説明

棒状化粧料テスター

【課題】レフィルを上向きに保持しながらも、操作が簡単で、しかも従来のテスター用展示台がそのまま利用できる棒状化粧料テスターを提供する。
【解決手段】本発明の棒状化粧料テスター10は、レフィル24を収容するレフィルホルダ2の上端に、レフィル24の外筒部25を出入りさせる上側開口2aが形成され、下端に、レフィル挿入用の下側開口2bが設けられ、その側面2cに、案内溝2dが形成されて、上側開口2aの縁部に、蓋体1がヒンジを介して取り付けられている。また、レフィル24の回動操作部27bを保持するアダプタ3は、上記案内溝2dに係合する凸部3dと、展示台のテスター挿入穴に挿通してこのテスター全体を起立状態で支持する筒部4とを備え、上記下側開口2bから挿入されて、スライド自在になっている。この構成により、上向きのレフィル24が、レフィルホルダ2内で昇降自在に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店頭等に展示され、口紅,リップクリーム等の棒状化粧料を繰り出して試用するためのテスターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、口紅等の色見本品を店頭等で展示する際には、図7に示すように、それぞれ色の異なる色見本21を有する複数のテスター20を、展示台30に着脱自在に取り付けることが行われている。上記テスター20は、筒状のレフィルホルダ22を有し、その上側に、口紅の色を有する口紅状の色見本21が取り付けられ、その下側に試供用の筒状カートリッジ(試供品用のレフィル24)が着脱自在に収容されている。このテスター20は、展示台30の上面に設けられたテスター挿入穴30aに、上記試供品用のレフィル24の先端部を差し込むことにより、展示台30に着脱自在に取り付けられている(特許文献1,2等を参照)。
【0003】
このテスター20に収容される試供品用のレフィル24は、図8の分解図のように、外筒(外筒部25)と、らせん状の溝を有する螺旋筒26と、長手(軸)方向の案内溝を有する小径のガイド部27aおよび大径の回動操作部27bからなる内筒(案内筒27)と、外周に上記案内溝と係合する突起を有する繰出筒28とから構成されている。そして、筒状体として組み立てられた状態で、上記外筒と、この外筒の下部から露出する上記案内筒27の回動操作部27bとを相対回転させることにより、上記繰出筒28に端部を保持された口紅を、筒状体の軸方向に昇降させることができるように構成されている(特許文献3,4等を参照)。
【0004】
上記テスター20は、図9の分解図に示すように、色見本21と、それが上面に装着されるレフィルホルダ22と、そのレフィルホルダ22に収容されるアダプタ23と、上記レフィル24とを備えている。このレフィル24は、その筒状体の開口(棒状化粧料の繰出口)を下に向けた状態でアダプタ23に嵌入され、このアダプタ23ごとレフィルホルダ22の下端開口から押し込まれて、上記レフィルホルダ22の内側に下向きに保持されている。
【0005】
また、アダプタ23の内周(筒部の底部近傍)には、上記案内筒27の回動操作部27bのみを固定する複数のリブ(図示省略)が設けられており、上記レフィル24がレフィルホルダ22の内側に下向きに保持された際は、このレフィルホルダ22および上記アダプタ23と、上記レフィル24の回動操作部27bとが一体となって、上記外筒部25に対して相対回転するように構成されている。
【0006】
そして、顧客(ユーザー)が上記テスター20を試用する場合は、このテスター20を展示台30から抜き出して上下を逆にし、図10のように、試供品用のレフィル24を上に向けた状態で、このレフィル24におけるレフィルホルダ22から突出している部位(図中の外筒部25の先端部)と、レフィルホルダ22とを相対回転させて棒状化粧料を繰り出し、試し塗りすることが行われる。
【0007】
なお、試供品用レフィル24が使い尽くされたり、その内部に収容された口紅がすり減って見栄えが悪くなったりしたときは、上記試供品用レフィル24に代えて、市販品(商品)に用いられているカートリッジ(市販品用のレフィル)を、上記レフィルホルダ22に収容して展示する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−117069号公報
【特許文献2】特開平9−322820号公報
【特許文献3】特開2008−183211号公報
【特許文献4】特開2006−204415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、このような口紅テスターの展示においては、通常、図7に示すように、テスター20は、試供品用レフィル24を展示台30のテスター挿入穴30aに差し込んで、その上部の色見本21がユーザーから見えるように載置されるため、下方を向くレフィル24の開口部には、カバーやキャップ等の蓋部材が設けられていない。
【0010】
ところが、近年、密着感やツヤ等を向上させた口紅等、従来よりオイルリッチで低粘度・低融点の棒状化粧料が商品化されたことから、テスターを展示する場所によっては、夏場等の気温の上昇あるいは照明光による温度上昇等により、棒状化粧料が軟化してしまう場合があることが分かってきた。また、この棒状化粧料の粘度が低い場合、あるいは、温度上昇による軟化が極端な場合、展示時に開口を下にして配置されているレフィルから、溶融した棒状化粧料の滴が落下するおそれがあり、最悪の場合、棒状化粧料自身がレフィルから抜け落ちる等の問題が発生する可能性がある。
【0011】
そこで、単にレフィルを上向きに保持するテスターも考えられる。しかしながら、テスターの外形形状を大幅に変更すれば、このテスターを展示する展示台や陳列台等の設計も変更する必要が生じ、過大なコストアップとなる。また、試用に供される棒状化粧料のテスターは、市販品とは異なり、不特定多数の人が使用するため、1)簡単かつ直感的に操作可能であること。2)埃よけに設けた蓋やキャップ等を紛失しない構造であること、3)レフィルの交換が容易で、試供品用および市販品用の両タイプのレフィルに対応できることが求められる。
【0012】
さらに、上記試供品用のレフィルに代えて、市販品用のレフィルをそのまま用いるには、無理嵌めや、別途アダプタを要する等の構造的な問題も生じる。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、レフィルを上向きに保持しながらも、操作が簡単で、しかも従来のテスター用展示台がそのまま利用できる棒状化粧料テスターの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明は、外筒部と回動操作部とを備え、両者の相対回転によってその内部の棒状化粧料を昇降させるレフィルと、上記レフィルとこのレフィル保持用のアダプタを内蔵する筒状のレフィルホルダとを備える棒状化粧料テスターであって、上記レフィルホルダは、その上端に、上記レフィルの外筒部を出入りさせるための上側開口を有し、その下端に、レフィル挿入用の下側開口を有し、その内側面に、上下方向に延びる案内溝が形成され、上記上側開口の縁部には、蓋体がヒンジを介して取り付けられているとともに、上記レフィル保持用のアダプタは、上記レフィルホルダの案内溝に係合する凸部を側面に備え、展示台のテスター挿入穴に挿通してテスター全体を起立状態で支持するための筒部を下側に備え、上記案内溝に沿ったスライド自在になっており、上記レフィルは、その下端の回動操作部が上記アダプタに係合されていて、上記アダプタの筒部の操作により、その全体が上記レフィルホルダ内で昇降自在になっている棒状化粧料テスターを第1の要旨とする。
【0015】
また、本発明は、そのなかでも、上記レフィルホルダの内側面の案内溝が、外部から目視可能になっている棒状化粧料テスターを第2の要旨とする。
【0016】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記アダプタの凸部が、このアダプタの側面に形成された可撓片上に設けられている棒状化粧料テスターを第3の要旨とする。
【0017】
さらにまた、本発明の棒状化粧料テスターは、それらのなかでも、上記蓋体が、色見本部となっている棒状化粧料テスターを第4の要旨とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、化粧料が充填されたレフィルを、従来のような下向きではなく、上向きに収容し、テスターを展示台から抜き出して素早く使用できるようにしたものであって、筒状のレフィルホルダの上端面に、レフィルの外筒部を出入りさせるための上側開口を設け、下端面にレフィル挿入用の下側開口を有し、上記レフィルが、棒状化粧料を上に向けた状態でこのレフィルホルダに収容される。したがって、夏場等の気温の上昇あるいは照明光による温度上昇等により棒状化粧料が軟化した場合でも、液垂れ等の不具合が生じにくい。
【0019】
また、レフィルホルダの上側開口に、それを覆う蓋体を設けたため、レフィルの内部に埃や異物等が入り込むことがない。さらに、アダプタは、上記レフィルを上向きに保持するものであって、下側に、展示台のテスター挿入穴に挿通してテスター全体を起立状態で支持するための筒部を有しているため、従来のテスター用展示台をそのまま利用することができる。
【0020】
また、本発明の棒状化粧料テスターにおいて、上記レフィルホルダの内側面の案内溝が、外部から目視可能になっているときは、レフィルホルダ内部のレフィルを上下にスライドさせる、というこのテスターの操作方法が、試用するユーザーに理解され易く、詳しい説明書き等がなくても、このテスターを直感的に使用できるという利点がある。
【0021】
さらに、本発明の棒状化粧料テスターにおいて、上記アダプタの凸部が、このアダプタの側面に形成された可撓片上に設けられているときは、このアダプタのレフィルホルダに対する着脱を容易に行うことができ、好ましい。
【0022】
さらにまた、本発明の棒状化粧料テスターにおいて、上記蓋体が、色見本部となっているときは、この蓋体を開けることなく、レフィル内部に収容された棒状化粧料の色を、即座に判別することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の棒状化粧料テスターにおいて試供品用のレフィルを収容する例を示す分解斜視図である。
【図2】試供品用のレフィルを収容した棒状化粧料テスターの構造を示す要部断面図である。
【図3】(a),(b)はともに、本実施形態における棒状化粧料テスターの使用方法を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態の棒状化粧料テスターにおいて市販品用のレフィルを収容する例を示す分解斜視図である。
【図5】市販品用のレフィルを収容した棒状化粧料テスターの構造を示す断面図である。
【図6】(a),(b)はともに、本実施形態の棒状化粧料テスターにおけるアダプタの他の形状例を示す斜視図である。
【図7】従来の棒状化粧料テスターの展示方法を示す説明図である。
【図8】試供品用レフィルの構成を示す分解斜視図である。
【図9】試供品用のレフィルを収容した従来の棒状化粧料テスターの構成を示す分解斜視図である。
【図10】従来の棒状化粧料テスターの使用方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本実施形態における棒状化粧料テスターの構成を示す分解斜視図であり、その内部に試供品用のレフィル24を収容した例を示す。なお、ユーザーの操作を考慮して、店頭等で展示台30(図7参照)に載置された状態(各図の図示上下方向)を、そのまま上側および下側として説明する。また、試供品用レフィル24は、従来品と同様の構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0026】
本実施形態における棒状化粧料テスター10は、口紅の色見本品を店頭等で展示する際に用いられる口紅テスターであり、口紅サンプルを収容するレフィル24と、レフィルホルダ2と、蓋体1と、上記レフィルホルダ2の内部に挿入されるアダプタ3と、このアダプタ3に取り付けられる筒部(円筒状のダミー)4とを主体として構成されている。なお、試供品用レフィル24において、符号25は外筒部、27bは回動操作部であり、従来品と同様の機能を有する。また、上記テスター10は、当初、図1のようにアダプタ3に試供品用レフィル24がセットされているが、この試供品用レフィル24内の棒状化粧料が使い尽くされ、これを交換する場合は、アダプタ3に、後述する市販品用レフィル29がセットされる(図4参照)。
【0027】
上記レフィルホルダ2は、外形が多角形状(本実施形態においては四角形状)に形成された有天四角筒状であり、側面(周側壁)2cからなる筒状部と、この筒状部の上面(天井部)に形成された上側開口2aとを備える。また、上記筒状部の上端部の角部には、蓋体取付用の孔を有するヒンジ部2f,2fが設けられているとともに、この筒状部の下端には、下側開口2bになっており、後述するレフィル保持用のアダプタ3を挿入できるようになっている。なお、レフィルホルダ2の相対向する側面2c,2cには、アダプタ3のスライド動作をガイドする案内溝2d,2dがそれぞれ設けられており、この案内溝2dの上下位置には、アダプタ3の位置決め用突起(ストッパー3e,3e)と係合するストッパー穴2e,2eが形成されている。
【0028】
上記蓋体1は、上記レフィルホルダ2と略同じ外形形状(四角形状)に形成されており、その上部には色見本部1aが形成されている。また、その下端の角部からは、上記レフィルホルダ2のヒンジ部2f,2fに係合するヒンジ部1b,1bが下方に延設されており、これらヒンジ部1b,1bに設けられた凸部を、上記レフィルホルダ2のヒンジ部2f,2fの孔にそれぞれ係合させることによって、この蓋体1がレフィルホルダ2に取り付けられ、このレフィルホルダ2の上端面を開閉自在に覆っている。なお、この色見本部1aは、場合によって、口紅等の形状に形成される。
【0029】
また、レフィル保持用のアダプタ3は、上記レフィルホルダ2の筒状部の内部形状に略沿った外形形状(短尺の有天四角筒状)であり、その天井部の中央には、後述する筒部4を取り付けるための係合穴3aが形成されているとともに、その天井部の左右側部に、板状の市販品レフィル用保持部3b,3bが延設されており、これらの間に上記市販品用レフィル29を挟持できるようになっている。なお、これら市販品レフィル用保持部3bには、三つのスリットが設けられ、その間に可撓片3cが形成されている。そして、この可撓片3c上に、先に述べた案内溝2dと係合する凸部3dが設けられているとともに、この凸部3dの上下位置に、アダプタ3の位置決め用ストッパー3e,3eが形成されている。
【0030】
また、上記アダプタ3の筒部4は、展示台30(図7参照)のテスター挿入穴30aに差し込むためのものであって、その上端部には、円周方向に一対の凸条が所定の間隔を空けて形成され、それらの間が円周溝4aとなっている。また、上記筒部4の上部には、この筒部4に可撓性を付与して、上記係合穴3aへの係合を容易にするスリット4b,4bが形成されており、上記円周溝4aを、先に述べたアダプタ3の係合穴3aの縁部に係合させて、上記アダプタ3の下側に一体に取り付けられる。なお、この筒部4の外径(外周面4c)は、上記展示台30のテスター挿入穴30aに挿入することのできる大きさに設定されているとともに、その内径(内周面4d)は、上記試供品用レフィル24の回動操作部27bを嵌合できる大きさに設定されている。そして、上記筒部4は、上記アダプタ3の係合穴3aに係合した状態において、その係合穴周りに回転自在となっている。
【0031】
つぎに、本実施形態における棒状化粧料テスター10を組み立てた状態と、その使用方法について説明する。
【0032】
図2は、本実施形態の棒状化粧料テスター10が展示台30に陳列された状態を示す断面図である。
この図のように、本実施形態における棒状化粧料テスター10は、試供品用レフィル24を、口紅の繰出口(外筒部25の開口)を上に向けた状態で保持するとともに、その下部に配設された筒部4を、展示台30のテスター挿入穴30aに挿通して、テスター10全体が起立状態で支持されている。
【0033】
そして、棒状化粧料テスター10は、上記アダプタ3と一体に配設された筒部4の内周に、このアダプタ3の内部空間を挿通して、試供品用レフィル24の回動操作部27bが圧入され、このレフィル24全体を、上下方向の昇降自在に支持している。
【0034】
上記のような構成の棒状化粧料テスター10をユーザーが使用する場合は、図3(a)のように、まず、上記テスター10を展示台30から抜き出し、レフィルホルダ2の上に位置する蓋体1を回動させて(矢印A)、このレフィルホルダ2の上端面部を露出させる。そして、レフィルホルダ2の下に位置する筒部4を、案内溝2dに沿って押し上げる(矢印B)ことにより、図3(b)のように、レフィルホルダ2上面の上側開口2aから、レフィル24の外筒部25の先端部が突出(露出)する。
【0035】
そして、図3(b)の矢印C,C’のように、上記露出した外筒部25と、上記回動操作部27bが嵌合された筒部4とを把持して、これらを相対回転させることにより、レフィル24内の口紅を容易に繰り出し、試用することができる。
【0036】
なお、このとき、アダプタ3の凸部3dが案内溝2dの上端に達した時点で、上記凸部3dの上側に設けられているストッパー3eが、レフィルホルダ2のストッパー穴2eに係合し、このアダプタ3の上下位置が仮止めされる。そのため、ユーザーが筒部4(アダプタ3)から手を離しても、上記先端が露出したレフィル24が降下してしまうことがない。また、蓋体1がヒンジを介してレフィルホルダ2に接続されていることから、ユーザーが使用中に蓋体1を紛失するおそれがない。
【0037】
つぎに、本実施形態の棒状化粧料テスターにおいて、内部のレフィル24を交換する場合について説明する。
上述のような口紅テスターの展示では、テスター10が長期間展示されていると、試し塗りを繰り返されるために、試供品用レフィル24が使い尽くされたり、その内部に収容された棒状化粧料がすり減って見栄えが悪くなったりする場合がある。このようなときは、レフィルを新しいものと交換する必要が生じる。
【0038】
しかしながら、上記試供品用のレフィル24は、販売促進用として限定生産されたもので再入手が困難である。そこで、上記試供品用のレフィル24に代えて、図4の分解図のように、市販品(商品)に用いられているカートリッジ(市販品用のレフィル29)を上記レフィルホルダ2に保持して展示する場合がある。
【0039】
この市販品用レフィル29は、通常、その回動操作部の周囲に、「袴(ハカマ)」と呼ばれる装飾用の筒状部材(以下「袴部」という)29aが装着されており、この袴部29aの外径は、外筒部25より大径になっている。そのため、この市販品用レフィル29をテスター10に用いる場合は、図5の断面図に示すように、上記袴部29aを、アダプタ3の縁部から上方に突設された市販品レフィル用保持部3b,3bの間に挟持させ、この市販品用レフィル29の繰出口(外筒部25の開口)を上に向けた状態で、上記レフィルホルダ2の下側開口2bから挿入する。
【0040】
上記の構成により、本実施形態における棒状化粧料テスター10は、市販品用レフィル29を使用した場合でも、このレフィル29を、口紅の繰出口を上に向けた状態で保持するとともに、その下部に配設された筒部4を、展示台30のテスター挿入穴30aに挿通して、テスター10全体を起立状態で支持することができる。また、上記レフィル29の袴部29aが、上下方向にスライド自在のアダプタ3に保持されているため、前記試供品用レフィル24同様、このレフィル29全体が、上下方向の昇降自在に支持される。
【0041】
なお、先に述べた試供品用レフィル24を用いた場合と異なり、この市販品用レフィル29の回動操作部(袴部29a)が、上記アダプタ3に直接圧入固定されていることから、この市販品用レフィル29に収容された口紅を繰り出す場合は、レフィルホルダ2上面の上側開口2aから露出したレフィル29の外筒部25と、このレフィルホルダ2本体とを把持して、これらを相対回転させることにより、レフィル29内の口紅を繰り出す。
【0042】
上記の構成により、本実施形態における棒状化粧料テスター10は、各レフィル24,29を上向きに保持することから、低粘度や低融点等の棒状化粧料であっても、これらレフィル24,29から、溶融した棒状化粧料等が落下したりするおそれがない。また、レフィルホルダ2の上面が蓋体1により覆われていることから、その内部に埃等が入り込むことが防止されるとともに、照明光等によるレフィルの温度上昇を抑制することができる。しかも、従来のテスター用展示台30をそのまま利用することができ、展示台や陳列台等の設計を変更する必要がない点で有利である。
【0043】
さらに、本実施形態における棒状化粧料テスター10は、ユーザーが使用中に蓋体1を紛失するおそれがなく、上記案内溝2dが外部から目視可能になっているため、上記蓋体1を開けてから内部のレフィル24,29をスライドさせる、というこのテスター10の操作方法が、試用するユーザーに理解され易い。したがって、本実施形態における棒状化粧料テスター10は、詳しい説明書き等がなくても、直感的に使用できるという利点がある。
【0044】
また、本実施形態における棒状化粧料テスター10は、上記アダプタ3の凸部3dが可撓片3c上に設けられているため、この凸部3dを押し込むだけで、アダプタ3をレフィルホルダ2から容易に抜き取ることができる。したがって、本実施形態の棒状化粧料テスター10は、このアダプタ3あるいは筒部4に嵌合された各レフィル24,29を、簡単に交換することができる点で優れる。
【0045】
なお、上記実施形態においては、メーカーより提供されるレフィル24,29の代表的な形状に合わせて構成した例を示したが、これら試供品用レフィルや市販品用レフィルは、種々の形状や構造等が存在し、試供品用レフィルが提供されない場合もある。
【0046】
そのため、本発明において上記レフィルを嵌合保持する、棒状化粧料テスター10のアダプタ3の形状としては、例えば、図6(a)に示すように、試供品用レフィル24の回動操作部27bを嵌合する下部の筒部4(円筒状のダミー)を、上部のアダプタ3と一体に、かつ、回転不能に成形してもよい。また、その筒部の内部が中空でも中実でも差し支えない。
【0047】
また、図6(b)のように、市販品用レフィル29の袴部29aを嵌合する市販品レフィル用保持部3bを、箱状やその他の形状としてもよく、その形状は、市販品(商品)に合わせて適宜変更すればよい。そして、本発明のアダプタ3において、市販品用レフィル29を使用しないのであれば、当然、市販品レフィル用保持部3bを設ける必要はなく、レフィルホルダ2の案内溝2dに係合する凸部3dの形状,個数や形成位置、および、可撓片3cの形成位置や有無等も任意である。
【0048】
さらに、上記実施形態においては、アダプタ3のスライドをガイドする案内溝2dを、レフィルホルダ2の側面2cを貫通する長孔として形成したが、この案内溝2dは、このレフィルホルダ2の側面2cを必ずしも貫通させる必要はない。例えば、この案内溝2dは、少なくとも上記レフィルホルダ2の内側面側に形成されていればよく、その外側面側を透明にすることによって、レフィルホルダ2外部から目視可能にしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、顧客の試用に供される口紅テスターを例に説明したが、本発明の棒状化粧料テスターは、口紅の他、リップクリーム等、その他のスティック状化粧品のテスターに適用できる。したがって、本発明の棒状化粧料テスターにおけるレフィルホルダや蓋体,アダプタ,ダミー等を構成する材料や、これらの形状も特に限定されず、それらの形状等は、その商品に合わせて適宜変更すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、店頭等に展示されてユーザーが試用することのできる口紅テスターやリップクリームテスター等、不特定多数の人が利用する可能性のある棒状化粧料のテスターに適する。また、顧客に販売される市販品(商品)の棒状化粧料容器に使用することもできる。
【符号の説明】
【0051】
1 蓋体
2 レフィルホルダ
2a 上側開口
2b 下側開口
2c 側面
2d 案内溝
3 アダプタ
3d 凸部
4 筒部
10 テスター
24 レフィル
25 外筒部
27b 回動操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒部と回動操作部とを備え、両者の相対回転によってその内部の棒状化粧料を昇降させるレフィルと、上記レフィルとこのレフィル保持用のアダプタを内蔵する筒状のレフィルホルダとを備える棒状化粧料テスターであって、上記レフィルホルダは、その上端に、上記レフィルの外筒部を出入りさせるための上側開口を有し、その下端に、レフィル挿入用の下側開口を有し、その内側面に、上下方向に延びる案内溝が形成され、上記上側開口の縁部には、蓋体がヒンジを介して取り付けられているとともに、上記レフィル保持用のアダプタは、上記レフィルホルダの案内溝に係合する凸部を側面に備え、展示台のテスター挿入穴に挿通してテスター全体を起立状態で支持するための筒部を下側に備え、上記案内溝に沿ったスライド自在になっており、上記レフィルは、その下端の回動操作部が上記アダプタに係合されていて、上記アダプタの筒部の操作により、その全体が上記レフィルホルダ内で昇降自在になっていることを特徴とする棒状化粧料テスター。
【請求項2】
上記レフィルホルダの内側面の案内溝が、外部から目視可能になっている請求項1記載の棒状化粧料テスター。
【請求項3】
上記アダプタの凸部が、このアダプタの側面に形成された可撓片上に設けられている請求項1または2記載の棒状化粧料テスター。
【請求項4】
上記蓋体が、色見本部となっている請求項1〜3のいずれか一項に記載の棒状化粧料テスター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−172676(P2011−172676A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37983(P2010−37983)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)