構成変更可能な靴及び服飾品とそのドッキングアセンブリ
服飾品又は装備品の用品の外観又は材料特性を調節する方法が、本明細書に記載されている。また、変更可能な意匠を有する意匠物品が、本明細書に記載されている。一般に、この意匠物品は、(1)マイクロ流体回路と(2)入口及び出口を備え、変更可能な意匠は、ドッキングシステムを用いてマイクロ流体回路に流体を送達することによって調節することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、服飾品又は装備品の用品の外観又は材料特性の調節に関し、特に、外観又は材料特性の流体操作とその調節(modulation)に関し、(1)用品内のマイクロ流体回路と、(2)入口及び出口と、(3)マイクロ流体回路に流体を送達するドッキングシステムとを含む。
【背景技術】
【0002】
色で自己表現したいという願望が常に存在している。従来は、服飾品、装備品、若しくは他の用品の外観又は材料特性の調節を可能とするために、別個の構成要素が必要となり、例えば、異なる服装、異なるベルト、又は異なる色の車両と靴を調和させるには、別個の靴が必要であった。更に、服飾品、スポーツ用品、及び他の用品は、しばしば、一つ又は複数の意匠特徴が入った形で消費に供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、このような意匠特徴は不変である。消費者が、既に所有する物品について異なる意匠特徴のものを持ちたいと望む場合、一般に、その物品の二つ目の種類を購入することになる。単に新しい意匠を得るために、同一の物品について二種類以上購入するのは極めて非効率的である。本明細書では、こうした非効率を克服する物品及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、2009年8月13日出願の米国仮出願第61/233,776号の利益を主張するものであり、上記出願を参照により本明細書に組み込む。
【0005】
本明細書には、改変可能な一つ又は複数の意匠要素を有する物品が記載されている。いくつかの例では、本明細書に記載の物品又は意匠要素は流体回路を備える。一般に、この流体回路は、流体が出入りする(例えば、入口から進入し、出口から退出する)ことができる少なくとも一つの開口(例えば、入口及び/又は出口)を有する。特定の例では、この流体回路は液体回路である。更なる、又は代替の実施形態では、この流体回路はマイクロ流体回路である。
【0006】
服飾品(例えば、履物、靴、ベルト、バックパック、帽子、ブレスレット、リストバンド、シャツ、スカーフ、宝石、眼鏡、服地、剥離紙、繊維等)、装備品(例えば、スケートボード、ローラーブレード、スノーボード、手袋、パッド、電気器具、コンピュータ、電子製品、小物、玩具等)、及び他の立体物(看板、企業アート、企業ロゴ、軍用車両、軍用武装具、ヘルメット、車体パネル、家庭用品、家具、テーブル天板、壁、絵画等)等の用品において、本発明の実施形態は、用品内に一つ又は複数のマイクロ流体回路を組み込んで、その用品の色又は他の材料特性を調節可能とすることを実現する。特定の実施形態では、こうした調節は、用品の使用者が容易に実現することができる。
【0007】
一実施形態では、本明細書に記載のマイクロ流体回路は、用品の下位構造(例えば、意匠要素)に巻き付く。本明細書に記載のマイクロ流体回路への入口及び出口は、その用品のポート部分内の同じ場所に配置することができる。ある実施形態では、入口及び出口は、蒸発又は逆流を軽減する弁、蓋、又は他の封止部を担持することができる。いくつかの例では、ポートによって、マイクロ流体回路をドッキングステーションに接続し易くしている。具体的には、有用なポートによって、マイクロ流体回路とドッキングステーションとの間(例えば、マイクロ流体回路の入口及び/又は出口とドッキングステーションから延びるコネクタとの間)の連結境界で良好な封止を実現することができる。特定の実施形態では、コネクタは、雌型ポートに対する雄型の補完体である。ある実施形態では、ドッキングステーションは、ポンプ、ミキサ、弁、一つ又は複数の色カートリッジ、コネクタ、廃液室、コンピュータ制御インターフェース、それらの組合せ、又は上記の全てを備える。ある実施形態では、ユーザは、色、又は色の組合せを選択することができ、これらの色は、ドッキングステーション内で混合され、用品のマイクロ流体回路内に分注される。他の実施形態では、ドッキングステーションは、用品に接続されると、流体を分注して回収する加圧カートリッジで構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の好ましい一実施形態を示す図である。
【図2】靴を構築する好ましい一実施形態を示す図である。
【図3】暗色から相対的に明色に変更するように動作中のマイクロ流体回路の好ましい一実施形態を示す図である。
【図4】陥凹ポート内に隠された入口弁及び出口弁の実施形態を示す図である。
【図5】陥凹ポート内に隠された複数の入口弁及び出口弁を示す図である。
【図6】単一のマニホルドに一体化された複数の入口及び出口を有するコネクタ構造の例を示す図である。
【図7】マイクロ流体回路内で流体の均質な分散を促進するミキサを有するマイクロ流体回路の例を示す図である。
【図8】複数のマイクロ流体チャネルからなるマイクロ流体回路の例を示す図である。
【図9】単一の蛇行チャネルを有するマイクロ流体回路の例を示す図である。
【図10】靴に組み込まれた単一の蛇行チャネルを有するマイクロ流体回路の実施を示す図である。
【図11】一つのマスタポンプと複数の弁とを有する基本となるドック構成の例を示す図である。
【図12】流体を回路に引き込む一つのマスタポンプを有するドック構成の例を示す図である。
【図13】各流体ラインのそれぞれが独立したポンプを有するドック構成の例を示す図である。
【図14】粗面チャネル、及び流体カートリッジに接続された入力ポートを有するミキサ構成の例を示す図である。
【図15】分流及び再合流を利用して、圧縮された経路長内で混合を促進する別のミキサ構成の例を示す図である。
【図16】時間的調節パラダイムにおける弁作動の時系列の例を示す図である。
【図17】用品の色を変更する作業の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の好ましい一実施形態を示す図である。図1は、二つのマイクロ流体回路1002及び1003を有する靴1001を示す。図1Aは、マイクロ流体回路内に色がない靴を示す。図1Bは、第1の回路1002に暗色が充填され、回路1003に明色が充填された場合の結果を示す図である。図1Cは、回路1002に暗色が充填され、回路1003に中間明度色が充填された状態を示す図である。
【0010】
図2は、靴を構築する好ましい一実施形態を示す図である。マイクロ流体回路2001は、靴の全周に巻き付く流体経路となる。弁2002からマイクロ流体回路にアクセスすることが可能である。マイクロ流体回路を靴2003に固締する際、弁2002は、目立たないように靴の背面、踵、靴底、又は裏面に陥凹させることができる。更に、マイクロ流体回路の一部の範囲を、靴2003の連続層の下方に隠して、最終的な意匠要素を成形する助けとすることができる。
【0011】
図3は、暗色から相対的に明色に変更するように動作中のマイクロ流体回路の好ましい一実施形態を示す図である。ドッキングさせると、入口弁3001及び出口弁3002によって、相対的に明色の流体を、マイクロ流体回路に先に充填されていた相対的に暗色の流体と入れ替えることが可能となる。回路のある範囲が靴の連続層の下方に隠されているので、この実施形態では、ユーザには靴のつま先周辺では色が移動する様子は見えない。空気又は他のスペーサ流体を、マイクロ流体回路内に注入して、後続の色を隔離することができる。
【0012】
図4は、陥凹ポート4003内に隠された入口弁4001及び出口弁4002の実施形態を示す図である。ポート4003は、日常的な摩耗から弁を保護する働きをし、コネクタへの機械的結合を補助する。図4の靴は、単一のマイクロ流体回路を含む。
【0013】
図5は、陥凹ポート5003内に隠された複数の入口弁5001及び出口弁5002を示す図である。この実施形態では、靴は、その用品の特定の範囲内で色を独立に制御することを可能とする複数のマイクロ流体回路を含む。ある実施形態では、用品への接続を簡単にするために、複数のマイクロ流体回路を低圧ノードで収束させている。
【0014】
図6は、単一のマニホルドに一体化された複数の入口及び出口6002を有するコネクタ6001構造の例を示す図である。このコネクタは、ポート6003へ摺動する。これら二つの片は、雄型/雌型係止機構6004を介して定位置に嵌まり合う。コネクタをポートに嵌合させると、ばね式封止部6005が押し戻されて、ポート側6006で回路が開く。また、この封止部によってコネクタに十分な圧力が加わり、チャネルの両側間で漏れのない流体接続が促進される。このコネクタは、マニホルド上面に、漏れ防止を補助する追加の封止部を有することができる。また、このコネクタは、接続時のフィードバックを可能とする電気信号を搬送することができる。
【0015】
図7は、マイクロ流体回路内で流体の均質な分散を促進するミキサ7002を有するマイクロ流体回路7001の例を示す図である。
【0016】
図8は、複数のマイクロ流体チャネルからなるマイクロ流体回路8001の例を示す図である。ある実施形態では、各チャネルは、レンズの働きをするように断面を半円で構築することができる。ある実施形態では、靴に最も近接したマイクロ流体回路の平坦な下面に反射層を含めて、色がよく見えるようにすることができる。
【0017】
図9は、単一の蛇行チャネル9002を有するマイクロ流体回路9001の例を示す図である。この蛇行チャネルの幅は約0.35〜1.05mmであり、チャネル間(壁)の間隔は0.40〜0.45mm程度である。
【0018】
図10は、靴に組み込まれた単一の蛇行チャネルを有するマイクロ流体回路の実施を示す図である。間近で見ると、蛇行チャネルの個々の折返しが見える。遠くから見ると、マイクロ流体回路の色は連続しているように見える。
【0019】
図11は、一つのマスタポンプと複数の弁とを有する基本となるドック構成の例を示す図である。この構成では、回路中に押し込まれる流体を調節するために、ドッキングステーションの内側にある弁によって、各ラインの流動に対する抵抗を変更する。この構成は、空気圧弁の役割を果たすことになる。接続すると、ドッキングステーションで生成された圧力によって、用品の逆止め弁が開き、それによって流体が用品の範囲を通って流れ進み、ドッキングステーションに戻って、廃液室内に回収されることになる。廃液室は、空気中に開放して蒸発可能とするか、又はユーザが取り外して通常に廃棄することができる。
【0020】
図12は、流体を回路に引き込む一つのマスタポンプを有するドック構成の例を示す図である。作動弁によって流体ラインの抵抗を変更し、ミキサを介して引き込まれる各種流体のレベルを調節する。
【0021】
図13は、各流体ラインのそれぞれが独立したポンプを有するドック構成の例を示す図である。作動弁は、含まれない。
【0022】
図14は、粗面チャネル、及び流体カートリッジ(図示せず)に接続された入力ポート14001を有するミキサ構成の例を示す図である。この粗面チャネル14002によって、混合が可能となる。例えば、チャネル底部に沿ったヘリンボーン溝によって誘起されたカオス流によって、空間的に混合が圧縮される。ミキサから出た流体は、コネクタ14003に入り、マイクロ流体回路を通って流れ、その後コネクタを通って戻り、廃液室に流れ込む。
【0023】
図15は、分流及び再合流15001を利用して、圧縮された経路長内で混合を促進する別のミキサ構成の例を示す図である。
【0024】
図16は、時間的調節パラダイムにおける弁作動の時系列の例を示す図である。
【0025】
図17は、用品の色を変更する作業の流れの例を示す図である。ユーザは、コンピュータ17001(又は、この例ではアイフォン(iPhone))を、USBコネクタ17003を介してドッキングステーションに接続する。ユーザは、流体コネクタ17004を靴のポート17005に取り付ける。接続されると、コネクタは点灯して、接続が行われたことを示すフィードバック17006をユーザに与える。コンピュータ17001のグラフィカルユーザインターフェースを用いて、ユーザは、変更したい用品17007の範囲を選択し、次いで、適切な色を送達するようにドッキングステーションに指示する。このドックは、一時に一つ又は複数の用品を充填するように構成することができる。靴の場合、このドックは、一度で一足の靴を充填するように構成することができる。
【0026】
本発明のある実施形態は、服飾品(例えば、履物、靴、ベルト、バックパック、帽子、ブレスレット、リストバンド、シャツ、宝石、眼鏡、服地、剥離紙、繊維等)、装備品(例えば、スケートボード、ローラーブレード、スノーボード、手袋、ホッケーパッド、電気器具、コンピュータ、電子製品、小物、玩具等)、及び他の立体物(看板、企業アート、企業ロゴ、軍用車両、軍用武装具、ヘルメット、車体パネル、家庭用品、家具、テーブル天板、壁、絵画等)等の用品の外観又は材料特性の調節に関するものである。いくつかの実施形態では、流体チャネル(例えば、液体、特に着色液体を内部に含むマイクロ流体チャネル)を備える用品(例えば、服飾物品、スポーツ物品等)が本明細書に記載されている。特定の実施形態では、流体チャネルは、入口及び出口を更に備える流体回路の一部であり、これらの入口と出口は、流体チャネルによって接続されている。更に、本発明のいくつかの実施形態は、外観及び/又は材料特性の流体操作とその調節に関し、マイクロ流体回路と、流体システムへの入口及び出口と、用品に流体を送達するドッキングシステムとを含む。
【0027】
本明細書に記載のある実施形態は、用品の外観又は材料特性の調節を可能とするマイクロ流体回路を備える用品(図1)を提供する。スウッシュ(swoosh)、ストライプ、意匠の輪郭に沿ったリブ、ロゴ、背景要素等の形の一つ又は複数のマイクロ流体回路を用品に組み込むことができる(図2)。また、マイクロ流体回路は、用品の大部分を取り囲むことができ、場合によっては、例えば、ベルト、スケートボード、ヘルメット、企業ロゴ、オートバイパネル等では、用品の外面のほぼ全面を成す。本明細書に記載の好ましい実施形態では、マイクロ流体回路は、入口、出口、及び半透明又は透明のマイクロチャネル(すなわち、マイクロチャネルの少なくとも一部分が半透明且つ/又は透明である)システムを備え、そのマイクロチャネル内に流体を流すことができる(図3)。本明細書に記載のマイクロ流体チャネル構造は(流体チャネル及びチャネル間の壁を含めて)、用品の表面の100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、又は5%まで被覆することができる。マイクロ流体チャネル構造は、用品の表面の1〜100%、1〜10%、10〜95%、1〜50%、10〜50%、20〜50%、20〜100%、30〜100%、又は他の適切な任意の範囲を被覆することができる。
【0028】
本明細書に記載のある実施形態では、本明細書に記載の意匠物品は、その内部、又は表面上に組み込まれたマイクロ流体回路を備える。特定の実施形態では、マイクロ流体回路は、物品の内部、又は外面上に組み込まれている。ある実施形態では、組み込まれたマイクロ流体回路、又はマイクロ流体回路を備える型が、物品の下になる表面部分に取り付けられ(例えば、そこに縫い付けられる、そこに接着される等)、又はそれ自体が表面の一部を成す(例えば、物品の下になる表面は必要でない)。いくつかの実施形態では、マイクロ流体回路の少なくとも一つの区画(この語は、本明細書では、マイクロ流体回路の一部分と同義として使用するものであり、必ずしもマイクロ流体回路のいかなる下位構造も意味するものではない)(例えば、透明又は半透明の壁区画等、マイクロ流体チャネルの壁区画)を、服飾品又は装備品の外面に露出させる。更に、いくつかの実施形態では、少なくとも一つの透明又は半透明の壁区画を、服飾品又は装備品の表面に露出させ、服飾品又は装備品の表面とマイクロ流体チャネルとが接触して見えるようにする(すなわち、流体、又はその構成部分が、物品の外側から見える)。ある実施形態では、マイクロ流体回路の外面又は壁の100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、又は5%まで、1〜100%、1〜10%、10〜95%、1〜50%、10〜50%、20〜50%、20〜100%、30〜100%、或いは他の所望の任意の範囲が、半透明又は透明の材料を含む。
【0029】
本明細書に記載の更なる実施形態では、変更可能な意匠特徴を有する服飾品又は装備品の物品を製造する方法であって、物品の内部、又は物品の表面上にマイクロ流体回路を組み込むステップからなり、このマイクロ流体回路は、マイクロ流体チャネルと入口と出口を備え、このマイクロ流体チャネルは、物品の外面と接触して見える少なくとも一つの区画を有している方法が提供される。
【0030】
いくつかの実施形態では、服飾品又は装備品の物品の外観又は材料特性を調節する方法であって、服飾品又は装備品に組み込まれており、服飾品又は装備品の外面と接触して見える少なくとも一つの区画を有するマイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップからなり、このマイクロ流体回路が、マイクロ流体チャネルと入口と出口を備え、このマイクロ流体チャネルによって入口と出口が物品内で接続されている方法が提供される。
【0031】
第一の実施形態では、一つ又は複数のマイクロ流体回路が、履物用品の外面に組み込まれている。一実施形態では、マイクロ流体回路の入口及び出口は、靴の踵背面に隠されたポート内に収容されている。この例では、ドッキングステーションに接続することによって、ユーザは、靴の外面の色を所望の色に合うように変更することが可能となる。ある実施形態では、マイクロ流体回路は、靴の外面の75%を被覆するように構成され、例えば、チャネルを、合成皮革の甲革、舌革、及び靴底に組み込むことができる。他の実施形態では、マイクロ流体回路は、靴の外面の25%を被覆するように構成され、例えば、マイクロ流体回路は、白色の革靴を背景にして、図案化されたロゴ、及び靴の外周に沿った装飾リブを成す。更に他の実施形態では、マイクロ流体回路は、ポリウレタン又はポリ塩化ビニルの剥離紙にマイクロ流体回路を直接組み込んでおき、次いでこの剥離紙でハイヒール靴のパッド及びストラップを形成することによって、靴の上部外面の100%を成すように構成されている。更に別の実施形態では、マイクロ流体回路は、一足のサンダルのストラップを被覆するように成型することによって、靴の外面の10%を形成している。別の実施形態では、マイクロ流体回路を靴の下位構造に組み込み、帆布又は綿布等の多孔材料で被覆して、その材料の間隙から色が見えるようにしている。更に他の実施形態では、マイクロ流体回路の組合せによって、自己表現の仕方が多数提案され、例えば、靴の外面の50%に剛性のポリカーボネートマイクロ流体回路を目立たせ、靴の別の15%を、先芯を被覆し、靴紐穴の周りを取り囲む軟性のポリウレタンマイクロ流体回路で被覆する。ある実施形態では、マイクロ流体回路は、ポリウレタンから製造されている。他の場合では、マイクロ流体回路は、ポリ塩化ビニル、合成多孔皮革、プラスチック皮革(pleather)、クラリーノ(Clarino)、ポリカーボネート、又は他の合成皮革材料から製造される。
【0032】
また、マイクロ流体回路は、用品の範囲全体に亘って様々な流体を搬送して、用品の外観に加えて、用品の材料特性を調節することができる。例えば、マイクロ流体回路内の流体を交換することによって、外観に加えて、用品の手触り、感触、剛性、又は粗度を調節することができる。一実施形態では、任意選択で、金属微粒子ゾルを小分子染料の水性懸濁液と入れ替えて、軟質のマイクロ流体回路(例えば、軽度に架橋したポリウレタン製)を不規則に膨張させ、それと同時に、以前の平滑で、均質、且つ明色の表面の代わりに、その用品の表皮に沿って隆起した反射バンプ(bump)を生成することができる。別の実施形態では、靴の熱特性及び硬度を調節するために、任意選択で、熱容量の大きい加熱した紫色のラベンダ香料入りポリエチレングリコール溶液を靴のベースに注入して、低温の金属微粒子溶液と入れ替える。更に別の実施形態では、マイクロ流体回路を、人形玩具用の衣料物品として成型し、その色(例えば、若草色)を任意選択で磁性の光沢色に入れ替え、それによって他の磁性要素をその玩具の服飾品に付着させることを可能としている。
【0033】
マイクロ流体回路内に搬送することによって変更することができる他の材料特性には、用品の光学的特性(例えば、色、反射率、吸収度)、香り、熱特性(例えば、熱容量、熱伝達率)、機械的特性(例えば、剛性、粗度、圧力)、電磁的特性(例えば、常磁性、強磁性、導電性)、治療的特性、又は化学的特性(例えば、蛍光性、化学発光性)が含まれる。
【0034】
(コネクタと用品との間の弁)
ある実施形態では、マイクロ流体回路の開口(例えば、入口及び/又は出口)は、弁を含む。この実施形態では、入出力弁は、隔壁弁、逆止め弁、ボール弁、マルチポート弁、マイクロ流体弁、ピンチ弁等から構築することができる。好ましい一実施形態では、マイクロ流体回路弁は、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、及びポリイミド(PI)のパッシブダイナミック逆止め弁で構成される。様々な実施形態では、弁は、適切な任意の寸法を有することができ、例えば、寸法が約2×0.5mmでよい。更に、様々な実施形態では、弁は、流体チャネルに至る適切な任意の構造及び/又は接続部を有することができ、例えば、約2×17mmで内容量が2〜5nLのステンレス鋼管に埋め込むことができる。本明細書に記載の回路に使用される弁は、適切な任意の容量の流体を回路に送達することができる。例えば、上述のもの等の実施形態では、好ましい弁は、前進圧力が7.25psiで、0.10〜0.30mL/s送達することができる。ある実施形態では、任意選択で、常閉弁をフィルタに結合させている。他の実施形態では、一つの又は各弁は、任意選択で、コネクタによって搬送された電気信号によって作動し、用品上の様々な意匠要素への流動を可能とする常閉ソレノイド弁である。この実施形態では、ドッキングステーションからの一本の流体ラインを、任意選択で、用品のポート内で複数のマイクロ流体回路に分割し、上述の能動弁を介在させて各意匠要素に流している。
【0035】
ある実施形態では、弁は、任意選択で、ポート、例えば、硬質プラスチックポート等の保護ポート内に収容することによって摩耗から保護されている(図4、図5)。ポートは、任意選択で、靴内に陥凹しており、例えば、靴底の切欠き部内、踵の背面内、又は他の適切な任意の位置に隠されている。また、ポートは、成型ガイド、傾斜部、スナップ、レバー、雄型/雌型溝等によって、ドッキングステーションのコネクタに簡単に挿入し、位置合せし易くなるように製造することができる。図6は、マイクロ流体回路弁に同時に連結し、それらの弁を開くコネクタの例を示す。逆止め弁を使用した実施形態では、ドッキングステーションからの圧力の増大によって用品の弁が開くことになる。単純な隔壁弁を使用した他の実施形態では、封止部を押しのけて用品中の流体ラインに入るピンを備えたコネクタを使用することができる。
【0036】
(マイクロ流体回路の材料及び構築)
本明細書に記載の用品(例えば、服飾品)のマイクロ流体回路は、適切な任意の材料で構築することができる。ある実施形態では、マイクロ流体回路又はマイクロ流体チャネルの構造は、適切な任意の材料、又は材料の組合せによって(例えば、少なくとも一つの開口のある壁で)包囲された、(流体を含む、又は流体がその内部を流れることができる)空隙を備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体回路又はチャネルは、(全体、又は一部が)ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(glycol modified polyethylene terphthalate)、ポリジメチルシロキサン等の透明プラスチック、並びに服飾品及び/又はスポーツ用品に適した他の透明若しくは半透明プラスチックで構築される。マイクロ流体回路は、剛性、半剛性の成型部品で、又は他の実施形態では、可撓性の成型部品で構成されたものでよい。成型及び封止工程の一実施形態では、マイクロ流体回路の二つの半体を射出成型し、部分的に架橋させてから、位置合せして封止を行う。二つの半体の位置合せは、部分的に硬化させた用品を成型機から定位置に移し、真空圧を用いて上片を保持し、次いで二つの半体を一体に押圧する自動ジグを使用することによって容易にすることができる。様々な実施形態では、封止ステップは、圧力、熱、酸、UV光露光、UVオゾン露光を使用し、重合反応が完了に向かうにつれて、部分的に架橋した半体同士が相互に結合することが可能となるまで待つステップ等を含み、且つ/又は上記によって実現される。他の実施形態では、封止ステップは、圧力、熱、UV光露光、又は時間を適用する前に、二つの層間に接着剤(化学接着剤、マルチパートエポキシ、光硬化性化合物、又は酸浸漬等)を付着するステップを含む。他の構築方法は、任意選択で、(砂糖、澱粉、セルロース等の水溶性、又は回路の二つの半体を損なわない穏やかな有機溶剤に可溶性の)可溶性固形物を用いて、チャネル内腔のポジティブ型を構築し、次いでポリマー型に配置する工程を含む。この実施形態のいくつかでは、型に充填して回路を完全に硬化させた後、このアセンブリを溶剤に浸漬してチャネル内腔型を除去するか、又は回路中に溶剤を注入してポジティブ型を溶解させる。
【0037】
いくつかの実施形態では、意匠特徴又は意匠型は、複数のマイクロ流体チャネル及び/又はマイクロ流体回路を備える。ある実施形態では、この意匠特徴若しくは意匠型は、別の意匠特徴若しくは意匠型、又は他の材料に取り付けるための縫付け部分又は取付け部分を備える。いくつかの例では、縫付け部分は、例えば、マイクロ流体チャネルのない部分、又はマイクロ流体チャネルが封止された部分、又はその他の形で流体源に接続されていない或いは接続することができない部分を含むことができる。いくつかの例では、一つ又は複数のマイクロ流体回路は、用品の外面に縫い付ける又は接着することができるように、材料の外側周縁部を十分広くして、その細い外側周縁部を回路に組み込むように成型することができる。様々な実施形態では、縫付け部分又は取付け部分、すなわち周縁部は、本明細書に記載の物品を組み立てるのに適した任意の寸法のものでよい。例えば、周縁部は、好ましくは幅が5mm以下である。他の実施形態では、周縁部は、幅が30mm程度であり、これは、製造中にマイクロ流体回路の外側周縁部を靴型の上から引き込む場合に有用である。他の実施形態では、意匠特徴、意匠型、又はマイクロ流体回路の他のアセンブリは、適切な別の形で取り付けられるので、この縫付け/取付け部分、又は周縁部を備えず且つ/又は必要でない。また、例えば、マイクロ流体回路は、接着剤、エポキシ等を用いて、用品に取り付け且つ/又は製造することができる。
【0038】
他の実施形態では、例えば、スケートボードデッキ又はスノーボードデッキの場合、マイクロ流体回路(例えば、意匠型)は、用品の表面に直接封止された埋込みチャネルを含む、単一の透明プラスチック層から形成することができる。いくつかの実施形態では、この種の構築法は、厚い接着剤の層を用品に付着させ、その接着剤の上面にチャネルを押し付けることができる装備品への使用に適している。
【0039】
他の実施形態では、マイクロ流体チャネル/回路構成(例えば、意匠型)は、透明/半透明材料(例えば、プラスチック)に取り付けられた裏張り材料を組み込む。この実施形態では、裏張り材料は、接着工程によって用品に固締することができ、又は縁部周りで若しくは指定の取付け点で用品に縫い付けることができる。この実施形態では、裏張り材料によって、反射面(例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを使用)、又は不透明の白色背景(例えば、ポリエチレン)等の追加の光学的特徴を与えることができる。
【0040】
更に別の実施形態では、流体チャネル/回路構成の、内腔を備え、露出した、又は透明の部分を備えた表面を改変、処理、又はコーティングして、色を調節するために使用する染料が付着する、吸収される、又は着色するのを低減している。これらの処理及び材料選択には、内腔を疎水性染料に対して親水性にする、親水性染料に対して疎水性にする、無極性染料に対して帯電させる、並びに染料及び内腔が共に親水性又は疎水性となるように選択することが含まれる。また、これらの処理は、プラスチック外面をラミネート、コーティング、又は他の形で封止することによって、マイクロ流体回路のポリマー構造からの蒸発を低減させる働きをする。
【0041】
いくつかの例では、マイクロ流体回路の実施形態は、反射光を最大にして、最も光沢のある可変色の服飾品及び装備品を構築するものであり、他の例では、マイクロ流体回路の実施形態は、表面の質感のパターンを、皮革の質感に合わせた反射光パターンにする、又はプリズム状のエンボス加工を行って表面に光沢を加える、又は表面をマイクロレンズ状にして、歪曲効果をもたらすことを含めて、光を拡散し、歪曲させている。マイクロ流体回路の他の実施形態は、圧電駆動又はバッテリ駆動のLEDから伝導した光の使用を組み込む。他の実施形態では、色を調節することができるように、液晶、ナノインク、電子インク、OLED、LED、又はナノ粒子懸濁液等の能動要素を使用して補助している。
【0042】
(流体回路)
本明細書に記載のシステムの流体回路は、長さ、深さ、直径、幾何形状等を含めて、適切な任意の寸法を有するチャネルを備える。様々な実施形態では、流体回路の内部チャネルは、円形、正方形、楕円形、角錐形、三角形等である。いくつかの実施形態では、チャネルの内径は、液体(例えば、着色液体)を充填したときに所望の意匠特徴を実現するのに適した任意のチャネルである。特定の実施形態では、本明細書に記載のチャネルの内径は、流体チャネルに沿って混合及び拡散を最小限に抑えられるほど小さい。ある実施形態では、本明細書に記載の流体チャネル又はマイクロ流体チャネルの寸法(例えば、深さ、幅、又は直径)は、少なくとも0.1ミクロン(μm)、0.1ミクロンから10mm、0.1ミクロンから1mm、0.1ミクロンから100mm、1ミクロンから1mm、1ミクロンから500ミクロン、10ミクロンから1mm、10ミクロンから0.5mm、50ミクロンから500ミクロン、又は他の適切な任意の直径である。更に、様々な実施形態では、流体回路に沿った異なるチャネル区画にもやはり、様々な寸法を持たせることができる(例えば、流体回路に沿ったある点では、直径を10ミクロンとし、回路に沿った他の位置では、直径を20ミクロンとすることができる等)。
【0043】
更に、様々な実施形態では、流体回路の壁(すなわち、流体チャネルの周囲)は、適切な任意の厚さのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムのマイクロ流体チャネル間の壁は、マイクロ流体チャネルの表面構成及び/又は裏面構成を形成している壁よりも狭い。いくつかの実施形態では、平行したチャネル間の壁幅は、1ミクロンから10mm、又は10ミクロンから1mm、50ミクロンから1mm、50ミクロンから500ミクロン、50ミクロンから250ミクロン、100ミクロンから500ミクロン、200ミクロンから500ミクロン、300ミクロン、400ミクロン等である。
【0044】
この流体システムの容量は、用途の経済的側面を推進しつつ、一方で見た目に美的満足が得られるほど十分な色濃度が維持されるように、優位的に最小限に抑えられている。ある実施形態では、このことは、回路のチャネル深さを非常に薄く、10〜1,000μm程度にすることに換言される。他の実施形態では、回路のチャネル深さは、300〜700μm程度である。他の実施形態では、垂直範囲は、レイノルズ数が2,300を大幅に下回る範囲である。他の実施形態では、流体チャネルは、流体チャネルの壁に隣接した境界層を排除するために、プラグ流を助長するように構成される(アリス、ラザフォード「流体力学のベクトル、テンソル、及び基礎方程式」ドーヴァー出版、ニューヨーク、1962年(Aris, Rutherford. Vectors, Tensors, and the Basic Equations of Fluid Mechanics. New York: Dover Publications, Inc., 1962)、パントン、ロナルド L.「非圧縮流」第二版、ジョンワイリーアンドサンズ、ニューヨーク、1996年(Panton, Ronald L. Incompressible Flow, Second Edition. New York: John Wiley & Sons, Inc. 1996)、上記文献をこの開示により本明細書に組み込む)。マイクロ流体のある実施形態では、意匠要素の機械的特徴によって、染料をマイクロ流体回路内に注入する際に混合を促進し(図7)、これらの機械的特徴には、例えば、溝付きチャネル、テスラミキサ(Tesla mixer)、T流構成及びY流構成、交差指形/二叉流動分散構造、流動圧縮集束構造、分流及び再合流の反復構造、流動障害物、ジクザグチャネル、及び他の受動マイクロ混合設計又はマイクロ弁設計等、適切な任意のマイクロ流体混合機構が含まれる。他の実施形態では、各マイクロ流体回路は、単独の色又は色シリーズを搬送する複数(一つ又は複数)のチャネルを備える(図8)。マイクロ流体回路意匠の例には、スウッシュ(swoosh)、バー、ストライプ、星、つま革、靴紐穴等、又は靴の外面の大部分の形までもが含まれる。また、マイクロ流体回路は、立体用品の外面全体を成すことができる。例えば、バックパックのパネル、ベルトの外面部、企業ロゴの文字、ローラーブレード外面のプラスチックシェル、又は軍用車両の識別パネル(例えば、赤外染料又はナノ粒子の組合せによって伝達することができる)がある。また、マイクロ流体回路は、単一のチューブをバックパック、帽子、靴の周縁部、又は他の服飾品及び装備品のストライプとして簡単に形成することもできる。
【0045】
好ましい実施形態では、単一の蛇行チャネルを各意匠要素全体に亘って編み込んで、より高圧の経路内に空隙が生じないようにする(図9)。最適なチャネル幅は、0.05mm〜5mmの範囲内で変動可能であり、平行したチャネル間の間隔(壁幅)は0.05〜1mmである。例示的な一実施形態では、チャネルの壁幅は0.40mmから0.45mmであり、チャネル幅は、蛇行経路の部分に依存して、任意選択で0.35mmから1.05mmの範囲内で変動する。チャネル深さが約0.5mm、チャネル経路の全長が2,500mm程度のこの実施形態では、充填容量は500〜600μL(0.5〜0.6mL)となり、充填時間は3.2psiで約64秒となる。更に別の例示的な実施形態では、最小のチャネル壁の幅は0.1mm、最大のチャネル壁の幅は0.65mmであり、チャネル幅は、蛇行経路の部分に依存して0.35mmから1.25mmの範囲内で変動する。チャネル深さが約0.5mm、チャネル経路の全長が2,000mm程度のこの実施形態では、充填容量は400〜500μL(0.4〜0.5mL)となり、充填時間は12psiで約15秒となる。チャネル断面がより大きく、経路長がより短く、また、充填圧力がより高くなるほど、充填時間はより短くなる。図10は、蛇行チャネル概念を靴で実施した様子を示す。
【0046】
(ドッキングステーション構成)
ある実施形態では、ドッキングステーション(ドック)を用いて任意選択で流体を混合し、最終的に用品内に流体を配送する。ある実施形態では、ドックは、ポンプ、作動弁、色カートリッジ、混合要素(ミキサ)、流体コネクタ、廃液室、それらの組合せ、又は上記の全てを備えることができる(図11、図12)。他の実施形態では、各流体チャネルは、それ自体のポンプを担持している(図13)。ポンプを独立に制御することによって、ドック内に作動弁を不要とすることができる。
【0047】
(ドッキングステーション内のミキサ設計)
ドッキングステーション内での様々な流体(例えば、原色等の異なる色)の混合は、例えば、溝付きチャネル、テスラミキサ(Tesla mixer)、T流構成及びY流構成、交差指形/二叉流動分散構造、分流及び再合流の反復構造、流動障害物、ジクザグチャネル、カオス混合、又は他の受動マイクロ混合設計、分流、流体力学的集束、毛細管分流及び再合流、流動ツイスト、カオス移流、音響混合、表面弾性波、加熱、電磁式、磁気式、拡散、又は当業者に既知のマイクロ流体チャネル内で混合する他の能動方法を含めて、適切な任意の形で実現することができる。ミキサ設計の例を図14及び図15に示す。
【0048】
(流体の調節)
異なるレベルの構成流体(すなわち、シアン、マゼンタ、黄、黒、白、又は鮮明な着色流体、或いは赤、緑、及び青色の流体、又は光沢性、蓄光性、蛍光性、及び無光沢性の、又は高温、低温、香料入り、治療性、磁性、防腐性、粘性、非ニュートン性の流体)を様々な比率で混合して、幅広い色パレット、質感、治療的特性、及び他の材料特性を生成することができる。調節の様々な種類は、アナログ様式、デジタル様式、又は時間的様式に大別することができる。
【0049】
アナログ調節では、各ラインの圧力を変動させることによって、又は圧力が単一の場合には各ラインの抵抗を変動させることによって、各流体の量を変えることができる。各流体ラインが、独立したポンプによって押し出される場合、ポンプ圧力は、流体が多いと高く、流体が少ないと低くなる。この実施形態では、用品の前進弁圧力を上回る比較的一定の圧力に全体の注入圧力を平衡させると有用となり得、例えば、全圧力の合計を3〜12psiの範囲で維持することができる。
【0050】
第2のアナログ調節方法では、マスタポンプを回路内に配置し、弁によって各ラインの抵抗を調整する。弁及びポンプは、流体カートリッジの前後のどちらにでも配置することができ、流体ラインに、すなわち流体に直接作用するか、又は各カートリッジに通じる気道に作用する。一実施形態では、各流体ラインは、そのライン全体に亘る相対的な抵抗を調整する抵抗弁を含む。アナログ抵抗調節のある実施形態では、流体ラインを圧縮して抵抗を増大させるために、様々な大きさの力でチューブを押圧する間接弁を設けることができる。或いは、間接弁によって、各流体カートリッジに至る空気流を抑制することができる。別のアナログ実施形態では、流体経路が、弁の抵抗要素を直接通過している。アナログシステムでは、(間接弁の場合等)流体レベルの較正を長期に亘って適応させる必要が軽減される使い捨てチューブが有効となる傾向がある。弁は、例えば、ダイアフラム(diaphragm)、ステッパモータ駆動式のねじ、又はソレノイド弁によって作動させることができる。
【0051】
第1のデジタル実施形態では、各流体カートリッジは複数の弁に接続され、各弁は、バイナリの性質のものであり、流動有り又は流動無しのいずれかを実現する、例えば、ソレノイド弁である。単一の流体がより高い比率で求められる場合、より多数のバイナリ弁が開く。この実施形態によって、明確に画定されたパレットが可能となり、流体選択の較正が容易になる。例えば、各カートリッジが四つの弁を有する場合、各弁は、それ自体のソレノイドによって駆動され、四色の流体(CMYK)がある場合、44=256色のパレットを生成することができる。
【0052】
時間的調節は、各カートリッジからのバイナリ流を弁(又は独立したポンプ)によって制御することに依存している。この実施形態では、弁は、相対的なデューティサイクルのスケジュールに従って開閉するようにパルス化される。ソレノイド弁(流体チャネルにつき一つ)は、この手法に特に良く適している。流体はマイクロ流体ミキサ内で再合流するので、出力流は、デューティサイクルのサイクル数とミキサ経路長との総体を反映することになる。経路長がより短く、調節時間がより速くなるほど、流体パケット間の切替えがより高解像度になる。デューティサイクルのスケジューリングの例を図16に示す。
【0053】
(マイクロ流体回路内の流体交換)
マイクロ流体回路内の流体を交換するには、いくつかの方法があり、本明細書に記載の回路の流体は、適切な任意の形で除去して挿入することができる。例えば、電気泳動式、電気浸透式、誘電泳動式、電熱式の流動、電磁式、又は他の種類の起電式流動、或いは(圧電ポンプ、ダイアフラム、蠕動ポンプ、容積式ポンプ、回転ポンプ、手動操作のベローズポンプ等を含めて)圧力ベースの流動がある。好ましい一実施形態では、外寸が約30×15×4mm、6mL/分の圧電ダイアフラムポンプが、各流体チャネルに配置されている。別の実施形態では、用品の流出部の後に2ローラ式の蠕動ポンプを配置して、流体をマイクロ流体回路中に引き込み、この場合、独立した弁を用いて、回路内を流れる各流体のレベルを調節することになる。
【0054】
別の実施形態では、予め混合された単一の流体を含むカートリッジと、回路に流体を送達するコネクタとが設けられる。この実施形態では、カートリッジを予め加圧しておくことができ、また、用品に接続された際に開く弁をカートリッジに含めることができる。或いは、ユーザは、カートリッジの一端部に取り付けられたベローズ、シリンジ、又はバルブを用いて、用品内に流体を手動で注入することができる。
【0055】
マイクロ流体回路内の流体の交換は、任意選択で、マイクロ流体回路を流し出さずに、回路内に残留した流体を交換することによって実現される。一実施形態では、一塊の空気又は不混和性流体を新たな流体の前に先行させて、残留した流体との混合を防止することができる。或いは、一塊の不混和性流体を導入せずに、回路内に導入される流体の構成レベルを連続的に変えることによって、外観又は材料特性に階調を付けることができる。本明細書に記載のある実施形態で使用される不混和性流体は、マイクロ流体回路全体に亘って、その流動プロファイルを実質的に変更してしまうほど十分な濃度を有する流体を含むことができる。
【0056】
一実施形態では、マイクロ流体回路の全容量が、単一色の流体、又は同一の材料特性を有する流体で充填される。更に他の実施形態では、マイクロ流体回路を一連の流体パケット(回路の全容量よりも少ない流体容量)で充填して、複数色の要素又はストライプ要素を生成することができる。更に別の実施形態では、ごく小容量の一連の分量(aliquot)をマイクロ流体回路に順次流し込んで、像を生成することができる。
【0057】
(流体の組成)
本明細書に記載の回路、用品、又はシステムに使用される流体には、適切な又は望ましい任意の流体が含まれる。特定の実施形態では、流体は、ゲル又は液体である(例えば、溶液、懸濁液、コロイド、乳濁液等)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の液体は着色液体である。更なる又は代替の実施形態では、本明細書に記載の液体は、金属粒子、磁性粒子、反射性粒子等の懸濁物を備える。
【0058】
着色流体は、エチル-[4-[[4-[エチル-[(3-スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル]-(4-ヒドロキシ-2-スルホフェニル)メチリデン]-1-シクロヘキサ-2,5-ジエニリデン]-[(3-スルホフェニル)メチル]、ジソジウム6-ヒドロキシ-5-((2-メトキシ-5-メチル-4-スルホフェニル)アゾ)-2-ナフタレン-スルホナート、又は2,2'-ビス(2,3-ジヒドロ-3-オキソインドリリデン)(2,2'-Bis(2,3-dihydro-3-oxoindolyliden))等の小分子で構成されたものでよい。また、流体は、粒子懸濁液又はポリマー溶液で構成されたものでもよい。ある実施形態では、粒子は、優位的には、染料分子と共有結合(若しくは吸着)させた直径が50〜200nmのポリマーナノ粒子から作成することができ、又は構成によっては、20〜50μmまででもよい。例えば、濃度が0.99〜1.01g/ccのPMMA又はポリエチレン粒子を、最適な水懸濁物として使用することができる。二色性、半透明、不透明、蛍光性、虹彩性、乳白色、磁性、金、銀、薬剤送達、長期放出(long-release)、赤外、又は極めて反射性の高い粒子を用いて、用品に追加の特質を付与することができる。また、小分子染料又は顔料は、伸長鎖ポリマー(すなわち、ポリエチレングリコール、PMMA等)に結合させ、溶媒中に懸濁させて流体チャネルが着色するのを軽減することができる。流体は、小分子、官能化ポリマー、ナノ粒子、微粒子、又はそれらの組合せで構成されたものでよい。
【0059】
ある実施形態では、色分子が共有結合によって付着、吸着、混合、又はその他の形で取り付けたられた染料、顔料、ポリマー染料、ナノ粒子、若しくは微粒子で構成された流体を用いることによって、光学的特性を変えることができる。他の実施形態では、小有機化合物、揮発性芳香族化合物、香水等で構成された流体を用いることによって、香りを変えることができる。他の実施形態では、窒化ホウ素、アルミニウム、銅粒子、セラミック、金属粒子、又は他のポリマーで構成された流体を用いて、熱伝導率を増大させることによって、熱特性を変えることができる。他の実施形態では、高濃度のポリエチレングリコール等の高粘度の液体で構成された流体を用いて、服飾品又は装備品の剛性を制御することによって、機械的特性を変えることができる。他の実施形態では、揺変性、剪断増粘性、剪断減粘性、又は他の非ニュートン性の流体を加えて、服飾品又は装備品の弾性係数を調節することができる。他の実施形態では、大微粒子で構成された流体を用いて、マイクロ流体回路を膨張させて、服飾品又は装備品に質感を加えることによって、機械的特性を変えることができる。他の実施形態では、鉄粒子で構成された流体を用いて、服飾品又は装備品のChiを増大させることによって、電磁的特性を変えることができる。他の実施形態では、非ステロイド性抗炎症化合物、コルチコステロイド、リドカイン等の局所麻酔剤、血管拡張剤、血管収縮剤、又は防腐剤等の医薬化合物で構成された流体を用いることによって、治療的特性を変えることができる。この実施形態では、服飾品又は装備品との相互作用、例えば、治療用靴での歩行、治療用ベストを着用した体熱、治療用リストバンドの屈曲によって、マイクロ流体回路の多孔性又は通気性を高めることができる。
【0060】
(カートリッジ及び染料材料)
本明細書に記載のシステムのいずれかに使用されるカートリッジは、適切な任意の形を取ることができる。一実施形態では、本明細書に記載のカートリッジは、乾性及び/又は湿性の色材料のいずれかを含むプラスチック容器を備える。カートリッジが流体を含むある実施形態では、カートリッジは、着色流体がカートリッジから排出されるにつれて、カートリッジの空隙内に膨張していくコンプライアントな(compliant)プラスチック袋で上面を封止することができる。カートリッジは、ルアロック(luer locks)、チューブ、隔壁弁等によって混合マニホルドに接続することができる。ドックに挿入する前は、カートリッジは、タブ又は弁によって封止しておくことができる。カートリッジに無水インクが搭載されている場合、カートリッジを空気中に開放し、ドックによってカートリッジに流体を流し込んで、色を復元して送達する。ある実施形態では、流体カートリッジは、マイクロ流体回路の出口から流体を受ける廃液室を含む。
【0061】
(ドッキングステーションセンサ)
例えば、サイズが異なる靴の場合、容量が異なるマイクロ流体回路に対処するために、ドッキングステーションに、マイクロ流体回路の流体特性を測定するように実質的に構成されたセンサを含めることができる。このセンサは、ドッキングステーションの範囲内に、或いはコネクタ内に組み込んで、入口又は出口の流量を観察することができる。回路全体に亘って均質な流体が求められるある実施形態では、流体は、出口の色が入口の色と所望の許容範囲内で一致するまで流れる。他の実施形態では、流体は、出口の色が予め選択された色と所望の許容範囲で一致するまで流れる。ドッキングステーション内にセンサネットワークを組み込むことによって、流体搬送インターフェースを制御システム(PID、PI、負のフィードバック等)によって誘導して、圧力を動作可能な限界の範囲内に調節することが可能となる。直列圧電ポンプ等のあるポンプでは、センサをポンプヘッドに組み込んで圧力平衡を容易にすることができる。ドックは、流量センサ、圧力センサ、及び光センサを含めて様々な種類のセンサを含むことができる。光センサを含む実施形態においては、ドックは、例えば、複数の発光ダイオード、フィラメント、又は蛍光源を使用することによって、マイクロ流体回路内の染料を照明して光を感知し易くすることが可能な光源を更に備えることができる。また、ドックは、流量を検出する超音波センサ又は音響センサで構成することができる。
【0062】
流動の開始時及び停止時をドックに指示する能動フィードバックの好ましい一方法は、前の流体パターンが最後に達すると即座に、非常に明確な信号がドッキングステーションに送信されるように、流体及び/又は空気の「開始コドン(start codon)」又は「停止コドン(stop codon)」を組み込むことである。これらのコドンは、空気及び色の高頻度パターンで構成されたものでよく、例えば、5回の空気パルスと5回の黒色パルスとを立て続けに送るものである。この実施形態では、流体を注入するサイクル毎にコドンが先行又は後続することになり、また、こうしたコドンは感知中に容易に認識できるものである。
【0063】
(ユーザインターフェース)
ある実施形態では、ユーザインターフェースは、ドッキングステーションに(USB、802.11無線、ブルートゥース、赤外線、インターネット等によって)接続されたコンピュータ又は電話器で実施することができ、こうしたインターフェースによって、ユーザは用品の個々の区画の色を制御することが可能となる。色選択は、画面上の色環、画像から色をサンプリングするアイドロッパツール(eyedropper tool)、又は画像サンプリング及びその後の色嗜好の選択を可能とするモバイルアプリケーションによって行うことができる。ある実施形態では、ユーザは、カメラ、電話器、インターネット等を介して画面にアップロードされた画像から色(又は画像、若しくは画像の一部分)を手動で選択する。また、色パラメータは、ネットワークを介してダウンロードして共有することができ、友人とソーシャルネットワーキングして用品の色をその日のために調和させることが可能となる。色パラメータは、クラウドソーシング、データマイニング、中央サーバからの転送等によって、自動的に選択することができる。一実施形態では、バスケットボールチームが、ソーシャルネットワークを介して、ホーム試合用及びアウェイ試合用の靴の色を調和させることができる。別の実施形態では、マーケティング努力によって、特定の日に色パレットを選択するように対応したコードを配信することができる。更に別の実施形態では、靴、バックパック、帽子、及びベルト等、幅広い種類の用品に亘って、補色の組合せを適用することができる。他の実施形態では、ユーザの嗜好を色以外の材料特性にまで及ばせることができる。
【0064】
他の実施形態では、ドックは混合要素を含まず、ユーザインターフェースでの選択は、ドックに現存する色パネルに限られることになる。例えば、単一色のカートリッジを、ドックから一時に交換することができる。この実施形態では、インターフェースを適切に単純化することができ、ドック上の単一の押ボタンを用いて、流体の注入を開始することができる。また、流動は、用品を単一色のドックに接続すると自動的に開始させることもできる。
【0065】
用品とドッキングステーションとの間の好ましい容量及び圧力パラメータの通信は、服飾品又は装備品内のEEPROM又はRFIDタグによって促進することができる。この通信パラダイムによって、装備品又は服飾品のパラメータ、例えば、流体チャネルの容量、弁の数及び位置、流体チャネルの種類、優先圧力アルゴリズム、用品識別、又は外観若しくは材料特性の効率的な調節を促進する他の任意のデータをドックに送信することが可能となる。更に他の実施形態では、ユーザは、用品の関連事項を表すコードを入力する。
【0066】
用品が識別されると、ユーザインターフェースソフトウェアによって、必須の弁作動、容量及び圧力パラメータを検索するように中央サーバに問い合わせることができる。また、コードを利用して、ユーザの体験を向上させる関連したメタデータを検索することもできる。メタデータは、用品の立体モデル、ソーシャルネットワーキングによって強化された友人のプロファイル、又は類似用品のユーザのプロファイルを含むことができる。また、メタデータは、友人、有名人、スポーツ選手、権威者(コーチ、アスレチックディレクタ、マーケティングディレクタ、アートディレクタ等)、又は販売促進物(テレビの懸賞、ソーダキャップ等)から得られた共有パラメータの組(すなわち、色の組合せ、外観、又は他の材料特性)で構成されたものでもよい。また、メタデータは、服飾品及び装備品に亘って適応可能なように作成することができ、例えば、靴、帽子のロゴ、スポーツ用品のリブの複数の意匠要素の配色を、弁の優先度を階層的に割り当てることによって調和させることができる(その場合、各用品は、第一の弁の組、第二の弁の組等を有し、それらの用品間で色プログラムを調和させることになる)。作業の流れの例を図17に示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、服飾品又は装備品の用品の外観又は材料特性の調節に関し、特に、外観又は材料特性の流体操作とその調節(modulation)に関し、(1)用品内のマイクロ流体回路と、(2)入口及び出口と、(3)マイクロ流体回路に流体を送達するドッキングシステムとを含む。
【背景技術】
【0002】
色で自己表現したいという願望が常に存在している。従来は、服飾品、装備品、若しくは他の用品の外観又は材料特性の調節を可能とするために、別個の構成要素が必要となり、例えば、異なる服装、異なるベルト、又は異なる色の車両と靴を調和させるには、別個の靴が必要であった。更に、服飾品、スポーツ用品、及び他の用品は、しばしば、一つ又は複数の意匠特徴が入った形で消費に供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、このような意匠特徴は不変である。消費者が、既に所有する物品について異なる意匠特徴のものを持ちたいと望む場合、一般に、その物品の二つ目の種類を購入することになる。単に新しい意匠を得るために、同一の物品について二種類以上購入するのは極めて非効率的である。本明細書では、こうした非効率を克服する物品及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、2009年8月13日出願の米国仮出願第61/233,776号の利益を主張するものであり、上記出願を参照により本明細書に組み込む。
【0005】
本明細書には、改変可能な一つ又は複数の意匠要素を有する物品が記載されている。いくつかの例では、本明細書に記載の物品又は意匠要素は流体回路を備える。一般に、この流体回路は、流体が出入りする(例えば、入口から進入し、出口から退出する)ことができる少なくとも一つの開口(例えば、入口及び/又は出口)を有する。特定の例では、この流体回路は液体回路である。更なる、又は代替の実施形態では、この流体回路はマイクロ流体回路である。
【0006】
服飾品(例えば、履物、靴、ベルト、バックパック、帽子、ブレスレット、リストバンド、シャツ、スカーフ、宝石、眼鏡、服地、剥離紙、繊維等)、装備品(例えば、スケートボード、ローラーブレード、スノーボード、手袋、パッド、電気器具、コンピュータ、電子製品、小物、玩具等)、及び他の立体物(看板、企業アート、企業ロゴ、軍用車両、軍用武装具、ヘルメット、車体パネル、家庭用品、家具、テーブル天板、壁、絵画等)等の用品において、本発明の実施形態は、用品内に一つ又は複数のマイクロ流体回路を組み込んで、その用品の色又は他の材料特性を調節可能とすることを実現する。特定の実施形態では、こうした調節は、用品の使用者が容易に実現することができる。
【0007】
一実施形態では、本明細書に記載のマイクロ流体回路は、用品の下位構造(例えば、意匠要素)に巻き付く。本明細書に記載のマイクロ流体回路への入口及び出口は、その用品のポート部分内の同じ場所に配置することができる。ある実施形態では、入口及び出口は、蒸発又は逆流を軽減する弁、蓋、又は他の封止部を担持することができる。いくつかの例では、ポートによって、マイクロ流体回路をドッキングステーションに接続し易くしている。具体的には、有用なポートによって、マイクロ流体回路とドッキングステーションとの間(例えば、マイクロ流体回路の入口及び/又は出口とドッキングステーションから延びるコネクタとの間)の連結境界で良好な封止を実現することができる。特定の実施形態では、コネクタは、雌型ポートに対する雄型の補完体である。ある実施形態では、ドッキングステーションは、ポンプ、ミキサ、弁、一つ又は複数の色カートリッジ、コネクタ、廃液室、コンピュータ制御インターフェース、それらの組合せ、又は上記の全てを備える。ある実施形態では、ユーザは、色、又は色の組合せを選択することができ、これらの色は、ドッキングステーション内で混合され、用品のマイクロ流体回路内に分注される。他の実施形態では、ドッキングステーションは、用品に接続されると、流体を分注して回収する加圧カートリッジで構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の好ましい一実施形態を示す図である。
【図2】靴を構築する好ましい一実施形態を示す図である。
【図3】暗色から相対的に明色に変更するように動作中のマイクロ流体回路の好ましい一実施形態を示す図である。
【図4】陥凹ポート内に隠された入口弁及び出口弁の実施形態を示す図である。
【図5】陥凹ポート内に隠された複数の入口弁及び出口弁を示す図である。
【図6】単一のマニホルドに一体化された複数の入口及び出口を有するコネクタ構造の例を示す図である。
【図7】マイクロ流体回路内で流体の均質な分散を促進するミキサを有するマイクロ流体回路の例を示す図である。
【図8】複数のマイクロ流体チャネルからなるマイクロ流体回路の例を示す図である。
【図9】単一の蛇行チャネルを有するマイクロ流体回路の例を示す図である。
【図10】靴に組み込まれた単一の蛇行チャネルを有するマイクロ流体回路の実施を示す図である。
【図11】一つのマスタポンプと複数の弁とを有する基本となるドック構成の例を示す図である。
【図12】流体を回路に引き込む一つのマスタポンプを有するドック構成の例を示す図である。
【図13】各流体ラインのそれぞれが独立したポンプを有するドック構成の例を示す図である。
【図14】粗面チャネル、及び流体カートリッジに接続された入力ポートを有するミキサ構成の例を示す図である。
【図15】分流及び再合流を利用して、圧縮された経路長内で混合を促進する別のミキサ構成の例を示す図である。
【図16】時間的調節パラダイムにおける弁作動の時系列の例を示す図である。
【図17】用品の色を変更する作業の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の好ましい一実施形態を示す図である。図1は、二つのマイクロ流体回路1002及び1003を有する靴1001を示す。図1Aは、マイクロ流体回路内に色がない靴を示す。図1Bは、第1の回路1002に暗色が充填され、回路1003に明色が充填された場合の結果を示す図である。図1Cは、回路1002に暗色が充填され、回路1003に中間明度色が充填された状態を示す図である。
【0010】
図2は、靴を構築する好ましい一実施形態を示す図である。マイクロ流体回路2001は、靴の全周に巻き付く流体経路となる。弁2002からマイクロ流体回路にアクセスすることが可能である。マイクロ流体回路を靴2003に固締する際、弁2002は、目立たないように靴の背面、踵、靴底、又は裏面に陥凹させることができる。更に、マイクロ流体回路の一部の範囲を、靴2003の連続層の下方に隠して、最終的な意匠要素を成形する助けとすることができる。
【0011】
図3は、暗色から相対的に明色に変更するように動作中のマイクロ流体回路の好ましい一実施形態を示す図である。ドッキングさせると、入口弁3001及び出口弁3002によって、相対的に明色の流体を、マイクロ流体回路に先に充填されていた相対的に暗色の流体と入れ替えることが可能となる。回路のある範囲が靴の連続層の下方に隠されているので、この実施形態では、ユーザには靴のつま先周辺では色が移動する様子は見えない。空気又は他のスペーサ流体を、マイクロ流体回路内に注入して、後続の色を隔離することができる。
【0012】
図4は、陥凹ポート4003内に隠された入口弁4001及び出口弁4002の実施形態を示す図である。ポート4003は、日常的な摩耗から弁を保護する働きをし、コネクタへの機械的結合を補助する。図4の靴は、単一のマイクロ流体回路を含む。
【0013】
図5は、陥凹ポート5003内に隠された複数の入口弁5001及び出口弁5002を示す図である。この実施形態では、靴は、その用品の特定の範囲内で色を独立に制御することを可能とする複数のマイクロ流体回路を含む。ある実施形態では、用品への接続を簡単にするために、複数のマイクロ流体回路を低圧ノードで収束させている。
【0014】
図6は、単一のマニホルドに一体化された複数の入口及び出口6002を有するコネクタ6001構造の例を示す図である。このコネクタは、ポート6003へ摺動する。これら二つの片は、雄型/雌型係止機構6004を介して定位置に嵌まり合う。コネクタをポートに嵌合させると、ばね式封止部6005が押し戻されて、ポート側6006で回路が開く。また、この封止部によってコネクタに十分な圧力が加わり、チャネルの両側間で漏れのない流体接続が促進される。このコネクタは、マニホルド上面に、漏れ防止を補助する追加の封止部を有することができる。また、このコネクタは、接続時のフィードバックを可能とする電気信号を搬送することができる。
【0015】
図7は、マイクロ流体回路内で流体の均質な分散を促進するミキサ7002を有するマイクロ流体回路7001の例を示す図である。
【0016】
図8は、複数のマイクロ流体チャネルからなるマイクロ流体回路8001の例を示す図である。ある実施形態では、各チャネルは、レンズの働きをするように断面を半円で構築することができる。ある実施形態では、靴に最も近接したマイクロ流体回路の平坦な下面に反射層を含めて、色がよく見えるようにすることができる。
【0017】
図9は、単一の蛇行チャネル9002を有するマイクロ流体回路9001の例を示す図である。この蛇行チャネルの幅は約0.35〜1.05mmであり、チャネル間(壁)の間隔は0.40〜0.45mm程度である。
【0018】
図10は、靴に組み込まれた単一の蛇行チャネルを有するマイクロ流体回路の実施を示す図である。間近で見ると、蛇行チャネルの個々の折返しが見える。遠くから見ると、マイクロ流体回路の色は連続しているように見える。
【0019】
図11は、一つのマスタポンプと複数の弁とを有する基本となるドック構成の例を示す図である。この構成では、回路中に押し込まれる流体を調節するために、ドッキングステーションの内側にある弁によって、各ラインの流動に対する抵抗を変更する。この構成は、空気圧弁の役割を果たすことになる。接続すると、ドッキングステーションで生成された圧力によって、用品の逆止め弁が開き、それによって流体が用品の範囲を通って流れ進み、ドッキングステーションに戻って、廃液室内に回収されることになる。廃液室は、空気中に開放して蒸発可能とするか、又はユーザが取り外して通常に廃棄することができる。
【0020】
図12は、流体を回路に引き込む一つのマスタポンプを有するドック構成の例を示す図である。作動弁によって流体ラインの抵抗を変更し、ミキサを介して引き込まれる各種流体のレベルを調節する。
【0021】
図13は、各流体ラインのそれぞれが独立したポンプを有するドック構成の例を示す図である。作動弁は、含まれない。
【0022】
図14は、粗面チャネル、及び流体カートリッジ(図示せず)に接続された入力ポート14001を有するミキサ構成の例を示す図である。この粗面チャネル14002によって、混合が可能となる。例えば、チャネル底部に沿ったヘリンボーン溝によって誘起されたカオス流によって、空間的に混合が圧縮される。ミキサから出た流体は、コネクタ14003に入り、マイクロ流体回路を通って流れ、その後コネクタを通って戻り、廃液室に流れ込む。
【0023】
図15は、分流及び再合流15001を利用して、圧縮された経路長内で混合を促進する別のミキサ構成の例を示す図である。
【0024】
図16は、時間的調節パラダイムにおける弁作動の時系列の例を示す図である。
【0025】
図17は、用品の色を変更する作業の流れの例を示す図である。ユーザは、コンピュータ17001(又は、この例ではアイフォン(iPhone))を、USBコネクタ17003を介してドッキングステーションに接続する。ユーザは、流体コネクタ17004を靴のポート17005に取り付ける。接続されると、コネクタは点灯して、接続が行われたことを示すフィードバック17006をユーザに与える。コンピュータ17001のグラフィカルユーザインターフェースを用いて、ユーザは、変更したい用品17007の範囲を選択し、次いで、適切な色を送達するようにドッキングステーションに指示する。このドックは、一時に一つ又は複数の用品を充填するように構成することができる。靴の場合、このドックは、一度で一足の靴を充填するように構成することができる。
【0026】
本発明のある実施形態は、服飾品(例えば、履物、靴、ベルト、バックパック、帽子、ブレスレット、リストバンド、シャツ、宝石、眼鏡、服地、剥離紙、繊維等)、装備品(例えば、スケートボード、ローラーブレード、スノーボード、手袋、ホッケーパッド、電気器具、コンピュータ、電子製品、小物、玩具等)、及び他の立体物(看板、企業アート、企業ロゴ、軍用車両、軍用武装具、ヘルメット、車体パネル、家庭用品、家具、テーブル天板、壁、絵画等)等の用品の外観又は材料特性の調節に関するものである。いくつかの実施形態では、流体チャネル(例えば、液体、特に着色液体を内部に含むマイクロ流体チャネル)を備える用品(例えば、服飾物品、スポーツ物品等)が本明細書に記載されている。特定の実施形態では、流体チャネルは、入口及び出口を更に備える流体回路の一部であり、これらの入口と出口は、流体チャネルによって接続されている。更に、本発明のいくつかの実施形態は、外観及び/又は材料特性の流体操作とその調節に関し、マイクロ流体回路と、流体システムへの入口及び出口と、用品に流体を送達するドッキングシステムとを含む。
【0027】
本明細書に記載のある実施形態は、用品の外観又は材料特性の調節を可能とするマイクロ流体回路を備える用品(図1)を提供する。スウッシュ(swoosh)、ストライプ、意匠の輪郭に沿ったリブ、ロゴ、背景要素等の形の一つ又は複数のマイクロ流体回路を用品に組み込むことができる(図2)。また、マイクロ流体回路は、用品の大部分を取り囲むことができ、場合によっては、例えば、ベルト、スケートボード、ヘルメット、企業ロゴ、オートバイパネル等では、用品の外面のほぼ全面を成す。本明細書に記載の好ましい実施形態では、マイクロ流体回路は、入口、出口、及び半透明又は透明のマイクロチャネル(すなわち、マイクロチャネルの少なくとも一部分が半透明且つ/又は透明である)システムを備え、そのマイクロチャネル内に流体を流すことができる(図3)。本明細書に記載のマイクロ流体チャネル構造は(流体チャネル及びチャネル間の壁を含めて)、用品の表面の100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、又は5%まで被覆することができる。マイクロ流体チャネル構造は、用品の表面の1〜100%、1〜10%、10〜95%、1〜50%、10〜50%、20〜50%、20〜100%、30〜100%、又は他の適切な任意の範囲を被覆することができる。
【0028】
本明細書に記載のある実施形態では、本明細書に記載の意匠物品は、その内部、又は表面上に組み込まれたマイクロ流体回路を備える。特定の実施形態では、マイクロ流体回路は、物品の内部、又は外面上に組み込まれている。ある実施形態では、組み込まれたマイクロ流体回路、又はマイクロ流体回路を備える型が、物品の下になる表面部分に取り付けられ(例えば、そこに縫い付けられる、そこに接着される等)、又はそれ自体が表面の一部を成す(例えば、物品の下になる表面は必要でない)。いくつかの実施形態では、マイクロ流体回路の少なくとも一つの区画(この語は、本明細書では、マイクロ流体回路の一部分と同義として使用するものであり、必ずしもマイクロ流体回路のいかなる下位構造も意味するものではない)(例えば、透明又は半透明の壁区画等、マイクロ流体チャネルの壁区画)を、服飾品又は装備品の外面に露出させる。更に、いくつかの実施形態では、少なくとも一つの透明又は半透明の壁区画を、服飾品又は装備品の表面に露出させ、服飾品又は装備品の表面とマイクロ流体チャネルとが接触して見えるようにする(すなわち、流体、又はその構成部分が、物品の外側から見える)。ある実施形態では、マイクロ流体回路の外面又は壁の100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、又は5%まで、1〜100%、1〜10%、10〜95%、1〜50%、10〜50%、20〜50%、20〜100%、30〜100%、或いは他の所望の任意の範囲が、半透明又は透明の材料を含む。
【0029】
本明細書に記載の更なる実施形態では、変更可能な意匠特徴を有する服飾品又は装備品の物品を製造する方法であって、物品の内部、又は物品の表面上にマイクロ流体回路を組み込むステップからなり、このマイクロ流体回路は、マイクロ流体チャネルと入口と出口を備え、このマイクロ流体チャネルは、物品の外面と接触して見える少なくとも一つの区画を有している方法が提供される。
【0030】
いくつかの実施形態では、服飾品又は装備品の物品の外観又は材料特性を調節する方法であって、服飾品又は装備品に組み込まれており、服飾品又は装備品の外面と接触して見える少なくとも一つの区画を有するマイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップからなり、このマイクロ流体回路が、マイクロ流体チャネルと入口と出口を備え、このマイクロ流体チャネルによって入口と出口が物品内で接続されている方法が提供される。
【0031】
第一の実施形態では、一つ又は複数のマイクロ流体回路が、履物用品の外面に組み込まれている。一実施形態では、マイクロ流体回路の入口及び出口は、靴の踵背面に隠されたポート内に収容されている。この例では、ドッキングステーションに接続することによって、ユーザは、靴の外面の色を所望の色に合うように変更することが可能となる。ある実施形態では、マイクロ流体回路は、靴の外面の75%を被覆するように構成され、例えば、チャネルを、合成皮革の甲革、舌革、及び靴底に組み込むことができる。他の実施形態では、マイクロ流体回路は、靴の外面の25%を被覆するように構成され、例えば、マイクロ流体回路は、白色の革靴を背景にして、図案化されたロゴ、及び靴の外周に沿った装飾リブを成す。更に他の実施形態では、マイクロ流体回路は、ポリウレタン又はポリ塩化ビニルの剥離紙にマイクロ流体回路を直接組み込んでおき、次いでこの剥離紙でハイヒール靴のパッド及びストラップを形成することによって、靴の上部外面の100%を成すように構成されている。更に別の実施形態では、マイクロ流体回路は、一足のサンダルのストラップを被覆するように成型することによって、靴の外面の10%を形成している。別の実施形態では、マイクロ流体回路を靴の下位構造に組み込み、帆布又は綿布等の多孔材料で被覆して、その材料の間隙から色が見えるようにしている。更に他の実施形態では、マイクロ流体回路の組合せによって、自己表現の仕方が多数提案され、例えば、靴の外面の50%に剛性のポリカーボネートマイクロ流体回路を目立たせ、靴の別の15%を、先芯を被覆し、靴紐穴の周りを取り囲む軟性のポリウレタンマイクロ流体回路で被覆する。ある実施形態では、マイクロ流体回路は、ポリウレタンから製造されている。他の場合では、マイクロ流体回路は、ポリ塩化ビニル、合成多孔皮革、プラスチック皮革(pleather)、クラリーノ(Clarino)、ポリカーボネート、又は他の合成皮革材料から製造される。
【0032】
また、マイクロ流体回路は、用品の範囲全体に亘って様々な流体を搬送して、用品の外観に加えて、用品の材料特性を調節することができる。例えば、マイクロ流体回路内の流体を交換することによって、外観に加えて、用品の手触り、感触、剛性、又は粗度を調節することができる。一実施形態では、任意選択で、金属微粒子ゾルを小分子染料の水性懸濁液と入れ替えて、軟質のマイクロ流体回路(例えば、軽度に架橋したポリウレタン製)を不規則に膨張させ、それと同時に、以前の平滑で、均質、且つ明色の表面の代わりに、その用品の表皮に沿って隆起した反射バンプ(bump)を生成することができる。別の実施形態では、靴の熱特性及び硬度を調節するために、任意選択で、熱容量の大きい加熱した紫色のラベンダ香料入りポリエチレングリコール溶液を靴のベースに注入して、低温の金属微粒子溶液と入れ替える。更に別の実施形態では、マイクロ流体回路を、人形玩具用の衣料物品として成型し、その色(例えば、若草色)を任意選択で磁性の光沢色に入れ替え、それによって他の磁性要素をその玩具の服飾品に付着させることを可能としている。
【0033】
マイクロ流体回路内に搬送することによって変更することができる他の材料特性には、用品の光学的特性(例えば、色、反射率、吸収度)、香り、熱特性(例えば、熱容量、熱伝達率)、機械的特性(例えば、剛性、粗度、圧力)、電磁的特性(例えば、常磁性、強磁性、導電性)、治療的特性、又は化学的特性(例えば、蛍光性、化学発光性)が含まれる。
【0034】
(コネクタと用品との間の弁)
ある実施形態では、マイクロ流体回路の開口(例えば、入口及び/又は出口)は、弁を含む。この実施形態では、入出力弁は、隔壁弁、逆止め弁、ボール弁、マルチポート弁、マイクロ流体弁、ピンチ弁等から構築することができる。好ましい一実施形態では、マイクロ流体回路弁は、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、及びポリイミド(PI)のパッシブダイナミック逆止め弁で構成される。様々な実施形態では、弁は、適切な任意の寸法を有することができ、例えば、寸法が約2×0.5mmでよい。更に、様々な実施形態では、弁は、流体チャネルに至る適切な任意の構造及び/又は接続部を有することができ、例えば、約2×17mmで内容量が2〜5nLのステンレス鋼管に埋め込むことができる。本明細書に記載の回路に使用される弁は、適切な任意の容量の流体を回路に送達することができる。例えば、上述のもの等の実施形態では、好ましい弁は、前進圧力が7.25psiで、0.10〜0.30mL/s送達することができる。ある実施形態では、任意選択で、常閉弁をフィルタに結合させている。他の実施形態では、一つの又は各弁は、任意選択で、コネクタによって搬送された電気信号によって作動し、用品上の様々な意匠要素への流動を可能とする常閉ソレノイド弁である。この実施形態では、ドッキングステーションからの一本の流体ラインを、任意選択で、用品のポート内で複数のマイクロ流体回路に分割し、上述の能動弁を介在させて各意匠要素に流している。
【0035】
ある実施形態では、弁は、任意選択で、ポート、例えば、硬質プラスチックポート等の保護ポート内に収容することによって摩耗から保護されている(図4、図5)。ポートは、任意選択で、靴内に陥凹しており、例えば、靴底の切欠き部内、踵の背面内、又は他の適切な任意の位置に隠されている。また、ポートは、成型ガイド、傾斜部、スナップ、レバー、雄型/雌型溝等によって、ドッキングステーションのコネクタに簡単に挿入し、位置合せし易くなるように製造することができる。図6は、マイクロ流体回路弁に同時に連結し、それらの弁を開くコネクタの例を示す。逆止め弁を使用した実施形態では、ドッキングステーションからの圧力の増大によって用品の弁が開くことになる。単純な隔壁弁を使用した他の実施形態では、封止部を押しのけて用品中の流体ラインに入るピンを備えたコネクタを使用することができる。
【0036】
(マイクロ流体回路の材料及び構築)
本明細書に記載の用品(例えば、服飾品)のマイクロ流体回路は、適切な任意の材料で構築することができる。ある実施形態では、マイクロ流体回路又はマイクロ流体チャネルの構造は、適切な任意の材料、又は材料の組合せによって(例えば、少なくとも一つの開口のある壁で)包囲された、(流体を含む、又は流体がその内部を流れることができる)空隙を備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体回路又はチャネルは、(全体、又は一部が)ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(glycol modified polyethylene terphthalate)、ポリジメチルシロキサン等の透明プラスチック、並びに服飾品及び/又はスポーツ用品に適した他の透明若しくは半透明プラスチックで構築される。マイクロ流体回路は、剛性、半剛性の成型部品で、又は他の実施形態では、可撓性の成型部品で構成されたものでよい。成型及び封止工程の一実施形態では、マイクロ流体回路の二つの半体を射出成型し、部分的に架橋させてから、位置合せして封止を行う。二つの半体の位置合せは、部分的に硬化させた用品を成型機から定位置に移し、真空圧を用いて上片を保持し、次いで二つの半体を一体に押圧する自動ジグを使用することによって容易にすることができる。様々な実施形態では、封止ステップは、圧力、熱、酸、UV光露光、UVオゾン露光を使用し、重合反応が完了に向かうにつれて、部分的に架橋した半体同士が相互に結合することが可能となるまで待つステップ等を含み、且つ/又は上記によって実現される。他の実施形態では、封止ステップは、圧力、熱、UV光露光、又は時間を適用する前に、二つの層間に接着剤(化学接着剤、マルチパートエポキシ、光硬化性化合物、又は酸浸漬等)を付着するステップを含む。他の構築方法は、任意選択で、(砂糖、澱粉、セルロース等の水溶性、又は回路の二つの半体を損なわない穏やかな有機溶剤に可溶性の)可溶性固形物を用いて、チャネル内腔のポジティブ型を構築し、次いでポリマー型に配置する工程を含む。この実施形態のいくつかでは、型に充填して回路を完全に硬化させた後、このアセンブリを溶剤に浸漬してチャネル内腔型を除去するか、又は回路中に溶剤を注入してポジティブ型を溶解させる。
【0037】
いくつかの実施形態では、意匠特徴又は意匠型は、複数のマイクロ流体チャネル及び/又はマイクロ流体回路を備える。ある実施形態では、この意匠特徴若しくは意匠型は、別の意匠特徴若しくは意匠型、又は他の材料に取り付けるための縫付け部分又は取付け部分を備える。いくつかの例では、縫付け部分は、例えば、マイクロ流体チャネルのない部分、又はマイクロ流体チャネルが封止された部分、又はその他の形で流体源に接続されていない或いは接続することができない部分を含むことができる。いくつかの例では、一つ又は複数のマイクロ流体回路は、用品の外面に縫い付ける又は接着することができるように、材料の外側周縁部を十分広くして、その細い外側周縁部を回路に組み込むように成型することができる。様々な実施形態では、縫付け部分又は取付け部分、すなわち周縁部は、本明細書に記載の物品を組み立てるのに適した任意の寸法のものでよい。例えば、周縁部は、好ましくは幅が5mm以下である。他の実施形態では、周縁部は、幅が30mm程度であり、これは、製造中にマイクロ流体回路の外側周縁部を靴型の上から引き込む場合に有用である。他の実施形態では、意匠特徴、意匠型、又はマイクロ流体回路の他のアセンブリは、適切な別の形で取り付けられるので、この縫付け/取付け部分、又は周縁部を備えず且つ/又は必要でない。また、例えば、マイクロ流体回路は、接着剤、エポキシ等を用いて、用品に取り付け且つ/又は製造することができる。
【0038】
他の実施形態では、例えば、スケートボードデッキ又はスノーボードデッキの場合、マイクロ流体回路(例えば、意匠型)は、用品の表面に直接封止された埋込みチャネルを含む、単一の透明プラスチック層から形成することができる。いくつかの実施形態では、この種の構築法は、厚い接着剤の層を用品に付着させ、その接着剤の上面にチャネルを押し付けることができる装備品への使用に適している。
【0039】
他の実施形態では、マイクロ流体チャネル/回路構成(例えば、意匠型)は、透明/半透明材料(例えば、プラスチック)に取り付けられた裏張り材料を組み込む。この実施形態では、裏張り材料は、接着工程によって用品に固締することができ、又は縁部周りで若しくは指定の取付け点で用品に縫い付けることができる。この実施形態では、裏張り材料によって、反射面(例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを使用)、又は不透明の白色背景(例えば、ポリエチレン)等の追加の光学的特徴を与えることができる。
【0040】
更に別の実施形態では、流体チャネル/回路構成の、内腔を備え、露出した、又は透明の部分を備えた表面を改変、処理、又はコーティングして、色を調節するために使用する染料が付着する、吸収される、又は着色するのを低減している。これらの処理及び材料選択には、内腔を疎水性染料に対して親水性にする、親水性染料に対して疎水性にする、無極性染料に対して帯電させる、並びに染料及び内腔が共に親水性又は疎水性となるように選択することが含まれる。また、これらの処理は、プラスチック外面をラミネート、コーティング、又は他の形で封止することによって、マイクロ流体回路のポリマー構造からの蒸発を低減させる働きをする。
【0041】
いくつかの例では、マイクロ流体回路の実施形態は、反射光を最大にして、最も光沢のある可変色の服飾品及び装備品を構築するものであり、他の例では、マイクロ流体回路の実施形態は、表面の質感のパターンを、皮革の質感に合わせた反射光パターンにする、又はプリズム状のエンボス加工を行って表面に光沢を加える、又は表面をマイクロレンズ状にして、歪曲効果をもたらすことを含めて、光を拡散し、歪曲させている。マイクロ流体回路の他の実施形態は、圧電駆動又はバッテリ駆動のLEDから伝導した光の使用を組み込む。他の実施形態では、色を調節することができるように、液晶、ナノインク、電子インク、OLED、LED、又はナノ粒子懸濁液等の能動要素を使用して補助している。
【0042】
(流体回路)
本明細書に記載のシステムの流体回路は、長さ、深さ、直径、幾何形状等を含めて、適切な任意の寸法を有するチャネルを備える。様々な実施形態では、流体回路の内部チャネルは、円形、正方形、楕円形、角錐形、三角形等である。いくつかの実施形態では、チャネルの内径は、液体(例えば、着色液体)を充填したときに所望の意匠特徴を実現するのに適した任意のチャネルである。特定の実施形態では、本明細書に記載のチャネルの内径は、流体チャネルに沿って混合及び拡散を最小限に抑えられるほど小さい。ある実施形態では、本明細書に記載の流体チャネル又はマイクロ流体チャネルの寸法(例えば、深さ、幅、又は直径)は、少なくとも0.1ミクロン(μm)、0.1ミクロンから10mm、0.1ミクロンから1mm、0.1ミクロンから100mm、1ミクロンから1mm、1ミクロンから500ミクロン、10ミクロンから1mm、10ミクロンから0.5mm、50ミクロンから500ミクロン、又は他の適切な任意の直径である。更に、様々な実施形態では、流体回路に沿った異なるチャネル区画にもやはり、様々な寸法を持たせることができる(例えば、流体回路に沿ったある点では、直径を10ミクロンとし、回路に沿った他の位置では、直径を20ミクロンとすることができる等)。
【0043】
更に、様々な実施形態では、流体回路の壁(すなわち、流体チャネルの周囲)は、適切な任意の厚さのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムのマイクロ流体チャネル間の壁は、マイクロ流体チャネルの表面構成及び/又は裏面構成を形成している壁よりも狭い。いくつかの実施形態では、平行したチャネル間の壁幅は、1ミクロンから10mm、又は10ミクロンから1mm、50ミクロンから1mm、50ミクロンから500ミクロン、50ミクロンから250ミクロン、100ミクロンから500ミクロン、200ミクロンから500ミクロン、300ミクロン、400ミクロン等である。
【0044】
この流体システムの容量は、用途の経済的側面を推進しつつ、一方で見た目に美的満足が得られるほど十分な色濃度が維持されるように、優位的に最小限に抑えられている。ある実施形態では、このことは、回路のチャネル深さを非常に薄く、10〜1,000μm程度にすることに換言される。他の実施形態では、回路のチャネル深さは、300〜700μm程度である。他の実施形態では、垂直範囲は、レイノルズ数が2,300を大幅に下回る範囲である。他の実施形態では、流体チャネルは、流体チャネルの壁に隣接した境界層を排除するために、プラグ流を助長するように構成される(アリス、ラザフォード「流体力学のベクトル、テンソル、及び基礎方程式」ドーヴァー出版、ニューヨーク、1962年(Aris, Rutherford. Vectors, Tensors, and the Basic Equations of Fluid Mechanics. New York: Dover Publications, Inc., 1962)、パントン、ロナルド L.「非圧縮流」第二版、ジョンワイリーアンドサンズ、ニューヨーク、1996年(Panton, Ronald L. Incompressible Flow, Second Edition. New York: John Wiley & Sons, Inc. 1996)、上記文献をこの開示により本明細書に組み込む)。マイクロ流体のある実施形態では、意匠要素の機械的特徴によって、染料をマイクロ流体回路内に注入する際に混合を促進し(図7)、これらの機械的特徴には、例えば、溝付きチャネル、テスラミキサ(Tesla mixer)、T流構成及びY流構成、交差指形/二叉流動分散構造、流動圧縮集束構造、分流及び再合流の反復構造、流動障害物、ジクザグチャネル、及び他の受動マイクロ混合設計又はマイクロ弁設計等、適切な任意のマイクロ流体混合機構が含まれる。他の実施形態では、各マイクロ流体回路は、単独の色又は色シリーズを搬送する複数(一つ又は複数)のチャネルを備える(図8)。マイクロ流体回路意匠の例には、スウッシュ(swoosh)、バー、ストライプ、星、つま革、靴紐穴等、又は靴の外面の大部分の形までもが含まれる。また、マイクロ流体回路は、立体用品の外面全体を成すことができる。例えば、バックパックのパネル、ベルトの外面部、企業ロゴの文字、ローラーブレード外面のプラスチックシェル、又は軍用車両の識別パネル(例えば、赤外染料又はナノ粒子の組合せによって伝達することができる)がある。また、マイクロ流体回路は、単一のチューブをバックパック、帽子、靴の周縁部、又は他の服飾品及び装備品のストライプとして簡単に形成することもできる。
【0045】
好ましい実施形態では、単一の蛇行チャネルを各意匠要素全体に亘って編み込んで、より高圧の経路内に空隙が生じないようにする(図9)。最適なチャネル幅は、0.05mm〜5mmの範囲内で変動可能であり、平行したチャネル間の間隔(壁幅)は0.05〜1mmである。例示的な一実施形態では、チャネルの壁幅は0.40mmから0.45mmであり、チャネル幅は、蛇行経路の部分に依存して、任意選択で0.35mmから1.05mmの範囲内で変動する。チャネル深さが約0.5mm、チャネル経路の全長が2,500mm程度のこの実施形態では、充填容量は500〜600μL(0.5〜0.6mL)となり、充填時間は3.2psiで約64秒となる。更に別の例示的な実施形態では、最小のチャネル壁の幅は0.1mm、最大のチャネル壁の幅は0.65mmであり、チャネル幅は、蛇行経路の部分に依存して0.35mmから1.25mmの範囲内で変動する。チャネル深さが約0.5mm、チャネル経路の全長が2,000mm程度のこの実施形態では、充填容量は400〜500μL(0.4〜0.5mL)となり、充填時間は12psiで約15秒となる。チャネル断面がより大きく、経路長がより短く、また、充填圧力がより高くなるほど、充填時間はより短くなる。図10は、蛇行チャネル概念を靴で実施した様子を示す。
【0046】
(ドッキングステーション構成)
ある実施形態では、ドッキングステーション(ドック)を用いて任意選択で流体を混合し、最終的に用品内に流体を配送する。ある実施形態では、ドックは、ポンプ、作動弁、色カートリッジ、混合要素(ミキサ)、流体コネクタ、廃液室、それらの組合せ、又は上記の全てを備えることができる(図11、図12)。他の実施形態では、各流体チャネルは、それ自体のポンプを担持している(図13)。ポンプを独立に制御することによって、ドック内に作動弁を不要とすることができる。
【0047】
(ドッキングステーション内のミキサ設計)
ドッキングステーション内での様々な流体(例えば、原色等の異なる色)の混合は、例えば、溝付きチャネル、テスラミキサ(Tesla mixer)、T流構成及びY流構成、交差指形/二叉流動分散構造、分流及び再合流の反復構造、流動障害物、ジクザグチャネル、カオス混合、又は他の受動マイクロ混合設計、分流、流体力学的集束、毛細管分流及び再合流、流動ツイスト、カオス移流、音響混合、表面弾性波、加熱、電磁式、磁気式、拡散、又は当業者に既知のマイクロ流体チャネル内で混合する他の能動方法を含めて、適切な任意の形で実現することができる。ミキサ設計の例を図14及び図15に示す。
【0048】
(流体の調節)
異なるレベルの構成流体(すなわち、シアン、マゼンタ、黄、黒、白、又は鮮明な着色流体、或いは赤、緑、及び青色の流体、又は光沢性、蓄光性、蛍光性、及び無光沢性の、又は高温、低温、香料入り、治療性、磁性、防腐性、粘性、非ニュートン性の流体)を様々な比率で混合して、幅広い色パレット、質感、治療的特性、及び他の材料特性を生成することができる。調節の様々な種類は、アナログ様式、デジタル様式、又は時間的様式に大別することができる。
【0049】
アナログ調節では、各ラインの圧力を変動させることによって、又は圧力が単一の場合には各ラインの抵抗を変動させることによって、各流体の量を変えることができる。各流体ラインが、独立したポンプによって押し出される場合、ポンプ圧力は、流体が多いと高く、流体が少ないと低くなる。この実施形態では、用品の前進弁圧力を上回る比較的一定の圧力に全体の注入圧力を平衡させると有用となり得、例えば、全圧力の合計を3〜12psiの範囲で維持することができる。
【0050】
第2のアナログ調節方法では、マスタポンプを回路内に配置し、弁によって各ラインの抵抗を調整する。弁及びポンプは、流体カートリッジの前後のどちらにでも配置することができ、流体ラインに、すなわち流体に直接作用するか、又は各カートリッジに通じる気道に作用する。一実施形態では、各流体ラインは、そのライン全体に亘る相対的な抵抗を調整する抵抗弁を含む。アナログ抵抗調節のある実施形態では、流体ラインを圧縮して抵抗を増大させるために、様々な大きさの力でチューブを押圧する間接弁を設けることができる。或いは、間接弁によって、各流体カートリッジに至る空気流を抑制することができる。別のアナログ実施形態では、流体経路が、弁の抵抗要素を直接通過している。アナログシステムでは、(間接弁の場合等)流体レベルの較正を長期に亘って適応させる必要が軽減される使い捨てチューブが有効となる傾向がある。弁は、例えば、ダイアフラム(diaphragm)、ステッパモータ駆動式のねじ、又はソレノイド弁によって作動させることができる。
【0051】
第1のデジタル実施形態では、各流体カートリッジは複数の弁に接続され、各弁は、バイナリの性質のものであり、流動有り又は流動無しのいずれかを実現する、例えば、ソレノイド弁である。単一の流体がより高い比率で求められる場合、より多数のバイナリ弁が開く。この実施形態によって、明確に画定されたパレットが可能となり、流体選択の較正が容易になる。例えば、各カートリッジが四つの弁を有する場合、各弁は、それ自体のソレノイドによって駆動され、四色の流体(CMYK)がある場合、44=256色のパレットを生成することができる。
【0052】
時間的調節は、各カートリッジからのバイナリ流を弁(又は独立したポンプ)によって制御することに依存している。この実施形態では、弁は、相対的なデューティサイクルのスケジュールに従って開閉するようにパルス化される。ソレノイド弁(流体チャネルにつき一つ)は、この手法に特に良く適している。流体はマイクロ流体ミキサ内で再合流するので、出力流は、デューティサイクルのサイクル数とミキサ経路長との総体を反映することになる。経路長がより短く、調節時間がより速くなるほど、流体パケット間の切替えがより高解像度になる。デューティサイクルのスケジューリングの例を図16に示す。
【0053】
(マイクロ流体回路内の流体交換)
マイクロ流体回路内の流体を交換するには、いくつかの方法があり、本明細書に記載の回路の流体は、適切な任意の形で除去して挿入することができる。例えば、電気泳動式、電気浸透式、誘電泳動式、電熱式の流動、電磁式、又は他の種類の起電式流動、或いは(圧電ポンプ、ダイアフラム、蠕動ポンプ、容積式ポンプ、回転ポンプ、手動操作のベローズポンプ等を含めて)圧力ベースの流動がある。好ましい一実施形態では、外寸が約30×15×4mm、6mL/分の圧電ダイアフラムポンプが、各流体チャネルに配置されている。別の実施形態では、用品の流出部の後に2ローラ式の蠕動ポンプを配置して、流体をマイクロ流体回路中に引き込み、この場合、独立した弁を用いて、回路内を流れる各流体のレベルを調節することになる。
【0054】
別の実施形態では、予め混合された単一の流体を含むカートリッジと、回路に流体を送達するコネクタとが設けられる。この実施形態では、カートリッジを予め加圧しておくことができ、また、用品に接続された際に開く弁をカートリッジに含めることができる。或いは、ユーザは、カートリッジの一端部に取り付けられたベローズ、シリンジ、又はバルブを用いて、用品内に流体を手動で注入することができる。
【0055】
マイクロ流体回路内の流体の交換は、任意選択で、マイクロ流体回路を流し出さずに、回路内に残留した流体を交換することによって実現される。一実施形態では、一塊の空気又は不混和性流体を新たな流体の前に先行させて、残留した流体との混合を防止することができる。或いは、一塊の不混和性流体を導入せずに、回路内に導入される流体の構成レベルを連続的に変えることによって、外観又は材料特性に階調を付けることができる。本明細書に記載のある実施形態で使用される不混和性流体は、マイクロ流体回路全体に亘って、その流動プロファイルを実質的に変更してしまうほど十分な濃度を有する流体を含むことができる。
【0056】
一実施形態では、マイクロ流体回路の全容量が、単一色の流体、又は同一の材料特性を有する流体で充填される。更に他の実施形態では、マイクロ流体回路を一連の流体パケット(回路の全容量よりも少ない流体容量)で充填して、複数色の要素又はストライプ要素を生成することができる。更に別の実施形態では、ごく小容量の一連の分量(aliquot)をマイクロ流体回路に順次流し込んで、像を生成することができる。
【0057】
(流体の組成)
本明細書に記載の回路、用品、又はシステムに使用される流体には、適切な又は望ましい任意の流体が含まれる。特定の実施形態では、流体は、ゲル又は液体である(例えば、溶液、懸濁液、コロイド、乳濁液等)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の液体は着色液体である。更なる又は代替の実施形態では、本明細書に記載の液体は、金属粒子、磁性粒子、反射性粒子等の懸濁物を備える。
【0058】
着色流体は、エチル-[4-[[4-[エチル-[(3-スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル]-(4-ヒドロキシ-2-スルホフェニル)メチリデン]-1-シクロヘキサ-2,5-ジエニリデン]-[(3-スルホフェニル)メチル]、ジソジウム6-ヒドロキシ-5-((2-メトキシ-5-メチル-4-スルホフェニル)アゾ)-2-ナフタレン-スルホナート、又は2,2'-ビス(2,3-ジヒドロ-3-オキソインドリリデン)(2,2'-Bis(2,3-dihydro-3-oxoindolyliden))等の小分子で構成されたものでよい。また、流体は、粒子懸濁液又はポリマー溶液で構成されたものでもよい。ある実施形態では、粒子は、優位的には、染料分子と共有結合(若しくは吸着)させた直径が50〜200nmのポリマーナノ粒子から作成することができ、又は構成によっては、20〜50μmまででもよい。例えば、濃度が0.99〜1.01g/ccのPMMA又はポリエチレン粒子を、最適な水懸濁物として使用することができる。二色性、半透明、不透明、蛍光性、虹彩性、乳白色、磁性、金、銀、薬剤送達、長期放出(long-release)、赤外、又は極めて反射性の高い粒子を用いて、用品に追加の特質を付与することができる。また、小分子染料又は顔料は、伸長鎖ポリマー(すなわち、ポリエチレングリコール、PMMA等)に結合させ、溶媒中に懸濁させて流体チャネルが着色するのを軽減することができる。流体は、小分子、官能化ポリマー、ナノ粒子、微粒子、又はそれらの組合せで構成されたものでよい。
【0059】
ある実施形態では、色分子が共有結合によって付着、吸着、混合、又はその他の形で取り付けたられた染料、顔料、ポリマー染料、ナノ粒子、若しくは微粒子で構成された流体を用いることによって、光学的特性を変えることができる。他の実施形態では、小有機化合物、揮発性芳香族化合物、香水等で構成された流体を用いることによって、香りを変えることができる。他の実施形態では、窒化ホウ素、アルミニウム、銅粒子、セラミック、金属粒子、又は他のポリマーで構成された流体を用いて、熱伝導率を増大させることによって、熱特性を変えることができる。他の実施形態では、高濃度のポリエチレングリコール等の高粘度の液体で構成された流体を用いて、服飾品又は装備品の剛性を制御することによって、機械的特性を変えることができる。他の実施形態では、揺変性、剪断増粘性、剪断減粘性、又は他の非ニュートン性の流体を加えて、服飾品又は装備品の弾性係数を調節することができる。他の実施形態では、大微粒子で構成された流体を用いて、マイクロ流体回路を膨張させて、服飾品又は装備品に質感を加えることによって、機械的特性を変えることができる。他の実施形態では、鉄粒子で構成された流体を用いて、服飾品又は装備品のChiを増大させることによって、電磁的特性を変えることができる。他の実施形態では、非ステロイド性抗炎症化合物、コルチコステロイド、リドカイン等の局所麻酔剤、血管拡張剤、血管収縮剤、又は防腐剤等の医薬化合物で構成された流体を用いることによって、治療的特性を変えることができる。この実施形態では、服飾品又は装備品との相互作用、例えば、治療用靴での歩行、治療用ベストを着用した体熱、治療用リストバンドの屈曲によって、マイクロ流体回路の多孔性又は通気性を高めることができる。
【0060】
(カートリッジ及び染料材料)
本明細書に記載のシステムのいずれかに使用されるカートリッジは、適切な任意の形を取ることができる。一実施形態では、本明細書に記載のカートリッジは、乾性及び/又は湿性の色材料のいずれかを含むプラスチック容器を備える。カートリッジが流体を含むある実施形態では、カートリッジは、着色流体がカートリッジから排出されるにつれて、カートリッジの空隙内に膨張していくコンプライアントな(compliant)プラスチック袋で上面を封止することができる。カートリッジは、ルアロック(luer locks)、チューブ、隔壁弁等によって混合マニホルドに接続することができる。ドックに挿入する前は、カートリッジは、タブ又は弁によって封止しておくことができる。カートリッジに無水インクが搭載されている場合、カートリッジを空気中に開放し、ドックによってカートリッジに流体を流し込んで、色を復元して送達する。ある実施形態では、流体カートリッジは、マイクロ流体回路の出口から流体を受ける廃液室を含む。
【0061】
(ドッキングステーションセンサ)
例えば、サイズが異なる靴の場合、容量が異なるマイクロ流体回路に対処するために、ドッキングステーションに、マイクロ流体回路の流体特性を測定するように実質的に構成されたセンサを含めることができる。このセンサは、ドッキングステーションの範囲内に、或いはコネクタ内に組み込んで、入口又は出口の流量を観察することができる。回路全体に亘って均質な流体が求められるある実施形態では、流体は、出口の色が入口の色と所望の許容範囲内で一致するまで流れる。他の実施形態では、流体は、出口の色が予め選択された色と所望の許容範囲で一致するまで流れる。ドッキングステーション内にセンサネットワークを組み込むことによって、流体搬送インターフェースを制御システム(PID、PI、負のフィードバック等)によって誘導して、圧力を動作可能な限界の範囲内に調節することが可能となる。直列圧電ポンプ等のあるポンプでは、センサをポンプヘッドに組み込んで圧力平衡を容易にすることができる。ドックは、流量センサ、圧力センサ、及び光センサを含めて様々な種類のセンサを含むことができる。光センサを含む実施形態においては、ドックは、例えば、複数の発光ダイオード、フィラメント、又は蛍光源を使用することによって、マイクロ流体回路内の染料を照明して光を感知し易くすることが可能な光源を更に備えることができる。また、ドックは、流量を検出する超音波センサ又は音響センサで構成することができる。
【0062】
流動の開始時及び停止時をドックに指示する能動フィードバックの好ましい一方法は、前の流体パターンが最後に達すると即座に、非常に明確な信号がドッキングステーションに送信されるように、流体及び/又は空気の「開始コドン(start codon)」又は「停止コドン(stop codon)」を組み込むことである。これらのコドンは、空気及び色の高頻度パターンで構成されたものでよく、例えば、5回の空気パルスと5回の黒色パルスとを立て続けに送るものである。この実施形態では、流体を注入するサイクル毎にコドンが先行又は後続することになり、また、こうしたコドンは感知中に容易に認識できるものである。
【0063】
(ユーザインターフェース)
ある実施形態では、ユーザインターフェースは、ドッキングステーションに(USB、802.11無線、ブルートゥース、赤外線、インターネット等によって)接続されたコンピュータ又は電話器で実施することができ、こうしたインターフェースによって、ユーザは用品の個々の区画の色を制御することが可能となる。色選択は、画面上の色環、画像から色をサンプリングするアイドロッパツール(eyedropper tool)、又は画像サンプリング及びその後の色嗜好の選択を可能とするモバイルアプリケーションによって行うことができる。ある実施形態では、ユーザは、カメラ、電話器、インターネット等を介して画面にアップロードされた画像から色(又は画像、若しくは画像の一部分)を手動で選択する。また、色パラメータは、ネットワークを介してダウンロードして共有することができ、友人とソーシャルネットワーキングして用品の色をその日のために調和させることが可能となる。色パラメータは、クラウドソーシング、データマイニング、中央サーバからの転送等によって、自動的に選択することができる。一実施形態では、バスケットボールチームが、ソーシャルネットワークを介して、ホーム試合用及びアウェイ試合用の靴の色を調和させることができる。別の実施形態では、マーケティング努力によって、特定の日に色パレットを選択するように対応したコードを配信することができる。更に別の実施形態では、靴、バックパック、帽子、及びベルト等、幅広い種類の用品に亘って、補色の組合せを適用することができる。他の実施形態では、ユーザの嗜好を色以外の材料特性にまで及ばせることができる。
【0064】
他の実施形態では、ドックは混合要素を含まず、ユーザインターフェースでの選択は、ドックに現存する色パネルに限られることになる。例えば、単一色のカートリッジを、ドックから一時に交換することができる。この実施形態では、インターフェースを適切に単純化することができ、ドック上の単一の押ボタンを用いて、流体の注入を開始することができる。また、流動は、用品を単一色のドックに接続すると自動的に開始させることもできる。
【0065】
用品とドッキングステーションとの間の好ましい容量及び圧力パラメータの通信は、服飾品又は装備品内のEEPROM又はRFIDタグによって促進することができる。この通信パラダイムによって、装備品又は服飾品のパラメータ、例えば、流体チャネルの容量、弁の数及び位置、流体チャネルの種類、優先圧力アルゴリズム、用品識別、又は外観若しくは材料特性の効率的な調節を促進する他の任意のデータをドックに送信することが可能となる。更に他の実施形態では、ユーザは、用品の関連事項を表すコードを入力する。
【0066】
用品が識別されると、ユーザインターフェースソフトウェアによって、必須の弁作動、容量及び圧力パラメータを検索するように中央サーバに問い合わせることができる。また、コードを利用して、ユーザの体験を向上させる関連したメタデータを検索することもできる。メタデータは、用品の立体モデル、ソーシャルネットワーキングによって強化された友人のプロファイル、又は類似用品のユーザのプロファイルを含むことができる。また、メタデータは、友人、有名人、スポーツ選手、権威者(コーチ、アスレチックディレクタ、マーケティングディレクタ、アートディレクタ等)、又は販売促進物(テレビの懸賞、ソーダキャップ等)から得られた共有パラメータの組(すなわち、色の組合せ、外観、又は他の材料特性)で構成されたものでもよい。また、メタデータは、服飾品及び装備品に亘って適応可能なように作成することができ、例えば、靴、帽子のロゴ、スポーツ用品のリブの複数の意匠要素の配色を、弁の優先度を階層的に割り当てることによって調和させることができる(その場合、各用品は、第一の弁の組、第二の弁の組等を有し、それらの用品間で色プログラムを調和させることになる)。作業の流れの例を図17に示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の内部、又は物品の表面上に組み込まれたマイクロ流体回路を備える服飾品又は装備品の物品であって、前記マイクロ流体回路は、前記物品の外面に露出した少なくとも一つの区画を有するマイクロ流体チャネルと入口と出口を備え、前記マイクロ流体チャネルによって入口と出口が接続されている服飾品又は装備品の物品。
【請求項2】
前記組み込まれたマイクロ流体回路は、透明又は半透明の少なくとも一つの壁区画を有している、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項3】
前記透明又は半透明の少なくとも一つの壁区画は、服飾品又は装備品の表面に露出しており、服飾品又は装備品の表面とマイクロ流体チャネルが接触して見えている、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項4】
前記服飾品が、履物、靴、ベルト、バックパック、帽子、ブレスレット、リストバンド、シャツ、スカーフ、宝石、眼鏡のいずれかからなる、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項5】
前記装備品が、スケートボード、ローラーブレード、スノーボード、手袋、パッド、電気器具、コンピュータ、電子製品、小物、玩具、看板、企業アート、企業ロゴ、車両、軍用車両、軍用武装具、ヘルメット、車体パネル、家庭用品、家具、テーブル天板、壁、絵画のいずれかからなる、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項6】
前記マイクロ流体回路は、一つの蛇行チャネルによって接続された入口と出口を有している、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項7】
前記マイクロ流体回路は、複数の入口及び出口と複数のマイクロ流体チャネルを有している、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項8】
前記マイクロ流体チャネルは、少なくとも一部が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシロキサン、合成多孔皮革、プラスチック皮革、クラリーノ、合成皮革、服飾品又は装備品に適した他のプラスチックのいずれかから構築されている壁で包囲されている、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項9】
請求項8に記載の服飾品又は装備品の物品のマイクロ流体チャネルを形成する方法であって、一方の半体が平坦であって他方の半体がチャネル内腔を備える前記チャネルの二つの半体を位置合せするステップと、前記二つの半体を互いに押圧するステップと、時間、圧力、熱、UV光、UV光とオゾンのいずれかを適用することによって前記回路を封止するステップと、からなる方法。
【請求項10】
マイクロ流体チャネルを封止するステップは、前記二つの半体を押圧する前に、前記チャネルの前記二つの半体を接着剤、酸、オゾン、光硬化性化合物のいずれかで処理するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロ流体チャネルは、内部チャネル深さが10〜1000μmの範囲内である、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項12】
前記マイクロ流体チャネルは、内部チャネル深さが300〜700μmの範囲内である、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項13】
前記マイクロ流体チャネルは、最小のチャネル壁の幅が0.1mm、最大のチャネル壁の幅が0.65mm、最小のチャネル幅が0.35mm、最大のチャネル幅が1.25mm、且つチャネル深さが0.3〜0.7mmである、請求項6に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項14】
前記入口は、隔壁弁、逆止め弁、ボール弁、マイクロ流体弁、ピンチ弁、他の弁のいずれかを含んでいる、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項15】
前記弁は、直径が約2mmで厚さが0.5mmの、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、及びポリイミド(PI)からなるパッシブダイナミック逆止め弁を備えている、請求項14に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項16】
前記出口は、隔壁弁、逆止め弁、ボール弁、マイクロ流体弁、ピンチ弁、他の弁のいずれかを含んでいる、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項17】
前記弁は、直径が約2mmで厚さが0.5mmの、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、及びポリイミド(PI)からなるパッシブダイナミック逆止め弁を備えている、請求項16に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項18】
服飾品又は装備品の物品の外観又は材料特性を調節する方法であって、
服飾品又は装備品に組み込まれており、且つ服飾品又は装備品の外面と接触して見える少なくとも一つの区画を有するマイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップからなり、前記マイクロ流体回路は、マイクロ流体チャネルと入口と出口を備え、前記マイクロ流体チャネルによって入口と出口が前記物品内で接続されている方法。
【請求項19】
前記マイクロ流体回路が、一つの蛇行チャネルによって接続された入口と出口を有している、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記マイクロ流体回路は、複数の入口及び出口と複数のマイクロ流体チャネルを有している、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記マイクロ流体チャネルは、少なくとも一部が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシロキサン、合成多孔皮革、プラスチック皮革、クラリーノ、合成皮革、服飾品又は装備品に適した他の透明又は半透明のプラスチックのいずれかから構築されている壁で包囲されている、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記マイクロ流体回路は、10〜1000μmの範囲内の内部チャネル深さを有している、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記マイクロ流体回路は、300〜700μmの範囲内の内部チャネル深さを有している、請求項18に記載の方法、
【請求項24】
前記マイクロ流体回路は、最小のチャネル壁の幅が0.1mm、最大のチャネル壁の幅が0.65mm、最小のチャネル幅が0.35mm、最大のチャネル幅が1.25mm、且つチャネル深さが0.3〜0.7mmである、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記マイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップは、前記マイクロ流体回路にドッキングステーションを接続するステップを含み、前記ドッキングステーションは、ポンプ、一つ又は複数の弁、一つ又は複数の流体カートリッジ、任意選択のマイクロ流体混合構成要素、コネクタ、及び任意選択の廃液室を有している、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記マイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップは、前記マイクロ流体回路にドッキングステーションを接続するステップを含み、前記ドッキングステーションは、複数のポンプ、複数の流体カートリッジ、マイクロ流体混合構成要素、コネクタ、及び廃液室を有している、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記マイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップは、前記マイクロ流体回路にドッキングステーションを接続するステップを含み、前記ドッキングステーションは、複数のポンプ、複数の流体カートリッジ、及びコネクタを有している、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記マイクロ流体混合構成要素は、溝付きチャネル、テスラミキサ、T流及びY流構成、交差指形/二叉流動分散構造、分流及び再合流の反復構造、流動障害物、ジクザグチャネル、カオス混合構成、受動マイクロ混合構成、分流構成、流体力学的集束、毛細管分流構成及び再合流構成、流動ツイスト構成、カオス移流構成、音響波ユニットのいずれか、又はそれらの組合せを有している、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記マイクロ流体混合構成要素は、溝付きチャネル、テスラミキサ、T流及びY流構成、交差指形/二叉流動分散構造、分流及び再合流の反復構造、流動障害物、ジクザグチャネル、カオス混合、他の受動マイクロ混合設計、分流、流体力学的集束、毛細管分流及び再合流、流動ツイスト、カオス移流、音響波ユニットのいずれか、又はそれらの組合せを有している、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ドッキングステーションは、接続マニホルド内で終端する一連の流体ラインを用いて服飾品又は装備品の物品と接続されるようになっている、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記接続マニホルドは、電気ライン又は光ラインによって前記ドッキングステーションと接続されている、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ドッキングステーションは、接続マニホルド内で終端する一連の流体ラインを用いて服飾品又は装備品の物品と接続されるようになっている、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記接続マニホルドは、電気ライン又は光ラインによって前記ドッキングステーションと接続されている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ドッキングステーションは、アナログ様式を用いて外観又は材料特性を調節するように構成されている、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記アナログ様式が、弁を用いて、前記ドッキングステーション内に含まれる各流体ラインの相対的な流体抵抗を連続的に変更するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記アナログ様式が、独立したポンプを用いて、前記ドッキングステーション内に含まれる各流体ラインの相対的な圧力を連続的に変更するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ドッキングステーションは、アナログ様式を用いて外観又は材料特性を調節するように構成されている、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記アナログ様式が、独立したポンプを用いて、前記ドッキングステーション内に含まれる各流体ラインの相対的な圧力を連続的に変更するステップを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ドッキングステーションは、デジタル様式を用いて外観又は材料特性を調節するように構成されている、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
前記デジタル様式が、前記ドッキングステーションの各流体カートリッジから延びる開いた流体経路の数を離散的に変更するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ドッキングステーションは、時間的様式を用いて色を調節するように構成されている、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
前記時間的様式が、前記ドッキングステーションの各流体カートリッジからのバイナリ流動のデューティサイクルを調節するステップを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ドッキングステーションは、時間的様式を用いて外観又は材料特性を調節するように構成されている、請求項26に記載の方法。
【請求項44】
前記時間的様式が、独立したポンプを用いて、前記ドッキングステーションの各流体カートリッジからのバイナリ流動のデューティサイクルを調節するステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記マイクロ流体回路の入口と出口は、服飾品又は装備品のポート内に含まれている、請求項18に記載の方法。
【請求項46】
前記ポートによって、入口及び出口とコネクタの機械的連結が容易となっている、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ポートによって、成型ガイド、傾斜部、スナップ、レバー、溝のいずれかを介した入口及び出口とコネクタの機械的連結の位置合せが容易となっている、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ポートは、服飾品又は装備品の材料内に陥凹されている、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記マイクロ流体回路は、服飾品又は装備品の物質的範囲の1〜25%に亘って組み込まれている、請求項18に記載の方法。
【請求項50】
前記マイクロ流体回路は、服飾品又は装備品の物質的範囲の25%〜75%に亘って組み込まれている、請求項18に記載の方法。
【請求項51】
前記マイクロ流体回路は、服飾品又は装備品の物質的範囲の75%〜100%に亘って組み込まれている、請求項18に記載の方法。
【請求項52】
前記マイクロ流体回路は、スウッシュ、ストライプ、意匠の輪郭に沿ったリブ、ロゴとして、背景要素として、又はそれらの組合せとして形成されている、請求項18に記載の方法。
【請求項53】
前記材料特性は、服飾品又は装備品の光学的特性(色、反射率、吸収度)、香り、熱特性(熱容量)、機械的特性(剛性、粗度、圧力)、電磁的特性(常磁性、強磁性、導電性)、化学的特性(蛍光性、化学発光性、治療性)のいずれか、又はそれらの組合せを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項54】
前記回路を通って流体を移動させるステップは、電気泳動式の流動、電気浸透式の流動、誘電泳動式の流動、電熱式の流動、電磁式の流動、容積ベースの流動、圧力ベースの流動、他の起電式流動のいずれか、又はそれらの組合せを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項55】
前記回路を通って流体を移動させるステップは、手動による作動を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項56】
前記回路を通って流体を移動させるステップに対して一塊の空気が先行する又は後続する、請求項18に記載の方法。
【請求項57】
前記回路を通って流体を移動させるステップは、開始コドン又は停止コドンの使用を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項58】
前記流体は、小分子、官能化ポリマー、ナノ粒子、微粒子のいずれか、又はそれらの組合せを有している、請求項18に記載の方法。
【請求項59】
前記ポリマーはポリエチレングリコールである、請求項58に記載の流体。
【請求項60】
前記流体は治療的流体で構成されている、請求項18に記載の流体。
【請求項61】
前記流体は非ニュートン性流体で構成されている、請求項18に記載の流体。
【請求項62】
前記流体は磁性流体で構成されている、請求項18に記載の流体。
【請求項63】
前記流体は香料入りの流体で構成されている、請求項18に記載の流体。
【請求項64】
前記流体は熱流体で構成されている、請求項18に記載の流体。
【請求項65】
前記マイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップは、前記マイクロ流体回路とドッキングステーションを接続するステップと、前記ドッキングステーションとコンピュータを接続するステップとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項66】
前記ドッキングステーション又は前記コンピュータは、ソーシャルネットワークに接続されている、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記マイクロ流体回路を通って流体を移動させる際に使用される容量、圧力、又は他のデータは、服飾品又は装備品とドッキングステーション又はコンピュータとの間で通信されている、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
ユーザインターフェースを用いて前記コンピュータを制御する、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
変更可能な意匠特徴を有する服飾品又は装備品の物品を製造する方法であって、
物品の内部、又は物品の表面上にマイクロ流体回路を組み込むステップからなり、前記マイクロ流体回路は、マイクロ流体チャネルと入口と出口を備え、前記マイクロ流体チャネルは、前記物品の外面と接触して見える少なくとも一つの区画を有している方法。
【請求項70】
ポンプ、一つ又は複数の弁、一つ又は複数の流体カートリッジ、マイクロ流体混合構成要素、コネクタ、及び廃液室を備えるドッキングステーションであって、前記コネクタは、マイクロ流体チャネルと入口と出口を有するマイクロ流体回路に流体を送達するのに適しているドッキングステーション。
【請求項1】
物品の内部、又は物品の表面上に組み込まれたマイクロ流体回路を備える服飾品又は装備品の物品であって、前記マイクロ流体回路は、前記物品の外面に露出した少なくとも一つの区画を有するマイクロ流体チャネルと入口と出口を備え、前記マイクロ流体チャネルによって入口と出口が接続されている服飾品又は装備品の物品。
【請求項2】
前記組み込まれたマイクロ流体回路は、透明又は半透明の少なくとも一つの壁区画を有している、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項3】
前記透明又は半透明の少なくとも一つの壁区画は、服飾品又は装備品の表面に露出しており、服飾品又は装備品の表面とマイクロ流体チャネルが接触して見えている、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項4】
前記服飾品が、履物、靴、ベルト、バックパック、帽子、ブレスレット、リストバンド、シャツ、スカーフ、宝石、眼鏡のいずれかからなる、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項5】
前記装備品が、スケートボード、ローラーブレード、スノーボード、手袋、パッド、電気器具、コンピュータ、電子製品、小物、玩具、看板、企業アート、企業ロゴ、車両、軍用車両、軍用武装具、ヘルメット、車体パネル、家庭用品、家具、テーブル天板、壁、絵画のいずれかからなる、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項6】
前記マイクロ流体回路は、一つの蛇行チャネルによって接続された入口と出口を有している、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項7】
前記マイクロ流体回路は、複数の入口及び出口と複数のマイクロ流体チャネルを有している、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項8】
前記マイクロ流体チャネルは、少なくとも一部が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシロキサン、合成多孔皮革、プラスチック皮革、クラリーノ、合成皮革、服飾品又は装備品に適した他のプラスチックのいずれかから構築されている壁で包囲されている、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項9】
請求項8に記載の服飾品又は装備品の物品のマイクロ流体チャネルを形成する方法であって、一方の半体が平坦であって他方の半体がチャネル内腔を備える前記チャネルの二つの半体を位置合せするステップと、前記二つの半体を互いに押圧するステップと、時間、圧力、熱、UV光、UV光とオゾンのいずれかを適用することによって前記回路を封止するステップと、からなる方法。
【請求項10】
マイクロ流体チャネルを封止するステップは、前記二つの半体を押圧する前に、前記チャネルの前記二つの半体を接着剤、酸、オゾン、光硬化性化合物のいずれかで処理するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロ流体チャネルは、内部チャネル深さが10〜1000μmの範囲内である、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項12】
前記マイクロ流体チャネルは、内部チャネル深さが300〜700μmの範囲内である、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項13】
前記マイクロ流体チャネルは、最小のチャネル壁の幅が0.1mm、最大のチャネル壁の幅が0.65mm、最小のチャネル幅が0.35mm、最大のチャネル幅が1.25mm、且つチャネル深さが0.3〜0.7mmである、請求項6に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項14】
前記入口は、隔壁弁、逆止め弁、ボール弁、マイクロ流体弁、ピンチ弁、他の弁のいずれかを含んでいる、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項15】
前記弁は、直径が約2mmで厚さが0.5mmの、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、及びポリイミド(PI)からなるパッシブダイナミック逆止め弁を備えている、請求項14に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項16】
前記出口は、隔壁弁、逆止め弁、ボール弁、マイクロ流体弁、ピンチ弁、他の弁のいずれかを含んでいる、請求項1に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項17】
前記弁は、直径が約2mmで厚さが0.5mmの、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、及びポリイミド(PI)からなるパッシブダイナミック逆止め弁を備えている、請求項16に記載の服飾品又は装備品の物品。
【請求項18】
服飾品又は装備品の物品の外観又は材料特性を調節する方法であって、
服飾品又は装備品に組み込まれており、且つ服飾品又は装備品の外面と接触して見える少なくとも一つの区画を有するマイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップからなり、前記マイクロ流体回路は、マイクロ流体チャネルと入口と出口を備え、前記マイクロ流体チャネルによって入口と出口が前記物品内で接続されている方法。
【請求項19】
前記マイクロ流体回路が、一つの蛇行チャネルによって接続された入口と出口を有している、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記マイクロ流体回路は、複数の入口及び出口と複数のマイクロ流体チャネルを有している、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記マイクロ流体チャネルは、少なくとも一部が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシロキサン、合成多孔皮革、プラスチック皮革、クラリーノ、合成皮革、服飾品又は装備品に適した他の透明又は半透明のプラスチックのいずれかから構築されている壁で包囲されている、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記マイクロ流体回路は、10〜1000μmの範囲内の内部チャネル深さを有している、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記マイクロ流体回路は、300〜700μmの範囲内の内部チャネル深さを有している、請求項18に記載の方法、
【請求項24】
前記マイクロ流体回路は、最小のチャネル壁の幅が0.1mm、最大のチャネル壁の幅が0.65mm、最小のチャネル幅が0.35mm、最大のチャネル幅が1.25mm、且つチャネル深さが0.3〜0.7mmである、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記マイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップは、前記マイクロ流体回路にドッキングステーションを接続するステップを含み、前記ドッキングステーションは、ポンプ、一つ又は複数の弁、一つ又は複数の流体カートリッジ、任意選択のマイクロ流体混合構成要素、コネクタ、及び任意選択の廃液室を有している、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記マイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップは、前記マイクロ流体回路にドッキングステーションを接続するステップを含み、前記ドッキングステーションは、複数のポンプ、複数の流体カートリッジ、マイクロ流体混合構成要素、コネクタ、及び廃液室を有している、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記マイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップは、前記マイクロ流体回路にドッキングステーションを接続するステップを含み、前記ドッキングステーションは、複数のポンプ、複数の流体カートリッジ、及びコネクタを有している、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記マイクロ流体混合構成要素は、溝付きチャネル、テスラミキサ、T流及びY流構成、交差指形/二叉流動分散構造、分流及び再合流の反復構造、流動障害物、ジクザグチャネル、カオス混合構成、受動マイクロ混合構成、分流構成、流体力学的集束、毛細管分流構成及び再合流構成、流動ツイスト構成、カオス移流構成、音響波ユニットのいずれか、又はそれらの組合せを有している、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記マイクロ流体混合構成要素は、溝付きチャネル、テスラミキサ、T流及びY流構成、交差指形/二叉流動分散構造、分流及び再合流の反復構造、流動障害物、ジクザグチャネル、カオス混合、他の受動マイクロ混合設計、分流、流体力学的集束、毛細管分流及び再合流、流動ツイスト、カオス移流、音響波ユニットのいずれか、又はそれらの組合せを有している、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ドッキングステーションは、接続マニホルド内で終端する一連の流体ラインを用いて服飾品又は装備品の物品と接続されるようになっている、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記接続マニホルドは、電気ライン又は光ラインによって前記ドッキングステーションと接続されている、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ドッキングステーションは、接続マニホルド内で終端する一連の流体ラインを用いて服飾品又は装備品の物品と接続されるようになっている、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記接続マニホルドは、電気ライン又は光ラインによって前記ドッキングステーションと接続されている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ドッキングステーションは、アナログ様式を用いて外観又は材料特性を調節するように構成されている、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記アナログ様式が、弁を用いて、前記ドッキングステーション内に含まれる各流体ラインの相対的な流体抵抗を連続的に変更するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記アナログ様式が、独立したポンプを用いて、前記ドッキングステーション内に含まれる各流体ラインの相対的な圧力を連続的に変更するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ドッキングステーションは、アナログ様式を用いて外観又は材料特性を調節するように構成されている、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記アナログ様式が、独立したポンプを用いて、前記ドッキングステーション内に含まれる各流体ラインの相対的な圧力を連続的に変更するステップを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ドッキングステーションは、デジタル様式を用いて外観又は材料特性を調節するように構成されている、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
前記デジタル様式が、前記ドッキングステーションの各流体カートリッジから延びる開いた流体経路の数を離散的に変更するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ドッキングステーションは、時間的様式を用いて色を調節するように構成されている、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
前記時間的様式が、前記ドッキングステーションの各流体カートリッジからのバイナリ流動のデューティサイクルを調節するステップを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ドッキングステーションは、時間的様式を用いて外観又は材料特性を調節するように構成されている、請求項26に記載の方法。
【請求項44】
前記時間的様式が、独立したポンプを用いて、前記ドッキングステーションの各流体カートリッジからのバイナリ流動のデューティサイクルを調節するステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記マイクロ流体回路の入口と出口は、服飾品又は装備品のポート内に含まれている、請求項18に記載の方法。
【請求項46】
前記ポートによって、入口及び出口とコネクタの機械的連結が容易となっている、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ポートによって、成型ガイド、傾斜部、スナップ、レバー、溝のいずれかを介した入口及び出口とコネクタの機械的連結の位置合せが容易となっている、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ポートは、服飾品又は装備品の材料内に陥凹されている、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記マイクロ流体回路は、服飾品又は装備品の物質的範囲の1〜25%に亘って組み込まれている、請求項18に記載の方法。
【請求項50】
前記マイクロ流体回路は、服飾品又は装備品の物質的範囲の25%〜75%に亘って組み込まれている、請求項18に記載の方法。
【請求項51】
前記マイクロ流体回路は、服飾品又は装備品の物質的範囲の75%〜100%に亘って組み込まれている、請求項18に記載の方法。
【請求項52】
前記マイクロ流体回路は、スウッシュ、ストライプ、意匠の輪郭に沿ったリブ、ロゴとして、背景要素として、又はそれらの組合せとして形成されている、請求項18に記載の方法。
【請求項53】
前記材料特性は、服飾品又は装備品の光学的特性(色、反射率、吸収度)、香り、熱特性(熱容量)、機械的特性(剛性、粗度、圧力)、電磁的特性(常磁性、強磁性、導電性)、化学的特性(蛍光性、化学発光性、治療性)のいずれか、又はそれらの組合せを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項54】
前記回路を通って流体を移動させるステップは、電気泳動式の流動、電気浸透式の流動、誘電泳動式の流動、電熱式の流動、電磁式の流動、容積ベースの流動、圧力ベースの流動、他の起電式流動のいずれか、又はそれらの組合せを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項55】
前記回路を通って流体を移動させるステップは、手動による作動を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項56】
前記回路を通って流体を移動させるステップに対して一塊の空気が先行する又は後続する、請求項18に記載の方法。
【請求項57】
前記回路を通って流体を移動させるステップは、開始コドン又は停止コドンの使用を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項58】
前記流体は、小分子、官能化ポリマー、ナノ粒子、微粒子のいずれか、又はそれらの組合せを有している、請求項18に記載の方法。
【請求項59】
前記ポリマーはポリエチレングリコールである、請求項58に記載の流体。
【請求項60】
前記流体は治療的流体で構成されている、請求項18に記載の流体。
【請求項61】
前記流体は非ニュートン性流体で構成されている、請求項18に記載の流体。
【請求項62】
前記流体は磁性流体で構成されている、請求項18に記載の流体。
【請求項63】
前記流体は香料入りの流体で構成されている、請求項18に記載の流体。
【請求項64】
前記流体は熱流体で構成されている、請求項18に記載の流体。
【請求項65】
前記マイクロ流体回路を通って流体を移動させるステップは、前記マイクロ流体回路とドッキングステーションを接続するステップと、前記ドッキングステーションとコンピュータを接続するステップとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項66】
前記ドッキングステーション又は前記コンピュータは、ソーシャルネットワークに接続されている、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記マイクロ流体回路を通って流体を移動させる際に使用される容量、圧力、又は他のデータは、服飾品又は装備品とドッキングステーション又はコンピュータとの間で通信されている、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
ユーザインターフェースを用いて前記コンピュータを制御する、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
変更可能な意匠特徴を有する服飾品又は装備品の物品を製造する方法であって、
物品の内部、又は物品の表面上にマイクロ流体回路を組み込むステップからなり、前記マイクロ流体回路は、マイクロ流体チャネルと入口と出口を備え、前記マイクロ流体チャネルは、前記物品の外面と接触して見える少なくとも一つの区画を有している方法。
【請求項70】
ポンプ、一つ又は複数の弁、一つ又は複数の流体カートリッジ、マイクロ流体混合構成要素、コネクタ、及び廃液室を備えるドッキングステーションであって、前記コネクタは、マイクロ流体チャネルと入口と出口を有するマイクロ流体回路に流体を送達するのに適しているドッキングステーション。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2013−501594(P2013−501594A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524884(P2012−524884)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/045380
【国際公開番号】WO2011/019961
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(512034678)コード フットウェア,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/045380
【国際公開番号】WO2011/019961
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(512034678)コード フットウェア,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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