説明

業務用冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚用カーテンレールの取付構造

【課題】素人でもカーテンレールを固定板の所定位置にズレることなく、簡単に固定することができる業務用冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚用カーテンレールの取付構造を提供する。
【解決手段】カーテンレール1の接着辺11に接着剤を塗布した状態で、冷凍庫・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚の磁性体で構成されている固定板Aに、前記接着辺を接着剤で貼り付け、かつ、この状態において前記マグネット12が前記固定板に磁力によって前記カーテンレールを仮固定状態として、接着辺の接着剤が密着状態で固化されて確実に固定した業務用冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚用カーテンレールの取付構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用冷凍・冷蔵庫、例えば、スーパー等の食品売場で提供される冷凍食品や冷蔵食品の品出しや収納を行う冷凍・冷蔵作業室内に設置され、あるいは、食品売場における冷凍食品や冷蔵食品を陳列する食品棚を兼ねる業務用冷凍・冷蔵庫であって、該業務用冷凍・冷蔵庫の扉開閉による冷気を逃がさないためのカーテンや、夜間における食品棚の冷気を逃がさないためのカーテンを取付けるための業務用冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚用カーテンレールの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における家庭用冷蔵庫の扉内側にカーテンを取付ける構造としては、カーテンレールを接着剤によって扉内側の庫内に取付けるもの(特開2005−69523号公報)、カーテンレールに取付けられたマグネットと扉内側の庫内に取付けられたマグネットどうしの磁力によって取付けるもの(特開2002−257462号公報)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−69523号公報
【特許文献2】特開2002−257462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した特許文献1、2における接着剤やマグネットによってカーテンレールを取付ける対象となる冷蔵庫は家庭用冷蔵庫であるので、開口部が業務用冷凍・冷蔵庫と比較して小さいので使用するカーテンは、透明あるいは半透明の比較的厚みの薄い軽量な樹脂フィルムを利用したものとなっている。従って、軽量のカーテンを冷蔵庫の開口部に接着剤やマグネットによって取付けてもカーテンレールが妄りに開口部の貼着部分から外れることはない。
【0005】
しかし、業務用の冷凍・冷蔵庫は家庭用の冷蔵庫と比較して、庫内に人が出入りして収納されている食品を店内の食品収納部に運び出したり、運搬業者から送られてくる食品を収納したりするために扉となる開口部が大きいため、業務用の冷凍・冷蔵庫の扉に用いる冷気を逃がさないためのカーテンは、家庭用冷蔵庫に用いる程度のカーテンと比較して厚みが厚く重量が大であると共に大きさも大きく、従って、カーテンレールを接着剤で固定する場合には接着剤が固化するまで冷凍・冷蔵庫内で人手でレールを押さえ続ける必要がある等のカーテン設置作業性が悪く、また、マグネットだけで固定した場合には、人の出入り時に人がカーテンを庫内の壁面に対するマグネットの磁力方向と逆らう方向に押したり引いたりすることで、カーテンが落下するといった問題が発生した。
【0006】
そこで、接着剤やマグネットを使用することなく冷凍・冷蔵室の壁面にネジ止めすることも考えられるが、冷凍・冷蔵室の壁面はステンレス等の金属板で覆われているために、スーパー等の店舗の店員等の素人がカーテン設置作業を行おうとしてもネジ止めが難しく結局は専門業者に依頼しなければならないといった問題があった。
【0007】
また、冷凍あるいは冷蔵食品を収納する食品棚に収納さている食品は、閉店後の夜間においても冷凍・冷蔵し続けることが必要となるが、このような場合にも食品棚の壁面がステンレス等の金属板で覆われている場合は前記したと同様な問題が発生した。
【0008】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、カーテンを脱着自在に取付けるカーテンレールにマグネットを冷凍・冷蔵庫あるいは食品棚の壁面である磁性体の固定板に対して吸着可能に露出した状態で取付け、カーテンレールの接着辺に接着剤を塗布し、前記マグネットの磁力で固定体に仮固定されることで、素人でもカーテンレールを固定板の所定位置にズレることなく簡単に固定することができる業務用冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚用カーテンレールの取付構造を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の業務用冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚用カーテンレールの取付構造は、前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、金属板や合成樹脂で構成し、平坦面に形成された接着辺と、該接着辺の裏面側にカーテンを脱着自在に取付けることが可能なカーテン取付部と、該カーテン取付部の前記接着辺と対面する面に取付けられ、かつ、前記接着辺に形成された開口部に対して面一状態で臨むマグネットとより構成したカーテンレールであって、前記カーテンレールの前記接着辺に接着剤を塗布した状態で、冷凍庫・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚の磁性体で構成されている固定板に、前記接着辺を接着剤で貼り付け、かつ、この状態において前記マグネットが前記固定板に磁力によって前記カーテンレールを仮固定状態とすることで、前記接着辺の接着剤が密着状態で固化されて確実に固定されることを特徴とする。
【0010】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記カーテン取付部は、下方より折り曲げられ前記接着辺との間に隙間を介して形成された係合辺であって、該係合辺にカーテンと一体となったカーテン取付部材を引っ掛けて取付けるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の手段は、前記した請求項1において、前記カーテン取付部は、長手方向に沿って外側に突出した突出部に形成されたT字状の開口であって、該T字状の開口にカーテンと一体となった取付部材のT字状部を挿入して取付けるようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の手段は、前記した請求項1において、前記カーテン取付部の前記接着辺と対面する上下辺にマグネットを取付けると共に該上下に取付けられたマグネットと対向する前記接着辺に開口部を形成し、前記マグネットが開口部に対して面一状態で臨むようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は前記したように、カーテンレールに平坦面の接着辺を形成すると共に該接着辺の裏面側にカーテンを脱着自在に取付けることが可能なカーテン取付部を形成し、該カーテン取付部の前記接着辺と対面する面に取付けられ、かつ、前記接着辺に形成された開口部に対して面一状態で臨むマグネットとより構成し、前記接着辺に接着剤をマグネットの表面を含めて全体に塗布した状態で、冷凍庫・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚の磁性体で構成されている固定板に、前記接着辺を貼り付け、かつ、この状態において前記マグネットが固定板に磁力によって仮固定状態となっているので、カーテンレールを冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚の壁面に対して強固に固定でき、従って、冷凍・冷蔵庫の場合における人の出入り時にカーテンが押されてもガイドレールが外れることがなく、また、冷凍・冷蔵食品棚に対して夜間時にはカーテンを外し、営業開始時にはカーテンを取付けるといったことを頻繁に行ってもカーテンレールが外れることがないものである。
【0014】
また、カーテン取付部に、下方より折り曲げられ前記接着辺との間に隙間を介して下方先端部を形成し、該下方先端部にカーテンと一体となったカーテン取付部材を引っ掛けて取付けるようにした構成や、または、カーテン取付部が、長手方向の中心部で外側に向かって円弧状の突出部がT字状の開口部を形成し、かつ、該T字状の開口部にカーテンと一体となった取付部材のT字状部を挿入して取付けるような構成にしたので、冷凍・冷蔵食品棚に取付けられているカーテンレールに対してカーテンの取付けと取外しが簡単に行え、従って、営業時と夜間時における作業が簡単に行える。
【0015】
さらに、カーテン取付部の接着辺と対面する上下辺にマグネットを取付けると共に該上下に取付けられたマグネットと対向する前記接着辺に開口部を形成し、マグネットが開口部に対して面一状態で臨むようにしたので、カーテンレールの接着辺が上下方向に対して均一にマグネットの磁力で吸着され、従って、ガイドレールは均一に確実に固定板に対して仮固定され、接着辺と固定板との接着を確実に行うことができる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る業務用冷凍・冷蔵庫および食品棚用カーテンレールの取付構造の第1の実施例を示す分解斜視図である。
【図2】カーテンレールを固定板に固定しカーテンレールのカーテン取付部にカーテンを取付けた状態の正面図である。
【図3】カーテンレールにカーテンを取付ける状態の断面図である。
【図4】カーテンレールのカーテン取付部の上下にマグネットを取付けた状態の分解斜視図である。
【図5】カーテンレールに対するカーテンの取付構造が異なる他の実施例を示す分解斜視図である。
【図6】カーテンレールにカーテンを取付ける状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の業務用冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚用カーテンレールの取付構造を図面と共に説明する。
Aはスーパー等の食品売場に冷凍食品や冷蔵食品の品出しや収納を行う作業室内に設置された冷凍・冷蔵室の内壁面に形成されたステンレス等の磁性体の固定板である。
【0018】
次に、第1の実施例のカーテンレールの構造を図1〜図4と共に説明する。
1はステンレス等の錆が生じ難い金属や合成樹脂で構成されたカーテンレールにして、前記固定板Aと面一状態になるように形成され、かつ、後述するマグネット12の一面が面一状態で臨む開口11aが形成された接着辺11と、該接着辺11の上方および下方から前記接着辺11の背面側に隙間を介して折り返され、該折り返された係合辺がカーテン取付部13となっている。
【0019】
前記上方から折り返された辺はキャップマグネット12(ヨークで外周を覆い吸着力を強くしたマグネット、以下、単にマグネットという)を接着剤で固定するマグネット固定辺14となっている。そして、前記マグネット固定辺14は固定されるマグネット12の磁力面側が前記開口部11aに対して面一状態を維持するようなバネ性を有する構造となっているのが望ましい。
【0020】
2は透明あるいは半透明な比較的厚みの厚い材質の樹脂膜で構成されたカーテンにして、該カーテン2の1つの辺には金属板等の強度の高い材料で形成されたU字状の取付部材21が接着剤等によって固定されている。
【0021】
次に、カーテンレール1を冷凍・冷蔵室の固定板Aに取付けする方法について説明する。
先ず、カーテンレール1の接着辺11の全面(マグネット12の部分も含めて )に接着剤を塗布した状態で、冷凍・冷蔵室の固定板Aに前記接着辺11を貼り付ける。この状態においてカーテンレール1はマグネット12の吸着力で固定板Aに吸着され仮固定の密着状態となるので、接着剤が確実に乾燥固化するまでカーテンレール1が移動することなく所定の位置で固着されることとなる。
【0022】
また、冷凍食品や冷蔵食品を陳列する食品棚を閉店後に覆うカーテンの場合も前記した冷凍・冷蔵室の場合と同様に、食品棚の上方の前面あるいは背面に存在するステンレス等の磁性体で形成されている固定板にカーテンレール1をマグネット12で仮固定した状態で接着剤を乾燥固化させることで、カーテンレール1は確実に接着固定される。
【0023】
そして、固定板Aに取付けられているカーテンレール1のカーテン取付部13に対してカーテン2に取付けられているカーテン取付部材21を図3に示すようにカーテン取付部13の上方よりカーテン取付部材を引っ掛けることで、冷凍・冷蔵室の出入口を塞ぎ、また、冷凍・冷蔵食品を陳列する食品棚の開口部を覆うことで冷気の放出を防止できる。
【0024】
なお、前記マグネット12はカーテンレール1のマグネット固定辺14に対してカーテンレール1の長さに応じて複数個を取付けることで、カーテンレール1は固定板Aに対して強力に吸着される。また、マグネット12は実施例においては、マグネット固定辺14にのみマグネット12を取付けたものを示したが、カーテン取付部13側にも取付けることで接着辺11を、より確実にマグネット12によって仮固定状態とすることができる。
【0025】
なお、カーテン取付部13にもマグネット12を取付けた場合には、カーテン取付部材21のカーテン取付部13への取付け時にマグネット12が邪魔になるので、そのような場合にはカーテン取付部材21にマグネット12を避けるための切欠部21aを設けることで解消することができる(図4参照)。
【0026】
次に、第2の実施例のカーテンレールの構造を図5、図6と共に説明する。
3はステンレス等の錆が生じ難い金属や合成樹脂で構成されたカーテンレールにして、側面形において平坦面に形成された接着辺31と、該接着辺31の両端から折り返されて形成された端部32からなだらかなカーブを介して形成された略V字状に形成された頂部33とから形成されている。また、前記頂部33から端部32に渡ってT字状の開口であるカーテン取付部34が形成されている。
【0027】
このように形成したカーテンレール3の端部32の内面側にはマグネット35が接着剤で固定され、該マグネット35の磁力面側は接着辺31に形成された開口部31aに面一状態で臨んでいる。
【0028】
4は透明あるいは半透明な比較的厚みの厚い材質の樹脂膜で構成されたカーテンにして、該カーテン2の1つの辺には金属板等の強度の高い材料で形成されたT字状部41aを有する取付部材41が固定されている。
【0029】
次に、カーテンレール3を冷凍・冷蔵室の固定板Aに取付ける方法について説明する。
先ず、カーテンレール3の接着辺31の全面(マグネット35の部分も含めて )に接着剤を塗布した状態で、冷凍・冷蔵室の固定板Aに前記接着辺31を貼り付ける。この状態においてカーテンレール3はマグネット35の吸着力で固定板Aに吸着され仮固定の密着状態となるので、接着剤が確実に乾燥固化するまでカーテンレール3が移動することなく所定の位置で固着されることとなる。
【0030】
また、冷凍食品や冷蔵食品を陳列する食品棚を閉店後に覆うカーテンの場合も前記した冷凍・冷蔵室の場合と同様に、食品棚の上方の前面あるいは背面に存在するステンレス等の磁性体で形成されている固定板Aにカーテンレール3をマグネット35で仮固定した状態で接着剤を乾燥固化させることで、カーテンレール4は確実に接着固定される。
【0031】
そして、固定板Aに取付けられているカーテンレール3のカーテン取付部34に対してカーテン4に取付けられているカーテン取付部材41aを図6に示すようにカーテン取付部34の上方よりカーテン取付部材41aを引っ掛けることで、冷凍・冷蔵室の出入口を塞ぎ、また、冷凍・冷蔵食品を陳列する食品棚の開口部を覆うことで冷気の放出を防止できる。
【0032】
なお、図面にあっては、上下の端部32にマグネット35を固定したものを示したが、マグネット35は上下の何れかの端部32に取付けたものであってもよい。
【0033】
カーテンレールとしては前記した第1、2の実施例に限定されるものではなく、一般家庭等で使用されている通常のカーテンレール(棒状、下方に開口がありカーテンに取付けられている部材がスライドするもの等)の構造のものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
A 固定板
1,3 カーテンレール
11,31 接着辺
11a,31a 開口部
12,35 マグネット
13,34 カーテン取付部
2,4 カーテン
21,41 カーテン取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板や合成樹脂で構成し、平坦面に形成された接着辺と、該接着辺の裏面側にカーテンを脱着自在に取付けることが可能なカーテン取付部と、該カーテン取付部の前記接着辺と対面する面に取付けられ、かつ、前記接着辺に形成された開口部に対して面一状態で臨むマグネットとより構成したカーテンレールであって、
前記カーテンレールの前記接着辺に接着剤を塗布した状態で、冷凍庫・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚の磁性体で構成されている固定板に、前記接着辺を接着剤で貼り付け、かつ、この状態において前記マグネットが前記固定板に磁力によって前記カーテンレールを仮固定状態とすることで、前記接着辺の接着剤が密着状態で固化されて確実に固定されることを特徴とする業務用冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚用カーテンレールの取付構造。
【請求項2】
前記カーテン取付部は、下方より折り曲げられ前記接着辺との間に隙間を介して形成された係合辺であって、該係合辺にカーテンと一体となったカーテン取付部材を引っ掛けて取付けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の業務用冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚用カーテンレールの取付構造。
【請求項3】
前記カーテン取付部は、長手方向に沿って外側に向かって円弧状の突出部に形成されたT字状の開口であって、該T字状の開口にカーテンと一体となった取付部材のT字状部を挿入して取付けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の業務用冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚用カーテンレールの取付構造。
【請求項4】
前記カーテン取付部の前記接着辺と対面する上下辺にマグネットを取付けると共に該上下に取付けられたマグネットと対向する前記接着辺に開口部を形成し、前記マグネットが開口部に対して面一状態で臨むようにしたことを特徴とする請求項1記載の業務用冷凍・冷蔵庫および冷凍・冷蔵食品棚用カーテンレールの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−68349(P2013−68349A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206866(P2011−206866)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(509091619)株式会社エスコシステム (3)
【Fターム(参考)】