説明

歩行訓練方法及び歩行訓練システム

【課題】 被験者が現有の身体能力を活かして環境適応を学習することができる歩行訓練方法及び歩行訓練システムを提供する。
【解決手段】 歩行訓練システム1は、被験者9が歩行するための自走式トレッドミル2と、自走式トレッドミル2のローラ回転数を検出するロータリーエンコーダ3と、ロータリーエンコーダ3の回転数と連動して、データ蓄積手段7から読み出された歩行コースの映像データを被験者9に表示する映像表示手段5と、被験者9に非接触で被験者9の足先90の高さ90hを検出する光センサ4と、上記ロータリーエンコーダ3の回転数と連動してローラ回転開始時点からの歩行経過時間8tを計測するタイマー8と、少なくとも上記映像表示手段5と上記データ蓄積手段7を制御する制御手段6を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行訓練方法及び歩行訓練システムに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行(又は走行)時の被験者への負荷を測定する装置としては、トレッドミル(treadmill)が知られている。トレッドミルは複数のローラ(通常2つのローラ)にコンベヤベルトが架け渡され、単位時間あたりのローラ回転数を変えることのできる無限走行のベルト機構からなり、被験者の脚でベルトを後方に蹴る力でベルトを回転させながら歩行する自走式と、電動モータで強制的に回転させたベルトと反対方向に被験者が走行する電動式がある。自走式トレッドミルは、健常者の歩行訓練の他、足を骨折した障害者のリハビリに使用される。なお本明細書では、被験者の脚力のみでベルトを回転させながら歩行する装置と被験者の脚力を電動モータ等で補助してベルトを回転させやすくする装置の両方を自走式トレッドミルと定義する。
【0003】
人が転倒などにより足を骨折した場合、入院中に足回りの筋力が衰えるため、一定期間のリハビリ(rehabilitation)が必要となる。いっぽう、高齢者が転倒などにより足を骨折した場合には、その身体機能(身体能力)を一定期間内に高めることは容易ではなく、高齢者が転倒などにより足を骨折すると、リハビリの期間が長くなり、退院(退所)時期が長引いてしまうという実態がある。また、従来の自走式トレッドミルは、無限走行のベルトが回転するだけの単調な装置であり、被験者が短時間で飽きてしまい、歩行訓練を継続し難いという問題点がある。
【0004】
また、転倒予防として環境適応のための学習効果があるリハビリを行わないと、例えば自宅等で障害物につまずき、転倒して足を骨折した高齢者が、退院後に自宅等で障害物に再度つまずき、転倒して足を骨折してしまい、入退院を繰り返す危険がある。
【0005】
そこで本発明者は、高齢者が転倒して足を骨折した場合に、いかにして転倒予防として学習効果のあるリハビリを行うか鋭意研究を重ね、その結果、高齢者の身体能力を高める(筋力を増強するなど)という従来の発想を転換し、高齢者が現有の身体能力を活かして環境適応の学習をすることで、転倒予防を行うという画期的な歩行訓練方法及び歩行訓練システムを考案するに至った。
【0006】
従来、トレッドミル(ベルト機構)を用いた歩行訓練装置(歩行感覚生成装置)としては、特許文献1,2記載の歩行訓練装置がある。特許文献1記載の歩行訓練装置は、被訓練者の歩道を成す歩道手段(ベルト機構)と、前記歩道手段上にある被訓練者の身体を支える把持手段とを備える歩行訓練装置において、前記把持手段が、上半身の自由度を調整する上半身拘束調整手段を備えて構成される歩行訓練装置(請求項1)というものであり、訓練メニューにしたがって、ベルト制御手段5aを介して歩行面装置2に速度目標と速度ゲインデータを付与し、映像処理手段5bを介して、予め定めたしきい値を超えると映像表示手段3に屋外画像の更新を指示することで、被訓練者Uは、屋外を実際に歩行している擬似体験が得られ、飽きずに実効性ある歩行訓練を行うことが出来るとの記述がある(段落0060)。特許文献2記載の歩行感覚生成装置は、ベルト機構における歩行面の姿勢を任意角度に保持する歩行面保持機構、前記歩行者の歩行の開始と停止動作を検出する検出手段、前記検出手段の検出出力に基づいて、前記歩行者の歩行における立脚時間を計測して、歩行者の動きに連動して前記ベルト機構のベルトの移動を制御するための制御手段、および前記ベルト機構上で歩行者が歩行しているときの視点位置からの仮想空間の映像を提示する表示手段を備えた、歩行感覚生成装置(請求項1)というものであり、CCDカメラ4によって歩行者2の脚部の運動情報を獲得するために、歩行者2の両足先端部には赤外線の反射シールPl,Prが貼り付けられ(段落0010)、歩行者2のベルト機構1上での位置を計測するために糸式位置センサ5と歩行者2の頭部の位置姿勢を計測するための磁気式位置姿勢計測装置6が配置される(段落0011)との記述がある。
【特許文献1】特開平08−141026号公報
【特許文献2】特開平11−258973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記特許文献記載の歩行訓練装置では、被験者に上半身拘束調整手段を装着させるか(特許文献1)、被験者の両足先端部に赤外線の反射シールを貼り付け、被験者の胴体に糸式位置センサを取り付けて、さらに被験者の頭部に磁気式位置姿勢計測装置を取り付けなければならず(特許文献2)、被験者が自然な動作をすることが困難である。特に高齢者は、その身体に普段装着しないような器具を装着することを嫌う傾向があり、リハビリにおいて最重要課題である継続的学習が困難である。
【0008】
また、特許文献1,2では、被験者の歩行に対応させて単に映像画面が提示されるものであり、被験者の学習については考慮されていないため、被験者の学習効果が期待できない。
【0009】
そこで本発明の目的は、被験者が現有の身体能力を活かして環境適応を学習することができる歩行訓練方法及び歩行訓練システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の歩行訓練方法は、被験者が歩行するための自走式トレッドミルと、自走式トレッドミルのローラ回転数を検出する回転数検出手段と、回転数検出手段の回転数と連動してデータ蓄積手段から読み出された歩行コースの映像データを被験者に表示する映像表示手段と、当該映像データが蓄積されたデータ蓄積手段と、被験者に非接触で被験者の足先の高さを検出して足先高さ検出信号を出力する足先高さ検出手段と、上記回転数検出手段の回転数と連動してローラ回転開始時点からの歩行経過時間を計測するタイマーと、少なくとも上記映像表示手段と上記データ蓄積手段を制御する制御手段を備え、
上記足先高さ検出信号と上記歩行経過時間に基づき、上記制御手段が歩行記録を作成することを特徴とする。本発明は、前記回転数検出手段がロータリーエンコーダであり、前記足先高さ検出手段が光センサであることが好ましい。
【0011】
本発明の歩行訓練システムは、被験者が歩行するための自走式トレッドミルと、自走式トレッドミルのローラ回転数を検出するロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダの回転数と連動してデータ蓄積手段から読み出された歩行コースの映像データを被験者に表示する映像表示手段と、当該映像データが蓄積されたデータ蓄積手段と、被験者に非接触で被験者の足先の高さを検出して足先高さ検出信号を出力する光センサと、上記ロータリーエンコーダの回転数と連動してローラ回転開始時点からの歩行経過時間を計測するタイマーと、少なくとも上記映像表示手段と上記データ蓄積手段を制御する制御手段を備え、上記足先高さ検出信号と上記歩行経過時間に基づき、上記制御手段が歩行記録を作成することを特徴とする。
【0012】
これら本発明によれば、上記足先高さ検出信号と上記歩行経過時間に基づき、上記制御手段が歩行記録を作成することで、被験者が現有の身体能力を活かして環境適応の学習をすることができる。前記回転数検出手段としてのロータリーエンコーダを自走式トレッドミルに内蔵させることで、被験者の歩行路(ベルト上)を現実の障害物がない状態とする。前記足先高さ検出手段が、被験者の足先の高さを非接触で検出するため、被験者の身体に器具等を装着することを要しない。したがって、被験者が自然な動作をすることが容易である。前記足先高さ検出手段としては、光センサ、超音波センサ、CCDカメラが挙げられるが、被験者の服装の素材の影響を受け難く、かつ、被験者の足先に焦点を合わせ易いことから、前記足先高さ検出手段としては、光センサが好ましい。
【0013】
本発明の歩行訓練システムは、前記光センサが発光素子と受光素子からなり、前記トレッドミルの上流側と下流側とにそれぞれ向かい合って複数配列されることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、前記光センサが発光素子と受光素子からなる透過型の光センサであって、前記トレッドミルの上流側に複数の発光素子(又は受光素子)が配列され、前記トレッドミルの下流側に対向する複数の受光素子(又は発光素子)が配列されることで、被験者の足先の高さが設定基準から横方向にずれた場合でも正確に被験者の足先の高さを計測することができる。なおここで、前記トレッドミルの上流側とは被験者の前方側を指し、トレッドミルの下流側とは被験者の後方側を指しており、被験者が前記トレッドミルで歩行すると、トレッドミルのベルトは、上流側から下流側に動くことになる。
【0015】
本発明の歩行訓練方法は、前記制御手段が前記歩行経過時間と対応する所定の時間に、被験者が歩行する際の障害となり得る障害物の映像を前記映像表示手段から表示させ、当該障害物の映像が所定位置に表示される際の前記足先高さ検出データと当該障害物の映像に予め関連させた当該障害物の高さデータとを比較して、上記障害物の映像が所定の位置に表示された表示時間に、被験者が上記障害物の高さデータよりも高い位置に足先を上げたか否かを判定することを特徴とする。また本発明は、前記制御手段が前記歩行経過時間と対応する所定の時間に、被験者が歩行する際の障害となり得る障害物の映像を前記映像表示手段から表示させ、当該障害物の映像が所定位置に表示開始される際の前記足先高さ検出データと当該障害物の映像に予め関連させた当該障害物の高さデータとを比較するとともに、当該障害物の映像が所定位置に表示終了される際の前記足先高さ検出データと当該障害物の映像に予め関連させた当該障害物の高さデータとを比較して、上記障害物の映像が所定の位置に表示開始されてから表示終了されるまでの時間に、被験者が常に上記障害物の高さデータよりも高い位置に足先を上げたか否かを判定することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、前記制御手段が、前記障害物の映像が所定の位置に表示された表示時間に、被験者が上記障害物の高さデータよりも高い位置に足先を上げたか否かを判定するか、又は前記障害物の映像が所定の位置に表示開始されてから表示終了されるまでの時間に、被験者が常に前記障害物の高さデータよりも高い位置に足先を上げたか否かを判定することにより、被験者が障害物を跨ぐことができたか否かを判定するので、安全に被験者への歩行試験を行うことができる。
【0017】
本発明の歩行訓練方法は、前記制御手段が前記判定結果に基づき、警告表示手段により警告を表示することが好ましい。
【0018】
本発明によれば、前記制御手段が前記判定結果に基づき、警告表示手段により警告を表示することで、被験者が歩行試験の結果をリアルタイムで知ることができる。前記警告表示手段としては、ライト等の発光手段、スピーカ等の発音手段、ディスプレイ等の映像表示手段が挙げられる。
【0019】
本発明の歩行訓練方法は、前記制御手段が前記歩行記録を前記データ蓄積手段に蓄積して、歩行訓練の際に前記映像表示手段から表示させることを特徴とする。また、本発明は、前記歩行訓練を繰り返すことが好ましい。
【0020】
前記制御手段が前記歩行記録を前記データ蓄積手段に蓄積して、歩行訓練の際に前記映像表示手段から表示させるので、歩行試験の成績を被験者へフィードバックすることが容易であり、被験者自身が客観的に現有の身体能力による環境適応の成果を把握することが容易にできる。また、前記歩行訓練を繰り返すことで、前記データ蓄積手段に蓄積された以前の歩行記録と最新の歩行記録とを比較することができ、被験者の環境適応の学習経過を把握することができる。
【0021】
本発明の歩行訓練方法は、前記歩行コースの映像データが被験者の自宅の映像であり、前記障害物の映像がその高さデータ及び/又は表示開始時間或いは表示終了時間が異なる複数種類の障害物からなることを特徴とする。
【0022】
前記歩行コースの映像データとしては、公園や遊歩道、国内や外国の観光名所など様々な光景動画のバリエーションが考えられるが、退院(退所)後の生活基盤は被験者の自宅である。前記歩行コースの映像データが被験者の自宅の映像からなることで、実際の生活環境に合致した歩行訓練ができる。また、前記障害物の映像がその高さデータ及び/又は表示開始時間或いは表示終了時間が異なる複数種類の障害物からなることで、被験者の現有の身体能力による環境適応のレベルを詳細に評価することができる。なおここで、自宅とは、自宅周辺を含む自宅内を指す。
【発明の効果】
【0023】
本発明の歩行訓練方法と歩行訓練システムによれば、上記足先高さ検出信号と上記歩行経過時間に基づき、上記制御手段が歩行記録を作成することで、被験者が現有の身体能力を活かして環境適応の学習をすることができる。前記回転数検出手段であるロータリーエンコーダを自走式トレッドミルに内蔵させることで、被験者の歩行路(ベルト上)を現実の障害物のない状態とする。前記高さ検出手段が、被験者の足先の高さを非接触で検出するため、被験者の身体に器具等を装着することを要しない。したがって、被験者が自然な動作をすることが容易である。前記足先高さ検出手段としては、光センサが好ましい。被験者の服装の素材の影響を受け難く、被験者の足先に焦点を合わせ易いからである。前記光センサが発光素子と受光素子からなる透過型の光センサであって、前記トレッドミルの上流側に複数の発光素子(又は受光素子)が配列され、前記トレッドミルの下流側に対向する複数の受光素子(又は発光素子)が配列されることで、被験者の足先の高さが設定基準から横方向にずれた場合でも正確に被験者の足先の高さを計測することができる。
【0024】
本発明の歩行訓練方法によれば、前記制御手段が、前記障害物の映像が所定の位置に表示された表示時間に、被験者が上記障害物の高さデータよりも高い位置に足先を上げたか否かを判定するか、又は前記障害物の映像が所定の位置に表示開始されてから表示終了されるまでの時間に、被験者が常に前記障害物の高さデータよりも高い位置に足先を上げたか否かを判定することにより、被験者が障害物を跨ぐことができたか否かを判定するので、安全に被験者への歩行試験を行うことができる。前記制御手段が前記判定結果に基づき、警告表示手段により警告を表示することで、被験者が歩行試験の結果をリアルタイムで知ることができる。前記制御手段が前記歩行記録を前記データ蓄積手段に蓄積して、歩行訓練の際に前記映像表示手段から表示させるので、歩行試験の成績を被験者へフィードバックすることが容易であり、被験者自身が客観的に現有の身体能力による環境適応の成果を把握することが容易にできる。また、前記歩行訓練を繰り返すことで、前記データ蓄積手段に蓄積された以前の歩行記録と最新の歩行記録とを比較することができ、被験者の環境適応の学習経過を把握することができる。前記歩行コースの映像データが被験者の自宅の映像からなることで、実際の生活環境に合致した歩行訓練ができる。また、前記障害物の映像がその高さデータ及び/又は表示開始時間或いは表示終了時間が異なる複数種類の障害物からなることで、被験者の現有の身体能力による環境適応のレベルを詳細に評価することができる。これら本発明により、高齢者が現有の身体能力を活かして環境適応の学習をすることで、転倒予防を行うという画期的な歩行訓練システムが実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(歩行訓練システム)
図1は本発明の一実施形態の歩行訓練システム1を模式的に示す斜視図であり、図2は上記実施形態の歩行訓練システム1を模式的に示すブロック図である。本実施形態の歩行訓練システム1は、被験者9が歩行するための自走式トレッドミル2と、ロータリーエンコーダ3と、光センサ4と、制御手段(コンピュータ)6と、映像表示手段(ディスプレイ)5から構成される(図1、図2)。
【0027】
自走式トレッドミル2は、上流側(被験者9の前面側)のローラ22aと下流側(被験者9の背面側)のローラ22bとに架け渡されたコンベヤベルト21からなり、上流側のローラ22aには、ローラ回転数を検出する回転数検出手段であるロータリーエンコーダ3が接続されている(図1)。コンベヤベルト21の外側面21aには、被験者9の足先90を載せる位置の目安として、2本のライン22が描かれている。2本のライン22は、被験者9が右足先91を着地する目安のライン221と、被験者9が左足先92を着地する目安のライン222とからなる(図1)。被験者9がその脚でコンベヤベルト21を後方に蹴ると、コンベヤベルト21が矢印aに示す上流側から下流側に向かって動くこととなる(図1)。トレッドミル2の上流側の下方には傾斜部材27が配されており、その高さを適宜調整することで、コンベヤベルト21の上流側の高さがコンベヤベルト21の下流側よりも高くなる傾斜の度合いが調整される。傾斜部材27は、被験者9がより自然に近い状態で歩けるようにするためのものであり、通常は、コンベヤベルト21の上流側の高さがコンベヤベルト21の下流側よりも若干高く設定され、その傾斜角度は数度程度である。
【0028】
自走式トレッドミル2の上流側と下流側には、足先高さ検出手段である光センサ4が向かい合って配される(図1)。本実施形態の歩行訓練システム1では、光信号(矢印cで示す)として、周囲の照明の影響を受け難い赤外線を用いている。光センサ4は、発光素子4aから発せられた光信号cを受光素子4bにて受光する透過型の光センサ4である(図1、図2)。発光素子4aから発せられた光信号cが受光素子4bにて受光されると、受光素子4bからオン信号が出力され、発光素子4aから発せられた光信号cが被験者9の足先90にて遮られると受光素子4bにて受光されず、受光素子4bからオフ信号が出力される。つまり、発光素子4aと受光素子4bとがそれぞれ向かい合って複数配されることにより、被験者9の足先90の位置を検知して足先高さ検出信号を出力する。発光素子4a(又は受光素子4b)は、上下方向に等間隔で複数配され、1つのアレイ状の光センサが形成され、当該アレイ状の光センサが複数(図1では3つ)横方向に配されることで、マトリクス状の光センサ41,42,43,44が形成される。光センサ41と43は、被験者9の右足先91の着地位置91bから被験者9の右足先91の足上げ位置91aまでの高さ91hを計測するためのセンサである(図1)。また、光センサ42と44は、被験者9の左足先92の着地位置92bから被験者9の左足先92の足上げ位置92aまでの高さ92hを計測するためのセンサである。光センサ4は、上下左右に発光素子4a(又は受光素子4b)の発光角度(又は受光角度)が微調整可能に配される。マトリクス状の光センサ41,42,43,44とすることで、被験者9の足先90の高さ90hが設定基準から横方向にずれた場合でも正確に被験者9の足先90の高さ90hを計測することができる。なお、トレッドミル2の上流側に受光素子4bを配して、トレッドミル2の下流側に複数の発光素子4aを対向して配してもよい。
【0029】
本実施形態の歩行訓練システム1は、光センサ4により被験者9の足先90の高さ90hを非接触で検出するため、被験者9の身体に器具等を装着することを要しない。したがって、被験者が自然な動作をすることが容易である。
【0030】
トレッドミル2の被験者9の前方側(上流側)には、2つのアーム24が配され、2つのアームの先端側には、それぞれ緊急ボタン25が配される(図1)。2つのアーム24は、被験者9がよろけた場合につかまるためのアームであり、緊急ボタン25は歩行中に具合が悪くなった場合にナースセンター等に緊急連絡するためのボタンである。なお、被験者9のコンディションに合わせて、上記2つのアーム24を適宜、延設させることができる。
【0031】
トレッドミル2の被験者9の前方側(上流側)には、映像表示手段(ディスプレイ)5が配される。ディスプレイ5の画面5aが、被験者9の目線に合わせて角度調整可能となっている(図1)。ディスプレイ5の上方には、警告表示手段(警告ライト)51,52が配される。警告ライト51は、被験者9の右足先91の足上げ位置91aに対応して動作するライトであり、警告ライト52は、被験者9の左足先92の足上げ位置92aに対応して動作するライトである。例えば、被験者9の右足先91の足上げ位置91aが設定条件を満たしていれば、警告ライト51の表示面51aは青色表示となり、被験者9の右足先91の足上げ位置91aが設定条件を満たしていなければ、警告ライト51の表示面51は赤色表示となる。ディスプレイ5の下方には、データ入力手段(キーボード、タッチパネル)6aが配される(図1)。なお、ディスプレイ5に警告画面をオーバーレイ表示させて、歩行コースの映像表示と警告表示を同時に行うことができる。また、ディスプレイ5に入出力機能を持たせることで、ディスプレイ5にデータ入力画面をオーバーレイ表示させて、データ入力機能を兼ねることもできる。ディスプレイ5は、より具体的にはCRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、3Dディスプレイが挙げられる。
【0032】
制御手段(コンピュータ)6は、歩行コースの映像データを蓄積するデータ蓄積手段(データベース)7と、ローラ22aの回転開始時点からのロータリーエンコーダ3からの回転数信号3sに対応した歩行経過時間90tを計測するタイマー8を内蔵する(図1)。歩行コースの映像データとしては、アナログデータやデジタルデータがあるが、ここでは、データ処理を容易にするため、動画像符号化方式(MPEG方式)によるデジタルデータを歩行コースの映像データとしている。ここでは、データベース7はコンピュータ6に内蔵されたハードディスク装置であり、タイマー8はコンピュータ6の基準クロックを適用させている。また、コンピュータ6は、外部からのアナログ信号(例えば足先高さ検出信号)をデジタル信号に変換させるA/D変換ボードや動画像を処理するための画像処理ボードを適宜備える。
【0033】
図2は本発明の歩行訓練システム1を模式的に示すブロック図である。本発明の歩行訓練システム1は、コンピュータ6により、ロータリーエンコーダ3や光センサ4やディスプレイ5が制御される。コンピュータ6からの指令により光センサ4が作動して、複数の発光素子4aからそれぞれ光信号(矢印cで示す)が発信され、向かい合って配される受光素子4bに光信号(矢印cで示す)が受信されると、受信信号(オン信号)4sがコンピュータ6にデータ入力される。或いは、向かい合って配される受光素子4bに光信号(矢印cで示す)が受信されないと、受信信号(オフ信号)4sがコンピュータ6にデータ入力される。コンピュータ6は、これら複数の受光素子4bからの受信信号(オン信号やオフ信号)4sを集計して、被験者9の足先90の高さ90hを判断する。
【0034】
ローラ22aには、ローラ回転数を検出して回転数信号3sを出力するロータリーエンコーダ3が接続されている(図1)。被験者9がコンベヤベルト21上を歩行すると、歩行に応じてロータリーエンコーダ3が矢印bの方向に回転して、ローラ回転数に対応した回転数信号3sがコンピュータ6にデータ入力される。そして、タイマー8によりローラ22aの回転開始時点からのロータリーエンコーダ3からの回転数信号3sに対応した歩行経過時間8tが計測される。コンピュータ6は、回転数信号3sと歩行経過時間8tから歩行距離Lを算出するとともに、単位時間あたりの回転数信号3sから歩行速度Vを算出して、適宜、ディスプレイ5に被験者9の歩行距離Lや歩行速度Vを表示させる。そして、コンピュータ6は、歩行速度Vに合わせた速度で、歩行コースの映像データを逐次ディスプレイ5に表示させる。したがって、被験者9は、ディスプレイ5に映像表示される歩行コースを、あたかも自身の歩行速度Vで歩行しているように感じながらコンベヤベルト21の上を歩行することとなる。
【0035】
光センサ4からの受光信号(足先高さ検出信号)4sとロータリーエンコーダ3からの回転数信号3sに対応した歩行経過時間8tは、それぞれ関連付けてデータベース7に蓄積される。コンピュータ6は、光センサ4からの受光信号4sに基づき、被験者9の足先90の高さ90hを算出するとともに、その時の歩行経過時間8tから、被験者9の歩行記録Rを作成する。そして、当該歩行記録Rをディスプレイ5にて表示させる。被験者9は、歩行記録Rから自身の足先90の上がり具合や足先90を上げるテンポを客観的に知ることができる。また、歩行コースの映像データも歩行経過時間8tと関連付けてデータベース7に蓄積され、データベース7にて一元管理される。
【0036】
(歩行訓練手順)
図3は本発明の歩行訓練手順を模式的に示すフローチャートである。図3に示すフローチャートに従って本発明の歩行訓練手順を以下に説明する。まず、コンピュータ6にインストールされた歩行訓練ソフトが起動すると、新規登録のための初期画面がディスプレイ5に表示される(S1)。
【0037】
被験者が新規登録者の場合は、被験者情報をデータ入力する(S2)。データ入力する被験者情報は、氏名、性別、年齢、測定日(訓練日)、既往症、転倒経験、リハビリ回数、等である。被験者が既に登録済みの既登録者の場合は、新規データ入力(S2)をスキップして、被験者の選択を行う(S3)。被験者の選択(S3)が完了すると、歩行コースの選択を行う(S4)。歩行コースの選択では、テキスト形式又はサムネイル表示された歩行コースを選択する。歩行コースの映像データとしては、公園や遊歩道、国内や外国の観光名所など様々な光景動画のバリエーションが考えられ、被験者の自宅の映像データも登録されている。また、歩行コースの標準映像時間や、歩行訓練時間も選択することができる。
【0038】
歩行コースの選択(S4)が完了すると、歩行コースの映像がディスプレイ5により表示され、歩行計測及び歩行計測結果の記録が開始される(S5)。そして、歩行計測(S5)が完了すると、歩行記録がディスプレイ表示される(S6)。ここで、歩行記録は歩行計測と同時にリアルタイムでディスプレイ表示させることも可能である。歩行記録の再生(S6)が完了すると、歩行訓練終了の可否を入力する(S7)。歩行訓練の継続を選択すると、歩行計測及び歩行計測結果の記録が再び開始される(S5)。歩行訓練の終了を選択すると、歩行訓練の終了画面が表示され、歩行訓練が終了する。
【0039】
(歩行訓練方法)
本発明の歩行訓練方法は、ディスプレイ5により、歩行コースの映像とともに、被験者9が歩行する際の障害となり得る障害物110が映像表示される。被験者9が歩行するに従い、障害物110がその大きさを拡大させながらディスプレイ5の下側に移動して表示されるため、被験者9は、あたかも障害物110に近づくように感じることができる。被験者9は歩行しながら、障害物110の左右の位置に近い側の足先91又は92を上げて、障害物110を跨ごうとする動作を行う。
【0040】
コンピュータ6は、障害物110の映像に予め関連させた障害物110の高さデータ110h及び障害物110がディスプレイ5の下側に表示される表示時間(被験者9が障害物110を跨ごうとする時間)110tと、足先高さデータ90h及び対応する歩行経過時間8tとを比較して、上記障害物110がディスプレイ5の下側に映像表示された際に、被験者9が足先90を所定の高さよりも高く上げたか否かを判定する。つまり、障害物110の表示時間110tと被験者9の歩行経過時間8tが等しい時間(8t=110t)に、足先高さデータ90hが障害物110の高さデータ110hよりも大きい場合(90h>110h)には、被験者9が足先90を所定の高さよりも高く上げたと判断し、それ以外の場合には被験者9が足先90を所定の高さよりも高く上げなかったと判定する。
【0041】
また、コンピュータ6は、障害物110の映像に予め関連させた障害物110の高さデータ110h及び対応する表示開始時間110t1並びに奥行きデータ110d及び対応する表示終了時間110t2と、足先高さデータ90h及び対応する歩行経過時間8tとを順次比較して、上記障害物110がディスプレイ5の下側に映像表示された際に、被験者9が障害物110を跨ぐことができたか否かを判定する。つまり、障害物110の表示開始時間110t1と被験者9の歩行経過時間8tが等しい時間(8t=110t1)から障害物110の表示終了時間110t2と被験者9の歩行経過時間8tが等しい時間(8t=110t2)までの間に、足先高さデータ90hが常に障害物110の高さデータ110hよりも大きい場合(90h>110h)には、被験者9が足先90を所定の期間、所定の高さよりも高く上げたと判断し、それ以外の場合には被験者9が足先90を所定の期間、所定の高さよりも高く上げなかったと判定する。なお、足先高さデータ90hが想定範囲外の異常値(離れ小島型データ等の異常値)である場合には、適宜、データ補正してから、データ比較してもよい。
【0042】
そして、障害物110がディスプレイ5の下側に映像表示された際に、被験者9が足先90を所定の高さだけ上げなかったとコンピュータ6が判定した場合や被験者9が足先90を所定の期間だけ上げなかったとコンピュータ6が判定した場合に、コンピュータ6が警告ライト50の警告を表示させる。この警告表示は、任意に設定できる。例えば、1回目の歩行訓練では警告表示をさせずに、被験者9に、いつもどおりに歩行させて、歩行の様子を見ることができる。そして例えば、2回目以後の歩行訓練ではリアルタイムで警告表示させることにより、被験者9に学習刺激を与えることができる。
【0043】
(歩行訓練の実施例)
本発明の歩行訓練の実施例を以下に説明する。図4はディスプレイ5の表示画面5aを模式的に示す正面図である。図5は被験者9の右足先91の位置を模式的に示す背面図である。図6は歩行記録Rの一例である。図6の横軸は歩行経過時間8tであり、図6の縦軸は足上げ高さ90hと障害物の高さ110hを示している。被験者9の動作をわかりやすくするため、障害物110は被験者9の右足先91側に配されているものとして取り扱う。歩行コースの映像データは被験者9の自宅であり、被験者9が廊下から居間に入って、居間の奥に設置されたテレビに向かうという設定である。
【0044】
まず、被験者9が歩行計測開始ボタンを押すと、歩行コースの映像データがディスプレイ5の表示画面5aに表示される。図4(a)は歩行計測開始時の映像であり、廊下から居間に入ろうとする場面が映像表示されている。1番目の障害物は、廊下と居間の間の敷居111(110)である。予め、敷居111の高さ111h(110h)が45mmに設定され、敷居111の表示時間111t(110t)が歩行開始から14秒後に設定されている。そして、敷居111の奥行き111dを判定対象から外すために0mmに設定している。なおここで、上記障害物110の高さ110hや奥行き110dは、被験者9の目線に応じて適宜設定する数値であり、実際の大きさとは必ずしも一致しない。またここで、上記表示時間110tは、被験者9の歩行速度Vに応じて適宜変化するものであり、実際の表示時間とは必ずしも一致しない。図5(a)は歩行計測開始時の被験者9の右足先91の位置を示しており、被験者9の右足先91がコンベヤベルト21の外側面(上面)21aに接地されている。したがって、被験者9の右足先91は着地位置91bであり、足先高さ91hは0mmである。歩行経過時間8tは0秒である。
【0045】
歩行経過時間8tが14秒の時点で、敷居111がディスプレイ5の下側に映像表示され(図4(b))、被験者9が右足先91を上げる(図5(b))。被験者9の右足先91は足上げ位置91aであり、足先高さ91hは105mmである。つまり、障害物111の表示時間111tと被験者9の歩行経過時間8tが等しい時間(8t=111t)に、足先高さデータ91hが障害物111の高さデータ111hよりも大きい(91h>111h)。したがって、コンピュータ6は、被験者9が足先91を所定の高さ以上に上げたと判断する。警告ライト51の表示面51aは青色表示である。
【0046】
2番目の障害物は、居間に敷かれた絨毯112である。予め、絨毯112の高さ112hが12mmに設定され、絨毯112の奥行き112dが0に設定され、絨毯112の表示時間112tが歩行開始から17秒後に設定されている(図4(b)を参照)。
【0047】
歩行経過時間8tが17秒の時点で、絨毯112がディスプレイ5の下側に映像表示され、被験者9が右足先91を上げる(図5(c))。被験者9の右足先91は足上げ位置91aであり、足先高さ91hは20mmである。つまり、障害物112の表示時間112tと被験者9の歩行経過時間8tが等しい時間(8t=112t)に、足先高さデータ91hが障害物112の高さデータ112hよりも大きい(91h>112h)。したがって、コンピュータ6は、被験者9が足先91を所定の高さ以上に上げたと判断する。警告ライト51の表示面51aは青色表示である。
【0048】
3番目の障害物は、居間に置かれたティッシュ箱113である。予め、ティッシュ箱113の高さ113hが70mmに設定され、ティッシュ箱113の奥行き113dが1.0に設定され、ティッシュ箱113の表示開始時間113t1が歩行開始から21秒後に設定され、ティッシュ箱113の表示終了時間113t2が歩行開始から22秒後に設定されている(図4(c)を参照)。
【0049】
歩行経過時間8tが21秒の時点で、ティッシュ箱113がディスプレイ5の下側に映像表示され、被験者9が右足先91を上げ(図5(d))、被験者9の右足先91は足上げ位置91aであり、足先高さ91hは55mmである。そして、歩行経過時間8tが22.2秒の時点で、被験者9が右足先91を着地させる(図5(e))。つまり、障害物113の表示開始時間113t1と被験者9の歩行経過時間8tが等しい時間(8t=113t1)に、足先高さデータ91hが障害物113の高さデータ113hよりも小さい(91h<113h)。したがって、コンピュータ6は、被験者9が足先91を所定の高さまで上げなかったと判断するので、警告ライト51の表示面51aが赤色表示となる(図4(d))。表示面51aの赤色表示は、障害物113が画面5aに表示されている期間、継続して赤色表示させたり、一定時間(例えば2秒間)だけ赤色表示させることができる。
【0050】
4番目の障害物は、居間に置かれたテレビリモコン114である。予め、テレビリモコン114の高さ114hが20mmに設定され、テレビリモコン114の奥行き114dが0.8に設定され、テレビリモコン114の表示開始時間114t1が歩行開始から25秒後に設定され、テレビリモコン114の表示終了時間114t2が歩行開始から25.8秒後に設定されている(図4(e)を参照)。
【0051】
歩行経過時間8tが25秒の時点で、テレビリモコン114がディスプレイ5の下側に映像表示され、被験者9が右足先91を上げ、被験者9の右足先91は足上げ位置91aであり、足先高さ91hは55mmである(図6を参照)。そして、歩行経過時間8tが25.8秒の時点で、被験者9の右足先91は足上げ位置91aであり、足先高さ91hは40mm以上を維持しており、歩行経過時間8tが26.1秒の時点で、被験者9が右足先91を着地させる(図6を参照)。つまり、障害物114の表示開始時間114t1と被験者9の歩行経過時間8tが等しい時間(8t=114t1)に、足先高さデータ91hが障害物114の高さデータ114hよりも大きい(91h>114h)。障害物114の表示終了時間114t2と被験者9の歩行経過時間8tが等しい時間(8t=114t2)に、足先高さデータ91hが障害物114の高さデータ114hよりも大きい(91h>114h)。そして、図6からも明らかなように、障害物114の表示開始時間114t1と被験者9の歩行経過時間8tが等しい時間(8t=114t1)から障害物114の表示終了時間114t2と被験者9の歩行経過時間8tが等しい時間(8t=114t2)までの間に、足先高さデータ91hが常に障害物114の高さデータ114hよりも大きい(91h>114h)。したがって、コンピュータ6は、被験者9が足先91を所定の期間、所定の高さ以上に上げたと判断する。警告ライト51の表示面51aは青色表示である(図4(f))。
【0052】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えばディスプレイ5に表示される障害物110に障害物であることを示す矢印記号や、障害物110の高さデータ110hをオーバーレイ表示させることができる。また、被験者9の歩行速度Vや歩行記録Rを逐次リアルタイムでディスプレイ5に表示させることができる。撮像装置にて、被験者9の歩行姿勢を背後から撮像して、当該撮像データを歩行経過時間8tと関連付けてデータベース7に蓄積して、コンピュータ6が上記撮像データを適宜加工処理して、映像データに重ね合わせて再生表示させることも応用可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を適用した一実施形態の歩行訓練システムを模式的に示す斜視図である。
【図2】上記実施形態の歩行訓練システムを模式的に示すブロック図である。
【図3】上記実施形態の歩行訓練システムの歩行訓練手順を模式的に示すフローチャートである。
【図4(a)(b)(c)】上記実施形態の歩行訓練システムによる歩行訓練の一実施例であり、ディスプレイの表示画面を模式的に示す正面図である。
【図4(d)(e)(f)】上記実施形態の歩行訓練システムによる歩行訓練の一実施例であり、ディスプレイの表示画面を模式的に示す正面図である。
【図5】上記実施形態の歩行訓練システムによる歩行訓練の一実施例であり、被験者の足先の位置を模式的に示す背面図である。
【図6】上記実施形態の歩行訓練システムによる歩行訓練の一実施例であり、歩行記録図である。
【符号の説明】
【0054】
1 歩行訓練システム、
2 自走式トレッドミル、
21 コンベヤベルト、
22a,22b ローラ、
3 回転数検出手段(ロータリーエンコーダ)、
4 足先高さ検出手段(光センサ)、
5 映像表示手段(ディスプレイ)、
6 制御手段(コンピュータ)、
7 データ蓄積手段(データベース)、
8 タイマー、
9 被験者、
90 足先、
110 障害物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者が歩行するための自走式トレッドミルと、自走式トレッドミルのローラ回転数を検出する回転数検出手段と、回転数検出手段の回転数と連動してデータ蓄積手段から読み出された歩行コースの映像データを被験者に表示する映像表示手段と、当該映像データが蓄積されたデータ蓄積手段と、被験者に非接触で被験者の足先の高さを検出して足先高さ検出信号を出力する足先高さ検出手段と、上記回転数検出手段の回転数と連動してローラ回転開始時点からの歩行経過時間を計測するタイマーと、少なくとも上記映像表示手段と上記データ蓄積手段を制御する制御手段を備え、
上記足先高さ検出信号と上記歩行経過時間に基づき、上記制御手段が歩行記録を作成することを特徴とする歩行訓練方法。
【請求項2】
前記制御手段が前記歩行経過時間と対応する所定の時間に、被験者が歩行する際の障害となり得る障害物の映像を前記映像表示手段から表示させ、当該障害物の映像が所定位置に表示される際の前記足先高さ検出データと当該障害物の映像に予め関連させた当該障害物の高さデータとを比較して、上記障害物の映像が所定の位置に表示された表示時間に、被験者が上記障害物の高さデータよりも高い位置に足先を上げたか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の歩行訓練方法。
【請求項3】
前記制御手段が前記歩行経過時間と対応する所定の時間に、被験者が歩行する際の障害となり得る障害物の映像を前記映像表示手段から表示させ、当該障害物の映像が所定位置に表示開始される際の前記足先高さ検出データと当該障害物の映像に予め関連させた当該障害物の高さデータとを比較するとともに、当該障害物の映像が所定位置に表示終了される際の前記足先高さ検出データと当該障害物の映像に予め関連させた当該障害物の高さデータとを比較して、上記障害物の映像が所定の位置に表示開始されてから表示終了されるまでの時間に、被験者が常に上記障害物の高さデータよりも高い位置に足先を上げたか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の歩行訓練方法。
【請求項4】
前記制御手段が前記歩行記録を前記データ蓄積手段に蓄積して、歩行訓練の際に前記映像表示手段から表示させることを特徴とする請求項1記載の歩行訓練方法。
【請求項5】
前記歩行コースの映像データが被験者の自宅の映像であり、前記障害物の映像がその高さデータ及び/又は表示開始時間或いは表示終了時間が異なる複数種類の障害物からなることを特徴とする請求項2又は3記載の歩行訓練方法。
【請求項6】
前記制御手段が前記判定結果に基づき、警告表示手段により警告を表示することを特徴とする請求項2又は3記載の歩行訓練方法。
【請求項7】
前記回転数検出手段がロータリーエンコーダであり、前記高さ検出手段が光センサであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一記載の歩行訓練方法。
【請求項8】
被験者が歩行するための自走式トレッドミルと、自走式トレッドミルのローラ回転数を検出するロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダの回転数と連動してデータ蓄積手段から読み出された歩行コースの映像データを被験者に表示する映像表示手段と、当該映像データが蓄積されたデータ蓄積手段と、被験者に非接触で被験者の足先の高さを検出して足先高さ検出信号を出力する光センサと、上記ロータリーエンコーダの回転数と連動してローラ回転開始時点からの歩行経過時間を計測するタイマーと、少なくとも上記映像表示手段と上記データ蓄積手段を制御する制御手段を備え、
上記足先高さ検出信号と上記歩行経過時間に基づき、上記制御手段が歩行記録を作成することを特徴とする歩行訓練システム。
【請求項9】
前記光センサが発光素子と受光素子からなり、前記トレッドミルの上流側と下流側とにそれぞれ向かい合って複数配列されることを特徴とする請求項8記載の歩行訓練システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4(a)(b)(c)】
image rotate

【図4(d)(e)(f)】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−219508(P2009−219508A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63808(P2008−63808)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)