説明

植物病害防除組成物および植物病害防除方法

【課題】高い活性を有する植物病害防除組成物および植物病害を効果的に防除し得る方法を提供すること。
【解決手段】メトコナゾール、ブロムコナゾール及びエポキシコナゾールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のステロール生合成阻害剤と式(I)で表される化合物とを有効成分として含有することを特徴とする植物病害防除組成物、メトコナゾール、ブロムコナゾール及びエポキシコナゾールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のステロール生合成阻害剤と式(I)で表される化合物とを、植物体、植物の種子または農耕地に対し併用することを特徴とする植物病害防除方法等。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病害防除組成物および植物病害の防除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、植物病害を防除するため植物病害防除剤が種々開発されてきたが、より高活性な植物病害防除剤が常に求められている。
【特許文献1】特開2000−226374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は高い活性を有する植物病害防除組成物および植物病害を効果的に防除し得る方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる状況下、本発明者は鋭意検討した結果、特定のステロール生合成阻害剤と下記式(I)で表される化合物とを併用することにより、優れた植物病害防除効果が得られることを見出し、本発明に至った。
【0005】
すなわち本発明は、
(1)メトコナゾール(以下、化合物IIと記すことがある。)、ブロムコナゾール(以下、化合物IIIと記すことがある。)及びエポキシコナゾール(以下、化合物IVと記すことがある。)からなる群から選ばれる1種又は2種以上のステロール生合成阻害剤(以下、本ステロール生合成阻害剤と記すことがある。)と式(I)で表される化合物(以下、化合物Iと記すことがある。)とを有効成分として含有することを特徴とする植物病害防除組成物(以下、本発明組成物と記すことがある。);



(2)ステロール生合成阻害剤がメトコナゾールである請求項1に記載の植物病害防除組成物;
(3)ステロール生合成阻害剤がブロムコナゾールである請求項1に記載の植物病害防除組成物;
(4)ステロール生合成阻害剤がエポキシコナゾールである請求項1に記載の植物病害防除組成物;
(5)メトコナゾール、ブロムコナゾール及びエポキシコナゾールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のステロール生合成阻害剤と式(I)で表される化合物とを、植物体、植物の種子または農耕地に対し併用することを特徴とする植物病害防除方法(以下、本発明防除方法と記すことがある。);
等を提供するものである。
なお、前記本発明組成物と前記本発明防除方法とをあわせて本発明と記すことがある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高い活性を有する植物病害防除組成物および植物病害を効果的に防除し得る方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明組成物および本発明防除方法において使用される化合物Iは、公知の化合物であり、例えば、特開2000−226374号公報に記載された方法によって合成することができる。
【0008】
化合物Iと組み合わせることのできるステロール生合成阻害剤としては、例えば、テトラコナゾール((RS)-2-(2,4-dichlorophenyl)-3-(1H-1,2,4-triazol-1-yl)propyl 1,1,2,2-tetrafluoroethyl ether)、テブコナゾール((RS)-1-p-chlorophenyl-4,4-dimethyl-3-(1H-1,2,4-triazol-1-ylmethyl)pentan-3-ol)、プロチオコナゾール(2-[(2RS)-2-(1-chlorocyclopropyl)-3-(2-chlorophenyl)-2-hydroxypropyl]-2H-1,2,4-triazole-3(4H)-thione)、ジニコナゾール((E)-(RS)-1-(2,4-dichlorophenyl)-4,4-dimethyl-2-(1H-1,2,4-triazol-1-yl)pent-1-en-3-ol)、ジフェノコナゾール(cis,trans-3-chloro-4-[4-methyl-2-(1H-1,2,4-triazol-1-ylmethyl)-1,3-dioxolan-2-yl]phenyl-4-chlorophenyl ether)、ミクロブタニル(2-p-chlorophenyl-2-(1H-1,2,4-triazol-1-ylmethyl)hexanenitrile)、シプロコナゾール((2RS,3RS;2RS,3SR)-2-(4-chlorophenyl)-3-cyclopropyl-1-(1H-1,2,4-triazol-1-yl)butan-2-ol)、プロピコナゾール((+-)-1-[2-(2,4-dichlorophenyl)-4-propyl-1,3-dioxolan-2-ylmethyl]-1H-1,2,4-triazole)、フェンブコナゾール(4-(4-chlorophenyl)-2-phenyl-2-(1H-1,2,4-triazol-1-ylmethyl)butyronitrile)、ヘキサコナゾール((RS)-2-(2,4-dichlorophenyl)-1-(1H-1,2,4-triazol-1-yl)hexan-2-ol)、ペンコナゾール(1-(2,4-dichloro-beta-propylphenethyl)-1H-1,2,4-triazole)なども有効であるが、メトコナゾール、ブロムコナゾール及びエポキシコナゾールが植物病害の防除効果の面から特に好ましく選択される。
【0009】
メトコナゾール、ブロムコナゾール及びエポキシコナゾールは、The Pesticide manual Fourteenth editionの689頁-690頁に、(1RS,5RS;1RS,5SR)-5-(4-chlorobenzyl)-2,2-dimethyl-1-(1H-1,2,4-triazol-1-ylmethyl)として、同121頁-122頁に、1-[(2RS,4RS:2RS,4SR)-4-bromo-2-(2,4-diclorophenyl)tetrahydrofurfuryl]-1H-1,2,4-triazole)として、また、同395頁-396頁に、(2RS,3SR)-1-[3-(2-chlorophenyl)-2,3-epoxy-2-(4-fluorophenyl)propyl]-1H-1,2,4-triazole)として、それぞれ記載されている。
【0010】
本発明は、畑、水田、芝生、果樹園等の農耕地又は非農耕地用にて使用することができる。また、本発明は、以下に挙げられる「作物」等を栽培する農耕地等において、該作物等に対して薬害を与えることなく、当該農耕地の病害を防除するために使用することができる。
農作物;トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉;
観葉植物;
果樹;仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0011】
上記「作物」とは、イソキサフルトール等のHPPD阻害剤、イマゼタピル、チフェンスルフロンメチル等のALS阻害剤、EPSP合成酵素阻害剤、グルタミン合成酵素阻害剤、ブロモキシニル等の除草剤に対する耐性が、古典的な育種法、もしくは遺伝子組換え技術により付与された作物も含まれる。
古典的な育種法により耐性が付与された「作物」の例として、イマゼタピル等のイミダゾリノン系除草剤耐性のClearfield(登録商標)カノーラ、チフェンスルフロンメチル等のスルホニルウレア系ALS阻害型除草剤耐性のSTSダイズ等がある。また、遺伝子組換え技術により耐性が付与された「作物」の例として、グリホサートやグルホシネート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ品種等があり、RoundupReady(登録商標)およびLibertyLink(登録商標)等の商品名ですでに販売されている。
【0012】
上記「作物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、例えば、バチルス属で知られている選択的毒素等を合成する事が可能となった作物も含まれる。
この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、バチルス・セレウスやバチルス・ポピリエ由来の殺虫性タンパク;バチルス・チューリンゲンシス由来のCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1またはCry9C等のδ−エンドトキシン、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパク;線虫由来の殺虫タンパク;さそり毒素、クモ毒素、ハチ毒素または昆虫特異的神経毒素等動物によって産生される毒素;糸状菌類毒素;植物レクチン;アグルチニン;トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤等のプロテアーゼ阻害剤;リシン、トウモロコシ−RIP、アブリン、ルフィン、サポリン、ブリオジン等のリボゾーム不活性化タンパク(RIP);3−ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド−UDP−グルコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ等のステロイド代謝酵素;エクダイソン阻害剤;HMG-COAリダクターゼ;ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル阻害剤等のイオンチャネル阻害剤;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ等が挙げられる。
またこの様な遺伝子組換え作物で発現される毒素として、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1またはCry9C等のδ−エンドトキシンタンパク、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパクのハイブリッド毒素、一部を欠損した毒素、修飾された毒素も含まれる。ハイブリッド毒素は組換え技術を用いて、これらタンパクの異なるドメインの新しい組み合わせによって作り出される。一部を欠損した毒素としては、アミノ酸配列の一部を欠損したCry1Abが知られている。修飾された毒素としては、天然型の毒素のアミノ酸の1つまたは複数が置換されている。
これら毒素の例およびこれら毒素を合成する事ができる組換え植物は、EP-A-0 374 753、WO 93/07278、WO 95/34656、EP-A-0 427 529、EP-A-451 878、WO 03/052073等に記載されている。
これらの組換え植物に含まれる毒素は、特に、甲虫目害虫、双翅目害虫、鱗翅目害虫への耐性を植物へ付与する。
【0013】
また、1つもしくは複数の殺虫性の害虫抵抗性遺伝子を含み、1つまたは複数の毒素を発現する遺伝子組換え植物は既に知られており、いくつかのものは市販されている。これら遺伝子組換え植物の例として、YieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Rootworm(登録商標)(Cry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Plus(登録商標)(Cry1AbとCry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、Herculex I(登録商標)(Cry1Fa2毒素とグルホシネートへの耐性を付与する為にホスフィノトリシン N−アサチルトランスフェラーゼ(PAT)を発現するトウモロコシ品種)、NuCOTN33B(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard I(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard II(登録商標)(Cry1AcとCry2Ab毒素とを発現するワタ品種)、VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を発現するワタ品種)、NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を発現するジャガイモ品種)、NatureGard(登録商標)Agrisure(登録商標)GT Advantage(GA21 グリホサート耐性形質)、Agrisure(登録商標) CB Advantage(Bt11コーンボーラー(CB)形質)、Protecta(登録商標)等が挙げられる。
【0014】
上記「作物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、選択的な作用を有する抗病原性物質を産生する能力を付与されたものも含まれる。
抗病原性物質の例として、PRタンパク等が知られている(PRPs、EP-A-0 392 225)。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP-A-0 392 225、WO 95/33818、EP-A-0 353 191等に記載されている。
こうした遺伝子組換え植物で発現される抗病原性物質の例として、例えば、ナトリウムチャネル阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤(ウイルスが産生するKP1、KP4、KP6毒素等が知られている。)等のイオンチャネル阻害剤;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ;PRタンパク;ペプチド抗生物質、ヘテロ環を有する抗生物質、植物病害抵抗性に関与するタンパク因子(植物病害抵抗性遺伝子と呼ばれ、WO 03/000906に記載されている。)等の微生物が産生する抗病原性物質等が挙げられる。
【0015】
本発明により防除することができる植物病害としては例えば以下の病害をあげることができるが、これらに限定されるものではない。通常、本発明方法においては、本発明組成物が用いられる。
【0016】
イネのいもち病(Magnaporthe grisea)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi);
ムギ類のうどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum, F. avenacerum, F. culmorum, Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis, P. graminis, P. recondita, P. hordei)、雪腐病(Typhula sp.,Micronectriella nivalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici, U. nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、網斑病(Pyrenophora teres Drechsler);
カンキツ類の黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, P. italicum);
リンゴのモニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternata apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、炭そ病(Colletotrichum acutatum)、疫病(Phytophtora cactorum);
ナシの黒星病(Venturia nashicola, V. pirina)、黒斑病(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum)、疫病(Phytophtora cactorum);
モモの灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.);
ブドウの黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola);
カキの炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki, Mycosphaerella nawae);
ウリ類の炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp.)、苗立枯病(Pythium sp.);
トマトの輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans);
ナスの褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum);
アブラナ科野菜の黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、べと病(Peronospora parasitica);
ネギのさび病(Puccinia allii)、ダイズの紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、さび病( Phakopsora pachyrhizi)、茎疫病(Phytophthora sojae)
インゲンの炭そ病(Colletotrichum lindemthianum)
ラッカセイの黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii);
エンドウのうどんこ病(Erysiphe pisi);
ジャガイモの夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、粉状そうか病(Spongospora subterranean f. sp. subterranea);
イチゴのうどんこ病(Sphaerotheca humuli);
チャの網もち病(Exobasidium reticulatum);白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭そ病(Colletotrichum theae-sinensis)
タバコの赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae);
テンサイの褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris)、黒根病(Aphanidermatum cochlioides);
バラの黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa);
キクの褐斑病(Septoria chrysanthemi−indici)、白さび病(Puccinia horiana);
種々の作物のピシウム属菌によって引き起こされる病害(Pythium aphanidermatum, Pythium debarianum, Pythium graminicola, Pythium irregulare, Pythium ultimum)灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum);ダイコンの黒斑病(Alternaria brassicicola);
シバのダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、シバのブラウンパッチ病およびラージパッチ病(Rhizoctonia solani);
バナナのシガトカ病(Mycosphaerella fijiensis、Mycosphaerella musicola、Pseudocercospora musae)。
【0017】
本発明は、前記した植物病害の中でも、各種作物の灰色かび病、菌核病、モニリア病、眼紋病、雲形病などに特に高い効果を示す。
【0018】
本発明組成物に含有される本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとの割合は、重量比で通常0.125:1〜20:1、好ましくは0.25:1〜10:1、さらに好ましくは0.25:1〜1:1である。
【0019】
本発明組成物は、他の何らの成分も加えられることなく、本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとのみであってもよいが、通常はこれら有効成分を、固体担体、液体担体、ガス担体、界面活性剤等と混合し、必要により固着剤、分散剤、安定剤等の製剤用補助剤を添加して、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、粒剤、ドライフロアブル剤、乳剤、水性液剤、油剤、くん煙剤、エアゾール剤、マイクロカプセル剤等に製剤化されていてもよい。これらの製剤には、本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとが合計で、通常0.1〜99重量%、好ましくは0.2〜90重量%含有される。
【0020】
固体担体としては、例えば、粘土類(例えば、カオリン、珪藻土、合成含水酸化珪素、フバサミクレー、ベントナイト、酸性白土)、タルク類、その他の無機鉱物(例えば、セリサイト、石英粉末、硫黄粉末、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ)等の微粉末あるいは粒状物が挙げられ、液体担体としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサノン、灯油)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、イソブチルニトリル)、エーテル類(例えば、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル)、酸アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素)等が挙げられる。
【0021】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類およびそのポリオキシエチレン化物、ポリオキシエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体等が挙げられる。
【0022】
その他の製剤用補助剤としては、例えば固着剤や分散剤、具体的にはカゼイン、ゼラチン、多糖類(例えば、でんぷん、アラビヤガム、セルロース誘導体、アルギン酸)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類)PAP(酸性りん酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、植物油、鉱物油、脂肪酸またはそのエステルなどが挙げられる。
【0023】
また、例えば、本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとをそれぞれ上述の手法により別々に製剤化し、必要により更に水でそれぞれを希釈した後、該別々に調製された製剤または該別々に調製された希釈液を混合することにより本発明組成物を調製することもできる。
なお、本発明組成物の製剤形態は、乳剤、油剤、フロアブル剤等の液体製剤のみならず、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、粒剤等の固体製剤であってもよい。
【0024】
本発明防除方法においては、本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとを、植物体、植物の種子または当該植物の栽培地である農耕地に対し併用する際においては、同時に施用する場合、例えば下記の方法にて、本発明組成物を施用することができる。
本発明組成物を施用する方法としては、実質的に本発明組成物が施用され得る形態であればその方法は特に限定されないが、例えば、茎葉散布などの植物体への処理、土壌処理などの植物の栽培地である農耕地への処理、種子消毒などの種子への処理等が挙げられる。
本発明組成物の施用量は、本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとの混合比、気象条件、製剤形態、施用時期、施用方法、施用場所、対象病害、対象作物などによっても異なるが、本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとの合計量で、10アールあたり、通常1〜500g、好ましくは2〜200gである。乳剤、水和剤、懸濁剤等は通常水で希釈して施用され、その濃度は本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとの合計で、通常0.0005〜2重量%、好ましくは0.005〜1重量%であり、粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま施用される。種子への処理においては、種子1kgに対して本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとの合計で通常0.001〜10g、好ましくは0.01〜1gの範囲で施用される。
【0025】
また、本発明防除方法においては、本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとを、植物体、植物の種子または当該植物の栽培地である農耕地に別々に施用する場合、例えばそれぞれの化合物を例えば上記の方法にて順に施用すればよく、両化合物の施用順序は特に問わない。但し、両者の施用間隔は短いほうが好ましく、例えば1日以内を例示することができる。
施用量は、本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとの施用量比、気象条件、製剤形態、施用時期、施用方法、施用場所、対象病害、対象作物などによっても異なるが、本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとの合計量で、10アールあたり、通常1〜500g、好ましくは2〜200gである。また、施用される本ステロール生合成阻害剤と化合物Iとの割合は、重量比で通常0.125:1〜20:1、好ましくは0.25:1〜10:1、さらに好ましくは0.25:1〜1:1である。
また、それぞれの化合物が施用される濃度は、乳剤、水和剤、懸濁剤等は通常水で希釈して施用される製剤型である場合には、それぞれ、通常0.0005〜1重量%、好ましくは0.005〜0.5重量%であり、粉剤、粒剤等である場合は通常希釈することなくそのまま施用される。種子への処理においては、種子1kgに対して本ステロール生合成阻害剤、化合物Iのそれぞれが通常0.001〜5g、好ましくは0.01〜0.5gの範囲で施用される。
【0026】
また、本発明組成物を他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、植物生長調節剤、肥料または土壌改良剤と混合して、または混合せずに同時に用いることもできる。
【実施例】
【0027】
以下、製剤例、試験例および比較例にて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。なお、以下の例において、部は特にことわりの無い限り重量部を表す。
【0028】
製剤例1
化合物Iを3部、化合物II〜化合物IVのいずれかを2部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ−テル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部およびキシレン75部をよく混合することにより各乳剤を得る。
【0029】
製剤例2
化合物Iを5部、化合物II〜化合物IVのいずれかを5部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部および水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより各フロアブル製剤を得る。
【0030】
製剤例3
化合物Iを20部、化合物II〜化合物IVのいずれかを2.5部、ソルビタントリオレエ−ト1.5部およびポリビニルアルコ−ル2部を含む水溶液28.5部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部およびアルミニウムマグネシウムシリケ−ト0.1部を含む水溶液37.35部を加え、さらにプロピレングリコ−ル10部を加えて攪拌混合し各フロアブル製剤を得る。
【0031】
製剤例4
化合物Iを3部、化合物II〜化合物IVのいずれかを2部、合成含水酸化珪素1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部およびカオリンクレ−62部をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥することにより各粒剤を得る。
【0032】
製剤例5
化合物Iを10部、化合物II〜化合物IVのいずれかを40部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部および合成含水酸化珪素45部をよく粉砕混合することにより各水和剤を得る。
【0033】
製剤例6
化合物Iを2部、化合物II〜化合物IVのいずれかを40部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部および合成含水酸化珪素45部をよく粉砕混合することにより各水和剤を得る。
【0034】
製剤例7
化合物Iを3部、化合物II〜化合物IVのいずれかを2部、カオリンクレ−85部およびタルク10部をよく粉砕混合することにより各粉剤を得る。
【0035】
試験例1
プラスチックポットに砂壌土を詰め、キュウリ(相模半白)を播種し、温室内で12日間生育させた。化合物Iのフロアブル剤と、化合物II〜化合物IVのうちいずれか一つの化合物の乳剤をそれぞれ水で希釈した後タンクミックスし、所定濃度の化合物Iと化合物II〜IVのいずれかとを含有するタンクミックス液を調製した。該タンクミックス液を前記キュウリの葉面に充分付着するように茎葉散布した。散布後植物を風乾し、キュウリ菌核病菌の菌糸含有PDA培地をキュウリ葉面上に置いた。接種後12℃、多湿下に6日間置いた後、防除効果を調査した。
また、比較のために前記の化合物Iのフロアブル剤もしくは化合物II〜化合物IVのうちいずれか一つの化合物の乳剤を水希釈し、化合物I〜IVのいずれかひとつを所定濃度で含有する水希釈液を調製しそれぞれ、同様の防除試験を行った。
また、防除価算出のためにそれぞれの処理区における発病面積率を調査した。
【0036】
式1より防除価を算出した。
「式1」
防除価(%)=100×(A−B)/A
A:無処理区の植物の発病度
B:処理区の植物の発病度
一般に、与えられた2種類の有効成分化合物を混合して処理した際に期待される防除効果、いわゆる防除価期待値は下記の式2のコルビーの計算式により求められる。
「式2」
E=X+Y−(X×Y)/100
X:有効成分化合物AをMppmで処理した時の防除価
Y:有効成分化合物BをNppmで処理した時の防除価
E:有効成分化合物AをMppmで、有効成分化合物BをNppmで処理した時に期待される防除価(防除価期待値)
また、下記の式3により算出される値にて相乗効果を示した。
「式3」
相乗効果=(実際の防除価)/(防除価期待値)

以上の結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、高い活性を有する植物病害防除組成物および植物病害を効果的に防除し得る方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトコナゾール、ブロムコナゾール及びエポキシコナゾールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のステロール生合成阻害剤と式(I)で表される化合物とを有効成分として含有することを特徴とする植物病害防除組成物。


【請求項2】
ステロール生合成阻害剤がメトコナゾールである請求項1に記載の植物病害防除組成物。
【請求項3】
ステロール生合成阻害剤がブロムコナゾールである請求項1に記載の植物病害防除組成物。
【請求項4】
ステロール生合成阻害剤がエポキシコナゾールである請求項1に記載の植物病害防除組成物。
【請求項5】
メトコナゾール、ブロムコナゾール及びエポキシコナゾールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のステロール生合成阻害剤と式(I)で表される化合物とを、植物体、植物の種子または農耕地に対し併用することを特徴とする植物病害防除方法。

【公開番号】特開2009−227634(P2009−227634A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77975(P2008−77975)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】