説明

歯ブラシ用振動具

【課題】歯茎の病気の防止対策として好適であり、市販の歯ブラシにおける収納性及び携帯性を維持したまま歯ブラシを振動させることができる歯ブラシ用振動具を提供する。
【解決手段】C型部材2と、この外周面23に設けられた扁平型振動モータ3、3、電池ホルダ4及びスイッチ5とからなる歯ブラシ用振動具1を、歯ブラシ7のネック部72から挿入し、把持領域73の方へスライドさせ、把持手前部732に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市販品の歯ブラシに取り付けて使用される歯ブラシ用振動具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、歯磨き用の歯ブラシとして電動歯ブラシがある。この電動歯ブラシは、振動を発生させる駆動部を内蔵したグリップ部と、このグリップ部に結合される歯ブラシ部とからなり、これらが1つのセットとして構成され、販売されている。
【0003】
このような従来の電動歯ブラシは、グリップ部に歯ブラシ部を装着した後、グリップ部を手で握り歯ブラシ部を歯に当てた状態でスイッチを入れる。すると、歯ブラシ部が振動し、この振動により歯が磨ける。この電動歯ブラシを使用すれば手で磨く場合に比べて歯磨きが楽であり、しかもプラーク(歯垢)を除去するうえでも効果的であると言われている。
【0004】
しかしながら、この電動歯ブラシは、グリップ部が太くて握り難いため、歯磨きの際に余分な力を加えすぎてしまうこととなり、過剰な歯磨きを誘発してしまう原因にもなっている。また、振動も単一の速い振動モードしか有しておらず、歯ブラシが硬く作用してしまい、歯や歯茎に対し過剰に刺激を与えることにもなるし、歯間の磨き残しの原因にもなる。従来、歯周病などの歯茎の病気を防止するうえでは、歯間の磨き残しの防止と歯茎のマッサージが有効であると言われているが、上記電動歯ブラシにおいては、これら歯茎の病気の防止対策としては不十分であった。
【0005】
また、電動歯ブラシとしては、上記振動タイプの他に歯ブラシ部が回転するタイプ、往復運動するタイプもあるが、これらにおいても、歯間の磨き残しや、歯茎のマッサージの効果としては上記振動タイプの電動歯ブラシと同様であった。
【0006】
更に、このような電動歯ブラシは、市販されている歯ブラシに比べて高価であり、消耗品である歯ブラシ部も高額であり、しかも、歯ブラシ部は専用品であるため一般的な店舗においては取り扱っていないので購入するのが困難であるという問題もある。また、このような歯ブラシ部は、どれも同様な歯ブラシ部を有したものであり、市販の歯ブラシに比べて形状を選ぶことができない。特に、歯間を磨くには先端が極細になったタイプの歯ブラシが有効とされているが、このようなタイプもないのが実状である。
【0007】
一方、このような歯ブラシ部の購入の困難さの解決と、電動歯ブラシの購入費用や維持費用などから生ずるコストの問題の解決を図るものとして、特許文献1に記載の電動歯ブラシもある。
【0008】
この特許文献1に記載の電動歯ブラシは、市販されている歯ブラシの把持部、すなわち手で握る部分を収容する歯ブラシ収容部と、この歯ブラシ収容部に密着結合されておりモータの駆動により発生した振動を上記歯ブラシ収容部に伝達する駆動部とから構成されている。従来の電動歯ブラシと異なり、歯ブラシ部に市販されている歯ブラシを使用するので、上記の歯ブラシ部の購入が困難であるという問題と、コストの問題を共に解決可能である。しかしながら、この電動歯ブラシにおいても、歯磨きする際に手で握る部分、すなわちグリップ部は太くなっており、上記従来の電動歯ブラシと同様に歯磨きの際に余分な力を加えすぎてしまうこととなり、過剰な歯磨きを誘発してしまうという問題が生ずる。
【0009】
また、上記従来の電動歯ブラシも特許文献1に記載の電動歯ブラシもともに、グリップ部が太いことから、歯ブラシホルダに収納することが出来ず、市販の歯ブラシに比べ収納性が悪いし、このような太いグリップ部を有することは、旅行先などに持っていく場合にも、必然的に携帯性が悪くなるといった問題が生ずる。
【0010】
【特許文献1】特開2006−122669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するために考え出されたものであり、歯茎の病気の防止対策として好適であり、市販の歯ブラシにおける収納性及び携帯性を維持したまま歯ブラシを振動させることができる歯ブラシ用振動具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る歯ブラシ用振動具は、歯ブラシに対して着脱自在に取り付け可能なC型部材と、前記C型部材に取り付けられた電池ホルダと、前記C型部材に取り付けられるとともに、前記C型部材を介して前記歯ブラシを振動させる振動モータと、前記振動モータのオンオフの切り替えを行うスイッチと、を備えることを特徴とする。
【0013】
この「C型部材」とは、指輪状の部材であり、かつ一部を切り欠いた部材を意味する。但し、本発明においては、この切り欠いた部分を挿入口として歯ブラシを挿入可能であれば良いので、必ずしも円形をベースとしなくてもよく、例えば、方形状をベースとしてもよい。「振動モータ」とは、バイブレーションモータとも言われるモータであり、携帯電話などに内蔵されバイブレーション機能を発揮することが可能な超小型のモータである。なお、電池ホルダ、振動モータ及びスイッチのC型部材に対する取り付け方法は、接着や、取付け台座などの取付け部材を介して取り付けるなど種々の取り付け方法が適用可能である。電池ホルダは、歯ブラシ用振動具全体の大きさをコンパクト化させるには、ボタン電池用であることが好適であるが、単5、単4用などの電池ホルダであってもよい。
【0014】
また、前記C型部材は前記歯ブラシのネック部から挿入され前記ネック部と前記歯ブラシの把持部との間に取り付けられるものであり、前記電池ホルダは前記C型部材の外周面に取り付けられており、前記C型部材の幅は前記電池ホルダの幅と略同幅であってもよい。
【0015】
歯ブラシは、先端側に歯を磨く部分であるブラシ部と、後端側に手で持つ部分である把持部と、このブラシ部と把持部との間に細長状のネック部とを有するが、本発明の歯ブラシ用振動具は、上記したC型部材における切り欠き部分を挿入口としてネック部から挿入し、ネック部と把持部との間で、かつ歯磨きの際に邪魔にならない位置に固定される。また、C型部材の幅とは、歯ブラシ用ホルダを歯ブラシに固定した際の歯ブラシの長さ方向における長さを意味する。電池ホルダをC型部材の外周面に取り付けた場合には、この電池ホルダの幅よりC型部材の幅が広ければ、そのぶん歯ブラシ用振動具の大きさも大きくなるので、C型部材の幅は電池ホルダの幅と同幅か、ほんの少し広幅かあるいは狭幅に設定するのが好適である。
【0016】
また、本発明に係る歯ブラシ用振動具は、歯ブラシに対して着脱自在に取り付け可能な取付部材と、前記取付部材に取り付けられた電池ホルダと、前記取付部材に取り付けられるとともに、前記取付部材を介して前記歯ブラシを振動させる振動モータと、前記振動モータのオンオフの切り替えを行うスイッチと、を備えるとともに、前記取付部材は、前記電池ホルダ、前記振動モータ及び前記スイッチを取り付けるベースと、このベースに取り付けられるとともに前記歯ブラシを挟持する挟持部材とからなり、前記挟持部材は、前記ベースに固定された固定挟持片と、前記ベースに対し可動に取り付けられた可動挟持片と、前記歯ブラシを挟持する方向に前記可動挟持片を付勢するバネ部材とからなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る歯ブラシ用振動具は、摘み部と、この摘み部に連設されるとともに歯ブラシを挟む挟持面を有する挟持部材と、からなる第1の挟持片及び第2の挟持片とを有し、前記第1の挟持片及び第2の挟持片をその挟持面が対向するように向かい合わせに対峙させてなり、前記歯ブラシを挟持する方向へ前記挟持部材を付勢するバネ部材を備えてなるとともに、前記歯ブラシに対して着脱自在に取り付け可能な取付部材と、前記挟持面の裏面側に取り付けられた電池ホルダと、前記挟持面の裏面側に取り付けられるとともに、前記取付部材を介して前記歯ブラシを振動させる振動モータと、前記振動モータのオンオフの切り替えを行うスイッチと、を備えてなり、前記挟持部材の先端は前記摘み部を操作することにより前記歯ブラシを挿入可能な挿入口となることを特徴とする。
【0018】
前記振動モータは扁平型振動モータと、円筒型振動モータとから構成してもよい。
【0019】
この扁平型振動モータとは、コイン型あるいはブラシレスコイン型振動モータとも言われる超小型振動モータであり、円筒型振動モータとは、円筒型振動モータとも言われる超小型振動モータである。扁平型振動モータと円筒型振動モータとは、モータの回転数が異なることから振幅が大きくなったり小さくなったりするので、その結果、振動に強弱が生ずる。この強弱が歯磨きの際にマッサージ効果を高めたり、ブラッシング効果を高めたりする。
【0020】
また、前記スイッチは、扁平型振動モータ及び円筒型振動モータのいずれか一方のみを駆動させる第1のモードと、扁平型振動モータ及び円筒型振動モータの双方を同時に駆動させる第2のモードと、を有するように構成してもよい。
【0021】
前記振動モータは、2つの扁平型振動モータからなり、前記スイッチは、1つの扁平型振動モータのみを駆動させる弱モードと、2つの扁平型振動モータを同時に駆動させる強モードと、を有するように構成してもよい。
【0022】
前記振動モータは、3つの振動モータからなり、前記スイッチは、1つの振動モータのみを駆動させる弱モードと、2つの振動モータを同時に駆動させる中モードと、3つの振動モータを同時に駆動させる強モードと、を有するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、振動モータを備える歯ブラシ用振動具を市販の歯ブラシに着脱自在に取付け可能とし、歯磨きの際にこの歯ブラシを振動させるように構成した。これにより、歯茎の病気の防止対策として好適であり、市販の歯ブラシにおける収納性及び携帯性を維持したまま歯ブラシを振動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、電池ホルダは、ボタン電池用のものを使用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、単5、単4用などの電池ホルダであってもよい。
【0025】
[第1実施形態]
まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る歯ブラシ用振動具の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る歯ブラシ用振動具の概略構成図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、図2は、図1に示す歯ブラシ用振動具の取付け方法を説明するための斜視図であり、(a)は挿入直前、(b)は挿入直後、(c)は固定時のそれぞれの状態を示す。
【0026】
当該歯ブラシ用振動具1は、図1に示すように、C型部材2、扁平型振動モータ3、電池ホルダ4、及びスイッチ5から構成されている。
【0027】
C型部材2は、全体を指輪状に形成するとともに、一部を切り欠いたC型形状の部材である。この切り欠いた部分が、図2に示すように歯ブラシ7を挿入する挿入口となり、内側面22が歯ブラシ7との圧接面となる。なお、本実施形態においては、その素材をプラスチック素材としたが、シリコン樹脂素材、合成あるいは天然ゴム素材など種々の素材が適用可能である。C型部材2の内径Rは、歯ブラシ7の把持領域73の幅Lより若干狭く設定されている。このように設定することにより、図2の手順で歯ブラシ用振動具1を挿入することにより内径Rが若干広がり、歯ブラシ用振動具1の内側面22が把持手前部732を圧接し、把持手前部732に歯ブラシ用振動具1が固定される。詳細は後述する。
【0028】
扁平型振動モータ3は、携帯電話の着信を知らせるためのバイブレーション機能に用いられる超小型の振動モータである。例えば、東京パーツ工業株式会社製 型番FM88E(φ10.0×H3.0)、株式会社シコー技研製 機種名C0833(8.4×H3.3)、FM34F(φ12.0×H3.4)ともに単位mmなどがある。また、本実施形態においては、2個の扁平型振動モータ3、3はともに、上記株式会社シコー技研製FM34Fを用いているが、2個の扁平型振動モータ3、3を同機種にする必要はなく、異機種により構成してもよい。モータの回転数が異なる異機種で構成すれば、波の共振現象などにより振動に強弱を付けることも可能となる。その結果、ブラッシングに強弱を付けることが可能となり、この強弱により歯ブラシを硬く作用させることなく、歯間に微振動を与え、汚れを落としたり、歯茎のマッサージ効果を高めることが可能となる。なお、本実施形態においては、扁平型振動モータ3は2つ用いているが、1個でも3個でもよい。
【0029】
電池ホルダ4は、方形状の箱型のケーシング41と、正極接点42、負極接点43とからなり、ケーシング41内にはボタン電池6が挿入されている。図1においては、この電池ホルダ4は方形状であるが、この電池ホルダ4は、必ずしも方形状である必要はなく、円形状のものであってもよく、種々のボタン電池用の電池ホルダが適用可能である。また、ボタン電池6は、ボタンの形をした扁平状の電池であり、ボタン型電池あるいはコイン型電池とも言われるものである。本実施形態においては、型番LR−44を用いているが、その他のボタン電池であってもよい。また、本実施形態においては、電池ホルダ4を2個設けているが、必ずしも2個である必要はなく、1個でも3個でも個数は限定されない。但し、扁平型振動モータ3を駆動させるのに必要であり、かつ歯磨きの際に好適な電圧を供給することを条件とする。
【0030】
スイッチ5は、ケース本体51と、レバー52とからなり、レバー52を操作することにより電源がオンオフする。また、本実施形態においては、扁平型振動モータ3を2個有していることから、このスイッチ5には、1個の扁平型振動モータ3を作動させる弱モード、2個の扁平型振動モータ3、3を同時に作動させる強モードの2つのモードを有し、切り替え自在になっている。このように、弱モード及び強モードの2つのモードを有することにより振動に強弱をつけることが可能となる。その結果、ブラッシングに強弱を付けることが可能となり、この強弱により歯ブラシを硬く作用させることなく、歯間に微振動を与え、汚れを落としたり、歯茎のマッサージ効果を高めることが可能となる。
【0031】
また、扁平型振動モータ3の配線部分に抵抗体や可変抵抗体を置くことによっても、振動の強弱を付けることは可能である。なお、本実施形態においては、スイッチ5としてトグルスイッチを使用しているが、これに限定されず、また、図1においては、扁平型振動モータ3、3、電池ホルダ4、4及びスイッチ5の配線は図示すると複雑化になることと、当業者であればどのように配線するかは明確に理解可能であることから配線は省略している。以下、図2〜図5においても同様である。
【0032】
これら、扁平型振動モータ3、3、電池ホルダ4、4及びスイッチ5は、C型部材2の外周面23に取り付けられている。この取付け方法としては、種々の取り付け方法があり、図1においては、全て接着した状態を示している。但し、これに限定されるものではなく、例えば、C型部材2の外周面23上に取付け台座を設けこの取付け台座に、扁平型振動モータ3、3、電池ホルダ4、4及びスイッチ5を嵌合固着させたり、これら各パーツを合成樹脂などでパッケージ封入するなど種々の方法が適用可能である。また、各パーツの配置は図1に示す配置に限定されず設計者において種々の変更が可能である。
【0033】
なお、本実施形態においては、C型部材2の幅L1は、電池ボックスの幅L2及び扁平型振動モータ3の幅L3と略同幅に設定している。
【0034】
次に、このように構成された歯ブラシ用振動具1の取り付け方法について図2を参照して説明する。なお、図2(a)においては、扁平型振動モータ3、電池ホルダ4及びスイッチ5は簡略化して図示し、(b)及び(c)では省略して図示している。
【0035】
歯ブラシ7は市販されているものを用いる。ここでは、この歯ブラシ7は、歯に当たる部分であるブラシ部71を先端側に有し、後端側には手に持つ部分である把持領域73を有し、ブラシ部71と把持領域73との間に把持領域73に対し径が小さい細長状のネック部72を有した極く一般的な歯ブラシである。
【0036】
まず、図2(a)に示すように、ネック部72の下面721側に歯ブラシ用振動具1を挿入口21を上方に向けて配置させる。この状態で挿入口21から歯ブラシ用振動具1をネック部72の下面721側から挿入する。この挿入した状態を示したものが図2(b)である。
【0037】
次に、同図(b)に示した状態から矢印X方向に歯ブラシ用振動具1をスライドさせると、この歯ブラシ用振動具1は、ネック部72から径が太い把持領域73に移行する。この状態を示したのが同図(c)である。このような手順で歯ブラシ用振動具1を挿入することにより内径Rが若干広がり、歯ブラシ用振動具1の内側面22が把持手前部732を圧接し、把持手前部732に歯ブラシ用振動具1が固定される。
【0038】
なお、上記においては、歯ブラシ用振動具1を歯ブラシ7の下面721側から挿入したが、側面722側から挿入するようにしてもよい。また、歯ブラシ用振動具1の取付位置は、図2(c)に示すように、ネック部72と把持部731との間、すなわち、歯ブラシ7を手で握った場合に、ネック部72と手との間の把持手前部732である。
【0039】
このように本発明に係る歯ブラシ用振動具1においては、歯ブラシ7に振動させるためのモータをコンパクトな扁平型振動モータ3としたことで、この歯ブラシ用振動具1をブラシ部71面側に向けることにより洗面台などの通常の歯ブラシホルダへの収納も可能とし、旅行などへの携帯するうえでもスペースをとらず好適である。また、旅先の洗面台など、特に歯ブラシホルダがないような洗面台でも、歯ブラシ用振動具1がスタンドの役割となり、直接歯ブラシ7が洗面台などに接触することを防ぐこともできる。
【0040】
このように構成された歯ブラシ用振動具1を歯ブラシ7に取り付けて磨き残しの検査を行った。
【0041】
比較例1として、歯ブラシが振動するタイプのもの、比較例2として歯ブラシが回転するタイプのものを準備した。10人にそれぞれの歯ブラシを使用してもらい、その歯磨き効果を調査した。その調査方法は、10人に歯垢染色液を口に含ませ、歯垢を赤く染めて、それぞれの歯ブラシで3分間歯磨きをさせて、磨き残しの面積を比較した。この面積の測定方法としては、歯磨き後の前面写真を撮影し、これを画像処理して数値化する手法を採用した。以下にその結果を表に示す。
【0042】
<表>

【0043】
以上の結果から、本発明の歯ブラシ用振動具1を使用した歯ブラシ7を使用することにより、磨き残しを大幅に少なくすることが可能であることがわかった。
【0044】
次に本発明の歯ブラシ用振動具の他の実施形態を以下に示すが、上記第1実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0045】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る歯ブラシ用振動具について図3を参照して説明する。図3は歯ブラシ用振動具1Aの概略構成図であり、(a)は正面図、(b)は矢印Bから見た側面図である。
【0046】
この歯ブラシ用振動具1Aと上記第1実施形態に係る歯ブラシ用振動具1との大きな相違点は、電池ホルダ4Aの構成と、2つの振動モータのうち1つの振動モータが円筒型振動モータ8である点である。
【0047】
すなわち、歯ブラシ用振動具1Aは、C型部材2Aの外周面23A上に、扁平型振動モータ3、収容ケース9に収容された円筒型振動モータ8及びスイッチ5が取り付けられて構成されている。
【0048】
C型部材2Aの構成は、上記C型部材2と同様であり、扁平型振動モータ3の構成もスイッチ5の構成もともに上記第1実施形態のそれぞれのパーツと同様である。
【0049】
また、円筒型振動モータ8は、回転子81、回転軸82及び駆動部本体83からなり、回転軸82に軸支された回転子81が駆動部本体内の駆動手段により回転しこの回転子81が回転することにより振動を発生させる。この円筒型振動モータ8はドーム状の頂部を有する収容ケース9内に収容されて、C型部材2Aに取り付けられている。この円筒型振動モータ8は、シリンダー型振動モータとも言われ、携帯電話機のバイブレーション機能を発揮するために用いられる超小型振動モータである。例えば、株式会社シコー技研製 機種名J71、B2Kともに(3.2mm×H8.0mm)などがある。
【0050】
本実施形態においては、円筒型振動モータ8と扁平型振動モータ3と異なる2種類の振動モータを使用している。これら種類の異なる振動モータはモータの回転数が異なるため、同時に駆動させると、振幅が大きくなったり小さくなったりするので、その結果、振動に強弱が生じる。この強弱が歯磨きの際にマッサージ効果を高めたり、ブラッシング効果を高めたりできる。
【0051】
電池ホルダ4Aはケーシング41A、弦巻バネ状の正極接点42A及び負極接点43Aからなり、ケーシング41A内にはボタン電池6が2個直列に収容可能となっている。なお、各パーツ、すなわち扁平型振動モータ3、収容ケース9、スイッチ5及び電池ホルダ4Aの配置は、上記同様にこの図3に示す配置に限定されるものではなく、適宜設計者において変更可能である。
【0052】
本実施形態における歯ブラシへの取り付け方法は、上記第1実施形態における取り付け方法と同様であるので説明を省略する。
【0053】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る歯ブラシ用振動具について図4を参照して説明する。
【0054】
図4は、歯ブラシ用振動具1Bの概略構成図であり、(a)は正面図、(b)は(a)に示す歯ブラシ用振動具の可動挟持片を可動させた状態を示す正面図、(c)は上面図、(d)はC−C断面図をそれぞれ示す。なお、扁平型振動モータ3、電池ホルダ4及びスイッチ5は簡略化して図示してある。
【0055】
歯ブラシ用振動具1Bと歯ブラシ用振動具1との大きな相違点は、C型部材2に代えて取付部材200を使用し、後述するように歯ブラシを挟持することにより歯ブラシ用振動具1Bを歯ブラシに固定するようにしたことである。以下詳細に説明する。
【0056】
歯ブラシ用振動具1Bは、2個の扁平型振動モータ3、3、2個の電池ホルダ4、4を取付部材2Bの裏面側に、スイッチ5を側面側に取り付けて構成されているが、その取付位置、取付方法及び振動モータの種類や個数などは、上記と同様に設計者において種々の変更が可能である。
【0057】
取付部材200は、ベース201、ベース201に立設された固定挟持片202、ベース201の幅方向両端に立設された2個の支持部203、203及びベース201に対し可動に取り付けられた可動挟持片204を有する。各支持部203には穴209が設けられており、可動挟持片204にも図示しない穴が設けられている。各支持部203の穴209と可動挟持片204の穴を合わせ、この穴209から軸208を挿入し、両端をビス207で止めることにより、可動挟持片204は支持部203に軸支されベース201に対し可動状態となる。
【0058】
また、図4(a)、(d)に示すように、可動挟持片204の裏面側とベース201の表面側との間には、板バネ205が挿入され、可動挟持片204の裏面側とベース201の表面側にそれぞれ設けられた止め部206により、板バネ205は係止されている。
【0059】
このように構成することにより、図4(a)に示すように可動挟持片204を矢印D方向へ手で押下すると、同図(c)のように挿入口21Bが広がるとともに、可動挟持片204に板バネ205の付勢力が加わる。この状態で、挿入口21Bから図2に示す歯ブラシ7の把持手前部732を挿入し、同図(c)の矢印D1方向の力をリリースする、すなわち、可動挟持片204から手を離すと、板バネ205の復元力が可動挟持片204を介して歯ブラシ7に伝わり、その結果、歯ブラシ7は、固定挟持片202と可動挟持片204とからなる挟持部材により挟持され、歯ブラシ用振動具1Bは、歯ブラシ7に固定される。
【0060】
このように、歯ブラシ用振動具1Bは、歯ブラシ7を挟持して歯ブラシ7に取り付けることが可能であることから、歯ブラシ用振動具1Bを上記実施形態1や2のようにネック部72から挿入しスライドさせるという動作をせずとも、ダイレクトに取り付けたい部分を挿入口21Bに挿入させればよいので、取り付けが容易となる。
【0061】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る歯ブラシ用振動具について図5を参照して説明する。
【0062】
図5は、歯ブラシ用振動具1Cの概略構成図であり、(a)は正面図、(b)歯ブラシ用振動具1Cの挿入口を開口させた状態を示す正面図、(c)はE−E断面図、(d)はF矢視図をそれぞれ示す。なお、扁平型振動モータ3、電池ホルダ4及びスイッチ5は簡略化して図示してある。
【0063】
歯ブラシ用振動具1Cと歯ブラシ用振動具1との大きな相違点は、C型部材2に代えて取付部材300を使用し、後述するように歯ブラシを挟持することにより歯ブラシ用振動具1Cを歯ブラシに固定するようにしたことである。本実施形態における取付部材300は要するに洗濯ばさみのような構造をしたものである。以下詳細に説明する。
【0064】
歯ブラシ用振動具1Cは、取付部材300、2個の扁平型振動モータ3、3、2個の電池ホルダ4、4及びスイッチ5を有している。取付部材300は、摘み部303と、摘み部303に連設されるとともに歯ブラシ7を挟む挟持面となる内側面304Aを有する挟持部材304と、からなる第1の挟持片301及び第2の挟持片302とを有し、第1の挟持片301及び第2の挟持片302をその内側面304Aが対向するように向かい合わせに対峙させて構成されている。
【0065】
また、第1の挟持片301、第2の挟持片302のそれぞれには、摘み部303と挟持部材304との間に2片の突出する突出片305A、305A、305B、305Bが設けられているとともに、突出片305A、305A、305B、305Bのそれぞれには、穴309が設けられている。
【0066】
摘み部303はE−E断面視弓形に形成されており、その内面にはバネ306の脚部306Bが係止されている。
【0067】
第1の挟持片301と第2の挟持片302とは、同図(d)に示すように、突出片305A、305Aと、突出片305B、305Bとが互い違いに組み合わされると共に、中央部にバネ306の弦巻部306Aが挿入され、この弦巻部306Aと、各穴309を合わせた状態で、軸308を挿入し、両端をビス307にてビス止めしている。
【0068】
このように構成された歯ブラシ用振動具1Cは、挿入口304Cが閉口しており、バネ306の弾性力により挿入口304Cが閉口しており、摘み部303、303を両側から指で摘むと、図5(b)のように、挿入口304Cが開口される。この際、バネ306により、摘み部303には付勢力が加わる。
【0069】
この状態で、挿入口304Cから図2に示す歯ブラシ7の把持手前部732を挿入し、摘み部303、303から手を離すと、挟持部材304の内側面304Aが歯ブラシ7を挟持する挟持面となり、歯ブラシ用振動具1Cは歯ブラシ7を挟持して固定される。このように構成することにより、上記第3実施形態のときと同様に、取付操作が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1の実施形態に係る本発明の歯ブラシ用振動具の概略構成図であり、(a)は正面図、(b)は側面図を示す。
【図2】図1に示す歯ブラシ用振動具の取付け方法を説明するための斜視図であり、(a)は挿入直前、(b)は挿入直後、(c)は固定時のそれぞれの状態を示す。
【図3】第2の実施形態に係る本発明の歯ブラシ用振動具の概略構成図であり、(a)は正面図、(b)は側面図を示す。
【図4】第3の実施形態に係る本発明の歯ブラシ用振動具の概略構成図であり、(a)は正面図、(b)は(a)に示す歯ブラシ用振動具の可動挟持片を可動させた状態を示す正面図、(c)は上面図、(d)は断面図をそれぞれ示す。
【図5】第4の実施形態に係る本発明の歯ブラシ用振動具の概略構成図であり、(a)は正面図、(b)は(a)に示す歯ブラシ用振動具の挿入口を開口させた状態を示す正面図、(c)はE−E断面図、(d)はF矢視図をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0071】
1、1A、1B、1C 歯ブラシ用振動具
2、2A C型部材
21、21A 挿入口
22、22A 内側面
23、23A 外周面
3 扁平型振動モータ
4 電池ホルダ
41、41Aケーシング
42、42A 正極接点
43、43A 負極接点
5 スイッチ
51 ケース本体
52 レバー
6 ボタン電池
7 歯ブラシ
71 ブラシ部
72 ネック部
721 下面
722 側面
73 把持領域
731 把持部
732 把持手前部
8 円筒型振動モータ
81 回転子
82 回転軸
83 駆動部本体
9 収容ケース
200 取付部材
201 ベース
202 固定挟持片
203 支持部
204 可動挟持片
205 板バネ
206 止め部
207 ビス
208 軸
209 穴
300 取付部材
301 第1の挟持片
302 第2の挟持片
303 摘み部
304 挟持部材
304A 内側面
304B 外周面
304C 挿入口
305 突出部
305A、305B 突出片
306 バネ
306A 弦巻部
306B 脚部
307 ビス
308 軸
309 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシに対して着脱自在に取り付け可能なC型部材と、
前記C型部材に取り付けられた電池ホルダと、
前記C型部材に取り付けられるとともに、前記C型部材を介して前記歯ブラシを振動させる振動モータと、
前記振動モータのオンオフの切り替えを行うスイッチと、
を備えることを特徴とする歯ブラシ用振動具。
【請求項2】
前記C型部材は前記歯ブラシのネック部から挿入され前記ネック部と前記歯ブラシの把持部との間に取り付けられるものであり、
前記電池ホルダは前記C型部材の外周面に取り付けられており、
前記C型部材の幅は前記電池ホルダの幅と略同幅であることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ用振動具。
【請求項3】
歯ブラシに対して着脱自在に取り付け可能な取付部材と、
前記取付部材に取り付けられた電池ホルダと、
前記取付部材に取り付けられるとともに、前記取付部材を介して前記歯ブラシを振動させる振動モータと、
前記振動モータのオンオフの切り替えを行うスイッチと、を備えるとともに、
前記取付部材は、
前記電池ホルダ、前記振動モータ及び前記スイッチを取り付けるベースと、このベースに取り付けられるとともに前記歯ブラシを挟持する挟持部材とからなり、
前記挟持部材は、
前記ベースに固定された固定挟持片と、前記ベースに対し可動に取り付けられた可動挟持片と、前記歯ブラシを挟持する方向に前記可動挟持片を付勢するバネ部材とからなること
を特徴とする歯ブラシ用振動具。
【請求項4】
摘み部と、この摘み部に連設されるとともに歯ブラシを挟む挟持面を有する挟持部材と、からなる第1の挟持片及び第2の挟持片とを有し、前記第1の挟持片及び第2の挟持片をその挟持面が対向するように向かい合わせに対峙させてなり、前記歯ブラシを挟持する方向へ前記挟持部材を付勢するバネ部材を備えてなるとともに、前記歯ブラシに対して着脱自在に取り付け可能な取付部材と、
前記挟持面の裏面側に取り付けられた電池ホルダと、
前記挟持面の裏面側に取り付けられるとともに、前記取付部材を介して前記歯ブラシを振動させる振動モータと、
前記振動モータのオンオフの切り替えを行うスイッチと、を備えてなり、
前記挟持部材の先端は前記摘み部を操作することにより前記歯ブラシを挿入可能な挿入口となること
を特徴とする歯ブラシ用振動具。
【請求項5】
前記振動モータは扁平型振動モータと、円筒型振動モータとからなることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の歯ブラシ用振動具。
【請求項6】
前記スイッチは、扁平型振動モータ及び円筒型振動モータのいずれか一方のみを駆動させる第1のモードと、扁平型振動モータ及び円筒型振動モータの双方を同時に駆動させる第2のモードと、を有することを特徴とする請求項5に記載の歯ブラシ用振動具。
【請求項7】
前記振動モータは、
2つの扁平型振動モータからなり、
前記スイッチは、
1つの扁平型振動モータのみを駆動させる弱モードと、2つの扁平型振動モータを同時に駆動させる強モードと、を有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の歯ブラシ用振動具。
【請求項8】
前記振動モータは、
3つの振動モータからなり、
前記スイッチは、
1つの振動モータのみを駆動させる弱モードと、2つの振動モータを同時に駆動させる中モードと、3つの振動モータを同時に駆動させる強モードと、を有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の歯ブラシ用振動具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−284296(P2008−284296A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134548(P2007−134548)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(501159225)株式会社トリスター (2)
【Fターム(参考)】