説明

植物の成長を改善するためのケイ素含有ガラス粉末粒子

本発明は、植物成長培地または植物に対して植物可給性ケイ素を提供する上で使用するのに適したケイ素含有ガラス粉末粒子、これらの粒子を生産するための方法およびこれらの粒子を用いて植物成長培地または植物に対して植物可給性ケイ素を提供する方法に関するものである。本発明は同様に、植物または植物成長培地に対して本発明の粒子を適用することを含む、植物の成長を改善する方法および植物の収穫高を改善する方法にも関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーストラリア仮特許出願第2008905218号からの優先権を請求するものであり、その全内容が参照により本明細書に援用されている。
【0002】
一般に、本発明は、植物成長培地または植物に対して植物可給性ケイ素を提供する上で使用するのに適したケイ素含有ガラス粉末粒子、これらの粒子を生産するための方法、およびその粒子を用いて植物成長培地または植物に対して植物可給性ケイ素を提供する方法に関するものである。本発明は、同様に、植物または植物成長培地に対して本発明の粒子を適用することを含む、植物の成長を改善する方法および植物の収穫高を改善する方法にも関するものである。
【背景技術】
【0003】
ケイ素は、植物細胞壁の重要な部分であり、植物細胞壁中でリグニンと類似の役割を果たす。具体的には、細胞壁中のケイ素は、圧縮抵抗および剛性を提供し、したがって、植物に構造的強度を提供する上で重要である。例えば、土壌中へのケイ素の適切な供給は、草本作物の葉垂れまたは倒伏の発生を削減し、機械的強度の改善を提供する。こうして、例えば、土壌中の適切なケイ素レベルは、小麦、オート麦および大麦などの穀類作物が有する、植物を倒し得る強風がひき起こす損傷に耐えることのできる能力を改善するために重要である。作物が倒れて平らになりすぎると自動的刈取機を用いて収穫することができず、こうして作物が失われることになるため、これは、穀類作物の場合に特に問題である。
【0004】
適切な土壌ケイ素により提供される細胞の剛性の改善は同様に、より強い直立習性を有する作物を導く傾向も有し、これは究極的に、植物によるより優れた光吸収およびより高い光合成効率を結果としてもたらす。このことは結果的に典型的には、植物から所望の作物をより高い収穫高でもたらすことになる。直立習性は、同様に、植物が風および雨による損傷を受けにくくする。
【0005】
適切な植物可給性ケイ素を伴う土壌において成長する植物は、虫害を受ける可能性が比較的低いということも示されてきた。理論による束縛は望まないものの、植物中のケイ素レベルは、食葉する虫の能力を低減させることから、虫による攻撃に対する遮蔽物の形での保護を提供すると考えられている。ケイ素のレベルが高い葉は虫の下アゴを損傷するため虫にとって不快であり、こうして虫が植物を攻撃する機会は低減すると考えられている。その上、植物がさらに強くなり枯れる傾向が低くなることから、ケイ素は、干ばつの影響を受けた作物を補助することが示されてきた。さらに、適切な植物可給性ケイ素のレベルは、さまざまな栄養素、特にカリウムおよびリンを取込む植物の能力を高める。したがって、成長中の植物に植物可給性ケイ素を提供することには数多くの利点がある、ということは明白である。
【0006】
これは、植物可給性ケイ素を含めたあらゆる浸出性材料が土壌から有意な量で浸出する多湿な熱帯地方の土壌の場合などの浸出性の高い条件下で特に言えることである。肥料の利用と共に、通常の作付け形態の一部を成す土壌撹乱と合わさった場合、これは数多くの場合において、植物可給性ケイ素の喪失および、必須植物栄養素へのアクセスおよび所要レベルの植物可給性ケイ素を獲得する植物の能力の低下を導く可能性がある。
【0007】
この問題は、例えば大部分のサトウキビ成育地域についてあてはまり、米の成育地域にも同様にあてはまる可能性がある。これらの作物は両方共、植物可給性ケイ素の需要が高く、土壌中にケイ素が欠乏すると、収穫高が著しく減少する可能性がある。
【0008】
したがって、植物可給性ケイ素を含む材料を経済的に実効的な形で提供し、こうしてこれらの材料を土壌またはその他の植物成長培地に添加できる土壌改良剤または土壌「中和」剤として使用し、植物に許容可能なレベルの植物可給性ケイ素を提供することができるようにすることの必要性が存在する。これまでのところ、このプロセスは、ケイ酸カルシウムスラグ、シリコンマンガンスラグ、ケイ酸カリウムおよび珪藻土などのケイ素含有材料を土壌に添加して、所要レベルの植物可給性ケイ素を提供しようという試みによって実施されてきた。これらの手順は、典型的には1エーカーあたり10トンに近い適用量で実施されてきた。それにも関わらず、これらの材料は典型的に合計ケイ素量は高いものの必ずしも植物可給性ケイ素は高くないことから、これらのアプローチの多くは典型的に、考えられるほどには実効性が高くない。実効性ある供給源とするためには、ケイ素含有材料には、植物にとって可給性のある形、典型的には可溶性形態のケイ素例えばモノケイ酸またはポリケイ酸の形でケイ素が含まれていなければならない。
【0009】
したがって、数多くの場合において、適切な合計ケイ素レベルを提供する一方で、これらの材料は、適量の植物可給性ケイ素を含有していないかもしれない。さらに、材料の多くは生産コストが高く、環境に優しくなく、その材料で処理された土壌に対し所望の特性を付与しない例が多い。例えば、この材料は、優れたカチオン交換容量を有することが望ましい。
【0010】
土壌のカチオン交換容量(CEC)とは、土壌が保持できる正荷電イオンの量を意味する。水中に溶解すると、植物栄養素は、正または負に帯電する。正荷電イオン(カチオン)の例としては、カルシウム(Ca++)、マグネシウム(Mg++)、カリウム(K+)、ナトリウム(Na+)およびアンモニウム(NH4+)がある。CECの高い土壌は、CECの低い土壌よりも栄養素をより良く保持し続ける傾向にあり、したがって、降雨またはかんがいの後など、土壌から栄養素が浸出する可能性がはるかに低い。
【0011】
したがって、これらのニーズを満たすことのできるケイ素含有材料およびケイ素含有材料の生産方法を提供する必要性が存在する。
【0012】
ケイ素含有材料を生産する従来の一つの方法は、適切なケイ素鉱石を粉砕することによるものである。これらのプロセスには典型的に、原鉱を粉砕してさらなる処理用の粉鉱を作り出すことが含まれている。粉鉱は次に、高温で撹拌しながらアルカリ処理されて、ケイ酸ナトリウムを形成する。こうして形成されたケイ酸ナトリウムは、水溶性であり、したがって溶解状態でろ過によりその他の不溶性材料からこれを分離可能である。ろ過の後、溶液は酸性化処理を受け、これにより沈殿物としてシリカが生産され、これを次に、標準技術を用いてろ過および乾燥により回収することができる。一般に、このタイプのプロセスを用いて生産されたシリカは典型的に高レベルの不純物を有しているためにそれを使用できる利用分野が制限されている。このプロセスは、著しい資本支出を必要とし、したがって経済的観点および環境的観点の両方から見て魅力的なものではない。
【0013】
ケイ素含有材料自体に関しては、適切なレベルの植物可給性ケイ素を費用効果的に提供する上で有効であることがわかっている材料は、現在きわめてわずかである。したがって、例えば、植物可給性ケイ素を大量に提供するいくつかの材料は発見されているものの、これらの多くは高価であり、したがって、大規模利用分野において使用するには不適である。さらに、多くの材料は植物可給性ケイ素を提供するが、現在のところ未知の理由で、これらは植物が取込むことのできる形態でケイ素を提供しない。
【0014】
本発明の出願人らは、ガラス特にソーダ石灰ガラスから、植物可給性ケイ素の供給源として使用するための許容可能な材料を生産することができることを発見した。これは、その材料を適切な粒径に粉砕した場合に達成可能である。理論による束縛は望まないが、ガラス製造中に、石英と炭酸ナトリウムの反応がケイ酸ナトリウムの形成を導くと考えられている。これが酸性水溶液(例えば土壌中)と接触した場合、水素イオンがケイ酸ナトリウムを水溶性のケイ酸に転換する。このため、ガラスは植物可給性ケイ素の素早い供給源を提供できると考えられている。
【0015】
このような利用分野における粉砕またはミル粉砕されたガラスの使用は、世界中で大量の廃棄物ガラスが生成されており、したがってこれが安価な原料供給源を提供する潜在性を有することから、特に魅力的である。当業者にとっては明白であるように、植物可給性ケイ素の供給源を生産するためにガラスなどの廃棄物材料を利用するという概念は、廃棄物を最小限におさえ、二酸化炭素排出を削減し、かつ原料コストの削減によってエンドユーザーにとってのコストを削減することから有利であるため、これはきわめて魅力的である。
【発明の概要】
【0016】
本発明の出願人は、植物可給性ケイ素を提供するために利用可能な材料の多くが比較的高価であり、したがってそれらを大規模使用する必要がある場合には費用効果性が低い、または、高レベルの植物可給性ケイ素を提供せず、したがって所望の効果を得るためには比較的大量の材料を使用することが必要となる、ということを発見した。そのため、多くの場合において、必要以上に高いレベルの材料が使用され、それと同時に、空中散布などの付加的な処理が必要となり、付加的な生産コストが発生する。
【0017】
一態様において、本発明は、植物可給性ケイ素の供給源として使用するのに適したケイ素含有ガラス粉末粒子を提供するものであって、そのケイ素含有ガラス粉末粒子は少なくとも50wt%のシリカ含有量および少なくとも2wt%の酸化ナトリウム含有量を有し、粒子の少なくとも90wt%が200.0μm未満の粒径を有する。一部の具体的実施形態において、粒子の少なくとも90wt%は、100.0μm未満の粒径を有する。その他の具体的実施形態において、粒子の少なくとも90wt%は、37.0μm未満の粒径を有する。一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、1nm〜37.0μmの中央粒径を有する。一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、200nm〜37.0μmの中央粒径を有する。一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、1μm〜25.0μmの中央粒径を有する。さらにその他の具体的実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、8.0μm〜25.0μmの中央粒径を有する。一部の実施形態において、粒子の少なくとも50wt%は、20.0μm未満の粒径を有する。
【0018】
一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも60wt%のシリカ含有量を有する。一部の具体的実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも70wt%のシリカ含有量を有する。
【0019】
一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも5wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。一部の具体的実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも10wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。
【0020】
一部の実施形態において、本発明に係るケイ素含有ガラス粉末粒子は、65wt%〜90wt%のシリカ含有量および2wt%〜15wt%の酸化ナトリウム含有量を有していてよい。
【0021】
本発明は同様に、以上で記述したとおりの本発明の粒子の製造プロセスを提供する。
【0022】
したがって、さらなる一態様において、本発明は、植物可給性ケイ素の供給源として使用するためのケイ素含有ガラス粉末粒子の生産方法を提供するものであって、
(a) 少なくとも50wt%のシリカ含有量と少なくとも2wt%の酸化ナトリウム濃度を有するケイ素含有ガラスを提供すること;
(b) ケイ素含有ガラスをミル粉砕して、少なくとも90wt%が200.0μm未満の粒径を有するケイ素含有ガラス粉末粒子を生産すること;
を含む方法を提供する。
【0023】
一部の実施形態において、生産された粒子の少なくとも90wt%が100μm未満の粒径を有する。一部の具体的実施形態において、生産された粒子の少なくとも90wt%は、37.0μm未満の粒径を有する。この方法の一部の実施形態において、生産された粒子は、1nm〜37.0μmの中央粒径を有する。一部の具体的実施形態において、生産された粒子は、200nm〜37.0μmの中央粒径を有する。一部のさらに具体的な実施形態において、生産された粒子は、1μm〜25.0μmの中央粒径を有する。さらにその他の具体的な実施形態において、生産された粒子は、8.0μm〜25.0μmの中央粒径を有する。一部の実施形態において、生産された粒子の少なくとも50wt%は20.0μm未満の粒径を有する。
【0024】
一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子の生産において使用されるガラスは、少なくとも60wt%のシリカ含有量を有する。一部の具体的実施形態において、ガラスは少なくとも70wt%のシリカ含有量を有する。
【0025】
一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子の生産において使用されるガラスは、少なくとも5wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。一部の具体的実施形態において、ガラスは、少なくとも10wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。一部の特定の場合において、ガラスは、65wt%〜90wt%のシリカ含有量と2wt%〜15wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。
【0026】
一部の実施形態において、ケイ素含有ガラスをミル粉砕する工程は、ボールミルおよびジェットミルからなる群から選択されたミル内でのミル粉砕にケイ素含有ガラスを付すことを含む。一部の実施形態において、ミル粉砕手順は、高圧高温蒸気中で材料を溶解することを含んでいる。
【0027】
本発明の一部の実施形態において、ミル粉砕の後、ケイ素含有ガラス粉末粒子は洗浄溶液で洗浄される。多種の洗浄溶液を使用してよいが、一部の実施形態において、洗浄溶液は鉱酸を含む。
【0028】
洗浄溶液が鉱酸を含む本発明のいくつかの実施形態において、洗浄溶液は少なくとも2Mの鉱酸濃度を有する。本発明の一部の実施形態において、洗浄溶液は少なくとも4Mの鉱酸濃度を有する。洗浄溶液が鉱酸を含む本発明の一部の実施形態において、洗浄溶液は、少なくとも5Mの鉱酸濃度を有する。
【0029】
この方法の一部の実施形態において、鉱酸は塩酸である。
【0030】
使用される洗浄溶液は、任意の適切な温度にあってよく、この温度は、多くの変数、例えば洗浄時間、洗浄溶液中の固体密度などに基づいて選択される。本発明の一部の実施形態において、洗浄溶液は40℃〜80℃の温度にある。本発明の一部の実施形態において、洗浄溶液はおよそ60℃の温度にある。高い実効性があるとはみなされていないものの、洗浄溶液は周囲温度でも使用可能である。
【0031】
粒子は、任意の時間洗浄してよいが、典型的には、粒子を4〜12時間の期間にわたり洗浄することが知られている。
【0032】
以上で述べた通り、本発明の粒子は、植物可給性ケイ素の供給源として使用してよい。
【0033】
したがって、第三の態様において、本発明は、植物または植物成長培地に対し植物可給性ケイ素を提供する方法を提供するものであって、その方法は、少なくとも50wt%のシリカ含有量と少なくとも2wt%の酸化ナトリウム含有量を有するケイ素含有ガラス粉末粒子を植物または植物培地に適用することを含み、粒子の少なくとも90wt%が200.0μm未満の粒径を有する。一部の具体的実施形態において、粒子の少なくとも90wt%が100.0μm未満の粒径を有する。その他の具体的な実施形態において、粒子の少なくとも90wt%は、37.0μm未満の粒径を有する。一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、1nm〜37.0μmの中央粒径を有する。一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、200nm〜37.0μmの中央粒径を有する。一部の具体的な実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、1μm〜25.0μmの中央粒径を有する。一部のさらに具体的な実施形態において、粒子は、8.0μm〜25.0μmの中央粒径を有する。一部の実施形態において、適用された粒子の少なくとも50wt%が20.0μm未満の粒径を有する。
【0034】
この方法の一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも60wt%のシリカ含有量を有する。一部の具体的実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも70wt%のシリカ含有量を有する。
【0035】
本発明の方法の一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも5wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。一部の具体的実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも10wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。
【0036】
この方法の一部の具体的な実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、65wt%〜90wt%のシリカ含有量および2wt%〜15wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。
【0037】
一部の実施形態において、植物成長培地は土壌である。その他の実施形態において、植物成長培地は、苗床用培養土である。さらにその他の実施形態において、植物成長培地は堆肥である。さらにその他の実施形態において、植物成長培地は水耕システム内で利用されるような無土壌培地である。
【0038】
本発明は同様に、植物または植物成長培地に対し、上述のようなケイ素含有ガラス粉末粒子を適用することを含む、植物成長を改善するための方法をも提供する。
【0039】
したがって、第四の態様において、本発明は、少なくとも50wt%のシリカ含有量および少なくとも2wt%の酸化ナトリウム含有量を有するケイ素含有ガラス粉末粒子を植物または植物成長培地に適用することを含む、植物の成長を改善する方法を提供するものであって、粒子の少なくとも90wt%が、200.0μm未満の粒径を有する。一部の具体的な実施形態において、粒子の少なくとも90wt%は、100.0μm未満の粒径を有する。その他の具体的な実施形態において、粒子の少なくとも90wt%は、37.0μm未満の粒径を有する。一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、1nm〜37.0μmの中央粒径を有する。一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、200nm〜37.0μmの中央粒径を有する。一部の具体的な実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、1μm〜25.0μmの中央粒径を有する。一部のさらに具体的な実施形態において、粒子は、8.0μm〜25.0μmの中央粒径を有する。一部の実施形態において、適用された粒子の少なくとも50wt%は、20.0μm未満の粒径を有する。
【0040】
この方法の一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも60wt%のシリカ含有量を有する。一部の具体的な実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも70wt%のシリカ含有量を有する。
【0041】
本発明の方法の一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも5wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。一部の具体的な実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも10wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。
【0042】
この方法の一部の具体的実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、65wt%〜90wt%のシリカ含有量および2wt%〜15wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。
【0043】
一部の実施形態において、植物成長培地は土壌である。その他の実施形態において、植物成長培地は苗床用培養土である。さらにその他の実施形態において、植物成長培地は堆肥である。さらにその他の実施形態において、植物成長培地は水耕システム内で利用されるような無土壌培地である。
【0044】
一部の実施形態において、粒子は、1ヘクタールあたり1トンから1ヘクタール1000トンの割合で適用される。その他の実施形態において、粒子は、1ヘクタールあたり1kg〜1000kgの割合で適用される。
【0045】
一部の実施形態において、粒子は、播種の前に土壌に適用される。その他の実施形態においては、粒子は、播種の後、ただし種子が発芽する前に、土壌に適用される。さらにその他の実施形態においては、粒子は、播種後で、かつ種子が発芽した後に適用される。さらにその他の実施形態においては、粒子は播種前の種子に適用され、したがって種子と共に植物成長培地に適用される。一部の実施形態においては、粒子は、土壌、種子または植物自体に対して水性スラリーまたは噴霧として適用される。
【0046】
本発明は同様に、上述のようなケイ素含有ガラス粉末粒子を植物または植物成長培地に適用することを含む、植物の収穫高を改善する方法をも提供する。
【0047】
したがって、第五の態様において、本発明は、少なくとも50wt%のシリカ含有量および少なくとも2wt%の酸化ナトリウム含有量を有するケイ素含有ガラス粉末粒子を植物または植物成長培地に適用することを含む、植物の収穫高を改善する方法を提供するものであって、粒子の少なくとも90wt%が、200.0μm未満の粒径を有する方法を提供する。一部の具体的な実施形態において、適用された粒子の少なくとも90wt%は、100.0μm未満の粒径を有する。その他の具体的な実施形態においては、粒子の少なくとも90wt%が37.0μm未満の粒径を有する。一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、1nm〜37.0μmの中央粒径を有する。一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、200nm〜37.0μmの中央粒径を有する。一部の具体的な実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、1μm〜25.0μmの中央粒径を有する。一部のさらに具体的な実施形態において、粒子は、8.0μm〜25.0μmの中央粒径を有する。一部の実施形態において、適用された粒子の少なくとも50wt%が20.0μm未満の粒径を有する。
【0048】
この方法の一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも60wt%のシリカ含有量を有する。一部の具体的な実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも70wt%のシリカ含有量を有する。
【0049】
本発明の方法の一部の実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも5wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。一部の具体的な実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、少なくとも10wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。
【0050】
この方法の一部の具体的な実施形態において、ケイ素含有ガラス粉末粒子は、65wt%〜90wt%のシリカ含有量および2wt%〜15wt%の酸化ナトリウム含有量を有する。
【0051】
一部の実施形態において、植物成長培地は土壌である。その他の実施形態において、植物成長培地は苗床用培養土である。さらにその他の実施形態において、植物成長培地は堆肥である。さらにその他の実施形態において、植物成長培地は水耕システム内で利用されるような無土壌培地である。
【0052】
一部の実施形態において、粒子は、1ヘクタールあたり1トンから1ヘクタールあたり1000トンの割合で適用される。その他の実施形態において、粒子は、1ヘクタールあたり1kg〜1000kgの割合で適用される。
【0053】
一部の実施形態において、粒子は、播種の前に土壌に適用される。その他の実施形態においては、粒子は、播種の後、ただし種子が発芽する前に、土壌に適用される。さらにその他の実施形態においては、粒子は、播種後で、かつ種子が発芽した後に適用される。さらにその他の実施形態においては、粒子は、種子が播種される前に種子に適用され、したがって種子と共に植物成長培地に適用される。一部の実施形態においては、粒子は、土壌、種子または植物自体に対して水性スラリーまたは噴霧として適用される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】ソニケーションを伴うまたは伴わない本発明の粒子の二つの試料の粒径分布の概要を示す。
【図2】ソニケーションを伴うまたは伴わない本発明の粒子の二つの試料の累積粒径分布の概要を示す。
【図3】本発明の粒子で処理された小麦と従来通りに栽培された小麦との間の根の形成の写真比較を示す。
【図4】本発明の粒子で処理された植物と従来通りに栽培された植物との間の根の形成の写真比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以上で述べた通り、本発明は、植物可給性ケイ素の供給源として有用であるケイ素含有ガラス粒子を提供する。粒子は、土壌などの植物成長培地に添加してもよいし、あるいは、播種に先立ち植物の種子または切り枝に適用するか、または水溶液または噴霧として塗布してもよい。
【0056】
本発明の粒子および方法は、植物成長または植物収穫高を改善することが望ましい、または植物可給性ケイ素の供給源を提供することが望ましい任意の植物への使用に適し得る。本発明の粒子を適用することが望ましいかまたは有利であり得る植物のいくつかの例として、小麦、大麦、トマト、イチゴ、スイートコーン、豆、ヒヨコ豆および落花生がある。粒子は、その他の穀類作物、木本植物、草本植物、顕花植物、果実作物、野菜作物および堅果をつける樹木および植物に適用した場合にも有益であり得る。
【0057】
土壌溶液中、ケイ素は一般にモノケイ酸およびポリケイ酸として、ならびに無機酸および有機酸との錯体の形で存在する。典型的に植物が取込むのはモノケイ酸成分であるものの、「植物可給性ケイ素」という用語は、植物が直接取込むことのできるケイ素の全形態(例えばモノケイ酸)ならびに土壌中のケイ酸と平衡状態にあるケイ素形態(例えばポリケイ酸およびその他の錯体)を包含するように意図されている。
【0058】
本発明のプロセスは、植物可給性ケイ素の供給源として使用してよい規定のサイズおよび組成のガラス粒子へとケイ素含有ガラスを転換する。本発明のプロセスにおける第一のステップは、その後本発明の方法の後半のプロセスステップに付されるケイ素含有ガラスを提供することにある。
【0059】
提供されるケイ素含有ガラスは、未加工のケイ素含有材料であってもよいし、あるいはリサイクルされたケイ素含有ガラスであってもよいし、あるいはその組合せであってもよい。本発明のプロセスに付してもよい有用なケイ素含有ガラス材料は、口語的にはカレットとして知られている再生ガラスである。再生ガラスは典型的には廉価であり、大量にすぐに入手できることから望ましく、したがって本発明のプロセスでの使用のための安価な出発材料である。フリント(透明)ガラスのための典型的な再生カレットの組成は、表1に示されている通りである。
【0060】
【表1】

【0061】
これは、フリント(透明)ガラス、アンバー(褐色)ガラスおよびグリーンガラス全般にわたり典型的な組成である。さまざまな色の間での唯一の主要な差異は、アンバーではFe23が0.255wt%であり、グリーンではFe23が0.294wt%、アンバーではCr23が0.026wt%であり、グリーンではCr23が0.129wt%であるという点にある。
【0062】
一般に、本発明で使用するためには、50wt%以上のシリカ含有量を有するあらゆるガラスが適切である。
【0063】
ここでわかるように、ガラスは非晶質形態にある高レベルのSiO2を含有している。本発明のプロセスは、植物可給性ケイ素を提供するために有用である非晶質シリカを含有するガラス粒子へとガラス材料を転換できるようにする。本発明のプロセスは全てのケイ素含有ガラスタイプに適用可能であり、色成分が問題をひき起こすことは全くないと思われる、ということが発見されている。このことは、本発明のプロセスに付す前に異なるタイプ(または色)のガラスを分離する必要が全くないことを意味するため、再生ガラスに適用される場合には特に有利である。
【0064】
プロセスの残りの部分に付すために提供されるケイ素含有ガラス材料は、さまざまな形状および状態にあってよく、ケイ素含有ガラスを提供するステップでは、所望の量のケイ素含有ガラスを獲得することしか求められないかもしれない。しかしながら、数多くの場合において、受入れたガラスの状態に起因して、ケイ素含有ガラスを提供するステップには、このケイ素含有ガラスを一つ以上の前処理ステップに付して本発明のプロセスステップの残りの部分に付す可能性をより高めるステップが含まれていてよい。
【0065】
例えば、一つの適切な前処理ステップには、ケイ素含有ガラスのミル粉砕の前に望ましくない汚染物質を除去するための洗浄ステップが含まれていてよい。例えば、ケイ素含有ガラスを水で洗浄して、ミル粉砕に先立ちあらゆる塵およびその他のあらゆる外来の汚染物質を除去することが望ましい。このタイプの洗浄ステップを用いることは、典型的には完成品の純度をより高くし、特にケイ素含有ガラスが再生ガラスである場合、この材料が典型的に高レベルの汚染物質を有することから、特に望ましい。
【0066】
当然のことながら、当業者であれば認識するように、ケイ素含有ガラスは、数多くの場合において充分に高品質であるために、洗浄ステップから得られる利点が全くない。一般に、材料の目視検査により、洗浄ステップが有益であるか否かが容易に判定される。
【0067】
ケイ素ガラスを提供するステップにおいて用いてよい別の考えられる前処理ステップは、粗粉砕ステップである。これは、本発明のプロセスにおける原料として使用されるケイ素含有ガラスが大きな粒子を含んでいる場合に有益であり得、粗粉砕ステップにより、本発明の後続ステップで利用されるミル粉砕ステップをよりうまく制御でき得る。ケイ素含有ガラスの一部の供給源については、粗粉砕ステップおよびミル粉砕ステップを用いることが、ミル粉砕ステップ単独よりも経済的効率が高いということが発見できる。ここでも洗浄の場合と同様、このような前処理ステップに対するニーズは、当該技術分野の当業者による、本発明の後半のプロセスステップに付されるべき材料を目視検査に基づいて判定可能である。
【0068】
本発明のプロセスに付されるべきケイ素含有ガラスがひとたび選択され、以上で記述されているとおりのあらゆる前処理ステップに付されたならば、このケイ素含有ガラスは直ちにガラスミル粉砕を受けて、少なくとも50wt%のシリカ含有量、少なくとも2wt%の酸化ナトリウム含有量を有し、粒子の少なくとも90wt%が200.0μm未満の粒径を有するガラス粉末粒子を生産できる状態となる。一部の実施形態において、粒子の少なくとも90wt%の粒径は、100.0μm未満までさらに削減される。一部の具体的な実施形態において、粒子の少なくとも90wt%の粒径は、さらに37.0μm未満まで削減される。出願人は、カチオン交換能力および可溶性ケイ素およびその他の微量元素の量などのいくつかの特性を、粒径の削減により増強できるということを発見した。
【0069】
本明細書中で使用する「粒径」とは、レーザー回折などのアプローチを用いて測定されるとおりの個々の粒子の粒径を意味する。粒径の決定のためのその他のアプローチは、当業者にとっては公知であると思われる。本発明の粒子は、あらゆる形状のものであってよい。一部の具体的な場合では、粒子は多面形の粒子である。
【0070】
ミル粉砕ステップは、当該技術分野で公知のあらゆるミル粉砕技術を用いて実施されてよい。ミル粉砕ステップを、あらゆる前処理ステップと同じ場所で実施してもよいし、または、ケイ素含有ガラスを一つの場所で前処理し、次に第二の場所に輸送しそこでミル粉砕を実施してもよい。
【0071】
本発明のプロセスにおいて使用してよい適切なミル粉砕機器の例としては、ボールミルおよびジェットミルが含まれる。ボールミルを使用することの利点は、原料ガラスが湿っていても乾燥していてもよいという点にあり、湿式ミル粉砕が、わずかに改善されたミル粉砕成果を導くということが観察されている。
【0072】
ミル粉砕機器がジェットミルである場合、適切なプロセス条件は、10kg〜5000kg/時の補給速度であり、給気は100psiである。この補給速度は使用されている機器のサイズにより左右され、最低一時間に10kgまたは、機器がより大型であるかまたは設備が多数である場合、最高一時間に最高数トンであり得る。ジェットミルが使用される場合、補給材料は、清浄で乾燥していなければならない。一般に、ミル粉砕プロセスにおいて使用してよい機器が何であれ、当該技術分野の作業者は、上述した粒径分布パラメータがひとたび提供された時点で、適切な粒径を有するガラス粒子を提供するように機器の運転状態を修正することができる。
【0073】
一部の実施形態において、ミル粉砕手順は、高圧、高温蒸気中で材料を溶解させることを含んでいてよい。このような蒸気ベースの処理は、およそナノメートル単位の特に小さい粒径を有する粒子を調製するために特に有効であり得る。
【0074】
本発明の一部の実施形態において、ミル粉砕の後、ガラス粒子は、植物可給性ケイ素の供給源としていつでも使用できる状態にある。しかしながら、一部の実施形態において、ミル粉砕された粒子は、洗浄ステップに付される。
【0075】
したがって、ガラス粉末粒子はこのとき、典型的には洗浄溶液と接触させられる。この接触ステップは、ガラス粉末粒子を収納する洗浄チャンバに洗浄溶液を添加するか、また代替的には、洗浄溶液を収納する洗浄チャンバにガラス粉末粒子を添加することにより、達成可能である。当然のことながら、洗浄溶液およびガラス粉末粒子の両方を同時に洗浄チャンバに添加することも可能である。同様に、接触ステップに多くの逐次的な接触ステップを関与させ、ここでガラス粉末粒子を洗浄溶液と何度も接触させることも可能である。これは、例えば、数多くの洗浄チャンバが存在し、処理中の材料が一つのチャンバからもう一つのチャンバへと横断するにつれて何度も洗浄され、最終的に洗浄済みの製品を導く場合に起こる。
【0076】
本発明のプロセスにおいては、数多くの洗浄溶液を使用してよい。洗浄溶液は典型的には、酸または酸供給源を含有する。理論による束縛は望まないものの、これは、ガラスから一部の金属汚染物質を除去し、植物可給性ケイ素のレベルを増大させると考えられている。酸は、有機酸であっても無機酸であってもよいが、典型的には鉱酸などの無機酸である。本発明のプロセスにおいて使用するための適切な酸としては、硫酸、塩酸および硝酸が含まれる。塩酸が特に適していることがわかっている。
【0077】
プロセス中で用いられる洗浄溶液の量は、ガラスの初期状態および利用すべきプロセスの設計条件(バッチ対連続流)により左右される。任意のプロセスにおいて使用すべき洗浄溶液の量は、当業者により容易に判定され得る。しかしながら、洗浄溶液の量は余剰に使用すべきであるというのが典型的である。洗浄溶液は、任意の濃度レベルで使用してよいが、このプロセスにおいては、使用される洗浄溶液の濃度が低くなればなるほど、多くの体積の洗浄溶液が必要となり、商業的に許容不能な体積の洗浄溶液が必要となる、ということがわかっている。
【0078】
原則として、洗浄プロセスは洗浄溶液が液体であるあらゆる温度で実施してよいことから、このプロセス中の温度は重要ではない。したがって、例えば、プロセスを室温で実施してもよい。しかしながら、典型的には高温ではプロセスの速度を高めることがわかっていることから、このプロセスは高温で実施される。したがって温度は一般におよそ40℃からおよそ80℃であり、およそ60℃の温度が適切である。
【0079】
同様に、洗浄ステップ中、ガラス粉末粒子は、ガラス粉末粒子の表面と洗浄溶液との間の相互作用を増大させるように撹拌されることが望ましいということもわかっている。洗浄ステップを、高圧で実施してもよい。
【0080】
必要な洗浄ステップの持続時間は、ステップ中の温度および利用される洗浄溶液の濃度などの多くの要因によって左右される。典型的には、洗浄溶液の濃度が高くなればなるほど、そして接触温度が高くなればなるほど、持続時間を短くする必要があるということがわかっている。しかしながら一般的には、洗浄ステップは、4〜12時間の期間実施される。一実施形態において、洗浄ステップはおよそ8時間実施される。
【0081】
上述されている通りのミル粉砕および洗浄プロセスは、ガラス粒子がバッチ式の要領で処理される単一ステップのプロセスとして記述されている。したがって、洗浄ステップを見ると、例えば、ガラス粒子はバッチプロセス内の洗浄溶液と接触させられ、洗浄は全て単一のチャンバ内で行なわれる。このプロセスは、当然のことながら、多重ステッププロセスとしても実施され得、その場合、数多くの接触ステップが連続して実施されて、最終的ガラス粒子を生産する。これは、同じ反応チャンバの内部で行なうことができ、あるいは数多くの洗浄チャンバが連続して連結されている状態で行なうこともできる。同様にして、ミル粉砕ステップを単一のミル粉砕装置内で実施してよく、あるいはミル粉砕にはガラス粒子を多数のミル粉砕装置に付すことが含まれていてよく、ここで粒径は所望の粒径に達するまで毎回削減される。
【0082】
洗浄ステップ(使用される場合)の後、ガラス粒子は典型的には従来の技術を用いて分離される。典型的な分離手順には、洗浄溶液の除去、清浄水でのガラス粒子の洗浄、洗浄した材料のろ過および余剰な水分を除去するための半固体濾過ケーキの圧搾とそれに続く乾燥が含まれる。
【0083】
上述された本発明のプロセスは、先に記述した通りの本発明のガラス粉末粒子を生産する。これらのガラス粉末粒子は、植物可給性ケイ素の供給源として使用されてよい。使用にあたっては、ガラス粉末粒子は植物成長培地(典型的には土壌)に対して所望の割合で添加される場合などの一定の形式で使用されてよく、あるいは、多成分混合物中で一つ以上のその他の成分との混和物の形で使用されてもよい。このような多成分混合物中の適切なその他の成分には、肥料、ミネラル、有機物質、pH調整剤、土壌湿潤剤などが含まれていてよい。添加すべき材料の量は、典型的には1ヘクタールあたり1kg〜8トンの割合である。
【0084】
ガラス粉末粒子が単独で使用されるかまたは配合物の一部として使用されるかとは無関係に、これらのガラス粉末粒子は、典型的には、当該技術分野において周知の技術を用いて利用されるか散布され、最適な技術は、特定の利用分野によって異なる。当業者には明白であるように、このような材料を広大な土地のサトウキビプランテーション上に散布させるための手順は、近郊園芸において材料を散布させるのに利用される手順とは異なるものと考えられる。各々のケースにおいて、当業者であれば、適切な応用技術およびレベルを容易に決定することができると考えられる。
【0085】
本発明についてここで以下の実施例を参照しながら説明する。
【実施例】
【0086】
実施例1−ガラスのミル粉砕
ガラス回収業者から、5mm未満の初期粒径まで砕かれた状態の廃棄物ガラスの試料を得た。これを次に水で洗浄して汚染物質を除去した。ガラスを乾燥させ、その後ジェットミル内でミル粉砕に付した。12インチのジェットミルを使用し、補給速度は10kg/時であり、給気は、細かいガラス粒子を生産するため200cfmで100psiであった。その後材料を二等分量に分けた。一分量を初回通過試料として保持し、もう一分量を次にジェットミル内への二回目の通過に再度付して第二回通過製品を得た。こうして生産された二つのガラス粒子の粒径分析および比表面積が表2に示されている。
【0087】
粒径分布を、Malvern Instruments Limited Mastersizer 200を用いて決定した。分析の直前に水中に各試料を分散させた。分析中に示した通り、二組の試料のうちの一組に超音波分散を適用した。
【0088】
窒素吸着による細孔サイズおよび表面積の分析を、Micromeritics Instrument Corporation ASAP 200を用いて実施した。24時間120℃で試料を排出して、露呈表面に吸着材料が完全に無くなるようにした。この抜気期間の後、試料を分析のために提示した。
【0089】
【表2】

【0090】
これらの結果は、図1および図2でグラフ表示されている。図中で使用されている標識は、以下の通りに、上記表で使用した標識と相関させることができる。
【0091】
ソニケーション無し−初回通過=SLG02/14 1P No Sonic
ソニケーション無し−第二回通過=SLG03/14 2P No Sonic
ソニケーション有り−初回通過=SLG02/14 1P Sonic
ソニケーション有り−第二回通過=SLG03/14 2P Sonic
【0092】
実施例2−乾式ジェットミル粉砕
酸またはその他の後処理無しで、乾式ジェットミル粉砕により、さらにもう一つの試料を調製した。粒径分布をMalvern Instruments Limited Mastersizer 200を用いて決定した。分析の直前に、各試料を水中に分散させた。
【0093】
【表3】

【0094】
実施例3−ミル粉砕および酸洗浄
実施例1中の単一通過手順にしたがって試料をミル粉砕し、その後穏やかに撹拌しながら8時間、60℃の温度で1:1の塩酸を用いた洗浄ステップに付した。洗浄ステップの完了後に、試料を洗浄溶液から分離し、水で洗浄してあらゆる残留酸を除去し、次に乾燥させて、ミル粉砕および洗浄済みの試料を生成した。
【0095】
実施例4−ミル粉砕およびソックスレー抽出
実施例1中の単一通過手順にしたがって試料をミル粉砕し、その後8時間1:1の塩酸を用いてソックスレー抽出装置内での洗浄ステップに付した。蒸留ステップの完了後に、試料を液体から分離し、水で洗浄してあらゆる残留酸を除去し、次に乾燥させて、ミル粉砕およびソックスレー抽出済みの試料を生成した。
【0096】
実施例5−化学組成
実施例1〜4で生成されたガラス粒子の化学組成を、X線蛍光を用いて決定した。結果は表4に示されている。
【0097】
【表4】

【0098】
ここでわかるように、試料は全て同程度のSiO2レベルを有し、主要な差異は酸化カルシウムおよび酸化ナトリウムの浸出にあった。
【0099】
実施例6−植物可給性ケイ素のレベル
次に、実施例1〜4の試料を分析して、植物可給性ケイ素のレベルを決定した。分析結果は、表5に示されているとおりである。
【0100】
【表5】

【0101】
ここでわかるように、洗浄済みの試料は、植物可給性ケイ素の著しく高い読取り値を示した。
【0102】
実施例7−小麦によるケイ素の取込み
可給性ケイ素供給源として作用する本発明の材料の能力を決定するために、植物成長試験を実施した。320mm×240mmというサイズを有する12個の土壌トレイに3.47kgの土壌を充填し、各トレイに、215グラムの種子品質の小麦種子を播種した。その後トレイを3つの試験グループに分け、以下のとおりに処理した。
【0103】
グループ1:(トレイ4個)これは、対照グループを構成し、添加物を全く使用しなかった。
グループ2:(トレイ4個)これは、それぞれ1ヘクタールあたり1、3、5および8トンの用量当量で珪藻土を用いて処理したグループを構成していた。
グループ3:(トレイ4個)これは、それぞれ1ヘクタールあたり1、3、5および8トンの用量当量で実施例1の材料を用いて処理したグループを構成していた。
【0104】
全てのトレイは、Collmoore Fodder Pty Ltd.により供給された栄養素投与水を用いて水遣りを手作業で行った。この栄養素水を最初の7日間使用し、その後代わりに水道水を使用した。トレイを周囲条件下に保管したが、降雨にさらされないような場所に置いた。
【0105】
植物組織の試料を21日目に各トレイから採取し、ケイ素レベルについて分析した。結果は表6に示されている。
【0106】
【表6】

【0107】
実施例1の材料で処理されたトレイにおけるケイ素の取込みは、対照または公知のケイ素源珪藻土で処理した植物のいずれよりもはるかに大きいものであったことから、実施例1の材料が、植物可給性ケイ素の優れた供給源として作用することを結果が明瞭に示している。
【0108】
実施例8−ガラス粒子のカチオン交換容量
実施例2のガラス粒子について、カチオン交換容量および植物可給性ケイ素を決定した。
【0109】
【表7】

【0110】
実施例9−粒径に応じた化学的特性
ガラスをさまざまな粒径にミル粉砕し、結果として得た粒子の化学的特性を分析した。結果は表8に示されている。
【0111】
【表8】

【0112】
粒径の減少に伴って、多数の特性が増強されることは明らかである。特に指摘すべきは、交換可能なカルシウム、ナトリウム、マグネシウムおよびカリウムの量およびカチオン交換容量である。
【0113】
実施例10−大麦試験(I)
大麦種子の大量植え付けを、150mm×120mmで深さ200mmの透明な鉢の中で行なった。各鉢について40グラムの種子を使用した。成長培地は、市販の種子栽培用培養土であった。全ての種子を、同じ深さで植え付けした。
【0114】
4つの鉢に、以下のものの植え付けを行った:
・ LT1、対照と10ml/リットルの魚ベースの窒素肥料
・ LT2、対照、添加物無し
・ LT4、4グラムの割合でガラス粒子添加
・ LT6、4グラムの割合でガラス粒子添加、および10ml/リットルの肥料
【0115】
まず初めに試料LT4およびLT6が、対照の二日前に発芽した。両方共(特にLT4)、収穫時に著しく大きい根および葉の成長を示した。LT4の枝葉成長は高さ120mmであったの対して対照(LT2)は高さ90mmであった。LT4の根系は80mmであり、一方対照根系は深さ60mmであった。カリウムおよびリンの取込みは共に、両方のケイ素処理済み試料について対照より大きいものであった。
【0116】
対照およびLT4根組織
植物は、植付け後10日目に収穫した。葉組織の分析を実施し、結果は以下にまとめる。
【0117】
【表9】

【0118】
実施例11−大麦試験(II)
大麦を、先に使用した二つの透明な鉢にそして矩形(窓)タイプのトレイに植付けした。各鉢に対し40グラムの種子を使用した。成長培地は土壌であった(例えばDeniliquin、NSW)。230mmのふるいを通してスクリーニングした土壌で試料を覆った。土壌をCEC分析(XP9)に送った。全ての種子を同じ深さまで植え付けした。
【0119】
次の三つの試料を植え付けした:
・ LT8、対照、添加物無し
・ LT9、100グラムの割合でガラス粒子添加
・ LT10、6グラムの割合でガラス粒子添加
【0120】
植物の出芽に関しては対照と処理済み試料との間にはほとんど差異が見られなかったが、LT9およびLT10は、より優れた成長を示した。組織分析は、三つの試料の間でナトリウム取込みの大きな差異を示している。
【0121】
【表10】

【0122】
実施例12−大麦試験(III)
三つの透明な鉢に大麦種子を播種した。各鉢について40グラムの種子を使用した。成長培地は市販の種子栽培培養土であった。全ての種子は同じ深さに植え付けした。
【0123】
次の三つの試料を植え付けした:
・ LT16、対照、添加物無し
・ LT19、対照、(小売りの)NPK肥料の添加一回
・ LT21、10グラムのガラス粒子添加。(小売り)NPK肥料の添加一回
【0124】
LT19およびLT21には、7日目にNPK肥料を再度投与した。
【0125】
三日後、LT16の種子は発芽しなかった。LT19およびLT21の種子は発芽していた。対照の根成長は70mmであり、対照プラスNPKは60mm、ガラス粒子プラスNPKは90mmであった。24日後に葉組織分析を実施した。リン取込みは、両方のケイ素処理済み試料について、対照よりも大きいものであった。
【0126】
【表11】

【0127】
実施例13−トマト試験
トマト(Grosse Lisse)を、150mm×120mmで深さ200mmの透明な鉢の中に植え付けした。各鉢に二個の種子を播種した。成長培地は、市販の種子栽培培養土であった。全ての種子を同じ深さで植え付けした。
【0128】
三つの鉢に、以下のものを植え付けした:
・ LT11、対照、添加物無し
・ LT12、種子一個あたり40mgでガラス粒子添加、10%のCaO添加
・ LT13、種子一個あたり40mgでガラス粒子添加
【0129】
試料LT12およびLT13は、対照の二日前に発芽した。試料LT12およびLT13は、収穫時まで、対照を超えて著しい成長を示し続けた。植え付け後37日目に試料を収穫した。試料に対して、葉組織分析を実施した。リンおよびカリウムの取込みは共に、両方のケイ素処理済み試料について、対照より大きいものであった。
【0130】
【表12】

【0131】
実施例14−コーン試験
二つの矩形トレイにコーンを播種した。各トレイについて40グラムの種子を使用した。成長培地は、種子栽培培養土であった。全ての種子を同じ深さに植え付けした。処理済み種子は対照より一日早く発芽した。18日後に両方の試料に窒素肥料を10ml/リットルの割合で投与し、2日後に収穫した。試料に対し葉組織分析を実施した。亜鉛およびカリウムの両方の取込みの有意な増大が、ケイ素源処理済み試料について指摘された。
【0132】
次に二つの試料を植え付けした:
・ LT14、対照、添加物無し
・ LT15、種子一個あたり1グラムの割合でガラス粒子添加
【0133】
【表13】

【0134】
実施例15−豆試験
Allora(Qld(クイーンズランド))で豆の六つの試験区画に植え付けを行った。およそ四週間後にさらなる試験区画に植え付けを行った。播種からおよそ2カ月後に各々の区画の試料を採取した。
【0135】
各区画は0.36haであり、「Simba」および「First Mate」という二品種の豆を使用した。二区画は対照であり、二区画は「初生花」の段階で葉面散布により一回あたり2kgおよび4kgのケイ素で処理し、さらに二区画は側方施肥された土壌付加として適用されたケイ素材料で処理した。
【0136】
全ての区画には、植え付け時に基本施肥として250kgのNPK肥料が適用されており、花芽形成時に側方施肥としてさらに250kgの硫酸アンモニア(「granam」)を適用した。
【0137】
58日目に作物を収穫した。全ての試験区画について葉組織試料を採取し、これらの試料は、その全ての試料間で栄養素レベルの差をわずかしか示さなかった。全ての豆試料を同時に採取して組織分析に送り、さらなる試料を冷凍状態に保って、保存寿命についてテストした。三週間後、ケイ素添加物と共に成長した豆は、未処理の豆に比べ明らかに鮮度を保っていた。
【0138】
果実の手摘み試料も収穫時に採取した。市場性のある果実を選択して、各区画から20の植物試料を採取した。この比較の結果、ケイ素材料で処理した全ての区画が対照よりも高い収穫高を示すことがわかった。
【0139】
収穫高の結果を、下表に示す。
【0140】
【表14】

【0141】
実施例16−Yatesの可溶性NPK肥料「Thrive」を用いた大麦試験
この試験作業は、市販のNPK肥料(「Thrive」)材料の部分的代用物としてのケイ素材料の効率を試験するように設計されたものである。次の五つの鉢に播種した:(i)対照の鉢;(ii)4グラムのケイ素材料のみを用いた試験鉢;(iii)「Thr
ive」8グラムを用いた鉢;(iv)25%の代用品を用いた鉢;および(v)50%
の代用品を用いた鉢。播種から17日後に、試料を収穫した。
【0142】
結果は、「Thrive」とケイ素材料との組合せの場合のケイ素取込みの増加を明らかに示している。NPKの取込みは、100%の(8グラムのThrive)試料中の窒素を除いて、100%の「Thrive」とは対照的に処理済み試料については類似している。この試料中の8.1%の窒素という値は植物の生命にとって有毒とみなされる値より高く、ケイ素製品がその他の(混合)試料では修飾効果を有していたと思われる、という点を指摘しておくべきである。組合せ試料の葉組織および根成長は、8グラムの「Thrive試料」と同等であった。
【0143】
結果は、このNPK肥料の最高50%までの代用としてケイ素材料を用いることができる、ということを示している。
【0144】
【表15】

【0145】
実施例17−水耕イチゴおよびトマト
Deniliquin−Echuca RoadにあるDeniliquin地域において、試験作業を実施した。温室内のPVCパイプ内でイチゴ(「Diamante」)を栽培し、システムを通して栄養素溶液を再循環させた。
【0146】
およそ1メートルの間隔で植物を除去し栄養素溶液中に直接10ミリグラムの粒子を置くことにより、「Diamante」植物の15メートルの区域を、本発明のケイ素含有粒子で処理した。溶液を滴下により補給し、その深さはおよそ10〜15mmである。その時点で、植物は極めて劣悪な条件にあり、新たな成長はわずかであり、結実した果実はきわめて小さいものであった。
【0147】
二週間後に、再び植物を検査した。目視による成長および結実の改善は明白であり、植物は極めて健康な葉と果実の成長を示した。
【0148】
植物一本あたり2〜3グラムの土壌改良で330の新しいトマトの苗を処理することにより、さらなる試験作業を実施した。
【0149】
2ヵ月後に施設を検査する間、処理済みの植物が未処理の対照に比べ健康であり、およそ10〜15%と推定される成長の増加を示していることは明白であった。
【0150】
実施例18−小麦試験、Allora
10%または20%の本発明のケイ素含有粒子でコーティングした種子を用いて、Allora(QLD)において、小麦区画(QULL 2000)に植え付けを行った。1ヘクタールは対照として植え付けし、さらに2ヘクタールには本発明の粒子でコーティングした種子を播種した:そのうちの、1ヘクタールには10%の粒子でコーティングした種子を播き、1ヘクタールには20%の粒子でコーティングした種子を播種した。土壌分析を実施し、これにより、土壌はおそらくは掘抜き井戸かんがいに起因して適切なレベルの可溶性ケイ素を含んでいることがわかった。この作物のその後の検査により、図3に示されているように処理済み作物の根の成長において主要な差異が示された。
【0151】
作物は、根系の検査からおよそ四ヵ月後に収穫した。穀粒の結実が緩慢であり作物について根の成長が著しく増大したという兆候にも関わらず、収穫高データは、処理済み区画と未処理区画の両方について類似の結果を示した。収穫高データはこの試験に関与した面積が比較的小さかったことにより影響されたかもしれず、より大型の穂刈り機を使用した場合、(この実施例の場合のように)収穫中の行路のわずかな偏差でさえ結果をゆがめる可能性があるということが指摘された。それでも本発明の粒子の添加が、根の形成に実質的な影響を及ぼすことは明らかである。
【0152】
実施例19−小麦およびヒヨコ豆試験
南クイーンズランドのDarling Downs地域内の数多くの作物中で、ヒヨコ豆、小麦および大麦において土壌改良および葉面散布として本発明のケイ素含有粒子を利用した。
【0153】
3〜4ヵ月後にこれらの作物を検査したところ、処理済みの穀類作物について根の成長が際立って増大し(かつ成熟が緩慢になり)、処理済みのヒヨコ豆で窒素根粒着生が大幅に増大していることがわかった。図4は、対照と処理済み植物との間の目視による差異を示している。
【0154】
実施例20−落花生試験、DPI調査基地、Kingaroy(Qld)
Kingaroyにおいて落花生作物上に1ヘクタールあたり10kgの割合で葉面散布および土壌散布として本発明のケイ素含有粒子を用いて試験作業に取り組んだ。
【0155】
三ヵ月後に植物の試料を採取し、葉組織を分析に送った。落花生植物の葉組織中の亜鉛含有量に関する指針は、60ppmという上限を推奨している。ホウ素に関する指針は、それが落花生にとって最も重要な元素の一つであることを示唆している。葉組織の結果(15)は、下表に示されている。
【0156】
【表16】

【0157】
ここでもまた、本発明の粒子の使用によって、種は重要な元素を選択的に取込むかまたは拒絶することができるようになったと思われる。ナトリウム、亜鉛およびホウ素レベルは、対照植物の葉組織と本発明の粒子を用いて処理された植物の葉組織との間で著しく変動する。
【0158】
実施例21−スイートコーン試験
スイートコーン作物を植え付け、3〜4ヵ月後に収穫した。試験設計は、並んだ比較用帯で構成されていた。従来の帯が二つ存在し、一つをバイオ肥料プログラムで処理し、一つをバイオ肥料プログラムと本発明のケイ素含有ガラス粒子で処理した。各帯は長さおよそ400mの少なくとも6本の植え付けされたコーンの列で構成されていた。
【0159】
肥料の処理は、以下の通りであった:
従来のプログラム(C1およびC2)
a. 植え付け前−Incitec 74079@350kg/ha、植え付け時に適用。
b. 側方施肥−尿素@200kg/ha。23日後に適用。
【0160】
バイオ肥料プログラム(B1)
a. 植え付け前−Platinum 957(Ausmin)@250kg/ha。植え付け時に適用。
b. 側方施肥−バイオコートされた尿素@150kg/ha。23日後に適用。
c. 土壌浸漬−Huma Base(Ausmin)@100l/ha+Biobrew Soil@30l/ha。植え付け後に適用。
【0161】
バイオ肥料+ケイ素含有ガラス粒子プログラム(B2)
a. 種子コーティングとしてのケイ素含有ガラス粒子、10kg/ha。
b. 植え付け前−Platinum 957(Ausmin)@250kg/ha。植え付け時に適用。
c. 側方施肥−バイオコートされた尿素。@150kg/ha。23日後に適用。
d. 土壌浸漬−Huma Base(Ausmin)@100l/ha+Biobrew Soil@30l/ha。植え付け後に適用。
【0162】
バイオ肥料プログラムでは、適用される主要栄養素が比較的少なかった。試験は、N、PおよびKという重要な栄養素について改善された栄養素の使用効率(適用された栄養素1単位あたりの収穫量kg数)が、バイオ肥料および/または本発明の粒子での生物学的活性の増強を通して達成され得るか否かがわかるように設計された。
【0163】
全ての処理には、発芽前除草剤(Dual Gold(メトロクロール))が適用された。従来の地域には、害虫のための殺虫剤(クロルピリフォス)も噴霧した。バイオ肥料を与えた区画は殺虫剤で処理せず、適用された生物接種材料および植物免疫状態に対する化学物質の潜在的影響を回避した。
【0164】
【表17】

【0165】
【表18】

【0166】
収穫直前の嵐により作物が倒伏したために、リニアメータあたりの穂軸数を決定することによって1ヘクタールあたりの収穫高の推定値を得た。植え付け幅を50cm、帯長を100mと仮定すると1ヘクタールあたり植え付けされた列が200存在することになる。これは20000リニアメータに等しい。次に、1ヘクタールあたりの穂軸の推定数として、収穫高を計算した。一本の穂軸あたりの収集された平均重量データを用いて、1ヘクタールあたりのトン数も計算した。これらの数字は表19に示されている。
【0167】
【表19】

【0168】
従来の処理では、バイオ肥料処理と比べて、成長したコーン1トンあたり三倍のP肥料が使用された。従来の処理では、バイオ肥料に比べて、成長したコーン1トンあたり二倍超の量のS肥料およびK肥料が使用された。従来の処理に比べた場合、成長したコーン1トンあたりの所要窒素量は、バイオ肥料処理において4分の1だけ少ないものであった。表20は、重要な四つの栄養素N、P、KおよびSについてのNUE数値を示す。
【0169】
【表20】

【0170】
作物についての経済性能指標を計算した。1本の穂軸あたりの単価に1ヘクタールあたりに成長した穂軸数を乗じたものから、総収益を計算した。次に、各処理に適用された肥料ならびに農薬のコストを控除することによって、各処理についての粗利益を計算した。労働、機械、噴霧および収穫のコストはすべての処理について同一であると仮定した。肥料および従来の処理は、各々1回の噴霧散布を行った。表21は、作物についての総収益、肥料コストおよび粗利益の計算結果を示す。
【0171】
【表21】

【0172】
B1およびB2の両方の処理共、より高い根重量、穂軸計数およびブリックスの増大、重量および収量の増加そしてはるかに高い栄養素利用効率を実証した。B1およびB2は共に、NPKおよびSの投入量が最高で50%少なかったにも関わらず、対照をしのいだ。
【0173】
本発明の粒子での処理によってコーンの全体的生産量はより大きくなるものと思われた。収穫高および粗利益は、バイオ肥料処理単独で著しく改善されたものの、本発明の粒子を用いたケイ素種子コーティングを含む処理は、最高値の粗利益を示した。より具体的には、費用便益比較は、B1処理(バイオ肥料投入量−ケイ素)が対照に比べ純利益を1ヘクタールあたり1592ドルだけ増大させ、B2処理(バイオ肥料+10kg/haの本発明の粒子)が純利益を1ヘクタールあたり3107ドルだけ増大させたことを示している。
【0174】
最後に、先に記述した部分の構成および配置にはさまざまな改変、修正および/または付加を導入してよく、そのために本発明の精神または範囲から逸脱することはないということを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物可給性ケイ素の供給源として使用するのに適したケイ素含有ガラス粉末粒子であって、粒子が少なくとも50wt%のシリカ含有量および少なくとも2wt%の酸化ナトリウム含有量を有し、粒子の少なくとも90wt%が200.0μm未満の粒径を有する、ケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項2】
粒子の少なくとも90wt%が100.0μm未満の粒径を有する、請求項1に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項3】
粒子の少なくとも90wt%が37.0μm未満の粒径を有する、請求項1または2に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項4】
粒子が1nm〜37.0μmの中央粒径を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項5】
粒子が200nm〜37.0μmの中央粒径を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項6】
粒子が1μm〜25.0μmの中央粒径を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項7】
粒子が、8.0μm〜25.0μmの中央粒径を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項8】
粒子の少なくとも50wt%が20.0μm未満の粒径を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項9】
粒子が少なくとも60wt%のシリカ含有量を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項10】
粒子が少なくとも70wt%のシリカ含有量を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項11】
粒子が少なくとも5wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項12】
粒子が少なくとも10%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項13】
粒子が65wt%〜90wt%のシリカ含有量および2wt%〜15wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のケイ素含有ガラス粉末粒子。
【請求項14】
植物可給性ケイ素の供給源として使用するためのケイ素含有ガラス粉末粒子の生産方法であって、
(a) 少なくとも50wt%のシリカ含有量と少なくとも2wt%の酸化ナトリウム濃度を有するケイ素含有ガラスを提供すること;および
(b) ケイ素含有ガラスをミル粉砕して、粒子の少なくとも90wt%が200.0μm未満の粒径を有するケイ素含有ガラス粉末粒子を生産すること;
を含む方法。
【請求項15】
生産された粒子の少なくとも90wt%が100.0μm未満の粒径を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
生産された粒子の少なくとも90wt%が、37.0μm未満の粒径を有する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
生産された粒子が1nm〜37.0μmの中央粒径を有する、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
生産された粒子が、200nm〜37.0μmの中央粒径を有する、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
生産された粒子が1.0μm〜25.0μmの中央粒径を有する、請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
生産された粒子が8.0μm〜25.0μmの中央粒径を有する、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
生産された粒子の少なくとも50wt%が20.0μm未満の粒径を有する、請求項14〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ガラスが少なくとも60wt%のシリカ含有量を有する、請求項14〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ガラスが少なくとも70wt%のシリカ含有量を有する、請求項14〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ガラスが少なくとも5wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項14〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ガラスが少なくとも10wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項14〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ガラスが65wt%〜90wt%のシリカ含有量と2wt%〜15wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項14〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ケイ素含有ガラスをミル粉砕する工程が、ボールミルおよびジェットミルからなる群から選択されたミル内でのミル粉砕にケイ素含有ガラスを付すことを含む、請求項14〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ケイ素含有ガラスをミル粉砕する工程が、高圧高温蒸気中でガラスを溶解することを含んでいる、請求項14〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ミル粉砕の後、ケイ素含有ガラス粉末粒子が洗浄溶液で洗浄される、請求項14〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
洗浄溶液が鉱酸を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
洗浄溶液が少なくとも2Mの鉱酸濃度を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
鉱酸が塩酸である、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
洗浄溶液が40℃〜80℃の温度にある、請求項29〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
洗浄溶液がおよそ60℃の温度にある、請求項29〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
粒子が4〜12時間の期間にわたり洗浄される、請求項29〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
植物または植物成長培地に対し植物可給性ケイ素を提供する方法であって、その方法は少なくとも50wt%のシリカ含有量と少なくとも2wt%の酸化ナトリウム含有量を有するケイ素含有ガラス粉末粒子を植物または植物培地に適用することを含む方法であって、粒子の少なくとも90wt%が200.0μm未満の粒径を有する方法。
【請求項37】
粒子の少なくとも90wt%が100.0μm未満の粒径を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
粒子の少なくとも90wt%が37.0μm未満の粒径を有する、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が1nm〜37.0μmの中央粒径を有する、請求項36〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が200nm〜37.0μmの中央粒径を有する、請求項36〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が1μm〜25.0μmの中央粒径を有する、請求項36〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が8.0μm〜25.0μmの中央粒径を有する、請求項36〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
粒子の少なくとも50wt%が20.0μm未満の粒径を有する、請求項36〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも60wt%のシリカ含有量を有する、請求項36〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも70wt%のシリカ含有量を有する、請求項36〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも5wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項36〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも10wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項36〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が、65wt%〜90wt%のシリカ含有量および2wt%〜15wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項36〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
植物成長培地が、土壌、苗床用培養土、堆肥または水耕システム内で利用されるような無土壌培地である、請求項36〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも50wt%のシリカ含有量および少なくとも2wt%の酸化ナトリウム含有量を有するケイ素含有ガラス粉末粒子を植物または植物成長培地に適用することを含む、植物の成長を改善する方法であって、粒子の少なくとも90wt%が200.0μm未満の粒径を有する方法。
【請求項51】
粒子の少なくとも90wt%が100.0μm未満の粒径を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
粒子の少なくとも90wt%が37.0μm未満の粒径を有する、請求項50または51に記載の方法。
【請求項53】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が1nm〜37.0μmの中央粒径を有する、請求項50〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が200nm〜37.0μmの中央粒径を有する、請求項50〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が1μm〜25.0μmの中央粒径を有する、請求項50〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が8.0μm〜25.0μmの中央粒径を有する、請求項50〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
粒子の少なくとも50wt%が20.0μm未満の粒径を有する、請求項50〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも60wt%のシリカ含有量を有する、請求項50〜57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも70wt%のシリカ含有量を有する、請求項50〜58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも5wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項50〜59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも10wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項50〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が、65wt%〜90wt%のシリカ含有量および2wt%〜15wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項50〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
植物成長培地が、土壌、苗床用培養土、堆肥または水耕システム内で利用されるような無土壌培地である、請求項50〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
粒子が、1ヘクタールあたり1トンから1ヘクタールあたり1000トンの割合で適用される、請求項50〜63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
粒子が、1ヘクタールあたり1kg〜1000kgの割合で適用される、請求項50〜63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
少なくとも50wt%のシリカ含有量および少なくとも2wt%の酸化ナトリウム含有量を有するケイ素含有ガラス粉末粒子を植物または植物成長培地に適用することを含む、植物の収穫高を改善する方法であって、粒子の少なくとも90wt%が、200.0μm未満の粒径を有する方法。
【請求項67】
粒子の少なくとも90wt%が100.0μm未満の粒径を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
粒子の少なくとも90wt%が37.0μm未満の粒径を有する、請求項66または67に記載の方法。
【請求項69】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が1nm〜37.0μmの中央粒径を有する、請求項66〜68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が200nm〜37.0μmの中央粒径を有する、請求項66〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が1μm〜25.0μmの中央粒径を有する、請求項66〜70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が8.0μm〜25.0μmの中央粒径を有する、請求項66〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
粒子の少なくとも50wt%が20.0μm未満の粒径を有する、請求項66〜72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも60wt%のシリカ含有量を有する、請求項66〜73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも70wt%のシリカ含有量を有する、請求項66〜74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも5wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項66〜75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が少なくとも10wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項66〜76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
ケイ素含有ガラス粉末粒子が、65wt%〜90wt%のシリカ含有量および2wt%〜15wt%の酸化ナトリウム含有量を有する、請求項66〜77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
植物成長培地が、土壌、苗床用培養土、堆肥または水耕システム内で利用されるような無土壌培地である、請求項66〜78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
粒子が、1ヘクタールあたり1トンから1ヘクタールあたり1000トンの割合で適用される、請求項66〜79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
粒子が、1ヘクタールあたり1kg〜1000kgの割合で適用される、請求項66〜79のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−505135(P2012−505135A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530328(P2011−530328)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001328
【国際公開番号】WO2010/040176
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(511064063)アドヴァンスト プラント ニュートリション ピーティーワイ エルティーディー (1)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED PLANT NUTRITION PTY LTD
【Fターム(参考)】