説明

植物栽培用LED光源及び植物工場

【課題】設置面積を増大させることなく、簡単な構成で青色域と赤色域との光量割合を容易に調整し得る発光装置、並びに植物栽培用LED光源及び植物工場を提供する。
【解決手段】基板型LED光源10には、クロロフィルの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個の青色LEDチップ2と、青色LEDチップ2からの励起光により、クロロフィルの赤色域吸収ピークに対応すべく発光ピークが波長620〜700nmの光を発光する赤蛍光体7bと、赤蛍光体7bを分散して少なくとも1個の青色LEDチップ2を覆う樹脂層7とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合成を行うべく生育に光を必要とする植物又は藻類によって吸収される光を発光する発光装置、並びに植物栽培用LED光源及び植物工場に関するものであり、詳細には、植物、藻類等の生物を効率的に育成する発光装置、並びに植物栽培用LED光源及び植物工場に関する。
【背景技術】
【0002】
植物工場等に使用することができる植物栽培用LED光源としては、従来、例えば、特許文献1に開示された植物伸長装置に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1に開示された植物伸長装置100は、図11に示すように、植物伸長のための光を射出する光射出部110と、その光射出部110に対して射出される光のスペクトルを変更可能に電力を供給する電力供給部120と、育成対象となる植物101の種類を判別する判別部131と、その判別部131で判別した植物101の種類に応じて上記電力供給部120を制御して光のスペクトルを設定する光スペクトル設定部132とを備えたものからなっている。
【0004】
上記光射出部110は、平板状の基板111における一方の面に異なるスペクトル光を発する複数種類のLED112を多数敷設してなっており、LED112から射出される光が植物101の方向を向くように設置されている。LED112は、例えば砲弾型のものからなっている。
【0005】
また、従来の他の植物栽培用LED光源として、例えば、特許文献2に開示された植物栽培用LED光源が知られている。
【0006】
特許文献2に開示された植物栽培用LED光源200は、植物培養容器の蓋に取り付け可能となっており、図12に示すように、カソード端子201と、アノード端子202と、発光チップ203と、エポキシ樹脂レンズ204とからなっている。そして、発光チップ203の種類により、所定の色の放射光205が放出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−344114号公報(2004年12月9日公開)
【特許文献2】特開平9−252651号公報(1997年9月30日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の特許文献2に開示された図12に示す植物栽培用LED光源200では、光源に使用される赤色LEDとしては、特許文献2の図2に記載されているように、波長領域630nm〜680nm、好ましくは発光ピーク波長660nm付近のものが用いられている。また、青色LEDとしては、波長領域380nm〜480nm、好ましくは発光ピーク波長450nm付近のものが用いられている。
【0009】
そして、特許文献2においては、青色LEDの光量は、赤色LEDの光量における50%以下の割合となるように用いられている。ここで、一般的に、LEDは赤色及び青色を混合して使用されるが、植物によっては赤色単独を用いることも可能である。
【0010】
しかしながら、赤色及び青色を混合して使用される場合、又は赤色単独を用いる場合のいずれにおいても以下の課題を有している。
(1)赤色LEDと青色LEDとを混合使用するための配置が困難である。具体的には、設置面積がかなり大きなものとなる。また、隅部に規則正しい配置をするのが困難である。
(2)青色域と赤色域との光量割合を調整する必要があるが、青色LED又は赤色LEDの個数の調整によって光量割合を合わせる場合には、長期的な駆動を考慮すると劣化特性の違いにより光量割合のずれが生じる。
【0011】
また、青色LED光の光量を赤色LED光の光量における50%以下の割合とするには、
(A)赤色LEDを高輝度発光させる(駆動電流を増加する)。
(B)各LEDに搭載するLEDチップ数を増やす。
(C)赤色LEDの個数を増やす。
【0012】
等の措置が必要となる。
【0013】
しかしながら、(A)の場合は、青/赤LEDチップ間の劣化特性差が助長され、長期的な駆動時における光量割合のずれがより大きくなる。また、電気的な方法で光量調整する場合には、電気駆動回路等を設置する必要があるため、複雑な構成となる。(B)の場合には、赤色LEDの大きさが大きくなり、広角の指向特性の制御が難しい等問題が生じる。(C)の場合には、青色LEDの個数が少なく、均等配置をしても、或いは青色LEDを広角の指向特性のものとしても赤色光及び青色光の混色が不十分であり、色むらが生じ易い懸念が生じる。
(3)青色LEDと赤色LEDとの混色は困難であり、植物栽培に必要な混合色を得ることは困難である。具体的には、青色LEDと赤色LEDとの個別の素子を複数使用する場合に、所定の光量割合を満足しかつ同時に空間的に色むらなく一様な混色光を実現するのは非常に難しい。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、設置面積を増大させることなく、簡単な構成で青色域と赤色域との光量割合を容易に調整し得る発光装置、並びに植物栽培用LED光源及び植物工場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の発光装置は、上記課題を解決するために、光合成を行うべく生育に光を必要とする植物又は藻類によって吸収される光における複数のピーク波長のうち、相対的に短波長域の第1ピーク波長に対応した第1短波長域光を発する少なくとも1個の第1LEDチップと、上記第1LEDチップを覆う蛍光体含有封止樹脂とを備えていると共に、上記蛍光体含有封止樹脂に含有された蛍光体は、上記第1LEDチップが出射する第1短波長域光を吸収することにより、上記複数のピーク波長のうち、上記第1ピーク波長よりも長波長域のピーク波長に対応した長波長域光を発することを特徴としている。尚、相対的に短波長域とは、波長500nmよりも短波長域をいう。
【0016】
すなわち、光合成を行う植物及び藻類等の生物の生育には、相対的に短波長域の第1ピーク波長と、第1ピーク波長よりも長波長域のピーク波長の光が必要となる場合が多い。そこで、本発明では、第1ピーク波長に対応した第1短波長域光を発する少なくとも1個の第1LEDチップと、第1LEDチップを覆う蛍光体含有封止樹脂とを備えている。そして、蛍光体含有封止樹脂に含有された蛍光体は、第1ピーク波長よりも長波長域のピーク波長に対応した長波長域光を発する。
【0017】
この結果、独立した青色LEDチップと独立した赤色LEDチップとの2種類のLEDチップを使用しなくても、1種類の青色LEDチップにて植物及び藻類等の生物の成長に必要なクロロフィル等の青色域吸収ピークと赤色域吸収ピークとに対応する光を出射することができる。このため、設置面積を増大することがない。そして、この構成においては、赤蛍光体は樹脂層に分散されていることから、赤蛍光体を樹脂に所定の配合比にて分散させることが可能であり、その配合比に応じて青色域と赤色域における光量を変化させることができる。
【0018】
したがって、設置面積を増大させることなく、簡単な構成で青色域と赤色域との光量割合を容易に調整し得ると同時に空間的に色むらの少ない青色光及び赤色光の混色光を放出し得る発光装置を提供することができる。
【0019】
また、本発明の発光装置では、前記複数のピーク波長のうち、前記相対的に短波長域のピーク波長であって、かつ前記第1ピーク波長とは異なる第2ピーク波長に対応した第2短波長域光を発する、少なくとも1個の第2LEDチップを備えているとすることができる。
【0020】
この結果、相対的に短波長域のピーク波長が第1ピーク波長と第2ピーク波長との2種類存在する場合においても、適切に植物及び藻類等の生物の成長を促す発光装置を提供することができる。
【0021】
本発明の植物栽培用LED光源は、上記課題を解決するために、前記記載の発光装置を用いた植物栽培用LED光源であって、クロロフィルの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個の青色LEDチップと、上記青色LEDチップからの励起光により、クロロフィルの赤色域吸収ピークに対応すべく発光ピークが波長620〜700nmの光を発光する赤蛍光体と、上記赤蛍光体を分散して上記青色LEDチップを覆う樹脂層とが設けられていることを特徴としている。
【0022】
上記の発明によれば、植物栽培用LED光源は、少なくとも1個の青色LEDチップとこの青色LEDチップを覆う赤蛍光体を分散した樹脂層とからなっている。そして、この構成において、青色LEDチップにてクロロフィルの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で光を出力することができる。そして、赤蛍光体は、青色LEDチップからの励起光により、クロロフィルの赤色域吸収ピークに対応すべく発光ピークが波長620〜700nmの光を発光する。
【0023】
この結果、独立した青色LEDチップと独立した赤色LEDチップとの2種類のLEDチップを使用しなくても、1種類の青色LEDチップにて植物の成長に必要なクロロフィルの青色域吸収ピークと赤色域吸収ピークとに対応する光を出射することができる。このため、設置面積を増大することがない。そして、この構成においては、赤蛍光体は樹脂層に分散されていることから、赤蛍光体を樹脂に所定の配合比にて分散させることが可能であり、その配合比に応じて青色域と赤色域における光量を変化させることができる。
【0024】
したがって、設置面積を増大させることなく、簡単な構成で青色域と赤色域との光量割合を容易に調整し得ると同時に空間的に色むらの少ない青色光及び赤色光の混色光を放出し得る植物栽培用LED光源を提供することができる。
【0025】
本発明の植物栽培用LED光源では、前記青色LEDチップは、クロロフィルaの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜450nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個のクロロフィルa用青色LEDチップと、クロロフィルbの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個のクロ
ロフィルb用青色LEDチップとからなっているとすることができる。
【0026】
すなわち、植物は、クロロフィルaとクロロフィルbとを有している。ここで、クロロフィルaとクロロフィルbとは青色領域における光吸収特性がそれぞれ異なっている。具体的には、クロロフィルaは青色領域においては400〜450nmに吸収ピークを有し、クロロフィルbは青色領域においては400〜480nmに吸収ピークを有している。
【0027】
そこで、本発明では、これらクロロフィルaとクロロフィルbとの青色領域における2種の光吸収特性にそれぞれ対応するように、クロロフィルaの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜450nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個のクロロフィルa用青色LEDチップと、クロロフィルbの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個のクロロフィルb用青色LEDチップとを備えている。
【0028】
この結果、クロロフィルa及びクロロフィルbを有する植物に、より適した植物栽培用LED光源を提供することができる。
【0029】
本発明の植物栽培用LED光源では、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:1.3〜1:10となっていることが好ましい。尚、光合成光量子束とは、光合成有効光量子束密度(PPFD:photosynthetic photon flux density)に光照射面積をかけたものをいう。ここで、光量子束密度は、ある物質に太陽の光が照射している場合に、1秒間に照射される光子の数をその物質の受光面積で割った値をいう。
【0030】
一般に、光量子束密度という場合には、光子の数を数えるので、赤外光又は紫外光のいずれが来ても1個は1個である。しかし、光化学反応は、色素が吸収できる光子が来たときだけに引き起こされる。例えば、植物の場合、クロロフィルに吸収されない光がいくら来ても、それは存在しないのと同じである。そこで、光合成の分野では、クロロフィルが吸収できる400nm〜700nmまでの波長領域だけの光合成有効光量子束密度又は光合成光量子束が定義されている。
【0031】
ここで、本発明では、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:1.3〜1:10となっている。この結果、植物の発芽・育苗及び栽培に適した植物栽培用LED光源とすることが可能となる。
【0032】
本発明の植物栽培用LED光源では、前記樹脂層における樹脂と赤蛍光体との配合比は1:0.05〜1:0.20となっていることが好ましい。この結果、植物の発芽・育苗及び栽培に適した植物栽培用LED光源とすることが可能となる。
【0033】
本発明の植物栽培用LED光源では、発芽棚又は育苗棚に設置されることを目的とする場合には、前記樹脂層における樹脂と赤蛍光体との配合比は1:0.05〜1:0.10となっていることが好ましい。
【0034】
すなわち、植物の光合成において中心的な役割を担うクロロフィル(葉緑素)は、光を一様に吸収するのではなく、赤色660nm付近と青色450nm付近に明確な吸収ピークを示し、これに関係して光合成の波長特性は660nm付近に第一ピークを有する一方、450nm付近に第二のピークを有している。つまり、葉を備え光合成が活発となる栽培段階では、青色及び赤色の両方の光成分を有することが生育に対して有効になる。一方、450nm付近の青色光は植物の高エネルギー反応系と呼ばれる光反応系にも影響を及
ぼし、植物の健全な形態形成に必要不可欠である。したがって、発芽・育苗の段階では、青色光の成分の重要性が増す。
【0035】
この点、本発明では、前記樹脂層における樹脂と赤蛍光体との配合比は1:0.05〜1:0.10となっている。このため、この配合比とすることによって、発芽・育苗の段階において植物の健全な形態形成に必要不可欠である青色光の成分の光を容易に出射する植物栽培用LED光源を提供することができる。
【0036】
本発明の植物栽培用LED光源では、栽培棚に設置されることを目的とする場合には、前記樹脂層における樹脂と赤蛍光体との配合比は1:0.15〜1:0.20となっていることが好ましい。
【0037】
これにより、葉を備え光合成が活発となる栽培段階において、青色及び赤色の両方の光成分を有する光を容易に出射する植物栽培用LED光源を提供することができる。
【0038】
本発明の植物栽培用LED光源では、発芽棚又は育苗棚に設置されることを目的とする場合には、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:1.3〜1:3.5となっていることが好ましい。
【0039】
これにより、植物の発芽・育苗に適した植物栽培用LED光源とすることが可能となる。
【0040】
本発明の植物栽培用LED光源では、栽培棚に設置されることを目的とする場合には、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:7.5〜1:10となっていることが好ましい。
【0041】
これにより、植物の栽培に適した植物栽培用LED光源とすることが可能となる。
【0042】
本発明の植物栽培用LED光源では、前記赤蛍光体は、クロロフィルbよりもクロロフィルaを多く含む植物栽培には、CaAlSiN:Eu系の成分を有してなっている
ことが好ましい。
【0043】
すなわち、植物は、クロロフィルaとクロロフィルbとを有している。ここで、クロロフィルaとクロロフィルbとはそれぞれ光吸収特性が異なっている。具体的には、クロロフィルaは赤色領域では650〜660nmに吸収ピークを有し、クロロフィルbは赤色領域では620〜630nmに吸収ピークを有している。
【0044】
そこで、本発明では、赤蛍光体は、クロロフィルbよりもクロロフィルaを多く含む植物栽培には、CaAlSiN:Eu系の成分を有してなっている。すなわち、CaA
lSiN:Eu系の成分を有する赤蛍光体は、発光ピーク650〜660nmの波長を出射することができる。
【0045】
したがって、クロロフィルbよりもクロロフィルaを多く含む植物栽培には、CaAlSiN:Eu系の成分を有する赤蛍光体を使用するのが好ましい。
【0046】
本発明の植物栽培用LED光源では、前記赤蛍光体は、クロロフィルaよりもクロロフィルbを多く含む植物栽培には、(Sr,Ca)AlSiN:Eu系の成分を有して
なっていることが好ましい。
【0047】
すなわち、クロロフィルbは赤色領域では620〜630nmに吸収ピークを有していると共に、(Sr,Ca)AlSiN:Eu系の成分を有する赤蛍光体は、発光ピー
ク620〜630nmの波長を出射することができる。
【0048】
したがって、クロロフィルaよりもクロロフィルbを多く含む植物栽培には、(Sr,Ca)AlSiN:Eu系の成分を有する赤蛍光体を使用するのが好ましい。
【0049】
本発明の植物栽培用LED光源では、基板上に複数の青色LEDチップが搭載され、その周囲に立設壁が設けられていると共に、上記立設壁の内側には前記赤蛍光体を分散した樹脂が充填されているとすることができる。
【0050】
これにより、いわゆる基板型の植物栽培用LED光源の構成とすることができる。そして、この構成においては、1個の植物栽培用LED光源について、複数の青色LEDチップが用いられているので、1個の植物栽培用LED光源で大光量の光を出射することができる。また、赤色LEDチップの代わりとして樹脂に分散された赤蛍光体を使用しているので、複数の青色LEDチップに対応する複数の赤色LEDチップに相当する設置面積を大幅に縮小することができる。
【0051】
したがって、1個の植物栽培用LED光源によって、少ない設置面積にて大光量の光を出射することが可能となる。
【0052】
本発明の植物栽培用LED光源では、カソードリードと、上記カソードリードに接続されたカップと、上記カップ内に搭載された少なくとも1個の前記青色LEDチップと、上記カップ内に搭載された青色LEDチップから導線を介して接続されたアノードリードと、上記カップ内で、上記青色LEDチップを覆うように充填された、前記赤蛍光体を分散した樹脂層と、上記カソードリードとアノードリードとの各端部を露出した状態で、カップ全体を砲弾状に封止した封止樹脂とを備えているとすることができる。
【0053】
これにより、いわゆる砲弾型の植物栽培用LED光源とすることができる。そして、このような砲弾型の植物栽培用LED光源は設置面積が狭いので、植物栽培のスポット照射に適している。
【0054】
本発明の植物栽培用LED光源では、波長400〜480nmの第1光と波長620〜700nmの第2光とが出射される。
【0055】
これにより、植物育成に必要な青色及び赤色の両ピークを1個の植物栽培用LED光源にて生成することができることになる。このように、1個の植物栽培用LED光源とすることによって、植物栽培用LED光源の設置面積の縮小が可能となり、信頼性が高まり、植物工場等での使用に適した光源とすることができる。
【0056】
本発明の植物栽培用LED光源では、前記青色LEDチップから放出される第1光と、前記青色LEDチップによって励起され赤蛍光体から放出される第2光とを出射する。
【0057】
すなわち、青色LEDチップを覆う樹脂中に赤色蛍光体を分散することによって、青色LEDチップから出射される第1光は、一部は赤蛍光体に吸収されて該赤蛍光体から第2光が出射され、残りは赤蛍光体により散乱される。そして、赤蛍光体は蛍光体1個1個が点光源であるので、青色光又は赤色光が均一に発光する。
【0058】
この結果、植物育成に必要な青色及び赤色の両ピークを1個の植物栽培用LED光源に
て生成することができることになる。このように、1個の植物栽培用LED光源とすることによって、植物栽培用LED光源の設置面積の縮小が可能となり、信頼性が高まり、植物工場等での使用に適した光源とすることができる。
【0059】
本発明の植物栽培用LED光源では、前記基板の裏面には、冷却手段が設けられていることが好ましい。
【0060】
これにより、高温になった青色LEDチップを冷却することが可能となる。
【0061】
本発明の植物工場は、上記課題を解決するために、上記記載の植物栽培用LED光源を備えていることを特徴としている。
【0062】
上記の発明によれば、設置面積を増大させることなく、簡単な構成で青色域と赤色域との光量割合を容易に調整し得る植物栽培用LED光源を備えた植物工場を提供することができる。
【発明の効果】
【0063】
本発明の発光装置は、以上のように、光合成を行うべく生育に光を必要とする植物又は藻類によって吸収される光における複数のピーク波長のうち、相対的に短波長域の第1ピーク波長に対応した第1短波長域光を発する少なくとも1個の第1LEDチップと、上記第1LEDチップを覆う蛍光体含有封止樹脂とを備えていると共に、上記蛍光体含有封止樹脂に含有された蛍光体は、上記第1LEDチップが出射する第1短波長域光を吸収することにより、上記複数のピーク波長のうち、上記第1ピーク波長よりも長波長域のピーク波長に対応した長波長域光を発するものである。
【0064】
本発明の植物栽培用LED光源は、以上のように、クロロフィルの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個の青色LEDチップと、上記青色LEDチップからの励起光により、クロロフィルの赤色域吸収ピークに対応すべく発光ピークが波長620〜700nmの光を発光する赤蛍光体と、上記赤蛍光体を分散して上記少なくとも1個の青色LEDチップを覆う樹脂層とが設けられているものである。
【0065】
本発明の植物工場は、以上のように、上記記載の植物栽培用LED光源を備えているものである。
【0066】
それゆえ、設置面積を増大させることなく、簡単な構成で青色域と赤色域との光量割合を容易に調整し得る発光装置、並びに植物栽培用LED光源及び植物工場を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】(a)(b)は本発明における植物栽培用LED光源の実施の一形態を示すものであって、基板型の植物栽培用LED光源の構成を示す断面図である。
【図2】(a)は上記基板型の植物栽培用LED光源における樹脂層形成前の構成を示す平面図であり、(b)は上記基板型の植物栽培用LED光源における樹脂層形成後の構成を示す平面図である。
【図3】(a)は上記植物栽培用LED光源において配合比を樹脂:赤蛍光体=1:0.05としたときの発光スペクトルを示すグラフであり、(b)は上記植物栽培用LED光源において配合比を樹脂:赤蛍光体=1:0.10としたときの発光スペクトルを示すグラフである。
【図4】(a)は上記植物栽培用LED光源において配合比を樹脂:赤蛍光体=1:0.15としたときの発光スペクトルを示すグラフであり、(b)は上記植物栽培用LED光源において配合比を樹脂:赤蛍光体=1:0.20としたときの発光スペクトルを示すグラフである。
【図5】クロロフィルの吸収スペクトルと、本実施の形態のLED光源の適用例を示す図である。
【図6】上記LED光源の温度特性を従来との比較において示すグラフである。
【図7】(a)(b)は照明用に適用する植物栽培用LED光源の構成を示す平面図であり、(c)は上記植物栽培用LED光源における発光スペクトルを示すグラフである。
【図8】上記植物栽培用LED光源における植物工場への適用例を示す説明図である。
【図9】(a)は砲弾型の植物栽培用LED光源において配合比を樹脂:赤蛍光体=1:0.05としたときの構成を示す断面図であり、(b)は砲弾型の植物栽培用LED光源において配合比を樹脂:赤蛍光体=1:0.20としたときの構成を示す断面図である。
【図10】(a)は本発明における植物栽培用LED光源の他の実施の一形態を示すものであって、基板型の植物栽培用LED光源の構成を示す断面図であり、(b)は上記基板型の植物栽培用LED光源における樹脂層形成前の構成を示す平面図である。
【図11】従来の植物栽培用LED光源の構成を示す図である。
【図12】従来の他の植物栽培用LED光源の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0069】
(植物栽培用LED光源の構成)
本実施の形態の植物栽培用LED光源の構成について、図2(a)(b)に基づいて説明する。図2(a)は赤蛍光体含有樹脂を注入する前の植物栽培用LED光源を示す平面図であり、図2(b)は赤蛍光体含有樹脂を注入した後の植物栽培用LED光源を示す平面図である。
【0070】
本実施の形態の植物栽培用LED光源としての基板型LED光源10は、図2(a)に示すように、基板としてのセラミック基板1上に複数の青色LEDチップ2が搭載され、その周囲に樹脂からなる立設壁3が設けられてなっている。
【0071】
本実施の形態では、青色LEDチップ2は、例えば、電気的に直列接続されて直列に3個ずつ並んだものが、隣接する各列間で青色LEDチップ2同士が電気的に並列接続されるように並列に8列並んだ24個からなっている。尚、本発明においては、青色LEDチップ2の個数は必ずしも複数に限らず、1個でもよく、また、複数においても24個に限らない。さらに、複数個における並べ方についても問わない。電気的な接続方法もこれに限るものではない。
【0072】
上記各青色LEDチップ2は、立設壁3の内側において、各列の青色LEDチップ2の両側に設けられた配線パターン4aと配線パターン4bとにそれぞれ導電性ワイヤ5にて接続されている。そして、配線パターン4aと配線パターン4bとは、セラミック基板1上において立設壁3の外側に搭載されたカソード電極ランド6aとアノード電極ランド6bとにそれぞれ接続されている。
【0073】
そして、本実施の形態の基板型LED光源10には、図2(b)に示すように、立設壁3の内側に充填されて上記複数の青色LEDチップ2の上側を被覆する樹脂層7が設けら
れており、この樹脂層7には、赤蛍光体が混合分散されている。
【0074】
そして、本実施の形態の青色LEDチップ2は、クロロフィルの青色域吸収ピークに対応する第1光としての波長400nm〜480nmの光を発生する。また、赤蛍光体7bは、青色LEDチップ2の光を吸収してクロロフィルの赤色域吸収ピークに対応する発光ピークが波長620〜700nmの第2光を発光するものとなっている。
【0075】
尚、青色LEDチップ2は、青色域吸収ピークに対応する第1光としての波長400nm〜480nmのみでなく、紫外色を含む青紫外色領域まで出力するものであってもよい。
【0076】
(青色域と赤色域との光量割合の調整)
本実施の形態の基板型LED光源10における青色域と赤色域との光量割合の調整方法について、図1(a)(b)及び図3に基づいて説明する。図1(a)(b)は、赤蛍光体とシリコーン樹脂との配合比が互いに異なる基板型LED光源10(10A)・10(10D)の構成を示す断面図である。
【0077】
図1(a)に示すように、本実施の形態の基板型LED光源10では、樹脂層7は樹脂としてのシリコーン樹脂からなる樹脂7aに赤蛍光体7bが含有されたものからなっている。したがって、この樹脂7aに対する赤蛍光体7bの割合を変更することによって、互いに異なる波長の光が出射できるものとなる。
【0078】
例えば、赤蛍光体7bとして、CaAlSiN:Euを使用し、前述したように、
青色LEDチップ2から波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する光を出射する。これによって、波長400〜480nmの第1光と波長620〜700nmの第2光とを出射する。尚、CaAlSiN:Euは、2価のユーロピウム(Eu)を付活
材とする窒化物赤色蛍光体であり、温度特性が安定かつ高発光効率の蛍光体の1つである。
【0079】
具体的には、図1(a)に示すように、配合比を樹脂7a:赤蛍光体7b=1:0.05とした基板型LED光源10Aの場合には、図3(a)に示すように、波長440nmに発光強度1.0のピーク波長と波長640nmに発光強度0.3のピーク波長とを有するスペクトルが得られる。また、配合比を樹脂7a:赤蛍光体7b=1:0.10とした基板型LED光源10Bの場合には、図3(b)に示すように、波長440nmに発光強度1.0のピーク波長と波長640nmに発光強度0.8のピーク波長とを有するスペクトルが得られる。
【0080】
さらに、配合比を樹脂7a:赤蛍光体7b=1:0.15とした基板型LED光源10Cの場合には、図4(a)に示すように、波長440nmに発光強度0.56のピーク波長と波長640nmに発光強度1.0のピーク波長とを有するスペクトルが得られる。
【0081】
そして、図1(b)に示すように、配合比を樹脂7a:赤蛍光体7b=1:0.20とした基板型LED光源10Dとした場合には、図4(b)に示すように、波長440nmに発光強度0.4のピーク波長と波長640nmに発光強度1.0のピーク波長とを有するスペクトルが得られる。
【0082】
このように樹脂7aと赤蛍光体7bとの配合比を変更することによって、容易に青色域と赤色域との光量割合を調整することが可能となる。
【0083】
(植物の成長において必要な光の波長)
次に、植物の成長においてどのような波長の光を照射すればよいのかについて、図5に基づいて説明する。図5は、クロロフィルの光吸収特性と本実施の形態の基板型LED光源10のスペクトルを示す図である。
【0084】
まず、植物の光合成において中心的な役割を担う葉緑素(クロロフィル)は、光を一様に吸収するのではなく、図5に示すように、赤色660nm付近と青色450nm付近とに明確な吸収ピークを示し、これに関係して、光合成の波長特性は660nm付近に第一ピークを有すると共に、450nm付近に第二のピークを有している。
【0085】
したがって、植物が葉を備え光合成が活発となる栽培段階では、赤色及び青色の両方の光成分を有することが生育に対して有効になる。
【0086】
一方、450nm付近の青色光は、植物の高エネルギー反応系と呼ばれる光反応系にも影響を及ぼし、植物の健全な形態形成に必要不可欠である。このため、発芽・育苗の段階では、青色光の成分の重要性が増す。
【0087】
これに対して、本実施の形態の基板型LED光源10においては、図5に示すように、クロロフィルの青色域吸収帯には本実施の形態の基板型LED光源10Aが適していると共に。クロロフィルの赤色域吸収帯には本実施の形態の基板型LED光源10Dが適していることが分かる。
【0088】
このように、本実施の形態の基板型LED光源10においては、樹脂7aと赤蛍光体7bとの配合比を変更するのみでクロロフィルの光吸収特性に容易に合わせることができることがわかる。
【0089】
ところで、光の分野では、光量の単位として例えば光量子束密度が用いられる。ここで、光量子束密度は、ある物質に太陽の光が照射している場合に、1秒間に照射される光子の数をその物質の受光面積で割った値をいう。しかし、光量子束密度という場合には、光子の数を数えるので、赤外光又は紫外光のいずれが来ても1個は1個である。一方、光化学反応は、色素が吸収できる光子が来たときだけに引き起こされる。例えば、植物の場合、クロロフィルに吸収されない光がいくら来ても、それは存在しないのと同じである。そこで、光合成の分野では、クロロフィルが吸収できる400nm〜700nmまでの波長領域だけの光合成有効光量子束密度又は光合成光量子束が定義されている。尚、光合成光量子束とは、光合成光量子束とは、光合成有効光量子束密度(PPFD:photosynthetic
photon flux density)に光照射面積をかけたものをいう。この値は、単にクロロフィルの赤域及び青域の吸収ピーク波長のエネルギーで表現した値ではなく、植物の成長に必要な光強度を求めるために、赤域及び青域の各吸収スペクトルに対応するエネルギー(すなわち光合成に必要なエネルギー)を光量子の量で表現した値である。また、光合成光量子束は、LED光源からのスペクトル特性と、各波長の光量子1個のエネルギーとから求めることができる。
【0090】
したがって、光合成光量子束を用いて基板型LED光源10を表すと、図3(a)に示す基板型LED光源10Aでは、光合成光量子束が波長400nm〜480nmの青色域では、1μmol/sであり、波長620nm〜700nmの赤色域では、1.3μmol/sとなっている。尚、この値は、波長400nm〜480nm及び波長620nm〜700nmの面積から求まる値である。そして、これを比率であらわすと、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:1.3となる。
【0091】
また、図4(a)に示す基板型LED光源10Dでは、光合成光量子束が波長400n
m〜480nmの青色域では、0.2μmol/sであり、波長620nm〜700nmの赤色域では、2.0μmol/sとなっている。そして、これを比率であらわすと、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:10となる。
【0092】
尚、図3(b)に示す基板型LED光源10Bでは、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:3.5となる。また、図4(a)に示す基板型LED光源10Cでは、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:7.5となる。
【0093】
したがって、本実施の形態では、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:1.3〜1:10となっている。この結果、植物の発芽・育苗及び栽培に適した基板型LED光源10とすることが好ましい。
【0094】
具体的には、発芽棚又は育苗棚に設置されることを目的とする場合には、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:1.3〜1:3.5となる基板型LED光源10A・10Bが好ましい。これにより、植物の発芽・育苗に適した基板型LED光源10A・10Bとすることができる。
【0095】
また、本実施の形態では、栽培棚に設置されることを目的とする場合には、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:7.5〜1:10となる基板型LED光源10C・10Dが好ましい。これにより、植物の栽培に適した基板型LED光源10C・10Dすることができる。
【0096】
また、本実施の形態の基板型LED光源10と従来の単独の植物栽培用の赤色LEDとの相対全光束における温度特性を図6に示す。図6において、横軸は搭載チップのジャンクション温度を示し、縦軸は相対全光束値を示している。図6に示すように、基板型LED光源10(図6において実線)と従来の単独の植物栽培用の赤色LED(図6において破線)とでは、高温領域において約10%の温度特性の差があることが判る。この理由は、赤色LEDの温度特性が悪いことに起因している。これに対して、本実施の形態の基板型LED光源10では赤色LEDの代わりに赤蛍光体7bにて構成しているため温度特性が向上している。延いては、基板型LED光源10及び後述する砲弾型LEDランプ40は、クロロフィルの光吸収特性の光吸収ピークによくあわせることができる。
【0097】
(赤蛍光体の材質)
ここで、上記の説明において、本実施の形態の基板型LED光源10では、赤蛍光体7bとして、CaAlSiN:Euを使用したが、必ずしもこれに限らず、例えば、(
Sr,Ca)AlSiN:Euを使用することも可能である。この(Sr,Ca)A
lSiNは、CaAlSiN:Euにおいて、Caの一部をSrに置換えて発光ピ
ーク波長を短波長にシフトさせたものであり、CaAlSiN:Euと同様に温度特
性が安定かつ高発光効率の蛍光体である。
【0098】
具体的には、特に、クロロフィルbよりもクロロフィルaを多く含む植物等に対しては、赤蛍光体7bとしてCaAlSiN:Eu(発光ピーク650〜660nm)を使
用することが好ましい。また、クロロフィルaよりもクロロフィルbを多く含む植物などに対しては赤蛍光体7bとしてより短波長側に発光ピーク(620〜630nm)をもつ
(Sr,Ca)AlSiN:Euを使用することが好ましい。
【0099】
また、赤蛍光体7bとして、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、LaS:Eu、YS:Eu、LiEuW、(Y,Gd,Eu)
、(Y,Gd,Eu)BO、及び/又はYVO:Eu、CaS:Eu,Ce
,Kを使用することも可能である。
【0100】
勿論、CaAlSiN:Euと(Sr,Ca)AlSiN:Euとを使用する等、赤蛍光体7bを2種類併用してもよいことはいうまでもない。クロロフィルaとクロロフィルbとが半分ずつ含まれる植物の栽培にとって有効である。
【0101】
また、クロロフィルの青色領域の光吸収特性に対しても青色LEDチップ2のピーク波長を、クロロフィルa及びクロロフィルbの吸収ピークに合致するように適宜選定してもよい。例えば、クロロフィルaを多く含む植物では430〜440nmにピークを有する青色LEDチップ2(タイプI)を使用し、クロロフィルbを多く含む植物では450〜460nmにピークを有する青色LEDチップ2(タイプII)を使用することが好ましい。
【0102】
さらに、青色LEDチップ2と赤蛍光体7bの組み合わせを、クロロフィルa及びクロロフィルbの各タイプに合致した組み合わせの基板型LED光源10としてもよい。例えば、タイプIの青色LEDチップ2と、CaAlSiN:Euからなる赤蛍光体7b
との組み合わせや、タイプIIの青色LEDチップ2と(Sr,Ca)AlSiN
Euからなる赤蛍光体7bとの組み合わせ等、それぞれの組み合わせ構成の基板型LED光源10とすることが可能である。
【0103】
この場合、それぞれ樹脂7aと赤蛍光体7bとの配合比を所望の光量割合になるように適宜調整する。
【0104】
(人間が作業するために必要な基板型LED光源(照明用LED光源)の構成)
上述した基板型LED光源10は、植物栽培用LED光源のものであったが、この基板型LED光源10を利用して人間が作業するために必要な照明用LED光源20とすることが可能であり、容易に行うことができる。
【0105】
すなわち、前述した基板型LED光源10の構成に加えて、図7(a)(b)(c)に示すように、複数の青色LEDチップ2…の上側を被覆する樹脂層7には、赤蛍光体7bに加えて緑蛍光体7cが追加して樹脂7aに混合分散されている。
【0106】
具体的には、照明用LED光源20は、セラミック基板1上に複数の青色LEDチップ2が搭載され、その周囲に立設壁3が立設されてなっている。
【0107】
本実施の形態では、青色LEDチップ2は、例えば、直列に12個ずつ並んだものが、並列に13列並んだ156個からなっている。尚、本発明においては、青色LEDチップ2の個数は必ずしも複数に限らず、1個でもよく、また、複数においても156個に限らない。さらに、複数個における並べ方についても問わない。
【0108】
上記各青色LEDチップ2は、立設壁3の内側において、各列の青色LEDチップ2の両側に設けられた配線パターン4aと配線パターン4bとにそれぞれ導電性ワイヤ5にて電気的に接続されている。そして、配線パターン4aと配線パターン4bとは、セラミック基板1上において立設壁3の外側に搭載されたカソード電極ランド6aとアノード電極ランド6bとにそれぞれ電気的に接続されている。
【0109】
そして、本実施の形態の照明用LED光源20には、図7(b)に示すように、立設壁3の内側に充填されて上記複数の青色LEDチップ2の上側を被覆する樹脂層7が設けられており、この樹脂層7には、赤蛍光体7bと緑蛍光体7cとがシリコーン樹脂からなる樹脂7aに混合分散されている。
【0110】
ここで、照明用LED光源20では、樹脂7aと赤蛍光体7bと緑蛍光体7cとの配合比は、例えば1:0.01:0.10となっている。この配合比により、図7(c)に示す発光スペクトルが得られる。図7(c)に示す発光スペクトルにおいては、人間が最も明るく感じる波長550nm付近の光量が増加しているのが把握できる。したがって、照明用LED光源20は人間が作業するための照明光源として有効であることが判る。
【0111】
(植物工場への適用)
次に、本実施の形態の基板型LED光源10の植物工場への適用例について、図8に基づいて説明する。図8は本実施の形態の基板型LED光源10及び照明用LED光源20を使用する植物工場30の一例を示す図である。
【0112】
本実施の形態の植物工場30においては、図8に示すように、発芽棚には基板型LED光源10Aを例えば1300個設置する。また、育苗棚には基板型LED光源10Aを4600個設置する。さらに、栽培棚には基板型LED光源10Dを17000個設置する。また、出荷棚では、人間が作業を行うので、照明用LED光源20を370個設置する。
【0113】
このように、本実施の形態の発光装置は、光合成を行うべく生育に光を必要とする植物によって吸収される光における複数のピーク波長のうち、相対的に短波長域の第1ピーク波長としてのクロロフィルの青色域吸収ピークに対応した波長が400〜480nmの第1短波長域光を発する少なくとも1個の第1LEDチップとしての青色LEDチップ2と、青色LEDチップ2を覆う蛍光体含有封止樹脂としての樹脂層7とを備えている。樹脂層7に含有された蛍光体としての赤蛍光体7bは、青色LEDチップ2が出射する第1短波長域光を吸収することにより、複数のピーク波長のうち、上記第1ピーク波長よりも長波長域のピーク波長であるクロロフィルの赤色域吸収ピークに対応した波長620〜700nmの長波長域光を出力する。
【0114】
すなわち、光合成を行う植物の生育には、相対的に短波長域の第1ピーク波長と、第1ピーク波長よりも長波長域のピーク波長の光が必要となる場合が多い。そこで、本実施の形態では、第1ピーク波長に対応した第1短波長域光を発する少なくとも1個の青色LEDチップ2と、青色LEDチップ2を覆う樹脂層7とを備えている。そして、樹脂層7に含有された赤蛍光体7bは、第1ピーク波長よりも長波長域のピーク波長に対応した長波長域光を発する。
【0115】
この結果、独立した青色LEDチップと独立した赤色LEDチップとの2種類のLEDチップを使用しなくても、1種類の青色LEDチップにて植物等の生物の成長に必要なクロロフィル等の青色域吸収ピークと赤色域吸収ピークとに対応する光を出射することができる。このため、設置面積を増大することがない。そして、この構成においては、赤蛍光体は樹脂層に分散されていることから、赤蛍光体を樹脂に所定の配合比にて分散させることが可能であり、その配合比に応じて青色域と赤色域における光量を変化させることができる。
【0116】
したがって、設置面積を増大させることなく、簡単な構成で青色域と赤色域との光量割合を容易に調整し得ると同時に空間的に色むらの少ない青色光及び赤色光の混色光を放出
し得る発光装置を提供することができる。
【0117】
また、本実施の形態の植物栽培用LED光源は、クロロフィルの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個の青色LEDチップ2と、青色LEDチップ2からの励起光により、クロロフィルの赤色域吸収ピークに対応すべく発光ピークが波長620〜700nmの光を発光する赤蛍光体7bと、赤蛍光体7bを分散して上記少なくとも1個の青色LEDチップ2を覆う樹脂層7とが設けられている。
【0118】
上記の構成によれば、植物栽培用LED光源は、少なくとも1個の青色LEDチップ2とこの青色LEDチップ2を覆う赤蛍光体7bを分散した樹脂層7とからなっている。そして、この構成において、青色LEDチップ2にてクロロフィルの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で光を出力することができる。そして、赤蛍光体7bは、青色LEDチップ2からの励起光により、クロロフィルの赤色域吸収ピークに対応すべく発光ピークが波長620〜700nmの光を発光する。
【0119】
この結果、独立した青色LEDチップ2と独立した赤色LEDチップとの2種類のLEDチップを使用しなくても、1種類の青色LEDチップ2にて植物の成長に必要なクロロフィルの青色域吸収ピークと赤色域吸収ピークとに対応する光を出射することができる。このため、設置面積を増大することがない。そして、この構成においては、赤蛍光体7bは樹脂層に分散されていることから、赤蛍光体7bを樹脂に所定の配合比にて分散させることが可能であり、その配合比に応じて青色域と赤色域における光量を変化させることができる。
【0120】
したがって、設置面積を増大させることなく、簡単な構成で青色域と赤色域との光量割合を容易に調整し得ると同時に空間的に色むらの少ない青色光及び赤色光の混色光を放出し得る植物栽培用LED光源を提供することができる。
【0121】
また、本実施の形態の基板型LED光源10では、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:1.3〜1:10となっていることが好ましい。この結果、植物の発芽・育苗及び栽培に適した基板型LED光源10とすることが可能となる。
【0122】
また、本実施の形態の基板型LED光源10では、樹脂層7における樹脂7aと赤蛍光体7bとの配合比は1:0.05〜1:0.20となっている。この結果、植物の発芽・育苗及び栽培に適した基板型LED光源10とすることが可能となる。
【0123】
また、本実施の形態の基板型LED光源10では、発芽棚又は育苗棚に設置されることを目的とする場合には、樹脂層7における樹脂7aと赤蛍光体7bとの配合比は1:0.05〜1:0.10となっていることが好ましい。
【0124】
すなわち、植物の光合成において中心的な役割を担うクロロフィル(葉緑素)は、光を一様に吸収するのではなく、赤色660nm付近と青色450nm付近に明確な吸収ピークを示し、これに関係して光合成の波長特性は660nm付近に第一ピークを有する一方、450nm付近に第二のピークを有している。つまり、葉を備え光合成が活発となる栽培段階では、青色及び赤色の両方の光成分を有することが生育に対して有効になる。一方、450nm付近の青色光は植物の高エネルギー反応系と呼ばれる光反応系にも影響を及ぼし、植物の健全な形態形成に必要不可欠である。したがって、発芽・育苗の段階では、青色光の成分の重要性が増す。
【0125】
この点、本実施の形態では、樹脂層7における樹脂7aと赤蛍光体7bとの配合比は1:0.05〜1:0.10となっている。このため、この配合比とすることによって、発芽・育苗の段階において植物の健全な形態形成に必要不可欠である青色光の成分の光を容易に出射する基板型LED光源10を提供することができる。
【0126】
また、本実施の形態の基板型LED光源10では、栽培棚に設置されることを目的とする場合には、樹脂層7における樹脂7aと赤蛍光体7bとの配合比は1:0.15〜1:0.20となっている。これにより、葉を備え光合成が活発となる栽培段階において、青色及び赤色の両方の光成分を有する光を容易に出射する基板型LED光源10を提供することができる。
【0127】
また、本実施の形態の基板型LED光源10では、発芽棚又は育苗棚に設置されることを目的とする場合には、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:1.3〜1:3.5となっていることが好ましい。これにより、植物の発芽・育苗に適した基板型LED光源10とすることが可能となる。
【0128】
また、本実施の形態の基板型LED光源10では、栽培棚に設置されることを目的とする場合には、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:7.5〜1:10となっていることが好ましい。これにより、植物の栽培に適した基板型LED光源10することが可能となる。
【0129】
また、本実施の形態の基板型LED光源10では、赤蛍光体7bは、クロロフィルbよりもクロロフィルaを多く含む植物栽培には、CaAlSiN:Eu系の成分を有し
てなっていることが好ましい。
【0130】
すなわち、植物は、クロロフィルaとクロロフィルbとを有している。ここで、クロロフィルaとクロロフィルbとはそれぞれ光吸収特性が異なっている。具体的には、クロロフィルaは赤色領域では650〜660nmに吸収ピークを有し、クロロフィルbは赤色領域では620〜630nmに吸収ピークを有している。
【0131】
そこで、本実施の形態では、赤蛍光体7bは、クロロフィルbよりもクロロフィルaを多く含む植物栽培には、CaAlSiN:Eu系の成分を有してなっている。すなわ
ち、CaAlSiN:Eu系の成分を有する赤蛍光体は、発光ピーク650〜660
nmの波長を出射することができる。
【0132】
したがって、クロロフィルbよりもクロロフィルaを多く含む植物栽培には、CaAlSiN:Eu系の成分を有する赤蛍光体7bを使用するのが好ましい。
【0133】
また、本実施の形態の基板型LED光源10では、赤蛍光体7bは、クロロフィルaよりもクロロフィルbを多く含む植物栽培には、(Sr,Ca)AlSiN:Eu系の
成分を有してなっていることが好ましい。
【0134】
すなわち、クロロフィルbは赤色領域では620〜630nmに吸収ピークを有していると共に、(Sr,Ca)AlSiN:Eu系の成分を有する赤蛍光体は、発光ピー
ク620〜630nmの波長を出射することができる。
【0135】
したがって、クロロフィルaよりもクロロフィルbを多く含む植物栽培には、(Sr,Ca)AlSiN:Eu系の成分を有する赤蛍光体7bを使用するのが好ましい。
【0136】
また、本実施の形態の基板型LED光源10では、セラミック基板1上に複数の青色LEDチップ2が搭載され、その周囲に立設壁3が設けられていると共に、立設壁3の内側には赤蛍光体7bを分散した樹脂7aが充填されている。
【0137】
これにより、いわゆる基板型の基板型LED光源10の構成とすることができる。そして、この構成においては、1個の基板型LED光源10について、複数の青色LEDチップ2が用いられているので、1個の基板型LED光源10で大光量の光を出射することができる。また、赤色LEDチップの代わりとして樹脂7aに分散された赤蛍光体7bを使用しているので、複数の青色LEDチップ2に対応する複数の赤色LEDチップに相当する設置面積を大幅に縮小することができる。
【0138】
したがって、1個の基板型LED光源10によって、少ない設置面積にて大光量の光を出射することが可能となる。
【0139】
また、本実施の形態の基板型LED光源10では、波長400〜480nmの第1光と波長620〜700nmの第2光とが出射される。
【0140】
これにより、植物育成に必要な青色及び赤色の両ピークを1個の基板型LED光源10にて生成することができることになる。このように、1個の基板型LED光源10とすることによって、基板型LED光源10の設置面積の縮小が可能となり、信頼性が高まり、植物工場等での使用に適した光源とすることができる。
【0141】
また、本実施の形態の基板型LED光源10では、第1光は青色LEDチップ2からの光であり、第2光は赤蛍光体7bから放出される光である。すなわち、基板型LED光源10では、発光部の近傍でクロロフィルの光吸収特性の光吸収ピークが生成されている。このことから基板型LED光源10からの第1光と第2光が均一に照射される。すなわち、基板型LED光源10では、発光部の近傍でクロロフィルの光吸収特性の光吸収ピークが生成されている。このことから基板型LED光源10からの第1光と第2光が均一に照射される。
【0142】
具体的には、青色LEDチップ2から出射される第1光は、一部は赤蛍光体7bに吸収されて該赤蛍光体7bから第2光が出射され、残りは赤蛍光体7bにより散乱される。そして、赤蛍光体7bは蛍光体1個1個が点光源であるので、青色光又は赤色光が均一に発光する。
【0143】
この結果、植物育成に必要な青色及び赤色の両ピークを1個の基板型LED光源10にて生成することができることになる。このように、1個の基板型LED光源10とすることによって、基板型LED光源10の設置面積の縮小が可能となり、信頼性が高まり、植物工場等での使用に適した光源とすることができる。
【0144】
また、本実施の形態の植物工場30は、上記基板型LED光源10A及び/又は基板型LED光源10B、並びに基板型LED光源10C及び/又は基板型LED光源10Dを備えている。
【0145】
それゆえ、設置面積を増大させることなく、簡単な構成で青色域と赤色域との光量割合を容易に調整し得る基板型LED光源10を備えた植物工場30を提供することができる。
【0146】
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の
変更が可能である。
【0147】
例えば、図1(a)(b)においては、セラミック基板1の裏面には何も設けられていないが、特にこれに限定するものではない。例えば、基板型LED光源10の放熱板を兼ねるセラミック基板1の裏面側、つまり青色LEDチップ2を搭載した面とは反対側に、フィン付きヒートシンクを取り付けることが可能である。これにより、植物工場の室内において、エアーフローを利用することにより、フィン付きヒートシンクにてセラミック基板1を冷却することが可能となる。尚、この場合、フィン付きヒートシンクの開口部はエアーフローの方向と同じ方向であることが好ましい。
【0148】
また、セラミック基板1の裏面に、液体培養液を循環させる管を設けた構成とすることも可能である。これにより、基板型LED光源10を好適に冷却することが可能となり、安定したクロロフィルの光吸収特性の光吸収ピークに合う第1光と第2光とを照射することができる。
【0149】
このように、本実施の形態の基板型LED光源10では、セラミック基板1の裏面には、冷却手段としてのフィン付きヒートシンクが設けられていることが好ましい。
【0150】
これにより、高温になった青色LEDチップ2を冷却することが可能となる。
【0151】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0152】
前記実施の形態1にて説明した基板型LED光源10及び照明用LED光源20は、セラミック基板1上に少なくとも1個以上の青色LEDチップ2が搭載されたものからなっていた。しかし、図9(a)(b)に示すように、本実施の形態の植物栽培用LED光源は、形状が一般的な砲弾型の形態を有している点が異なっている。
【0153】
本実施の形態の植物栽培用LED光源の構成について、図9(a)(b)に基づいて説明する。図9(a)(b)は、砲弾型LEDランプの構成を示す模式的断面図である。
【0154】
本実施の形態の植物栽培用LED光源としての砲弾型LEDランプ40は、図9(a)(b)に示すように、カップとしてのマウントリードカップ41内に接着された青色LEDチップ2と、シリコーン樹脂からなる樹脂7a及び赤蛍光体7bからなる樹脂層7と、導線としての導電性ワイヤ5と、アノードリードとしてのアノードリードフレーム42と、カソードリードとしてのカソードリードフレーム43と、砲弾型に形成し、上記アノードリードフレーム42及びカソードリードフレーム43の先端を除いて全体を砲弾型に封止するエポキシ樹脂からなる封止樹脂44とからなっている。赤蛍光体7bは、例えば、CaAlSiN:Euを使用することができる。
【0155】
上記砲弾型LEDランプ40を製造するときには、マウントリードカップ41内に、青色LEDチップ2を接着する。次いで、青色LEDチップ2と図示しないマウントリード、及び青色LEDチップ2と図示しないインナーリードとは、それぞれ導電性ワイヤ5にて導通する。その後、赤蛍光体7bを樹脂7aに混合、分散させ、マウントリードカップ41内に流し込むことにより樹脂層7を形成する。この結果、樹脂層7にて青色LEDチップ2を被覆し、固定している。最後に、全体をエポキシ樹脂からなる封止樹脂44によるモールド部材で被覆及び保護する。
【0156】
上記砲弾型LEDランプ40では、青色LEDチップ2は、第1光としての波長400nm〜480nmの光を発生する。この第1光は、クロロフィルの青色域吸収ピークに対応する。一方、赤蛍光体7bは、青色LEDチップ2の光を吸収して発光ピークが波長620〜700nmの第2光を発光する。この第2光がクロロフィルの赤色域吸収ピークに対応する。
【0157】
そして、本実施の形態では、図9(a)に示す本実施の形態の砲弾型LEDランプ40では、樹脂7aと赤蛍光体7bとの配合比が1:0.05とした砲弾型LEDランプ40Aとなっており、実施の形態1の基板型LED光源10Aと同じ図3(a)に示すスペクトルを出力するようになっている。したがって、砲弾型LEDランプ40Aはクロロフィルの青色域吸収ピークに対応しており、発芽・育苗用に使用するのが好ましい。ただし、必ずしもこれに限らず、樹脂7aと赤蛍光体7bとの配合比が1:0.10〜1:0.15とした砲弾型LEDランプ40をすることも可能である。
【0158】
一方、図9(b)に示す砲弾型LEDランプ40は、樹脂7aと赤蛍光体7bとの配合比が1:0.20とした砲弾型LEDランプ40Dとなっている。したがって、この砲弾型LEDランプ40Dは、実施の形態1の基板型LED光源10Dと同じ図4(b)に示すスペクトルを出力するようになっている。これにより、砲弾型LEDランプ40Dは、クロロフィルの赤色域吸収ピークに対応しており、栽培用に使用するのが好ましいものとなっている。
【0159】
このような砲弾型LEDランプ40は、実施の形態1にて説明したセラミック基板1に青色LEDチップ2を搭載した基板型LED光源10が取り付けることが難しい箇所に取り付ける。このことからすると、基板型LED光源10が取り付けることが難しい箇所は少ないと考えられるので、実施の形態1の基板型LED光源10と実施の形態2の砲弾型LEDランプ40とを併用を行ってもよい。
【0160】
最後に、実施の形態1の基板型LED光源10と実施の形態2の砲弾型LEDランプ40と従来の赤色砲弾型LEDランプと青色砲弾型LEDランプとを組み合わせたものとの比較を表1に示す。
【0161】
【表1】

【0162】
表1に示すように、本実施の形態1の基板型LED光源10、及び本実施の形態2の砲
弾型LEDランプ40は、従来の赤色砲弾型LEDランプと青色砲弾型LEDランプとを組み合わせたものと比べて、信頼性、コスト、特性、設置面積、寿命の全ての点で優れていることが把握される。
【0163】
具体的には、設置面積については、従来技術である青色砲弾型LEDと赤色砲弾型LEDとを組み合わせたときの設置面積を1とすると、砲弾型LEDランプ40では1/3となり、基板型LED光源10及び照明用LED光源20では1/6となる。このため、本実施の形態の基板型LED光源10及び照明用LED光源20並びに砲弾型LEDランプ40では、設置面積が少なくてすむという特徴がある。
【0164】
また、コストについても、本実施の形態の基板型LED光源10及び照明用LED光源20並びに砲弾型LEDランプ40では、従来に比べてコストメリットがあることが明らかである。
【0165】
さらに、基板型LED光源10及び照明用LED光源20の寿命は3〜4万時間と、電熱型ランプ(電球)はいうまでもなく、蛍光灯ランプに比べても十倍以上も長寿命である。
【0166】
このように、本実施の形態の植物栽培用LED光源としての砲弾型LEDランプ40では、カソードリードフレーム43と、カソードリードフレーム43に接続されたマウントリードカップ41と、マウントリードカップ41内に搭載された少なくとも1個の青色LEDチップ2と、マウントリードカップ41内に搭載された青色LEDチップ2から導電性ワイヤ5を介して接続されたアノードリードフレーム42と、マウントリードカップ41内で、青色LEDチップ2を覆うように充填された、赤蛍光体7bを分散した樹脂層7と、カソードリードフレーム43とアノードリードフレーム42との各端部を露出した状態で、マウントリードカップ41全体を砲弾状に封止した封止樹脂44とを備えている。
【0167】
これにより、いわゆる砲弾型の砲弾型LEDランプ40とすることができる。そして、このような砲弾型の砲弾型LEDランプ40は設置面積が狭いので、植物栽培のスポット照射に適している。
【0168】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0169】
前記実施の形態1にて説明した基板型LED光源10、及び実施の形態2にて説明した砲弾型LEDランプ40は、クロロフィルの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個の青色LEDチップを有していた。
【0170】
しかしながら、本実施の形態の植物栽培用LED光源では、青色LEDチップは、クロロフィルaの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜450nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個のクロロフィルa用青色LEDチップと、クロロフィルbの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個のクロロフィルb用青色LEDチップとからなっている点が異なっている。
【0171】
すなわち、本実施の形態の植物栽培用LED光源としての基板型LED光源50は、図
10(a)に示すように、基板としてのセラミック基板1上に複数の青色LEDチップ2と青色LEDチップ52とが搭載され、その周囲に樹脂からなる立設壁3が設けられてなっている。
【0172】
上記各青色LEDチップ2及び各青色LEDチップ52は、図10(b)に示すように、立設壁3の内側において、各列の青色LEDチップ2・52の両側に設けられた配線パターン4aと配線パターン4bとにそれぞれ導電性ワイヤ5にて接続されている。そして、配線パターン4aと配線パターン4bとは、セラミック基板1上において立設壁3の外側に搭載されたカソード電極ランド6aとアノード電極ランド6bとにそれぞれ接続されている。
【0173】
上記立設壁3の内側には、図10(a)に示すように、複数の青色LEDチップ2・52の上側を被覆する樹脂層7が設けられている。この樹脂層7は、充填された樹脂7aに赤蛍光体7bが混合分散されたものからなっている。
【0174】
そして、本実施の形態の青色LEDチップ2は、クロロフィルbの青色域吸収ピークに対応する第1光としての波長400nm〜480nmの青色領域長波長の光を発生する。したがって、青色領域長波長用の青色LEDチップ2は、本発明のクロロフィルb用青色LEDチップとして機能している。
【0175】
一方、本実施の形態の青色LEDチップ52は、クロロフィルaの青色域吸収ピークに対応する第1光としての波長400nm〜450nmの青色領域短波長の光を発生する。したがって、青色領域短波長用の青色LEDチップ52は、本発明のクロロフィルa用青色LEDチップとして機能している。
【0176】
また、赤蛍光体7bは、青色LEDチップ2及び青色LEDチップ52の光を吸収してクロロフィルa及びクロロフィルbの赤色域吸収ピークに対応する発光ピークが波長620〜700nmの第2光を発光するものとなっている。
【0177】
すなわち、植物は、クロロフィルaとクロロフィルbとを有している。ここで、クロロフィルaとクロロフィルbとは青色領域における光吸収特性がそれぞれ異なっている。具体的には、前記実施の形態1で説明した図5に示すように、クロロフィルaは青色領域においては400〜450nmに吸収ピークを有し、クロロフィルbは青色領域においては400〜480nmに吸収ピークを有している。
【0178】
そこで、本実施の形態の植物栽培用LED光源としての基板型LED光源50では、青色LEDチップは、クロロフィルaの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜450nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個のクロロフィルa用青色LEDチップとしての青色領域短波長用の青色LEDチップ52と、クロロフィルbの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個のクロロフィルb用青色LEDチップとしての青色領域長波長用の青色LEDチップ2とからなっている。
【0179】
この結果、クロロフィルa及びクロロフィルbを有する植物に、より適した植物栽培用LED光源を提供することができる。
【0180】
尚、上記の説明では、基板型LED光源10の構成を一部変更した植物栽培用LED光源としての基板型LED光源50について説明した。しかし、本発明の植物栽培用LED光源については、必ずしもこれに限らず、実施の形態2にて説明した砲弾型LEDランプ40の構成を一部変更した砲弾型LEDランプについても適用が可能である。
【0181】
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜実施の形態3と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜実施の形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0182】
前記実施の形態1〜実施の形態3では、光合成を行うべく生育に光を必要とする植物を対象とした植物栽培用LED光源について説明した。しかしながら、本発明の発光装置は、植物に限らず光合成を行うべく生育に光を必要とする藻類を対象にすることも可能である。したがって、本実施の形態では、光合成を行う藻類への適用について説明する。
【0183】
すなわち、光合成を行うクロロフィルa,b以外に色素として、クロロフィル色素系のクロロフィルc、バクテリオクロロフィルa(835nm)、及びカロテノイド色素系のβカロテン(446nm)、ルテイン、フコキサンチン(453nm)、並びにフィコピリン色素系の及びフィコシアニン(612nm)、フィコエリトリン(540nm)が挙げられる。尚、カッコ内の数値は吸収ピークの波長である。上述したように、バクテリオクロロフィルは800nm以上に吸収ピークがある。
【0184】
ここで、各種の藻類においては、具体的には以下の色素を有している。
【0185】
まず、ケイ藻類は、主な色素としてクロロフィルaとフコキサンチン(453nm)とを有している。上記クロロフィルaは、前述したように、青色領域においては400〜450nmに吸収ピークを有しており、赤色領域では650〜660nmに吸収ピークを有している。
【0186】
したがって、この場合、光合成を行うべく生育に光を必要とするケイ藻類によって吸収される光における複数のピーク波長のうち、相対的に短波長域であるフコキサンチンの第1ピーク波長453nmに対応した第1短波長域光を発する少なくとも1個の第1LEDチップとしての青色系LEDチップと、該青色系LEDチップを覆う蛍光体含有封止樹脂とを備えていると共に、上記蛍光体含有封止樹脂に含有された蛍光体としての赤蛍光体は、上記青色系LEDチップが出射する第1短波長域光を吸収することにより、上記複数のピーク波長のうち、第1ピーク波長453nmよりも長波長域のクロロフィルaのピーク波長650〜660nmに対応した長波長域光を発する発光装置とするのが好ましい。これにより、ケイ藻類の成長を促進することができる。
【0187】
また、ケイ藻類の場合、複数のピーク波長のうち、相対的に短波長域のピーク波長であって、かつフコキサンチンの第1ピーク波長453nmとは異なるクロロフィルaの第2ピーク波長400〜450nmに対応した第2短波長域光を発する、少なくとも1個の第2LEDチップを備えているとすることが可能である。これにより、ケイ藻類の成長をさらに促進することができる。
【0188】
次に、緑藻類は、主な色素としてクロロフィルa,bとβカロテン(446nm)とを有している。前述したように、クロロフィルaは青色領域においては400〜450nmに吸収ピークを有し、赤色領域では650〜660nmに吸収ピークを有している。また、クロロフィルbは青色領域においては400〜480nmに吸収ピークを有し、赤色領域では620〜630nmに吸収ピークを有している。
【0189】
したがって、この場合、光合成を行うべく生育に光を必要とする緑藻類によって吸収される光における複数のピーク波長のうち、相対的に短波長域であるβカロテンの第1ピー
ク波長446nmに対応した第1短波長域光を発する少なくとも1個の第1LEDチップとしての青色系LEDチップと、該青色系LEDチップを覆う蛍光体含有封止樹脂とを備えていると共に、上記蛍光体含有封止樹脂に含有された蛍光体としての赤蛍光体は、上記青色系LEDチップが出射する第1短波長域光を吸収することにより、上記複数のピーク波長のうち、第1ピーク波長446nmよりも長波長域のクロロフィルaのピーク波長650〜660nm及びクロロフィルbのピーク波長620〜630nmに対応した長波長域光を発する発光装置とするのが好ましい。これにより、緑藻類の成長を促進することができる。
【0190】
次に、ラン藻類は、主な色素としてクロロフィルaとフィコシアニン(612nm)とを有している。前述したように、上記クロロフィルaは、青色領域においては400〜450nmに吸収ピークを有している。
【0191】
したがって、この場合、光合成を行うべく生育に光を必要とするラン藻類によって吸収される光における複数のピーク波長のうち、相対的に短波長域であるクロロフィルaの第1ピーク波長400〜450nmに対応した第1短波長域光を発する少なくとも1個の第1LEDチップとしての青色系LEDチップと、該青色系LEDチップを覆う蛍光体含有封止樹脂とを備えていると共に、上記蛍光体含有封止樹脂に含有された蛍光体としての赤蛍光体は、上記青色系LEDチップが出射する第1短波長域光を吸収することにより、上記複数のピーク波長のうち、第1ピーク波長400〜450nmよりも長波長域のフィコシアニンのピーク波長612nmに対応した長波長域光を発する発光装置とするのが好ましい。これにより、ラン藻類の成長を促進することができる。
【0192】
この場合、赤蛍光体の吸収ピーク波長に一致する青色LEDチップを用いることも可能である。
【0193】
すなわち、まず、相対的に短波長域であるクロロフィルaの第1ピーク波長400〜450nmに対応した第1短波長域光を発する少なくとも1個の第1LEDチップとしての第1青色系LEDチップと、該第1青色系LEDチップを覆う蛍光体含有封止樹脂とを備えていると共に、上記蛍光体含有封止樹脂に含有された蛍光体としての第1赤蛍光体は、上記第1青色系LEDチップが出射する第1短波長域光を吸収することにより、上記複数のピーク波長のうち、第1ピーク波長400〜450nmよりも長波長域のクロロフィルaのピーク波長650〜660nmに対応した長波長域光を発光する。
【0194】
次に、相対的に短波長域のピーク波長であって、かつクロロフィルaの第1ピーク波長400〜450nmとは異なる第2ピーク波長に対応した第2短波長域光を発する、少なくとも1個の第2LEDチップとしての第2青色系LEDチップを設ける。
【0195】
この第2青色系LEDチップにおいては、蛍光体含有封止樹脂に含有された蛍光体としての第2赤蛍光体は、第2青色系LEDチップが出射する第1短波長域光を吸収することにより、上記複数のピーク波長のうち、第1ピーク波長400〜450nmよりも長波長域のフィコシアニンのピーク波長612nmに対応した長波長域光を発光するようにする。
【0196】
これにより、第1短波長域光を発光する第1青色系LEDチップの第1赤蛍光体では、相対的に長波長域のフィコシアニンのピーク波長612nmに対応した長波長域光を発することができない場合に、第2短波長域光を発光する第2青色系LEDチップを用いることにより、第2赤蛍光体にてフィコシアニンのピーク波長612nmに対応した長波長域光を発光することが可能である。
【0197】
この結果、フィコシアニンに対して、より発光強度の強い赤色波長領域の光りが発光装置から出射され、ひいてはラン藻類の発育が良好となる。
【0198】
尚、このような方法は、ラン藻類だけではなく他の生物の栽培、培養にも用いることができる。
【0199】
このような発光装置を用いることにより、ケイ藻類、緑藻類、ラン藻類等の藻類を発光装置にて照射することによって、ケイ藻類、緑藻類、ラン藻類等の藻類の成長を促進することができる。
【0200】
また、独立した青色LEDチップと独立した赤色LEDチップとの2種類のLEDチップを使用しなくても、1種類の青色LEDチップにて藻類等の生物の成長に必要なクロロフィル等の青色域吸収ピークと赤色域吸収ピークとに対応する光を出射することができる。このため、設置面積を増大することがない。そして、この構成においては、赤蛍光体は樹脂層に分散されていることから、赤蛍光体を樹脂に所定の配合比にて分散させることが可能であり、その配合比に応じて青色域と赤色域における光量を変化させることができる。
【0201】
したがって、設置面積を増大させることなく、簡単な構成で青色域と赤色域との光量割合を容易に調整し得ると同時に空間的に色むらの少ない青色光及び赤色光の混色光を放出し得る発光装置を提供することができる。
【0202】
また、本実施の形態の発光装置では、複数のピーク波長のうち、相対的に短波長域のピーク波長であって、かつ第1ピーク波長とは異なる第2ピーク波長に対応した第2短波長域光を発する、少なくとも1個の第2LEDチップを備えているとすることができる。
【0203】
この結果、相対的に短波長域のピーク波長が第1ピーク波長と第2ピーク波長との2種類存在する場合においても、適切に藻類等の生物の成長を促す発光装置を提供することができる。
【0204】
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明は、光合成を行うべく生育に光を必要とする植物又は藻類によって吸収される光を発光する発光装置、並びに植物栽培用LED光源及び植物工場に適用することができる。
【符号の説明】
【0206】
1 セラミック基板(基板)
2 青色LEDチップ(クロロフィルb用青色LEDチップ、第1LEDチップ)
3 立設壁
7 樹脂層(蛍光体含有封止樹脂)
7a 樹脂
7b 赤蛍光体(蛍光体)
7c 緑蛍光体
10 基板型LED光源(植物栽培用LED光源)
10A 基板型LED光源(植物栽培用LED光源)
10B 基板型LED光源(植物栽培用LED光源)
10C 基板型LED光源(植物栽培用LED光源)
10D 基板型LED光源(植物栽培用LED光源)
20 照明用LED光源
30 植物工場
40 砲弾型LEDランプ(植物栽培用LED光源)
40A 砲弾型LEDランプ(植物栽培用LED光源)
40D 砲弾型LEDランプ(植物栽培用LED光源)
41 マウントリードカップ(カップ)
42 アノードリードフレーム(アノードリード)
43 カソードリードフレーム(カソードリード)
44 封止樹脂
50 基板型LED光源(植物栽培用LED光源)
52 青色LEDチップ(クロロフィルa用青色LEDチップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光合成を行うべく生育に光を必要とする植物又は藻類によって吸収される光における複数のピーク波長のうち、相対的に短波長域の第1ピーク波長に対応した第1短波長域光を発する少なくとも1個の第1LEDチップと、
上記第1LEDチップを覆う蛍光体含有封止樹脂とを備えていると共に、
上記蛍光体含有封止樹脂に含有された蛍光体は、上記第1LEDチップが出射する第1短波長域光を吸収することにより、上記複数のピーク波長のうち、上記第1ピーク波長よりも長波長域のピーク波長に対応した長波長域光を発することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記複数のピーク波長のうち、前記相対的に短波長域のピーク波長であって、かつ前記第1ピーク波長とは異なる第2ピーク波長に対応した第2短波長域光を発する、少なくとも1個の第2LEDチップを備えていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の発光装置を用いた植物栽培用LED光源であって、
クロロフィルの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個の青色LEDチップと、
上記青色LEDチップからの励起光により、クロロフィルの赤色域吸収ピークに対応すべく発光ピークが波長620〜700nmの光を発光する赤蛍光体と、
上記赤蛍光体を分散して上記青色LEDチップを覆う樹脂層とが設けられていることを特徴とする植物栽培用LED光源。
【請求項4】
前記青色LEDチップは、
クロロフィルaの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜450nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個のクロロフィルa用青色LEDチップと、
クロロフィルbの青色域吸収ピークに対応すべく波長が400〜480nmの範囲で発光ピークを有する少なくとも1個のクロロフィルb用青色LEDチップとからなっていることを特徴とする請求項3記載の植物栽培用LED光源。
【請求項5】
波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:1.3〜1:10となっていることを特徴とする請求項3又は4記載の植物栽培用LED光源。
【請求項6】
前記樹脂層における樹脂と赤蛍光体との配合比は1:0.05〜1:0.20となっていることを特徴とする請求項3,4又は5記載の植物栽培用LED光源。
【請求項7】
発芽棚又は育苗棚に設置されることを目的とする場合には、前記樹脂層における樹脂と赤蛍光体との配合比は1:0.05〜1:0.10となっていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の植物栽培用LED光源。
【請求項8】
栽培棚に設置されることを目的とする場合には、前記樹脂層における樹脂と赤蛍光体との配合比は1:0.15〜1:0.20となっていることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の植物栽培用LED光源。
【請求項9】
発芽棚又は育苗棚に設置されることを目的とする場合には、波長400nm〜480nmの青色域における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:1.3〜1:3.5となっていることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の植物栽培用LED光源。
【請求項10】
栽培棚に設置されることを目的とする場合には、波長400nm〜480nmの青色域
における光合成光量子束と、波長620nm〜700nmの赤色域における光合成光量子束との比が、1:7.5〜1:10となっていることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の植物栽培用LED光源。
【請求項11】
前記赤蛍光体は、クロロフィルbよりもクロロフィルaを多く含む植物栽培には、CaAlSiN:Eu系の成分を有してなっていることを特徴とする請求項3〜10のい
ずれか1項に記載の植物栽培用LED光源。
【請求項12】
前記赤蛍光体は、クロロフィルaよりもクロロフィルbを多く含む植物栽培には、(Sr,Ca)AlSiN:Eu系の成分を有してなっていることを特徴とする請求項3
〜9のいずれか1項に記載の植物栽培用LED光源。
【請求項13】
基板上に複数の青色LEDチップが搭載され、その周囲に立設壁が設けられていると共に、
上記立設壁の内側には前記赤蛍光体を分散した樹脂が充填されていることを特徴とする請求項3〜12のいずれか1項に記載の植物栽培用LED光源。
【請求項14】
カソードリードと、
上記カソードリードに接続されたカップと、
上記カップ内に搭載された少なくとも1個の前記青色LEDチップと、
上記カップ内に搭載された青色LEDチップから導線を介して接続されたアノードリードと、
上記カップ内で、上記青色LEDチップを覆うように充填された、前記赤蛍光体を分散した樹脂層と、
上記カソードリードとアノードリードとの各端部を露出した状態で、カップ全体を砲弾状に封止した封止樹脂とを備えていることを特徴とする請求項3〜12のいずれか1項に記載の植物栽培用LED光源。
【請求項15】
波長400〜480nmの第1光と波長620〜700nmの第2光とが出射されることを特徴とする請求項3〜14のいずれか1項に記載の植物栽培用LED光源。
【請求項16】
前記青色LEDチップから放出される第1光と、前記青色LEDチップによって励起され赤蛍光体から放出される第2光とを出射することを特徴とする請求項3〜15のいずれか1項に記載の植物栽培用LED光源。
【請求項17】
前記基板の裏面には、冷却手段が設けられていることを特徴とする請求項13記載の植物栽培用LED光源。
【請求項18】
請求項9記載の植物栽培用LED光源及び請求項10記載の植物栽培用LED光源を備えていることを特徴とする植物工場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−99254(P2013−99254A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229239(P2011−229239)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】