説明

検出素子、それを備えた検出装置、検出素子に用いられる振動子、および検出装置における検出対象物の検知方法

【課題】振動子の安定した振動を確保しながら振動子を支持する検出素子を提供する。
【解決手段】検出素子10は、キャップ1,4と、支持部材2,3と、振動子5と、アンテナ6〜8とを備える。支持部材3は、キャップ4に接してキャップ4上に配置され、支持部材2は、支持部材3に接して支持部材3上に配置され、キャップ1は、支持部材2に接して支持部材2上に配置される。振動子5は、非振動部材51、振動部材52および連結部材53からなり、非振動部材51が支持部材2,3間に挿入されることによって固定される。アンテナ6,7は、支持部材3およびキャップ4間に挿入されることによって固定され、振動子5の下側に配置される。アンテナ8は、キャップ1および支持部材2間に挿入されることによって固定され、振動子5の上側に配置される。そして、アンテナ8は、その一方端が接地電位に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検出素子、それを備えた検出装置、検出素子に用いられる振動子、および検出装置における検出対象物の検知方法に関し、特に、電極を用いずに共振振動数の変化を検出して検出対象物を検知する検出素子、それを備えた検出装置、検出素子に用いられる振動子、および検出装置における検出対象物の検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電極を用いずに無線によって圧電振動子の共振周波数の変化を検出して検出対象物を検知する共振振動子質量検出装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
この共振振動子質量検出装置は、圧電振動子と、試料供給手段と、電場供給手段と、信号解析部とを備える。電場供給手段は、電圧を入力する入力手段と、圧電振動子の振動を受信する受信手段とを有する。
【0004】
圧電振動子は、振動電場が付与されると、圧電効果によって振動する。試料供給手段は、圧電振動子の表面に試料物質を供給する。電場供給手段の入力手段は、電圧を入力して振動電場を圧電振動子に印加する。電場供給手段の受信手段は、圧電振動子の振動を受信する。信号解析部は、受信手段によって受信された圧電振動子の振動に基づいて、検出対象物が圧電振動子に付着することによる共振周波数の変化を検出して検出対象物を検知する。
【特許文献1】特開2008−26099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1においては、圧電振動子の支持方法が具体的に開示されていないため、振動電場が圧電振動子に印加された場合に圧電振動子の安定した振動を確保しながら圧電振動子を支持するのは困難である。
【0006】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、振動子の安定した振動を確保しながら振動子を支持する検出素子を提供することである。
【0007】
また、この発明の別の目的は、振動子の安定した振動を確保しながら振動子を支持する検出素子を備えた検出装置を提供することである。
【0008】
さらに、この発明の別の目的は、振動子の安定した振動を確保しながら振動子を支持する検出素子に用いられる振動子を提供することである。
【0009】
さらに、この発明の別の目的は、振動子の安定した振動を確保しながら振動子を支持する検出素子を備えた検出装置における検出対象物の検知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によれば、検出素子は、振動子と、支持部材と、第1から第3のアンテナとを備える。支持部材は、振動子の一部に接触して振動子を支持する。第1のアンテナは、接地電位に接続される。第2のアンテナは、第1のアンテナと協働して電磁場を振動子に印加するためのアンテナである。第3のアンテナは、振動子が振動したときの振動信号からなる受信信号を第1のアンテナと協働して振動子から受信するためのアンテナである。
【0011】
好ましくは、振動子は、非振動部材と非振動部材に連結された振動部材とからなる。支持部材は、非振動部材に接触して振動子を支持する。
【0012】
好ましくは、第2および第3のアンテナの少なくとも一方のアンテナは、振動子に対して第1のアンテナの反対側に配置されている。
【0013】
好ましくは、振動子は、複数の振動素子を含む。第3のアンテナは、複数の振動素子が振動したときの複数の振動信号からなる複数の受信信号を第1のアンテナと協働して複数の振動素子から独立に受信するアンテナからなる。
【0014】
好ましくは、振動子は、相互に異なる厚みを有する複数の振動素子を含む。
【0015】
また、この発明によれば、検出装置は、振動子と、支持部材と、第1から第3のアンテナと、印加回路と、検出回路とを備える。支持部材は、振動子の一部に接触して振動子を支持する。第1のアンテナは、接地電位に接続される。第2のアンテナは、第1のアンテナと協働して電磁場を振動子に印加するためのアンテナである。第3のアンテナは、振動子が振動したときの振動信号からなる受信信号を第1のアンテナと協働して振動子から受信するためのアンテナである。印加回路は、第1および第2のアンテナを介して電磁場を振動子に印加する。検出回路は、第3のアンテナを介して受けた受信信号に基づいて検出対象物が振動子に付着したときの振動子の共振周波数の変化量を検出して検出対象物を検知する。
【0016】
好ましくは、振動子は、非振動部材と非振動部材に連結された振動部材とからなる。支持部材は、非振動部材に接触して振動子を支持する。
【0017】
好ましくは、振動子は、複数の振動素子を含む。第3のアンテナは、複数の振動素子が振動したときの複数の振動信号からなる複数の受信信号を第1のアンテナと協働して複数の振動素子から独立に受信するアンテナからなる。
【0018】
好ましくは、振動子の振動部材は、相互に異なる厚みを有する複数の振動素子を含む。
【0019】
好ましくは、検出回路は、複数の受信信号のうちの1つの受信信号を参照信号とし、参照信号と残りの受信信号との差信号を検出し、その検出した差信号の変化を検出して検出対象物を検知する。
【0020】
さらに、この発明によれば、振動子は、非振動部材と、振動部材と、連結部材とを備える。連結部材は、振動部材を非振動部材に連結する。
【0021】
さらに、この発明によれば、検出対象物の検知方法は、検出対象物を付着せずに振動子の第1の共振周波数を検出する第1のステップと、振動子を検出装置から取り外し、その取り外した振動子に検出対象物を付着させる第2のステップと、検出対象物が付着した振動子を検出装置に装着する第3のステップと、検出対象物が付着した振動子の第2の共振周波数を検出する第4のステップと、第1の共振周波数から第2の共振周波数への変化量を検出して検出対象物を検知する第5のステップとを備える。
【発明の効果】
【0022】
この発明においては、支持部材は、振動子の一部に接触して振動子を支持する。その結果、振動子は、電磁場の印加によって安定して振動する。
【0023】
したがって、この発明によれば、振動子の安定した振動を確保しながら振動子を支持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0025】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による検出素子の斜視図である。また、図2は、図1に示す線II−IIにおける検出素子の断面図である。
【0026】
図1および図2を参照して、この発明の実施の形態1による検出素子10は、キャップ1,4と、支持部材2,3と、振動子5と、アンテナ6〜8と、ネジ9,11〜13とを備える。
【0027】
キャップ1および支持部材2,3は、略円形の外形を有するドーナツ形状からなる。キャップ4は、略円盤形状からなる。キャップ1,4の各々は、たとえば、テフロン(登録商標)からなる。支持部材2,3の各々は、たとえば、シリコン(Si)ゴムからなる。
【0028】
支持部材3は、キャップ4に接してキャップ4上に配置され、支持部材2は、支持部材3に接して支持部材3上に配置され、キャップ1は、支持部材2に接して支持部材2上に配置される。その結果、積層されたキャップ1,4および支持部材2,3は、キャップ1の表面からキャップ4の表面までの深さにわたって中空部分EMP1を形成する。この中空部分EMP1の直径は、たとえば、30mmφである。
【0029】
振動子5は、たとえば、3mm角の大きさおよび30μmの厚みを有する水晶からなる。そして、振動子5は、その一部が支持部材2,3間に挿入される。アンテナ6〜8の各々は、たとえば、0.2mmφ〜1mmφの直径を有する銅線からなる。そして、アンテナ6は、支持部材3とキャップ4とによって挟持され、その一方端側が振動子5の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子10の外部に配置されている。アンテナ7は、アンテナ6と同じように、支持部材3とキャップ4とによって挟持され、その一方端側が振動子5の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子10の外部に配置されている。アンテナ8は、キャップ1と支持部材2とによって挟持され、その一方端側が振動子5の上側に配置されるとともに、他方端側が接地電位に接続されている。
【0030】
ネジ9,11〜13は、積層されたキャップ1、支持部材2,3およびキャップ4を締め付ける。
【0031】
支持部材2,3は、上述したようにSiゴムから構成されているので、伸縮可能である。したがって、支持部材2,3は、振動子5を容易に挟持でき、支持部材3およびキャップ4は、アンテナ6,7を容易に挟持でき、キャップ1および支持部材2は、アンテナ8を容易に挟持できる。
【0032】
図3は、図1に示すA方向から見た支持部材2,3および振動子5の平面図である。図3を参照して、振動子5は、非振動部材51と、振動部材52と、連結部材53とからなる。非振動部材51および連結部材53は、振動部材52の厚みよりも薄い厚みを有する。連結部材53は、振動部材52を非振動部材51に連結する。
【0033】
平板形状の水晶の一部をエッチングすることによって非振動部材51、振動部材52、および連結部材53を形成し、図3に示す平面形状からなる振動子5を作製する。
【0034】
非振動部材51は、支持部材2,3間に挿入され、振動部材52および連結部材53は、中空部分EMP1に配置される。これによって、支持部材2,3は、振動子5を支持する。
【0035】
アンテナ6は、アンテナ8と協働して、振動電場を振動子5の振動部材52に印加するためのアンテナである。また、アンテナ7は、振動電場が印加されたことによって振動部材52が振動したときの振動信号からなる受信信号をアンテナ8と協働して受信するためのアンテナである。
【0036】
上述したように、振動子5の非振動部材51および連結部材53は、振動部材52よりも薄いので、振動電場が印加されることによって振動部材52に発生した振動は、振動部材52よりも薄い非振動部材51および連結部材53へ伝搬し難く、振動部材52内に閉じ込められる。
【0037】
その結果、振動部材52は、非振動部材51が支持部材2,3によって挟持されていても、安定して振動できる。したがって、振動子5は、振動部材52の安定した振動を確保しながら支持部材2,3によって支持可能な振動子である。
【0038】
図4は、実施の形態1による検出装置の概略図である。図4を参照して、実施の形態1による検出装置100は、検出素子10と、印加回路20と、検出回路30とを備える。
【0039】
印加回路20は、検出素子10のアンテナ6に接続され、振動波形からなる入力電圧Vinをアンテナ6に印加する。検出回路30は、検出素子10のアンテナ7に接続され、検出素子10の振動子5の振動部材52が振動したときの振動信号からなる受信信号Rをアンテナ7を介して受信し、その受信した受信信号Rに基づいて、後述する方法によって、検出対象物が振動子5の振動部材52に付着したことを検知する。
【0040】
図5は、入力電圧Vinおよび受信信号Rのタイミングチャートである。また、図6は、共振周波数のタイミングチャートである。
【0041】
図5および図6を参照して、検出装置100における検出対象物の検出方法について説明する。検出対象物を検出する場合、検出装置100の印加回路20は、タイミングt1からタイミングt2までの間、振動波形からなる入力電圧Vinをアンテナ6に印加する。そして、印加回路20は、タイミングt2以降、入力電圧Vinのアンテナ6への印加を停止する。
【0042】
そうすると、アンテナ6は、アンテナ6とアンテナ8との間の距離をLとした場合、タイミングt1からタイミングt2までの間、アンテナ8と協働して、Vin/Lからなる振動電場E(=Vin/L)を振動子5の振動部材52に印加する。
【0043】
振動子5の振動部材52は、振動電場E(=Vin/L)が印加されると、逆圧電効果によって共振し、表面に電位分布が発生する。
【0044】
そうすると、アンテナ7は、アンテナ8と協働して、振動子5の振動部材52の表面に発生した電位分布を振動波形からなる受信信号Rとして受信する。この場合、アンテナ7は、検出対象物が振動部材52に付着していなければ、振動波形からなる受信信号R0を受信し、検出対象物が振動部材52に付着していれば、振動波形からなる受信信号R1を受信する。そして、アンテナ7は、その受信した受信信号R0,R1を検出回路30へ出力する。
【0045】
検出回路30は、アンテナ7から受信信号R0を受信すると、その受信した受信信号R0の共振周波数f0を検出する。また、検出回路30は、アンテナ7から受信信号R1を受信すると、その受信した受信信号R1の共振周波数f1(<f0)を検出する。そして、検出回路30は、共振周波数の変化量Δf=f0−f1を検出し、検出対象物が振動子5の振動部材52に付着したことを検知する。
【0046】
検出対象物が振動部材52に付着すると、振動部材52の質量が大きくなるので、振動部材52の共振周波数f1は、検出対象物が振動部材52に付着しない場合に比べ、低下する。
【0047】
そこで、検出回路30は、入力電圧Vinがアンテナ6へ印加された後、受信信号Rをアンテナ7から受信し、検出対象物が振動部材52に付着していないとき、受信信号Rから共振周波数f0を検出し、検出対象物が振動部材52に付着すると、共振周波数f1まで徐々に変化する共振周波数fを検出する(図6参照)。そして、検出回路30は、共振周波数fの変化量Δf=f0−f1を検出し、検出対象物が振動部材52に付着したことを検知する。
【0048】
振動部材52の共振周波数をfとし、振動部材52の質量をmとし、振動部材52の質量の変化量(=検出対象物の質量)をΔmとした場合、振動部材52の共振周波数の変化量Δfは、次式によって表される。
【0049】
Δf=f・Δm/m・・・(1)
このように、共振周波数の変化量Δfは、振動部材52の質量の変化量Δm、すなわち、検出対象物の質量に比例し、振動部材52の質量mに反比例する。したがって、検出対象物の質量が大きくなる程、または振動部材52の質量(=厚み)が小さくなる程、共振周波数fの変化量Δfが大きくなり、検出対象物の振動部材52への付着を検知し易くなる。
【0050】
検出装置100は、溶液中のタンパク質を検出するバイオセンサーとして用いることができる。この場合、検出対象物のタンパク質をAとすると、タンパク質Aと反応可能なタンパク質Bを振動子5の振動部材52の表面に塗布して検出対象物であるタンパク質Aが振動部材52に付着し易くする。また、タンパク質Aを含む溶液を検出素子10の中空部分EMP1に滴下する。
【0051】
その結果、タンパク質Aは、タンパク質Bが振動部材52の表面に塗布されていない場合よりも、多くの量が振動部材52に付着し、検出回路30は、共振周波数fのより大きな変化量Δfを検出でき、タンパク質Aを検出し易くなる。
【0052】
また、検出装置100は、においセンサーとして用いることもでき、空気中のガスを検出するガスセンサーとして用いることもできる。
【0053】
この場合、検出素子10を机等の上に配置しておくだけで、検出回路30は、上述した方法によって、検出対象物(におい、またはガス)を検知する。
【0054】
検出素子10においては、アンテナ6を振動子5に対してアンテナ8の反対側に配置したので、入力電圧Vinをアンテナ6に印加することによって、振動電場E(=Vin/L)は、振動子5の振動部材52を通過するように振動部材52に印加されるので、振動部材52を確実に共振させることができる。
【0055】
また、検出素子10においては、アンテナ7を振動子5に対してアンテナ8の反対側に配置したので、アンテナ7は、アンテナ8と協働して、振動部材52の表面に発生する電位分布を高感度に受信できる。
【0056】
したがって、検出素子10を用いた検出装置100は、検出対象物を高感度に検知できる。
【0057】
図7は、実施の形態1における他の振動子の概略図である。なお、図7の(a)は、振動子5Aの斜視図であり、図7の(b)は、図7の(a)に示す線VIIB−VIIBにおける振動子5Aの断面図であり、図7の(c)は、図7の(a)に示す線VIIC−VIICにおける振動子5Aの断面図である。
【0058】
実施の形態1においては、図1に示す検出素子10は、振動子5に代えて、図7に示す振動子5Aを備えていてもよい。
【0059】
図7を参照して、振動子5Aは、たとえば、3mm角の水晶からなり、非振動部材51Aと、振動部材52Aと、連結部材53Aとを含む。非振動部材51Aは、振動部材52Aの周囲に設けられる。そして、非振動部材51Aは、振動子5Aの一方端側に幅広部511Aを有する(図7の(a),(c)参照)。
【0060】
振動部材52Aは、非振動部材51Aの厚みd0よりも薄い厚みd1を有する。そして、振動部材52Aの底面521Aは、非振動部材51Aの底面512Aおよび連結部材53Aの底面531Aに一致している(図7の(b),(c)参照)。
【0061】
連結部材53Aは、振動部材52Aの厚みd1よりも薄い厚みd2を有する。そして、連結部材53Aは、非振動部材51Aと振動部材52Aとの境界に設けられ、非振動部材51Aと振動部材52Aとを連結する。
【0062】
振動子5Aにおいては、厚みd0〜d2は、それぞれ、d0=0.1mmであり、d1=30μmであり、d2=25μmである。そして、振動子5Aにおいては、厚みd2は、一般的には、d2≦0.9×d1を満たすように、厚みd2を設定する。
【0063】
また、振動子5Aにおいては、非振動部材51Aの幅(=図7の(a)に示す線VIIC−VIICの方向における長さ)は、約1mmであり、振動部材52Aの幅(=図7の(a)に示す線VIIC−VIICの方向における長さ)は、約3mmであり、連結部材53Aの幅は、約200μmである。
【0064】
振動子5Aは、平板形状の水晶の一方の表面側から振動部材52Aおよび連結部材53Aとなる水晶の一部を振動部材52Aの厚みまでエッチングし、その後、エッチングされた領域の周囲を連結部材53Aの厚みまでさらにエッチングすることによって作製される。
【0065】
また、振動子5Aは、非振動部材51Aの幅広部511Aを支持部材2,3間に挿入することによって支持部材2,3により支持される。
【0066】
振動子5Aを備えた検出素子10においては、入力電圧Vinがアンテナ6,8を介して印加されると、振動子5Aの振動部材52Aが共振する。そして、振動部材52A中で発生した振動は、振動部材52Aの厚みよりも薄い連結部材53Aが非振動部材51Aと振動部材52Aとの間に配置されているため、非振動部材51A中へ伝搬し難く、振動部材52A中に閉じ込められる。その結果、振動部材52Aは、非振動部材51Aが支持部材2,3によって固定されていても、安定して振動する。
【0067】
したがって、振動子5Aを備えた検出装置100においても、振動部材52Aの安定した振動を確保しながら振動子5Aを支持できる。そして、振動子5Aを備えた検出装置100は、上述した方法によって、検出対象物が振動子5Aの振動部材52Aに付着したことを検知できる。
【0068】
図8は、実施の形態1におけるさらに他の振動子の概略図である。なお、図8の(a)は、振動子5Bの斜視図であり、図8の(b)は、図8の(a)に示す線VIIIB−VIIIBにおける振動子5Bの断面図であり、図8の(c)は、図8の(a)に示す線VIIIC−VIIICにおける振動子5Bの断面図である。
【0069】
実施の形態1においては、図1に示す検出素子10は、振動子5に代えて、図8に示す振動子5Bを備えていてもよい。
【0070】
図8を参照して、振動子5Bは、たとえば、3mm角の水晶からなり、非振動部材51Bと、振動部材52Bと、連結部材53Bとを含む。そして、非振動部材51B、振動部材52Bおよび連結部材53Bは、それぞれ、非振動部材51A、振動部材52Aおよび連結部材53Aと同じ厚みおよび幅を有する。
【0071】
非振動部材51Bは、振動部材52Bの周囲に設けられる。そして、非振動部材51Bは、振動子5Bの一方端側に幅広部511Bを有する(図8の(a),(c)参照)。
【0072】
振動部材52Bは、非振動部材51Bの厚みよりも薄い厚みを有する。そして、振動部材52Bの表面521Bは、非振動部材51Bの表面512Bおよび連結部材53Bの表面531Bと異なっており、振動部材52Bの底面522Bは、非振動部材51Bの底面513Bおよび連結部材53Bの底面532Bと異なっている(図8の(b),(c)参照)。
【0073】
連結部材53Bは、振動部材52Bの厚みよりも薄い厚みを有する。そして、連結部材53Bは、非振動部材51Bと振動部材52Bとの境界に設けられ、非振動部材51Bと振動部材52Bとを連結する。
【0074】
なお、振動子5Bにおいては、非振動部材51Bの表面512Bと連結部材53Bの表面531Bとの間の距離は、非振動部材51Bの底面513Bと連結部材53Bの底面532Bとの間の距離と同じであってもよく、非振動部材51Bの底面513Bと連結部材53Bの底面532Bとの間の距離と異なっていてもよい。また、振動子5Bにおいては、振動部材52Bの表面521Bと連結部材53Bの表面531Bとの間の距離は、振動部材52Bの底面522Bと連結部材53Bの底面532Bとの間の距離と同じであってもよく、振動部材52Bの底面522Bと連結部材53Bの底面532Bとの間の距離と異なっていてもよい。
【0075】
振動子5Bは、平板形状の水晶の一方の表面側から振動部材52Bおよび連結部材53Bとなる水晶の一部を振動部材52Bの表面521Bまでエッチングし、その後、水晶の他方の表面側から振動部材52Bおよび連結部材53Bとなる水晶の一部を振動部材52Bの底面522Bまでエッチングし、さらに、エッチングされた領域の周囲を水晶の両面側から連結部材53Bの厚みまでエッチングすることによって作製される。
【0076】
また、振動子5Bは、非振動部材51Bの幅広部511Bを支持部材2,3間に挿入することによって支持部材2,3により支持される。
【0077】
振動子5Bを備えた検出素子10においては、入力電圧Vinがアンテナ6,8を介して印加されると、振動子5Bの振動部材52Bが共振する。そして、振動部材52B中で発生した振動は、振動部材52Bの厚みよりも薄い連結部材53Bが非振動部材51Bと振動部材52Bとの間に配置されているため、非振動部材51B中へ伝搬し難く、振動部材52B中に閉じ込められる。その結果、振動部材52Bは、非振動部材51Bが支持部材2,3によって固定されていても、安定して振動する。
【0078】
したがって、振動子5Bを備えた検出装置100においても、振動部材52Bの安定した振動を確保しながら振動子5Bを支持できる。そして、振動子5Bを備えた検出装置100は、上述した方法によって、検出対象物が振動子5Bの振動部材52Bに付着したことを検知できる。
【0079】
図9は、実施の形態1による他の検出素子の断面図である。実施の形態1による検出素子は、図9の(a)に示す検出素子10Aであってもよい。図9の(a)を参照して、検出素子10Aは、図1から図3に示す検出素子10のアンテナ6をアンテナ6Aに代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0080】
アンテナ6Aは、0.2mmφ〜1mmφの直径を有する銅線からなる。そして、アンテナ6Aは、アンテナ8と同じようにキャップ1と支持部材2とによって挟持され、その一方端側が振動子5の上側に配置されるとともに、他方端側が検出素子10Aの外部に配置されている。
【0081】
このように、検出素子10Aにおいては、アンテナ6Aは、振動子5に対して、アンテナ8と同じ側に配置される。
【0082】
アンテナ6Aは、アンテナ8と協働して、振動電場を振動子5の振動部材52に印加するためのアンテナである。
【0083】
アンテナ6Aがアンテナ8の横に配置されていても、入力電圧Vinがアンテナ6Aに印加されると、アンテナ6A,8間の距離Lに反比例する振動電場E(=Vin/L)がアンテナ6A,8間に発生し、その発生した振動電場Eは、振動子5に印加される。
【0084】
したがって、検出素子10Aを用いて、タンパク質、におい、およびガスを検出できる。
【0085】
なお、検出素子10Aにおいては、アンテナ6A,8が振動子5の下側に配置され、アンテナ7が振動子5の上側に配置されていてもよい。
【0086】
また、実施の形態1による検出素子は、図9の(b)に示す検出素子10Bであってもよい。図9の(b)を参照して、検出素子10Bは、図1から図3に示す検出素子10のアンテナ7をアンテナ7Aに代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0087】
アンテナ7Aは、0.2mmφ〜1mmφの直径を有する銅線からなる。そして、アンテナ7Aは、アンテナ8と同じようにキャップ1と支持部材2とによって挟持され、その一方端側が振動子5の上側に配置されるとともに、他方端側が検出素子10Bの外部に配置されている。
【0088】
このように、検出素子10Bにおいては、アンテナ7Aは、振動子5に対して、アンテナ8と同じ側に配置される。
【0089】
アンテナ7Aは、振動電場Eが印加されたことによって振動部材52が振動したときの振動信号からなる受信信号をアンテナ8と協働して受信するためのアンテナである。
【0090】
アンテナ7Aがアンテナ8の横に配置されていても、振動子5の振動部材52が振動電場Eによって共振すると、その共振によって振動部材52の表面に発生した電位分布をアンテナ7A,8間に発生する振動信号として受信できる。
【0091】
したがって、検出素子10Bを用いて、タンパク質、におい、およびガスを検出できる。
【0092】
なお、検出素子10Bにおいては、アンテナ7A,8が振動子5の下側に配置され、アンテナ6が振動子5の上側に配置されていてもよい。
【0093】
さらに、実施の形態1による検出素子は、図9の(c)に示す検出素子10Cであってもよい。図9の(c)を参照して、検出素子10Cは、図1から図3に示す検出素子10のアンテナ8をアンテナ8Aに代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0094】
アンテナ8Aは、0.2mmφ〜1mmφの直径を有する銅線からなる。アンテナ8Aは、アンテナ6,7間に配置され、支持部材3とキャップ4とによって挟持される。そして、アンテナ8Aは、その一方端側が振動子5の下側に配置されるとともに、他方端側が接地電位に接続されている。
【0095】
このように、検出素子10Cにおいては、アンテナ6,7,8Aは、振動子5に対して同じ側に配置される。
【0096】
アンテナ6,7,8Aが振動子5に対して同じ側に配置されていても、入力電圧Vinがアンテナ6に印加されると、アンテナ6,8A間の距離Lに反比例する振動電場E(=Vin/L)がアンテナ6,8A間に発生し、その発生した振動電場Eは、振動子5に印加される。また、アンテナ7は、振動子5の振動部材52が振動電場Eによって共振すると、その共振によって振動部材52の表面に発生した電位分布をアンテナ7,8A間に発生する振動信号として受信できる。
【0097】
したがって、検出素子10Cを用いて、タンパク質、におい、およびガスを検出できる。
【0098】
なお、検出素子10Cにおいては、アンテナ6,7,8Aは、振動子5の上側に配置されていてもよい。
【0099】
さらに、実施の形態1による検出素子は、図9の(d)に示す検出素子10Dであってもよい。図9の(d)を参照して、検出素子10Dは、図1から図3に示す検出素子10のアンテナ6,7をアンテナ14に代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0100】
アンテナ14は、0.2mmφ〜1mmφの直径を有する銅線からなる。そして、アンテナ14は、支持部材3とキャップ4とによって挟持され、その一方端側が振動子5の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子10Dの外部に配置されている。
【0101】
このように、検出素子10Dにおいては、アンテナ14は、振動子5に対して、アンテナ8と反対側に配置される。
【0102】
アンテナ14は、アンテナ8と協働して、振動電場Eを振動子5の振動部材52に印加するとともに、振動電場Eが印加されたことによって振動部材52が振動したときの振動信号からなる受信信号をアンテナ8と協働して受信するためのアンテナである。
【0103】
上述したように、入力電圧Vinが振動部材52に印加された後に、受信信号Rが受信されるので(図5参照)、入力電圧Vinを振動部材52に印加するためのアンテナと、受信信号Rを受信するためのアンテナとが同じであっても、上述した方法によって、検出対象物が振動子5の振動部材52に付着したことを検知できる。したがって、検出素子10Dを用いて、タンパク質、におい、およびガスを検出できる。
【0104】
なお、検出素子10Dにおいては、アンテナ14は、振動子5に対してアンテナ8と同じ側に配置されていてもよい。
【0105】
このように、実施の形態1による検出素子においては、入力電圧Vinを印加するためのアンテナ6、受信信号を受信するためのアンテナ7および接地電位に接続されたアンテナ8Aは、振動子5に対して同じ側に配置されていてもよく、入力電圧Vinを印加するためのアンテナ6,6A,14と、受信信号を受信するためのアンテナ7,7A,14との少なくとも一方のアンテナが振動子5に対して接地電位に接続されたアンテナ8と反対側に配置されていてもよい。
【0106】
なお、検出素子10A〜10Dの各々は、振動子5に代えて振動子5A,5Bのいずれかを備えていてもよい。
【0107】
また、実施の形態1による検出装置100は、検出素子10に代えて検出素子10A〜10Dのいずれかを備えていてもよい。
【0108】
検出装置100が検出素子10Aを備える場合、印加回路20は、アンテナ6Aに接続され、入力電圧Vinをアンテナ6Aに印加する。
【0109】
また、検出装置100が検出素子10Bを備える場合、検出回路30は、アンテナ7Aに接続され、アンテナ7Aを介して受信信号Rを受信する。
【0110】
さらに、検出装置100が検出素子10Dを備える場合、印加回路20は、アンテナ14に接続され、入力電圧Vinをアンテナ14に印加する。また、検出回路30は、アンテナ14に接続され、入力電圧Vinの印加が終了すると、アンテナ14を介して受信信号Rを受信する。この場合、検出回路30は、アンテナ14を介して受信した受信信号から検出した共振周波数が変動するか否かを監視すればよいので、印加回路20が入力電圧Vinの印加を終了したことを示す信号を検出回路30へ出力しなくても、検出回路30は、上述した方法によって、検出対象物が振動子5の振動部材52に付着したことを検知できる。
【0111】
[実施の形態2]
図10は、実施の形態2による検出素子の斜視図である。また、図11は、図10に示す線XI−XIにおける検出素子の断面図である。
【0112】
図10および図11を参照して、実施の形態2による検出素子200は、キャップ201,204と、支持部材202,203と、振動子205,208,211,214と、アンテナ206,207,209,210,212,213,215,216,217と、ネジ218〜223とを備える。
【0113】
キャップ201および支持部材202,203は、略長方形の外形を有するドーナツ形状からなる。キャップ204は、略平板形状からなる。キャップ201,204の各々は、たとえば、テフロン(登録商標)からなる。支持部材202,203の各々は、たとえば、Siゴムからなる。
【0114】
支持部材203は、キャップ204に接してキャップ204上に配置され、支持部材202は、支持部材203に接して支持部材203上に配置され、キャップ201は、支持部材202に接して支持部材202上に配置される。その結果、積層されたキャップ201、支持部材202,203およびキャップ204は、キャップ201の表面からキャップ204の表面までの深さにわたって中空部分EMP2を形成する。この中空部分EMP2は、たとえば、縦が20mmであり、横が8mmである。
【0115】
振動子205,208,211,214の各々は、たとえば、3mm角の水晶からなり、その一部が支持部材202,203間に挿入される。そして、振動子205,208,211,214は、相互に同じ厚みを有し、横方向に配置されている。
【0116】
アンテナ206,207,209,210,212,213,215,216,217の各々は、たとえば、0.2mmφ〜1mmφの直径を有する銅線からなる。アンテナ206,207は、振動子205に対応して設けられる。そして、アンテナ206は、支持部材203とキャップ204とによって挟持され、その一方端側が振動子205の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子200の外部に配置されている。また、アンテナ207は、アンテナ206と同じように、支持部材203とキャップ204とによって挟持され、その一方端側が振動子205の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子200の外部に配置されている。
【0117】
アンテナ209,210は、振動子208に対応して設けられる。アンテナ209は、支持部材203とキャップ204とによって挟持され、その一方端側が振動子208の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子200の外部に配置されている。また、アンテナ210は、アンテナ209と同じように、支持部材203とキャップ204とによって挟持され、その一方端側が振動子208の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子200の外部に配置されている。
【0118】
アンテナ212,213は、振動子211に対応して設けられる。アンテナ212は、支持部材203とキャップ204とによって挟持され、その一方端側が振動子211の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子200の外部に配置されている。また、アンテナ213は、アンテナ212と同じように、支持部材203とキャップ204とによって挟持され、その一方端側が振動子211の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子200の外部に配置されている。
【0119】
アンテナ215,216は、振動子214に対応して設けられる。アンテナ215は、支持部材203とキャップ204とによって挟持され、その一方端側が振動子214の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子200の外部に配置されている。また、アンテナ216は、アンテナ215と同じように、支持部材203とキャップ204とによって挟持され、その一方端側が振動子214の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子200の外部に配置されている。
【0120】
アンテナ217は、キャップ201と支持部材202とによって挟持され、振動子205,208,211,214の上側に配置されるとともに、一方端側が接地電位に接続されている。つまり、アンテナ217は、振動子205,208,211,214に対して設けられた共用のアンテナである。
【0121】
ネジ218〜223は、積層されたキャップ201、支持部材202,203およびキャップ204を締め付ける。
【0122】
支持部材202,203は、上述したようにSiゴムから構成されているので、伸縮可能である。したがって、支持部材202,203は、振動子205,208,211,214を容易に挟持でき、支持部材203およびキャップ204は、アンテナ206,207,209,210,212,213,215,216を容易に挟持でき、キャップ201および支持部材202は、アンテナ217を容易に挟持できる。
【0123】
振動子205,208,211,214の各々は、振動子5(図3参照)、振動子5A(図7参照)および振動子5B(図8参照)のいずれかからなる。
【0124】
図12は、実施の形態2による検出装置の概略図である。図12を参照して、実施の形態2による検出装置300は、検出素子200と、印加回路210Aと、検出回路220Aとを備える。
【0125】
印加回路210Aは、検出素子200のアンテナ206,209,212,215に並列に接続され、振動波形からなる入力電圧Vinをアンテナ206,209,212,215に独立に印加する。
【0126】
検出回路220Aは、検出素子200のアンテナ207,210,213,216に並列に接続され、検出素子200の振動子205,208,211,214の振動部材52,52A,52Bが振動したときの振動信号からなる受信信号R205,R208,R211,R214をそれぞれアンテナ207,210,213,216を介して独立に受信し、その受信した受信信号R205,R208,R211,R214に基づいて、上述した方法によって、検出対象物が振動子205,208,211,214の振動部材52,52A,52Bに付着したことを独立に検知する。
【0127】
この場合、検出回路220Aは、受信信号R205に基づいて検出した共振周波数f205の変動と、受信信号R208に基づいて検出した共振周波数f208の変動と、受信信号R211に基づいて検出した共振周波数f211の変動と、受信信号R214に基づいて検出した共振周波数f214の変動とを独立に監視する。そして、検出回路220Aは、共振周波数f205が低下して一定値に達すると、検出対象物が振動子205に付着したことを検知し、共振周波数f208が低下して一定値に達すると、検出対象物が振動子208に付着したことを検知し、共振周波数f211が低下して一定値に達すると、検出対象物が振動子211に付着したことを検知し、共振周波数f214が低下して一定値に達すると、検出対象物が振動子214に付着したことを検知する。
【0128】
このように、検出装置300は、複数の振動子205,208,211,214を備える検出素子200を用いて複数の検出対象物を検知する。そして、検出素子200においては、入力電圧Vinを印加するためのアンテナ206,209,212,215および受信信号R205,R208,R211,R214をそれぞれ受信するためのアンテナ207,210,213,216は、それぞれ、振動子205,208,211,214に対してアンテナ217の反対側に配置されているので、印加回路210Aは、入力電圧Vinによる振動電場Eを振動子205,208,211,214に確実に印加できるとともに、検出回路220Aは、検出対象物が振動子205,208,211,214の振動部材52,52A,52Bに付着したことを高い感度で検知できる。
【0129】
なお、検出装置300を用いてタンパク質を検知する場合、タンパク質を含む溶液を中空部分EMP2に滴下する。また、検出装置300を用いて、におい、またはガスを検知する場合、検出装置300を机等の上に配置しておく。
【0130】
図13は、実施の形態2における他の振動子の概略図である。なお、図13の(a)は、振動子230の斜視図であり、図13の(b)は、図13の(a)に示す線XIIIB−XIIIBにおける振動子230の断面図であり、図13の(c)は、図13の(a)に示す線XIIIC−XIIICにおける振動子230の断面図である。
【0131】
実施の形態2においては、図10に示す検出素子200は、振動子205,208,211,214に代えて、図13に示す振動子230を備えていてもよい。
【0132】
図13を参照して、振動子230は、たとえば、平板形状の水晶からなり、非振動部材231と、振動部材232,234,236,238と、連結部材233,235,237,239とを含む。そして、振動子230は、方向DR1における長さが約8mmであり、方向DR1に直交する方向DR2における長さが約20mmである略長方形の平面形状を有する。
【0133】
非振動部材231は、上述した非振動部材51Aと同じ厚みを有し、振動部材232,234,236,238の周囲に設けられる。そして、非振動部材231は、方向DR1における振動子230の一方端側に幅広部2311を有する(図13の(a),(c)参照)。幅広部2311は、方向DR1において、約8mmの長さを有する。
【0134】
振動部材232,234,236,238の各々は、方向DR1における長さが約5mmであり、方向DR2における長さが約3mmである。また、振動部材232,234,236,238の各々は、上述した振動部材52Aと同じ厚みを有し、非振動部材231の厚みよりも薄い厚みを有する。さらに、振動部材232,234,236,238は、方向DR2において、約1mmの間隔で配置される。さらに、振動部材232,234,236,238の底面232A,234A,236A,238Aは、非振動部材231の底面231Aおよび連結部材233,235,237,239の底面233A,235A,237A,239Aに一致している(図13の(b),(c)参照)。
【0135】
連結部材233,235,237,239の各々は、上述した連結部材53Aと同じ厚みを有し、振動部材232,234,236,238の厚みよりも薄い厚みを有する。
【0136】
連結部材233は、非振動部材231と振動部材232との境界に設けられ、非振動部材231と振動部材232とを連結する。連結部材235は、非振動部材231と振動部材234との境界に設けられ、非振動部材231と振動部材234とを連結する。連結部材237は、非振動部材231と振動部材236との境界に設けられ、非振動部材231と振動部材236とを連結する。連結部材239は、非振動部材231と振動部材238との境界に設けられ、非振動部材231と振動部材238とを連結する。
【0137】
なお、方向DR1において振動部材232,236,238を通過する線分における振動子230の断面図は、図13の(c)に示す断面図と同じである。
【0138】
振動子230は、平板形状の水晶の一方の表面側から振動部材232,234,236,238および連結部材233,235,237,239となる水晶の一部を振動部材232,234,236,238の厚みまでエッチングし、その後、エッチングされた複数の領域の周囲を連結部材233,235,237,239の厚みまでさらにエッチングすることによって作製される。
【0139】
また、振動子230は、非振動部材231の幅広部2311を支持部材202,203間に挿入することによって支持部材202,203により支持される。
【0140】
振動子230を備えた検出素子200においては、アンテナ206,207は、振動部材232の下側に配置され、アンテナ209,210は、振動部材234の下側に配置され、アンテナ212,213は、振動部材236の下側に配置され、アンテナ215,216は、振動部材238の下側に配置される。
【0141】
そして、入力電圧Vinがアンテナ206,217を介して印加されると、振動部材232が共振し、入力電圧Vinがアンテナ209,217を介して印加されると、振動部材234が共振し、入力電圧Vinがアンテナ212,217を介して印加されると、振動部材236が共振し、入力電圧Vinがアンテナ215,217を介して印加されると、振動部材238が共振する。
【0142】
振動部材232中で発生した振動は、振動部材232の厚みよりも薄い連結部材233が非振動部材231と振動部材232との間に配置されているため、非振動部材231中へ伝搬し難く、振動部材232中に閉じ込められる。その結果、振動部材232は、安定して振動する。振動部材234,236,238中で発生した振動についても同様であり、振動部材234,236,238は、安定して振動する。
【0143】
したがって、振動子230を備えた検出装置300においても、振動部材232,234,236,238の安定した振動を確保しながら振動子230を支持できる。そして、振動子230を備えた検出装置300は、上述した方法によって、検出対象物が振動部材232,234,236,238に付着したことを検知できる。
【0144】
図14は、実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。なお、図14の(a)は、振動子240の斜視図であり、図14の(b)は、図14の(a)に示す線XIVB−XIVBにおける振動子240の断面図であり、図14の(c)は、図14の(a)に示す線XIVC−XIVCにおける振動子240の断面図である。
【0145】
実施の形態2においては、図10に示す検出素子200は、振動子205,208,211,214に代えて、図14に示す振動子240を備えていてもよい。
【0146】
図14を参照して、振動子240は、たとえば、平板形状の水晶からなり、非振動部材241と、振動部材242,244,246,248と、連結部材243,245,247,249とを含む。そして、振動子240は、振動子230と同じサイズを有する。
【0147】
非振動部材241は、上述した非振動部材51Bと同じ厚みを有し、振動部材242,244,246,248の周囲に設けられる。そして、非振動部材241は、方向DR1における振動子240の一方端側に幅広部2411を有する(図14の(a),(c)参照)。幅広部2411は、方向DR1において、幅広部2311と同じ長さを有する。
【0148】
振動部材242,244,246,248の各々は、上述した振動部材232,234,236,238と同じサイズを有する。また、振動部材242,244,246,248の各々は、上述した振動部材52Bと同じ厚みを有し、非振動部材241の厚みよりも薄い厚みを有する。さらに、振動部材242,244,246,248は、方向DR2において、上述した振動部材232,234,236,238と同じ間隔で配置される。
【0149】
そして、振動部材242の表面242Aは、非振動部材241の表面241Aおよび連結部材243の表面243Aと異なっており、振動部材244の表面244Aは、非振動部材241の表面241Aおよび連結部材245の表面245Aと異なっており、振動部材246の表面246Aは、非振動部材241の表面241Aおよび連結部材247の表面247Aと異なっており、振動部材248の表面248Aは、非振動部材241の表面241Aおよび連結部材249の表面249Aと異なっている。
【0150】
また、振動部材242の底面242Bは、非振動部材241の底面241Bおよび連結部材243の底面243Bと異なっており、振動部材244の底面244Bは、非振動部材241の底面241Bおよび連結部材245の底面245Bと異なっており、振動部材246の底面246Bは、非振動部材241の底面241Bおよび連結部材247の底面247Bと異なっており、振動部材248の底面248Bは、非振動部材241の底面241Bおよび連結部材249の底面249Bと異なっている(図14の(b),(c)参照)。
【0151】
連結部材243,245,247,249の各々は、上述した連結部材53Bと同じ厚みを有し、振動部材242,244,246,248の厚みよりも薄い厚みを有する。
【0152】
連結部材243は、非振動部材241と振動部材242との境界に設けられ、非振動部材241と振動部材242とを連結する。連結部材245は、非振動部材241と振動部材244との境界に設けられ、非振動部材241と振動部材244とを連結する。連結部材247は、非振動部材241と振動部材246との境界に設けられ、非振動部材241と振動部材246とを連結する。連結部材249は、非振動部材241と振動部材248との境界に設けられ、非振動部材241と振動部材248とを連結する。
【0153】
なお、振動子240においては、非振動部材241の表面241Aと連結部材243,245,247,249の表面243A,245A,247A,249Aとの間の距離は、非振動部材241の底面241Bと連結部材243,245,247,249の底面243B,245B,247B,249Bとの間の距離と同じであってもよく、非振動部材241の底面241Bと連結部材243,245,247,249の底面243B,245B,247B,249Bとの間の距離と異なっていてもよい。また、振動子240においては、振動部材242,244,246,248の表面242A,244A,246A,248Aと連結部材243,245,247,249の表面243A,245A,247A,249Aとの間の距離は、振動部材242,244,246,248の底面242B,244B,246B,248Bと連結部材243,245,247,249の底面243B,245B,247B,249Bとの間の距離と同じであってもよく、振動部材242,244,246,248の底面242B,244B,246B,248Bと連結部材243,245,247,249の底面243B,245B,247B,249Bとの間の距離と異なっていてもよい。
【0154】
振動子240は、平板形状の水晶の一方の表面側から振動部材242,244,246,248および連結部材243,245,247,249となる水晶の一部を振動部材242,244,246,248の表面242A,244A,246A,248Aまでエッチングし、その後、水晶の他方の表面側から振動部材242,244,246,248および連結部材243,245,247,249となる水晶の一部を振動部材242,244,246,248の底面242B,244B,246B,248Bまでエッチングし、さらに、エッチングされた領域の周囲を水晶の両面側から連結部材243,245,247,249の厚みまでエッチングすることによって作製される。
【0155】
また、振動子240は、非振動部材241の幅広部2411を支持部材202,203間に挿入することによって支持部材202,203により支持される。
【0156】
振動子240を備えた検出素子200においては、アンテナ206,207は、振動部材242の下側に配置され、アンテナ209,210は、振動部材244の下側に配置され、アンテナ212,213は、振動部材246の下側に配置され、アンテナ215,216は、振動部材248の下側に配置される。
【0157】
そして、入力電圧Vinがアンテナ206,217を介して印加されると、振動部材242が共振し、入力電圧Vinがアンテナ209,217を介して印加されると、振動部材244が共振し、入力電圧Vinがアンテナ212,217を介して印加されると、振動部材246が共振し、入力電圧Vinがアンテナ215,217を介して印加されると、振動部材248が共振する。
【0158】
振動部材242中で発生した振動は、振動部材242の厚みよりも薄い連結部材243が非振動部材241と振動部材242との間に配置されているため、非振動部材241中へ伝搬し難く、振動部材242中に閉じ込められる。その結果、振動部材242は、安定して振動する。振動部材244,246,248中で発生した振動についても同様であり、振動部材244,246,248は、安定して振動する。
【0159】
したがって、振動子240を備えた検出装置300においても、振動部材242,244,246,248の安定した振動を確保しながら振動子240を支持できる。そして、振動子240を備えた検出装置300は、上述した方法によって、検出対象物が振動部材242,244,246,248に付着したことを検知できる。
【0160】
図15は、実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。実施の形態2においては、図10に示す検出素子200は、振動子205,208,211,214に代えて、図15に示す振動子250を備えていてもよい。
【0161】
図15を参照して、振動子250は、たとえば、平板形状の水晶からなり、非振動部材251と、振動部材252,257,262,267と、連結部材253〜256,258〜261,263〜266,268〜271とを含む。そして、振動子250は、振動子230と同じサイズを有する。
【0162】
非振動部材251は、上述した非振動部材51Aと同じ厚みを有し、方向DR1における振動子250の一方端側に幅広部2511を有する。幅広部2511は、上述した幅広部2311と同じサイズを有する。そして、非振動部材251は、振動部材252,257,262,267の周囲に設けられる。
【0163】
振動部材252,257,262,267の各々は、非振動部材251と同じ厚みを有する。また、振動部材252,257,262,267の各々は、上述した振動部材232,234,236,238と同じサイズを有する。さらに、振動部材252,257,262,267は、方向DR2において、上述した振動部材232,234,236,238と同じ間隔で配置される。
【0164】
連結部材253〜256,258〜261,263〜266,268〜271の各々は、略L字形状からなり、上述した連結部材53Aと同じ厚みを有する。その結果、連結部材253〜256,258〜261,263〜266,268〜271の各々は、非振動部材251および振動部材252,257,262,267よりも薄い厚みを有する。
【0165】
連結部材253〜256は、長方形を形成するように振動部材252の周囲に配置され、振動部材252を非振動部材251に連結する。連結部材258〜261は、長方形を形成するように振動部材257の周囲に配置され、振動部材257を非振動部材251に連結する。連結部材263〜266は、長方形を形成するように振動部材263の周囲に配置され、振動部材263を非振動部材251に連結する。連結部材268〜271は、長方形を形成するように振動部材267の周囲に配置され、振動部材267を非振動部材251に連結する。
【0166】
連結部材253は、連結部材254,256との間に微小な間隙を有し、連結部材255は、連結部材254,256との間に微小な間隙を有する。この間隙は、振動部材252の厚みよりも小さい。
【0167】
連結部材258は、連結部材259,261との間に微小な間隙を有し、連結部材260は、連結部材259,261との間に微小な間隙を有する。この間隙は、振動部材257の厚みよりも小さい。
【0168】
連結部材263は、連結部材264,266との間に微小な間隙を有し、連結部材265は、連結部材264,266との間に微小な間隙を有する。この間隙は、振動部材262の厚みよりも小さい。
【0169】
連結部材268は、連結部材269,271との間に微小な間隙を有し、連結部材270は、連結部材269,271との間に微小な間隙を有する。この間隙は、振動部材267の厚みよりも小さい。
【0170】
図15に示す線XVB−XVBにおける振動子250の断面図は、図13の(b)において非振動部材231の厚みと振動部材232,234,236,238の厚みとを同じにした断面図、または図14の(b)において非振動部材241の厚みと振動部材242,244,246,248の厚みとを同じにした断面図からなる。また、図15に示す線XVC−XVCにおける振動子250の断面図は、図13の(c)において非振動部材231の厚みと振動部材234の厚みとを同じにした断面図、または図14の(c)において非振動部材241の厚みと振動部材244の厚みとを同じにした断面図からなる。
【0171】
振動子250は、上述した振動子230または振動子240の作製方法と同じ方法によって作製される。
【0172】
また、振動子250は、非振動部材251の幅広部2511を支持部材202,203間に挿入することによって支持部材202,203により支持される。
【0173】
振動子250を備えた検出素子200においては、アンテナ206,207は、振動部材252の下側に配置され、アンテナ209,210は、振動部材257の下側に配置され、アンテナ212,213は、振動部材262の下側に配置され、アンテナ215,216は、振動部材267の下側に配置される。
【0174】
そして、入力電圧Vinがアンテナ206,217を介して印加されると、振動部材252が共振し、入力電圧Vinがアンテナ209,217を介して印加されると、振動部材257が共振し、入力電圧Vinがアンテナ212,217を介して印加されると、振動部材262が共振し、入力電圧Vinがアンテナ215,217を介して印加されると、振動部材267が共振する。
【0175】
振動部材252中で発生した振動は、振動部材252の厚みよりも薄い連結部材253〜256が非振動部材251と振動部材252との間に配置されており、かつ、連結部材253〜256間の隙間が振動部材252の厚みよりも小さいため、非振動部材251中へ伝搬し難く、振動部材252中に閉じ込められる。その結果、振動部材252は、安定して振動する。振動部材257,262,267中で発生した振動についても同様であり、振動部材257,262,267は、安定して振動する。
【0176】
したがって、振動子250を備えた検出装置300においても、振動部材252,257,262,267の安定した振動を確保しながら振動子250を支持できる。そして、振動子250を備えた検出装置300は、上述した方法によって、検出対象物が振動部材252,257,262,267に付着したことを検知できる。
【0177】
なお、振動子250は、連結部材253〜256,258〜261,263〜266,268〜271に代えて、連結部材253〜256,258〜261,263〜266,268〜271と同じ平面形状からなる貫通孔を備えていてもよい。
【0178】
図16は、実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。なお、図16の(a)は、振動子の斜視図であり、図16の(b)は、振動子の平面図である。
【0179】
実施の形態2においては、図10に示す検出素子200は、振動子205,208,211,214に代えて、図16に示す振動子330を備えていてもよい。
【0180】
図16を参照して、振動子330は、たとえば、平板形状の水晶からなり、非振動部材331と、振動部材332〜335と、連結部材336〜339とを含む。
【0181】
非振動部材331および連結部材336〜339は、振動部材332〜335の厚みよりも薄い厚みを有する。連結部材336〜339は、それぞれ振動部材332〜335を非振動部材331に連結する。
【0182】
振動子330は、方向DR1において、約8mmの長さを有し、方向DR2において、約25mmの長さを有する。また、振動部材332〜335の各々は、方向DR1において、約3mmの長さを有し、方向DR2において、約5mmの長さを有する。そして、隣接する2つの振動部材332,333;333,334;334,335間の距離は、約1.7mmに設定される。
【0183】
平板形状の水晶の一部をエッチングすることによって非振動部材331、振動部材332〜335、および連結部材336〜339を形成し、図16に示す平面形状からなる振動子330を作製する。
【0184】
非振動部材331は、支持部材202,203間に挿入され、振動部材332〜335および連結部材336〜339は、中空部分EMP2に配置される。これによって、支持部材202,203は、振動子330を支持する。
【0185】
振動子330を備えた検出素子200においては、アンテナ206,207は、振動部材332の下側に配置され、アンテナ209,210は、振動部材333の下側に配置され、アンテナ212,213は、振動部材334の下側に配置され、アンテナ215,216は、振動部材335の下側に配置される。
【0186】
そして、入力電圧Vinがアンテナ206,217を介して印加されると、振動部材332が共振し、入力電圧Vinがアンテナ209,217を介して印加されると、振動部材333が共振し、入力電圧Vinがアンテナ212,217を介して印加されると、振動部材334が共振し、入力電圧Vinがアンテナ215,217を介して印加されると、振動部材335が共振する。
【0187】
振動部材332〜335中で発生した振動は、連結部材336〜339の厚みが振動部材332〜335の厚みよりも薄いため、非振動部材331中へ伝搬し難く、振動部材332〜335中に閉じ込められる。その結果、振動部材332〜335は、安定して振動する。
【0188】
したがって、振動子330を備えた検出装置300においても、振動部材332〜335の安定した振動を確保しながら振動子330を支持できる。そして、振動子330を備えた検出装置300は、上述した方法によって、検出対象物が振動部材332〜335に付着したことを検知できる。
【0189】
図17は、実施の形態2による他の検出素子の斜視図である。実施の形態2による検出素子は、図17に示す検出素子200Aであってもよい。図17を参照して、検出素子200Aは、図10に示す検出素子200のアンテナ206,209,212,215をアンテナ280に代え、アンテナ207,210,213,216をそれぞれアンテナ281〜284に代え、アンテナ217をアンテナ285〜288に代えたものであり、その他は、検出素子200と同じである。
【0190】
アンテナ280〜288の各々は、0.2mmφ〜1mmφの直径を有する銅線からなる。そして、アンテナ280は、支持部材203とキャップ204とによって挟持され、振動子205,208,211,214の下側に配置されるとともに、一方端側が検出素子200Aの外部に配置されている。すなわち、アンテナ280は、複数の振動子205,208,211,214に対して共用のアンテナである。
【0191】
アンテナ281〜284は、支持部材203とキャップ204とによって挟持され、一方端側がそれぞれ振動子205,208,211,214の下側に配置されるとともに、他方端側が検出素子200Aの外部に配置されている。
【0192】
アンテナ285〜288は、キャップ201と支持部材202とによって挟持され、一方端側がそれぞれ振動子205,208,211,214の上側に配置されるとともに、他方端側が接地電位に接続されている。
【0193】
アンテナ280は、アンテナ280とアンテナ285〜288との間の距離Lに反比例する振動電場E(=Vin/L)を振動子205,208,211,214に印加するためのアンテナであり、アンテナ281〜284は、それぞれ、振動子205,208,211,214の振動部材52,52A,52Bが振動したときの振動信号からなる受信信号R205,R208,R211,R214を受信するためのアンテナである。
【0194】
このように、検出素子200Aにおいては、振動電場Eを印加するためのアンテナ280が振動子205,208,211,214に対して共用され、受信信号R205,R208,R211,R214を受信するためのアンテナ281〜284および接地電位に接続されたアンテナ285〜288が振動子205,208,211,214に対して個別に設けられる。そして、アンテナ280およびアンテナ281〜284は、振動子205,208,211,214に対してアンテナ285〜288の反対側に配置される。
【0195】
入力電圧Vinがアンテナ280に印加されると、振動電場Eが振動子205,208,211,214に印加され、振動子205,208,211,214の振動部材52,52A,52Bが共振し、振動部材52,52A,52Bの表面に電位分布が発生する。そして、アンテナ281〜284は、それぞれ、アンテナ285〜288と協働して振動部材52,52A,52Bから受信信号R205,R208,R211,R214を受信する。
【0196】
したがって、検出素子200Aを用いて、タンパク質、におい、およびガスを検出できる。
【0197】
なお、検出素子200Aにおいては、アンテナ281〜284を振動電場Eをそれぞれ振動子205,208,211,214に印加するためのアンテナとして用い、アンテナ280をそれぞれ受信信号R205,R208,R211,R214を受信するためのアンテナとして用いてもよい。
【0198】
また、検出素子200Aにおいては、アンテナ280〜284を振動子205,208,211,214の上側に配置し、アンテナ285〜288を振動子205,208,211,214の下側に配置してもよい。
【0199】
図18は、実施の形態2によるさらに他の検出素子の斜視図である。また、図19は、図18に示す線XIX−XIXにおける検出素子の断面図である。
【0200】
実施の形態2による検出素子は、図18および図19に示す検出素子200Bであってもよい。図18および図19を参照して、検出素子200Bは、図10に示す振動子205,208,211,214をそれぞれ振動子291〜294に代えたものであり、その他は、検出素子200と同じである。
【0201】
振動子291〜294の各々は、たとえば、3mm角の水晶からなり、その一部が支持部材202,203間に挿入される。そして、振動子291〜294は、横方向に配置される。
【0202】
振動子291〜294は、相互に異なる厚みを有する。より具体的には、振動子292は、振動子291よりも厚い厚みを有し、振動子293は、振動子292よりも厚い厚みを有し、振動子294は、振動子293よりも厚い厚みを有する(図19参照)。そして、振動子291〜294の各々は、振動子5(図3参照)、振動子5A(図7参照)および振動子5B(図8参照)のいずれかと同じ形状からなる。この場合、振動子291〜294の振動部材52,52A,52Bは、相互に異なる厚みを有する。
【0203】
検出素子200Bにおいては、アンテナ206,207は、振動子291に対応して配置され、アンテナ209,210は、振動子292に対応して配置され、アンテナ212,213は、振動子293に対応して配置され、アンテナ215,216は、振動子294に対応して配置される。
【0204】
振動子に吸着した検出対象物の単位面積当たりの質量(面密度)をρとし、振動子の質量密度をρとし、振動子内を伝搬する超音波(振動電場によって振動子で発生する振動信号)の速度をvとし、振動子の厚みをdとすると、共振周波数の変化量Δfは、次式によって表される。
【0205】
Δf=−(ρv)/(2d・ρ)・・・(2)
このように、共振周波数の変化量Δfは、振動子の厚みdの自乗に反比例する。
【0206】
したがって、厚みが相互に異なる振動子291〜294を備えた検出素子200Bにおいては、検出対象物が振動子291〜294に付着することによる振動子291〜294の共振周波数の変化量Δfは、式(2)より相互に異なるので、検出回路220Aは、検出対象物が振動子291〜294に付着したことを独立に検知できる。
【0207】
なお、検出素子200Bにおいては、アンテナ206,209,212,215を図17に示すアンテナ280に代え、アンテナ207,210,213,216を図17に示すアンテナ281〜284にそれぞれ代え、アンテナ217を図17に示すアンテナ285〜288に代えてもよい。
【0208】
図20は、実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。なお、図20の(a)は、振動子310の斜視図であり、図20の(b)は、図20の(a)に示す線XXB−XXBにおける振動子310の断面図であり、図20の(c)は、図20の(a)に示す線XXC−XXCにおける振動子310の断面図である。
【0209】
実施の形態2においては、図18に示す検出素子200Bは、振動子291〜294に代えて、図20に示す振動子310を備えていてもよい。
【0210】
図20を参照して、振動子310は、たとえば、平板形状の水晶からなり、非振動部材311と、振動部材312,314,316,318と、連結部材313,315,317,319とを含む。そして、振動子310は、振動子230と同じサイズを有する。
【0211】
非振動部材311は、上述した非振動部材51Aと同じ厚みを有し、振動部材312,314,316,318の周囲に設けられる。そして、非振動部材311は、方向DR1における振動子310の一方端側に幅広部3111を有する(図20の(a),(c)参照)。幅広部3111は、上述した幅広部2311と同じサイズを有する。
【0212】
振動部材312,314,316,318の各々は、方向DR1,DR2において、上述した振動部材232,234,236,238と同じサイズを有し、非振動部材311の厚みよりも薄い厚みを有する。また、振動部材312,314,316,318は、方向DR2において、振動部材232,234,236,238と同じ間隔で配置される。そして、振動部材312,314,316,318は、相互に異なる厚みd1〜d4を有する。より具体的には、振動部材312は、厚みd1を有し、振動部材314は、厚みd2(>d1)を有し、振動部材316は、厚みd3(>d2)を有し、振動部材318は、厚みd4(>d3)を有する。
【0213】
また、振動部材312,314,316,318の底面は、非振動部材311の底面および連結部材313,315,317,319の底面に一致している(図20の(b),(c)参照)。
【0214】
連結部材313,315,317,319は、それぞれ、振動部材312,314,316,318の厚みよりも薄い厚みを有する。そして、連結部材313,315,317,319は、相互に異なる厚みを有する。
【0215】
連結部材313は、非振動部材311と振動部材312との境界に設けられ、非振動部材311と振動部材312とを連結する。連結部材315は、非振動部材311と振動部材314との境界に設けられ、非振動部材311と振動部材314とを連結する。連結部材317は、非振動部材311と振動部材316との境界に設けられ、非振動部材311と振動部材316とを連結する。連結部材319は、非振動部材311と振動部材318との境界に設けられ、非振動部材311と振動部材318とを連結する。
【0216】
なお、方向DR1において、振動部材312,316,318を通過する線分における振動子310の断面図は、図20の(c)に示す断面図と同じである。
【0217】
振動子310は、上述した振動子230と同じ方法によって作製される。また、振動子310は、非振動部材311の幅広部3111を支持部材202,203間に挿入することによって支持部材202,203により支持される。
【0218】
振動子310を備えた検出素子200Bにおいては、アンテナ206,207は、振動部材312の下側に配置され、アンテナ209,210は、振動部材314の下側に配置され、アンテナ212,213は、振動部材316の下側に配置され、アンテナ215,216は、振動部材318の下側に配置される。
【0219】
そして、入力電圧Vinがアンテナ206,217を介して印加されると、振動部材312が共振し、入力電圧Vinがアンテナ209,217を介して印加されると、振動部材314が共振し、入力電圧Vinがアンテナ212,217を介して印加されると、振動部材316が共振し、入力電圧Vinがアンテナ215,217を介して印加されると、振動部材318が共振する。
【0220】
振動部材312中で発生した振動は、振動部材312の厚みよりも薄い連結部材313が非振動部材311と振動部材312との間に配置されているため、非振動部材311中へ伝搬し難く、振動部材312中に閉じ込められる。その結果、振動部材312は、安定して振動する。振動部材314,316,318中で発生した振動についても同様であり、振動部材314,316,318は、安定して振動する。
【0221】
したがって、振動子310を備えた検出装置300においても、振動部材312,314,316,318の安定した振動を確保しながら振動子310を支持できる。そして、振動子310を備えた検出装置300は、上述した方法によって、検出対象物が振動部材312,314,316,318に付着したことを検知できる。
【0222】
図21は、実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。なお、図21の(a)は、振動子320の斜視図であり、図21の(b)は、図21の(a)に示す線XXIB−XXIB間における振動子320の断面図であり、図21の(c)は、図21の(a)に示す線XXIC−XXIC間における振動子320の断面図である。
【0223】
実施の形態2においては、図18に示す検出素子200Bは、振動子291〜294に代えて、図21に示す振動子320を備えていてもよい。
【0224】
図21を参照して、振動子320は、たとえば、平板形状の水晶からなり、非振動部材321と、振動部材322,324,326,328と、連結部材323,325,327,329とを含む。そして、振動子320は、振動子230と同じサイズを有する。
【0225】
非振動部材321は、上述した非振動部材51Bと同じ厚みを有し、振動部材322,324,326,328の周囲に設けられる。そして、非振動部材321は、方向DR1における振動子320の一方端側に幅広部3211を有する(図21の(a),(c)参照)。幅広部3211は、上述した幅広部2311と同じサイズを有する。
【0226】
振動部材322,324,326,328の各々は、方向DR1,DR2において、上述した振動部材232,234,236,238と同じサイズを有する。また、振動部材322,324,326,328は、方向DR2において、振動部材232,234,236,238と同じ間隔で配置される。さらに、振動部材322,324,326,328は、非振動部材321の厚みよりも薄い厚みを有し、それぞれ、振動部材312,314,316,318と同じ厚みを有する。
【0227】
そして、振動部材322,324,326,328の表面と、非振動部材321および連結部材323,325,327,329の表面との関係は、図14に示す振動部材242,244,246,248の表面242A,244A,246A,248Aと非振動部材241および連結部材243,245,247,249の表面241A,243A,245A,247A,249Aとの関係と同じである。
【0228】
また、振動部材322,324,326,328の底面と、非振動部材321および連結部材323,325,327,329の底面との関係は、図14に示す振動部材242,244,246,248の底面242B,244B,246B,248Bと非振動部材241および連結部材243,245,247,249の底面241B,243B,245B,247B,249Bとの関係と同じである。
【0229】
連結部材323,325,327,329は、それぞれ、振動部材322,324,326,328の厚みよりも薄い厚みを有する。そして、連結部材323,325,327,329は、相互に異なる厚みを有する。
【0230】
連結部材323は、非振動部材321と振動部材322との境界に設けられ、非振動部材321と振動部材322とを連結する。連結部材325は、非振動部材321と振動部材324との境界に設けられ、非振動部材321と振動部材324とを連結する。連結部材327は、非振動部材321と振動部材326との境界に設けられ、非振動部材321と振動部材326とを連結する。連結部材329は、非振動部材321と振動部材328との境界に設けられ、非振動部材321と振動部材328とを連結する。
【0231】
振動子320は、上述した振動子240と同じ方法によって作製される。また、振動子320は、非振動部材321の幅広部3211を支持部材202,203間に挿入することによって支持部材202,203により支持される。
【0232】
その他の説明については、図14における説明と同じである。
【0233】
振動子320を備えた検出素子200Bにおいては、アンテナ206,207は、振動部材322の下側に配置され、アンテナ209,210は、振動部材324の下側に配置され、アンテナ212,213は、振動部材326の下側に配置され、アンテナ215,216は、振動部材328の下側に配置される。
【0234】
そして、入力電圧Vinがアンテナ206,217を介して印加されると、振動部材322が共振し、入力電圧Vinがアンテナ209,217を介して印加されると、振動部材324が共振し、入力電圧Vinがアンテナ212,217を介して印加されると、振動部材326が共振し、入力電圧Vinがアンテナ215,217を介して印加されると、振動部材328が共振する。
【0235】
振動部材322中で発生した振動は、振動部材322の厚みよりも薄い連結部材323が非振動部材321と振動部材322との間に配置されているため、非振動部材321中へ伝搬し難く、振動部材322中に閉じ込められる。その結果、振動部材322は、安定して振動する。振動部材324,326,328中で発生した振動についても同様であり、振動部材324,326,328は、安定して振動する。
【0236】
したがって、振動子320を備えた検出装置300においても、振動部材322,324,326,328の安定した振動を確保しながら振動子320を支持できる。そして、振動子320を備えた検出装置300は、上述した方法によって、検出対象物が振動部材322,324,326,328に付着したことを検知できる。
【0237】
図22は、実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。
【0238】
実施の形態2においては、図18に示す検出素子200Bは、振動子291〜294に代えて、図22に示す振動子340を備えていてもよい。
【0239】
図22を参照して、振動子340は、たとえば、平板形状の水晶からなり、非振動部材341と、振動部材342〜345と、連結部材346〜349とを含む。
【0240】
非振動部材341および連結部材346〜349は、振動部材342〜345の厚みよりも薄い厚みを有する。そして、振動部材342〜345は、相互に異なる厚みd1〜d4を有する。より具体的には、振動部材342は、厚みd1を有し、振動部材343は、厚みd2(>d1)を有し、振動部材344は、厚みd3(>d2)を有し、振動部材345は、厚みd4(>d3)を有する。連結部材346〜349は、それぞれ振動部材342〜345を非振動部材341に連結する。
【0241】
振動子340は、方向DR1において、約8mmの長さを有し、方向DR2において、約25mmの長さを有する。また、振動部材342〜345の各々は、方向DR1において、約3mmの長さを有し、方向DR2において、約5mmの長さを有する。そして、隣接する2つの振動部材342,343;343,344;344,345間の距離は、約1.7mmに設定される。
【0242】
なお、振動子340の平面図は、図16の(b)に示す振動子330の平面図と同じである。
【0243】
平板形状の水晶の一部をエッチングすることによって非振動部材341、振動部材342〜345、および連結部材346〜349を形成し、図22に示す平面形状からなる振動子340を作製する。
【0244】
非振動部材341は、支持部材202,203間に挿入され、振動部材342〜345および連結部材346〜349は、中空部分EMP2に配置される。これによって、支持部材202,203は、振動子340を支持する。
【0245】
振動子340を備えた検出素子200Bにおいては、アンテナ206,207は、振動部材342の下側に配置され、アンテナ209,210は、振動部材343の下側に配置され、アンテナ212,213は、振動部材344の下側に配置され、アンテナ215,216は、振動部材345の下側に配置される。
【0246】
そして、入力電圧Vinがアンテナ206,217を介して印加されると、振動部材342が共振し、入力電圧Vinがアンテナ209,217を介して印加されると、振動部材343が共振し、入力電圧Vinがアンテナ212,217を介して印加されると、振動部材344が共振し、入力電圧Vinがアンテナ215,217を介して印加されると、振動部材345が共振する。
【0247】
振動部材342〜345中で発生した振動は、連結部材346〜349の厚みが振動部材342〜345の厚みよりも薄いため、非振動部材341中へ伝搬し難く、振動部材342〜345中に閉じ込められる。その結果、振動部材342〜345は、安定して振動する。
【0248】
したがって、振動子340を備えた検出装置300においても、振動部材342〜345の安定した振動を確保しながら振動子340を支持できる。そして、振動子340を備えた検出装置300は、上述した方法によって、検出対象物が振動部材342〜345に付着したことを検知できる。
【0249】
図23は、実施の形態2によるさらに他の検出素子の概略図である。実施の形態2による検出素子は、図23の(a)に示す検出素子200Cであってもよい。図23の(a)を参照して、検出素子200Cは、図18に示す検出素子200Bのアンテナ206,209,212,215をアンテナ280に代え、アンテナ207,210,213,216をアンテナ290に代え、アンテナ217をアンテナ285〜288に代えたものであり、その他は、検出素子200Bと同じである。
【0250】
アンテナ280,285〜288については、図17において説明したとおりである。なお、検出素子200Cにおいては、アンテナ285〜288は、それぞれ、振動子291〜294に対応して、振動子291〜294の上側に配置される。
【0251】
アンテナ290は、0.2mmφ〜1.0mmφの直径を有する銅線からなる。そして、アンテナ290は、支持部材203とキャップ204とによって挟持され、振動子291〜294の下側に配置されるとともに、一方端側が検出素子200Cの外部に配置されている。すなわち、アンテナ290は、複数の振動子291〜294に対して共用のアンテナである。
【0252】
アンテナ290は、振動子291〜294の振動部材52,52A,52Bが振動したときの振動信号からなる受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナである。
【0253】
このように、検出素子200Cにおいては、振動電場Eを印加するためのアンテナ280および受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナ290が振動子291〜294に対して共用され、接地電位に接続されたアンテナ285〜288が振動子291〜294に対して個別に設けられる。そして、アンテナ280およびアンテナ290は、振動子291〜294に対してアンテナ285〜288の反対側に配置される。
【0254】
振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナ280および受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナ290が振動子291〜294に対して共用されていても、振動子291〜294は、相互に異なる厚みd1〜d4を有するため、振動子291〜294の共振周波数の変化量は相互に異なる。
【0255】
したがって、検出素子200Cを用いて、タンパク質、におい、およびガスを検出できる。
【0256】
なお、検出素子200Cにおいては、アンテナ290を振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナとして用い、アンテナ290を受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナとして用いてもよい。
【0257】
また、検出素子200Cにおいては、アンテナ280,290を振動子291〜294の上側に配置し、アンテナ285〜288を振動子291〜294の下側に配置してもよい。
【0258】
実施の形態2による検出素子は、図23の(b)に示す検出素子200Dであってもよい。図23の(b)を参照して、検出素子200Dは、図18に示す検出素子200Bのアンテナ206,209,212,215をアンテナ280に代え、アンテナ207,210,213,216をアンテナ281〜284に代えたものであり、その他は、検出素子200Bと同じである。
【0259】
アンテナ217については、図10において説明したとおりであり、アンテナ280〜284については、図17において説明したとおりである。
【0260】
このように、検出素子200Dにおいては、接地電位に接続されたアンテナ217および振動電場Eを印加するためのアンテナ280が振動子291〜294に対して共用され、受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナ281〜284が振動子291〜294に対して個別に設けられる。そして、アンテナ280およびアンテナ281〜284は、振動子291〜294に対してアンテナ217の反対側に配置される。
【0261】
振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナ280が振動子291〜294に対して共用されても、振動子291〜294は、相互に異なる厚みd1〜d4を有するため、アンテナ281〜284が受信した受信信号R291,R292,R293,R294から検出された振動子291〜294の共振周波数の変化量は相互に異なる。
【0262】
したがって、検出素子200Dを用いて、タンパク質、におい、およびガスを検出できる。
【0263】
なお、検出素子200Dにおいては、アンテナ217を振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナとして用い、アンテナ280を受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナとして用いてもよい。
【0264】
また、検出素子200Dにおいては、アンテナ280〜284を振動子291〜294の上側に配置し、アンテナ217を振動子291〜294の下側に配置してもよい。
【0265】
図24は、実施の形態2によるさらに他の検出素子の概略図である。実施の形態2による検出素子は、図24の(a)に示す検出素子200Eであってもよい。図24の(a)を参照して、検出素子200Eは、図23の(a)に示す検出素子200Cのアンテナ285〜288をアンテナ217に代えたものであり、その他は、検出素子200Cと同じである。
【0266】
アンテナ217については、図10において説明したとおりである。このように、検出素子200Eにおいては、接地電位に接続されたアンテナ217、振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナ280、および受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナ290が振動子291〜294に対して共用される。
【0267】
そして、振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナ280、および受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナ290は、振動子291〜294に対してアンテナ217の反対側に配置される。
【0268】
接地電位に接続されたアンテナ217、振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナ280、および受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナ290が振動子291〜294に対して共用されても、振動子291〜294は、相互に異なる厚みd1〜d4を有するため、振動子291〜294の共振周波数の変化量は相互に異なる。
【0269】
したがって、検出素子200Eを用いて、タンパク質、におい、およびガスを検出できる。
【0270】
なお、検出素子200Eにおいては、アンテナ290を振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナとして用い、アンテナ280を受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナとして用いてもよい。
【0271】
また、検出素子200Eにおいては、アンテナ280,290を振動子291〜294の上側に配置し、アンテナ217を振動子291〜294の下側に配置してもよい。
【0272】
実施の形態2による検出素子は、図24の(b)に示す検出素子200Fであってもよい。図24の(b)を参照して、検出素子200Fは、図18に示す検出素子200Bのアンテナ206,209,212,215をアンテナ295に代え、アンテナ207,210,213,216をアンテナ296に代えたものであり、その他は、検出素子200Bと同じである。
【0273】
アンテナ295,296の各々は、0.2mmφ〜1.0mmφの直径を有する銅線からなる。アンテナ295は、アンテナ217と同じように、キャップ201と支持部材202とによって挟持され、振動子291〜294の上側に配置されるとともに、一方端側が検出素子200Fの外部に配置されている。すなわち、アンテナ295は、複数の振動子291〜294に対して共用のアンテナである。
【0274】
アンテナ296は、アンテナ217,295と同じように、キャップ201と支持部材202とによって挟持され、振動子291〜294の上側に配置されるとともに、一方端側が検出素子200Fの外部に配置されている。すなわち、アンテナ296は、複数の振動子291〜294に対して共用のアンテナである。
【0275】
なお、検出素子200Fにおいては、アンテナ217は、アンテナ295,296間に配置される。
【0276】
アンテナ295は、アンテナ217とアンテナ295との間の距離Lに反比例する振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナである。
【0277】
また、アンテナ296は、振動子291〜294の振動部材52,52A,52Bが振動したときの振動信号からなる受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナである。
【0278】
このように、検出素子200Fにおいては、接地電位に接続されたアンテナ217、振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナ295、および受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナ296が振動子291〜294に対して共用される。
【0279】
そして、接地電位に接続されたアンテナ217、振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナ295、および受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナ296は、振動子291〜294の一方側に配置される。
【0280】
接地電位に接続されたアンテナ217、振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナ295、および受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナ296が振動子291〜294に対して共用されていても、振動子291〜294は、相互に異なる厚みd1〜d4を有するため、振動子291〜294の共振周波数の変化量は相互に異なる。
【0281】
したがって、検出素子200Eを用いて、タンパク質、におい、およびガスを検出できる。
【0282】
なお、検出素子200Fにおいては、アンテナ296を振動電場Eを振動子291〜294に印加するためのアンテナとして用い、アンテナ295を受信信号R291,R292,R293,R294を受信するためのアンテナとして用いてもよい。
【0283】
また、検出素子200Fにおいては、アンテナ217,295,296を振動子291〜294の下側に配置してもよい。
【0284】
上述した検出素子200B,200C,200D,200E,200Fの各々は、振動子291〜294に代えて、振動子310(図20参照)、振動子320(図21参照)および振動子340(図22参照)のいずれかを備えていてもよい。
【0285】
また、検出素子200,200Bにおいては、アンテナ206,207を1つのアンテナで構成し、アンテナ209,210を1つのアンテナで構成し、アンテナ212,213を1つのアンテナで構成し、アンテナ215,216を1つのアンテナで構成してもよい。
【0286】
さらに、検出素子200A,200Dにおいては、アンテナ280およびアンテナ281〜284を1つのアンテナで構成してもよい。
【0287】
さらに、検出素子200C,200Eにおいては、アンテナ280およびアンテナ290を1つのアンテナで構成してもよい。
【0288】
さらに、検出素子200Fにおいては、アンテナ295およびアンテナ296を1つのアンテナで構成してもよい。
【0289】
実施の形態2による検出装置300は、検出素子200に代えて、検出素子200A,200B,200C,200D,200E,200Fのいずれかを備えていてもよい。
【0290】
検出装置300が検出素子200Aを備える場合、印加回路210Aは、アンテナ280に接続され、アンテナ280に入力電圧Vinを印加する。また、検出回路220Aは、アンテナ281〜284に接続され、アンテナ281〜284を介してそれぞれ受信信号R205,R208,R211,R214を受信する。この場合、検出回路220Aは、振動子205,208,211,214のいずれの振動子の共振周波数が変化したかを識別できないが、振動子205,208,211,214のいずれかにおける共振周波数が変化したことを検知できるので、検出対象物が振動子205,208,211,214の少なくとも1つに付着したことを検知できる。
【0291】
また、検出装置300が検出素子200Bを備える場合、印加回路210Aは、アンテナ206,209,212,215に接続され、アンテナ206,209,212,215に入力電圧Vinを印加する。また、検出回路220Aは、アンテナ207,210,213,216に接続され、アンテナ207,210,213,216を介してそれぞれ受信信号R291,R292,R293,R294を受信する。
【0292】
さらに、検出装置300が検出素子200Cを備える場合、印加回路210Aは、アンテナ280に接続され、アンテナ280に入力電圧Vinを印加する。また、検出回路220Aは、アンテナ290に接続され、アンテナ290を介してそれぞれ受信信号R291,R292,R293,R294を受信する。
【0293】
さらに、検出装置300が検出素子200Dを備える場合、印加回路210Aは、アンテナ280に接続され、アンテナ280に入力電圧Vinを印加する。また、検出回路220Aは、アンテナ281〜284に接続され、アンテナ281〜284を介してそれぞれ受信信号R291,R292,R293,R294を受信する。
【0294】
さらに、検出装置300が検出素子200Eを備える場合、印加回路210Aは、アンテナ280に接続され、アンテナ280に入力電圧Vinを印加する。また、検出回路220Aは、アンテナ290に接続され、アンテナ290を介して受信信号R291,R292,R293,R294を受信する。
【0295】
さらに、検出装置300が検出素子200Fを備える場合、印加回路210Aは、アンテナ295に接続され、アンテナ295に入力電圧Vinを印加する。また、検出回路220Aは、アンテナ296に接続され、アンテナ296を介して受信信号R291,R292,R293,R294を受信する。
【0296】
図25は、共振周波数の測定結果を示す図である。図25において、縦軸は、共振周波数の変化率を表し、横軸は、時間を表す。また、曲線k1は、2つの振動子A,Bのうちの一方の振動子Aの共振周波数の変化率を示し、曲線k2は、2つの振動子A,Bのうちの他方の振動子Bの共振周波数の変化率を示し、曲線k3は、振動子Aの共振周波数の変化率と、振動子Bの共振周波数の変化率との差を示す。
【0297】
なお、図25に示す実験結果は、リン酸緩衝液を振動子が設置された検出素子内に注入したときの2つの振動子の共振周波数の変化率の実験結果である。
【0298】
図25を参照して、振動子Aの共振周波数は、54MHzであり、振動子Bの共振周波数は、55.5MHzである。
【0299】
そして、時刻0において、共振周波数の測定を開始した。測定システムが十分に安定していないため、振動子Aと振動子Bとの応答は、時間とともに変化しているが(曲線k1,k2参照)、両者の差の応答は、非常に安定している(曲線k3参照)。
【0300】
したがって、この実施の形態2においては、検出回路220Aは、好ましくは、複数の振動子のうちの1つの振動子の共振周波数を参照信号とし、他の振動子の共振周波数と参照信号との差を他の振動子の共振周波数のベースラインとして検出する。そして、検出回路220Aは、その検出したベースラインからの変化を検出することにより検出対象物の振動子205,208,211,214(または振動子291〜294)への付着を検知する。
【0301】
これにより、検出装置が十分に安定していない状態においても、安定したベースラインを作成でき、検出対象物を高感度で検知できる。
【0302】
上記においては、複数の振動子を一列に配列した場合を示したが、実施の形態2においては、これに限らず、複数の振動子を複数列に配列し、入力電圧Vinを印加するためのアンテナと、受信信号を受信するためのアンテナと、接地電位に接続されたアンテナとを蛇行させて複数の振動子の近傍に配置するようにしてもよい。
【0303】
また、振動子の個数は、4個に限らず、2個以上であればよい。また、振動子230,240,250,310,320,330,340は、2個以上の振動部材を備えていればよい。
【0304】
上述したように、実施の形態2においては、複数の振動子または複数の振動部材を用いて検出対象物を検知するので、複数の検出対象物の検知を同時に行なうことができる。
【0305】
また、複数の振動子または複数の振動部材の厚みを相互に変えることにより、複数の振動子または複数の振動部材の共振周波数の変化量が相互に異なるので、受信信号を受信するためのアンテナを複数の振動子または複数の振動部材に対して共用できる。その結果、複数の振動子または複数の振動部材を備えた検出素子を容易に作製できる。
【0306】
[実施の形態3]
図26は、実施の形態3による検出素子の概略図である。図26を参照して、実施の形態3による検出素子400は、基体401,402,403と、ローラー404,405と、金属箔406と、コイル407と、磁石408とを備える。
【0307】
基体402は、中空部分EMP3が形成されるように基体401と基体403とを連結する。ローラー404,405は、それぞれ、基体401,403中に配置される。金属箔406は、アルミニウム箔、チタン箔、マグネシウム箔およびニッケル箔のいずれかからなる。そして、金属箔406は、ローラー404,405に巻き付けられており、一部がローラー404,405間において基体402に略平行に配置されている。
【0308】
コイル407は、金属箔406の近傍に配置されている。磁石408は、コイル407の直上に配置されている。
【0309】
ローラー405は、操作者の操作またはステッピングモーターによって時計回りに一定の角度だけ回転する。これによって、金属箔406は、ローラー404からローラー405の方向へ一定の距離ずつ進行し、ローラー405によって巻き取られる。
【0310】
コイル407は、電流源(図示せず)によって電流が流され、金属箔406にうず電流を発生させる。また、コイル407は、うず電流と磁石408からの磁界との相互作用による電磁気力によって金属箔406が振動すると、その振動を検知する。磁石408は、金属箔406に磁界を印加する。
【0311】
図27は、図26に示す金属箔406の平面図である。金属箔406は、非振動部材4060と、振動部材4061,4062,4063,・・・と、輪4071,4072,4073,・・・とを含む。振動部材4061,4062,4063,・・・は、金属箔406に円形の輪4071,4072,4073,・・・を形成することによって作成される。この輪4071,4072,4073,・・・の部分の厚みは、非振動部材4060、および振動部材4061,4062,4063,・・・の厚みよりも薄い。そして、振動部材4061,4062,4063,・・・の各々は、たとえば、3mmの直径を有する。
【0312】
金属箔406には、振動部材4061,4062,4063,・・・が予め作製されており、振動部材4061,4062,4063,・・・を含む金属箔406がローラー404,405に巻き付けられている。
【0313】
検出対象物の検知が開始されると、コイル407に電流が流され、金属箔406にうず電流が発生する。そして、その発生したうず電流と磁石408からの磁界との相互作用によって、ローレンツ力が金属箔406の振動部材4061,4062,4063,・・・に印加され、振動部材4061,4062,4063,・・・が共振する。
【0314】
そうすると、コイル407は、振動部材4061,4062,4063,・・・が共振したときの振動信号からなる受信信号を受信する。
【0315】
したがって、検出素子400を用いて、タンパク質、におい、およびガスを検知できる。
【0316】
図28は、実施の形態3による検出装置の概略図である。図28を参照して、実施の形態3による検出装置500は、検出素子400と、検出回路510とを備える。検出回路510は、コイル407に接続されており、コイル407から受信信号を受ける。そして、検出回路510は、その受けた受信信号に基づいて、金属箔406の振動部材4061,4062,4063,・・・の共振周波数の変化量Δfを検出して検出対象物が振動部材4061,4062,4063,・・・に付着したことを検知する。
【0317】
検出装置500を用いてタンパク質を検知する場合、タンパク質を含む溶液を検出素子400の中空部分EMP3に注入する。また、検出装置500を用いて、におい、またはガスを検知する場合、中空部分EMP3には、何も注入されない。
【0318】
図29は、実施の形態3による他の検出素子の概念図である。実施の形態3による検出素子は、図29に示す検出素子400Aであってもよい。
【0319】
図29を参照して、検出素子400Aは、図26に示す検出素子400の金属箔406を金属箔411に代え、押印器412を追加したものであり、その他は、検出素子400と同じである。
【0320】
金属箔411は、アルミニウム箔、チタン箔およびマグネシウム箔のいずれかからなる。そして、金属箔411は、振動部材が形成されておらず、金属箔406と同様にしてローラー404,405に巻き付けられている。したがって、金属箔411は、ローラー405が一定の角度だけ時計回りに回転するごとに、ローラー404からローラー405の方向へ一定の距離だけ進行する。
【0321】
押印器412は、金属箔411がローラー404からローラー405の方向へ一定の距離だけ進行するごとに、金属箔411を押付け、金属箔411に輪4071,4072,4073,・・・を形成する。これによって、振動部材4061,4062,4063,・・・が金属箔411に形成される。そして、振動部材4061,4062,4063,・・・がコイル407の位置まで進行すると、上述した機構によって検出対象物を検出できる。
【0322】
なお、実施の形態3による検出装置500は、検出素子400に代えて検出素子400Aを備えていてもよい。
【0323】
上述したように、実施の形態3においては、コイル407に流れる電流によって金属箔406,411に発生するうず電流と、磁石408からの磁界との相互作用によるローレンツ力によって、金属箔406,411の振動部材4061,4062,4063,・・・を振動させるので、このローレンツ力は、「振動電場」を構成し、コイル407および磁石408は、振動電場を印加する「印加回路」を構成する。また、ローラー404,405は、金属箔406,411を支持するので、「支持部材」を構成する。
【0324】
実施の形態3によれば、振動部材4061,4062,4063,・・・が形成された金属箔406,411を2つのローラー404,405によって支持し、振動部材4061,4062,4063,・・・と非振動部材4060との間に厚みの薄い輪4071,4072,4073,・・・が存在するので、振動部材4061,4062,4063,・・・の安定した振動を確保しながら振動部材4061,4062,4063,・・・を支持できる。
【0325】
また、実施の形態3によれば、金属箔を用いてタンパク質、においおよびガスを検知できるので、検出素子および検出装置を安価に作製できる。
【0326】
図30は、振動子からの受信信号を示す図である。図30において、縦軸は、振幅を表し、横軸は、周波数を表す。また、曲線k4は、振動子の周囲が大気である場合の受信信号を示し、曲線k5は、振動子の周囲が生理食塩水(リン酸緩衝液)である場合の受信信号を示し、曲線k6は、振動子の周囲が蒸留水である場合の受信信号を示す。
【0327】
図30を参照して、受信信号の振幅は、振動子の周囲が蒸留水である場合、最も大きい(曲線k4〜k6参照)。したがって、この発明の実施の形態においては、好ましくは、タンパク質を検知する場合、タンパク質を含む蒸留水を中空部分EMP1〜EMP3に注入してタンパク質を検知する。これによって、タンパク質を高感度で検知できる。
【0328】
上記においては、振動子5,5A,5B,205,208,211,214,230,240,250,291〜294,310,320,330,340は、水晶からなると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、振動子5,5A,5B,205,208,211,214,230,240,250,291〜294,310,320,330,340は、ランガサイト(LaGaSiO14)、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム-ナトリウム)(KNaC)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti))、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、リチウムテトラボレート(Li)、窒化アルミニウム、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、GaNおよびAlNのいずれかからなっていてもよく、一般的には、圧電材料からなっていればよい。
【0329】
図31は、この発明の実施の形態によるさらに他の検出素子の断面図である。図31を参照して、検出素子10Eは、図1および図2に示す検出素子10のキャップ1をキャップ1Aに代えたものであり、その他は、検出素子10と同じである。
【0330】
キャップ1Aは、キャップ4と同じように略円盤形状からなる。そして、キャップ1Aは、たとえば、テフロン(登録商標)からなる。また、キャップ1Aは、流入路RINと、流出路ROUTとを含む。
【0331】
キャップ1Aは、支持部材2に接して支持部材2上に配置される。その結果、キャップ1Aは、支持部材2とともにアンテナ8を挟持する。
【0332】
積層されたキャップ1A,4および支持部材2,3は、積層された支持部材2,3の厚みに相当する高さを有する中空部分EMP4を形成する。この中空部分EMP4の直径は、中空部分EMP1と同じように、30mmφである。
【0333】
流入路RINは、一方端が中空部分EMP4に繋がっており、他方端が検出素子10Eの外部に繋がっている。流出路ROUTも、一方端が中空部分EMP4に繋がっており、他方端が検出素子10Eの外部に繋がっている。
【0334】
検出素子10Eを用いて検出対象物を検知する場合、タンパク質を含む溶液が流入路RINを介して外部から中空部分EMP4へ注入され、流出路ROUTを介して中空部分EMP4から外部へ流出される。
【0335】
そして、振動電場がアンテナ6,8を介して振動子5に印加され、アンテナ7,8は、振動子5の振動信号からなる受信信号を受信する。
【0336】
また、気体は、流入路RINを介して中空部分EMP4に流入し、流出路ROUTを介して中空部分EMP4から外部へ流出するので、検出素子10Eは、におい、またはガスを検知するセンサーとしても使用できる。
【0337】
なお、検出素子10Eは、振動子5に代えて振動子5A,5Bのいずれかを備えていてもよい。また、検出素子10Eにおいては、検出素子10から検出素子10A,10B,10C,10Dのいずれかへの変更と同じ変更がなされてもよい。
【0338】
さらに、検出素子200,200A,200B,200C,200D,200E,200Fの各々においても、検出素子10から検出素子10Eへの変更と同じ変更がなされていてもよい。
【0339】
さらに、検出装置100は、検出素子10に代えて検出素子10Eを備えていてもよい。
【0340】
さらに、検出装置300は、検出素子200に代えて、検出素子200,200A,200B,200C,200D,200E,200Fの各々において検出素子10から検出素子10Eへの変更と同じ変更がなされた検出素子を備えていてもよい。
【0341】
さらに、上記においては、振動子5,5A,5B,205,208,211,214,230,240,250,291〜294,260,310,320は、非振動部材51,51A,51B,231,241,251,261,271,311,321,4060と、振動部材52,52A,52B,232,234,236,238,242,244,246,248,252,257,262,267,272,274,276,278,312,314,316,318,322,324,326,328,4061〜4063とからなると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、振動子5,5A,5B,205,208,211,214,230,240,250,291〜294,260,310,320は、厚みが略一定の板形状の水晶振動子等からなっていてもよい。
【0342】
この場合、支持部材2,3;203,204は、振動子5,5A,5B,205,208,211,214,230,240,250,291〜294,260,310,320の一部を挟むことにより振動子5,5A,5B,205,208,211,214,230,240,250,291〜294,260,310,320を支持する。
【0343】
そして、振動子5,5A,5B,205,208,211,214,230,240,250,291〜294,260,310,320の一部を挟むことによって、振動子5,5A,5B,205,208,211,214,230,240,250,291〜294,260,310,320における振動の振幅は、最大で約1%減衰するだけであり、検出対象物を十分に検出できる。
【0344】
図32は、この発明の実施の形態による検出対象物の他の検出方法を示すフローチャートである。
【0345】
図32を参照して、一連の動作が開始されると、検出装置100において、上述した方法によって、検出対象物を付着させずに振動子5の共振周波数f0を検出する(ステップS1)。
【0346】
そして、振動子5は、検出装置100の検出素子10から取り外され、検出対象物が付着される(ステップS2)。その後、検出対象物が付着した振動子5を支持部材2,3によって挟持することによって振動子5が検出装置100の検出素子10に装着される(ステップS3)。
【0347】
そうすると、上述した方法によって、検出対象物が付着した状態で振動子5の共振周波数f1を検出する(ステップS4)。
【0348】
そして、共振周波数の変化量Δf=f0−f1を検出して検出対象物を検知する(ステップS5)。これによって、一連の動作が終了する。
【0349】
このように、この発明の実施の形態においては、振動子5を検出装置100から取り外し、その取り外した振動子5に検出対象物を付着し、さらに、検出対象物が付着した振動子5を検出装置100に装着して検出対象物を検知してもよい。
【0350】
なお、検出装置300を用いて、図32に示すフローチャートに従って検出対象物を検知するようにしてもよい。
【0351】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0352】
この発明は、振動子の安定した振動を確保しながら振動子を支持する検出素子に適用される。また、この発明は、振動子の安定した振動を確保しながら振動子を支持する検出素子を備えた検出装置に適用される。さらに、この発明は、振動子の安定した振動を確保しながら振動子を支持する検出素子に用いられる振動子に適用される。さらに、この発明は、振動子の安定した振動を確保しながら振動子を支持する検出素子を備えた検出装置における検出対象物の検知方法に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0353】
【図1】この発明の実施の形態1による検出素子の斜視図である。
【図2】図1に示す線II−IIにおける検出素子の断面図である。
【図3】図1に示すA方向から見た支持部材および振動子の平面図である。
【図4】実施の形態1による検出装置の概略図である。
【図5】入力電圧および受信信号のタイミングチャートである。
【図6】共振周波数のタイミングチャートである。
【図7】実施の形態1における他の振動子の概略図である。
【図8】実施の形態1におけるさらに他の振動子の概略図である。
【図9】実施の形態1による他の検出素子の断面図である。
【図10】実施の形態2による検出素子の斜視図である。
【図11】図10に示す線XI−XIにおける検出素子の断面図である。
【図12】実施の形態2による検出装置の概略図である。
【図13】実施の形態2における他の振動子の概略図である。
【図14】実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。
【図15】実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。
【図16】実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。
【図17】実施の形態2による他の検出素子の斜視図である。
【図18】実施の形態2によるさらに他の検出素子の斜視図である。
【図19】図18に示す線XIX−XIXにおける検出素子の断面図である。
【図20】実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。
【図21】実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。
【図22】実施の形態2におけるさらに他の振動子の概略図である。
【図23】実施の形態2によるさらに他の検出素子の概略図である。
【図24】実施の形態2によるさらに他の検出素子の概略図である。
【図25】共振周波数の測定結果を示す図である。
【図26】実施の形態3による検出素子の概略図である。
【図27】図26に示す金属箔の平面図である。
【図28】実施の形態3による検出装置の概略図である。
【図29】実施の形態3による他の検出素子の概念図である。
【図30】振動子からの受信信号を示す図である。
【図31】この発明の実施の形態によるさらに他の検出素子の断面図である。
【図32】この発明の実施の形態による検出対象物の他の検出方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0354】
1,4,201,204 キャップ、2,3,203,204 支持部材、5,5A,5B,205,208,211,214,230,240,250,291〜294,260,310,320,330,340 振動子、6〜8,6A,7A,8A,14,206,207,209,210,212,213,215,216,217,280〜288,290,295,296 アンテナ、9,11〜13,218〜223 ネジ、10,10A,10B,10C,10D,200,200A,200B,200C,200D,200E,200F,400,400A 検出素子、20,210A 印加回路、30,220A,510 検出回路、51,51A,51B,231,241,251,261,271,311,321,331,341,4060 非振動部材、52,52A,52B,232,234,236,238,242,244,246,248,252,257,262,267,272,274,276,278,312,314,316,318,322,324,326,328,332〜335,342〜345,4061〜4063 振動部材、53,53A,53B,233,235,237,239,243,245,247,249,253〜256,258〜261,263〜266,268〜271,313,315,317,319,323,325,327,329,336〜339,346〜349 連結部材、100,300,500 検出装置、511A,511B,2311,2411,2511,2611,3111,3211 幅広部、512A,521A,531A,513B,522B,532B,231A,232A,233A,234A,235A,236A,237A,238A,239A,241B,242B,243B,244B,245B,246B,247B,248B,249B 底面、512B,521B,531B,241A,242A,243A,244A,245A,246A,247A,248A,249A 表面、401〜403 基体、404,405 ローラー、406,411 金属箔、407 コイル、408 磁石、412 印加器、4071〜4073 輪。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子と、
前記振動子の一部に接触して前記振動子を支持する支持部材と、
接地電位に接続された第1のアンテナと、
前記第1のアンテナと協働して電磁場を前記振動子に印加するための第2のアンテナと、
前記振動子が振動したときの振動信号からなる受信信号を前記第1のアンテナと協働して前記振動子から受信するための第3のアンテナとを備える検出素子。
【請求項2】
前記振動子は、非振動部材と前記非振動部材に連結された振動部材とからなり、
前記支持部材は、前記非振動部材に接触して前記振動子を支持する、請求項1に記載の検出素子。
【請求項3】
前記第2および第3のアンテナの少なくとも一方のアンテナは、前記振動子に対して前記第1のアンテナの反対側に配置されている、請求項1または請求項2に記載の検出素子。
【請求項4】
前記振動子は、複数の振動素子を含み、
前記第3のアンテナは、前記複数の振動素子が振動したときの複数の振動信号からなる複数の受信信号を前記第1のアンテナと協働して前記複数の振動素子から独立に受信するアンテナからなる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検出素子。
【請求項5】
前記振動子は、相互に異なる厚みを有する複数の振動素子を含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検出素子。
【請求項6】
振動子と、
前記振動子の一部に接触して前記振動子を支持する支持部材と、
接地電位に接続された第1のアンテナと、
前記第1のアンテナと協働して電磁場を前記振動子に印加するための第2のアンテナと、
前記振動子が振動したときの振動信号からなる受信信号を前記第1のアンテナと協働して前記振動子から受信するための第3のアンテナと、
前記第1および第2のアンテナを介して前記電磁場を前記振動子に印加する印加回路と、
前記第3のアンテナを介して受けた前記受信信号に基づいて検出対象物が前記振動子に付着したときの前記振動子の共振周波数の変化量を検出して前記検出対象物を検知する検出回路とを備える、検出装置。
【請求項7】
前記振動子は、非振動部材と前記非振動部材に連結された振動部材とからなり、
前記支持部材は、前記非振動部材に接触して前記振動子を支持する、請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記振動子は、複数の振動素子を含み、
前記第3のアンテナは、前記複数の振動素子が振動したときの複数の振動信号からなる複数の受信信号を前記第1のアンテナと協働して前記複数の振動素子から独立に受信するアンテナからなる、請求項6または請求項7に記載の検出装置。
【請求項9】
前記振動子は、相互に異なる厚みを有する複数の振動素子を含む、請求項6または請求項7に記載の検出装置。
【請求項10】
前記検出回路は、前記複数の受信信号のうちの1つの受信信号を参照信号とし、前記参照信号と残りの受信信号との差信号を検出し、その検出した差信号の変化を検出して前記検出対象物を検知する、請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
非振動部材と、
振動部材と、
前記振動部材を前記非振動部材に連結する連結部材とを備える振動子。
【請求項12】
検出対象物を付着せずに振動子の第1の共振周波数を検出する第1のステップと、
振動子を検出装置から取り外し、その取り外した振動子に検出対象物を付着させる第2のステップと、
前記検出対象物が付着した振動子を検出装置に装着する第3のステップと、
前記検出対象物が付着した振動子の第2の共振周波数を検出する第4のステップと、
前記第1の共振周波数から前記第2の共振周波数への変化量を検出して前記検出対象物を検知する第5のステップとを備える検出対象物の検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2010−139297(P2010−139297A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314063(P2008−314063)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(801000061)財団法人大阪産業振興機構 (168)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)