説明

樹脂成形品の押出成形方法及び装置

【課題】異なる形状の樹脂成形品を押出成形できるようにする段取り時間を短くして、効率良く押出成形作業できる樹脂成形品の押出成形方法の提供。
【解決手段】押出機1に取り付けた金型2と隣接して交替用の金型2aを待機させると共に、サイジング装置3の押出ラインaと合致したサイジングユニット35と隣接している交替用のサイジングユニット36を待機させ、前述の押出成形終了して休止したときに、前記交替用の金型2aを押出機1に取り付けて金型交替し、前記交替用のサイジングユニット36を押出ラインaと合致させてサイジング装置3の交替をし、前記引取機4の上下の無端状回転体41を押出ラインaと直交する方向に移動してパッド40のいずれか1つの支持面40aを押出ラインaと合致させて引取機4の交替をし、その後に押出成形する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂サッシ用の樹脂形材、ガラス取付用のガスケットなどの樹脂成形品を押出成形する方法及び、その方法を実施するための樹脂押出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成形品を押出成形する装置が種々提案されている。
例えば、特許文献1に開示されたように、押出機、押出成形金型(金型)、サイジング装置、引取機、切断機を押出ラインに沿って順次設置した樹脂押出成形装置が提案されている。
前述した従来の樹脂押出成形装置による押出成形方法は、押出機で溶融、混練された樹脂を金型に通すことで樹脂成形品を連続して押出成形し、その押し出しされた樹脂成形品をサイジング装置で冷却、成形して所定の寸法、形状に固化し、引取機で引き取り、切断機で所定の長さに切断する方法で、形状の異なる樹脂成形品を押出成形する場合は、旧い樹脂成形品の押出成形が終了したら樹脂押出成形装置を停止し、その樹脂押出成形装置を新しい樹脂成形品を押出成形できるように段取り替えを行い、その後に樹脂押出成形装置を稼働して前述のようにして形状の異なる新しい樹脂成形品を押出成形するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−117955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した樹脂押出成形装置の段取り替えは、旧い金型を取り外し、新しい金型を取り付ける金型の交替作業、サイジング装置の冷却、成形用のサイジング金型を取り外し、新しいサイジング金型を取り付けるサイジング金型の交替作業、引取機のパットを取り外し、新しい樹脂成形品の外周形状に応じたパットを取り付けるパットの交替作業等がある。
前述の各交替作業は複雑で手間がかかるので、樹脂押出成形装置の段取り替えに長時間かかり、樹脂押出成形装置を長い時間休止させることになるから、押出成形作業効率が悪い。
【0005】
前述した押出機は、投入された樹脂材料を溶融、混練、圧縮して金型に向けて押し出し、金型を通すことで押出成形するものが一般的で、押出機を連続して稼働しているときには問題がないが、押出機を所定時間以上休止すると、押出機内部の樹脂が劣化することがあるので、再び押出機を稼働するときに押出機内部の樹脂を除去しなければならない。
前述のように段取り替えに長い時間がかかると、押出機の休止時間が長く、再び押出機を稼働するときに押出機内部の樹脂を除去しなければならず、その作業が面倒であると共に、樹脂が無駄となってしまう。
前述の樹脂の劣化は、樹脂材料がPVC樹脂の場合に著しく生じる。
【0006】
本発明の目的は、形状の異なる樹脂成形品を押出成形するときの休止時間を短くして押出成形作業効率を向上できると共に、押出機内部の樹脂を除去せずに押出成形できるようにした樹脂成形品の押出成形方法及びその方法を実施するための樹脂押出成形装置とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の樹脂成形品の押出成形方法は、押出機1、金型2、サイジング装置3、引取機4、切断機5を備えた樹脂押出成形装置により、前記押出機1で溶融した樹脂を金型2を通して成形し、その樹脂成形品をサイジング装置3で所定の寸法、形状にし、この後に引取機4で引き取り、切断機5で所定の長さに切断する樹脂成形品の押出成形方法であって、
前述のようにして樹脂成形品を押出成形しているときに、前記押出機1に取り付けた金型2と横方向に隣接した待機位置に交替用の金型2aを待機させると共に、前記サイジング装置3の押出ラインaと合致しているサイジングユニット35と横方向に隣接した待機位置に交替用のサイジングユニット36を待機させ、
前記樹脂押出成形装置を停止した後に、前記押出機1から金型2を取り外しすると共に、交替用の金型2aを押出機1まで移動して押出機1に取り付けて金型交替し、前記サイジングユニット35を押出ラインaから横方向に外れた位置まで移動すると共に、前記交替用のサイジングユニット36を押出ラインaと合致する位置に移動してサイジング装置3の交替をし、
前記引取機4の上下の無端状回転体41を横方向に移動してパット40の複数の支持面40aにおけるいずれか1つを押出ラインaと合致させて引取機4の交替をし、
前述の金型交替、サイジング装置3の交替、引取機4の交替が終了したら、再び樹脂押出成形装置を稼働して樹脂成形品を押出成形することを特徴とする樹脂成形品の押出成形方法である。
【0008】
本発明の樹脂成形品の押出成形方法は、前記押出機1に取り付けた金型2を第1金型支持部材22で支持し、その第1金型支持部材22とともに待機位置まで移動すると共に、交替用の金型2aを第2金型支持部材23で支持し、この第2金型支持部材23とともに交替用の金型2aを押出機1まで移動するようにした樹脂成形品の押出成形方法とすることができる。
【0009】
このようにすれば、第1・第2金型支持部材22,23を移動することで金型2、交替用の金型2aを移動できるから、金型交替をより短時間に行うことができる。
【0010】
本発明の樹脂成形品の押出成形方法は、前記サイジング装置3のサイジングユニット35と交替用のサイジングユニット36は連動して横方向に移動し、そのサイジングユニット35が押出ラインaから外れた位置に移動すると交替用のサイジングユニット36が押出ラインaと合致する位置に移動するようにした樹脂成形品の押出成形方法とすることができる。
【0011】
このようにすれば、サイジング装置3の交替をより短い時間で行うことができる。
【0012】
本発明の樹脂成形品の押出成形方法は、前記樹脂成形品の形状によって押出ラインaの高さが変化する際は、前記サイジング装置3の交替のときに、交替用のサイジングユニット36を上下に移動して押出ラインaの高さに合わせるようにした樹脂成形品の押出成形方法とすることができる。
【0013】
このようにすれば、押出ラインaの高さが変化しても、交替用のサイジングユニット36を、その高さに合わせることができる。
【0014】
本発明の樹脂押出成形装置は、押出機1、金型2、サイジング装置3、引取機4、切断機5を押出ラインaに沿って順次設けた樹脂押出成形装置であって、
前記金型2を支持して押出機1と対向した取付位置と一方の待機位置とに亘って移動する第1金型支持部材22と、前記取付位置と他方の待機位置とに亘って移動し、かつ交替用の金型2aを支持する第2金型支持部材23を備えた金型交替装置20を設け、
前記サイジング装置3は、押出ラインaと直交した横方向に隣接した第1ユニット取付部33と第2ユニット取付部34を有し、その第1ユニット取付部33が押出ラインaと合致した第1の位置と第2ユニット取付部34が押出ラインaと合致した第2の位置とに亘って横方向に移動するフレーム32を備え、
前記第1ユニット取付部33と第2ユニット取付部34の一方にサイジングユニット35を着脱自在に取り付け、他方に交替用のサイジングユニット36を着脱自在に取り付けできるようにし、
前記引取機4は、周面にパット40を有した無端状回転体41を上下に対向して備え、このパット40は、異なる形状の樹脂成形品の上面、下面を支持する支持面40aを横幅方向に複数有し、
前記上下の無端状回転体41は、いずれか1つの支持面40aが押出ラインaと合致するように横方向に移動可能としたことを特徴とする樹脂押出成形装置である。
【0015】
本発明の樹脂押出成形装置は、前記サイジング装置3のフレーム32を、上下に移動自在とした樹脂押出成形装置とすることができる。
【0016】
このようにすれば、押出ラインaの高さが異なる樹脂成形品を押出成形するときに、交替用のサイジングユニット36を上下に移動して押出ラインaの高さに合わせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の樹脂成形品の押出成形方法によれば、金型交換、サイジング装置3の交換、引取機4の交替をそれぞれ短時間にでき、形状の異なる樹脂成形品を押出成形できるようにする段取りを短時間にできるから、樹脂押出成形装置の休止時間を短くできる。
したがって、樹脂成形品の押出成形作業効率を向上できると共に、押出機1内部の樹脂を除去せずに押出成形でき、樹脂が無駄にならない。
【0018】
本発明の樹脂押出成形装置によれば、第1金型支持部材22、第2金型支持部材23とともに金型2、交替用の金型2aを移動できるから、金型交替作業を短時間にできる。
また、サイジング装置3のフレーム32を移動することで交替用のサイジングフレーム36を押出ラインaと合致した位置とすることができ、サイジング装置3の交替を短時間に行うことができる。
また、引取機4の上下の無端状回転体41を横方向に移動することで、押出成形する樹脂成形品の上面、下面を挟持する支持面40aを押出ラインaと合致することができ、引取機4の交替を短時間に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の樹脂押出成形装置の平面図である。
【図2】本発明の樹脂押出成形装置の側面図である。
【図3】図1のA−A線に沿った金型交替装置の拡大図である。
【図4】図1のB−B線に沿った引取機の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1と図2に示すように、押出機1、押出成形用の金型2、サイジング装置3、引取機4、切断機5、ランアウトテーブル6が押出ラインaに沿って床面などに順次設置してある。
これらによって、本発明の樹脂押出成形装置としてある。
前記押出機1は、投入された樹脂材料(粉末)をスクリューによって溶融、混合、圧縮して金型2に向けて押し出し、その金型2を通すことで樹脂成形品を連続して押出成形する。
前記押出ラインaは、押出成形される樹脂成形品と同じライン上であって、押出機1から切断機4に向かって延び、押出機1と金型2によって決定される位置を仮想線で表わしたものである。
【0021】
前記金型2は押出機1の前部に着脱自在に取り付けてある。
この金型2は金型交替装置20によって押出機1に取り付けられる取付位置と、この取付位置の両側の待機位置に移動されることで金型交替される。
前記金型交替装置20は、図3に示すように、押出ラインaと直交するガイド部21と、このガイド部21に沿って押出ラインaと直交する方向に移動する第1金型支持部材22、第2金型支持部材23を備え、この第1金型支持部材22は前記ガイド部21に沿って前述の取付位置と一方の待機位置とに亘って移動する。前記第2金型支持部材23は他方の待機位置と前記取付位置とに亘って移動する。
【0022】
図示の状態では、前記第1金型支持部材22に金型2が支持され、その第1金型支持部材22を取付位置に移動し、金型2を押出機1に取り付けている。取付位置は押出ラインa上の位置である。
前記第2金型支持部材23は他方の待機位置に移動し、次に押出成形する樹脂成形品のための交替用の金型2aを支持し、この交替用の金型2aを前述の金型2と隣接した位置に待機させる。
前述の第1・第2金型支持部材22,23は手動で移動するのが好ましい。
【0023】
金型交替は次のようにして行う。
前記金型2を押出機1から取り外し、第1金型支持部材22とともに一方の待機位置まで移動する。
これと同時に、交替用の金型2aを支持した第2金型支持部材23を取付位置まで移動し、その第2金型支持部材23に支持された交替用の金型2aを押出機1に取り付けることで金型2を交替することができる。
また、前述のようにして金型交替した後に、一方の待機位置の第1金型支持部材22に支持されている金型2を取り出し、次の押出成形する樹脂成形品のための交替用の金型2aを支持し、次の金型交替に備えることができる。
【0024】
前記サイジング装置3は、本体30に主フレーム31を上下移動自在に取り付け、この主フレーム31にフレーム32を横方向に移動自在に取り付けてある。前述の横方向とは水平面上で押出ラインaと直交する方向である。
前記フレーム32は複数のユニット取付部、例えば第1ユニット取付部33と第2ユニット取付部34を横方向に隣接して備え、このフレーム32は、第1ユニット取付部33が押出ラインaと合致し、第2ユニット取付部34が押出ラインaから横方向に外れた第1の位置と、第2ユニット取付部34が押出ラインaと合致し、第1ユニット取付部33が押出ラインaから横方向に外れた第2の位置とに移動可能である。
前記第1・第2ユニット取付部33,34にはサイジングユニット35、交替用のサイジングユニット36が着脱自在に取り付けできるようにしてある。
【0025】
前記各サイジングユニット35,36は、サイジング金型37と水槽38をそれぞれ備えている。
前記サイジング金型37は、前記金型2を通して押出成形された樹脂成形品を所定の形状の穴を有する枠材に挿通し、その状態で冷却、成形して所定の寸法、形状に固化するものである。
前記水槽38は、前述の固化した樹脂成形品をさらに冷却して常温とするものである。
【0026】
図1に示す状態ではフレーム32が第1の位置で、サイジングユニット35が押出ラインaに合致し、そのサイジングユニット35が実際のサイジングに使用される実サイジングユニットで、交替用のサイジングユニット36は押出ラインaから外れる。つまり、第2ユニット取付部34が押出ラインaと合致したサイジングユニット35と横方向に隣接し、次に押出成形する樹脂成形品のための交替用のサイジングユニットを取り付けて待機するスペースである。
そして、図1に示す状態からフレーム32を横方向に移動して第2の位置とし、交替用のサイジングユニット36を押出ラインaと合致させることで、そのサイジングユニット36が実サイジングユニットとなり、サイジングユニット35が押出ラインaから外れる。
【0027】
要するに、フレーム32の第1ユニット取付部33が押出ラインaと合致したときには、第2ユニット取付部34が交替用サイジングユニットを取り付けるスペースとなる。
前記フレーム32の第2ユニット取付部34が押出ラインaと合致したときには、第1ユニット取付部33が交替用サイジングユニットを取り付けるスペースとなる。
【0028】
このようであるから、フレーム32を図1に示す状態から横方向に移動して交替用のサイジングユニット36を押出ラインaと合致させることで、サイジングユニットを交替することができる。
また、前述のように交替した後に、第1ユニット取付部33からサイジングユニット35を取り外し、次に押出成形する樹脂成形品のための交替用のサイジングユニットを第1ユニット取付部33に取り付けて次のサイジングユニットの交替に備えることができる。
【0029】
図1、図2に示すサイジング装置3は、主フレーム31を上下を移動することでフレーム32とともにサイジングユニット35,36が上下に移動し、サイジングユニット35,36の中心が上下に変化する。
したがって、押出成形品の形状によって押出ラインaの高さが変化した場合に、主フレーム31を上下に移動することによって、交替用のサイジングユニット36の上下方向の中心を押出ラインaの高さに合わせることができる。
なお、フレーム32を2つに分割し、各フレームを単独で移動するようにしても良い。
【0030】
前記引取機4は、図1、図2、図4に示すように、パット40を有した押出ラインaに沿った方向に回転する上下一対の無端状回転体41,41を備え、この上下の無端状回転体41,41を回転することで上下のパット40で樹脂成形品の上面、下面を挟持して引き取り、切断機5に向けて移動する。このパット40は、回転方向に直交する方向(横方向)に延び、回転方向は横方向よりも短く、このパット40を無端状となるように複数を連結して無端状回転体41としている。
前記上下の無端状回転体41,41の横幅(つまり押出ラインaと直交する方向の寸法)が、樹脂成形品の横幅と比べて著しく大きいので、上下のパット40の横幅(水平面上で押出ラインaに垂直な方向の寸法)が樹脂成形品の横幅と比べて著しく大きく、横幅方向に複数の支持面40aを有し、いずれかの支持面40aによって形状の異なる樹脂成形品の上面、下面を支持できるようにしてある。
支持面40aは、樹脂成形品に対応して多数配されており、このため横幅が大きい。
【0031】
前記上下の無端状回転体41は、横方向(押出ラインaと直交する方向)に移動自在で、いずれか1つの支持面40aが押出ラインaと合致できるようにしてある。
例えば、機台42に横フレーム43を横方向に移動自在に取り付け、この横フレーム43に一対の縦フレーム44を取り付け、この一対の縦フレーム44間に亘って上下の無端状回転体41,41が回転自在に取り付けてある。
これによって、横フレーム43を横方向に移動することで、上下の無端状回転体41,41が横方向に移動することができる。
【0032】
前記引取機4は、前述のように金型2を交替する際に、その金型2により押出成形される樹脂成形品に対応したパット40の支持面40aが押出ラインaと合致するように上下の無端状回転体41を横方向に移動する。
横方向への移動は電動モータにより行われ、樹脂成形品の金型情報によって、その情報に合致する支持面40aとなるように制御して移動する。
【0033】
前記切断機5は、引取機4で搬送された樹脂成形品を所定の長さに切断するものである。
前記ランアウトテーブル6は、切断機5で切断された樹脂成形品を横方向に取り出しするものである。
【0034】
次に、樹脂成形品の押出成形方法を説明する。
押出成形する樹脂成形品に対応した金型2を押出機1に取り付け、サイジング装置3のサイジングユニットを押出ラインaと合致し、引取機4のいずれか1つの支持面40aを押出ラインaと合致した状態で、押出成形品を押出成形する。
例えば、金型交替装置20の第1金型支持部材22に支持した金型2を押出機1に取り付け、サイジング装置3のフレーム32を第1の位置としてサイジングユニット35を押出ラインaと合致する。
【0035】
前述のようにして押出成形しているときに、次に押出成形する樹脂成形品のための交替用の金型2aを、前述の押出機1に取り付けた金型2と横方向に隣接した待機位置に待機させると共に、交替用のサイジングユニット36を、前述の押出ラインaと合致しているサイジングユニット(実サイジングユニット)35と横方向に隣接した待機位置に待機させる。
例えば、金型交替装置20の第2金型支持部材23に交替用の金型2aを支持して待機し、サイジング装置3のフレーム32の第2ユニット取付部34に交替用サイジングユニット36を取り付けて待機する。
【0036】
前記交替用金型2aは加熱して待機することが好ましい。このようにすれば、押出機1に取り付けた後に加熱して昇温する時間を短くできる。
【0037】
前述した樹脂成形品の押出成形が終了したら押出機1、サイジング装置3、引取機4を停止して樹脂押出成形装置を休止する。
この状態で、前述の押出機1に取り付けてある金型2を取り外し、待機している交替用の金型2aを押出機1まで移動して取り付けて金型交替する。
例えば、押出機1から金型2を取り外し、第1金型支持部材22とともに一方の待機位置に移動すると共に、第2金型支持部材23を取付位置まで移動して交替用の金型2aを押出機1に取り付けて金型交替する。
【0038】
このようであるから、金型交替を短時間に行うことができる。
特に、前述のように金型交替装置20を利用すれば、その第1・第2金型支持部材22,23をガイド部21に沿って移動することで金型2、交替用の金型2aを移動でき、その金型の移動が容易であるから、金型交替をより短い時間で行うことができる。
【0039】
前述のように樹脂押出成形装置が休止しているときに、前述の押出ラインaと合致しているサイジングユニット35を押出ラインaと外れた位置まで移動すると共に、待機していた交替用のサイジングユニット36を押出ラインaと合致する位置まで移動してサイジング装置3の交替をする。
例えば、サイジング装置3のフレーム32を横方向に移動して第2の位置とすることで、押出ラインaと合致していたサイジングユニット35が押出ラインaから外れた位置となると同時に、交替用のサイジングユニット36が連動して押出ラインaと合致した位置となる。
【0040】
このようであるから、サイジング装置3の交替を短時間に行うことができる。
特に、前述のように1つのフレーム32を移動することで、サイジングユニットを交替できるようにすれば、サイジング装置3の交替をより短い時間で行うことができる。
【0041】
次に押出成形する樹脂成形品を形状によっては、押出ラインaの高さが変化することがあるので、その場合にはサイジング装置3の主フレーム31を上下に移動し、交替用のサイジングユニット36を上下に動かして、その上下方向の中心を押出ラインaの高さに合わせる。
【0042】
前述のように、樹脂押出成形装置が休止しているときに、引取機4の一対の無端状回転体41を横方向に移動し、次に押出成形する樹脂成形品に対応した支持面40aを押出ラインaと合致させる。
このように、一対の無端状回転体41を移動することで、引取機4の交替ができるから、短時間に引取機4の交替ができる。
【0043】
前述のように、金型交替、サイジング装置3の交替、引取機4の交替が終了したら、押出機1、サイジング装置3、引取機4を駆動開始して樹脂成形品を押出成形する。
【0044】
前述のように、金型交替、サイジング装置3の交替、引取機4の交替、つまり樹脂押出成形装置を、異なる形状の樹脂成形品を押出成形できるように段取り替えする時間が短いので、樹脂押出成形装置の休止時間が短く、押出成形作業効率が向上する。
【0045】
しかも、押出機1内で樹脂が劣化することがないから、押出機1内に前回の押出成形時の樹脂が充満したままの状態で、次の押出成形を開始できる。
したがって、押出機1内の樹脂を除去する面倒な作業が不要となると共に、押出機1内の樹脂を次の押出成形に利用できるから、樹脂が無駄にならない。
【符号の説明】
【0046】
1…押出機、2…金型、2a…交替用の金型、3…サイジング装置、4…引取機、5…切断機、20…金型交替装置、21…ガイド部、22…第1金型支持部材、23…第2金型支持部材、31…主フレーム、32…フレーム、33…第1ユニット取付部、34…第2ユニット取付部、35…サイジングユニット、36…交替用のサイジングユニット、37…サイジング金型、38…水槽、40…パット、40a…支持面、41…無端状回転体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機1、金型2、サイジング装置3、引取機4、切断機5を備えた樹脂押出成形装置により、前記押出機1で溶融した樹脂を金型2を通して成形し、その樹脂成形品をサイジング装置3で所定の寸法、形状にし、この後に引取機4で引き取り、切断機5で所定の長さに切断する樹脂成形品の押出成形方法であって、
前述のようにして樹脂成形品を押出成形しているときに、前記押出機1に取り付けた金型2と横方向に隣接した待機位置に交替用の金型2aを待機させると共に、前記サイジング装置3の押出ラインaと合致しているサイジングユニット35と横方向に隣接した待機位置に交替用のサイジングユニット36を待機させ、
前記樹脂押出成形装置を停止した後に、前記押出機1から金型2を取り外しすると共に、交替用の金型2aを押出機1まで移動して押出機1に取り付けて金型交替し、前記サイジングユニット35を押出ラインaから横方向に外れた位置まで移動すると共に、前記交替用のサイジングユニット36を押出ラインaと合致する位置に移動してサイジング装置3の交替をし、
前記引取機4の上下の無端状回転体41を横方向に移動してパット40の複数の支持面40aにおけるいずれか1つを押出ラインaと合致させて引取機4の交替をし、
前述の金型交替、サイジング装置3の交替、引取機4の交替が終了したら、再び樹脂押出成形装置を稼働して樹脂成形品を押出成形することを特徴とする樹脂成形品の押出成形方法。
【請求項2】
前記押出機1に取り付けた金型2を第1金型支持部材22で支持し、その第1金型支持部材22とともに待機位置まで移動すると共に、交替用の金型2aを第2金型支持部材23で支持し、この第2金型支持部材23とともに交替用の金型2aを押出機1まで移動するようにした請求項1記載の樹脂成形品の押出成形方法。
【請求項3】
前記サイジング装置3のサイジングユニット35と交替用のサイジングユニット36は連動して横方向に移動し、そのサイジングユニット35が押出ラインaから外れた位置に移動すると交替用のサイジングユニット36が押出ラインaと合致する位置に移動するようにした請求項1又は2記載の樹脂成形品の押出成形方法。
【請求項4】
前記樹脂成形品の形状によって押出ラインaの高さが変化する際は、前記サイジング装置3の交替のときに、交替用のサイジングユニット36を上下に移動して押出ラインaの高さに合わせるようにした請求項1〜3いずれか1項に記載の樹脂成形品の押出成形方法。
【請求項5】
押出機1、金型2、サイジング装置3、引取機4、切断機5を押出ラインaに沿って順次設けた樹脂押出成形装置であって、
前記金型2を支持して押出機1と対向した取付位置と一方の待機位置とに亘って移動する第1金型支持部材22と、前記取付位置と他方の待機位置とに亘って移動し、かつ交替用の金型2aを支持する第2金型支持部材23を備えた金型交替装置20を設け、
前記サイジング装置3は、押出ラインaと直交した横方向に隣接した第1ユニット取付部33と第2ユニット取付部34を有し、その第1ユニット取付部33が押出ラインaと合致した第1の位置と第2ユニット取付部34が押出ラインaと合致した第2の位置とに亘って横方向に移動するフレーム32を備え、
前記第1ユニット取付部33と第2ユニット取付部34の一方にサイジングユニット35を着脱自在に取り付け、他方に交替用のサイジングユニット36を着脱自在に取り付けできるようにし、
前記引取機4は、周面にパット40を有した無端状回転体41を上下に対向して備え、このパット40は、異なる形状の樹脂成形品の上面、下面を支持する支持面40aを横幅方向に複数有し、
前記上下の無端状回転体41は、いずれか1つの支持面40aが押出ラインaと合致するように横方向に移動可能としたことを特徴とする樹脂押出成形装置。
【請求項6】
前記サイジング装置3のフレーム32を、上下に移動自在とした請求項5記載の樹脂押出成形装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−201233(P2011−201233A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72492(P2010−72492)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】