説明

棚板の仕切構造

【課題】棚板上面を左右に区画する前後方向の仕切板の板厚を大きくすることなく、かつ、補助部材を用いることなく、簡単な構成により、仕切板が左右にぐらつくことを防止して、商品が滑らかに滑動できるようにするとともに、棚板上面の商品陳列量を増やすことができるようにする。
【解決手段】棚板6に設けた前後1対の挿入孔7,7に、仕切板9の下端部より下向きに突設した前後1対の挿入突片13a、13bを嵌合することにより、仕切板9を、棚板6上に起立状態で保持してなる棚板の仕切構造において、前後1対の挿入突片13a、13bを、前後方向に延びる仕切板本体12に対して、斜め下向きに、左右方向に互い違いに折曲させた傾斜片14a、14bに形成し、前記仕切板本体12の下端12aを棚板6の上面に当接し、かつ前後の傾斜片14a、14bの上面14cを、各挿入孔7、7の下端における左右の異なる縁に弾性的に当接させることにより、仕切板9を起立状態で保持させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚板の上面を、仕切板により左右方向に仕切る棚板の仕切構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前方下向に傾斜させた棚板上に、缶ビールやペットボトル等の商品群を、横向き、あるいは縦向きに多数並べて配置し、最前方の商品を取り出したときに、後方に並ぶ商品群が、それぞれ前方に滑動するようにしたスライド式の商品陳列棚は、公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、棚板に相当する本体ベースに、商品の移動方向と直角に、商品を支持するためのローラを、並列して回転自在に架設するとともに、左右に区画する仕切板を設けた商品陳列棚も公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】実公平7−1016号公報
【特許文献2】特許第3208733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1,2に記載されているような従来の商品陳列棚では、棚板の上面を左右に区画する前後方向の仕切板を、左右にぐらつかないようにするために、一定以上の板厚としたり、補助部材を設けたりする必要がある。しかし、仕切板の板厚が大きいと、棚板上面の商品陳列量が小さくなり、また、仕切板と商品との接触面積が大きいと、商品が滑動せずに止まってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述のような従来の課題を解決するためになされたもので、棚板の上面を左右に区画する前後方向の仕切板の板厚を大きくすることなく、かつ、補助部材を用いることなく、簡単な構成により、仕切板が左右にぐらつくことを防止して、商品が滑らかに滑動できるようにするとともに、棚板の上面の商品陳列量を増やすことができるようにした、商品陳列棚における棚板の仕切構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)棚板に設けた前後1対の挿入孔に、仕切板の下端部より下向きに突設した前後1対の挿入突片を嵌合することにより、仕切板を、棚板上に起立状態で保持してなる棚板の仕切構造において、前後1対の挿入突片を、前後方向に延びる仕切板本体に対して、斜め下向きに、左右方向に互い違いに折曲させた傾斜片に形成し、前記仕切板本体の下端を棚板の上面に当接し、かつ前後の傾斜片の上面を、各挿入孔の下端における左右の異なる縁に弾性的に当接させることにより、仕切板を起立状態で保持させるようにする。
【0008】
(2)上記(1)項において、傾斜片の下端から、傾斜片に対して、逆方向に折返し延出させた折返し片を形成し、この折返し片を、挿入孔への挿入ガイドとする。
【0009】
(3)上記(1)項において、棚板の前後部に、複数の挿入孔が左右方向に等間隔をもって並ぶ前後2列の挿入孔列を、左右方向に2分の1ピッチずつずらせて、千鳥状に設ける。
【0010】
(4)上記(3)項において、仕切板本体の前端から前方の挿入突片までの距離を、仕切板本体の後端から後方の挿入突片までの距離より、棚板の前後部における、それぞれの前後2列の挿入孔列の中心間の距離だけ長くする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
請求項1記載の発明によれば、仕切板の挿入突片を、棚板の挿入孔に、単に挿入するだけで、挿入突片の傾斜片が挿入孔の左右側縁および下縁に弾性力をもって突っ張るように圧接され、この圧接により、仕切板は、棚板に対して左右にぐらつくことなく、安定して、簡単に取り付けられる。
また、前後の挿入突片の傾斜片を、斜め下向きに折曲させているので、挿入孔への傾斜片の嵌合を円滑に行なうことができ、棚板に対する仕切板の取付けが簡単になる。さらに、挿入突片の傾斜片を挿入孔に嵌合する際、仕切板本体を、前後の傾斜片が棚板に対して垂下するように、傾斜片の角度に応じ左右方向にねじり曲げることにより、前後の傾斜片を前後の挿入孔に同時に嵌合させることもできる。
また、板厚を大きくしたり、補助部材を設けたりする必要もなく、板厚の小さな仕切板を使用して、商品陳列量を増やすとともに、商品との接触面積を小さくして、商品の滑動を滑らかに行なわせることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、傾斜片の先端を、傾斜方向に対して逆方向に折り返し、この折返し片を挿入ガイドとしているので、挿入突片における傾斜片の挿入孔への嵌合を円滑になり、仕切板の装着が容易に行なえる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、挿入突片を嵌合する挿入孔の列を異ならせることにより、仕切り板の左右方向の位置を微調整することができる。このとき、1列の挿入孔列で、同様の微調整ができるようにすると、挿入孔間の寸法が小となり、棚板の強度が低下するが、この発明によると、棚板の強度を低下させることなく、微調整することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、両挿入突片を、後列の挿入孔列への嵌合状態から、仕切板本体の前後向きを反転させて、両挿入突片を、前列の挿入孔列に嵌合させて装着する際に、装着後の仕切板の前端(または後端)の位置を、常に仕切板本体の反転前の状態に揃えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の棚板の仕切構造を備える商品陳列棚の一例を示す斜視図、図2は、図1に示す商品陳列棚の棚板に仕切板を装着した状態を示す拡大平面図、図3は、図2におけるIII−III線断面図、図4は、仕切板を一部省略して示す斜視図、図5は、棚板に仕切板を取り付ける挿入突片の初期嵌合状態を示す拡大断面図、図6は、棚板に仕切板を取り付ける途中の状態を示す拡大断面図、図7は、棚板に仕切板を取り付け終えた状態を示す拡大断面図である。
【0016】
商品陳列棚(100)は、図1に示すように、背面パネル(1)によって連結された左右1対の支柱(2)(2)の前面(2a)に列設された係止孔(3)に、左右1対のブラケット(4)(4)の後端に設けたフック(5)を係止させ、この左右のブラケット(4)(4)により、棚板(6)の左右両側部を支持して構成されている。
【0017】
棚板(6)は、平面視において左右方向に長い四辺形をなし、その前後部には、図2に示すように、前後方向に細長く延びる多数の挿入孔(7)を、左右方向に列設してなる挿入孔列が、それぞれ2列ずつ、すなわち、前部の挿入孔列(8a)(8b)と後部の挿入孔列(8c)(8d)が設けられている。前後部における前列同士の挿入孔列(8a)と(8c)、および後列同士の挿入孔列(8b)と(8d)は、それぞれ対をなしている。また、前列同士の挿入孔列(8a)と(8c)との間の距離と、後列同士の挿入孔列(8b)と(8d)との間の距離は、等しく設定してある。
【0018】
すべての挿入孔列(8a)(8b)(8c)(8d)において、挿入孔(7)は、同一ピッチで左右方向に配列されているとともに、前部における前後列の挿入孔列(8a)と(8b)、および後部における前後列の挿入孔列(8c)と(8d)とは、互いに2分の1ピッチ分ずつ、左右方向に変位させて、千鳥状に配置されている。
【0019】
棚板(6)の上面には、前後部の挿入孔列(8a)(8b)および(8c)(8d)を用いて、複数枚の仕切板(9)が取り付けられ、この仕切板(9)により、棚板(6)の上面を、左右方向に所望の間隔で仕切ることができるようになっている。棚板(6)の前端縁には、落下防止板(10)が設けられており、この落下防止板(10)により、棚板(6)上に載置した缶ビール等の商品群(11)の落下を防止しうるようになっている。
【0020】
仕切板(9)は、図4に示すように、金属の薄板材により形成され、棚板(6)のほぼ前後端に亘る長尺の仕切板本体(12)と、この仕切板本体(12)の下端前後部から下向き突設された前後1対の挿入突片(13a)(13b)とを有している。
前後の挿入突片(13a)(13b)は、前後方向に延びる仕切板本体(12)に対して、後記するように、左右方向に互い違いに設けられている。各挿入突片(13a)(13a)は、挿入孔(7)に挿入可能で、また、前後部の各挿入突片(13a)(13a)間の距離は、前列同士の挿入孔列(8a)と(8c)との間の距離と、後列同士の挿入孔列(8b)と(8d)との間の距離と、ほぼ等しく設定されている。
【0021】
各挿入突片(13a)(13b)、例えば前部の挿入突片(13a)は、図5に示すように、仕切板本体(12)の下端(12a)から、右方向に向けて所定の鈍角(α0)、例えば130°をもって折曲した傾斜片(14a)と、この傾斜片(14a)の下端から、傾斜片(14a)に対して左方向に所定の挿入角度(α1)、例えば90°をもって折返し延出して形成された折返し片(15a)とにより構成されている。この折返し片(15a)は、挿入突片(13a)の挿入孔(7)への挿入の際に、挿入ガイドとして作用する。
後部の挿入突片(13b)は、前部の挿入突片(13a)と左右対称に折曲されている。
【0022】
図2に示すように、仕切板本体(12)の前端から前部の挿入突片(13a)までの距離(L1)は、仕切板本体(12)の後端から後部の挿入突片(13b)までの距離(L2)より、棚板(6)における前後部において千鳥状に配設された各挿入孔列(8a)(8b)または(8c)(8d)の中心間の距離(L3)だけ、長く(L1=L2+L3)してある。
【0023】
これによって、両挿入突片(13a)(13b)を、図2に示すように、前列同士の挿入孔列(8a)(8c)への嵌合状態から、仕切板(9)の前後向きを反転させて、両挿入突片(13a)(13b)を、後列同士の挿入孔列(8b)(8d)に嵌合させて装着した際に、装着後の仕切板(9)の前端(または後端)の位置を、常に仕切板(9)の反転前の状態に揃えることができる。
【0024】
棚板(6)に仕切板(9)を取り付ける場合、まず、図5に示すように、例えば仕切板(9)の前部の挿入突片(13a)を、折返し片(15a)を挿入ガイドとして、棚板(6)の前部の挿入孔列(8a)または(8b)における挿入孔(7)内に挿入する。次いで、図6に示すように、折返し片(15a)のガイドにより、挿入突片(13a)の傾斜片(14a)を挿入し終えたら、続いて、仕切板(9)の後部の挿入突片(13b)における折返し片(15b)を挿入ガイドとして、仕切板本体(12)をねじり曲げながら、後部の挿入孔列(8c)または(8d)における挿入孔(7)内に挿入し、挿入突片(13a)の傾斜片(14b)を挿入する(図7参照)。
これにより、仕切板本体(12)のねじり戻し力により、前後部の各挿入突片(13a)(13b)と挿入孔(7)(7)との間に大きな圧接力が得られ、仕切板(9)をぐらつくことのないようにして、棚板(6)に強固に取り付けることができる。
【0025】
また、前後部の各挿入突片(13a)(13b)における傾斜片(14a)(14b)を、前後の挿入孔(7)(7)に嵌合する際、仕切板本体(12)を、前後部の傾斜片(14a)(14b)が棚板(6)の面に対してほぼ直角になるように、ねじり曲げることにより、前後の傾斜片(14a)(14b)を前後の挿入孔(7)(7)に同時に嵌合させることもできる。
【0026】
両傾斜片(14a)(14b)を、前後部の挿入孔(7)(7)への挿入し終えた後、仕切板(9)の全体を上方から押し込むことにより、図7に示すように、前後の傾斜片(14a)(14b)の上面(14c)と仕切板本体(12)の下端(12a)とにより、棚板(6)が上下方向に挟持されるとともに、仕切板本体(12)の弾性撓みに伴うねじり戻し力をもって、前後部の傾斜片(14a)(14b)が、各挿入孔(7)(7)の左右の互いに対向する下縁および側縁に弾性的に当接され、仕切板(9)は、左右にぐらつくことなく、棚板(6)上に起立状態で保持される。
【0027】
棚板(6)に取り付けた仕切板(9)を取り外すには、前後いずれかの挿入突片(13a)(13b)、例えば前部の挿入突片(13a)における傾斜片(14a)が、棚板(6)の面に対して、ほぼ垂直になるように、仕切板本体(12)を左右方向にねじり曲げると、傾斜片(14)の挿入孔(7)からの上方への抜きが容易に行える。
前部の挿入突片(13a)を引き抜いた後、同様にして、後部の挿入突片(13b)における傾斜片(14b)を引き抜くことにより、仕切板(9)を挿入孔(7)から軽力で引き抜くことができる。
【0028】
取り外した仕切板(9)は、挿入突片(13a(13b)を挿入する前後部の挿入孔列(8a)(8b)および(8c)(8d)の挿入孔(7)(7)を、前のものと異ならせ、また、必要に応じて、前後の列も異ならせて、同様にして装着することにより、左右方向の取付位置を変更して取り付けることができる。
このようにして、前後部の挿入突片(13a(13b)を挿入する挿入孔(7)(7)を変更して取り付けることにより、仕切板(9)によって区画される、1区画における左右方向の幅を、2分の1ピッチずつ、簡単に微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態を備える商品陳列棚の部分斜視図である。
【図2】図1に示す商品陳列棚の棚板に仕切板を装着した状態を示す拡大平面図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】仕切板を一部省略して示す斜視図である。
【図5】棚板に仕切板を取り付ける挿入突片の初期嵌合状態を示す拡大断面図である。
【図6】棚板に仕切板を取り付ける途中の状態を示す拡大縦断正面図である。
【図7】棚板に仕切板を取り付け終えた状態を示す拡大縦断正面図である。
【符号の説明】
【0030】
(100)商品陳列棚
(1)背面パネル
(2)支柱
(2a)前面
(3)係止孔
(4)ブラケット
(5)フック
(6)棚板
(7)挿入孔
(8a)(8b)前部の挿入孔列
(8c)(8d)後部の挿入孔列
(9)仕切板
(10)落下防止板
(11)商品群
(12)仕切板本体
(12a)下端
(13a)前部の挿入突片
(13b)後部の挿入突片
(14a)傾斜片
(14b)傾斜片
(14c)上面
(15a)折返し片
(15b)折返し片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚板に設けた前後1対の挿入孔に、仕切板の下端部より下向きに突設した前後1対の挿入突片を嵌合することにより、仕切板を、棚板上に起立状態で保持してなる棚板の仕切構造において、
前後1対の挿入突片を、前後方向に延びる仕切板本体に対して、斜め下向きに、左右方向に互い違いに折曲させた傾斜片に形成し、前記仕切板本体の下端を棚板の上面に当接し、かつ前後の傾斜片の上面を、各挿入孔の下端における左右の異なる縁に弾性的に当接させることにより、仕切板を起立状態で保持させたことを特徴とする棚板の仕切構造。
【請求項2】
傾斜片の下端から、傾斜片に対して、逆方向に折返し延出させた折返し片を形成し、この折返し片を、挿入孔への挿入ガイドとしたことを特徴とする請求項1記載の棚板の仕切構造。
【請求項3】
棚板の前後部に、複数の挿入孔が左右方向に等間隔をもって並ぶ前後2列の挿入孔列を、左右方向に2分の1ピッチずつずらせて、千鳥状に設けたことを特徴とする請求項1記載の棚板の仕切構造。
【請求項4】
仕切板本体の前端から前方の挿入突片までの距離を、仕切板本体の後端から後方の挿入突片までの距離より、棚板の前後部における、それぞれの前後2列の挿入孔列の中心間の距離だけ長くしたことを特徴とする請求項3記載の棚板の仕切構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−307075(P2007−307075A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138173(P2006−138173)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】