説明

植物栽培用照明装置及び植物栽培装置

【課題】簡易な構成で大面積の集光部から自然光を大量に集光及び導光して、エネルギーロスを軽減し、強力な栽培光を導入、照射する植物栽培用照明装置を提供すること。
【解決手段】栽培棚171に多数配列された植物Pの上方に位置して外部から導入した栽培光を照射して植物Pを育成する植物栽培用照明装置100であって、植物Pの配置に応じて形成した光照射部140を備える導光部130と、導光部130の一側に位置して外部の光を集光して導光部130に導く集光部120とを備え、導光部130と集光部110とが継ぎ目なく一体に形成されている植物栽培用照明装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の閉鎖空間において植物を栽培、育成する屋内型植物栽培装置に関する技術であり、特に太陽光のような自然光を受光し、栽培棚に多数配列された植物の近傍に導き、植物の生育に必要な光を栽培棚上の照射する植物栽培用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、植物を屋内の閉鎖空間に位置させて、植物の生育に必要な栽培光を人工照明装置によって照射したり気温、湿度、給液などの条件を完全に制御した環境の中で、植物を栽培する植物栽培装置はよく知られており、また、光源として人工照明ではなく太陽光のような自然光を導入して照明のためのエネルギー消費を軽減した植物栽培用照明装置も公知である。
【0003】
公知の植物栽培用照明装置は、例えば、フィルム状の導光体を使用し、太陽光又は光源の出力光を、導光フィルムに設けた光導入部から取り込み、同じく導光フィルムに設けた光出射部から栽培層の植物に照射するようにしている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、建屋の屋根上に、パラボラ状の反射鏡を設け、反射鏡で集光した光を光ファイバのような導光手段を通じて建屋内で栽培される多数の栽培棚に載置された植物のところまで何度も分岐しながら導き、分岐した光ファイバに接続した光照射部から下方に位置する植物に伝達した光を照射するようにしたことも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−304747号公報(段落[0042]乃至[0054]、図7)
【特許文献2】特開昭62−109003号公報(全頁、全図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、公知の太陽光を利用する植物栽培用照明装置では、太陽光をいかに効率よく集めるか、また導光体における光伝導時、導光体の処々の継ぎ目において発生する導光ロスに関しては特段の考慮を払われていないため、必ずしも効率的に太陽光を集光、出射できるものではなかった。
すなわち、最近の植物栽培装置では植物に照射する光を強力にして栽培効率を高めることが求められてきているが、公知の植物栽培用照明装置では、集光手段としては、パラボラ形の反射鏡に集光面を使用して光を集めるというように、集光して光量を高めようという試みはなされているものの、光を中継する手段として光ファイバが使用されているためその径が限られて伝達する光の強さもおのずから限りがあるため、強力な栽培光を集光、伝達できるものではなく、近年の要請に十分応えるものではないという問題があった。
【0006】
また、植物栽培用照明装置が大規模になってくると、集光部から導光部を介して光照射部に至るまでの経路が長くなり、集光部と導光部との間、導光部における中継点、または導光部と光照射部との間に、分岐点など多数の接続箇所が形成されるが、このような接続箇所では、どうしても何らかの光伝達ロスが生じ、最終的に末端の植物に照射される光は、十分な強さを得られなくなってしまうことも、前述したような、強力な栽培光を植物に照射したいという要請からみて依然として問題であった。
【0007】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、簡易な構成で大面積の集光部から自然光を大量に集光及び導光して、エネルギーロスを軽減し、強力な栽培光を植物に照射する植物栽培用照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本請求項1に係る発明は、栽培棚に多数配列された植物の近傍に位置して外部から導入した栽培光を照射して前記植物を育成する植物栽培用照明装置であって、前記植物の配置に対応して形成した光照射部を備える導光部と、該導光部の一側に位置して外部の光を集光して導光部に導く集光部とを備え、前記導光部と集光部とが継ぎ目なく一体に形成されていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0009】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載された植物栽培用照明装置の構成に加えて、前記集光部が、側面視で中央部を凹とした幅広弓形の集光面と該集光面の反対側に位置して集光した栽培光を前記導光部に導く接続部とを備えるとともに、前記導光部と平面視で同幅に形成され、前記接続部と導光部とが同幅同厚のブロック状に形成されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0010】
本請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載された植物栽培用照明装置の構成に加えて、前記光照射部が、前記導光部に栽培光の導光方向と直行する方向に設けた反射面及び/又は開口部を構成する溝を導光方向に複数設けたものであることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0011】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された植物栽培用照明装置の構成に加えて、前記光照射部が、前記導光部中を伝達する栽培光の強さと逆相関関係を有する大きさの反射面及び/又は開口部を備えて、前記栽培棚のいずれの位置に配置された植物にも均等に栽培光が照射されることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0012】
本請求項5に係る発明は、請求項3又は請求項4に記載された植物栽培用照明装置の構成に加えて、前記光照射部に設けた溝が前記導光部の導光方向下流ほど順次深幅となっていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0013】
本請求項6に係る発明は、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載された植物栽培用照明装置の構成に加えて、前記光照射部が、前記導光の導光方向下流ほど順次幅広となる反射面及び/又は開口部を備えていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0014】
本請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された植物栽培用照明装置の構成に加えて、前記集光部が集光部の角度を可変とする集光角度変更手段を備えていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0015】
本請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載された植物栽培用照明装置の構成に加えて、前記集光部の前段に配置した反射角度の切換え可能な鏡面板と、前記鏡面板に隣接して配置した人工光源と、該鏡面板が前記集光部に自然光を導入する自然光受光位置と前記集光部に人工光源からの人工光を導入する人工光受光位置とに切り換える切換手段とを備えていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0016】
本請求項9に係る植物栽培装置の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載された植物栽培用照明装置が垂直方向に多段及び/または水平方向に多列に配置され、当該植物栽培用照明装置の下方にそれぞれ前記栽培棚が設置されていることにより、植物栽培用照明装置と同様の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0017】
本請求項1に係る発明の植物栽培用照明装置は、栽培棚に多数配列された植物の近傍に位置して外部から導入した栽培光を照射して植物を育成することにより、植物栽培装置の外部から栽培光を導入して屋内の栽培棚に配列した植物に照射して植物を栽培するため、太陽光など外部の自然光を有効活用してエネルギー効率に優れたものとできるとともに、以下のような特有の効果を奏するものである。
【0018】
すなわち、植物の配置に対応して形成した光照射部を備える導光部と導光部の一側に位置して外部の光を集光して導光部に導く集光部とを備えて、導光部と集光部とが継ぎ目なく一体に形成されていることにより、集光部で集光された栽培光が導光部を経由して光照射部から放射されるまでの間に光損失の原因となるような光学的継ぎ目を通過することがないため、継ぎ目における光のロスを全く生ぜず、伝達ロスが少なく高効率で、集光した栽培光を植物に照射することができる。
【0019】
また、一体に形成されて継ぎ目がないため、コネクタなどにより光学部品を組み付ける作業がなく、植物栽培用照明装置を栽培棚部に組み込む作業を大幅に省力化することができるとともに、その製造においても、射出成形、押出成形などの成形方法を採用して、能率的にかつ安価に製造することができる。
【0020】
本請求項2に係る発明の植物栽培用照明装置は、請求項1に係る植物栽培用照明装置が奏する効果に加えて、集光部が、側面視で中央部を凹とした幅広弓形の集光面と、集光面の反対側に位置して集光した栽培光を導光部に導く接続部とを備えるとともに、導光部と平面視で同幅に形成され、接続部と導光部とが同幅同厚のブロック状に形成されていることにより、側面視で導光部の幅と比べ相当幅広で平面視で導光部の幅と同幅程度の大きさを有する広大な集光面より自然光を大量に集光して導入するため、従前の植物栽培装置に使用されていた円形パラボラ状の集光部を備えた照明装置と比べて遥かに大量の自然光を集光することができて、高強度の栽培光を植物に照射することができる。
【0021】
また、接続部と導光部とが同幅同厚のブロック状に形成されているため、集光された栽培光を伝達する接続部などの断面積が大きくなるので、従前の導光フィルム若しくは光ファイバを使用した照明装置と比べて光伝達箇所の断面積を格段に大きくして大量の栽培光を伝達するため、光の中継箇所における伝達面積の不足というような制約がなくなり、集光された大量の栽培光をロス少なく光照射部まで伝達することができる。
さらに、植物栽培用照明装置の全体形状が非常に単純化された形状となるため、製造工程において、押出成形、射出成形などの方法で成型することが可能となり、植物栽培用照明装置の製造を一層簡易化かつ低コストとすることができる。
【0022】
本請求項3に係る発明の植物栽培用照明装置は、請求項1または請求項2に係る植物栽培用照明装置が奏する効果に加えて、光照射部が導光部に栽培光の導光方向と直行する方向に設けた反射面及び/又は開口部を構成する溝を導光方向に複数設けたものであることにより、光照射部を、導光部に設けた溝という単純な構造により形成するため、極めて簡易な構造となった光照射部を、溝切り、押出成形などの通常の成形方法を採用して、製造作業を著しく簡便化することができる。
【0023】
本請求項4に係る発明の植物栽培用照明装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る植物栽培用照明装置が奏する効果に加えて、光照射部が導光部中を伝達する栽培光の強さと逆相関関係を有する大きさの反射面及び/又は開口部を備えて、栽培棚のいずれの位置に配置された植物にも均等に栽培光が照射されることにより、局所的な光不足に起因して発生するような植物の発育不良を大きく減殺し、商品価値の低い植物株の発生を著しく減らして植物栽培装置における栽培効率を大きく改善することができる。
また、そのような高性能の植物栽培用照明装置を、光照射部である開口部の大きさを調整するという簡易な手法で構成するため、植物栽培用照明装置の製造コストを著しく低く抑えることができる。
【0024】
本請求項5に係る発明の植物栽培用照明装置は、請求項3又は請求項4に係る植物栽培用照明装置が奏する効果に加えて、光照射部に設けた溝が導光部の導光方向の下流ほど順次深幅となっていることにより、反射面及び/又は開口部を構成する溝の深さを調整するのみで、当該溝部分から植物に照射される栽培光の強さを適宜に調整して、栽培棚のいずれの箇所に位置する植物に対してもほぼ均等に栽培光を照射するため、導光部の全域にわたる光量の調整が簡易に行なえ、栽培棚全域にわたって均等に栽培光を照射するという高性能の植物栽培用照明装置を、溝の深さを調整するだけというように、低コストでかつ簡便に製造することができる。
【0025】
本請求項6に係る発明の植物栽培用照明装置は、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に係る植物栽培用照明装置が奏する効果に加えて、光照射部が導光部の導光方向下流ほど順次幅広となる反射面及び/又は開口部を備えていることにより、光照射部を構成する反射面及び/又は開口部の大きさを調整するのみで、当該光照射部から植物に照射される栽培光の強さを適宜に調整して、栽培棚のいずれの箇所に位置する植物に対してもほぼ均等に栽培光を照射するため、導光部の全域にわたる光量の調整が簡易に行なえ、栽培棚全域にわたって均等に栽培光を照射するという高性能の植物栽培用照明装置を、光照射部の反射面及び/又は開口部を所望の大きさで配列するだけというように、低コストでかつ簡便に製造することができる。
【0026】
本請求項7に係る発明の植物栽培用照明装置は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に係る植物栽培用照明装置が奏する効果に加えて、集光部が集光部の角度を可変とする集光角度変更手段を備えていることにより、日照状況に応じた、好適な角度に集光部を調整するため、例えば季節により異なる太陽の高さに応じて集光角度を変更するというように、集光部の集光面をその時期に好適な角度として集光効率の高い集光角度でいつも稼働させ、年中高効率の下で植物栽培用照明装置を稼働させることができる。
【0027】
本請求項8に係る発明の植物栽培用照明装置は、請求項1乃至請求項7のいずれかに係る植物栽培用照明装置が奏する効果に加えて、集光部の前段に設けた反射角度の切り換え可能な鏡面板と、当該鏡面板に隣接して配置した人工光源とを備え、この鏡面板が集光部に自然光を導入する自然光受光位置と集光部に人工光源からの人工光を導入する人工光受光位置とに切り換える切換手段を備えていることにより、天候、日照状況などに応じて、自然光の照射と、人工光の照射とを適宜に切り換えて植物に栽培光を照射するため、自然光が十分得られない場合など、人工光源から人工光を植物の栽培光として利用可能として、周囲の日照状況に影響されずに栽培棚に載置された植物に栽培光を照射して、天候不良に影響されて発育不良とすることなく栽培効率よく植物を育成することができる。
【0028】
本請求項9に係る発明の植物栽培装置は、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の植物栽培用照明装置が垂直方向に多段及び/または水平方向に多列に配置され、当該植物栽培用照明装置の下方にそれぞれ栽培棚が設置されていることにより、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に係る植物栽培用照明装置が奏すると同様の効果に加えて、従来の屋根部分にのみ円形パラボラ状の集光部を設けた場合に比べて、大面積の集光部を有する植物栽培用照明装置を栽培棚の棚数にあわせて多数設置して、総計として極めて大面積の集光部を備えて大量の光線を集光して栽培棚の植物に照射するため、栽培棚上の植物に対し、非常に強力な栽培光を照射することができて、植物の栽培効率を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施例である植物栽培用照明装置を適用した植物栽培装置の概略斜視図。
【図2】図1の植物栽培用照明装置の概略説明図。
【図3】本発明の第2実施例である植物栽培用照明装置の概略説明図。
【図4】本発明の第3実施例である植物栽培用照明装置の概略斜視図。
【図5】本発明の植物栽培用照明装置における光照射部の概略説明図。
【図6】本発明の植物栽培用照明装置における光照射部の第1変形例の概略説明図。
【図7】本発明の植物栽培用照明装置における光照射部の第2変形例の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の植物栽培用照明装置は、栽培棚に多数配列された植物の近傍に位置して外部から導入した栽培光を照射して植物を育成する植物栽培用照明装置であって、植物の配置に対応して形成した光照射部を備える導光部と、導光部の一側に位置して外部の光を集光して導光部に導く集光部とを備え、導光部と集光部とが継ぎ目なく一体に形成されて、簡易な構成で大面積の集光部から自然光を大量に集光及び導光して、エネルギーロスを軽減し、強力な栽培光を植物に照射するものであれば、その具体的な実施態様ないかなるものであっても何ら構わない。
【0031】
すなわち、本発明の植物栽培用照明装置は、野菜、穀物、豆類、果実、観賞用植物等のいかなる植物の栽培に適用してもよい。
また、本発明の植物栽培用照明装置が使用される植物の培地はいかなる形態であってもよい。例えば、露地であってもよく、内部に養液を貯留して養液の上方の栽培ベットに保持された植物株の根から養液を吸収させて植物株を栽培する水耕栽培であっても、多数の植物株を栽培棚に多数配置した植木鉢などの育種ポットで個々に栽培するものであってもよい。
【0032】
また、本発明の植物栽培用照明装置を構成する導光体の素材としては、アクリル、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、PETなどの合成樹脂、石英ガラスのようなガラス、あるいは、前記した樹脂またはシリコーン系樹脂若しくはフッ素樹脂で形成した中空体に、ポリエチレンオキサイド、グリセリンなどのポリオール類、フッ素油、シリコンオイル、無機酸、ポリマー等を適宜な溶媒で希釈した希釈液を充填して構成したものでもよい。他にも、高輝度光散乱ポリマーのような散乱光を高効率で導光する素材を採用してもよい。
そして、集光部表面及び光照射部開口部以外の表面に反射層を被覆して、導光体の側面、端面などからの光の漏出を防止すると、さらに効率的に栽培光を伝達できて好ましい。
【0033】
さらに、本発明の植物栽培用照明装置を一体的に形成する方法としては、押出成形、射出成形などの樹脂成形法で一度に成形してもよいが、各ブロックを部分的に形成した後に接着剤、樹脂などで接合して継ぎ目をなくして一体化したものでもよい。
別の手法としては、合成樹脂などの導光体の接続部に上述したような液体状導光体で同様の屈折率を有する材料を配置して光学的には継ぎ目がないように構成してもよく、当該液体状導光体を循環するようにすれば、冷却効果を保有させることもできる。
集光部の前段に設ける鏡面板は、長幅の平面鏡でもよいが、長幅で、集光部よりもさらに大面積の弓状の凹面を備えるものとすれば、さらに大量の光を集光することが可能となる。
【0034】
また、植物栽培用照明装置の配置については、栽培棚上に位置する植物の上方から栽培光を照射することが一般的であるが、特に上方に限らず、植物の側方または下方から、あるいは上方、側方、下方からの照射を適宜組み合わせて配置してもよく、上方以外の方向からの光照射を組み合わせると、植物自体の影ができることも少なくなり、いずれに位置する葉、茎にも光が行き渡るので、発育不良をおこす植物を減らすことができる。
【実施例1】
【0035】
以下に、本発明の実施例である植物栽培用照明装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施例である植物栽培装置が適用された植物栽培装置の概略斜視図で、図2は、図1の植物栽培用照明装置の概略説明図である。
本発明の第1実施例である植物栽培用照明装置100は、図1に示されるように、多数株の植物Pを垂直方向に多段に設置した平板状の栽培棚171上に水平方向にほぼ等間隔で配列し、栽培棚の上方に配置した植物栽培用照明装置100から栽培光を照射して植物Pを育成する屋内形の植物栽培装置170に使用されるものであり、多段に設置された栽培棚171のそれぞれの上部に配置された植物栽培用照明装置100は、植物栽培装置170の側面に突出した集光部110を有している。
【0036】
本第1実施例の植物栽培用照明装置100は、平面視で概ね長方形状で、集光部110を別にすると、各栽培棚の大きさにほぼ等しく厚みのある直方体形状を呈するものである。
図2において左方側の端部に集光部110が形成されていて、集光部110は、背面側に緩傾斜反射面113及び急傾斜反射面114が交互に形成されたベース導光体111と、両端側が薄いフィルム状で中央部がベース導光体111側に突出した形状を呈する前面導光体との2層構造となっている。
【0037】
前面導光体112の屈折率をベース導光体111の屈折率より小さく選定されていて、前面導光体112とベース導光体111との間に内部反射面が形成されるので、集光部110に入射した光は、背面側の緩傾斜反射面113若しくは急傾斜反射面114と、前面導光体112とベース導光体111との境界に生じた反射面との間で反射されてベース導光体中を伝達され、中央側の導光側反射面115に達して、導光側反射面115で導光体の接続部120方向に伝達される。
したがって、単純な反射鏡面による反射とは異なり、集光部110に入射した光は、再度外部に放射されることなく導光側反射面115を介して導光部130に導かれて、全て植物Pの栽培光として活用される。
なお、導光側反射面115など、ベース導光体111と前面導光体112との間に形成される反射面は屈折率の相違を利用するものであるから、集光面116から入射する光線の妨げとなることはなく、集光面116から入射した光をほぼ全て集光部110に導入することができる。
【0038】
また、反射鏡だけの場合と異なり、導光側反射面115と特定の角度関係にある限られた範囲の入射角にある光線だけでなく、より広範な角度で入射する光線を取り込み、導光部との接続部120側に伝達するので、単純な反射鏡と比べより多方向からの光線を、多量に集光することができる。
また、本第1実施例のように、緩傾斜反射面113と急傾斜反射面114との組み合わせで背面側の反射面を構成したことにより、パラボラのように奥行き寸法を深くする必要がなくなり、集光部110の奥行き寸法が小さくても大量の光線を集光することができる。
【0039】
なお、前面導光体112の集光面116にコーティングを施して、集光面116での反射を低減して集光効率を向上したり、特定の波長の光線を優先的に導入するようにしてもよい。
また、コスト低減を優先する場合には、集光部110を前面導光体112とベース導光体との2層構造とせずに、ベース導光体111のみとし、表面にコーティングを施して内部反射性を保持するようにしてもよいし、奥行き寸法を短くする必要がなければ,背面を断面パラボラ状の形態で奥行き深く大型の集光部110を形成してもよい。
【0040】
集光部110で集光された光線は、栽培光として、接続部120を経由して植物栽培装置170内の栽培棚171上に設置した導光部130に伝達される。
図2に示されるように、本第1実施例の接続部120及び導光部130は側面視で相当の厚さを有するブロック状に形成されていて、集光部110で集光された栽培光を広い断面積を有する導光体を通じで伝達するので、伝達される光が狭い箇所に集中することがなく、特定の箇所において過熱することもない。
したがって、導光体中を無理なく栽培光を伝達することができて、伝達ロス少なく、効率的に光を導光させることができる。
なお、導光体の素材としては、効率よく栽培光を伝達するということに鑑み、導光体内部における光減衰度が低く透過率の高い材料で構成することが望ましいが、必ずしも透明度の高いものというだけではなく、多重散乱効果を活用して散乱光を効率よく伝達するものでもよい。
【0041】
また、接続部120には、集光部110の仰角を可変とする集光角度可変機構140を設けていて、集光部110の仰角を調整できるようにしている。
これは、光の直進性を考慮すると、本第1実施例のような照明装置は、なるべく直線的な形状として、伝達光が導光体の反射内側面でほとんど反射されないか、あるいはなるべく鋭角で入射、反射するような形態とすることが望ましいものではあるが、時刻、季節によって位置が変わる太陽などの光源を利用する場合には、集光部110を移動する光源に適合した仰角としたほうが入射する光量を増大できるので、集光角度変更機構140を設けて、外界の状況に適合して良好に集光できるようにしている。
【0042】
このように、一体の植物栽培用照明装置100を変形可能とするので、植物栽培用照明装置100の材料は、少なくとも変形箇所については、ある程度の柔軟性を備えた合成樹脂材料とするのが望ましい。
なお、光の透過効率を最優先に考慮して、ガラスなど硬質の材料を使用する場合には、仰角を固定したままとしてもよいし、あるいは、接続部120の一部に液状の導光体を介在させて、液状の導光体の両側に配置される硬質の導光体相互の角度を変更可能としてもよい。このように、液状の導光体を使用する場合には、液状導光体を循環させる循環系を設けて、光線が集中して発熱しやすい接続部120を冷却するようにすることもできる。
また、液状の導光体を使用しない場合にも、接続部120のように光が集中して発熱しやすい箇所があれば、その部分に冷却機構を配置して、植物栽培用照明装置100の過熱を防止するようにしてもよいし、この場合、冷却剤として植物Pに別途供給される液肥の溶液などを活用して、液肥溶液の給液経路を発熱箇所の周囲に配置して液肥溶液により冷却するようにしてもよい。
【0043】
接続部120に接続されて栽培棚171の上方に設置された導光部130には、栽培棚171に位置する多数の植物P列の上方に位置して光照射部140(140−1、140−2、・・・140−n)が設けられている。
光照射部140は、本第1実施例では導光体130の下面側に帯状に設けられた溝141(141−1、141−2、・・・141−n)として形成されており、溝の一方の傾斜面を反射面として、伝達されてきた栽培光が、溝の開口部142(142−1、142−2、・・・142−n)を通じて下方の植物Pに向けて照射される。
図2に示されるように、溝141は下流側の溝ほど深く形成されており、集光部110側で強い栽培光が存在する位置では溝141を小さくして不必要に強い栽培光を照射しないようにし、導光体中の光が弱くなっている下流側では、溝141−n−1、141−nのように、反射面及び開口部142を大きくして、弱くなった栽培光を植物Pに向けて十分照射できるようにしている。
【0044】
このように溝141の大きさに変化をつけて、いずれの箇所に位置する植物Pにも、ほぼ等しい強さの栽培光が照射されるようにしている。
このように、単純な構造の溝141を設けるだけで、光量の調整可能な光照射部140を形成できるので、植物栽培用照明装置100を低コストで製造することができる。
なお、溝の反射面は必ずしも平面である必要はなく、粗面化して凹凸を設け、導光体中を伝達する光が放射しやすい形状としてもよいし、開口部142の背面側の導光体側面に凹凸を設けて部分的に乱反射するようにして、開口部142からの光放出を促進するようにしてもよいし、また、反射面にハーフミラーのようなコーティングを施して反射面の反射率を調整してもよい。
【0045】
本発明で重要なことは、これら集光部110、接続部120及び導光部130の間に継ぎ目を設けないことである。
接続部120を含め、集光部110から光照射部140までの導光体の間に継ぎ目があると、継ぎ目の部分で光線が漏出したり、また漏出した光が境界面で反射を繰り返して発熱したりという損失が生じてしまい、効率よく光を伝達することができない。
【0046】
そこで、本発明では、集光部110、接続部120及び導光部130をすべて一体として、これらの間に光の損失につながるような継ぎ目を設けないようにしている。
一体に形成された植物栽培用照明装置100は、側方に向かう光線も、接続部120及び導光部130を構成する導光体の側壁で反射されて導光体内を伝達され、栽培光を外へ漏出することもなく、また、継ぎ目において損失を生ずることもなく、高効率で栽培光を伝達することができる。
また、本第1実施例の植物栽培用照明装置100を、集光面116と光照射部140を除いて全面的に反射層を被覆すれば、栽培光が外部へ漏出する可能性をさらに一層低減することができる。
【0047】
なお、継ぎ目を設けない植物栽培用照明装置100を製造する方法としては、(1)図2に示される形状の導光体を押出成形により押出成形する、(2)そのような形状の型を使用して射出成形などの方法で型成形する、あるいは(3)集光部110、接続部120、導光部130をそれぞれ別個に製造した後、それらの間に樹脂などの導光性材料あるいは導光性の接着剤を充填して継ぎ目なく接合する、などの方法を採用することができる。
光照射部140を光の伝達方向と直交する溝141という形態で形成したので、植物栽培用照明装置100を押出成形などにより一体的に成形する際に、当該溝141を同時に一体成形することもできるし、また、押出成形した成形体に、後でナイフなどを使用して溝141を刻設してもよく、いずれの方法でも、光照射部140を簡便に形成することができる。
【実施例2】
【0048】
次に、本発明の第2実施例である植物栽培用照明装置200について、図3を参照して以下に説明する。
図3は、本発明の第2実施例である植物栽培用照明装置200の概略説明図である。
本第2実施例の植物栽培用照明装置200は、基本的に前述した第1実施例の植物栽培用照明装置100と同様の構造を有するものであるが、集光面と光照射部以外の外周面に反射被膜231を設けたことと、光照射部240の構造を異にしている。
【0049】
本第2実施例の植物栽培用照明装置200では、導光部230の、光照射部240の反対側に位置する側面に、栽培光を反射する反射面を構成する溝241(241−1、241−2、・・・241−n)を、栽培光の導光方向に複数条設けていて、導光体の内面反射を利用して栽培光を照射するものである。
このように導光体の内面反射を利用すると、反射面にミラー化処理などの加工を施さずとも、導光部230を伝達してきた光が高効率で反射して植物Pに照射されるので、反射面におけるロスを少なくして効率的良く集光した光を利用できる。
また、溝241と対向する箇所には、反射被膜231に開口部242(242−1、242−2、・・・242−n)が設けられ、溝241の反射面で反射された栽培光が開口部242を通して下方に位置する植物Pに照射される。
したがって、本第2実施例である植物栽培用照明装置の場合、溝241の深さ、すなわち反射面の大きさと、開口部242の大きさとの2つの因子により下方に照射される栽培光の強さを調整することが可能となる。
【0050】
また、本第2実施例のように、照明装置を構成する導光体の外周面のほぼ全面に、栽培光を導光体の内部側に反射する反射被覆231を設けたことにより、導光体内を伝達される栽培光は、斜め方向に直進した場合にも、導光体の側面でほぼ完全に反射されるので、内部を通過する光が外部に漏れることをほぼ完全に防止して、集光された栽培光を、効率よく光照射部240まで伝達することができる。
なお、本第2実施例の場合にも、導光体230の背面側側面に凹凸を設けて部分的に乱反射する箇所を設けたり、開口部242に凹凸を形成して、植物Pに散乱光が照射されるようにすると、下方の植物Pの特定箇所のみではなく栽培棚上の植物全体に満遍なく栽培光が照射され、植物Pを偏りなく育成することができる。
【0051】
なお、この種の導光体は、その内側側面で内部を伝達する光を内側に反射する性質を有しているので、必ずしも反射皮膜231を全外周面に設ける必要はなく、屈曲部のように内部を伝達される光が漏洩しやすい箇所のみに反射皮膜231を設けてもよい。
導光部230の下面に反射皮膜231を設けない場合でも、開口部232の部分を粗面化するなど、栽培光が放射しやすい構造を設けることが望ましい。
【実施例3】
【0052】
次に、本発明の第3実施例である植物栽培用照明装置300について、図4を参照して以下に説明する。
図4は、本発明の第3実施例である植物栽培用照明装置の概略斜視図である。
本第3実施例の植物栽培用照明装置300は、基本的に前述した第1実施例の植物栽培用照明装置100と同様の構造を有しているが、本第3実施例の植物栽培用照明装置300では、集光部310の前段に、鏡面板361と、当該鏡面板361の角度を切換える切換え手段362と、鏡面板361に隣接して高圧ナトリウムランプやキセノンランプ、蛍光灯、HEFLなどのような人工光源363と、を備えている。
【0053】
さらに、切換手段362により、鏡面板361を、図4において実線で示されるような自然光受光位置と、図4において仮想線で示されるような人工光受光位置とに、自由に切り換えできるようにしている。
鏡面板361は、自然光受光位置に位置すると、太陽光を反射して受光部310に導入する姿勢となり、人工光受光位置に位置すると、隣接して配置された人工光源363の発する光線を反射して受光部310に導入する姿勢となる。
【0054】
これにより、通常は、鏡面板361を自然光受光位置に位置させて自然光を利用して栽培光を照射しているが、天候が悪く十分な自然光が得られないときは、鏡面板361を人工光受光位置に位置させて人工光源363の発する光を受光部310に導入することができるので、自然光を利用しながらも人工照明を補助的に利用して、天候に左右されず、植物Pを支障なく栽培することができる。
なお、鏡面板361の縦寸法をさらに大きくして、中央を凹とするパラボラ形状の凹面鏡を採用すると、鏡面板361の面積に応じて一層多くの光線を集光することができる。
【0055】
以上のようにして得られた本第1実施例乃至第3実施例である植物栽培用照明装置100、200、300は、栽培棚171に多数配列された植物Pの近傍に位置して外部から導入した栽培光を植物Pに照射して植物Pを育成する植物栽培用照明装置100、200、300であって、植物Pの配置に対応して形成した光照射部140、240、340を備える導光部130、230、330と、導光部130、230、330の一側に位置して外部の光を集光して導光部に導く集光部110、210、310とを備え、導光部130、230、330と集光部110、210、310とが継ぎ目なく一体に形成されていることにより、導光部分に継ぎ目がなく光伝達ロスを著しく小さくすることができて、植物Pに無駄なく栽培光を照射することができる。
【0056】
また、集光部110、210、310が、側面視で中央部を凹とした幅広弓形の集光面316と、集光面316の反対側に集光した栽培光を前記導光部130、230、330に導く接続部120、220、320とを備えて、導光部130、230、330と平面して同幅に形成されていることにより、集光部110、210、330を活用して大面積で高効率に自然光を集光することができるとともに、接続部120、220、320と導光部130、230、330とが同幅同厚のブロック状に形成されていることにより、栽培光の通過する通路を大面積として大量の栽培光を効率よく伝達させて、栽培棚171に位置する植物Pのそれぞれに強力な栽培光を照射して植物Pの栽培効率を著しく向上することができる。
さらに、全体の形状が簡易化されて、製造コストや組み立てコストを格段に低く押さえることができるなど、その効果は甚大である。
【0057】
次に、光照射部の形態として種々の形態が考えられるので、幾つかの形態について、図5乃至図7を参照して、以下に説明する。
図5は、本発明の第1実施例乃至第3実施例である植物栽培用照明装置100、200、300が備える光照射部140、240、340の概略説明図であり、図6は、同光照射部の第1変形例の概略説明図であり、図7は、同光照射部の第2変形例の概略説明図である。
【0058】
本発明の各実施例のような植物栽培用照明装置100(以下、第1実施例で代表させて符号は100番代のみ記載する)では、図5において白ヌキ矢印で概略的に示されるように、集光部110に近接した側では強力な栽培光が導光部内に存在するが、下流側、すなわち右方にゆくにしたがって導光部130内の栽培光は弱くなってゆく。
これは、上流側の光放射部140−1、140−2・・・から順次栽培光が放射されて、下流側ほど導光部130内を伝達する栽培光が減少するためであり、したがって光照射部140を構成する溝141若しくは開口部142をすべて同じ大きさとすると、下流側ほど下方に照射される栽培光が弱くなってしまい、下流側、すなわち図5において右側に位置する植物Pは弱い光量の下で栽培されることになり、植物の健全な育成に支障をきたしかねない。
【0059】
このような状況を回避するために、本実施例では、図6に破線で示されるように、下流側ほど光照射部140−n−1、140−nの大きさを大として、上流側では、小さな光照射部140から強い栽培光を照射し、下流側では、大きな光照射部140から弱い栽培光を照射する、というようにして、各植物Pに照射される栽培光の均等化を図っている。
これにより、栽培棚171上に載置される植物Pは、いずれの位置にあってもほぼ均等に栽培光が照射されるようになり、全ての植物Pをばらつき少なく、均等に育成することができる。
【0060】
また、図2に示される第1変形例のような光照射部440は、光照射部440の大きさを調整するために、光照射部440の幅のみではなく、光照射部440の長さをも変更することにより、各位置の光照射部440における栽培光の強さを調整するようにしている。
図6に示されるように、上流側の光照射部440−1、440−2では、光伝達方向の光照射部440幅を小さくされるとともに、光伝達方向と直交する方向の、光照射部440の長さをも小さくされていて、小さな光照射部から強い栽培光が照射されるのに対し、下流側の光照射部440−n−1、440−nでは、反対に、光照射部440の幅、長さともに大きくされており、弱くなった栽培光を大きな光照射部440から照射されるようにして、植物Pに照射される栽培光の均等化を図っている。
【0061】
これにより、調整ファクターとして光照射部440の長さが加わったので、下方に位置する植物Pに照射される栽培光の光量をより広範囲にきめ細かく調整することができる。
なお、図6は、溝の開口部440の大きさについて誇張して表現されており、実際の光照射部の寸法を反映したものではない。
また、本変形例のように溝の長さを変更する場合には、溝の傾斜面の角度を変更するなどして溝幅については一定としてもよい。
【0062】
さらに、図7に示される第2変形例の光照射部540は、第1変形例の光照射部をさらに変形したものであって、本第2変形例では、光照射部540を構成する溝の開口部542(542−1、542−2・・・542−n)を千鳥状に配列している。
図7に示されるように、光伝達方向に隣接する開口部542どうしは、直上流に開口部542がなかった位置に下流側の開口部542が設けられており、それぞれの開口部542の長さは、導光部530内を伝達される栽培光の強さに基づいて決定される。
このように開口部542を配列すると、導光部530内において伝達される栽培光が、どの位置でも均等に減光してゆくため、植物Pに照射される栽培光の光量のばらつきが軽減される。
【0063】
なお、開口部542から下方に照射される栽培光を栽培棚171上の植物Pの全体に照射されるように、開口部542に光を散乱させる手段を講ずると、さらに、ばらつき少なく植物Pを育成することができる。
光を散乱させる手段としては、第1実施例の場合、溝の反射面を粗面化して、栽培光の放射方向を多方向としたり、第2実施例の場合であれが、開口部を構成する導光体の表面を粗面化したり、開口部のやや上流の背面側側面に凹凸を形成した乱反射面を設ける、というようなことが挙げられる。
なお、散乱光を導光する光散乱ポリマーを使用する場合には、照射光自体がすでに散乱光であるから、溝の反射面よりも開口部の大きさにより、照射光の光量が調整される。
【0064】
以上のようにして構成される光照射部140、440、540は、光照射部140、440、540を形成する溝若しくは開口部の、幅若しくは長さなどを調整するだけで、それぞれの位置における光照射量を細かく調整できるので、植物栽培用光照射装置100、400、500の構造は著しく簡便であるにも係わらず、各光照射位置における光照射量を細かく調整して、下方に位置する植物Pをいずれの位置でもばらつくことなく一様な条件で育成させることができて、植物栽培の生産性を大幅に向上することができる。
【0065】
さらに、上述のような高性能の植物栽培用照明装置140、440、540を簡便に製造して、その取り付け作業も、各部分を接続するような作業を要することなく一体の装置をそのまま取り付けるだけと、構造が単純化されて、製造、設置コストも大幅に軽減することができるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0066】
100、200、300、400、500 ・・・ 植物栽培用照明装置
110、210、310、410、510 ・・・ 集光部
111、211、311 ・・・ ベース導光体
112、212、312 ・・・ 前面導光体
113、213、313 ・・・ 緩傾斜反射面
114、214、314 ・・・ 急傾斜反射面
115、215、315 ・・・ 導光側反射面
116、216、316 ・・・ 集光面
120、220、320、420、520 ・・・ 接続部
130、230、330、430、530 ・・・ 導光部
231 ・・・ 反射被覆
140、240、340、440、540 ・・・ 光照射部
141、241、341 ・・・ 溝(反射面)
142、242、342、 542 ・・・ 開口部
150、250 ・・・ 集光角度変更手段
361 ・・・ 鏡面板
362 ・・・ 切換手段
363 ・・・ 人工光源
170 ・・・ 植物栽培装置
171 ・・・ 栽培棚
P ・・・ 植物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培棚に多数配列された植物の近傍に位置して外部から導入した栽培光を照射して前記植物を育成する植物栽培用照明装置であって、
前記植物の配置に対応して形成した光照射部を備える導光部と、
該導光部の一側に位置して外部の光を集光して導光部に導く集光部とを備え、
前記導光部と集光部とが継ぎ目なく一体に形成されていることを特徴とする植物栽培用照明装置。
【請求項2】
前記集光部が、側面視で中央部を凹とした幅広弓形の集光面と該集光面の反対側に位置して集光した栽培光を前記導光部に導く接続部とを備えるとともに前記導光部と平面視で同幅に形成され、
前記接続部と導光部とが同幅同厚のブロック状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用照明装置。
【請求項3】
前記光照射部が、前記導光部に栽培光の導光方向と直行する方向に設けた反射面及び/又は開口部を構成する溝を導光方向に複数設けたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の植物栽培用照明装置。
【請求項4】
前記光照射部が、前記導光部中を伝達する栽培光の強さと逆相関関係を有する大きさの反射面及び/又は開口部を備えて、前記栽培棚のいずれの位置に配置された植物にも均等に栽培光が照射されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の植物栽培用照明装置。
【請求項5】
前記光照射部に設けた溝が、前記導光部の導光方向下流ほど順次深幅となっていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の植物栽培用照明装置。
【請求項6】
前記光照射部が、前記導光部の導光方向下流ほど順次幅広となる反射面及び/又は開口部を備えていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の植物栽培用照明装置。
【請求項7】
前記集光部が、集光部の角度を可変とする集光角度変更手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の植物栽培用照明装置。
【請求項8】
前記集光部の前段に配置した反射角度の切換え可能な鏡面板と、
前記鏡面板に隣接して配置した人工光源と、
該鏡面板が前記集光部に自然光を導入する自然光受光位置と前記集光部に人工光源からの人工光を導入する人工光受光位置とに切り換える切換手段とを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の植物栽培用照明装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の植物栽培用照明装置が垂直方向に多段及び/または水平方向に多列に配置され、当該植物栽培用照明装置の下方にそれぞれ前記栽培棚が設置されていることを特徴とする植物栽培装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−55923(P2013−55923A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197498(P2011−197498)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】