説明

歯を洗浄する方法

本発明は、歯洗浄装置、特に電動歯ブラシの分野に含まれる。本発明はさらに、空気/水ジェットを使用して歯を洗浄することに関する。歯を洗浄するための水ジェット、特に、歯を洗浄し、歯の表面に物質を確実に付着させる目的に使用することができる単一の装置を含む、歯を洗浄する方法が依然として求められている。したがって、本発明の目的は、水の投与量が空気圧の影響を受けない外部混合式の空気−水ジェットによって改良された洗浄化を提供する電動歯ブラシ装置を用いて歯を洗浄する方法を提供することにある。意外にも、ノズルの外側で空気と水が混合される空気/水ジェットを備える歯ブラシ装置は、隣接面間の領域を含む歯の表面を少ない水使用量で洗浄する、改良された洗浄化を提供することが分かった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯洗浄装置、特に電動歯ブラシの分野に含まれる。本発明はさらに、空気/水ジェットを使用して歯を洗浄することに関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシおよび歯を磨く習慣は広く世界中に広まっている。この数十年の間、電動歯ブラシの使用は特に先進諸国でますます一般的になっている。
【0003】
電動歯ブラシには多くの形状および形態のものがあるが、電動歯ブラシの大部分は、電動機がシャフトを少なくとも1つの方向に移動させる同じ原理に基づいている。このような電動歯ブラシは、例えばUS−A−5,974,615、EP−A1−0 790 809またはEP−A1−0 862 390に開示されている。
【0004】
当技術分野では、口腔シャワーまたは口腔洗浄装置も知られている。口腔洗浄装置は、1970年代の終わりおよび1980年代の初めから一般的に使用されている。このような装置の一例がUS−A−4,793,332に記載されており、US−A−4,793,332には、マルチジェットスプレー口腔洗浄装置の使用が開示されている。
【0005】
これらの2つの装置を、ブラッシング部分と水ジェットの両方を含む1つの装置に統合する試みもいくつかなされている。WO2006/041920は、水ジェットノズルを備える電動歯ブラシ装置を開示している。しかしながら、この設計は、空気と水の内部混合を使用し、その結果、水の流量が信頼性の低いものとなり、または複雑な水ポンプが必要となる。
【0006】
さらに、練り歯磨きを分配するための出口または通路をブラシヘッドが備える歯ブラシもいくつか開示されている(例えばWO2008/155025)。
【0007】
当技術分野では、歯を洗浄するための内部混合式の空気水ジェットも知られている。US−A−5,820,373は、歯周病を予防するための歯周ポケット洗浄装置を開示しており、この装置は、歯周ポケットを傷つける可能性が非常に低く、使用場所を限定せずにどこでも使用することができ、ハンディプローブの高さの影響を受けることなく霧化された安定したジェットを得ることができ、安価で購入可能である。また、US−A−5,593,304は、使用者が一端を握ることができるハンドピースと、ハンドピースの反対端のヘッドとを含み、ヘッドが、液体源、気体源および/または粉末源に接続可能な単一のノズルまたは一対のノズルを含む歯科装置を開示している。
【0008】
口腔洗浄装置を歯ブラシと統合するときに遭遇する問題の1つは、口腔洗浄装置は、積極的に洗浄するというよりもむしろ口腔をすすぐことが意図されており、したがって適当な洗浄化を提供しないことである。
【0009】
他の問題は、水は、口腔を洗浄しまたはすすぐのにはよいが、歯を磨くときには、練り歯磨きを洗い流してしまうため、あまり好ましくないことであり、口中に水が蓄積することを消費者は一般に喜ばない。
【0010】
内部混合式の空気水ジェットに関連した問題は、洗浄性能が十分でないこと、および空気ノズルの開口と水ノズルの開口とが離れていないため、液体流が空気圧の影響を受けることである。液体流が空気圧の影響を受けることは望ましくない。
【0011】
歯を洗浄するための水ジェットを含む装置、特に、歯を洗浄し、歯の表面に物質を確実に付着させる目的に使用することができる単一の装置を使用して、歯を洗浄する方法が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US−A−5,974,615
【特許文献2】EP−A1−0 790 809
【特許文献3】EP−A1−0 862 390
【特許文献4】US−A−4,793,332
【特許文献5】WO2006/041920
【特許文献6】WO2008/155025
【特許文献7】US−A−5,820,373
【特許文献8】US−A−5,593,304
【特許文献9】PCT/EP2009/050869(WO2009/103595)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、水の投与量が空気圧の影響を受けない外部混合式の空気−水ジェットによって改良された洗浄化を提供する電動歯ブラシ装置を用いて歯を洗浄する方法を提供することにある。
【0014】
他の目的は、このような改良された洗浄化を提供し、同時に大量の水の使用を回避することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、歯、特に歯の隣接面間の領域からプラーク、粒子および色を除去する改良された除去を提供することにある。
【0016】
他の目的は、所定量の液体を確実に送達することができる装置を使用して歯を洗浄にする方法を提供することにある。この液体は、有益な作用物質(以後、有益作用物質)を含むことが好ましい。
【0017】
歯の表面を洗浄にする多くの方法、例えばスクラビング(scrubbing)、バフ研磨(buffing)、アブレージョン(abrasion)、超音波処理のような機械的/物理的方法、または、例えば練り歯磨き製剤に含まれる界面活性剤、溶剤、酸、アルカリ、漂白剤、酵素の使用など化学的方法の使用が報告されている。
【0018】
本出願の出願者の同時係属出願PCT/EP2009/050869(WO2009/103595として公開されている)には、新規の種類の空気/水ジェットを備える洗浄装置、および洗浄装置を使用して織物製品(fabric article)などの基材(substrate)を洗浄にする方法が開示されている。
【0019】
意外にも、ノズルの外側で空気と水が混合される空気/水ジェットを備える歯ブラシ装置は、隣接面間の領域を含む歯の表面を少ない水使用量で洗浄する、改良された洗浄化を提供することが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明は、歯洗浄装置を用いて歯を洗浄する方法であって、歯洗浄装置が、2つのノズルを備える空気−水ジェット装置を備え、第1のノズルが供給液体源と流体連通しており、第2のノズルが圧縮空気源に接続されている方法において、両方のノズルが中心軸に対して位置決めされており、第1のノズルが、中心軸に対して1から60°の間の角度にあり、第2のノズルが、中心軸に対して1から45°の間の角度にあり、空気ノズルが、水通路を同軸で取り囲んでおらず、第2のノズルの口が、中心軸の方向に沿った流れの方向において、第1のノズルの口よりも前方に配置されており、第1のノズルの口と第2のノズルの口の間のオフセット距離が、前記方向において0.5から5mmの間であることを特徴とする方法を提供する。
【0021】
他の態様において、本発明は、本発明に基づく歯洗浄装置と、供給液体源としての口腔洗浄組成物とを含む洗浄システムを用いて歯を洗浄する方法を提供する。
【0022】
当業者には、これらの態様、機能および利点ならびにその他の態様、機能および利点が、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことによって明らかになる。疑念を回避するために言うと、本発明のある1つの態様の特徴は全て、本発明の他の態様においても利用することができる。以下の説明に示す実施例は、本発明を明確にすることが意図されており、それらの実施例が、それらの実施例自体に本発明を限定することは意図されていないことに留意されたい。同様に、特に明記しない限り、全ての百分率は、重量/重量百分率である。「xからyまで」の形式で表現された数値範囲は、xおよびyを含むことが理解される。特定の特徴に対して、複数の好ましい範囲が「xからyまで」の形式で記載されているときには、さまざまな端点を組み合わせた全ての範囲も企図されることが理解される。
【0023】
発明の詳細な説明
したがって、本発明は、歯を洗浄する方法であって、空気−水ジェットを含む方法に関する。本発明の空気−水ジェットは歯ブラシに組み込まれ、ブラシヘッド内にノズルが配置されることが好ましいが、周辺部分の少なくとも一部は柄に組み込んでもよい。
【0024】
空気−水ジェット
空気−水ジェット装置は2つのノズルを備え、第1のノズルは供給液体源と流体連通しており、第2のノズルは圧縮空気源に接続されている。
【0025】
液体源は、給水主管から直接に、またはポンプを介して、または水を保持した加圧された容器を介して、または他の手段によって、あるいは重力によって(すなわち空気−水ジェットを使用する高さよりも高い位置に水リザーバを配置することによって)空気−水ジェット装置に提供された任意の水源とすることができる。
【0026】
供給液体は任意の液体とすることができるが、水および水溶液または口腔洗浄組成物であることが好ましい。本明細書では以後、液体用のノズルを水ノズルと呼ぶが、水ノズルは、水性液体および口腔洗浄組成物を含む、水または他の任意の液体を通すことができることが理解される。
【0027】
同様に、空気源は、歯洗浄装置とは別個の圧縮機もしくは歯洗浄装置内に構築された圧縮機を介して、またはしばしば病院および歯科医院で使用可能な圧縮空気管路などの圧縮空気管路を介して提供された任意の空気源とすることができる。
【0028】
第1のノズル(水ノズル)および第2のノズル(空気ノズル)はともに、想像上の中心軸(NOR)に対して位置決めされる。第1のノズルは、中心軸に対して1から60°の間、好ましくは10から30°の間の角度(α)に位置決めされ、第2のノズルは、中心軸に対して1から45°の間、好ましくは15から30°の間の角度(φ)で位置決めされる。
【0029】
第2のノズルの口は、中心軸の方向に沿った流れの方向において、第1のノズルの口よりも前方に配置されており、第1のノズルの口と第2のノズルの口の間のオフセット(OS)距離は、前記方向において0.5から5mmの間、好ましくは1〜3mmである。
【0030】
最もよい結果が得られるのは、第1のノズルが、0.05から10mmの間の開口、好ましくは少なくとも0.2mmで7mm以下の開口、より好ましくは5mm以下または3mm未満の開口を有するときである。同様に、第2のノズルの開口は0.2から3mmの間であることが好ましい。
【0031】
本発明の範囲はさらに、単一の空気ノズルに導かれた2つ以上の水ノズルを備える構成を含む。この構成は装置の複雑さを増大させ、このことは一般に好ましくないが、異なる原料成分または両立しない原料成分を混合し、または反応させる作用点を与える追加の利点を提供する。
【0032】
円形の開口を有するノズルに関しては、第1のノズルの直径が、0.25から3.5mmの間であることが好ましく、少なくとも0.5mmであることがより好ましいが、3mm以下であることが好ましく、2.5mm以下または3mm未満であることがより好ましく、第2のノズルの直径は0.5から2mmの間であることが好ましい。
【0033】
なんらかの理論によって拘束したいわけではないが、本発明は、その性能を、想像上の軸に対するノズルの位置決め、および空気ノズル(第2のノズル)に対する水ノズル(第1のノズル)のオフセットから得ていると考えられる。この位置決めのため、水ノズルから来た供給液体は空気ノズルの周囲に膜を形成し、これにより、供給液体は、より低い水−空気比の(すなわちより少ない液体を使用する)より細かいスプレーを与える。空気ノズルからの空気流は、局所的な与圧を生み出し、この与圧が、ノズルがどの方向に向けられているかに関わらず、空気ノズルの先端に沿った空気ノズルの方向に液体が駆動されることを保証すると考えられる。さらに、空気ノズルの開口と水ノズルの開口とが離れているため、液体流は空気圧の影響を受けない。液体流が空気圧の影響を受けることは、内部混合ノズル設計に共通の問題である。
【0034】
したがって、液体:空気比は、10:90から1:9999の間であることが好ましく、5:95よりも小さいことがより好ましく、4:96よりも小さいことがより好ましく、3:97よりも小さいこと、2:98よりも小さいこと、または1:99よりも小さいことがより好ましく、この比は、3:9997よりも大きいことが好ましく、5:9995よりも大きいことがより好ましい。
【0035】
さらに、水ノズルの開口と空気ノズルの側面との間の距離がごく短いことが好ましい。この距離は、2mm未満であることが好ましく、1mm未満または0.5mm未満であることがより好ましい。水ノズルの開口は空気ノズルに接触していることが非常に好ましい。
【0036】
空気ノズルは、水通路を同軸で取り囲んでいないことが好ましい。また、水ノズルは、空気ノズルを同軸で取り囲んでいないことが好ましい。
【0037】
空気源の空気圧は1から5バールの範囲にあることが好ましい。空気は、ノズルの出口(ノズル開口)において、80m/秒よりも大きな速度を有することが好ましく、120m/秒よりも大きな速度を有することが好ましく、180m/秒よりも大きな速度を有することがより好ましく、250m/秒よりも大きな速度を有することが非常に好ましい。本発明は、非常に高い空気速度まで機能すると考えられるが、構造上の理由および使用者の便宜のため、空気の速度は音速よりも遅い(すなわち334m/秒未満である)ことが好ましい。ノズルの直径に応じて、空気流量は3から50l/分の間であることが好ましく、5l/分超または10l/分超であることがより好ましい。空気流量は40l/分未満であることが好ましく、30l/分未満または25l/分未満であることがより好ましい。
【0038】
液体流量は一般に2から100ml/分の間であり、5ml/分超または10ml/分超であることが好ましく、液体流量は80ml/分未満であることが好ましく、50ml/分未満または40ml/分未満であることがより好ましい。
【0039】
構成
空気源および/または液体源は、装置に組み込み、または別個のユニットにはめ込むことができる。後者の場合、圧縮機、圧縮空気カートリッジもしくは圧縮空気シリンダまたは他の空気源、および/あるいは任意選択で水道本管に接続された液体リザーバを備える別個のユニットが提供される。このユニットは、空気管路および/または水管路としての管によって手持ち式の装置に接続される。
【0040】
ブラシヘッド
歯洗浄装置は、ブラシヘッドおよび柄を備えることが好ましい。ブラシヘッドは空気−水ジェット装置を備える。2つ以上の空気−水ジェット装置の使用も企図される。
【0041】
本発明の歯洗浄装置はさらに、剛毛(bristle)、歯肉マッサージ要素および/または舌洗浄化要素などの他の歯洗浄化特徴を含むことができる。これらの要素はブラシヘッド内に配置されることが好ましい。
【0042】
ブラシヘッドはさらに電動式とすることができる。この点に関して、装置の柄に組み込まれた電動機によってブラシヘッドを駆動することができる。この電動機は、ヘッドを、柄の方向に直線的に往復運動させ、または柄の方向に対して90°の角度で直角に往復運動させ、または柄の方向の軸を中心に1〜180°、好ましくは1〜90°もしくは1〜45°の角度にわたって往復運動させ、または柄の方向に直角な軸を中心に円運動させ、または柄の方向に直角な軸を中心に1〜180°、好ましくは1〜90°もしくは1〜45°の角度にわたって往復運動させることができ、あるいはこれらの運動を組み合わせた運動をヘッドに与えることができる。上記の全ての構成において、空気−水ジェットならびに任意選択の剛毛および/または歯肉マッサージ要素は、歯洗浄装置の柄に直角な方向を指していることが好ましく、一方、任意選択の舌洗浄化要素は、それらとは反対の方向を指していることが好ましい。
【0043】
歯洗浄装置はさらに、空気圧縮機を空気源として備えることができる。この圧縮機は、装置の柄の内部に構築し、または管によって空気−水ジェットに接続された別個の装置として提供することができる。この圧縮機は、1バール以上5バール以下の圧力を提供することが好ましく、4バール未満の圧力を提供することがより好ましい。したがって、一般に0.05から1HPの範囲の非常に低い出力の圧縮機を使用して、上記の仕様を達成することができる。管内および装置内の圧力降下のため、空気ノズルにおける圧力は、1から4バールであることが好ましく、2から3バールであることがより好ましい。この圧力を設定する手段を備えた装置も企図され、その場合には、やはりそのような選択が可能な現在入手可能な標準歯ブラシと同様に、使用者は、例えば、ソフト、中間およびハード洗浄の間で選択することができる。
【0044】
液体源は、水道本管とすることができ、すなわち水道の蛇口に直接に接続することができ、または別個のリザーバの形態とすることができる。歯洗浄装置用の液体源の圧力は比較的に低くすることができ、少なくとも0.05バールであることが好ましく、少なくとも0.1バールであることがより好ましいが、3バール以下であることが好ましく、2.5バール未満であることがより好ましく、2バール未満であることがより好ましい。
【0045】
別個のリザーバが液体源として使用されるとき、前記リザーバには水だけを満たし、または口腔洗浄組成物を満たすことができる。
【0046】
液体リザーバは、例えば圧力を与えるために、歯洗浄装置を使用する高さよりも高い位置に置くことができ、または別の方法で加圧することもできる。別の方法で加圧するときには、圧縮空気源からの圧縮空気でリザーバを加圧することが特に好ましい。
【0047】
液体口腔洗浄組成物
液体口腔洗浄組成物は一般に、液体連続相および1種または数種の有益作用物質を含む。最も典型的には、この液体連続相が、通常は供給液体の50重量%超または90重量%超を構成する主成分として、水を含む。
【0048】
このような有益作用物質は、プラークまたは歯石の除去を助けることがある。あるいは、有益作用物質は、歯肉炎および/または齲食を低減させることがある。他の場合には、息をさわやかにし、または風味もしくは芳香を与えるように、液体を調合することができる。供給液体中の成分は一般に、フレッシュニング剤(freshening agent)、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、抗菌剤、歯漂白剤、ソルビトールなどの湿潤剤および/またはフッ化物塩を含む。
【0049】
供給液体中で使用することができる抗菌剤のいくつかの例は、フェノール(例えばトリクロサン(triclosan))、チモール、サロール、タンニン酸、ヘキサクロロフェン、塩素化チモール、第四アンモニウム化合物のような原料成分である。アルコールが含まれていてもよい。アルコールは、成分を可溶化するのに役立つことがあり、細菌の活動を低下させるのに役立つこともある。抗菌剤は、組成物中に、0.001から1重量%の間の濃度で存在することが好ましい。抗菌剤は、少なくとも0.005重量%の濃度で存在することが好ましく、少なくとも0.01重量%の濃度で存在することがより好ましい。抗菌剤は、0.5重量%以下の濃度で存在することが好ましく、0.25重量%以下の濃度で存在することがより好ましく、0.1重量%未満の濃度で存在することがより好ましい。
【0050】
フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムなどのフッ化物塩は供給液体中の好ましい成分である。フッ化物は、供給液体中に、4.5から4500ppmの間のフッ化物イオン濃度で存在することが好ましい。
【0051】
フッ化物は、組成物中に、4.5から4500ppmの間のフッ化物濃度で存在することが好ましい。フッ化物は、組成物中に、23ppm超のフッ化物濃度で存在することが好ましく、45ppm超のフッ化物濃度で存在することがより好ましく、113ppm超のフッ化物濃度で存在することが非常に好ましい。フッ化物は、2260ppm未満のフッ化物濃度で存在することが好ましく、1130ppm未満または450ppm未満のフッ化物濃度で存在することがより好ましい。
【0052】
フッ化ナトリウムが使用されるとき、フッ化ナトリウムは、0.005から0.5%の間の濃度(23から2260ppmの間のフッ化物濃度に相当する)で存在することが好ましい。
【0053】
口腔洗浄組成物に含めることができる他の原料成分は、消泡剤、防腐剤、着色剤および甘味料である。
【0054】
使用することができる一般的なフレーバー(flavour)は、ペパーミント、メントール、サリチル酸メチル、オイゲノール(eugenol)、オイカリプトール(eucalyptol)および/またはこれらの混合物である。フレーバーは一般に0.001から1重量%の間の濃度で存在し、0.01重量%超または0.05重量%超の濃度で存在することが好ましい。フレーバーは、0.5重量%未満または0.25重量%未満の濃度で存在することが好ましい。
【0055】
口腔洗浄組成物は、35体積%までのエタノール、一般に5から30体積%の間または15から25体積%の間のエタノールを含むことができる。
【0056】
口腔洗浄組成物はさらに防腐剤を含むことができる。防腐剤は一般に0.001から1%の間の濃度で存在する。
【0057】
口腔洗浄組成物は、任意選択で、方解石などの研摩粒子を含むことができる。研摩粒子は、組成物中に、0.1から10%の間の濃度で存在することが好ましい。研摩粒子は、水ノズルの口よりも小さいことが好ましく、最大粒径は500マイクロメートル未満であることが好ましい。平均粒径は、1から250マイクロメートルの間とすることができ、10から200マイクロメートルの間であることがより好ましく、5から150マイクロメートルの間であることがより好ましい。
【0058】
動作
歯を洗浄する(「ブラッシング」の)間に、空気−水ジェットを連続的にまたは断続的に使用することができる。考えられる1つの動作方法は、ブラッシングの一部分の間に空気−水ジェットを使用する方法である。他の実施形態では、洗浄のためのブラッシング過程の最初の部分において空気−水ジェットを使用し、液体流だけ、または液体流と少量の空気流とを用いて動作させて、有益作用物質を歯に付着させる。好ましい有益作用物質はフッ化物である。他の実施形態では、空気−水ジェットをパルスモードで動かす。すなわち、時間の経過とともにオン/オフを切り替える方式で空気流を制御する。他の実施形態では、ブラッシングの間に空気−水ジェットをオンまたはオフにするため、手持ち式装置に押しボタンが取り付けられている。
【0059】
断続動作においては、適当な電磁弁を用いて空気管路および/または液体管路を開閉することが好ましい。
【0060】
弁システムを使用して、装置の動作中には液体管路および/または空気管路を開き、装置が使用されていないときには液体管路および/または空気管路を閉じることもできる。
【0061】
次に、以下の非限定的な図および実施例を参照して、本発明を説明する。実施形態および実施例は単なる例であり、いかなる形でも本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の装置の手持ち実施形態の概略図である。
【図2】ブラシヘッドの概略拡大図である。
【図3】ノズルの詳細図である。
【図4】空気−水ジェットノズルの一実施形態の3−D図である。
【図5】空気−水ジェットノズルの一実施形態の3−D図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図−1を参照すると、本発明の装置が、歯を洗浄する手持ち式装置として実施されており、柄(H1)およびヘッド(H2)からなる手持ち式装置に接続された主ユニット(U)を示している。この装置は、定格130wの電動機で動作する重さ約3kgの空気圧縮機(AC)を備える。したがって、この圧縮機は軽量であり、衣服にアイロンをかける家庭用アイロンのように容易に持ち運ぶことができる。空気圧縮機(AC)は、電気本線の壁面コンセント(EM)からの電力または一組の電池からの電力で動作する。液体または界面活性剤溶液を装置に供給するため、液体用の容器(CW)が提供される。液体は、水ポンプ(WP)から管(PW)を通してノズル(N)に供給される。別の管(PA)が、空気圧縮機(AC)からノズル(N)に圧縮空気を供給する。本発明のこの実施形態を使用して1から5バール程度の空気圧を生み出すことができる。図−1から明らかなように、ノズル(N)は、外部混合ノズルである。
【0064】
図2は、空気用(AN)および水(WN)用の2つのノズル(N)と、剛毛(BR)とを備える空気−水ジェットを備えるブラシヘッドを示す。ノズルは、オフセットを有する外部混合ノズルである。
【0065】
図3を参照すると、ノズル(N)は、空気出口ポート(OPA)に比べて基面(substrate)から遠い位置に、ある距離(OS)だけずらされて配置された液体出口ポート(OPW)を有する。基面(FS)に対する液体出口ポートの入射角は角度αによって定義される。基面(FS)に対する空気出口ポートの入射角は角度φによって定義される。破線NORは、基面の表面に対して垂直な想像上の線を表す。明らかなように、ノズルのこの実施形態では、角度αの方が角度φよりも大きい。空気は、空気出口ポート(OPA)を通ってノズルから出、液体は、液体出口ポート(OPW)を通ってノズルから出る。
【0066】
使用時には、液体用容器(CW)に液体(例えば水または口腔洗浄溶液)を供給する。空気圧縮機への電力をオンにし、それによって空気圧縮機内に空気圧を発生させる。圧縮された空気を管(PA)を通して供給し、液体または界面活性剤溶液を管(PW)を通して供給する。この空気と液体はノズルの外側で混合し、スプレー(SPR)を形成する。このスプレーを使用して歯を洗浄する。
【0067】
図4は、図3の構成の3−D図を示す。
【0068】
図5は、1つの空気ノズルおよび2つの水ノズルを備える構成の3−D図を示す。
【0069】
(実施例)
次に、実施例によって本発明を実証する。
【0070】
(実施例1)
義歯の洗浄
パラフィンろう、ステアリン酸およびチョークを混合することによって人工プラークを調製した。調製の詳細は以下のとおりである。
原料成分:
沈降チョーク − 55g
流動パラフィン − 40g
ステアリン酸 − 0.6g
【0071】
方法:
1)流動パラフィン40gを250mlビーカーにとる。
2)ステアリン酸0.6gをゆっくりと加える。
3)これを、低温のホットプレート/ヒータに載せ、溶解させる。
4)この溶液を室温まで冷却する。
5)この溶液を乳鉢にゆっくりと移す。
6)乳鉢の中のこの溶液に沈降チョークをゆっくりと加え、撹拌して、良好な糊状物質を確保する。添加/粉砕の量および質が、だまが見つからないようなものであることを保証する。
【0072】
隙間および歯肉線を含む義歯模型に、上記の方法によって調製した人工プラークを塗布した。本発明の洗浄効率を従来のブラシと比較した。この実施例では、Oral−Bのmodel cross−action電動歯ブラシのブラシヘッド内に、本発明の空気−水ジェットを構築した。明確にするため、ブラシヘッドだけを使用し、電動機およびヘッドの運動は使用しなかった。この比較実施例では、Oral−Bのmodel cross−actionブラシをOFF位置で使用した。以下の実験条件を維持した。
空気圧:4バールゲージ圧
水流量:30ml/分
洗浄時間:30秒
【0073】
洗浄効率を定量化するため、空気ジェットおよびブラシで洗浄した義歯を、評価団(panel)の構成員に見せた。プラークで完全に覆われた義歯には零点を割り当て、洗浄した義歯には10点を割り当てた。空気−水ジェットを用いた洗浄および従来のブラッシングの評価団の平均評点(評価団の10人の構成員の評点の平均)を下表に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
Table 1(表1)のデータは、空気ジェットを用いた洗浄の方が従来のブラッシングよりもかなり優れていることを明らかに示している。
【0076】
(実施例2)
オフセットがある場合とオフセットがない場合の除去効率
実験計画:義歯にモデルプラークを、実施例1で説明したとおりに付着させた。続いて空気ジェットを用いて30秒間洗浄した。空気圧は1.5バールとした。義歯の半分を、オフセット(3mm)のあるノズルで洗浄し、残りの半分を、オフセットのないノズルで洗浄した。この実験を繰り返した。評価のため、洗浄した義歯を評価団に示した。
【0077】
セット1
13人のうち、8人が、オフセットのあるノズルで洗浄した側を選び、2人が、オフセットのないノズルで洗浄した側を選び、3人が、差なしを選んだ。
【0078】
セット2
10人のうち、8人が、オフセットのあるノズルの側を選び、2人が、差なしを選んだ。
【0079】
このデータから、オフセットが優れたスプレー特性を提供し、したがって優れた洗浄化を提供することが明らかである。
【0080】
(実施例3)
内部混合と外部混合
外部混合設計の重要な特徴の1つは、液体流量が空気圧に依存しないことである。この特徴が重要であるのは、液体流量が、フッ化物や抗菌剤のような原料成分の投与量に関係するためである。空気圧とは無関係に液体の流量が一定であることは、投与量が一定であることを暗示する。一方、内部混合設計では、所与のポンプ設定について、液体流量が空気圧の強い関数である。表は、液体流量を空気圧の関数として示している。この表から、空気圧の増大とともに液体流量が低下することが明らかである。
【0081】
【表2】

【0082】
外部混合では、空気圧とは無関係に、水流量が14ml/分のまま一定であった。
【0083】
(実施例4)
2つのノズルの位置決めおよびノズル間のオフセットに関する装置の洗浄データ
より良好な洗浄化の原因がノズル間のオフセットにあることを示す定性的データについては既に実施例2で示した。
【0084】
オフセットがより良好な洗浄化を提供することを示す定量的データを得るため、上記の実施例1に記載したモデルプラークで汚したセラミック表面に対して、空気−水ジェットを用い、空気と水だけを使用した実験を実施し、オフセットのない装置および逆のオフセットを有する装置と比較した。結果は、上記の実施例1で示したように0〜10の段階で採点した。
【0085】
この実験の結果を下のTable 3(表3)に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
Table 3(表3)のデータは、水ノズルの方が空気ノズルよりも基面から遠くなるように、水ノズルを空気ノズルに対してずらして配置したときの方が、水ノズルと空気ノズルを同じ位置に配置したとき、または水ノズルと空気ノズルを逆のオフセットで配置したときに比べて、より優れた洗浄が得られることを示している。
【符号の説明】
【0088】
N ノズル
H1 柄
H2 ヘッド
PA 空気管
PW 水管
U 主ユニット
CW 液体用容器
AC 空気圧縮機
WP 水ポンプ
EM 電気本線の壁面コンセント
AN 空気ノズル
WN 水ノズル
BR 剛毛
OPW 液体出口ポート
OPA 空気出口ポート
NOR 中心軸
NOR1 中心軸
NOR2 中心軸
OS オフセット
FS 基面
SPR スプレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄装置を用いて歯を洗浄する方法であって、前記洗浄装置が、
a.2つのノズルを備える空気−水ジェット装置
を備え、
i.第1のノズルが供給液体源と流体連通しており、
ii.第2のノズルが圧縮空気源に接続されている
方法において、
iii. 両方のノズルが中心軸に対して位置決めされており、
1. 前記第1のノズルが、前記中心軸に対して1から60°の間の角度にあり、
2. 前記第2のノズルが、前記中心軸に対して1から45°の間の角度にあり、
前記空気ノズルが、水通路を同軸で取り囲んでおらず、前記第2のノズルの口が、前記中心軸の方向に沿った流れの方向において、前記第1のノズルの口よりも前方に配置されており、前記第1のノズルの口と前記第2のノズルの口の間のオフセット距離が、前記方向において0.5から5mmの間である
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のノズルの口が0.05〜7mmの開口を有する、請求項1に記載の歯を洗浄する方法。
【請求項3】
前記第1のノズルの口が0.2〜3.5mmの開口を有する、請求項2に記載の歯を洗浄する方法。
【請求項4】
前記第1のノズルの口が、1mm未満の距離だけ、前記第2のノズルの壁から離れている、請求項1から3のいずれか一項に記載の歯を洗浄する方法。
【請求項5】
前記歯洗浄装置がさらに柄を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の歯を洗浄する方法。
【請求項6】
前記装置のヘッドがさらに剛毛を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記剛毛ヘッドが電動式である、請求項6に記載の歯を洗浄する方法。
【請求項8】
前記装置が手持ち式であり、圧縮機と液体を保持するリザーバとを備える別個のユニットに接続されており、前記圧縮機が前記圧縮空気源であり、液体を保持する前記リザーバが前記液体源である、請求項1から7のいずれか一項に記載の歯を洗浄する方法。
【請求項9】
前記供給液体源が、
a. 4.5から4500ppmのフッ化物
b. 0.001から0.5%の抗菌剤
c. 0から35%のアルコール
d. 0.001から1%のフレーバー
e. 水
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の歯を洗浄にする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−502251(P2013−502251A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525125(P2012−525125)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061552
【国際公開番号】WO2011/020730
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)