説明

歩行型移動農機

【課題】マフラカバーの温度上昇を抑えると共に、コストダウンを図り、さらには、外観デザインの統一性を高める。
【解決手段】エンジン5と、該エンジン5の上方を覆うボンネット14と、エンジン5の排気音を消音するマフラ10と、該マフラ10を覆うマフラカバー13とを備える歩行型管理機1において、マフラカバー13を樹脂製のボンネット14に一体的に設ける。例えば、ボンネット14の側面部に、機体外側方に張り出す張り出し部14aを形成し、該張り出し部14aの下方にマフラ10を配置すると共に、張り出し部14aの側面開口部14cを、着脱自在なマフラカバー13で覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マフラを覆うマフラカバーを備えた歩行型管理機などの歩行型移動農機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、歩行型管理機などの歩行型移動農機は、エンジンの排気音を消音するマフラを備えるが、マフラ内には排気ガスが充満し、その外側は高温になるので、マフラカバーで覆うことが好ましい(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−302139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の歩行型移動農機では、マフラカバーをマフラやその周辺の金属部材に取付けていたので、マフラカバーも高温になってしまうという問題があった。また、従来のマフラカバーは、耐熱温度を確保するために金属製としていたので、ボンネットなどのカバー類を樹脂製としている機種では、コストアップの原因になるだけでなく、マフラカバーが外観デザインの統一性を損なうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、エンジンと、該エンジンの上方を覆うボンネットと、前記エンジンの排気音を消音するマフラと、該マフラを覆うマフラカバーとを備える歩行型移動農機において、前記マフラカバーを樹脂製のボンネットに一体的に設けたことを特徴とする。
また、前記ボンネットの側面部に、機体外側方に張り出す張り出し部を形成し、該張り出し部の下方にマフラを配置すると共に、張り出し部の側面開口部を、着脱自在なマフラカバーで覆ったことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、マフラカバーを樹脂製のボンネットに一体的に設けたので、マフラカバーをマフラやその周辺の金属部材に取付けていた従来の歩行型移動農機に比べ、マフラカバーの温度上昇を抑えることができる。また、マフラカバーの耐熱温度を下げることができるので、マフラカバーを樹脂製としてボンネットと一体的に構成することができ、その結果、マフラカバーを金属製としていた従来に比べてコストダウンが図れるだけでなく、外観デザインの統一性を高めることができる。
また、請求項2の発明によれば、ボンネットの張り出し部にマフラを収容してマフラカバーで覆うことができるので、ボンネットとマフラカバーを違和感なく一体的に構成することができる。しかも、マフラカバーは、着脱自在に構成されるので、ボンネットとは異なる材質、例えば、ボンネットよりも耐熱性に優れる樹脂で形成したり、ボンネットとは異なる色で形成するなど、設計の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】歩行型管理機の斜視図である。
【図2】歩行型管理機の要部正面断面図である。
【図3】ボンネット及びマフラカバーを左上方から見た分解斜視図である。
【図4】ボンネット及びマフラカバーを左下方から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1は歩行型管理機であって、該歩行型管理機1は、機体フレームに兼用されるミッションケース2を備えている。ミッションケース2の左右両側方には、図示しない車軸を介して車輪3が取り付けられ、ミッションケース2の後方には、ロータリ式の耕耘部4が構成され、ミッションケース2の上方には、エンジン5が搭載されている。エンジン5の動力は、伝動部6を介してミッションケース2に入力され、ミッションケース2内の変速機構で変速された後、車輪3及び耕耘部4に伝動される。
【0009】
ミッションケース2の後部には、後方斜め上方に向かって突出するハンドル7が取り付けられている。ハンドル7には、クラッチ操作レバー8及びスロットル操作レバー9が設けられており、クラッチ操作レバー8の操作に応じて、伝動部6に設けられるクラッチ機構(図示せず)が入り切りされ、スロットル操作レバー9の操作に応じて、エンジン5の回転数が変更されるようになっている。
【0010】
さらに、ミッションケース2の後部には、後方斜め上方に向かって突出する変速操作レバーHが設けられている。変速操作レバーHは、ミッションケース2内の変速機構を変速操作するための操作具であり、変速操作レバーHの操作に応じて、走行速度(車輪3の駆動速度)や、耕耘部4の駆動速度及び回転方向が変速されるようになっている。
【0011】
図2に示すように、エンジン5の近傍には、エンジン5の排気音を消音するマフラ10が設けられている。本実施形態のマフラ10は、エンジン5の上方に設けられており、導入管11を介してエンジン5の排気ガスを内部の消音室に導入し、該導入した排気ガスを左側方に突出する排気パイプ12から排出するようになっている。このようなマフラ10は、内部に排気ガスが充満し、その外側は高温になるので、マフラカバー13で覆う必要がある。
【0012】
図1〜図4に示すように、本発明の実施形態に係る歩行型管理機1のマフラカバー13は、エンジン5の上方を覆う樹脂製のボンネット14に一体的に設けられている。本実施形態のボンネット14は、下方が開口した略半球形状であり、エンジン5の上方を覆う位置に着脱自在又は回動自在(開閉自在)に設けられている。
【0013】
ボンネット14の左側面部には、機体外側方に張り出す側面視逆U字状の張り出し部14aが一体成形されている。張り出し部14aの上面部には、スリット状の通気孔14bが複数形成され、張り出し部14aの外側面部には、側面開口部14cが形成されている。
【0014】
マフラ10は、前方、後方、上方及び右側方がボンネット14で覆われるように張り出し部14aの下方に配置されている。ボンネット14の側面開口部14cには、着脱自在なマフラカバー13が取り付けられ、該マフラカバー13によってマフラ10の左側方が覆われるようになっている。
【0015】
本実施形態のマフラカバー13は、排気パイプ12の排気口と対向する中央部分に排気孔13aを有し、その周囲には、スリット状の通気孔13bが複数形成されている。また、マフラカバー13の上端部には、ボンネット14側の係合部14dに係合する係合爪13cが形成され、マフラカバー13の下端部には、ネジ15を介してボンネット14側の固定孔14eに固定される一対の固定部13dが形成されている。つまり、マフラカバー13は、上端側の係合爪13cをボンネット14側の係合部14dに係合させた後、下端側の固定部13dをネジ15でボンネット14側の固定孔14eに固定するという手順によってボンネット14に取り付けられ、また、逆の手順によってボンネット14から取り外すことができるようになっている。
【0016】
マフラカバー13は、上記のようにボンネット14と別体に構成されているため、ボンネット14とは異なる樹脂材を用いて成形することができる。例えば、マフラカバー13を、ボンネット14よりも耐熱性に優れる樹脂材で形成したり、ボンネット14とは異なる色で形成するなど、設計の自由度を高めることができる。
【0017】
叙述の如く構成されたものにおいて、エンジン5と、該エンジン5の上方を覆うボンネット14と、エンジン5の排気音を消音するマフラ10と、該マフラ10を覆うマフラカバー13とを備える歩行型管理機1において、マフラカバー13を樹脂製のボンネット14に一体的に設けたので、マフラカバー13をマフラ10やその周辺の金属部材に取付けていた従来の歩行型移動農機に比べ、マフラカバー13の温度上昇を抑えることができる。また、マフラカバー13の耐熱温度を下げることができるので、マフラカバー13を樹脂製としてボンネット14と一体的に構成することができ、その結果、マフラカバー13を金属製としていた従来に比べてコストダウンが図れるだけでなく、外観デザインの統一性を高めることができる。
【0018】
また、ボンネット14の側面部に、機体外側方に張り出す張り出し部14aを形成し、該張り出し部14aの下方にマフラ10を配置すると共に、張り出し部14aの側面開口部14cを、着脱自在なマフラカバー13で覆ったので、ボンネット14とマフラカバー13を違和感なく一体的に構成することができる。しかも、マフラカバー13は、着脱自在に構成されるので、ボンネット14とは異なる材質、例えば、ボンネット14よりも耐熱性に優れる樹脂で形成したり、ボンネット14とは異なる色で形成するなど、設計の自由度を高めることができる。
【0019】
尚、本発明は前記実施形態に限定されないものであることは勿論であって、例えば、前記実施形態では、マフラカバーをボンネットと別体に構成しているが、マフラカバーをボンネットと一体成形してもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 歩行型管理機
5 エンジン
10 マフラ
11 導入管
12 排気パイプ
13 マフラカバー
14 ボンネット
14a 張り出し部
14c 側面開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、該エンジンの上方を覆うボンネットと、前記エンジンの排気音を消音するマフラと、該マフラを覆うマフラカバーとを備える歩行型移動農機において、
前記マフラカバーを樹脂製のボンネットに一体的に設けたことを特徴とする歩行型移動農機。
【請求項2】
前記ボンネットの側面部に、機体外側方に張り出す張り出し部を形成し、該張り出し部の下方にマフラを配置すると共に、張り出し部の側面開口部を、着脱自在なマフラカバーで覆ったことを特徴とする請求項1記載の歩行型移動農機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−66607(P2012−66607A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210631(P2010−210631)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)