説明

植物の健康を増進させるための農業化学混合物の使用

本発明は、植物の健康を相乗的に増進させるための、活性化合物として、
1) (i) クロメプロプ、2,4-D、2,4-DB、ジクロルプロプ、MCPA、 MCPBおよびメコプロプから選択されるフェノキシ-カルボン酸;
(ii) クロラムベン、ジカンバおよび2,3,6-TBAから選択される安息香酸;
(iii) アミノピラリド、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラムおよびトリクロピルから選択されるピリジンカルボン酸;
(iv) キンクロラクおよびキンメラクから選択されるキノリンカルボン酸;
(v) ベナゾリン-エチル;および
(vi) アミノ-シクロピラクロル;
からなる合成オーキシンの群から選択される除草剤(化合物I)、ならびに
2) ピラクロストロビン、オリサストロビン、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレゾキシムメチル、メトミノストロビン、ピコキシストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド;からなるストロビルリンの群より選択される殺菌剤(化合物II)
を含む混合物の使用に関する。さらに本発明は、植物の健康を増進させるためのそれぞれの混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の健康を相乗的に増進させるための、活性化合物として、
1) (i) クロメプロプ(clomeprop)、2,4-D、2,4-DB、ジクロルプロプ(dichlorprop)、MCPA、 MCPBおよびメコプロプ(mecoprop)から選択されるフェノキシ-カルボン酸;
(ii) クロラムベン(chloramben)、ジカンバ(dicamba)および2,3,6-TBAから選択される安息香酸;
(iii) アミノピラリド(aminopyralid)、クロピラリド(clopyralid)、フルロキシピル(fluroxypyr)、ピクロラム(picloram)およびトリクロピル(triclopyr)から選択されるピリジンカルボン酸;
(iv) キンクロラク(quinclorac)およびキンメラク(quinmerac)から選択されるキノリンカルボン酸;
(v) ベナゾリン-エチル(benazolin-ethyl);および
(vi) アミノ-シクロピラクロル(amino-cylopyrachlor);
からなる合成オーキシンの群から選択される除草剤(化合物I)、ならびに
2) ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、エネストロブリン(enestroburin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレゾキシムメチル(kresoxim-methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド;からなるストロビルリン(strobilurine)の群より選択される殺菌剤(化合物II)
を含む混合物の使用に関する。
【0002】
さらに、本発明は、上記混合物であって、グリフォサートおよびグルフォシネート(glufosinate)から選択される第2の除草剤(化合物III)をさらに含む混合物の使用に関する。
【0003】
上記した除草剤の少なくとも1種に耐性であるトランスジェニック植物へのこれらの混合物の施用が特に好ましい。
【0004】
本発明の範囲内で、植物の健康は相乗的に増進される。「植物の健康を相乗的に増進させる」または「相乗的に有効な量」という語は、個々の化合物の施用の単なる相加効果(数学的な用語)が、本発明の混合物の施用によってそれを上回るという事実に帰する。植物の健康の相乗的な増進は非常な驚きである。というのは、殺菌剤および除草剤は、完全に異なる作用方式を有することが想定され得るからである。
【0005】
さらに、本発明は、活性化合物として、
1) (i) クロメプロプ(clomeprop)、2,4-D、2,4-DB、ジクロルプロプ(dichlorprop)、MCPA、 MCPBおよびメコプロプ(mecoprop)から選択されるフェノキシ-カルボン酸;
(ii) クロラムベン(chloramben)、ジカンバ(dicamba)および2,3,6-TBAから選択される安息香酸;
(iii) アミノピラリド(aminopyralid)、クロピラリド(clopyralid)、フルロキシピル(fluroxypyr)、ピクロラム(picloram)およびトリクロピル(triclopyr)から選択されるピリジンカルボン酸;
(iv) キンクロラク(quinclorac)およびキンメラク(quinmerac)から選択されるキノリンカルボン酸;
(v) ベナゾリン-エチル(benazolin-ethyl);および
(vi) アミノ-シクロピラクロル(amino-cylopyrachlor);
からなる合成オーキシンの群から選択される除草剤(化合物I)、ならびに
2) ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、エネストロブリン(enestroburin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレゾキシムメチル(kresoxim-methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド;からなるストロビルリン(strobilurine)の群より選択される殺菌剤(化合物II);ならびに
3) グリフォサートおよびグルフォシネート(glufosinate)から選択される第2の除草剤(化合物III)
を、相乗的に有効な量で含む、植物の健康を増進させるための混合物に関する。
【0006】
本発明はまた、植物の健康を相乗的に増進させるための方法であって、植物、植物が生長しているかもしくは生長することが期待されている場所または、それから植物が生長する植物繁殖材料が、相乗的に有効な量の先に定義された混合物で処理される方法に関する。
【0007】
本発明は特に、植物の収穫を増加させるための方法であって、植物、場所(植物が生長しているか、もしくは生長することを期待されている場所)または植物繁殖材料(それから植物が生長する)が、有効量の先に定義された混合物で処理される方法に関する。
【背景技術】
【0008】
グリフォサートの効果に耐性である植物を産出する方法は、文献に記載されている(EP-A 218 571, EP-A 293 358, WO-A 92/00377 およびWO-A 92/04449)。Chemical Abstracts, 123, No. 21 (1995) A.N. 281158cは、グリフォサート耐性の大豆植物の産出について記載する。他のグリフォサート耐性の植物は、同様のやり方で産出することができる。
【0009】
文献から、化合物(II)(一般的に、ストロビルリン(strobilurin)と称される)が、それらの殺菌作用の他に、作物植物において収穫の増加をもたらすことができることが知られている(Koehle H. ら、Gesunde Pflanzen 49 (1997), pages 267-271; Glaab Jら、Planta 207 (1999), 442-448)。
【0010】
WO 1997/36488は、サトウダイコン、飼料ビート、トウモロコシ(maize)、セイヨウアブラナ(oilseed rape)および綿から成る群より選択されるグリフォサート耐性植物におけるグリフォサート誘導体の施用が収穫の増加をもたらし得ることを開示する。さらには、U.S. Pat. No. 3,988,142から、サトウキビのような植物におけるグリフォサートの致死量下施用は、デンプンおよび糖の生産量を増加させ、かくして植物の全体的な収穫を増加させることが知られている。
【0011】
WO 1998/41094は、a) 殺菌剤およびb) 除草活性剤II(ジカンバ(dicamba))および/または除草活性剤III(ジフルフェンゾピル(diflufenzopyr))を含む殺菌混合物ならびに該混合物を製造するための方法、ならびに植物や資材の保護の領域において有害な菌類を駆除するためにそれらを使用することに関する。
【0012】
WO 2004/1043150は、グリフォサート耐性マメ科植物(legume)において収穫を増加させるための方法であって、植物または種子を、相乗的に活性な量でストロビルリン(strobilurine)化合物およびグリフォサート誘導体を含む混合物で処理することを含む方法に関する。
【0013】
Lancasterら、2005年は、選択された殺菌剤またはある種の殺虫剤との混合物での2,4-DBの施用は、2,4-DB単独施用と比べて、エビスグサ(sicklepod)の防除に対して負の効果を有していないことを見出した(Lancaster ら(2005): Weed Technology 19: 451-455)。
【0014】
US 2006/111239は、変性レグミノース(leguminose)中のピラクロストロビン(pyraclostrobin)およびグリフォサートの混合物を開示する。ピラクロストロビン(pyraclostrobin)とジカンバ(dicamba)との組合せは、そこには挙げられていない。
【0015】
WO 2008/048964は、ジカンバ(dicamba)および/またはその代謝産物もしくは類似体を植物へ施用することによる、植物の健康を改善するための方法に関する。
【0016】
ジカンバ(dicamba)の施用による植物の健康を改善する方法がまた、US 2009/0105077に開示されている。
【0017】
WO 2009/126462は、ジカンバ(dicamba)またはDMO(ジカンバ モノオキシゲナーゼ)の別の基質またはその代謝産物を植物へ施用することによる、植物の健康を改善し、種子の発芽速度を増加させ、かつ倍加半数体(double hapoid)組織を生成するための方法および組成物を提供する。そのような施用は、別の除草剤、例えばグリフォサートの施用と組み合わせることができ、かつグリフォサートで処理されたグリフォサート耐性大豆において観察される症状であるイエローフラッシュ(yellow flash)に耐性なように植物を改善することができる。
【0018】
しかしながら、これらの参考文献のいずれも、最初に定義した混合物の相乗効果を開示しない。
【0019】
作物保護において、植物の健康を改善する組成物についての継続的な必要性がある。とりわけより良い収穫および/またはより良い品質の植物もしくは作物を生じるので、より健康な植物が望ましい。より健康な植物はまた、生物および/または無生物的なストレスに対してより抵抗力がある。生物的なストレスに対する高い抵抗力はまた、当業者が施用する農薬の量を減らすことを可能にし、従って、それぞれの農薬に対する抵抗力の発達を遅らせることを可能にする。
【0020】
FAO (2004)によれば、2050年には、人口は目下の60.7億から89億へと増え続ける。最高増加速度は、開発途上国において予想される。明らかに、地球上で人が増加すればするほど、より多くの資源が、食物および水のような基本的な必要性を満たすことを必要とされる。国連は、予想される地球上の人口を養うために、食物生産は、ほぼ2倍にしなければならないことを指摘した。ここ10年間に食物生産の劇的な増加があった(主に、改善された疾病抵抗性の多様な主要食物の開発ならびに化学肥料および農薬の使用増加によるものであり得る)けれども、食物生産は、急速な人口増加についていけない。最も厳しい結果の1つは、森の木を切り倒すこと、または耕作地を塩水で灌漑することによる耕作地の拡大であり、これは土壌の塩化および広く土地の品質低下をもたらす。そのような不適当な農業実践は、土地を不毛にし、土壌を衰退させ;植生を減らし、農薬の過剰使用および不適当な使用をもたらし得る。その結果、乏しい耕作および生産の土地しか入手できない。気候の変化を考慮にいれると、悪い天候条件により、世界の多くの地域で収穫が減退することをさらに予想しなければならない。世界の人口増加に関して、作物収穫の増加は、世界的な努力目標と考えるべきである。
【0021】
増加する作物およびエネルギーの要求に直接至る世界の人口増加の他に、富の増加は、増加する食肉消費および、従って食糧供給要求の増加をもたらす。さらに、品質の問題がますます重要になる。食物の品質は、多くの消費者に最も重要なパラメーターと考えられていることが知られている。種々のパラメーターが食物の品質を決定する。遺伝的な面の他に、最適な栄養ならびに無生物および生物的ストレス要因に対する保護を含む収穫システムは、実質的な程度に、植物の健康の指標として、植物およびそれらの産出物の全体的な品質を変え得る。品質標準に従い、同時に、市場で競争し続けるために、生態学的に健全であり、経済的に生存可能な生産方法が、農家に不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】EP-A 218 571
【特許文献2】EP-A 293 358
【特許文献3】WO-A 92/00377
【特許文献4】WO-A 92/04449
【特許文献5】WO 1997/36488
【特許文献6】WO 1998/41094
【特許文献7】WO 2004/1043150
【特許文献8】US 2006/111239
【特許文献9】WO 2008/048964
【特許文献10】US 2009/0105077
【特許文献11】WO 2009/126462
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Chemical Abstracts, 123, No. 21 (1995) A.N. 281158c
【非特許文献2】Koehle H. ら、Gesunde Pflanzen 49 (1997), p. 267-271
【非特許文献3】Glaab Jら、Planta 207 (1999), p. 442-448
【非特許文献4】Lancaster ら(2005): Weed Technology 19: p. 451-455
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、本発明の目的は、先に概略を述べた問題を解決する、特に植物の健康、特に植物の収穫および/または品質を改善すべき農業化学組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者らは、これらの目的は、最初に定義した混合物を使用することによって、一部または全部達成されることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0026】
したがって、本発明の好ましい実施態様は、最初に定義した混合物の、植物の健康を相乗的に増進させるための使用であって、ここで化合物(I)は、2,4-D、MCPA、MCPB、メコプロプ(mecoprop)、ジカンバ(dicamba)、クロピラリド(clopyralid)、フルロキシピル(fluroxypyr)、ピクロラム(picloram)、トリクロピル(triclopyr)、キンクロラク(quinclorac)、キンメラク(quinmerac)およびアミノ-シクロピラクロル(amino-cyclopyrachlor)からなる合成オーキシンの群より選択される。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施態様は、最初に定義した混合物の、植物の健康を相乗的に増進させるための使用であって、ここで化合物(I)は、2,4-D、ジカンバ(dicamba)、キンクロラク(quinclorac)およびキンメラク(quinmerac) からなる合成オーキシンの群より選択される。
【0028】
本発明のなおさらに好ましい実施態様は、最初に定義した混合物の、植物の健康を相乗的に増進させるための使用であって、ここで化合物(I)はジカンバ(dicamba)である。
【0029】
本発明の別の好ましい実施態様は、最初に定義した混合物の、植物の健康を相乗的に増進させるための使用であって、ここで化合物(II)は、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)およびクレゾキシム-メチル(kresoxim-methyl)から成る群より選択される。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施態様は、最初に定義した混合物の、植物の健康を相乗的に増進させるための使用であって、ここで化合物(II)は、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)およびトリフロキシストロビン(trifloxystrobin) から成る群より選択される。
【0031】
本発明のなおさらに好ましい実施態様は、最初に定義した混合物の、植物の健康を相乗的に増進させるための使用であって、ここで化合物(II)はピラクロストロビン(pyraclostrobin)である。
【0032】
本発明の好ましい実施態様は、最初に定義した混合物の、植物の健康を相乗的に増進させるための使用であって、ここで混合物はさらに、グリフォサートおよびグルフォシネート(glufosinate)から選択される第2の除草剤(化合物III)を含む。
【0033】
本発明のさらに好ましい実施態様は、最初に定義した混合物の、植物の健康を相乗的に増進させるための使用であって、ここで混合物はさらに、第2の除草剤(化合物III)としてグリフォサートを含む。
【0034】
本発明の特に好ましい実施態様は、最初に定義した混合物の、植物の健康を相乗的に増進させるための使用であって、ここで化合物(I)はジカンバ(dicamba)であり、化合物(II)はピラクロストロビン(pyraclostrobin)であり、かつ化合物(III)はグリフォサートである。
【0035】
本発明の1つの好ましい実施態様は、1種の化合物(I)および1種の化合物(II)を含む表1に挙げられた以下の2成分(secondary)混合物(M)の、植物の健康を相乗的に増進させるための使用であって、ここで化合物(I)は、2,4-D (I-1)、MCPA (I-2)、メコプロプ(mecoprop) (I-3), ジカンバ(dicamba) (I-4), クロピラリド(clopyralid) (I-5), フルロキシピル(fluroxypyr) (I-6), ピクロラム(picloram) (I-7), トリクロピル(triclopyr) (I-8), キンクロラク(quinclorac) (I-9), キンメラク(quinmerac) (I-10), アミノ-シクロピラクロル(amino-cyclopyrachlor)(I-11) およびMCPB (I-12) から選択され、かつ化合物(II)は、アゾキシストロビン(azoxystrobin) (II-1), ピラクロストロビン(pyraclostrobin) (II-2), トリフロキシストロビン(trifloxystrobin) (II-3), ピコキシストロビン(picoxystrobin) (II-4), フルオキサストロビン(fluoxastrobin) (II-5), ピリベンカルブ(pyribencarb) (II-6) およびクレゾキシム-メチル(kresoxim-methyl) (II-7)から選択される。
【表1】

【0036】
表1の混合物の中で、以下の混合物が特に好ましい:M-1, M-2, M-3, M-5, M-7, M-8, M-9, M-10, M-12, M-14, M-16, M-22, M-23, M-24, M-26, M-28, M-30, M-36, M-37, M-38, M-40, M-42, M-44, M-51, M-57, M-58, M-59, M-61, M-63, M-64, M-65, M-66, M-68, M-70, M-71, M-72, M-73, M-75, M-77 およびM-79。
【0037】
以下の混合物が最も好ましい:M-1, M-2, M-7, M-22, M-23, M-28, M-57, M-58, M-63, M-64, M-65 およびM-70。
【0038】
最も好ましいのは、混合物M-23である。
【0039】
本発明の別の好ましい実施態様は、1種の化合物(I)、1種の化合物(II)および1種の化合物(III)を含む表2に挙げられた以下の3成分混合物(N)の、植物の健康を相乗的に増進させるための使用であって、ここで化合物(I)は、2,4-D (I-1)、MCPA (I-2)、メコプロプ(mecoprop) (I-3), ジカンバ(dicamba) (I-4), クロピラリド(clopyralid) (I-5), フルロキシピル(fluroxypyr) (I-6), ピクロラム(picloram) (I-7), トリクロピル(triclopyr) (I-8), キンクロラク(quinclorac) (I-9), キンメラク(quinmerac) (I-10), アミノ-シクロピラクロル(amino-cyclopyrachlor)(I-11) およびMCPB (I-12) から選択され、かつ化合物(II)は、アゾキシストロビン(azoxystrobin) (II-1), ピラクロストロビン(pyraclostrobin) (II-2), トリフロキシストロビン(trifloxystrobin) (II-3), ピコキシストロビン(picoxystrobin) (II-4), フルオキサストロビン(fluoxastrobin) (II-5), ピリベンカルブ(pyribencarb) (II-6) およびクレゾキシム-メチル(kresoxim-methyl) (II-7)から選択され、かつ化合物(III)は、グリフォサート(III-1) またはグルフォシネート(glufosinate) (III-2)である。
【表2】



【0040】
表2の混合物の中で、以下の混合物が特に好ましい:N-1, N-2, N-3, N-4, N-5, N-9, N-13, N-14, N-15, N-17, N-19, N-23, N-31, N-43, N-44, N-45, N-46, N-47, N-51, N-55, N-56, N-59, N-71, N-73, N-75, N-79, N-87, N-101, N-113, N-114, N-115, N-116, N-125, N-126, N-127, N-128, N-129, N-130, N-139, N-140, N-141, N-143, N-145, N-149 およびN-157。
【0041】
以下の混合物が最も好ましい:N-1, N-3, N-13, N-43, N-45, N-55, N-113, N-115, N-125, N-127, N-129 およびN-139。
【0042】
最も好ましいのは、混合物N-45である。
【0043】
1つの実施態様において、植物の健康を増進させるために使用される混合物は、化合物(I)としてキンクロラク(quinclorac)および、化合物(II)としてオリサストロビン(orysastrobin)を含む。
【0044】
植物の健康を増進させるために使用することができる先に記載される全ての混合物はまた、本発明の実施態様である。表3に挙げられた混合物が特に好ましい。施用される全ての混合物は農薬混合物である。
【0045】
1つの実施態様において、本発明は、植物の健康を増進させるための混合物であって、活性化合物として、
1) (i) クロメプロプ(clomeprop)、2,4-D、2,4-DB、ジクロルプロプ(dichlorprop)、MCPA、 MCPBおよびメコプロプ(mecoprop)から選択されるフェノキシ-カルボン酸;
(ii) クロラムベン(chloramben)、ジカンバ(dicamba)および2,3,6-TBAから選択される安息香酸;
(iii) アミノピラリド(aminopyralid)、クロピラリド(clopyralid)、フルロキシピル(fluroxypyr)、ピクロラム(picloram)およびトリクロピル(triclopyr)から選択されるピリジンカルボン酸;
(iv) キンクロラク(quinclorac)およびキンメラク(quinmerac)から選択されるキノリンカルボン酸;
(v) ベナゾリン-エチル(benazolin-ethyl);および
(vi) アミノ-シクロピラクロル(amino-cylopyrachlor);
からなる合成オーキシンの群から選択される除草剤(化合物I)、ならびに
2) ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、エネストロブリン(enestroburin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレゾキシムメチル(kresoxim-methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド;からなるストロビルリン(strobilurine)の群より選択される殺菌剤(化合物II);ならびに
3) グリフォサートおよびグルフォシネート(glufosinate)から選択される第2の除草剤(化合物III)
を、相乗的に有効な量で含む混合物に関する。
【0046】
本発明の好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される混合物は、化合物(I)として、2,4-D、MCPA、メコプロプ(mecoprop)、ジカンバ(dicamba)、クロピラリド(clopyralid)、フルロキシピル(fluroxypyr)、ピクロラム(picloram)、トリクロピル(triclopyr)、キンクロラク(quinclorac)、キンメラク(quinmerac)およびアミノ-シクロピラクロル(amino-cyclopyrachlor)からなる群より選択される合成オーキシンを含む。
【0047】
本発明のさらに好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される混合物は、化合物(I)として、2,4-D、ジカンバ(dicamba)、キンクロラク(quinclorac)およびキンメラク(quinmerac) からなる群より選択される合成オーキシンを含む。
【0048】
本発明の最も好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される混合物は、化合物(I)としてジカンバ(dicamba)を含む。
【0049】
本発明の好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される混合物は、化合物(II)として、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)およびクレゾキシム-メチル(kresoxim-methyl)から成る群より選択される殺菌化合物を含む。
【0050】
本発明のさらに好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される混合物は、化合物(II)として、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)およびトリフロキシストロビン(trifloxystrobin) から成る群より選択される殺菌化合物を含む。
【0051】
本発明の最も好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される混合物は、化合物(II)としてピラクロストロビン(pyraclostrobin)を含む。
【0052】
本発明の1つの実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される混合物は、除草化合物(III)としてグリフォサートまたはグルフォシネート(glufosinate)を含む。
【0053】
本発明の好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される混合物は、除草化合物(III)としてグリフォサートを含む。
【0054】
本発明の好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される混合物は、化合物(I)としてジカンバ(dicamba)を、化合物(II)としてアゾキシストロビン(azoxystrobin)を、かつ化合物(III)としてグリフォサートを含む。
【0055】
本発明の好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される混合物は、化合物(I)としてジカンバ(dicamba)を、化合物(II)としてトリフロキシストロビン(trifloxystrobin)を、かつ化合物(III)としてグリフォサートを含む。
【0056】
本発明の特に好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される混合物は、化合物(I)としてジカンバ(dicamba)を、化合物(II)としてピラクロストロビン(pyraclostrobin) を、かつ化合物(III)としてグリフォサートを含む。
【0057】
好ましい3成分混合物は、次の混合物である:
ジカンバ(dicamba)およびピラクロストロビン(pyraclostrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびアゾキシストロビン(azoxystrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびジモキシストロビン(dimoxystrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびエネストロブリン(enestroburin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびフルオキサストロビン(fluoxastrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびクレゾキシム-メチル(kresoxim-methyl)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびメトミノストロビン(metominostrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびオリサストロビン(orysastrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびピコキシストロビン(picoxystrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびピリベンカルブ(pyribencarb)およびグリフォサート;ならびに
ジカンバ(dicamba)およびトリフロキシストロビン(trifloxystrobin)およびグリフォサート。
【0058】
さらに好ましい3成分混合物は、次の混合物である:
ジカンバ(dicamba)およびピラクロストロビン(pyraclostrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびアゾキシストロビン(azoxystrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびオリサストロビン(orysastrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびピコキシストロビン(picoxystrobin)およびグリフォサート;ならびに
ジカンバ(dicamba)およびトリフロキシストロビン(trifloxystrobin)およびグリフォサート。
【0059】
最も好ましい3成分混合物は、次の混合物である:
ジカンバ(dicamba)およびピラクロストロビン(pyraclostrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびアゾキシストロビン(azoxystrobin)およびグリフォサート;
ジカンバ(dicamba)およびトリフロキシストロビン(trifloxystrobin)およびグリフォサート。
【0060】
植物の健康を増進させるために最も好ましいのは、ジカンバ(dicamba)およびピラクロストロビン(pyraclostrobin)およびグリフォサートの3成分混合物である。
【0061】
本発明の方法においてそれらの意図される使用に関しては、1種の化合物(I)および1種の化合物(II)を含む先の表1に挙げられた2成分混合物、ならびにさらに1種の化合物(III)を含む表2に挙げられた3成分混合物が、本発明の好ましい実施態様である。
【0062】
1つの実施態様において、本発明は、植物の健康を改善するための方法であって、植物、植物が生長しているかもしくは生長することが期待される場所、またはそれから植物が生長する植物繁殖材料が、活性化合物として、
1) (i) クロメプロプ(clomeprop)、2,4-D、2,4-DB、ジクロルプロプ(dichlorprop)、MCPA、 MCPBおよびメコプロプ(mecoprop)から選択されるフェノキシ-カルボン酸;
(ii) クロラムベン(chloramben)、ジカンバ(dicamba)および2,3,6-TBAから選択される安息香酸;
(iii) アミノピラリド(aminopyralid)、クロピラリド(clopyralid)、フルロキシピル(fluroxypyr)、ピクロラム(picloram)およびトリクロピル(triclopyr)から選択されるピリジンカルボン酸;
(iv) キンクロラク(quinclorac)およびキンメラク(quinmerac)から選択されるキノリンカルボン酸;
(v) ベナゾリン-エチル(benazolin-ethyl);および
(vi) アミノ-シクロピラクロル(amino-cylopyrachlor);
からなる合成オーキシンの群から選択される除草剤(化合物I)、ならびに
2) ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、エネストロブリン(enestroburin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレゾキシムメチル(kresoxim-methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド;からなるストロビルリン(strobilurine)の群より選択される殺菌剤(化合物II)
を相乗的に有効な量で含む、有効量の混合物で処理される方法に関する。
【0063】
本発明の方法の別の実施態様において、混合物はさらに、グリフォサートおよびグルフォシネート(glufosinate)から選択される第2の除草剤(化合物III)を含む。
【0064】
本発明者らは、化合物(I)および化合物(II)および任意的に化合物(III)の同時の(すなわち共同または別々の)施用、または化合物(I)および化合物(II)および任意的に化合物(III)の連続施用は、それぞれの個々の化合物単独の施用と比べて、植物の健康の著しい増進、特に、単独で施用される個々の化合物を用いて可能な収穫効果に比べて高められた収穫効果(相乗効果)を提供することを見出した。
【0065】
先に記載した混合物の全ての実施態様(先に記載したそれぞれの好ましい実施態様を含む)は以下で、「本発明の混合物」と称される。
【0066】
化合物(I)、(II)および(III)ならびにそれらの農薬作用およびそれらの製造方法は、一般に公知である。例えば、市販されていて入手可能な化合物は、他の刊行物の中でも、 “The Pesticide Manual, 14th Edition, British Crop Protection Council (2006)”に見出すことができる。
【0067】
合成オーキシンの群の中で、ベナゾリン-エチル(benazolin-ethyl)は、オキソベンゾチアゾール酢酸の化学品分類に属し、一方、アミノ-シクロピラクロル(amino-cylopyrachlor)は、ピリミジンカルボン酸の化学品分類に属する。
【0068】
本発明の好ましい実施態様において、植物の健康を増進させるために使用される混合物は、それぞれの化合物の農業的に許容できる塩およびエステルを含む。
【0069】
ジカンバ(dicamba)の適当な塩は、対イオンが農業的に許容できるカチオンであるジカンバの塩を包含する。そのような塩の適当な例は、ジカンバ-ナトリウム、ジカンバ-カリウム、ジカンバ-メチルアンモニウム、ジカンバ-ジメチルアンモニウム、ジカンバ-イソプロピルアンモニウム、ジカンバ-ジグリコールアミン、ジカンバ-オラミン、ジカンバ-ジオラミンおよびジカンバ-トロラミンである。適当なエステルの例は、ジカンバ-メチルおよびジカンバ-ブトイルである。2,4-Dの適当な塩は、2,4-Dジメチルアンモニウム、2,4-Dジエタノールアンモニウム、2,4-Dトリエタノールアンモニウム、2,4-Dトリイソプロパノールアンモニウム、2,4-Dナトリウム;2,4-Dイソプロピルアンモニウムである。2,4-Dの適当なエステルの例は、2,4-D-ブトチル(butotyl)、2,4-D-ブチル、2,4-D-エチル、2,4-D-エチルヘキシル、2,4-D-イソブチル、2,4-D-イソオクチル(isoctyl)、2,4-D-イソプロピルである。2,4-DBの適当な塩は、例えば2,4-DBナトリウム、2,4-DBカリウムおよび2,4-DBジメチルアンモニウムである。ジクロルプロプ(dichlorprop)の適当な塩は、例えばジクロルプロプカリウム、およびジクロルプロプジメチルアンモニウムである。ジクロルプロプの適当なエステルの例は、ジクロルプロプ-ブトチルおよびジクロルプロプ-イソオクチル(isoctyl)である。MCPAの適当な塩およびエステルは、MCPA-ブトチル, MCPA-ブチル, MCPA-ジメチルアンモニウム, MCPA-ジオラミン, MCPA-エチル, MCPA-チオエチル, MCPA-2-エチルヘキシル, MCPA-イソブチル, MCPA-イソオクチル(isoctyl), MCPA-イソプロピル, MCPA-メチル, MCPA-オラミン, MCPA-カリウム, MCPA-ナトリウムおよびMCPA-トロラミンを包含する。MCPBの適当な塩はMCPBナトリウムである。MCPBの適当なエステルは、MCPB-エチルである。クロピラリド(clopyralid)の適当な塩は、クロピラリドカリウム、クロピラリドオラミンおよびクロピラリドトリイソプロパノールアンモニウムである。フルロキシピル(fluroxypyr)の適当なエステルの例は、フルロキシピル-メチルおよびフルロキシピル-2-ブトキシ-1-メチルエチルである。ピクロラム(picloram)の適当な塩は、ピクロラムジメチルアンモニウム、ピクロラムカリウム、ピクロラムトリイソプロパノールアンモニウム、ピクロラムトリイソプロピルアンモニウムおよびピクロラムトロラミンである。ピクロラムの適当なエステルは、ピクロラム-イソオクチル(isoctyl)である。トリクロピル(triclopyr)の適当な塩は、トリクロピルトリエタルアンモニウム(triclopyr triethalammonium)である。トリクロピルの適当なエステルはトリクロピル-ブトチルである。メコプロプ(mecoprop)の適当な塩およびエステルは、メコプロプ-ジメチルアンモニウム、メコプロプ-ジオラミン、メコプロプ-エタジル(ethadyl)、メコプロプ-2-エチルヘキシル、メコプロプ-イソオクチル(isoctyl)、メコプロプ-メチル、メコプロプ-カリウム、メコプロプ-ナトリウムおよびメコプロプ-トロラミンを包含する。クロラムベン(chloramben)の適当な塩およびエステルは、クロラムベン-アンモニウム、クロラムベン-ジオラミン、クロラムベン-メチル、クロラムベン-メチルアンモニウムおよびクロラムベン-ナトリウムを包含する。2,3,6-TBAの適当な塩およびエステルは、2,3,6-TBA-ジメチルアンモニウム、2,3,6-TBA-リチウム、2,3,6-TBA-カリウムおよび2,3,6-TBA-ナトリウムを包含する。アミノピラリド(aminopyralid)の適当な塩およびエステルは、アミノピラリド-カリウムおよびアミノピラリド-トリス-(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウムを包含する。
【0070】
グリフォサートの適当な塩は、対イオンが農業的に許容できるカチオンであるグリフォサートの塩を包含する。そのような塩の適当な例は、グリフォサート-アンモニウム、グリフォサート-ジアンモニウム、グリフォサート-ジメチルアンモニウム、グリフォサート-イソプロピルアンモニウム、グリフォサート-カリウム、グリフォサート-ナトリウム、グリフォサート-トリメシウム(trimesium)ならびにエタノールアミンおよびジエタノールアミン塩である。
【0071】
グルフォシネート(glufosinate) の適当な塩は、対イオンが農業的に許容できるカチオンであるグルフォシネートの塩を包含する。そのような塩の適当な例は、グルフォシネート-アンモニウムおよびグルフォシネート-Pである。
【0072】
以下の略語が使用される:2,4-D = (2,4-ジクロロフェノキシ)酢酸;2,4-DB = 4-(2,4-ジクロロフェノキシ)酪酸;MCPA = 4-クロロ-o-トリルオキシ酢酸;MCPB = 4-(4-クロロ-o-トリルオキシ)酪酸;2,3,6-TBA = 2,3,6-トリクロロ安息香酸。
【0073】
本発明の混合物はさらに、1種以上の殺虫剤、抗菌剤、除草剤および植物生長調節物質を含むことができる。
【0074】
かくして本発明は、植物の健康を改善するための方法であって、植物、植物が生長しているかもしくは生長することが期待される場所、またはそれから植物が生長する植物繁殖材料が、相乗的な態様で植物の健康を増進させるのに十分な有効量の本発明の混合物で処理される方法に関する。
【0075】
好ましくは本発明は、植物の収穫を増加させるための方法であって、植物、植物が生長しているかもしくは生長することが期待される場所、またはそれから植物が生長する植物繁殖材料が、有効量の本発明の混合物で処理される方法に関する。
【0076】
特に好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に増進させるために使用される3成分混合物は、化合物(I)としてジカンバ(dicamba)を、化合物(II)としてピラクロストロビン(pyraclostrobin) を、かつ化合物(III)としてグリフォサートを含む。
【0077】
特に好ましい実施態様において、植物の健康を相乗的に改善するために使用される3成分混合物は、化合物(I)としてジカンバ(dicamba)を、化合物(II)としてピラクロストロビン(pyraclostrobin) を、かつ化合物(III)としてグルフォシネート(glufosinate)を含む。
【0078】
さらに好ましくは、本発明は、植物、そのような植物の一部分またはそれらの生長の場所を本発明の混合物で処理することによる、植物の健康を増進させる方法に関する。
【0079】
さらにより好ましい実施態様において、本発明は、植物、そのような植物の一部分またはそれらの生長の場所を、少なくとも1種の化合物(I)で、かつ植物繁殖材料(好ましくは種子)を少なくとも1種の化合物(II)で処理することによる、植物の健康を増進させる方法に関する。
【0080】
さらにより好ましい実施態様において、本発明は、植物、そのような植物の一部分またはそれらの生長の場所を本発明の混合物で処理することによる、植物の収穫を増加させる方法に関する。
【0081】
さらに最も好ましい実施態様において、本発明は、植物、そのような植物の一部分またはそれらの生長の場所を化合物(I)で、かつ植物繁殖材料、好ましくは種子を化合物(II)で処理することによる、植物の収穫を増加させる方法に関する。
【0082】
化合物(I)、(II)および(III)からなる群より選択される化合物を含む好ましい混合物について、それらの好ましい使用およびそれらを用いる方法についての認識は、それぞれを単独で、または好ましくは互いの組合せで理解されるべきである。
【0083】
本発明の用語において、「混合物」は、1種の化合物(I)および1種の化合物(II)および任意的に1種の化合物(III)を含む物理的混合物に限定されず、その使用が時間-および場所-に関連する、1種の化合物(I)および1種の化合物(II)および任意的に1種の化合物(III)の任意の調製形態をいう。
【0084】
本発明の1つの実施態様において、「混合物」は、1種の化合物(I)および1種の化合物(II)を含む2成分混合物をいう。
【0085】
本発明の別の実施態様において、「混合物」は、1種の化合物(I)および1種の化合物(II)および1種の化合物(III)を含む3成分混合物をいう。
【0086】
本発明の別の実施態様において、「混合物」は、別々に製剤されるが、一時的な関係で、すなわち同時もしくは連続して、同じ植物、植物繁殖体または場所に施用される、1種の化合物(I)および1種の化合物(II) および任意的に1種の化合物(III)をいい、連続施用は、化合物の合わせた作用を可能にする時間間隔を有する。
【0087】
本発明の別の実施態様において、1種の化合物(I)および1種の化合物(II)および任意的に1種の化合物(III)は、混合物としてもしくは別々に同時に、または続いて植物繁殖体に施用される。
【0088】
本発明の好ましい実施態様において、1種の化合物(I)および1種の化合物(II)および任意的に1種の化合物(III)は、混合物としてもしくは別々に同時に、または続いて、葉噴霧処理として施用される。
【0089】
さらには、本発明の混合物の個々の化合物、例えばキットの一部または2成分もしくは3成分混合物の一部は、噴霧タンク中で、使用者自身によって混合されることができ、適当なら、さらなる補助剤を添加することができる(タンクミックス)。
【0090】
「植物の健康」は、単独で、もしくは互いに組み合わせた幾つかの面によって決定される植物の状態を意味すると解釈される。例えば、挙げることができる有利な特性は、次のものを含む改善された作物の特徴である:出芽(emergence)、タンパク質含量、油分含量、デンプン含量、より展開された根系(改善された根生長)、改善されたストレス耐性(例えば乾燥、熱、塩、UV、水、寒さに対する)、減少したエチレン(生産および/または受容の抑制)、分げつ(tillering)増加、植物の高さの増加、より大きい葉身、より少ない基底部の枯れ葉、より強い若木(tiller)、より鮮やかな緑の葉色、色素含量、光合成活性、必要とされる投入量がより少ないこと(例えば肥料または水)、必要とされる植物繁殖材料(好ましくは種子)がより少ないこと、生産力のある若木(tiller) がより多いこと、より早い開花、早い穀物成熟、より少ない植物ヴァース(verse)(倒伏)、増加されたシュートの生長、高められた植物活動力、増加された植物の株立本数および早く良好な発芽、収穫;または当業者によく知られている任意の他の利点。
【0091】
本発明のために、植物の健康の特に重要な面は、収穫である。収穫は、作物および/または果物の収穫である。「作物」および「果物」は、植物によって生産される何か経済的価値のあるものである、収穫後にさらに用いられる任意の植物生産物、例えば適当な意味での果物、野菜、ナッツ、穀物、種子、木材(例えば植林植物の場合に)、花(例えばガーデニング植物、観賞植物の場合に)等と理解されるべきである。
【0092】
好ましい実施態様において、収穫という用語は、適当な意味での果物、野菜、ナッツ、穀物および種子に関する。
【0093】
「植物」という語は一般に、経済的に重要な全ての植物および/または人が育てた(men-grown)植物を含む。それらは好ましくは、農業、植林および観賞の植物から選択され、より好ましくは農業植物および植林植物から選択され、最も好ましくは農業植物から選択される。「植物(または複数の植物)」という語は、経済的に重要な植物および/または人が育てた(men-grown)植物として理解されるべきである、「作物」という語と同義である。本明細書において使用される「植物」という語は、植物の全ての部分、例えば発芽している種子、出芽している幼苗、草本性の草本ならびに確立された木材植物(全ての地下部分(例えば根)および地上部分を含む)を包含する。
【0094】
本発明に従い処理されるべき植物は、農業、植林、観賞および園芸の植物(それぞれ、天然のまたは遺伝的に改変された形態)から選択され、より好ましくは農業植物から選択される。
【0095】
1つの実施態様において、植物の健康を増進させるための上記した方法は、トランスジェニックもしくは非トランスジェニック植物から成る群より選択される農業、植林、観賞または園芸の植物の植物繁殖体、好ましくは種子を、本発明の混合物で処理することを含む。
【0096】
1つの実施態様において、本発明の方法に従い処理されるべき植物は、農業植物である。農業植物は、その一部もしくは全部が収穫されるか、または工業的規模で栽培される植物であるか、または飼料、食物、繊維(例えば綿、リネン)、可燃物(例えば木材、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオマス)または他の化合物の重要な供給源として役立つ植物である。農業植物はまた、園芸植物、すなわち(畑でなく)庭で育てられる植物、例えばある種の果物および野菜である。好ましい農業植物は、例えば穀類、例えば小麦、ライ麦、大麦、ライコムギ、オーツ麦、モロコシ(sorghum)もしくは米;ビート例えばサトウダイコンもしくは飼料用ビート;果物、例えばナシ状果(pome)、 石果またはソフトフルーツ(soft fruit)、例えばリンゴ、洋梨、プラム、モモ、アーモンド、 サクランボ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリーもしくはグズベリー;マメ科植物、例えばレンズマメ、エンドウ豆、アルファルファもしくは大豆;油料植物、例えばナタネ、セイヨウアブラナ、キャノーラ、ジャンシー(juncea) (Brassica juncea)、亜麻仁、マスタード、オリーブ、ヒマワリ、ココナツ、カカオ豆、ひまし油植物、アブラヤシ、塊茎植物(ground nut) もしくは大豆;ウリ科植物(cucurbit)、例えばカボチャ、キュウリもしくはメロン;繊維植物、例えば 綿、亜麻(flux)、麻もしくはジュート; かんきつ類の果物、例えばオレンジ、レモン、グレープフルーツもしくはマンダリン; 野菜、例えばホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、ウリ科植物(cucurbit) もしくはパプリカ;クスノキ科(lauraceous)植物、例えばアボカド、シナモンもしくはショウノウ;エネルギーおよび原料植物、例えばコーン、大豆、ナタネ、キャノーラ、サトウキビもしくはアブラヤシ;コーン;タバコ;ナッツ;コーヒー;茶;バナナ;ブドウ(テーブルグレープおよびグレープジュースブドウ);ホップ;芝;天然ゴム植物または観賞および森林植物、例えば花、灌木、広葉樹もしくは常緑植物、例えば針葉樹;ならびにこれらの植物の植物繁殖材料、例えば種子、および収穫物質である。
【0097】
より好ましい農業植物は、畑の作物、例えばジャガイモ、サトウダイコン、穀類、例えば小麦、ライ麦、大麦、ライコムギ、オーツ麦、モロコシ(sorghum)、米、コーン、綿、ナタネ、ヒマワリ、セイヨウアブラナ、ジャンシー(juncea)およびキャノーラ、マメ科植物、例えば大豆、エンドウマメおよび豆類 (ソラマメ)、レンズ豆、サトウキビ、芝;観賞植物;または野菜、例えばキュウリ、トマトまたはタマネギ、ニラネギ(leek)、レタス、カボチャ、アルファルファ、クローバであり、最も好ましい農業植物は、ジャガイモ、豆類 (ソラマメ)、アルファルファ、サトウキビ、芝、サトウダイコン、穀類、例えば小麦、ライ麦、ライコムギ、大麦、 オーツ麦、モロコシ、米、コーン、綿、大豆、セイヨウアブラナ、キャノーラ、ジャンシー(juncea)、ヒマワリ、サトウキビ、エンドウ豆、レンズマメおよびアルファルファであり、最も好ましい植物は、大豆、小麦、ヒマワリ、キャノーラ、ジャンシー(juncea)、コーン、綿、サトウキビ、エンドウ豆、レンズマメおよびアルファルファおよびセイヨウアブラナから選択される。
【0098】
本発明の別の好ましい実施態様において、処理されるべき植物は、キュウリ、大豆、小麦、ヒマワリ、キャノーラ、セイヨウアブラナ、コーン、綿、サトウキビ、ジャンシー(juncea)、エンドウ豆、レンズ豆およびアルファルファから選択される。最も好ましい植物は大豆である。
【0099】
本発明の特に好ましい実施態様において、処理されるべき植物は、キュウリ、小麦、大麦、コーン、大豆、米、キャノーラおよびヒマワリから選択される。
【0100】
本発明の別の特に好ましい実施態様において、処理されるべき植物は、大豆、コーン、綿、キャノーラ、サトウキビ、大麦、オーツ麦、モロコシ(sorghum)および小麦から選択される。
【0101】
1つの実施態様において、本発明の方法に従い処理されるべき植物は、園芸植物である。「園芸植物」という語は、一般に園芸、例えば観賞植物、野菜および/または果物の栽培において使用される植物と理解すべきである。観賞植物の例は、芝、ゼラニウム、ペラルゴニア(pelargonia)、ペチュニア、ベゴニアおよびフクシアである。野菜の例は、ジャガイモ、トマト、コショウ、ウリ科植物(cucurbit)、キュウリ、メロン、スイカ、ニンニク、タマネギ、ニンジン、キャベツ、豆類、エンドウ豆およびレタスであり、より好ましくは、トマト、タマネギ、エンドウ豆およびレタスである。果物の例は、リンゴ、洋梨、サクランボ、イチゴ、かんきつ類、モモ、アンズおよびブルーベリーである。
【0102】
1つの実施態様において、本発明の方法に従い処理されるべき植物は、観賞植物である。「観賞植物」は、ガーデニング、例えば公園、庭およびバルコニにおいて一般に使用される植物である。例は、芝、ゼラニウム、ペラルゴニア(pelargonia)、ペチュニア、ベゴニアおよびフクシアである。
【0103】
1つの実施態様において、本発明の方法に従い処理されるべき植物は、植林植物である。「植林植物」という語は、樹木、より詳細には、森林再生または産業的植林地で使用される樹木と理解されるべきである。産業的植林地は一般に、森林生産物、例えば木材、パルプ、紙、ゴムの木、クリスマスツリーまたは、ガーデニングの目的のための若い木の商業生産のために役立つ。植林植物の例は、針葉樹、例えば松類、特にPinus種、モミおよびトウヒ、ユーカリノキ、チークのような 熱帯樹木(tropical tree) 、ゴムノキ、アブラヤシ、ヤナギ(ヤナギ属)、特にSalix 種、ポプラ(ハコヤナギ)、特に Populus 種、ブナ、特にFagus 種、カバノキ、アブラヤシおよびオークである。
【0104】
本発明の好ましい実施態様において、処理されるべき植物は、除草剤耐性植物である。除草剤耐性植物の中で、ジカンバ耐性植物、グリフォサート耐性植物および/またはグルフォシネート耐性植物が特に好ましい。
【0105】
「場所」という語は、植物が生長しているかまたは生長すると思われる任意のタイプの環境、土壌、地域または資材ならびに、植物および/またはその繁殖体の生長および発達に影響を及ぼす環境条件(例えば温度、水の入手可能性、放射)と理解されるべきである。
【0106】
本発明の用語において、「混合物」は、少なくとも2種の活性成分(化合物)の組合せを意味する。本発明の場合に、植物の健康を増進させるために使用される混合物は、1種の化合物(I) および1種の化合物(II)、または1種の化合物(I)および1種の化合物(II)および1種の化合物(III)を含む。
【0107】
「遺伝的に改変された植物」という語は、交雑育種、変異または自然の組み換えによって自然環境下で容易に得ることができないようなやり方で、組み換えDNA技術の使用によって遺伝物質が改変された植物と理解されるべきである。
【0108】
「植物繁殖材料」という語は、植物の繁殖のために使用することができる、植物の全ての生殖力のある部分、例えば種子および生長力のある植物材料、例えば挿し木および塊茎(例えばジャガイモ)を表すと理解すべきである。これは、種子、穀粒, 根、果実、塊茎、球根、根茎、挿し木、胞子、横枝、シュート、芽および、土壌から発芽後または出芽後移植されるべき植物の他の部分(幼苗および若い植物を含む)、分裂組織、単一および多数の植物細胞ならびに任意の他の植物組織(それから完全な植物を得ることができる)を包含する。
【0109】
「繁殖体」または「植物繁殖体」という語は、新しい植物を生じさせる能力を有する任意の構造、例えば種子、胞子、または親から引き離されても独立して生長することができる生長力のある幹の一部を表すと理解されるべきである。好ましい実施態様において、「「繁殖体」または「植物繁殖体」という語は種子を表す。
【0110】
「相乗的に」という語は、1種の化合物(I) および1種の化合物(II)および任意的に1種の化合物(III)の同時、すなわち共同もしくは別々の施用または、1種の化合物(I) および1種の化合物(II)および任意的に1種の化合物(III)の連続した施用の全くの相加的増進効果が、本発明の混合物の施用によって超えられることを意味する。
【0111】
「植物の健康」という語は、幾つかの面、例えば収穫、植物の生長力、品質および、無生物および/または生物的ストレスに対する耐性の、単独または互いの組合せによって決定される、植物および/またはその生産物の状態と定義される。
【0112】
植物の健康状態の先に明らかにした指標は、互いに依存し得るか、または互いから生じ得る。収穫、植物生長力、品質ならびに無生物および/または生物的ストレスに対する耐性から成る群より選択される、以下に挙げたそれぞれの列挙された植物の健康指標は、それぞれがそれ自体で、または好ましくは互いの組合せでの本発明の好ましい実施態様と理解されるべきである。
【0113】
植物の状態の1つの指標は収穫である。「収穫」は、植物により生産される経済的価値のある任意の植物生産物、例えば穀物、適当な意味での果物、野菜、ナッツ、穀物、種子、木材(例えば植林植物の場合に)または花(例えばガーデニング植物、観賞植物の場合に)、として理解されるべきである。植物生産物は加えて、収穫後にさらに使用され、および/または加工され得る。
【0114】
本発明によれば、植物の、特に農業、植林および/または園芸植物の「増加された収穫」は、それぞれの植物の生産物の収穫が、同じ条件下であるが本発明の混合物を施用せずに生産された植物の同じ生産物の収穫より、測定可能な量増加されることを意味する。
【0115】
増加された収穫は、とりわけ、植物の以下の改善された特性によって特徴づけることができる:
・ 増加された植物重量
・ 増加された植物高さ
・ 増加されたバイオマス、例えばより高い全体にわたる生体重(fresh weight)(FW)
・ 増加された、植物当たりの花の数
・ 増加された穀物収穫量
・ より多い若木または副梢(枝)
・ より大きい葉
・ 増加されたシュートの生長
・ 増加されたタンパク質含量
・ 増加された油含量
・ 増加されたデンプン含量
・ 増加された色素含量。
【0116】
本発明によれば、収穫は、少なくとも4%、好ましくは5〜10%、より好ましくは10〜20%、または20〜30%増加される。一般に、収穫の増加は、より高いことさえあり得る。
【0117】
植物の状態についての別の指標は植物生長力である。植物生長力は、幾つかの面、例えば一般的な視覚的な外観において明白になる。
【0118】
改善された植物生長力は、とりわけ、植物の以下の改善された特性によって特徴づけることができる:
・ 改善された、植物の活力
・ 改善された、植物の生育
・ 改善された、植物の発達
・ 改善された視覚的な外観
・ 改善された、植物の株立本数(より少ない植物ヴァース(verse)/ 倒伏)
・ 改善された出芽
・ 高められた根の生長および/またはより多い発達した根系
・ 高められた根粒着生、特にリゾビウム属の根粒着生
・ より大きい葉身
・ より大きい寸法
・ 増加された植物重量
・ 増加された植物高さ
・ 増加された若木数
・ 増加された副梢の数
・ 増加された、植物当たりの花の数
・ 増加されたシュートの生育
・ 増加された根の生育(広範囲の根系)
・ やせた土壌または好ましくない気候で生長するときの増加された収穫
・ 高められた光合成活性(例えば増加された気孔の伝導性(conductance)および/または増加されたCO2同化速度に基づく)
・ 増加された気孔の伝導性
・ 増加されたCO2同化速度
・ 高められた色素含量(例えばクロロフィル含量)
・ より早い開花
・ より早い結実
・ より早く、改善された発芽
・ より早い穀物成熟
・ 改善された自己防衛メカニズム
・ 改善されたストレス耐性ならびに、生物および無生物的なストレス要因、例えば真菌、細菌、ウィルス、昆虫、熱ストレス、寒気ストレス、干ばつストレス、UVストレスおよび/または塩ストレスに対する植物の抵抗性
・ より少ない、生産力のない若木
・ より少ない、枯れた根元から出ている葉(basal leaves)
・ より少ない、必要とされる投入量(例えば肥料または水)
・ よりみずみずしい葉
・ 短い生長期間での完全な成熟
・ より少ない、必要とされる肥料
・ より少ない、必要とされる種子
・ より早い収穫
・ より速く、均一な成熟
・ より長い貯蔵寿命
・ より長い円錐花序(panicle)
・ 老化の遅れ
・ より強くおよび/またはより生産力のある若木
・ 成分のよりよい抽出性
・ 種子の改善された品質(種子生成のため次のシーズンで播くための)
・ エチレンの生産減少および/または、植物によるその受容の抑制。
【0119】
本発明に従う植物生長力の改善は特に、上記した植物の特徴の任意の1つもしくは幾つかまたは全部が、混合物または活性成分(構成要素)の農薬作用と無関係に改善されることを意味する。
【0120】
植物の状態についての別の指標は、植物および/またはその生産物の「品質」である。本発明によれば、高められた品質は、ある植物の特徴、例えばある成分の含量または組成が、同じ条件下であるが本発明の混合物を施用せずに生産された植物の同じ要因より、測定可能な量もしくは顕著な量で増加もしくは改善されることを意味する。高められた品質は、とりわけ、植物もしくはその生産物の以下の改善された特性によって特徴づけることができる:
・ 増加された栄養分含量
・ 増加されたタンパク質含量
・ 増加された脂肪酸含量
・ 増加された代謝産物含量
・ 増加されたカロチノイド含量
・ 増加された糖含量
・ 増加された必須アミノ酸量
・ 改善された栄養分組成
・ 改善されたタンパク質組成
・ 改善された脂肪酸組成
・ 改善された代謝産物組成
・ 改善されたカロチノイド組成
・ 改善された糖組成
・ 改善されたアミノ酸組成
・ 改善された、または最適な果物の色
・ 改善された葉の色
・ より高い貯蔵能力
・ 収穫した生産物のより高い加工性。
【0121】
植物の状態についての別の指標は、生物および/または無生物ストレス要因に対する植物の耐性または抵抗性である。生物および無生物ストレス、特に長期間にわたるものは、植物に有害な影響を与え得る。生物ストレスは、生きている生物体によって引き起こされ、一方、無生物ストレスは、例えば環境の極端さによって引き起こされる。本発明によれば、「生物および/または無生物ストレス要因に対する高められた耐性または抵抗性」は、(1.) 生物および/または無生物ストレスにより引き起こされるある負の要因が、同じ条件であるが本発明の混合物で処理されていない条件に暴露された植物と比べて、測定可能な量または顕著な量で減らされること、ならびに(2.) ストレス要因への本発明の混合物の直接の作用、例えば微生物もしくは害虫を直接破壊する殺菌もしくは殺虫作用によって、負の影響が減らされず、むしろ該ストレス要因に対する植物自身の防衛反応の刺激によることを意味する。
【0122】
生物ストレス、例えば病原体および害虫により引き起こされる負の要因は広く知られており、斑点のついた葉から植物全体の破壊までにわたる。生物ストレスは、生きている生物体、例えば:
・ 害虫(例えば昆虫、蛛形類、線虫類)
・ 競争植物(例えば雑草)
・ 微生物、例えば植物病原性(phythopathogenic)菌類および/または細菌
・ ウィルス
によって引き起こされ得る。
【0123】
生物ストレスによって引き起こされる負の要因はまたよく知られており、減少した植物生長力(上記参照)、例えば、例を挙げると:斑点のついた葉、「焼けた葉」、減少した生育、より少ない花、より少ないバイオマス、より少ない作物収穫量、作物の減少した栄養価、遅い作物の成熟としてしばしば観察することができる。生物ストレスは、例えば:
・ 極端な温度、例えば熱または寒気(熱ストレス/寒気ストレス)
・ 温度の強烈な変動
・ 特定の季節に普通でない温度
・ 干ばつ(干ばつストレス)
・ 極端な湿気
・ 高い塩分(塩分ストレス)
・ 放射(例えばオゾン層の減少による増加されたUV放射による)
・ 増加されたオゾン濃度(オゾンストレス)
・ 有機汚染(例えば生物毒量の農薬による)
・ 無機汚染(例えば重金属汚染物質による)
によって引き起こされ得る。
【0124】
生物および/または無生物ストレス要因の結果として、ストレスを受けた植物、それらの作物および果物の量ならびに品質が低下する。品質が関連する限り、生殖の発達は、通常、果実または種子にとって重要である作物に重大な影響を及ぼす。タンパク質の合成、蓄積および貯蔵はたいてい、温度により影響を受ける;生長は、ほとんどすべてのタイプのストレスによって遅らされる;多糖合成は、構造および貯蔵の両方が減じられるか、または改変される;これらの影響は、バイオマス(収穫量)の減少および生産物の栄養価の変化を生じる。
【0125】
特に処理された種子から得られる有利な特性は、例えば、改善された発芽および畑への定着性、よりよい生長力および/またはよりよい均質な(homogen)畑定着性である。
【0126】
先に指摘したように、植物の健康状態についての先に明らかにした指標は、相互依存性であり得るし、互いから生じ得る。例えば、生物および/または無生物ストレスに対する増加された抵抗性は、よりよい植物生長力、例えばより良く、大きい作物に至り、かくして増加された収穫に至ることができる。反対に、より発達した根系は、生物および/または無生物ストレスに対する増加された抵抗性を生じ得る。しかしながら、これらの相互依存性および相互作用は全てが知られているわけでもなく、完全に理解されているわけでもない。したがって、異なる指標は、別々に説明される。
【0127】
1つの実施態様において、本発明の方法内での混合物の使用は、植物またはその生産物の増加された収穫を生じる。
【0128】
別の実施態様において、本発明の方法内での混合物の使用は、植物またはその生産物の増加された生長力を生じる。
【0129】
別の実施態様において、本発明の方法内での混合物の使用は、植物またはその生産物の増加された品質を生じる。
【0130】
なお別の実施態様において、本発明の方法内での混合物の使用は、植物またはその生産物の、生物および/または無生物ストレスに対する増加された耐性および/または抵抗性を生じる。
【0131】
本発明の1つの実施態様において、生物ストレス要因に対する耐性および/または抵抗性が高められる。かくして、本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の混合物は、病原体および/または害虫に対する植物の本来の防衛反応を刺激するために使用される。その結果、植物は、望まれない微生物、例えば植物病原性菌類および/または細菌またはウィルスに対して、および/または害虫、例えば昆虫、蛛形類および線虫類に対して保護され得る。
【0132】
本発明の別の実施態様において、無生物ストレス要因に対する耐性および/または抵抗性が高められる。かくして、本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の混合物は、無生物ストレス、例えば極端な温度、例えば熱もしくは寒気もしくは温度の強烈な変動および/または特定の季節に普通でない温度、干ばつ、極端な湿気、高塩度、放射(例えばオゾン保護層の減少による増加されたUV放射)、増加されたオゾン濃度、有機汚染(例えば生物毒量の農薬による)および/または無機汚染(例えば重金属汚染物質による)に対する植物自身の防衛反応を刺激するために使用される。
【0133】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の混合物は、収穫、例えば植物重量および/または植物バイオマス(例えば全体にわたる生体重量)および/または穀物収穫および/または若木の数を増加させるために使用される。
【0134】
本発明の別の好ましい実施態様において、本発明の混合物は、植物生長力、例えば植物の生命力および/または植物の発達および/または視覚的外観および/または植物の株立本数(より少ないヴァース(verse)/ 倒伏)を改善するために、および/または根の生長を高めるために、および/または根系の発達を改善するために、および/またはシュートの生長を増加させるために、および/または植物当たりの花の数を増すために、および/またはやせた土壌または好ましくない気候で生長するときに作物の収穫を増加させるために、および/または光合成活性を増すために、および/または色素含量を高めるために、および/またはクロロフィル含量を増すために、および/または気孔の伝導性(conductance)を増加するために、および/または開花を改善する(早い開花)ために、および/または発芽を改善するために、および/または生物および無生物ストレス要因、例えば真菌類、細菌、ウィルス、昆虫、熱ストレス、寒気ストレス、干ばつストレス、UVストレスおよび/または塩ストレスに対する植物のストレス耐性および抵抗性を改善するために、および/または生産力のない若木の数を減らすために、および/または枯れた根元からの葉の数を減らすために、および/または葉の緑色を増すために、および/または必要とされる投入量、例えば肥料および水を減らすために、および/または作物を定着させるために必要とされる種子を減らすために、および/または作物の収穫性を改善するために、および/または成熟の均一性を改善するために、および/または貯蔵寿命を改善するために、および/または老化を遅らせるために、および/または生産力のある若木を強化するために、および/または種子生産における種子の品質を改善するために、および/または果物の色を改善するために、および/または葉の色を改善するために、および/または貯蔵能力を改善するために、および/または収穫した生産物の加工性を改善するために、使用される。
【0135】
本発明の特に好ましい実施態様において、本発明の混合物は、気孔の伝導性(conductance)を増加するために使用される。より高い気孔の伝導性(conductance)は、葉へのCO2の拡散を増加させ、より高い光合成速度に助力する。より高い光合成速度はまた、より高いバイオマスおよびより高い作物収穫に助力する。ピマ綿(Gossypium barbadense) およびパン小麦(Triticum aestivum)についての最近の研究は、収穫の増加と気孔の伝導性(conductance)の増加との間に正の相関関係を示した(Lu ら(1998):気孔伝導性は、高い温度で生長した、灌漑されたピマ綿およびパン小麦の収穫を予言する (Stomatal conductance predicts yields in irrigated Pima cotton and bread wheat grown at high temperatures.) J. Exp. Bot. 49: 453-460)。
【0136】
本発明の別の特に好ましい実施態様において、本発明の混合物は、クロロフィル含量を増加するために使用される。クロロフィル含量が、植物の光合成速度と正の相関関係を有し、従って、先に指摘したように、植物の収穫に相関することはよく知られている。クロロフィル含量が高ければ高いほど、植物の収穫は高くなる。
【0137】
本発明のなおさらに好ましい実施態様において、本発明の混合物は、植物重量を増加させるために、および/または植物のバイオマス(例えば全体にわたる生体重量)を増加させるために、および/または穀物収穫を増加させるために、および/または若木の数を増やすために、および/または植物の発達を改善するために、および/または視覚的外観を改善するために、および/または植物の株立本数を改善する(より少ないヴァース(verse)/ 倒伏)ために、および/またはやせた土壌または好ましくない気候で生長するときに作物の収穫を増加させるために、および/または発芽を改善するために、および/または無生物ストレス要因、例えば寒気ストレス、干ばつストレス、UVストレスに対する植物のストレス耐性および抵抗性を改善するために、および/または生産力のない若木の数を減らすために、および/または枯れた根元からの葉の数を減らすために、および/または葉の緑色を改善するために、および/または作物を定着させるために必要とされる種子を減らすために、および/または作物の収穫性を改善するために、および/または貯蔵寿命を改善するために、および/または老化を遅らせるために、および/または生産力のある若木を強化するために、および/または種子生産における種子の品質を改善するために、使用される。
【0138】
本発明の混合物の上記した効果、すなわち高められた植物の健康がまた、植物が生物ストレス下にないとき、および特に植物が有害生物の圧力下にないときに存在することが強調されるべきである。菌類または昆虫の攻撃を受けている植物が、病原性菌類または任意の他の関連する害虫に対する治療もしくは予防処理を受けた植物と比べたとき、より少ないバイオマスを生じ、より減らされた作物収穫に至り、生物ストレス要因により生じる損傷なしに生長することができることは明らかである。しかしながら、本発明の方法は、生物ストレスの不在下においてすら高められた植物の健康へと至る。これは、本発明の混合物の正の効果が、化合物(I)、(II)および(III)の抗菌および/または除草活性によるだけでは説明できず、さらなる活性プロフィールに基づくことを意味する。したがって、この方法の好ましい実施態様において、活性成分(構成要素)および/またはその混合物の施用は、有害生物の圧力の不在下において行われる。しかし、もちろん、生物ストレス下の植物をまた、本発明の方法に従い、処理することができる。
【0139】
本発明の混合物は、植物、植物繁殖材料(好ましくは種子)、植物が生長しているかもしくは生長することができる土壌、領域、資材もしくは環境を、有効量の活性化合物で処理することによって、使用される。施用は、有害生物の圧力の不在下で、および/または、資材、植物または植物繁殖材料(好ましくは種子)の有害生物による感染の前および後の両方で、行うことができる。
【0140】
好ましい実施態様において、植物の地上部分が本発明の混合物で処理される。
【0141】
この方法の別の好ましい実施態様は、化合物(II)での種子の処理、ならびに化合物(I)および任意的に化合物(III)での、植物が生長しているかもしくは生長することができる土壌、領域、資材もしくは環境の処理を含む。
【0142】
この方法の別の好ましい実施態様は、化合物(II)での種子の処理、ならびに化合物(I)および任意的に化合物(III)での植物の葉の処理を含む。
【0143】
本発明の方法の別の好ましい実施態様において、植物、植物繁殖材料(好ましくは種子)、植物が生長しているかもしくは生長することができる土壌、領域、資材もしくは環境が、有効量の、化合物(I)および(II)を含む混合物で処理される。
【0144】
本発明の方法の別の好ましい実施態様において、植物、植物繁殖材料(好ましくは種子)、植物が生長しているかもしくは生長することができる土壌、領域、資材もしくは環境が、有効量の、化合物(I)、(II)および(III)を含む混合物で処理される。
【0145】
本発明の1つの実施態様において、植物の健康を増進させるための混合物は、処理された植物のGS 00 およびGS 65 BBCHの間の成長段階(GS)で施用される。
【0146】
本発明の好ましい実施態様において、植物の健康を増進させるための混合物は、処理された植物のGS 00 およびGS 55 BBCHの間の成長段階(GS)で施用される。
【0147】
本発明のなおさらに好ましい実施態様において、植物の健康を増進させるための混合物は、処理された植物のGS 00 およびGS 37 BBCHの間の成長段階(GS)で施用される。
【0148】
本発明の最も好ましい実施態様において、植物の健康を増進させるための混合物は、処理された植物のGS 00 およびGS 21 BBCHの間の成長段階(GS)で施用される。
【0149】
本発明の好ましい実施態様において、植物の健康を増進させるための、化合物(I)および(II)を含む混合物は、処理された植物のGS 13 およびGS 37 BBCHの間の成長段階(GS)で施用される。
【0150】
本発明の別の好ましい実施態様において、植物の健康を増進させるための、化合物(I) 、(II) および(III)を含む混合物は、処理された植物のGS 13 およびGS 37 BBCHの間の成長段階(GS)で施用される。
【0151】
「生長段階」という語は、植物の全体の発達サイクルが、はっきりと認識でき、区別できる長く続く発達段階に細分される、全ての単子葉および双子葉植物種の生物季節学的に同様な生長段階の均一なコード化のための系である拡張されたBBCH-尺度をいう。BBCH-尺度は、十進法のコード系を使用し、これは、主要および二次的な生長段階に分けられる。略語BBCHは、連邦農業研究所(Federal Biological Research Centre for Agriculture and Forestry) (ドイツ), 連邦品種局(the Bundessortenamt and the chemical industry)(ドイツ)から得る。
【0152】
本発明の好ましい実施態様において、化合物(I)は、その健康を増進させるべき植物が生長しているか、または生長すると思われる生長の場所に、および/またはそのような植物への葉の処理として、施用される。
【0153】
本発明の別の好ましい実施態様において、化合物(II)は、その健康を増進させるべき植物が生長しているか、または生長すると思われる生長の場所に、および/またはそのような植物への葉の処理として、施用される。本発明の別の好ましい実施態様において、化合物(II)は、種子の処理として施用される。
【0154】
本発明のなお別の好ましい実施態様において、化合物(III)は、その健康を増進させるべき植物が生長しているか、または生長すると思われる生長の場所に、および/またはそのような植物への葉の処理として、施用される。
【0155】
一般に「植物」という語はまた、育種、突然変異生成または遺伝子工学によって改変された植物(トランスジェニック植物および非トランスジェニック植物)を包含する。遺伝子改変された植物は、自然環境下での交雑育種、突然変異または自然の組み換えによって容易には得ることができないようなやり方で、組み換えDNA技術の使用によって遺伝子物質が改変された植物である。
【0156】
本発明の混合物で処理することができる、植物ならびに該植物の繁殖物質は、全ての改変された非トランスジェニック植物もしくはトランスジェニック植物、例えば育種(遺伝子工学の方法を含む)のために除草剤もしくは抗菌剤もしくは殺虫剤の作用に耐性がある作物または、例えば伝統的な育種法および/または突然変異の発生によって、または組み換え法によって生成され得る、存在する植物に比べて改変された特性を有する植物を包含する。
【0157】
本発明の方法の1つの実施態様において、植物および/または植物繁殖体は、同時に(一緒に、もしくは別々に)または連続して、上記した混合物で処理される。もちろん、連続した施用は、施用される化合物の組み合わせた作用が可能になる時間間隔で行われる。好ましくは、化合物(I)および化合物(II)および、3成分混合物の場合には1種の化合物(III)の連続施用のための時間間隔は、数秒から3カ月、好ましくは数秒から1カ月まで、より好ましくは数秒から2週間まで、なおさらに好ましくは数秒から3日間まで、特には1秒から24時間までの範囲である。
【0158】
ここで、本発明者らは、化合物(I)および化合物(II)の同時(すなわち、一緒または別々の)施用または、化合物(I)および化合物(II)の連続施用は、個々の化合物を用いた場合に可能な防除速度に比べて、高められた植物の健康増進を可能にすることを見出した(相乗混合物)。
【0159】
本発明の別の実施態様において、上記した混合物は、繰り返し施用される。もしそうなら、施用は、2回〜5回、好ましくは2回繰り返される。
【0160】
植物の健康を増進させるために使用されるとき、混合物の施用割合は、種々のパラメーター、例えば処理される植物の種または施用される混合物に依存して、0.3g/ha〜1500g/haである。本発明の方法の好ましい実施態様において、混合物の施用割合は、5g/ha〜750g/haである。本発明の方法のなおさらに好ましい実施態様において、混合物の施用割合は、20g/ha〜500g/ha、特に20g/ha〜300g/haである。
【0161】
植物繁殖材料(好ましくは種子)の処理において、0.01g〜3kgの量、特に0.01g〜1kgの量の本発明の混合物が一般に、植物繁殖材料(好ましくは種子)100kg当たり必要とされる。本発明の方法の好ましい実施態様において、0.01g〜250gの量の本発明の混合物が、植物繁殖材料(好ましくは種子)100kg当たり必要とされる。本発明の方法の別の好ましい実施態様において、0.01g〜150gの量の本発明の混合物が、植物100kg当たり必要とされる。
【0162】
もちろん、本発明の混合物は、「有効量」で使用される。これは、植物の健康の相乗的増進であるが、処理される植物に植物毒症状を生じさせない、望ましい効果を得ることを可能にする量で使用されることを意味する。
【0163】
本発明の化合物は、その生物学的活性が異なり得る、異なる結晶多形(crystal modification)で存在することができる。それらは同様に本発明の主題である。
【0164】
本発明の方法に従い使用される全ての2成分混合物において、化合物(I)および化合物(II)は、相乗効果を生じる量で使用される。
【0165】
2成分混合物に関して、化合物(I)対化合物(II)の重量比は、1:200〜200:1、好ましくは100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、より好ましくは20:1〜1:20、および特に、10:1〜1:10である。最も好ましい比は、1:5〜5:1であり、または1:2〜2:1ですらある。
【0166】
本発明の方法の別の好ましい実施態様において、3成分混合物が施用される。3成分混合物に関して、化合物(I)(=成分1)対化合物(II)(=成分2)の重量比は、好ましくは100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、より好ましくは20:1〜1:20、特に10:1〜1:10である。最も好ましい比は1:5〜5:1である。3成分混合物の中で、化合物(I)(=成分1)対さらなる化合物(III)(=成分3)の重量比は、好ましくは100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、より好ましくは20:1〜1:20、特に10:1〜1:10である。最も好ましい比は1:5〜5:1である。3成分混合物の中で、化合物(II)(=成分2)対さらなる化合物(III)(=成分3)の重量比は、好ましくは100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、より好ましくは20:1〜1:20、特に10:1〜1:10である。最も好ましい比は1:5〜5:1である。
【0167】
本発明の全ての混合物は典型的には、化合物(I)および化合物(II)および任意的に1種の化合物(III)を含む組成物として施用される。好ましい実施態様において、植物の健康を増進させるための有害生物駆除(pesticial)組成物は、液体もしくは固体担体および上記した混合物を含む。
【0168】
例えば、本発明の混合物は、育種、突然変異生成または遺伝子工学により改変された植物(限定されないが、上市されている、または開発中の農業バイオテクノロジー生産物を包含する)へ(種子の処理として、葉への噴霧処理として、あぜ溝内施用として、または任意の他の手段によって)また施用することができる(http://www.bio.org/speeches/pubs/er/agri_products.asp参照)。一般に、改変された植物は、遺伝子物質が、組み換えDNA技術の使用によって、自然環境下で交雑育種、突然変異または自然の組み換えによって容易には得ることができないように改変された植物である。典型的には、植物のある特性を改善するために、1種またはそれ以上の遺伝子が、遺伝子改変された植物の遺伝子物質に組み込まれる。そのような遺伝子改変はまた、限定されないが、例えばグリコシル化またはポリマー付加、例えばプレニル化、アセチル化もしくはファルネシル化された部分またはPEG部分による、タンパク質、オリゴ-もしくはポリペプチドの標的化された翻訳後修飾(targeted post-transtional modification)を包含する。
【0169】
育種、突然変異生成または遺伝子工学によって改変された植物は、例えば、特定の種類の除草剤の施用に耐えるようにされる。除草剤に対する耐性は、除草剤に抵抗性である標的酵素の発現によって、除草剤の作用部位に無感応部分を作ることによって;除草剤を不活化する酵素の発現による除草剤の急速な代謝(結合または分解)によって;または除草剤の乏しい取込みおよび移動によって、得ることができる。例は、野生型酵素に比べて除草剤に耐性である酵素の発現、例えばグリフォサートに耐性である5-エノールピルビルシキメート-3-ホスフェートシンターゼ(EPSPS)の発現(例えばHeck ら、 Crop Sci. 45, 2005, 329-339; Funke ら、PNAS 103, 2006, 13010-13015; US5188642, US4940835, US5633435, US5804425, US5627061参照)、グルフォシネートおよびビアラフォス(bialaphos)に耐性であるグルタミンシンターゼの発現(例えばUS5646024, US5561236参照)、ならびに、ジカンバ(dicamba)-分解酵素についてコードするDNA構築物(例えば一般的な参考のためにはUS 2009/0105077および、次のものにおけるジカンバ抵抗性ついては例えばUS7105724参照:豆、トウモロコシ(トウモロコシについてはまたWO2008051633参照)、綿(綿についてはまたUS5670454参照)、エンドウ豆、ジャガイモ、モロコシ類、大豆(大豆についてはまたUS5670454参照)、ヒマワリ、タバコ、トマト(トマトについてはまたUS5670454参照))である。遺伝子構築物は、例えば、該除草剤に耐性である微生物または植物、例えばAgrobacterium 株CP4 EPSPS(グリフォサートに耐性);Streptomyces細菌(グルフォシネートに耐性);HDDPについてコードするキメラ遺伝子配列を有するArabidopsis, Daucus carota, Pseudomonoas ssp. またはZea mays(例えばWO1996/38567, WO 2004/55191参照);プロトクス(protox)阻害剤に耐性であるArabidopsis thaliana(例えばUS2002/0073443参照)から得ることができる。
【0170】
除草剤に対する耐性を有する市販されていて入手可能な植物の例は、グリフォサートに対する耐性を有するコーン種“Roundup Ready(登録商標)Corn”, “Roundup Ready 2(登録商標)” (Monsanto), “Agrisure GT(登録商標)”, “Agrisure GT/CB/LL(登録商標)”, “Agrisure GT/RW(登録商標)”, “Agrisure 3000GT(登録商標)”(Syngenta), “YieldGard VT Rootworm/RR2(登録商標)” および“YieldGard VT Triple(登録商標)” (Monsanto) ;グルフォシネートに対する耐性を有するコーン種“Liberty Link(登録商標)” (Bayer), “Herculex I(登録商標)”, “Herculex RW(登録商標)”, “Herculex(登録商標) Xtra”(Dow, Pioneer), “Agrisure GT/CB/LL(登録商標)” および“Agrisure CB/LL/RW(登録商標)” (Syngenta) ; グリフォサートに対する耐性を有する大豆種 “Roundup Ready(登録商標) Soybean” (Monsanto) および“Optimum GAT(登録商標)” (DuPont, Pioneer) ;グリフォサートに対する耐性を有する綿種 “Roundup Ready(登録商標) Cotton” および“Roundup Ready Flex(登録商標)” (Monsanto);ブロモキシニル(bromoxynil) に対する耐性を有する綿種“BXN(登録商標)” (Calgene);ブロモキシニル(bromoxynil)耐性を有するキャノーラ種“Navigator(登録商標)” および “Compass(登録商標) ”(Rhone-Poulenc) ;グリフォサート耐性を有するキャノーラ種” Roundup Ready(登録商標) Canola” (Monsanto) ;グルフォシネート耐性を有するキャノーラ種” InVigor(登録商標)” (Bayer) ;グルフォシネート耐性を有する米種 “Liberty Link(登録商標) Rice” (Bayer) ならびにグリフォサート耐性を有するアルファルファ種“Roundup Ready Alfalfa”である。除草剤(に対する耐性)を有するさらなる改変された植物は一般に知られており、例えばグリフォサートに対する耐性を有するアルファルファ、リンゴ、ユーカリ、亜麻、ブドウ、レンズ豆、セイヨウアブラナ、洋梨、 ジャガイモ、米、サトウダイコン、ヒマワリ、タバコ、トマト、芝草(turf grass)および小麦 (例えばUS 5188642, US 4940835, US 5633435, US 5804425, US 5627061参照); ジカンバ(dicamba) に対する耐性を有する豆類、大豆、綿、洋梨、ジャガイモ、ヒマワリ、トマト、タバコ、コーン、モロコシおよびサトウキビ (例えばUS 2009/0105077, US 7105724 およびUS 5670454参照);2,4-Dに対する耐性を有するコショウ、リンゴ、トマト、ハース(hirse)、ヒマワリ、タバコ、ジャガイモ、コーン、キュウリ、小麦、大豆およびモロコシ (例えば、US 6153401, US 6100446, WO 05/107437, US 5608147 およびUS 5670454参照);グルフォシネートに対する耐性を有するサトウダイコン、ジャガイモ、トマトおよびタバコ 例えばUS 5646024, US 5561236参照); アセトラクテートシンターゼ(ALS)が阻害する除草剤、例えばトリアゾロピリミジンスルホンアミド、生長抑制剤およびイミダゾリノンに対する耐性を有するキャノーラ、大麦、綿、ジャンシー(juncea)、レタス、レンズ豆、メロン、キビ、オーツ麦、セイヨウアブラナ、ジャガイモ、米、ライ麦、モロコシ、大豆、サトウダイコン、ヒマワリ、タバコ、トマトおよび小麦 (例えばUS 5013659, WO 06/060634, US 4761373, US 5304732, US 6211438, US 6211439 およびUS 6222100参照); HPPD阻害剤除草剤に対する耐性を有する穀類、サトウキビ、米、コーン、タバコ、 大豆、綿、ナタネ、サトウダイコンおよびジャガイモ (例えばWO 04/055191, WO 96/38567, WO 97/049816 およびUS 6791014参照);プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)阻害剤除草剤に対する耐性を有する小麦、大豆、綿、 サトウダイコン、セイヨウアブラナ、米、コーン、モロコシおよびサトウキビ(例えばUS2002/0073443, US 20080052798, Pest Management Science, 61, 2005, 277-285参照)である。そのような除草剤抵抗性植物を生成する方法は一般に当業者に公知であり、例えば上記した刊行物に記載されている。除草剤に対する耐性を有する市販されていて入手可能な改変植物のさらなる例は、 イミダゾリノン除草剤に対する耐性を有する“CLEARFIELD(登録商標) Corn”, “CLEARFIELD(登録商標) Canola”, “CLEARFIELD(登録商標) Rice”, “CLEARFIELD(登録商標) Lentils”, “CLEARFIELD(商標) Sunlowers” (BASF) である。
【0171】
さらには、植物はまた、組み換えDNA技術の使用により、1種以上の殺虫タンパク質、特に細菌Bacillus属、特にBacillus thuringiensisから知られているもの、例えばδ-エンドトキシン、例えばCryIA(b), CryIA(c), CryIF, CryIF(a2), CryIIA(b), CryIIIA, CryIIIB(b1) またはCry9c;野菜殺虫タンパク質(VIP)、例えばVIP1, VIP2, VIP3 またはVIP3A;細菌コロニー形成線虫、例えばPhotorhabdus spp. もしくはXenorhabdus spp.の殺虫タンパク質;動物によって生成される毒素、例えばサソリ毒素、蛛形類毒素、スズメバチ毒素または他の昆虫に特異的な神経毒;菌類により生成される毒素、例えばStreptomycetes毒素、植物レクチン、例えば洋梨もしくは大麦レクチン;凝集素;プロテイナーゼ阻害剤、例えばトリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン(patatin)シスタチン(cystatin)もしくはパパイン阻害剤;リボソーム-不活化タンパク質(RIP)、例えばリシン、メイズ-RIP、アブリン、ルフィン(luffin)、サポリン(saporin)もしくはブリョウジン(bryodin);ステロイド代謝酵素、例えば3-ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、脱皮ステロイド(ecdysteroid)-IDP-グリコシル-トランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、 エクジソン阻害剤またはHMG-CoA-レダクターゼ; イオンチャンネル遮断薬、例えばナトリウムもしくはカルシウムチャンネルの遮断薬;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体 (ヘリコキニン(helicokinin)受容体);スチルベンシンターゼ、ビベンジルシンターゼ、キチナーゼまたはグルカナーゼを合成することができるものに変えられる。本発明において、これらの殺虫タンパク質または毒素はまた、プレトキシン(pre-toxin)、ハイブリッドタンパク質、欠損タンパク質、もしくはさもなければ改変されたタンパク質として明白に理解されるべきである。ハイブリッドタンパク質は、新しい組み合せのタンパク質ドメインによって特徴づけられる(例えばWO 02/015701参照)。そのような毒素はまたは、そのような毒素を合成することができる遺伝子改変された植物のさらなる例は、例えばEP-A 374 753, WO 93/007278, WO 95/34656, EP-A 427 529, EP-A 451 878, WO 03/18810 およびWO 03/52073に開示されている。そのような遺伝子改変された植物を生成するための方法は一般的に当業者に公知であり、例えば上記した刊行物に記載されている。遺伝子改変された植物に含まれるこれらの殺虫タンパク質は、これらのタンパク質を生成する植物に、節足動物(athropod)の全ての分類学上の群からの有害な害虫、特に甲虫(Coeloptera)、双翅昆虫(Diptera)および蛾(Lepidoptera)に対する、ならびに線虫類(Nematoda)に対する耐性を与える。1種以上の殺虫タンパク質を合成することができる遺伝子改変された植物は、例えば上記した刊行物に記載されており、そのいくつかは、市販されていて入手可能であり、例えばYieldGard(登録商標) (Cry1Ab 毒素を生成するコーン栽培品種), YieldGard(登録商標) Plus (Cry1Ab およびCry3Bb1 毒素を生成するコーン栽培品種), Starlink(登録商標) (Cry9c毒素を生成するコーン栽培品種), Herculex(登録商標) RW (Cry34Ab1, Cry35Ab1 および酵素ホスフィノスリシン-N-アセチルトランスフェラーゼ(Phosphinothricin-N-Acetyltransferase) [PAT]を生成するコーン栽培品種); NuCOTN(登録商標) 33B (Cry1Ac毒素を生成する綿栽培品種), Bollgard(登録商標) I (Cry1Ac毒素を生成する綿栽培品種), Bollgard(登録商標) II (Cry1Ac およびCry2Ab2毒素を生成する綿栽培品種); VIPCOT(登録商標) (VIP-毒素を生成する綿栽培品種); NewLeaf(登録商標) (Cry3A毒素を生成するジャガイモ栽培品種); Syngenta Seeds SAS, Franceからの Bt-Xtra(登録商標), NatureGard(登録商標), KnockOut(登録商標), BiteGard(登録商標), Protecta(登録商標) Bt11 (例えばAgrisure(登録商標) CB) およびBt176 (Cry1Ab 毒素およびPAT 酵素を生成するコーン栽培品種), Syngenta Seeds SAS, France からのMIR604 (Cry3A毒素の改変型を生成するコーン栽培品種、WO 03/018810参照), Monsanto Europe S.A., Belgiumからの MON 863 (Cry3Bb1毒素を生成するコーン栽培品種), Monsanto Europe S.A., Belgiumからの IPC 531 (Cry1Ac毒素の改変型を生成する綿栽培品種) ならびに、Pioneer Overseas Corporation, Belgium からの1507 (Cry1F 毒素およびPAT 酵素を生成するコーン栽培品種)である。
【0172】
さらには、植物はまた、組み換えDNA技術の使用により、1種以上のタンパク質を合成して細菌、ウィルスもしくは菌類病原体に対する植物の抵抗性もしくは耐性を増加させることができるものに変えられる。そのようなタンパク質の例は、いわゆる「感染関連タンパク質」(PR タンパク質、例えばEP-A 392225参照)、植物疾病抵抗性遺伝子(例えば、メキシコの野生ジャガイモSolanum bulbocastanum由来のPhytophthora infestansに対して作用する抵抗性遺伝子を発現するジャガイモ栽培品種)またはT4-lysozym (例えばErwinia amylvora のような細菌に対する抵抗性が増加されたこれらのタンパク質を合成することができるジャガイモ栽培品種)である。そのような遺伝子改変された植物を生成するための方法は一般的に当業者に公知であり、例えば上記した刊行物に記載されている。
【0173】
さらには、植物はまた、組み換えDNA技術の使用により、1種以上のタンパク質を合成して、生産性(例えばバイオマス生産、穀物収穫、デンプン含量、油含量もしくはタンパク質含量)、干ばつ、塩分もしくは他の生長を制限する環境要因に対する耐性または、それらの植物の害虫および菌類、細菌もしくはウィルス病原体に対する耐性を増加させることができるものに変えられる。
【0174】
さらには、植物はまた、組み換えDNA技術の使用により、特にヒトまたは動物の栄養を改善するために、変更された量の内容物質もしくは新しい内容物質を含むもの、例えば健康を促進する長鎖オメガ-3脂肪酸もしくは不飽和オメガ-9脂肪酸を生成する油料作物(例えばNexera(登録商標) rape, DOW Agro Sciences, カナダ)に変えられる。
【0175】
さらには、植物はまた、組み換えDNA技術の使用により、特に原料物質の生産を改善するために、変更された量の内容物質もしくは新しい内容物質を含むもの、例えば増加された量のアミロペクチンを生成するジャガイモ(例えばAmflora(登録商標) potato, BASF SE, ドイツ)に変えられる。
【0176】
本発明の方法において使用されるのに適当な特に好ましい改変植物は、除草剤に耐性にされたもの、特に除草剤ジカンバ(dicamba)に耐性にされたもの、最も好ましくは先に記載されたジカンバ抵抗性植物である。
【0177】
本発明に従い使用するために、本発明の混合物は、通例の製剤、例えば溶液、エマルジョン、懸濁物、粉剤、粉末、ペーストおよび顆粒へと変えることができる。使用形態は、特定の意図される目的に依存し、各場合に、本発明の混合物の細かくむらのない分布を保証すべきである。製剤は、公知のやり方(US 3,060,084, EP-A 707 445 (液体濃縮物について), Browning: ”Agglomeration”, Chemical Engineering, Dec. 4, 1967, 147-48, Perry’s Chemical Engineer’s Handbook, 4th Ed., McGraw-Hill, New York, 1963, S. 8-57 およびff. WO 91/13546, US 4,172,714, US 4,144,050, US 3,920,442, US 5,180,587, US 5,232,701, US 5,208,030, GB 2,095,558, US 3,299,566, Klingman: Weed Control as a Science (J. Wiley & Sons, New York, 1961), Hance ら: Weed Control Handbook (8th Ed., Blackwell Scientific, Oxford, 1989) ならびにMollet, H. およびGrubemann, A.: Formulation Technology (Wiley VCH Verlag, Weinheim, 2001参照)で製造される。
【0178】
農業化学製剤はまた、農業化学製剤において通例である補助剤を含むことができる。使用される補助剤は、特定の施用形態および活性物質にそれぞれ依存する。適当な補助剤の例は、溶媒、固体担体、分散剤もしくは乳化剤(例えばさらなる可溶化剤、保護コロイド、界面活性剤および接着剤)、有機および無機増粘剤、抗菌剤、不凍剤、消泡剤、適当なら着色剤および粘着性付与剤もしくはバインダー(例えば種子処理製剤のために)である。
【0179】
適当な溶媒は、水、有機溶媒、例えば中沸点から高沸点の鉱油画分例えばケロセンもしくはディーゼル油、さらにはコールタール油および、植物もしくは動物由来の油、脂肪族、環状および芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレンもしくはそれらの誘導体、アルコール例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびシクロヘキサノール、グリコール、ケトン例えばシクロヘキサノンおよびガンマ-ブチロラクトン、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸および脂肪酸エステルならびに極性の強い溶媒、例えばアミン例えばN-メチルピロリドンである。
【0180】
固体担体は、無機土類、例えばシリケート、シリカゲル、タルク、カオリン、石灰岩、石灰、チョーク、ボール、黄土、クレー、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、土壌合成物質、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素および植物由来の生成物、例えば穀類粉、樹皮粉、木材粉および堅果殻粉、セルロース粉末ならびに他の固体担体である。
【0181】
適当な界面活性剤(補助剤、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤もしくは乳化剤)は、芳香族スルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、例えばリグニンスルホン酸 (Borresperse(登録商標) types, Borregard, ノルウェー)、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(Morwet(登録商標) types, Akzo Nobel, U.S.A.)、ジブチルナフタレンスルホン酸(Nekal(登録商標) types, BASF, ドイツ)、ならびに脂肪酸、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、脂肪アルコールサルフェート、ならびに硫酸化されたヘキサ-、ヘプタ-およびオクタデカノレート、硫酸化された脂肪アルコールグリコールエーテル、さらにはナフタレンもしくはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシ-エチレンオクチルフェニルエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコールおよび脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグニン-サルファイト廃液およびタンパク質、変性したタンパク質、多糖(例えばメチルセルロース)、疎水性に改変されたデンプン、ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標) types, Clariant, スイス), ポリカルボキシレート(Sokolan(登録商標) types, BASF, ドイツ), ポリアルコキシレート、ポリビニルアミン(Lupasol(登録商標) types, BASF, ドイツ)、ポリビニルピロリドンおよびそれらの共重合体である。増粘剤(すなわち、製剤に、変更された流動性、すなわち静的条件下で高粘度および撹拌中に低粘度を与える化合物)の例は、多糖ならびに有機および無機クレー、例えばキサンタンガム (Kelzan(登録商標), CP Kelco, U.S.A.), Rhodopol(登録商標) 23 (Rhodia, フランス), Veegum(登録商標)(R.T. Vanderbilt, U.S.A.) または Attaclay(登録商標)(Engelhard Corp., NJ, USA)である。
【0182】
殺細菌剤は、製剤の防腐および安定化のために添加され得る。適当な殺細菌剤の例は、ジクロロフェンおよびベンジルアルコールヘミホルマールに基づくもの(ICIからの Proxel(登録商標)もしくはThor Chemie からのActicide(登録商標)RSおよびRohm & Haasからの Kathon(登録商標)MK)ならびに、イソチアゾリノン誘導体、例えばアルキルイソチアゾリノンおよびベンズイソチアゾリノンに基づくもの(Thor Chemieからの Acticide(登録商標)MBS)である。適当な不凍剤の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素およびグリセリンである。消泡剤の例は、シリコーンエマルジョン(例えばSilikon(登録商標)SRE, Wacker, ドイツもしくはRhodorsil(登録商標), Rhodia, フランス)、長鎖アルコール、脂肪酸、脂肪酸の塩、フルオロ有機化合物、ならびにそれらの混合物である。
【0183】
適当な着色剤は、水溶性が低い顔料および水溶性染料である。挙げられるべき例は、呼称ローダミンB.C.I. pigment red 112、C.I. solvent red 1, pigment blue 15:4, pigment blue 15:3, pigment blue 15:2, pigment blue 15:1, pigment blue 80, pigment yellow 1, pigment yellow 13, pigment red 112, pigment red 48:2, pigment red 48:1, pigment red 57:1, pigment red 53:1, pigment orange 43, pigment orange 34, pigment orange 5, pigment green 36, pigment green 7, pigment white 6, pigment brown 25, basic violet 10, basic violet 49, acid red 51, acid red 52, acid red 14, acid blue 9, acid yellow 23, basic red 10, basic red 108である。粘着性付与剤もしくはバインダーの例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコールおよびセルロースエーテル(Tylose(登録商標), Shin-Etsu, 日本)である。
【0184】
広げるための材料である粉末および粉剤は、化合物(I)および/または(II)および/または(III)および、適当ならさらなる活性物質を、少なくとも1種の固体担体と混合するか、または一緒に粉砕することによって製造することができる。
【0185】
顆粒、例えばコーティングされた顆粒、含侵された顆粒および均一な顆粒は、活性物質を固体担体に結合することによって製造することができる。固体担体の例は、無機土類、例えばシリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、アッタクレー(attaclay)、石灰岩、石灰、チョーク、ボール、黄土、クレー、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、土壌合成物質、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素および植物由来の生成物、例えば穀類粉、樹皮粉、木材粉および堅果殻粉、セルロース粉末ならびに他の固体担体である。
【0186】
製剤タイプの例は:
1. 水で希釈するための組成物タイプ
i) 水溶性濃縮物(SL, LS)
10重量部の、本発明の混合物の化合物を90重量部の水または水溶性溶媒中に溶かす。1つの代案として、湿潤剤または他の助剤を添加する。水で希釈すると、活性物質は溶解する。このようにして、10重量%の活性物質含量を有する製剤が得られる。
【0187】
ii) 分散性濃縮物(DC)
10重量部の分散剤、例えばポリビニルピロリドンを添加して、20重量部の、本発明の混合物の化合物を70重量部のシクロヘキサノンに溶かす。水での希釈により、分散物を与える。活性物質含量は20重量%である。
【0188】
iii) 乳化性濃縮物(EC)
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびひまし油エトキシレート(各場合に5重量部)を添加して、15重量部の、本発明の混合物の化合物を75重量部のキシレンに溶かす。水での希釈により、エマルジョンを与える。組成物は、活性物質含量15重量%を有する。
【0189】
iv) エマルジョン(EW, EO, ES)
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびひまし油エトキシレート(各場合に5重量部)を添加して、25重量部の、本発明の混合物の化合物を35重量部のキシレンに溶かす。乳化の機械(Ultraturrax)によって、この混合物を30重量部の水中へ導入し、均一なエマルジョンにする。水での希釈により、エマルジョンを与える。組成物は、活性物質含量25重量%を有する。
【0190】
v) 懸濁物(SC, OD, FS)
撹拌したボールミル中で、10重量部の分散剤および湿潤剤ならびに70重量部の水または有機溶媒を添加して、20重量部の、本発明の混合物の化合物を粉砕して、細かい活性物質懸濁物を与える。水での希釈により、活性物質の安定な懸濁物を与える。組成物中の活性物質含量は20重量%である。
【0191】
vi) 水-分散性顆粒および水溶性顆粒(WG, SG)
50重量部の分散剤および湿潤剤を添加して、50重量部の、本発明の混合物の化合物を細かく粉砕し、専門装置(例えば押出し、噴霧塔、流動床)によって、水-分散性顆粒または水溶性顆粒として調製する。水での希釈により、活性物質の安定な分散物もしくは溶液を与える。組成物は、50重量%の活性物質含量を有する。
【0192】
vii) 水分散性粉末および水溶性粉末(WP, SP, SS, WS)
25重量部の分散剤、湿潤剤およびシリカゲルを添加して、75重量部の、本発明の混合物の化合物を、ローター-ステーターミルで粉砕する。水での希釈により、活性物質の安定な分散物もしくは溶液を与える。組成物の活性物質含量は、75重量%である。
【0193】
viii) ゲル(GF)
撹拌したボールミル中で、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化剤湿潤剤および70重量部の水もしくは有機溶媒を添加して、20重量部の、本発明の混合物の化合物を粉砕して、活性物質の細かい懸濁物を与える。水での希釈により、活性物質の安定な懸濁物を与え、それによって、20(重量/重量)%の活性物質を有する組成物が得られる。
【0194】
2. 希釈されずに施用されるべき組成物タイプ
ix) 散布することができる(dustable)粉末(DP, DS)
5重量部の、本発明の混合物の化合物を細かく粉砕し、95重量部の微細なカオリンとよく混合する。これによって、活性物質含量5重量%を有する散布することができる組成物を与える。
【0195】
x) 顆粒(GR, FG, GG, MG)
0.5重量部の、本発明の混合物の化合物を細かく粉砕し、99.5重量部の担体と会合させる。現行の方法は、押出し、噴霧乾燥または流動床である。これによって、活性物質含量0.5重量%を有する、希釈せずに施用されるべき顆粒を与える。
【0196】
xi) ULV溶液(UL)
10重量部の、本発明の混合物の化合物を、90重量部の有機溶媒、例えばキシレンに溶かす。これによって、活性物質含量10重量%を有する、希釈せずに施用されるべき組成物を与える。
【0197】
農業化学製剤は一般に、0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%、最も好ましくは0.5〜90重量%の活性物質を含む。本発明の混合物の化合物は、90〜100%、好ましくは95〜100%の純度(NMRスペクトルによる)で使用される。
【0198】
本発明の混合物の化合物は、そのまま、またはその組成物の形態で、例えば直接噴霧可能な溶液、粉末、懸濁物、分散物、エマルジョン、油性分散物、ペースト、散布することができる製品、広げるための材料または顆粒の形態で、噴霧、霧化、散布、広げる、ブラシで塗る、含侵または注ぐことによって、使用することができる。施用形態は、意図される目的に完全に依存し;各場合に、本発明の混合物中に存在する化合物の最も微細可能な分散を保証することが意図される。
【0199】
水性の施用形態は、水の添加により、エマルジョン濃縮物、ペーストまたは湿潤可能な粉末(噴霧可能な粉末、油性分散物)から調製され得る。エマルジョン、ペーストまたは油性分散物を調製するために、そのままの、または油もしくは溶媒に溶かした物質を、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤または乳化剤によって、水中に均質化することができる。あるいは、活性物質、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤または乳化剤、および適当なら溶媒もしくは油から成る濃縮物を調製することが可能であり、そのような濃縮物は、水で希釈されるのに適当である。
【0200】
すぐに使用できる調製物における活性物質濃度は、比較的広範囲内で変えられ得る。一般に本発明の混合物の化合物濃度は、0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。
【0201】
本発明の混合物の化合物はまた、超低体積(ultra-low-volume) (ULV)法においてうまく使用され得る。95重量%を超える活性物質を含む組成物を施用することが可能であり、添加剤なしで活性物質を施用することすら可能である。
【0202】
種々のタイプの油、湿潤剤、補助剤、除草剤、殺菌剤、他の農薬または殺細菌剤を、適当なら、使用の直前になるまででなく(タンクミックスで)活性化合物に添加することができる。これらの剤は、本発明の混合物の化合物と、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の重量比で混合することができる。
【0203】
本発明の組成物はまた、肥料、例えば硝酸アンモニウム、尿素、カリ(炭酸カリウム)および過リン酸肥料、植物に有害な物質(phytotoxicant)、植物生長調節剤および毒性緩和剤を含み得る。これらは、連続的に、または上記した組成物と組合せて使用することができ、適当ならまた、使用の直前にすら(タンクミックスで)添加することができる。例えば、植物は、肥料で処理される前またはその後に、本発明の組成物を噴霧され得る。
【0204】
先に定義した混合物中に含まれる化合物は、同時に、すなわち一緒もしくは別々に、または連続して施用されることができ、別々の施用の場合には順序は一般に、防除尺度の結果に影響を及ぼさない。
【0205】
本発明の1つの実施態様によれば、化合物(I)および化合物(II)および、3成分混合物の場合には化合物(III)の施用は、少なくとも化合物(I)および化合物(II)および、3成分混合物の場合には化合物(III)は、作用の部位(すなわち、植物、植物繁殖材料(好ましくは種子)、植物が生長しているか生長し得る土壌、領域、資材もしくは環境)で、有効な量で、同時に存在することを表すことを理解すべきである。
【0206】
これは、化合物(I)および化合物(II)および、3成分混合物の場合には化合物(III)を同時に、一緒に(例えばタンクミックスとして)もしくは別々に、または連続して施用することによって得ることができ、ここで、個々の施用間の時間間隔は、さらなる活性物質の施用の時点で、最初に施用される活性物質がなお、十分な量で、施用の部位に存在することを保証するように選択される。施用の順序は、本発明の実施のために必須ではない。
【0207】
本発明の混合物において、化合物の重量比は一般に、本発明の混合物の化合物の特性に依存する。
【0208】
本発明の混合物の化合物を、個々に使用するか、またはすでに一部もしくは完全に互いと混合して、本発明の組成物を調製することができる。それらは包装され、部材のキットのような組合せ組成物としてさらに使用されることがまた可能である。
【0209】
本発明の1つの実施態様において、キットは、主題の農業化学組成物を調製するために使用することができる、全てを含む1種以上の成分を含み得る。例えばキットは、化合物(I)および化合物(II)および、3成分混合物の場合には化合物(III)および/または補助成分および/またはさらなる農業化学化合物(例えば殺虫剤、殺菌剤または除草剤)および/または生長調節成分を含むことができる。1種以上の成分はすでに一緒に合わせられるか、または予め製剤されることができる。2種より多い成分がキット中に準備される実施態様において、成分はすでに一緒に合わせられ、それだけで、単一容器、例えばバイアル、ボトル、缶、ポーチ、バッグもしくはキャニスター中に包装されることができる。他の実施態様において、キットの2種以上の成分は、別々に包装される、すなわち、予め製剤されないことができる。それ自体、キットは1種以上の別々の容器、例えばバイアル、缶、ボトル、ポーチ、バッグもしくはキャニスターを含むことができ、それぞれの容器は、農業化学組成物のために別々の成分を含む。両方の形態において、キットの成分は、さらなる成分と別々に、またはそれと一緒に、または本発明の組成物を調製するための本発明の組合せ組成物として、施用されることができる。
【0210】
使用者は、通常、予備投薬装置、ナップザック噴霧器、噴霧タンクまたは噴霧飛行機から本発明の組成物を施用する。ここで、農業化学組成物は、水および/または緩衝液を用いて、所望の施用濃度にされ、適当なら、さらなる補助剤を添加することが可能であり、すぐに使用できる噴霧液または本発明の農業化学組成物がかくして得られる。通常50〜500リットルのすぐに使用できる噴霧液が、農業的に有用な領域1ヘクタール当たりに施用され、好ましくは50〜400リットルが施用される。
【0211】
1つの実施態様によれば、組成物(または製剤)として、例えばキットの一部として、または本発明の混合物の一部として製剤される、本発明の混合物の個々の化合物は、使用者自身によって噴霧タンク中で混合されることができ、さらなる補助剤が、適当なら添加され得る(タンクミックス)。
【0212】
さらなる実施態様において、組成物として製剤された本発明の混合物の個々の化合物、または一部予備混合された成分、例えば、化合物(I)および化合物(II)および、3成分混合物の場合には化合物(III)を含む成分は、使用者によって噴霧タンク中で混合されることができ、さらなる補助剤および添加剤が、適当なら添加され得る(タンクミックス)。
【0213】
さらなる実施態様において、本発明の組成物の個々の成分、または一部予備混合された成分、例えば、化合物(I)および化合物(II)および、3成分混合物の場合には化合物(III)を含む成分は、一緒に(例えばタンクミックス後)、または連続的に施用することができる。
【0214】
「有効量」という語は、相乗的植物健康効果、特に本明細書において定義した収穫の効果を達成するために十分である、本発明の混合物の量を表す。量についてのより具体的情報、施用の方法および使用されるべき適当な比は、以下に与えられる。とにかく、当業者は、そのような量は広い範囲で変わることがあり、種々の要因、例えば処理される栽培植物または資材ならびに気候条件に依存するという事実をよく認識している。
【0215】
混合物を調製するとき、純度の高い活性化合物を使用することが好ましく、有害生物に対するさらなる活性化合物、例えば殺虫剤、除草剤、殺菌剤または他の除草もしくは生長調節活性化合物または肥料を、必要に応じて、さらなる活性成分として、それに添加することができる。
【0216】
本発明の混合物は、植物、植物繁殖材料(好ましくは種子)、植物が生長しているか、または生長し得る土壌、領域、資材もしくは環境を、有効量の活性化合物で処理することによって使用される。
【0217】
主として、本発明の混合物の施用割合は、0.3g/ha〜2000 g/ha、好ましくは5 g/ha〜2000 g/ha、より好ましくは50〜900 g/ha、特に50〜900 g/haである。
【0218】
グリフォサートを使用するとき、種々のパラメーター、例えば天候条件および植物種に依存して、施用割合は、1ヘクタール当たり0.1〜6.0kgの活性成分(酸当量)の範囲である。
【0219】
上記したように、本発明の変更物はまた、化合物(II)での種子の処理、次いで葉に化合物(I)および任意的に化合物(III)を噴霧することを含む。
【0220】
種子の処理は、畑へ播く前に、シードボックス(seedbox)へ行うことができる。
【0221】
種子の処理の目的のために、本発明の2成分もしくは3成分混合物における重量比は一般に、本発明の混合物の化合物の特性に依存する。
【0222】
種子の処理のために特に有用である組成物は、例えば以下のものである:
A 可溶性濃縮物(SL, LS)
D エマルジョン(EW, EO, ES)
E 懸濁物(SC, OD, FS)
F 水分散性顆粒および水溶性顆粒 (WG, SG)
G 水分散性粉末および水溶性粉末 (WP, SP, WS)
H ゲル製剤(GF)
I 散布可能な粉末(DP, DS)
これらの組成物は、希釈されるか、または希釈されずに、植物繁殖材料、特に種子に施用されることができる。当該組成物は、2-10倍希釈後、すぐに使用できる調製物中で0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%の活性物質濃度を与える。施用は、種子を播く前または最中に行うことができる。農業化学化合物およびその組成物をそれぞれ、植物繁殖材料、特に種子に施用または処理するための方法は、当技術分野で公知であり、施肥(dressing)、コーティング、種子への塗布(pelleting)、散布および浸漬の繁殖材料施用方法(ならびにまたあぜ溝処理)を包含する。好ましい実施態様において、化合物またはその組成物はそれぞれ、発芽が誘発されないような方法によって、例えば種子への施肥(dressing)、塗布(pelleting)、コーティングおよび散布によって、植物繁殖材料に施用される。
【0223】
植物繁殖材料(好ましくは種子)の処理において、本発明の混合物の施用割合は一般に、製剤された製品(通常10〜750g/リットルの活性物質を含む)のためである。
【0224】
本発明はまた、先に定義された混合物または、2種以上の活性成分の混合物を含む組成物または、2種以上の組成物の混合物であって、それぞれが1種の活性成分を提供するもの、を含む(すなわちそれをコーティングされているか、または含有する)植物の繁殖製品、特に種子に関する。植物繁殖材料(好ましくは種子)は、本発明の混合物を、植物繁殖材料(好ましくは種子)100kg当たり0.01〜10kgの量で含む。
【0225】
本発明の混合物の化合物の別々または一緒の施用は、植物を植える前もしくは後、または植物の発芽前もしくは後に、種子、幼苗、植物または土壌に噴霧もしくは散布することによって行われる。
【0226】
以下の実施例は本発明を説明することを意図され、限定を強いることはない。
【実施例】
【0227】
実施例1
化合物(I)の例としてジカンバ(dicamba)の、化合物(II)の例としてピラクロストロビン(pyraclostrobin)の、および両方の化合物を含むそれぞれの混合物の、植物の健康の1つの指標として、子葉の生長に対する効果を評価した。キュウリの種を播き、25℃の暗所で4日間発芽させた。その後、処理当たり20枚の子葉を切り取り、20mlの処理溶液を含むペトリ皿に入れた。活性成分を0.5%DMSO中に溶かし、希釈して表1に与えられる濃度にした。対照の子葉は、0.5%DMSO溶液で処理した。25℃の暗所で3日間インキュベーションした後、子葉の重量を計り、生体バイオマスを記録した(表1)。いかなる組織崩壊反応(macerating reaction)をも示さなかった子葉だけを測定に使用した。
【0228】
試験した化合物の効力を、対照と比べた%バイオマス増加として計算した。
【0229】
E = (a/b-1) ・ 100
aは、インキュベーション後の処理子葉のバイオマス(mg)に相当し;
bは、インキュベーション後の未処理の子葉(対照)のバイオマス(mg)に相当する。
【0230】
効力0は、未処理の対照に相当する処理子葉におけるバイオマスを意味し;効力100は、処理植物が100%のバイオマス増加を示したことを意味する。
【0231】
活性成分の組合せの予想される効力は、コルビーの式(Colby´s formula) (Colby, S.R., Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations, Weeds, 15, pp. 20-22, 1967)を用いて評価し、観察された効力と比較した。
【0232】
コルビーの式:E = x + y - x ・ y/100
E 化合物AおよびBを濃度aおよびbで含む混合物を使用するときの、未処理の対照の%で表される、予想される効力;
x 化合物Aを濃度aで使用するときの、未処理の対照の%で表される効力;
y 化合物Bを濃度bで使用するときの、未処理の対照の%で表される効力。
【表3】

【0233】
表1においてわかるように、単独で施用したとき、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)またはジカンバ(dicamba)による子葉の生長刺激はなかった。しかしながら、ピラクロストロビンおよびジカンバが、本発明の混合物として施用されたとき、驚くべきことに、バイオマス(全体的生体重量)増加を生じる子葉生長の顕著な増加が観察された。生長刺激における観察された効力は、表1にみられるように、予想される効力と比べて、非常に高かった。明らかに、ピラクロストロビンおよびジカンバの混合物は、本発明に従い、植物の健康を相乗的に増進させるために使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の健康を相乗的に増進させるための、活性化合物として、
1) (i) クロメプロプ、2,4-D、2,4-DB、ジクロルプロプ、MCPA、 MCPBおよびメコプロプから選択されるフェノキシ-カルボン酸;
(ii) クロラムベン、ジカンバおよび2,3,6-TBAから選択される安息香酸;
(iii) アミノピラリド、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラムおよびトリクロピルから選択されるピリジンカルボン酸;
(iv) キンクロラクおよびキンメラクから選択されるキノリンカルボン酸;
(v) ベナゾリン-エチル;および
(vi) アミノ-シクロピラクロル;
からなる合成オーキシンの群から選択される除草剤(化合物I)、ならびに
2) ピラクロストロビン、オリサストロビン、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレゾキシムメチル、メトミノストロビン、ピコキシストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド;からなるストロビルリンの群より選択される殺菌剤(化合物II)
を含む混合物の使用。
【請求項2】
混合物が、グリフォサートおよびグルフォシネートから選択される第2の除草剤(化合物III)をさらに含む請求項1記載の使用。
【請求項3】
化合物(I)が、2,4-D、MCPA、MCPB、メコプロプ、ジカンバ、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム、トリクロピル、キンクロラク、キンメラクおよびアミノ-シクロピラクロルからなる合成オーキシンの群から選択される請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
化合物(I)がジカンバである請求項1または2記載の使用。
【請求項5】
化合物(II)が、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン、フルオキサストロビン、ピリベンカルブおよびクレゾキシム-メチルからなる群より選択される請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
化合物(II)がピラクロストロビンである請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
化合物(III)がグリフォサートである請求項2〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
化合物(I)がジカンバであり、化合物(II)がピラクロストロビンであり、かつ化合物(III)がグリフォサートである請求項2〜7のいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
植物が、大豆、コーン、綿、キャノーラ、サトウキビ、大麦、オーツ麦、モロコシおよび小麦から選択される請求項1〜8のいずれか1項記載の使用。
【請求項10】
植物が、除草剤耐性植物である請求項1〜9のいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
植物が、ジカンバおよび/またはグリフォサートおよび/またはグルフォシネート耐性植物である請求項10記載の使用。
【請求項12】
活性化合物として、
1) (i) クロメプロプ、2,4-D、2,4-DB、ジクロルプロプ、MCPA、 MCPBおよびメコプロプから選択されるフェノキシ-カルボン酸;
(ii) クロラムベン、ジカンバおよび2,3,6-TBAから選択される安息香酸;
(iii) アミノピラリド、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラムおよびトリクロピルから選択されるピリジンカルボン酸;
(iv) キンクロラクおよびキンメラクから選択されるキノリンカルボン酸;
(v) ベナゾリン-エチル;および
(vi) アミノ-シクロピラクロル;
からなる合成オーキシンの群から選択される除草剤(化合物I)、ならびに
2) ピラクロストロビン、オリサストロビン、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレゾキシムメチル、メトミノストロビン、ピコキシストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド;からなるストロビルリンの群より選択される殺菌剤(化合物II);ならびに
3) グリフォサートおよびグルフォシネートから選択される第2の除草剤(化合物III)
を相乗的に有効な量で含む、植物の健康を増進させるための混合物。
【請求項13】
化合物(II)が、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン、フルオキサストロビン、ピリベンカルブおよびクレゾキシム-メチルからなる群より選択される請求項12記載の混合物。
【請求項14】
化合物(I)としてジカンバ、化合物(II)としてピラクロストロビンおよび、化合物(III)としてグリフォサートを含む請求項12記載の混合物。
【請求項15】
液体もしくは固体担体および、請求項12〜14のいずれか1項記載の混合物を含む、植物の健康を増進させるための農薬組成物。

【公表番号】特表2012−530760(P2012−530760A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516735(P2012−516735)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058977
【国際公開番号】WO2010/149732
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】