説明

橋梁の管理システム

【課題】 簡単に、かつ一貫した判断基準で、橋梁の補修等を行う優先順位を決定することのできる橋梁の管理システムを提供する。
【解決手段】 個々の橋梁を特定するための特定情報を入力および記憶可能な特定情報登録手段19,22と、橋梁の重要度を表す重要度情報を入力および記憶可能な重要度登録手段19,30と、橋梁の損傷度を表す損傷度情報を入力および記憶可能な損傷度登録手段19,32と、前記重要度情報および前記損傷度情報に基づいて、橋梁の補修を実行する優先度を表す補修優先度情報を算出する補修優先度算出手段12と、補修優先度算出手段12により算出された前記補修優先度情報に基づく情報を、対応する前記特定情報と共に出力する補修優先度出力手段36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁を管理するための橋梁の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁の多くは、都道府県や市町村等の自治体によって管理されている。自治体においては、各橋梁毎に台帳を用意するなどして、橋梁を管理している。台帳には、橋梁名、橋梁が属する路線名、および竣工年等の情報が記載される。台帳は、ファイリングされて保管され、必要に応じて、自治体の職員によって参照される。
【0003】
また、各橋梁は、自治体の職員や土木の専門家等によって定期的または不定期的に点検されて、損傷状況(ひび割れや剥離や剥落や断面欠損等の損傷の種類、および、損傷度)等が観測され、その結果は前記台帳に記録される。
そして、台帳の記録等から、橋梁の損傷が進んで危険な状態であると判断された場合等には、橋梁の補修や補強や再建設等の処置が行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、日本においては、1950年代から本格的な道路整備が始まり、1950年代から1960年代にかけて、非常に多くの橋梁が建設された。そして、近年、それらの橋梁の損傷が進み、このまま放置すれば今後10年程度で寿命を迎えると考えられるものが急激に増えている。このことから、専門家からは、例えば地震時における橋梁の落橋等、橋梁の損壊の可能性が高まり、道路交通や市民生活等に危険や不便を及ぼす可能性が高くなっているものと指摘されている。
【0005】
一方で、自治体では一般に非常に多くの橋梁を管理しているが、近年、全国的に、自治体における橋梁の保全・補修費や建設費の予算は削減される傾向であり、全ての橋梁に必要な補修や再建設等を行うことがままならない状況となっている。
【0006】
このような状況の下では、限られた予算の中で、自治体等で管理する橋梁のうちのどれについて優先的に補修や再建設等を行うかを決定する必要が生じる。このためには、非常に多数の橋梁に対応する台帳を、一つ一つ突き合わせて補修等の優先順を決める必要があり、作業負担が非常に大きくなってしまうという課題がある。
【0007】
本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、簡単に、かつ一貫した判断基準で、橋梁の補修等を行う優先順位を決定することのできる橋梁の管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る橋梁の管理システムは、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、橋梁を管理するための橋梁の管理システムであって、個々の橋梁を特定するための各橋梁に対応する特定情報を、入力および記憶可能な特定情報登録手段と、該特定情報登録手段に記憶される各前記特定情報毎に、対応する橋梁の重要度を表す重要度情報を入力および記憶可能な重要度登録手段と、各前記特定情報毎に、対応する橋梁の損傷度を表す損傷度情報を入力および記憶可能な損傷度登録手段と、各前記特定情報毎に、対応する前記重要度情報および前記損傷度情報に基づいて、対応する橋梁の補修を実行する優先度を表す補修優先度情報を算出する補修優先度算出手段と、該補修優先度算出手段により算出された前記補修優先度情報に基づく情報を、対応する前記特定情報と共に出力する補修優先度出力手段と、前記特定情報登録手段に記憶される各前記特定情報毎に、対応する橋梁の位置を表す構造物位置情報を入力および記憶可能な構造物位置登録手段と、前記構造物位置登録手段に記憶された前記構造物位置情報に基づいて、橋梁の位置を地図上に表示させて出力する地図出力手段とを備えることを特徴とする。
これによれば、簡単に、かつ一貫した判断基準で、橋梁の補修等を行う優先順位を決定することができる。また、ユーザーは、橋梁の位置を、表示された地図上で認識することができ、分かりやすい。
【0009】
さらに、前記補修優先度出力手段は、前記地図出力手段による前記地図上の橋梁の位置を表す表示を、各橋梁の前記特定情報に対応する前記補修優先度情報の内容に応じて、色や字体等の表示方法を異ならせて出力可能であることを特徴とする。
これによれば、ユーザーは、橋梁の補修の優先順位を、表示された地図上で認識することができ、分かりやすい。
【0010】
また、前記地図出力手段は、前記地図を表示可能な表示装置を有し、ユーザーに、前記表示装置に表示された前記地図上の橋梁の位置を指定可能に設けられると共に、該指定された橋梁に対応する、前記重要度情報、前記損傷度情報、および前記損傷種類情報のうちの少なくとも一つを、入力可能とする入力手段を備えることを特徴とする。
これによれば、ユーザーが入力装置により、表示装置に表示された地図上で橋梁の位置を指定して、指定した橋梁に対応する情報を入力できる。
【0011】
また、橋梁の位置へ運搬可能に設けられ、橋梁を点検して観測された前記損傷度情報を入力可能な損傷度入力手段を有する端末機器と、該端末機器の位置を表す端末位置情報を認識する位置認識手段と、該位置認識手段により認識された前記端末位置情報を各前記構造物位置情報と照合することで、前記端末機器が位置する橋梁の前記特定情報を認識する構造物認識手段とを備え、前記損傷度登録手段は、前記損傷度入力手段により前記端末機器に入力された前記損傷度情報を、前記構造物認識手段により認識した前記特定情報に対応させて記憶して登録することを特徴とする。
これによれば、ユーザーが、橋梁の点検の際、端末機器を橋梁の所へ持参(運搬)して、その橋梁の損傷度情報を端末機器に入力することで、位置認識手段と構造物認識手段とによって橋梁を特定すると共に、入力された損傷度情報をその橋梁の特定情報に対応させて登録することができる。
【0012】
さらに、橋梁の損傷の種類および損傷度に応じた補修工法を表す補修工法情報を記憶する補修工法記憶手段と、前記特定情報登録手段に記憶される各前記特定情報毎に、対応する橋梁を点検して観測された、該橋梁のひび割れや剥離や剥落や断面欠損等の損傷の種類を表す損傷種類情報を、入力および記憶可能な損傷種類登録手段と、各前記特定情報毎に、対応する前記損傷種類情報および前記損傷度情報に基づいて、対応する橋梁に対して行うべき補修の補修工法を、前記補修工法記憶手段に記憶された補修工法情報の中から選択する補修工法選択手段と、該補修工法選択手段により選択された補修工法情報を、対応する前記特定情報と共に出力する補修工法出力手段とを備え、前記端末機器は、橋梁を点検して観測された前記損傷種類情報を入力可能な損傷種類入力手段を有し、前記損傷種類登録手段は、前記端末機器に入力された前記損傷種類情報を、前記構造物認識手段により認識した前記特定情報に対応させて記憶して登録することを特徴とする。
これによれば、ユーザーが、橋梁の点検の際、端末機器を橋梁の所へ持参(運搬)して、その橋梁の損傷種類情報を端末機器に入力することで、位置認識手段と構造物認識手段とによって橋梁を特定すると共に、入力された損傷種類情報をその橋梁の特定情報に対応させて登録することができる。さらに、入力された損傷度情報および損傷種類情報に基づいて、橋梁の補修費用を算出することができる。
【0013】
また、橋梁の位置に運搬されている前記端末機器と通信して、端末機器に入力された前記損傷度情報および/または前記損傷種類情報を受信する通信手段を備えることを特徴とする。
これによれば、ユーザーが橋梁の位置で端末機器に損傷度情報および/または損傷種類情報を入力することで、通信手段を介して、その橋梁の損傷度情報および/または損傷種類情報を登録することができる。
【0014】
さらに、前記位置認識手段は、前記端末機器に設けられ、前記通信手段は、前記端末機器から、前記損傷度情報および/または前記損傷種類情報とともに前記端末位置情報を受信可能であることを特徴とする。
これによれば、端末機器が位置認識手段によって当該端末機器の端末位置情報を認識して、端末機器が位置している橋梁を特定するためのその端末位置情報と、その橋梁の損傷度情報および/または損傷種類情報とを、通信手段で送信して登録させることができる。
【0015】
また、前記重要度情報は、前記重要度を数値または所定の複数段階で表現したものであり、前記損傷度情報は、前記損傷度を数値または所定の複数段階で表現したものであり、前記補修優先度算出手段は、前記重要度情報と前記損傷度情報とを所定の割合で勘案して、前記補修優先度情報を算出することを特徴とする。
これによれば、橋梁の重要度と損傷度とを、分かりやすくかつ一貫した表現で表すことができ、また、補修優先度情報の算出を、容易にかつ一貫した基準で行うことができる。
【0016】
また、前記補修優先度情報は、前記優先度を数値または所定の複数段階で表現したものであることを特徴とする。
これによれば、補修優先度情報を、分かりやすくかつ一貫した表現で表すことができる。
【0017】
さらに、前記補修優先度出力手段は、前記補修優先度情報を、該補修優先度情報が表す前記優先度が高い順に並べて出力可能であることを特徴とする。
これによれば、各橋梁の、補修を行うべき優先順位を一目で確認できるようにすることができる。なお、本願の特許請求の範囲および明細書でいうところの「補修」とは、修理、修復、補強および再建設等の概念を含む。
【0018】
また、前記重要度情報は、対応する前記特定情報で特定される橋梁が属する路線の、種類または交通量に基づく路線重要度と、対応する前記特定情報で特定される橋梁の、構造または架設状況に基づく構造物重要度と、対応する前記特定情報で特定される橋梁が置かれた自然状況に基づく自然条件重要度とのうちの少なくとも一つに依存して定められることを特徴とする。
これによれば、橋梁の重要度を的確に定義できるため、補修優先度算出手段により補修の優先度を的確に求めることができる。
【0019】
また、前記損傷度情報は、対応する前記特定情報で特定される橋梁を点検して定められたものであることを特徴とする。
これによれば、橋梁の点検により観測された橋梁の損傷の度合いを的確に反映させて、補修優先度算出手段により補修の優先度を的確に求めることができる。
【0020】
また、橋梁の損傷の種類および損傷度に応じた補修工法を表す補修工法情報を記憶する補修工法記憶手段と、前記特定情報登録手段に記憶される各前記特定情報毎に、対応する橋梁を点検して観測された、該橋梁のひび割れや剥離や剥落や断面欠損等の損傷の種類を表す損傷種類情報を、入力および記憶可能な損傷種類登録手段と、各前記特定情報毎に、対応する前記損傷種類情報および前記損傷度情報に基づいて、対応する橋梁に対して行うべき補修の補修工法を、前記補修工法記憶手段に記憶された補修工法情報の中から選択する補修工法選択手段と、該補修工法選択手段により選択された補修工法情報を、対応する前記特定情報と共に出力する補修工法出力手段とを備えることを特徴とする。
これによれば、橋梁の点検により観測された橋梁の損傷の種類や度合い(損傷度)が入力されることで、対応する橋梁に対して行うべき補修の工法を出力することができる。
【0021】
さらに、前記補修工法記憶手段に記憶された各前記補修工法情報が表す補修工法を実施するのに必要な補修費用を表す補修費用情報を、各補修工法情報に関連付けて記憶する補修費用記憶手段と、前記補修工法選択手段により選択された前記補修工法情報に対応する前記補修費用情報を、前記補修費用記憶手段から読み出す補修費用選択手段と、前記特定情報登録手段に記憶される各前記特定情報毎に、対応する橋梁の属する路線を表す路線情報を入力および記憶可能な路線登録手段と、同一の前記路線情報に対応する全ての前記特定情報が表す各橋梁に対して行うべき補修の補修費用を、前記補修費用選択手段によってそれぞれ求め、求められた該各橋梁の補修費用を合計することで、特定の路線に属する、前記特定情報に対応付けられた全ての橋梁の補修費用を算出する路線補修費用算出手段とを備えることを特徴とする。
これによれば、路線毎の、橋梁の補修費用を算出することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る橋梁の管理システムによれば、簡単に、かつ一貫した判断基準で、橋梁の補修等を行う優先順位を決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る橋梁の管理システムを実施するための最良の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の橋梁管理システムの実施の形態に係る道路構造物の管理システムAの構成を示す説明図である。
道路構造物の管理システムAが管理する道路構造物としては、例えば道路の路面や道路沿いの法面や橋梁やトンネル等が挙げられる。
道路構造物の管理システムAは、当該システム全体を統括する処理を行うサーバコンピュータ2と、ネットワーク4を介してサーバコンピュータ2と互いに通信可能に接続された複数のクライアントコンピュータ6と、サーバコンピュータ2に設けられた無線通信装置8を介してサーバコンピュータ2と無線通信可能に設けられた、持ち運び可能な端末機器10とから成る。
【0025】
ネットワーク4は、インターネット等のWANや専用回線やLAN等、任意のものを採用することができる。
例えば、クライアントコンピュータ6を、市役所等の自治体組織の建物の、道路構造物を管理する部署内に設置し、サーバコンピュータ2をコンピュータシステム会社内に設置する。そして、自治体組織の建物とコンピュータシステム会社との間で、ネットワーク4としてのインターネットや専用回線等によって、情報を通信可能に設ければよい。
【0026】
サーバコンピュータ2およびクライアントコンピュータ6のより具体的な構成を、図2のブロック図に示す。
【0027】
(サーバコンピュータ2)
サーバコンピュータ2は、CPUやメモリやハードディスク等から成りソフトウェアプログラムを実行して様々な機能(手段)を実現可能な制御部2aと、ネットワーク4を介して他のコンピュータ等と通信するためのネットワークカード等の第一通信部2bと、無線通信装置8を接続可能な、USBやRS−232Cやパラレルポート等の第二通信部2cとを備える。
【0028】
サーバコンピュータ2のハードディスク等の記憶手段には、道路構造物の管理用の所定のサーバアプリケーションプログラム(以下、サーバアプリケーションと呼ぶ)と、道路構造物に関する様々な情報を登録可能な構造物データベース19と、道路構造物の損傷の種類および損傷度に応じた補修工法および補修費用を表す補修工法/費用情報が登録された、補修工法/費用記憶手段としての補修工法/費用データベース20とがインストールされている。
【0029】
制御部2aは、インストールされた前記サーバアプリケーションを実行することで、個々の道路構造物を特定するための各道路構造物に対応する特定情報、および、各特定情報に対応付け(関連付け)られる様々な付帯情報を、クライアントコンピュータ6からネットワーク4および第一通信部2bを介して受信して、構造物データベース19に記憶(登録)することができる。
各特定情報に対応付け(関連付け)られて構造物データベース19に記憶される付帯情報としては、道路構造物の種類を表す構造物種類情報と、道路構造物の属する路線を表す路線情報と、道路構造物の位置を表す構造物位置情報と、道路構造物の重要度を表す重要度情報と、道路構造物の損傷度を表す損傷度情報と、道路構造物の損傷の種類を表す損傷種類情報とがある。
ただし付帯情報はこれらのみに限定されるものではない。例えば、道路構造物の竣工年や幅員等も記憶(登録)可能に設けてももちろん良い。
なお、図2においては、特定情報とその付帯情報は、構造物データベース19内に一組のみ図示されているが、特定情報と付帯情報は、管理する各道路構造物に一つずつ、即ち管理する道路構造物の数分だけ記憶(登録)することができる。
【0030】
また、補修工法/費用データベース20には、道路構造物の損傷の種類および損傷度に応じた補修工法および補修費用を表す補修工法/費用情報が、前記アプリケーションプラグラムと共にインストールされて予め登録されている。
損傷の種類としては、例えば道路構造物の一種類である橋梁に対しては、舗装、伸縮装置、床板、桁および支承等のそれぞれの、ひび割れ、剥離、剥落、断面欠損等が挙げられる。補修工法/費用データベース20は、これらのそれぞれの部位のそれぞれの損傷の種類、およびその損傷の度合いに対応した補修工法および補修費用を表す、補修工法/費用情報が記憶されている。
【0031】
また、制御部2aは、前記サーバアプリケーションを実行することで、後述する、補修優先度算出手段12、補修工法/費用選択手段14、路線補修費用算出手段16、および構造物認識手段18とを実現することができる。
【0032】
(クライアントコンピュータ6)
クライアントコンピュータ6は、CPUやメモリやハードディスク等から成りソフトウェアプログラムを実行して様々な機能(手段)を実現可能な制御部6aと、ネットワーク4を介して他のコンピュータ等と通信するためのネットワークカード等の通信部6bと、キーボード6cやマウス6d等の、ユーザーが情報を入力可能な入力手段と、ディスプレイ6eやプリンタ6f等の、ユーザーに対して情報を出力可能な出力手段とを備える。
クライアントコンピュータ6のハードディスク等の記憶手段には、道路構造物の管理用の所定のクライアントアプリケーションプログラム(以下、クライアントアプリケーションと呼ぶ)がインストールされている。
【0033】
制御部6aは、インストールされた前記クライアントアプリケーションを実行することで、後述する、特定情報入出力手段22、構造物種類入出力手段24、路線入出力手段26、構造物位置入出力手段28、重要度入出力手段30、損傷度入出力手段32、損傷種類入出力手段34、補修優先度出力手段36、補修工法/費用出力手段38、および地図出力手段40を実現することができる。
【0034】
(特定情報登録手段、構造物種類登録手段、路線登録手段、構造物位置登録手段、重要度登録手段、損傷度登録手段、損傷種類登録手段)
道路構造物の管理システムAは、個々の道路構造物を特定するための各道路構造物に対応する特定情報、および、各特定情報に対応付け(関連付け)られる様々な付帯情報を、ユーザーが入力して登録することができるよう設けられる。また、登録された特定情報および付帯情報は、ユーザーによって参照可能に設けられる。
【0035】
特定情報および各付帯情報の、ユーザーによる入力、およびユーザーに対する出力は、クライアントコンピュータ6の制御部6aによって実現される特定情報入出力手段22、構造物種類入出力手段24、路線入出力手段26、構造物位置入出力手段28、重要度入出力手段30、損傷度入出力手段32、および損傷種類入出力手段34、ならびに、キーボード6c、マウス6d、ディスプレイ6eおよびプリンタ6fを介して行われる。
ユーザーによりクライアントコンピュータ6に入力された特定情報および各付帯情報は、通信部6bおよびネットワーク4を介してサーバコンピュータ2に送信され、サーバコンピュータ2の前記サーバアプリケーションにより、構造物データベース19に登録される。
また、ユーザーによりクライアントコンピュータ6に対して特定情報および付帯情報を出力するよう操作が行われた際には、前記各入出力手段22,24,26,28,30,32,34によりサーバコンピュータ2に対して特定情報および付帯情報の読み出し要求が送信される。サーバコンピュータ2の前記サーバアプリケーションは、その要求に対して、構造物データベース19から対応する特定情報および付帯情報を読み出してクライアントコンピュータ6に送信する。クライアントコンピュータ6の前記各入出力手段22,24,26,28,30,32,34は、その情報をディスプレイ6eまたはプリンタ6fに出力する。
【0036】
特定情報入出力手段22、構造物種類入出力手段24、路線入出力手段26、および重要度入出力手段30を構成し、道路構造物毎の特定情報および付帯情報を入力するための、クライアントコンピュータ6のディスプレイ6eに表示される情報入出力画面D1を、図4に示す。
ユーザーがクライアントコンピュータ6のキーボード6cまたはマウス6dを操作して、前記クライアントアプリケーションに対して所定の入力操作を行うと、情報入出力画面D1が表示される。この操作おいて、ユーザーは道路構造物の種類を入力するようになっている(構造物種類入出力手段24)。図4の情報入出力画面D1は、一例として、ユーザーが道路構造物として橋梁を選択した場合に表示される、橋梁の情報の入力画面を示している。
【0037】
情報入出力画面D1には、道路構造物(橋梁)を特定するための道路構造物の特定情報としての橋梁名を入出力する特定情報入出力手段22を構成する橋梁名(道路構造物名)テキストボックス22aと、道路構造物(橋梁)の属する路線を表す路線情報としての路線名を入出力する路線入出力手段26を構成する路線名テキストボックス26aと、道路構造物(橋梁)の重要度を表す重要度情報を入出力する重要度入出力手段30を構成する重要度情報テキストボックス30a,30b,30c,30dとが表示される。
【0038】
ユーザーが、各テキストボックス22a,26a,30a,30b,30c,30dに情報を書き込むと、前記クライアントアプリケーションは、各情報を、特定情報としての、入力された橋梁名または各橋梁名に割り振ったIDナンバーと関連付けて、サーバコンピュータ2に送信する。サーバコンピュータ2は、受信した特定情報と、路線情報や重要度情報等の付帯情報とを、構造物データベース19に記憶して登録する。
【0039】
このように、特定情報入出力手段22、構造物種類入出力手段24、路線入出力手段26、および重要度入出力手段30と、サーバコンピュータ2のサーバアプリケーションと、構造物データベース19とにより、特定情報登録手段、構造物種類登録手段、路線登録手段、および重要度登録手段が構成される。
【0040】
また、情報入出力画面D1には、路線名や橋梁名を入力可能なテキストボックス26b,22bが設けられ、ユーザーがこれらに路線名や橋梁名を入力すると、その路線名や橋梁名はサーバコンピュータ2に送信されて、サーバコンピュータ2の構造物データベース19からその路線名や橋梁名に対応する道路構造物に対応する特定情報や付帯情報が読み出されて、その特定情報や付帯情報が情報入出力画面D1の各テキストボックス22a,26a,30a,30b,30c,30dに表示(出力)される。このようにして、ユーザーは構造物データベース19に登録された情報を参照することができる。
【0041】
また、クライアントアプリケーションは、図示しないが、道路構造物の位置を表す構造物位置情報としての緯度/経度を入出力する構造物位置入出力手段28を構成する位置情報テキストボックスや、道路構造物の損傷度を表す損傷度情報を入出力する損傷度入出力手段32を構成する損傷度情報テキストボックスや、道路構造物の損傷の種類を表す損傷度情報を入出力する損傷種類入出力手段34を構成する損傷種類情報テキストボックスを含むもう一つの情報入出力画面も表示可能に設けられる。これらのテキストボックスも、図4の情報入出力画面D1の各テキストボックスと同様に、入力された情報をサーバコンピュータ2に送ったり、サーバコンピュータ2から受信した情報を表示させたりして、構造物データベース19に情報(構造物位置情報、損傷度情報、および損傷種類情報)を入出力できるよう設けられる。
【0042】
このように、構造物位置入出力手段28、損傷度入出力手段32、および損傷種類入出力手段34と、サーバコンピュータ2のサーバアプリケーションと、構造物データベース19とにより、構造物位置登録手段、損傷度登録手段、および損傷種類登録手段が構成される。
【0043】
(重要度登録手段)
次に、重要度情報を入力および記憶可能な重要度登録手段について説明する。
重要度情報は、より詳しくは、路線重要度情報と、構造物重要度情報と、自然条件重要度情報とに基づいて(依存して)算出される。
【0044】
路線重要度情報は、対応する道路構造物が属する路線の、種類や交通量等に基づいて定められる。路線重要度情報は、より具体的には、対応する道路構造物が属する路線が、緊急輸送路であるか否か、その種類が国道、都道府県道、市町村道のいずれであるか、交通量はどれくらいか、通行できなくなった際に交通機能の麻痺が発生するか否か等といった、路線の重要性を決定する各要素に基づいて定められる。路線重要度情報は、それら各要素を点数化し、それぞれを合計することによって、数値、または、Aランク〜Cランク等といった所定の複数段階で表現される。
路線重要度情報の算出は、ユーザーが行っても良いが、より好ましくは、重要度入出力手段30によって前記各要素の情報を入力可能に設け、例えばサーバコンピュータ2の前記サーバアプリケーションによって点数化して算出するよう設けるとよい。
【0045】
構造物重要度情報は、対応する道路構造物の、構造や架設状況等に基づいて定められる。構造物重要度情報は、より具体的には、対応する道路構造物の構造や強度、道路や鉄道や河川等との交差の有無(橋梁の場合)、除雪の有無、融雪剤使用の有無、混雑度、景観の優劣、自然公園または環境保全区域内か否か、季節による工事規制の有無、祭りによる使用の有無等といった、道路構造物の重要性を決定する各要素に基づいて定められる。構造物重要度情報は、それら各要素を点数化し、それぞれを合計することによって、数値、または、Aランク〜Cランク等といった所定の複数段階で表現される。
なお、道路構造物はその竣工年における設計基準に基づいて建設されているため、道路構造物の前記構造や強度は、竣工年から推定するようにしても良い。
【0046】
自然条件重要度情報は、対応する道路構造物が置かれた自然状況等に基づいて定められる。自然条件重要度情報は、より具体的には、道路構造物が置かれた位置での雨量、凍結の有無、地滑り指定地域か否か、砂防指定地域か否か、活断層の有無、温泉や鉄分等による化学作用の有無、地盤が軟弱か否か等といった、道路構造物が置かれた自然条件の各要素に基づいて定められる。自然条件重要度情報は、それら各要素を点数化し、それぞれを合計することによって、数値、または、Aランク〜Cランク等といった所定の複数段階で表現される。
【0047】
構造物重要度情報および自然条件重要度情報の算出は、ユーザーが行っても良いが、路線重要度情報の算出と同様、より好ましくは、重要度入出力手段30によって前記各要素の情報を入力可能に設け、例えばサーバコンピュータ2の前記サーバアプリケーションによって点数化して算出するよう設けるとよい。
【0048】
路線重要度情報、構造物重要度情報および自然条件重要度情報は、情報入出力画面D1の重要度情報テキストボックス30b,30c,30dにそれぞれ入力および出力可能となっている。
なお、路線重要度情報、構造物重要度情報および自然条件重要度情報の算出を、サーバコンピュータ2等、道路構造物の管理システムAの処理で算出するよう設けた場合には、別途、各重要度の基となる前記各要素を入力する入力画面(図示せず)を表示可能に設ける。
【0049】
クライアントコンピュータ6の重要度入出力手段30とサーバコンピュータ2のサーバアプリケーションと構造物データベース19とから成る重要度登録手段は、所定の数値または所定の複数段階で表現された前記路線重要度情報、前記構造物重要度情報および前記自然条件重要度情報を、所定の割合で勘案して、道路構造物全体の総合的な重要度を表す総合重要度情報を算出する。総合重要度情報の算出方法は、道路構造物の性質に合うように任意に定めてよい。例えば、総合重要度情報は、路線重要度情報、構造物重要度情報および自然条件重要度情報に所定の係数を掛けて合算したり、単純に合計したりして求めることができる。
この総合重要度情報は、図4の情報入出力画面D1の総合重要度(全体評価)テキストボックス30aに表示されて出力される。
【0050】
(損傷度登録手段、損傷種類登録手段)
次に、損傷度情報を入力および記憶可能な損傷度登録手段と、損傷種類情報を入力および記憶可能な損傷種類登録手段について説明する。
【0051】
損傷種類情報は、道路構造物を構成する各要素について、道路構造物の管理者等が道路構造物の損傷を点検することで観測されて定められる。例えば道路構造物の一種類である橋梁に対しては、舗装、伸縮装置、床板、桁および支承等のそれぞれにつき、損傷の有無と損傷の種類とが調べられて、損傷種類情報が定められる。損傷の種類の具体例としては、ひび割れ、剥離、剥落、断面欠損等が挙げられる。
【0052】
損傷度情報は、前記ひび割れ、剥離、剥落、断面欠損等の各種類の損傷が、どの程度のものであるか(損傷度)を示す情報である。損傷度情報は、数値、または、Aランク〜Cランク等といった所定の複数段階で表現される。損傷度情報は、道路構造物の管理者等が道路構造物の損傷を点検することで観測されて定められる。
例えば、損傷度情報は、橋梁の床板のひび割れであれば、ひび割れが一方向に少し入っている場合には「10」、ひび割れが二方向に入り始めている場合には「15」、全面に入り始めている場合には「20」等といったように定めることができる。
なお、損傷度情報の算出は、ユーザーが行っても良いが、より好ましくは、損傷種類入出力手段34および損傷度入出力手段32によって、道路構造物を構成する前記各要素の損傷種類と損傷状況(例えばひびの方向や数等)を入力可能に設け、例えばサーバコンピュータ2の前記サーバアプリケーションによって点数化して算出するよう設けるとよい。
【0053】
損傷種類情報および損傷度情報は、前記もう一つの情報入出力画面の損傷種類情報テキストボックスや損傷度情報テキストボックスにそれぞれ入力および出力可能となっている。
なお、損傷度情報の算出を、サーバコンピュータ2等、道路構造物の管理システムAの処理で算出するよう設けた場合には、別途、各損傷度の基となる損傷状況(ひびの方向や数等)を入力する入力画面(図示せず)を表示可能に設ける。
【0054】
クライアントコンピュータ6の損傷度入出力手段32と、サーバコンピュータ2のサーバアプリケーションと、構造物データベース19とから成る損傷度登録手段は、所定の数値または所定の複数段階で表現された、道路構造物の舗装、伸縮装置、床板(橋梁の場合)等の各要素毎の損傷度情報を、所定の割合で勘案して、道路構造物全体の総合的な損傷度を表す総合損傷度情報を算出する。総合損傷度情報の算出方法は、道路構造物の性質に合うように任意に定めてよい。例えば、総合損傷度情報は、道路構造物の舗装、伸縮装置、床板等の各要素のそれぞれの損傷度情報に所定の係数を掛けて合算したり、単純に合計したりして求めることができる。
この総合損傷度情報は、図示しない前記もう一つの情報入出力画面所定の総合損傷度テキストボックス等に表示されて出力される。
【0055】
(補修優先度算出手段12、補修優先度出力手段36)
次に、構造物データベース19に登録された各前記特定情報毎に、対応する前記重要度情報および前記損傷度情報(総合重要度情報および総合損傷度情報)に基づいて、対応する道路構造物の損傷の補修を実行する優先度を表す補修優先度情報を算出する補修優先度算出手段12と、補修優先度算出手段12により算出された補修優先度情報に基づく情報を出力する補修優先度出力手段36とについて、図2を用いて説明する。
【0056】
ユーザーがクライアントコンピュータ6のキーボード6cまたはマウス6dを操作して、前記クライアントアプリケーションに対して所定の入力操作を行うと、クライアントコンピュータ6の制御部6aは補修優先度出力手段36を起動して実行する。補修優先度出力手段36は、サーバコンピュータ2に対して補修優先度情報の送信要求を送信する。
【0057】
サーバコンピュータ2が前記補修優先度情報の送信要求を受信すると、サーバコンピュータ2の制御部2aは補修優先度算出手段12を起動して実行する。
補修優先度算出手段12は、構造物データベース19に登録された各前記特定情報毎に、対応する前記重要度情報および前記損傷度情報(総合重要度情報および総合損傷度情報)を参照し、それに基づいて、対応する道路構造物の損傷の補修を実行する優先度を表す補修優先度情報を算出する。
【0058】
この際、補修優先度算出手段12は、重要度が高く、なおかつ損傷度が高い道路構造物ほど、補修を実行する補修優先度が高くなるよう、補修優先度情報を算出する。補修優先度情報の具体的な算出方法は、道路構造物の性質に合うように任意に定めてよい。例えば、補修優先度情報は、総合重要度情報と総合損傷度情報とのそれぞれに所定の係数を掛けて合算したり、単純に合計したりして求めることができる。また、総合重要度や総合損傷度だけでなく、路線重要度情報、構造物重要度情報、自然条件重要度情報、損傷種類情報、損傷度情報のそれぞれを勘案して求めるよう構成してもよい。
【0059】
続いて、補修優先度算出手段12は、算出した補修優先度情報をクライアントコンピュータ6に送信する。
【0060】
クライアントコンピュータ6の補修優先度出力手段36は、サーバコンピュータ2から受信した補修優先度情報を、情報入出力画面D1(図4)の補修優先度テキストボックス12a,12bにその情報を出力する。
【0061】
また、補修優先度出力手段36は、補修優先度情報を情報入出力画面D1に出力するのみならず、補修優先度情報に基づく所定の出力画面を作成して、ディスプレイ6eやプリンタ6fに出力可能に構成してもよい。この出力画面は、様々な形態に構成することが可能であるが、例えば、各道路構造物の名称を、対応する補修優先度情報が表す補修の優先度が高い順に並べて出力するとよい。また、特に補修優先度が高い道路構造物に関する表示は、色を変えたり、点滅させて表示させる等、表示方法を異ならせて出力すると、ユーザーが補修優先度の高い道路構造物を認識し易いため好適である。また、補修優先度情報に基づくこの表示は、道路の路面や道路沿いの法面や橋梁やトンネル等、道路構造物の種類毎に分けて出力可能に構成するとなお良い。
【0062】
(補修工法/費用データベース20、補修工法/費用選択手段14、路線補修費用算出手段16、補修工法/費用出力手段38)
補修工法/費用データベース20には、道路構造物の損傷の種類および損傷度に応じた補修工法および補修費用を表す補修工法/費用情報が、予め登録されている。
例えば、橋梁の鉄筋コンクリート構造部のひび割れに対しては、注入工法や充填工法を用いた補修が行われる。補修工法/費用データベース20には、損傷の種類としてのひび割れを表す情報と関連付けられて、補修工法を表す注入工法や充填工法といった名称を表す情報や、それら工法の具体的な内容を説明する情報や、その工法を実施するのに必要な費用の情報等が関連付けられて記憶されている。その他に例を挙げれば、コンクリート構造物の表面劣化に対しては、コンクリートの表面を樹脂系やポリマーセメント系の材料で被覆する表面被覆工法の名称、説明、費用等の情報が関連付けられて記憶される。また、コンクリートの剥落に対しては、剥離したコンクリート断面を元の形状に修復し、かぶりなどを確保することにより劣化進行を抑制し、構造物の耐久性を向上させる断面修復工法の名称、説明、費用等の情報が関連付けられて記憶される。
【0063】
ユーザーがクライアントコンピュータ6のキーボード6cまたはマウス6dを操作して、前記クライアントアプリケーションに対して所定の入力操作を行うと、クライアントコンピュータ6の制御部6aは補修工法/費用出力手段38を起動して実行する。補修工法/費用出力手段38は、クライアントコンピュータ6のディスプレイ6eに所定の入力が面(図示せず)を表示させ、ユーザーに、補修工法/費用情報を表示させる対象となる道路構造物の名称等の特定情報を入力させる。補修工法/費用出力手段38は、サーバコンピュータ2に対して、補修工法/費用情報の送信要求と共に、入力された道路構造物を特定する情報を、サーバコンピュータ2に送信する。
【0064】
サーバコンピュータ2が前記補修工法/費用情報の送信要求を受信すると、サーバコンピュータ2の制御部2aは、補修工法/費用選択手段14を起動して実行する。
補修工法/費用選択手段14は、送信要求と共に送られてきた特定情報に対応する道路構造物の情報を構造物データベース19から検索して抽出し、その道路構造物の損傷種類情報や損傷度情報を参照して、それに応じた補修工法および補修費用を、補修工法/費用データベース20から読み出す。例えば、損傷の種類が鉄筋コンクリート構造物のひび割れであった場合には、補修工法/費用選択手段14は、その情報に関連付けられて記憶された注入工法や充填工法といった名称情報や、その工法の具体的な方法を示す説明情報や、その工法を実施するのにかかる費用情報等を、補修工法/費用データベース20から読み出す。
続いて、補修工法/費用選択手段14は、読み出した補修工法/費用情報をクライアントコンピュータ6に送信する。
【0065】
クライアントコンピュータ6の補修工法/費用出力手段38は、サーバコンピュータ2から受信した補修工法/費用情報を、ディスプレイ6eやプリンタ6fに出力する。
本実施の形態においては、補修工法/費用出力手段38は、図4の情報入出力画面D1の補修工法テキストボックス38aに補修工法の名称を、補修費用テキストボックス38bに補修費用を、それぞれ表示する。
【0066】
なお、補修工法/費用データベース20は、実際に補修工事等を行った際に、実際に掛かった工事費用等を登録(記憶)可能に構成し、補修工法/費用選択手段14はその情報も勘案して、補修工法/費用を選択するよう構成すれば、更に好適である。
例えば、実際に道路構造物の補修工事を行って、その補修工事に掛かった費用が確定した際に、その工事で補修された道路構造物の損傷種類・損傷度や、補修の工法や、単位面積当たりの補修費用等(これらを、以下、補修履歴情報と呼ぶ)を、クライアントコンピュータ6から補修工法/費用データベース20に登録可能に構成する。そして、後に、補修工法/費用選択手段14が、他の道路構造物に関する補修工法/費用を選択する際には、前記補修履歴情報を参照して、過去に行われた同様の損傷種類・損傷度に対する補修工事の補修履歴情報が有る場合には、その補修履歴情報に基づいて、補修の工法/費用を選択するよう構成すればよい。
これによれば、過去に実際に行われた補修工法や掛かった補修費用に基づいて、補修の工法や費用が選択されるため、より精度高く、補修費用の予想および見積もりを行うことが可能となる。
【0067】
また、路線補修費用算出手段16により、構造物データベース19内の、同一の路線情報に対応する全ての特定情報が表す各道路構造物に対して行うべき補修の補修費用を、補修工法/費用選択手段14によってそれぞれ求め、求められた各道路構造物の補修費用を合計することで、特定の路線に属する全ての道路構造物の補修費用を算出することもできる。
【0068】
ユーザーが、補修工法/費用出力手段38に対する操作において、特定の路線(路線情報)を指定する操作を行うと、補修工法/費用出力手段38は、サーバコンピュータ2に対して、路線の補修費用情報の送信要求と共に、前記入力(指定)された路線情報を、サーバコンピュータ2に送信する。
【0069】
サーバコンピュータ2が前記路線の補修費用情報の送信要求を受信すると、サーバコンピュータ2の制御部2aは、路線補修費用算出手段16を起動して実行する。
路線補修費用算出手段16は、送信要求と共に送られてきた路線情報に対応する全ての道路構造物の情報を構造物データベース19から検索して抽出し、その道路構造物の損傷種類情報や損傷度情報を参照して、それに応じた補修費用を、補修工法/費用データベース20から読み出す。そして、路線補修費用算出手段16は、読み出した補修費用を合計して、クライアントコンピュータ6に送信する。
【0070】
クライアントコンピュータ6の補修工法/費用出力手段38は、サーバコンピュータ2から受信した、路線の合計の補修費用を、ディスプレイ6eやプリンタ6fに出力する。
【0071】
なお、路線補修費用算出手段16は、同一の路線情報を有し、なおかつ構造物種類情報が同一の種類(例えば橋梁なら橋梁)を表している特定情報に対応する各道路構造物(橋梁)に対して行うべき補修の補修費用をそれぞれ求め、求められた各道路構造物(橋梁)の補修費用を合計することで、特定の路線に属する同一種類の全ての道路構造物(橋梁)の補修費用も算出できるよう構成するとなおよい。こうすれば、路線毎の補修費用を、道路構造物の種類別に求めることができる。
【0072】
(地図出力手段40)
クライアントコンピュータ6の地図出力手段40は、GIS等の技術を用い、記憶手段41に予め記憶(インストール)された地図情報、および、構造物位置登録手段(構造物データベース19)に記憶された構造物位置情報に基づいて、ディスプレイ6eやプリンタ6fに、道路構造物の位置を地図上に表示させて出力する。
図5に、地図出力手段40がディスプレイ6eに表示させる地図画面D2を示す。道路構造物の位置は、地図画面D2上に、バツ(×)印50で表示されている。
【0073】
また、地図画面D2の右側には、地図上の道路構造物の名称を入出力する特定情報入出力手段22を構成する道路構造物名テキストボックス22cが設けられる。道路構造物名(橋梁名)テキストボックス22cには、マウス6d等により地図上でユーザーに指定された道路構造物名が表示される。また、ユーザーが道路構造物名テキストボックス22cに道路構造物の名前を入力することにより、地図画面D2に、入力された名前に対応する道路構造物の周辺の地図が表示されたり、地図上のバツ印50の色や形状が変わったり、点滅するなどして、ユーザーが地図上の道路構造物の位置を認識可能なように構成されている。
【0074】
また、地図画面D2の右側には、道路構造物(橋梁)の属する路線を表す路線情報としての路線名を入出力する路線入出力手段26を構成する路線名テキストボックス26cが設けられる。路線名テキストボックス26cには、マウス6d等により地図上でユーザーに指定された路線や、指定された道路構造物の属する路線の名前が表示される。また、ユーザーが路線名テキストボックス26cに路線の名前を入力することにより、地図画面D2に、入力された名前に対応する路線の周辺の地図が表示される。
【0075】
地図画面D2には、その他にも、情報入出力画面D1に設けられた重要度情報テキストボックス30a,30b,30c,30dや、補修優先度テキストボックス12a,12bを設けて、地図上でユーザーに選択された道路構造物の情報(付帯情報)を表示および入力(入出力)可能に設ければなお好適である。
【0076】
このように、地図出力手段40によって地図上に道路構造物の位置を表示させることにより、ユーザーは、道路構造物の位置を、表示された地図上で認識することができ、分かりやすい。また、地図で指定された道路構造物の付帯情報等を同時に表示できるよう構成することにより、ユーザーが地図上で道路構造物の位置を指定して、指定した道路構造物に対応する情報を入力できるなど、操作が容易かつ分かりやすくなるという効果がある。
【0077】
さらに、補修優先度出力手段36は、地図出力手段40による地図上の道路構造物の位置を表す表示を、各道路構造物に対応する補修優先度情報の内容に応じて、色や形状等の表示方法を異ならせて出力すると、ユーザーは、補修の緊急が迫っている道路構造物を視覚的に容易に認識できる。
【0078】
地図出力手段40は、構造物種類情報が表す道路構造物の種類(道路の路面や道路沿いの法面や橋梁やトンネル等)毎に別個に記憶手段41上に確保された記憶領域から成り、各道路構造物の構造物位置情報によって表された位置に対応する箇所に表示データが格納される構造物種類別位置レイヤを有する。さらに、地図出力手段40は、各構造物種類別位置レイヤに格納された前記表示データを、地図に重ねて出力する(レイヤ出力手段)ことで、地図上に道路構造物の位置を表す表示を行う。
なお、前記表示データは、道路構造物の種類に応じて、前記バツ印や円印等のように異ならせたり、色を異ならせたりすると、ユーザーが地図上に表示された道路構造物の種類を一目で判別できるため、好適である。
【0079】
地図出力手段40は、各前記構造物種類別位置レイヤに格納された表示データを、道路構造物の種類毎に、前記レイヤ出力手段により地図に重ねて出力するか否かを制御するレイヤ出力制御手段を備える。
レイヤ出力制御手段は、ユーザーにより操作可能に設けられ、ユーザーの操作に応じて、地図上に、指定された道路構造物の種類に対応する構造物種類別位置レイヤを表示させる。これにより、地図上に、指定された種類の道路構造物の印のみを表示させることができる。
【0080】
(端末機器10、位置認識手段42、損傷種類・損傷度入力手段44)
次に、端末機器10の構成について、図3を用いて説明する。
端末機器10は、携帯可能な大きさに形成されるとともに、図示しない内蔵バッテリーにより駆動可能に設けられ、ユーザーが道路構造物の現場等に持参(道路構造物の位置へ運搬)することができる。または、自動車の中に設置可能に設け、自動車のバッテリーによって駆動するよう構成してもよい。
【0081】
端末機器10は、CPUやメモリ等から成りROM等に記憶されたファームウェアプログラムを実行して様々な機能(手段)を実現可能な制御部10aと、無線信号によって無線通信装置8(図2参照)を介してサーバコンピュータ2と通信する無線通信部10bと、GPS衛星からの電波(GPS信号)を受信可能なGPS通信部10cと、キーボード等の、ユーザーが情報を入力可能な入力部10dと、液晶ディスプレイ等の、ユーザーに対して情報を表示可能な表示部10eとを備える。
【0082】
制御部10aは、前記ファームウェアプログラムを実行することで、道路構造物を点検して観測された損傷度情報および損傷種類情報を入力可能な損傷種類・損傷度入力手段44と、GPS通信部10cが受信したGPS信号に基づく情報から、当該端末機器10の置かれた位置を表す端末位置情報を認識する位置認識手段42とを実現する。
【0083】
損傷種類・損傷度入力手段44は、道路構造物の管理者等が、道路構造物の損傷を点検することで観測された前記損傷種類情報や前記損傷度情報を入力可能とする手段である。
ユーザーにより入力部10dに所定の操作がなされると、損傷種類・損傷度入力手段44が起動される。損傷種類・損傷度入力手段44は、表示部10eに所定の入力画面を表示し、入力部10dから入力される損傷種類情報や損傷度情報を受け付ける。
【0084】
損傷種類・損傷度入力手段44に損傷種類情報や損傷度情報が入力されると、制御部10aは、位置認識手段42を起動する。位置認識手段42は、GPS通信部10cが受信したGPS信号に基づく情報から、当該端末機器10の置かれた位置を表す端末位置情報を認識する。端末位置情報は、例えば緯度および経度等によって表現される。
制御部10aは、損傷種類・損傷度入力手段44に入力された損傷種類情報および損傷度情報と、位置認識手段42により求められた端末位置情報とを、無線通信部10bを介してサーバコンピュータ2に送信する。
【0085】
サーバコンピュータ2が、端末機器10から無線通信装置8を介して損傷種類情報および損傷度情報と、端末位置情報とを受信すると、サーバコンピュータの制御部2aは、構造物認識手段18を起動する(図2参照)。
構造物認識手段18は、端末機器10から受信した端末位置情報と、構造物データベース19に登録された各道路構造物の特定情報に対応する構造物位置情報とを照合して、両情報が表す位置が一致する特定情報を抽出する。これにより、構造物認識手段18は、端末機器10がどの特定情報に対応する道路構造物の所に位置しているかを認識する。そして、構造物認識手段18は、検索して得られた特定情報に対応する損傷度情報および損傷種類情報として、端末機器10から受信した損傷度情報および損傷種類情報を登録する。
【0086】
端末機器10を道路構造物の現場に持参(運搬)して、道路構造物の損傷に関する情報をその場で入力可能に設けることで、道路構造物の管理者等のユーザーは、例えば市役所等に設置されたクライアントコンピュータ6の所に行くことなく、道路構造物の現場で、道路構造物の管理システムAに必要な情報の入力をすることができ、利便性が高まる。
さらに、道路構造物の位置に運搬された端末機器10の位置認識手段42が、GPS等の技術を用いて自動的に端末位置情報を認識し、構造物認識手段18がその端末位置情報に基づいて自動的に道路構造物を特定して、損傷種類情報や損傷度情報を登録するため、ユーザーは、道路構造物の特定情報等を入力することなく、損傷種類情報や損傷度情報の登録を行うことができ、ユーザーの操作の手間を省くことができる。
【0087】
なお、端末機器10には必ずしも無線通信部10bやGPS通信部10cや位置認識手段42を設ける必要はなく、入力された損傷種類情報や損傷度情報を記憶する記憶部を設けて、ユーザーが端末機器10をクライアントコンピュータ6やサーバコンピュータ2に有線で接続して、端末機器10の記憶手段に記憶された損傷種類情報や損傷度情報をクライアントコンピュータ6やサーバコンピュータ2に転送するように構成しても良い。
また、本実施の形態においては、損傷度情報や損傷種類情報は、クライアントコンピュータ6と端末機器10とのいずれからでも入力できるよう構成したが、一方からのみ入力可能としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本願の各手段(機能)の、サーバコンピュータ2、クライアントコンピュータ6、および端末機器10等への割り振りは、上記実施の形態に限定されるものではなく、システム全体として本願の構成を有するよう設ければ、任意の構成を採用できる。例えば、本実施の形態においてサーバコンピュータ2で実現している手段やその一部を、クライアントコンピュータ6に割り振るなど、、手段/機能の割り振りは自由に選択してよい。
さらに言えば、上記実施の形態においては、道路構造物の管理システムAを、サーバコンピュータ2およびクライアントコンピュータ6等から構成したが、本発明に係る橋梁の管理システムは、これらの機器を備えることを必須としているわけではなく、例えば、スタンドアロンのコンピュータでも実現することができる。さらには、システムをノートパソコン等の携帯可能なコンピュータで構成すれば、端末機器の機能をも一台のコンピュータで実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施の形態に係る道路構造物の管理システムの構成を示す説明図である。
【図2】サーバコンピュータとクライアントコンピュータの内部構成を示す説明図である。
【図3】端末機器の内部構成を示す説明図である。
【図4】情報入出力画面を示す図である。
【図5】地図出力手段により表示される地図画面を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
A 道路構造物の管理システム
D1 情報入出力画面
D2 地図画面
2 サーバコンピュータ
4 ネットワーク
6 クライアントコンピュータ
6c キーボード(入力手段)
6d マウス(入力手段)
6e ディスプレイ(出力手段)
6f プリンタ(出力手段)
8 無線通信装置(通信手段)
10 端末機器
10b 無線通信部(通信手段)
10c GPS通信部
10d 入力部(入力手段)
12 補修優先度算出手段
12a,12b 補修優先度テキストボックス
14 補修工法/費用選択手段
16 路線補修費用算出手段
18 構造物認識手段
19 構造物データベース(特定情報登録手段、構造物種類登録手段、路線登録手段、構造物位置登録手段、重要度登録手段、損傷度登録手段、損傷種類登録手段)
20 補修工法/費用データベース(補修工法/費用記憶手段)
22 特定情報入出力手段(特定情報登録手段)
22a,22b,22c 道路構造物名テキストボックス
24 構造物種類入出力手段(構造物種類登録手段)
26 路線入出力手段(路線登録手段)
26a,26b,26c 路線名テキストボックス
28 構造物位置入出力手段(構造物位置登録手段)
30 重要度入出力手段(重要度登録手段)
30a,30b,30c,30d 重要度情報テキストボックス
32 損傷度入出力手段(損傷度登録手段)
34 損傷種類入出力手段(損傷種類登録手段)
36 補修優先度出力手段
38 補修工法/費用出力手段
38a 補修工法テキストボックス
38b 補修費用テキストボックス
40 地図出力手段
42 位置認識手段
44 損傷種類・損傷度入力手段(損傷度登録手段、損傷種類登録手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁を管理するための橋梁の管理システムであって、
個々の橋梁を特定するための各橋梁に対応する特定情報を、入力および記憶可能な特定情報登録手段と、
該特定情報登録手段に記憶される各前記特定情報毎に、対応する橋梁の重要度を表す重要度情報を入力および記憶可能な重要度登録手段と、
各前記特定情報毎に、対応する橋梁の損傷度を表す損傷度情報を入力および記憶可能な損傷度登録手段と、
各前記特定情報毎に、対応する前記重要度情報および前記損傷度情報に基づいて、対応する橋梁の補修を実行する優先度を表す補修優先度情報を算出する補修優先度算出手段と、
該補修優先度算出手段により算出された前記補修優先度情報に基づく情報を、対応する前記特定情報と共に出力する補修優先度出力手段と、
前記特定情報登録手段に記憶される各前記特定情報毎に、対応する橋梁の位置を表す構造物位置情報を入力および記憶可能な構造物位置登録手段と、
前記構造物位置登録手段に記憶された前記構造物位置情報に基づいて、橋梁の位置を地図上に表示させて出力する地図出力手段とを備えることを特徴とする橋梁の管理システム。
【請求項2】
前記補修優先度出力手段は、前記地図出力手段による前記地図上の橋梁の位置を表す表示を、各橋梁の前記特定情報に対応する前記補修優先度情報の内容に応じて、色や字体等の表示方法を異ならせて出力可能であることを特徴とする請求項1記載の橋梁の管理システム。
【請求項3】
前記地図出力手段は、前記地図を表示可能な表示装置を有し、
ユーザーに、前記表示装置に表示された前記地図上の橋梁の位置を指定可能に設けられると共に、該指定された橋梁に対応する、前記重要度情報、前記損傷度情報、および前記損傷種類情報のうちの少なくとも一つを、入力可能とする入力手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の橋梁の管理システム。
【請求項4】
橋梁の位置へ運搬可能に設けられ、橋梁を点検して観測された前記損傷度情報を入力可能な損傷度入力手段を有する端末機器と、
該端末機器の位置を表す端末位置情報を認識する位置認識手段と、
該位置認識手段により認識された前記端末位置情報を各前記構造物位置情報と照合することで、前記端末機器が位置する橋梁の前記特定情報を認識する構造物認識手段とを備え、
前記損傷度登録手段は、前記損傷度入力手段により前記端末機器に入力された前記損傷度情報を、前記構造物認識手段により認識した前記特定情報に対応させて記憶して登録することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の橋梁の管理システム。
【請求項5】
橋梁の損傷の種類および損傷度に応じた補修工法を表す補修工法情報を記憶する補修工法記憶手段と、
前記特定情報登録手段に記憶される各前記特定情報毎に、対応する橋梁を点検して観測された、該橋梁のひび割れや剥離や剥落や断面欠損等の損傷の種類を表す損傷種類情報を、入力および記憶可能な損傷種類登録手段と、
各前記特定情報毎に、対応する前記損傷種類情報および前記損傷度情報に基づいて、対応する橋梁に対して行うべき補修の補修工法を、前記補修工法記憶手段に記憶された補修工法情報の中から選択する補修工法選択手段と、
該補修工法選択手段により選択された補修工法情報を、対応する前記特定情報と共に出力する補修工法出力手段とを備え、
前記端末機器は、橋梁を点検して観測された前記損傷種類情報を入力可能な損傷種類入力手段を有し、
前記損傷種類登録手段は、前記端末機器に入力された前記損傷種類情報を、前記構造物認識手段により認識した前記特定情報に対応させて記憶して登録することを特徴とする請求項4記載の橋梁の管理システム。
【請求項6】
橋梁の位置に運搬されている前記端末機器と通信して、端末機器に入力された前記損傷度情報および/または前記損傷種類情報を受信する通信手段を備えることを特徴とする請求項4または5記載の橋梁の管理システム。
【請求項7】
前記位置認識手段は、前記端末機器に設けられ、
前記通信手段は、前記端末機器から、前記損傷度情報および/または前記損傷種類情報とともに前記端末位置情報を受信可能であることを特徴とする請求項6記載の橋梁の管理システム。
【請求項8】
前記重要度情報は、前記重要度を数値または所定の複数段階で表現したものであり、
前記損傷度情報は、前記損傷度を数値または所定の複数段階で表現したものであり、
前記補修優先度算出手段は、前記重要度情報と前記損傷度情報とを所定の割合で勘案して、前記補修優先度情報を算出することを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項記載の橋梁の管理システム。
【請求項9】
前記補修優先度情報は、前記優先度を数値または所定の複数段階で表現したものであることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか一項記載の橋梁の管理システム。
【請求項10】
前記補修優先度出力手段は、前記補修優先度情報を、該補修優先度情報が表す前記優先度が高い順に並べて出力可能であることを特徴とする請求項9記載の橋梁の管理システム。
【請求項11】
前記重要度情報は、
対応する前記特定情報で特定される橋梁が属する路線の、種類または交通量に基づく路線重要度と、
対応する前記特定情報で特定される橋梁の、構造または架設状況に基づく構造物重要度と、
対応する前記特定情報で特定される橋梁が置かれた自然状況に基づく自然条件重要度とのうちの少なくとも一つに依存して定められることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか一項記載の橋梁の管理システム。
【請求項12】
前記損傷度情報は、対応する前記特定情報で特定される橋梁を点検して定められたものであることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか一項記載の橋梁の管理システム。
【請求項13】
橋梁の損傷の種類および損傷度に応じた補修工法を表す補修工法情報を記憶する補修工法記憶手段と、
前記特定情報登録手段に記憶される各前記特定情報毎に、対応する橋梁を点検して観測された、該橋梁のひび割れや剥離や剥落や断面欠損等の損傷の種類を表す損傷種類情報を、入力および記憶可能な損傷種類登録手段と、
各前記特定情報毎に、対応する前記損傷種類情報および前記損傷度情報に基づいて、対応する橋梁に対して行うべき補修の補修工法を、前記補修工法記憶手段に記憶された補修工法情報の中から選択する補修工法選択手段と、
該補修工法選択手段により選択された補修工法情報を、対応する前記特定情報と共に出力する補修工法出力手段とを備えることを特徴とする請求項1〜12のうちのいずれか一項記載の橋梁の管理システム。
【請求項14】
前記補修工法記憶手段に記憶された各前記補修工法情報が表す補修工法を実施するのに必要な補修費用を表す補修費用情報を、各補修工法情報に関連付けて記憶する補修費用記憶手段と、
前記補修工法選択手段により選択された前記補修工法情報に対応する前記補修費用情報を、前記補修費用記憶手段から読み出す補修費用選択手段と、
前記特定情報登録手段に記憶される各前記特定情報毎に、対応する橋梁の属する路線を表す路線情報を入力および記憶可能な路線登録手段と、
同一の前記路線情報に対応する全ての前記特定情報が表す各橋梁に対して行うべき補修の補修費用を、前記補修費用選択手段によってそれぞれ求め、求められた該各橋梁の補修費用を合計することで、特定の路線に属する、前記特定情報に対応付けられた全ての橋梁の補修費用を算出する路線補修費用算出手段とを備えることを特徴とする請求項13記載の橋梁の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−9571(P2006−9571A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−203480(P2005−203480)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【分割の表示】特願2004−181996(P2004−181996)の分割
【原出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【出願人】(503413798)矢木コーポレーション株式会社 (2)
【Fターム(参考)】