説明

検出キット

【課題】検出対象物を高感度に検出するための検出キットを提供すること。
【解決手段】検出キットは、検出対象物を選択的に検出し得る検出キットであって、検出対象物と特異的に結合する結合部位11と、反応性を有する第1の反応部位12とを含む第1の化合物1と、第1の反応部位12と反応する第2の反応部位21と、標識部位22とを含む第2の化合物2とを有し、第1の化合物1と第2の化合物2とを反応させることにより、第1の反応部位12と第2の反応部位21とを連結させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、抗原または抗体を検出するために、種々の方法が用いられている。例えば、抗原または抗体は、抗原抗体反応を利用したELISA法を用いて検出される。
このELISA法による抗原抗体反応検出法では、2次抗体反応時に抗体に固定化された酵素による色素反応によって抗原の検出が行われている。しかし、抗原の存在量が超微量である場合、抗原の検出感度が得られないという問題を有する。
【0003】
一方で、基板表面から光重合等によって、末端に抗体分子を有するアンカー可能なPEGポリマーを成長させて、抗原検出可能な機能表面を作成している例がある(例えば、非特許文献1)。
ところが、基板に成長させたPEGポリマーの密度、大きさに比較して抗体分子は大きい。そのため、基板表面に固定化できる抗体分子の数は少なくなる。その結果、抗原の検出感度が、得られないという問題を有している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Robert P. Serba et al, Langmuir 2005 21, 10907
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、検出対象物を高感度に検出するための検出キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の検出キットは、検出対象物を選択的に検出し得る検出キットであって、
前記検出対象物と特異的に結合する結合部位と、反応性を有する第1の反応部位とを含む第1の化合物と、
前記第1の反応部位と反応する第2の反応部位と、標識部位とを含む第2の化合物とを有し、
前記第1の化合物と前記第2の化合物とを反応させることにより、前記第1の反応部位と前記第2の反応部位とを連結させることを特徴とする。
これにより、結合部位と標識部位とを有する検出試薬が得られるので、検出対象物を高感度に検出することができる。
【0007】
本発明の検出キットでは、前記結合部位は、抗原または抗体であることが好ましい。
これにより、抗原または抗体と特異的に結合し得る検出対象物(抗体または抗原)を高感度に検出することができる。
本発明の検出キットでは、前記第1の反応部位および前記第2の反応部位は、それぞれ重合性基で構成されていることが好ましい。
これにより、第1の反応部位および第2の反応部位の反応性が高いので、第1の反応部位と第2の反応部位とを容易に連結することができる。また、重合性基で重合反応が起こるので、第2の化合物を複数導入することができる。
【0008】
本発明の検出キットでは、前記第1の化合物は、前記結合部位と前記第1の反応部位との間に、前記結合部位と前記第1の反応部位とを連結する第1の連結部位を有することが好ましい。
これにより、第1の連結部位は反応性の高い基を有するので、結合部位および第1の反応部位を確実に連結することができる。
本発明の検出キットでは、前記第1の連結部位は、粒子を含むものであることが好ましい。
これにより、粒子は表面積が大きいので、粒子表面側に複数の結合部位および/または第1の反応部位を結合することができる。
【0009】
本発明の検出キットでは、前記粒子の表面に、前記結合部位および/または前記第1の反応部位が複数結合していることが好ましい。
これにより、複数の検出対象物および/または複数の第2の化合物と結合することができるので、検出対象物の検出感度を向上させることができる。
本発明の検出キットでは、前記粒子に結合する前記結合部位および前記第1の反応部位の存在比は、前記結合部位を[A]、前記第1の反応部位を[B]としたとき、A/Bが0.1〜1.0であることが好ましい。
これにより、第1の反応部位の存在割合が多いので、第2の化合物を多く結合することができる。その結果、複数の標識部位を有する検出試薬を得ることができる。
【0010】
本発明の検出キットでは、前記標識部位は、酸化還元物質、蛍光物質および色素化合物の少なくとも1種で構成されることが好ましい。
これにより、酸化還元電流、蛍光強度または色調が変化するので、電気化学的検出または蛍光検出が可能となる。
本発明の検出キットでは、前記標識部位を複数有することが好ましい。
これにより、標識部位を複数有する検出試薬が得られるので、検出対象物の検出感度をより向上させることができる。
【0011】
本発明の検出キットでは、前記第2の化合物は、前記第2の反応部位と前記標識部位との間に、前記第2の反応部位と前記標識部位とを連結する第2の連結部位を有することが好ましい。
これにより、第2の連結部位は、反応性の高い基を有するので、標識部位および第2の反応部位を確実に連結することができる。
本発明の検出キットでは、さらに、検出対象物を選択的に捕捉し得る捕捉物が担持された基体を有することが好ましい。
これにより、基体と第1の化合物と第2の化合物とを用いることで検出対象物を検出できるので、簡易かつ迅速に検出対象物を検出することができる。
【0012】
本発明の検出キットでは、前記基体は、ウェルを備え、
当該ウェルの内面に前記捕捉物が担持されていることが好ましい。
これにより、ウェルと第1の化合物と第2の化合物とを用いることで検出対象物を検出できるので、より簡易かつ迅速に検出対象物を検出することができる。
本発明の検出キットでは、前記基体は、粒状に形成されていることが好ましい。
これにより、基体の表面を滑らかにすることができるので、低抵抗で試料溶液中を移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の検出キットの第1の化合物を模式的に示す図である。
【図2】本発明の検出キットの第1の化合物を模式的に示す図である。
【図3】本発明の検出キットの第2の化合物を模式的に示す図である。
【図4】本発明の検出キットを用いた抗原の第1の検出方法を説明するための図(縦断面)である。
【図5】本発明の検出キットを用いた抗原の第2の検出方法に用いられるバイオセンサーの斜視図である。
【図6】図5に示すバイオセンサーを模式的に示す平面図である
【図7】図6に示すA−A線断面図の部分拡大図である。
【図8】本発明の検出キットを用いた抗原の第2の検出方法を説明するための図(縦断面図)である。
【図9】本発明の検出キットを用いた抗原の第3の検出方法に用いられるバイオセンサーを模式的に示す平面図である。
【図10】図9に示すB−B線断面図の部分拡大図である。
【図11】本発明の検出キットを用いた抗原の第4の検出方法を説明するための図(縦断面図)である。
【図12】本発明の検出キットを用いた抗原の第5の検出方法に用いられるウェルを模式的に示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の検出キットについて、詳細に説明する。
<検出キット>
本実施形態の検出キットは、検出対象物と特異的に結合する結合部位を有する第1の化合物と、検出対象物の検出感度を上げる標識部位を有する第2の化合物とを含むものである。
【0015】
まず、本発明の検出キットの第1の化合物および第2の化合物について説明する。
図1、2は、第1の化合物を模式的に示す図、図3は、第2の化合物を模式的に示す図である。
図1に示す第1の化合物1は、結合部位11と、反応性を有する第1の反応部位12と、結合部位11と第1の反応部位12とを連結する第1の連結部位13とを有している。
【0016】
結合部位11は、検出対象物を特異的に認識し得るものであれば特に限定されず、例えば、抗体、抗原、微生物、酵素、糖類、タンパク質などが挙げられる。これらのうち、本実施形態では、結合部位11は、抗原または抗体であることが好ましい。
このような抗体の種類は、特に限定されず、例えば、IgG、IgM、IgA、IgE等が挙げられる。これらの中でも、IgGが好ましい。IgGは、生産が容易であり、検出等可能な抗原の種類が増大する。
【0017】
第1の反応部位12は、後述する第2の化合物2の第2の反応部位21と反応して、結合する部位である。すなわち、第1の反応部位12は、第1の化合物1と第2の化合物2とを連結する機能を有する。
このような第1の反応部位12は、特に限定されないが、例えば、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、スチリル基などの重合性基、マレイミド基、ピリジルジスルフィド基、N−ヒドロキシサクシンイミド基、NHS基などが挙げられる。これらのうち、重合性基であることが好ましく、ビニル基であることがより好ましい。重合性基、特にビニル基は、反応性に富む基であるので、第1の反応部位12と第2の反応部位21とを効率よく反応させることができる。
【0018】
第1の連結部位13は、結合部位11と第1の反応部位12とを連結し得る結合基(官能基)を有している。このような結合基としては、例えば、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、スルフィド結合、カルボニル結合などが挙げられる。これらは、2種以上含まれていてもよい。
例えば、結合部位11を抗体とした場合、結合部位11の表面にはフリーアミノ基が存在するので、結合基はアミド結合が含まれていることが好ましい。これにより、抗体と結合基とが効率良く反応するので、抗体と結合基とを確実に結合することができる。
【0019】
また、例えば、結合部位11をシステインを有するタンパク質とした場合、システインはSH基を有するので、スルフィド結合が含まれていることが好ましい。
また、第1の連結部位13には、ポリエチレングリコール(PEG)鎖(スペーサ)が含まれていることが好ましい。これにより、結合部位11と第一の反応部位12とが一定距離離間するので、第1の反応部位12と第2の反応部位21とを効率的に反応することができる。
【0020】
PEG鎖は、アルキル鎖と比較すると、鎖上にエーテル結合を含むため、エーテル酸素原子の非結合対の電子の影響で金属イオンや極性官能基との相互作用を形成し易く、水分子とも会合し易い。また、エーテル酸素原子と隣接炭素原子間の双極子モーメントの影響でダイポールモーメントが比較的大きく、水和し易さにも影響与える。
このように、PEG鎖は、一般的に水溶性になりやすい鎖構造のため、水中にて緩和伸張構造を取り易い。
【0021】
一方、アルキル鎖は疎水性のため水中では、疎水性凝集効果によって鎖が縮まり、反応部位間との距離が保てない。
したがって、第1の連結部位13にPEG鎖が含まれていることにより、水中において伸長構造を取り易くなるので、液体試料151中の検出対象物を高感度に検出することができる。
また、第1の連結部位13は、粒子13aを含むことが好ましい。これにより、粒子13aは表面積が大きいので、粒子13aの表面に複数の結合部位11、第1の反応部位12を結合することができる。
以上のような結合部位11、第1の反応部位12、第1の連結部位13を有する第1の化合物1は、例えば、以下に示す化合物(1)、化合物(2)、図2に示す構造のものが挙げられる。なお、化合物(1)および化合物(2)のいずれも、結合部位(PEG鎖とアミド結合している部位)11は抗体である。
【0022】
【化1】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0023】
【化2】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0024】
図2に示す第1の化合物1は、結合部位11と、第1の反応部位12と、粒子13aを含む第1の連結部13とを有している。そして、結合部位11および第1の反応部位12は、それぞれ硫黄原子を介して粒子13aに結合している。
このような粒子13aとしては、例えば、金、銀などの金属、これらの金属酸化物、色素、顔料、ポリスチレン、メタクリル酸などが挙げられる。このうち、金属であることが好ましく、金であることがより好ましい。
金は、硫黄原子とスルフィド結合することができるので、図2に示すように、複数の結合部位11および第1の反応部位12を硫黄原子を介して簡単に結合させることができる。その結果、第2の化合物2の連結により、標識部位22が多く存在するので、検出対象物を高感度に検出することができる。
【0025】
第1の連結部13が粒子13aを含む場合、粒子13a表面に結合する結合部位11および第1の反応部位12の存在比は、結合部位11をA、第1の反応部位12をBとしたとき、A/B=0.1〜1.0であることが好ましく、0.3〜0.8であることがより好ましい。
これにより、結合部位11よりも第1の反応部位12の存在割合が大きいので、標識部位22を有する第2の化合物2をより多く連結することができる。その結果、標識部位22の存在割合が増大し、検出対象物をより高感度に検出することができる。
【0026】
結合部位11および第1の反応部位12の存在比が前記範囲よりも小さすぎると、結合部位11の存在割合が小さくなり、検出対象物と十分に結合しなくなるおそれがある。
一方、結合部位11および第1の反応部位12の存在比が前記範囲よりも大きすぎると、第1の反応部位12の存在割合が小さくなりすぎ、第2の化合物2を連結する割合が小さくなるおそれがある。
【0027】
図3に示す第2の化合物2は、第1の反応部位12と反応する第2の反応部位21と、標識部位22と、第2の反応部位21と標識部位22とを連結する第2の連結部位23とを有している。
第2の反応部位21は、第1の化合物1の第1の反応部位12と反応して、結合する部位である。すなわち、第2の反応部位21は、第1の化合物1と第2の化合物2とを連結する機能を有する。
【0028】
このような第2の反応部位21は、特に限定されないが、例えば、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、スチリル基などの重合性基、N−ヒドロキシサクシンイミド基、NHS基、マレイミド基、ピリジルジスルフィド基などが挙げられる。これらのうち、重合性基であることが好ましく、ビニル基であることがより好ましい。重合性基、特にビニル基は、反応性に富む基であるので、第2の反応部位21を第1の反応部位12と効率よく反応することができる。
【0029】
標識部位22は、検出対象物の検出感度を向上させる機能を有する。
この標識部位22としては、例えば、蛍光物質、酸化還元物質または色素化合物などが挙げられる。これらは2種以上組み合せて用いることもできる。標識部位22を複数用いることにより、検出対象物を高感度に検出することができる。
標識部位22に蛍光物質を用いた場合、検出対象物を含む液体試料151中に第1の反応部位12と第2の反応部位21とが連結した蛍光検出試薬5を混合することで、蛍光強度が変化するので、簡単に検出対象物の検出をすることができる。
【0030】
標識部位22に酸化還元物質を用いた場合、第1の反応部位12と第2の反応部位21とが連結した酸化還元検出試薬4を検出対象物を捕捉したセンサーに接触させることで、酸化還元反応が生じるので、酸化還元電流を計測することができる。
標識部位22に色素化合物を用いた場合、検出対象物を含む試料の色調の変化により、検出対象物の存在を確認できるので、より簡単に検出対象物を検出することができる。
このような蛍光物質52としては、特に限定されないが、例えば、フルオレセイン、ダンシルクロライド、フルオレスカミン、7−クロロ−4−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾ−ル(NBD−クロライド)、オルトアミノチオフェノール、ダンシルヒドラジンなどの芳香族有機化合物などが挙げられる。
【0031】
酸化還元物質42としては、特に限定されないが、例えば、フェロセン(化3)、オスミウム−ビピリジル錯体(化4)、フタロシアニン、テトラゾリウム塩、テトラメチルベンジジン、ジアミノベンジジン、トリアミノトリフェニルメタン、トリンダー試薬等が挙げられる。このうち、フェロセンまたはオスミウム−ビピリジル錯体であることが好ましい。
【0032】
【化3】

【0033】
【化4】

【0034】
フェロセンは、酸化還元活性に優れるので、検出対象物の検出を行った場合、酸化還元電流をより効率よく検出することができる。
オスミウム−ビピリジル錯体は、水溶性であるためポリマーとの親和性が高い。また、ポリマー鎖も水和構造の中で伸張し、反応が進行しやすい。そのため、検出対象物の検出を行った場合、酸化還元電流をより効率よく検出することができる。
色素化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポルフィリン、クロロフィル、ニュートラルレッド、メチレンブルー、フェノールフタレイン、インドシアニングリーン、シアニン色素、アゾ色素、フラボノイド、カロチノイドなどが挙げられる。
【0035】
第2の連結部位23は、第2の反応部位21と標識部位22とを連結し得る結合基(官能基)を有している。このような結合基としては、例えば、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、スルフィド結合、カルボニル結合などが挙げられる。これらは、2種以上含まれていてもよい。
例えば、標識部位22をフェロセンとした場合、結合基はエステル結合が含まれていることが好ましい。これにより、フェロセンと結合基とが効率良く反応するので、フェロセンと結合基とを確実に結合することができる。
【0036】
また、第2の連結部位23には、ポリエチレングリコール(PEG)鎖(スペーサ)が含まれていることが好ましい。これにより、第2の反応部位21と標識部位22とが一定距離離間するので、検出対象物を検出する場合、当該検出対象物を効率よく検出することができる。また、第1の連結部位13で説明したように、水中において伸長構造を取り易くなるので、液体試料151中の検出対象物を高感度に検出することができる。
以上のような第2の反応部位21、標識部位22、第2の連結部位23を有する第2の化合物2は、例えば、以下に示す化合物(5)〜(7)などが挙げられる。
【0037】
【化5】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0038】
【化6】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0039】
【化7】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0040】
以上の第1の化合物1と第2の化合物2とを含むことにより、検出キットが得られる。
この検出キットには、検出対象物の検出に必要なもの、例えば、検出対象物を選択的に捕捉し得る捕捉物8が担持された基体190が含まれていてもよい。
このような基体190としては、例えば、バイオセンサーに用いる作用電極121、基板120、担体124などが挙げられる。これにより、検出対象物を一旦基体190の捕捉物8に捕捉した後、第1の化合物1および第2の化合物2を用いて、検出対象物の高感度検出をすることができる。
【0041】
なお、基体190の形状は特に限定されないが、担体124を用いる場合は、球状(粒状)であることが好ましい。これにより、表面が滑らかになるので、液体試料151中を小さい抵抗で沈降、浮遊することができる。
その他、本発明の検出キットは、スパチュラ、反応容器、スポイトなどを含んでいてもよい。これにより、測定場所を問わず、より迅速に検出対象物の検出を行うことができる。
また、本発明の検出キットは、持ち運びを容易にするために、第1の化合物1や第2の化合物2などを容器に収容して提供することができる。
このような検出キットに含まれる第1の化合物1および第2の化合物2は、それぞれ、次のようにして製造することができる。
【0042】
以下、第1の化合物1の製造方法および第2の化合物2の製造方法について、それぞれ2つの方法を例に挙げて詳細に説明する。なお、以下の説明では、結合部位11に抗体を用いた場合を代表して説明する。
【0043】
<第1の化合物の製造方法>
[1]第1の製造方法
まず、結合部位11である抗体と、PEGの一端にエステル基を介してコハク酸イミドを、他端にエステル基を介して第1の反応部位12を有する下記化合物(8)を用意する。
【0044】
【化8】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0045】
次に、下記反応式に示すように、抗体と化合物(8)とを反応させる。
【0046】
【化9】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0047】
反応に用いる化合物(8)の量は、抗体1μgに対して、2〜100倍量であることが好ましく、5〜50倍量であることがより好ましい。
抗体の表面には、アミノ酸の1種であるリシン由来のフリーアミノ基が存在する。そのため、当該アミノ基と化合物(8)とで反応が進行する。したがって、化合物(8)が前記したような量であることにより、化合物(8)が過剰に存在するので、抗体のアミノ基と過不足なく反応することができる。
【0048】
反応時間は、0.5〜10時間であることが好ましく、1〜5時間であることがより好ましい。
反応温度は、0〜60℃であることが好ましく、20〜40℃であることがより好ましい。
反応のpHは、6〜8であることが好ましく、6.5〜7.5であることがより好ましい。
以上のような反応条件を好ましい条件に設定することにより、抗体と化合物(8)との反応が効率よく進行するので、収率よく第1の化合物1(化合物(9))を得ることができる。
【0049】
[2]第2の製造方法
次に、第1の連結部13に金微粒子を含む場合の第1の化合物1の第2の製造方法について説明する。
[A1] まず、金微粒子とアミノエタンチオールを用意する。
この金微粒子の外径は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがより好ましい。
また、金微粒子の表面積は、1×10−15〜1×10−11であることが好ましく、5×10−15〜8×10−13であることがより好ましい。
【0050】
金微粒子の外径、表面積がこのような範囲であることにより、金微粒子の表面に複数の化合物を結合することができる。
アミノエタンチオールの使用量は、0.1〜1mmol/Lであることが好ましく、0.5〜0.8mmol/Lであることがより好ましい。アミノエタンチオールの使用量がこのような範囲であることにより、アミノエタンチオールの量が金微粒子の量よりも多いので、金微粒子の表面に複数のアミノエタンチオールを結合することができる。
【0051】
[A2] 用意した金微粒子とアミノエタンチオールとを以下の反応式に示すように、混合し、反応させる。
【0052】
【化10】

【0053】
このときの反応条件は、反応溶媒中、25℃で1時間攪拌をしながら反応を行うことが好ましい。
反応溶媒は、特に限定されないが、ジクロロエタン、アセトニトリル、塩化メチレン、メタノールなどの各種溶媒が挙げられる。
これにより、金に硫黄原子を介してアミノエタンが結合した化合物(10)を得た。
【0054】
[A3] 得られた化合物(10)を下記の反応式に示すように化合物(11)と混合し、反応させる。
【0055】
【化11】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0056】
化合物(11)の使用量は、化合物(10)に対して1〜100当量であることが好ましく、5〜50当量であることがより好ましい。化合物(11)の使用量がこのような範囲であることにより、金微粒子に対して化合物(11)の量が多いので、金微粒子の表面に硫黄原子を介して複数の化合物(11)を結合することができる。
このときの反応条件は、反応溶媒中、25℃で1時間攪拌をしながら反応を行うことが好ましい。
反応溶媒は前記[A2]で挙げたものと同様である。
これにより、金微粒子に硫黄原子を介してアミノ基と第1の反応部位12とが結合した化合物(12)を得た。
【0057】
[A4] 次に、下記の反応式で示すように、[A3]で得られた化合物(12)とコハク酸イミドを両末端に有する化合物(13)とを混合し、反応させる。
【0058】
【化12】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0059】
化合物(13)の使用量は、化合物(12)に対して1〜10当量であることが好ましく、1.5〜5当量であることがより好ましい。
このときの反応条件は、反応溶媒中、25℃で1時間攪拌をしながら反応を行うことが好ましい。
反応溶媒は前記[A2]で挙げたものと同様である。
これにより、アミノ基とコハク酸イミド基が反応した化合物(14)を得た。
【0060】
[A5] 最後に、下記反応式に示すように、[A4]で得られた化合物(14)と抗体とを混合し、反応させる。
【0061】
【化13】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0062】
化合物(14)の使用量は、抗体1μgに対して、2〜100倍量であることが好ましく、5〜50倍量であることがより好ましい。前述したように、抗体表面のアミノ基と化合物(14)のコハク酸イミド基が反応する。そのため、化合物(14)が前記したような量であることにより、過剰に化合物(14)が存在するので、抗体のアミノ基と過不足なく反応することができる。
このときの反応条件は、反応溶媒中、25℃で1時間攪拌をしながら反応を行うことが好ましい。
反応溶媒は前記[A2]で挙げたものと同様である。
これにより、第1の連結部13に粒状の金微粒子を有する第1の化合物1(化合物(15))を得た。
【0063】
なお、金微粒子の表面にアミノエタンチオールおよび/または化合物(11)を複数結合することにより、図2に示すように、金微粒子の表面に硫黄原子を介して結合部位11および/または第1の反応部位12を複数結合することができる。換言すると、金微粒子の表面から放射状に結合部位11および/または第1の反応部位12を複数形成することができる。
これにより、複数の検出対象物と複数の結合部位11とが、複数の第2の反応部位21と複数の第1の反応部位とが反応するので、検出対象物の検出感度をより一層向上することができる。
【0064】
<第2の化合物の製造方法>
[1]第1の製造方法
まず、下記に示す標識化合物(16)と、下記に示すPEGの一端に第2の反応部位21と、他端に水酸基とを有する化合物(17)とを用意する。
【0065】
【化14】

【0066】
【化15】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0067】
次に、下記反応式に示すように、触媒存在下、化合物(16)と化合物(17)とを反応させる。
【0068】
【化16】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0069】
反応に用いる化合物(16)の量は、化合物(17)に対して1〜10当量であることが好ましく、1.5〜5当量であることがより好ましい。
反応時間は、0.5〜10時間であることが好ましく、1〜5時間であることがより好ましい。
反応温度は、0〜60℃であることが好ましく、20〜40℃であることがより好ましい。
以上のような反応条件を好ましい条件に設定することにより、化合物(16)と化合物(17)との反応が過不足なく進行するので、収率よく第2の化合物2(化合物(18))を得ることができる。
【0070】
[2]第2の製造方法
次に、第2の化合物2の第2の製造方法について説明する。
まず、一端に第2の反応部位21を有する化合物(19)と、一端に標識部位22を有する化合物(20)とを用意する。
【0071】
【化17】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0072】
【化18】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0073】
次に、下記反応式に示すように、触媒存在下、化合物(19)と化合物(20)とをラジカル重合させる。
【0074】
【化19】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0075】
反応に用いる化合物(19)の量は、化合物(20)に対して1〜10当量であることが好ましく、1.5〜5当量であることがより好ましい。
ラジカル重合反応時間は、0.5〜10時間であることが好ましく、1〜5時間であることがより好ましい。
ラジカル重合反応温度は、50〜300℃であることが好ましく、100〜250℃であることがより好ましい。
反応圧力は、常圧程度であることが好ましい。
触媒としては、例えば、過酸化ベンゾイルなどのラジカル触媒などが挙げられる。そして、触媒の量は、0.1〜5mmolであることが好ましく、0.5〜1mmolであることがより好ましい。
【0076】
以上のような反応条件を好ましい条件に設定することにより、化合物(19)と化合物(20)との反応が過不足なく進行するので、収率よく第2の化合物2(化合物(21))を得ることができる。
この化合物(21)は、標識部位22を複数有するので、第1の化合物1との結合により、検出対象物をより高感度に検出することができる。
以上のような製造方法により、第1の化合物1と第2の化合物2とが得られ、これらを含む検出キットが得られる。
【0077】
<検出キットの使用方法>
このようにして得られた第1の化合物1および第2の化合物2を含む検出キットは、例えば、次のようにして使用することができる。
以下、検出キットの使用方法(検出対象物の検出方法)について、図を用いて詳細に説明する。以下の説明では、検出対象物質に抗原3を、結合部位11に抗体を用いた場合を代表して説明する。
【0078】
[1]第1の検出方法
まず、本発明の検出キットを用いた検出対象物の第1の検出方法について説明する。
図4は、第1の検出方法を説明を模式的に示す縦断面図である。
なお、以下の説明では、図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
第1の検出方法は、第1の化合物1と第2の化合物2とを反応させて蛍光検出試薬5を調製する工程[A1]と、蛍光検出試薬5を液体試料151中に供給する工程[A2]と、蛍光検出試薬5と抗原3との結合により生じる蛍光強度の変化を検出する工程[A3]とを有する。
【0079】
[A1]検出試薬調製工程
まず、第1の化合物1と第2の化合物2とを反応して蛍光検出試薬5を調製する。なお、以下の説明では、蛍光検出試薬5の結合部位11を抗体51、標識部位22を蛍光物質52として説明する。
蛍光検出試薬5の調製は、例えば、下記反応式で示すように、第1の反応部位12にビニル基を有する第1の化合物1(化合物(22))と標識部位22に蛍光物質52を有する第2の化合物2(化合物(23))とを、高圧水銀灯による紫外線照射により光重合反応させることにより行う。
【0080】
【化20】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0081】
なお、化合物(22)は1mol、化合物(23)は5mol用いた。また、紫外線は、強度1600mJ/cm、365nmの波長の光を25℃で15分間照射した。これにより、蛍光検出試薬5(化合物(24))を調製した。
なお、蛍光検出試薬5の重合度(紫外線照射時間)を制御することによって、抗体51分子表面に第1の連結部12を介して多数の蛍光物質52を導入できる。
例えば、第1の連結部12の1鎖長あたり100個の蛍光物質52を導入できる。仮に、10ポリマー鎖が1抗体より成長反応を起こしたとすると、1抗体51分子あたり1000個の蛍光物質52を導入できる。これにより、蛍光物質52を大量に導入できるので、抗原の検出感度を大幅に増幅することができる。
【0082】
また、化合物(2)と化合物(7)のフェロセンが蛍光物質52に置換した化合物とを反応する場合は、まず、当該化合物を緩衝溶液中分散させたものを用意する。次に、該緩衝溶液中に0.1mol/Lの2−メルカプトエタノール入れ、ジスルフィドを開裂させる。そして、この溶液と化合物(2)とを混合すると、ポリマー末端のチオールと抗体51分子表面のマレイミド分子が反応する。これにより、共有結合が形成し、抗体51分子表面に多数の蛍光物質52を固定化できる。
また、後述する第2の検出方法と同様に、化合物(28)と化合物(23)との反応により、金微粒子を含む蛍光検出試薬5を調製することもできる。
【0083】
[A2]検出試薬供給工程
図4(a)に示すように、検出対象物である抗原3を含む液体試料151を反応容器152に入れる。
次に、図4(a)に示すように、液体試料151(試料供給空間150)中に蛍光検出試薬5を供給する。これにより、抗原3と蛍光検出試薬5とが接触する。
【0084】
抗原3と蛍光検出試薬5とが接触すると、図4(b)に示すように、蛍光検出試薬5の抗体51が抗原3と反応し、抗原3と抗体51が結合する。
ここで、液体試料(被検体)151としては、例えば、血液、尿、汗、リンパ液、髄液、胆汁、唾液等の体液や、これらの体液に各種処理を施した処理済み液、お酒などの飲食品、医薬品、化粧品等が挙げられる。
なお、蛍光検出試薬5の供給濃度は、特に限定されないが、0.01〜1mmol/Lであることが好ましく、0.05〜0.5mmol/Lであることがより好ましい。
【0085】
[A3]抗原検出工程
抗体51が抗原3に結合すると、蛍光検出試薬5の蛍光物質52により、抗原3の蛍光強度が増大する。すなわち、抗原3に抗体51が結合していない状態では、抗原3の蛍光強度は、0または極めて低い値である。しかし、蛍光検出試薬5の抗体51が抗原3に結合することにより、抗原3の蛍光強度が増大する。この蛍光強度を蛍光光度計や蛍光検出器を用いたHPLCなどで測定することにより、抗原3を検出することができる。
なお、液体試料151中の抗原3の濃度を測定する場合は、予め濃度既知の抗原3含有液体試料151を段階的に複数調製する。そして、上記検出方法により、各濃度の液体試料151中の抗原3を測定する。測定により得られた各液体試料151中の抗原3の蛍光強度を縦軸に、抗原3の濃度を横軸として検量線を作成する。
【0086】
次に、液体試料151中の抗原3を前述したような方法で測定する。そして、測定により得られた蛍光強度と前記検量線とから液体試料151中に存在する抗原3の濃度を定量することができる。
以上のような方法により、抗原3の存在を検出することができ、抗原3の濃度を定量することもできる。
【0087】
[2]第2の検出方法
次に、本発明の検出キットを用いた検出対象物の第2の検出方法について説明する。
図5は、バイオセンサーを測定装置に装着した状態を示す模式図(斜視図)、図6は、図5に示すバイオセンサーを模式的に示す平面図、図7は、図6に示すバイオセンサーのA−A線断面図、図8は、図6に示すA−A線断面図の部分拡大図である。
なお、以下の説明では、図6中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」と言う。また、図7および図8中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0088】
まず、図5のバイオセンサーについて説明する。
図5に示す測定装置(電子機器)101は、バイオセンサー100と、バイオセンサー100で得られた電流値(酸化還元電流)を解析する処理回路200を備えた演算装置102と、バイオセンサー100を装着するコネクタ131と、処理回路200とコネクタ131とを接続する配線132とを有する。
バイオセンサー100は、図6に示すように、基板120上に、作用電極121、対向電極122および参照電極123を備える検出部110を有している。
【0089】
これらの各電極121、122、123は、それぞれ独立して、配線130、コネクタ131および配線132を介して、処理回路200と電気的に接続されている。また、バイオセンサー100は、コネクタ131において着脱可能となっている。
また、検出部110以外の基板120上の範囲は、図7に示すように、絶縁膜160で覆われている。すなわち、基板120上に絶縁膜160が設けられ、検出部110は、絶縁膜160の一部に設けられた開口部165から露出している。
【0090】
このようなバイオセンサー100は、図7に示すように、基板120と絶縁膜160とで画成される試料供給空間150に、液体試料151を供給することにより、作用電極121上に設けられた後述する反応層140と液体試料151とが接触する。そして、液体試料151中の抗原3と反応層140とが反応することにより、電流値が変化する。これにより、この電流値と電圧とから酸化還元電流の変化に基づいて、液体試料151中の抗原3の量を測定することができる。
【0091】
基板120は、バイオセンサー100を構成する各部を支持するとともに、前述した各電極121、122、123および配線130を、互いに絶縁するものである。
基板120の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PES)、ポリイミド(PI)等の各種樹脂材料、石英ガラスのような各種ガラス材料、アルミナ、ジルコニアのような各種セラミックス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0092】
作用電極121の構成材料としては、例えば、金、銀、銅、白金またはこれらを含む合金のような金属材料、ITOのような金属酸化物系材料、グラファイトのような炭素系材料等が挙げられる。これらのうち、金属材料であることが好ましく、金または銀であることがより好ましい。作用電極121の構成材料が金または銀であることにより、後述する捕捉物8を硫黄原子を介して容易に結合できるので、より簡単にバイオセンサー100を製造することができる。
作用電極121の上側には、反応層140が設けられている。
【0093】
図7に示すように、反応層140の一部は、試料供給空間150に露出している。そして、試料供給空間150に液体試料151を供給することにより、液体試料151を反応層140に接触させることができる。
対向電極122は、作用電極121との間に電圧を印加する電極である。試料供給空間150に液体試料151を供給した状態で、作用電極121と対向電極122との間に、作用電極121側が高電位となるように電圧を印加すると、抗原3と捕捉物8との結合により、電流値の変化を確実に捉えることができる。
【0094】
対向電極122の構成材料としては、前述の作用電極121の構成材料と同様の材料が挙げられる。
また、対向電極122の面積は、作用電極121の2倍以上であるのが好ましく、10倍以上であるのがより好ましい。これにより、より高い精度で電流値を測定することができる。
【0095】
参照電極123は、対向電極122との間に電圧を印加する電極である。試料供給空間150に液体試料151を供給した状態で、参照電極123と対向電極122との間に電圧を印加する。そして、これらの電極間に流れる電流値と、前述の作用電極121と対向電極122との間に流れる電流値とを比較することにより、抗原3と捕捉物8との反応により生じた電流値を、より高い精度で測定することができる。
参照電極123の構成材料としては、例えば、銀−塩化銀、水銀−硫酸水銀等が挙げられる。
【0096】
また、前述の作用電極121、対向電極122、参照電極123、および配線130は、導電性材料粉末の集合体で構成されていてもよい。これにより、これらの電極121、122、123および配線130を、各種印刷法を用いて容易に形成することができる。その結果、バイオセンサー100の製造工程を大幅に簡素化することができ、バイオセンサー100の低コスト化を図ることができる。
【0097】
絶縁膜160は、前述したように、検出部110付近に開口する開口部165を有し、この開口部165により試料供給空間150を形成している。
このような絶縁膜160は、絶縁性の材料で構成されている。絶縁膜160の種類は特に限定されず、有機材料や無機材料のいずれも用いることができる。
有機材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートなどの高分子化合物が挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0098】
無機材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化コバルトなどの金属酸化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化セリウム、窒化亜鉛、窒化コバルト、窒化チタン、窒化タンタルなどの金属窒化物、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウムチタン酸鉛などの金属複合酸化物が挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
このような絶縁膜160の平均厚さは、特に限定されないが、10〜5000nm程度であるのが好ましく、50〜1000nm程度であるのがより好ましい。絶縁膜160の厚さを前記範囲とすることにより、各電極121、122、123同士および配線130同士を、確実に絶縁することができる。
【0099】
反応層140は、作用電極121表面側に検出対象物を特異的に捕捉する捕捉物8が担持されている。この反応層140は、当該捕捉物8と検出対象物である抗原3とが結合する機能を有する。
捕捉物8は、抗原3と特異的に反応するものであれば特に限定されないが、例えば、抗体が挙げられる。この抗体は、第1の化合物1の抗体と同様の抗体とすることができる。
【0100】
捕捉物8を作用電極121に担持(固定化)するためには、例えば、ELISA法を利用することができる。その際、作用電極121表面に、捕捉物8を直接結合させるために、架橋剤を介することが好ましい。
このような架橋剤としては、作用電極121の金属表面へ結合し得る官能基と、捕捉物8と結合し得る官能基とを有するものであればよい。
【0101】
金属表面へ結合し得る官能基としては、硫黄(S)、メルカプト基(−SH)、ジスルフィド基(−S−S−)等が挙げられる。
捕捉物8と結合し得る基としては、カルボキシル基、酸ハライド、活性エステル(フタル酸イミドエステル、コハク酸イミドエステル等)等のカルボキシル基反応性誘導体等のアミド結合形成基、エステル結合形成基、チオエステル結合形成基等が挙げられる。
【0102】
次に、このようなバイオセンサー100を用いた本発明の第2の検出方法を説明する。
第2の検出方法は、第1の化合物1と第2の化合物2とを反応させて酸化還元検出試薬4を調製する工程[B1]と、試料供給空間150に液体試料151を供給する工程[B2]と、酸化還元検出試薬4を液体試料151中に供給する工程[B3]と、酸化還元検出試薬4と抗原3との結合により生じる酸化還元電流の変化を検出する工程[B4]とを有する。
【0103】
[B1]酸化還元検出試薬調製工程
まず、第1の化合物1と第2の化合物2とを反応して酸化還元検出試薬4を調製する。
なお、以下の説明では酸化還元検出試薬4の結合部位を抗体41、標識部位22をフェロセン(酸化還元物質)42として説明する。
酸化還元検出試薬4の調製は、例えば、第1の化合物1(化合物(22))と標識部位22にフェロセン42を有する第2の化合物2(化合物(25))とを、第1の検出方法と同様の条件で反応させることにより行う。
【0104】
【化21】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0105】
これにより、酸化還元検出試薬4(化合物(26))を調製した。
なお、第1の検出方法と同様に、酸化還元検出試薬4の重合度(紫外線照射時間)を制御することによって、抗体41分子表面に第1の連結部12を介して多数のフェロセン42を導入することができる。
また、第1の検出方法と同様の方法により、化合物(2)と化合物(7)とを反応させて、酸化還元検出試薬4(化合物(27))を得ることもできる。
【0106】
【化22】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0107】
また、例えば、下記反応式に示すように、化合物(28)と化合物(5)とを、第1の検出方法と同様に光重合反応することにより、酸化還元検出試薬4(化合物(29))を調製することもできる。
【0108】
【化23】

(式中、nは3〜15を示す。)
【0109】
例えば、直径約1.5μmの金微粒子を用いた場合、その表面積は約7×10−12である。そのため、約0.5nm平方に表面バインディング分子(PV)が固定化されると仮定すると、単分子膜として表面には約3×10個の酸化還元物質42が固定化される。そして、さらに増幅効果高めるために、アクリル酸エステル系のモノマー末端(エステル部)にPVを固定化したものと、酸化還元物質42(フェロセンまたはオスミウムービピリジル錯体等)を固定化したものとでブロックポリマーを作成する。さらに、水溶性を高めるため、カルボン酸塩としてのポリマー部位も導入する。これにより、酸化還元検出試薬4を得ることができる。
【0110】
[B2]液体試料供給工程
図8(a)に示すように、液体試料151を試料供給空間150に供給する。
試料供給空間150に液体試料151を供給すると、反応層140と液体試料151が接触する。
反応層140と液体試料151とが接触すると、図8(b)に示すように、反応層140の表面に存在する捕捉物8が液体試料151中に含まれる抗原3と反応し、結合する。
【0111】
このとき、作用電極121と対向電極122との間に、作用電極121側が高電位となるように電圧を印加しておくと、捕捉物8と抗原3との結合により、電流値が変化し、その変化を処理回路200が検出する。
しかしながら、捕捉物8と抗原3とが結合しても感度が低い場合があり、処理回路200が電流値の変化を十分に検出することができない場合がある。このような場合、抗原3の検出感度を上げるために、本発明の酸化還元検出試薬4(検出キット)が用いられる。
【0112】
[B3]酸化還元検出試薬供給工程
図8(c)に示すように、捕捉物8と抗原3とが結合した液体試料151中に、酸化還元検出試薬4を供給する。
液体試料151中に酸化還元検出試薬4を供給すると、捕捉物8に結合している抗原3に酸化還元検出試薬4の抗体41が接触する。
抗原3に抗体41が接触すると、図8(d)に示すように、抗原3と抗体41とが反応し、結合する。
なお、酸化還元検出試薬4の供給量は、蛍光検出試薬5と同様である。
【0113】
[B4]抗原検出工程
作用電極121と対向電極122との間に、作用電極121側が高電位となるように電圧を印加しておくと、抗原3と抗体41との結合による、酸化還元物質42の酸化還元反応により酸化還元電流値が変化する。この酸化還元電流の変化を処理回路200が検出することにより、抗原3を検出することができる。
また、液体試料151中の抗原3の濃度を測定する場合は、第1の検出方法と同様の方法で行うことができる。
【0114】
以上のような動作により、捕捉物8に結合した抗原3に酸化還元検出試薬4が結合した場合と結合していない場合とで酸化還元電流値が大きく変化するので、液体試料151中の抗原3の量を高感度に検出することができる。
なお、ポリマー鎖に1000個程度の酸化還元物質42(フェロセン分子)が存在する場合、約3×1010 個のフェロセン分子が存在する。そのため、1個あたりのフェロセン分子のモル濃度は0.5×10−13mol/Lとなり、高感度の電気化学測定(CV測定)を行えばナノレベルにて抗体分子1個あたりの検出が可能となる。
【0115】
また、上記フェロセン(酸化還元)ポリマー修飾表面に別途、フェロセン修飾されたサイズの小さい金微粒子(10nmφ)を、例えば、静電的相互作用または化学結合によって導入させると、測定電流をさらに増幅できる。
例えば、金微粒子1個あたり、同様のフェロセンポリマー導入された状態にて約1600個のフェロセンが存在し、これが例えば、抗原3に細密固定化できたとすると、5×10個の金微粒子が抗原3に存在する。これら固定化された全フェロセン分子数は約8×1011個となり約1.2×10−12mol/Lにて、さらに一桁検出感度が向上する。
このように、この機能性ポリマーによる抗体反応増幅手法によれば、原理的には1分子抗体反応の結果がモニター可能であり、計測速度及び感度向上に大きな効果が期待できる。
【0116】
[3]第3の検出方法
次に、本発明の検出キットを用いた検出対象物の第3の検出方法について説明する。
以下、第3の検出方法について説明するが、前記第2検出方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図9は、バイオセンサーを模式的に示す平面図、図10は、図9に示すバイオセンサーのB−B線断面図。
なお、以下の説明では、図10中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0117】
第3の検出方法に用いられるバイオセンサー100は、非捕捉状態と捕捉状態との違いを、反応層140の電流値の変化に基づいて検出するのに代えて、反応層140の質量変化に基づいて検出するよう構成した以外は、前記第2の検出方法と同様である。
すなわち、図9および図10に示すバイオセンサー100は、各検出部110に圧電素子180が設けられている。
【0118】
圧電素子180は、平板状の圧電体181と、その両側の面にそれぞれ設けられた上電極182、下電極183とで構成されている。各電極182、183は、それぞれ独立して、配線130、配線130を介して、処理回路200と電気的に接続されている。
また、基板120には、凹部126が設けられている。この凹部126に下電極183(および上電極182)が対応するように、圧電体181の縁部が基板120に固定(固着)されている。
【0119】
各電極182および183の構成材料としては、それぞれ、前記作用電極121と同様の材料を用いることができる。
圧電体181の材料としては、例えば、水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムおよびホウ酸リチウム等の圧電材料を用いることができる。なお、これらの材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、積層体として)用いることができる。
【0120】
また、絶縁膜160は、開口部165を有し、この開口部165から上電極182が露出している。
そして、上電極182の上面には、反応層140が設けられている。
絶縁膜160および反応層140は、それぞれ、前記第2の検出方法で説明した絶縁膜160および反応層140と同様の構成とすることができ、前記第2の検出方法と同様にして形成することができる。
【0121】
次に、このようなバイオセンサー100を用いた本発明の第3の検出方法を説明する。
[C1]検出試薬調製工程
B1工程と同様に行う。
[C2]液体試料供給工程
B2工程と同様に行う。
【0122】
[C3]酸化還元検出試薬供給工程
B3工程と同様に行う。
[C4]抗原検出工程
作用電極121と対向電極122との間に、作用電極121側が高電位となるように電圧を印加しておくと、抗原3と抗体41との結合により、反応層140の質量が変化し、圧電素子180から検出される振動数も変化する。この振動数の変化を処理回路200が検出することにより、抗原3を検出することができる。
以上のような動作により、捕捉物8に結合した抗原3に酸化還元検出試薬4が結合した場合と結合していない場合とで振動周波数が大きく変化するので、液体試料151中の抗原3の量を簡単に高感度に検出することができる。
【0123】
[4]第4の検出方法
次に、本発明の検出キットを用いた検出対象物の第4の検出方法について説明する。
図11は、第4の検出方法を模式的に説明するための縦断面図である。
なお、以下の説明では、図11中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本検出方法では、捕捉物8を作用電極121上に担持する代わりに、捕捉物8を粒状の担体124に担持した捕捉物担体7を用いている。
【0124】
まず、検出方法の説明に先立って、捕捉物担体7について説明する。
捕捉物担体7は、液体試料151中の抗原3を捕捉する機能を有する。
この捕捉物担体7の担体124は、本実施形態においては球状(粒状)に形成されている。これにより、試料溶液中151を少ない抵抗で移動するので、抗原3の検出を迅速に行うことができる。また、球状であることにより、表面積が大きくなるので、捕捉物8をより多く担体124の表面に担持することができる。
なお、担体124の形状は、球状に限定されず、角柱状、円柱状などであってもよい。
担体124を構成する材料は、特に限定されず、前述した基板120や作用電極121を構成する材料と同様のものが挙げられる。
【0125】
本検出方法は、このような捕捉物担体7を用いて抗原3を捕捉し、検出が行われる。しかし、捕捉物担体7は、電極を用いておらず、蛍光物質42も有していない。そのため、捕捉物担体7が抗原3を捕捉しても抗原3を検出することは困難である。
そこで、本発明の検出キットにより得られる色調検出試薬6を用いて、抗原3の存在を検出する。
【0126】
次に、このような捕捉物担体7を用いた本発明の第4の検出方法を説明する。
第4の検出方法は、第1の化合物1と第2の化合物2とを反応させて色調検出試薬6を調製する工程[D1]と、試料供給空間150に液体試料151を供給する工程[D2]と、色調検出試薬6を液体試料151中に供給する工程[D3]と、色調検出試薬6と抗原3との結合により生じる色調の変化を検出する工程[D4]とを有する。
【0127】
[D1]色調検出試薬調製工程
まず、第1の化合物1と第2の化合物2とを反応して色調検出試薬6を調製する。
なお、以下の説明では色調検出試薬6の結合部位11を抗体61、標識部位22を色素化合物62として説明する。
色調検出試薬6の調製は、例えば、第1の化合物1(化合物(22))と標識部位22に色素化合物62を有する第2の化合物2(化合物(30))とを、第1の検出方法と同様の条件で反応させることにより行う。
【0128】
【化24】

(式中、nは3〜15を示す。)
これにより、色調検出試薬6(化合物(31))を調製した。
【0129】
[D2]液体試料供給工程
まず、図11(a)に示すように、液体試料151を反応容器152に供給する。
次に、図11(a)に示すように、液体試料151(試料供給空間150)中に捕捉物担体7を供給する。
液体試料151中に捕捉物担体7を供給すると、抗原3と捕捉物担体7の捕捉物8とが接触する。
抗原3と捕捉物8とが接触すると、図11(b)に示すように、捕捉物担体7の捕捉物8が抗原3を捕捉し、結合する。
【0130】
[D3]色調検出試薬供給工程
次に、図11(c)に示すように、液体試料151中に色調検出試薬6を供給する。
液体試料151中に色調検出試薬6を供給すると、捕捉物担体7の捕捉物8に結合している抗原3に色調検出試薬6の抗体61が接触する。
抗原3に抗体61が接触すると、図11(d)に示すように、抗原3と抗体61とが反応し、結合する。
【0131】
このとき、色調検出試薬6は標識部位22に色素化合物62を有するため、抗原3に色調検出試薬6と捕捉物担体7とが結合した抗原捕捉物9の色調は、当該色素化合物62の色調に変色する。
なお、色調検出試薬6の液体試料151に対する比重は、1g/cm以下であることが好ましい。
【0132】
[D4]抗原検出工程
液体試料151中に含まれていた抗原3は、捕捉物担体7との結合により不溶化し、そして、色調検出試薬6との結合により抗原捕捉物9となって色調が変化する。
抗原捕捉物9は、液体試料151に対する比重が大きくなるので、時間の経過とともに除々に液体試料空間150の下部へと沈降し、凝集していく。そのため、反応容器152を外部から視認したとき、色調も除々に反応容器152の下部へと移動する。
【0133】
そして、図11(e)に示すように、抗原捕捉物9が反応容器152の底部に到達し、抗原捕捉物9の全てが凝集沈殿する。
このとき、反応容器125中の色調は、反応容器152内の下端部では抗原捕捉物9の色素化合物62の色調が認められ、反応容器152内の上方側では液体試料151の色調、例えば、無色透明が認められる。
【0134】
以上のような方法により、捕捉物担体7に結合した抗原3が色調検出試薬6に結合することにより、色調が変化するので、液体試料151中の抗原3の存在を高感度に検出することができる。
なお、液体試料151中の抗原3の濃度を測定する場合は、第1の検出方法と同様の方法で行うことができる。
【0135】
[5]第5の検出方法
次に、本発明の検出キットを用いた検出対象物の第5の検出方法について説明する。
図12は、第5の検出方法を模式的に説明する縦断面斜視図である。
なお、以下の説明では、図12中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第5の検出方法について説明するが、前記第1の検出方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本検出方法は、ウェル125を有する基板120を用いて行う。
基板120は、複数のウェル125を有している。そして、そのウェル125の底面に捕捉物8が担持されている。
抗原3の検出は、第2の検出方法と同様の方法で行われる。しかし、ウェル125が電極を有していない場合には、例えば、第1の検出方法と同様に、蛍光により検出される。
以上、本発明の検出キットを説明したが、本発明はこれに限定されるものでない。
例えば、本発明の検出キットでは、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【符号の説明】
【0136】
1……第1の化合物 11……結合部位 12……第1の反応部位 13……第1の連結部位 13a……粒子 2……第2の化合物 21……第2の反応部位 22……標識部位 23……第2の連結部位 3……抗原 4……酸化還元検出試薬 41……抗体 42……酸化還元物質 5……蛍光検出試薬 51……抗体 52……蛍光物質 6……色調検出試薬 61……抗体 62……色素化合物 7……捕捉物担体 8……捕捉物 9……抗原捕捉物 100……バイオセンサー 101……測定装置 102……演算装置 110……検出部 120……基板 121……作用電極 122……対向電極 123……参照電極 124……担体 125……ウェル 126……凹部 130……配線 131……コネクタ 132……配線 140……反応層 150……試料供給空間 151……液体試料 152……反応容器 160……絶縁膜 165……開口部 180……圧電体素子 181……圧電体 182……上電極 183……下電極 190……基体 200……処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物を選択的に検出し得る検出キットであって、
前記検出対象物と特異的に結合する結合部位と、反応性を有する第1の反応部位とを含む第1の化合物と、
前記第1の反応部位と反応する第2の反応部位と、標識部位とを含む第2の化合物とを有し、
前記第1の化合物と前記第2の化合物とを反応させることにより、前記第1の反応部位と前記第2の反応部位とを連結させることを特徴とする検出キット。
【請求項2】
前記結合部位は、抗原または抗体である請求項1に記載の検出キット。
【請求項3】
前記第1の反応部位および前記第2の反応部位は、それぞれ重合性基で構成されている請求項1または2に記載の検出キット。
【請求項4】
前記第1の化合物は、前記結合部位と前記第1の反応部位との間に、前記結合部位と前記第1の反応部位とを連結する第1の連結部位を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の検出キット。
【請求項5】
前記第1の連結部位は、粒子を含むものである請求項4に記載の検出キット。
【請求項6】
前記粒子の表面に、前記結合部位および/または前記第1の反応部位が複数結合している請求項5に記載の検出キット。
【請求項7】
前記粒子に結合する前記結合部位および前記第1の反応部位の存在比は、前記結合部位を[A]、前記第1の反応部位を[B]としたとき、A/Bが0.1〜1.0である請求項6に記載の検出キット。
【請求項8】
前記標識部位は、酸化還元物質、蛍光物質および色素化合物の少なくとも1種で構成される請求項1ないし7のいずれかに記載の検出キット。
【請求項9】
前記標識部位を複数有する請求項1ないし8のいずれかに記載の検出キット。
【請求項10】
前記第2の化合物は、前記第2の反応部位と前記標識部位との間に、前記第2の反応部位と前記標識部位とを連結する第2の連結部位を有する請求項1ないし9のいずれかに記載の検出キット。
【請求項11】
さらに、検出対象物を選択的に捕捉し得る捕捉物が担持された基体を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の検出キット。
【請求項12】
前記基体は、ウェルを備え、
当該ウェルの内面に前記捕捉物が担持されている請求項11に記載の検出キット。
【請求項13】
前記基体は、粒状に形成されている請求項11または12に記載の検出キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−209307(P2011−209307A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167252(P2011−167252)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【分割の表示】特願2007−80367(P2007−80367)の分割
【原出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)