説明

機器使用状況分析システム、機器使用状況分析装置及びプログラム

【課題】負荷機器又は熱利用機器によるエネルギー消費量を個別に検出することなく、負荷機器又は熱利用機器の使用状況を分析可能にする。
【解決手段】ガス燃料を燃焼する熱源設備としてのガス給湯器4の給湯を利用する複数の給湯利用設備10を備える需要家2での燃料消費量を算出する燃料消費量算出装置16と、前記燃料消費量算出装置16による算出値に基づいて、所定期間分の持続曲線を算出する持続曲線算出部36と、前記需要家2が備える給湯利用設備10の各々の単位時間当りの燃料消費量の目安値と、前記持続曲線との対応に基づいて、給湯利用設備10のそれぞれの使用時間及び燃料消費量を算出する使用状況分析部38とを備えた省エネルギー支援システム1を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要家が備える負荷機器或いは熱利用設備の使用状況を判断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー資源の枯渇問題や地球環境問題に対する関心が高まっており、エネルギーの効率利用に関する技術や、省エネルギーに寄与する技術等の各種の技術が開発・研究されている。
特に、エネルギーを消費する家庭や企業の事業所(以下、「需要家」と言う)に設けられている多数の負荷機器のそれぞれが、どの程度のエネルギーを消費しているかを検出する事は、エネルギーの効率利用や省エネルギーの方針を策定するために有効である。
そこで従来においては、各負荷機器にエネルギー消費量を検出する検出器を負荷機器ごとに個別に設け、負荷機器ごとのエネルギー消費量を検出している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−21654号公報
【特許文献2】特開2005−189102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、検出器を負荷機器のそれぞれに設ける必要があるため、設置コストが高くなるという問題がある。また、需要家に負荷機器が新規に追加される度に検出器を増設する必要があるため、維持コストも高くなり、また、配線等の面倒な作業も生じる、という問題もある。
【0004】
また、需要家に燃料燃焼型の給湯設備を熱源設備として設け、台所や洗面台、浴室といった熱利用設備での給湯利用による燃料消費量を、熱利用設備ごとに個別に検出する場合も、給湯利用量を検出する検出器を熱利用設備ごとに個別に設ける必要があり、上記と同様な問題が生じる。
さらに、係る問題は、需要家に熱源設備としてボイラー機器を設け、ボイラー機器の熱を利用する床暖房装置等を熱利用機器に備える場合も、同様に生じる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、負荷機器又は熱利用機器によるエネルギー消費量を個別に検出しなくとも、負荷機器又は熱利用機器の使用状況を求めることができる機器使用状況分析システム、機器使用状況分析装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、エネルギーを消費する複数の負荷機器、又は、エネルギーを消費する熱源設備から供給される熱を利用する複数の熱利用設備を備える需要家でのエネルギー消費量を検出する消費量検出手段と、前記消費量検出手段による検出値に基づいて、所定期間分のエネルギーの持続曲線を算出する持続曲線算出手段と、前記需要家が備える負荷機器又は熱利用設備の各々の単位時間当りのエネルギー消費量の目安値と、前記持続曲線との対応に基づいて、前記負荷機器又は熱利用設備のそれぞれの使用時間及び/又はエネルギー消費量を算出する算出手段とを備えたことを特徴とする機器使用状況分析システムを提供する。
【0007】
本発明によれば、需要家でのエネルギー消費量の検出値から得られる持続曲線と、負荷機器又は熱源設備の各々のエネルギー消費量の目安値との対応に基づいて、負荷機器又は熱利用設備の使用時間及び/又はエネルギー消費量が求められる。これにより、負荷機器又は熱利用設備によるエネルギー消費量を、負荷機器又は熱利用設備ごとに検出器を設けて個別に検出する必要がなく、システムの設置コストや維持コストを抑えることができる。
【0008】
また本発明は、上記機器使用状況分析システムにおいて、複数の前記負荷機器又は複数の前記熱利用設備を、各々の単位時間当りのエネルギー消費量の目安値に基づいてグループに分けて記憶する記憶手段を備え、前記算出手段は、前記持続曲線の値が、各グループの単位時間当りのエネルギー消費量の値幅に属する範囲に基づいて、各グループに属する前記負荷機器又は熱利用設備のそれぞれの使用時間及び/又は前記所定期間でのエネルギー消費量を算出することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、複数の負荷機器又は複数の熱利用設備がグループに分けられて、グループごとに、使用時間及び/又はエネルギー消費量が求められる。これにより、グループに属する負荷機器又は熱利用設備の各々の使用時間及び/又はエネルギー消費量が一度に求められるから処理の短縮化が図られる。
【0010】
また本発明は、上記機器使用状況分析システムにおいて、所定日数分のエネルギー消費量の検出値に基づいて、当該所定日数でのエネルギー消費量の変動の規則性を判定する規則性判定手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、所定日数でのエネルギー消費量の変動の規則性が判定されるため、需要家においてユーザーが旅行等で留守にしたり、突発的な休業等により非稼働状態になる等した場合には、エネルギー消費量の変動が不規則と判定される。これにより、エネルギー消費量の変動が規則的となっている場合、すなわち、需要家で通常のエネルギー消費行動が行われた場合を対象として、負荷機器又は熱利用設備の使用状況を分析することができる。
【0012】
また本発明は、上記機器使用状況分析システムにおいて、燃料を燃焼して給湯する給湯設備を前記熱源設備に有するとともに、前記給湯設備を備える前記需要家での外気温度を検出する外気温検出手段を備え、前記規則性判定手段は、前記外気温度と前記給湯設備の燃料消費量との相関に基づいて、燃料消費量の規則性を判定することを特徴とする。
本発明によれば、燃料消費量の規則性をより精度良く判定することができる。
【0013】
また上記目的を達成するために、本発明は、エネルギーを消費する複数の負荷機器、又は、エネルギーを消費する熱源設備から供給される熱を利用する複数の熱利用設備を備える需要家でのエネルギー消費量を検出する検出器の検出値を取得し、所定期間分のエネルギーの持続曲線を算出する持続曲線算出手段と、前記需要家が備える負荷機器又は熱利用設備の各々のエネルギー消費量と、前記持続曲線との対応に基づいて、前記負荷機器又は熱利用設備のそれぞれの使用時間及び/又はエネルギー消費量を算出する算出手段とを備えたことを特徴とする機器使用状況分析装置を提供する。
【0014】
また上記目的を達成するために、本発明は、コンピューターを、エネルギーを消費する複数の負荷機器、又は、エネルギーを消費する熱源設備から供給される熱を利用する複数の熱利用設備を備える需要家でのエネルギー消費量を検出する検出器の検出値を取得し、所定期間分のエネルギーの持続曲線を算出する持続曲線算出手段、及び、前記需要家が備える負荷機器又は熱利用設備の各々のエネルギー消費量と、前記持続曲線との対応に基づいて、前記負荷機器又は熱利用設備のそれぞれの使用時間及び/又はエネルギー消費量を算出する算出手段として機能させることを特徴とするプログラムを提供する。
【0015】
また上記目的を達成するために、本発明は、コンピューターを、エネルギーを消費する複数の負荷機器、又は、エネルギーを消費する熱源設備から供給される熱を利用する複数の熱利用設備を備える需要家でのエネルギー消費量を検出する検出器の検出値を取得し、所定期間分のエネルギーの持続曲線を算出する持続曲線算出手段、及び、前記需要家が備える負荷機器又は熱源設備の各々のエネルギー消費量と、前記持続曲線との対応に基づいて、前記負荷機器又は熱源設備のそれぞれの使用時間及び/又はエネルギー消費量を算出する算出手段として機能させることを特徴とするプログラムを記録したコンピューター読取可能な記録媒体を提供する。
係る記録媒体には、ハードディスクドライブ等の磁気ディスクや、CD−ROM等の光ディスク、半導体メモリー等のデジタルデータを記録可能な任意の記録媒体が含まれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、需要家でのエネルギー消費量の検出値から得られる持続曲線と、負荷機器又は熱利用設備の各々の単位時間当りのエネルギー消費量の目安値との対応に基づいて、負荷機器又は熱利用設備の使用時間及び/又はエネルギー消費量が算出されるから、負荷機器又は熱利用設備ごとに検出器を設けて個別にエネルギー消費量を検出する必要がなく、システムの設置コストや維持コストが抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る省エネルギー支援システム1の構成を模式的に示す図である。省エネルギー支援システム1は、ガス燃料を燃料して給湯するガス給湯器4を備えた需要家2において、給湯を利用する熱利用設備(以下、「給湯利用設備」と言う)10の使用状況を分析する機能と、当該分析結果に基づいて、省エネに寄与するアドバイスを需要家2のユーザーに対して提供する機能とを備えている。
具体的には、省エネルギー支援システム1は、図1に示すように、ガス給湯器4と、給湯利用設備10と、燃料消費量算出装置16と、外気温センサー15と、設置端末9と、この設置端末9が電気通信回線6を介して通信可能に接続された省エネルギー支援サーバーコンピューター(以下、「支援サーバー」と省略する)8と、を備えている。
【0018】
需要家2は、例えば一般の家庭や企業の事業所等が該当する。
ガス給湯器4は、需要家2に熱源設備として設けられ、水と熱交換して加熱する熱交換器と、当該熱交換器を加熱する燃焼バーナーと(いずれも図示せず)、当該燃焼バーナーへ空気を送る燃焼用ファン12とを有している。また、ガス給湯器4は、燃焼用ファン12の回転駆動に伴い発生する燃焼用ファン電流を検出するファン電流検出器14を備え、係る検出値を燃料消費量算出装置16に出力する。
給湯利用設備10は、ガス給湯器4の給湯を利用する設備であり、需要家2には、台所や洗面所、浴槽及びシャワーを備える浴室等が給湯利用設備10として設けられている。
【0019】
燃料消費量算出装置16は、ガス給湯器4のファン電流検出器14からの入力に基づいて燃焼用ファン12の駆動期間を算出し、当該駆動期間をガス給湯器4の運転期間とみなし、この駆動期間にガス給湯器4の定格燃焼量を乗じて当該ガス給湯器4の燃料消費量を算出し設置端末9に出力する。
外気温センサー15は、需要家2での外気温度を検出し設置端末9に出力する。ガス給湯器4に外気温を検出するセンサーが設けられている場合には、当該センサーを外気温センサー15の代りに用いることもできる。
設置端末9は、需要家2での燃料消費量及び外気温度を支援サーバー8に送信するとともに、当該支援サーバー8から省エネに寄与するアドバイスを受信する端末装置であり、通信部17と、表示部18と、操作部20を備えている。
通信部17は、例えばインターネット等の電気通信回線6を介して支援サーバー8の間で双方向に通信する。表示部18は、各種情報を表示するものであり、操作部20は、需要家2側のユーザーによって情報入力の際に操作されるものである。
なお、設置端末9に燃料消費量算出装置16の機能を設けて、燃料消費量算出装置16と設置端末9を一体に構成しても良い。
【0020】
図2は、支援サーバー8の機能的構成を示すブロック図である。
同図に示すように、支援サーバー8は、大別すると、通信部30と、データベース部32と、燃料消費量集計部34と、持続曲線算出部36と、使用状況分析部38と、アドバイス提供部40とを備えている。
この支援サーバー8は、制御手段としてのCPUや、ROM、RAM、プログラム記憶手段としてのハードディスクドライブ等(いずれも図示せず)を備えた一般的なコンピューターシステムを用いて構成されている。このコンピューターシステムにCD−ROM等の記録媒体に記録された、本発明に係る機器使用状況プログラムを含む各種プログラムなどを読み込ませることで、ハードディスクドライブへのインストールが行われる。そして、コンピュータープログラムが当該プログラムを実行することで、図2に示す各種の機能が実現される。また上述の通り、支援サーバー8は、HTTPサーバー機能を有し、各需要家2の設置端末9からWEBサービスによるWEBページを閲覧可能に構成されている。
【0021】
支援サーバー8の各部について説明すると、通信部30は、各需要家2に設置された設置端末9と電気通信回線6を介して双方向にデータ通信する。
データベース部32は、各種情報を記憶するものであり、需要家情報データベース42と、アドバイスデータベース44とを備えている。
需要家情報データベース42は、各需要家2を管理するための情報である需要家情報43を格納する。
図3は、需要家情報43の内容の一例を模式的に示す図である。
同図に示すように、需要家情報43には、需要家2の識別情報たるID43A及び給湯利用設備情報43Bが含まれている。
給湯利用設備情報43Bは、需要家2が備える給湯利用設備10をグループ分けして記憶するものである。これらグループのそれぞれには、給湯利用設備10を使用した場合にガス給湯器4で消費される単位時間当りの燃料消費量の値幅が予め規定されている。また、各給湯利用設備10には単位時間当りの燃料消費量の目安値が実験値等により予め規定されており、各給湯利用設備10は、その目安値を含む値幅のグループに分けられる。
【0022】
本実施形態では、上記グループとして、比較的燃料消費量が少ない給湯利用設備10が属する「低消費設備」、比較的燃料消費量が多い給湯利用設備10が属する「高消費設備」、及び、それらの間の燃料消費量の給湯利用設備10が属する「中消費設備」の3つを設けている。
「低消費設備」グループには、例えば台所や洗面台等の概ね比較的低い温度範囲で温水が使用される設備が属し、「高消費設備」グループには、例えば浴槽への給湯やシャワー等の概ね比較的高い温度範囲で温水が使用される設備が属する。また、「中消費設備」グループには、例えば浴槽の追い炊き等の概ね低消費設備及び高消費設備の間の温度範囲で温水が使用される設備が属する。
【0023】
前掲図2に戻り、アドバイスデータベース44は、省エネ対策アドバイス文を記憶するものである。
図4は、係るアドバイスデータベース44を模式的に示す図である。
同図に示すように、アドバイスデータベース44には、省エネ対策に寄与する内容を記す多数の省エネ対策アドバイス文46が登録されている。これら省エネ対策アドバイス文46は、給湯利用設備10ごとに1或いは複数設けられており、それぞれの省エネ対策アドバイス文46には、当該省エネ対策アドバイス文46の提供の可否決定に供するパラメーター48が規定されている。このパラメーター48には、給湯利用設備10の機能や用途、後述する持続曲線上での識別性に応じて、給湯利用設備10の使用時間及び燃料消費量のいずれかが用いられている。
【0024】
例えば、給湯利用設備10が、追い炊き機能を有する浴室である場合、パラメーター48には追い炊き使用時間が用いられる。追い炊き使用時間が所定時間を超えているときには、浴槽の追い炊きの使用が過多であるものとして、追い炊き使用を控えることを促す省エネ対策アドバイス文46が提供される。
また例えば、給湯利用設備10が台所や洗面台である場合、パラメーター48には、当該台所が属するグループである「低消費機器」グループの燃料消費量が全体の燃料消費量に占める割合が用いられる。この割合が高い場合には、台所や洗面台での給湯使用が過多であるものとして、台所或いは洗面台での給湯使用や、それに伴う燃料消費の抑制を促す省エネ対策アドバイス文46が提供される。
なお、1つの給湯利用設備10が使用時間及び燃料消費量のいずれか一方ではなく、これら両方をパラメーター48として用いても良い。
【0025】
図2に戻り、燃料消費量集計部34は、通信部30を介して一定期間ごと(例えば1分)に需要家2での燃料消費量及び外気温度を取得し蓄積する。
規則性判定部35は、所定日数(例えば7日分など)に亘る燃料消費量の検出値に基づいて、当該所定日数に亘る燃料消費量の変動が規則的であるか否かを判定する。なお、係る規則性の判定については後述する。
持続曲線算出部36は、規則性判定部35により規則的であると判定された場合に、所定日数に亘る燃料消費の持続曲線を算出する。
【0026】
使用状況分析部38は、持続曲線算出部36により算出された持続曲線と、各グループの単位時間当りの燃料消費量の値幅との対応に基づいて、グループごとに使用時間及び燃料消費量を求める。これにより、各グループの給湯利用設備10について使用時間及び燃料消費量が求められる。
アドバイス提供部40は、使用状況分析部38により算出された各給湯利用設備10の使用時間及び燃料消費量に基づいて、各給湯利用設備10に規定された上記パラメーター48の値が所定値を超えている省エネ対策アドバイス文46をアドバイスデータベース44から抽出し、需要家2の設置端末9から閲覧可能にすべくWEBページを生成して公開する。
またアドバイス提供部40は、規則性判定部35により不規則と判定されている場合、需要家2が備える全ての給湯利用設備10について省エネ対策アドバイス文46を抽出しWEBページにより公開する。
【0027】
次いで、本実施形態の動作として、支援サーバー8の動作を説明する。
図5は、支援サーバー8の機器使用状況分析処理のフローチャートである。
支援サーバー8は、先ず、7日間(1週間)に亘る燃料消費量の検出値を取得する(ステップS1)。例えば需要家2での燃料消費量を毎分検出した場合、1日当り60×24(=1440個)の検出値が取得されることになる。
ここで、1週間という期間は、一般に、人間の生活の基本単位(平日及び休日のそれぞれの生活スタイルを一巡する最小期間)である。したがって、1週間に亘る燃料消費量を対象に分析を行うことで、平日及び休日のそれぞれでのユーザーの生活行動を加味して分析を行うことができる。
【0028】
次いで、支援サーバー8は、7日分の燃料消費量の検出値に基づいて、例えばユーザーが外泊する等の要因により、燃料消費量の日々の変動が不規則となっていないか否かを判定すべく燃料消費規則性判定処理を実行する(ステップS2)。
図6は、係る燃料消費規則性判定処理を示すフローチャートである。
この燃料消費規則性判定処理では、(1)各日において燃料消費量がピークとなる時刻が大凡同一の時間帯にあるか否か、及び、(2)各日の平均外気温度と総燃料消費量の相関係数が同程度の範囲にあるか否かの2つの点で、燃料消費量の日々の変動の規則性が判定される。
【0029】
すなわち、支援サーバー8は、各日について1時間毎の燃料消費量を算出し(ステップS20)、各日における燃料消費量のピーク時刻の変動幅(ぶれ幅)を算出する(ステップS21)。そして支援サーバー8は、変動幅が所定幅α(例えば3時間)の範囲外である場合には(ステップS22:No)、この7日における燃料消費量の変動には規則性がないと判定する(ステップS23)。
一方、変動幅が所定幅aの範囲内である場合(ステップS22:Yes)、支援サーバー8は、1週間における各日の平均外気温度の変動と燃料消費量の変動の相関係数を算出する(ステップS24)。そして、支援サーバー8は、相関係数が所定値β以下である場合には(ステップS25:No)、この7日における燃料消費量の変動には規則性がないと判定し(ステップS23)、所定値βより大である場合には(ステップS25:Yes)、燃料消費量の変動に規則性があると判定する(ステップS26)。なお、この所定値βは、平均外気温度の変動に追従して燃料消費量が変動していると見なせる程度の値に設定されている。
【0030】
燃料消費量の変動に規則性がないという事は、7日間に亘るユーザーの給湯利用設備10の利用に規則性がない事を示す。したがって、前掲図5に示すように、支援サーバー8は、規則性がないと判定した場合(ステップS3:No)、需要家2に設けられている全ての給湯利用設備10について省エネ対策アドバイス文46を抽出しWEBページにより公開する(ステップS4)。
【0031】
一方、燃料消費量の変動に規則性がある場合(ステップS3:Yes)、支援サーバー8は、燃料消費の持続曲線を作成する(ステップS5)。
図7は、係る持続曲線を模式的に示す図である。
持続曲線とは、上記燃料消費量の検出値を値が大きな順に並び替えて得られる曲線である。本実施形態では、1週間に亘る燃料消費量の検出値のそれぞれについて、各日の同時刻の計測値(各日における同一番目の計測値)同士の平均値を算出し、係る平均値を用いて持続曲線を算出する。これにより、1週間に亘る燃料消費の傾向が平均化され、この平均化された燃料消費の傾向に基づく持続曲線が得られる。
【0032】
この持続曲線においては、図7に示すように、「高消費設備」、「中消費設備」及び「低消費設備」の各グループが取り得る単位時間当りの燃料消費量の値幅に対応して、値が略一定或いは緩やかに変動する形状の曲線が得られる。
この持続曲線においては、持続曲線の値がグループの値幅に属する範囲の長さにより、そのグループの使用時間が求められ、また、その範囲の面積により、そのグループが1週間で消費した燃料消費量が求められる。
これにより、グループごとの使用時間及び燃料消費量から、どのグループによる給湯使用が過多であるかといった使用状況の分析が可能になる。さらに、各グループに属する給湯利用設備10の種類や用途に基づいて、例えば浴槽での追い炊き使用時間が長いとか、台所での温水利用が多いといったように、需要家2での給湯利用の動向を推し量ることもできる。
【0033】
そして、支援サーバー8は、各グループの使用時間及び燃料消費量を算出した後(ステップS6)、これらの使用時間及び燃料消費量に基づいて、各給湯利用設備10に規定されたパラメーター48の値が所定値を超えている省エネ対策アドバイス文46をアドバイスデータベース44から抽出し、需要家2の設置端末9から閲覧可能にすべくWEBページを生成して公開してアドバイスを提供し(ステップS7)、機器使用状況分析処理を終了する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、需要家2での燃料消費量の検出値から得られる持続曲線に基づいて、当該需要家2が備える給湯利用設備10の各々の使用時間及び燃料消費量を求めるため、これら給湯利用設備10ごとに検出器を設けて個別に燃料消費量などを検出する必要がなく、システムの設置コストや維持コストを抑えることができる。これに加え、給湯利用設備10が増えた場合でも、従来のように検出器を追加で取付けるなどの煩雑な作業が不要となる。
【0035】
また本実施形態によれば、給湯利用設備10を複数のグループに分け、各グループごとに、使用時間及び燃料消費量を求める構成とした。これにより、グループに属する給湯利用設備10の各々の使用時間及び燃料消費量が一度に求められるから処理の短縮化が図られる。
【0036】
さらに本実施形態によれば、所定日数での燃料消費量の変動の規則性を判定する構成としたため、需要家2においてユーザーが旅行等で留守にしたり、突発的な休業等により非稼働状態になり給湯利用設備10を使用しない期間が含まれている場合や、不規則な生活により給湯利用設備10の利用に規則性がでない場合には、燃料消費量の変動が不規則と判定される。これにより、エネルギー消費量の変動が規則的となっている場合、すなわち、需要家2で通常のエネルギー消費行動が行われた場合と、そうでない場合とを識別することができ、それぞれの場合に応じて、給湯利用設備10の使用状況を分析し、省エネ支援を行うことができる。
特に本実施形態によれば、外気温度と燃料消費量との相関に基づいて、燃料消費量の規則性を判定するため、燃料消費量の規則性をより精度良く判定することができる。
【0037】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
【0038】
例えば需要家2での燃料消費量の検出間隔を1分とし、また、持続曲線の生成に使用する燃料消費量の検出期間を1週間としたが、これらは適宜に設定できる。
また例えば、ガス給湯器4の燃料消費量の算出に用いるガス給湯器4の運転期間を、燃焼用ファン12のファン電流から検出する構成としたが、これに限らない。すなわち、ガス給湯器4の排ガスの吐出口に温度センサーを設けて排ガス温度を検出し、当該排ガス温度が外気温度よりも高い間を、ガス給湯器4の運転期間としても良い。
なお、ガス会社によって設置されたガス取引メーターの検出値を燃料消費量としても良い。
【0039】
また、燃料を消費する熱源設備として、ガス燃焼型の給湯器を例示した。しかしながら、燃料は、ガス等の気体燃料に限らず、灯油やアルコール類等の液体燃料、石炭や練炭等の固体燃料であっても良い。また、熱源設備は、給湯器等の温熱源に限らず、冷熱源であっても良い。
【0040】
また、図8に示す省エネルギー支援システム101のように、給湯利用設備10に代えて、需要家2が備える複数の電化製品(負荷機器)160の各々の使用時間及び/又は電力消費量を求める構成としても良い。
この場合、需要家2には、燃料消費量算出装置16に代えて、分電盤150を流れる電流を検出する等して需要家2での電力使用量を検出する消費電力検出器151が設けられ、電力使用量の検出値が例えば1分ごとに設置端末9を介して省エネルギー支援サーバーコンピューター(以下、「支援サーバー」と言う)108に送信される。
【0041】
この形態では、給湯利用設備10の目安値に電化製品160の定格消費電力が対応し、支援サーバー108には、これらの電化製品160が各々の定格消費電力に基づいてグループに分けて記憶される。そして、支援サーバー108では、需要家2からの電力使用量の検出値に基づいて所定期間の持続曲線が求められ、この持続曲線の値が各グループの定格消費電力の値幅に属する範囲に基づいて、各グループに属する電化製品160のそれぞれの使用時間及び/又は電力消費量が算出される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る省エネルギー支援システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】支援サーバーの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】需要家情報の一例を示す図である。
【図4】アドバイスデータベースを模式的に示す図である。
【図5】機器使用状況分析処理のフローチャートである。
【図6】燃料消費規則性判定処理のフローチャートである。
【図7】持続曲線の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の他の態様を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1、101 省エネルギー支援システム(機器使用状況分析システム)
2 需要家
4 ガス給湯器(熱源設備)
6 電気通信回線
8、108 支援サーバー(サーバーコンピューター)
9 設置端末
10 給湯利用設備(熱利用設備)
12 燃焼用ファン
14 ファン電流検出器
15 外気温センサー
16 燃料消費量算出装置
17 通信部
34 燃料消費量集計部
35 規則性判定部
36 持続曲線算出部
38 使用状況分析部
42 需要家情報データベース
43 需要家情報
43B 給湯利用設備情報
151 消費電力検出器
160 電化製品(負荷機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを消費する複数の負荷機器、又は、エネルギーを消費する熱源設備から供給される熱を利用する複数の熱利用設備を備える需要家でのエネルギー消費量を検出する消費量検出手段と、
前記消費量検出手段による検出値に基づいて、所定期間分のエネルギーの持続曲線を算出する持続曲線算出手段と、
前記需要家が備える負荷機器又は熱利用設備の各々の単位時間当りのエネルギー消費量の目安値と、前記持続曲線との対応に基づいて、前記負荷機器又は熱利用設備のそれぞれの使用時間及び/又はエネルギー消費量を算出する算出手段と
を備えたことを特徴とする機器使用状況分析システム。
【請求項2】
複数の前記負荷機器又は複数の前記熱利用設備を、各々の単位時間当りのエネルギー消費量の目安値に基づいてグループに分けて記憶する記憶手段を備え、
前記算出手段は、
前記持続曲線の値が、各グループの単位時間当りのエネルギー消費量の値幅に属する範囲に基づいて、各グループに属する前記負荷機器又は熱利用設備のそれぞれの使用時間及び/又は前記所定期間でのエネルギー消費量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の機器使用状況分析システム。
【請求項3】
所定日数分のエネルギー消費量の検出値に基づいて、当該所定日数でのエネルギー消費量の変動の規則性を判定する規則性判定手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の機器使用状況分析システム。
【請求項4】
燃料を燃焼して給湯する給湯設備を前記熱源設備に有するとともに、前記給湯設備を備える前記需要家での外気温度を検出する外気温検出手段を備え、
前記規則性判定手段は、
前記外気温度と前記給湯設備の燃料消費量との相関に基づいて、燃料消費量の規則性を判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の機器使用状況分析システム。
【請求項5】
エネルギーを消費する複数の負荷機器、又は、エネルギーを消費する熱源設備から供給される熱を利用する複数の熱利用設備を備える需要家でのエネルギー消費量を検出する検出器の検出値を取得し、所定期間分のエネルギーの持続曲線を算出する持続曲線算出手段と、
前記需要家が備える負荷機器又は熱利用設備の各々のエネルギー消費量と、前記持続曲線との対応に基づいて、前記負荷機器又は熱利用設備のそれぞれの使用時間及び/又はエネルギー消費量を算出する算出手段と
を備えたことを特徴とする機器使用状況分析装置。
【請求項6】
コンピューターを、
エネルギーを消費する複数の負荷機器、又は、エネルギーを消費する熱源設備から供給される熱を利用する複数の熱利用設備を備える需要家でのエネルギー消費量を検出する検出器の検出値を取得し、所定期間分のエネルギーの持続曲線を算出する持続曲線算出手段、及び、
前記需要家が備える負荷機器又は熱利用設備の各々のエネルギー消費量と、前記持続曲線との対応に基づいて、前記負荷機器又は熱利用設備のそれぞれの使用時間及び/又はエネルギー消費量を算出する算出手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−152439(P2010−152439A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326895(P2008−326895)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(501436861)株式会社イーアンドイープラニング (12)