植物の根粒形成促進剤及び根粒形成促進方法
【課題】土壌又は植物に簡便に施用することができ、かつ、根粒を効率よく形成させることが可能な根粒形成促進剤、及びそれを用いた根粒形成を促進させる方法を提供する。
【解決手段】ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基からなる群から選ばれる化合物、例えばイノシンを有効成分として含有する根粒形成促進剤を、マメ科植物に施用することにより、根粒形成を促進させる。
【解決手段】ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基からなる群から選ばれる化合物、例えばイノシンを有効成分として含有する根粒形成促進剤を、マメ科植物に施用することにより、根粒形成を促進させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の根に形成される根粒の形成促進剤、及び根粒の形成促進方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の生育に必要な栄養の多くは、肥料として施用されている。窒素肥料は代表的な肥料の一つであるが、その製造には多量のエネルギーを必要とし、また多量の使用によって地下水を汚染したり温暖化の原因であるN2Oガスとして揮散したりすることがある等、環境面への影響が懸念されている。
一方、マメ科植物は、窒素肥料を与えなくても生育することができる。土壌細菌の一種である根粒菌は、マメ科植物の根に侵入して根粒を形成し、植物から炭水化物を得る一方、空気中の窒素を固定することにより窒素化合物を植物に与える。このように、マメ科植物と根粒菌は共生関係にある。植物の根粒の形成具合によって、植物の生育が大きく左右される。十分な根粒の形成があってこそ、葉や茎が伸び、花芽をつけて受精し、結実し、果実が肥大する。
【0003】
根粒の形成を促進する方法として、根粒菌を人為的にマメ科植物に接種する方法が試みられている(特許文献1〜5)。しかしながら、これらの方法は、いずれも根粒菌を担持させる担体を必要とするものであり、経済的又は労力的に問題がないとはいえない。また、根粒菌を種子に粉衣してその種子を播種する方法(特許文献6)が提案されているが、簡便とはいえない。さらに、これらの方法では、接種した菌の植物への着生能の観点や、分布範囲が限定的であることから必ずしも接種した根粒菌が優先的に植物に着生するとは限らないという問題がある。
【0004】
根粒菌の着生を向上させる技術として、根粒菌液にベタイン化合物を添加してなる接種資材をマメ科植物種子に接種する方法が提案されている(特許文献7)。しかしながら、簡便さという点では改善の余地がある。
【0005】
イノシンは、土壌又は水耕水に施用することにより、植物根の生育を促進することが知られている(特許文献8)。しかしながら、施用対象は葉菜、果菜、根菜、花および果樹であり、イノシンがマメ科植物などの根粒の形成に与える影響については知られていない。
【0006】
また、酵母菌体から抽出し、アルカリ分解法と酵素分解法より分解し、濃縮した核酸が、マメ科植物の根粒菌の窒素固定酵素の活性、及び、大豆マメ数等を増加させる効果を有することが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、この核酸はのり状と記載されており、低分子核酸ではないと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3−266915号
【特許文献2】特開平6−62667号
【特許文献3】特開平6−141848号
【特許文献4】特開平8−109109号
【特許文献5】特開平8−109110号
【特許文献6】特開平10−210807号
【特許文献7】特開2003−40720
【特許文献8】特許第2927269号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】閔 三弟ら、微生物学雑誌 第10巻、第58〜60頁、1990年4期
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、土壌又は植物に簡便に施用することができ、かつ、根粒を効率よく形成させることが可能な根粒形成促進剤、及びそれを用いた根粒形成を促進させる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、イノシン等のヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基が植物の根粒の形成を促進する効果を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基からなる群から選ばれる化合物を有効成分として含有する、マメ科植物の根粒形成促進剤。
(2)前記化合物を含有する発酵副生物を含む、前記根粒形成促進剤。
(3)前記化合物が、イノシン、グアノシン、ウリジン、イノシン酸、グアニル酸、ウリジル酸、ヒポキサンチン、グアニン、及びウラシルからなる群から選ばれる、前記根粒形成促進剤。
(4)前記化合物がイノシン、グアノシン、ヒポキサンチン、及びウラシルからなる群から選ばれる前記根粒形成促進剤。
(5)土壌又は植物に、ヌクレオシド換算で0.1g〜20kg/ヘクタールの施用量で施用される、前記根粒形成促進剤。
(6)使用時に、前記化合物を、ヌクレオシド換算で0.01〜100ppm含有する液体である、前記根粒形成促進剤。
(7)前記根粒形成促進剤を、土壌又は植物に施用することを特徴とする、マメ科植物の根粒の形成促進方法。
(8)前記植物が大豆である、前記方法。
(9)前記根粒形成促進剤を、土壌に表面散布又は潅注により施用するか、又は、植物に葉面散布により施用する、前記方法。
(10)前記根粒形成促進剤が、ヌクレオシド換算で0.1g〜20kg/ヘクタールの施用量で施用される、前記方法。
(11)前記根粒形成促進剤が、ヌクレオシド換算で0.01〜100ppmの水溶液として施用される、前記方法。
(12)前記化合物が、イノシン、グアノシン、ウリジン、イノシン酸、グアニル酸、ウリジル酸、ヒポキサンチン、グアニン、及びウラシルからなる群から選ばれる、前記方法。
(13)前記化合物がイノシン、グアノシン、ヒポキサンチン、及びウラシルからなる群から選ばれる、前記方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マメ科植物の根粒の形成が促進される。その結果、マメ科植物の生育が向上し、窒素肥料の使用量を低減させることができる。本発明の根粒形成促進剤は、ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基以外には、特定の担体を必要としない。また、本発明の根粒形成促進方法は、施用に際して煩雑な作業を必要としないため、簡便である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】播種から20日後における、イノシンを土壌散布により施用した大豆の根粒数を示す図。
【図2】播種から20日後における、イノシンを土壌散布により施用した大豆の地上部乾物重を示す図。
【図3】播種から34日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の根粒数を示す図。
【図4】播種から34日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の根粒乾物重(蒸留水区を100とした相対値)を示す図。
【図5】播種から32日後における、イノシンを葉面散布した大豆の根粒数を示す図。
【図6】播種から32日後における、イノシンを葉面散布した大豆の根粒乾物重(蒸留水区を100とした相対値)を示す図。
【図7】播種から33日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の根粒数を示す図。
【図8】播種から33日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の根粒乾物重を示す図。
【図9】播種から33日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の地上部乾物重を示す図。
【図10】播種から33日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の地下部乾物重を示す図。
【図11】播種から40日後における、各種化合物又は発酵副生液を土壌潅注により施用した大豆の根粒数を示す図。
【図12】播種から40日後における、各種化合物又は発酵副生液を土壌潅注により施用した大豆の根粒乾物重を示す図。
【図13】播種から33日後における、各種化合物又は発酵副生液を土壌潅注により施用した大豆の地上部乾物重を示す図。
【図14】播種から33日後における、各種化合物又は発酵副生液を土壌潅注により施用した大豆の地下部乾物重を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の根粒形成促進剤は、ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基からなる群から選ばれる化合物を有効成分として含有する。
【0015】
核酸塩基は、プリン及びピリミジンのいずれであってもよい。また、ヌクレオシド及びヌクレオチドは、プリンヌクレオシド、ピリミジンヌクレオシド、プリンヌクレオチド、ピリミジンヌクレオチドのいずれであってもよい。さらに、ヌクレオシド及びヌクレオチドを構成する糖は、リボースであってもデオキシリボースであってもよいが、リボースが好ましい。
【0016】
核酸塩基としては、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、キサンチン、及びヒポキサンチンが挙げられる。
【0017】
ヌクレオシドとしては、アデノシン、グアノシン、チミジン、シチジン、ウリジン、キサントシン、及びイノシン、並びにこれらの2’−デオキシ体が挙げられる。
【0018】
ヌクレオシドとしては、アデニル酸(アデノシン-5'-リン酸)、グアニル酸(グアノシン-5'-リン酸)、チミジル酸(チミジン-5'-リン酸)、ウリジル酸(ウリジン-5'-リン酸)、キサンチル酸(キサントシン-5'-リン酸)、及びイノシン酸(イノシン-5'-リン酸)、並びにこれらの2’−デオキシ体が挙げられる。
【0019】
核酸塩基としては、プリンが好ましく、ヒポキサンチン、グアニン、及びウラシルがより好ましい。
ヌクレオシドとしては、イノシン、グアノシン、及びウリジンがより好ましい。
ヌクレオチドとしては、イノシン酸、グアニル酸、及びウリジル酸がより好ましい。
【0020】
ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基の中では、ヌクレオシド及び核酸塩基が好ましく、イノシン、グアノシン、ヒポキサンチン、及びウラシルがより好ましい。
【0021】
ヌクレオシド、ヌクレオチド、及び核酸塩基はフリー体であってもよく、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩であってもよい。
【0022】
根粒形成促進剤は、ヌクレオシド、ヌクレオチド、及び核酸塩基から選ばれる化合物を1種含んでいてもよく、2又はそれ以上の任意の化合物を含んでいてもよい。
【0023】
また、前記化合物は、精製品であってもよいが、施用対象の植物の根粒の形成を損わず、生育に害のない限り、前記化合物を含む組成物、例えば発酵液、その濃縮液、濃縮乾燥物、粗精製品、発酵副生物、又はそれらの分画物であってもよい。
ヌクレオシド、ヌクレオチド、及び核酸塩基は、例えば、特開平11-346778号、特開2004-242610、特開2007-105055に記載された方法で製造することができる。
【0024】
前記発酵副生物は、マメ科植物に施用することにより根粒の形成を促進することができる限り、培地から目的物質を分離した発酵液(「発酵副生液」ともいう)、その濃縮液もしくは乾固物、又はそれらの分画物等のいずれであってもよい。また、発酵副生液は、培地から目的物質を採取するために酸等が添加されてもよく、除菌等のために加熱処理されてもよい。
【0025】
前記化合物を含む発酵副生液としては、例えば、糖蜜、タピオカ、トウモロコシ等の各種炭水化物原料を糖源とし、窒素源としてアンモニア、硫酸アンモニウム等の各種アンモニア態窒素原料を含有する培地で前記化合物を産生する微生物を培養して得られる発酵液から核酸類を分離除去した際に発生する副生液が挙げられる。微生物及び培地は、例えば、特開平11-346778号、特開2004-242610、特開2007-105055等に記載されているものが例示できる。発酵副生液として具体的には、例えば、前記化合物を含む発酵液のpHを、硫酸、塩酸等の鉱酸を用いて当該化合物の等電点に調整するか、及び/又は発酵液を冷却することにより、当該化合物を析出させ、固液分離したときに得られる母液およびその濃縮液などが挙げられる。得られる発酵副生液は、典型的には、前記化合物の他、揮発性塩基態窒素、核酸類有機態窒素、アミノ酸有機態窒素および発酵菌体由来の窒素に富んでいる。また、ミネラルとしては核酸類発酵液のpH調整時に使用した鉱酸由来の硫黄、塩素に富んでいる。その他、微量成分として、上記以外のミネラル、ビタミン、糖類、有機酸、発酵菌体等を含有する。
【0026】
施用方法としては、植物体又は植物の根圏の土壌に根粒形成促進剤が接触するか、又は送達される限り特に制限されず、土壌への表面散布、潅注、鋤込み、又は植物への葉面散布、肥料に混合しての施用、水耕溶液への添加等が挙げられる。
【0027】
根粒形成促進剤の剤型は特に制限されず、慣用の農園芸資材の形態で施用することができ、上記施用方法に応じて、固体、粉体、液体等、任意の形態を採用することができる。
【0028】
根粒形成促進剤は、前記化合物以外に、任意の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、溶媒、担体、前記化合物の溶解を促すためのpH調整剤、植物体又は土壌への展着力を高めるための展着剤、肥効を高めるための肥料成分、農薬成分、バインダー、増量剤等が挙げられる。
【0029】
溶媒としては、水等が挙げられる。担体としては、珪藻土やバーミキュライト、パーライト、ピートモス、活性炭、ヒューマス等が挙げられる。尚、根粒形成促進剤は、特定の担体を必要としない。
使用に際して、固体状又は粉体状の根粒形成促進剤を、水等の溶媒に溶解又は分散させてもよい。また、界面活性剤などからなる展着剤を加用したり農薬と混合施用したりすることもできる。
【0030】
根粒形成促進剤は、前記化合物を有効量含む限り、さらに、ヌクレオシド及びヌクレオチド以外の核酸、例えばオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含んでいてもよい。また、従来知られている根粒形成促進作用を持つ成分を含んでいてもよい。また、アゾスピリラム(Azospirillum)属細菌等の他の微生物を含んでいてもよい。さらには、根粒菌を含んでいてもよい。
【0031】
根粒形成促進剤におけるヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基の含量は特に制限されず、後述の施用量に適するように適宜設定することができる。例えば、水溶液の場合は、ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基の合計含量は、通常0.01〜100ppm、好ましくは0.5〜50ppm、より好ましくは2〜20ppmである。
【0032】
上記根粒形成促進剤を、土壌又は植物に施用することにより、植物の根粒の形成を促進させることができる。根粒の形成の促進とは、根粒数、もしくは1根粒当りの重量の増加、又はこれらの両方を含む。根粒の形成が促進される結果、植物の地上部又は/及び地下部の生育、重量増加、特に豆の収量増加が促進される。
【0033】
土壌は特に制限されず、根粒形成促進剤は、養分が少ない土壌、及び養分が多い土壌のいずれでも、根粒形成促進効果を有するが、特に養分が少ない土壌での栽培において、顕著な根粒形成促進効果を示す。
【0034】
本発明の方法を適用する植物は、根粒を形成し得る植物である限り特に制限はされず、例えばマメ科植物は根粒を形成することが一般的に知られており、好適な対象である。マメ科植物としては、大豆、小豆、ソラマメ、エンドウ、落花生、ササゲ、ルーピン、クローバー、アルファルファ等が挙げられるが、これらに制限されない。大豆の品種としては、根粒を形成し、前記化合物により根粒形成が促進されるものであれば制限されず、丹波黒、中生光黒、サチユタカ等が挙げられる。また、除草剤耐性などの遺伝子組み換えの有無も問わない。
【0035】
根粒を形成する根粒菌としては、植物と共生して根粒を形成することができ、本発明の根粒形成促進剤により根粒の形成が促進されるものであれば制限されない。根粒菌としては、例えば、リゾビウム(Rhizobium)、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)、シノリゾビム(Sinorhizobium)、メゾリゾビウム(Mesorhizobium)属等に属する細菌が挙げられる。より具体的には、Rhizobium leguminosarum、Rhizobium tropici、Shinorhizobium meliloti、Sinorhizobium fredii、Bradyrhizobium japonicum、Bradyrhizobium elkani、Mesorhizobium loti、Mesorhizobium huakuii等が挙げられる。
【0036】
根粒形成促進剤の施用量は、施用方法、施用時期、植物の種類、栽培密度、生育段階等によっても異なり得るが、例えば、ヌクレオシド換算で、一作当り、通常0.1g〜20kg/ヘクタール、好ましくは2g〜2kg/ヘクタールである。「ヌクレオシド換算」とは、ヌクレオチド又は核酸塩基については対応するヌクレオシド、例えばヒポキサンチン又はイノシン酸についてはイノシン、の量に換算することをいう。
根粒形成促進剤は、一度に前記範囲の量を施用してもよく、複数回に分けて施用してもよい。
【0037】
施用の時期及び回数は、植物の種類等によっても異なり得るが、大豆の場合は、通常、播種から3〜60日の間、好ましくは5〜30日の間に、1回又は2〜4回施用することが好ましい。
【0038】
また、根粒形成促進剤の施用に加えて、根粒菌を土壌又は種子に接種したりモリブデンやコバルト、鉄といったミネラル資材などを併用したりしてもよい。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0040】
〔実施例1〕イノシンの大豆根粒形成への効果
各種品種の大豆(黒大豆:丹波黒、中生光黒、白大豆:サチユタカ)を、土壌(市販バーミキュライト。肥料無添加)0.6Lを入れた4号鉢(φ12cm)に播種した。各品種について、初生葉展開前の生育が良好な個体7本/ポットを選抜した。下記の各処理区について、7株ずつを供試した。
【0041】
〔処理区〕
1.蒸留水区
2.イノシン2ppm溶液
3.イノシン20ppm溶液
4.イノシン100ppm溶液
【0042】
播種から7、10、15日後に、各溶液250mlをポット中の土壌表面に散布した。尚、1回の施用で、土壌に対するイノシン濃度は、2ppm溶液区は0.83ppm、20ppm溶液区は8.3ppm、100ppm溶液区は41.7ppmであり、それぞれ442g/ha、4,425g/ha、22.1kg/haに相当する。各イノシン溶液は、イノシン2%溶液(昭光通商アグリ(株)「育王」。イノシンの溶解を促すため、pH調整剤としてKOHを0.52%含む。)を蒸留水で希釈することにより調製した。
【0043】
播種から20日後、根粒数(図1)、及び地上部乾物重(図2)を測定した。丹波黒、中生光黒、及び、サチユタカの全品種において、イノシン2ppm又は20ppm溶液処理により、根粒数及び地上部乾物重が明らかに増加した。
【0044】
〔実施例2〕イノシンの大豆育生土壌への潅注施用
大豆(サチユタカ)を、土壌(市販黒土。水分35%)1kgを入れたポットに播種した。肥料として、過リン酸石灰と硫酸カリウムをそれぞれP2O5、K2O換算で40mg/ポットとなるよう添加した。
【0045】
処理区は、蒸留水区とイノシン2ppm溶液区とした。初生葉展開前の生育が良好な個体を1株/ポット選抜し、各処理区で5株ずつ供試した。播種から10、14、及び19日後に、蒸留水又はイノシン溶液250mlをポット中の土壌に潅注施用した。イノシン2ppm溶液区では1回の施用で、土壌に対するイノシン濃度は0.5ppmであり、325g/haに相当する。
【0046】
播種から34日後、根粒数(図3)、根粒乾物重(図4)、地上部乾物重、及び地下部乾物重(表1)を測定した。根粒乾物重及び地上部乾物重、地下部乾物重は、各々蒸留水区を100とした相対値で示した。イノシン2ppm溶液施用により、根粒数、根粒乾物重、地上部乾物重、及び地下部乾物重のいずれも増加した。
【0047】
【表1】
【0048】
〔実施例3〕イノシンの大豆への葉面散布施用
大豆(サチユタカ)を、土壌(市販黒土。水分35%)0.7kgを入れたポットに播種した。肥料として、過リン酸石灰と硫酸カリウムをそれぞれP2O5、K2O換算で28mg/ポット添加した。根粒菌として「まめぞう」(十勝農業協同組合連合会:http://www.nokyoren.or.jp/material.html。大豆根粒菌Bradyrhizobium japonicumを含む。)を、根粒菌の濃度が104cfu/cm3土壌となるよう土壌に添加した。
【0049】
処理区は、蒸留水区とイノシン10ppm溶液区とした。初生葉展開前の生育が良好な個体を1株/ポット選抜し、各処理区で5株ずつ供試した。播種から10、14、及び19日後に、蒸留水又はイノシン溶液5mlを葉面散布により施用した。尚、蒸留水及びイノシン溶液には、展着剤(アプローチBI:花王(株)。「アプローチ」は同社の登録商標である。)0.1v/v%を添加した。イノシン10ppm溶液区では、一回の施用でのイノシン散布量は、10g/haとなる。
【0050】
播種から32日後、根粒数(図5)、根粒乾物重(図6)、地上部乾物重、及び地下部乾物重(表2)を測定した。根粒乾物重及び地上部乾物重、地下部乾物重は、各々蒸留水区を100とした相対値で示した。イノシン10ppm溶液施用により、根粒数、根粒乾物重、地上部乾物重、及び地下部乾物重のいずれも増加した。
【0051】
【表2】
【0052】
〔実施例4〕イノシンの大豆生育土壌への潅注施用
大豆(サチユタカ)苗を、土壌(バーミキュライト、水分50%)1.4Lを入れたポット(φ15cm)に移植した。
【0053】
処理区は表3に記載した通り、蒸留水区(1、4区)とイノシン2ppm、20ppm溶液(昭光通商アグリ(株)「育王」を蒸留水で希釈施用)を施用したイノシン施用区(2、3、5、6区)とした。蒸留水区及びイノシン施用区ともに、肥料として過リン酸石灰と硫酸カリウムをそれぞれP2O5、K2O換算で40mg/ポット添加したもの、及び、有機質肥料(「花咲く肥料(1.5-9-4.5)」、東商)を2g/ポット(N:P2O5:K2O=30:180:90mg/pot)で添加したものの区に分けた。根粒菌(「まめぞう」、十勝農業協同組合連合会)濃度を4×104cfu/cm3土となるよう添加した。初生葉展開前の生育が良好な個体を1株/ポット選抜し、各処理区で5株ずつ供試した。
【0054】
播種から10、17、及び25日後に、蒸留水又はイノシン溶液250mlを潅注により施用した。1回の施用で土壌に対するイノシン濃度は、2ppm溶液区は0.36ppm、20ppm溶液区は3.6ppmであり、それぞれ282g/ha、2,825g/haに相当する。低土壌養分条件(1-3区)では微量要素欠乏によるものと思われる葉の黄化が認められたため、表4の組成の溶液を大豆移植後20日、及び27日後に100ml/ポットで潅注施用した。この場合でも、高土壌養分区(4-6区)よりは低養分である。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
播種から33日後、根粒数(図7)、根粒乾物重(図8)、地上部乾物重(図9)、及び地下部乾物重(図10)を測定した。同じ土壌肥料条件下ではイノシン2ppm、20ppm溶液施用により、根粒数、根粒乾物重、地上部乾物重、及び地下部乾物重のいずれも蒸留水区(0ppm区)より増加した。
【0058】
〔実施例5〕核酸類および核酸発酵副生物の大豆への潅注施用
大豆(サチユタカ)を、土壌(バーミキュライト。水分50%)1.4Lを入れたポット(φ15cm)に播種した。肥料として、過リン酸石灰と硫酸カリウムをそれぞれP2O5、K2O換算で40mg/ポット添加した。根粒菌として「まめぞう」を、根粒菌の濃度が10cfu/cm3土壌となるよう土壌に添加した。
【0059】
処理区は表5に記載した通り、蒸留水区(1区)とヒポキサンチン区(2、3区)、グアノシン区(4、5区)、ウラシル区(6、7区)、イノシン発酵副生液区(8、9区)とした。イノシン発酵副生液は、イノシン5.02w/v%、ヒポキサンチン0.84w/v%(イノシン換算1.65w/v%)を含有する。初生葉展開前の生育が良好な個体を1株/ポット選抜し、各処理区で5株ずつ供試した。播種から11、19、及び24日後に、蒸留水又は各溶液250mlを潅注により施用した。1回の施用で土壌に対するヒポキサンチン濃度は、1ppm溶液区は0.18ppm、10ppm溶液区は1.8ppmであり、それぞれ141g/ha、1,412g/haに相当する。グアノシンの場合は2.1ppm溶液区でそれぞれ0.38ppm、297g/ha、21ppm溶液区で3.75ppm、2,966g/haとなる。ウラシルの場合は0.84ppm溶液区でそれぞれ0.15ppm、118g/ha、8.4ppm溶液区で1.5ppm、1,186kg/haとなる。イノシン発酵副生液区の場合は、イノシンモル換算で、30ppm溶液区で0.5ppm、282g/ha、300ppm溶液区で5ppm、2,825g/haとなる。微量要素欠乏防止のため表4の組成の溶液を大豆移植後14日、21、28日後に200ml/ポットで潅注施用した。
【0060】
【表5】
【0061】
播種から40日後、根粒数(図11)、根粒乾物重(図12)、地上部乾物重(図13)、及び地下部乾物重(図14)を測定した。各溶液施用により、根粒数、根粒乾物重、地上部乾物重、及び地下部乾物重のいずれも蒸留水区より増加した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の根に形成される根粒の形成促進剤、及び根粒の形成促進方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の生育に必要な栄養の多くは、肥料として施用されている。窒素肥料は代表的な肥料の一つであるが、その製造には多量のエネルギーを必要とし、また多量の使用によって地下水を汚染したり温暖化の原因であるN2Oガスとして揮散したりすることがある等、環境面への影響が懸念されている。
一方、マメ科植物は、窒素肥料を与えなくても生育することができる。土壌細菌の一種である根粒菌は、マメ科植物の根に侵入して根粒を形成し、植物から炭水化物を得る一方、空気中の窒素を固定することにより窒素化合物を植物に与える。このように、マメ科植物と根粒菌は共生関係にある。植物の根粒の形成具合によって、植物の生育が大きく左右される。十分な根粒の形成があってこそ、葉や茎が伸び、花芽をつけて受精し、結実し、果実が肥大する。
【0003】
根粒の形成を促進する方法として、根粒菌を人為的にマメ科植物に接種する方法が試みられている(特許文献1〜5)。しかしながら、これらの方法は、いずれも根粒菌を担持させる担体を必要とするものであり、経済的又は労力的に問題がないとはいえない。また、根粒菌を種子に粉衣してその種子を播種する方法(特許文献6)が提案されているが、簡便とはいえない。さらに、これらの方法では、接種した菌の植物への着生能の観点や、分布範囲が限定的であることから必ずしも接種した根粒菌が優先的に植物に着生するとは限らないという問題がある。
【0004】
根粒菌の着生を向上させる技術として、根粒菌液にベタイン化合物を添加してなる接種資材をマメ科植物種子に接種する方法が提案されている(特許文献7)。しかしながら、簡便さという点では改善の余地がある。
【0005】
イノシンは、土壌又は水耕水に施用することにより、植物根の生育を促進することが知られている(特許文献8)。しかしながら、施用対象は葉菜、果菜、根菜、花および果樹であり、イノシンがマメ科植物などの根粒の形成に与える影響については知られていない。
【0006】
また、酵母菌体から抽出し、アルカリ分解法と酵素分解法より分解し、濃縮した核酸が、マメ科植物の根粒菌の窒素固定酵素の活性、及び、大豆マメ数等を増加させる効果を有することが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、この核酸はのり状と記載されており、低分子核酸ではないと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3−266915号
【特許文献2】特開平6−62667号
【特許文献3】特開平6−141848号
【特許文献4】特開平8−109109号
【特許文献5】特開平8−109110号
【特許文献6】特開平10−210807号
【特許文献7】特開2003−40720
【特許文献8】特許第2927269号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】閔 三弟ら、微生物学雑誌 第10巻、第58〜60頁、1990年4期
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、土壌又は植物に簡便に施用することができ、かつ、根粒を効率よく形成させることが可能な根粒形成促進剤、及びそれを用いた根粒形成を促進させる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、イノシン等のヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基が植物の根粒の形成を促進する効果を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基からなる群から選ばれる化合物を有効成分として含有する、マメ科植物の根粒形成促進剤。
(2)前記化合物を含有する発酵副生物を含む、前記根粒形成促進剤。
(3)前記化合物が、イノシン、グアノシン、ウリジン、イノシン酸、グアニル酸、ウリジル酸、ヒポキサンチン、グアニン、及びウラシルからなる群から選ばれる、前記根粒形成促進剤。
(4)前記化合物がイノシン、グアノシン、ヒポキサンチン、及びウラシルからなる群から選ばれる前記根粒形成促進剤。
(5)土壌又は植物に、ヌクレオシド換算で0.1g〜20kg/ヘクタールの施用量で施用される、前記根粒形成促進剤。
(6)使用時に、前記化合物を、ヌクレオシド換算で0.01〜100ppm含有する液体である、前記根粒形成促進剤。
(7)前記根粒形成促進剤を、土壌又は植物に施用することを特徴とする、マメ科植物の根粒の形成促進方法。
(8)前記植物が大豆である、前記方法。
(9)前記根粒形成促進剤を、土壌に表面散布又は潅注により施用するか、又は、植物に葉面散布により施用する、前記方法。
(10)前記根粒形成促進剤が、ヌクレオシド換算で0.1g〜20kg/ヘクタールの施用量で施用される、前記方法。
(11)前記根粒形成促進剤が、ヌクレオシド換算で0.01〜100ppmの水溶液として施用される、前記方法。
(12)前記化合物が、イノシン、グアノシン、ウリジン、イノシン酸、グアニル酸、ウリジル酸、ヒポキサンチン、グアニン、及びウラシルからなる群から選ばれる、前記方法。
(13)前記化合物がイノシン、グアノシン、ヒポキサンチン、及びウラシルからなる群から選ばれる、前記方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マメ科植物の根粒の形成が促進される。その結果、マメ科植物の生育が向上し、窒素肥料の使用量を低減させることができる。本発明の根粒形成促進剤は、ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基以外には、特定の担体を必要としない。また、本発明の根粒形成促進方法は、施用に際して煩雑な作業を必要としないため、簡便である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】播種から20日後における、イノシンを土壌散布により施用した大豆の根粒数を示す図。
【図2】播種から20日後における、イノシンを土壌散布により施用した大豆の地上部乾物重を示す図。
【図3】播種から34日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の根粒数を示す図。
【図4】播種から34日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の根粒乾物重(蒸留水区を100とした相対値)を示す図。
【図5】播種から32日後における、イノシンを葉面散布した大豆の根粒数を示す図。
【図6】播種から32日後における、イノシンを葉面散布した大豆の根粒乾物重(蒸留水区を100とした相対値)を示す図。
【図7】播種から33日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の根粒数を示す図。
【図8】播種から33日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の根粒乾物重を示す図。
【図9】播種から33日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の地上部乾物重を示す図。
【図10】播種から33日後における、イノシンを土壌潅注により施用した大豆の地下部乾物重を示す図。
【図11】播種から40日後における、各種化合物又は発酵副生液を土壌潅注により施用した大豆の根粒数を示す図。
【図12】播種から40日後における、各種化合物又は発酵副生液を土壌潅注により施用した大豆の根粒乾物重を示す図。
【図13】播種から33日後における、各種化合物又は発酵副生液を土壌潅注により施用した大豆の地上部乾物重を示す図。
【図14】播種から33日後における、各種化合物又は発酵副生液を土壌潅注により施用した大豆の地下部乾物重を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の根粒形成促進剤は、ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基からなる群から選ばれる化合物を有効成分として含有する。
【0015】
核酸塩基は、プリン及びピリミジンのいずれであってもよい。また、ヌクレオシド及びヌクレオチドは、プリンヌクレオシド、ピリミジンヌクレオシド、プリンヌクレオチド、ピリミジンヌクレオチドのいずれであってもよい。さらに、ヌクレオシド及びヌクレオチドを構成する糖は、リボースであってもデオキシリボースであってもよいが、リボースが好ましい。
【0016】
核酸塩基としては、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、キサンチン、及びヒポキサンチンが挙げられる。
【0017】
ヌクレオシドとしては、アデノシン、グアノシン、チミジン、シチジン、ウリジン、キサントシン、及びイノシン、並びにこれらの2’−デオキシ体が挙げられる。
【0018】
ヌクレオシドとしては、アデニル酸(アデノシン-5'-リン酸)、グアニル酸(グアノシン-5'-リン酸)、チミジル酸(チミジン-5'-リン酸)、ウリジル酸(ウリジン-5'-リン酸)、キサンチル酸(キサントシン-5'-リン酸)、及びイノシン酸(イノシン-5'-リン酸)、並びにこれらの2’−デオキシ体が挙げられる。
【0019】
核酸塩基としては、プリンが好ましく、ヒポキサンチン、グアニン、及びウラシルがより好ましい。
ヌクレオシドとしては、イノシン、グアノシン、及びウリジンがより好ましい。
ヌクレオチドとしては、イノシン酸、グアニル酸、及びウリジル酸がより好ましい。
【0020】
ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基の中では、ヌクレオシド及び核酸塩基が好ましく、イノシン、グアノシン、ヒポキサンチン、及びウラシルがより好ましい。
【0021】
ヌクレオシド、ヌクレオチド、及び核酸塩基はフリー体であってもよく、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩であってもよい。
【0022】
根粒形成促進剤は、ヌクレオシド、ヌクレオチド、及び核酸塩基から選ばれる化合物を1種含んでいてもよく、2又はそれ以上の任意の化合物を含んでいてもよい。
【0023】
また、前記化合物は、精製品であってもよいが、施用対象の植物の根粒の形成を損わず、生育に害のない限り、前記化合物を含む組成物、例えば発酵液、その濃縮液、濃縮乾燥物、粗精製品、発酵副生物、又はそれらの分画物であってもよい。
ヌクレオシド、ヌクレオチド、及び核酸塩基は、例えば、特開平11-346778号、特開2004-242610、特開2007-105055に記載された方法で製造することができる。
【0024】
前記発酵副生物は、マメ科植物に施用することにより根粒の形成を促進することができる限り、培地から目的物質を分離した発酵液(「発酵副生液」ともいう)、その濃縮液もしくは乾固物、又はそれらの分画物等のいずれであってもよい。また、発酵副生液は、培地から目的物質を採取するために酸等が添加されてもよく、除菌等のために加熱処理されてもよい。
【0025】
前記化合物を含む発酵副生液としては、例えば、糖蜜、タピオカ、トウモロコシ等の各種炭水化物原料を糖源とし、窒素源としてアンモニア、硫酸アンモニウム等の各種アンモニア態窒素原料を含有する培地で前記化合物を産生する微生物を培養して得られる発酵液から核酸類を分離除去した際に発生する副生液が挙げられる。微生物及び培地は、例えば、特開平11-346778号、特開2004-242610、特開2007-105055等に記載されているものが例示できる。発酵副生液として具体的には、例えば、前記化合物を含む発酵液のpHを、硫酸、塩酸等の鉱酸を用いて当該化合物の等電点に調整するか、及び/又は発酵液を冷却することにより、当該化合物を析出させ、固液分離したときに得られる母液およびその濃縮液などが挙げられる。得られる発酵副生液は、典型的には、前記化合物の他、揮発性塩基態窒素、核酸類有機態窒素、アミノ酸有機態窒素および発酵菌体由来の窒素に富んでいる。また、ミネラルとしては核酸類発酵液のpH調整時に使用した鉱酸由来の硫黄、塩素に富んでいる。その他、微量成分として、上記以外のミネラル、ビタミン、糖類、有機酸、発酵菌体等を含有する。
【0026】
施用方法としては、植物体又は植物の根圏の土壌に根粒形成促進剤が接触するか、又は送達される限り特に制限されず、土壌への表面散布、潅注、鋤込み、又は植物への葉面散布、肥料に混合しての施用、水耕溶液への添加等が挙げられる。
【0027】
根粒形成促進剤の剤型は特に制限されず、慣用の農園芸資材の形態で施用することができ、上記施用方法に応じて、固体、粉体、液体等、任意の形態を採用することができる。
【0028】
根粒形成促進剤は、前記化合物以外に、任意の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、溶媒、担体、前記化合物の溶解を促すためのpH調整剤、植物体又は土壌への展着力を高めるための展着剤、肥効を高めるための肥料成分、農薬成分、バインダー、増量剤等が挙げられる。
【0029】
溶媒としては、水等が挙げられる。担体としては、珪藻土やバーミキュライト、パーライト、ピートモス、活性炭、ヒューマス等が挙げられる。尚、根粒形成促進剤は、特定の担体を必要としない。
使用に際して、固体状又は粉体状の根粒形成促進剤を、水等の溶媒に溶解又は分散させてもよい。また、界面活性剤などからなる展着剤を加用したり農薬と混合施用したりすることもできる。
【0030】
根粒形成促進剤は、前記化合物を有効量含む限り、さらに、ヌクレオシド及びヌクレオチド以外の核酸、例えばオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含んでいてもよい。また、従来知られている根粒形成促進作用を持つ成分を含んでいてもよい。また、アゾスピリラム(Azospirillum)属細菌等の他の微生物を含んでいてもよい。さらには、根粒菌を含んでいてもよい。
【0031】
根粒形成促進剤におけるヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基の含量は特に制限されず、後述の施用量に適するように適宜設定することができる。例えば、水溶液の場合は、ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基の合計含量は、通常0.01〜100ppm、好ましくは0.5〜50ppm、より好ましくは2〜20ppmである。
【0032】
上記根粒形成促進剤を、土壌又は植物に施用することにより、植物の根粒の形成を促進させることができる。根粒の形成の促進とは、根粒数、もしくは1根粒当りの重量の増加、又はこれらの両方を含む。根粒の形成が促進される結果、植物の地上部又は/及び地下部の生育、重量増加、特に豆の収量増加が促進される。
【0033】
土壌は特に制限されず、根粒形成促進剤は、養分が少ない土壌、及び養分が多い土壌のいずれでも、根粒形成促進効果を有するが、特に養分が少ない土壌での栽培において、顕著な根粒形成促進効果を示す。
【0034】
本発明の方法を適用する植物は、根粒を形成し得る植物である限り特に制限はされず、例えばマメ科植物は根粒を形成することが一般的に知られており、好適な対象である。マメ科植物としては、大豆、小豆、ソラマメ、エンドウ、落花生、ササゲ、ルーピン、クローバー、アルファルファ等が挙げられるが、これらに制限されない。大豆の品種としては、根粒を形成し、前記化合物により根粒形成が促進されるものであれば制限されず、丹波黒、中生光黒、サチユタカ等が挙げられる。また、除草剤耐性などの遺伝子組み換えの有無も問わない。
【0035】
根粒を形成する根粒菌としては、植物と共生して根粒を形成することができ、本発明の根粒形成促進剤により根粒の形成が促進されるものであれば制限されない。根粒菌としては、例えば、リゾビウム(Rhizobium)、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)、シノリゾビム(Sinorhizobium)、メゾリゾビウム(Mesorhizobium)属等に属する細菌が挙げられる。より具体的には、Rhizobium leguminosarum、Rhizobium tropici、Shinorhizobium meliloti、Sinorhizobium fredii、Bradyrhizobium japonicum、Bradyrhizobium elkani、Mesorhizobium loti、Mesorhizobium huakuii等が挙げられる。
【0036】
根粒形成促進剤の施用量は、施用方法、施用時期、植物の種類、栽培密度、生育段階等によっても異なり得るが、例えば、ヌクレオシド換算で、一作当り、通常0.1g〜20kg/ヘクタール、好ましくは2g〜2kg/ヘクタールである。「ヌクレオシド換算」とは、ヌクレオチド又は核酸塩基については対応するヌクレオシド、例えばヒポキサンチン又はイノシン酸についてはイノシン、の量に換算することをいう。
根粒形成促進剤は、一度に前記範囲の量を施用してもよく、複数回に分けて施用してもよい。
【0037】
施用の時期及び回数は、植物の種類等によっても異なり得るが、大豆の場合は、通常、播種から3〜60日の間、好ましくは5〜30日の間に、1回又は2〜4回施用することが好ましい。
【0038】
また、根粒形成促進剤の施用に加えて、根粒菌を土壌又は種子に接種したりモリブデンやコバルト、鉄といったミネラル資材などを併用したりしてもよい。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0040】
〔実施例1〕イノシンの大豆根粒形成への効果
各種品種の大豆(黒大豆:丹波黒、中生光黒、白大豆:サチユタカ)を、土壌(市販バーミキュライト。肥料無添加)0.6Lを入れた4号鉢(φ12cm)に播種した。各品種について、初生葉展開前の生育が良好な個体7本/ポットを選抜した。下記の各処理区について、7株ずつを供試した。
【0041】
〔処理区〕
1.蒸留水区
2.イノシン2ppm溶液
3.イノシン20ppm溶液
4.イノシン100ppm溶液
【0042】
播種から7、10、15日後に、各溶液250mlをポット中の土壌表面に散布した。尚、1回の施用で、土壌に対するイノシン濃度は、2ppm溶液区は0.83ppm、20ppm溶液区は8.3ppm、100ppm溶液区は41.7ppmであり、それぞれ442g/ha、4,425g/ha、22.1kg/haに相当する。各イノシン溶液は、イノシン2%溶液(昭光通商アグリ(株)「育王」。イノシンの溶解を促すため、pH調整剤としてKOHを0.52%含む。)を蒸留水で希釈することにより調製した。
【0043】
播種から20日後、根粒数(図1)、及び地上部乾物重(図2)を測定した。丹波黒、中生光黒、及び、サチユタカの全品種において、イノシン2ppm又は20ppm溶液処理により、根粒数及び地上部乾物重が明らかに増加した。
【0044】
〔実施例2〕イノシンの大豆育生土壌への潅注施用
大豆(サチユタカ)を、土壌(市販黒土。水分35%)1kgを入れたポットに播種した。肥料として、過リン酸石灰と硫酸カリウムをそれぞれP2O5、K2O換算で40mg/ポットとなるよう添加した。
【0045】
処理区は、蒸留水区とイノシン2ppm溶液区とした。初生葉展開前の生育が良好な個体を1株/ポット選抜し、各処理区で5株ずつ供試した。播種から10、14、及び19日後に、蒸留水又はイノシン溶液250mlをポット中の土壌に潅注施用した。イノシン2ppm溶液区では1回の施用で、土壌に対するイノシン濃度は0.5ppmであり、325g/haに相当する。
【0046】
播種から34日後、根粒数(図3)、根粒乾物重(図4)、地上部乾物重、及び地下部乾物重(表1)を測定した。根粒乾物重及び地上部乾物重、地下部乾物重は、各々蒸留水区を100とした相対値で示した。イノシン2ppm溶液施用により、根粒数、根粒乾物重、地上部乾物重、及び地下部乾物重のいずれも増加した。
【0047】
【表1】
【0048】
〔実施例3〕イノシンの大豆への葉面散布施用
大豆(サチユタカ)を、土壌(市販黒土。水分35%)0.7kgを入れたポットに播種した。肥料として、過リン酸石灰と硫酸カリウムをそれぞれP2O5、K2O換算で28mg/ポット添加した。根粒菌として「まめぞう」(十勝農業協同組合連合会:http://www.nokyoren.or.jp/material.html。大豆根粒菌Bradyrhizobium japonicumを含む。)を、根粒菌の濃度が104cfu/cm3土壌となるよう土壌に添加した。
【0049】
処理区は、蒸留水区とイノシン10ppm溶液区とした。初生葉展開前の生育が良好な個体を1株/ポット選抜し、各処理区で5株ずつ供試した。播種から10、14、及び19日後に、蒸留水又はイノシン溶液5mlを葉面散布により施用した。尚、蒸留水及びイノシン溶液には、展着剤(アプローチBI:花王(株)。「アプローチ」は同社の登録商標である。)0.1v/v%を添加した。イノシン10ppm溶液区では、一回の施用でのイノシン散布量は、10g/haとなる。
【0050】
播種から32日後、根粒数(図5)、根粒乾物重(図6)、地上部乾物重、及び地下部乾物重(表2)を測定した。根粒乾物重及び地上部乾物重、地下部乾物重は、各々蒸留水区を100とした相対値で示した。イノシン10ppm溶液施用により、根粒数、根粒乾物重、地上部乾物重、及び地下部乾物重のいずれも増加した。
【0051】
【表2】
【0052】
〔実施例4〕イノシンの大豆生育土壌への潅注施用
大豆(サチユタカ)苗を、土壌(バーミキュライト、水分50%)1.4Lを入れたポット(φ15cm)に移植した。
【0053】
処理区は表3に記載した通り、蒸留水区(1、4区)とイノシン2ppm、20ppm溶液(昭光通商アグリ(株)「育王」を蒸留水で希釈施用)を施用したイノシン施用区(2、3、5、6区)とした。蒸留水区及びイノシン施用区ともに、肥料として過リン酸石灰と硫酸カリウムをそれぞれP2O5、K2O換算で40mg/ポット添加したもの、及び、有機質肥料(「花咲く肥料(1.5-9-4.5)」、東商)を2g/ポット(N:P2O5:K2O=30:180:90mg/pot)で添加したものの区に分けた。根粒菌(「まめぞう」、十勝農業協同組合連合会)濃度を4×104cfu/cm3土となるよう添加した。初生葉展開前の生育が良好な個体を1株/ポット選抜し、各処理区で5株ずつ供試した。
【0054】
播種から10、17、及び25日後に、蒸留水又はイノシン溶液250mlを潅注により施用した。1回の施用で土壌に対するイノシン濃度は、2ppm溶液区は0.36ppm、20ppm溶液区は3.6ppmであり、それぞれ282g/ha、2,825g/haに相当する。低土壌養分条件(1-3区)では微量要素欠乏によるものと思われる葉の黄化が認められたため、表4の組成の溶液を大豆移植後20日、及び27日後に100ml/ポットで潅注施用した。この場合でも、高土壌養分区(4-6区)よりは低養分である。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
播種から33日後、根粒数(図7)、根粒乾物重(図8)、地上部乾物重(図9)、及び地下部乾物重(図10)を測定した。同じ土壌肥料条件下ではイノシン2ppm、20ppm溶液施用により、根粒数、根粒乾物重、地上部乾物重、及び地下部乾物重のいずれも蒸留水区(0ppm区)より増加した。
【0058】
〔実施例5〕核酸類および核酸発酵副生物の大豆への潅注施用
大豆(サチユタカ)を、土壌(バーミキュライト。水分50%)1.4Lを入れたポット(φ15cm)に播種した。肥料として、過リン酸石灰と硫酸カリウムをそれぞれP2O5、K2O換算で40mg/ポット添加した。根粒菌として「まめぞう」を、根粒菌の濃度が10cfu/cm3土壌となるよう土壌に添加した。
【0059】
処理区は表5に記載した通り、蒸留水区(1区)とヒポキサンチン区(2、3区)、グアノシン区(4、5区)、ウラシル区(6、7区)、イノシン発酵副生液区(8、9区)とした。イノシン発酵副生液は、イノシン5.02w/v%、ヒポキサンチン0.84w/v%(イノシン換算1.65w/v%)を含有する。初生葉展開前の生育が良好な個体を1株/ポット選抜し、各処理区で5株ずつ供試した。播種から11、19、及び24日後に、蒸留水又は各溶液250mlを潅注により施用した。1回の施用で土壌に対するヒポキサンチン濃度は、1ppm溶液区は0.18ppm、10ppm溶液区は1.8ppmであり、それぞれ141g/ha、1,412g/haに相当する。グアノシンの場合は2.1ppm溶液区でそれぞれ0.38ppm、297g/ha、21ppm溶液区で3.75ppm、2,966g/haとなる。ウラシルの場合は0.84ppm溶液区でそれぞれ0.15ppm、118g/ha、8.4ppm溶液区で1.5ppm、1,186kg/haとなる。イノシン発酵副生液区の場合は、イノシンモル換算で、30ppm溶液区で0.5ppm、282g/ha、300ppm溶液区で5ppm、2,825g/haとなる。微量要素欠乏防止のため表4の組成の溶液を大豆移植後14日、21、28日後に200ml/ポットで潅注施用した。
【0060】
【表5】
【0061】
播種から40日後、根粒数(図11)、根粒乾物重(図12)、地上部乾物重(図13)、及び地下部乾物重(図14)を測定した。各溶液施用により、根粒数、根粒乾物重、地上部乾物重、及び地下部乾物重のいずれも蒸留水区より増加した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基からなる群から選ばれる化合物を有効成分として含有する、マメ科植物の根粒形成促進剤。
【請求項2】
前記化合物を含有する発酵副生物を含む、請求項1に記載の根粒形成促進剤。
【請求項3】
前記化合物が、イノシン、グアノシン、ウリジン、イノシン酸、グアニル酸、ウリジル酸、ヒポキサンチン、グアニン、及びウラシルからなる群から選ばれる、請求項1又は2に記載の根粒形成促進剤。
【請求項4】
前記化合物がイノシン、グアノシン、ヒポキサンチン、及びウラシルからなる群から選ばれる請求項1又は2に記載の根粒形成促進剤。
【請求項5】
土壌又は植物に、ヌクレオシド換算で0.1g〜20kg/ヘクタールの施用量で施用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の根粒形成促進剤。
【請求項6】
使用時に、前記化合物を、ヌクレオシド換算で0.01〜100ppm含有する液体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の根粒形成促進剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の根粒形成促進剤を、土壌又は植物に施用することを特徴とする、マメ科植物の根粒の形成促進方法。
【請求項8】
前記植物が大豆である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記根粒形成促進剤を、土壌に表面散布又は潅注により施用するか、又は、植物に葉面散布により施用する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記根粒形成促進剤が、ヌクレオシド換算で0.1g〜20kg/ヘクタールの施用量で施用される、請求項第7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記根粒形成促進剤が、ヌクレオシド換算で0.01〜100ppmの水溶液として施用される、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、イノシン、グアノシン、ウリジン、イノシン酸、グアニル酸、ウリジル酸、ヒポキサンチン、グアニン、及びウラシルからなる群から選ばれる、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物がイノシン、グアノシン、ヒポキサンチン、及びウラシルからなる群から選ばれる、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸塩基からなる群から選ばれる化合物を有効成分として含有する、マメ科植物の根粒形成促進剤。
【請求項2】
前記化合物を含有する発酵副生物を含む、請求項1に記載の根粒形成促進剤。
【請求項3】
前記化合物が、イノシン、グアノシン、ウリジン、イノシン酸、グアニル酸、ウリジル酸、ヒポキサンチン、グアニン、及びウラシルからなる群から選ばれる、請求項1又は2に記載の根粒形成促進剤。
【請求項4】
前記化合物がイノシン、グアノシン、ヒポキサンチン、及びウラシルからなる群から選ばれる請求項1又は2に記載の根粒形成促進剤。
【請求項5】
土壌又は植物に、ヌクレオシド換算で0.1g〜20kg/ヘクタールの施用量で施用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の根粒形成促進剤。
【請求項6】
使用時に、前記化合物を、ヌクレオシド換算で0.01〜100ppm含有する液体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の根粒形成促進剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の根粒形成促進剤を、土壌又は植物に施用することを特徴とする、マメ科植物の根粒の形成促進方法。
【請求項8】
前記植物が大豆である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記根粒形成促進剤を、土壌に表面散布又は潅注により施用するか、又は、植物に葉面散布により施用する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記根粒形成促進剤が、ヌクレオシド換算で0.1g〜20kg/ヘクタールの施用量で施用される、請求項第7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記根粒形成促進剤が、ヌクレオシド換算で0.01〜100ppmの水溶液として施用される、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、イノシン、グアノシン、ウリジン、イノシン酸、グアニル酸、ウリジル酸、ヒポキサンチン、グアニン、及びウラシルからなる群から選ばれる、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物がイノシン、グアノシン、ヒポキサンチン、及びウラシルからなる群から選ばれる、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−132211(P2011−132211A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140639(P2010−140639)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】
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