説明

検出センサ、物質検出システム

【課題】捻りモードの振動を効率良く検出する検出センサを提供することを目的とする。
【解決手段】振動子41の捩じりモードの振動を検出することによって、ノイズを抑え、より高感度な検出を行う。このとき、振動子41をチップ・パッケージ120に積層したPZT板130により圧電駆動し、振動子チップ100に形成されたp型半導体ピエゾ抵抗素子からなる検出素子45A〜45Dにより信号検出を行うことにより、検出センサ40を非常に小型なものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)等の物質の検出等を行うことのできる検出センサ、物質検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気中を漂う各種物質や匂いの存在、あるいはその定量的な濃度を検出するためのセンサが存在した。このセンサでは、ガスに含まれる特定種の分子を吸着し、その吸着の有無、あるいは吸着量を検出することで、特定物質等の存在の有無、あるいはその濃度を検出している。
【0003】
空気中を漂う分子をその微小な分子質量によって検出するセンサ素子は、これらの分子を含む気体中で振動子を振動させ、分子が振動子表面に付着または吸着された際の振動子の質量変化を振動子の振動特性の変化として検出する。
このようにして質量検出を行う振動子として、片持ち梁の振動を利用するカンチレバー型の振動子が存在する(例えば、特許文献1〜3参照)。このようなカンチレバー型の振動子は、シリコン薄膜等を写真技術(フォトリソグラフィ)で精密に加工するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)と呼ばれる技術を用いることで、μm(マイクロメートル)単位の領域で作製することが可能となってきた。振動子のサイズを小さくすることで振動子質量が大幅に減少し、付着質量に対する検出感度が向上する。
【0004】
ここで、カンチレバー型の振動子において検知を行うにあたって、振動子を振動(駆動)させるには、SiO(二酸化ケイ素)等のシリコン系材料で形成された振動子の表面に、各種圧電材料からなる圧電素子と金属からなる電極層とを設けている。そして、電極層から圧電素子に電圧を印加することで振動子を振動させ、共振周波数の変化をモニタリングする。
【0005】
このようなカンチレバー型の振動子を用いたセンサにおいて、その検出感度を高めることが常に求められている。
ここで、図11(a)に示すように、カンチレバー型の振動子300は、駆動装置の設置のし易さから、固定端300a側に対して自由端300b側が、固定端300aと自由端300bとを結ぶ方向にとカンチレバーの表面(構成面)に直交する方向に変位するように変形するよう、曲げモードで発振させるのが一般的であった。しかし曲げモードでは、共振の質の高さを示すQ値が1000程度であることから、同一の位相ノイズに対して周波数の短時間標準偏差が増大し、最低検出限界が下がらない。
【0006】
一方、図11(b)に示すように、カンチレバー型の振動子300を、固定端300aと自由端300bとを結ぶ方向を中心として周方向にねじるように変形させる捻りモードで駆動することも提案されている(例えば、非特許文献1参照)。ここで、振動子300の駆動には、PZTアクチュエータが用いられ、振動子の振動周波数変化の検出は、光学的手法を用いている。
【0007】
また、非特許文献2には、カンチレバー型の振動子を電磁駆動することで、振動子に捻りモードの振動を発生させることが開示されている。
捻りモードの振動が発生したカンチレバー型の振動子は、直方体のピエゾ抵抗素子をカンチレバーの固定端から自由端の方向に45度傾斜して配置し、これらのピエゾ抵抗素子の抵抗変化を計測することで振動が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−56278号公報
【特許文献2】特開2009−133772号公報
【特許文献3】特開2005−148062号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】B.R. Kim, F.E. Prins, D.P. Kern, S. Raible, U. Weimar [Multicomponent analysis and prediction with a cantilever array based gas sensor]Sensors and Actuators B 78 (2001) 12-18
【非特許文献2】JIN Dazhong, LI Xinxin, BAO Hanhan, ZHANG Zhixiang, WANG Yuelin, YU Haitao, ZUO Guomin, D. Jin, X. Li, H. Bao, Z. Zhang, Y. Wang, H. Yu, G. Zuo [Integrated cantilever sensors with a torsional resonance mode for ultraresoluble on-the-spot bio/chemical detection] Applied Physics letters Vol.90, No.4, Page.041901-041901-3 (2007.01.22)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記したような、振動子を用いたセンサにおいては、さらなる高感度化が常に求められている。これには、前述したようにカンチレバー型振動子のサイズを、μm単位まで小さくすることで振動子質量を大幅に減少させ、付着質量に対する検出感度を向上させることが有効となっている。そしてその結果、検出センサの大幅な小型化が実現可能となっている。
これに対し、非特許文献1、2に記載されたように、捻りモードで振動する振動子の振動周波数変化の検出に光学的手法を用いたり、振動子の駆動に電磁駆動を用いていたのでは、駆動系、検出系が大型化し、振動子自体が小型であっても、検出センサ全体としては大型化してしまうという問題がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、高感度でありながら、小型の検出センサ、物質検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的のもとになされた本発明の検出センサは、一端部が基板に固定された固定端とされ、他端部が自由端とされた梁状であって振動する振動子と、振動子を振動させる圧電素子と、圧電素子に電圧を印加する素子パッケージと、振動子の振動を検出する振動検出部と、を備え、振動検出部は、振動子の固定端近傍に、振動子の幅方向に並べて配置された一対の検出用歪みセンサと、基板上に設けられた一対の参照用歪みセンサと、を有し、検出用歪みセンサの少なくとも一つが、振動子の幅方向の端部に設けられ、振動検出部は、少なくとも振動子の捻りモードの振動を検出することを特徴とする。
このようにして、振動子を、圧電素子で振動させるとともに、少なくとも振動子の捻りモードの振動を、歪みセンサにより検出することにより、検出センサを高感度でありながら非常に小型なものとすることができる。
【0012】
このような検出センサはいかなる用途に用いても良いが、振動子上に、ガスを吸着する感応膜をさらに備え、この振動子が、質量を有した物質の吸着により振動特性が変化することを振動検出部で検出することもできる。これにより、感応膜への物質の吸着を高精度に検出できる。
【0013】
ここで、一対の検出用歪みセンサは、振動子の幅方向の一方の端部と他方の端部とに設けられ、振動検出部は、振動子の捩じりモードの振動を検出することができる。
また、一対の検出用歪みセンサは、振動子の幅方向の一方の端部と、振動子の幅方向中央部とに設けられ、振動検出部は、振動子の捩じりモードと曲げモードの振動を検出することもできる。
なお、検出用歪みセンサは、2個一対でもよいし、4個、8個等で対となる構成とすることもできる。
【0014】
さらに、振動子の基端部近傍において、当該振動子の幅方向両端部と、幅方向中間部とに少なくとも3個の検出用歪みセンサが設けられ、振動子の幅方向の一方の端部に設けられた検出用歪みセンサと、振動子の幅方向の他方の端部に設けられた検出用歪みセンサと、により一対の検出用歪みセンサを構成し、振動検出部では、振動子の捩じりモードの振動を検出し、振動子の幅方向の一方の端部に設けられた検出用歪みセンサと、振動子の幅方向中間部に設けられた検出用歪みセンサと、により一対の検出用歪みセンサを構成し、振動検出部では、振動子の曲げモードの振動を検出することができる。
【0015】
ここで、素子パッケージの一面側に圧電素子が接合され、振動子を有した基板が圧電素子に積層されて接合され、基板と圧電素子は、当該圧電素子の4隅または対向する2辺のみに接着剤を用いて接合されているのが好ましい。これにより、振動子を捩じりモードで効率よく駆動できる。
【0016】
感応膜は、ポリブタジエン(PBD)、ポリアクリルニトリル−ブタジエン(PAB)、ポリイソプレン(PIP)、ポリスチレン(PS)のいずれかであるのが好ましい。
【0017】
本発明は、検出対象のガスに含まれる特定物質の種類および濃度の少なくとも一方を検出する物質検出システムであって、検出対象のガスをシステム内に導入するとともに、導入したガスをシステム内で搬送するためのポンプと、ポンプでシステム内に導入したガスに含まれる特定物質を吸着する吸着部と、一端部が基板に固定された固定端とされ、他端部が自由端とされた梁状で、質量を有した物質の付着または吸着により振動特性が変化する振動子と、ガスを吸着する感応膜と、振動子を振動させる圧電素子と、圧電素子に電圧を印加する素子パッケージと、振動子の振動を検出する振動検出部と、を備え、振動検出部は、振動子の固定端近傍に、振動子の幅方向に並べて配置された一対の検出用歪みセンサと、基板上に設けられた一対の参照用歪みセンサと、を有し、検出用歪みセンサの少なくとも一つが、振動子の幅方向中央に対し、当該振動子の幅方向の端部に設けられ、振動子の捩じりモードの振動と曲げモードの振動のうち、少なくとも捩じりモードの振動が検出可能とされていることを特徴とする物質検出システムとすることもできる。
【0018】
この場合、振動子が複数組備えられ、複数組振動子のそれぞれにおいて、捩じりモードおよび曲げモードのいずれか一方の振動モードで検出が行われるのか、予め設定されているようにするのが好ましい。
これにより、複数組の振動子において、異なる振動モードで検出を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、振動子を捩じりモードで振動させて検出を行うことにより、高感度な検出が可能となる。
また、振動子を圧電素子で駆動するとともに、振動子の捩じりモードの振動を、歪みセンサで検出することにより、検出センサを非常に小型なものとすることができる。
このようにして、小型でありながら高感度な検出センサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態における物質検出システムの構成を示す図である。
【図2】振動子の駆動機構を示す断面図および斜視図である。
【図3】PZT板とチップ・パッケージの積層構造を示す図である。
【図4】第一の実施形態における振動子の振動検出部の構成を示す図であり、(a)は検出素子の配置例、(b)は振動を検出するためのホイーストンブリッジの回路図、(c)は基板上におけるレイアウト例である。
【図5】第二の実施形態における振動子の振動検出部の構成を示す図であり、(a)は検出素子の配置例、(b)は振動を検出するためのホイーストンブリッジの回路図、(c)は基板上におけるレイアウト例である。
【図6】第三の実施形態における振動子の振動検出部の構成を示す図であり、(a)は検出素子の配置例、(b)は捻りモードの振動を検出するためのホイーストンブリッジの回路図、(c)は曲げモードの振動を検出するためのホイーストンブリッジの回路図である。
【図7】振動子チップに振動を加えたときの周波数と変位量との関係を示す図である。
【図8】曲げモードと捻りモードでの、共振周波数標準偏差の時間的変化を示す図である。
【図9】システム最低検出限界の感応膜の膜厚への依存性を示す図である。
【図10】システム最低検出限界の温度依存性を示す図である。
【図11】曲げモードと捻りモードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1は、本実施の形態における物質検出システム10の全体構成を説明するための図である。
この図1に示す物質検出システム10は、検知対象となる特定種の分子を吸着することで、ガス自体あるいはガスに含まれる複数種の特定物質や匂い等の存在(発生)の有無、あるいはその濃度の検出を行うものである。
この物質検出システム10は、サンプル容器15に収容された検知対象のガスを吸い込むとともに、システム内でガスの流れを生じさせるポンプ20と、ポンプ20で吸い込んだガスを吸着する吸着部30と、吸着部30で吸着したガス中から、ガス成分中に含まれる特定種の分子を吸着し、その分子の吸着に応じた検出信号を出力する検出センサ40と、検出センサ40における検出信号に基づき、特定種の分子の有無またはその量を測定する測定処理部(検出部)50と、を備えている。
【0022】
吸着部30は、例えばステンレス製の円筒状の筒体31の内部に、吸着体として、例えばカーボンファイバーが充填されている。吸着体としては、もちろんこれ以外のものを適宜用いることができる。ポンプ20から吐出されたガスは筒体31内に送り込まれ、吸着体と接触することで吸着体にガス中の成分分子が低い選択性で物理吸着により吸着される。
筒体31の外周面には、シースヒータ(ヒータ)34が巻きつけられている。このシースヒータ34に電圧が印加されることで、吸着体に吸着された成分分子が脱離し、ポンプ20によって生じる流れによって成分分子は検出センサ40へと搬送される。
【0023】
図2に示すように、検出センサ40は、基端部41aが固定されて他端部41bが自由端とされた片持ち梁状のカンチレバー型で機械的振動を生じる振動子41と、振動子41の表面に形成され、吸着部30で脱離した分子を吸着する感応膜42と、を備える。
【0024】
感応膜42は、検出対象のガスを付着または吸着する性質を有するが、ポリブタジエン(PBD)、ポリアクリルニトリル−ブタジエン(PAB)、ポリイソプレン(PIP)、ポリスチレン(PS)は、特定のガスを選択的に付着または吸着する選択性を有することが本発明者等の研究により明らかとなっている。この他、感応膜42として採用できる材料としては、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの金属錯体、ポリチオフェン、ポリアニリンなどの導電性高分子、酸化チタン多孔質膜などの無機材料がある。
【0025】
ポリアクリルニトリル−ブタジエン(PAB)は、オクタン、プロパノール等のガスに選択性を有する。ポリブタジエン(PBD)、ポリイソプレン(PIP)はトルエンに選択性を有する。ポリスチレン(PS)は、n−プロパノールやエタノールに選択性を有する。
【0026】
上記したような感応膜42が形成された振動子41は、所定の容積(例えば0.1〜0.5cc)を有したチャンバ内に設けられている。チャンバ内には、上記したような感応膜42を備えた振動子41が、複数組設置されている。複数の振動子41には、互いに異なった感応膜42が成膜されている。
【0027】
さて、上記のような物質検出システム10における、検出センサ40の振動子41の駆動構造について説明する。
振動子41は、駆動源として、例えば圧電駆動方式を用いており、所定周波数で振動子41を振動させるようになっている。
図2に示すように、振動子41は、シリコン系材料からなる振動子チップ(基板)100に形成されている。振動子41は、振動子チップ100を、フォトリソグラフィ法等によりパターン形成し、エッチング等により不要部分を除去することで形成され、基板本体101に基端部41aが固定された固定端とされ、他端部41bがオーバーハングした自由端とされている。
【0028】
本実施形態においては、振動子41の捩じりモードの振動を検出する。捩じりモードにおける振動子41の共振周波数が、例えば1MHz以上の高周波となると、電極間の寄生容量等の影響で検出時における取り扱いが困難となる。したがって、振動子41の捩じりモードにおける共振周波数が400kHz〜1MHzの間となるよう、振動子41を形成するのが好ましい。そこで、振動子41は、例えば幅を50〜120μm、長さを300〜420μm程度とするのが好ましい。
【0029】
このような振動子チップ100は、検出センサ40のベースとなるベース基板110に、チップ・パッケージ(素子パッケージ)120、PZT板(圧電素子)130を介して支持されている。
【0030】
チップ・パッケージ120は、ベース基板110の一面側に、固定部材112により外周部を固定されて設けられている。チップ・パッケージ120は、ICチップを搭載することができ、ICチップの各電極に電気的に接続される配線パターンを有している。このようなチップ・パッケージ120としては、DIP(Dual Inline Package)や、QFP(Quad Flat Package)を用いることができる。
【0031】
PZT板130は、PZT材料からなる板状体で、チップ・パッケージ120の一面側に、接着剤200を介して接合されている。
PZT板130は、正極がチップ・パッケージ120側、負極が振動子チップ100側として配置されている。PZT板130の各電極は、チップ・パッケージ120の配線部と、ワイヤーボンディングによる配線140によって電気的に接続されている。PZT板130は、外部の駆動回路からの制御信号に応じてチップ・パッケージ120から印加される電圧により、所定の周波数で振動を発生する。
【0032】
振動子チップ100は、基板本体101が、PZT板130の他面側に、接着剤210により接合されている。
また、PZT板130で発生した振動を振動子チップ100に効率よく伝達するため、PZT板130と振動子チップ100とは、例えば接着剤210に硬化後の硬度(剛性)の高い、例えばエポキシ系接着剤等を用い、強固に一体化するのが好ましい。接着剤210によって、PZT板130から振動子チップ100に伝達される振動が減衰されるのを抑制することができる。
【0033】
一方、チップ・パッケージ120とPZT板130は、PZT板130で発生する振動をチップ・パッケージ120で阻害しないように接合するのが好ましい。このため、接着剤200として、例えば、PZT板130と振動子チップ100とを接合する接着剤210よりも硬化後の硬度(剛性)の低い、例えばシリコーン系接着剤(シリコン樹脂系接着剤)を用いるのが好ましい。
また、PZT板130の全面をチップ・パッケージ120に接着するのではなく、図3(a)、(b)に示すように、PZT板130の一部、例えば四隅等において、接着剤200によりチップ・パッケージ120に接着する。接着剤200には、シリコーン系接着剤のような、ある程度弾性のある非導電性のものを用いるのが好ましい。なお、接着剤200が非導電性であるので、接着剤200による接着部位以外の部位、例えば中央部において、PZT板130とチップ・パッケージ120との間に銀ペーストや金属含有接着剤等の導電性材料220を介在させ、PZT板130とチップ・パッケージ120を電気的に接続する。
さらに、図3(c)に示すように、PZT板130の一端側130aを、接着剤200としての硬化後の硬度の高いエポキシ系接着剤等により接合し、PZT板130の他端側130bを、接着剤200としての硬化後の硬度の低いシリコーン系接着剤等により接合してもよい。これにより、PZT板130の一端側130aが固定端とされ、他端側130bが自由端とされた片持ち梁状となる。このようなPZT板130の支持構造によれば、図3(a)、(b)に示したように、PZT板130を例えば四隅で固定した場合に比較して、PZT板130は、振動モードに応じて、より自由に振動することが可能となる。
【0034】
なお、上記において、接着剤200、210の硬軟について言及したが、これは、接着剤200と接着剤210との間、あるいはPZT板130の一端側の接着剤210と他端側の接着剤210との間における相対比較上における硬軟である。したがって、上記に示した以外の種類の接着剤、あるいは他の接合手段を用いてもよいことは言うまでもない。
【0035】
図4(a)に示すように、振動子41は、自身の振動状態(振動周波数)の変化を電気信号として検出するための振動検出部44を備えている。この振動検出部44は、例えばp型半導体ピエゾ抵抗素子により実現できる。
本実施の形態において、振動検出部44は、4個のp型半導体ピエゾ抵抗素子からなる検出素子45A〜45Dを備えている。これら検出素子45A〜45Dのうち、検出素子(検出用歪みセンサ)45A、45Bが振動子41上に設けられ、検出素子(参照用歪みセンサ)45C、45Dが、振動子41の近傍の振動子チップ100に設けられている。そして、検出素子45A、45Bにより振動子41の振動変位を検出しつつ、検出素子45C、45Dを参照用とし、信号と検出素子45C、45Dとの差をとることで、ノイズを除去して検出が行える。
【0036】
検出用の検出素子45A、45Bは、振動子41の幅方向において、一方の側と他方の側の両端部にオフセットして設けられている。ここで、検出素子45Aと、検出素子45Bは、振動子41の幅方向の中心に対し、左右対称となるように設けられている。
検出素子45A、45Bは、振動子41の幅方向中心からの位置が遠いほど、高い感度での捩じりモードの検出が行える。検出素子45A、45Bは、振動子41の幅方向中心からの距離dが、振動子41の幅寸法wに対し、
d>0.25w
となるように設置するのが好ましい。
ここで、振動子41において、捩じりモードの振動による応力は、基端部41aにおいて最大となる。したがって、検出素子45A、45Bは、振動子41の基端部41aに設けるのが好ましい。
【0037】
また、検出素子45A〜45Dは、振動子41を形成するシリコン系材料の結晶方位に対し、抵抗変化の応力依存性を有する。振動子41の表面にp型不純物がドープされることで形成された、検出素子45A〜45Dを構成するp型半導体ピエゾ抵抗素子は、電流を結晶方位の<110>方向にとると振動子41のピエゾ抵抗係数が最大となり、最大の電圧変化が得られる。したがって、検出素子45A〜45Dにおける電流流れ方向と、振動子41の長手方向がともに結晶方位<110>方向と一致するよう、振動子41、および検出素子45A〜45Dを形成するのが好ましい。
【0038】
そして、これら検出素子45A〜45Dは、図4(b)、(c)に示すようなホイーストンブリッジ回路を構成するように設けられている。
このような振動検出部44においては、検出素子45A、45Cを直列に接続し、検出素子45B、45Dを直列に接続する。そして、検出素子45Aと検出素子45Cの中間電圧と、検出素子45Bと検出素子45Dの中間電圧との電位差Vを検出する。
この電位差Vは、以下のようにして表される。
V=Vs×(ΔRa−ΔRb)/R
ここで、ΔRaは検出素子45Aにおける抵抗変化、ΔRbは検出素子45Bにおける抵抗変化、Rは応力を受けないときの検出素子45A〜45Dの抵抗値、Vsはホイーストンブリッジへ印加する電圧である。
【0039】
このような回路構成により、振動子41の基端部41aにおける、振動子41の基端部41aと先端部とを結ぶ方向の軸線を中心とした周方向への回転、すなわち捻りモードの回転変位を検出することができる。このとき、ΔRaは検出素子45Aにおける抵抗変化、ΔRbは検出素子45Bにおける抵抗変化である。これらを加算すると、ΔRaとΔRbは正負が逆(発生応力が逆方向)なので、つまりは、振動子41の幅方向の一方の側の変位の絶対値と他方の側の変位の絶対値とを加算して2倍の感度で周波数変化を検出することができる。
【0040】
図1に示したように、測定処理部50は、上記のような振動子41を駆動するための駆動回路51と、振動検出部44からの電気信号を検出する検出回路52とを有している。
図示しない制御部の制御により、検出センサ40の振動子41を駆動回路51からの電気信号によって駆動して所定周波数で振動させた状態で、感応膜42に質量を有した分子等の検出対象物が付着すると、振動子41の振動周波数が変化する。測定処理部50の検出回路52は、振動検出部44から出力される電気信号を受け、その電気信号の変化を検出することで、感応膜42への特定種の分子の吸着の有無またはその量を測定する。
測定処理部50における測定結果は、表示部53において、ランプ、ブザー等のON/OFF、測定値、測定レベルの表示、検出物質名称・濃度(量)の表示等によって出力できるようにするのが好ましい。
【0041】
このようにして、ガス中に含まれる物質の特定、及びその濃度を測定することができる。このとき、振動子41の捩じりモードの振動を検出することによって、ノイズを抑えることができ、より高感度な検出が行える。
このとき、振動子41をチップ・パッケージ120に積層したPZT板130により圧電駆動し、振動子チップ100に形成されたp型半導体ピエゾ抵抗素子からなる検出素子45A〜45Dにより信号検出を行うので、検出センサ40を非常に小型なものとすることができる。
このようにして、小型でありながら高感度な検出センサ40を実現することができる。
【0042】
また、複数の振動子41を備え、これら複数の振動子41における感応膜42の材質を互いに異ならせることで、その識別能は高まる。また、シースヒータ34の加熱により吸着体から物質を脱離させたときの脱離タイミングを検出センサ40、測定処理部50で検出することで、物質の種類の識別能が高まる。
【0043】
[第二の実施形態]
次に、本発明に係る検出センサの第二の実施形態を示す。
以下に示す第二の実施形態は、振動検出部44の構成を上記第一の実施形態と異ならせたもので、それ以外の構成は上記第一の実施形態と共通する。そこで、以下においては、上記第一の実施形態と異なる構成を中心に説明を行い、上記第一の実施形態と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、本実施形態の物質検出システム10においては、振動子41の振動状態(振動周波数)の変化を電気信号として検出するための振動検出部44が、4個のp型半導体ピエゾ抵抗素子からなる検出素子46A〜46Dを備えている。これら検出素子46A〜46Dのうち、検出素子(検出用歪みセンサ)46A、46Bが振動子41上に設けられ、検出素子(参照用歪みセンサ)46C、46Dが、振動子41の近傍の振動子チップ100に設けられている。
【0045】
検出用の検出素子46A、46Bのうち、一方の検出素子46Aは、振動子41の幅方向において、一方の側の端部にオフセットして設けられている。他方の検出素子46Bは、振動子41の幅方向中心近傍に設けられている。
検出素子46Aは、振動子41の幅方向中心からの位置が遠いほど、高い感度での捩じりモードの検出が行える。検出素子46Aは、振動子41の幅方向中心からの距離dが、振動子41の幅寸法wに対し、
d>0.25w
となるように設置するのが好ましい。
また、検出素子46Bの位置は、振動子41の幅方向中心としてもよいが、幅方向中心から他方の側に、検出素子46Aのオフセット寸法よりも小さなオフセット寸法で設けてもよい。検出素子46Bは、より中心よりに配置され、振動子41の幅方向中心からの距離dが、振動子41の幅寸法wに対し、
d<0.25w
となるように設置するのが好ましい。
ここでも、振動子41において、捩じりモードおよび曲げモードの振動による応力は、いずれも基端部41aにおいて最大となるので、検出素子46A、46Bは、振動子41の基端部41aに設けるのが好ましい。
【0046】
そして、これら検出素子46A〜46Dは、図5(b)、(c)に示すようなホイーストンブリッジ回路を構成するように設けられている。
このような振動検出部44においては、検出素子46A、46Cを直列に接続し、検出素子46D、46Bを直列に接続することで、検出素子46Aと検出素子46Cとを対角状に配置する。そして、検出素子46Aと検出素子46Cの中間電圧と、検出素子46Dと検出素子46Bの中間電圧との電位差Vを検出する。
この電位差Vは、以下のようにして表される。
V=Vs×(ΔRa+ΔRb)/R
【0047】
このような回路構成により、検出素子46Bにより、振動子41の基端部41aにおける、振動子41の基端部41aと先端部とを結ぶ方向の軸線を中心とした周方向への回転、すなわち捻りモードの振動の回転変位をΔRbとして検出することができる。ねじりモードでは、振動子中央部の応力はほぼ0となり、ΔRa〜0となる。また、検出素子46Aにより、振動子41の基端部41aに対して先端部がその軸線と振動子41の表面に直交する方向に変位する、曲げモードの振動においてはほぼΔRa=ΔRbとなるため、約2倍の感度で振動変位を検出することができる。このようにして、曲げモードと捩じりモードの双方を検出することができる。
【0048】
[第三の実施形態]
次に、本発明に係る検出センサの第三の実施形態を示す。
以下に示す第三の実施形態は、振動検出部44の構成を上記第一、第二の実施形態と異ならせたもので、それ以外の構成は上記第一、第二の実施形態と共通する。そこで、以下においては、上記第一、第二の実施形態と異なる構成を中心に説明を行い、上記第一、第二の実施形態と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
【0049】
図6に示すように、本実施形態の物質検出システム10においては、振動子41の振動状態(振動周波数)の変化を電気信号として検出するための振動検出部44が、4個のp型半導体ピエゾ抵抗素子からなる検出素子47A〜47Fを備えている。これら検出素子47A〜47Fのうち、検出素子(検出用歪みセンサ)47A、47B、47Cが振動子41上に設けられ、検出素子(参照用歪みセンサ)47D、47E、47Fが、振動子41の近傍の振動子チップ100に設けられている。
【0050】
検出用の検出素子47A、47B、47Cのうち、検出素子47Aは、振動子41の幅方向において、一方の側の端部にオフセットして設けられている。検出素子47Bは、振動子41の幅方向中心近傍に設けられている。検出素子47Cは、振動子41の幅方向において、他方の側の端部にオフセットして設けられている。
検出素子47A、47Cは、振動子41の幅方向中心からの位置が遠いほど、高い感度での捩じりモードの検出が行える。検出素子47A、47Cは、振動子41の幅方向中心からの距離dが、振動子41の幅寸法wに対し、
d>0.25w
となるように設置するのが好ましい。
また、検出素子47Bの位置は、振動子41の幅方向中心としてもよいが、幅方向中心から他方の側に、検出素子47Aのオフセット寸法よりも小さなオフセット寸法で設けてもよい。検出素子47Bは、振動子41の幅方向中心からの距離dが、振動子41の幅寸法wに対し、
d<0.25w
となるように設置するのが好ましい。
ここでも、振動子41において、捩じりモードおよび曲げモードの振動による応力は、いずれも、基端部41aにおいて最大となるので、検出素子47A、47Bは、振動子41の基端部41aに設けるのが好ましい。
【0051】
そして、これら検出素子47A〜47Fは、図6(b)、(c)に示すようなホイーストンブリッジ回路を構成するように設けられている。
このような振動検出部44においては、検出素子47A、47Dを直列に接続し、検出素子47B、47Eを直列に接続し、検出素子47C、47Fを直列に接続する。
そして、振動子41の両端部の検出素子47A、47Dおよび検出素子47C、47Fにより、図6(b)に示すようなホイーストンブリッジ回路を構成し、振動子41の中央部近傍の検出素子47B、47Eおよび検出素子47C、47Fにより、図6(c)に示したのと同様のホイーストンブリッジ回路を構成するよう、検出素子47A〜47Fを、図6(a)に示すように結線する。
そして、捩じりモードの振動を検出するときには、検出素子47A、47Dの中間電圧と、検出素子47C、47Fの中間電圧を取り出す捩じりモード用差動アンプ60Aを用い、曲げモードの振動を検出するときには、検出素子47C、47Fの中間電圧と、検出素子47E、47Bの中間電圧を取り出す曲げモード用差動アンプ60Bを用いる。
捩じりモード用差動アンプ60Aと曲げモード用差動アンプ60Bの切り替えは、測定処理部50により、図示しないスイッチを切換制御することで行われる。
【0052】
このような振動検出部44においては、捩じりモード用差動アンプ60Aと曲げモード用差動アンプ60Bとを切り替えることによって、振動子41の捩じりモードの振動と、曲げモードの振動とを選択的に検出することができる。
これには、予め、振動子41において、捩じりモード、曲げモードのいずれのモードで検出を行うのかを測定処理部50で設定しておき、設定したモードでの検出を行う。
検出する振動の周波数が低い場合、測定温度が低い場合、振動子41の材料が硬い場合には、曲げモードにおいても、必要十分な感度での検出が行える。一方、検出する振動の周波数が高い場合(すなわち振動子41の固有振動数が高い場合)、測定温度が高い場合、振動子41に塗布する感応膜の材料が柔らかい場合には、曲げモードによる検出よりも、捩じりモードにおける検出の方が感度が高い傾向にあると言える。
したがって、これらの条件に応じ、曲げモード、捩じりモードのいずれを用いるのかを選択することが可能となっている。
【0053】
上記したような構成は、特に、複数の振動子41を備える場合、振動子41ごとに、検出するモードを事前に選択して、物質の検出を行うことができる。
【0054】
[実施例]
上記したような検出センサについて、シミュレーション解析、検討実験を行ったので、その結果を以下に示す。
まず、6mm角、厚さ0.5mmのPZT板の上部の一部に、幅100μm×長さ500μm×厚さ5μmのカンチレバー型の振動子を固定し、PZT板の3隅を固定した。残った1隅に振幅Z0の強制振動を与え、2次元変位計測装置(ポリティックジャパンMSA−500)によって、振動子表面の変位状態を計測した。
その結果、図7に示すように、振動子が複雑な振動モードを持って振動しており、垂直方向に加えて他の成分の変位も現れていることが確認された。
【0055】
幅50μm×長さ200μm×厚さ5μmのカンチレバー型の振動子の上面に、感応膜として、アセトンやアルコールに吸着特性の優れた膜厚820nm或いは1080nmのPAB膜を、ディスペンサーを用いて成膜後、乾燥させて作成した。
質量センサとして用いる振動子は、厚さ5μmの活性層を持つSOIウエハから作製した。活性層は不純物濃度1×1015/cmのn型であり、幅50〜100μm、長さ200〜500μmの振動子構造をDeep Reactive Ion Etching(DRIE)を用いて形成した。振動子のエアダンピングを抑えるため、基板は裏面からDRIEで除去した。振動子裏面のBOX層は最後にBHFエッチングにより除去した。
振動子の表側には、根元に振動検出のためのピエゾ抵抗素子、それ以外の本体部には検出膜塗布のためのCr(10nm)/Au(100nm)膜を形成した。ピエゾ抵抗はBのイオンインプラで作製され、不純物濃度1×1018/cmのp型、深さは約1μmとなっている。金属配線とのOhmicコンタクトを取るために、コンタクト部は高濃度のp型不純物(1×1019/cm、深さ約0.3μm)をドープした。そして、厚さ500nmのパッシベーション酸化膜を介してAl−Si−Cu合金の配線を形成した。
さらに、振動子の表面に、PABを厚さ820nmに塗布して感応膜を形成した。
【0056】
このような振動子において、測定処理部50を用いて振動子を共振周波数で発振させた際の短時間周波数変化(位相ノイズ)のモード依存性を調べた。
図8(a)に示すように、約900kHzの周波数で2次の曲げモードの振動を生じさせた場合、短時間周波数変化の標準偏差は0.55Hzであった。これに対し、図8(b)に示すように、周波数1286kHzの捻りモードの振動を生じさせた場合、短時間周波数変化の標準偏差は0.09Hzであり、曲げモードに比較して約1/6に低減されており、位相ノイズによる影響が低減されていることが確認された。
【0057】
次に、振動子に塗布する感応膜の膜厚を異ならせたときの、システム最低検出限界濃度を比較した。システム最低限界濃度は、図中の数式のように、標準偏差の3倍を感度で割った値で定義した。ここで係数1000はppmからppbへの変換、係数50は1000cmを本システムの濃縮装置で濃縮した場合の濃縮率である。
そこで、
感応膜膜厚:1030nm、幅50μm×長さ300μmの振動子を、(1)約400kHzの曲げモードで駆動した場合と、(2)約550kHzの捻りモードで駆動した場合との比較、
感応膜膜厚:810nm、幅50μm×長さ200μmの振動子を、(3)900kHzの曲げモードで駆動した場合と、(4)1286kHzの捻りモードで駆動した場合との比較を行った。
また、感応膜厚320nm、630nm、1060nm、1420nm、幅100×長さ500μmの振動子を、約800kHzの曲げモードを駆動した場合のシステム最低検出限界濃度を、図9中に曲線で示した。
その結果、図9に示すように、条件(1)と(2)、条件(3)と(4)の比較において、いずれの場合も、捩じりモードの方が、システム最低検出限界濃度が大幅に低いことが確認された。これにより、感応膜の膜厚が大きければ、捩じりモードを採用することにより高感度化が図れることが確認された。
【0058】
また、検出雰囲気温度を異ならせたときの、システム最低検出限界濃度を比較した。
感応膜膜厚:1030nm、幅50μm×長さ300μmの振動子を、計測温度23℃において、(5)約400kHzの曲げモードで駆動した場合と、(6)約550kHzの捻りモードで駆動した場合との比較、
感応膜膜厚:810nm、幅50μm×長さ200μmの振動子を、計測温度20℃において、(7)900kHzの曲げモードで駆動した場合と、(8)1286kHzの捻りモードで駆動した場合との比較を行った。
また、感応膜厚620nm、幅100μm×長さ500μmの振動子を、計測温度5℃、15℃、25℃において、約800kHzの曲げモードを駆動した場合のシステム最低検出限界濃度を、図10中に曲線で示した。
その結果、図10に示すように、計測温度が高いほど、捩じりモードを採用することにより高感度化が図れることが確認された。
【0059】
なお、上記実施の形態で示した構成については、あくまでも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 物質検出システム
15 サンプル容器
20 ポンプ
30 吸着部
31 筒体
34 シースヒータ(ヒータ)
40 検出センサ
41 振動子
41a 基端部
41b 他端部
42 感応膜
44 振動検出部
45A〜45B、46A〜46B、47A〜47C 検出素子(検出用歪みセンサ)
45C〜45D、46C〜46D、47D〜47F 検出素子(参照用用歪みセンサ)
50 測定処理部
51 駆動回路
52 検出回路
53 表示部
60A 捻じりモード用差動アンプ
60B 曲げモード用差動アンプ
100 振動子チップ
101 基板本体
110 ベース基板
112 固定部材
120 チップ・パッケージ(素子パッケージ)
130 PZT板(圧電素子)
140 配線
200 接着剤
210 接着剤
220 導電性材料
300 振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部が基板に固定された固定端とされ、他端部が自由端とされた梁状であって振動する振動子と、
前記振動子を振動させる圧電素子と、
前記圧電素子に電圧を印加する素子パッケージと、
前記振動子の振動を検出する振動検出部と、を備え、
前記振動検出部は、前記振動子の固定端近傍に、前記振動子の幅方向に並べて配置された一対の検出用歪みセンサと、
前記基板上に設けられた一対の参照用歪みセンサと、を有し、
前記検出用歪みセンサの少なくとも一つが、前記振動子の幅方向の端部に設けられ、
前記振動検出部は、少なくとも前記振動子の捻りモードの振動を検出することを特徴とする検出センサ。
【請求項2】
前記振動子上に、ガスを吸着する感応膜をさらに備え、
前記振動子は、質量を有した物質の付着または吸着により振動特性が変化することを特徴とする請求項1に記載の検出センサ。
【請求項3】
一対の前記検出用歪みセンサは、前記振動子の幅方向の一方の端部と他方の端部とに設けられ、前記振動検出部では、前記振動子の捩じりモードの振動を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の検出センサ。
【請求項4】
一対の前記検出用歪みセンサは、前記振動子の幅方向の一方の端部と、前記振動子の幅方向中央部とに設けられ、前記振動検出部では、前記振動子の曲げモードの振動を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の検出センサ。
【請求項5】
前記振動子の基端部近傍において、当該振動子の幅方向両端部と、幅方向中間部とに少なくとも3個の前記検出用歪みセンサが設けられ、
前記振動子の幅方向の一方の端部に設けられた前記検出用歪みセンサと、前記振動子の幅方向の他方の端部に設けられた前記検出用歪みセンサと、により前記一対の前記検出用歪みセンサを構成し、前記振動検出部は、前記振動子の捩じりモードの振動を検出し、
前記振動子の幅方向の一方の端部に設けられた前記検出用歪みセンサと、前記振動子の幅方向中間部に設けられた前記検出用歪みセンサと、により前記一対の前記検出用歪みセンサを構成し、前記振動検出部は、前記振動子の曲げモードの振動を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の検出センサ。
【請求項6】
前記素子パッケージの一面側に前記圧電素子が接合され、前記振動子を有した前記基板が前記圧電素子に積層されて接合され、前記基板と前記圧電素子は、当該圧電素子の4隅または対向する2辺のみに接着剤を用いて接合されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の検出センサ。
【請求項7】
前記感応膜は、ポリブタジエン(PBD)、ポリアクリルニトリル−ブタジエン(PAB)、ポリイソプレン(PIP)、ポリスチレン(PS)のいずれかであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の検出センサ。
【請求項8】
検出対象のガスに含まれる特定物質の種類および濃度の少なくとも一方を検出する物質検出システムであって、
検出対象のガスをシステム内に導入するとともに、導入した前記ガスを前記システム内で搬送するためのポンプと、
前記ポンプで前記システム内に導入した前記ガスに含まれる前記特定物質を吸着する吸着部と、
前記吸着部で吸着した前記特定物質を前記吸着部から脱離させるヒータと、
一端部が基板に固定された固定端とされ、他端部が自由端とされた梁状で、質量を有した物質の付着または吸着により振動特性が変化する振動子と、
ガスを吸着する感応膜と、
前記振動子を振動させる圧電素子と、
前記圧電素子に電圧を印加する素子パッケージと、
前記振動子の振動を検出する振動検出部と、を備え、
前記振動検出部は、前記振動子の固定端近傍に、前記振動子の幅方向に並べて配置された一対の検出用歪みセンサと、
前記基板上に設けられた一対の参照用歪みセンサと、を有し、
前記検出用歪みセンサの少なくとも一つが、前記振動子の幅方向中央に対し、当該振動子の幅方向の端部に設けられ、前記振動子の捩じりモードの振動と曲げモードの振動のうち、少なくとも捩じりモードの振動が検出可能とされていることを特徴とする物質検出システム。
【請求項9】
前記振動子が複数組備えられ、
複数組前記振動子のそれぞれにおいて、捩じりモードおよび曲げモードのいずれか一方の振動モードで検出が行われるのか、予め設定されていることを特徴とする請求項8に記載の物質検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−242279(P2012−242279A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113604(P2011−113604)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)