説明

植物生長調節剤

【課題】禾本科作物の植物生長調節剤及び生長調節方法を提供すること。
【解決手段】
テブコナゾールを有効成分として含有することを特徴とする禾本科作物のための植物生長調節剤及びテブコナゾールを用いる禾本科作物のための植物生長調節方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物生長調節剤に関する。詳しくは禾本科作物の生長調節剤に関する。
【背景技術】
【0002】
稲作栽培において、稲体の節間伸長を抑えることは、健全な稲の生長を維持する上で重要であり、特に稲体の伸長は登熟が進むにしたがって、風害や、穂の重みで稲体が倒伏しやすくなり、ひとたび倒伏してしまうと、青米、発育停止米が多発し、また登熟後期〜成熟期では穂発芽も発生し、籾米の品質の低下、収量の減少を起こすことになる。またコンバインによる刈り取り作業の効率も下がることから、収量そのものの低下をきたすことになる。
【0003】
したがって、稲作栽培において節間伸長の調節は重要なファクターである。
【発明の開示】
【0004】
本発明者は上記課題を検討した結果、下記に示す植物生長調節剤を見い出すことに成功し、また生長調節方法を見い出した。
【0005】
かくして、本発明は、テブコナゾールを有効成分として含有することを特徴とする禾本科作物の植物生長調節剤、及びテブコナゾールを有効成分として用いることを特徴とする禾本科作物のための植物生長調節方法を提供するものである。
【0006】
本発明で用いられる有効成分のテブコナゾールは、殺菌剤としてよく知られたものである。(農薬ハンドブック2005年版日本植物防疫協会発行)
本発明によれば、本発明の効果は、稲体に対して、特に有効であり、稲体の節間伸長を抑制調節することができ、ひいては、健全な稲の生長をもたらし、登熟期の倒伏を防ぐことができる。
【0007】
このことから、本発明は稲の倒伏防止方法も提供することができる。
【0008】
本発明の植物生長調節剤を使用するに当っては、稲の出穂約30日前〜出穂期にテブコナゾールを有効成分量として約0.5kg/ha〜約10kg/haを、茎葉散布処理するか、あるいは田面水処理又は土壌処理することができる。
【0009】
上記態様は、好ましくは、テブコナゾールを有効成分量として、約1kg/ha〜約10kg/haで行なうことができる。
【0010】
本発明の植物生長調節剤は、禾本科作物の植物生長調節のために使用することができ、禾本科作物の種類としては、稲、麦(小麦、大麦、ビール麦等)を挙げることができる。
【0011】
本発明の植物生長調節剤は、通常の製剤形態にすることができる。その製剤形態としては、例えば、乳剤、液剤、エマルジョン、水和剤、懸濁剤、顆粒水和剤、粒剤等を挙げることができる。
【0012】
これらの製剤はそれ自体既知の方法によって調製することができる。例えば、前記の有効成分を、拡展剤、即ち、液体希釈剤及び/又は固体希釈剤、必要な場合には、界面活性剤、即ち、乳化剤及び/又は分散剤を用いて混合することによって、本発明に従う製剤を調製することができる。
【0013】
拡展剤として水を用いる場合には、例えば有機溶媒を補助溶媒として使用することができる。液体希釈剤としては、例えば、芳香族炭化水素類(例えば、キシレン、トルエン、アルキルナフタレン等)、クロル化芳香族又はクロル化脂肪族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン類、塩化エチレン類、塩化メチレン等)、脂肪族炭化水素類[例えば、シクロヘキサン等又はパラフィン類(例えば、鉱油留分、鉱物及び植物油等)]、アルコール類(例えば、ブタノール、グリコール及びそれらのエーテル又はエステル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、強極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)などの有機溶媒及び水を挙げることができる。
【0014】
固体希釈剤としては、例えば、アンモニウム塩及び粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルガイト、モンモリロナイト、珪藻土等)、粉砕合成鉱物(例えば、高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等)などを挙げることができる。また、粉剤のための固体担体としては、例えば、粉砕且つ分別された岩石(例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石、白雲石等)、無機及び有機物粉の合成粒、有機物質細粒体(例えば、おがくず、ココやしの実のから、とうもろこしの穂軸、タバコの茎等)などを使用することができる。
【0015】
乳化剤としては、非イオン性又は陰イオン性界面活性剤を挙げることができ、適当な非イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールにエチレンオキシドを重合付加させた化合物;イソオクチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノールにエチレンオキシドを重合付加させた化合物;ブチルナフトール、オクチルナフトール等のアルキルナフトールにエチレンオキシドを重合付加させた化合物;パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸にエチレンオキシドを重合付加させた化合物;ドデシルアミン、ステアリン酸アミン等のアミンにエチレンオキシドを重合付加させた化合物;ソルビタン等の多価アルコールの高級脂肪酸エステル及びそれにエチレンオキシドを重合付加させた化合物;エチレンオキシドとプロピレンオキシドをブロック重合付加させた化合物等が挙げられる。適当な陰イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイルアルコール硫酸エステルアミン塩等のアルキル硫酸エステル塩;スルホコハク酸ジオクチルエステルナトリウム、2−エチルヘキセンスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩;イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、メチレンビスナフタレンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアリールスルホン酸塩等が挙げられる。
【0016】
分散剤としては、例えば、リグニンサルファイト廃液又はメチルセルロールが適当である。
【0017】
固着剤も製剤(乳剤)に使用することができ、該固着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、天然又は合成ポリマー(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート等)、天然燐脂質類(例えば、セファリン類、レシチン類)、合成燐脂質類等を挙げることができる。更に、添加剤として鉱物油又は植物油類も使用することができる。
【0018】
着色剤を使用することもでき、該着色剤としては、無機顔料類(例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルー等)、アリザリン染料、アゾ染料又は金属フタロシアニン染料のような有機染料類、そして更に、鉄、マンガン、ボロン、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛などの金属の塩のような微量要素を挙げることができる。
【0019】
製剤は、一般に、有効成分としてのテブコナゾールを0.1乃至95重量%、好ましくは0.5乃至90重量%の範囲内の濃度で含有することができる。
【0020】
本発明の優れた効果を以下の実施例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これら例示のみにより限定されるべきものではない。
【実施例】
【0021】
生物試験例 テブコナゾールの水稲節間伸長抑制作用試験

方法
水稲慣行圃場において、イネ(品種:祭り晴れ)を移植し、60日後にテブコナゾールのフロアブル剤(40.0%有効成分含有)25lを、水475lに希釈し、1ha当り500lの割合で1区1m2の試験区にハンドスプレーヤを用いて茎葉散布した。
【0022】
試験は、2反復で行なった。
【0023】
出穂は、移植後約3ヶ月であった。
【0024】
出穂22日後に処理区と無処理区のイネの稈長の平均値を求めた。
【0025】
結果を第1表に示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
テブコナゾールを有効成分として含有することを特徴とする禾本科作物のための植物生長調節剤。
【請求項2】
禾本科作物が稲である請求項1に記載の植物生長調節剤。
【請求項3】
稲体の節間伸長を調節する請求項1又は2に記載の植物生長調節剤。
【請求項4】
テブコナゾールを有効成分として用いることを特徴とする禾本科作物のための植物生長調節方法。
【請求項5】
禾本科作物が稲であり、且つその節間伸長を調節する請求項4に記載の植物生長調節方法。
【請求項6】
テブコナゾールを有効成分として用いることを特徴とする稲の倒伏防止方法。

【公開番号】特開2008−308432(P2008−308432A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157043(P2007−157043)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】