棒状化粧料繰出容器
【課題】進退限のクラッチ動作を行いつつ全方向の外力を吸収し棒状化粧料を保護する。
【解決手段】容器前部1と容器後部2の相対回転により、後部2の噛合部2cと雌螺子部材4の噛合部4cを軸線周りに噛合させ、移動体3の雄螺子3e及び雌螺子部材4の雌螺子4eより成る螺合部を働かせ移動体3を進退させて化粧料Mを容器先端から出没させ、後退限の移動体3に過大回転トルクが作用すると、相対回転時に噛合部2c,4cの噛合が可能となるように噛合部4cを噛合部2cに向けて付勢すると共に付勢方向とは反対方向への移動が阻止され噛合部2cとの間に挟持された第一バネ部4aの縮伸により噛合部2c,4cの噛合解除/復帰を行うクラッチ動作を支障なく行わせる。また、径方向外力及び軸線方向外力を、径方向の撓み(曲げ)、その伸縮が規制されていない第二バネ部4bにより十分に吸収させ、全方向の外力をこれまで以上に吸収させるのを可能とする。
【解決手段】容器前部1と容器後部2の相対回転により、後部2の噛合部2cと雌螺子部材4の噛合部4cを軸線周りに噛合させ、移動体3の雄螺子3e及び雌螺子部材4の雌螺子4eより成る螺合部を働かせ移動体3を進退させて化粧料Mを容器先端から出没させ、後退限の移動体3に過大回転トルクが作用すると、相対回転時に噛合部2c,4cの噛合が可能となるように噛合部4cを噛合部2cに向けて付勢すると共に付勢方向とは反対方向への移動が阻止され噛合部2cとの間に挟持された第一バネ部4aの縮伸により噛合部2c,4cの噛合解除/復帰を行うクラッチ動作を支障なく行わせる。また、径方向外力及び軸線方向外力を、径方向の撓み(曲げ)、その伸縮が規制されていない第二バネ部4bにより十分に吸収させ、全方向の外力をこれまで以上に吸収させるのを可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧料を出没可能とする棒状化粧料繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状化粧料繰出容器として、以下の特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載の棒状化粧料繰出容器は、棒状化粧料を保持する保持体と、この保持体の後端側(裏面側)に同軸に離間して配置された支持軸とを別体に形成し、保持体から支持軸に向かって突出形成した球形係合部を、支持軸の保持体側に設けた係合受部のその内部に挿入挟持すると共に回動可能に係合し、保持体と係合受部とを球形係合部を介して摺動且つ/又は折り曲げ可能に接続する構成を有し、繰出容器に棒状化粧料の折損、抜け落ち等が生じる衝撃が加えられたり、使用時に棒状化粧料が強く押圧されると、この衝撃や押圧に対応して球形係合部が係合受部内で回動折曲したり摺動することで衝撃を吸収できるというものである。
【0003】
しかしながら、上記棒状化粧料繰出容器にあっては、軸線方向に直交する径方向から棒状化粧料が折損するような衝撃や押圧や振動を受けた場合、球形係合部が係合受部内で回動折曲し棒状化粧料を保護できるが、衝撃後に球形係合部は自力では元に戻ることはできないため、折曲状態で棒状化粧料を使用することになり、使用が難しくなると共に、棒状化粧料が破損する虞があった。加えて、繰出容器に対して軸線方向に衝撃や押圧や振動が作用した場合、これを十分に吸収できないという問題があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決する棒状化粧料繰出容器として、以下の特許文献2に記載のものが知られている。この特許文献2に記載の棒状化粧料繰出容器は、容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持し外周部に雄螺子を備えた移動体と、容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、容器前部と容器後部の相対回転によって、雄螺子及び雌螺子より構成された螺合部が働いて移動体が進退し棒状化粧料が容器先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、容器後部は、その内周部に一方の噛合部を有し、雌螺子部材は、その後端側に設けられ一方の噛合部に対し軸線周りに噛合したときに容器後部に軸線周りに同期回転可能に連結される他方の噛合部と、他方の噛合部より前側に設けられ前進が阻止された前記雌螺子と、軸線方向において雌螺子と他方の噛合部との間に設けられ、相対回転時に他方の噛合部と一方の噛合部との軸線周りの噛合が可能となるように他方の噛合部を後方に向けて付勢するバネ部と、を有する構成であり、移動体が進退限に達しさらに移動体をそれ以上進めようとする相対回転力が付与され移動体に過大な回転トルクが作用すると、雌螺子部材のバネ部が前方へ縮退し両噛合部の噛合が解除されてその後復帰する所謂クラッチとして機能すると共に、棒状化粧料繰出容器を例えば落下させる等し衝撃や振動が作用した場合は、雌螺子部材のバネ部の緩衝作用により衝撃や振動が吸収されて棒状化粧料を保護できる棒状化粧料繰出容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−245623号公報
【特許文献2】特許第4205132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2にあっても、径方向に作用する外力は十分に吸収できないという問題があった。また、特許文献2にあっては、例えば落下等により繰出容器に対して軸線方向に衝撃が作用した場合で特に軸線方向後方へ向かう衝撃が作用した場合には、バネ部は後方へ縮退して雌螺子は後方へ移動しこれに螺合する雄螺子を有する移動体も後方へ移動し、バネ部の伸縮に従って棒状化粧料が前後に移動しながら当該棒状化粧料への衝撃を吸収できるが、例えば落下等により特に軸線方向前方へ向かう衝撃が作用した場合には、雌螺子の前進が阻止されているため、これに螺合する雄螺子を有する移動体も前方へ移動することができず、衝撃を吸収することができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、進退限でのクラッチ動作を支障なく行いつつ、径方向及び軸線方向、すなわち全方向の衝撃や押圧や振動等の外力をこれまで以上に吸収でき、棒状化粧料を十分に保護できる棒状化粧料繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による棒状化粧料繰出容器は、容器前部及び容器後部を備えた筒状の容器と、容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持し外周部に雄螺子を備えた移動体と、容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、容器前部と容器後部の相対回転によって、雄螺子及び雌螺子より構成された螺合部が働いて移動体が進退し棒状化粧料が容器先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、容器後部は、その内周部に一方の噛合部を備え、雌螺子部材は、軸線方向に沿って、一方の噛合部と噛合可能な他方の噛合部、軸線方向に伸縮可能な第一のバネ部及び第二のバネ部、雌螺子を備え、他方の噛合部は、一方の噛合部に対し軸線周りに噛合したときに容器後部に軸線周りに同期回転可能に連結され、第一のバネ部は、相対回転時に他方の噛合部と一方の噛合部との軸線周りの噛合が可能となるように他方の噛合部を一方の噛合部に向けて付勢すると共に、付勢方向とは反対方向への移動が阻止されて一方の噛合部との間に挟持される一方で、移動体が後退限に達しさらに後退させようとする過大な回転トルクが作用すると、両噛合部の軸線周りの噛合が解除されるように縮退することを特徴としている。
【0009】
このような棒状化粧料用繰出容器によれば、容器前部と容器後部が相対回転されると、容器後部の一方の噛合部と雌螺子部材の他方の噛合部とが軸線周りに噛合し、雌螺子部材が容器後部に軸線周りに同期回転可能に連結され、容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされた移動体のその雄螺子、及び、容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ上記噛合により容器後部に同期回転可能に連結された雌螺子部材のその雌螺子より成る螺合部が働いて移動体が進退し、移動体の先端に支持された棒状化粧料が容器先端の開口から出没する一方で、移動体が進退限である後退限に達しさらに移動体をそれ以上進めようとする相対回転力が付与され移動体に過大な回転トルクが作用すると、付勢方向とは反対方向への移動が阻止されて一方の噛合部との間に挟持されている雌螺子部材の第一のバネ部は付勢方向とは反対方向へ縮退し雌螺子部材の他方の噛合部が雌螺子部材の第一のバネ部の付勢力に抗して軸線方向に移動しつつ両噛合部の軸線周りの噛合が解除され、続いて、雌螺子部材の他方の噛合部が雌螺子部材の第一のバネ部の付勢力により一方の噛合部に向けて移動して両噛合部の噛合が軸線周りの隣の噛合位置で復帰し、このように第一のバネ部が、後退限でのクラッチ動作を担うことで、クラッチ動作が支障なく行われる。また、軸線方向に直交する径方向からの衝撃や押圧や振動等の外力は、径方向の撓み(曲げ)が規制されていない第二のバネ部により十分に吸収されると共に、軸線方向に作用する外力は、その伸縮が規制されていない第二のバネ部により十分に吸収され、加えて、例えば落下等により繰出容器に対して軸線方向前後の何れの方向に衝撃が作用しても、第二のバネ部は軸線方向に伸縮しこれに伴い雌螺子も軸線方向前後に移動しこれに従い雌螺子に螺合する雄螺子を有する移動体も前後に移動しながら、棒状化粧料への衝撃が吸収される。このように第二のバネ部が、径方向及び軸線方向、すなわち全方向の衝撃や押圧や振動等の外力の吸収を担うことで、これらの外力がこれまで以上に吸収され、棒状化粧料が十分に保護される。また、筆圧が過剰に作用した場合には、その筆圧は第二のバネ部により十分に吸収され、棒状化粧料へのダメージが低減される。さらにまた、容器後部と同期回転される雌螺子部材の第一のバネ部は、挟持される構成のため、第一のバネ部を縮ませ発生させた力により、相対回転時に所望の回転抵抗(作動抵抗)が得られ、特許文献2に記載されている回転抵抗付与部が不要とされる。
【0010】
ここで、移動体が前進限に達しさらに前進させようとする過大な回転トルクが作用した場合に、クラッチ動作を支障なく行い得る構成としては、具体的には、第二のバネ部は、螺合部の螺合が解除されるように縮退する構成が挙げられる。
【0011】
また、移動体が前進限に達しさらに前進させようとする過大な回転トルクが作用した場合に、クラッチ動作を支障なく行い得る他の構成としては、具体的には、第一のバネ部は、両噛合部の軸線周りの噛合が解除されるように縮退する構成が挙げられる。
【0012】
さらに、第一のバネ部と第二のバネ部との間には、これらを繋ぐと共に移動体が挿通する鍔部が設けられ、鍔部の前側の面と容器前部の挿入部の後端面には、移動体を繰り出し又は繰り戻すべく容器前部と容器後部の一方向である繰り出し方向又は一方向の反対方向である繰り戻し方向の相対回転に伴いクリック係合するクリック歯がそれぞれ設けられる構成が挙げられる。この場合、繰り出し方向又は繰り戻し方向への相対回転に従い、使用者には適度なクリック感が与えられ、相対回転の度合いや移動体の移動具合が使用者に感知される。このため、容器前部と容器後部とが繰り出し方向へ相対回転される場合には、棒状化粧料が適度に押し出されるため出し過ぎが防止されて、棒状化粧料が折れることを防止する。また、容器前部と容器後部とが繰り戻し方向へ相対回転される場合には、棒状化粧料の戻し過ぎが防止され、次回の使用時に棒状化粧料がなかなか出現しないということの防止が図られる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、進退限でのクラッチ動作を支障なく行いつつ、全方向の衝撃や押圧や振動等の外力をこれまで以上に吸収でき棒状化粧料を十分に保護でき、加えて、筆圧過剰の場合の棒状化粧料のダメージを低減できると共に相対回転時の所望の回転抵抗を回転抵抗付与部がなくても得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の初期状態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す状態からキャップが取り外され使用者の操作により棒状化粧料支持体が前進限に達したときの縦断面図である。
【図3】図1及び図2中の本体筒を示す縦断面図である。
【図4】図1及び図2中の雌螺子部材を示す斜視図である。
【図5】図4に示す雌螺子部材の側面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】図6のVII-VII矢視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の初期状態を示す縦断面図である。
【図9】図8中の雌螺子部材を示す斜視図である。
【図10】図9に示す雌螺子部材の側面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の雌螺子部材を示す斜視図である。
【図12】第3実施形態に係る先筒を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による棒状化粧料繰出容器の好適な実施形態について図1〜図12を参照しながら説明する。図1〜図7は、本発明の第1実施形態を、図8〜図10は、本発明の第2実施形態を、図11及び図12は、本発明の第3実施形態を、各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
先ず、図1〜図7に示す第1実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の初期状態を示す縦断面図、図2は、初期状態から棒状化粧料支持体が前進限に達したときの縦断面図、図3は、本体筒を示す縦断面図、図4〜図7は、雌螺子部材を示す各図であり、本実施形態の棒状化粧料繰出容器は、例えば、アイライナー、アイブロー、リップライナー、コンシーラー等を始めとした種々の棒状化粧料を収容し、使用者が必要に応じて適宜出没可能とするものである。
【0018】
図1に示すように、棒状化粧料繰出容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状(スティック状)を成し良好な外観を呈するもので、容器前部を構成する先筒1と、容器後部を構成する本体筒2と、を外形構成として具備し、これらの先筒1及び本体筒2内に、棒状化粧料Mと、これを支持する移動体である棒状化粧料支持体3と、螺合部(螺合機構)を構成する雌螺子部材4とを収容する。
【0019】
本体筒2は、有底円筒状を成し、図3に示すように、その後半部の内周面に、底部から軸線方向前側へ延びる突条2aを周方向に沿って複数(ここでは4個)備えている。この突条2aの先端部2cは、雌螺子部材4を軸線周りに同期回転可能に連結するための噛合部(一方の噛合部)であり、山型状(くの字状)を成しその頂部が前方を向く構成とされている。そして、この噛合部2cによりクラッチ機構の一方が構成されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、先筒1は、軸線方向中程の外周面に段差部1aを有する段付き円筒状に構成され、この段差部1aより後側の円筒部が、本体筒2に挿入される挿入部1bとされている。この先筒1の軸線方向に貫通する筒孔は、先端から後端部辺り迄が、棒状化粧料Mを収容し摺動可能とする棒状化粧料孔1cとされ、この棒状化粧料孔1cの終端から先筒1の後端迄が、雌螺子部材4の前半部を収容するための孔とされ、この孔の直径は、棒状化粧料孔1cの直径より大きくされている。先筒1には、棒状化粧料孔1cの先端近傍から当該棒状化粧料孔1cの後端に亘って当該棒状化粧料孔1cの周面の複数箇所(ここでは三等配の位置)に、棒状化粧料支持体3の後述する支持片3dを収容し摺動可能とする支持片溝1dが連設され、これらの棒状化粧料孔1c及び支持片溝1dにより、棒状化粧料M及び支持片3dが摺動する進退孔1eが構成されている。なお、後述の図8に示す第2実施形態のように、雌螺子部材14(4)の一部が棒状化粧料孔1c内に収容されていても良い。
【0021】
そして、先筒1は、その挿入部1bが本体筒2の先端側に内挿され、その段差部1aが本体筒2の先端面に突き当てられ、本体筒2の先端部内周面の凹状係合部に先筒1の外周面の凸状係合部が軸線方向に係合することで、本体筒2に軸線周りに回転可能且つ軸線方向に離脱不能に装着されている。
【0022】
棒状化粧料支持体3は、棒状化粧料Mの後端部を支持するための支持部3aと、この支持部3aより後側の軸体部3bと、を備えている。軸体部3bは、軸線方向に延在する軸体であり、当該軸体部3bの外周面には、螺合部の一方を構成する雄螺子3eが軸線方向に延びるように設けられている。支持部3aは、その外形が棒状化粧料Mの外形に略一致し、棒状化粧料Mの後端面を突き当てるための基部3cと、この基部3cにおける外周面の周方向の複数位置(ここでは三等配の位置)に先端側に向かって突出するように設けられ、基部3cに突き当てられた棒状化粧料Mの後端部を相互間に挟んで支持する支持片3dと、を備えている。
【0023】
そして、棒状化粧料支持体3は、その基部3cが先筒1の棒状化粧料孔1cに進入すると共にその支持片3dが先筒1の支持片溝1dに進入するようにして、進退孔1eに内挿されている。従って、棒状化粧料支持体3の支持片3dが進入する支持片溝1dが、棒状化粧料支持体3の回り止めとされて棒状化粧料支持体3を軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能に係合すると共に、支持片溝1dの先端面1hが、棒状化粧料支持体3の支持片3dの先端面が突き当たる棒状化粧料支持体3の前進限とされている。
【0024】
特に本実施形態の特徴を成す雌螺子部材4は、螺合部及びクラッチ機構を構成するもので、樹脂による一体成形品とされ、図4〜図7に示すように、略円筒状に構成され、その後端側から先端側に向かって、噛合部4c、軸線方向に伸縮可能な第一のバネ部4a及び第二のバネ部4b、螺子筒部4dをこの順に具備している。
【0025】
螺子筒部4dは、図4及び図7に示すように、その前側の内周面に、螺合部の他方を構成し棒状化粧料支持体3の雄螺子3eに螺合する一対の螺合突起4e,4eを雌螺子として備えている。
【0026】
図4〜図7に示すように、噛合部4cは、本体筒2の噛合部2cに軸線周りに噛合するための噛合部(他方の噛合部)であり、山型状(くの字状)を成しその頂部が後方を向く構成とされ、周方向に沿って複数位置(ここでは8等配の位置)に配設されている。
【0027】
第一のバネ部4aは、軸線方向に離間して並ぶ複数の円環部4mを、軸線方向に延び対向する一対の連結部4n,4nで連結したもので、当該一対の連結部4n,4nは、軸線方向に隣り合う一対の連結部4n,4nに対して、軸線周りに90°互いにずれて配設されている。この第一のバネ部4aは、噛合部4cを後方に付勢し当該噛合部4cを本体筒2の噛合部2cに噛合させる圧縮バネとして機能するものであり、従って、第一のバネ部4a及び噛合部4cによりクラッチ機構の他方が構成されている。
【0028】
第二のバネ部4bは、第一のバネ部4aより小径の圧縮バネであり、ほぼ螺旋状のスリット4pを備え二条螺子状に構成されており、このスリット4pにより、軸線方向に沿って傾斜する傾斜部4qと、この傾斜部4qに続き軸線周りに(軸線に直交する面内で)湾曲する円弧部4rとを軸線方向に沿って交互に有する構成とされている。そして、この第二のバネ部4bは、ここでは、第一のバネ部4aより軸線方向及び径方向の変化量が大きくされている。
【0029】
また、第一のバネ部4aと第二のバネ部4bとの間には鍔部4gが設けられている。この鍔部4gは、その前側の面に先筒1の挿入部1bの後端面が突き当たるもので、円環状に構成されている。そして、雌螺子部材4の鍔部4gより前側の筒部分である螺子筒部4d及び第二のバネ部4bが、先筒1の挿入部1bに挿入される挿入部とされている。
【0030】
これらの噛合部4c、第一のバネ部4a、鍔部4g、第二のバネ部4b及び螺子筒部4dを有する雌螺子部材4は、図1及び図2に示すように、本体筒2に内挿されると共に、その鍔部4gより前側の筒部分である螺子筒部4d及び第二のバネ部4bが、先筒1の挿入部1bに内挿され、雌螺子部材4の鍔部4gの前面が先筒1の挿入部1bの後端面に当接することで、第一のバネ部4aは、先筒1の挿入部1bに前進が阻止されて当該挿入部1bと本体筒2の噛合部2cとの間に挟持され、この挟持された第一のバネ部4aの付勢力により、雌螺子部材4の噛合部4cと本体筒1の噛合部2cとが先筒1と本体筒2との相対回転時に軸線周りに噛合し雌螺子部材4は本体筒2に対して同期回転可能とされる一方で、雌螺子部材4は先筒1に対して軸線周りに回転可能とされると共に、雌螺子部材4の第二のバネ部4b及び螺子筒部4dは、径方向の撓み(曲げ)、及び、軸線方向の伸張、縮退が規制されていない状態とされている。このような状態にあって、雌螺子部材4内に棒状化粧料支持体3の軸体部3bが進入し、雌螺子部材4の内周面の螺合突起4e,4eに、軸体部3bの外周面の雄螺子3eが螺合する状態とされている。
【0031】
そして、螺子筒部4dの先端面が、棒状化粧料支持体3の基部3cの後端面が突き当たり棒状化粧料支持体3の後退限とされている。
【0032】
このように構成された棒状化粧料繰出容器100にあっては、第一のバネ部4aは、その前進が阻止されて本体筒2の噛合部2cとの間に挟持され、先筒1と本体筒2との相対回転時において雌螺子部材4の噛合部4cと本体筒2の噛合部2cとが軸線周りに噛合可能とされているため、使用者により、図1に示すキャップ6が取り外されて先筒1と本体筒2とが一方向である繰り出し方向に相対回転されると、両噛合部2c,4cが軸線周りに噛合して雌螺子部材4が本体筒2に軸線周りに同期回転可能に連結され、先筒1に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされた棒状化粧料支持体3のその雄螺子3e、及び、先筒1に対し軸線周りに回転可能とされると共に上記噛合により本体筒2に同期回転可能に連結された雌螺子部材4のその螺合突起4eより成る螺合部が働き、棒状化粧料支持体3が前進し、棒状化粧料Mが先筒1の先端の開口1gから出現し使用状態とされる。
【0033】
また、使用者により先筒1と本体筒2とが一方向の反対方向である繰り戻し方向に相対回転されると、棒状化粧料支持体3が後退し、棒状化粧料Mが先筒1の先端の開口1gから没入する。
【0034】
ここで、図1に示すように、棒状化粧料支持体3の基部3cの後端面が螺子筒部4dの先端面に突き当たって棒状化粧料支持体3が後退限に達し、この後退限でさらに棒状化粧料支持体3をそれ以上後退させようとする相対回転力が付与され過大な回転トルクが作用すると、雌螺子部材4の鍔部4gが先筒1の挿入部1bの後端面に当接し第一のバネ部4aの前進が阻止されているため、雌螺子部材4の第一のバネ部4aが前方に縮退し雌螺子部材4の噛合部4cが雌螺子部材4の第一のバネ部4aの付勢力に抗して前進しつつ噛合部2c,4c同士の噛合が解除され、解除されると、雌螺子部材4の噛合部4cが雌螺子部材4の第一のバネ部4aの付勢力により後退して噛合部2c,4cの噛合が回転方向の隣の噛み合い位置で復帰し、所謂クラッチとして機能する。
【0035】
一方、図2に示すように、棒状化粧料支持体3の支持片3dの先端面が支持片溝1dの先端面1hに突き当たって棒状化粧料支持体3が前進限に達し、この前進限でさらに棒状化粧料支持体3をそれ以上前進させようとする相対回転力が付与され過大な回転トルクが作用した場合には、本実施形態では、雌螺子部材4の噛合部4cと本体筒2の噛合部2cの噛合をきつくしているため、この噛合部2c,4cの噛合が解除される前に、前進が阻止されている棒状化粧料支持体3の雄螺子3eに螺合していた雌螺子部材4の螺合突起4eが雄螺子3に対する螺合を解除するように、螺子筒部4dが第二のバネ部4bを縮退させながら後方に後退し、螺合が解除されると、第二のバネ部4bの付勢力により螺子筒部4dが前進して螺合突起4eと雄螺子3eとの螺合が回転方向の隣の螺合位置で復帰しクラッチとして機能する。
【0036】
なお、このように、本実施形態では、雌螺子部材4の噛合部4cと本体筒2の噛合部2cの噛合をきつくしているため、棒状化粧料支持体3が前進限に達しこの前進限でさらに棒状化粧料支持体3をそれ以上前進させようとする相対回転力が付与され過大な回転トルクが作用した場合、第二のバネ部4bが、螺合部3e,4eの螺合が解除されるように縮退し、螺合解除後に伸張して螺合復帰するクラッチとして機能するようにしているが、雌螺子部材4の噛合部4cと本体筒2の噛合部2cの噛合を上記より緩くし、前述した後退限の場合と同様に、第一のバネ部4aが、両噛合部2c,4cの軸線周りの噛合が解除されるように縮退し、噛合解除後に伸張して噛合復帰するクラッチとして機能するように構成しても良く、何れの構成を採用するようにしても良い。因みに、本実施形態においては、螺合部3e,4eがクラッチする場合には、1回転の回転操作で2回クリック感が生じ、噛合部2c,4cがクラッチする場合には、1回転の回転操作で8回クリック感が生じる。
【0037】
このように、本実施形態においては、後退限で第一のバネ部4aがクラッチ動作を担い、前進限では第二のバネ部4b又は第一のバネ部4aがクラッチ動作を担うことで、進退限でのクラッチ動作が支障なく行われる。その結果、部品に過負荷が作用することがなく、部品の損傷を防止できる。
【0038】
また、本実施形態においては、例えば、落下等による衝撃や、ハンドバックに入れていて誤ってハンドバック外からされた押圧や、振動等の種々の外力が棒状化粧料繰出容器100に作用し、特に、容器100の軸線方向に直交する径方向から外力が作用した場合には、当該外力は、棒状化粧料支持体3の雄螺子3eと螺合する雌螺子4eと前進が阻止された第一のバネ部4aとの間に位置し径方向の撓み(曲げ)が規制されていない第二のバネ部4bにより十分に吸収される。具体的には、第二のバネ部4bが径方向に湾曲した後、自身の弾性力で元の形状に復帰することで、径方向の外力が吸収される。加えて、第二のバネ部4bは径方向の変化量が大きくされているため、径方向の外力は、一層十分に吸収される。
【0039】
また、上記外力が、特に、容器100の軸線方向に作用した場合には、当該外力は、軸線方向の伸張、縮退が規制されていない第二のバネ部4bにより十分に吸収される。加えて、第二のバネ部4bは軸線方向の変化量が大きくされているため、軸線方向の外力は、一層十分に吸収される。
【0040】
加えて、例えば落下等により容器100に対して軸線方向前後の何れの方向に衝撃が作用しても、第二のバネ部4bは軸線方向の伸張、縮退が規制されていないため、軸線方向に伸縮しこれに伴い螺子筒部4dの雌螺子4eも軸線方向前後に移動しこれに従い雌螺子4eに螺合する雄螺子3eを有する棒状化粧料支持体3も前後に移動しながら、棒状化粧料Mへの衝撃が吸収される。なお、従来の特許文献2の棒状化粧料繰出容器では、前述したように、棒状化粧料に対する軸線方向後方への衝撃はバネ部により吸収できるが、軸線方向前方への衝撃はバネ部により吸収できない。
【0041】
斯くの如く、第二のバネ部4bが、径方向及び軸線方向、すなわち全方向の衝撃や押圧や振動等の外力の吸収を担うことで、これらの外力がこれまで以上に吸収され、その結果、棒状化粧料を十分に保護できる。
【0042】
また、筆圧が過剰に作用した場合には、その筆圧は第二のバネ部4bにより十分に吸収されることになり、棒状化粧料Mへのダメージを低減できる。
【0043】
さらにまた、容器後部を構成する本体筒2と同期回転される雌螺子部材4の第一のバネ部4aは、先筒1の挿入部1bと本体筒2の噛合部2cとの間に挟持される構成のため、第一のバネ部4aを縮ませ発生させた力により、相対回転時に所望の回転抵抗(作動抵抗)が得られる。その結果、特許文献2に記載されている回転抵抗付与部を不要にできる。
【0044】
このように、本実施形態によれば、機能の異なる第一のバネ部4aと第二のバネ部4bを並設することで、種々の多大なる効果を得ることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、特に好ましいとして、第二のバネ部4bは、第一のバネ部4aより軸線方向及び径方向の変化量が大きくされているが、このような設定に限定されるものではなく、第一のバネ部4aは、先筒1の挿入部1bと本体筒2の噛合部2cとの間に挟持される構成のため、この挟持力を調整(設定)することによりクラッチ機能を発揮できれば良く、また、第二のバネ部4bは、径方向の撓み(曲げ)、及び、軸線方向の伸縮が規制されていなければ(フリーであれば)、径方向、軸線方向の外力を十分に吸収できる。
【0046】
また、本実施形態の棒状化粧料繰出容器100にあっては、以下の効果もある。すなわち、雌螺子部材4が、後端側から先端側に向かって、噛合部4c、第一、第二のバネ部4a,4b及び螺子筒部4dを、この順に備えた樹脂による一体成形品であるため、部品点数が低減され、製造コストの低減が図られている。
【0047】
また、進退限でのクラッチ動作時に、棒状化粧料支持体3が軸線方向に移動しないことから、棒状化粧料支持体3に支持された棒状化粧料Mが、先筒1の先端の開口1gから出入りすることがなく、従って、見映えが向上されている。
【0048】
図8は、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の初期状態を示す縦断面図、図9は、図8中の雌螺子部材を示す斜視図、図10は、図9に示す雌螺子部材の側面図である。
【0049】
第2実施形態の棒状化粧料繰出容器200が第1実施形態の棒状化粧料繰出容器100と違う点は、雌螺子部材4に代えて、第二のバネ部の構成が異なる雌螺子部材14を用いた点である。
【0050】
図9及び図10に示すように、雌螺子部材14の第二のバネ部14bは、一条螺子状に構成されたバネであり、図8に示すように、棒状化粧料繰出容器200においては、棒状化粧料支持体3の雄螺子3eを囲繞する(巻き付く)ように配置される。
【0051】
このような一条螺子状の第二のバネ部14bを有する雌螺子部材14を、二条螺子状の第二のバネ部4bを有する雌螺子部材4に代えて用いても、第1実施形態と同様な作用・効果を奏するというのはいうまでもない。
【0052】
図11は、本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の雌螺子部材を示す斜視図、図12は、先筒を示す斜視図である。
【0053】
この第3実施形態の棒状化粧料繰出容器が第2実施形態の棒状化粧料繰出容器200と違う点は、図11及び図12に示すように、繰り出し方向又は繰り戻し方向の相対回転時にクリック感を与えるための先筒21及び雌螺子部材24を用いた点である。具体的には、先筒1に代えて、後端面にクリック歯21kを有する先筒21を用い、雌螺子部材14に代えて、第一のバネ部4aと第二のバネ部14bとの間を繋ぎ前進が阻止されている鍔部4gのその前端面に、クリック歯21kと噛み合うクリック歯24kを有する雌螺子部材24を用いた点である。
【0054】
すなわち、先の実施形態で、先筒21の挿入部1bの後端面に突き当たるように設けられている雌螺子部材24の鍔部4gの前側の面には、クリック歯24kが設けられると共に、先筒21の挿入部1bの後端面には、これに噛合するクリック歯21kが設けられている。これらのクリック歯21k,24kは、周方向に沿って登り傾斜と下り傾斜を有する山型に形成され、ここでは、クリック歯21kは、周方向に連続して設けられ、クリック歯24kは、周方向に沿って2等配の位置に設けられる。
【0055】
そして、先筒21と本体筒2との繰り出し方向又は繰り戻し方向の相対回転時に、クリック歯21k,24kが噛み合ってクリック感が生じ、使用者には相対回転時に適度なクリック感が与えられる。
【0056】
このように、クリック感が生じることにより、繰り出し方向/繰り戻し方向への相対回転の度合いや移動体3の移動具合が使用者に感知される。このため、先筒21と本体筒2とが繰り出し方向へ相対回転される場合(移動体3が前進する場合)には、棒状化粧料Mが適度に押し出されるため出し過ぎが防止されて、棒状化粧料Mが折れることを防止する。そして、先筒21と本体筒2とが繰り戻し方向へ相対回転される場合(移動体3が後退する場合)には、棒状化粧料Mの戻し過ぎが防止され、次回の使用時に棒状化粧料Mがなかなか出現しないということの防止が図られる。
【0057】
なお、第3実施形態の構成、具体的にはクリック歯を有する構成は、第1実施形態にも適用可能である。因みに、クリック歯21k,24kの形状、配置及び個数は、上記のものに限定されるものではなく、繰り出し方向又は繰り戻し方向の相対回転によりクリック係合するものであれば良い。
【0058】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好適であるとして、雌螺子部材4(14)が、その後端側から先端側に向かって、噛合部2cと噛合可能な噛合部4c、第一のバネ部4a、第二のバネ部4b(14b)、雌螺子4eをこの順に備えているが、噛合部2cを前側に設け、雌螺子部材が、その先端側から後端側に向かって、噛合部2cと噛合可能な噛合部4c、第一のバネ部4a、第二のバネ部4b(14b)、雌螺子4eをこの順に備え(噛合部4c、第一のバネ部4a、第二のバネ部4b(14b)、雌螺子4eの軸線方向での順序を上記とは逆とし)、当該雌螺子部材の第一のバネ部4aが、噛合部4cを付勢する付勢方向とは反対方向への移動(後退)が阻止されて一方の噛合部2cとの間に挟持される構成としても、上記実施形態と同様な作用・効果を奏する。この場合は、雌螺子部材4(14)の前半部を先筒1内には収容せずに本体筒2内に収容するようにし、本体筒2の前側に噛合部2cを設けると共に、噛合部4cを付勢する付勢方向(前方)とは反対方向への第一のバネ部4aの移動(後退)を阻止し当該第一のバネ部4aを噛合部2cとの間に挟持する部材を、本体筒2内に追加することになる。さらにまた、雌螺子部材を、その先端側から後端側に向かって、第一のバネ部4a、噛合部2cと噛合可能な噛合部4c、第二のバネ部4b(14b)、雌螺子4eの順に備える構成とすることもできる。この場合も、雌螺子部材の前半部を先筒1内には収容せずに本体筒2内に収容するようにし、噛合部4cを、その山型状(くの字状)の頂部が後方を向く構成とすると共に、これに噛み合う噛合部2cを本体筒2側に設け、噛合部4cを付勢する付勢方向(後方)とは反対方向への第一のバネ部4aの移動を阻止し当該第一のバネ部4aを噛合部2cとの間に挟持する構成とすれば良い。
【0059】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、雌螺子部材4,14,24を樹脂による一体成形品としているが、例えば金属等の一体成形品でも良く、また、雌螺子部材4,14,24は樹脂や金属等の一体成形品でなくても良い。
【0060】
また、雌螺子部材4,14,24の噛合部4cに噛み合うのは本体筒2の噛合部2cに限定されるものではなく、容器後部を構成する部品に設けられた噛合部であれば良い。
【0061】
また、雄螺子、雌螺子は、間欠的に配される突起群又は螺旋状且つ間欠的に配される突起群のように螺子山と同様な働きをするものであれば良く、また、螺合突起は、連続する螺子山であっても良い。
【0062】
さらにまた、本発明は、カートリッジ式の容器に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1,21…先筒(容器前部)、1b…挿入部、1g…開口、2…本体筒(容器後部)、2c…一方の噛合部、3…棒状化粧料支持体(移動体)、3e…雄螺子、4,14,24…雌螺子部材、4a…第一のバネ部、4b,14b…第二のバネ部、4c…他方の噛合部、4e…螺合突起(雌螺子)、4g…鍔部、21k,24k…クリック歯、100,200…棒状化粧料繰出容器、M…棒状化粧料。
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧料を出没可能とする棒状化粧料繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状化粧料繰出容器として、以下の特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載の棒状化粧料繰出容器は、棒状化粧料を保持する保持体と、この保持体の後端側(裏面側)に同軸に離間して配置された支持軸とを別体に形成し、保持体から支持軸に向かって突出形成した球形係合部を、支持軸の保持体側に設けた係合受部のその内部に挿入挟持すると共に回動可能に係合し、保持体と係合受部とを球形係合部を介して摺動且つ/又は折り曲げ可能に接続する構成を有し、繰出容器に棒状化粧料の折損、抜け落ち等が生じる衝撃が加えられたり、使用時に棒状化粧料が強く押圧されると、この衝撃や押圧に対応して球形係合部が係合受部内で回動折曲したり摺動することで衝撃を吸収できるというものである。
【0003】
しかしながら、上記棒状化粧料繰出容器にあっては、軸線方向に直交する径方向から棒状化粧料が折損するような衝撃や押圧や振動を受けた場合、球形係合部が係合受部内で回動折曲し棒状化粧料を保護できるが、衝撃後に球形係合部は自力では元に戻ることはできないため、折曲状態で棒状化粧料を使用することになり、使用が難しくなると共に、棒状化粧料が破損する虞があった。加えて、繰出容器に対して軸線方向に衝撃や押圧や振動が作用した場合、これを十分に吸収できないという問題があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決する棒状化粧料繰出容器として、以下の特許文献2に記載のものが知られている。この特許文献2に記載の棒状化粧料繰出容器は、容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持し外周部に雄螺子を備えた移動体と、容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、容器前部と容器後部の相対回転によって、雄螺子及び雌螺子より構成された螺合部が働いて移動体が進退し棒状化粧料が容器先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、容器後部は、その内周部に一方の噛合部を有し、雌螺子部材は、その後端側に設けられ一方の噛合部に対し軸線周りに噛合したときに容器後部に軸線周りに同期回転可能に連結される他方の噛合部と、他方の噛合部より前側に設けられ前進が阻止された前記雌螺子と、軸線方向において雌螺子と他方の噛合部との間に設けられ、相対回転時に他方の噛合部と一方の噛合部との軸線周りの噛合が可能となるように他方の噛合部を後方に向けて付勢するバネ部と、を有する構成であり、移動体が進退限に達しさらに移動体をそれ以上進めようとする相対回転力が付与され移動体に過大な回転トルクが作用すると、雌螺子部材のバネ部が前方へ縮退し両噛合部の噛合が解除されてその後復帰する所謂クラッチとして機能すると共に、棒状化粧料繰出容器を例えば落下させる等し衝撃や振動が作用した場合は、雌螺子部材のバネ部の緩衝作用により衝撃や振動が吸収されて棒状化粧料を保護できる棒状化粧料繰出容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−245623号公報
【特許文献2】特許第4205132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2にあっても、径方向に作用する外力は十分に吸収できないという問題があった。また、特許文献2にあっては、例えば落下等により繰出容器に対して軸線方向に衝撃が作用した場合で特に軸線方向後方へ向かう衝撃が作用した場合には、バネ部は後方へ縮退して雌螺子は後方へ移動しこれに螺合する雄螺子を有する移動体も後方へ移動し、バネ部の伸縮に従って棒状化粧料が前後に移動しながら当該棒状化粧料への衝撃を吸収できるが、例えば落下等により特に軸線方向前方へ向かう衝撃が作用した場合には、雌螺子の前進が阻止されているため、これに螺合する雄螺子を有する移動体も前方へ移動することができず、衝撃を吸収することができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、進退限でのクラッチ動作を支障なく行いつつ、径方向及び軸線方向、すなわち全方向の衝撃や押圧や振動等の外力をこれまで以上に吸収でき、棒状化粧料を十分に保護できる棒状化粧料繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による棒状化粧料繰出容器は、容器前部及び容器後部を備えた筒状の容器と、容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持し外周部に雄螺子を備えた移動体と、容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、容器前部と容器後部の相対回転によって、雄螺子及び雌螺子より構成された螺合部が働いて移動体が進退し棒状化粧料が容器先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、容器後部は、その内周部に一方の噛合部を備え、雌螺子部材は、軸線方向に沿って、一方の噛合部と噛合可能な他方の噛合部、軸線方向に伸縮可能な第一のバネ部及び第二のバネ部、雌螺子を備え、他方の噛合部は、一方の噛合部に対し軸線周りに噛合したときに容器後部に軸線周りに同期回転可能に連結され、第一のバネ部は、相対回転時に他方の噛合部と一方の噛合部との軸線周りの噛合が可能となるように他方の噛合部を一方の噛合部に向けて付勢すると共に、付勢方向とは反対方向への移動が阻止されて一方の噛合部との間に挟持される一方で、移動体が後退限に達しさらに後退させようとする過大な回転トルクが作用すると、両噛合部の軸線周りの噛合が解除されるように縮退することを特徴としている。
【0009】
このような棒状化粧料用繰出容器によれば、容器前部と容器後部が相対回転されると、容器後部の一方の噛合部と雌螺子部材の他方の噛合部とが軸線周りに噛合し、雌螺子部材が容器後部に軸線周りに同期回転可能に連結され、容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされた移動体のその雄螺子、及び、容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ上記噛合により容器後部に同期回転可能に連結された雌螺子部材のその雌螺子より成る螺合部が働いて移動体が進退し、移動体の先端に支持された棒状化粧料が容器先端の開口から出没する一方で、移動体が進退限である後退限に達しさらに移動体をそれ以上進めようとする相対回転力が付与され移動体に過大な回転トルクが作用すると、付勢方向とは反対方向への移動が阻止されて一方の噛合部との間に挟持されている雌螺子部材の第一のバネ部は付勢方向とは反対方向へ縮退し雌螺子部材の他方の噛合部が雌螺子部材の第一のバネ部の付勢力に抗して軸線方向に移動しつつ両噛合部の軸線周りの噛合が解除され、続いて、雌螺子部材の他方の噛合部が雌螺子部材の第一のバネ部の付勢力により一方の噛合部に向けて移動して両噛合部の噛合が軸線周りの隣の噛合位置で復帰し、このように第一のバネ部が、後退限でのクラッチ動作を担うことで、クラッチ動作が支障なく行われる。また、軸線方向に直交する径方向からの衝撃や押圧や振動等の外力は、径方向の撓み(曲げ)が規制されていない第二のバネ部により十分に吸収されると共に、軸線方向に作用する外力は、その伸縮が規制されていない第二のバネ部により十分に吸収され、加えて、例えば落下等により繰出容器に対して軸線方向前後の何れの方向に衝撃が作用しても、第二のバネ部は軸線方向に伸縮しこれに伴い雌螺子も軸線方向前後に移動しこれに従い雌螺子に螺合する雄螺子を有する移動体も前後に移動しながら、棒状化粧料への衝撃が吸収される。このように第二のバネ部が、径方向及び軸線方向、すなわち全方向の衝撃や押圧や振動等の外力の吸収を担うことで、これらの外力がこれまで以上に吸収され、棒状化粧料が十分に保護される。また、筆圧が過剰に作用した場合には、その筆圧は第二のバネ部により十分に吸収され、棒状化粧料へのダメージが低減される。さらにまた、容器後部と同期回転される雌螺子部材の第一のバネ部は、挟持される構成のため、第一のバネ部を縮ませ発生させた力により、相対回転時に所望の回転抵抗(作動抵抗)が得られ、特許文献2に記載されている回転抵抗付与部が不要とされる。
【0010】
ここで、移動体が前進限に達しさらに前進させようとする過大な回転トルクが作用した場合に、クラッチ動作を支障なく行い得る構成としては、具体的には、第二のバネ部は、螺合部の螺合が解除されるように縮退する構成が挙げられる。
【0011】
また、移動体が前進限に達しさらに前進させようとする過大な回転トルクが作用した場合に、クラッチ動作を支障なく行い得る他の構成としては、具体的には、第一のバネ部は、両噛合部の軸線周りの噛合が解除されるように縮退する構成が挙げられる。
【0012】
さらに、第一のバネ部と第二のバネ部との間には、これらを繋ぐと共に移動体が挿通する鍔部が設けられ、鍔部の前側の面と容器前部の挿入部の後端面には、移動体を繰り出し又は繰り戻すべく容器前部と容器後部の一方向である繰り出し方向又は一方向の反対方向である繰り戻し方向の相対回転に伴いクリック係合するクリック歯がそれぞれ設けられる構成が挙げられる。この場合、繰り出し方向又は繰り戻し方向への相対回転に従い、使用者には適度なクリック感が与えられ、相対回転の度合いや移動体の移動具合が使用者に感知される。このため、容器前部と容器後部とが繰り出し方向へ相対回転される場合には、棒状化粧料が適度に押し出されるため出し過ぎが防止されて、棒状化粧料が折れることを防止する。また、容器前部と容器後部とが繰り戻し方向へ相対回転される場合には、棒状化粧料の戻し過ぎが防止され、次回の使用時に棒状化粧料がなかなか出現しないということの防止が図られる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、進退限でのクラッチ動作を支障なく行いつつ、全方向の衝撃や押圧や振動等の外力をこれまで以上に吸収でき棒状化粧料を十分に保護でき、加えて、筆圧過剰の場合の棒状化粧料のダメージを低減できると共に相対回転時の所望の回転抵抗を回転抵抗付与部がなくても得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の初期状態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す状態からキャップが取り外され使用者の操作により棒状化粧料支持体が前進限に達したときの縦断面図である。
【図3】図1及び図2中の本体筒を示す縦断面図である。
【図4】図1及び図2中の雌螺子部材を示す斜視図である。
【図5】図4に示す雌螺子部材の側面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】図6のVII-VII矢視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の初期状態を示す縦断面図である。
【図9】図8中の雌螺子部材を示す斜視図である。
【図10】図9に示す雌螺子部材の側面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の雌螺子部材を示す斜視図である。
【図12】第3実施形態に係る先筒を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による棒状化粧料繰出容器の好適な実施形態について図1〜図12を参照しながら説明する。図1〜図7は、本発明の第1実施形態を、図8〜図10は、本発明の第2実施形態を、図11及び図12は、本発明の第3実施形態を、各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
先ず、図1〜図7に示す第1実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の初期状態を示す縦断面図、図2は、初期状態から棒状化粧料支持体が前進限に達したときの縦断面図、図3は、本体筒を示す縦断面図、図4〜図7は、雌螺子部材を示す各図であり、本実施形態の棒状化粧料繰出容器は、例えば、アイライナー、アイブロー、リップライナー、コンシーラー等を始めとした種々の棒状化粧料を収容し、使用者が必要に応じて適宜出没可能とするものである。
【0018】
図1に示すように、棒状化粧料繰出容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状(スティック状)を成し良好な外観を呈するもので、容器前部を構成する先筒1と、容器後部を構成する本体筒2と、を外形構成として具備し、これらの先筒1及び本体筒2内に、棒状化粧料Mと、これを支持する移動体である棒状化粧料支持体3と、螺合部(螺合機構)を構成する雌螺子部材4とを収容する。
【0019】
本体筒2は、有底円筒状を成し、図3に示すように、その後半部の内周面に、底部から軸線方向前側へ延びる突条2aを周方向に沿って複数(ここでは4個)備えている。この突条2aの先端部2cは、雌螺子部材4を軸線周りに同期回転可能に連結するための噛合部(一方の噛合部)であり、山型状(くの字状)を成しその頂部が前方を向く構成とされている。そして、この噛合部2cによりクラッチ機構の一方が構成されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、先筒1は、軸線方向中程の外周面に段差部1aを有する段付き円筒状に構成され、この段差部1aより後側の円筒部が、本体筒2に挿入される挿入部1bとされている。この先筒1の軸線方向に貫通する筒孔は、先端から後端部辺り迄が、棒状化粧料Mを収容し摺動可能とする棒状化粧料孔1cとされ、この棒状化粧料孔1cの終端から先筒1の後端迄が、雌螺子部材4の前半部を収容するための孔とされ、この孔の直径は、棒状化粧料孔1cの直径より大きくされている。先筒1には、棒状化粧料孔1cの先端近傍から当該棒状化粧料孔1cの後端に亘って当該棒状化粧料孔1cの周面の複数箇所(ここでは三等配の位置)に、棒状化粧料支持体3の後述する支持片3dを収容し摺動可能とする支持片溝1dが連設され、これらの棒状化粧料孔1c及び支持片溝1dにより、棒状化粧料M及び支持片3dが摺動する進退孔1eが構成されている。なお、後述の図8に示す第2実施形態のように、雌螺子部材14(4)の一部が棒状化粧料孔1c内に収容されていても良い。
【0021】
そして、先筒1は、その挿入部1bが本体筒2の先端側に内挿され、その段差部1aが本体筒2の先端面に突き当てられ、本体筒2の先端部内周面の凹状係合部に先筒1の外周面の凸状係合部が軸線方向に係合することで、本体筒2に軸線周りに回転可能且つ軸線方向に離脱不能に装着されている。
【0022】
棒状化粧料支持体3は、棒状化粧料Mの後端部を支持するための支持部3aと、この支持部3aより後側の軸体部3bと、を備えている。軸体部3bは、軸線方向に延在する軸体であり、当該軸体部3bの外周面には、螺合部の一方を構成する雄螺子3eが軸線方向に延びるように設けられている。支持部3aは、その外形が棒状化粧料Mの外形に略一致し、棒状化粧料Mの後端面を突き当てるための基部3cと、この基部3cにおける外周面の周方向の複数位置(ここでは三等配の位置)に先端側に向かって突出するように設けられ、基部3cに突き当てられた棒状化粧料Mの後端部を相互間に挟んで支持する支持片3dと、を備えている。
【0023】
そして、棒状化粧料支持体3は、その基部3cが先筒1の棒状化粧料孔1cに進入すると共にその支持片3dが先筒1の支持片溝1dに進入するようにして、進退孔1eに内挿されている。従って、棒状化粧料支持体3の支持片3dが進入する支持片溝1dが、棒状化粧料支持体3の回り止めとされて棒状化粧料支持体3を軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能に係合すると共に、支持片溝1dの先端面1hが、棒状化粧料支持体3の支持片3dの先端面が突き当たる棒状化粧料支持体3の前進限とされている。
【0024】
特に本実施形態の特徴を成す雌螺子部材4は、螺合部及びクラッチ機構を構成するもので、樹脂による一体成形品とされ、図4〜図7に示すように、略円筒状に構成され、その後端側から先端側に向かって、噛合部4c、軸線方向に伸縮可能な第一のバネ部4a及び第二のバネ部4b、螺子筒部4dをこの順に具備している。
【0025】
螺子筒部4dは、図4及び図7に示すように、その前側の内周面に、螺合部の他方を構成し棒状化粧料支持体3の雄螺子3eに螺合する一対の螺合突起4e,4eを雌螺子として備えている。
【0026】
図4〜図7に示すように、噛合部4cは、本体筒2の噛合部2cに軸線周りに噛合するための噛合部(他方の噛合部)であり、山型状(くの字状)を成しその頂部が後方を向く構成とされ、周方向に沿って複数位置(ここでは8等配の位置)に配設されている。
【0027】
第一のバネ部4aは、軸線方向に離間して並ぶ複数の円環部4mを、軸線方向に延び対向する一対の連結部4n,4nで連結したもので、当該一対の連結部4n,4nは、軸線方向に隣り合う一対の連結部4n,4nに対して、軸線周りに90°互いにずれて配設されている。この第一のバネ部4aは、噛合部4cを後方に付勢し当該噛合部4cを本体筒2の噛合部2cに噛合させる圧縮バネとして機能するものであり、従って、第一のバネ部4a及び噛合部4cによりクラッチ機構の他方が構成されている。
【0028】
第二のバネ部4bは、第一のバネ部4aより小径の圧縮バネであり、ほぼ螺旋状のスリット4pを備え二条螺子状に構成されており、このスリット4pにより、軸線方向に沿って傾斜する傾斜部4qと、この傾斜部4qに続き軸線周りに(軸線に直交する面内で)湾曲する円弧部4rとを軸線方向に沿って交互に有する構成とされている。そして、この第二のバネ部4bは、ここでは、第一のバネ部4aより軸線方向及び径方向の変化量が大きくされている。
【0029】
また、第一のバネ部4aと第二のバネ部4bとの間には鍔部4gが設けられている。この鍔部4gは、その前側の面に先筒1の挿入部1bの後端面が突き当たるもので、円環状に構成されている。そして、雌螺子部材4の鍔部4gより前側の筒部分である螺子筒部4d及び第二のバネ部4bが、先筒1の挿入部1bに挿入される挿入部とされている。
【0030】
これらの噛合部4c、第一のバネ部4a、鍔部4g、第二のバネ部4b及び螺子筒部4dを有する雌螺子部材4は、図1及び図2に示すように、本体筒2に内挿されると共に、その鍔部4gより前側の筒部分である螺子筒部4d及び第二のバネ部4bが、先筒1の挿入部1bに内挿され、雌螺子部材4の鍔部4gの前面が先筒1の挿入部1bの後端面に当接することで、第一のバネ部4aは、先筒1の挿入部1bに前進が阻止されて当該挿入部1bと本体筒2の噛合部2cとの間に挟持され、この挟持された第一のバネ部4aの付勢力により、雌螺子部材4の噛合部4cと本体筒1の噛合部2cとが先筒1と本体筒2との相対回転時に軸線周りに噛合し雌螺子部材4は本体筒2に対して同期回転可能とされる一方で、雌螺子部材4は先筒1に対して軸線周りに回転可能とされると共に、雌螺子部材4の第二のバネ部4b及び螺子筒部4dは、径方向の撓み(曲げ)、及び、軸線方向の伸張、縮退が規制されていない状態とされている。このような状態にあって、雌螺子部材4内に棒状化粧料支持体3の軸体部3bが進入し、雌螺子部材4の内周面の螺合突起4e,4eに、軸体部3bの外周面の雄螺子3eが螺合する状態とされている。
【0031】
そして、螺子筒部4dの先端面が、棒状化粧料支持体3の基部3cの後端面が突き当たり棒状化粧料支持体3の後退限とされている。
【0032】
このように構成された棒状化粧料繰出容器100にあっては、第一のバネ部4aは、その前進が阻止されて本体筒2の噛合部2cとの間に挟持され、先筒1と本体筒2との相対回転時において雌螺子部材4の噛合部4cと本体筒2の噛合部2cとが軸線周りに噛合可能とされているため、使用者により、図1に示すキャップ6が取り外されて先筒1と本体筒2とが一方向である繰り出し方向に相対回転されると、両噛合部2c,4cが軸線周りに噛合して雌螺子部材4が本体筒2に軸線周りに同期回転可能に連結され、先筒1に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされた棒状化粧料支持体3のその雄螺子3e、及び、先筒1に対し軸線周りに回転可能とされると共に上記噛合により本体筒2に同期回転可能に連結された雌螺子部材4のその螺合突起4eより成る螺合部が働き、棒状化粧料支持体3が前進し、棒状化粧料Mが先筒1の先端の開口1gから出現し使用状態とされる。
【0033】
また、使用者により先筒1と本体筒2とが一方向の反対方向である繰り戻し方向に相対回転されると、棒状化粧料支持体3が後退し、棒状化粧料Mが先筒1の先端の開口1gから没入する。
【0034】
ここで、図1に示すように、棒状化粧料支持体3の基部3cの後端面が螺子筒部4dの先端面に突き当たって棒状化粧料支持体3が後退限に達し、この後退限でさらに棒状化粧料支持体3をそれ以上後退させようとする相対回転力が付与され過大な回転トルクが作用すると、雌螺子部材4の鍔部4gが先筒1の挿入部1bの後端面に当接し第一のバネ部4aの前進が阻止されているため、雌螺子部材4の第一のバネ部4aが前方に縮退し雌螺子部材4の噛合部4cが雌螺子部材4の第一のバネ部4aの付勢力に抗して前進しつつ噛合部2c,4c同士の噛合が解除され、解除されると、雌螺子部材4の噛合部4cが雌螺子部材4の第一のバネ部4aの付勢力により後退して噛合部2c,4cの噛合が回転方向の隣の噛み合い位置で復帰し、所謂クラッチとして機能する。
【0035】
一方、図2に示すように、棒状化粧料支持体3の支持片3dの先端面が支持片溝1dの先端面1hに突き当たって棒状化粧料支持体3が前進限に達し、この前進限でさらに棒状化粧料支持体3をそれ以上前進させようとする相対回転力が付与され過大な回転トルクが作用した場合には、本実施形態では、雌螺子部材4の噛合部4cと本体筒2の噛合部2cの噛合をきつくしているため、この噛合部2c,4cの噛合が解除される前に、前進が阻止されている棒状化粧料支持体3の雄螺子3eに螺合していた雌螺子部材4の螺合突起4eが雄螺子3に対する螺合を解除するように、螺子筒部4dが第二のバネ部4bを縮退させながら後方に後退し、螺合が解除されると、第二のバネ部4bの付勢力により螺子筒部4dが前進して螺合突起4eと雄螺子3eとの螺合が回転方向の隣の螺合位置で復帰しクラッチとして機能する。
【0036】
なお、このように、本実施形態では、雌螺子部材4の噛合部4cと本体筒2の噛合部2cの噛合をきつくしているため、棒状化粧料支持体3が前進限に達しこの前進限でさらに棒状化粧料支持体3をそれ以上前進させようとする相対回転力が付与され過大な回転トルクが作用した場合、第二のバネ部4bが、螺合部3e,4eの螺合が解除されるように縮退し、螺合解除後に伸張して螺合復帰するクラッチとして機能するようにしているが、雌螺子部材4の噛合部4cと本体筒2の噛合部2cの噛合を上記より緩くし、前述した後退限の場合と同様に、第一のバネ部4aが、両噛合部2c,4cの軸線周りの噛合が解除されるように縮退し、噛合解除後に伸張して噛合復帰するクラッチとして機能するように構成しても良く、何れの構成を採用するようにしても良い。因みに、本実施形態においては、螺合部3e,4eがクラッチする場合には、1回転の回転操作で2回クリック感が生じ、噛合部2c,4cがクラッチする場合には、1回転の回転操作で8回クリック感が生じる。
【0037】
このように、本実施形態においては、後退限で第一のバネ部4aがクラッチ動作を担い、前進限では第二のバネ部4b又は第一のバネ部4aがクラッチ動作を担うことで、進退限でのクラッチ動作が支障なく行われる。その結果、部品に過負荷が作用することがなく、部品の損傷を防止できる。
【0038】
また、本実施形態においては、例えば、落下等による衝撃や、ハンドバックに入れていて誤ってハンドバック外からされた押圧や、振動等の種々の外力が棒状化粧料繰出容器100に作用し、特に、容器100の軸線方向に直交する径方向から外力が作用した場合には、当該外力は、棒状化粧料支持体3の雄螺子3eと螺合する雌螺子4eと前進が阻止された第一のバネ部4aとの間に位置し径方向の撓み(曲げ)が規制されていない第二のバネ部4bにより十分に吸収される。具体的には、第二のバネ部4bが径方向に湾曲した後、自身の弾性力で元の形状に復帰することで、径方向の外力が吸収される。加えて、第二のバネ部4bは径方向の変化量が大きくされているため、径方向の外力は、一層十分に吸収される。
【0039】
また、上記外力が、特に、容器100の軸線方向に作用した場合には、当該外力は、軸線方向の伸張、縮退が規制されていない第二のバネ部4bにより十分に吸収される。加えて、第二のバネ部4bは軸線方向の変化量が大きくされているため、軸線方向の外力は、一層十分に吸収される。
【0040】
加えて、例えば落下等により容器100に対して軸線方向前後の何れの方向に衝撃が作用しても、第二のバネ部4bは軸線方向の伸張、縮退が規制されていないため、軸線方向に伸縮しこれに伴い螺子筒部4dの雌螺子4eも軸線方向前後に移動しこれに従い雌螺子4eに螺合する雄螺子3eを有する棒状化粧料支持体3も前後に移動しながら、棒状化粧料Mへの衝撃が吸収される。なお、従来の特許文献2の棒状化粧料繰出容器では、前述したように、棒状化粧料に対する軸線方向後方への衝撃はバネ部により吸収できるが、軸線方向前方への衝撃はバネ部により吸収できない。
【0041】
斯くの如く、第二のバネ部4bが、径方向及び軸線方向、すなわち全方向の衝撃や押圧や振動等の外力の吸収を担うことで、これらの外力がこれまで以上に吸収され、その結果、棒状化粧料を十分に保護できる。
【0042】
また、筆圧が過剰に作用した場合には、その筆圧は第二のバネ部4bにより十分に吸収されることになり、棒状化粧料Mへのダメージを低減できる。
【0043】
さらにまた、容器後部を構成する本体筒2と同期回転される雌螺子部材4の第一のバネ部4aは、先筒1の挿入部1bと本体筒2の噛合部2cとの間に挟持される構成のため、第一のバネ部4aを縮ませ発生させた力により、相対回転時に所望の回転抵抗(作動抵抗)が得られる。その結果、特許文献2に記載されている回転抵抗付与部を不要にできる。
【0044】
このように、本実施形態によれば、機能の異なる第一のバネ部4aと第二のバネ部4bを並設することで、種々の多大なる効果を得ることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、特に好ましいとして、第二のバネ部4bは、第一のバネ部4aより軸線方向及び径方向の変化量が大きくされているが、このような設定に限定されるものではなく、第一のバネ部4aは、先筒1の挿入部1bと本体筒2の噛合部2cとの間に挟持される構成のため、この挟持力を調整(設定)することによりクラッチ機能を発揮できれば良く、また、第二のバネ部4bは、径方向の撓み(曲げ)、及び、軸線方向の伸縮が規制されていなければ(フリーであれば)、径方向、軸線方向の外力を十分に吸収できる。
【0046】
また、本実施形態の棒状化粧料繰出容器100にあっては、以下の効果もある。すなわち、雌螺子部材4が、後端側から先端側に向かって、噛合部4c、第一、第二のバネ部4a,4b及び螺子筒部4dを、この順に備えた樹脂による一体成形品であるため、部品点数が低減され、製造コストの低減が図られている。
【0047】
また、進退限でのクラッチ動作時に、棒状化粧料支持体3が軸線方向に移動しないことから、棒状化粧料支持体3に支持された棒状化粧料Mが、先筒1の先端の開口1gから出入りすることがなく、従って、見映えが向上されている。
【0048】
図8は、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の初期状態を示す縦断面図、図9は、図8中の雌螺子部材を示す斜視図、図10は、図9に示す雌螺子部材の側面図である。
【0049】
第2実施形態の棒状化粧料繰出容器200が第1実施形態の棒状化粧料繰出容器100と違う点は、雌螺子部材4に代えて、第二のバネ部の構成が異なる雌螺子部材14を用いた点である。
【0050】
図9及び図10に示すように、雌螺子部材14の第二のバネ部14bは、一条螺子状に構成されたバネであり、図8に示すように、棒状化粧料繰出容器200においては、棒状化粧料支持体3の雄螺子3eを囲繞する(巻き付く)ように配置される。
【0051】
このような一条螺子状の第二のバネ部14bを有する雌螺子部材14を、二条螺子状の第二のバネ部4bを有する雌螺子部材4に代えて用いても、第1実施形態と同様な作用・効果を奏するというのはいうまでもない。
【0052】
図11は、本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の雌螺子部材を示す斜視図、図12は、先筒を示す斜視図である。
【0053】
この第3実施形態の棒状化粧料繰出容器が第2実施形態の棒状化粧料繰出容器200と違う点は、図11及び図12に示すように、繰り出し方向又は繰り戻し方向の相対回転時にクリック感を与えるための先筒21及び雌螺子部材24を用いた点である。具体的には、先筒1に代えて、後端面にクリック歯21kを有する先筒21を用い、雌螺子部材14に代えて、第一のバネ部4aと第二のバネ部14bとの間を繋ぎ前進が阻止されている鍔部4gのその前端面に、クリック歯21kと噛み合うクリック歯24kを有する雌螺子部材24を用いた点である。
【0054】
すなわち、先の実施形態で、先筒21の挿入部1bの後端面に突き当たるように設けられている雌螺子部材24の鍔部4gの前側の面には、クリック歯24kが設けられると共に、先筒21の挿入部1bの後端面には、これに噛合するクリック歯21kが設けられている。これらのクリック歯21k,24kは、周方向に沿って登り傾斜と下り傾斜を有する山型に形成され、ここでは、クリック歯21kは、周方向に連続して設けられ、クリック歯24kは、周方向に沿って2等配の位置に設けられる。
【0055】
そして、先筒21と本体筒2との繰り出し方向又は繰り戻し方向の相対回転時に、クリック歯21k,24kが噛み合ってクリック感が生じ、使用者には相対回転時に適度なクリック感が与えられる。
【0056】
このように、クリック感が生じることにより、繰り出し方向/繰り戻し方向への相対回転の度合いや移動体3の移動具合が使用者に感知される。このため、先筒21と本体筒2とが繰り出し方向へ相対回転される場合(移動体3が前進する場合)には、棒状化粧料Mが適度に押し出されるため出し過ぎが防止されて、棒状化粧料Mが折れることを防止する。そして、先筒21と本体筒2とが繰り戻し方向へ相対回転される場合(移動体3が後退する場合)には、棒状化粧料Mの戻し過ぎが防止され、次回の使用時に棒状化粧料Mがなかなか出現しないということの防止が図られる。
【0057】
なお、第3実施形態の構成、具体的にはクリック歯を有する構成は、第1実施形態にも適用可能である。因みに、クリック歯21k,24kの形状、配置及び個数は、上記のものに限定されるものではなく、繰り出し方向又は繰り戻し方向の相対回転によりクリック係合するものであれば良い。
【0058】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好適であるとして、雌螺子部材4(14)が、その後端側から先端側に向かって、噛合部2cと噛合可能な噛合部4c、第一のバネ部4a、第二のバネ部4b(14b)、雌螺子4eをこの順に備えているが、噛合部2cを前側に設け、雌螺子部材が、その先端側から後端側に向かって、噛合部2cと噛合可能な噛合部4c、第一のバネ部4a、第二のバネ部4b(14b)、雌螺子4eをこの順に備え(噛合部4c、第一のバネ部4a、第二のバネ部4b(14b)、雌螺子4eの軸線方向での順序を上記とは逆とし)、当該雌螺子部材の第一のバネ部4aが、噛合部4cを付勢する付勢方向とは反対方向への移動(後退)が阻止されて一方の噛合部2cとの間に挟持される構成としても、上記実施形態と同様な作用・効果を奏する。この場合は、雌螺子部材4(14)の前半部を先筒1内には収容せずに本体筒2内に収容するようにし、本体筒2の前側に噛合部2cを設けると共に、噛合部4cを付勢する付勢方向(前方)とは反対方向への第一のバネ部4aの移動(後退)を阻止し当該第一のバネ部4aを噛合部2cとの間に挟持する部材を、本体筒2内に追加することになる。さらにまた、雌螺子部材を、その先端側から後端側に向かって、第一のバネ部4a、噛合部2cと噛合可能な噛合部4c、第二のバネ部4b(14b)、雌螺子4eの順に備える構成とすることもできる。この場合も、雌螺子部材の前半部を先筒1内には収容せずに本体筒2内に収容するようにし、噛合部4cを、その山型状(くの字状)の頂部が後方を向く構成とすると共に、これに噛み合う噛合部2cを本体筒2側に設け、噛合部4cを付勢する付勢方向(後方)とは反対方向への第一のバネ部4aの移動を阻止し当該第一のバネ部4aを噛合部2cとの間に挟持する構成とすれば良い。
【0059】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、雌螺子部材4,14,24を樹脂による一体成形品としているが、例えば金属等の一体成形品でも良く、また、雌螺子部材4,14,24は樹脂や金属等の一体成形品でなくても良い。
【0060】
また、雌螺子部材4,14,24の噛合部4cに噛み合うのは本体筒2の噛合部2cに限定されるものではなく、容器後部を構成する部品に設けられた噛合部であれば良い。
【0061】
また、雄螺子、雌螺子は、間欠的に配される突起群又は螺旋状且つ間欠的に配される突起群のように螺子山と同様な働きをするものであれば良く、また、螺合突起は、連続する螺子山であっても良い。
【0062】
さらにまた、本発明は、カートリッジ式の容器に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1,21…先筒(容器前部)、1b…挿入部、1g…開口、2…本体筒(容器後部)、2c…一方の噛合部、3…棒状化粧料支持体(移動体)、3e…雄螺子、4,14,24…雌螺子部材、4a…第一のバネ部、4b,14b…第二のバネ部、4c…他方の噛合部、4e…螺合突起(雌螺子)、4g…鍔部、21k,24k…クリック歯、100,200…棒状化粧料繰出容器、M…棒状化粧料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器前部及び容器後部を備えた筒状の容器と、前記容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持し外周部に雄螺子を備えた移動体と、前記容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に前記雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、前記容器前部と前記容器後部の相対回転によって、前記雄螺子及び前記雌螺子より構成された螺合部が働いて前記移動体が進退し前記棒状化粧料が容器先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、
前記容器後部は、その内周部に一方の噛合部を備え、
前記雌螺子部材は、軸線方向に沿って、前記一方の噛合部と噛合可能な他方の噛合部、軸線方向に伸縮可能な第一のバネ部及び第二のバネ部、前記雌螺子を備え、
前記他方の噛合部は、前記一方の噛合部に対し軸線周りに噛合したときに前記容器後部に軸線周りに同期回転可能に連結され、
前記第一のバネ部は、前記相対回転時に前記他方の噛合部と前記一方の噛合部との軸線周りの噛合が可能となるように前記他方の噛合部を前記一方の噛合部に向けて付勢すると共に、付勢方向とは反対方向への移動が阻止されて前記一方の噛合部との間に挟持される一方で、前記移動体が後退限に達しさらに後退させようとする過大な回転トルクが作用すると、両噛合部の軸線周りの噛合が解除されるように縮退することを特徴とする棒状化粧料繰出容器。
【請求項2】
前記移動体が前進限に達しさらに前進させようとする過大な回転トルクが作用すると、前記第二のバネ部は、前記螺合部の螺合が解除されるように縮退することを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項3】
前記移動体が前進限に達しさらに前進させようとする過大な回転トルクが作用すると、前記第一のバネ部は、前記両噛合部の軸線周りの噛合が解除されるように縮退することを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項4】
前記第一のバネ部と前記第二のバネ部との間には、これらを繋ぐと共に前記移動体が挿通する鍔部が設けられ、
前記鍔部の前側の面と前記容器前部の挿入部の後端面には、前記移動体を繰り出し又は繰り戻すべく前記容器前部と前記容器後部の一方向である繰り出し方向又は前記一方向の反対方向である繰り戻し方向の相対回転に伴いクリック係合するクリック歯がそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項1】
容器前部及び容器後部を備えた筒状の容器と、前記容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持し外周部に雄螺子を備えた移動体と、前記容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に前記雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、前記容器前部と前記容器後部の相対回転によって、前記雄螺子及び前記雌螺子より構成された螺合部が働いて前記移動体が進退し前記棒状化粧料が容器先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、
前記容器後部は、その内周部に一方の噛合部を備え、
前記雌螺子部材は、軸線方向に沿って、前記一方の噛合部と噛合可能な他方の噛合部、軸線方向に伸縮可能な第一のバネ部及び第二のバネ部、前記雌螺子を備え、
前記他方の噛合部は、前記一方の噛合部に対し軸線周りに噛合したときに前記容器後部に軸線周りに同期回転可能に連結され、
前記第一のバネ部は、前記相対回転時に前記他方の噛合部と前記一方の噛合部との軸線周りの噛合が可能となるように前記他方の噛合部を前記一方の噛合部に向けて付勢すると共に、付勢方向とは反対方向への移動が阻止されて前記一方の噛合部との間に挟持される一方で、前記移動体が後退限に達しさらに後退させようとする過大な回転トルクが作用すると、両噛合部の軸線周りの噛合が解除されるように縮退することを特徴とする棒状化粧料繰出容器。
【請求項2】
前記移動体が前進限に達しさらに前進させようとする過大な回転トルクが作用すると、前記第二のバネ部は、前記螺合部の螺合が解除されるように縮退することを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項3】
前記移動体が前進限に達しさらに前進させようとする過大な回転トルクが作用すると、前記第一のバネ部は、前記両噛合部の軸線周りの噛合が解除されるように縮退することを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項4】
前記第一のバネ部と前記第二のバネ部との間には、これらを繋ぐと共に前記移動体が挿通する鍔部が設けられ、
前記鍔部の前側の面と前記容器前部の挿入部の後端面には、前記移動体を繰り出し又は繰り戻すべく前記容器前部と前記容器後部の一方向である繰り出し方向又は前記一方向の反対方向である繰り戻し方向の相対回転に伴いクリック係合するクリック歯がそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の棒状化粧料繰出容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−96009(P2012−96009A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186366(P2011−186366)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
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