説明

構造物用スクリュージャッキ

【課題】 連結部を調節して垂直及び水平形鋼に取り付けられるスクリュージャッキの角度を容易に調節可能な構造物用スクリュージャッキを提供すること。
【解決手段】 上部結合管110と,上部結合管110の上端部に結合される板状の上部受け部120と,上部結合管110の外側面に形成され,上部受け部120と上部結合管110との結合を補強する複数の補強リブ112とを有する上部ジャッキ100と;上部結合管110の下部に連結され,下部側の棒状部分にはラック210及び第1の結合孔220が形成された下部結合管200と;ラック210とかみ合うようにピニオン313が形成され,第2の結合孔315が形成された連結部310と,連結部310の下端部に結合される板状の下部受け部320とを有する下部ジャッキ300と;下部結合管200の第1の結合孔220及び連結部310の第2の結合孔315に貫通挿入される鋼棒400と;を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,構造物用スクリュージャッキに関するものであり,特に,スクリュージャッキの下部に設けられた連結部を調節して垂直及び水平形鋼に取り付けられるスクリュージャッキの角度調節を容易にするための構造物用スクリュージャッキに関する。
【背景技術】
【0002】
一般の支え式山止め構造物は,図1に示すように,まず地盤に山止め壁1と中間杭2を施工し,計画位置まで地盤を掘削した後,Hビームの水貫を設け,支え台5を設けてこの水貫3を支持する。このとき,支え台5は,その端部にスクリュージャッキ4を装着して最終寸法が調節可能になる。スクリュージャッキ4は,特許文献1(1999年3月3日付けで出願)に開示されている。
【0003】
このスクリュージャッキ4は,図2に示すように,外周面に外向に突出形成される複数のハンドル13と,ハンドル13の上下部に上部スクリュー11,下部スクリュー12が形成されるボディー部10と,ボディー部10の上部スクリュー11,下部スクリュー12に締結される上部結合管21,下部結合管26と,上部結合管21,下部結合管26に一体に形成されて地盤や形鋼を支持する上部受け台20,下部受け台25と,から構成され,下部受け台25は所定の角度で傾けるように形成される。
【0004】
上部スクリュー11,下部スクリュー12は,ネジ溝の方向が相互に反対に形成されてハンドル13を回すと,上部受け台20,下部受け台25が同時に相互に近い方に近接し,或いは相互に遠い方に移動する。
【0005】
上記に記載するように,従来のスクリュージャッキ4が取り付けられた支持形鋼31を用いて垂直形鋼37を支持する場合に,図3に示すように,作業現場で状況に応じてスクリュージャッキ4の下部受け台25を所定の角度で切断すべきであり,スクリュージャッキ4が取り付けられていない支持形鋼31の他端部33は支持傾斜角に合うように切断する必要があった。
【0006】
【特許文献1】大韓民国実用新案登録出願第20−1999−3277号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,作業現場でスクリュージャッキ4の下部受け台25及び支持形鋼31の他端部33を切断することは非常に難しい作業で,支持形鋼31の他端部33の切断角度が垂直形鋼37に対して正確な角度とならない場合に余盛(excess metal)を詰めなければならないという問題点があった。
【0008】
また,図4に示すように,水貫41(垂直形鋼)と水貫43(水平形鋼)の連結を支持する支持形鋼45に従来のスクリュージャッキ4を取り付ける場合に,同様に作業現場でスクリュージャッキ4の下部受け台25及び支持形鋼45の他端部を切断する非常に難しい作業が行われる。この支持形鋼45の他端部の切断角度が水貫41に対して正確な角度とならない場合には余盛を詰めなければならないという問題点があった。
【0009】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的は,スクリュージャッキの下部に設けられた連結部を調節して垂直及び水平形鋼に取り付けられるスクリュージャッキの角度を容易に調節することにより,垂直及び水平形鋼に取り付けられる支持形鋼の付着及び切断工程を短縮させて作業の効率性を向上させ,支持形鋼の浪費を最小化するように角度調節が容易にすることが可能な,新規かつ改良された構造物用スクリュージャッキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,上部結合管と,上記上部結合管の上端部に結合される板状の上部受け部と,上記上部結合管の外側面に形成され,上記上部受け部と上部結合管との結合を補強する複数の補強リブと,を有する上部ジャッキと;上記上部結合管の下部に連結され,下部側の棒状部分にはラック及び第1の結合孔が形成された下部結合管と;上記ラックとかみ合うようにピニオンが形成され,第2の結合孔が形成された連結部と,上記連結部の下端部に結合される板状の下部受け部と,を有する下部ジャッキと;上記下部結合管の第1の結合孔及び上記連結部の第2の結合孔に貫通挿入される鋼棒と;を備えることを特徴とする,構造物用スクリュージャッキが提供される。
【0011】
また,上記連結部は,両側に形成される傾斜面と,上記傾斜面の上端内側に形成される所定の曲率を有する凹部と,上記凹部に形成された上記ピニオンと,上記ピニオンに隣接して配置された所定厚さを有する一対の壁面と,上記一対の壁面に貫通形成された所定の直径を有する上記第2の結合孔と,を有してもよい。
【0012】
上記上部結合管は,その下部にボディー部を介して上記下部結合管に連結され,上記ボディー部は,外周面の全体にかけてネジ山が形成されたスクリューと,上記スクリューの外周面に突出形成された複数のハンドルと,を有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構造物用スクリュージャッキは,下部に位置した連結部を調節して垂直及び水平形鋼に取り付けられるスクリュージャッキの角度を容易に調節することにより,垂直及び水平形鋼に取り付けられる支持形鋼の付着及び切断工程を短縮させて作業の効率性を向上させ,支持形鋼の浪費を最小化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に,添付した図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する発明特定事項については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
図5は,本発明の第1実施形態による構造物用スクリュージャッキを示す斜視図であり,図6は,本発明の第1実施形態による構造物用スクリュージャッキを示す側面図であり,図7は,本発明の第1実施形態による構造物用スクリュージャッキを示す分解斜視図であり,図8は,本発明の第1実施形態による構造物用スクリュージャッキの作動状態を示す例示図である。
【0016】
図5〜8に示すように,本発明の第1実施形態による構造物用スクリュージャッキは,例えば,円形断面を有する上部結合管110と,上部結合管110の上端部に緊密に結合される板状の上部受け部120と,上部結合管110の外周面(外側面の一例)の上部側に形成され,上部受け部120と上部結合管110との結合を補強する複数の補強リブ112と,を有する上部ジャッキ100と;上部結合管110の下部に連結され,下部側の棒状部分にはラック210及び第1の結合孔220が形成された下部結合管200と;ラック210とかみ合うようにピニオン313が形成され,第2の結合孔315が形成された連結部310と,連結部310の下端部に結合される板状の下部受け部320と,を有する下部ジャッキ300と;下部結合管200の第1の結合孔220及び連結部310の第2の結合孔315に貫通挿入される鋼棒400と;を備える。下部結合管200は所定の曲率を有する。連結部310は,例えば,全体として略台形状を有するシュート板で構成される。
【0017】
ここで,略台形状の連結部310は,その左右両側に形成される上部側に向かうにつれ相互の間隔が狭まるような一対の傾斜面311と,この傾斜面311の上端部内側に形成されて所定の曲率を有する凹部312と,凹部312に形成されるピニオン313と,このピニオン313の隣接部にアーチ状の所定厚さを有する一対の壁面314と,この一対の壁面314を貫通して所定の直径を有する結合孔315と,を有する。連結部310は,側面側から見ると,下部受け部310に結合される面を底辺とし,上記両側の傾斜面311を側辺とし,上記アーチ状の壁面314の上部を上辺とする,略台形状となっている。
【0018】
上記のような構成からなる本実施形態の構造物用スクリュージャッキJ1は,下部に設けられた鋼棒400を下方に下ろすと,鋼棒400によって連結された連結部310が下方に移動しながら,この連結部310のピニオン313と,これに結合された下部結合管200のラック210が鋼棒400の移動によって共に移動しながらスクリュージャッキJ1の角度が調節される。
【0019】
したがって,上記の構造物用スクリュージャッキは,下部に設けられた連結部310を調節して垂直及び水平形鋼に取り付けられるスクリュージャッキJ1の角度を容易に調節することにより,垂直及び水平形鋼に付着される支持形鋼の付着及び切断工程を短縮させて作業の効率性を向上させ,支持形鋼の浪費を最小化することができる作用効果がある。
【0020】
また,図9は,本発明の第2実施形態による構造物用スクリュージャッキを示す斜視図であり,図10は,本発明の第2実施形態による構造物用スクリュージャッキを示す正面図であり,図11は,本発明の第2実施形態による構造物用スクリュージャッキを示す分解斜視図であり,図12は,本発明の第2実施形態による構造物用スクリュージャッキの作動状態を示す例示図であり,図13は,本発明の第1実施形態および第2実施形態による構造物用スクリュージャッキが山止め構造物に設けられた状態を示す例示図である。
【0021】
図9〜12に示すように,本発明の第2実施形態による構造物用スクリュージャッキは,外周面に複数の補強リブ112が形成された上部結合管110,及びこの上部結合管110の上端部に緊密に結合される板状の上部受け部120で構成される上部ジャッキ100と;上部結合管110の下部と一体に結合され,最下端にラック210が形成され,側面に結合孔220が形成された所定の曲率を有する棒状の下部結合管200と;このラック210とかみ合うようにピニオン313が形成され,側面に結合孔315が形成された連結部310及び該連結部310の下端部に緊密に結合される板状の下部受け部320で構成される下部ジャッキ300と;下部結合管200の結合孔220と上記連結部310の結合孔315との間を貫通挿入して締結させる鋼棒400と;を備える。上記構成は本発明の第1実施形態と同一である。
【0022】
しかしながら,本発明の第2実施形態では,上部結合管110には,その下部にボディー部500が一体に結合され,このボディー部500は,外周面の全体にかけてネジ山512が形成されたスクリュー510と,このスクリュー510の外周面に外方に突出形成された複数のハンドル520と,から構成される。
【0023】
上部結合管100の下部内周面と,下部結合管200の上部内周面には,それぞれ雌ねじが形成されており,これら雌ねじが,ボディー部500の上部又は下部のスクリュー510と螺合する。かかる構成によって,ハンドル520を回してボディー部500を回転させれば,上部結合管100と下部結合管200を軸方向に接近/離隔させて,ジャッキJ2の長さを調整できる。
【0024】
すなわち,上部ジャッキ100と下部結合管200との間にボディー部500を一体に連結して,建設現場で一般的に多く使用するスクリュージャッキの機能を遂行可能にするためである。
【0025】
上記に記載したような構成の本発明の第2実施形態による構造物用スクリュージャッキJ2は,まず,下部に位置した鋼棒400を下方に下ろすと,鋼棒400によって連結された連結部310が下方に移動しながら,連結部310のピニオン313とこれに結合された下部結合管200のラック210が鋼棒400の移動によって共に移動するようになってスクリュージャッキJ2の角度が調節される。また,必要に応じて,ボディー部500のハンドル520を回す操作方向により上記スクリュージャッキJ2の長さも可変的に調節できる作用効果がある。
【0026】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は,構造物用スクリュージャッキに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】一般の山止め構造物の施工状態を示す例示図である。
【図2】従来のスクリュージャッキを示す側面図である。
【図3】従来のスクリュージャッキが仮設山止め構造物に設けられた状態を示す第1の例示図である。
【図4】従来のスクリュージャッキが仮設山止め構造物に設けられた状態を示す第2の例示図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる構造物用スクリュージャッキを示す斜視図である。
【図6】同実施形態にかかる構造物用スクリュージャッキを示す側面図である。
【図7】同実施形態にかかる構造物用スクリュージャッキを示す分解斜視図である。
【図8】同実施形態にかかる構造物用スクリュージャッキの作動状態を示す例示図である。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる構造物用スクリュージャッキを示す斜視図である。
【図10】同実施形態にかかる構造物用スクリュージャッキを示す正面図である。
【図11】同実施形態にかかる構造物用スクリュージャッキを示す分解斜視図である。
【図12】同実施形態にかかる構造物用スクリュージャッキの作動状態を示す例示図である。
【図13】本発明の第1実施形態および第2実施形態による構造物用スクリュージャッキが山止め構造物に設けられた状態を示す例示図である。
【符号の説明】
【0029】
1 山止め壁
2 中間杭
3 水貫
4 スクリュージャッキ
5 支え台
11 上部スクリュー
12 下部スクリュー
13 ハンドル
20 上部受け台
21 上部結合管
25 下部受け台
26 下部結合管
31 支持形鋼
33 他端部
37 垂直形鋼
41 水貫(垂直形鋼)
43 水貫(水平形鋼)
45 支持形鋼
100 上部ジャッキ
110 上部結合管
112 補強リブ
120 上部受け部
200 下部結合管
210 ラック
220 結合孔(下部結合管)
300 下部ジャッキ
310 連結部
311 傾斜面
312 凹部
313 ピニオン
314 壁面
315 結合孔(下部ジャッキ)
320 下部受け部
400 鋼棒
500 ボディー部
510 スクリュー
512 ネジ山
520 ハンドル
J1 構造物用スクリュージャッキの第1実施形態
J2 構造物用スクリュージャッキの第2実施形態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部結合管と,前記上部結合管の上端部に結合される板状の上部受け部と,前記上部結合管の外側面に形成され,前記上部受け部と上部結合管との結合を補強する複数の補強リブと,を有する上部ジャッキと;
前記上部結合管の下部に連結され,下部側の棒状部分にはラック及び第1の結合孔が形成された下部結合管と;
前記ラックとかみ合うようにピニオンが形成され,第2の結合孔が形成された連結部と,前記連結部の下端部に結合される板状の下部受け部と,を有する下部ジャッキと;
前記下部結合管の第1の結合孔及び前記連結部の第2の結合孔に貫通挿入される鋼棒と;
を備えることを特徴とする,構造物用スクリュージャッキ。
【請求項2】
前記連結部は,
両側に形成される傾斜面と,
前記傾斜面の上端内側に形成される所定の曲率を有する凹部と,
前記凹部に形成された前記ピニオンと,
前記ピニオンに隣接して配置された所定厚さを有する一対の壁面と,
前記一対の壁面に貫通形成された所定の直径を有する前記第2の結合孔と,
有することを特徴とする,請求項1に記載の構造物用スクリュージャッキ。
【請求項3】
前記上部結合管は,その下部にボディー部を介して前記下部結合管に連結され,
前記ボディー部は,
外周面の全体にかけてネジ山が形成されたスクリューと,
前記スクリューの外周面に突出形成された複数のハンドルと,
を有することを特徴とする,請求項1または2に記載の構造物用スクリュージャッキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−36534(P2006−36534A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144465(P2005−144465)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(505181527)株式会社 韓柳産業 (1)