説明

機械式時計を備える携帯電話

【課題】時計及び携帯装置の組合せであって、装置の通常の使用で時計を機械的に巻くことのできる携帯装置を提供する。
【解決手段】機械巻きの時計(1)を備えた携帯装置において、ユーザが手で巻く必要性を排除する機械的装置が、携帯装置の通常の使用を構成する単純なアクションで与えられる運動エネルギーを使用して、時計(1)を機械的に巻くことを特徴とする携帯装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式時計が設けられた移動電話機能を備えた携帯装置に係る。
【0002】
本発明が係る装置は、特にユーザが色々な場所で電話をすることのできる携帯式の電子通信装置である。
【0003】
それらは、例えば、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(例えば、登録商標であるBlackberryタイプの)、ミニコンピュータ等である。
【背景技術】
【0004】
このような携帯装置は、人口の大部分が使用し、多数の機能が設けられている。最近の数年間にわたり電子部品の小型化が進んだことで、カメラ、ビデオカメラ、MP3プレーヤ、GPS、又はメッセージをタイプしたりインターネットを使用したりできるコンパクトなキーパッドを含むことができるようになった。
【0005】
他の電子装置と同様に、携帯装置の所有者は、彼等を引き付ける審美的で且つ機能的な特徴を益々頻繁に求めるようになった。従って、異なる呼出し音、ウオールペーパー、機能、色、又はデザインを選択することで、自分の携帯装置を個人化しカスタマイズすることを望むユーザの傾向が見られる。
【0006】
ほとんどの携帯装置は、時間をスクリーン上に(種々のフォーマットで)表示できるが、あるユーザの中には、いつでもチェックでき、完全にスタンドアローン的に動作し、従って、携帯装置がオンであるかオフであるか又は放電状態であるかに関わらず動作することのできる優美さと威信の象徴である従来の機械式時計をもつことが望まれている。
【0007】
移動電話機能が設けられ且つ時計に関連した携帯装置を含むこの組立体は、携帯電話の構成において大きいサイズの時計を収容する特別な構成を必要とし、従来の時計メカニズムを巻くための特定の問題を引き起こす。
【0008】
実際に、時計は依然手で巻くことができねばならないが、評判の時計が設けられた装置のユーザにとって、(時計が狂っていることになるのが不可避である)制約であり且つ忘れがちなこの動作に先んじることができるのが一般的に好ましい。それ故、審美的で且つ実用的な事柄をもたらす特別な技術的解決策を求めることが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、時計及び携帯装置の組合せであって、その装置の通常の使用で時計を機械的に巻けることを特徴する任意の形式の組合せから生じる革新的な物を提案することにより、この困難さを克服することである。
【0010】
従って、本発明は、慣習的に手で巻くことが依然可能であることに加えて、装置の通常の使用に固有の単純なアクション中に含まれる運動エネルギーの潜在性を利用することにより機械式時計を巻くことができることを提案する。
【0011】
この形式のアクションは、例えば、携帯装置が所有者により携帯されるときの携帯装置の単純な変位は含まない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、より詳細には、移動電話機能を有し且つ少なくとも1つの時計を有する携帯装置であって、時計を機械的に巻くメカニズムと、装置に対して可動で且つ運動を伝達する機械的装置により前記機械的に巻くメカニズムに接続された少なくとも1つの可動素子とを有し、この少なくとも1つの可動素子の変位中に含まれる運動エネルギーが、前記運動を伝達する機械的装置を経て、前記時計を機械的に巻くメカニズムへ伝達されることを特徴とする携帯装置により達成される。
【0013】
装置の少なくとも1つの可動素子のユーザによるアクションは、装置を第1位置から第2位置へ変位させる。
【0014】
この変位は、運動を伝達する機械的装置を経て、時計を機械的に巻くメカニズムへ運動エネルギーを伝達し、従って、時計のキャリバーのスプリングを圧縮できるようにする。
【0015】
1つの特徴によれば、前記少なくとも1つの可動素子の変位は、装置の使用に固有の1つ又は複数のアクションの間に生じる。
【0016】
従って、装置を使用するとき、例えば、その機能の1つを具現化するとき、ユーザは、装置に一体化された時計を巻くように働くエネルギーを装置に伝達する。
【0017】
従って、例えば、フラップを広げ、バッテリ区画のカバーを開き、スクリーンをスライドさせ、或いは時計のスライド又はピボット(旋回)運動で特定機能にアクセスすることは、携帯装置の通常の使用中に生じて使用可能な機械的エネルギーポテンシャルを与えるアクションである。例えば、時計学で良く知られた振動質量システム或いはギア列又はベルトシステムは、これらのアクションを利用して、時計を機械的に巻くのに必要なエネルギーを与えることができる。
【0018】
本発明は、電話機能を含む全ての形式の携帯装置(電話、パーソナルデジタルアシスタント、ミニコンピュータ、等)、例えば、回転軸の周りで関節運動する2つの部分で形成され、一方を他方の上に折り畳むことのできるもの(以後、「フリップ電話」と称する)或いは2つの平行な平面でスライドする2つの部分で形成されるもの(以後、「スライド電話」と称する)に適応させることができる。これらの「二重本体」移動電話に加えて、本発明は、「ブロック電話」とも称される「単一本体」移動電話に適応させることもできる。
【0019】
従って、一般的に述べると、時計は、フリップ電話装置の2つのフラップの一方に固定することができ、又はスライド電話装置の2つの部分の一方に固定することができ、又は全ての形式の携帯装置においてピボット運動又はスライドさせて、スクリーン、バッテリパック、又は下にある機能を露出させられるように装着することができる。
【0020】
本発明による時計が設けられた携帯装置は、時計のメカニズムを手で巻く制約を継続することなく従来の機械式の時計を含めて優雅な外観であるという効果を有する。
【0021】
携帯装置の異なるモデルに基づき、本発明は、装置の通常の又は従来の運動中、或いは通常の使用に付随した運動中に、巻きメカニズムが作動されることを特徴とする。従って、本発明のここに例示する実施形態によれば、この運動は、ギア列(又は一連のベルト、ヒンジ、ラック、等)のアクション、或いは振動する質量の変位のいずれかを含み、これらの異なる事象は、時計を巻くことができるように機械的に最適化される。
【0022】
本発明により、機械的に巻くことが通常のアクションにより開始されるこの「携帯装置−時計」組立体の考えられる審美的実施形態の著しい多様性は、この装置の個人化に関して及び高級市場向け携帯装置のデザインとして決定的な効果である。本発明によれば、時計の巻きメカニズム及び位置付けを変化させて、多数の実施形態を導くことができる。
【0023】
一実施形態によれば、この装置は、一方を他方の上に折り畳むことができそして一方が時計を支持する2つの部分を有し、又、運動伝達装置の一部分を形成する回転軸の周りで装置を開くことができる。
【0024】
別の実施形態によれば、この装置は、2つの平行な平面内で互いに運動できそして一方が時計を支持する2つの部分を有し、時計を巻くメカニズムは、2つの可動部分が互いにスライドする間に作動される。
【0025】
この実施形態に関連した特徴によれば、巻きメカニズムは、装置の一方の部分に支持されたラックの変位により回転駆動されるギア列を含む運動伝達装置によって作動される。
【0026】
従って、時計は、例えば、装置の2つの部分の一方に支持され、ラックは、他方の部分に支持される。
【0027】
ギア列は、例えば、時計を支持する部分に配置される。
【0028】
別の実施形態によれば、時計は、全装置に対してピボット運動又は並進移動的に単独で変位される。
【0029】
この場合、時計は、装置の残り部分とは独立して変位される。
【0030】
この実施形態に関連した1つの特徴によれば、時計の変位は、その時計の変位を許すヒンジに関連した運動を伝達する機械的装置を経て時計を巻くことに貢献するように機械的に利用される。
【0031】
従って、時計は、関節の周りでピボット運動することにより変位される。
【0032】
この実施形態に関連した別の特徴によれば、時計の変位は、外部スクリーン、バッテリパック、或いは電話の機能又は携帯装置としての装置に有用な機能にリンクした他の下にあるディスプレイスクリーン、例えば、バッテリ充電インジケータ、又は移動電話通信ネットワークへの接続のインジケータを露出させることができる。
【0033】
この実施形態に関連した別の特徴によれば、時計の変位は、時計が折り畳まれる空洞内にある、電話に有用でない機能、例えば、コンパス、写真、又は彫刻により個人化されているアイテムを露出させることができる。
【0034】
この実施形態に関連した別の特徴によれば、装置は、互いに運動できる2つの部分を有し、例えば、それら部分の一方を折り畳んだり又はスライドしたりすることで携帯装置を開く必要なく、時計の独立した変位で、時計の下に位置されて関節結合されない可動部分の一部へアクセスできるようにする。
【0035】
別の実施形態によれば、時計を巻くメカニズムは、前記少なくとも1つの可動素子が開いた構成へと移動されるときには、これが、例えば、装置を開くこと、フラップを開くこと、時計を広げ又はスライドさせることを含むかどうかに関わらず、作動されるが、前記少なくとも1つの可動素子が閉じた構成へと移動されるときには、分離される(外される)。
【0036】
1つの変形態様によれば、時計を巻くメカニズムは、装置の「開いた構成」から「閉じた構成」へと通過するときに作動される。
【0037】
装置が閉じているときには、それが開いているときより、一般的に、より多くの時間が得られ、この付加的な時間を利用して、時計の機械的な巻きを改善することができる。
【0038】
更に別の実施形態によれば、この装置は、一方を他方の上に折り畳むことのできる2つの部分を有し、運動伝達装置は、一方の部分の各運動中に生じる運動エネルギーを、キャリバーを巻くメカニズムへ伝達するための直線的な自由質量システムを有する。
【0039】
自由質量、伝達装置及び時計は、例えば、装置の上部を形成する単一部分へと一体化されることに注意されたい。
【0040】
装置の可動素子へと一体化された自由移動質量は、ユーザがこの可動素子を作動/変位するときにその素子に対して直線的又はその他の所定変位で駆動される。
【0041】
1つの特徴によれば、運動伝達装置は、装置の前記少なくとも1つの可動素子の各変位の運動エネルギーを、前記キャリバーを巻くメカニズムへ伝達する振動質量システムを備えている。
【0042】
この特徴によれば、自由質量は、可動素子の作動/変位中に振動移動で駆動される。可動素子は、例えば、装置の構成部分の1つで、装置を開くために変位されるものである。この変位は、例えば、ヒンジを形成する関節の周りのピボット運動である。
【0043】
1つの特徴によれば、振動質量が重くされ、そしてアームは、時計が配置される装置のゾーン外へ延びる。
【0044】
時計の周りの装置の体積を利用することにより、質量を巻きメカニズムに接続するアームを、時計学で知られた従来の構成に対して延ばすことができる。
【0045】
大きなレバーアームは、振動中に機械的トルクを得ることができ、従って、機械巻きの性能を改善できることになる。
【0046】
別の特徴によれば、振動質量は、伝達装置が取り付けられた装置の厚みを制限するために時計キャリバーに対して横方向に配置される。
【0047】
このように質量を横方向に配置することにより、この付加的な装置により生じるかさが減少される。
【0048】
このように装備された装置は、この形式の携帯装置が受ける体積制約を重んじる。
【0049】
別の実施形態によれば、この装置は、一方を他方の上に折り畳むことができそして一方が時計を支持する2つの部分を有し、運動伝達装置は、キャリバーを完全に回転するシステムを有し、一方の部分の各移動中に使用される運動エネルギーを、キャリバーを巻くメカニズムへ伝達する。
【0050】
この実施形態では、時計全体が、それを巻くことに関与する。
【0051】
より詳細には、時計を支持する装置の可動部分を作動/変位することで、時計をピボット運動させることができる。
【0052】
従って、装置の可動部分が、例えば、ヒンジを形成する関節の周りでピボット回転することにより変位されるときには、新たな空間的配向が時計に与えられることに注意されたい。
【0053】
機械巻きに加えて、装置の可動部分の変位に関連した時計の回転は、時間表示を読み易くする。
【0054】
例えば、時計は、フラップを形成する折り畳み可能な上部により支持される。
【0055】
別の実施形態によれば、この装置は、機械式時計を巻くために運動伝達装置に接続された1つ又は複数の回転運動可能なサムホイールを有する。
【0056】
従って、装置のいずれかの面に配置されたサムホイールを単に操作するだけで、時計を巻く(スプリングを圧縮する)ことができる。この形式の装置に既知の仕方で使用されるこのようなサムホイールは、メンバーとして作用し、例えば、装置のスクリーンにカーソルを表示するように働く。
【0057】
別の実施形態によれば、この装置は、1つ又は複数のキーパッドキーを有し、その押圧が運動伝達装置により回転運動へ変換されて、機械式時計が巻かれる。
【0058】
従って、この装置のキーパッドの1つ以上のキーに作用する単純な圧力で時計を巻くことができる。
【0059】
前述した2つの実施形態の一方又は他方に関連した特徴によれば、運動伝達装置は、ギアのシステムを有する。
【0060】
特定の実施形態に関連しない特徴によれば、この装置は、完全に巻かれたときに巻きメカニズムを分離するためのメカニズムを有する。
【0061】
この付加的な構成は、時計が巻かれたとき(及びメカニズムのスプリングが圧縮されたとき)通常の仕方で(即ち、時計が巻かれる前と同じアクションをとることにより)装置を使用することができる。
【0062】
本発明の他の特徴及び効果は、非限定例を示す添付図面を参照した以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1a】機械式時計を携帯フリップ電話に関連付ける本発明の効果的な実施形態を示す図で、閉じた構成で示される正面図である。
【図1b】機械式時計を携帯フリップ電話に関連付ける本発明の効果的な実施形態を示す図で、閉じた構成で示される側面図である。
【図1c】機械式時計を携帯フリップ電話に関連付ける本発明の効果的な実施形態を示す図で、開いた構成で示される側面図である。
【図2a】(図1aから1cに示された構成でもある)フリップ電話のフラップに支持された時計の巻きメカニズムに対して考えられる伝達装置を示す。
【図2b】(図1aから1cに示された構成でもある)フリップ電話のフラップに支持された時計の巻きメカニズムに対して考えられる異なる伝達装置を示す。
【図2c】(図1aから1cに示された構成でもある)フリップ電話のフラップに支持された時計の巻きメカニズムに対して考えられる異なる伝達装置を示す。
【図3a】機械式時計を携帯スライド電話に関連付ける本発明の別の効果的な実施形態を示す図で、閉じた構成で示される側面図である。
【図3b】機械式時計を携帯スライド電話に関連付ける本発明の別の効果的な実施形態を示す図で、開いた構成で示される側面図である。
【図3c】機械式時計を携帯スライド電話に関連付ける本発明の別の効果的な実施形態を示す斜視図である。
【図4a】時計が電話全体に対して自由にピボット回転する本発明の他の効果的な実施形態における時計の構成を示す図で、フリップ電話の上部フラップに配置された時計を示す図である。
【図4b】時計が電話全体に対して自由にピボット回転する本発明の他の効果的な実施形態における時計の構成を示す図で、ブロック電話の背部のバッテリ区画カバーに固定された時計を示す図である。
【図4c】時計が電話全体に対して自由にスライドする本発明の他の効果的な実施形態における時計の構成を示す図で、ブロック電話の背部における電話の残り部分とは独立してスライドする時計を頂部構成で示す図である。
【図4d】時計が電話全体に対して自由にスライドする本発明の他の効果的な実施形態における時計の構成を示す図で、ブロック電話の背部における電話の残り部分とは独立してスライドする時計を底部構成で示す図である。
【図5a】機械式時計と、それを巻くことのできる振動質量で構成された装置が好ましくはフリップ電話の上部フラップに配置されたところを示す前面図である。
【図5b】機械式時計と、それを巻くことのできる振動質量で構成された装置が好ましくはフリップ電話の上部フラップに配置されたところを示す内部破断図である。
【図6a】自由質量の変位を使用して巻かれる時計が設けられた電話の一実施形態を示す。
【図6b】自由質量の変位を使用して巻かれる時計が設けられた電話の一実施形態を示す。
【図6c】自由質量の変位を使用して巻かれる時計が設けられた電話の一実施形態を示す。
【図7a】サムホイールの回転を使用して巻かれる時計が設けられた電話の一実施形態を示す。
【図7b】サムホイールの回転を使用して巻かれる時計が設けられた電話の一実施形態を示す。
【図7c】サムホイールの回転を使用して巻かれる時計が設けられた電話の一実施形態を示す。
【図7d】サムホイールの回転を使用して巻かれる時計が設けられた電話の一実施形態を示す。
【図8a】キーパッドのキーを押すことによる変位を使用して巻かれる時計が設けられた電話の一実施形態を示す。
【図8b】キーパッドのキーを押すことによる変位を使用して巻かれる時計が設けられた電話の一実施形態を示す。
【図9a】時計自身のピボット運動と、時計を組み込んだ電話の一部分の変位とによって巻かれる時計を有する電話の一実施形態を示す。
【図9b】時計自身のピボット運動と、時計を組み込んだ電話の一部分の変位とによって巻かれる時計を有する電話の一実施形態を示す。
【図9c】時計自身のピボット運動と、時計を組み込んだ電話の一部分の変位とによって巻かれる時計を有する電話の一実施形態を示す。
【図10a】スライド式の本発明による携帯装置(パーソナルデジタルアシスタント)の実施形態を示す。
【図10b】折り畳みフラップをもつ本発明による携帯装置(パーソナルデジタルアシスタント)の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
全ての添付図面は、携帯電話装置を示しているが、本発明は、移動電話機能を備えた任意の形式の携帯装置、例えば、(登録商標であるBlackberry又はPalm形式の)パーソナルデジタルアシスタント、携帯ミニコンピュータ、ラップトップにも適用できることに注意されたい。
【0065】
従って、添付図面に示すメカニズム及び装置は、他の携帯装置にも全体的又は部分的に適用することができる。
【0066】
図1aから1cは、本発明の第1の効果的な実施形態を示す。これは、フリップ電話に係るもので、電話は、折り畳まれ、次いで、開けられて示されている。
【0067】
図1aから1cに示す2部分携帯電話は、装置の上部フラップ(2)に配置された機械巻き時計(1)を有している。従って、時計は、移動電話ケースの比較的広い表面及び体積を占有する。
【0068】
広げた位置(開いた構成)に到達するために、移動電話の上部フラップ(2)は、ヒンジ(3)によってピボット回転する可動素子であり、これは、電話の機能、特に、そのディスプレイスクリーン(4)及びそのキーパッド(5)にアクセスできるようにする。フリップ電話を開くことは、一般に、その長さを2倍にし、話すためのマイクロホンと、他の当事者を聞くことができるようにするスピーカとの両方にアクセスすることを意味する。
【0069】
本発明のこの第1の実施形態では、時計を巻くメカニズムが、携帯電話を開くことができるようにするヒンジに接続され、巻き動作は、機械的伝達装置により得られる。
【0070】
従って、時計(1)は、一方を他方の上に折り畳むことができる2つの部分で構成された装置により支持され、電話は、時計(1)を巻くメカニズムに接続された回転軸の周りで広げることができ、巻き動作は、伝達装置により行われる。
【0071】
時計は、2つの部分のいずれかに固定できることに注意されたい。
【0072】
図2aから2cは、電話の2つの部分の関節部と時計の竜頭との間で運動を伝達するために考えられる異なる構成を示す。
【0073】
電話の2つの部分間の関節部として働くヒンジは、従来のように2つの同軸的なネスト(入れ子)構成で作られ、その一方の素子(6)は、時計(1)を支持する可動部分にしっかり取り付けられ、そしてシリンダ(7)は、他方に対して固定されると考えられる第2部分にしっかり取り付けられる。というのは、それがユーザの手に一般的に保持されるからである。
【0074】
竜頭(8)に接続された時計の機械巻きメカニズムを操作できるようにするために、電話の2つの部分を接合する関節部の同軸回転スピンドル(9)と竜頭(8)との間に伝達装置が配置される。
【0075】
本発明によれば、異なる伝達装置が考えられ、3つの実施形態が図2aから2cに示されている。
【0076】
図2aは、スピンドル(9)にしっかり取り付けられた歯付きホイール(11)により回転作動される堅牢なシャフト(10)を使用する伝達装置を示している。この堅牢なシャフト(10)は、別の歯付きホイールにより竜頭(8)に回転運動を伝達する。
【0077】
図2bは、スピンドル(9)と竜頭(8)との間に配置された一連のピニオン(12)により形成された伝達装置を示している。
【0078】
図2cは、スピンドル(9)にしっかり取り付けられたホイールと竜頭(8)との間に配置されたベルト(13)を使用する伝達装置を示している。
【0079】
伝達装置の3つの図において、移動電話を開く/閉じるときにスピンドル(9)を回転させるアクションは、伝達装置を回転して時計を巻くことを推進するように作用する。
【0080】
本発明の第2の実施形態によれば、時計は、携帯スライド電話の下部に支持され、時計を巻くメカニズムは、操作のための2つの可動部分のスライドを利用する。これら2つの部分は、2つの相互に平行な平面内で移動する。
【0081】
この実施形態が図3aから3cに示されている。
【0082】
ここで問題とする携帯電話は、下部(15)に一般的に支持された電話のキーパッド(5)を露出させるために上方にスライドすることにより変位できる上部(14)(電話のスクリーン(4)を一般的に支持する)によって形成される。一方が可動素子として働くこれら2つの部分のスライド動作が図3a及び3bにわたって示されている。
【0083】
この第2の実施形態では、時計がスライド電話の下部(15)に配置される。図3aから3cは、機械式の時計を巻くための考えられるメカニズムの原理を示している。これは、(移動電話の上部(14)に配置された)ラック(16)、及びこのラックと竜頭(8)との間に歯付きホイール伝達装置を形成する(移動電話の下部(15)に配置された)1組のギア(17)を有している。
【0084】
この実施形態によれば、上部(14)が並進移動的に変位されたときに、歯付きホイールが回転駆動され、そして竜頭(8)が作動される。
【0085】
従って、本発明によれば、スライド式の電話に配置される時計の巻きメカニズムは、電話の上部14に支持されたラックの変位で回転駆動されるギア列によって作動することができる。
【0086】
上述した2つの実施形態は、「二重本体」形式の電話、或いは同じ一般的構成を有する他の携帯装置に特に適している。時計は、両部分の一方にしっかり取り付けられ、そして移動電話が開かれ及び閉じられるときに作動される巻きメカニズムは、両部分間の関節部/接続部に支持される。しかしながら、装置の開閉とは独立した関節部に時計を位置させ、従って、携帯装置をブロックするように前記メカニズムを適用することも可能である。
【0087】
全ての形式の携帯電話(単一又は二重本体)に関連した第3の実施形態によれば、時計は、それがピボット運動又は並進移動的に変位でき且つ電話の残り部分とは独立してそれを行えるように配置される。
【0088】
この実施形態の効果的な具現化が図4aから4dに示されている。
【0089】
図4aは、フリップ電話の上部フラップ(2)に配置された時計(1)を示している。時計(1)をピボット運動すると、フリップ電話の外部スクリーン(18)が露出する。
【0090】
図4bは、例えば、バッテリ区画カバー(19)に取り付けられた時計(1)を示し、このカバーを開くと、ブロック携帯電話(20)の背部に位置されたバッテリパックにアクセスすることができる。
【0091】
これら2つの構成において、時計(1)の巻きメカニズムは、時計の独立したピボット運動を許すヒンジ21に関連した運動を機械的に伝達する装置を経て作動される。この巻きメカニズムは、本発明の第1の実施形態に関連して上述した機械的伝達の原理に基づいて作動される。
【0092】
図4c及び4dは、一般的にスクリーン(4)及びキーパッド(5)をその主面に有するブロック電話(20)の背部に配置された機械式時計(1)のスライド動作を示している。このスライド動作は、例えば、バッテリパックを露出できるようにする。この構成では、巻きメカニズムは、ラック(16)に依存する本発明の第2の実施形態に関連して上述した機械的伝達機構の原理に基づいて作動される。
【0093】
従って、本発明による効果的な仕方で、電話に対して時計を独立してスライドさせ又はピボット回転させると、時計を巻くことに関わるのと同時に、ディスプレイスクリーンを露出させ、バッテリパックにアクセスし、電話の機能、或いは電話としての装置に有用な機能、例えば、バッテリ充電インジケータ、又は移動電話通信ネットワークへの接続のインジケータにアクセスすることができる。
【0094】
又、同様に、時計の変位は、電話にとって有用でない機能を露出できることも考えられる。従って、閉じた状態で時計が配置される空洞の内部は、開いた状態で、例えば、コンパス、写真、又は彫刻により個人化されたアイテムを見ることができるようにする。
【0095】
更に、この第3の実施形態では、互いに移動できる2つの部分を有し、携帯電話を広げたりスライドさせたりする必要なく、時計を変位すると、時計の下にあって関節結合されていない可動部の一部分にアクセスできるような携帯電話も考えられる。
【0096】
又、この第3の実施形態では、独立したスライド移動又はピボット運動により、携帯電話がどんな形式のものであろうと、その電話の一部分に対する取り外し可能な保護手段を時計が形成することが可能である。
【0097】
図5a及び5bに示された第4実施形態では、時計(1)は、それがどんな形式であるかに関わらず(このケースでは、フリップ電話の上部フラップにおいて示されているが)、携帯電話(22)に装着される。この時計は、ユーザによって携帯電話に与えられる変位に基づいて、及び/又は時計を支持している装置の可動部のユーザによる変位の間に生じる振動質量(23)の揺動を経て巻かれる。
【0098】
装置は、例えば、互いに移動できる2つの部分で構成されることに注意されたい。
【0099】
時計を合体する一方の部分は、ヒンジ形成関節部の周りで広げる(ピボット回転する)か、又は装置の開/閉中にスライドすることにより変位される。
【0100】
この変位の間に、振動質量は、運動が推進される。
【0101】
慣習的に「自動巻き」と称される、振動質量を伴うこのメカニズムの一般的な原理は、腕時計で広く知られているので、時計学で良く知られている。
【0102】
図5aは、時計(1)と、時計(1)の下に設けられたスペースに包囲され、窓(24)を経てあちこちへの移動を見ることができる振動質量(23)とを備えた電話の前面図を示すことで、この実施形態を示している。
【0103】
図5bは、この装置の後面図を示す内部破断図である。振動質量(23)がそのアーム(25)により機械式時計のキャリバー(26)に接続されたところを見ることができる。質量は、このケースでは、約90°の円弧に沿って自由に移動し、そしてあちこちへの移動は、振動質量を含むスペースの両端に配置された当接形成部(27)により制限される。それでも、他の実施形態では、質量のより大きな振動振幅を提案することができ、360°にわたって完全に自由であることも提案される。
【0104】
振動質量により時計を自動巻きするための従来のメカニズムは、良く知られている。従来、このシステムでは、時計のキャリバーの後部に配置されそして時計のケースに収容される振動質量は、360°にわたって自由に移動する。
【0105】
本発明は、この場合に、電話のような携帯装置により形成される特定の支持体に関する制約(例えば、サイズ)にこの振動質量の原理を適応させることのできる関連技術解決策を提案しようとするものである。
【0106】
この実施形態では、この解決策は、この場合、腕時計に関する時計学で従来見られる装置に対して質量を重くし且つアーム(25)を延長することにより質量の運動収率を高めることである。更に、もはや質量をキャリバー26の後方に配置せずに、細くて長いアームによりキャリバーに対して横に配置することにより、装置の全厚みを減少するように求めることができる。
【0107】
ヒンジを開くか又はスライドさせることを含む上述した各実施形態は、「開いた」構成及び「閉じた」構成が存在することを特徴とする。これら実施形態に関連した時計の巻きメカニズムは、好ましくは閉じた構成から開いた構成へ移動することが意図されたアクションの間に一方向にのみ作動されることに注意されたい。それと並行に、開いた構成から閉じた構成へ移動するように意図されたアクションは、時計の巻きメカニズムを自動的に分離することを含む。この分離は、竜頭がそれを巻くときとは逆方向に作動されたときに手動の機械巻きの腕時計と同様に行われる。
【0108】
振動質量を含む第4の実施形態に関連して、携帯電話、又は時計を支持する携帯電話の一部分がどんな形式の運動を受けようと、従って、前記質量によって作用される移動方向がどのようなものであれ、その運動エネルギーを使用して時計を再充電できることに注意されたい。
【0109】
更に、時計にとって危険なストレスを制限するために、本発明による装置は、時計が完全に巻かれたときにその巻きメカニズムを分離するためのメカニズムを有する。従って、竜頭の駆動を分離するためにトルクリミッタを設けることができる。
【0110】
機械式時計を有する携帯装置の多数の変形例が考えられ、時計、装置の一部分(例えば、フラップ)又は装置自体の運動をその巻きメカニズムへ結合するために異なる伝達装置を使用することができる。時計は、本発明の範囲から逸脱せずに、異なる形式の装置又はその異なる部分に配置することもできるし、それら部分とは独立して関節結合することもできる。
【0111】
もちろん、本発明の範囲から逸脱せずに、単一のダイヤル又は複数のダイヤルを有し、種々の機能を表示し、異なる複雑さ又は様々な外観を呈する異なる機械式時計を使用することができる。
【0112】
ここに取り上げる携帯装置は、本発明の範囲から逸脱せずに、現在の装置の全ての既知の機能、及び従来の付加的なオプション、例えば、カメラ、ビデオカメラ、インターネット接続、GPS、MP3プレーヤ、メッセージ受信及び送信、等を含むことができる。
【0113】
図6a、6b及び6cに示す第5実施形態では、装置は、2つの部分、即ち一方を他方の上に折り畳むことのできるフラップを有する。時計(1)は、ヒンジ(3)が設けられたフリップ電話の上部フラップ(2)に装着され、そして電話の開及び閉段階中、即ちユーザが電話の上部フラップ(2)を起こすか又は折り畳むときに生じる質量(28)の直線的変位によって巻かれる。
【0114】
実際に、電話を開くときに、質量(28)は、上部フラップに配置されたガイド路(29)におけるその自重の作用のもとで直線的に変位されることが理解されよう。質量(28)のこの運動は、次いで、接続ロッド(30)及びクランク(31)の助けで回転運動へと変換される。クランク(31)の回転運動は、次いで、ギア列(32)を経て時計(1)の従来の「自動」キャリバー(26)へ伝達される。例えば、上述した運動伝達装置が上部フラップに一体化される。
【0115】
可動質量を伴う従来のいわゆる「自動」キャリバーの一般的な原理は、腕時計で広く使用されているので時計学で良く知られているが、これら腕時計では、質量は回転運動であり、並進移動ではないという相違がある。
【0116】
図6cに示す変形例によれば、接続ロッド−クランクの対を、ラックシステムに置き換えることができる。従って、質量(28)にはラック(33)が設けられる。ガイド(29)における自由質量の変位中に、ラックは、駆動ピニオン(34)を回転駆動する。この回転運動は、次いで、ギア列(32)により時計(1)の従来の「自動」キャリバー(26)へ伝達される。
【0117】
図7aから7dに示す第6実施形態は、この場合に、折り畳み可能なフラップを有する携帯装置に関する。しかしながら、この実施形態は、機械式時計(1)と、種々の電子機能(例えば、ボリュームの調整及び/又はビデオカメラのズーム及び/又はメニューのリストのスクロール、等)を制御するように働くことのできるサムホイール(35)とを有するいかなる形式の装置(ブロック、スライド又はフリップ)にも適用できる。従来のように、これらのサムホイールは、移動装置(例えば、移動電話)のユーザによって回転され、この運動は、電子ボード(37)に半田付けされた電子コンポーネント(36)(例えば、エンコーダの形式の)へ伝達され、これは、電気信号の形態の情報を装置の残りの電子部分へ送信する。この第6実施形態によれば、任意の形態のもので且つ移動装置の任意の位置(装置のいずれかの面)に配置されるサムホイール(35)(又は複数のサムホイール)の回転も、時計のキャリバー(39)を巻くように働くスピンドルを駆動するギア列(38)を経て、機械式時計を巻くように利用される(図7d)。時計のキャリバーが完全に巻かれたときにサムホイールを停止しないようにするため、時計を巻くスピンドルの出力には、トルクリミッタ又は分離システムが挿入される。
【0118】
サムホイールは、この場合、装置の横面の1つに配置されるが、例えば、装置の前面に配置することもでき、又、装置が2つの部分より成る場合に一方の部分の任意の面に配置できることにも注意されたい。
【0119】
図8a及び8bに示す第7実施形態は、機械式時計と、電気機械的キーをもつキーパッド(即ち、従来の非触覚電話キーパッド)とを有する任意の形式(ブロック、スライド又はフリップ)の携帯装置に関する。この実施形態では、キーパッドの通常の使用は、機械式時計の機械巻きに貢献する。従って、ユーザがキーに圧力を及ぼすとき、同時に、
− 一方では、キー(40)の並進移動/押圧運動が、カム(部品40に位置する突起のような)及び部品(41)により回転運動へと変換され、
− 他方では、キー(40)が、電子ボード(46)にそれ自体半田付けされた電気機械的コンタクト(45)に支持される。
【0120】
キーが押圧されたときカムが下方に変位されると、部品(41)の溝におけるカムの移動により部品(41)が回転駆動される(図8b)。又、この部品(41)は、そのベースに歯付きホイールも有し、その回転運動をギア列(44)へ伝達することができ、次いで、ギア列は、時計のキャリバー(39)を巻くように働くスピンドルを駆動する。
【0121】
部品(41)及び(44)は、支持体、例えば、部品(43)及び/又は電子ボード(46)に装着されることに注意されたい。
【0122】
時計のキャリバーが完全に巻かれたときにキーを停止しないようにするために、時計を巻くスピンドルの出力にはトルクリミッタ又は分離システムが挿入される。
【0123】
キーと機械式時計を巻くスピンドルとの間のこの関係原理は、携帯電話、又はより一般的には、移動電話機能を伴う携帯装置のキーパッドの1つ又は複数のキーを含むことができる。
【0124】
図9a及び9bに示す第8の実施形態は、機械式時計(1)を有するフラップをもつ携帯装置に係る。時計(1)には、従来の自動巻きの機械的キャリバーが設けられる。キャリバー(39)の振動質量が通常固定されるスピンドル(50)は、この場合、時計の主ケーシング(51)にしっかり取り付けることができ、このケーシングそれ自体は、装置のフラップにしっかり取り付けられる。キャリバー(39)、竜頭(47)、ダイヤル及び二次ケーシング(52)により形成されたアッセンブルは、スピンドル(50)に対して180°の角度範囲にわたり自由にピボット運動する(図9b及び9c)。この組立体の回転は、二次ケーシング(52)に質量(49)が存在することによるものであり、これは、不平衡を生じさせ、従って、常に、時計を同じ方向に向ける(図9a)。電話が開けられると、不平衡により時計が回転させられる。固定スピンドル(50)に対する時計のキャリバー(39)のこの相対的な回転が機械式時計の巻き動作を推進する。
【0125】
スピンドル(50)の周りでの加重された時計の回転は、少なくとも1つのホイール48の存在により容易にされ(例えば、直径方向に対向して配置された2つのホイールが図9a及び9bに示されている)、これは、スピンドル(50)に対する組立体の重量による剪断力を制限することができる。
【0126】
竜頭(47)は、時計の時刻をセットすると共に、おそらく、時計を手で巻くことができる。
【0127】
時計が完全に巻かれたときにその回転を停止しないようにするために、時計を巻くスピンドルの出力にはトルクリミッタ又は分離システムが挿入される。
【0128】
上述したように、本発明及び種々のメカニズムは、携帯電話に係るが、それに限定されず、パーソナルデジタルアシスタント、ミニコンピュータ、等にも係る。
【0129】
従って、図10aは、スライドして全キーボード(例えば、azertyタイプの)を露出させるパーソナルアシスタントを示している。この携帯装置は、その外面にスクリーン(例えば、触覚スクリーン)を有する上部と称する部分(54)と、片側(装置が閉じた構成にあるときに部分(54)によりマスクされるために内面と称される面)にキーパッドを有し且つその反対側(装置が閉じたときに見えるために外面と称されるその反対面)に機械式時計(1)を有する下部と称される部分(53)とを有している。上述した実施形態と同様に、これら部分が互いにスライドするときに使用される運動エネルギーを利用して、装置に一体化された機械式時計(1)が巻かれる。
【0130】
例えば、図3aから3c、図7aから7d(装置が回転サムホイールを有する場合;このケースでは、サムホイールが側部の1つにある場合に装置を閉じた構成で使用することもできる)、或いは図8a及び8bに示されたメカニズムの1つを使用できることに注意されたい。
【0131】
図10bは、全キーボードを露出させるフラップをもつパーソナルアシスタントを示している。この携帯装置は、対向面の各々にスクリーンを含む上部フラップと称されるフラップ(56)と、片側(内面と称される面)にキーパッドを有し且つ他側(外面と称される反対面)に装置に一体化された機械式時計(1)を有する下部フラップと称されるフラップ(55)とを有している。上述した実施形態と同様に、例えば、フラップを互いにピボット運動させることにより装置を開閉する間に使用される運動エネルギーを利用して、機械式時計(1)が巻かれる。
【0132】
例えば、図1aから1c、図2aから2c、図6aから6c、図8a及び8b、図9aから9cに示すメカニズムの1つを使用できることに注意されたい。
【0133】
1つの変形例によれば、装置が閉じた位置にあるときに、装置の別の素子の変位を利用して、時計の機械巻きメカニズムにエネルギーを伝達することができる。従って、例えば、図7aから7dに示すように、閉じた装置の大きな外面又は小さな外面の1つに配置されたサムホイールの回転を考えることができる。
【0134】
もちろん、本発明は、以上に例示した実施形態に限定されず、全ての技術的等効物及びその組合せも包含する。
【符号の説明】
【0135】
1:時計
2:上部フラップ
3:ヒンジ
4:ディスプレイスクリーン
5:キーパッド
6:素子
7:シリンダ
8:竜頭
9:スピンドル
10:シャフト
11:歯付きホイール
12:ピニオン
13:ベルト
14:上部
15:下部
16:ラック
17:ギア
18:外部スクリーン
19:バッテリ区画カバー
20:ブロック携帯電話
21:ヒンジ
22:携帯電話
23:振動質量
24:窓
25:アーム
26:キャリバー
27:当接形成部分
28:質量
29:ガイド路
30:接続ロッド
31:クランク
32:ギア列
33:ラック
34:ピニオン
35:サムホイール
36:電子コンポーネント
37 電子ボード
38:ギア列
39:キャリバー
40:キー
41、43、44:部品
45:電気機械的コンタクト
46:電子ボード
47:竜頭
48:ホイール
49:質量
50:スピンドル
51:主ケーシング
52:二次ケーシング
53、54:部分
55、56:フラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動電話機能を有し且つ少なくとも1つの時計(1)を含む携帯装置において、
前記時計を機械的に巻くメカニズムと、前記装置に対して可動で、運動を伝達する機械的装置により前記機械的に巻くメカニズムに接続された少なくとも1つの可動素子とを有し、
この少なくとも1つの可動素子の変位中に生じる運動エネルギーが、前記運動を伝達する機械的装置を経て前記時計を機械的に巻くメカニズムへ伝達されることを特徴とする携帯装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの可動素子の変位は、前記装置の使用に固有の少なくとも1つのアクション中に発せられる、請求項1に記載の携帯装置。
【請求項3】
前記携帯装置の使用に固有のアクションは、特に、主フラップ又はバッテリ区画カバーを開くこと、スクリーンをスライドすること、前記時計(1)のピボット運動又はスライドにより特定の機能にアクセスすることである、請求項2に記載の携帯装置。
【請求項4】
一方を他方の上に折り畳むことができ且つ一方が時計を支持するような2つの部分を有し、前記装置を開くことは、前記運動伝達装置(10,12,13)の一部分を形成する回転軸の周りで行われる、請求項1から3の何れか1項に記載の携帯装置。
【請求項5】
2つの平行な平面内で互いに可動であり且つ一方が時計を支持するような2つの部分を有し、前記時計(1)の巻きメカニズムは、前記2つの可動部分を互いにスライドさせる間に作動される、請求項1から3の何れか1項に記載の携帯装置。
【請求項6】
前記巻きメカニズムは、前記装置の一方の部分(14)に支持されたラック(16)の変位により回転駆動されるギア列(17)を含む前記運動伝達装置によって作動される、請求項5に記載の携帯装置。
【請求項7】
前記時計(1)は、全装置に対してピボット運動又は並進移動的に単独で変位される、請求項1から3の何れか1項に記載の携帯装置。
【請求項8】
前記時計(1)の変位は、前記時計(1)の前記変位を許すヒンジ(21)に関連した運動を伝達するための機械的装置を経て前記時計(1)を巻くことに貢献するように機械的に利用される、請求項7に記載の携帯装置。
【請求項9】
前記時計(1)の変位は、外部スクリーン(18)、バッテリパック、或いは電話の機能又は携帯装置としての装置に有用な機能にリンクした他の下にあるディスプレイスクリーン、例えば、バッテリ充電インジケータ、又は通信ネットワークへの接続のインジケータを露出させることができる、請求項8に記載の携帯装置。
【請求項10】
前記時計(1)の変位は、前記時計(1)が折り畳まれる空洞内にある、電話に有用でない機能、例えば、コンパス、写真、又は彫刻により個人化されているアイテムを露出させることができる、請求項7から9の何れか1項に記載の携帯装置。
【請求項11】
互いに可動な2つの部分を有し、前記携帯装置を開く必要なく、前記時計(1)の独立した変位で、前記時計(1)の下に位置されて関節結合されない可動部分の一部へアクセスできるようにする、請求項7から10の何れか1項に記載の携帯装置。
【請求項12】
前記時計(1)を巻くメカニズムは、前記少なくとも1つの可動素子が開いた構成へ移動されるときには、これが、例えば、装置を開くこと、フラップを開くこと、時計(1)を広げ又はスライドさせることを含むかどうかに関わらず、作動されるが、前記少なくとも1つの可動素子が閉じた構成へ移動されるときには、分離される、請求項1から11の何れか1項に記載の携帯装置。
【請求項13】
一方を他方の上に折り畳むことのできる2つの部分を有し、前記運動伝達装置は、一方の部分(2)の各運動中に使用される運動エネルギーを、キャリバー(26)を巻くメカニズムへ伝達するための直線的な自由質量システムを有する、請求項1から3の何れか1項に記載の携帯装置。
【請求項14】
前記運動伝達装置は、前記装置の前記少なくとも1つの可動素子の各変位の運動エネルギーを、前記キャリバー(26)を巻くメカニズムへ伝達する振動質量システムを備えた、請求項1から3の何れか1項に記載の携帯装置。
【請求項15】
前記振動質量(23)が重くされ、そして前記質量を前記巻くメカニズムに接続する前記アーム(25)は、時計が配置される装置のゾーン外へ延びる、請求項14に記載の携帯装置。
【請求項16】
前記振動質量(23)は、伝達装置が取り付けられた前記装置の厚みを制限するために前記時計のキャリバー(26)に対して横方向に配置される、請求項14又は15に記載の携帯装置。
【請求項17】
一方を他方の上に折り畳むことができそして一方が時計を支持する2つの部分を有し、前記運動伝達装置は、前記キャリバーを完全に回転するシステムを有し、一方の部分(2)の各移動中に使用される運動エネルギーを、前記キャリバー(26)を巻くメカニズムへ伝達する、請求項1から3の何れか1項に記載の携帯装置。
【請求項18】
前記機械式時計を巻くために前記運動伝達装置に接続された1つ又は複数の回転運動可能なサムホイール(35)を有する、請求項1から3の何れか1項に記載の携帯装置。
【請求項19】
1つ又は複数のキーパッドキー(40)を有し、その押圧が前記運動伝達装置によって回転運動へ変換されて、前記機械式時計が巻かれる、請求項1から3の何れか1項に記載の携帯装置。
【請求項20】
前記運動伝達装置はギアのシステムを有する、請求項18又は19に記載の携帯装置。
【請求項21】
巻き動作が完全に行われたときに前記巻きメカニズムを分離するためのメカニズムを有する、請求項1から20の何れか1項に記載の携帯装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図10a】
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【図10b】
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【公表番号】特表2010−538250(P2010−538250A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522426(P2010−522426)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051554
【国際公開番号】WO2009/044027
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(510055895)