説明

植物育成装置

【課題】植物への水遣りは、単調な作業でありつい水遣りを忘れてしまい、最悪の場合は植物を枯れてしまう。他方、独居老人の安否確認方法には様々な方法が提案されているが、いずれも無機質で味気なく独居老人の生活に精神的な負担を強いるものであった。
【解決手段】水遣りを楽しくする手段として、水遣りを行ったことをケアセンサ3で検出し、その都度あたかも植物1からのメッセージが送られてくる様にするものである。また、成長センサ6(背丈)や成熟度センサ12(色彩)で植物1の成長を観察し、水遣り要求など健全な育成を補助するメッセージを発信する。更に、独居老人の安否確認への活用として、設定した期間に亘り水遣りがなされない場合は、安否確認警告を設定しておいた連絡先(家族や地方自治体)へ自動で通報する様にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に観賞用植物の育成装置に関し、育成者が水遣りなどの植物の世話をしたことを検出し、あたかも該植物から送られてきたかの様なメッセージを育成者宛に発信することにより、植物の育成をより楽しくする植物育成装置を安易、安価な方法で実現するものである。
【0002】
更に、この世話をした頻度を監視し、設定した期間内に世話がされない場合は、予め設定しておいた第三者に安否確認を要請するメッセージを送信することにより、独居老人の安否を確認する手段としても活用できる植物育成装置を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
観賞用の植物の育成は、鉢植えされた植物を室内に置いた状態で行われるのが一般的であり、水遣りは植物を育てるという育成者の楽しみの一つではあるが、一方水遣りは育成者の義務でもある。水遣りが義務であり且つ単純な作業の繰り返しと思う様になると、水遣りが億劫になってしまい植物育成の楽しみを失ってしまったり、その結果つい水遣りを忘れてしまい植物を枯らしてしまったりすることもある。
水不足による植物の枯れ対策としては、水の自動供給や、植物を栽培する倍地の水分量を管理する方法などが既に提案されている。前者はむしろ植物の生産工場向きであり、一般家庭における観賞用植物には装置が大き過ぎ且つ高価過ぎ、更に植物を育てる楽しみという本来の目的からも外れる。後者は水遣り時期を適切に知る手段としては有効であるが、このセンサの出力を育成者が見落とすことも考えられ、水遣り忘れを事前に防止する手段としては不完全であるし、また装置の指示により水遣りをすることから育成者の主体性を損ない、植物育成の興味を損ねてしまう懸念もある。つまり、旧来提案されている水不足による植物の枯れ対策は、いずれも水遣りの行為自身を楽しむという観点の配慮はされていない。
【0004】
図13に楽しみながら且つ確実に植物育成をしようとしたときの従来技術例を示す。植物1はプランタ2に植えられ、この近傍に制御部4によって制御されるLED照明7とカメラ13と重量計14と自動給水機15が配置され、表示部5においてインターネットまたは無線装置によって育成者と情報通信を行う様になっている。
この様に構成すると、LED照明7により日光の届かない場所でも該植物1の育成が可能であるし、該重量計14により土壌の乾き具合を検知し該自動給水機15により自動で給水したり(自動育成)、また外出先から該カメラ13を介して育成状況を確認したり、遠隔操作をしたりすることができる。
しかしながら、これらの仕掛けは育成者から植物に対して一方的に働きかけるものであり、味気無さを完全に払拭するには至らない。
【0005】
LEDを光源とした植物育成装置では、植物の成長に効率の良い波長や逆に植物に有害な波長などの考察がなされ、葉野菜などを皮切りにLED照明による植物育成はビジネスとしての実用化が始まっている。
従来の所謂電球など他の光源と比べ上記LED光源が期待されている点は、希望するピーク波長や波長幅を安易且つ安価に実現できること、消費電力が少なく光源が消費する電気代が安価に済むこと、発熱が少なく室内の空調費用が安価になることなどであり、言い換えれば、LED照明が持つ光エネルギーの植物育成への活用は、既に多くの利点が見出されている。
また、LEDを光源とする照明器具においては、LEDの発光をON/OFFさせることで信号(情報)を発信させ、受信機ではこの照明光をPDなどの受光素子で受け電気信号に変換し情報を再生する照明光通信を行うことができる。つまり、植物育成装置に付設されるLED照明に照明光通信の仕掛けを組み入れれば、LED照明は植物の育成のみならず照明光通信の光源(発信機)としても活用できることになる。
【0006】
一方別な議論として、独居老人の安否確認方法の課題がある。
独居老人の安否確認には、例えば監視カメラなど各種監視装置を用い被観察者である独居老人の挙動を直接観察する方法や、電気や水道などのライフラインの使用状況やドアの開閉をモニタするなどの間接的に監視する方法など数多くの提案がされている。しかし、これらの方法では被観察者(独居老人)の住居内に何らかの機器を設置する必要があり、被観察者のプライバシー確保の問題や、被観察者からしてみると自分に意思とは別に自分の生活が絶えず他人に観察されるという被観察者の精神的な居住性を損ねるという問題もある。
そこで、被観察者自身が自分の意思で能動的に情報を発信する方法として、例えば携帯電話を操作したか否かを安否確認の判断材料にする方法も提案されているが(下記特許文献3)、この方法では被観察者は一定期間内に携帯電話を操作することが義務となってしまう上に、携帯電話を操作すること自身は被観察者(特に老人)にとっては非常に味気ない作業であり精神的な重圧となり、例えば何年間もの長い期間に亘り定常的に携帯電話を操作し続けることは事実上困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-174758号公報
【特許文献2】特開2002-290335号公報
【特許文献3】特開2010-141782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の様に育成者にとって植物への水遣り作業は、植物の生育を見守るという点では楽しみではあるが、一方単調な作業の繰り返しであり個人差はあるものの水遣り作業自体を楽しむ要素は少なく、水遣りが億劫になってしまい植物育成の楽しみを失ったりすることもある。
この結果、水遣りを忘れ勝ちになってしまい該植物が生育不良を起こしたり、最悪の場合は枯れてしまうという課題がある。
【0009】
他方、独居老人の安否確認方法には様々な方法が提案されているが、被観察者(独居老人)のプライバシー確保の問題や、被観察者からしてみると自分の意思に関わらず自分の生活を絶えず他人に観察されるという被観察者の精神的な居住性を損ねるという問題や、たとえ被観察者自身の自発的行為としても、携帯電話などの装置を定期的に操作し続けるという方法は、被観察者に義務感が発生することで、長期間に亘り継続することが困難になるという課題がある。
更に、従来の安否確認用の装置自身は、当然のことながら、いずれも無機質で味気なく生活に潤いをもたらすものではないため、この装置を被観察者が積極的に日常生活取り入れ様とは思わないなどの課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する手段としての本発明を下記に示す。
請求項1は、植物を育成する植物育成装置であって、育成される対象である植物と、育成者が該植物の世話をしたことを感知するケアセンサと、該ケアセンサからの信号が入力されると共に、予め記憶されているメッセージ情報の中から、該ケアセンサからの入力信号に基づき、場面に応じたメッセージ情報を選出して表示部に出力する制御部と、該制御部から出力されたメッセージ情報を(育成者に対し)具現化する該表示部とを、有していること、を特徴とする植物育成装置。
請求項2は、請求項1において、該ケアセンサは、該植物に水遣り世話をした時の水が、通常はオープン状態になっている電気回路の接点をショートすることを、検出する様になっていること、を特徴とする植物育成装置。
請求項3は、請求項1において、該ケアセンサは、該植物の近くに配置された磁気センサが、該磁気センサ付近を通過する該植物の水遣り世話用のジョーロの磁性を、検出する様になっていること、を特徴とする植物育成装置。
請求項4は、請求項1において、更に、該植物の背丈全高を測る成長センサを、有してなり、該制御部は、該成長センサからの信号も入力可能であると共に、予め記憶されているメッセージ情報の中から、該成長センサからの入力信号に基づき、該植物の成長に応じたメッセージ情報を選出して、該表示部に出力可能となっていること、を特徴とする植物育成装置。
請求項5は、請求項4において、該制御部は、該成長センサからの入力信号に基づき、該植物が持つ想定される背丈の最高の高さに満たないうちに、該植物の背丈の増加が飽和したと判断したときは、生育不良である旨の警告メッセージ情報を主力すること、を特徴とする植物育成装置。
請求項6は、請求項4において、該制御部は、該成長センサからの入力信号に基づき、該植物が持つ想定される背丈の最高の高さ付近で、該植物の背丈の増加が飽和したと判断したときは、該植物の寿命が近いことを知らせるメッセージ情報を出力すること、を特徴とする植物育成装置。
請求項7は、請求項4において、該成長センサは、ラインセンサよりなり、発光部と受光部を備えると共に、センサ光通過用の開孔部を有する遮蔽板が、発光部と受光部を結ぶ光軸上に設けられていること、を特徴とする植物育成装置。
請求項8は、請求項1において、更に、該植物の一定部位の色彩を監視する成熟度センサを、有してなり、該制御部は、該成熟度センサからの信号も入力可能であると共に、予め記憶されているメッセージ情報の中から、該成熟度センサからの入力信号に基づき、該植物の成熟に応じたメッセージ情報を選出して、該表示部に出力可能となっていること、を特徴とする植物育成装置。
請求項9は、請求項1において、更に、育成者が該植物に話し掛けたことを検知するする問い掛けセンサを、有してなり、該制御部は、該問い掛けセンサからの信号も入力可能であると共に、該問い掛けセンサからの信号を音声認識し、予め記憶されているメッセージ情報の中から、その問い掛け内容に応じたメッセージ情報を選出して、該表示部に出力可能となっていること、を特徴とする植物育成装置。
請求項10は、請求項1,4,8又は9において、該制御部は、更に、イメージ情報を照明光通信に適したフォーマットに変換してLED照明部に向け出力可能となっており、該LED照明部は、LEDを発光源として該植物を照らすと共に、該制御部からのメッセージ情報を照明光通信により受光部に向け発信可能であり、該受信部は、該LED照明部からの照明光通信を受信すると共に、受信したメッセージ情報を再生表示可能となっていること、を特徴とする植物育成装置。
請求項11は、請求項10において、該LED照明部は、該植物全体を照らす上方照明と、葉の近傍を照らす下部照明との少なくとも2個のLEDを備えており、上方照明は、人の目に違和感がなく且つ照明光通信に適した波長の光とし、下部照明は、該植物の育成に効果的な波長の光としたこと、を特徴とする植物育成装置。
請求項12は、請求項1,4,8又は9において、該表示部が、電話回線や携帯電話やインターネットなどの外部の通信手段を用い、メッセージ情報を出力表示せしめる様になっていること、を特徴とする植物育成装置。
請求項13は、請求項1又は2において、該制御部は、該ケアセンサからの入力信号に基づき、予め設定しておいた時間が経過しても育成者が該植物の世話をしなかったと判断した場合は、育成者以外の予め設定されているアドレスに、警告メッセージ情報を電子メールで配信すること、を特徴とする植物育成装置。
【0011】
つまり、水遣りを楽しくする手段として、水遣りなど植物への世話を行う、または行ったことを検出するケアセンサと、この信号を処理する制御部と、育成者に向けメッセージを発信する表示部を設けることにより、植物への世話をするとその場で、あたかも植物からのメッセージが送られてくる様にし、植物の育成の楽しみを増大させたものである。
また、上記手段に加え全高(背丈)など植物の成長を観測する成長センサを植物の近傍に設けることにより、植物から送られてくるメッセージを表現する質(表現方法や音質や見栄え)を、植物の成長と共に変化させる(例えば音声出力であれば赤ん坊の声やしゃべり方や内容が、幼児、青年/少女、大人、老人と変化していく)ことで、長期間に亘る世話も楽しくできる。
更に、このメッセージの発信を該LED照明を光源とする照明光通信で行うと、新たに(電波による)無線通信用の送信機は不要となり、安価に通信装置を実現することが可能となる。
【0012】
植物育成装置を上記の様に構成することにより、植物の枯れ防止対策としても活用できる。つまり、予め設定しておいた一定期間水遣りが無かった場合(ケアセンサで検知)は、水遣りを催促するメッセージを発信し水遣り忘れを防止することができる。また、一定期間毎または植物の成長に合わせて肥料要求をする様にすれば、より健全な植物の育成をすることができる。更に、植物の成長具合が想定される成長より著しく遅れたり、逆に全高が縮み始めたりした場合は(成長センサで検出)、手当てを催促するメッセージ(成長不良警告)を発信し枯れてしまう前に手当てをすることができる。
【0013】
一方、老人の安否確認への活用には、上記水遣り要求をした後も予め設定した期間に亘り水遣りがなされない場合は、安否確認が必要である旨のメッセージを予め設定しておいた連絡先(家族や地方自治体)へ自動通報(安否確認警告)することにより、迅速且つ確実な独居老人の安否確認を行うことができる。
また、成長センサや成熟度センサを用いて植物の寿命を予測し、このタイミングに合わせ地方自治体の担当者や委託業者などが植物の交換に老人宅を訪れ、直接面会して様子を確認することもでき、独居老人にとって仰々しい面接や検診とは異なる人間味のあるコミュニケーションの場を作ることができる。
【発明の効果】
【0014】
植物育成装置を以上の様に構成することにより、世話をするとメッセージが得られるという直接的な楽しみに加え、経験がなくても大過ない植物の育成を可能とした植物育成装置を、簡易且つ安価な装置で植物の育成を楽しく行える効果が得られる。
【0015】
また、本発明の植物育成装置を独居老人の安否確認の手段に用いると、被観察者である独居老人に居住性の低下や精神的負担を負わせないことは勿論、更に独居老人の生活に潤いを与えながら、迅速且つ確実な独居老人の安否確認を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し全体の概念図。
【図2】本発明の第2の実施形態を示し全体の概念図。
【図3】本発明の第2の実施形態を示し成長センサ用マスク等の説明図であり、(1)は第1例を、(2)は第2例を、(3)は第3例を示す。
【図4】本発明の第2の実施形態を示しLEDとPDを用いた成長センサの説明図。
【図5】本発明の第2の実施形態を示し該植物1の成長グラフ。
【図6】本発明の第2、第4の実施形態のフロー図。
【図7】本発明の第3の実施形態を示し全体の概念図。
【図8】本発明の第3の実施形態を示しLED照明が分割された例の説明図。
【図9】本発明の第1〜第4の実施形態を示し、ケアセンサの第1例の要部の回路図。
【図10】本発明の第1〜第4の実施形態を示し、ケアセンサの第2例の要部拡大図。
【図11】本発明の第1〜第4の実施形態を示し、ケアセンサの第3例の説明図。
【図12】本発明の第5の実施形態を示し全体の概念図。
【図13】従来の植物育成装置の例の全体の概念図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
第1の実施形態として、図1を用いて育成者が植物に水遣りという世話(ケア)をした場合を例に挙げ説明する。
1は育成される植物、2は該植物1が植え付けられているプランタ、3は水遣りなどの世話をされたことを検出するケアセンサ、4は該ケアセンサ3からの得られた情報をもとに予め定められた信号処理を行う制御部、5は該制御部4から出力される指示を具現化する表示部である。
該プランタ2は、植木鉢などの容器と、土壌または水耕栽培用のスポンジ状物質からなり、該植物1は該土壌または該水耕栽培用スポンジ状物質に植えられている(図示せず)。
該表示部5は、電子メール発信機能、音声の発声機能(スピーカーなど)、画面表示機能(静止画または動画)のいずれかまたはこれらの組み合わせによって成る。
育成者が該植物1に水遣りをしたことを該ケアセンサ3(詳細は後述)が検出すると、この情報は該制御部4に送られる。該制御部4には該表示部5の各表示形態に応じたフォーマットで「水をくれてありがとう」という旨のメッセージが蓄えられており、該ケアセンサ3からの入力がある都度、このメッセージを該表示部5を介して育成者に送る。
これにより、育成者からみると水遣りをする度に、あたかも該植物1からお礼のメッセージが届いたかの様に思え、水遣りが一層楽しいものになる。
【0018】
ここで、電子メール発信機能はパソコンや携帯電話やモデムなどで、画面表示機能は例えばパソコンのモニタ画面やマトリクス状に配置された複数のドット状の発光体などで、音声の発声機能は該プランタ近傍に設置したスピーカーやイヤホンなどで実現することができる。
【0019】
(第2の実施形態)
第2の実施形態として、図2を用いて説明する。
第2の実施形態(図2)は、第1の実施形態(図1)の構成に更に成長センサ6を付加したものであり、該成長センサ6の駆動やここから得られる情報の処理は制御部4で行われる。図2において、該成長センサ6は透過型の所謂ラインセンサから成り、該植物1の頭頂部より低い位置ではセンシング光が該植物1によって遮られるので、該植物1の全高を測定することができる。
ここで、該植物1の頭頂部は風や僅かな振動などで容易に変動するため測定値が安定しない場合があるが、本発明の植物育成装置では極端に正確な数値把握は必要ないうえに、更に前回の測定値と比べ極端に小さい測定結果は無視したり、複数回計測しその平均値を採用したりすると、実用上の支障は起きない。また、該植物1の茎の部分において、光が遮られずに通過してしまうこともありうるが、センシング光が設定した一定以上の長さ(距離)に亘って連続して遮られたうち、一番高い位置を示す値を測定結果にすればよい。
【0020】
また、図3に示す様にラインセンサの発光部6-1aと受光部6-1bの間に、光の通過を制限するためのスリット(スリット状の貫通穴)が設けられたマスク9を介在させてもよい。つまり、センサ光通過用の開孔部を有する遮蔽板として、マスク9を介在させることが考えられる。マスク9-1は垂直方向にスリット9-2が、マスク9-3は水平方向にスリット9-4が、マスク9-5はピンホール9-6が垂直方向に設けられている。
該植物1の成長を逐次リニア的に測定したい場合は該マスク9-1がよいが、該発光部6-1a、該マスク9-1のスリット9-2、該植物1、受光部6-1bを一直線上に配置する必要がある。ステップ的な測定でよい場合は該マスク9-3でよく、上記の様な光軸合わせは不要である。該マスク9-5は光軸合わせが必要で且つステップ的な測定であるが、安定した測定ができる利点がある。
発光部6-1aから照射された光は拡散しながら進むので、該マスク9の厚さtは厚いほど有効である。また、光軸合わせは必要になるが該マスク9は2枚用いると、上記tを極端に大きくした場合と同等の効果が得られる。更に該マスク9-1,9-3,9-5を組み合わせるとより確実なものとなる。
【0021】
該植物1の成長を段階的に測定するのであれば、該成長センサ6は図4の様な簡易な仕掛けで実現しても良い。
図4において、発光部6-2aはLED(発光ダイオード)、受光部6-2bはPD(フォトダイオード)、10は照射角抑制筒である。該LED6-2aと該PD6-2bは1:1の対であり、該植物1を間におき上下方向に複数対配置されている。該LED6-2a及び該PD6-2bは該制御部4に電気的に接続されており(図示せず)、複数の該PD6-2の内下からどの該PD6-2までが受光がないか(つまり該植物1が該LED6-2aからの光を遮断しているか)を検出することで、該制御部4が該植物1の全高を判断することができる。
ここで、該LED6-2aから照射される光はそのままでは散乱し、対をなす該PD6-2に隣接する該PD6-2にも入射しノイズとなってしまう。そこで、照射角を制限する筒状のパーツ(該照射角抑制筒10)をLED6-2aの周囲に設けることで、該LED6-2aからの光が対をなす該PD6-2bのみに入射する様にすることができる。該照射角抑制筒10は、該PD6-2bに付設しても同等の効果が得られるし、該LED6-2aと該PD6-2b双方に付設するとより信頼度は向上する。(つまり、照射角抑制筒10は、上記の開孔部付きの遮蔽板に相当する。)
更に、該LED6-2aに該照射角抑制筒10を付設し、該PD6-2bは個別素子ではなく、1感知エリア内に相応の面積を持ちどこの部位が受光したかを判別する所謂エリアセンサやCCDカメラなどで構成してもよい。逆に該PD6-2bに該照射角抑制筒10を付設し、該LED6-2aは個別素子ではなく、相応の発光面積を持つ一つの発光体であってもよい。
【0022】
また、該成長センサ6にはカメラを用いてもよい(図示せず)。カメラは静止画用、動画用を問わないが、画像認識など該植物1の頭頂部を検出し全高を算出する機能は必要となる。
また、該植物1越しに室内が写る様に該カメラを該植物1の背後に設置すれば、パソコンなどを介しインターネットを利用して外出先から該植物1と共に室内のセキュリティー監視(育成者自身が視認しても良いし、自動のセキュリティー監視機能を用いてもよい)も可能である。
【0023】
該成長センサ6を用いれば、第1の実施形態で説明した該植物1からのメッセージは、該植物1の成長と共に変化させることが可能となる。
つまり、該植物1はその品種毎に成長しきった時の全高が予め分かっているため、該植物1の成長過程を例えば幼児期、青年期、壮年期、老年期と全高を尺度として区別することができるので、該表示部5が音声出力である場合を例に挙げ説明すると、例えば幼児期には赤ん坊の声、言葉、内容で話し掛ける様にし、同様に各成長過程でもそれぞれに相当する表現方法で出力をするものである。これは該表示部5が画像出力である場合は、各成長過程を画像で表現することになる。
また、育成者が該植物1に名前、性別、性格(丁寧/乱暴、少年期に性格が変わるなど)などの個性を設定し、これに応じたイメージキャラクタを出力すると該植物1に対しより愛着を増すことができる。
これらにより、該植物1を直接見守るのとは異なる方法で該植物1の成長過程を見ることができ、且つあたかも該植物1とのコミュニケーションが取れた様に感じられ、該植物1育成はより楽しいものになる。
【0024】
また、該成長センサ6を付設することで、横軸に時間、縦軸に該植物1の全高(背丈)とするグラフ(図5)を該制御部4内に作成することができる。
図5において、成長途中にもかかわらず全高が縮み始めた場合(図5中のA)は、水遣り不足などによる成長不良が懸念されるため、育成者に対し「成長具合が異常なので見てください」という旨の成長不良警告のメッセージを発信する様にすると、日照不足や水遣り忘れなどの育成環境不良により該植物1をつい枯らしてしまうことを、未然に防止する有効な手段となる。ここで、該表示部5が音声出力の場合一回のみの出力では聞き逃しもあるため、設定したインターバル、回数を繰り返し行うとか、確認操作(例えばリセットボタンを押す)が行われるまで繰り返し出力するなどの配慮があるとよい。
更なる成長不良対策として、成長過程の幾つかのポイント(該植物1の全高またはインターバル時間)に「…肥料を下さい」という旨の肥料要求のメッセージを発信する様にしておけば、より確実な該植物1の育成が可能となる。
これにより、たとえ未経験者であっても、確実な該植物1の育成ができる様になる。
【0025】
一方、図5中のBは、該植物1は該植物1が持っている本来の全高に達した後に縮み始めていることから、寿命が近いことを推測することができる。この様な状態になった場合は該植物1の交換が必要であるが、育成者が独居老人である場合は、地方自治体の担当者や委託業者などが交換に老人宅を訪れることにより、仰々しい面接や検診とは異なり人間味のあるコミュニケーションを保ちながら直接面会して独居老人の様子を確認することもできる。更に該植物1の交換作業を看護師が行えば、問診や簡単な検診なども可能となる。
【0026】
「成長不良警告」のメッセージ機能と「寿命通知」のメッセージ機能について上述したが、「世話催促」のメッセージ機能及び「安否確認警告」のメッセージ機能も含め、改めて全体の流れを図6を用いて説明する。
すなわち、該制御部4としては、パソコン等のコンピュータが代表的に使用されるが、そのROMに書き込まれたプログラムについて、説明しておく。尚その記憶装置には、次の各種メッセージやデータが格納されている。例えば、世話場面に応じた各種メッセージ情報、植物の成長に応じた各種メッセージ情報、成長不良警告メッセージ、寿命通知メッセージ、世話催促メッセージ、世話不足警告メッセージ、水遣り過度メッセージ、想定される最高の背丈等の各植物固有のデータ、独居老人の場合の植物の世話間隔の設定時間、育成者以外のメールアドレス安否確認警告メッセージ、等々が格納されている。
初期設定(1)では、該表示部5などハード構成情報や、該植物1の基本情報(最終全高、世話(水遣り)頻度、肥料遣り時期、開始日時)や、各種表示情報(応答用のメッセージ、警告文/警告画面、警告に至るまでの期間、催促/警報出力の繰り返し回数や保持時間、安否確認警告の発信先となる電子メールアドレス)を設定する。また、所望する場合はアミューズメント情報(名前、性別、性格などの個性と、これに応じたイメージキャラクタ)も設定する。
育成開始(2)で植物育成のプログラムが開始され、該ケアセンサ3は絶えず監視状態にあり水遣りなどの世話がされたときに信号を出力し(4)、該表示部5から初期設定(1)に基づいた応答用のメッセージを発信する(5)。ここで該成長センサ6の測定時期でないときは(3)〜(5)を繰り返し、測定時期であれば全高を測定し(7)、成長不良がなければ(3)に戻る。成長不良の場合は、該植物1が寿命でなければ成長不良警告のメッセージを発信し(3)に戻り(12)、寿命の場合は寿命通知のメッセージを発信し(10)、植物育成プログラムを終了する(11)。(11の時点では該植物1は未だ完全に枯れ切ってはいない場合もあるため、植物を交換し新たな植物育成プログラムが開始されるまでの間、上記(3)〜(5)を繰り返してもよい。)
初期設定(1)で設定した世話頻度の期間以内に世話がされている場合は、上記(4)以降の流れとなるが、この期間を過ぎても世話がされていない場合は、世話不足警告のメッセージを発信し(13)、ケアセンサ3からの出力を待ち(14)、その後更に初期設定(1)で設定した安否確認警告の期間以内に世話がされない場合(15)は、「…さんの安否を確認してください」という旨の安否確認警告のメッセージを、初期設定(1)で設定した安否確認警告発信先に、該表示部5から電子メールなどを用いて出力し(16)、植物育成プログラムを終了する。
また図示しないが、(4)のケアセンサ出力の回数を記憶しておき、回数が増すに従いメッセージを変化させればより楽しいものとなる。
【0027】
図6では世話不足警告(水遣り不足)のメッセージについては示したが、逆に水の遣り過ぎにも配慮が必要である。図6には表していないが、ケアセンサの出力があった場合(4)は、前回のケアセンサの出力からどの位の時間が経過していかを計算し、この値が予め設定していた値より小さいときは、(5)のメッセージは「水遣り過度」の旨を伝えるものとすればよい。
また、該植物1がケースに収められている場合は、扉を開いた時点で上記「水遣り過度メッセージ」を出したり、適正な時間が来るまでは扉を自動的にロックしたりすることもできる。
【0028】
(第3の実施形態)
第3の実施形態として、図7を用いて説明する。
第3の実施形態(図7)は、第1の実施形態(図1)の構成に更にLED照明7と照明光通信用の受信機8を付加し、第1の実施形態の該表示部5の他に該LED照明7から照明光通信を用いた情報発信も可能にしたものである。制御部4は、該LED照明7の電源であり、且つ照明光通信の信号源として情報を照明光通信に適したフォーマットに変換して出力する。
【0029】
植物の育成にLED照明を用いると、植物の育成に有効な波長のみの光を選択して照射でき、また逆に有害な波長の光を出さないなどの育成上有利な点と、植物の育成に有効な波長の光を同じ強度だけ照射しようとした場合に他の照明用光源と比較して、LEDの方がエネルギー効率に優れる点と、よって発熱量も少ないため室内の空調費が抑えられるなどメリットがある。
一方、LEDの応答性は速く人間の目に見えない速さで点滅(ON/OFF)を繰り返すことができるため、LED駆動用電源を送信したい信号(デジタル信号)に合わせON/OFFさせれば、照明光を媒体として情報を送信することができる。図7において該受信機8は、詳細は省略し概観のみを示しているが、受信側ではフォトダイオードなどの光電変換素子を用いて光信号を電気信号に変換し、この結果得られた電気信号を基に処理回路やソフトを用いて音声や画像などの出力表示をする。この時ここに用いる光電変換素子は、照明光の波長域に感度があり、且つ照明光の点滅を感知できる応答速度が必要である。照明光通信については、前記特許文献2や特開平6−37720号広報を参照。
【0030】
ここで、該LED照明7は本来該植物1の育成のためのものであり、例えば波長が概略650nm近傍の光を用いるのが一般的であるが、この650nm(ナノメートル)近傍の光は人間の目には赤色に映り、観賞用の光源としては好ましくない(この他にも450nmの例もあるが450nmは青色でありやはり観賞用の光源としては好ましくない)。そこで、この照明光の色彩が気になる場合は図8に示す様に、該植物1全体を照らすLED照明7は育成者が好む色(波長)とし、該LED照明7とは別に該植物1育成用のLED照明7’を、該植物1の葉の部分だけを照らす位置に新たに設けるとよい。
照明光通信には、全体を照らすLED照明7を用いても育成用のLED照明7’を用いてもよく、点滅が人の目で識別程度まで通信速度を意図的に落とすと、照明光通信の臨場感が出てアミューズメント性が向上する。
【0031】
(第4の実施形態)
本発明の独居老人の安否確認への活用については概略を上述したが、改めてここに図6を用いて全体を説明をする。
独居老人の安否確認への活用には、上述の水遣り要求メッセージの後予め設定した期間に亘り水遣りなど該植物1の世話がなされない場合は、安否確認が必要である旨を予め設定しておいた連絡先(家族や地方自治体)へ、電子メール、電話、FAXなどを用いて該制御部4から自動配信する様にする。
独居老人は日々該植物1の世話をするだけでよく、またこの世話をすること自体も楽しめる様な仕掛けがあり、該植物1の世話を長期間に亘り行うことがやり易くなる。つまり、本発明によれば、独居老人に精神的な負担を掛けないばかりではなくむしろ生活に潤いを与えながら、独居老人の安否確認を安価な装置で実現することができる。
また、絶えず監視されているという精神的な居住性の悪化はあるが、日々の該植物1の世話をしたかどうかを自動配信すれば、日々の確認ができるためより迅速な独居老人の安否確認を行うこともできる。
【0032】
以上本発明の実施形態について説明したが、以下にまず該ケアセンサ3の具体例を、次いで該表示部5の具体例を述べる。
【0033】
該ケアセンサ3は育成者が該植物1の世話をしたことを検出するセンサであり、水遣りの他に、LED照明が付設されている場合はLED照明の点燈/消灯、該植物1がケースに入れられている場合はケースの扉の開閉を検出してもよいが、ここでは水遣りを検出する方法を中心に説明する。
【0034】
水遣りを検出する方法としては、土壌の水分量を測定する方法が考えられ、土壌の含水率を検出する方法や、植物と土壌と植木鉢を含めた全体の重量の変化を検出する方法など多くが提案されているが、土壌の水分量を測定を目的としているためいずれも大掛かりでありコスト高いかなものになっている。しかし、本発明では水遣りという行為自身を検知すればよく、図9や図10の様な簡単、安価なもので実現可能である。
図9は、該ケアセンサ3が水遣り時の水11により回路の接点が閉じられることにより水遣りを検知する方法で、31a,31bは対を成す回路の接点、32は該接点31a,31bと該制御部4を電気的に接続するケーブルである。この様に構成すると、育成者が該植物1に水遣りを行った時の水11が通常はオープン状態の電気回路の該接点31a,31bをショートすることになり、よって水遣りがされたことを該制御部4は検出することが可能となる。
該接点31a及び31bの間隔や、それぞれの面積や、それぞれの材質などは、1回の水遣りの水量や水切れの良さなどを配慮して決定すればよい。
該接点31a,31bは、土壌に埋め込んでおいてもよいし土壌表面に置いておいてもよいし、空中に配置してもよいが、いずれの場合もいつも必ず水遣りを行う位置に配置することが必要である。
【0035】
また土壌が水耕栽培用スポンジ状物質である場合など、該接点31a,31bを空中に配置する場合は、該接点31a,31b上方にロート状の水遣り口を設け、水11を確実に該接点31a,31b誘い込む様にしたり(図示せず)、該接点31a,31b自身を平行平板ではなく、図10の様に該接点31a,31b自身を上方に開いたロート状の形状にするとよい。
図10では該接点31a,31bは、を上方に開いた待遇に配置し、更にそれぞれ向かい合う面が凹となる様な曲面を持たせた形状となっている。この様にすることにより、水11は該接点31a,31bの間隔が最も狭まった位置(該接点31a,31bの最下部)に集中するため、水量が少なくとも該接点31a,31bを確実にショートでき、該接点31a,31bの間隔が最も狭まった位置での該接点31a,31bの間隔wを広くとることができ、該接点31a,31bからの水切れも良くなるという利点がある。
図10では該接点31a,31bは同一形状の曲面を有する2枚の板で示したが、例えば育成者から見て手前側の接点の上部を短く切って水を誘い込み易くしてもよいし、また接点31a,31bは平板であっても針状であってもよい。
【0036】
図11は、該ケアセンサ3が水遣りのためのジョーロを所謂磁気センサを用いて検知する方法で、33は所謂磁気センサ、32は該磁気センサ33と該制御部4を電気的に接続するケーブル、34はジョーロで、34aはジョーロ本体、34bは該ジョーロ本体34aの底部に設置された磁石である。この様に構成することにより、ケアセンサ3は該ジョーロ34が該植物1の近傍に来た(該植物1近傍の該磁気センサ33の上空を該ジョーロ34が通過した)ことを検知でき、このことによって該制御部4は水遣りがされたと判断することが可能となる。
該磁石34bは必ずしも必要ではなく、該ジョーロ本体34aが磁性体で成っていてもよい。
該ジョーロ本体34aの容量は1回の水遣りに適したものにすると、適正量の水遣りができる。
【0037】
また、正確さよりも該植物育成装置の価格を優先したい場合などは、不特定の何かが該植物1に接近したかどうかだけの検出であってもよく、該ケアセンサ3は例えば透過型或いは反射型の光センサで構成してもよい。
【0038】
図7及び図8は該植物1の上方を含む近傍に該LED照明7を配置した場合の説明図であるが、ここで該LED照明7の点灯や消灯や輝度調整をすること自体も該植物1への世話(ケア)がされたと見なすこともできる。つまり、該LED照明7の駆動電流の変化を捉えるべく、該ケアセンサ3は該LED照明7の電源ラインに電流計の形で配置され(図示せず)、この駆動電流の変化を検知することによって、該制御部4は該植物1の世話がされたと判断することが可能となる。
【0039】
また、該植物1がケースに収納されている場合(図示せず)は、このケースの扉の開閉をすること自体も該植物1への世話(ケア)がされたと見なすこともできる。つまり、該ケアセンサ3は所謂マイクロスイッチなどのセンサで構成され、扉が開けられたり閉められたりの変化を検知することにより、該制御部4は該植物1の世話がされたと判断することが可能となる。
【0040】
更に、該ケアセンサ3の検知ミスの時や、本植物育成装置の動作確認や、世話を省略したい時のために、該ケアセンサ3の出力を「世話をした」状態に強制的にするスイッチ(押しボタンスイッチが適切)を設けておくと便利である(図示せず)。特に独居老人の安否確認では、該植物1が独居老人の生活に潤いを与えるものではあるが、世話(水遣り)が義務化されると精神的な重荷になるため、サボる手段があることは独居老人にとって長く続けるための安心材料となる。(ただし、頻繁にこの強制スイッチが使われる時は、「実際に水をください」と云う旨の注意メッセージを出す。)
【0041】
次に表示部5の具体例について述べる。
該表示部5は該制御部4から出力されたメッセージ情報を具現化する機能を担うものであり、電子メール配信、FAX配信、音声出力、画像出力などがある。これらは単独で機能することは勿論であるが、一つの情報を複数の表示手段で同時に出力してもよく、この場合は該表示部5と該制御部4がパラレル通信であってもよいし、該制御部4からパケット通信などタイムシアリング的に情報を配信してもよいし、また該表示部5に定型の表示パターンを保存しておき該制御部4からはこの定型の表示パターンを指定するのみで、実際の表示動作は該表示部5自身で行う様にしてもよい。
【0042】
該表示部5が電子メールやFAXなど外部の通信手段を活用する場合は、該制御部4はパソコンによって構成すると、発信情報の作成、保存、発信行為に便利である(勿論各センサから入力される情報の処理にも便利である)。価格や省スペース化などの観点から該制御部4を専用装置にする場合は、電子メールやFAXなどの配信は、モデムなどを用いて電話回線を利用するか、携帯電話などを活用すればよい。
【0043】
該表示部5が音声出力の場合、あたかも該植物1が話し掛けている様にするために、スピーカーは該植物1の近傍に配置し且つ目立たないものにするとよい(図示せず)。また、スピーカーはイヤホン状のものでもよい。
声質については、人工合成音でもよいが、育成者にとって身近な人や有名人の肉声にするとより楽しいものになる。
【0044】
該表示部5が画像出力の場合は、動画にするか静止画にするかや、表示し続ける時間などは都度適切なものを選ぶと良い。表示内容は文字のみに限らず、上述の様に該植物1に個性(年齢、性別など)を設定した場合や、植物の種類毎など夫々に似合ったイメージキャラクタを設定するとより身近で楽しいものとなる。
また、該表示部5をLEDや液晶ハ゜ネルなどのドット配列のものにすると、アニューズメント性は劣るが安価に実現することが可能である。
【0045】
(第5の実施形態)
第5の実施形態として、図12を用いて説明する。
第5の実施形態(図12)は、第1の実施形態(図1)の構成に更に成熟度センサ12を付加したものであり、該成熟度センサ12の駆動やここから得られる情報の処理は制御部4で行われる。図12において、該成熟度センサ12はカラーCCDカメラで成り、該植物1の花部を撮影している。(該成熟度センサ12は花の蕾が出てきた時に花部が写り込む位置に設置する。)
これにより、開花や花の色の変化など前述の該成長センサ6では検知し得ない該植物1の成長状況の変化を検知することができるため、開花過程にあっては開花具合に合わせたより細やかなメッセージを発信し、該植物1の育成をより楽しいものにしたり、終焉期にあっては落花する兆候を事前に予測することで、寿命通知の予告メッセージを発信することが可能とる。
【0046】
また、(該植物1が結実植物である場合は、)該成熟度センサ12を果実に向けておけば、その色合いから(場合によっては育成開始日などからの経過日数も判断材料として)、収穫最適時期のメッセージを発信することもできる。
更に、該成熟度センサ12を葉部に向けておけば、該植物1が成長期(該成長センサ6や育成経過日数から判断できる)にあるにも関わらず、葉部の色彩が悪くなった場合(緑色の光スペクトルの低下や茶色光スペクトルの増加)には、成長不良警告のメッセージを発信することもできる。
【0047】
(第6の実施形態)
第6の実施形態(図示せず)は、第1の実施形態(図1)の構成に更に問い掛けセンサを付加したものであり、該問い掛けセンサは、集音マイクでなり、該植物1の近傍に設置される。
制御部4は、該問い掛けセンサの駆動や、該問い掛けセンサから送られてくる音声信号を音声認識し、この中から該植物1に向けられた言葉のみ(音量や予め設定されている問答集に合致する言葉があるかなどで判断)に対し、記憶されている回答(問答集)の中から問い掛けに対し適した回答を選出し、表示部5部から出力表示する。
これにより、該育成者は、水遣り時のみならず、言葉で話し掛けても該植物1からのメッセージを得られるため、該植物1の育成をより楽しいものにすることができる。
【0048】
また、上記問答集に当該育成者のみが分る暗号を設定しておいたり、該制御部4での音声認識において声紋判別を行うなどして、該植物1が特定の育成者の話し掛けのみに回答する様にしておけば、該植物1の育成をより楽しいものにすることができる。
更に、回答の最後に該植物1からの質問を付加したり、故意に間違えた回答を出したり、「聞き取りミスなのでもう一度言ってください」などのメッセージを出し、該育成者に再度話し掛けさせる様にしておき、該育成者があたかも該植物1と会話をしている様に思える様にすることも、該植物1の育成をより楽しいものにする大きな要素となる。
【0049】
以上に説明した様に本発明の植物育成装置を用いれば、安価且つ簡単な操作で、植物育成の初心者であっても楽しく且つ確実に行うことができ、この結果独居老人に精神的負担を負わせないことのみならず、寧ろ独居老人の生活に潤いを与えながら独居老人の安否確認も実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1:植物
2:プランタ
3:ケアセンサ
4:制御部
5:表示部
6:成長センサ
7:LED照明
8:受信機
9:マスク
10:照射角抑制筒
11:水
12:成熟度センサ
13:カメラ
14:重量計
15:自動給水機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を育成する植物育成装置であって、育成される対象である植物と、育成者が該植物の世話をしたことを検出するケアセンサと、
該ケアセンサからの信号が入力されると共に、予め記憶されているメッセージ情報の中から、該ケアセンサからの入力信号に基づき、場面に応じたメッセージ情報を選出して表示部に出力する制御部と、
該制御部から出力されたメッセージ情報を(育成者に対し)具現化する該表示部とを、有していること、を特徴とする植物育成装置。
【請求項2】
請求項1において、該ケアセンサは、該植物に水遣り世話をした時の水が、通常はオープン状態になっている電気回路の接点をショートすることを、検出する様になっていること、を特徴とする植物育成装置。
【請求項3】
請求項1において、該ケアセンサは、該植物の近くに配置された磁気センサが、該磁気センサ付近を通過する該植物の水遣り世話用のジョーロの磁性を、検出する様になっていること、を特徴とする植物育成装置。
【請求項4】
請求項1において、更に、該植物の背丈全高を測る成長センサを、有してなり、
該制御部は、該成長センサからの信号も入力可能であると共に、予め記憶されているメッセージ情報の中から、該成長センサからの入力信号に基づき、該植物の成長に応じたメッセージ情報を選出して、該表示部に出力可能となっていること、を特徴とする植物育成装置。
【請求項5】
請求項4において、該制御部は、該成長センサからの入力信号に基づき、該植物が持つ想定される背丈の最高の高さに満たないうちに、該植物の背丈の増加が飽和したと判断したときは、生育不良である旨の警告メッセージ情報を出力すること、を特徴とする植物育成装置。
【請求項6】
請求項4において、該制御部は、該成長センサからの入力信号に基づき、該植物が持つ想定される背丈の最高の高さ付近で、該植物の背丈の増加が飽和したと判断したときは、該植物の寿命が近いことを知らせるメッセージ情報を出力すること、を特徴とする植物育成装置。
【請求項7】
請求項4において、該成長センサは、ラインセンサよりなり、発光部と受光部を備えると共に、センサ光通過用の開孔部を有する遮蔽板が、発光部と受光部を結ぶ光軸上に設けられていること、を特徴とする植物育成装置。
【請求項8】
請求項1において、更に、該植物の一部位の色彩を監視する成熟度センサを、有してなり、
該制御部は、該成熟度センサからの信号も入力可能であると共に、予め記憶されているメッセージ情報の中から、該成熟度センサからの入力信号に基づき、該植物の成熟度に応じたメッセージ情報を選出して、該表示部に出力可能となっていること、を特徴とする植物育成装置。
【請求項9】
請求項1において、更に、育成者が該植物に話し掛けたことを検出する問い掛けセンサを、有してなり、
該制御部は、該問い掛けセンサからの信号も入力可能であると共に、該問い掛けセンサからの信号を音声認識し、予め記憶されているメッセージ情報の中から、その問い掛け内容に応じたメッセージ情報を選出して、該表示部に出力可能となっていること、を特徴とする植物育成装置。
【請求項10】
請求項1,4,8又は9において、該制御部は、更に、イメージ情報を照明光通信に適したフォーマットに変換してLED照明部に向け出力可能となっており、
該LED照明部は、LEDを発光源として該植物を照らすと共に、該制御部からのメッセージ情報を照明光通信により受光部に向け発信可能であり、
該受信部は、該LED照明部からの照明光通信を受信すると共に、受信したメッセージ情報を再生表示可能となっていること、を特徴とする植物育成装置。
【請求項11】
請求項10において、該LED照明部は、該植物全体を照らす上方照明と、葉の近傍を照らす下部照明との少なくとも2個のLEDを備えており、上方照明は、人の目に違和感がなく且つ照明光通信に適した波長の光とし、下部照明は、該植物の育成に効果的な波長の光としたこと、を特徴とする植物育成装置。
【請求項12】
請求項1,4,8又は9において、該表示部が、電話回線や携帯電話やインターネットなどの外部の通信手段を用い、メッセージ情報を出力表示せしめる様になっていること、を特徴とする植物育成装置。
【請求項13】
請求項1において、該制御部は、該ケアセンサからの入力信号に基づき、予め設定しておいた時間が経過しても育成者が該植物の世話をしなかったと判断した場合は、育成者以外の予め設定されているアドレスに、警告メッセージ情報を電子メールで配信すること、を特徴とする植物育成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−254058(P2012−254058A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130216(P2011−130216)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(711006371)