置する棒材22を横基準ローラ34に接触させないカム状ストッパ部材35とが、回動軸31に所定の間隔を隔てて複数個設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸鋼、棒鋼、鋼管などの棒材を切断するための棒材切断機にその棒材を供給する棒材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒材を把持しつつその軸心方向に所定の切断長ずつ送り込む送込装置と、その棒材を軸心方向に垂直に切断する切断装置とを備えた棒材切断機が知られている。かかる棒材切断機は、上記送込装置により棒材を所定の長さ寸法(切断長)だけ送り込み、次いで上記切断装置に備えられた極薄手の丸鋸により切断する工程を繰り返すことにより、1本の棒材を上記切断長の複数本の製品に切断加工するものである。特許文献1に示される装置がそれである。
【0003】
ところで、上述の棒材切断機では、特許文献2に詳しく記載されているように、ストッパにより止められることで並列状態で待機させられた複数本の棒材を上記送込装置へ1本ずつ供給する棒材供給装置が備えられる。この棒材供給装置には、並列状態で待機させられた複数本の棒材のうちの供給側に位置する1本棒材の下側に配置され、その棒材の長手方向に直交する水平方向の軸心まわりに回動させられることでその1本の棒材を上記ストッパよりも持ち上げるとともに傾斜した上端縁に沿ってを転動させることで、1本の棒材を上記送込装置へ1本ずつ供給するワーク移載具が所定間隔で複数個配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−293615号公報
【特許文献2】特開2000−219318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献2に記載されたような棒材切断機の棒材供給装置では、ワーク移載具の傾斜した上端縁に沿って1本の棒材が転動させられて送込装置の送込位置に下降させるとき、斜めに立設された棒材供給機構のストッパに当接させるので、大きな干渉音や衝撃音が発生するという不都合があった。また、棒材をその斜めに立設したストッパに当接させた後に、ワーク移載具を水平な元位置へ回動させつつ棒材をその斜めに立設しストッパに沿って下降させ、棒材供給機構の横基準ローラ( 直ローラ) との間の高さ基準ローラ( 水平ローラ) 上へ移動させるとき、横基準ローラとの間に隙間が発生するので、その横基準ローラへ棒材を押し当てるアクチュエータを用いないと、水平方向の位置出しができないという不都合があった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、干渉音や衝撃音を発生させず、しかも棒材を横基準部材へ押し当てるアクチュエータを用いなくても水平方向の位置出しが可能な棒材切断機の棒材供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、(a) 複数本の棒材を予め設定された供給待機位置へ向かって並列方向に搬送する棒材搬送装置と、該複数本の棒材のうちの該供給待機位置へ到達した1本の棒材を、軸心方向へ所定の切断長ずつ送り込むための送込位置へ供給する棒材供給機構とを備えた、棒材切断機の棒材供給装置であって、その棒材供給機構は、(b) 前記棒材搬送装置によって搬送される複数本の棒材に平行な1軸心まわりに回動可能に支持され、第1回動位置と第2回動位置との間で回動させられる回動軸と、(c) 該回動軸に所定の間隔を隔てて複数個設けられ、該回動軸が前記第1回動位置にあるときには前記複数本の棒材に対するストッパとして機能し且つ該回動軸が前記第2回動位置にあるときには高さ基準として機能する高さ基準ローラと、(d) 前記回動軸に所定の間隔を隔てて複数個設けられ、該回動軸が前記第1回動位置にあるときには前記1本の棒材を支持する支持部材として機能し且つ該回動軸が前記第2回動位置にあるときには横方向の位置決めをする横基準部材と、(e) 前記回動軸に所定の間隔を隔てて複数個設けられ、該回動軸が前記第1回動位置と第2回動位置との間の回動過程にあるときには、前記1本の棒材の次に位置する棒材を前記横基準部材に接触させないカム状ストッパ部材とを、含むことにある。
【0008】
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、(f) 前記棒材搬送装置は、水平且つ互いに平行な複数本の搬送レールに沿って駆動される複数本の無端チェインを有し、該無端チェインのうちの該水平な搬送レール上に位置する部分によって前記複数本の棒材を搬送するチェインコンベアから構成されることにある。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明の棒材切断機の棒材供給装置によれば、回動軸が第1回動位置にあるときには前記複数本の棒材に対するストッパとして機能し且つその回動軸が前記第2回動位置にあるときには高さ基準として機能する高さ基準ローラと、その回動軸が第1回動位置にあるときには前記1本の棒材を支持する支持部材として機能し且つ該回動軸が前記第2回動位置にあるときには横方向の位置決めをする横基準部材とが、その回動軸に所定の間隔を隔てて複数個設けられるとともに、回動軸が前記第1回動位置と第2回動位置との間の回動過程にあるときには、前記1本の棒材の次に位置する棒材を前記横基準部材に接触させないカム状ストッパ部材が、回動軸に所定の間隔を隔てて複数個設けられていることから、第1回動位置から第2回動位置へ回動させられる過程では前記供給待機位置へ到達した1本の棒材が横基準部材により支持されて持ち上げられると同時に高さ基準ローラにも接触し、この状態で第2回動位置まで移動させられる。そして、第2回動位置では、上記1本の棒材は高さ基準ローラに支持された状態でその軸心方向に送られて順次切断される。このように1本の棒材が軸心方向へ所定の切断長ずつ送り込まれるための送込位置に供給されるとき、棒材のころがりがなく、しかも横基準部材に接触していて横方向の位置が決められていることから、干渉音や衝撃音が発生せず、しかも、アクチュエータを用いる位置出し機構が不要であるので装置が簡単となる。
【0010】
また、請求項2に係る発明の棒材切断機の棒材供給装置によれば、前記棒材搬送装置は、水平且つ互いに平行な複数本の搬送レールに沿って駆動される複数本の無端チェインを有し、該無端チェインのうちの該水平な搬送レール上に位置する部分によって前記複数本の棒材を搬送するチェインコンベアから構成されるので、傾斜台により構成される場合に比較して、第1回動位置における横基準部材或いはカム状ストッパ部材に対する複数本の棒材からの圧力が軽減される利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例である棒材切断機を示す正面図である。
【図2】図1の棒材切断機をカバーを取り外した状態で矢印IIで示す方向から見た平面図である。
【図3】図2の棒材供給装置を矢印III で示す方向から見た側面図であって、棒材供給機構が第1回動位置にある状態を示す図である。
【図4】図2の棒材供給装置を矢印III で示す方向から見た側面図であって、棒材供給機構が第2回動位置にある状態を示す図である。
【図5】図1の棒材切断機をそのカバーを取り外して矢印Vで示す方向から見た正面図である。
【図6】図1の棒材切断機における送込装置及び主バイスの一部を切り欠いてその送り込み方向に垂直な方向から見た断面図である。
【図7】図6の送込装置及び主バイスを矢印VII で示す方向から見た平面図である。
【図8】図7の送込装置における可動部を矢印VIIIで示す方向から見た図である。
【図9】図8におけるIX-IX 視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施例である棒材切断機10を示す側面図であり、図2は、棒材切断機10のカバー10a 、10b を外して図1において矢印IIで示す方向から見た平面図である。これらの図に示すように、かかる棒材切断機10は、丸鋼、角鋼、鋼管などの金属製被切断材である棒材22の一部を把持する送込バイス18を備え、その送込バイス18で把持されたその棒材22をその軸心方向に所定の切断長ずつ送り込む送込装置16及びその棒材22をその切断長にて切断する切断装置20を備えた本体部12と、複数本の棒材22を載置した状態で備えつつそれらの棒材22を逐一上記送込バイス18により把持され得る位置すなわち棒材22を軸心方向に所定の切断長ずつ送り込む送込装置16の送込位置Aに供給する棒材供給装置14とから構成されている。
【0014】
棒材供給装置14は、図2に詳しく示すように、互いに並列する状態で載置された複数本の棒材22を送込装置16側へ順次搬送する棒材搬送装置として機能するチェインコンベア23と、それら互いに並列する状態で載置された複数本( 図2では3本)の棒材22のうちから送込装置16側の供給待機位置Bへ到達した1本の棒材22を取り出して上記送込装置16の送込位置Aへ供給する棒材供給機構30とを備えている。上記送込位置Aとは、送込装置16により所定の切断長ずつ送られる棒材22が位置させられる位置であり、図2ではその棒材22の軸心位置に対応する1点鎖線で示される。また、上記供給待機位置Bとは、チェインコンベア23上で互いに並列した複数本の棒材22のうち送込装置16側に位置して第1回動位置の高さ基準ローラ33に当接するものであって棒材供給機構30により1本ずつ送込位置Aへ供給される1本の棒材22が位置させられる位置であり、図2では、その棒材22の軸心位置に対応する1点鎖線で示される。
【0015】
図3は、図2において矢印III で示す方向から見た棒材供給装置14の側面図である。この図に示すように、上記棒材供給装置14の棒材搬送装置或いは棒材貯留装置として機能するチェインコンベア23は、棒材落下防止用の複数本( 本実施例では9本)のストッパ24s が立設された基台(フレーム)24と、その基台24により複数対の軸受25を介して回転可能に支持された一対の軸26と、一対の軸26の一方を回転駆動する減速機付モータGMと、それら一対の軸26にそれぞれ固定された複数対のスプロケット27と、それら複数対のスプロケット27にそれぞれ巻き掛けられた複数の無端チェイン28とから成る。このチェインコンベア23は、基台24に固定された水平且つ互いに平行な複数本の搬送レール29を有し、無端チェイン28のうちのその水平な搬送レール29上に位置する部分によって複数本の棒材22を搬送する。棒材供給装置14が傾斜台により構成される場合に比較して、後述の第1回動位置における高さ基準ローラ33或いはカム状ストッパ部材35に対する複数本の棒材22からの圧力が軽減される利点がある。
【0016】
棒材供給装置14の棒材供給機構30は、基台24により軸受31b を介して回動可能に支持された回動軸31と、その回動軸31に軸心方向の所定間隔を隔てて固定部材32を介して固定された複数の高さ基準ローラ33、横基準ローラ34、カム状ストッパ部材35とを備えている。上記回動軸31は、それに固定されたアーム36に回動可能に連結されたシリンダロッドと基台24に回動可能に連結されたシリンダとを有する油圧シリンダ37により、相互に90°の角度を成す第1回動位置と第2回動位置とに位置決めされるとともにそれらの間で往復駆動されるようになっている。上記高さ基準ローラ33、横基準ローラ34、およびカム状ストッパ部材35は、固定部材32に固定されることによって1組を構成しているので、複数組の高さ基準ローラ33、横基準ローラ34、およびカム状ストッパ部材35が回動軸31に所定間隔で固定されている。
【0017】
図3は回動軸31が油圧シリンダ37により第1回動位置に位置させられている状態を示している。また、図4は回動軸31が回動用油圧シリンダ37により第2回動位置に位置させられている状態を示している。高さ基準ローラ33は、軸心まわりに回転可能に固定部材32に設けられた円柱状回転体であり、回動軸31が第1回動位置にあるときには、図3に示すように垂直に立設して垂直な軸心まわりに回転する状態となり、チェインコンベア23の上で互いに並列した複数本の棒材22のうち送込装置16側に位置する1本の棒材22に当接するストッパとして機能する。また、高さ基準ローラ33は、回動軸31が第2回動位置にあるときには、図4に示すように水平な軸心まわりに回転する状態となり、回動軸31が第2回動位置にあるときには、送込位置Aにある1本の棒材22の高さ方向の位置決めをする高さ基準部材として機能している。
【0018】
横基準ローラ34は、上記高さ基準ローラ33の軸心に直交する軸心まわりに回転可能に固定部材32に設けられた円柱状回転体であり、回動軸31が第1回動位置にあるときには、図3に示すように水平な軸心まわりに回転し且つチェインコンベア23上の棒材22よりも下側に位置する状態となるとともに、チェインコンベア23上で互いに並列した複数本の棒材22のうち送込装置16側すなわち供給待機位置Bに位置する1本の棒材22を支持する支持部材として機能する。また、横基準ローラ34は、回動軸31が第2回動位置にあるときには、図4に示すように高さ基準ローラ33により支持された送込位置Aにある1本の棒材22の横方向( 水平方向) の位置決めをする横基準部材として機能している。
【0019】
回動軸31が第1回動位置と第2回動位置との間の回動過程にあるときには、供給待機位置Bに位置している1本の棒材22を横基準ローラ34が支持しつつ第2回動位置に向かって回動させられる期間であるが、カム状ストッパ部材35が設けられていない場合には、その横基準ローラ34が通過すると、供給待機位置Bに位置していた1本の棒材22の次に位置する棒材22が自重により転動して横基準ローラ34の裏側( 反時計側) へ落ち込む可能性がある。このように供給待機位置Bの次に位置する棒材22が横基準ローラ34の裏側への落ち込みが発生すると、第2回動位置から第1回動位置への復動時に横基準ローラ34と干渉してその復動が妨げられる。このため、上記カム状ストッパ部材35は、横基準ローラ34が第1回動位置から第2回動位置へ向かって移動したときに、供給待機位置Bの次に位置する棒材22に当接してその位置を保持させることで、横基準ローラ34の裏側への落ち込みを防止する。また、カム状ストッパ部材35は、横基準ローラ34が第1回動位置へ復動してその軸心が水平となると、供給待機位置Bの次に位置する棒材22が横基準ローラ34の上へ移動することを許容する。
【0020】
すなわち、カム状ストッパ部材35は、相互に約90°で交差する直線状の2辺と、その2辺の外周端を結ぶ円弧とから成る扇型の板材から構成されている。そして、回動軸31の軸心方向に見てその2辺のうちの一方の辺が横基準ローラ34の径内に位置し且つ他方の辺が固定部材32の横基準ローラ34の反対側に接するようにすなわち固定部材32の接線となるように、また、その円弧の中心が回動軸31の軸心と一致するように、カム状ストッパ部材35が固定部材32に固定されている。
【0021】
図5は、図1の棒材切断機10のカバー10a を取り外して矢印Vで示す方向から見た正面図である。この図に示すように、上記本体部12は、基台38と、その基台38上に設けられた送込装置16と、同じくその基台38上に設けられた切断装置20と、その切断装置20による切断に際して棒材22を把持固定するための主バイス40とから構成されている。上記切断装置20は、上記基台38上に設けられた支承部42と、その支承部42の取付軸まわりに回動可能に設けられたアーム部材43と、そのアーム部材43に自転可能に設けられた薄手の丸鋸44と、その丸鋸44を回転駆動するための丸鋸用モータ45と、上記丸鋸44と丸鋸用モータ45とを連結するベルト46と、上記アーム部材43を上記支承部42の取付軸まわりに回動させるための切断装置用油圧シリンダ48とを備えている。ここで、図5は、上記切断装置20が最も送込装置16側に回動した状態を示しており、その切断装置20は、棒材22を切断する際には送込装置16に接近する方向に回動させられ、一旦切断が終わるとその送込装置16から離隔する方向に復動させられる。
【0022】
図6は、送込装置16及び主バイス40の一部を切り欠いてその送込方向に垂直な方向から見た断面図であり、図7は、図6において矢印VII で示す方向から見た平面図である。これらの図に示すように、送込装置16は、その軸心方向が送込装置16の送込方向と並行となるように且つその軸心まわりに回転可能に基台38に架設されたボールネジ50と、同様にその軸心方向が送込装置16の送込方向と並行となるように基台38に固設された1対の案内軸52と、互いに平行な軸心を有する1対の貫通穴56及びネジ穴58を有し、その1対の貫通穴56に上記1対の案内軸52が挿入されてその案内軸52の軸心方向に移動可能に設けられると共に、上記ネジ穴58において上記ボールネジ50に螺合させられた可動部材54と、その可動部材54に設けられた送込バイス18と、上記ボールネジ50を回転駆動するための送込装置用モータ60と、そのボールネジ50と送込装置用モータ60とを連結するベルト62とを備えて構成されている。また、基台38には第1ローラ64が、上記可動部材54には第2ローラ66が、主バイス40には第3ローラ68がそれぞれの軸心まわりに回転可能に設けられており、棒材22は、それら第1ローラ64及び第2ローラ66に支持された状態で搬送されると共に、上記第3ローラ68と棒材22の残長によっては上記第1ローラ64及び第2ローラ66とに支持された状態で切断される。
【0023】
棒材切断機10には、送込装置16及び切断装置20に所定の油圧を供給するための油圧制御回路72と、丸鋸用モータ45及び送込装置用モータ60の駆動を制御すること及び上記油圧制御回路72における図示しない電磁弁の切換を制御することにより送込装置16及び切断装置20の駆動を制御する電子制御装置74とが設けられている。上記送込装置用モータ60が駆動されると、上記ベルト62を介してその駆動力が上記ボールネジ50に伝達されてそのボールネジ50が軸心まわりに回転駆動されることにより、そのボールネジ50に螺合させられた上記可動部材54が送込方向すなわち上記ボールネジ50及び1対の案内軸52に共通の軸心方向に移動させられる。ここで、送込装置用モータ60は、電子制御装置74に接続されたエンコーダ70を備えたサーボモータである。
【0024】
可動部材54の底部には突起部76が設けられており、図6において実線で示すその可動部材54の切断装置20側の移動限界におけるその突起部76に対応する位置に第1近接スイッチ78が、鎖線で示すその可動部材54の送込装置用モータ60側の移動限界におけるその突起部76に対応する位置に第2近接スイッチ80及び第3近接スイッチ82がそれぞれ設けられている。それら第1近接スイッチ78、第2近接スイッチ80、及び第3近接スイッチ82は、上記電子制御装置74に接続されており、かかる近接スイッチのオン・オフ信号により、上記可動部材54が切断装置20側の移動限界から送込装置用モータ60側の移動限界までの範囲内を移動させられるように送込装置用モータ60の駆動が制御される。
【0025】
主バイス40は、棒材22を第1挟圧部材86との間で図6において矢印Yで示す方向に挟圧するための第1油圧シリンダ84と、第2挟圧部材90との間で図7において矢印Xで示す方向に挟圧するための第2油圧シリンダ88とから構成されている。それら第1油圧シリンダ84及び第2油圧シリンダ88の作動油圧は上記油圧制御回路72を介して供給されており、その油圧に応じて棒材22の把持と解放とが切り換えられる。ここで、上記第1挟圧部材86、第2油圧シリンダ88のピストン、及び第2挟圧部材90における丸鋸44の経路に対応する部分には、その丸鋸44の回転を妨げないようにそれぞれ溝部92、94、及び96が形成されている。
【0026】
図8は、送込装置16の可動部を図7における矢印VIIIで示す方向から見た図である。この図に示すように、可動部材54に設けられた送込バイス18は、第3挟圧部材98と第3油圧シリンダ100との間で棒材22を挟圧する構成とされている。その第3油圧シリンダ100の作動油圧は油圧制御回路72を介して供給されており、その油圧に応じて棒材22の把持と解放とが切り換えられる。その棒材22が把持された状態で送込装置用モータ60が駆動させられて可動部材54が移動させられると、把持された棒材22はその可動部材54と同じ距離だけ搬送される。
【0027】
図9は、送込バイス18に備えられた第3油圧シリンダ100の図8におけるIX-IX 視断面図である。この図に示すように、かかる第3油圧シリンダ100は、可動部材54に固設されたシリンダ本体102と、そのシリンダ本体102の内部を往復させられるピストン104と、そのピストン104の先端に固設された挟圧ヘッド106と、その軸心方向が上記ピストン104の往復方向と並行となるようにその挟圧ヘッド106に固設されると共に、上記シリンダ本体102に同軸に形成された貫通穴110に挿入される案内軸108とから構成されている。そのように構成された第3油圧シリンダ100では、上記シリンダ本体102とピストン104との間隙である油室112に作動油が供給されると、上記ピストン104及びその先端に設けられた挟圧ヘッド106が第3挟圧部材98との間で棒材22を挟圧する方向に移動させられる。その際、上記シリンダ本体102に形成された貫通穴110に上記案内軸108が挿入されていることから、上記挟圧ヘッド106の挟圧面114が上記ピストン104の往復方向に対して略垂直に保たれる。
【0028】
図6、図7、図8に示すように、送込装置16には、第1光電センサ116及び第2光電センサ118が備えられている。第1光電センサ116は、基台38と相対移動不能に設けられて、送込バイス18に把持されて送り込まれる棒材22の先端が所定位置D1より切断装置20側へ送られたか否かを検出するものである。また、上記第2光電センサ118は、可動部材54に相対移動不能に設けられて、棒材22が送込バイス18に把持される際にその末端が所定位置D2よりも切断装置20側にあるか否かを検出するものである。なお、上記所定位置D1は、基台38を基準とした固定位置であり、上記所定位置D2は、可動部材54を基準とした固定位置である。それら第1光電センサ116及び第2光電センサ118は、電子制御装置74に接続されており、上記第1光電センサ116のオン・オフ(入光・遮光)信号により、棒材22の切断開始に際してその先端位置が検出され、その棒材22をその先端から切断長にて切断するように送込装置16及び切断装置20の駆動が制御される。また、上記第2光電センサ118のオン・オフ信号により、棒材22の末端位置が検出され、送込バイス18により把持されるその棒材22の残長がその送込バイス18の把持長Lすなわち第3挟圧部材98及び挟圧ヘッド106に共通の搬送方向の長さ寸法と突出可能寸法との和よりも短い所定の長さ寸法以下である場合、切断長に予め定められた補正を加えた補正切断長ずつ搬送するように送込装置16の駆動が制御される。
【0029】
以上のように構成された棒材切断機10では、電子制御装置74によって以下の制御作動が行われる。先ず、チェインコンベア23を用いてその上で並列した複数本の棒材22を搬送し、それら複数本の棒材22のうちの棒材供給機構30或いは送込装置16側の1本の棒材22を供給待機位置Bに到達させ、第1回動位置にある横基準ローラ34上に載置させる。次いで、回動用油圧シリンダ37を用いてその第1回動位置にある回動軸31を第2回動位置へ回動させ上記1本の棒材22を高さ基準ローラ33上において送込位置Aに位置させる。次いで、送込バイス18が棒材22を把持して送り込み、第1光電センサ116がオフ(遮光状態)となったところで棒材22の先端位置を検出した後、その棒材22の先端面が丸鋸44の通過面と一致するように先端位置合わせのための初期の送り込みを行い、棒材22が送込装置16により所定の切断長だけ切断装置20側へ送った後、丸鋸44によりその切断長にて切断する。すなわち、送込バイス18が棒材22を解放し且つ主バイス40がその棒材22を把持した状態で、可動部材54が切断装置20から離隔される方向へ前記切断長だけ戻された後、送込バイス18が棒材22を把持し且つ主バイス40がその棒材22を解放した状態で、可動部材54が切断装置20に接近する方向へ前記切断長だけ送る。そして送込バイス18が棒材22を解放し且つ主バイス40でその棒材22を把持した状態で、切断装置20により棒材22を前記切断長にて切断する。次いで、第2光電センサ118がオンと判断されてからの切断本数に基づいて、切断加工を終了するか否かが判断される。その判断が否定される場合には、上記の作動が繰り返されるが、その判断が肯定される場合には、それをもって1本の棒材22の切断が終了させられる。
【0030】
上述のように、本実施例の棒材切断機10の棒材供給装置14によれば、回動軸31が図3に示す第1回動位置にあるときにはチェインコンベア23( 棒材搬送装置) 上の複数本の棒材22に対するストッパとして機能し且つその回動軸31が図4に示す第2回動位置にあるときには高さ基準として機能する高さ基準ローラ33と、回動軸31が図3に示す第1回動位置にあるときには送込位置Aに位置する1本の棒材22を支持する支持部材として機能し且つその回動軸31が図4に示す第2回動位置にあるときには横基準として機能する横基準ローラ34とが、その回動軸31に所定の間隔を隔てて複数個設けられるとともに、回動軸31が第1回動位置と第2回動位置との間の回動過程にあるときには、上記1本の棒材22の次に位置する棒材22を横基準ローラ34に接触させないカム状ストッパ部材35が、回動軸31に所定の間隔を隔てて複数個設けられていることから、第1回動位置から第2回動位置へ回動させられる過程では供給待機位置Bへ到達した1本の棒材22が横基準ローラ34により支持されて持ち上げられると同時に高さ基準ローラ33にも接触し、この状態で第2回動位置まで移動させられ,上記1本の棒材22は送込位置Aとされる。そして、第2回動位置では、上記1本の棒材22は高さ基準ローラ33に支持された状態でその軸心方向に送られて順次切断される。このように1本の棒材22が軸心方向へ所定の切断長ずつ送り込まれるための送込位置Aに供給されるとき、棒材22のころがりがなく、しかも横基準ローラ34に接触していて横方向の位置が決められていることから、干渉音や衝撃音が発生せず、しかも、アクチュエータを用いる位置出し機構が不要であるので装置が簡単となる。
【0031】
また、本実施例の棒材切断機10の棒材供給装置14によれば、棒材搬送装置が、水平且つ互いに平行な複数本の搬送レール29に沿って駆動される複数本の無端チェイン28を有し、その無端チェイン28のうちの上記水平な搬送レール29上に位置する部分によって複数本の棒材22を搬送するチェインコンベア23から構成されるので、棒材搬送装置が傾斜台により構成される場合に比較して、第1回動位置における横基準ローラ34或いはカム状ストッパ部材35に対する複数本の棒材22からの圧力が軽減される利点がある。
【0032】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0033】
例えば、前述の実施例では、棒材供給装置14の棒材搬送装置がチェインコンベア23から構成されていたが、複数本の棒材22を自重により転動させることで供給待機位置Bへ搬送する傾斜板から構成されていてもよい。
【0034】
前述の実施例の横基準ローラ34は、軸心まわりに回転するように固定部材32に設けられた円柱状の回転部材であったが、円柱状或いは角柱状の非回転部材であってもよい。
【0035】
その他一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0036】
10:棒材切断機
14:棒材供給装置
20:切断装置
22:棒材
23:チェインコンベア( 棒材搬送装置)
28:無端チェイン
29:搬送レール
30:棒材供給機構
31:回動軸
33:高さ基準ローラ
34:横基準ローラ( 横基準部材)
35:カム状ストッパ部材
A:送込位置
B:供給待機位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の棒材を予め設定された供給待機位置へ向かって並列方向に搬送する棒材搬送装置と、該複数本の棒材のうちの該供給待機位置へ到達した1本の棒材を、軸心方向へ所定の切断長ずつ送り込むための送込位置へ供給する棒材供給機構とを備えた棒材切断機の棒材供給装置であって、該棒材供給機構は、
前記棒材搬送装置によって搬送される複数本の棒材に平行な1軸心まわりに回動可能に支持され、第1回動位置と第2回動位置との間で回動させられる回動軸と、
該回動軸に所定の間隔を隔てて複数個設けられ、該回動軸が前記第1回動位置にあるときには前記複数本の棒材に対するストッパとして機能し且つ該回動軸が前記第2回動位置にあるときには高さ基準として機能する高さ基準ローラと、
前記回動軸に所定の間隔を隔てて複数個設けられ、該回動軸が前記第1回動位置にあるときには前記1本の棒材を支持する支持部材として機能し且つ該回動軸が前記第2回動位置にあるときには横方向の位置決めをする横基準部材と、
前記回動軸に所定の間隔を隔てて複数個設けられ、該回動軸が前記第1回動位置と第2回動位置との間の回動過程にあるときには、前記1本の棒材の次に位置する棒材を前記横基準部材に接触させないカム状ストッパ部材と
を、含むことを特徴とする棒材切断機の棒材供給装置。
【請求項2】
前記棒材搬送装置は、水平且つ互いに平行な複数本の搬送レールに沿って駆動される複数本の無端チェインを有し、該無端チェインのうちの該水平な搬送レール上に位置する部分によって前記複数本の棒材を搬送するチェインコンベアから構成されることを特徴とする請求項1の棒材切断機の棒材供給装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−214553(P2010−214553A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65541(P2009−65541)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【Fターム(参考)】