説明

植物の葉の加工方法

【課題】乾燥された植物の葉の変色を防止することができる植物の葉の加工方法を提供する。
【解決手段】植物の葉の加工方法は、乾燥された植物の葉を被覆材で被覆する植物の葉の加工方法であって、被覆する前に、前記植物の葉の葉脈を潰すものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の葉の加工方法に係り、特に、乾燥された植物の葉の変色を防止することができる植物の葉の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物の葉は、生のままでは、発酵して変色するため、乾燥させて保存されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、植物の葉を乾燥させても、乾燥された植物の葉をそのまま放置すると、空気中の水分が乾燥された葉に吸収され、葉が容易に変色するという問題点が生じた。
【0004】
本発明は、前記問題点を考慮してなされたもので、植物の葉の変色を防止することができる植物の葉の加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の植物の葉の加工方法は、乾燥された植物の葉を被覆材で被覆する植物の葉の加工方法であって、被覆する前に、前記植物の葉の葉脈を潰すものである。
【0006】
また、請求項2記載の植物の葉の加工方法は、乾燥された植物の葉を酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆する前に前記植物の葉の葉脈を潰すものである。
【0007】
また、請求項3記載の植物の葉の加工方法は、乾燥された植物の葉を酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆する植物の葉の加工方法であって、前記酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、前記澱粉糊、前記アクリル樹脂系塗料、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、前記ポリビニルアルコール、前記シリコン樹脂系塗料、前記コ―キング用シリコン、前記ポリ塩化ビニル及び前記プラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆する前に前記乾燥された植物の葉に着色を施すか、又は、前記酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、前記澱粉糊、前記アクリル樹脂系塗料、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、前記ポリビニルアルコール、前記シリコン樹脂系塗料、前記コ―キング用シリコン、前記ポリ塩化ビニル及び前記プラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆した後に、被覆した部位に着色を施すものである。
【0008】
また、請求項4記載の植物の葉の加工方法は、乾燥された植物の葉を酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆する植物の葉の加工方法であって、前記酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、前記澱粉糊、前記アクリル樹脂系塗料、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、前記ポリビニルアルコール、前記シリコン樹脂系塗料、前記コ―キング用シリコン、前記ポリ塩化ビニル及び前記プラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種に着色剤を混入するものである。
【0009】
また、請求項5記載の植物の葉の加工方法は、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の植物の葉の加工方法によれば、乾燥された植物の葉を被覆材で被覆するため、乾燥された植物の葉の変色を防止することができ、しかも、被覆材で被覆された植物の葉を折り曲げても、被覆された植物の葉が折り曲げによって損傷することを防止することができる。
【0011】
また、請求項2記載の植物の葉の加工方法によれば、乾燥された植物の葉を酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆された植物の葉を折り曲げても、被覆された植物の葉が折り曲げによって損傷することを防止することができる。
【0012】
また、請求項3記載の植物の葉の加工方法によれば、乾燥された植物の葉を酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆するため、乾燥された植物の葉の変色を防止することができ、しかも、乾燥された植物の葉又は被覆された植物の葉に着色を施すため、植物の葉を乾燥前の自然の葉に近づけることができる。
【0013】
また、請求項4記載の植物の葉の加工方法によれば、乾燥された植物の葉を酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆するため、乾燥された植物の葉の変色を防止することができ、しかも、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種に着色剤を混入するため、乾燥により変色した植物の葉を乾燥前の自然の葉に近づけることができる。
【0014】
また、請求項5記載の植物の葉の加工方法によれば、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆するため、乾燥された植物の葉の変色を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施例の植物の葉の加工方法について、以下説明する。
植物の葉、例えば、「笹の葉(縦約331mm、横約75mm)」を用意し、笹の葉を乾燥させる(乾燥工程)。乾燥は、例えば、シリカゲル等の乾燥剤を使用しても良いが、大量に乾燥させるために、常圧温風乾燥装置を使用する。常圧温風乾燥装置内に笹の葉を入れて、約60℃〜約80℃、約3〜5時間程度かけて、笹の葉を乾燥させる。
【0016】
また、笹の葉の3次元の変形を極力防止するために、笹の葉を平均加圧約0.25g/cm2〜約0.50g/cm2程度かけた状態で圧縮する(圧縮工程)。
この圧縮工程は、上述の乾燥工程の前又は後でも良いが、望ましくは、乾燥と同時に、笹の葉の圧縮を行うのが良い。加圧の程度は、葉の種類、形状、大きさ等により適宜調整されるものである。
【0017】
加圧状態で乾燥された笹の葉を常圧温風乾燥装置から取り出し、常温に冷却した後、笹の葉の葉脈を潰す(葉脈潰し工程)。
この葉脈潰し工程は、木槌、丸棒等を使って、笹の葉の葉脈を潰す。
この葉脈潰し工程は、後述する被覆工程(コーティング工程)で、被覆材で被覆された植物の葉を折り曲げによって損傷して、商品価値を低下させると共に、被覆状態の一部が破壊され、植物の葉を変色する要因を防ぐために行うもので、葉脈潰し工程は、後述する被覆工程(コーティング工程)の前であれば良く、また、乾燥工程の前でも良い。
【0018】
葉脈潰し工程の後、葉脈を潰され、乾燥された笹の葉を被覆材で被覆する[被覆工程(コーティング工程)]。
被覆は、被覆材溶液の中に笹の葉を付けても良く、また、被覆材溶液を笹の葉にスプレーで吹き付けても良く、また、被覆材溶液を刷毛で塗布するようにしても良い。なお、被覆材の厚みは、約0.3mm〜約2mm程度である。
被覆材は、乾燥後に透明(又は半透明)となるもので、例えば、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤(市販の木工ボンド、例えば、コニシ株式会社製 商品名「ボンド木工用」)で、重量比で酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤:水=8:2とした。
【0019】
また、被覆材は、上記の酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤の他、
澱粉糊(例えば、ヤマト株式会社製 商品名「ヤマト糊」、重量比でヤマト糊:水=8:2)でも良く、
また、アクリル樹脂系塗料(例えば、藤倉応用化工株式会社製 商品名「ビニクラ―CH」 重量比でビニクラ―CH:大伸化学株式会社製SP-600ラッカーシンナー溶剤=8:2、ロックペイント株式会社製 商品名「150-1150 マルチトップクリヤーQR」重量比で150-1150 マルチトップクリヤーQR:150-1120 マルチトップQ硬化剤溶剤=10:1、アルファ化成株式会社製 商品名「VS-841」 重量比で「VS-841」:大伸化学株式会社製SP-600ラッカーシンナー溶剤=6:4)でも良く、
また、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(常盤化学工業株式会社製 商品名「トキワノール1110PH」 重量比で「トキワノール1110PH」:溶剤精製水=9:1)でも良く、 また、ポリビニルアルコール(PVA)(常盤化学工業株式会社製 商品名「トキワノールPA508」 重量比で「トキワノール110PH」:溶剤精製水=9:1)でも良く、
また、シリコン樹脂系塗料(例えば、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製 商品名「ELASTOSIL M8520」 重量比で「ELASTOSIL M8520」旭化成ワッカーシリコーン株式会社製 商品名「WACKERCATALYST T」(硬化剤)=25:1))でも良く、
また、コ―キング用シリコン(例えば、株式会社佐藤ケミカル製 商品名「シリコンコ―キング」)原材料をそのまま使用しても良く、
また、ポリ塩化ビニル(PVC)(例えば、株式会社コバヤシ製 商品名「コバゾール ES-1075A-EM2」)原材料をそのまま使用しても良く、また、 株式会社コバヤシ製 商品名「コバゾール ES-26A-FM2」原材料)をそのまま使用しても良く、
また、プラスチック樹脂(例えば、SBS<スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体> BASFジャパン製 商品名スタイロフレックス原材料をそのまま使用しても良く、また、SEBS<スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体> 旭化成ケミカルズ株式会社製 商品名タフテックH1272原材料をそのまま使用しても良く、また、PP<PolyPropylene ポリプロピレン>出光興産株式会社製 商品名イデミツPP原材料をそのまま使用しても良く、また、PE <PolyEthylene ポリエチレン>ダウケミカル日本株式会社製 商品名NUCポリエチレン原材料をそのまま使用しても良く、また、ABS<Acrylonitrile-Butadiene-Styrene resin アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体> 新日鐵化学株式会社製 商品名エスチレンABS原材料をそのまま使用しても良く、また、EVA<Ethylene-Vinylacetate copolymer エチレン酢酸ビニル共重合体>住友化学株式会社製商品名エバテート原材料)をそのまま使用しても良い。
【0020】
なお、着色材は、被覆材で被覆する前、又は、被覆した後、又は、被覆と同時に適宜行うことができる。かかる場合の着色材としては、例えば、日弘ビックス株式会社製 商品名 NBT-0695ホワイト、NBT-0702イエロー、NBT-0701イエロー、NBT-0700イエロー、NBT-0696レッド、NBT-0697レッド、NBT-0698レッド、NBT-0704ブラウン、NBT-0705ブルー、NBT-0706ブルー、NBT-0703グリーン、NBT-0707ブラック等を使用する。
【0021】
なお、上述した実施例においては、植物の葉の例として、笹の葉を挙げたが、本願発明にあっては、これに限らず、桜の葉(横約50mm×縦約135mm)、紅葉(縦約86mm×横約75mm)、栗の葉(縦約123mm×横約34mm)、ミリオンハートの葉(横約70mm×縦約121mm)、柏の葉(横約120mm×横約160mm)、塩漬けの葉等種々の植物の葉に適用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥された植物の葉を被覆材で被覆する植物の葉の加工方法であって、
被覆する前に、前記植物の葉の葉脈を潰す
ことを特徴とする植物の葉の加工方法。
【請求項2】
乾燥された植物の葉を酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆する前に前記植物の葉の葉脈を潰す
ことを特徴とする植物の葉の加工方法。
【請求項3】
乾燥された植物の葉を酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆する植物の葉の加工方法であって、
前記酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、前記澱粉糊、前記アクリル樹脂系塗料、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、前記ポリビニルアルコール、前記シリコン樹脂系塗料、前記コ―キング用シリコン、前記ポリ塩化ビニル及び前記プラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆する前に前記乾燥された植物の葉に着色を施すか、又は、前記酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、前記澱粉糊、前記アクリル樹脂系塗料、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、前記ポリビニルアルコール、前記シリコン樹脂系塗料、前記コ―キング用シリコン、前記ポリ塩化ビニル及び前記プラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆した後に、被覆した部位に着色を施す
ことを特徴とする植物の葉の加工方法。
【請求項4】
乾燥された植物の葉を酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆する植物の葉の加工方法であって、
前記酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、前記澱粉糊、前記アクリル樹脂系塗料、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、前記ポリビニルアルコール、前記シリコン樹脂系塗料、前記コ―キング用シリコン、前記ポリ塩化ビニル及び前記プラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種に着色剤を混入する
ことを特徴とする植物の葉の加工方法。
【請求項5】
乾燥された植物の葉を酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、澱粉糊、アクリル樹脂系塗料、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂系塗料、コ―キング用シリコン、ポリ塩化ビニル及びプラスチック樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で被覆する
ことを特徴とする植物の葉の加工方法。

【公開番号】特開2013−35774(P2013−35774A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172585(P2011−172585)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(503441850)
【Fターム(参考)】