説明

歯の清掃具

【課題】デンタルフロスを、二つの歯ブラシ部の内側中心に張設することにより、このデンタルフロスが二つの歯ブラシ部を案内することになって、歯間部および歯茎の境目などの周囲を偏りなく均等に磨くことができるようにしたものである。
【解決手段】把持部1に連なり二股状に分岐形成された二つの支持部3、3aと、これら支持部3、3aにそれぞれ連なったブラシ基材部5、5aの先端部位にデンタルフロス6を水平に張設するための切欠部7、7aが設けられ、二つのブラシ基材部5、5aの内向き対向面にして、かつ切欠部7、7aの最深部a、bを中心とする円周上に植毛束9、9aが植毛されて形成されたブラシ部4、4aと、二股状の分岐部近傍、または把持部1に設けられた巻取り留め部10を有し、デンタフロス6が切欠部7、7aを介して二つのブラシ基材部5、5a間の中心線上に張設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯間の歯垢や食べカス等を取り除き、同時に歯間部分および歯茎の境目部分を磨く歯の清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
虫歯や歯周病等の予防には、微細なナイロン繊維等をより合わせた歯間清掃用の糸であるデンタルフロス付のブラシが効果的であることは公知の事実である。
【0003】
そして、この種歯ブラシに関する技術としては、従来数多くのものが提案され、また、実用にも供されている。
【0004】
その例として、特開2007−130418号に歯間ブラシ機能付きフロス糸ブラシが開示されており、また、特開平2−289246号公報に歯の清掃装置が開示されている。
【0005】
ところで、これら特開2007−130418号公報、特開平2−289246号公報に開示のものは、いずれもが歯ブラシの外側にデンタルフロスが張設されているため、デンタルフロスを歯間に挿入して磨いていると、デンタルフロスと歯ブラシの位置が離れてしまう。そのため、デンタルフロスが歯間部および歯茎の境目などの磨きにくい部位に、歯ブラシを正確に案内することにならず、磨き残しが発生しやすいという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−130418号公報
【特許文献2】特開平2−289246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、デンタルフロスが歯ブラシの外側にあって、相対する歯ブラシの中心線上にないため、デンタルフロスを歯間に挿入して磨いていると、デンタルフロスと歯ブラシの位置が離れてしまい、デンタルフロスが歯間部および歯茎の境目などの磨きにくい部位に、歯ブラシを正確に案内することにならず、磨き残しが発生しやすいという点である。
【0008】
従って、本発明の目的は、歯間清掃用の糸であるデンタルフロスを、相対向する二つの歯ブラシ部の内側中心(歯ブラシ基材部の中心)に張設することにより、このデンタルフロスが正確に二つの歯ブラシ部を案内することになって、自動的に歯間部および歯茎の境目などの周囲を偏りなく均等に磨くことができる歯の清掃具を提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、二つの歯ブラシ部のそれぞれを、二つの支持部のそれぞれに対して着脱自在構造とすることにより、歯ブラシ部の消耗などによる歯ブラシ部の交換を可能にし、経済的に使用できる歯の清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明の請求項1に記載の歯の清掃具は、把持部1と、この把持部1に連なり二股状に分岐形成された二つの支持部3、3aと、 これら二つの支持部3、3aにそれぞれ連なったブラシ基材部5、5aの先端部位にデンタルフロス6を水平に張設するための切欠部7、7aが設けられ、前記二つのブラシ基材部5、5aのそれぞれの内向き対向面にして、かつ前記切欠部7、7aの最深部a、bを中心とする円周上に植毛束9、9aがそれぞれ水平に植毛されて形成されたそれぞれのブラシ部4、4aと、前記二股状の分岐部近傍、または前記把持部1に膨出形成され、かつ前記デンタフロス6の両端を巻き取って留めるための巻取り留め部10を有し、かつ前記デンタフロス6が前記切欠部7、7aを介して前記二つのブラシ基材部5、5a間の中心線上に張設される構成を特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項2に記載の歯の清掃具は、前記二つのブラシ部4、4aは、前記二つの支持部3、3aに対しそれぞれ着脱自在として連設されている構成を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、歯間清掃用の糸であるデンタルフロスを、相対向する二つの歯ブラシ部の内側中心(歯ブラシ基材部の中心)に張設することにより、このデンタルフロスが正確に二つの歯ブラシ部を案内することになって、自動的に歯間部および歯茎の境目などの周囲を偏りなく均等に磨くことができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明によれば、二つの歯ブラシ部のそれぞれを、二つの支持部のそれぞれに対して着脱自在構造とすることにより、歯ブラシ部の消耗などによる歯ブラシ部の交換が可能となって経済的に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明に係る歯の清掃具の一例での斜視図である。(実施例1)
【図2】図2は、図1における要部の拡大斜視図である。
【図3】図3は、図2における3−3線に沿った拡大断面図である。
【図4】図4は、本発明に係る歯の清掃具の他例での分解斜視図である。(実施例2)
【図5】図5は、本発明に係る歯の清掃具の他例での分解斜視図である。(実施例3)
【図6】図6は、本発明に係る歯の清掃具の他例での分解斜視図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る歯の清掃具は、把持部と、この把持部に連なって二股状に分岐形成された二つの支持部と、これら二つの支持部にそれぞれ連なったブラシ基材部の先端部位にデンタルフロスを水平に張設するための切欠部が設けられ、前記二つのブラシ基材部のそれぞれの内向き対向面にして、かつ前記切欠部の最深部を中心とする円周上に植毛束がそれぞれ水平に植毛されて形成されたそれぞれのブラシ部と、前記二股状の分岐部近傍、または前記把持部に膨出形成され、かつ前記デンタフロスの両端を巻き取って留めるための巻取り留め部を有し、かつ前記デンタフロスが前記切欠部を介して前記二つのブラシ基材部間の中心線上に張設され、使用に当っては、歯間にデンタルフロスを入れて上下、前後、左右に動かして歯間を磨き、および歯茎の境目などの周囲を磨き、または清掃する。
【0016】
以下、本発明の具体的な実施例を図面に基づきその作用と共に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明に係る歯の清掃具の一実施例の斜視図であって、本歯の清掃具は、把持部と支持部、歯ブラシ基材部、デンタルフロスの巻き取り留め部などを含み、これらは衛生上問題とならない硬質樹脂材、例えばポリエステル樹脂材による成形品として得られる。
【0018】
使用時に把持される把持部1は、把持に適した長さ、形状などを有するものであれば、特に限定されるものではない。
【0019】
把持部1の一端には、略T字状に連なる共通基部2を介して二つの支持部3、3aが二股状にして、かつ左右対称に分岐形成されている。
【0020】
二つの支持部3、3aのそれぞれの自由端部(先端部)には、それぞれブラシ部4、4aが設けられている。
【0021】
二つのブラシ部4、4aは、それぞれ略円形のブラシ基材部5、5aの先端部位にして、かつ軸方向(厚み方向)いっぱいに設けられたデンタルフロス6を水平に張設するためのV字状などの切欠部7、7aと、ブラシ基材部5、5aの内向きに相対向する植毛面8、8aにおける切欠部7、7aの最深部a、bを中心とする円周上に、等角度で明けられた複数の盲孔にそれぞれ水平に植毛された複数の植毛束9、9aを含み、相対向する二つの切欠部7、7a間に歯間清掃用の糸であるデンタルフロス6を通すことにより、このデンタルフロス6を二つのブラシ部4、4aの略中心線上に張設することができるようになっている。
【0022】
図1および図2に示されているように、二股状の分岐部近傍である共通基部2の上面中央部位には、デンタルフロス6の両端を巻き取って留めるため、図3に示されているように、巻き取り溝部11を有する巻き取り留め部10が膨出形成され、切欠部7、7aを介して二つのブラシ部4、4aの略中心線上に張設されたデンタルフロス6の両端を巻き留めすることにより、デンタルフロス6の張設状態を保持できるようになっている。
【0023】
なお、巻き取り留め部10は、共通基部2の上面の他、把持部1の上面適所に設けるようにしてもよい。
【0024】
このように構成された歯の清掃具は、次のようして使用される。
【0025】
先ず、図1および図2に示されているように、デンタルフロス6が二つのブラシ部4、4aにおける切欠部7、7aを介し、かつデンタルフロス両端が巻き取り留め部11に巻き留めされることによって、二つのブラシ部4、4a(ブラシ基材部5、5a)間の略中心線上に張設され、使用に当っては、把持部1を持ち、歯間にデンタルフロス6を入れて上下、前後、左右に動かして歯間を磨けば、デンタルフロス6が正確に二つの歯ブラシ部4、4aを案内することになって、自動的に歯間部および歯茎の境目などの周囲を偏りなく均等に磨くことができる。
【実施例2】
【0026】
図4に示されている実施例2は、二つのブラシ部4、4aが二つの支持部3、3aに対して着脱可能とされ、適時ブラシ部の交換ができるよう構成されたものである。
【0027】
以下、実施例2を図1〜図3との対応部分には同一符号を附して示す図4に基づいて説明する。
【0028】
二つのブラシ部4、4aは、それぞれのブラシ基材部5、5aの厚み方向いっぱいに嵌合突起部12、12aが一体に設けられ、これに対する二つの支持部3、3aの先端部には、嵌合突起部12、12aが一体的に嵌り込む嵌合凹部13、13aと、円弧状のブラシ基材部5、5aの外周一部分と適合する円弧状凹部14、14aが形成され、これら嵌合凹部13、13aと円弧状凹部14、14aに嵌合突起部12、12aが嵌り込むことにより、二つのブラシ部4、4aが着脱可能とされている。
【実施例3】
【0029】
図5に示されている実施例3は、それぞれにブラシ部4、4aを有する二つの支持部3、3aおよび共通基部2が左右対称の二分割構造とされ、これらが一体的に接合されて把持部1と連結されるように構成されたものである。
【0030】
以下、実施例3を図1〜図3との対応部分には同一符号を附して示す図5に基づいて説明する。
【0031】
分割されたそれぞれの共通基部2の後端部(把持部1との連結方向)に、鍵部15、15a付きの嵌合突起部16、16aが一体に延設され、巻き取り留め部10を有する把持部1は一部、または全体が中空状にして、かつ両側面にはそれぞれの鍵部15、15aが嵌り込む開口部17、17aが明けられて構成され、二分割された共通基部2が一体的に接合されて把持部1の開口部より嵌め込まれ、嵌合突起部16、16aの鍵部15、15aが開口部17、17aに嵌り込むことによりそれぞれが一体的に連結されて歯の清掃具として構成されるものである。
【実施例4】
【0032】
図6に示されている実施例4は、それぞれにブラシ部4、4aを有する二つの支持部3、3aおよび共通基部2、巻き取り留め部10を有する把持部1が二分割構造とされ、これらが一体的に接合固着されることにより歯の清掃具として構成されるようにしたものである。
【0033】
以下、実施例4を図1〜図3との対応部分には同一符号を附して示す図6に基づいて説明する。
【0034】
二つに分割された一方把持部1の長手方向の内側面に、適当な間隔で複数の嵌合突起部18が設けられ、他方把持部1における嵌合突起部18との対接面長手方向に、各嵌合突起部18が嵌り込む盲穴19が設けられ、これら嵌合突起部18と盲穴19との嵌合接着によって一体的な把持部1等を有する歯の清掃具が構成されるようにしたものである。
【0035】
そして、実施例2、3、4のものは、前記実施例1のもと同様にして使用され、同様の作用効果を奏するものである。
【符号の説明】
【0036】
1 把持部
2 共通基部
3、3a 支持部
4、4a ブラシ部
5、5a ブラシ基材部
6 デンタルフロス
7 切欠部
9、9a 植毛束
10 デンタルフロスの巻き取り留め部
12、12a 嵌合突起部
13、13a 嵌合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部(1)と、
この把持部(1)に連なり二股状に分岐形成された二つの支持部(3)、(3a)と、
これら二つの支持部(3)、(3a)にそれぞれ連なったブラシ基材部(5)、(5a)の先端部位にデンタルフロス(6)を水平に張設するための切欠部(7)、(7a)が設けられ、前記二つのブラシ基材部(5)、(5a)のそれぞれの内向き対向面にして、かつ前記切欠部(7)、(7a)の最深部(a)、(b)を中心とする円周上に植毛束(9)、(9a)がそれぞれ水平に植毛されて形成されたそれぞれのブラシ部(4)、(4a)と、
前記二股状の分岐部近傍、または前記把持部(1)に膨出形成され、かつ前記デンタフロス(6)の両端を巻き取って留めるための巻取り留め部(10)を有し、
かつ前記デンタフロス(6)が前記切欠部(7)、(7a)を介して前記二つのブラシ基材部(5)、(5a)間の中心線上に張設される構成を特徴とする歯の清掃具。
【請求項2】
前記二つのブラシ部(4)、(4a)は、前記二つの支持部(3)、(3a)に対しそれぞれ着脱自在として連設されている構成を特徴とする請求項1の歯の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−72696(P2011−72696A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229218(P2009−229218)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(505016159)