説明

楽器用ホルダー

【課題】子供や高齢者が使用する場合であっても、簡易に管楽器等を保持できる。
【解決手段】楽器を演奏可能な状態で携帯するための楽器用ホルダー1であって、楽器に嵌合される第1の環状部11と、第1の環状部11と連結され、楽器に嵌合される第2の環状部12と、第2の環状部12に連結され、楽器を吊下するストラップ部13と、第1の環状部11と第2の環状部12の連結部において、これら第1の環状部11及び第2の環状部12の径の大きさを調節する第1の調節部21と、第2の環状部12とストラップ部13の連結部において、第2の環状部の径の大きさを調節する第2の調節部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器用ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、楽器に取り付けられたストラップを首や肩から吊り下げる楽器用ホルダーが提案されている。この楽器用ホルダーは、例えば、管楽器等に使用される場合には、楽器の重量によって生じる指に係る負荷を軽減させるとともに、楽器が落下してしまうことを防止することができる。
【0003】
このような管楽器用のストラップには、例えば、特許文献1がある。この楽器用ホルダーでは、例えば、サックスやクラリネット等の管楽器に取り付け、両肩から吊り下げるとともに、腹部のベルトで固定することで、指に係る負荷を軽減させるとともに、使用者の首にかかる負担についても軽減させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−304936号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、首に巻き付ける首掛け帯や、腹部に巻き付ける補助帯等で構成され、首及び胸部を締め付けて固定するものであるため、例えば、子供や高齢者などにとってはその使用方法が煩雑であり、楽器用ホルダーを装着又は脱着するという作業が煩雑であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、子供や高齢者が使用する場合であっても、簡易に管楽器等を保持できる楽器用ホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、楽器を演奏可能な状態で携帯するための楽器用ホルダーであって、楽器に嵌合される第1の環状部と、第1の環状部と連結され、楽器に嵌合される第2の環状部と、第2の環状部に連結され、楽器を吊下するストラップ部と、第1の環状部と第2の環状部の連結部において、これら第1の環状部及び第2の環状部における径の大きさを調節する第1の調節部と、第2の環状部とストラップ部の連結部において、第2の環状部における径の大きさを調節する第2の調節部とを備える。
【0008】
このような発明によれば、第1の環状部及び第2の環状部における径の大きさを調節して楽器を嵌合し、楽器を嵌合した状態でストラップ部を首や手に掛けることで、楽器を吊下して保持することができるので、複雑な装着又は脱着の作業を要せず、簡易に管楽器等を保持することができる。また、本発明では、第1の環状部及び第2の環状部における径の大きさを調節可能としているので、例えば、クラリネットなどの管楽器や、トライアングル、ギロ、ウッドブロック、タンバリン、マラカス、カバサ、クラベス、及びマレット等の大きさや形状が異なる様々な楽器に対応して保持することができる。
【0009】
上記発明において、ストラップ部は、第2の調節部に係止された一対の紐部材で形成され、一対の紐部材の端部を相互に重ね合わせた重複部を有し、重複部の両端には、一方の紐部材の端部が係止されるとともに、他方の紐部材が挿通される重複長調節部を有することが好ましい。この場合、重複部は紐部材が二重となるため、重量のある楽器を吊下した場合であっても、首に係る負荷を軽減させ、長時間の使用が可能となる。特に、本発明では、重複長調節部を他方の紐部材上に挿通させる構成となっているため、他方の紐部材上の位置を変更させることができるので、ユーザや楽器に対応して、ストラップ部の環状の径を調節することができる。
【0010】
上記発明において、第1の環状部における、楽器と最下位置で接触する部分に取付けられた滑止部材をさらに備えることが好ましい。この場合には、楽器と接する部分に大きな摩擦力が生じ、楽器が第1の環状部から抜け落ちてしまうことを防止することができる。なお、この滑止部材としては、例えば、ゴムなどの弾性体や、接着テープなどの粘着性を有する部材が含まれる。
【0011】
上記発明において、第1の環状部は、紐部材の両端を第1の調節部で係止して環状に形成され、第2の環状部は、紐部材の、第1の調節部で係止された部分の余剰部分を第2の調節部で係止して環状に形成され、ストラップ部は、紐部材の、第2の調節部で係止された部分の余剰部分で形成されていることが好ましい。この場合には、一本の紐部材によって、第1の環状部、第2の環状部、及びストラップ部を形成させることができるので、簡易に楽器を吊下して保持することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように、この発明によれば、子供や高齢者が使用する場合であっても、簡易に管楽器等を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る楽器用ホルダーの全体構成を示す外観図である。
【図2】実施形態に係る楽器に楽器用ホルダーを嵌合させた一例を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係る楽器用ホルダーを首にかけて楽器を吊下した状態を示す説明図である。
【図4】実施形態に係る滑止部材の変更例を示す斜視図である。
【図5】変更例に係る調節部の貫通孔の内部構造を示す側面図である。
【図6】変更例に係る楽器用ホルダーの全体構成を示す外観図である。
【図7】変更例に係る楽器用ホルダーの全体構成を示す外観図である。
【図8】変更例に係る留め具の構成を示す平面図である。
【図9】変更例に係る使用時における留め具の係止状態を示す説明図である。
【図10】変更例に係る留め具の構成を示す平面図である。
【図11】変更例に係る使用時における留め具の係止状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る楽器用ホルダーの実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る楽器用ホルダー1の全体構成を示す外観図であり、図2は、本実施形態に係る楽器に楽器用ホルダーを嵌合させた一例を示す斜視図であり、図3は、本実施形態に係る楽器用ホルダーを首にかけて楽器を吊下した状態を示す説明図である。なお、本実施形態では、楽器としてリコーダーを用いた場合を例に説明する。
【0015】
楽器用ホルダー1は、楽器3を演奏可能な状態で携帯するための楽器用のストラップであって、図1に示すように、一本の紐部材10の両端が留め具51により固定されている。そして、この紐部材10をふたつ折りにして重ねた状態で、複数の調節部20(21,22,23,24)を紐部材10,10上の所定位置に係止させることで、第1の環状部11と、第2の環状部12と、ストラップ部13とが形成されるようになっている。
【0016】
紐部材10は、伸縮性のある軟質合成樹脂、革、布又は繊維で形成された紐であり、楽器3を嵌合して首から吊下することができる程度の所定の長さを有している。また、本実施形態において、紐部材10は、その断面が略円形となるように形成されているが、本発明は、これに限定するものではなく、例えば、扁平な帯状としてもよい。
【0017】
留め具51は、合成樹脂や、金属製、或いは木製で形成され、紐部材10,10を纏めて括り、固定する部材である。本実施形態において、留め具51は、紐部材10,10の両端10a,10b部分に固定されており、紐部材10を環状に形成させている。
【0018】
調節部20(21,22,23,24)は、ガラス材や金属、陶器、硬質樹脂、或いは木製部材等により球状や多角形に形成され、内部を貫通する貫通孔20a(21a,22a,23a,24a)を有するビーズ部材である。そして、本実施形態では、この貫通孔20a(21a,22a,23a,24a)に紐部材10,10を挿通させることで、紐部材10,10上の所定位置を係止するとともに、摺動可能となっている。特に、本実施形態において、貫通孔20a(21a,22a,23a,24a)の径は、2本の紐部材10,10の径の合計よりも若干小さく設定されており、貫通孔に摺動抵抗を与えるようになっている。これにより、調節部20の摺動には多少の押圧力が必要とし、通常時は紐部材10,10上の所定の位置で固定されるようになっている。
【0019】
そして、これらの調節部20(21,22,23,24)を、紐部材10,10上の所定位置に固定させることで、第1の環状部11と、第2の環状部12と、ストラップ部13とを形成させている。詳述すると、先ず、第1の環状部11は、紐部材10の略中心から所定位置離れた紐部材10,10を第1の調節部21で係止させることで、紐部材10の先端側に環状を形成させている。第2の環状部12は、図1に示すように紐部材10,10の、第1の調節部21で係止された部分の余剰部分を第2の調節部22で係止させることで、環状に形成されている。特に、本実施形態では、第2の環状部12は、第1の環状部11と連結されており、第1の調節部21が摺動されることで、第1の環状部11及び第2の環状部12の径の大きさを調節するようになっている。
【0020】
ストラップ部13は、第2の環状部12と連結されており、紐部材10,10の、第2の調節部22で係止された部分の余剰部分で形成されている。特に、本実施形態では、ストラップ部13には第2の環状部12と連結されており、第2の調節部22が摺動されることで、ストラップ部13及び第2の環状部12の径の大きさを調節するようになっている。さらに、ストラップ部13には、第3の調節部23、及び第4の調節部24を備えており、第3の調節部23と第4の調節部24が摺動されることで、首や手を掛けるための環状13aを形成させている。
【0021】
具体的には、第3の調節部23は第2の調節部22側に配置され、第3の調節部23が摺動されることで、環状13aの最下位置を決定させるとともに、第2の調節部22から環状13aの最下位置までの長さを調節可能としている。また、第4の調節部24は、留め具51側に配置され、第4の調節部24が摺動されることで、第3の調節部23から留め具51までに至る範囲に環状13aを形成させるとともに、この環状13aの径の大きさを調節可能としている。
【0022】
なお、本実施形態では、第1の環状部11には滑止部材41が取り付けられている。この滑止部材41は、例えば、ゴムなどの弾性や、接着テープなどの粘着性を有する部材によって形成され、紐部材10を挿通させる貫通孔41aを有し、楽器3と最下位置で接触する部分に配置されている。本実施形態において、この滑止部材41は、ゴムなどの弾性や、接着テープなどの粘着性を有する部材で構成したが、本発明は、これに限定するものではなく、楽器3の落下を防止することができればよく、例えば、図4に示すように、調節部20(21,22,23,24)と同様なビーズ部材42を用いてもよい。
【0023】
そして、このような楽器用ホルダー1を楽器3に嵌合させる場合には、先ず、図2に示すように、第1の環状部11に楽器3を挿通させ、楽器3の頭部管32と中部管34の間に生じる凸部33の下部に滑止部材41を配置させ、第1の調節部21を摺動させることで、第1の環状部11の径の大きさを調節して、第1の環状部11を楽器3に嵌合させる。
【0024】
また、第1の環状部11が楽器3に嵌合された後に、第2の環状部12に楽器3を挿通し、第2の調節部22が頭部管32に位置するように配置させ、第2の調節部22を摺動させることで、第2の環状部12の径の大きさを調節して、第2の環状部12を楽器3に嵌合させる。なお、本実施形態では、滑止部材41を凸部33の下部に配置させたが、本発明は、これに限定するものではなく、例えば、表面に凹凸がない頭部管32上に滑止部材41を配置させてもよい。この場合であっても、第1の調節部21と、第2の調節部22とを摺動させて、第1の環状部11と、第2の環状部12とを楽器3に嵌合させることで、楽器3を楽器用ホルダー1によって、しっかりと保持することができる。
【0025】
次いで、第2の環状部12を楽器と嵌合させた後に、第3の調節部23を摺動させ、第2の調節部22から環状13aの最下位置までの長さを決定させる。そして、図3に示すように、ストラップ部13の環状13aをユーザ2の首に掛けるとともに、第4の調節部24を摺動させることによりその径の大きさを調節し、楽器3を吊下させるようになっている。このように第4の調節部24によって、環状13aの径を調節させることで、第4の調節部24と留め具51との間の紐部材10,10は纏められることとなる。また、第2の調節部22と第3の調節部23との間の紐部材10,10についても纏められることとなり、楽器3等が引っ掛かることを防止することができる。
【0026】
なお、本実施形態において、調節部20は、紐部材10,10を挿通させる貫通孔20aを有するビーズ部材としたが、本発明はこれに限定するものではなく、紐部材10,10を挟み込み、強く留めるとともに、第1の環状部11,第2の環状部12、及びストラップ部13の径の大きさを調節させることができればよく、種々の変更を加えることができ、例えば、内部のバネやスプリングの弾性力で紐部材10,10を把持するクリップ等を用いてもよい。
【0027】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、第1の環状部11及び第2の環状部12の径の大きさを調節して楽器3を嵌合し、楽器3を嵌合した状態でストラップ部13を首や手に掛けることで、楽器3を吊下して保持することができるので、複雑な装着又は脱着の作業を要せず、簡易に管楽器等を保持することができる。また、本発明では、第1の環状部11及び第2の環状部12の径の大きさを調節可能としているので、大きさや形状が異なる様々な楽器3に対応して保持することができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、第1の環状部11における、楽器3と最下位置で接触する部分に取り付けられた滑止部材41をさらに備えているので、楽器と接する部分に大きな摩擦力が生じ、楽器3が第1の環状部11から抜け落ちてしまうことを防止することができる。
【0029】
さらに、本実施形態によれば、第1の環状部11は、紐部材10の両端を第1の調節部21で係止して環状に形成され、第2の環状部12は、紐部材10の、第1の調節部21で係止された部分の余剰部分を第2の調節部22で係止して環状に形成され、ストラップ部13は、紐部材10の、第2の調節部22で係止された部分の余剰部分で形成されているので、一本の紐部材10によって、第1の環状部11、第2の環状部12、及びストラップ部13を形成させ、簡易に楽器を吊下して保持することができる。
【0030】
さらに、本実施形態によれば、ストラップ部13は、第3の調節部23、及び第4の調節部24を備えており、第3の調節部23と第4の調節部24が摺動されることで、首や手を掛けるための環状13aを形成させているので、様々な楽器3やユーザの体型などに対応して保持することができる。
【0031】
[変更例]
なお、上述した各実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。図5は、本変更例に係る調節部の貫通孔の内部構造を示す側面図である。なお、本変更例において、上述した実施形態及び変更例と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0032】
上述した実施形態において、調節部20(21,22,23,24)の貫通孔20a(21a,22a,23a,24a)は、両端にそれぞれ一つの開口部が設けられた構成となっているが、本発明はこれに限定するものはなく、例えば、図5(a)に示すように、一方の端部は一つの開口部25が設けられ、他方の端部には2つの開口部26,27が設けられ、開口部25と開口部26,27とがそれぞれ、連通する構成としてもよい。さらに、この開口部26,27の径は、紐部材10の径よりも若干大きく設定され、開口部25の径は、開口部26,27の径よりも大きく、且つ、2本の紐部材10,10の径の合計よりも若干小さく設定されている。
【0033】
これにより、2本の紐部材10,10を調節部20(21,22,23,24)に挿通する際、それぞれの開口部26,27側から1本ずつ紐部材10を挿入させることで、簡易に紐部材10,10を貫通孔20a(21a,22a,23a,24a)に挿通させ、調節部20(21,22,23,24)に係止させることができる。
【0034】
一方、開口部25の径は2本の紐部材10,10の径の合計よりも若干小さく設定されているので、2本の紐部材10,10が挿通した状態では、開口部25部分の摺動に多少の押圧力が必要となり、調節部20(21,22,23,24)を紐部材10,10上の所定の位置で固定させるようになっている。
【0035】
また、例えば、図5(b)に示すように、2つの貫通孔28,29を設け、それぞれの貫通孔28,29に1本の紐部材10を挿通させる構成としてもよい。この際、貫通孔28,29の径は、紐部材10の径よりも若干小さく設定され、調節部20の摺動には多少の押圧力が必要とし、通常時は紐部材10,10上の所定の位置で固定されるようになっている。
【0036】
また、上述した実施形態では、第4の調節部24によって、環状13aの径の大きさを調節する構成としたが、例えば、図6に示すように、第4の調節部24を使用せずに、第3の調節部23のみで環状13aの径の大きさを調節する構成としてもよい。また、この場合、留め具51は、紐部材10の両端10a,10bにそれぞれ設けられ、通常時は両者が結合することで環状13aを形成し、一定以上の外力が加わった際に紐部材10を利用者から切り離すことが可能な安全機能付きの留め具57を用いてもよい。この場合には、例えば、ストラップ部13を子供が引っぱるなどした場合でも即時に環状13aが解除されるため、ユーザの安全性を確保することができる。
【0037】
また、上述した実施形態において、留め具51は、紐部材10,10の両端10a,10bに固定される構成としたが、紐部材10,10を固定できる手段であればよく、例えば留め具51の中心を貫通する貫通孔51aを有し、つまみを押圧することにより貫通孔51aが開き、紐部材10,10を挿通させる構成としてもよい。また、留め具51は、内部のバネやスプリングの弾性力で紐部材10,10を把持する構成としてもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、紐部材10の両端に設けられた留め具51,51を係止させてストラップ部13を環状に形成させ、第3の調節部23、及び第4の調節部24によって環状13aの径を調節する構成としたが、ストラップ部13に環状13aを形成させればよく、以下のような変更を加えることができる。図7は、本変更例に係る楽器用ホルダーの全体構成を示す外観図である。
【0039】
本変更例では、図7に示すように、ストラップ部13は、第2の調節部22に係止された一対の紐部材10,10で形成され、一対の紐部材10,10の端部10a,10bを相互に重ね合わせた重複部14を有しており、第3の調節部23が係止された部分から重複部14に至る範囲で環状13aを形成させている。そして、本変更例において、重複部14の両端14a,14bには、重複部14の長さを調節する重複長調節部52,52を有する構成としている。
【0040】
この重複長調節部52,52は、一つの貫通孔52aに2本の紐部材10,10を挿通させることで紐部材10,10を係止するビーズ部材を用いており、貫通孔52aは、2本の紐部材10,10の合計の径よりも大きな貫通孔を有しており、容易に紐部材10,10上をスライド移動可能となっている。そして、それぞれの重複長調節部52,52は、一方の紐部材の端部10a,10bに係止されるとともに、他方の紐部材10,10は貫通孔52a,52aに挿通されるようになっている。そして、重複長調節部52,52を摺動させることで、重複部14の長さを変更し、環状13aの径の大きさを調節可能としている。
【0041】
なお、本変更例において、紐部材10,10の両端10a,10bには、貫通孔52aよりも径の大きいストッパー15,15が設けられており、重複長調節部52,52が紐部材10,10から外れてしまうことを防止している。
【0042】
このような構成により、ユーザがストラップ部13を首に掛けた場合に、重複長調節部52,52が首の側部に位置されることとなる。その結果、重量のある楽器3を吊下した場合であっても、重複長調節部52,52が首を押圧することがなく、また、紐部材が二重になるため、首に係る負荷を軽減し、長時間の使用が可能となる。さらに、重複部14において一対の紐部材10,10が重ね合わされて二重となっているため、ユーザとの接触面積が大きくなり、摩擦抵抗が増大することから、ストラップ部13がずり落ちにくくなる。また、摩擦抵抗が増大することにより、重複長調節部52,52の紐部材に対する締付力を小さくすることができ、重複部14の長さ調節の際、重複長調節部52,52の操作時における抵抗を小さくすることができ、操作性を向上させることができる。
【0043】
また、本変更例では、この紐部材10,10に位置固定部材60,60が設けられている。位置固定部材60,60は、例えば、ゴムやビニルなどの軟性合成樹脂によって管状に形成され、重複長調節部52と第2の調節部22との間の紐部材10に取り付けられ、スライド移動可能となっている。
【0044】
この位置固定部材60,60は、重複長調節部52,52の貫通孔52a,52aに嵌め込むことができる程度の大きさとなっており、位置固定部材60,60を重複長調節部52,52の貫通孔52a,52aに差し込むことで、摩擦力を生じさせ、重複長調節部52,52を固定させることで、ストラップ部13の環状13aの径を維持するようになっている。
【0045】
なお、本変更例において、重複長調節部52,52は一つの貫通孔に2本の紐部材10,10を挿通させる構成としたが、本発明はこれに限定するものではなく、種々の変更を加えることができる。図8、及び図10は、本変更例に係る重複長調節部53(54,55)の構成を示す平面図であり、図9、及び図11は、本変更例に係る使用時における重複長調節部56の係止状態を示す説明図である。
【0046】
例えば、図8に示すように、ビーズ部材を2つ連結させた一対の重複長調節部53を用いてもよい。本変更例における一対の重複長調節部53は、重複部14の両端14a,14bに設けられ、一方の重複長調節部55,55は一方の紐部材の端部10a,10bに係止されるとともに、他方の重複長調節部54,54は他方の紐部材10,10に挿通されるようになっている。
【0047】
本変更例において、一方の重複長調節部55、及び他方の重複長調節部54には、それぞれビーズ部材を貫通する貫通孔54a,55aを有しており、貫通孔54a,55aは、紐部材10の径より若干大きめな径を有している。
【0048】
そして、重複長調節部53,53は、他方の重複長調節部54,54が、反対側に配置された一方の重複長調節部55,55から第2の調節部22に至る範囲の紐部材10,10上をスライド移動可能となっている。
【0049】
このような構成により、本変更例では、図8(b)に示すように、他方の重複長調節部54,54をスライド移動させて他方の紐部材10,10の両端10a,10b近傍に位置させることで、ストラップ部13の環状13aの径を最大とすることができ、容易に首に掛けることができる。また、使用時には、図8(a)に示すように、他方の重複長調節部54,54をスライド移動させ、紐部材10の両端10a,10bから所定距離に位置させることで、ストラップ部13の径の大きさを調節でき、ユーザに応じたストラップ部13の径に調節することができる。
【0050】
また、このような構成を有する一対の重複長調節部53には、使用時において、ストラップ部13の径の大きさを維持する機能も備えている。
【0051】
詳述すると、楽器用ホルダー1に楽器3を嵌合した場合、ストラップ部13を首に掛けない状態では、楽器3の重量により、紐部材10,10には下方に向けてテンションが生じることで、一対の重複長調節部53,53には、図9に示すように、一方の重複長調節部55,55には、上方に向けてテンションが発生し、他方の重複長調節部54,54には、下方に向けてテンションが発生する。そのため、重複長調節部53,53は、紐部材10の両端10a,10b近傍までスライド移動させることができ、ユーザは、スムーズにストラップ部13の径を適切な大きさに拡げることができる。
【0052】
さらに、本変更例の構成では、ストラップ部13を首に掛けた場合には、首の後方に位置する重複部14には摩擦力が生じて固定されるため、一対の重複長調節部53,53を支点として、左右に分かれた紐部材10,10が互いに力点、作用点とって引き合うこととなり、固定される。これにより、一対の重複長調節部53,53は、紐部材10,10上をスライド移動することがなく、ストラップ部13の環状13aの径を維持した状態で、楽器3を保持するようになっている。また、位置固定部材60,60を貫通孔56b,56bに差し込むことで、さらに、ストラップ部13の径の大きさを維持することができる。
【0053】
また、他の変更例では、図10に示すように、それぞれの紐部材10,10を貫通する貫通孔56a,56bを2つ有する円盤状の重複長調節部56,56を重複部14の両端14a,14bに配置させる構成としてもよい。具体的に、重複長調節部56は、円盤状の側面を貫通する2つの貫通孔56a,56bを有しており、この貫通孔56a,56bは紐部材10の径よりも若干大きな径を有している。
【0054】
そして、本変更例では、重複長調節部56,56の一方の貫通孔56a,56aに一方の紐部材の端部10a,10bを挿通させて係止する。また、他方の貫通孔56b,56bには、他方の紐部材10,10を挿通させて、反対側に配置された重複長調節部56,56から第2の調節部22に至る範囲に亘って、スライド自在な状態となっている。
【0055】
このような構成により、本変更例では、他方の貫通孔56b,56bをスライド移動させて他方の紐部材10,10の両端10a,10b近傍に位置させることで、ストラップ部13の環状13aの径を最大とすることができ、容易に首に掛けることができる。また、使用時には、他方の貫通孔56b,56bをスライド移動させ、他方の紐部材10の両端10a,10bから所定距離を有する位置に位置させることで、ストラップ部13の径の大きさを調節でき、ユーザに応じたストラップ部13の径に調節することができる。
【0056】
また、このような構成を有する重複長調節部56にも、ストラップ部13の径の大きさを維持する機能も備えている。具体的には、ストラップ部13を首に掛けた場合、首の後方に位置する二重の紐部材10,10には摩擦力が生じて固定されるため、図11に示すように、重複長調節部56,56を支点として、左右に分かれた紐部材10,10が互いに力点、作用点とって引き合うこととなり、固定される。これにより、重複長調節部56,56は、紐部材10,10上をスライド移動することがなく、ストラップ部13の環状13aの径を維持した状態で、楽器3を保持するようになっている。また、位置固定部材60,60を貫通孔56b,56bに差し込むことで、さらに、ストラップ部13の径の大きさを維持することができる。
【0057】
さらに、重複長調節部56の表面56cは、例えば、ゴムなどの弾性や、接着テープなどの粘着性を有する部材によって形成され、肩と接する面に一定の摩擦力を生じさせるようになっている。これにより、より重複長調節部56の係止状態は維持されるので、ストラップ部13の径の大きさを維持することができる。なお、本変更例において、重複長調節部56,56は、円盤状の形状としたが、本発明は、これに限定するものではなく、種々の形状を用いることができ、例えば、球状や多角形に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
CL1,CL2,CL3,CL4,CL5,CL6…中心線
CP1,CP2…中心点
L1,L2…所定距離
P1,P2,P3,P4…接点
1…楽器用ホルダー
2…ユーザ
3…楽器
10…紐部材
10,10…紐部材
10a,10b…両端
11…第1の環状部
12…第2の環状部
13…ストラップ部
13a…環状
14…重複部
14a,14b…端部
20…調節部
20a…貫通孔
21…第1の調節部
22…第2の調節部
23…第3の調節部
24…第4の調節部
25,26,27…開口部
28,29…貫通孔
31…唄口部
32…頭部管
33…凸部
34…中部管
41…滑止部材
41a…貫通孔
42…ビーズ部材
51…留め具
52,53,56…重複長調節部
51a,52a,54a,55a,56b…貫通孔
54…一方の重複長調節部
55…他方の重複長調節部
56c…表面
57…留め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器を演奏可能な状態で携帯するための楽器用ホルダーであって、
前記楽器に嵌合される第1の環状部と、
前記第1の環状部と連結され、前記楽器に嵌合される第2の環状部と、
前記第2の環状部に連結され、前記楽器を吊下するストラップ部と、
前記第1の環状部と前記第2の環状部の連結部において、これら第1及び第2の環状部の径の大きさを調節する第1の調節部と、
前記第2の環状部と前記ストラップ部の連結部において、前記第2の環状部の径の大きさを調節する第2の調節部と
を備えることを特徴とする楽器用ホルダー。
【請求項2】
前記ストラップ部は、前記第2の調節部に係止された一対の紐部材で形成され、前記一対の紐部材の端部を相互に重ね合わせた重複部を有し、
前記重複部の両端には、一方の紐部材の端部が係止されるとともに、他方の紐部材が挿通される重複長調節部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の楽器用ホルダー。
【請求項3】
前記第1の環状部における、前記楽器と最下位置で接触する部分に取付けられた滑止部材をさらに備えることを特徴する請求項1又は2に記載の楽器用ホルダー。
【請求項4】
前記第1の環状部は、紐部材の両端を前記第1の調節部で係止して環状に形成され、
前記第2の環状部は、前記紐部材の、前記第1の調節部で係止された部分の余剰部分を前記第2の調節部で係止して環状に形成され、
前記ストラップ部は、前記紐部材の、前記第2の調節部で係止された部分の余剰部分で形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の楽器用ホルダー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−247713(P2012−247713A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121066(P2011−121066)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(508164345)
【Fターム(参考)】