説明

検出装置、制御装置、異常兆候の検出方法及び異常兆候の検出用プログラム

【課題】被検出物体を適切に検出できなくなるような検出手段の異常が発生する前に、その兆候を速やかに検出することができる検出装置、制御装置、異常兆候の検出方法及び異常兆候の検出用プログラムを提供する。
【解決手段】兆候判定部22は、検出位置PsをワークWが通過する場合における受光素子132での受光量を周期的に取得して該取得結果に基づき生成される取得波形と、基準記憶部20に記憶される基準波形との比較に基づき、検出センサ12に異常の兆候があるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出物体を検出するための検出センサなどの検出手段を備える検出装置、検出手段に異常の兆候があることを検出するための制御装置、異常兆候の検出方法及び異常兆候の検出用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、検出位置に位置する被検出物体を検出する検出装置として、例えば特許文献1に記載の検出装置が提案されている。この特許文献1に記載の検出装置は、検出手段としての検出センサ(例えば、光電センサ)を備えている。この検出センサは、規定の方向に投光する投光部と、該投光部からの光を受光する受光部とを有している。そして、検出装置では、受光部での受光量とメモリに設定された閾値との比較に基づき、検出位置に被検出物体が位置するか否かが判断される。
【0003】
なお、閾値は、検出位置に被検出物体が位置する場合における受光部での受光量と、検出位置に被検出物体が位置しない場合における受光部での受光量との間となる値に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−89012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記検出装置は、電子部品などの各種部品を生産するための生産設備に設けられることがある。この場合、被検出物体の誤検出などが発生すると、生産設備による各種部品の生産効率の低下に繋がる。そのため、上記検出装置には、被検出物体の検出精度の高さが要求される。
【0006】
しかしながら、上記検出装置は、その投光部及び受光部の経年変化及び受光部への埃などの異物の付着などによって、受光部での受光量が変わってしまうことがある。このような受光部での受光量の変化は、被検出物体の検出精度の低下に繋がる。そのため、被検出物体を適切に検出できなくなるような検出センサの異常が発生する前に、その兆候を検出する必要があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検出物体を適切に検出できなくなるような検出手段の異常が発生する前に、その兆候を速やかに検出することができる検出装置、制御装置、異常兆候の検出方法及び異常兆候の検出用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、検出装置にかかる請求項1に記載の発明は、検出位置に向けて光を投光する投光部及び光を受光する受光部を有する検出手段と、設定された閾値と前記検出手段の前記受光部での受光量との比較に基づき、前記検出位置に対して相対移動する被検出物体が前記検出位置に位置するか否かを判定する検出判定部と、を備えた検出装置において、前記検出位置を通過する被検出物体を検出可能に前記検出手段が設置された時点で被検出物体に前記検出位置を通過させた場合に、前記受光部が受光した受光量の変動を基準波形として記憶する基準記憶部と、前記検出位置を被検出物体が通過する場合における前記受光部での受光量を規定周期毎に取得し、該取得結果に基づき取得波形を生成する波形生成部と、前記波形生成部によって生成された取得波形と前記基準記憶部に記憶される前記基準波形との比較に基づき、前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定する兆候判定部と、をさらに備えることを要旨とする。
【0009】
検出手段が被検出物体を正常に検出できる場合、波形生成部が生成する取得波形は、基準記憶部に記憶される基準波形と同じような波形となる。しかし、検出手段に異常の兆候がある場合、波形生成部が生成した取得波形は、基準記憶部に記憶される基準波形とは全く異なる波形となる。そこで、本発明では、波形生成部が生成した取得波形と、基準記憶部に記憶される基準波形との比較結果に基づき、検出手段に異常の兆候があるか否かが判定される。したがって、被検出物体を適切に検出できなくなるような検出手段の異常が発生する前に、その兆候を速やかに検出することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検出装置において、前記兆候判定部は、前記基準記憶部に記憶される基準波形から、前記検出位置に被検出物体が位置しない場合における前記受光部での受光量である第1基準受光量と、前記検出位置に被検出物体が位置する場合における前記受光部での受光量である第2基準受光量との差分を基準差分として取得すると共に、前記波形生成部で生成された取得波形から、前記検出位置に被検出物体が位置しない場合における前記受光部での第1受光量と、前記検出位置に被検出物体が位置する場合における前記受光部での第2受光量との差分を取得差分として取得し、該取得差分と前記基準差分との比較に基づき、前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定することを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、検出位置を通過する被検出物体を検出する場合には、検出位置に被検出物体が位置する場合と位置しない場合とで、受光部での受光量が変動する。このときの変動量が、取得差分として取得される。そして、取得差分が基準差分から乖離している場合には、検出手段に異常の兆候があると判定される。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の検出装置において、前記兆候判定部は、前記基準記憶部に記憶される基準波形から、前記検出位置に被検出物体が位置しない場合における前記受光部での受光量である第1基準受光量と、前記検出位置に被検出物体が位置する場合における前記受光部での受光量である第2基準受光量とを取得すると共に、前記波形生成部で生成された取得波形から、前記検出位置に被検出物体が位置しない場合における前記受光部での第1受光量と、前記検出位置に被検出物体が位置する場合における前記受光部での第2受光量とを取得し、前記第1基準受光量と前記第2基準受光量とのうち大きい方の基準受光量と、前記第1受光量と前記第2受光量とのうち大きい方の受光量との比較に基づき、前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定することを要旨とする。
【0013】
検出手段が所謂透過型である場合、検出位置に被検出物体が位置しない場合の第1受光量のほうが検出位置に被検出物体が位置する場合の第2受光量よりも多くなる。この場合、第1受光量と第1基準受光量とが比較され、第1受光量が第1基準受光量から乖離している場合には、検出手段に異常の兆候があると判定される。
【0014】
一方、検出手段が所謂反射型である場合、検出位置に被検出物体が位置する場合の第2受光量のほうが検出位置に被検出物体が位置しない場合の第1受光量よりも多くなる。この場合、第2受光量と第2基準受光量とが比較され、第2受光量が第2基準受光量から乖離している場合には、検出手段に異常の兆候があると判定される。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の検出装置において、前記基準差分と前記取得差分との差が予め設定された第1差閾値以上となってから、前記差が前記第1差閾値よりも大きな値に設定された第2差閾値以上となる状態までの時間を取得する時間取得部と、前記時間取得部によって取得された時間に基づき、前記検出手段のメンテナンス又は交換が必要となる時期を推定する推定部と、をさらに備え、前記兆候判定部は、前記基準差分と前記取得差分との差が前記第2差閾値以上である場合に、前記検出手段に異常の兆候がある旨と共に前記推定部での推定結果を報知部に報知させることを要旨とする。
【0016】
検出手段の経年変化によって、取得差分が徐々に小さくなる場合には、該取得差分の変動度合いによって、検出手段のメンテナンス又は交換が必要となる時期を推定することができる。そこで、本発明では、検出手段に異常の兆候があると判定した場合には、その旨と共にメンテナンス又は交換が必要となる時期が報知される。そのため、作業者は、適切なタイミングで、検出手段のメンテナンス又は交換を行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4のうち何れか一項に記載の検出装置において、前記第2受光量は、前記検出位置に被検出物体が位置する場合に前記受光部が前記規定周期毎に受光した複数の受光量の平均値であり、前記第1受光量は、前記検出位置から被検出物体が位置しなくなってから前記受光部が前記規定周期毎に受光した複数の受光量の平均値であることを要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、第2受光量は、検出位置に被検出物体が位置する場合に受光部が規定周期毎に受光した複数の受光量の平均値とされ、第1受光量は、検出位置から被検出物体が位置しなくなってから受光部が規定周期毎に受光した複数の受光量の平均値とされる。そのため、検出位置に被検出物体が位置する場合における受光部での受光量の一つが第2受光量とされたり、検出位置に被検出物体が位置しない場合における受光部での受光量の一つが第1受光量とされたりする場合と比較して、検出手段に異常があるか否かの判定精度を向上させることができる。
【0019】
また、制御装置にかかる請求項6に記載の発明は、投光部から投光された光を受光する受光部での受光量の変動に基づき、検出位置に対して相対移動する被検出物体を検出する検出手段に異常の兆候があることを検出する制御装置であって、前記検出位置を通過する被検出物体を検出可能に前記検出手段が設置された時点で被検出物体に前記検出位置を通過させた場合に、前記受光部が受光した受光量の変動を基準波形として記憶する基準記憶部と、前記検出位置を被検出物体が通過する場合における前記受光部での受光量を規定周期毎に取得し、該取得結果に基づき取得波形を生成する波形生成部と、前記波形生成部によって生成された取得波形と前記基準記憶部に記憶される前記基準波形との比較に基づき、前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定する兆候判定部と、を備えることを要旨とする。
【0020】
上記構成によれば、請求項1に記載の発明と同等の作用・効果を得ることができる。
また、異常兆候の検出方法にかかる請求項7に記載の発明は、検出位置に対して相対移動する被検出物体を検出するための検出手段に異常の兆候があることを検出するための異常兆候の検出方法であって、前記検出手段は、前記検出位置に向けて光を投光する投光部と、該投光部からの光を受光する受光部とを備えており、基準記憶部は、前記検出位置を通過する被検出物体を検出可能に前記検出手段が設置された時点で被検出物体に前記検出位置を通過させた場合に、前記受光部で受光された受光量の変動を基準波形として記憶しており、前記検出位置を被検出物体が通過する場合における前記受光部での受光量を規定周期毎に取得させ、該取得結果に基づき取得波形を生成させる波形生成ステップと、前記波形生成ステップで生成した取得波形と前記基準記憶部に記憶される前記基準波形との比較に基づき、前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定させる兆候判定ステップと、を有することを要旨とする。
【0021】
上記構成によれば、請求項1に記載の発明と同等の作用・効果を得ることができる。
また、異常兆候の検出用プログラムにかかる請求項8に記載の発明は、検出位置に対して相対移動する被検出物体を検出するための検出手段の異常の兆候を、制御装置に検出させるための異常兆候の検出用プログラムであって、前記検出手段は、前記検出位置に向けて光を投光する投光部と、該投光部からの光を受光する受光部とを備えており、基準記憶部は、前記検出位置を通過する被検出物体を検出可能に前記検出手段が設置された時点で被検出物体に前記検出位置を通過させた場合に、前記受光部で受光された受光量の変動を基準波形として記憶しており、前記制御装置に、前記検出位置を被検出物体が通過する場合における前記受光部での受光量を規定周期毎に取得させ、該取得結果に基づき取得波形を生成させる波形生成ステップと、前記波形生成ステップで生成した取得波形と前記基準記憶部に記憶される前記基準波形との比較に基づき、前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定させる兆候判定ステップと、を実行させることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、請求項1に記載の発明と同等の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、被検出物体を適切に検出できなくなるような検出手段の異常が発生する前に、その兆候を速やかに検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかる検出装置の一実施形態の構成を説明するブロック図。
【図2】基準波形を説明するグラフ。
【図3】取得波形を説明するグラフ。
【図4】波形生成処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図5】異常兆候判定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図6】(a)は取得差分が基準差分から大きく乖離した様子を説明するグラフ、(b)は第1受光量が第1基準受光量から大きく乖離した様子を説明するグラフ。
【図7】別の実施形態における異常兆候判定処理ルーチンの要部を説明するフローチャート。
【図8】別の実施形態における検出装置の要部を説明するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の検出装置11は、予め設定された規定方向Aに搬送される被検出物体の一例としてのワークWを検出するための装置である。より具体的には、検出装置11は、図1にて一点鎖線で囲まれた検出位置Psを通過するワークWを検出するための装置である。こうした検出装置11は、光電方式の検出センサ12(「光電センサ」ともいう。)と、該検出センサ12から各種情報を受信可能な制御装置CNTとを備えている。
【0026】
検出センサ12は装置本体13を備えており、該装置本体13には出力部材14及び入力部材15が着脱可能な状態で接続されている。装置本体13は、レーザや発光ダイオードなどの発光素子131と、フォトダイオードなどの受光素子132とを備えている。また、装置本体13には、検出センサ12の設定内容を表示する表示部133と、閾値などの情報を設定すべく操作される操作部134と、検出センサ12を制御する制御部135とが設けられている。
【0027】
制御部135は、CPU136及びメモリ137などを備えている。メモリ137には、受光素子132での受光量に基づきワークWが検出位置Psを通過したか否かを判定するための閾値KL(図2参照)などが記憶されている。そして、制御部135は、制御装置CNTから受光素子132での受光量に関する情報を要求された場合、受光量に関する情報を送信する。なお、閾値KLは、操作部134による操作によって変更可能である。
【0028】
出力部材14は、発光素子131から出力された光を基端から先端に導く光ファイバ141を備えている。この光ファイバ141の先端には、該先端から出力された光を検出位置Psに導くための出力部142が設けられている。この出力部142は、光ファイバ141からの光を集光するためのレンズ(図示略)などを有している。そして、出力部142からは、検出位置Psに向けて光Bmが出力(投光)される。したがって、本実施形態では、発光素子131及び出力部材14により、投光部が構成される。
【0029】
入力部材15は、検出位置Psを挟んで出力部材14の出力部142に対向配置される入力部151と、該入力部151に先端が接続される光ファイバ152とを備えている。入力部151は、出力部142から出力(投光)された光Bmの少なくとも一部を入力可能な位置に配置されている。つまり、検出位置PsにワークWが位置しない場合、入力部151には、出力部142から出力される光Bmの大部分が入力される。一方、検出位置PsにワークWが位置する場合、入力部151には、出力部142から出力される光BmのうちワークWを透過した光の大部分が入力される。例えば、ワークWの透光率が「40%」である場合、入力部151に入力される光の光量は、出力部142から出力された光の光量の「60%」程度となる。
【0030】
光ファイバ152は、入力部151からの光Bmを先端から基端に導く。そして、光ファイバ152の基端から出力された光Bmは、装置本体13の受光素子132に受光される。したがって、本実施形態では、受光素子132及び入力部材15により、受光部が構成される。また、発光素子131、受光素子132、出力部材14及び入力部材15により、検出手段が構成されている。
【0031】
なお、本実施形態の検出センサ12は、透過型の検出センサである。すなわち、検出位置PsにワークWが位置しない場合における受光素子132での受光量は、検出位置PsにワークWが位置するか否かを判断するための閾値KL(図2参照)よりも大きな値となる。一方、検出位置PsにワークWが位置する場合における受光素子132での受光量は、閾値KLよりも小さな値となる。そこで、検出センサ12の制御部135は、受光素子132での受光量が閾値KLよりも大きな状態から閾値KLよりも小さな状態となった場合に、検出位置PsにワークWが位置していると判定する。したがって、本実施形態では、制御部135が、検出判定部として機能する。
【0032】
制御装置CNTは、図1に示すように、該制御装置CNTに設けられたCPU(図示略)が所定のプログラム(異常兆候の検出用プログラム)を実行することにより実現される機能部として、基準記憶部20、波形生成部21及び兆候判定部22を備えている。そして、モニタ23には、制御装置CNTで処理された内容などが表示される。
【0033】
基準記憶部20は、図2に示す基準波形Wbを記憶している。この基準波形Wbは、検出位置Psを通過するワークWを検出可能な位置に検出センサ12が設置された時点でワークWが検出位置Psを通過した場合に、受光素子132が受光した受光量L0の変動を波形化したものである。すなわち、基準波形Wbは、検出センサ12が設定された時点における初期波形である。こうした基準波形Wbは、検出位置PsにワークWが位置しない場合における受光素子132での受光量である第1基準受光量Lb1と、検出位置PsにワークWが位置する場合における受光素子132での受光量である第2基準受光量Lb2とを含んでいる。
【0034】
第1基準受光量Lb1は、発光素子131で発光される光の発光量から、出力部材14及び入力部材15での光のロス量を減算した値又は該値に近い値に設定されている。また、第2基準受光量Lb2は、第1基準受光量Lb1から、ワークWによって遮光される光量を減算した値又は該値に近い値に設定されている。例えば、第1基準受光量Lb1が「100」であって且つワークWの透光率が「50%」である場合、第2基準受光量Lb2は「50」に設定される。そのため、第1基準受光量Lb1と第2基準受光量Lb2との差分である基準差分Sbは、ワークWでの遮光量に同程度となる。
【0035】
なお、ワークWが検出位置Psを通過したか否かを判定するための閾値KLは、第1基準受光量Lb1と第2基準受光量Lb2との中間となる値に設定されている。
波形生成部21は、検出センサ12から受信した情報に基づき、図3に示す取得波形Wsを生成する。この取得波形Wsは、ワークWが検出位置Psを通過した際における受光素子132での受光量L0の変動を波形化したものである。波形生成部21は、受光素子132での受光量L0が閾値KL以下となる期間の間、受光量L0を検出センサ12から規定周期毎に取得する。また、波形生成部21は、受光素子132での受光量L0が閾値KL以下となる期間が第1時間T1である場合、受光量L0が閾値KLを再び超えた時点から第1時間T1の間、受光量L0を検出センサ12から規定周期毎に取得する。このように取得した各受光量L0に基づき、波形生成部21は、取得波形Wsを生成する。すなわち、取得波形Wsは、複数の受光量L0を図3のように並べた擬似的な波形である。
【0036】
兆候判定部22は、詳しくは後述するが、基準記憶部20に記憶される基準波形Wbと、波形生成部21で生成された取得波形Wsとの比較に基づき、検出センサ12に異常の兆候があるか否かを判定する。なお、ここでいう「検出センサ12の異常」とは、検出位置Psを通過するワークWを適切に検出できない状態のことである。検出位置PsをワークWが通過していない場合にワークWを検出するという、「ワークWの誤検出」の確率が高くなった場合も、「検出センサ12の異常」に含まれる。
【0037】
次に、本実施形態の波形生成部21が実行する波形生成処理ルーチンについて、図4に示すフローチャートに基づき説明する。なお、波形生成処理ルーチンは、予め設定された周期毎(例えば、1日毎)に実行される。
【0038】
さて、波形生成処理ルーチンにおいて、波形生成部21は、受光素子132での受光量L0が閾値KL以下であるか否か、即ち受光レベルが低いか否かを判定する(ステップS10)。受光レベルが高い(L0≧KL)場合(ステップS10:NO)、波形生成部21は、受光レベルが低くなるまでステップS10の判定処理を繰り返し実行する。一方、受光レベルが低くなった(L0<KL)場合(ステップS10:YES)、波形生成部21は、カウンタCTを「1」だけインクリメントする(ステップS11)。そして、波形生成部21は、検出センサ12に受光素子132での受光量L0に関する情報を要求し、検出センサ12から現時点における受光素子132での受光量L0を取得する(ステップS12)。
【0039】
続いて、波形生成部21は、受光素子132での受光量L0が閾値KL以上になったか否か、即ち受光レベルが高くなったか否かを判定する(ステップS13)。受光レベルが低い(L0<KL)場合(ステップS13:NO)、波形生成部21は、その処理を前述したステップS11に移行する。すなわち、波形生成部21は、受光レベルが低い場合における受光素子132での受光量L0を規定周期毎に取得する。一方、受光レベルが高くなった(L0≧KL)場合(ステップS13:YES)、波形生成部21は、その処理を次のステップS14に移行する。なお、ステップS13の判定結果がYESになった時点のカウンタCTの値が、上記第1時間T1(図3参照)に相当する。
【0040】
ステップS14において、波形生成部21は、カウンタCTを「1」だけデクリメントする。続いて、波形生成部21は、検出センサ12に受光素子132での受光量L0に関する情報を要求し、検出センサ12から現時点における受光素子132での受光量L0を取得する(ステップS15)。そして、波形生成部21は、カウンタCTが「0(零)」になったか否かを判定する(ステップS16)。すなわち、ステップS16では、受光レベルが高くなってからの経過時間が第1時間T1になったか否かが判定される。カウンタCTが「0(零)」ではない場合(ステップS16:NO)、波形生成部21は、その処理を前述したステップS14に移行する。すなわち、波形生成部21は、受光レベルが低い場合における受光量L0の取得回数と同数だけ、受光レベルが高い場合における受光量L0を取得する。
【0041】
一方、カウンタCTが「0(零)」になった場合、波形生成部21は、取得した複数の受光量L0に基づいた取得波形Ws(図3参照)の生成が完了したため、波形生成処理ルーチンを終了する。したがって、本実施形態では、波形生成処理ルーチンを構成する各ステップS10〜S16により、波形生成ステップが構成される。
【0042】
次に、本実施形態の兆候判定部22が実行する異常兆候判定処理ルーチンについて、図5に示すフローチャート及び図6(a)(b)に示すグラフに基づき説明する。なお、図6(a)(b)に示すグラフは、検出センサ12に異常の兆候がある場合における受光量L0の変動を示す一例である。
【0043】
異常兆候判定処理ルーチンは、上記波形生成処理ルーチンが終了したタイミング、即ち取得波形Wsが生成された後に開始される。こうした異常兆候判定処理ルーチンにおいて、兆候判定部22は、基準記憶部20から基準波形Wbと、波形生成部21によって生成された取得波形Wsとを読み出す(ステップS20)。そして、兆候判定部22は、基準波形Wbと取得波形Wsとの比較結果に基づき検出センサ12に異常の兆候があるか否かを判定する。具体的には、兆候判定部22は、基準波形Wbから基準差分(「基準の光量余裕度」ともいう。)Sb(図2参照)を取得する(ステップS21)。この基準差分Sbは、第1基準受光量Lb1と第2基準受光量Lb2との差分である。
【0044】
続いて、兆候判定部22は、取得波形Wsから取得差分(「現時点の光量余裕度」ともいう。)Ss(図3参照)を取得する(ステップS22)。この取得差分Ssは、検出位置PsにワークWが位置しない場合における受光素子132での受光量L0と、検出位置PsにワークWが位置する場合における受光素子132での受光量L0との差分である。しかし、受光レベルが低い場合に取得された複数の受光量L0は、図6(a)(b)に示すように、一定ではない。同様に、受光レベルが高い場合に取得された複数の受光量L0は、一定ではない。これは、発光素子131からの発光量が変動したり、受光素子132から出力される電気信号にノイズが重畳したりするためである。
【0045】
そこで、本実施形態では、兆候判定部22は、受光レベルが低い場合に取得された複数の受光量L0の平均値を取得し、該平均値を第1受光量Ls1(図6(a)(b)参照)とする。また、兆候判定部22は、受光レベルが高い場合に取得された複数の受光量L0の平均値を取得し、該平均値を第2受光量Ls2(図6(a)(b)参照)とする。そして、兆候判定部22は、算出した第1受光量Ls1と第2受光量Ls2との差分を取得差分Ssとする。
【0046】
続いて、兆候判定部22は、ステップS21で取得した基準差分SbとステップS22で取得した取得差分Ssとの差分が、予め設定された差閾値Sth未満であるか否かを判定する(ステップS23)。この差閾値Sthは、基準波形Wbと取得波形Wsとの間に大きな乖離があるか否かを判断するための基準値である。基準差分Sbと取得差分Ssとの差分が差閾値Sth以上である場合(ステップS23:NO)、兆候判定部22は、基準波形Wbと取得波形Wsとの間に大きな乖離があると判断し、検出センサ12に異常の兆候がある旨をモニタ23に報知させる第1報知処理を行う(ステップS24)。この第1報知処理では、作業者に検出センサ12のメンテナンス又は交換を促す旨のメッセージがモニタ23に表示される。したがって、本実施形態では、モニタ23が、報知部として機能する。また、ステップS23が、兆候判定ステップに相当する。その後、兆候判定部22は、異常兆候判定処理ルーチンを終了する。
【0047】
ここで、図6(a)に示すように、取得差分Ssが基準差分Sbよりも小さくなり過ぎた場合、第1受光量Ls1と閾値KLとの間の余裕(=Ls1−KL)、及び第2受光量Ls2と閾値KLとの間の余裕(=KL−Ls2)が少なくなる。このような場合、受光素子132から出力される電気信号に大きなノイズが重畳すると、検出位置PsをワークWが通過していないのに、受光量L0が閾値KL未満となる可能性が高くなる。すなわち、ワークWの誤検出が発生する可能性が高くなる。また、ワークWが検出位置Psを通過しきっていない状態で、受光量L0が閾値KL以上となる可能性もある。そのため、本実施形態では、取得差分Ssが基準差分Sbよりも小さくなり過ぎた場合には、検出センサ12に異常の兆候があると判断され、その旨が報知される。
【0048】
なお、上記ステップS23の判定結果がNOとなった時点では、検出センサ12によるワークWの検出精度が許容範囲内に収まっている。しかし、これ以上、取得差分Ssが基準差分Sbから乖離すると、検出センサ12によるワークWの検出精度が許容範囲外となる可能性がある。
【0049】
図6(a)に示す状態になる場合とは、受光素子132への入射光が減少する第1の場合、及び受光素子132における光電効率が悪化した第2の場合などが考えられる。第1の場合は、発光素子131が劣化したり、発光素子131に適切な電力が供給されなくなったり、出力部材14の光ファイバ141に折れ曲がりなどの不具合が生じたり、出力部142から光Bmが出力される方向が変わったりした場合に起こりうる。また、第1の場合は、入力部材15の入力部151の位置や向きが変わったり、入力部材15の光ファイバ152に折れ曲がりなどの不具合が生じたりした場合にも起こりうる。また、第2の場合は、受光素子132が劣化した場合などに起こりうる。
【0050】
図5のフローチャートに戻り、基準差分Sbと取得差分Ssとの差分が差閾値Sth未満である場合(ステップS23:NO)、兆候判定部22は、基準差分Sbと取得差分Ssとの間に大きな乖離がないと判断し、各基準受光量Lb1,Lb2のうち大きなほうの基準受光量(この場合では、第1基準受光量Lb1)を取得する(ステップS25)。続いて、兆候判定部22は、取得差分Ssの取得時に算出した各受光量Ls1,Ls2のうち大きなほうの受光量(この場合では、第1受光量Ls1)を取得する(ステップS26)。そして、兆候判定部22は、ステップS25で取得した第1基準受光量Lb1とステップS26で取得した第1受光量Ls1との差分が予め設定された光量差閾値Lth未満であるか否かを判定する(ステップS27)。
【0051】
第1基準受光量Lb1と第1受光量Ls1との差分が光量差閾値Lth未満である場合(ステップS27:YES)、兆候判定部22は、受光素子132での受光量L0に大きな変化がないため、検出センサ12に異常の兆候がないと判断する。そして、兆候判定部22は、異常兆候判定処理ルーチンを終了する。一方、第1基準受光量Lb1と第1受光量Ls1との差分が光量差閾値Lth以上である場合(ステップS27:NO)、兆候判定部22は、検出センサ12に異常の兆候があると判断し、検出センサ12に異常の兆候がある旨をモニタ23に報知させる第2報知処理を行う(ステップS28)。この第2報知処理では、作業者に検出センサ12の閾値KLの変更を促す旨のメッセージがモニタ23に表示される。その後、兆候判定部22は、異常兆候判定処理ルーチンを終了する。したがって、ステップS27が、兆候判定ステップに相当する。
【0052】
図6(b)に示すように、基準差分Sbと取得差分Ssとの間に大きな乖離がない場合であっても、第1受光量Ls1が第1基準受光量Lb1と大きく乖離する場合には、検出センサ12に異常の兆候があると判断される。この場合、第2受光量Ls2と閾値KLとの間の余裕(=KL−Ls2)は十分にあるのに対し、第1受光量Ls1と閾値KLとの間の余裕(=Ls1−KL)は少なくなる。この状態では、やはり、受光素子132から出力される電気信号に大きなノイズが重畳されると、ワークWの誤検出が発生する可能性が高くなる。しかし、図6(b)に示す状態では、図6(a)に示す状態とは異なり、検出センサ12に設定されている閾値KLを変更することにより、ワークWの誤検出を抑制できる可能性が高い。そのため、図6(b)に示す状態になった場合には、第1報知処理とは異なる第2報知処理が行われる。
【0053】
なお、上記ステップS27の判定結果がNOとなった時点では、検出センサ12によるワークWの検出精度が許容範囲内に収まっている。しかし、これ以上、第1受光量Ls1が第1基準受光量Lb1から乖離すると、検出センサ12によるワークWの検出精度が許容範囲外となる可能性がある。
【0054】
図6(b)に示す状態になる場合とは、入力部材15の入力部151の受光面に埃などの異物が付着した場合、光ファイバ152の基端と受光素子132との間に埃などの異物が付着した場合などが考えられる。
【0055】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)検出センサ12がワークWを正常に検出できる場合、波形生成部21が生成する取得波形Wsは、基準記憶部20に記憶される基準波形Wbと同じような波形となる。しかし、検出センサ12に異常の兆候がある場合、波形生成部21が生成した取得波形Wsは、基準記憶部20に記憶される基準波形Wbとは全く異なる波形となる。そこで、本実施形態では、波形生成部21が生成した取得波形Wsと、基準記憶部20に記憶される基準波形Wbとの比較結果に基づき、検出センサ12に異常の兆候があるか否かが判定される。したがって、ワークWを適切に検出できなくなるような検出センサ12の異常が発生する前に、その兆候を速やかに検出することができる。
【0056】
(2)検出センサ12が異常となることによりワークWを適切に検出できなった場合には、検出センサ12を搭載した生産設備が止まってしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態では、検出センサ12の異常の兆候を検出した場合には、その旨が速やかに作業者に対して報知される。そのため、作業者は、検出センサ12が異常となる前に、検出センサ12のメンテナンスや交換などの処理を行うことができる。その結果、検出センサ12の異常の発生によって生産設備を止めてしまう可能性を低減することができる。
【0057】
(3)本実施形態では、取得波形Wsから取得された取得差分Ssと基準波形Wbから取得された基準差分Sbとの比較によって、検出センサ12に異常の兆候があるか否かが判定される。なお、取得差分Ssを算出するために取得される第1受光量Ls1及び第2受光量Ls2は、ノイズの重畳等に起因した受光量L0の変動を加味してそれぞれ取得される。そのため、任意のタイミングで取得された受光量L0を第1受光量Ls1や第2受光量Ls2とする場合と比較して、取得差分Ssを適切な値とすることができる。そのため、取得差分Ssを用いた判定精度を向上させることができる。
【0058】
(4)同様に、第1受光量Ls1を用いて、検出センサ12に異常の兆候があるか否かを判定する場合でも、その判定精度を向上させることができる。
(5)また、本実施形態では、検出センサ12に異常の兆候があることを検出した場合には、その理由によって作業者への報知態様を異ならせている。これは、理由によって作業者が行う作業内容が異なるためである。そのため、モニタ23に表示される表示内容(報知態様)によって、作業者は、どのように対応すればよいのかを速やかに判断することができる。
【0059】
(6)本実施形態では、基準差分Sbと取得差分Ssとの差によって、検出センサ12に異常の兆候があるか否かが判断される。そのため、取得差分Ssが基準差分Sbよりも大きくなる方に乖離した場合であっても、検出センサ12の異常の兆候を検出することができる。
【0060】
なお、本実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・実施形態において、取得差分Ssの変動度合いに基づき、どのくらいの時期までに検出センサ12のメンテナンス又は交換を行った方がよいかを報知するようにしてもよい。この場合、異常兆候判定処理ルーチンを、図7に示すように変更することが好ましい。なお、図7では、図5に示す異常兆候判定処理ルーチンとは異なる部分を示している。
【0061】
すなわち、兆候判定部22は、ステップS22の処理の後に、基準差分Sbと取得差分Ssとの差分が第1差閾値Sth1以上であるか否かを判定する(ステップS231)。この第1差閾値Sth1は、取得差分Ssが基準差分Sbから乖離し始めたか否かを判断するための閾値であって、検出センサ12に異常の兆候があるか否かを判断するための閾値ではない。そのため、第1差閾値Sth1は、上記差閾値Sthよりも小さな値に設定されている。
【0062】
基準差分Sbと取得差分Ssとの差分が第1差閾値Sth1未満である場合(S231:NO)、兆候判定部22は、時間Ttを「0(零)」にリセットし(ステップS232)、その処理を前述したステップS25に移行する。一方、基準差分Sbと取得差分Ssとの差分が第1差閾値Sth1以上である場合(S231:YES)、兆候判定部22は、ステップS231の判定結果がYESとなり始めてからの時間Ttを取得する、即ち時間Ttを更新する(ステップS233)。この時間Ttは、ステップS234の判定結果がYESになるまで更新され続ける。したがって、兆候判定部22が、時間取得部としても機能する。なお、時間Ttが更新される間では、基準差分Sbと取得差分Ssとの差分が徐々に大きくなっている。
【0063】
そして、兆候判定部22は、基準差分Sbと取得差分Ssとの差分が第2差閾値Sth2以上であるか否かを判定する(ステップS234)。この第2差閾値Sth2は、検出センサ12に異常の兆候があるか否かを判断するための閾値である。そのため、第2差閾値Sth2は、上記差閾値Sthと同等又は僅かに小さな値に設定されている。基準差分Sbと取得差分Ssとの差分が第2差閾値Sth2未満である場合(S234:NO)、兆候判定部22は、その処理を前述したステップS25に移行する。一方、基準差分Sbと取得差分Ssとの差分が第2差閾値Sth2以上である場合、兆候判定部22は、ステップS233で更新した時間Ttが長いほど、猶予時間Tyを長めに設定する(ステップS235)。これは、時間Ttが長時間であるほど、取得差分Ssの変化が緩やかであると判断できるためである。したがって、本実施形態では、兆候判定部22が、検出センサ12のメンテナンス又は交換が必要となる時期を推定する推定部としても機能する。
【0064】
そして、兆候判定部22は、第1報知処理を行う(ステップS241)。この第1報知処理では、ステップS235で設定した猶予時間Tyまでに検出センサ12のメンテナンス又は交換を促す旨が報知される。なお、猶予時間Tyとは、猶予時間Tyが経過した後では、検出センサ12に異常が発生している可能性があると推定される時間のことである。そして、第1報知処理の終了後に、兆候判定部22は、異常兆候判定処理ルーチンを終了する。
【0065】
このように構成すると、検出センサ12の経年変化によって、取得差分Ssが徐々に小さくなる場合には、該取得差分Ssの変動度合いによって、検出センサ12のメンテナンス又は交換が必要となる時期を推定することができる。そこで、ここでは、検出センサ12に異常の兆候があると判定した場合には、その旨と共にメンテナンス又は交換が必要となる時期が報知される。そのため、作業者は、適切なタイミングで、検出センサ12のメンテナンス又は交換を行うことができる。
【0066】
・検出センサ12を、所謂透過型のセンサではなく、所謂反射型のセンサに具体化してもよい。すなわち、図8に示すように、入力部材15の入力部151は、出力部142から出力された光Bmのうち、検出位置Psに位置するワークWから反射した光Bmを受光可能な位置に配置される。
【0067】
この場合、基準記憶部20に記憶される基準波形Wbは、第1基準受光量Lb1よりも第2基準受光量Lb2のほうが大きな値となる。また、検出位置PsをワークWが通過する場合には、検出位置PsにワークWが位置する場合における受光素子132の受光量L0のほうが検出位置PsにワークWが位置しない場合における受光素子132の受光量L0よりも大きな値となる。
【0068】
また、上記異常兆候判定処理ルーチンにおいて、ステップS25では、各基準受光量Lb1,Lb2のうち受光量の多い第2基準受光量Lb2が取得される。また、ステップS26では、各受光量Ls1,Ls2のうち受光量の多い第2受光量Ls2が取得され、ステップS27では、第2基準受光量Lb2と第2受光量Ls2との差分が光量差閾値Lth未満であるか否かが判定される。
【0069】
・実施形態において、第1受光量Ls1及び第2受光量Ls2を、以下に示す方法で取得してもよい。例えば、第1時間T1の間に取得された各受光量L0のうち、最大値と最小値とを取り除き、他の各受光量L0の平均値を第1受光量Ls1(又は第2受光量Ls2)としてもよい。
【0070】
・実施形態において、上記ステップS23では、以下に示す方法で、取得差分Ssが基準差分Sbから大きく乖離したか否かを判定してもよい。例えば、基準差分Sbに予め設定されたゲイン値(0(零)よりも大きく且つ1よりも小さい値であって、例えば「0.8」)を乗算した値よりも、取得差分Ssが小さい場合に、取得差分Ssが基準差分Sbから大きく乖離したと判定してもよい。
【0071】
・実施形態において、上記ステップS27では、以下に示す方法で、第1受光量Ls1が第1基準受光量Lb1から大きく乖離したか否かを判定してもよい。例えば、第1基準受光量Lb1に予め設定されたゲイン値(0(零)よりも大きく且つ1よりも小さい値であって、例えば「0.8」)を乗算した値よりも、第1受光量Ls1が小さい場合に、第1受光量Ls1が第1基準受光量Lb1から大きく乖離したと判定してもよい。
【0072】
・実施形態において、波形生成部21は、検出位置PsをワークWが通過する際に取得された複数の受光量L0に基づき取得波形Wsを実際に生成してもよい。例えば、取得波形Wsは、複数の受光量L0を結ぶように生成される。そして、このように生成された取得波形Wsと基準波形Wbとのマッチング処理を行い、該処理結果に基づき検出センサ12に以上があるか否かを判定してもよい。
【0073】
・実施形態において、第2報知処理での報知内容を、第1報知処理での報知内容と同一としてもよい。すなわち、判定の結果によって、報知の態様を変更しなくてもよい。
・実施形態において、検出センサ12に異常の兆候がある旨を報知する報知部は、音声による報知を行うスピーカであってもよいし、発光によって報知を行うランプであってもよい。
【0074】
・実施形態において、上記ステップS27の判定結果がNOである場合、閾値KLを自動的に変更させてもよい。この場合、閾値KLは、ステップS22で取得差分Ssを取得するために算出された第1受光量Ls1及び第2受光量Ls2の中間値又は該中間値近傍の値であることが好ましい。
【0075】
・所定のプログラム(異常兆候の検出用プログラム)を、検出センサ12の制御部135にインストールしてもよい。この場合、制御部135に、機能部分として基準記憶部、波形取得部及び兆候判定部が設けられる。この場合、制御部135が、制御装置に相当する。
【0076】
・実施形態において、所定の位置に配置されているワークWに対して、出力部142及び入力部151を移動させることにより、ワークWの検出を行ってもよい。
【符号の説明】
【0077】
11…検出装置、14…投光部及び検出手段を構成する出力部材、15…受光部及び検出手段を構成する入力部材、20…基準記憶部、21…波形生成部、22…時間取得部及び推定部としての兆候判定部、23…報知部の一例としてのモニタ、131…投光部及び検出手段を構成する発光素子、132…受光部及び検出手段を構成する受光素子、135…検出判定部としての制御部、Bm…光、CNT…制御装置、KL…閾値、L0…受光量、Lb1…第1基準受光量、Lb2…第2基準受光量、Ls1…第1受光量、Ls2…第2受光量、Ps…検出位置、Sb…基準差分、Ss…取得差分、Sth1…第1差閾値、Sth2…第2差閾値、Ty…猶予時間、Wb…基準波形、Ws…取得波形。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出位置に向けて光を投光する投光部及び光を受光する受光部を有する検出手段と、
設定された閾値と前記検出手段の前記受光部での受光量との比較に基づき、前記検出位置に対して相対移動する被検出物体が前記検出位置に位置するか否かを判定する検出判定部と、を備えた検出装置において、
前記検出位置を通過する被検出物体を検出可能に前記検出手段が設置された時点で被検出物体に前記検出位置を通過させた場合に、前記受光部が受光した受光量の変動を基準波形として記憶する基準記憶部と、
前記検出位置を被検出物体が通過する場合における前記受光部での受光量を規定周期毎に取得し、該取得結果に基づき取得波形を生成する波形生成部と、
前記波形生成部によって生成された取得波形と前記基準記憶部に記憶される前記基準波形との比較に基づき、前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定する兆候判定部と、をさらに備えることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記兆候判定部は、
前記基準記憶部に記憶される基準波形から、前記検出位置に被検出物体が位置しない場合における前記受光部での受光量である第1基準受光量と、前記検出位置に被検出物体が位置する場合における前記受光部での受光量である第2基準受光量との差分を基準差分として取得すると共に、
前記波形生成部で生成された取得波形から、前記検出位置に被検出物体が位置しない場合における前記受光部での第1受光量と、前記検出位置に被検出物体が位置する場合における前記受光部での第2受光量との差分を取得差分として取得し、
該取得差分と前記基準差分との比較に基づき、前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記兆候判定部は、
前記基準記憶部に記憶される基準波形から、前記検出位置に被検出物体が位置しない場合における前記受光部での受光量である第1基準受光量と、前記検出位置に被検出物体が位置する場合における前記受光部での受光量である第2基準受光量とを取得すると共に、
前記波形生成部で生成された取得波形から、前記検出位置に被検出物体が位置しない場合における前記受光部での第1受光量と、前記検出位置に被検出物体が位置する場合における前記受光部での第2受光量とを取得し、
前記第1基準受光量と前記第2基準受光量とのうち大きい方の基準受光量と、前記第1受光量と前記第2受光量とのうち大きい方の受光量との比較に基づき、
前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記基準差分と前記取得差分との差が予め設定された第1差閾値以上となってから、前記差が前記第1差閾値よりも大きな値に設定された第2差閾値以上となる状態までの時間を取得する時間取得部と、
前記時間取得部によって取得された時間に基づき、前記検出手段のメンテナンス又は交換が必要となる時期を推定する推定部と、をさらに備え、
前記兆候判定部は、
前記基準差分と前記取得差分との差が前記第2差閾値以上である場合に、
前記検出手段に異常の兆候がある旨と共に前記推定部での推定結果を報知部に報知させることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第2受光量は、前記検出位置に被検出物体が位置する場合に前記受光部が前記規定周期毎に受光した複数の受光量の平均値であり、
前記第1受光量は、前記検出位置から被検出物体が位置しなくなってから前記受光部が前記規定周期毎に受光した複数の受光量の平均値であることを特徴とする請求項2〜請求項4のうち何れか一項に記載の検出装置。
【請求項6】
投光部から投光された光を受光する受光部での受光量の変動に基づき、検出位置に対して相対移動する被検出物体を検出する検出手段に異常の兆候があることを検出する制御装置であって、
前記検出位置を通過する被検出物体を検出可能に前記検出手段が設置された時点で被検出物体に前記検出位置を通過させた場合に、前記受光部が受光した受光量の変動を基準波形として記憶する基準記憶部と、
前記検出位置を被検出物体が通過する場合における前記受光部での受光量を規定周期毎に取得し、該取得結果に基づき取得波形を生成する波形生成部と、
前記波形生成部によって生成された取得波形と前記基準記憶部に記憶される前記基準波形との比較に基づき、前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定する兆候判定部と、を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項7】
検出位置に対して相対移動する被検出物体を検出するための検出手段に異常の兆候があることを検出するための異常兆候の検出方法であって、
前記検出手段は、前記検出位置に向けて光を投光する投光部と、該投光部からの光を受光する受光部とを備えており、
基準記憶部は、前記検出位置を通過する被検出物体を検出可能に前記検出手段が設置された時点で被検出物体に前記検出位置を通過させた場合に、前記受光部で受光された受光量の変動を基準波形として記憶しており、
前記検出位置を被検出物体が通過する場合における前記受光部での受光量を規定周期毎に取得させ、該取得結果に基づき取得波形を生成させる波形生成ステップと、
前記波形生成ステップで生成した取得波形と前記基準記憶部に記憶される前記基準波形との比較に基づき、前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定させる兆候判定ステップと、を有することを特徴とする異常兆候の検出方法。
【請求項8】
検出位置に対して相対移動する被検出物体を検出するための検出手段の異常の兆候を、制御装置に検出させるための異常兆候の検出用プログラムであって、
前記検出手段は、前記検出位置に向けて光を投光する投光部と、該投光部からの光を受光する受光部とを備えており、
基準記憶部は、前記検出位置を通過する被検出物体を検出可能に前記検出手段が設置された時点で被検出物体に前記検出位置を通過させた場合に、前記受光部で受光された受光量の変動を基準波形として記憶しており、
前記制御装置に、
前記検出位置を被検出物体が通過する場合における前記受光部での受光量を規定周期毎に取得させ、該取得結果に基づき取得波形を生成させる波形生成ステップと、
前記波形生成ステップで生成した取得波形と前記基準記憶部に記憶される前記基準波形との比較に基づき、前記検出手段に異常の兆候があるか否かを判定させる兆候判定ステップと、を実行させることを特徴とする異常兆候の検出用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−78175(P2012−78175A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222793(P2010−222793)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)