説明

標準作業書作成装置

【目的】 複数の設備を同時に稼働し、作業サイクルを短縮し、生産性を向上させることができる作業指示書をきわめて短時間で作成することができる標準作業書作成装置を提供すること。
【構成】 標準作業書を作成する場合には、標準作業書メンテナンス20で、標準作業書マスターファイル26を呼び出し、これにリンクしている各マスターファイル28,30,32,36,34から必要データを呼び込み、目的とする標準作業書のデータベースを作成する。標準作業書マスターファイル26の内容は、ラインレイアウトマスターファイル24に記憶してあるマスター画面データと組み合わされ、ディスプレイ3に表示される。ディスプレイ3に表示された標準作業書は、プリンタ4で印字することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製造工程における作業指示などに用いることができる標準作業書作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】複数の設備を同時に稼働し、一人の作業者が効率的にそれら設備を管理するためには、作業の順序、作業時間および作業サイクルなどが記載してある作業指示書(標準作業書とも言う)が不可欠である。
【0003】図6に、作業指示書の一例を示す。この作業指示書には、作業内容およびその注意点(急所)が記載してある作業要領と、作業を行う設備の概略図と、作業内容をその作業時間および作業順に並べたものとが記載してある。この作業指示書を最適化することにより、作業サイクルを短縮し、生産性を向上させることができる。
【0004】このような作業指示書は、従来では、生産する品目や材質、生産に要する設備、生産台数、設備台数などを考慮し、試行錯誤的に作成していた。具体的には、作業指示書を作成する際には、標準作業のマスターとなる標準作業時間台帳、ラインレイアウト台帳、作業要領書などを用い、ラインレイアウトに、作業の順番、作業時間、作業要領をプロットしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この作業は、手作業になるため、線引き、マスターの検索などに時間を要し、作業指示書の完成までの労力が大きかった。また、作業順番の変更などの変更を検討する場合には、作業指示書を始めから作成し直す必要があり、その労力を惜しむために、以前に作成した順番をそのまま用いることが多く、作業の最適化が困難であり、作業指示による生産性の向上を図ることが困難であった。
【0006】また、ワープロ文書として、複数種類の作業指示書のマスターファイルを準備し、作成に際しては、そのマスターファイルに多少の変更を加えるのみで、作業指示書を作成することも考えられる。ところが、作業指示書は、生産する品目や材質、生産に要する設備、生産台数、設備台数、生産順序などの組合せに応じて多枝にわたり、マスターファイルの検索に時間がかかり、マスターファイルの管理が困難であった。
【0007】本発明は、このような実状に鑑みてなされ、複数の設備を同時に稼働し、作業サイクルを短縮し、生産性を向上させることができる作業指示書をきわめて短時間で作成することができる標準作業書作成装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る標準作業書作成装置は、少なくとも各設備毎に要する作業時間がデータベース状に記憶してある標準作業時間マスターファイルと、少なくとも各作業内容毎に注意すべき作業要領がデータベース状に記憶してある作業要領マスターファイルと、少なくともラインに含まれる設備台数と設備種別とがデータベース状に記憶してあるライン構成マスターファイルと、少なくとも設備種別名がデータベース状に記憶してある設備種別マスターファイルと、少なくとも製品名が記憶してある製品名マスターファイルと、前記標準作業時間マスターファイルと、作業要領マスターファイルと、ライン構成マスターファイルと、設備種別マスターファイルと、製品名マスターファイルとにアクセス可能であり、これらのファイルから呼び出された特定の標準作業書を作成するために必要なデータが記憶される標準作業マスターファイルと、前記各マスターファイルのメンテナンスを行うメンテナンス手段と、前記標準作業マスターファイルの内容を、表示または印字する手段とを有する。
【0009】
【作用】本発明に係る標準作業書作成装置では、各マスターファイルの内容を、各メンテナンス手段で容易に修正することができる。したがって、実際の設備に変更などが生じた場合には、各マスターファイルの内容を一部修正することなどで、容易に対応することができる。すなわち、基本的なプログラムに変更を加える必要はない。
【0010】そして、標準作業書を作成する場合には、標準作業書メンテナンス手段で、標準作業書マスターファイルを呼び出し、これにリンクしている各マスターファイルから必要データを呼び込み、目的とする標準作業書をきわめて容易かつ短時間で作成することができる。作成された標準作業書は、表示または印字する手段で、たとえばディスプレイに表示またはプリンタなどに印字することができる。
【0011】作業順序などの作業条件を変えて、標準作業書を作り直すことも、きわめて容易かつ短時間でできることから、作業条件を変えた場合のサイクルタイムの比較検討も容易にでき、標準作業の最適化が容易になる。結果的に、複数の設備を1作業者が効率的に稼働させることが可能になり、生産性が向上する。
【0012】
【実施例】以下、本発明に係る標準作業書作成装置を、図面に示す実施例に基づき、詳細に説明する。図1に示すように、本発明の一実施例に係る標準作業書作成装置のハードウェア構成は、コンピュータ本体2と、ディスプレイ3と、プリンタ4とから成る。
【0013】標準作業書作成装置を構成するコンピュータ本体2には、図2に示す標準書作成システム6を構成するプログラムが記憶してある。この標準書作成システム6は、図2に示すように、標準作業時間メンテナンス8と、作業要領メンテナンス10と、ライン構成メンテナンス12と、設備種別メンテナンス14と、製品名メンテナンス16と、ラインレイアウトメンテナンス18と、標準作業書メンテナンス20との7つのプログラムで構成される。これらプログラムは、図3に示すマスターファイル24,26,28,30,32,34,36をメンテナンスするものである。特に、標準作業書をメンテナンスするプログラムは、作成した標準作業書を、図1に示すプリンタ4に出力する機能を有している。図3R>3に示すマスターファイル24〜34は、図1に示すコンピュータ2の内部または外部の記憶装置(たとえば磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなど)に記憶してあり、コンピュータの入力装置(たとえばキーボード)から容易にアクセス可能になっており、各ファイルの内容をディスプレイ3に表示、あるいはプリンタ4に印字可能になっている。
【0014】図2に示す標準作業時間メンテナンス8は、図3に示す標準作業時間マスターファイル32をメンテナンスするためのものであり、そのメンテナンス時には、図3に示す製品名マスターファイル30と設備種別マスターファイル36とにアクセスする。標準作業時間マスターファイル32には、製品コード、設備コード、人の作業時間(加硫、バリ取り、仕上げ、検査)、設備時間などのデータがデータベース状に記憶してある。
【0015】図2に示す作業要領メンテナンス10は、図3に示す作業要領マスターファイル28をメンテナンスするためのものである。作業要領マスターファイル28には、作業要領コードと、工程コードと、作業要領とがデータベース状に記憶してある。
【0016】図2に示すライン構成メンテナンス12は、図3に示すライン構成マスターファイル34をメンテナンスするためのものであり、そのメンテナンス時には、設備種別マスターファイル36にもアクセスする。ライン構成マスターファイル34には、ライン番号、図面番号、設備台数、設備コード×設備台数、設備種別×設備台数などのデータがデータベース状に記憶してある。前記図面番号は、ラインレイアウトマスターにアクセスするインデックスを表し、設備台数はラインレイアウトマスターに描いてある設備台数を表す。
【0017】図2に示す設備種別メンテナンス14は、図3に示す設備種別マスターファイル36をメンテナンスするためのものである。設備種別マスターファイル36には、設備コード、設備種別コード、設備種別名などのデータがデータベース状に記憶してある。
【0018】図2に示す製品名メンテナンス16は、図3R>3に示す製品名マスターファイル30をメンテナンスするためのものである。製品名マスターファイル30には、製品コード、製品名などのデータがデータベース状に記憶してある。図2に示すラインレイアウトメンテナンス18は、図3に示すラインレイアウトマスターファイル24をメンテナンスするためのものである。ラインレイアウトマスターファイル24には、ディスプレイ3に、図4に示すような標準となるラインレイアウト図を表示するためのデータが記憶してある。
【0019】図2に示す標準作業書メンテナンス20は、図3に示す標準作業マスターファイルをメンテナンスするためのものであり、そのメンテナンスの際には、作業要領マスターファイル28、製品名マスターファイル30、標準作業時間マスターファイル32、設備種別マスターファイル36、ライン構成マスターファイル34、ラインレイアウトマスターファイル24にアクセスする。
【0020】標準作業書マスターファイル26には、それ以外のマスターファイル28,30,32,34,36,24にアクセスして取り入れた以下のデータが記憶してある。すなわち、ライン番号、図面番号、追番、製品コード×最大設備台数、作業数、設備コード×最大作業数、作業要領コード×最大作業数、工程コード×最大作業数、設備配置番号×最大作業数、作業順番配置番号×最大作業数などのデータである。
【0021】本実施例の標準作業書作成装置において、標準作業書を作成するには、図1に示すコンピュータの入力装置から、図2に示す標準書作成システムのプログラムを起動させ、各メンテナンス8,10,12,14,16,18を適切に設定し、標準作業書メンテナンス20から図3に示す標準作業マスターファイル26にアクセスし、ディスプレイ3を見ながら、図5に示すような標準作業書を作成する。また、ディスプレイ3上に表示された標準作業書は、図1に示すプリンタ4により印字することができる。
【0022】本実施例の標準作業書作成装置では、図3に示す各マスターファイル24,26,28,30,32,34,36の内容を、図2に示す各メンテナンス8,10,12,14,16,18,20で容易に修正することができる。したがって、実際の設備に変更などが生じた場合には、各マスターファイルの内容を一部修正することなどで、容易に対応することができる。すなわち、基本的なプログラムに変更を加える必要はない。
【0023】そして、標準作業書を作成する場合には、図2に示す標準作業書メンテナンス20で、図3に示す標準作業書マスターファイル26を呼び出し、これにリンクしている各マスターファイル28,30,32,36,34から必要データを呼び込み、目的とする標準作業書のデータベースを作成する。
【0024】標準作業書マスターファイル26の内容は、ラインレイアウトマスターファイル24に記憶してある図4に示すマスター画面データと組み合わされ、図5R>5に示すような画面となり、ディスプレイ3に表示される。ディスプレイ3に表示された標準作業書は、図1に示すプリンタ4で印字することができる。したがって、標準作業書は、きわめて容易かつ短時間で作成することができる。
【0025】なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。たとえば、図3に示すラインレイアウトマスターファイル24は、標準作業マスターファイル26またはライン構成マスターファイル34に従属させてリンクさせるように構成することもできる。
【0026】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれば、標準作業書メンテナンス手段で、標準作業書マスターファイルを呼び出し、これにリンクしている各マスターファイルから必要データを呼び込み、目的とする標準作業書をきわめて容易かつ短時間で作成することができる。作成された標準作業書は、表示または印字する手段で、たとえばディスプレイに表示またはプリンタなどに印字することができる。
【0027】作業順序などの作業条件を変えて、標準作業書を作り直すことも、きわめて容易かつ短時間でできることから、作業条件を変えた場合のサイクルタイムの比較検討も容易にでき、標準作業の最適化が容易になる。結果的に、複数の設備を1作業者が効率的に稼働させることが可能になり、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る標準作業書作成装置のハードウェア構成を示す概略図である。
【図2】図2は図1に示すコンピュータに記憶してあるプログラムの概略構成図である。
【図3】図3は本発明の一実施例に係る標準作業書作成装置のブロック図である。
【図4】図4は図3に示すラインレイアウトマスターファイルに記憶してある標準作業書のマスター画面である。
【図5】図5は本発明の一実施例に係る標準作業書作成装置で作成された標準作業書の一例を示す図である。
【図6】図6は従来例に係る方法で作成された標準作業書の概略図である。
【符号の説明】
2… コンピュータ
3… ディスプレイ
4… プリンタ
6… 標準書作成システム
8… 標準作業時間メンテナンス
10… 作業要領メンテナンス
12… ライン構成メンテナンス
14… 設備種別メンテナンス
16… 製品名メンテナンス
18… ラインレイアウトメンテナンス
20… 標準作業書メンテナンス
24… ラインレイアウトマスターファイル
26… 標準作業マスターファイル
28… 作業要領マスターファイル
30… 製品名マスターファイル
32… 標準作業時間マスターファイル
34… ライン構成マスターファイル
36… 設備種別マスターファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも各設備毎に要する作業時間がデータベース状に記憶してある標準作業時間マスターファイル(32)と、少なくとも各作業内容毎に注意すべき作業要領がデータベース状に記憶してある作業要領マスターファイル(28)と、少なくともラインに含まれる設備台数と設備種別とがデータベース状に記憶してあるライン構成マスターファイル(34)と、少なくとも設備種別名がデータベース状に記憶してある設備種別マスターファイル(36)と、少なくとも製品名が記憶してある製品名マスターファイル(30)と、前記標準作業時間マスターファイル(32)と、作業要領マスターファイル(28)と、ライン構成マスターファイル(34)と、設備種別マスターファイル(36)と、製品名マスターファイル(30)とにアクセス可能であり、これらのファイルから呼び出された特定の標準作業書を作成するために必要なデータが記憶される標準作業マスターファイル(26)と、前記各マスターファイルのメンテナンスを行うメンテナンス手段(8,10,12,14,16,20)と、前記標準作業マスターファイルの内容を、表示または印字する手段(3,4)とを有する標準作業書作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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