説明

棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物

【課題】棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物を提供する。
【解決手段】背面に背面支柱4、4を備え、背面支柱はベース棚部10の高さ位置を背面側梁材14で連結され、この背面側梁材へ背面側端部を上下方向への回転が可能に連結したベース棚部の腕部材11、11と、腕部材へ上下方向の回転が可能に取り付けられた前面支柱12、12と、前面支柱の上端部間を連結した前面梁材13とでベース棚部10の骨組みが形成され、前記背面支柱においてベース棚部10より上方の上段棚部20の高さ位置が背面側梁材24で連結され、この背面側梁材へ背面側端部を上下方向への回転が可能に連結した上段棚部の腕部材21、21と、腕部材の前端部と前記ベース棚部10の対応する腕部材とをそれぞれ上下方向への回転が可能に連結した上段の前面支柱22と、上段棚部の前面支柱の上端同士を連結した上段の前面梁材23とで上段棚部20の骨組みが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パイプを継手により連結して組み立てられ、通路等の壁又は同壁を構成する縦部材へ背面支柱を固定して設置し、棚や物置台等として使用されるパイプ構造物であって、非使用時には最下段のベース棚部はもとより、その上方に位置する複数段の棚部をそれぞれ跳ね上げて壁際に沿って平たく折り畳まれ、その跳ね上げ状態(折り畳み状態)をきっちり拘束して人や荷物の通行に邪魔にならない構成にできる、棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下方向に複数段に連なる棚部を折り畳み可能に構成した「収納棚構造」は、下記の特許文献1に開示されている。
もっとも、この「収納棚構造」は、最下段の棚である「固定フレーム」が不動の構成であり、二段目以上の棚が個別に収納可能な構成とされている。従って、最下段の「固定フレーム」の上に荷物を載せる際には二段目以上の棚を折り畳み、また、二段目の棚へ荷物を載せる際には同二段目以上の棚を折り畳み、もって、荷物の出し入れ作業を上下方向の動線で行うことを可能ならしめて、荷物の出し入れ作業のやり難さを解決する目的の技術思想と認められる。
【0003】
【特許文献1】特開平7−184724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された「収納棚構造」は、上下方向に複数段に連なる棚部を折り畳み可能に構成した点を注目できる。しかし、最下段の棚でもある「固定フレーム」は不動の構成で折り畳めず、跳ね上げ不能であるから、非使用時に二段目以上の棚を折り畳んで収納させたとしても「固定フレーム」の出っ張り状態は相変わらずで、常に床上をその大きさで占拠することになり、完全な折り畳み構造ではない。そのため、この「収納棚構造」を人や荷物が往来する通路等の壁際に沿って設置した場合には、「固定フレーム」の出っ張り状態が人や荷物の通行に甚だ邪魔な存在になってしまう。しかも「固定フレーム」の構成は、その前縁からは一歩たりとも内側へ台車や物が侵入することを許さない構造であるから、甚だ使い勝手が悪いという欠点が認められる。
【0005】
従って、本発明の目的は、非使用時には最下段のベース棚部はもとより、その上方に位置する複数段の棚部を全て一連に、それぞれ簡単な操作で一斉に跳ね上げて壁際に沿って平たく折り畳むことができ、且つその折り畳み状態はきっちり拘束、保持して人や荷物の通行に邪魔にならない構成にできる、棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物を提供することである。
本発明の次の目的は、最下段のベース棚部およびその上方に位置する複数段の棚部をそれぞれ水平に展開した使用状態においては、最下段のベース棚部の下が開放された収納空間となり、その収納空間へ台車やバケツ、椅子などの小物類を一時的に押し込んで簡易に収納させることができて使い勝手が良い、棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物を提供することである。
本発明の更なる目的は、パイプを継手により連結して組み立てたパイプ構造物であって、最下段のベース棚部を基礎として、その上方に必要な段数の棚部を次々に同じ構成の繰り返しとして構築し、棚としての物置台能力を必要十分に高められる、棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物は、
パイプを継手により連結して組み立てられ、通路等の壁又は同壁を構成する縦部材へ背面支柱を固定して使用されるパイプ構造物であって、
背面に通路等の壁又は同壁を構成する縦部材へ固定される左右の背面支柱を備え、
前記左右の背面支柱はベース棚部の高さ位置を背面側梁材で連結され、この背面側梁材へ背面側端部を上下方向への回転が可能に連結して前方へほぼ水平に突き出されたベース棚部の腕部材と、前記左右の腕部材の前端部へ上下方向の回転が可能に取り付けられた左右の前面支柱と、前記左右の前面支柱の上端部間を連結した前面梁材とでベース棚部の骨組みが形成され、
前記背面支柱において前記ベース棚部より上方の上段棚部の高さ位置が背面側梁材で連結され、この背面側梁材に背面側端部を上下方向への回転が可能に連結され前方へほぼ水平に突き出された上段棚部の腕部材と、上段棚部の前記左右の腕部材の前端部と前記ベース棚部の対応する腕部材とをそれぞれ上下方向への回転が可能に連結した上段の前面支柱と、前記上段棚部の前面支柱の上端同士を連結した上段の前面梁材とで上段棚部の骨組みが形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物において、
上段棚部の上に更に必要数の棚部が多段に、前記上段棚部の構成を順次に繰り返して設けられていること、
即ち、背面支柱において前記上段棚部より上方の次上段棚部の高さ位置が背面側梁材で連結され、この背面側梁材へ背面側端部が上下方向への回転が可能に連結して前方へほぼ水平に突き出された次上段棚部の腕部材と、前記次上段棚部の腕部材の前端部と前記上段棚部の対応する腕部材とをそれぞれ上下方向への回転が可能に連結した次上段棚部の前面支柱と、前記次上段棚部の前面支柱の上端同士を連結した次上段棚部の前面梁材とで次上段棚部の骨組みが形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物において、
ベース棚部の前面支柱の下端部と、背面支柱の下端から前方へほぼ水平に突き出された補強用腕部材の前端とは中折れ型の回転継手で背面支柱に対し直交する配置に連結され、この補強用腕部材の背面側端部と背面支柱とは背面支柱の側面にピン軸で止めたL型の回転継手で同じく直交する配置に連結され、ベース棚部の腕部材および上段棚部の腕部材の前端部は前面支柱より内側に位置させた継手で前面梁部材へ直交する配置に連結され、同ベース棚部の腕部材および上段棚部の腕部材の背面側端部はそれぞれ左右の背面支柱間に連結した背面側梁材と同背面支柱より内側に位置させたT型の回転継手で直交する配置に連結されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物において、
跳ね上げられ折り畳まれたベース棚部と上段棚部および次上段棚部はそれぞれ、ベース棚部の前面支柱と背面支柱とを繋ぐロック部材により跳ね上げ状態を拘束されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物は、非使用時には最下段のベース棚部およびその上方に位置する上段棚部や複数の次上段棚部をそれぞれ簡単な操作で一連に、且つ一斉に跳ね上げて壁際に沿って平たく折り畳むことができ、且つその折り畳み状態をロック部材によりきっちり拘束、保持できるので、その前面を通行する人や荷物の邪魔にならず、通路などの空間の効率的利用に貢献する。
また、最下段のベース棚部およびその上方に位置する上段棚部や複数の次上段棚部をそれぞれ水平に展開した使用状態では、最下段のベース棚部を構成する左右の前面支柱と前面梁材とが∩形状に開放された収納空間を形成するので、この収納空間へ台車やバケツ、椅子などの小物類を一時的に押し込んで簡易に収納させることができ、使い勝手が良い。
更に本発明のパイプ構造物は、パイプを継手により連結して軽便に組み立てられ、最下段のベース棚部を基礎として、その上方に上段棚部および必要数の次上段棚部を同じ構成の繰り返しで構築でき、棚としての物置台能力を必要十分に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
パイプを継手により連結して組み立てられ、通路等の壁又は同壁を構成する縦部材へ背面支柱を固定して使用されるパイプ構造物として実施される。
このパイプ構造物は、背面に通路等の壁又は同壁を構成する縦部材へ固定される左右の背面支柱を備え、前記左右の背面支柱のベース棚部の高さ位置が背面側梁材で連結され、この背面側梁材へ背面側端部を上下方向への回転が可能に連結して前方へほぼ水平に突き出されたベース棚部の腕部材と、前記左右の腕部材の前端部へ上下方向の回転が可能に取り付けられた左右の前面支柱と、前記左右の前面支柱の上端部間を連結した前面梁材とでベース棚部の骨組みが形成されている。
そして、前記背面支柱において前記ベース棚部より上方の上段棚部の高さ位置が背面側梁材で連結され、この背面側梁材に背面側端部を上下方向への回転が可能に連結して前方へほぼ水平に突き出された上段棚部の腕部材と、上段棚部の前記左右の腕部材の前端部と前記ベース棚部の対応する腕部材とをそれぞれ上下方向への回転が可能に連結した上段の前面支柱と、前記上段棚部の前面支柱の上端同士を連結した上段の前面梁材とで上段棚部の骨組みが形成されている。
【0012】
上段棚部の上に更に必要数の棚部が多段に、前記上段棚部の構成を順次に繰り返して設けられる。
即ち、背面支柱において前記上段棚部より上方の次上段棚部の高さ位置が背面側梁材で連結され、この背面側梁材へ背面側端部が上下方向への回転が可能に連結して前方へほぼ水平に突き出された次上段棚部の腕部材と、前記次上段棚部の腕部材の前端部と前記上段棚部の対応する腕部材とをそれぞれ上下方向への回転が可能に連結した次上段棚部の前面支柱と、前記次上段棚部の前面支柱の上端同士を連結した次上段棚部の前面梁材とで次上段棚部の骨組みが形成されている。
跳ね上げら折り畳まれたベース棚部と上段棚部および次上段棚部はそれぞれ、ベース棚部の前面支柱と背面支柱とを繋ぐロック部材により跳ね上げ状態が拘束される。
【実施例1】
【0013】
以下、図面に示した実施例に基づいて、本発明に係る棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物を説明する。
先ず図1〜図4は、ベース棚部10と上段棚部20との二段で構成された、棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物の実施例を示している。もっとも、棚部の段数は二段の限りではなく、後述するように必要に応じて三段以上の多段に構成して実施することができる。
図示した実施例のパイプ構造物は、一例として薄肉鋼管の外周面にAAS樹脂等を薄く均一な層状に接着し被覆した、外径が28mmないし42mm程度の樹脂被覆パイプを、鋼板のプレス加工品又はアルミニウムのダイキャスト製品等として製作された金属製の継手、いわゆるメタルジョイントにより連結して強固に組み立てたパイプ構造物であり、通路や室内等の床1上に立て、同通路の側壁又は同壁を構成する縦部材2へ固定具3により背面支柱4を固定した状態で使用される。背面支柱4を壁面へ固定する場合には、公知のサドル型固定具を使用し、ビス止めで固定される。
【0014】
本実施例のパイプ構造物は、下記するように各棚部10、20を一連に跳ね上げ可能な折り畳み構造に構成されている。
先ず、このパイプ構造物の背面には、上記したように通路等の壁又は同壁を構成する縦部材2へ固定される左右の背面支柱4、4を基本材として備えている。
前記左右の背面支柱4、4は、その下端からベース棚部10の高さに相当する位置が背面側梁材14で連結され、この背面側梁材14へ背面側端部を上下方向の回転が可能に連結して前方へほぼ水平に突き出されたベース棚部10の腕部材11と、前記左右の腕部材11、11の前端部へ上下方向の回転が可能に取り付けられた前面支柱12と、および前記左右の前面支柱12、12の上端部間を連結した前面梁材13とで、ベース棚部10の主要骨格が形成されている。
【0015】
上記腕部材11の前端部と、前面支柱12および前面梁材13との具体的な連結構造の一例を図5に例示した。左右の前面支柱12、12の上端部間へ前面梁材13が配置され、二つ割りの各分割片をボルト5aで結合する構成の分割型Tジョイント5により前面梁材13が連結されている。腕部材11の前端は、前面梁材13において、前面支柱12へ接近した内側位置に、やはり二つ割りの分割片をボルト5aで結合する構成の分割型Tジョイント5用い、且つ前面梁材13を掴む内面には摺動性の良い樹脂ブッシュを介在させて直交する配置に連結され、もって腕部材11の前端部は上下方向の回転が可能に構成されている。背面支柱4と背面側梁材14との連結、および背面側梁材14と腕部材11の背面側端部とを上下方向の回転が可能に連結する構造も、具体的に図示することは省略したが、およそ図5に示した前面支柱12と前面梁材13との連結、および前面梁材13と腕部材11の前端部との連結構造とほぼ共通する構成で行われる。
なお、図3中に明解な符号11’は、腕部材11の下面に沿ってダブルパイプ構造に取り付けた補強パイプである。
【0016】
上記のようにパイプを継手により連結して組み立てた腕部材11と背面側梁材14、および前面支柱12と前面梁材13とでベース棚部10の骨組みが形成され、その上に棚板10a(図3)を載置してベース棚部10が構成されている。
なお、左右の背面支柱4、4の下端部近傍にも補強用としての背面側梁材14が、図5及び図6に示した構成で連結されている。そして、この背面側梁材14よりも下方の背面支柱下端部には、図6に示したように、背面支柱4の内側面へ軸ピン6aで回転可能に止めたL型の回転継手6により、補強用腕部材15の背面側端部は、背面支柱4と直交する配置に連結され、且つ折り畳み時に背面支柱4とは干渉を起こさない構成で、しかも上下方向の回転が可能に連結されている。この補強用腕部材15は、上記の腕部材11と平行に前方へほぼ水平に突き出す配置とされている。補強用腕部材15の前端は、図7に示したように、中間位置を軸ピン7aで上下方向への回転が可能に連結された、いわゆる中折れ型の回転継手7により前面支柱12と直交する配置に連結されている。つまり、背面支柱4と補強用腕部材15および前面支柱12は同一の平面内配置され、跳ね上げ時には図2に示すように回転継手7と補強用腕部材15は背面支柱4の真正面へ並立する構成とされている。しかも、ベース棚部10の腕部材11と補強用腕部材15との有効長さの差寸で跳ね上げ(折り畳み)動作が不調になることを防止するため、回転継手6の軸ピン6aは図6で明かなように、補強用腕部材15の中心線の位置から上方へ変位した位置に止められて、前記差寸を補う構成とされている。
したがって、ベース棚部10の骨組みを構成する腕部材11と前面支柱2および補強用腕部材15は、図3の側面方向に見た場合に、背面支柱4を固定部として、上方へいわゆる平行四辺形リンクと同様な動作で紙面と平行方向へ跳ね上げ可能で、順調に回転させられ折り畳むことができる。
【0017】
次に、上記背面支柱4において、上記ベース棚部10を構成する腕部材11の取り付け位置より上方の上段棚部20の高さ位置が、背面側梁材24で連結され、この背面側梁材24へ背面側端部を上下方向の回転が可能に取り付けた上段棚部20の腕部材21が、やはり前方へ上記ベース棚部10の腕部材11とほぼに平行に突き出されている。この腕部材21の背面側端部を背面側梁材24へ上下方向の回転が可能に取り付ける構造は、図示は省略したが、上記ベース棚部10の腕部材11の背面側端部を背面側梁材14と連結する構造と同様に、背面側梁材24を挟む内面に摺動性の良い樹脂ブッシュを介在させた分割型Tジョイントを用いて連結されている。ここでいう分割型Tジョイントは、上記図5に基づいて説明した分割型Tジョイント5を指す。
【0018】
また、上段棚部20の左右の腕部材21、21の前端部は、上記ベース棚部10との関係で上下に対応する配置となる腕部材11の中間部に立てた上段の前面支柱22、22間を左右に連結した上段の前面梁材23へそれぞれ上下方向への回転が可能に連結されている。具体的には図8に示したように、上段の前面支柱22の下端は、ベース棚部10の腕部材11の中間部位(但し、図示例の中央部位を意味しない。任意の途中位置で良い。)の外側面へ軸ピン8aで止めた継手8で上下方向への回転が可能に連結され、上端は上段の前面梁材23の端面部へ軸ピン8aで止めた継手8により、それぞれ上下方向への回転が可能に連結されている。更にいうと、上段の前面梁材23の端面部にはキャップが取り付けられ、同キャップの中心部へ軸ピン8aが回転可能に接合されており、上段の前面梁材23は軸ピン8aを中心に回転する構成とされている。前記の構成を前提として、上段棚部20の腕部材21の前端部は、ボルト16aで一体的に結合する分割型のジョイント16を用いて、前面梁材23と強固に連結され、前面梁材23と一体的関係で上下方向への回転が可能な構成とされている。
【0019】
上記のように構成した前面支柱22と、左右の腕部材21、21、および前面梁材23並びに左右の背面支柱4、4間を連結した背面側梁材24とで上段棚部20の骨組みが形成され、その上に棚板20a(図3)を載置して上段棚部20が構築されている。したがって、この上段棚部20の骨組みも、図3の側面方向に見た場合、下段のベース棚部10と一連にリンクした関係で、背面支柱4を固定部として、上方へいわゆる平行四辺形リンクの如くに紙面と平行方向へ回転して折り畳むことができる。
上記のように跳ね上げて折り畳んだ状態を図2に示す。折り畳まれたベース棚部10と上段棚部20は、ベース棚部10の前面支柱12と背面支柱4とを繋ぐコ字形状のロック部材9により留め付けて跳ね上げ状態が安全にきっちり拘束される。したがって、このパイプ構造物が狭い通路や室内に設置されていても、非使用時には前記したように跳ね上げた状態に拘束することで人や荷物の通行を邪魔しない構成とされ便利である。
また、ベース棚部10および上段棚部20を図1のように展開した使用状態では、ベース棚部10を構成する左右の前面支柱12、12と、その上端を連結した前面梁材13とは下向きに開放された∩形状を呈して、腕部材11の長さ相当の奥行きを持つ収納空間を形成するから、この収納空間へ台車の車台部を押し込んだり、バケツや小荷物等を押し込んで一時的に収納させることができ、至便である。
【0020】
なお、図示することは省略したが、本発明によるパイプ構造物の構成は、上記したベース棚部10と上段棚部20の二段構造の限りではない。上段棚部20の上に更に必要数の棚部を多段に、それも上段棚部20の構成を順次に繰り返して多段に構成して実施することが出来る。
即ち、上記背面支柱4において上記上段棚部20を構成する腕部材21より上方の次上段棚部の高さ位置が背面側梁材で連結され、この背面側梁材へ背面側端部を上下方向への回転が可能に連結して前方へほぼ水平に突き出された次上段棚部の腕部材と、同腕部材の前端部と前記上段棚部の対応する腕部材とをそれぞれ上下方向への回転が可能に連結した次上段棚部の前面支柱と、前記次上段棚部の前面支柱の上端部同士を連結した次上段棚部の前面梁材とで次上段棚部の骨組みを形成する手法により、必要数の棚部を多段に構成して実施することが出来る。
【0021】
以上に本発明を図示した実施例に基いて説明したが、もちろん、本発明の技術的思想は上記実施例の限りではない。本発明の要旨、技術的思想、目的を逸脱しない範囲で、当業者が通常行う設計変更ないし応用変形を含めて、多様に実施することができるものであることをここに念のため付言する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るパイプ構造物の実施例を骨組み構造で示した斜視図である。
【図2】同上のパイプ構造物を非使用時に折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【図3】上記パイプ構造物の側面図である。
【図4】上記パイプ構造物の正面図である。
【図5】ベース棚部の前面支柱と腕部材及び前面梁材の連結構造を示した斜視図である。
【図6】背面支柱と補強用腕部材および背面側梁材の連結構造を示した斜視図である。
【図7】ベース棚部の前面支柱と補強用との連結構造を示した斜視図である。
【図8】上段棚部の前面支柱と前面梁材および腕部材並びにベース棚部の腕部材との連結構造を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
2 縦部材
4 背面支柱
10 べース棚部
14、24 背面側梁材
11、21 腕部材
12、22 前面支柱
13、23 前面梁材
20 上段棚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプを継手により連結して組み立てられ、通路等の壁又は同壁を構成する縦部材へ背面支柱を固定して使用されるパイプ構造物であって、
背面に通路等の壁又は同壁を構成する縦部材へ固定される左右の背面支柱を備え、
前記左右の背面支柱はベース棚部の高さ位置を背面側梁材で連結され、この背面側梁材へ背面側端部を上下方向への回転が可能に連結して前方へほぼ水平に突き出されたベース棚部の腕部材と、前記左右の腕部材の前端部へ上下方向の回転が可能に取り付けられた左右の前面支柱と、前記左右の前面支柱の上端部間を連結した前面梁材とでベース棚部の骨組みが形成され、
前記背面支柱において前記ベース棚部より上方の上段棚部の高さ位置が背面側梁材で連結され、この背面側梁材へ背面側端部を上下方向への回転が可能に連結して前方へほぼ水平に突き出された上段棚部の腕部材と、上段棚部の前記左右の腕部材の前端部と前記ベース棚部の対応する腕部材とをそれぞれ上下方向への回転が可能に連結した上段の前面支柱と、前記上段棚部の前面支柱の上端同士を連結した上段の前面梁材とで上段棚部の骨組みが形成されていることを特徴とする、棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物。
【請求項2】
上段棚部の上に更に必要数の棚部が多段に、前記上段棚部の構成を順次に繰り返して設けられていること、
即ち、背面支柱において前記上段棚部より上方の次上段棚部の高さ位置が背面側梁材で連結され、この背面側梁材へ背面側端部を上下方向への回転が可能に連結して前方へほぼ水平に突き出された次上段棚部の腕部材と、前記次上段棚部の腕部材の前端部と前記上段棚部の対応する腕部材とをそれぞれ上下方向への回転が可能に連結した次上段棚部の前面支柱と、前記次上段棚部の前面支柱の上端同士を連結した次上段棚部の前面梁材とで次上段棚部の骨組みが形成されていることを特徴とする、請求項1に記載した棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物。
【請求項3】
ベース棚部の前面支柱の下端部と、背面支柱の下端から前方へほぼ水平に突き出された補強用腕部材の前端とは中折れ型の回転継手で、背面支柱に対して直交する配置に連結され、この補強用腕部材の背面側端部と背面支柱とは背面支柱の側面にピン軸で止めたL型の回転継手で同じく直交する配置に連結され、ベース棚部の腕部材および上段棚部の腕部材の前端部は前面支柱より内側に位置させた継手で前面梁部材へ直交する配置に連結され、同ベース棚部の腕部材および上段棚部の腕部材の背面側端部はそれぞれ左右の背面支柱間に連結した背面側梁材と同背面支柱より内側に位置させたT型の回転継手で直交する配置に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載した棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物。
【請求項4】
跳ね上げら折り畳まれたベース棚部と上段棚部および次上段棚部はそれぞれ、ベース棚部の前面支柱と背面支柱とを繋ぐロック部材により跳ね上げ状態を拘束されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した棚部を跳ね上げ可能なパイプ構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−225937(P2009−225937A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73568(P2008−73568)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000245830)矢崎化工株式会社 (47)
【Fターム(参考)】