構成案立案支援装置およびプログラム
【課題】現実的な時間内にシミュレーションを終えることができる程度にシミュレーション対象の組合せの数を減らすことができる構成案立案支援装置を提供する。
【解決手段】候補要素グループ化手段27は、第1の優劣表を基に、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループ内の候補要素同士の優劣が定義された優劣表(第2の優劣表)を生成する。グループ内構成案生成手段29は、グループ内の候補要素の組合せであるグループ内構成案の中で、第2の優劣表から、他のグループ内構成案と比して劣っていると判断されるグループ内構成案を排除し、排除されなかった残りのグループ内構成案のリスト(グループ内構成案リスト)を生成する。全体構成案生成手段31は、グループ内構成案リストを基に、全グループのグループ内構成案を選択的に結合した全体構成案のリスト(全体構成案リスト)を生成する。
【解決手段】候補要素グループ化手段27は、第1の優劣表を基に、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループ内の候補要素同士の優劣が定義された優劣表(第2の優劣表)を生成する。グループ内構成案生成手段29は、グループ内の候補要素の組合せであるグループ内構成案の中で、第2の優劣表から、他のグループ内構成案と比して劣っていると判断されるグループ内構成案を排除し、排除されなかった残りのグループ内構成案のリスト(グループ内構成案リスト)を生成する。全体構成案生成手段31は、グループ内構成案リストを基に、全グループのグループ内構成案を選択的に結合した全体構成案のリスト(全体構成案リスト)を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業を支援する構成案立案支援装置およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業等における経営者等は、実際の活動を行う前に予め目標を定め、高い確率で目標を達成できる計画を立案し、実際の活動の予測可能性を高めたいと考えている。しかし、一般には、目標の達成に寄与する可能性がある候補要素は無数に存在し、候補要素の組合せである構成案を立案することは非常に困難である。
【0003】
例えば、自動車のエンジンを改良するという目標を定め、実際の活動を行うための計画を立案する場合を考える。この場合、目標の達成に寄与する可能性がある候補要素は、例えば、エンジンを構成する各部品の形状改良などである。ここで、各候補要素が目標の達成にどの程度寄与するかは不確定であることから、候補要素の組合せごとに目標達成確率を算出する必要がある。更に、目標達成確率は、解析的に算出することが困難であることから、例えば、モンテカルロシミュレーション等を用いて目標達成確率を算出することになる。
【0004】
しかし、モンテカルロシミュレーションは処理に時間を要することから、従来から高速化の仕組みが考案されている。モンテカルロシミュレーションの高速化の仕組みとしては、例えば、特許文献1に記載の仕組みがある。
【特許文献1】特開平05−089160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を始めとする従来の技術では、シミュレーション対象の組合せの数によっては高速化に限界がある。本発明が対象とする構成案の立案作業では、例えば、候補要素の数が40以上となるものもある。この場合、シミュレーション対象の組合せの数は2^40(x^yは、xのy乗を意味する。以下、同様とする。)となり、従来技術の高速化の仕組みを用いても現実的な時間内にシミュレーションを終えることができない。そこで、シミュレーション対象の組合せの数を減らすことが課題となる。
【0006】
本発明の目的は、予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業において、現実的な時間内にシミュレーションを終えることができる程度にシミュレーション対象の組合せの数を減らすことができる構成案立案支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために第1の発明は、予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業を支援する構成案立案支援装置であって、全ての候補要素同士の優劣が定義された第1の優劣表を基に、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループ内の候補要素同士の優劣が定義された第2の優劣表を生成する候補要素グループ化手段と、グループ内の候補要素の組合せであるグループ内構成案の中で、前記第2の優劣表から、他のグループ内構成案と比して劣っていると判断されるグループ内構成案を排除し、排除されなかった残りのグループ内構成案のリストであるグループ内構成案リストを生成するグループ内構成案生成手段と、前記グループ内構成案生成手段によって生成された全グループについてのグループ内構成案リストを基に、全グループのグループ内構成案を選択的に結合した全体構成案のリストである全体構成案リストを生成する全体構成案生成手段と、を具備することを特徴とする構成案立案支援装置である。
【0008】
第1の発明は、候補要素による目標達成への寄与の確率分布のデータを格納する候補要素データベースと、予め定められた目標を示す目標値および予め定められた目標の達成条件のデータを格納する目標値データベースと、前記候補要素データベースおよび前記目標値データベースに格納されているデータを基に、前記全体構成案生成手段によって生成された全体構成案リストに含まれる各全体構成案の目標達成確率を算出し、各全体構成案を評価する全体構成案評価手段と、を更に具備することが望ましい。
【0009】
また、第1の発明における前記全体構成案評価手段は、更に、目標達成確率が最大となる全体構成案を最良全体構成案として出力することが望ましい。
【0010】
また、第1の発明は、前記候補要素データベースに格納されているデータを基に、前記第1の優劣表を生成する構成要素優劣表生成手段、を更に具備することが望ましい。
【0011】
第2の発明は、コンピュータを第1の発明の構成案立案支援装置として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業において、現実的な時間内にシミュレーションを終えることができる程度にシミュレーション対象の組合せの数を減らすことができる構成案立案支援装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明の適用対象は、予め定められた目標を達成するための活動の計画を立案する作業である。より具体的には、活動の初期段階において、予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業である。また、構成案は、現実の活動として実行できるものである。
【0015】
本発明の実施の形態では、対象とする活動として自動車のエンジンの開発を例にして説明する。この場合、候補要素とは、エンジン開発における開発要素である。そして、予め定められた目標とは、エンジンの性能向上等である。候補要素が目標の達成に寄与する可能性は、候補要素による目標達成への寄与の確率分布で表現する。尚、「候補要素による目標達成への寄与」という事象は、候補要素間で互いに独立であることが仮定できるものとする。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る構成案立案支援装置1を実現するコンピュータのハードウェア構成図である。尚、図1のハードウェア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
【0017】
開発計画立案支援装置1は、制御部3、記憶部5、メディア入出力部7、通信制御部9、入力部11、表示部13、周辺機器I/F部15等が、バス17を介して接続される。
【0018】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0019】
CPUは、記憶部5、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス17を介して接続された各装置を駆動制御し、開発計画立案支援装置1が行う後述する処理を実現する。
ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。
RAMは、揮発性メモリであり、記憶部5、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部3が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0020】
記憶部5は、HDD(ハードディスクドライブ)であり、制御部3が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティングシステム)等が格納される。プログラムに関しては、OS(オペレーティングシステム)に相当する制御プログラムや、後述する処理をコンピュータに実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。
これらの各プログラムコードは、制御部3により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0021】
メディア入出力部7(ドライブ装置)は、データの入出力を行い、例えば、CDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、DVDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、MOドライブ等のメディア入出力装置を有する。
【0022】
通信制御部9は、通信制御装置、通信ポート等を有し、コンピュータとネットワーク19間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワーク19を介して、他のコンピュータ間との通信制御を行う。
【0023】
入力部11は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。
入力部11を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。
【0024】
表示部13は、CRTモニタ、液晶パネル等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。
【0025】
周辺機器I/F(インタフェース)部15は、コンピュータに周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部15を介してコンピュータは周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部15は、USBやIEEE1394やRS−232C等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0026】
バス17は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0027】
次に、図2から図13までを参照しながら、構成案立案支援装置1の機能を実現する構成について説明する。
【0028】
図2は、構成案立案支援装置1の機能の概要を示すブロック図である。図2に示すように、構成案立案支援装置1は、目標値DB(データベース)21、候補要素DB(データベース)23、候補要素優劣表生成手段25、候補要素グループ化手段27、グループ内構成案生成手段29、全体構成案生成手段31、全体構成案評価手段33、最良全体構成案DB(データベース)35等を備える。
【0029】
目標値DB21は、予め定められた目標を示す目標値および予め定められた目標の達成条件などのデータを格納する。候補要素DB23は、候補要素による目標達成への寄与の確率分布などのデータを格納する。
【0030】
候補要素優劣表生成手段25は、候補要素DB23に格納されているデータを基に、全ての候補要素同士の優劣が定義された優劣表(第1の優劣表)を生成する。候補要素グループ化手段27は、第1の優劣表を基に、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループ内の候補要素同士の優劣が定義された優劣表(第2の優劣表)を生成する。グループ内構成案生成手段29は、グループ内の候補要素の組合せであるグループ内構成案の中で、第2の優劣表から、他のグループ内構成案と比して劣っていると判断されるグループ内構成案を排除し、排除されなかった残りのグループ内構成案のリスト(グループ内構成案リスト)を生成する。
【0031】
全体構成案生成手段31は、グループ内構成案リストを基に、全グループのグループ内構成案を選択的に結合した全体構成案のリスト(全体構成案リスト)を生成する。全体構成案評価手段33は、候補要素DB23および目標値DB21に格納されているデータを基に、例えば、モンテカルロシミュレーションによって、全体構成案リストに含まれる各全体構成案の目標達成確率を算出し、各全体構成案を評価する。また、全体構成案評価手段33は、目標達成確率が最大となる全体構成案(最良全体構成案)を出力する。最良全体構成案DB(データベース)35は、最良全体構成案などのデータを格納する。
【0032】
構成案立案支援装置1は、第1の優劣表を入力部11等から入力する手段、並びに、候補要素グループ化手段27、グループ内構成案生成手段29、及び全体構成案生成手段31を少なくとも備えることで、シミュレーションの対象とする候補要素の組合せの数を減らすことができる。
【0033】
更に、構成案立案支援装置1は、候補要素DB23、及び候補要素優劣表生成手段25を備えることで、第1の優劣表を生成することができる。また、更に、構成案立案支援装置1は、目標値DB21、全体構成案評価手段33を備えることで、最良全体構成案を決定することができる。
【0034】
次に、構成案立案支援装置1が備える各機能の詳細について説明する。可読性を高める為、各機能の説明の冒頭には、例えば、<目標値DB21>のように見出しを付すこととする。
【0035】
<目標値DB21>
最初に、図3を参照しながら、目標値DB21の詳細について説明する。
図3は、目標値データ41の一例を示す図である。目標値DB21は、例えば、図3に示す目標値データ41を格納する。図3に示す目標値データ41は、エンジンの性能向上の目標値である。図3に示すように、目標値データ41は、燃費低減44、排ガス低減45、出力向上46、コストアップ47の指標についての目標値42および条件43を有する。尚、コストアップ47は、エンジンの性能を意味するものではないが、開発の指標として、各開発項目を開発した場合の最終製品における費用の増加を示すものである。このように、性能とは、本来的な性能だけでなく、費用の増減なども含む概念である。
【0036】
図3に示す例では、例えば、燃費低減44は、目標値42が「10%」、条件43が「以上」であることから、燃費が10%以上低減できれば、燃費低減44の指標に関する性能向上が達成されたことになる。また、例えば、コストアップ47は、目標値42が「100,000円」、条件43が「以下」であることから、費用の増加が100,000円以下に抑えることができれば、コストアップ47の指標に関する性能向上が達成されたことなる。そして、全ての指標について性能向上が達成されると、開発物全体として予め定められた目標を達成したことになる。
【0037】
目標値データ41は、構成案立案支援装置1のユーザが、構成案立案支援装置1の入力部11等を介して入力する。また、シミュレーションに含める指標、候補項目などについても、ユーザが、構成案立案支援装置1の入力部11等を介して入力できるように構成すると良い。
【0038】
<候補要素DB23>
次に、図4を参照しながら、候補要素DB23の詳細について説明する。
図4は、寄与予測分布データ51の一例を示す図である。候補要素DB23は、例えば、図4に示す寄与予測分布データ51を格納する。図4に示す寄与予測分布データ51は、各候補項目を実行したときの各性能値の向上の不確実性を示す確率分布のデータである。図4に示すように、寄与予測分布データ51は、各候補項目(候補項目A〜候補項目Z)を行方向のデータ項目とし、各指標(燃費低減44、排ガス低減45、出力向上46、コストアップ47)を列方向のデータ項目とする。寄与予測分布データ51は、指標および候補項目ごとに、分布52、下限値53、最頻値54、上限値55のデータ項目を有する。
【0039】
分布52とは、各指標の性能向上を確率変数として捉えたとき、この確率変数が従う確率分布である。例えば、図4に示す例では、燃費低減52の指標については、性能向上が三角分布に従うことを示している。また、下限値53、最頻値54、上限値55とは、分布の形を決めるパラメータである。三角分布の場合、下限値53、最頻値54、上限値55が決まれば、分布の形が決まる。また、一様分布の場合、下限値53、上限値55が決まれば、分布の形が決まる。尚、当然ながら、図4に示す確率分布以外、例えば、正規分布等であっても良い。正規分布の場合、下限値53、最頻値54、上限値55に代えて、平均、分散(図示しない。)といったパラメータとなる。また、確率密度関数自体を格納しても良い。
【0040】
図4に示す例では、候補項目Aを開発したときの燃費低減44の指標に関する分布52が「三角」、下限値53が「5」、最頻値54が「6」、上限値55が「7」である。一方、候補項目Cを開発したときの燃費低減44の指標に関する分布52は「−」である。これは、候補項目Cを開発したときに燃費低減44の指標に関する性能向上がないことを示している。
【0041】
寄与予測分布データ51は、構成案立案支援装置1のユーザが、構成案立案支援装置1の入力部11等を介して入力する。寄与予測分布データ51は、過去の開発・実験データ、開発者の知見などに基づいて入力される。
【0042】
<候補要素優劣表生成手段25>
次に、図5から図7を参照しながら、候補要素優劣表生成手段25の詳細について説明する。図5は、候補要素同士の優劣関係がある例を示す図である。図6は、優劣表61の一例を示す図である。図7は、候補要素同士の優劣関係がない例を示す図である。
【0043】
候補要素優劣表生成手段25は、各候補要素の寄与予測分布データ51を基に、候補要素間の確率的な優劣関係を判定し、優劣表を生成する。ここで、目標とする指標pに関して、次式が成立する場合、「候補要素Bは候補要素Aより優位である」という優劣関係がある、と定義する。
【数1】
但し、F´A(p):候補要素Aの指標pに関する逆累積分布関数、F´B(p):候補要素Bの指標pに関する逆累積分布関数、である。目標とする指標が複数ある場合、pはベクトルであり、F´(・)は多次元関数(ベクトルpの次元と同じ次元)である。尚、逆累積分布関数G´(・)は、累積分布関数G(・)に対して、G´(・)=1−G(・)と定義する。
【0044】
図5(1)は、候補要素Aの指標pに関する確率密度関数fA(p)のグラフである。図5(2)は、候補要素Bの指標pに関する確率密度関数fB(p)のグラフである。図5(3)は、候補要素Aの指標pに関する逆累積分布関数F´A(p)および候補要素Bの指標pに関する逆累積分布関数F´B(p)のグラフである。図5(3)は、候補要素Aと候補要素Bとの間において、式(1)が成立し、「候補要素Bは候補要素Aより優位である」という優劣関係があることを示している。
【0045】
図6に示す優劣表61は、全ての候補要素同士の優劣が定義された優劣表(第1の優劣表)である。ここで、優劣表61の生成手順について説明する。
【0046】
(a)最初に、構成案立案支援装置1の制御部3は、候補要素の数だけ行数及び列数のある「優劣表」の全ての要素(以下、候補要素と区別するため、「セル」と呼ぶことにする。)の値を記憶する領域をRAM上に確保し、優劣表の全てのセルの値を0で初期化する。
【0047】
(b)次に、制御部3は、候補要素の対(例えば、候補要素Aと候補要素B)を順番に決定し、決定した候補要素の対に対して式(1)が成立するか否かを判定し、優劣関係があるかどうか判定する。式(1)が成立するか否かの判定は、様々な方法が考えられる。例えば、制御部3は、候補要素ごとに、その確率分布に従うサンプルをモンテカルロシミュレーションによって発生させ、サンプルを用いて逆累積分布を近似的に算出し、それぞれの逆累積分布を比較することで、式(1)が成立するか否かを判定する。
【0048】
(c)候補要素の対に優劣関係がある場合(例えば、図5に示す例のように、候補要素Bは候補要素Aより優位である場合)、制御部3は、「優劣表」の劣位側の候補要素Aに対応する行、かつ優位側の候補要素Bに対応する列のセルを1に変更する。図6に示す例では、A行B列の要素62が「1」となっている。
【0049】
(d)候補要素の対に優劣関係がない場合(例えば、図7に示す例のように、候補要素Aと候補要素Cとの間に式(1)が成立しない場合)、制御部3は、「優劣表」の変更を行わない。図7に示す例では、F´A(p)がF´C(p)よりも大きい箇所、およびF´C(p)がF´A(p)よりも大きい箇所の両方が存在する。従って、候補要素Aと候補要素Cとの間に式(1)が成立しない。
【0050】
以上のとおり、候補要素優劣表生成手段25は、寄与予測分布データ51を基に、式(1)が成立するか否かを判定し、優劣表61(第1の優劣表)を生成する。
【0051】
<候補要素グループ化手段27>
次に、図8、図9を参照しながら、候補要素グループ化手段27の詳細について説明する。図8は、優劣グラフ71の一例を示す図である。図9は、第2の優劣表の生成手順を説明する図である。
【0052】
候補要素グループ化手段27は、前述の図6に示す優劣表61を入力とし、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループごとにグループ内の候補要素同士の優劣が定義された優劣表(第2の優劣表)を生成する。前述のように、優劣関係がある候補要素の対、及び優劣関係がない候補要素の対の両方が存在することから、候補要素の順序集合(優劣関係を順序と捉えた候補要素の集合)は、全順序ではなく、半順序である。
【0053】
図8は、前述の図6に示す優劣表61をグラフで表した優劣グラフ71の一例である。図8の凡例72に示すように、優劣グラフ71では、候補要素同士に優劣関係がある場合、劣位側の候補要素に対して黒丸を付けて、優位側の候補要素に対しては何も付けず、両者を直線で結んでいる。例えば、候補要素Bは候補要素Aよりも優位であることから、候補要素Aに対して黒丸を付けて、候補要素Aと候補要素Bとが直線で結ばれている。
【0054】
図8に示す例でも分かるように、優劣グラフ71では、候補要素群の島(点線の枠で図示)がいくつか形成される場合がある。この場合、候補要素グループ化手段27は、島を形成する候補要素群を一つのグループとしてグループ化する。図8では、グループ1が「A、B、G、F」、グループ2が「C、D、E」、グループ3が「H」である。
【0055】
ここで、図9を参照しながら、第2の優劣表(グループ内の候補要素同士の優劣が定義された優劣表)の生成手順の詳細について説明する。
【0056】
(a)最初に、構成案立案支援装置1の制御部3は、先頭の候補要素Aをグループ1の候補要素を記憶するRAM上のワークメモリ領域(以下、「グループ1メンバ変数」とする。)に保持する。
【0057】
(b)次に、制御部3は、グループ1メンバ変数に保持した候補要素Aと優劣関係がある候補要素を検索し、グループ1メンバ変数に更に保持する。候補要素Aと優劣関係がある候補要素とは、例えば、図9に示す優劣表61aにおいて、候補要素Aの行に対応するA行、または候補要素Aの列に対応するA列の中で、値が1であるセルに対応する候補要素である。すなわち、図9に示す例では、A行B列のセルの値が1であることから、A行B列のセルに対応する候補要素Bをグループ1の候補要素として保持する。
【0058】
(c)次に、制御部3は、グループ1メンバ変数に保持した候補要素Bと優劣関係がある候補要素を検索し、グループ1メンバ変数に更に保持する。図9に示す例では、G行B列のセルの値が1であることから、G行B列のセルに対応する候補要素Gをグループ1の候補要素として保持する。
【0059】
(c)次に、制御部3は、グループ1メンバ変数に保持した候補要素Gと優劣関係がある候補要素を検索し、グループ1メンバ変数に更に保持する。図9に示す例では、G行F列のセルの値が1であることから、G行F列のセルに対応する候補要素Fをグループ1の候補要素として保持する。
【0060】
(d)次に、制御部3は、グループ1メンバ変数に保持した候補要素Fと優劣関係がある候補要素を検索する。図9に示す例では、F行、またはF列の中で、値が1であるセルが、グループ1メンバ変数に保持した候補要素に対応するセル以外に存在しないことから、グループ1に含まれる候補要素は、「A、B、G、F」で確定する。
【0061】
(e)次に、制御部3は、図9に示すように、優劣表61aからグループ{A、B、F、G}について切り出して優劣表61bを生成するとともに、残りについて切り出して優劣表61cを生成する。
【0062】
(f)次に、制御部3は、優劣表61cにおける先頭の候補要素Cをグループ2の候補要素を記憶するRAM上のワークメモリ領域(以下、「グループ2メンバ変数」とする。)に保持する。
【0063】
(g)次に、制御部3は、グループ2メンバ変数に保持した候補要素Cと優劣関係がある候補要素を検索し、グループ2メンバ変数に更に保持する。図9に示す例では、C行D列のセルの値が1であることから、C行D列のセルに対応する候補要素Dをグループ2の候補要素として保持する。
【0064】
(h)次に、の制御部3は、グループ2メンバ変数に保持した候補要素Dと優劣関係がある候補要素を検索し、グループ2メンバ変数に更に保持する。図9に示す例では、D行E列のセルの値が1であることから、D行E列のセルに対応する候補要素Eをグループ2の候補要素として保持する。
【0065】
(i)次に、制御部3は、グループ2メンバ変数に保持した候補要素Eと優劣関係がある候補要素を検索する。図9に示す例では、E行、またはE列の中で、値が1であるセルが、グループ1メンバ変数に保持した候補要素に対応するセル以外に存在しないことから、グループ2に含まれる候補要素は、「C、D、E」で確定する。
【0066】
(j)次に、制御部3は、図9に示すように、優劣表61cからグループ{C、D、E}について切り出して優劣表61dを生成するとともに、残りについて切り出して優劣表61eを生成する。
【0067】
(k)優劣表61eは候補要素Hのみであるから、制御部3は、候補要素Hをグループ3の候補要素を記憶するRAM上のワークメモリ領域(以下、「グループ2メンバ変数」とする。)に保持し、第2の優劣表の生成処理を終了する。
【0068】
以上のとおり、候補要素グループ化手段27は、優劣表61aを基に、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループ1の優劣表61b(第2の優劣表)、グループ2の優劣表61d(第2の優劣表)、グループ3の優劣表61e(第2の優劣表)を生成する。
【0069】
<グループ内構成案生成手段29>
次に、図10から図12を参照しながら、グループ内構成案生成手段29の詳細について説明する。図10は、グループ内構成案の比較を説明する図である。図11は、グループ内構成案のリストの生成処理を示すフローチャートである。図12は、グループ内構成案のリストの生成例を示す図である。
【0070】
グループ内構成案生成手段29は、グループ内の優劣表である第2の優劣表を基に、グループ内構成案リストを生成する。第2の優劣表に定義されている候補要素同士の優劣関係を利用し、グループ内構成案の優劣を簡易に判定できるため、グループ内構成案生成手段29は、劣っているグループ内構成案を排除し、排除されなかった残りのグループ内構成案をリスト化し、グループ内構成案リストとする。
【0071】
最初に、候補要素同士の優劣関係を利用し、グループ内構成案の優劣を簡易に判定できることについて説明する。
候補要素Aと候補要素Bとの間に、式(1)が成立する場合、別の任意の候補要素Xをそれぞれに結合した構成案{A、X}、{B、X}同士も、次式に示す優劣関係が成立する。
【数2】
但し、F´A+X(p):構成案{A、X}の指標pに関する逆累積分布関数、F´B+X(p):構成案{B、X}の指標pに関する逆累積分布関数、である。
【0072】
式(2)は、候補要素Aと候補要素Bとが指標pに関して独立とみなせる場合に成立する。以下、式(2)の証明を示す。
構成案{A、X}の指標pに関する逆累積分布関数は、次式のように、畳込み積分で表すことができる。
【数3】
但し、FA+X(p):構成案{A、X}の指標pに関する累積分布関数、fX(・):候補要素Xの確率密度関数、である。
そして、式(3)を用いると、式(2)は以下のように証明できる。
【数4】
尚、最後の式が0以上であることは、式(1)および確率密度関数fX(・)の性質(確率密度関数は非負)による。
以上、pが一次元の場合について式(2)の証明を示したが、pが多次元の場合も同様に証明できる。pが多次元の場合、式(3)、式(4)は多重積分となるが、畳込み積分が同様の形式で表すことができ、式(4)と同様に証明することができる。
【0073】
そして、構成案{A、X}と構成案{B、X}との間で式(2)が成立する場合、指標pの目標値42の値に関わらず、目標達成確率は、優位側の構成案{B、X}の方が、劣位側の構成案{A、X}よりも高い。すなわち、二つの構成案の間で優劣関係がある場合、劣位側の構成案に係る目標達成確率は、優位側の構成案に係る目標達成確率よりも低くなる為、劣位側の構成案を評価する必要はないことになる。
【0074】
また、構成案同士の優劣関係は、候補要素同士の優劣関係から容易に導出できる。ここで、図10に示す例の場合、すなわちグループ{C、D、E}において、Eが最も優位、次にDが優位、Cが最も劣位である場合を考える。この場合、構成案{C、D}は、構成案{C、E}より劣っていることが導出できる(∵DはEより劣位)。また、構成案{C、E}は、構成案{D、E}より劣っていることが導出できる(∵CはDより劣位。)。
このように、半順序関係の途中の位置にある候補要素を除いた構成案には、必ずそれよりも優位な構成案が存在する。言い換えると、それ自身より優位な構成案が存在しない構成案は、グループ内の全候補要素を含む構成案、及び、劣位側のいくつかの候補要素を除いた構成案である。
【0075】
次に、図11を参照しながら、グループ内構成案生成手段29によるグループ内構成案リストの生成処理について説明する。以下、「Set」、「List」、「Temp_List」、「Temp_Set」、「Inf_Set」、「New_Set」、「E」(Elementの略)は、RAM上のワークメモリ領域にロードされる変数である。
【0076】
制御部3は、候補要素の全集合をSetに格納し、SetをListに格納し、SetをTemp_Listに格納する(ステップ101)。
【0077】
次に、制御部3は、Temp_Listが空リストであるかどうか確認する(ステップ102)。
Temp_Listが空リストでない場合(ステップ102のNo)、ステップ103に進む。
【0078】
次に、制御部3は、Temp_List内の1つの要素をTemp_Setに格納し、Temp_ListとTemp_Setの差集合をTemp_Listに格納する(ステップ103)。
【0079】
次に、制御部3は、Temp_Set内の候補要素のうち、それ自身よりも劣位の候補要素を持たないものの集合をInf_Setに格納する(ステップ104)。「Temp_Set内の候補要素のうち、それ自身よりも劣位の候補要素を持たないものの集合」に含まれる候補要素は、第2の優劣表(グループ内の優劣表)において、セルの値が全て0である列に対応する候補要素である。
【0080】
次に、制御部3は、Inf_Set内の各候補要素Eについて、Temp_SetとEの差集合をNew_Setに格納し、ListとNew_Setの和集合をListに格納し、(Temp_ListとNew_Setの和集合)と空集合({})の差集合をTemp_Listに格納し(ステップ105)、ステップ102に戻る。
【0081】
そして、ステップ102において、Temp_Listが空リストである場合(ステップ102のYes)、Listの内容をグループ内構成案として保持し(ステップ106)、処理を終了する。
【0082】
図12は、図9にて示した優劣表61bに対して、図11に示す処理を実行した結果を示している。
No1では、Temp_Listに({A、B、F、G})が格納される。
次に、No2では、Temp_Listが空リストでないことが確認される。
次に、No3では、Temp_List内の1要素であるグループ内構成案{A、B、F、G}がTemp_Setに格納される。
次に、No4では、「Temp_Set内の候補要素のうち、それ自身よりも劣位の候補要素を持たないものの集合」として、優劣表61bにおいて、セルの値が全て0である列に対応する候補要素A、GがInf_Setに格納される。
次に、No5では、Temp_SetからAおよびGをそれぞれ引いたグループ内構成案{B、F、G}およびグループ内構成案{A、B、F}の二つが、Listに新たに追加される。
以下、図11に示すステップ102からステップ105を繰り返すと、No30において、Temp_Listが空リストであることが確認される。
そして、No31において、このときのListの内容である({A、B、F、G}、{B、F、G}、{A、B、F}、{B、F}、{A、B}、{B}、{F}、{})が、グループ内構成案となる。
【0083】
<全体構成案生成手段31>
次に、図13を参照しながら、全体構成案生成手段31の詳細について説明する。図13は、全体構成案リストの生成を説明する図である。
【0084】
全体構成案生成手段31は、グループ内構成案リストを基に、全体構成案リストを生成する。全体構成案リストは、全構成案(候補要素の全組合せ)のうち、構成案同士の優劣関係によって他の構成案よりも劣っていると判断されない構成案の集合である。「ある構成案が全体構成案リストに含まれること」の必要十分条件は、「ある構成案に含まれる全ての候補要素について、その候補要素よりも優位な候補要素も全てその構成案に含まれること」である。各グループ内において、この必要十分条件に従って作成したものがグループ内構成案リストである。また、異なったグループに属する候補要素同士には優劣関係が存在しない。従って、全体構成案リストは、各グループのグループ内構成案リストからグループ内構成案を一つずつ選択して結合することで生成される全ての構成案のリストである。
【0085】
図13では、図9に示した例に対して、全体構成案リストを生成するイメージを示している。図13に示すように、全体構成案生成手段31は、グループ1の「グループ内構成案リスト」、グループ2の「グループ内構成案リスト」、グループ3の「グループ内構成案リスト」の3つのグループから、グループ内構成案を一つずつ選択して結合し、全体構成案リストを生成する。
【0086】
図9に示した例では、候補要素の数が8であることから、全構成案の数は2^8=256である。本発明の実施の形態では、後述する全体構成案評価手段33が評価すべき構成案の数を64(=2^6)まで減らしていることになる。尚、図13では、3つのグループ全てから空集合を選択して結合する場合も含まれていることから、厳密には、評価すべき構成案の数は63である。
【0087】
本発明者らが、実際にエンジン開発のデータを用いて本発明を実施したところ、候補要素の数が40、すなわち、全構成案の数が2^40に対して、評価すべき構成案を約2^18通りにまで減らすことができた。そして、2^18通りの構成案のパターンに対して、後述する全体構成案評価手段33によって、現実的な時間内に評価を行うことができた。
【0088】
<全体構成案評価手段33>
次に、全体構成案評価手段33について説明する。全体構成案評価手段33は、候補要素DB23および目標値DB21に格納されているデータを入力とし、全体構成案リストに含まれる各全体構成案について、目標達成確率を算出し、目標達成確率が最大となる「最良全体構成案」を出力する。
【0089】
全体構成案評価手段33は、最初に、目標達成確率を算出する全体構成案に含まれる全ての候補要素による目標達成への寄与の確率分布(以下、「全体確率分布」とする。)を合成する。全体構成案評価手段33は、例えば、モンテカルロシミュレーションによって全体確率分布を合成する。
【0090】
次に、得られた全体確率分布において、目標を満たす確率、すなわち、目標値DB21に格納されている目標値42及び条件43を満たす確率(以下、「全体目標達成確率」とする。)を算出する。全体構成案評価手段33は、例えば、モンテカルロシミュレーションによって全体目標達成確率の算出を行う。
【0091】
そして、全体構成案評価手段33は、全ての全体構成案に対して全体目標達成確率を算出し、全体目標達成確率が最も高い全体構成案を最良全体構成案として決定する。
【0092】
<最良全体構成案DB35>
次に、最良全体構成案DB35について説明する。最良全体構成案DB35は、全体構成案評価手段33によって決定した最良全体構成案を格納する。例えば、目標値DB21、および/または候補要素DB23に格納されているデータを変化させ、様々な状況の最良全体構成案を決定し、最良全体構成案DB35に格納しておくことで、最良全体構成案同士を比較することができる。
【0093】
以上のとおり、候補要素の数が膨大(例えば、40個以上)であっても、本発明の実施の形態によって、評価すべき構成案の数を減らすことで、現実的な時間内に構成案の評価をすることができる。そして、最良全体構成案に沿った活動を行うことで、高い確率で目標を達成することができる。
【0094】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る構成案立案支援装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】コンピュータのハードウェア構成図
【図2】構成案立案支援装置1の機能の概要を示すブロック図
【図3】目標値データ41の一例を示す図
【図4】寄与予測分布データ51の一例を示す図
【図5】候補要素同士の優劣関係がある例を示す図
【図6】優劣表61の一例を示す図
【図7】候補要素同士の優劣関係がない例を示す図
【図8】優劣グラフ71の一例を示す図
【図9】第2の優劣表の生成手順を説明する図
【図10】グループ内構成案の比較を説明する図
【図11】グループ内構成案のリストの生成処理を示すフローチャート
【図12】グループ内構成案のリストの生成例を示す図
【図13】全体構成案リストの生成を説明する図
【符号の説明】
【0096】
1………構成案立案支援装置
3………制御部
5………記憶部
7………メディア入出力部
9………通信制御部
11………入力部
13………表示部
15………周辺機器I/F部
17………バス
19………ネットワーク
21………目標値DB
23………候補要素DB
25………候補要素優劣表生成手段
27………候補要素グループ化手段
29………グループ内構成案生成手段
31………全体構成案生成手段
33………全体構成案評価手段
35………最良全体構成案DB
41………目標値データ
51………寄与予測分布データ
61、61a、61b、61c、61d、61e………優劣表
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業を支援する構成案立案支援装置およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業等における経営者等は、実際の活動を行う前に予め目標を定め、高い確率で目標を達成できる計画を立案し、実際の活動の予測可能性を高めたいと考えている。しかし、一般には、目標の達成に寄与する可能性がある候補要素は無数に存在し、候補要素の組合せである構成案を立案することは非常に困難である。
【0003】
例えば、自動車のエンジンを改良するという目標を定め、実際の活動を行うための計画を立案する場合を考える。この場合、目標の達成に寄与する可能性がある候補要素は、例えば、エンジンを構成する各部品の形状改良などである。ここで、各候補要素が目標の達成にどの程度寄与するかは不確定であることから、候補要素の組合せごとに目標達成確率を算出する必要がある。更に、目標達成確率は、解析的に算出することが困難であることから、例えば、モンテカルロシミュレーション等を用いて目標達成確率を算出することになる。
【0004】
しかし、モンテカルロシミュレーションは処理に時間を要することから、従来から高速化の仕組みが考案されている。モンテカルロシミュレーションの高速化の仕組みとしては、例えば、特許文献1に記載の仕組みがある。
【特許文献1】特開平05−089160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を始めとする従来の技術では、シミュレーション対象の組合せの数によっては高速化に限界がある。本発明が対象とする構成案の立案作業では、例えば、候補要素の数が40以上となるものもある。この場合、シミュレーション対象の組合せの数は2^40(x^yは、xのy乗を意味する。以下、同様とする。)となり、従来技術の高速化の仕組みを用いても現実的な時間内にシミュレーションを終えることができない。そこで、シミュレーション対象の組合せの数を減らすことが課題となる。
【0006】
本発明の目的は、予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業において、現実的な時間内にシミュレーションを終えることができる程度にシミュレーション対象の組合せの数を減らすことができる構成案立案支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために第1の発明は、予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業を支援する構成案立案支援装置であって、全ての候補要素同士の優劣が定義された第1の優劣表を基に、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループ内の候補要素同士の優劣が定義された第2の優劣表を生成する候補要素グループ化手段と、グループ内の候補要素の組合せであるグループ内構成案の中で、前記第2の優劣表から、他のグループ内構成案と比して劣っていると判断されるグループ内構成案を排除し、排除されなかった残りのグループ内構成案のリストであるグループ内構成案リストを生成するグループ内構成案生成手段と、前記グループ内構成案生成手段によって生成された全グループについてのグループ内構成案リストを基に、全グループのグループ内構成案を選択的に結合した全体構成案のリストである全体構成案リストを生成する全体構成案生成手段と、を具備することを特徴とする構成案立案支援装置である。
【0008】
第1の発明は、候補要素による目標達成への寄与の確率分布のデータを格納する候補要素データベースと、予め定められた目標を示す目標値および予め定められた目標の達成条件のデータを格納する目標値データベースと、前記候補要素データベースおよび前記目標値データベースに格納されているデータを基に、前記全体構成案生成手段によって生成された全体構成案リストに含まれる各全体構成案の目標達成確率を算出し、各全体構成案を評価する全体構成案評価手段と、を更に具備することが望ましい。
【0009】
また、第1の発明における前記全体構成案評価手段は、更に、目標達成確率が最大となる全体構成案を最良全体構成案として出力することが望ましい。
【0010】
また、第1の発明は、前記候補要素データベースに格納されているデータを基に、前記第1の優劣表を生成する構成要素優劣表生成手段、を更に具備することが望ましい。
【0011】
第2の発明は、コンピュータを第1の発明の構成案立案支援装置として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業において、現実的な時間内にシミュレーションを終えることができる程度にシミュレーション対象の組合せの数を減らすことができる構成案立案支援装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明の適用対象は、予め定められた目標を達成するための活動の計画を立案する作業である。より具体的には、活動の初期段階において、予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業である。また、構成案は、現実の活動として実行できるものである。
【0015】
本発明の実施の形態では、対象とする活動として自動車のエンジンの開発を例にして説明する。この場合、候補要素とは、エンジン開発における開発要素である。そして、予め定められた目標とは、エンジンの性能向上等である。候補要素が目標の達成に寄与する可能性は、候補要素による目標達成への寄与の確率分布で表現する。尚、「候補要素による目標達成への寄与」という事象は、候補要素間で互いに独立であることが仮定できるものとする。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る構成案立案支援装置1を実現するコンピュータのハードウェア構成図である。尚、図1のハードウェア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
【0017】
開発計画立案支援装置1は、制御部3、記憶部5、メディア入出力部7、通信制御部9、入力部11、表示部13、周辺機器I/F部15等が、バス17を介して接続される。
【0018】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0019】
CPUは、記憶部5、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス17を介して接続された各装置を駆動制御し、開発計画立案支援装置1が行う後述する処理を実現する。
ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。
RAMは、揮発性メモリであり、記憶部5、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部3が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0020】
記憶部5は、HDD(ハードディスクドライブ)であり、制御部3が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティングシステム)等が格納される。プログラムに関しては、OS(オペレーティングシステム)に相当する制御プログラムや、後述する処理をコンピュータに実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。
これらの各プログラムコードは、制御部3により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0021】
メディア入出力部7(ドライブ装置)は、データの入出力を行い、例えば、CDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、DVDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、MOドライブ等のメディア入出力装置を有する。
【0022】
通信制御部9は、通信制御装置、通信ポート等を有し、コンピュータとネットワーク19間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワーク19を介して、他のコンピュータ間との通信制御を行う。
【0023】
入力部11は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。
入力部11を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。
【0024】
表示部13は、CRTモニタ、液晶パネル等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。
【0025】
周辺機器I/F(インタフェース)部15は、コンピュータに周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部15を介してコンピュータは周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部15は、USBやIEEE1394やRS−232C等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0026】
バス17は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0027】
次に、図2から図13までを参照しながら、構成案立案支援装置1の機能を実現する構成について説明する。
【0028】
図2は、構成案立案支援装置1の機能の概要を示すブロック図である。図2に示すように、構成案立案支援装置1は、目標値DB(データベース)21、候補要素DB(データベース)23、候補要素優劣表生成手段25、候補要素グループ化手段27、グループ内構成案生成手段29、全体構成案生成手段31、全体構成案評価手段33、最良全体構成案DB(データベース)35等を備える。
【0029】
目標値DB21は、予め定められた目標を示す目標値および予め定められた目標の達成条件などのデータを格納する。候補要素DB23は、候補要素による目標達成への寄与の確率分布などのデータを格納する。
【0030】
候補要素優劣表生成手段25は、候補要素DB23に格納されているデータを基に、全ての候補要素同士の優劣が定義された優劣表(第1の優劣表)を生成する。候補要素グループ化手段27は、第1の優劣表を基に、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループ内の候補要素同士の優劣が定義された優劣表(第2の優劣表)を生成する。グループ内構成案生成手段29は、グループ内の候補要素の組合せであるグループ内構成案の中で、第2の優劣表から、他のグループ内構成案と比して劣っていると判断されるグループ内構成案を排除し、排除されなかった残りのグループ内構成案のリスト(グループ内構成案リスト)を生成する。
【0031】
全体構成案生成手段31は、グループ内構成案リストを基に、全グループのグループ内構成案を選択的に結合した全体構成案のリスト(全体構成案リスト)を生成する。全体構成案評価手段33は、候補要素DB23および目標値DB21に格納されているデータを基に、例えば、モンテカルロシミュレーションによって、全体構成案リストに含まれる各全体構成案の目標達成確率を算出し、各全体構成案を評価する。また、全体構成案評価手段33は、目標達成確率が最大となる全体構成案(最良全体構成案)を出力する。最良全体構成案DB(データベース)35は、最良全体構成案などのデータを格納する。
【0032】
構成案立案支援装置1は、第1の優劣表を入力部11等から入力する手段、並びに、候補要素グループ化手段27、グループ内構成案生成手段29、及び全体構成案生成手段31を少なくとも備えることで、シミュレーションの対象とする候補要素の組合せの数を減らすことができる。
【0033】
更に、構成案立案支援装置1は、候補要素DB23、及び候補要素優劣表生成手段25を備えることで、第1の優劣表を生成することができる。また、更に、構成案立案支援装置1は、目標値DB21、全体構成案評価手段33を備えることで、最良全体構成案を決定することができる。
【0034】
次に、構成案立案支援装置1が備える各機能の詳細について説明する。可読性を高める為、各機能の説明の冒頭には、例えば、<目標値DB21>のように見出しを付すこととする。
【0035】
<目標値DB21>
最初に、図3を参照しながら、目標値DB21の詳細について説明する。
図3は、目標値データ41の一例を示す図である。目標値DB21は、例えば、図3に示す目標値データ41を格納する。図3に示す目標値データ41は、エンジンの性能向上の目標値である。図3に示すように、目標値データ41は、燃費低減44、排ガス低減45、出力向上46、コストアップ47の指標についての目標値42および条件43を有する。尚、コストアップ47は、エンジンの性能を意味するものではないが、開発の指標として、各開発項目を開発した場合の最終製品における費用の増加を示すものである。このように、性能とは、本来的な性能だけでなく、費用の増減なども含む概念である。
【0036】
図3に示す例では、例えば、燃費低減44は、目標値42が「10%」、条件43が「以上」であることから、燃費が10%以上低減できれば、燃費低減44の指標に関する性能向上が達成されたことになる。また、例えば、コストアップ47は、目標値42が「100,000円」、条件43が「以下」であることから、費用の増加が100,000円以下に抑えることができれば、コストアップ47の指標に関する性能向上が達成されたことなる。そして、全ての指標について性能向上が達成されると、開発物全体として予め定められた目標を達成したことになる。
【0037】
目標値データ41は、構成案立案支援装置1のユーザが、構成案立案支援装置1の入力部11等を介して入力する。また、シミュレーションに含める指標、候補項目などについても、ユーザが、構成案立案支援装置1の入力部11等を介して入力できるように構成すると良い。
【0038】
<候補要素DB23>
次に、図4を参照しながら、候補要素DB23の詳細について説明する。
図4は、寄与予測分布データ51の一例を示す図である。候補要素DB23は、例えば、図4に示す寄与予測分布データ51を格納する。図4に示す寄与予測分布データ51は、各候補項目を実行したときの各性能値の向上の不確実性を示す確率分布のデータである。図4に示すように、寄与予測分布データ51は、各候補項目(候補項目A〜候補項目Z)を行方向のデータ項目とし、各指標(燃費低減44、排ガス低減45、出力向上46、コストアップ47)を列方向のデータ項目とする。寄与予測分布データ51は、指標および候補項目ごとに、分布52、下限値53、最頻値54、上限値55のデータ項目を有する。
【0039】
分布52とは、各指標の性能向上を確率変数として捉えたとき、この確率変数が従う確率分布である。例えば、図4に示す例では、燃費低減52の指標については、性能向上が三角分布に従うことを示している。また、下限値53、最頻値54、上限値55とは、分布の形を決めるパラメータである。三角分布の場合、下限値53、最頻値54、上限値55が決まれば、分布の形が決まる。また、一様分布の場合、下限値53、上限値55が決まれば、分布の形が決まる。尚、当然ながら、図4に示す確率分布以外、例えば、正規分布等であっても良い。正規分布の場合、下限値53、最頻値54、上限値55に代えて、平均、分散(図示しない。)といったパラメータとなる。また、確率密度関数自体を格納しても良い。
【0040】
図4に示す例では、候補項目Aを開発したときの燃費低減44の指標に関する分布52が「三角」、下限値53が「5」、最頻値54が「6」、上限値55が「7」である。一方、候補項目Cを開発したときの燃費低減44の指標に関する分布52は「−」である。これは、候補項目Cを開発したときに燃費低減44の指標に関する性能向上がないことを示している。
【0041】
寄与予測分布データ51は、構成案立案支援装置1のユーザが、構成案立案支援装置1の入力部11等を介して入力する。寄与予測分布データ51は、過去の開発・実験データ、開発者の知見などに基づいて入力される。
【0042】
<候補要素優劣表生成手段25>
次に、図5から図7を参照しながら、候補要素優劣表生成手段25の詳細について説明する。図5は、候補要素同士の優劣関係がある例を示す図である。図6は、優劣表61の一例を示す図である。図7は、候補要素同士の優劣関係がない例を示す図である。
【0043】
候補要素優劣表生成手段25は、各候補要素の寄与予測分布データ51を基に、候補要素間の確率的な優劣関係を判定し、優劣表を生成する。ここで、目標とする指標pに関して、次式が成立する場合、「候補要素Bは候補要素Aより優位である」という優劣関係がある、と定義する。
【数1】
但し、F´A(p):候補要素Aの指標pに関する逆累積分布関数、F´B(p):候補要素Bの指標pに関する逆累積分布関数、である。目標とする指標が複数ある場合、pはベクトルであり、F´(・)は多次元関数(ベクトルpの次元と同じ次元)である。尚、逆累積分布関数G´(・)は、累積分布関数G(・)に対して、G´(・)=1−G(・)と定義する。
【0044】
図5(1)は、候補要素Aの指標pに関する確率密度関数fA(p)のグラフである。図5(2)は、候補要素Bの指標pに関する確率密度関数fB(p)のグラフである。図5(3)は、候補要素Aの指標pに関する逆累積分布関数F´A(p)および候補要素Bの指標pに関する逆累積分布関数F´B(p)のグラフである。図5(3)は、候補要素Aと候補要素Bとの間において、式(1)が成立し、「候補要素Bは候補要素Aより優位である」という優劣関係があることを示している。
【0045】
図6に示す優劣表61は、全ての候補要素同士の優劣が定義された優劣表(第1の優劣表)である。ここで、優劣表61の生成手順について説明する。
【0046】
(a)最初に、構成案立案支援装置1の制御部3は、候補要素の数だけ行数及び列数のある「優劣表」の全ての要素(以下、候補要素と区別するため、「セル」と呼ぶことにする。)の値を記憶する領域をRAM上に確保し、優劣表の全てのセルの値を0で初期化する。
【0047】
(b)次に、制御部3は、候補要素の対(例えば、候補要素Aと候補要素B)を順番に決定し、決定した候補要素の対に対して式(1)が成立するか否かを判定し、優劣関係があるかどうか判定する。式(1)が成立するか否かの判定は、様々な方法が考えられる。例えば、制御部3は、候補要素ごとに、その確率分布に従うサンプルをモンテカルロシミュレーションによって発生させ、サンプルを用いて逆累積分布を近似的に算出し、それぞれの逆累積分布を比較することで、式(1)が成立するか否かを判定する。
【0048】
(c)候補要素の対に優劣関係がある場合(例えば、図5に示す例のように、候補要素Bは候補要素Aより優位である場合)、制御部3は、「優劣表」の劣位側の候補要素Aに対応する行、かつ優位側の候補要素Bに対応する列のセルを1に変更する。図6に示す例では、A行B列の要素62が「1」となっている。
【0049】
(d)候補要素の対に優劣関係がない場合(例えば、図7に示す例のように、候補要素Aと候補要素Cとの間に式(1)が成立しない場合)、制御部3は、「優劣表」の変更を行わない。図7に示す例では、F´A(p)がF´C(p)よりも大きい箇所、およびF´C(p)がF´A(p)よりも大きい箇所の両方が存在する。従って、候補要素Aと候補要素Cとの間に式(1)が成立しない。
【0050】
以上のとおり、候補要素優劣表生成手段25は、寄与予測分布データ51を基に、式(1)が成立するか否かを判定し、優劣表61(第1の優劣表)を生成する。
【0051】
<候補要素グループ化手段27>
次に、図8、図9を参照しながら、候補要素グループ化手段27の詳細について説明する。図8は、優劣グラフ71の一例を示す図である。図9は、第2の優劣表の生成手順を説明する図である。
【0052】
候補要素グループ化手段27は、前述の図6に示す優劣表61を入力とし、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループごとにグループ内の候補要素同士の優劣が定義された優劣表(第2の優劣表)を生成する。前述のように、優劣関係がある候補要素の対、及び優劣関係がない候補要素の対の両方が存在することから、候補要素の順序集合(優劣関係を順序と捉えた候補要素の集合)は、全順序ではなく、半順序である。
【0053】
図8は、前述の図6に示す優劣表61をグラフで表した優劣グラフ71の一例である。図8の凡例72に示すように、優劣グラフ71では、候補要素同士に優劣関係がある場合、劣位側の候補要素に対して黒丸を付けて、優位側の候補要素に対しては何も付けず、両者を直線で結んでいる。例えば、候補要素Bは候補要素Aよりも優位であることから、候補要素Aに対して黒丸を付けて、候補要素Aと候補要素Bとが直線で結ばれている。
【0054】
図8に示す例でも分かるように、優劣グラフ71では、候補要素群の島(点線の枠で図示)がいくつか形成される場合がある。この場合、候補要素グループ化手段27は、島を形成する候補要素群を一つのグループとしてグループ化する。図8では、グループ1が「A、B、G、F」、グループ2が「C、D、E」、グループ3が「H」である。
【0055】
ここで、図9を参照しながら、第2の優劣表(グループ内の候補要素同士の優劣が定義された優劣表)の生成手順の詳細について説明する。
【0056】
(a)最初に、構成案立案支援装置1の制御部3は、先頭の候補要素Aをグループ1の候補要素を記憶するRAM上のワークメモリ領域(以下、「グループ1メンバ変数」とする。)に保持する。
【0057】
(b)次に、制御部3は、グループ1メンバ変数に保持した候補要素Aと優劣関係がある候補要素を検索し、グループ1メンバ変数に更に保持する。候補要素Aと優劣関係がある候補要素とは、例えば、図9に示す優劣表61aにおいて、候補要素Aの行に対応するA行、または候補要素Aの列に対応するA列の中で、値が1であるセルに対応する候補要素である。すなわち、図9に示す例では、A行B列のセルの値が1であることから、A行B列のセルに対応する候補要素Bをグループ1の候補要素として保持する。
【0058】
(c)次に、制御部3は、グループ1メンバ変数に保持した候補要素Bと優劣関係がある候補要素を検索し、グループ1メンバ変数に更に保持する。図9に示す例では、G行B列のセルの値が1であることから、G行B列のセルに対応する候補要素Gをグループ1の候補要素として保持する。
【0059】
(c)次に、制御部3は、グループ1メンバ変数に保持した候補要素Gと優劣関係がある候補要素を検索し、グループ1メンバ変数に更に保持する。図9に示す例では、G行F列のセルの値が1であることから、G行F列のセルに対応する候補要素Fをグループ1の候補要素として保持する。
【0060】
(d)次に、制御部3は、グループ1メンバ変数に保持した候補要素Fと優劣関係がある候補要素を検索する。図9に示す例では、F行、またはF列の中で、値が1であるセルが、グループ1メンバ変数に保持した候補要素に対応するセル以外に存在しないことから、グループ1に含まれる候補要素は、「A、B、G、F」で確定する。
【0061】
(e)次に、制御部3は、図9に示すように、優劣表61aからグループ{A、B、F、G}について切り出して優劣表61bを生成するとともに、残りについて切り出して優劣表61cを生成する。
【0062】
(f)次に、制御部3は、優劣表61cにおける先頭の候補要素Cをグループ2の候補要素を記憶するRAM上のワークメモリ領域(以下、「グループ2メンバ変数」とする。)に保持する。
【0063】
(g)次に、制御部3は、グループ2メンバ変数に保持した候補要素Cと優劣関係がある候補要素を検索し、グループ2メンバ変数に更に保持する。図9に示す例では、C行D列のセルの値が1であることから、C行D列のセルに対応する候補要素Dをグループ2の候補要素として保持する。
【0064】
(h)次に、の制御部3は、グループ2メンバ変数に保持した候補要素Dと優劣関係がある候補要素を検索し、グループ2メンバ変数に更に保持する。図9に示す例では、D行E列のセルの値が1であることから、D行E列のセルに対応する候補要素Eをグループ2の候補要素として保持する。
【0065】
(i)次に、制御部3は、グループ2メンバ変数に保持した候補要素Eと優劣関係がある候補要素を検索する。図9に示す例では、E行、またはE列の中で、値が1であるセルが、グループ1メンバ変数に保持した候補要素に対応するセル以外に存在しないことから、グループ2に含まれる候補要素は、「C、D、E」で確定する。
【0066】
(j)次に、制御部3は、図9に示すように、優劣表61cからグループ{C、D、E}について切り出して優劣表61dを生成するとともに、残りについて切り出して優劣表61eを生成する。
【0067】
(k)優劣表61eは候補要素Hのみであるから、制御部3は、候補要素Hをグループ3の候補要素を記憶するRAM上のワークメモリ領域(以下、「グループ2メンバ変数」とする。)に保持し、第2の優劣表の生成処理を終了する。
【0068】
以上のとおり、候補要素グループ化手段27は、優劣表61aを基に、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループ1の優劣表61b(第2の優劣表)、グループ2の優劣表61d(第2の優劣表)、グループ3の優劣表61e(第2の優劣表)を生成する。
【0069】
<グループ内構成案生成手段29>
次に、図10から図12を参照しながら、グループ内構成案生成手段29の詳細について説明する。図10は、グループ内構成案の比較を説明する図である。図11は、グループ内構成案のリストの生成処理を示すフローチャートである。図12は、グループ内構成案のリストの生成例を示す図である。
【0070】
グループ内構成案生成手段29は、グループ内の優劣表である第2の優劣表を基に、グループ内構成案リストを生成する。第2の優劣表に定義されている候補要素同士の優劣関係を利用し、グループ内構成案の優劣を簡易に判定できるため、グループ内構成案生成手段29は、劣っているグループ内構成案を排除し、排除されなかった残りのグループ内構成案をリスト化し、グループ内構成案リストとする。
【0071】
最初に、候補要素同士の優劣関係を利用し、グループ内構成案の優劣を簡易に判定できることについて説明する。
候補要素Aと候補要素Bとの間に、式(1)が成立する場合、別の任意の候補要素Xをそれぞれに結合した構成案{A、X}、{B、X}同士も、次式に示す優劣関係が成立する。
【数2】
但し、F´A+X(p):構成案{A、X}の指標pに関する逆累積分布関数、F´B+X(p):構成案{B、X}の指標pに関する逆累積分布関数、である。
【0072】
式(2)は、候補要素Aと候補要素Bとが指標pに関して独立とみなせる場合に成立する。以下、式(2)の証明を示す。
構成案{A、X}の指標pに関する逆累積分布関数は、次式のように、畳込み積分で表すことができる。
【数3】
但し、FA+X(p):構成案{A、X}の指標pに関する累積分布関数、fX(・):候補要素Xの確率密度関数、である。
そして、式(3)を用いると、式(2)は以下のように証明できる。
【数4】
尚、最後の式が0以上であることは、式(1)および確率密度関数fX(・)の性質(確率密度関数は非負)による。
以上、pが一次元の場合について式(2)の証明を示したが、pが多次元の場合も同様に証明できる。pが多次元の場合、式(3)、式(4)は多重積分となるが、畳込み積分が同様の形式で表すことができ、式(4)と同様に証明することができる。
【0073】
そして、構成案{A、X}と構成案{B、X}との間で式(2)が成立する場合、指標pの目標値42の値に関わらず、目標達成確率は、優位側の構成案{B、X}の方が、劣位側の構成案{A、X}よりも高い。すなわち、二つの構成案の間で優劣関係がある場合、劣位側の構成案に係る目標達成確率は、優位側の構成案に係る目標達成確率よりも低くなる為、劣位側の構成案を評価する必要はないことになる。
【0074】
また、構成案同士の優劣関係は、候補要素同士の優劣関係から容易に導出できる。ここで、図10に示す例の場合、すなわちグループ{C、D、E}において、Eが最も優位、次にDが優位、Cが最も劣位である場合を考える。この場合、構成案{C、D}は、構成案{C、E}より劣っていることが導出できる(∵DはEより劣位)。また、構成案{C、E}は、構成案{D、E}より劣っていることが導出できる(∵CはDより劣位。)。
このように、半順序関係の途中の位置にある候補要素を除いた構成案には、必ずそれよりも優位な構成案が存在する。言い換えると、それ自身より優位な構成案が存在しない構成案は、グループ内の全候補要素を含む構成案、及び、劣位側のいくつかの候補要素を除いた構成案である。
【0075】
次に、図11を参照しながら、グループ内構成案生成手段29によるグループ内構成案リストの生成処理について説明する。以下、「Set」、「List」、「Temp_List」、「Temp_Set」、「Inf_Set」、「New_Set」、「E」(Elementの略)は、RAM上のワークメモリ領域にロードされる変数である。
【0076】
制御部3は、候補要素の全集合をSetに格納し、SetをListに格納し、SetをTemp_Listに格納する(ステップ101)。
【0077】
次に、制御部3は、Temp_Listが空リストであるかどうか確認する(ステップ102)。
Temp_Listが空リストでない場合(ステップ102のNo)、ステップ103に進む。
【0078】
次に、制御部3は、Temp_List内の1つの要素をTemp_Setに格納し、Temp_ListとTemp_Setの差集合をTemp_Listに格納する(ステップ103)。
【0079】
次に、制御部3は、Temp_Set内の候補要素のうち、それ自身よりも劣位の候補要素を持たないものの集合をInf_Setに格納する(ステップ104)。「Temp_Set内の候補要素のうち、それ自身よりも劣位の候補要素を持たないものの集合」に含まれる候補要素は、第2の優劣表(グループ内の優劣表)において、セルの値が全て0である列に対応する候補要素である。
【0080】
次に、制御部3は、Inf_Set内の各候補要素Eについて、Temp_SetとEの差集合をNew_Setに格納し、ListとNew_Setの和集合をListに格納し、(Temp_ListとNew_Setの和集合)と空集合({})の差集合をTemp_Listに格納し(ステップ105)、ステップ102に戻る。
【0081】
そして、ステップ102において、Temp_Listが空リストである場合(ステップ102のYes)、Listの内容をグループ内構成案として保持し(ステップ106)、処理を終了する。
【0082】
図12は、図9にて示した優劣表61bに対して、図11に示す処理を実行した結果を示している。
No1では、Temp_Listに({A、B、F、G})が格納される。
次に、No2では、Temp_Listが空リストでないことが確認される。
次に、No3では、Temp_List内の1要素であるグループ内構成案{A、B、F、G}がTemp_Setに格納される。
次に、No4では、「Temp_Set内の候補要素のうち、それ自身よりも劣位の候補要素を持たないものの集合」として、優劣表61bにおいて、セルの値が全て0である列に対応する候補要素A、GがInf_Setに格納される。
次に、No5では、Temp_SetからAおよびGをそれぞれ引いたグループ内構成案{B、F、G}およびグループ内構成案{A、B、F}の二つが、Listに新たに追加される。
以下、図11に示すステップ102からステップ105を繰り返すと、No30において、Temp_Listが空リストであることが確認される。
そして、No31において、このときのListの内容である({A、B、F、G}、{B、F、G}、{A、B、F}、{B、F}、{A、B}、{B}、{F}、{})が、グループ内構成案となる。
【0083】
<全体構成案生成手段31>
次に、図13を参照しながら、全体構成案生成手段31の詳細について説明する。図13は、全体構成案リストの生成を説明する図である。
【0084】
全体構成案生成手段31は、グループ内構成案リストを基に、全体構成案リストを生成する。全体構成案リストは、全構成案(候補要素の全組合せ)のうち、構成案同士の優劣関係によって他の構成案よりも劣っていると判断されない構成案の集合である。「ある構成案が全体構成案リストに含まれること」の必要十分条件は、「ある構成案に含まれる全ての候補要素について、その候補要素よりも優位な候補要素も全てその構成案に含まれること」である。各グループ内において、この必要十分条件に従って作成したものがグループ内構成案リストである。また、異なったグループに属する候補要素同士には優劣関係が存在しない。従って、全体構成案リストは、各グループのグループ内構成案リストからグループ内構成案を一つずつ選択して結合することで生成される全ての構成案のリストである。
【0085】
図13では、図9に示した例に対して、全体構成案リストを生成するイメージを示している。図13に示すように、全体構成案生成手段31は、グループ1の「グループ内構成案リスト」、グループ2の「グループ内構成案リスト」、グループ3の「グループ内構成案リスト」の3つのグループから、グループ内構成案を一つずつ選択して結合し、全体構成案リストを生成する。
【0086】
図9に示した例では、候補要素の数が8であることから、全構成案の数は2^8=256である。本発明の実施の形態では、後述する全体構成案評価手段33が評価すべき構成案の数を64(=2^6)まで減らしていることになる。尚、図13では、3つのグループ全てから空集合を選択して結合する場合も含まれていることから、厳密には、評価すべき構成案の数は63である。
【0087】
本発明者らが、実際にエンジン開発のデータを用いて本発明を実施したところ、候補要素の数が40、すなわち、全構成案の数が2^40に対して、評価すべき構成案を約2^18通りにまで減らすことができた。そして、2^18通りの構成案のパターンに対して、後述する全体構成案評価手段33によって、現実的な時間内に評価を行うことができた。
【0088】
<全体構成案評価手段33>
次に、全体構成案評価手段33について説明する。全体構成案評価手段33は、候補要素DB23および目標値DB21に格納されているデータを入力とし、全体構成案リストに含まれる各全体構成案について、目標達成確率を算出し、目標達成確率が最大となる「最良全体構成案」を出力する。
【0089】
全体構成案評価手段33は、最初に、目標達成確率を算出する全体構成案に含まれる全ての候補要素による目標達成への寄与の確率分布(以下、「全体確率分布」とする。)を合成する。全体構成案評価手段33は、例えば、モンテカルロシミュレーションによって全体確率分布を合成する。
【0090】
次に、得られた全体確率分布において、目標を満たす確率、すなわち、目標値DB21に格納されている目標値42及び条件43を満たす確率(以下、「全体目標達成確率」とする。)を算出する。全体構成案評価手段33は、例えば、モンテカルロシミュレーションによって全体目標達成確率の算出を行う。
【0091】
そして、全体構成案評価手段33は、全ての全体構成案に対して全体目標達成確率を算出し、全体目標達成確率が最も高い全体構成案を最良全体構成案として決定する。
【0092】
<最良全体構成案DB35>
次に、最良全体構成案DB35について説明する。最良全体構成案DB35は、全体構成案評価手段33によって決定した最良全体構成案を格納する。例えば、目標値DB21、および/または候補要素DB23に格納されているデータを変化させ、様々な状況の最良全体構成案を決定し、最良全体構成案DB35に格納しておくことで、最良全体構成案同士を比較することができる。
【0093】
以上のとおり、候補要素の数が膨大(例えば、40個以上)であっても、本発明の実施の形態によって、評価すべき構成案の数を減らすことで、現実的な時間内に構成案の評価をすることができる。そして、最良全体構成案に沿った活動を行うことで、高い確率で目標を達成することができる。
【0094】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る構成案立案支援装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】コンピュータのハードウェア構成図
【図2】構成案立案支援装置1の機能の概要を示すブロック図
【図3】目標値データ41の一例を示す図
【図4】寄与予測分布データ51の一例を示す図
【図5】候補要素同士の優劣関係がある例を示す図
【図6】優劣表61の一例を示す図
【図7】候補要素同士の優劣関係がない例を示す図
【図8】優劣グラフ71の一例を示す図
【図9】第2の優劣表の生成手順を説明する図
【図10】グループ内構成案の比較を説明する図
【図11】グループ内構成案のリストの生成処理を示すフローチャート
【図12】グループ内構成案のリストの生成例を示す図
【図13】全体構成案リストの生成を説明する図
【符号の説明】
【0096】
1………構成案立案支援装置
3………制御部
5………記憶部
7………メディア入出力部
9………通信制御部
11………入力部
13………表示部
15………周辺機器I/F部
17………バス
19………ネットワーク
21………目標値DB
23………候補要素DB
25………候補要素優劣表生成手段
27………候補要素グループ化手段
29………グループ内構成案生成手段
31………全体構成案生成手段
33………全体構成案評価手段
35………最良全体構成案DB
41………目標値データ
51………寄与予測分布データ
61、61a、61b、61c、61d、61e………優劣表
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業を支援する構成案立案支援装置であって、
全ての候補要素同士の優劣が定義された第1の優劣表を基に、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループ内の候補要素同士の優劣が定義された第2の優劣表を生成する候補要素グループ化手段と、
グループ内の候補要素の組合せであるグループ内構成案の中で、前記第2の優劣表から、他のグループ内構成案と比して劣っていると判断されるグループ内構成案を排除し、排除されなかった残りのグループ内構成案のリストであるグループ内構成案リストを生成するグループ内構成案生成手段と、
前記グループ内構成案生成手段によって生成された全グループについてのグループ内構成案リストを基に、全グループのグループ内構成案を選択的に結合した全体構成案のリストである全体構成案リストを生成する全体構成案生成手段と、
を具備することを特徴とする構成案立案支援装置。
【請求項2】
候補要素による目標達成への寄与の確率分布のデータを格納する候補要素データベースと、
予め定められた目標を示す目標値および予め定められた目標の達成条件のデータを格納する目標値データベースと、
前記候補要素データベースおよび前記目標値データベースに格納されているデータを基に、前記全体構成案生成手段によって生成された全体構成案リストに含まれる各全体構成案の目標達成確率を算出し、各全体構成案を評価する全体構成案評価手段と、
を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の構成案立案支援装置。
【請求項3】
前記全体構成案評価手段は、更に、目標達成確率が最大となる全体構成案を最良全体構成案として出力することを特徴とする請求項2に記載の構成案立案支援装置。
【請求項4】
前記候補要素データベースに格納されているデータを基に、前記第1の優劣表を生成する構成要素優劣表生成手段、を更に具備することを特徴とする請求項2に記載の構成案立案支援装置。
【請求項5】
コンピュータを請求項1から請求項4のいずれかに記載の構成案立案支援装置として機能させるプログラム。
【請求項1】
予め定められた目標の達成に寄与する可能性がある候補要素の集合から、複数の候補要素を選択し、候補要素の組合せである構成案を立案する作業を支援する構成案立案支援装置であって、
全ての候補要素同士の優劣が定義された第1の優劣表を基に、優劣関係がある候補要素同士をグループ化し、グループ内の候補要素同士の優劣が定義された第2の優劣表を生成する候補要素グループ化手段と、
グループ内の候補要素の組合せであるグループ内構成案の中で、前記第2の優劣表から、他のグループ内構成案と比して劣っていると判断されるグループ内構成案を排除し、排除されなかった残りのグループ内構成案のリストであるグループ内構成案リストを生成するグループ内構成案生成手段と、
前記グループ内構成案生成手段によって生成された全グループについてのグループ内構成案リストを基に、全グループのグループ内構成案を選択的に結合した全体構成案のリストである全体構成案リストを生成する全体構成案生成手段と、
を具備することを特徴とする構成案立案支援装置。
【請求項2】
候補要素による目標達成への寄与の確率分布のデータを格納する候補要素データベースと、
予め定められた目標を示す目標値および予め定められた目標の達成条件のデータを格納する目標値データベースと、
前記候補要素データベースおよび前記目標値データベースに格納されているデータを基に、前記全体構成案生成手段によって生成された全体構成案リストに含まれる各全体構成案の目標達成確率を算出し、各全体構成案を評価する全体構成案評価手段と、
を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の構成案立案支援装置。
【請求項3】
前記全体構成案評価手段は、更に、目標達成確率が最大となる全体構成案を最良全体構成案として出力することを特徴とする請求項2に記載の構成案立案支援装置。
【請求項4】
前記候補要素データベースに格納されているデータを基に、前記第1の優劣表を生成する構成要素優劣表生成手段、を更に具備することを特徴とする請求項2に記載の構成案立案支援装置。
【請求項5】
コンピュータを請求項1から請求項4のいずれかに記載の構成案立案支援装置として機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−271823(P2009−271823A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123209(P2008−123209)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
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