説明

標識分子イメージング剤、製造方法及び使用方法

細胞のシスチン/グルタミン酸アンチポーターの標識基質を含むイメージング剤が提供される。その使用方法は、シスチン/グルタミン酸アンチポーターを介して標識イメージング剤を細胞中に導入し、標識イメージング剤を標識システインに還元させ、次いで細胞内の標識システインを検出することを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には標識分子イメージング剤に関し、さらに詳しくはシスチン/グルタミン酸輸送体を介して細胞に取り込まれるイメージング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
シスチン/グルタミン酸輸送体は、大抵の組織で通例は発現されないか又は極めて低い発現を示すが、酸化ストレスに暴露された細胞ではアップレギュレートされる。2つのジスルフィド結合システインアミノ酸からなるシスチンは、この輸送体に対する天然の基質である。シスチン/グルタミン酸アンチポーター(xc−系)は、2つのタンパク質サブユニット、即ち若干の種類の輸送体系に共通のサブユニットである4F2hc/CD98及びシスチン/グルタミン酸交換体に対して特異的なxCTから構成された(SLC7A11と呼ばれる)アミノ酸輸送体である。輸送体のアップレギュレーション効果はシスチン取込みの増加であり、次いでこれは細胞内でシステインに還元される。細胞内システインは、グルタチオン合成のための律速基質である。グルタチオンは、酸化ストレスから細胞を守るための主たる酸化防止剤である。細胞内システインは、2つの経路の一方(即ち、グルタチオン合成又はタンパク質合成)に取り込まれる。
【0003】
シスチンのアミン基の両方に結合した蛍光ラベルを含む蛍光標識シスチン化合物は、当技術分野で公知である。その一例は、Sigma社(カタログ#D0625)から商業的に入手できるN,N’−ジダンシル−L−シスチン(DDC)であり、これは次の構造を有している。
【0004】
【化1】

別の例は、Invitrogen社からの市販製品(カタログ#B20340)であるジBODIPY−L−シスチン(DBC)であり、これはこれは酸性条件下でのジスルフィド交換反応によるヌクレオチド、タンパク質及び細胞の可逆チオール標識のために販売されている。DBCは以下に示す構造を有する。
【0005】
【化2】

シスチンの放射性標識バージョンも当技術分野で公知である。例えば、99mTcで標識されたシスチンが知られている。Tubis and Endow(1968 Int J Appl Rad Isotop;19:835−840)は、システインの−SH基が99mTcO4-を還元すると同時に酸化されてシスチンになるシステインと99mTcO4-との直接反応を開示している。また、35Sで標識されたシスチンも知られており、これは以下の構造を有する。
【0006】
【化3】

35Sは、例えば動物のラジオトレーサー研究において使用されてきた(例えば、Hwang et al,1980 J Neurochem;35:417−424を参照されたい)。
【0007】
分子イメージングの概念は、病理学的状態の分子シグナチュアの特異的コントラスト増強を約束すると共に、特定の病理学的徴候について特異的に調節される標的化可能なバイオマーカーを要求する。かかる特異的分子コントラスト剤は疾患のイメージング及び診断のため大いに有用であり得るものの、真に特異的なバイオマーカーの確認は非常に困難であることが判明している。かかる特異的バイオマーカーに対するコントラスト剤が創製されても、かかるコントラスト剤の市場はこの徴候の罹患率に限定される。したがって、各種の病理学的徴候をイメージ化するために利用できる分子コントラスト剤を開発することに大きな関心が集まっている。大抵のイメージング剤は特定の組織又は細胞タイプ或いは特定の療法を標的化し、さもなければ時間と共に急速に分解する。広範な用途に向けられるイメージング剤の一例は、グルコース輸送体を利用する18−F−フルオロデオキシグルコース(FDG)である。18F−FDGは、グルコース要求量の増加した細胞によって優先的に取り込まれ、次いで細胞内に捕捉される。FDGは、多くの癌の診断、ステージング及びモニタリング並びに心臓及び脳における代謝のモニタリングのため臨床的に使用できる。18F−FDGは、腎細管中に見出されるナトリウム依存性グルコース輸送体の基質ではなく、このことがそれの腎再吸収を防止してクリアランスを促進する。
【0008】
インビボ酸化ストレスは、細胞ストレスの指標として認められている。このストレスをイメージ化しようという努力には、電子常磁性共鳴(EPR)を用いて動物のイメージングを行うことが含まれていた。EPRは、酸化ストレスにおいてフリーラジカルの生成と共に生じる不対電子を検出するための技法である。本質的に、酸化ストレスの尺度としての臓器抗酸化活性に対して感受性を有するEPRプローブと見なされる薬剤が使用される。
【0009】
他の研究者達はまた、13−C−グリシン化学シフトMRIを用いて、インビボでの腫瘍の化学療法治療の動物モデルにおいてグリシンの取込み及びグルタチオンへの転化を検出することを考察した。さらに他の研究者達は、化学療法治療をモニターするためにインビボでアポトーシス細胞を検出するためのイメージング剤を開発した。かかるイメージング剤には、例えば、やや大きいタンパク質である標識アネキシンV、及びアポトーシス細胞中にのみ特異的に侵入することが報告されている1群の小分子であるNeurosurvival Technologies社製のAposenseがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
国際公開第2006/030291号パンフレット
【発明の概要】
【0011】
本発明のイメージング剤及び方法は、細胞酸化ストレスの条件下で活性化される細胞アミノ酸輸送体(シスチン/グルタミン酸アンチポーター、xc−)を利用する。本発明のこれらの標識分子イメージング剤及び方法はいくつかの利益をもたらす。このような利益としては、特に限定されないが、これらは多種多様の診断用及び治療用モニタリング用途において使用できること、これらは小分子であると共に体内に見出される天然化合物の標識変異体を含み、毒性応答を生じる濃度より十分に低い生理的濃度を有するトレーサーレベルで投与され、したがって毒性/免疫応答は低いと予想されること、並びにかかるイメージング剤は輸送体基質として作用するので、イメージング剤の信号が細胞表面エピトープの化学量論的結合に限定される他の分子結合剤と違ってかかる分子イメージング剤は細胞内に一旦捕捉され、したがって信号が増幅されるという利益を受けることが挙げられる。シスチン/グルタミン酸輸送体に対する本発明の標識基質は、治療目的のため、標的中に化合物を導入するためにも使用できる。
【0012】
シスチン/グルタミン酸輸送体の標識基質として、これらのイメージング剤は増加した酸化ストレスに関係する任意の疾患又は状態に対して使用できる。例えば、かかるイメージング剤はインビボでアポトーシス細胞をイメージ化するために使用できる。このようなアポトーシス細胞死の非侵襲的モニタリングは、例えば特に限定されないが、化学療法の有効性、虚血/発作による組織損傷、外傷性傷害及び移植片拒絶をモニターするために有用である。酸化ストレスのイメージングはまた、炎症性疾患或いは酸化ストレス又は組織損傷を含む任意の病理学的徴候の診断及びイメージングのためにも有用である。
【0013】
さらに、シスチン/グルタミン酸輸送体のアップレギュレーションは、ある種の腫瘍における化学療法耐性にも関連している。したがって、基礎的な高いシスチン取込みを有する腫瘍の非侵襲的イメージングにより、特定の療法に対して耐性を有する可能性がある腫瘍を同定でき、これは治療計画の有効な変更を可能にするであろう。
【0014】
細胞における酸化ストレスを検出するための本発明方法の一例は、一般に、標識シスチンを含むイメージング剤を細胞のシスチン/グルタミン酸アンチポーター中に導入する段階、細胞内の標識シスチンを標識システインに還元させる段階、及び細胞内の標識システインを検出する段階を含んでなる。例えば、ある種の用途に関しては、標識シスチンはアポトーシス細胞で検出できる。かかる方法の若干の非限定的な例では、酸化ストレスを検出するための方法で使用する標識シスチンは、以下に一層詳しく定義される構造I、II、III及びIVから選択される。
【0015】
本発明のイメージング剤の別の実施形態は、一般に、シスチン/グルタミン酸輸送体(xc−)の標識小分子基質(例えば、特に限定されないが、以下に一層詳しく定義される構造I、II、III、IV、V又はVI)を含んでなる。
【0016】
本発明のイメージング方法の非限定的な一例は、一般に、特に限定されないが、以下に一層詳しく定義される構造I、II、III又はIVのようなシスチン化合物を使用すると共に、蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査、交差偏光顕微鏡検査、光学イメージング、核シンチグラフィー、陽電子放射断層撮影法又は単光子放射断層撮影法を用いて該化合物を検出することを含んでなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読んだ場合に一層よく理解されよう。添付の図面中では、図面全体を通じて類似の部分は同一の符号で表されている。
【図1】図1は、シスチン/グルタミン酸アンチポーターを介して細胞中に取り込まれる本発明のイメージング剤の一実施形態を示す流れ図である。
【図2】図2Aは、非アポトーシスJurkat細胞(暗い灰色)と異なる顆粒度を有する若干の後期アポトーシスJurkat細胞(明るい灰色)を示す前方散乱/側方散乱プロットである。図2Bは、非アポトーシス細胞を表すアネキシンV及びヨウ化プロピジウム(PI)陰性の細胞を象限D3内に示し、初期アポトーシス細胞を表すアネキシンV−Cy5陽性でヨウ化プロピジウム(PI)陰性の細胞を象限D4内に示し、後期アポトーシス細胞及び壊死細胞を表すアネキシンV陽性の細胞を象限D2内に示す多象限散乱プロットである。
【図3】図3A〜3Dは、酸化ストレス/アポトーシスを誘発するためのスタウロスポリン(STN)の存在下及び不存在下、並びにシスチン/グルタミン酸輸送体を阻害するためのスルファサラジン(sasz)の存在下及び不存在下で、Jurkat細胞中へのDBC取込みをフローサイトメトリーによって分析した結果を示している。図3Aは、未処理細胞がDBC分子の若干の取込み又は非特異的結合を表すことを示すグラフである。図3Bは、スタウロスポリン誘発細胞が3つの細胞亜集団(即ち、低強度DBC蛍光によって表される正常細胞、中間強度によって表される初期アポトーシス細胞、及び高強度によって表される後期アポトーシス細胞)を有することを示すグラフである。図3Cは、シスチン/グルタミン酸輸送体阻害剤スルファサラジン(sasz)に暴露されたスタウロスポリン誘発細胞が異なる結果を有すること、即ち、中間のDBC染色を示す細胞集団が後期アポトーシス細胞を表す一方、初期アポトーシス細胞は低DBC強度集団中にあることを示すグラフである。図3Dは、(アネキシンV及びPI染色によって決定された)正常細胞、初期アポトーシス細胞及び後期アポトーシス細胞に関し、基線DBC染色より高度に標識された細胞のパーセントを示す棒グラフである。
【図4】図4Aは、STNで18時間処理したJurkat細胞におけるDBCの取込みを示している。図4Bは、ジBODIPY(650)シスチン(DBC(650))と共にインキュベートした同じ細胞の比較を示している。
【図5】図5A〜5Cは、シスチン/グルタミン酸を阻害するためのスルファサラジン(sasz)の存在下及び不存在下で、酸化ストレス/アポトーシスを誘発するためのスタウロスポリン(STN)を用いた場合におけるJurkat細胞中へのモノBODIPYシスチン(MBC)取込みをフローサイトメトリーによって分析した結果を示している。図5Aは、スタウロスポリン誘発細胞が2つの細胞亜集団(即ち、無MBC蛍光によって表される正常細胞並びに高MBC強度によって表される初期及び後期アポトーシス細胞)を有することを示すグラフである。図5Bは、シスチン/グルタミン酸輸送体阻害剤スルファサラジン(sasz)に暴露されたスタウロスポリン誘発細胞が異なる結果を有することを示すグラフである。即ち、中間のDBC染色を示す細胞集団が後期アポトーシス細胞を表す一方、初期アポトーシス細胞はMBC蛍光強度を示さない。図5Cは、(アネキシンV及びPI染色によって決定された)正常細胞、初期アポトーシス細胞及び後期アポトーシス細胞に関し、基線MBC染色より高度に標識された細胞のパーセントを示す棒グラフである。
【図6】図6Aは、5種の蛍光イメージング剤(即ち、DBC、DBC(650)、ジBODIPYシスタチオニン(DBシスタチオニン)、MBC及び陰性対照蛍光分子(BODIPY FL C5))で標識された標識された(アネキシンV及びPI染色によって決定された)正常細胞、初期アポトーシス細胞及び後期アポトーシス細胞のパーセントを示す棒グラフである。図6Bは、図6Aに示した5種のイメージング剤の各々で標識された初期アポトーシス細胞に関する平均倍率強度シフトを示す表である。
【図7】図7は、培養中のJurkat細胞及びA549細胞におけるモノAO−[18F]−FBA−シスチンの取込みを示す棒グラフである。
【図8】図8Aは、天然のBalb/cマウスにおける体内分布結果を%ID/器官として示すグラフである。図8Bは、図8Aに示したものと同じデータの%ID/グラムを示すグラフである。図8Cは、A549異種移植腫瘍を有するヌードマウスにおける体内分布結果を%ID/グラムとして示すグラフである。図8Dは各時点における腫瘍/血液比を示しており、これは図8Cに示したものと同じデータから導かれている。
【図9】図9は、モノAO−[18F]−FBA−シスチン分子の経時的安定性を示すグラフである。
【図10】図10は、注射から60分後における天然マウスのPET画像中での18F−AO−FB−シスチンを示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一態様では、本発明は、次の構造Iを有する標識シスチン化合物を含んでなるイメージング剤を提供する。
【0019】
【化4】

式中、R及びR’の一方は蛍光ラベル及び放射性同位体ラベルから選択されるラベルを含み、R及びR’の他方は水素である。
【0020】
本明細書中で使用する「イメージング剤」という用語は、インビトロ又はインビボイメージング技法を用いて検出できる化合物を包括するものである。
【0021】
本明細書中で使用する「蛍光ラベル」という用語は、特に限定されないが、特定波長の光に暴露された場合に異なる波長の光を発生する化合物である蛍光イメージング剤及び発蛍光団を包含する。発蛍光団は、その発光プロファイル又は色によって記述することができ、分子に蛍光性を付与する分子の成分である。それは通例、特定の波長又は波長範囲のエネルギーを吸収し、異なるが等しく特定の波長又は波長範囲のエネルギーを再放出する官能基である。
【0022】
本明細書中で使用する「放射性同位体ラベル」という用語は、特に限定されないが、化学的又は生物学的プロセス或いは生物学的物質、有機体及び装置において、化合物の追跡又は可視化或いは化学反応の機構の追跡又は可視化のために化合物中で使用される放射性同位体を包含する。かかるラベルは、例えば、イメージング装置及び検出装置に関連して有用である。
【0023】
一般に、本発明のイメージング剤は、シスチン/グルタミン酸輸送体の基質となるために必要な属性を維持する標識シスチン及び任意のシスチン類似体を含む。図1に示されるように、イメージング剤はシスチン/グルタミン酸輸送体に対する基質として役立つ。遊離アミンの位置で標識されたシスチンは、シスチン/グルタミン酸輸送体に対する基質である。細胞中に輸送された後、R−シスチンはR−システイン及び非標識システインに還元される。R−システインは代謝されず、輸送体を介して出ることができない。したがって、それは酸化ストレスに応答している細胞内に保持される。
【0024】
本明細書中で使用される「シスチン/グルタミン酸輸送体」という用語は、シスチン/グルタミン酸アンチポーター、シスチン/グルタミン酸交換体、シスチン輸送体、xc(−)、Xc(−)、系xc(−)及びアミノ酸輸送系Xc(−)という用語と互換的に使用されかつこれらを包含する。この輸送系は2種のタンパク質の二量体を含み、特に限定されないが、タンパク質xCT及びタンパク質CD98(4F2hc、4F2表面抗原のH鎖、SLC3A2)、xc(−)に対して特異的なサブユニットであるタンパク質xCT、様々な基質に関する複数の輸送体に共通するサブユニットであるタンパク質CD98、並びに複数の輸送体に共通する別のサブユニットであるrBATと二量体化し得るタンパク質xCTを包含する。
【0025】
本発明のイメージング剤は、それの放出信号によって検出できる。化合物の検出方法には、特に限定されないが、蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査、交差偏光顕微鏡検査、光学イメージング、核シンチグラフィー、陽電子放射断層撮影法及び単光子放射断層撮影法が挙げられる。
【0026】
本発明のイメージング剤が蛍光ラベルを含む標識シスチン化合物を含んでなる場合、好適な検出方法には、蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査、交差偏光顕微鏡検査及び光学イメージングがある。蛍光ラベルは、好適な検出方法のいずれかで直接又は間接に検出できる任意の部分である。好ましい蛍光ラベルには、広範な非局在化電子系を有する群、例えばシアニン類、メロシアニン類、インドシアニン類、フタロシアニン類、ナフタロシアニン類、トリフェニルメチン類、ポルフィリン類、ピリリウム色素、チアピリリウム色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、インドアニリン類、ベンゾフェノキサジニウム色素、ベンゾチアフェノチアジニウム色素、アントラキノン類、ナフトキノン類、インダスレン類、フタロイルアクリドン類、トリスフェノキノン類、アゾ色素、分子内及び分子間電荷移動色素及び色素錯体、トロポン類、テトラジン類、ビス(ジチオレン)錯体、ビス(ベンゼン−ジチオレート)錯体、ヨードアニリン色素、ビス(S,O−ジチオレン)錯体がある。緑色蛍光タンパク質(GFP)及び異なる吸収/発光特性を有するGFPの変種のような蛍光タンパク質も有用である。特定の状況においてはある種の希土類金属(例えば、ユウロピウム、サマリウム、テルビウム又はジスプロシウム)の錯体が使用され、蛍光ナノ結晶(量子ドット)についても同様である。本発明のイメージング剤の1以上は、標識がシスチンのアミン基の位置で起こる場合に蛍光ラベルを含む標識シスチン化合物を含んでいる。その非限定的な例には、ジBODIPY(FL)−シスチン及びモノBODIPY(FL)−シスチンのような緑色蛍光シスチン分子、並びにジBODIPY(650)−シスチン及びモノBODIPY(650)−シスチンのような赤色蛍光シスチン分子がある。BODIPY蛍光色素のような蛍光ラベルは、細胞酸化ストレスのインビボイメージング及びインビトロ検出のために特に適している。
【0027】
蛍光ラベルを含む特定の標識シスチン化合物は、次の構造IVを有している。
【0028】
【化5】

この化合物は、本明細書中ではモノBODIPYシスチン(MBC)ともいわれる。
【0029】
シスチンに対する蛍光ラベルのコンジュゲーションは、当業者にとって公知の合成化学技法によって実施できる。例えば、光学イメージングのために適する蛍光ラベルで標識されたイメージング剤及びその製法は、Licha(”Contrast Agents for Optical Imaging”in Optical,Ultrasound,X−Ray and Radiopharmaceutical Imaing,Springer 2002,Krause Ed.)によって総説されている。
【0030】
本発明のイメージング剤が放射性同位体ラベルを含む標識シスチン化合物を含んでなる場合、好適な検出方法には、核シンチグラフィー、陽電子放射断層撮影法及び単光子放出断層撮影法がある。陽電子放射断層撮影法のための好ましい放射性同位体ラベルには、11C、13N、13O、17F、18F、75Br、76Br及び124Iがある。最も好ましい陽電子放出型放射性非金属は、11C、13N、18F及び124I、特に11C及び18F、とりわけ18Fである。単光子放出断層撮影法のための好ましい放射性同位体ラベルは、γ線放出型放射性ハロゲンである。好ましいγ線放出型放射性ハロゲンは、123I、131I及び77Br、特に123Iである。本発明のイメージング剤の1以上は、標識がシスチンのアミン基の位置で起こる場合に放射性同位体標識を可能にする補欠分子族を含んでいる。その非限定的な例には、18F−フルオロベンズアルデヒドで標識されたシスチンのアミノキシ(AO)誘導体がある。
【0031】
シスチン/グルタミン酸輸送体に対する本発明の標識基質もまた、標識化合物(例えば、特に限定されないが、131Iで標識されたシスチン基質)を治療目的用の標的中に導入するために使用できる。
【0032】
好ましい態様では、本発明のイメージング剤は次の構造IIを有する標識シスチン化合物を含む。
【0033】
【化6】

式中、
1は放射性同位体ラベルを含み、
点線の結合が単結合である場合にR2は水素であり、
点線の結合が二重結合である場合にR2は存在しない。
【0034】
構造IIの特定の標識シスチン化合物は、次の一層詳細な構造IIIを有する。
【0035】
【化7】

この化合物は、本明細書中ではモノAO−[18F]−FBA−シスチンともいわれる。
【0036】
18F標識シスチン化合物の他の例には、特に限定されないが、次の構造Vを有する[18F]フルオロエチル−シスチン又は[18F]FE−シスチン
【0037】
【化8】

及び次の構造VIを有する[18F]フルオロプロパンアミド−シスチン又は[18F]FP−シスチンがある。
【0038】
【化9】

標識シスチン化合物が放射性同位体ラベルを含む本発明のイメージング剤は、好適には前駆体化合物から製造される。「前駆体化合物」は、好都合な化学形態の放射性同位体ラベルとの化学反応が部位特異的に起こり、最小数の段階(理想的にはただ1つの段階)で反応を実施でき、かつ格別の精製の必要なしに(理想的にはいかなる追加の精製も必要なしに)所望の標識シスチン化合物が得られるように設計された、標識シスチン化合物の誘導体からなる。かかる前駆体は合成品であり、良好な化学純度で簡便に得ることができる。前駆体化合物は、任意にはある種の官能基に関して1以上の保護基を含むことができる。保護基は当業者にとって公知であり、‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Theorodora W.Greene and Peter G.M.Wuts(Fourth Edition,John Wiley & Sons,2007)に記載されている。前駆体化合物は、理想的には無菌で非発熱性の形態で供給される。したがって前駆体化合物は、イメージング剤を哺乳動物への投与に適した生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬組成物の製造のために使用できる。前駆体化合物はまた、かかる医薬組成物を製造するためのキット中に一成分として含めるためにも適している。好ましい実施形態では、前駆体化合物はキット又は自動化合成装置で使用するように設計されたカセットの一部として溶液状態で供給される。
【0039】
本発明の特定の前駆体化合物は次の構造Xを有する。
【0040】
【化10】

式中、R''及びR'''の一方は前駆体基であり、R''及びR'''の他方は水素であり、前記前駆体化合物は任意にはヒドロキシ、カルボニル及びアミン官能基の1以上に対する保護を含む。「前駆体基」は、好都合な化学形態の放射性同位体ラベルと反応して放射性同位体ラベルを部位特異的に導入する化学基である。好適なかかる前駆体基は、特定の放射性同位体ラベルに関連して以下に記載する。
【0041】
イメージング剤の放射性同位体ラベルが18Fである場合、放射性フッ素原子はフルオロアルキル基又はフルオロアルコキシ基の一部をなすことができる。これは、アルキルフルオリドがインビボでの代謝に耐えるからである。別法として、放射性フッ素原子は直接共有結合によって芳香環に結合することができる。放射性フッ素化は、18F−フッ化物と良好な脱離基(例えば、ブロミド、メシレート又はトシレート)を含む前駆体基との反応を用いる直接標識によって実施できる。18Fはまた、[18F]−フルオロアルキルブロミド、[18F]−フルオロアルキルメシレート又は[18F]−フルオロアルキルトシレートでヒドロキシル前駆体基をO−アルキル化することによっても導入できる。アリールジアゾニウム塩、アリールニトロ化合物又はアリール第四級アンモニウム塩からの求核置換が、アリール−18F誘導体への好適な経路である。18F標識技法に関する徹底的な総説を、Snyder and Kilbourn,”Chemistry of Fluorine−18 Radiopharmaceuticals”in Handbook of Radiopharmaceuticals,Ed.M.J.Welch and C.S.Redvanly(2003,John Wiley and Sons)に見出すことができる。
【0042】
放射性ヨウ素化のためには、前駆体化合物は好ましくは、(放射性ヨウ素交換を可能にするための)アリールヨージド又はブロミド、活性化前駆体化合物アリール環(例えば、フェノール基)、有機金属前駆体化合物(例えば、トリアルキルスズ、トリアルキルシリル又は有機ホウ素化合物)、或いはトリアゼンのような有機前駆体化合物又は求核置換のための良好な脱離基(例えば、ヨードニウム塩)を含む。放射性ヨウ素を有機分子中に導入するための前駆体化合物及び方法は、Bolton(J.Lab.Comp.Radiopharm.2002;45:485−528)によって記載されている。好適なボロネートエステル有機ホウ素化合物及びその製法は、Kabalka et al(Nucl.Med.Biol.2002;29:841−843及び2003;30:369−373)によって記載されている。好適なオルガノトリフルオロボレート及びその製法は、Kabalka et al(Nucl.Med.Biol.2004;31:935−938)によって記載されている。放射性ヨウ素化用の好ましい前駆体化合物は有機金属前駆体基を含み、最も好ましくはトリアルキルスズを含む。
【0043】
放射性ヨウ素を結合できるアリール前駆体基の例を以下に示す。
【0044】
【化11】

これらの前駆体基はいずれも、芳香環上への容易な放射性ヨウ素置換を可能にする置換基を含んでいる。放射性ヨウ素を含む別の置換基は、例えば次式のように、放射性ハロゲン交換による直接ヨウ素化で合成することができる。
【0045】
【化12】

放射性臭素化は、放射性ヨウ素化化合物に関して上記に記載した前駆体化合物を用いて実施できる。Kabalka and Varmaは、放射性臭素化化合物を含む放射性ハロゲン化化合物を合成するための様々な方法を総説している(Tetrahedron 1989;45(21):6601−21)。
【0046】
本発明の11C標識イメージング剤は、イメージング剤のデスメチル化バージョンである前駆体化合物を11C−メチルヨージドと反応させることで直截的に合成できる。また、所望のイメージング剤の特定の炭化水素のグリニャール試薬を[11C]−CO2と反応させて、前駆体化合物中のアミン前駆体基と反応して所望の11C標識ボイメージング剤を与える11C試薬を得ることによって11Cを導入することも可能である。グリニャール試薬は、所望の放射性標識部位にハロゲン化マグネシウム前駆体基を含んでいる。11Cの半減期は20.4分にすぎないので、11C標識中間体は高い比放射能を有すること、したがってできるだけ速い反応プロセスを用いてそれを製造することが重要である。かかる11C標識技法に関する徹底的な総説を、Antoni et al,”Aspects on the Synthesis of 11C−Labelled Compounds”in Handbook of Radiopharmaceuticals,Ed.M.J.Welch and C.S.Redvanly(2003,John Wiley and Sons)に見出すことができる。
【0047】
構造Iのジスルフィド結合は細胞内で還元され、もはやxc−輸送体の基質ではなくなる結果、イメージング剤はこの経路を通して細胞から出ることはできない。蛍光ラベル又は放射性同位体ラベル(R)はアミンにコンジュゲートされているので、得られる細胞内の還元イメージング剤は代謝されない。したがって、イメージング剤は活性化されたxc−輸送体を介して細胞に入り、そして細胞内に保持される。単一標識シスチン化合物はR’の位置にHを有しているが、R’の位置にある第2のアミンに追加のラベルを付加することもできる。
【0048】
標識シスチンを例に挙げれば、シスチンは1つ又は2つの遊離アミンの位置で標識される。輸送体を介して細胞中に導入される際、それは標識システインに還元される。これはもはや輸送体の基質ではなく、したがって同じ侵入機構によって細胞から排出することはできない。アミンはラベルにコンジュゲートされているので、標識システインはグルタチオン合成又はタンパク質合成のための基質ではなく、ラベルは細胞内に捕捉される。
【0049】
検査した多種多様のヒト組織及び細胞のうち、xc−輸送体は主として脳において発現され、また膵臓及び培養細胞株においても発現される。xc−輸送体の発現は大抵の組織において非常に低いが、酸化ストレスの条件下及び培養中の細胞が増殖する場合にアップレギュレートされることがある。xc−輸送体は、アポトーシス刺激、酸化ストレス、炎症、シスチン欠乏及び化学療法耐性を含む複数の条件下で誘発される。
【0050】
好適なもの及び好ましいものとして上記に定義された本発明のイメージング剤は、好ましくはイメージング剤を哺乳動物への投与に適した形態の生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬組成物として提供される。これらの医薬組成物は、本発明の独立した態様をなしている。
【0051】
「生体適合性キャリヤー」は、医薬組成物が生理学的に認容され得るようにして(即ち、毒性又は過度の不快感なしに哺乳動物体に投与できるようにして)イメージング剤を懸濁又は溶解するための流体(特に液体)である。生体適合性キャリヤーは、好適には、無菌のパイロジェンフリー注射用水、(有利には注射用の最終生成物が等張性又は非低張性になるように平衡させ得る)食塩水のような水溶液、或いは1種以上の張度調整物質(例えば、血漿陽イオンと生体適合性対イオンとの塩)、糖(例えば、グルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えば、グリセロール)又は他の非イオン性ポリオール物質(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液のような注射可能なキャリヤー液体である。生体適合性キャリヤーはまた、エタノールのような生体適合性有機溶媒を含んでいてもよい。かかる有機溶媒は、親油性の高い化合物又は配合物を可溶化するために有用である。好ましくは、生体適合性キャリヤーはパイロジェンフリー注射用水、等張食塩水又はエタノール水溶液である。静脈内注射用生体適合性キャリヤーのpHは好適には4.0〜10.5の範囲内にある。
【0052】
シスチン/グルタミン酸アンチポーター(xc−輸送体系)を介して細胞中に取り込のれるこれらのイメージング剤は、特に限定されないが、細胞酸化ストレスを含む病変又は病状のイメージングをはじめとして、インビボでの細胞酸化ストレスのイメージングを行うために使用できる。これらのイメージング剤が有益であるイメージング用途には、特に限定されないが、化学療法治療モニタリング、虚血/発作、炎症、外傷性脳損傷及び臓器移植モニタリングがある。
【0053】
したがって、別の態様では、本発明は、シスチン/グルタミン酸輸送体を有する生物学的試料のイメージングを行う方法であって、
シスチン/グルタミン酸輸送体を介して請求項1記載のイメージング剤を前記生物学的試料中に導入する段階、及び
蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査、交差偏光顕微鏡検査、光学イメージング、核シンチグラフィー、陽電子放射断層撮影法又は単光子放射断層撮影法を用いて前記イメージング剤を検出する段階
を含んでなる方法に関する。
【0054】
生物学的試料は、好ましくはインビトロ細胞培養物である。この場合、本発明のイメージング剤を導入する段階は、適当な緩衝液中に懸濁したイメージング剤をインビトロ細胞培養物に添加し、次いで好ましくは生理的温度で所定時間のインキュベーションを行うことで実施される。続いて、当業者にとって公知の蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査又は交差偏光顕微鏡検査技法を用いて検出段階が実施される。例えば、”Principles of Fluorescence Microscopy”Third Edition 2006,Lakowitz,Ed.を参照されたい。
【0055】
別法として好ましくは、生物学的試料はインタクトな哺乳動物被験体である。生物学的試料がインタクトな哺乳動物被験体である場合、イメージング剤は好ましくは本発明の医薬組成物として投与される。好ましくは、前記被験体への投与は非経口的に実施され、最も好ましくは静脈内に実施される。静脈内経路は、イメージング剤を被験体の身体全域に送達するための最も効率的な方法である。静脈内投与は、実質的な物理的介入も実質的な健康リスクももたらさない。本発明のイメージング剤は、好ましくは本明細書中に定義された本発明の医薬組成物として投与される。
【0056】
生物学的試料がインタクトな哺乳動物被験体である場合、好ましくは前記イメージング剤は上記に定義された構造II又は構造IIIのシスチン化合物を含み、イメージング方法の検出段階は好ましくは陽電子放射断層撮影法又は単光子放出断層撮影法を用いて実施される。陽電子放射断層撮影法のためには、前記イメージング剤は上記に定義された構造IIIの標識シスチン化合物を含むことが好ましい。
【0057】
さらに別の態様では、本発明は、細胞における酸化ストレスを検出する方法であって、
請求項1記載のイメージング剤を細胞のシスチン/グルタミン酸アンチポーター中に導入する段階、
細胞内の標識シスチン化合物を標識システインに還元させる段階、及び
細胞内の標識システインを検出する段階
を含んでなる方法を提供する。
【0058】
前記イメージング方法及び前記酸化ストレス検出方法に関して好ましくは、前記検出はアポトーシス細胞で実施される。
【実施例】
【0059】
以下、イメージング剤及び使用方法の様々な実施形態を例示するために使用した非限定的な実施例を示す。
【0060】
実施例1
アポトーシス細胞に関するインビトロアッセイにおいて、ヒトJurkat細胞を1μMスタウロスポリンの存在下又は不存在下で16時間培養し、ヨウ化プロピジウム(PI)及びCy5−アネキシンV(アネキシン)で染色した。通例、約30〜50%の細胞は何らかのアポトーシス又は壊死段階にあることが判明した。フローサイトメトリーを用いて、正常(PI及びアネキシン陰性)、初期アポトーシス(PI陰性、アネキシン陽性)並びに後期アポトーシス及び壊死(PI及びアネキシン陽性)として定義される細胞集団を同定した。結果を図2A及び図2Bに示す。図2Aは、非アポトーシス細胞(暗い灰色)と異なる顆粒度を有する若干の後期アポトーシス細胞(明るい灰色)を示す前方散乱/側方散乱プロットである。図2Bには、アネキシンV及びPI陰性の細胞が象限D3内に示されており、これらは非アポトーシス細胞を表している。象限D4内の細胞は、アネキシンV染色に対して陽性であるがPI染色に対しては陰性である初期アポトーシス細胞を表している。象限D2内の細胞は、アネキシンV染色及びPI染色の両方に対して陽性である後期アポトーシス細胞及び壊死細胞を表している。
【0061】
実施例2
Jurkat細胞を1μMスタウロスポリン(STN)の存在下(図3B)及び不存在下(図3A)で16〜18時間インキュベートし、アネキシンV−Cy5及びヨウ化プロピジウムで染色し、DBCと共に30分間インキュベートした。DBCはInvitrogen社からの市販製品(カタログ#B20340)であって、酸性条件下でのジスルフィド交換反応によるヌクレオチド、タンパク質及び細胞の可逆チオール標識のために販売されている。DBCは以下に示す構造を有する。
【0062】
【化13】

図3Aでは、未処理細胞がDBC分子の取込み又は非特異的結合に対応する若干の低強度蛍光を示している。図3Bでは、スタウロスポリン誘発細胞が高強度DBC染色を示す細胞亜集団を有しており、これは主として後期アポトーシス/壊死細胞(+アネキシンV、+PI)と相関していた。中間のDBC染色を示す細胞集団も出現したが、これは初期アポトーシス細胞(+アネキシンV、−PI)とよく相関している。このアポトーシス細胞標識アッセイにおけるxc−輸送体の役割を一層詳しく検討するため、Jurkat細胞をxc−輸送体の強力な特異的阻害剤であるスルファサラジンとも一緒にインキュベートした。細胞は、DBCと同時にシスチン/グルタミン酸輸送体の特異的阻害剤(スルファサラジン、sasz)を添加した点を除き、図2Bと同様に処理した(図3C)。図3Cでは、中間のDBC染色を示す細胞集団が見出されたが、これは後期アポトーシス細胞(+アネキシンV、+PI)のみとよく相関していた。図3Dでは、実施例1と同様に細胞を正常、初期アポトーシス又は後期アポトーシスとして類別し、増加したDBC染色を示す細胞のパーセントを各カテゴリーに関して記録した。初期及び後期アポトーシス細胞はDBCで標識されたが、これは初期アポトーシス細胞のみにおいてsaszにより阻害された。したがって、DBCはシスチン/グルタミン酸輸送体の活性によって初期アポトーシス細胞を標識し、シスチンのアミンを介して2つの発蛍光団にコンジュゲートするものの、輸送体基質として作用する。このデータは、DBCに関して初期アポトーシス細胞で見られる取込みが何らかの他の機構ではなくxc−輸送体に依存することを示している。
【0063】
実施例3
アポトーシスJurkat細胞によるDBCの取込みは、xc−輸送体が酸化ストレス(及びこの場合にはアポトーシス)を受ける細胞で活性化されることばかりでなく、xc−輸送体がこの基質(シスチン)をアミン付加緑色発蛍光団(BODIPY FL)と共に細胞中に導入するのに十分な程度に無差別的であることも示している。輸送体の無差別性をさらに確認するため、赤色発蛍光団(BODIPY650)を有する標識シスチンを合成した。BODIPY FL標識シスチンとの並行比較において、DBC−650は図4A及び図4Bに示されるように正常細胞以上にアポトーシス細胞を標識するようには見えず、ある種のラベルはxc−輸送体の基質状態を維持するには十分でないことを示している。この実施例では、BODIPY650発蛍光団及び関連するリンカーはDBC(図4A)の場合より大きく、したがってサイズが輸送体を通過する能力を維持しながらアミンに付加される基を制限する一因をなしている。
【0064】
実施例4
前出の実施例から、ラベルのサイズを小さく保つことが重要である。小さい標識シスチン化合物は、DBC−650やDBCのような大きい標識シスチン化合物よりも適切な基質として役立つ。したがって、アミンの一方のみの位置にBODIPY蛍光ラベルを用いて、小さい蛍光シスチン化合物であるモノBODIPYシスチン(MBC)を合成した。この分子は、市販のシスチン及びBODIPY FLスクシンイミジルエステル(Invitrogen社、D2184)を用いて創製し、逆相HPLCによって精製し、質量分析法で分析して正しい生成物であることを確認した。MBCは以下に示す構造を有する。
【0065】
【化14】

Jurkat細胞を1μM STNと共に16〜18時間インキュベートし、アネキシンV−Cy5及びヨウ化プロピジウムで染色し、シスチン/グルタミン酸阻害剤(sasz)を添加しない場合(図5A)及び添加した場合(図5B)においてMBCと共に30分間インキュベートした。図5Aでは、MBC標識は高強度蛍光シフトを示す細胞亜集団として可視化され、これは初期及び後期アポトーシス細胞(図5C)の両方によく対応している。中間の集団は明らかでなく、これはMBCがDBCより高い強度で初期アポトーシス細胞を標識することを示唆していた。図5Bでは、スルファサラジンの添加はより少数の標識細胞をもたらし、蛍光強度のシフトも小さかった。この集団は後期アポトーシス細胞とよく相関しており、初期アポトーシス細胞とはあまり相関していなかった(図5C)。この実施例では、(ただ1つのラベルしか持たない)MBCはDBCより小さく、天然の輸送体基質であるシスチンに一層よく似ている結果、初期アポトーシス細胞を標識するために向上した性能を有するイメージング剤を与える。MBCの場合、正常細胞中へのバックグラウンド取込みが少なく、シスタチオニン化合物当たりの発蛍光団が1つ少ないものの、アポトーシス細胞に関する蛍光強度の増加の大きさが犠牲にならない。
【0066】
実施例5
還元可能なジスルフィド結合を含むイメージング剤は細胞内区画の内部で還元されるはずであり、したがってシスチン/グルタミン酸輸送体によって排出されるべき基質とはならず、ラベルは細胞内に捕捉されることになる。この作用を示すため、以下の構造を有するジBODIPYシスタチオニン(DBシスタチオニン)イメージング剤を処方した。
【0067】
【化15】

また、陰性対照として、以下の構造を有するBODIPY FL C5(これはInvitrogen社から商業的に入手できる)も使用した。
【0068】
【化16】

図6Aは、DBC、DBC(650)、DBシスタチオニン、MBC及び陰性対照(BODIPY FL C5)による正常、初期アポトーシス及び後期アポトーシスJurkat細胞のBODIPY染色の比較を示している。DBC、DBシスタチオニン及びMBCは初期アポトーシス細胞を染色し、DBC(650)は後期アポトーシス細胞のみを染色し、陰性対照はアポトーシス細胞に関していかなる蛍光シフトも示さない。このデータから、DBC、DBシスタチオニン及びMBCはアポトーシス細胞に対してすべて同等のラベルである。しかし、図6Bでは、初期アポトーシス細胞における蛍光強度の倍率シフトが各イメージング剤について正常細胞と比較されている。MBCが使用した他の蛍光イメージング剤より強力な染色を与えることは明らかである。
【0069】
実施例6
前出の実施例から明らかな通り、ただ1つの小さいラベルを有することが有益である。小さい標識シスチン化合物は、DBC−650のような大きい標識シスチン化合物よりも適切な基質として役立つ。したがって、ただ1つのアミンが[18F]アミノキシ−フルオロベンズアルデヒドにコンジュゲートされた標識シスチン化合物(モノAO−[18F]−FBA−シスチン)を合成したが、これはPETイメージング用途のために使用できる。最初に、以下の構造を有するアミノキシ−シスチン前駆体(モノAO−シスチン)を合成した。
【0070】
【化17】

一般には、次いでモノAO−シスチンを[18F]フルオロベンズアルデヒドにコンジュゲートすることで、以下の構造を有するモノAO−[18F]−FBA−シスチンを得た。
【0071】
【化18】

モノAO−[18F]−FBA−シスチンの合成方法の一層詳しい非限定的な一例を以下に示す。
【0072】
すべての反応は、窒素雰囲気下又は窒素でパージしたクリンプトップ密封バイアル中で実施した。Kryptofix 222(Aldrich社)及びK2CO3(EMD Science社)は購入し、受け入れたままで使用した。Optima(商標)グレードのアセトニトリルをHPLC溶媒及び反応溶媒として使用した。
【0073】
18F]KF(精製水中で40mCi・mL-1(1480MBq・mL-1))をIBA Molecular社(オールバニー、米国ニューヨーク州)又はPETNET Solutions社(オールバニー、米国ニューヨーク州)から入手し、受け入れたままで使用した。[18F]−フッ化物をまずChromafix 30−PS−HCO3陰イオン交換カートリッジ(ABX社、ラーデベルク、ドイツ)上に固定化し、次いでKryptofix K222(376g・mol-1、8mg、2.13×10-5mol)及び炭酸カリウム(138.2g・mol-1、2.1mg、1.52×10-5mol)を含むアセトニトリル及び蒸留脱イオン水(ddH2O)の4:1混合物1mLを用いてドライダウン容器内に溶出した。穏やかに加熱(約45℃)しながら部分真空及び窒素流下で溶媒を除去した(約15分)。次に、K222(8mg)を含む0.5mLのアセトニトリルで供給源バイアル及び陰イオン交換カートリッジを洗浄し、再び反応混合物を部分真空及び穏やかな加熱下で乾固した(約10分)。反応器を窒素で再加圧し、さらに0.5mLのアセトニトリルを用いて共沸ドライダウンを2回繰り返した。4−ホルミル−N,N,N−トリメチルアニリニウムトリフレート(313.30g・mol-1、3.1mg、9.89×10-6mol)を0.35mLの無水DMSO(Acros社)に溶解し、[18F]KF・K222及びK2CO3を含む反応器に直接添加した。反応混合物を90℃で15分間加熱し、直ちに3mLの蒸留脱イオンH2O(ddH2O)で冷却しかつ奪活した。続いて、この混合物を陽イオン交換カートリッジ(Waters SepPak Light Accell Plus CM)に通し、ddH2Oで10mLに希釈し、逆相C18 SepPak(Waters SepPak Plus C18)上に装填した。SepPakを10mLのddH2Oでフラッシュし、次いで30mLの空気でパージした。[18F]4−フルオロベンズアルデヒド([18F]FBA)を1.0mLのメタノールで溶出した。
【0074】
別途、高回収バイアル(2mL、National Scientific社)にモノアミノキシシスチン(386.27g・mol-1、2.7mg、6.99×10-6mol)を仕込んだ。固体を250μLのddH2O及び8μLのトリフルオロ酢酸中に懸濁した。メタノール中の[18F]FBA(上記参照)500μLを反応バイアルに移した。容器にキャップを付け、クリンプ加工し、加熱ブロック中に配置し(反応開始時の放射能4.66mCi/172MBq)、60℃に15分間保った。この時点で分析HPLCでの分析のために小アリコート(<5μL)を取り出した。半分取HPLC精製のための準備として、0.1%TFAを含む250μLのddH2Oを用いて溶液を約1000μLに希釈してddH2O及びMeOHの1:1最終粗生成物を得た。[18F]FB−シスチンを半分取HPLCによって単離精製した。生成物(0.409mCi/15.1MBq)を含むHPLC画分をddH2Oで5:1に希釈し、次いでtC18 Plus SepPak(Waters社)上に固定化した。SepPakをまず5mLのddH2Oで、次いで30mLの空気でフラッシュした。まずボイド容積(約0.5mL)を溶出させ、次いで250〜300μLの溶出液を独立のフラスコ内に集めることにより、[18F]FB−Cys(0.17mCi、6.3MBq)を最小量のDMSO中に単離した。放射化学純度及び化学純度を確定するため、単離した生成物に関してRP−HPLC分析を実施した。通例、処方後分析のためには10μLの0.1μCi/μL溶液を注入した。単離放射化学収率は3.6%([18F]FBA添加からの崩壊補正値6.6%)であり、放射化学純度は96.8%であった。
【0075】
分析HPLC条件:分析は、G1311A QuatPump、100μLシリンジ及び2.0mLシートキャピラリーを有するG1313Aオートインジェクター、Phenomenex Gemini C18カラム(4.6mm×150mm、5μ、100Å(S/N 420477−10))、G1316Aカラムヒーター、G1315A DAD並びにRamon Star−GABIγ線検出器を備えたHP Agilent 1100上で実施した。95:5 ddH2O:CH3CN(0.05%TFAを含む)、溶媒B:CH3CN(0.05%TFAを含む)。勾配溶出:0分,0%B、1分,15%B、10分,31%B、10.5分,100%B、13.5分,100%B、14分,0%B、17分,0%B(TR約7.1分)。
【0076】
半分取HPLC条件:精製は、DG−2080−54 4ラインデガッサー、MX−2080−32ダイナミックミキサー、2台のPU−2086 Plus Prepポンプ、大容量注入キットを取り付けたAS−2055 Plus Intelligentオートインジェクター、ガード(S/N 295860−1、P/N 00G−4252−N0)付きのPhenomenex 5μ Luna C18(2)100Å,250×10mm,5μカラム、MD−2055 PDA、及び固体SiPINフォトダイオードγ線検出器に取り付けたCarrol & Ramsey Associates Model 105Sアナログレートメーターを備えたJasco LC上で実施した。勾配溶出:0分,0%B、3分,20%B、42分,70%B、42.5分,100%B、46分,100%B、50分,0%B。溶媒A:ddH2O:CH3CN(0.05%TFAを含む)、溶媒B:CH3CN(0.05%TFAを含む)(TR約14.7分)。
【0077】
モノAO−[18F]−FBA−シスチンをインビトロ細胞取込みアッセイで使用した。かかるアッセイでは、モノAO−[18F]−FBA−シスチンを培養細胞と共に30分間インキュベートし、食塩水で2回洗浄した後、細胞を1N NaOHで溶解し、γ線カウンターでの分析のために集めた。図7は2種の細胞株におけるモノAO−[18F]−FBA−シスチンの取込みを示しており、これはJurkat細胞株及びA549細胞株におけるシスチン/グルタミン酸輸送体の基礎発現及び活性が異なることを表している。
【0078】
7%エタノール/食塩水中に処方したこの分子の薬物動態学的プロファイルを健常マウスで確定し、図8A及び図8Bに示す。天然のBalb/cマウスに薬物15μCiの18F−シスチンを注射し、注射後5分、30分及び120分の時点を取り上げた。図8Aは、天然のBalb/cマウスにおける体内分布結果を注射量の%(%ID)として示している。体外へのクリアランスは、腎臓、膀胱及び尿のプロファイルによって示されるように主として腎排泄による。図8Bは、図8Aに示したものと同じデータの%ID/グラムを示している。2頭のマウスにおいて、ラジオトレーサーの注射から2時間前に抗Fas抗体の注射でアポトーシスを誘発した。モノAO−[18F]−FBA−シスチンの注射から2時間前に抗Fas抗体の注射で肝臓にアポトーシスを誘発した2頭の動物を調べた。これまでに調べた動物の数は少ないものの、両者とも対照動物より高い肝臓取込みを示している。
【0079】
図8Cは、A549腫瘍の異種移植片を有するヌードマウスにおいて行った研究からの(%ID/グラムで表した)同様な体内分布結果を示している。120分及び240分の時点で、ラジオトレーサーは、血液又は他の組織(腎臓及び膀胱を除く)中より多くの%ID/グラムを腫瘍中に検出するのに十分な程度まで排出された。各時点に関する腫瘍/血液比を図8Dに示す。これらの結果は、放射性標識シスチン化合物がインビボでシスチン/グルタミン酸輸送体活性を検出するために使用できることを示唆している。
【0080】
図9は、食塩水中におけるモノAO−[18F]−FBA−シスチン分子の経時的安定性を示している。図示の通り、4時間にわたってγ線トレースプロファイルのいかなる変化も存在しなかった。
【0081】
図10は注射から60分後における天然マウスのPET画像中でのモノAO−[18F]−FBA−シスチンを示しており、これは主として腎臓及び膀胱経由でのクリアランスを示している。
【0082】
別の非限定的な実施例として、シスチンを123I−ヨードベンズアルデヒドで標識することができる。これを製造するには、フルオロベンズアルデヒドと同様に、まずAO−Cys(2.5mg)を含む高回収バイアル(2mL、National Scientific社)に[123I]4−ヨードベンズアルデヒド([123I]IBA)を添加する。ポリペプチドを0.5mLのddH2Oに溶解し、8μLのトリフルオロ酢酸を添加し、次いで0.5mLのメタノール中の[123I]IBAを添加することで反応が開始する。容器にキャップを付け、クリンプ加工し、加熱ブロック中に配置し、60℃に15分間保つ。小アリコート(<5μL)を取り出し、分析HPLCでの分析を行って反応の状態を評価する。[123I]IB−シスチンを半分取HPLCによって単離精製する。生成物を含むHPLC画分をさらにddH2Oで(5:1に)希釈し、次いで生成物をtC18 Plus SepPak(Waters社)上に固定化する。SepPakをまず5mLのddH2Oで、次いで30mLの空気でフラッシュする。まずボイド容積(約0.5mL)を溶出させ、次いで250〜300μLの溶出液を独立のフラスコ内に集めることにより、[123I]IB−シスチンを最小量のエタノール中に得る。次いで、単離した生成物に関してRP−HPLC分析を実施して放射化学純度及び化学純度を確定する。
【0083】
本明細書中には本発明の若干の特徴のみを例示し説明したが、当業者には数多くの修正及び変更が想起されるであろう。したがって、添付特許請求の範囲は本発明の真の技術思想の範囲内に含まれるすべてのかかる修正及び変更を包含することを理解すべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造Iを有する標識シスチン化合物を含んでなるイメージング剤。
【化1】

式中、R及びR’の一方は蛍光ラベル及び放射性同位体ラベルから選択されるラベルを含み、R及びR’の他方は水素である。
【請求項2】
標識シスチン化合物が次の構造IIを有する、請求項1記載のイメージング剤。
【化2】

式中、
点線の結合は単結合又は二重結合を表し、
1は放射性同位体ラベルを含み、
点線の結合が単結合である場合にR2は水素であり、
点線の結合が二重結合である場合にR2は存在しない。
【請求項3】
前記放射性同位体ラベルが11C、13N、15O、17F、18F、75Br、76Br、124I、123I、131I及び77Brから選択される、請求項1又は請求項2記載のイメージング剤。
【請求項4】
前記放射性同位体ラベルが18Fであり、前記標識シスチン化合物が次の構造II、V又はVIの化合物から選択される、請求項3記載のイメージング剤。
【化3】

【化4】

【化5】

【請求項5】
標識シスチン化合物が蛍光ラベルを含んでいて次の構造IVを有する、請求項1記載のイメージング剤。
【化6】

【請求項6】
シスチン/グルタミン酸輸送体を有する生物学的試料のイメージングを行う方法であって、
シスチン/グルタミン酸輸送体を介して請求項1記載のイメージング剤を前記生物学的試料中に導入する段階、及び
蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査、交差偏光顕微鏡検査、光学イメージング、核シンチグラフィー、陽電子放射断層撮影法又は単光子放射断層撮影法を用いて前記イメージング剤を検出する段階
を含んでなる方法。
【請求項7】
前記生物学的試料がインビトロ細胞培養物である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記検出段階が蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査又は交差偏光顕微鏡検査を用いて実施される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記生物学的試料がインタクトな哺乳動物被験体である、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記イメージング剤が請求項2又は請求項3記載のものであり、前記検出段階が陽電子放射断層撮影法又は単光子放出断層撮影法を用いて実施される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記イメージング剤が請求項4記載の標識シスチン化合物を含み、前記検出段階が陽電子放射断層撮影法を用いて実施される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
細胞における酸化ストレスを検出する方法であって、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のイメージング剤を細胞のシスチン/グルタミン酸アンチポーター中に導入する段階、
細胞内の標識シスチン化合物を標識システインに還元させる段階、及び
細胞内の標識システインを検出する段階
を含んでなる方法。
【請求項13】
前記細胞がアポトーシス細胞である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のイメージング剤を、哺乳動物への投与に適した形態の生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬組成物。
【請求項15】
R及びR’の一方が放射性同位体ラベルを含んでいてR及びR’の他方が水素である請求項1記載のイメージング剤を合成するための前駆体化合物であって、当該前駆体化合物が次の構造Xを有する、前駆体化合物。
【化7】

式中、
R''及びR'''の一方は前駆体基であり、R''及びR'''の他方は水素であり、
前記前駆体基は好都合な化学形態の放射性同位体ラベルと反応して放射性同位体ラベルを部位特異的に導入する化学基であり、
当該前駆体化合物は任意にはヒドロキシ、カルボニル及びアミン官能基の1以上に対する保護基を含む。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−525328(P2012−525328A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506533(P2012−506533)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055629
【国際公開番号】WO2010/125068
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】