説明

正立等倍レンズアレイプレート

【課題】正立等倍レンズアレイプレートの光学性能を向上する。
【解決手段】正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズアレイプレート24と、第2レンズアレイプレート26と、第1遮光部材と、第2遮光部材と、中間遮光部材とを備える。第1遮光部材、第2遮光部材および中間遮光部材は、主走査方向に平行な分割面で2分割されている。分割された一方の第1分割遮光部材31a、第2分割遮光部材32aおよび中間分割遮光部材33aが一体化されて第1分割ホルダ30aが構成されている。分割された他方の第1分割遮光部材31b、第2分割遮光部材32bおよび中間分割遮光部材33bが一体化されて第2分割ホルダ30bが構成されている。正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26を、第1分割ホルダ30aおよび第2分割ホルダ30bで挟み込むことにより組み付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置や画像形成装置に用いられる正立等倍レンズアレイプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ等の画像読取装置として、正立等倍結像光学系を用いた装置が知られている。正立等倍結像光学系を用いた場合、縮小結像光学系の場合よりも装置をコンパクトにすることができる。画像読取装置の場合、正立等倍結像光学系は、ライン状光源と、正立等倍レンズアレイと、ラインイメージセンサから構成される。
【0003】
正立等倍結像光学系における正立等倍レンズアレイとしては、従来、正立等倍像を結像可能なロッドレンズアレイが用いられてきたが、近年では、両面に複数の微小凸レンズを規則的に配列した透明なレンズアレイプレートを、個々の凸レンズの光軸が一致するように2枚積層した正立等倍レンズアレイプレートが提案されている。このような正立等倍レンズアレイプレートは、射出成形などの方法により形成できるレンズアレイプレートを積層した構造であるため、正立等倍レンズアレイを比較的安価に製造することができる。
【0004】
正立等倍レンズアレイプレートでは、隣接したレンズ間に光線を隔離するための壁が無いため、正立等倍レンズアレイプレートに斜めに入射した光線が、プレート内部を斜めに進んで隣接した凸レンズに入り込み、出射してノイズ(ゴーストともいう)を形成するという問題がある。ゴーストを形成する結像に寄与しない光は、迷光と呼ばれる。
【0005】
従来、この迷光対策のため、2枚のレンズアレイプレートの上下に遮光部材と設けるとともに、2枚のレンズアレイプレートの間に遮光部材を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。各遮光部材には、結像光を通過させるための貫通孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−17840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、2枚のレンズアレイプレートと3つの遮光部材を積層して正立等倍レンズアレイプレートを形成する方式の場合、レンズアレイプレートの凸レンズの光軸と、遮光部材の貫通孔の中心軸を合わせないと、設計通りの光学性能(解像度、解像度面内分布、迷光遮断)が得られないおそれがある。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、光学性能を向上することのできる正立等倍レンズアレイプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の正立等倍レンズアレイプレートは、複数のレンズが主走査方向に沿って両面に設けられた第1レンズアレイプレートと、複数のレンズが主走査方向に沿って両面に設けられ、第1レンズアレイプレートと対向するように配置された第2レンズアレイプレートと、第1レンズアレイプレート上に設けられ、第1レンズアレイプレートの一方の面のレンズの正面に位置する複数の第1貫通孔を有する第1遮光部材と、第2レンズアレイプレート上に設けられ、第2レンズアレイプレートの一方の面のレンズの正面に位置する複数の第2貫通孔を有する第2遮光部材と、第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートの間に設けられ、第1レンズアレイプレートの他方の面のレンズと第2レンズアレイプレートの他方の面のレンズの正面に位置する複数の中間貫通孔を有する中間遮光部材とを備える。第1遮光部材、第2遮光部材、および中間遮光部材は、主走査方向に平行な分割面で2分割されており、分割された一方の第1遮光部材、第2遮光部材、および中間遮光部材が一体化されて第1分割ホルダが構成されており、分割された他方の第1遮光部材、第2遮光部材、および中間遮光部材が一体化されて第2分割ホルダが構成されている。正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズアレイプレートおよび第2レンズアレイプレートを、第1分割ホルダおよび第2分割ホルダで挟み込むことにより組み付けられる。
【0010】
分割面は、第1貫通孔、第2貫通孔、および中間貫通孔の中心を通っていてもよい。
【0011】
第1貫通孔、第2貫通孔、および中間貫通孔の内壁には、入射した光を散乱させるための溝が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光学性能を向上することのできる正立等倍レンズアレイプレートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】正立等倍レンズアレイプレートを用いた画像読取装置を説明するための図である。
【図2】本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートの斜視図である。
【図3】本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートの分解斜視図である。
【図4】分割ホルダが成形される様子を示す図である。
【図5】一実施例に係る分割ホルダの平面図である。
【図6】別の実施例に係る分割ホルダの平面図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートの斜視図である。
【図8】図8(a)〜図8(c)は、本発明の別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートについて説明する。
【0015】
図1は、正立等倍レンズアレイプレートを用いた画像読取装置100を説明するための図である。図1に示すように、画像読取装置100は、光走査ユニット10、原稿Gを載置する原稿台としてのガラス板14、光走査ユニット10を走査する駆動機構(図示せず)、光走査ユニット10によって読み取られたデータを処理する画像処理部(図示せず)等を備える。
【0016】
光走査ユニット10は、ガラス板14上に載置された原稿Gに光を照射するライン状光源16と、原稿Gからの反射光を集光する正立等倍レンズアレイプレート11と、正立等倍レンズアレイプレート11により集光された光を受けるラインイメージセンサ(光電変換素子)20と、ライン状光源16、正立等倍レンズアレイプレート11およびラインイメージセンサ20を収容する筐体12とを備える。
【0017】
筐体12は、略直方体形状に形成されており、筐体12の上面には第1凹部12aおよび第2凹部12bが形成され、下面には第3凹部12cが形成されている。筐体12は、樹脂の射出成形により形成される。射出成形により筐体12を形成することにより、筐体12を容易に形成でき、安価とすることができる。第1凹部12a内には、ライン状光源16が斜めに固定されている。ライン状光源16は、照射光の光軸が、正立等倍レンズアレイプレート11の光軸Axとガラス板14の上面との交点を通るように固定される。
【0018】
第2凹部12bには、正立等倍レンズアレイプレート11が固定されている。第3凹部12cには、ラインイメージセンサ20を備えた基板22が取り付けられている。基板22は、その上面が第3凹部12cに設けられた段差部12dに当接するように固定されている。
【0019】
正立等倍レンズアレイプレート11は、複数の凸レンズを両面に形成した第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26が対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように積層されたものである。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、ホルダ30により積層状態で保持されている。
【0020】
正立等倍レンズアレイプレート11は、その長手方向が主走査方向に、短手方向が副走査方向に一致するように画像読取装置100に装着される。正立等倍レンズアレイプレート11は、上方に位置する原稿Gから反射されたライン状の光を受けて、下方に位置する像面、すなわちラインイメージセンサ20の受光面に正立等倍像を形成する。画像読取装置100は、光走査ユニット10を副走査方向に走査することにより、原稿Gを読み取ることができる。
【0021】
以下、正立等倍レンズアレイプレート11についてより詳細に説明する。
【0022】
第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、長方形状のプレートであり、その両面には複数の凸レンズが形成されている。すなわち、第1レンズアレイプレート24のガラス板14側の面上には、複数の第1レンズ24aが主走査方向(長手方向)に沿って一列に配置されており、ラインイメージセンサ20側の面上には、複数の第2レンズ24bが主走査方向に沿って一列に配置されている。また、第2レンズアレイプレート26のガラス板14側の面上には、複数の第3レンズ26aが主走査方向に沿って一列に配置されており、ラインイメージセンサ20側の面上には、複数の第4レンズ26bが主走査方向に沿って一列に配置されている。本実施の形態では、第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26a、第4レンズ26bの形状を球面としたが、非球面であってもよい。
【0023】
第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、射出成形により形成される。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26の材質は、射出成形に使用可能で、必要な波長帯域の光に対して光透過性が高く、吸水性の低いものが望ましい。望ましい材質としては、シクロオレフィン系樹脂や、オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネートなどを例示することができる。
【0024】
第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、対応する第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26a、第4レンズ26bの組が共軸のレンズ系を構成するように、第2レンズ24bと第3レンズ26aとを対向させて積層される。本実施形態においては、第2レンズ24bと第3レンズ26aとが離間しているが、レンズの光学特性に応じて第2レンズ24bと第3レンズ26aとが当接していてもよい。
【0025】
第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26を保持するホルダ30は、第1遮光部材31と、第2遮光部材32と、中間遮光部材33とを有する。第1遮光部材31、第2遮光部材32、および中間遮光部材33は、略同一の大きさの長方形の板状部材である。第1遮光部材31、第2遮光部材32、および中間遮光部材33は、それらの短手方向の両端部に設けられた支持部34によって平行に所定距離離間するように支持されている。図1に示すように、第1遮光部材31と中間遮光部材33によって第1レンズアレイプレート24が挟み込まれ、第2遮光部材32と中間遮光部材33によって第2レンズアレイプレート26が挟み込まれている。
【0026】
ホルダ30において、第1遮光部材31と中間遮光部材33の間隔は、第1レンズアレイプレート24が挿入可能なように、第1レンズアレイプレート24の厚みとほぼ等しいか若干大きく形成されている。また、第2遮光部材32と中間遮光部材33の間隔は、第2レンズアレイプレート26が挿入可能なように、第2レンズアレイプレート26の厚みとほぼ等しいか若干大きく形成されている。
【0027】
第1遮光部材31には、第1レンズアレイプレート24の複数の第1レンズ24aと対応する複数の第1貫通孔35が形成されている。また、第2遮光部材32には、第2レンズアレイプレート26の複数の第4レンズ26bと対応する複数の第2貫通孔36が形成されている。また、中間遮光部材33には、第1レンズアレイプレート24の複数の第2レンズ24bおよび第2レンズアレイプレート26の第3レンズ26aに対応する複数の中間貫通孔37が形成されている。第1貫通孔35、第2貫通孔36、および中間貫通孔37は、円柱状の貫通孔である。
【0028】
第1貫通孔35、第2貫通孔36、および中間貫通孔37は、それぞれ第1遮光部材31、第2遮光部材32、および中間遮光部材33の長手方向に沿って一列に配置されており、対応する3つの貫通孔の中心軸が一致している。第1貫通孔35、第2貫通孔36、および中間貫通孔37の直径は、凸レンズの直径と略同じ大きさである。
【0029】
第1遮光部材31、第2遮光部材32、中間遮光部材33、および支持部34は、遮光性材料により形成されている。遮光性材料としては、射出成型に使用可能で、且つ必要な波長帯域の光に対して遮光性が高い材料が望ましく、たとえば黒色のABS樹脂を例示することができる。
【0030】
第1レンズアレイプレート24を第1遮光部材31と中間遮光部材33との間に挿入した状態において、第1遮光部材31の第1貫通孔35は、各々対応する第1レンズ24aの正面に位置しており、第2遮光部材32の第2貫通孔36は、各々対応する第4レンズ26bの正面に位置しており、中間遮光部材33の中間貫通孔37は、各々対応する第2レンズ24bおよび第3レンズ26aの正面に位置している。対応する第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26aおよび第4レンズ26bの光軸と、第1貫通孔35、第2貫通孔36および中間貫通孔37の中心軸とは一致している。
【0031】
このように組み付けられることにより、第1レンズアレイプレート24のガラス板14側の面は、第1レンズ24a以外の領域が第1遮光部材31により覆われ、ラインイメージセンサ20側の面は、第2レンズ24b以外の領域が中間遮光部材33により覆われる。また、第2レンズアレイプレート26のラインイメージセンサ20側の面は、第4レンズ26b以外の領域が第2遮光部材32により覆われ、ガラス板14側の面は、第3レンズ26a以外の領域が中間遮光部材33により覆われる。
【0032】
第1遮光部材31は、第1レンズ24aへ迷光が入射するのを遮断する。また、第2遮光部材32は、第4レンズ26bから迷光が出射するのを遮断する。また、中間遮光部材33は、第2レンズ24bから迷光が出射するのを遮断し、且つ第3レンズ26aに迷光が入射するのを遮断する。
【0033】
以上のように、本実施形態においては、ホルダ30は、第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26を保持する機能と、第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26を迷光が通過するのを遮断する機能とを有する。迷光を確実に遮断することにより、ゴーストの形成を防止できる。
【0034】
図2は、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートの斜視図である。図2には、正立等倍レンズアレイプレート11の主走査方向(長手方向)の一部が図示されている。
【0035】
本実施形態において、ホルダ30は、主走査方向に平行な分割面40で2分割された第1分割ホルダ30aおよび第2分割ホルダ30bから構成されている。分割面40は、第1貫通孔35、第2貫通孔36、および中間貫通孔37の中心を通っている。
【0036】
図3は、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートの分解斜視図である。図3に示すように、第1遮光部材は、分割面により第1分割遮光部材31a,31bに2分割され、第2遮光部材は、分割面により第2分割遮光部材32a,32bに2分割され、中間遮光部材は、分割面により中間分割遮光部材33a,33bに2分割される。また、第1貫通孔35は、分割面により第1分割貫通孔35a,35bに2分割され、第2貫通孔36は、分割面により第2分割貫通孔36a,36bに2分割され、中間貫通孔37は、分割面により中間分割貫通孔37a,37bに2分割される。
【0037】
第1分割ホルダ30aは、第1分割遮光部材31aと、第2分割遮光部材32aと、中間分割遮光部材33aと、これらを支持する支持部34aとを備える。第1分割遮光部材31aの端部には、複数の第1分割貫通孔35aが形成され、第2分割遮光部材32aの端部には、複数の第2分割貫通孔36aが形成され、中間分割遮光部材33aの端部には、複数の中間分割貫通孔37aが形成されている。
【0038】
第2分割ホルダ30bは、第1分割遮光部材31bと、第2分割遮光部材32bと、中間分割遮光部材33bと、これらを支持する支持部34bとを備える。第1分割遮光部材31bの端部には、複数の第1分割貫通孔35bが形成され、第2分割遮光部材32bの端部には、複数の第2分割貫通孔36bが形成され、中間分割遮光部材33bの端部には、複数の中間分割貫通孔37bが形成されている。
【0039】
正立等倍レンズアレイプレート11の組み付けの際、第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、第1分割ホルダ30aと第2分割ホルダ30bにより側面方向から挟み込まれる。これにより、第1分割遮光部材31a,31bと中間分割遮光部材33a,33bとの間に第1レンズアレイプレート24が挿入され、第2分割遮光部材32a,32bと中間分割遮光部材33a,33bとの間に第2レンズアレイプレート26が挿入される。また、第1分割貫通孔35a,35bにより第1レンズ24aが挟み込まれて、第1レンズ24aが第1貫通孔35内に嵌入された状態となる。また、第2分割貫通孔36a,36bにより第4レンズ26bが挟み込まれて、第4レンズ26bが第2貫通孔36内に嵌入された状態となる。また、中間分割貫通孔37a,37bにより第2レンズ24bおよび第3レンズ26aが挟み込まれて、第2レンズ24bおよび第3レンズ26aが中間貫通孔37内に嵌入された状態となる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11においては、ホルダ30を主走査方向に平行な分割面40で2分割し、第1分割ホルダ30aおよび第2分割ホルダ30bで第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26を側面方向から挟み込むことにより組み付ける構成を採用した。第1分割ホルダ30aには、第1分割貫通孔35aが形成された第1分割遮光部材31a、第2分割貫通孔36aが形成された第2分割遮光部材32a、中間分割貫通孔37aが形成された中間分割遮光部材33aが一体に形成されている。また、第2分割ホルダ30bには、第1分割貫通孔35bが形成された第1分割遮光部材31b、第2分割貫通孔36bが形成された第2分割遮光部材32b、中間分割貫通孔37bが形成された中間分割遮光部材33bが一体に形成されている。従って、正立等倍レンズアレイプレート11の組み付け工程において、第1貫通孔35、第2貫通孔36、中間貫通孔37の中心軸を合わせる工程が不要または少なくとも容易となる。その結果、第1貫通孔35、第2貫通孔36、中間貫通孔37の中心軸ずれがなくなる、または少なくとも低減されるので、正立等倍レンズアレイプレート11の光学性能を向上できる。
【0041】
また、本実施形態によれば、第1分割ホルダ30aおよび第2分割ホルダ30bで第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26を挟み込むだけで正立等倍レンズアレイプレート11を組み付けることができるので、凸レンズの光軸合わせも不要となり、製造コストを低減できる。
【0042】
また、従来の構成では、遮光部材として、少なくとも第1遮光部材、第2遮光部材、中間遮光部材の3部品が必要であったが、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11によれば、第1分割ホルダ30aと第2分割ホルダ30bの2部品だけでよい。つまり、部品点数を削減できるので、製造コストを低減できる。
【0043】
また、本実施形態においては、第1分割ホルダ30aおよび第2分割ホルダ30bで第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26を挟み込む構成としているので、例えば凸レンズと遮光部材が擦れて凸レンズが傷つくといった事態を抑制できる。
【0044】
図4は、分割ホルダが成形される様子を示す。第1分割ホルダ30aおよび第2分割ホルダ30bは、たとえば黒色のABS樹脂などの遮光性材料を用いて射出成形などの方法により形成される。図4には、第1分割ホルダ30aの第1分割遮光部材31aのみが図示されている。図4に示すように、第1分割ホルダ30aの成形工程において、金型41を用いて第1分割貫通孔35aの内壁に溝が形成されてもよい。勿論、第2分割貫通孔など他の分割貫通孔の内壁に溝が形成されてもよい。このように分割貫通孔の内壁に溝を形成することにより、該内壁に当たった光が散乱されるので、迷光を低減できる。
【0045】
従来のように、単なる貫通孔の場合、貫通孔の内壁に溝を形成するのは容易ではない。これは、貫通孔の内壁に溝を形成すると、貫通孔を形成するための金型のピンを遮光部材から抜くことができないからである。本実施形態によれば、貫通孔が2つに分割された構造となっているので、図4に示すように、金型を用いて容易に溝を形成することができる。
【0046】
図5は、一実施例に係る分割ホルダの平面図である。図5では、一例として第1分割ホルダ30aの平面図を示す。図5に示す実施例において、第1分割貫通孔35a、第2分割貫通孔36a、および中間分割貫通孔37aは、半円柱状に形成されている。また、第1分割貫通孔35a、第2分割貫通孔36a、および中間分割貫通孔37aの中心軸は、一致している。
【0047】
図6は、別の実施例に係る分割ホルダの平面図である。図6では、一例として第1分割ホルダ30aの平面図を示す。図6に示す実施例において、第1分割貫通孔35aおよび第2分割貫通孔36aは、半円錐台状に形成されている。また、中間分割貫通孔37aは、2つの半円錐台を底面で貼り合わせた形状とされている。第1分割貫通孔35a、第2分割貫通孔36a、および中間分割貫通孔37aの中心軸は、一致している。
【0048】
貫通孔を円柱状とした場合、貫通孔の内壁に対して大きな入射角で入射した光は、フレネル反射のため完全に吸収できず、迷光の原因となる。図6に示すように貫通孔をテーパ状に形成することにより、迷光を低減できる。
【0049】
図5および図6に示すように、各分割貫通孔の形状は特に限定されず、光学設計に応じて任意の形状をとることができる。ここで、本実施形態においては、例えば、図6の中間分割貫通孔37aに示すような形状の貫通孔を形成することができる。単なる貫通孔の場合、図6の中間分割貫通孔37aに示すような形状の貫通孔を形成することは容易ではない。これは、貫通孔を形成するための金型のピンを遮光部材から抜くことができないからである。本実施形態によれば、貫通孔が中心軸を通る面で2つに分割されているので、所望の光学性能に応じて様々な形状の貫通孔を形成できる。
【0050】
図7は、本発明の別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートの斜視図である。本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11においては、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26とが一体に形成されている点が上述の実施形態と異なる。
【0051】
本実施形態のように、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26とを一部品とすることにより、組立行程における第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26の光軸ずれを抑制できる。また、正立等倍レンズアレイプレート11の構成部品数を低減できるので、部品コストおよび組立コストを低減できる。
【0052】
図8(a)〜図8(c)は、本発明の別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートを説明するための図である。
【0053】
図8(a)は、分割ホルダ80を示す。本実施形態において、分割ホルダ80は、複数の分割貫通孔82が形成された遮光部材81と、複数の中間分割貫通孔84が形成された中間遮光部材とを備える。遮光部材81と中間遮光部材83との間には、図8(b)に示す半レンズアレイプレートをはめ込むための凹部85が形成されている。
【0054】
図8(b)は、半レンズアレイプレート86を示す。半レンズアレイプレート86は、ロッド状のレンズ87を主走査方向に並べたものである。各レンズ87は、支持部材88により支持されている。
【0055】
図8(c)は、半レンズアレイプレート86を分割ホルダ80にはめ込んだ様子を示す。図8(c)のように分割ホルダ80に半レンズアレイプレート86をはめ込んだものを2つ作成し、貼り合わせることで、正立等倍レンズアレイプレートを形成できる。
【0056】
図8(a)〜図8(c)では、分割ホルダ80と半レンズアレイプレート86とを別々に形成したが、2色射出成形を利用して、分割ホルダ80と半レンズアレイプレート86とを一体に成形してもよい。この場合、部品点数を減らすことができ、製造コストを低減できる。
【0057】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0058】
10 光走査ユニット、 11 正立等倍レンズアレイプレート、 12 筐体、 14 ガラス板、 20 ラインイメージセンサ、 24 第1レンズアレイプレート、 26 第2レンズアレイプレート、 30 ホルダ、 30a 第1分割ホルダ、 30b 第2分割ホルダ、 31 第1遮光部材、 32 第2遮光部材、 33 中間遮光部材、 34 支持部、 35 第1貫通孔、 36 第2貫通孔、 37 中間貫通孔、 100 画像読取装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズが主走査方向に沿って両面に設けられた第1レンズアレイプレートと、
複数のレンズが主走査方向に沿って両面に設けられ、前記第1レンズアレイプレートと対向するように配置された第2レンズアレイプレートと、
前記第1レンズアレイプレート上に設けられ、前記第1レンズアレイプレートの一方の面のレンズの正面に位置する複数の第1貫通孔を有する第1遮光部材と、
前記第2レンズアレイプレート上に設けられ、前記第2レンズアレイプレートの一方の面のレンズの正面に位置する複数の第2貫通孔を有する第2遮光部材と、
前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートの間に設けられ、前記第1レンズアレイプレートの他方の面のレンズと前記第2レンズアレイプレートの他方の面のレンズの正面に位置する複数の中間貫通孔を有する中間遮光部材と、
を備える正立等倍レンズアレイプレートであって、
前記第1遮光部材、前記第2遮光部材、および前記中間遮光部材は、主走査方向に平行な分割面で2分割されており、
分割された一方の前記第1遮光部材、前記第2遮光部材、および前記中間遮光部材が一体化されて第1分割ホルダが構成されており、
分割された他方の前記第1遮光部材、前記第2遮光部材、および前記中間遮光部材が一体化されて第2分割ホルダが構成されており、
前記第1レンズアレイプレートおよび前記第2レンズアレイプレートを、前記第1分割ホルダおよび前記第2分割ホルダで挟み込むことにより組み付けられることを特徴とする正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項2】
前記分割面は、前記第1貫通孔、前記第2貫通孔、および前記中間貫通孔の中心を通っていることを特徴とする請求項1に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項3】
前記第1貫通孔、前記第2貫通孔、および前記中間貫通孔の内壁には、入射した光を散乱させるための溝が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の正立等倍レンズアレイプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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