説明

歯ブラシ用毛材及び歯ブラシ

【課題】従来の歯ブラシ用毛材に比べて、プラークや歯垢等の除去効果およびマッサージ効果に優れるとともに十分な耐久性を有し、さらには人体への影響や環境への負担が少ない歯ブラシ用毛材および歯ブラシの提供。
【解決手段】熱可塑性樹脂モノフィラメントのカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材10であって、前記熱可塑性樹脂モノフィラメント20は熱可塑性樹脂99.0重量%〜95.0重量%と米糠および/または麩糠類からなる多孔性炭素剤セラミック粒子21を0.1重量%〜5.0重量%との混合物を溶融紡糸してなることを特徴とする歯ブラシ用毛材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の歯ブラシ用毛材に比べて、プラークや歯垢等の除去効果およびマッサージ効果に優れるとともに、十分な耐久性を有し、さらには人体への悪影響や環境への負担が少ない歯ブラシ用毛材および歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、ブラシ用毛材の中でも、歯ブラシや歯間ブラシ等の口腔清掃に使用される歯ブラシ用毛材に対する要求性能としては、口腔中に残る食べカスを除去するだけではなく、歯面や歯間に堆積したプラークや歯垢等の異物を除去し、歯周病予防に不可欠な清掃効果と歯肉の血行促進を図るためのマッサージ効果が重要なテーマとなっている。
【0003】
これらのプラークや歯垢の除去、さらには歯肉へのマッサージ効果を高めるための手段として、これまでに歯ブラシ用毛材の直径や毛丈を適宜調整したり、素材を適宜選定したりする手段が採用されてきたが、プラークや歯垢除去のために直径を太くして剛性を高くすると、歯肉への触感が悪くなってマッサージ効果が得られ難くなり、またマッサージ効果を高めるために、柔らかな素材を選ぶと、毛腰が弱くなってプラークや歯垢除去効果が得られ難くなるなど二律背反の問題があった。
【0004】
そこで、直径、毛丈および素材の変更以外の手段として、熱可塑性樹脂フィラメントを化学処理したテーパードブリッスル(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【0005】
しかし、このテーパードブリッスルは、先端の太さを適正に制御することによってマッサージ効果の取得が期待できるが、先端が細いために毛先が柔らかく、プラークや歯垢除去効果が不十分であった。
【0006】
また、プラークや歯垢を除去する効果を高める手段としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、シリコン樹脂などの熱可塑性樹脂からなる平均粒径が10〜100μmの球状粒子を、フィラメント全体に対して0.1重量%以上配合し、球状粒子の形状を反映した凸部をフィラメント表面に存在させた口腔ブラシ用フィラメント(例えば、特許文献2参照)や、粒径が約0.10〜10μmのプラスチックの粒子、ゴムの粒子、炭酸カルシウム、あられ石クレイ、オルト斜方晶系クレイ、方解石クレイ、斜方六面体クレイ、カオリンクレイ、ベントナイトクレイ、リン酸二カルシウム、無水リン酸二カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸三カルシウム、不溶性のメタリン酸ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、オルトリン酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、合成アパタイト、アルミナ、水和アルミナ、水和シリカキセロゲル、金属アルミノシリケート錯体、アルミニウム珪酸ナトリウム、珪酸ジルコニウム、二酸化珪素等を磨き剤として含む歯ブラシ用毛材(例えば、特許文献3参照)が既に提案されている。
【0007】
しかし、これらの歯ブラシ用毛材に使用される粒子は、主に熱可塑性樹脂や無機化合物であるために、歯ブラシとして使用しているうちにこれら粒子が脱落して体内に入り、人体に何らかの悪影響を及ぼす可能性もあり、また使用後の廃棄おいては、これらの物質が環境に負荷を与える可能性もあることから、現実的には歯ブラシに使用するに至らない物ばかりであった。
【0008】
そのため、歯ブラシ用毛材の研磨剤としては、安価で加工性が良く、人体に影響が少なく、廃棄後の環境への負荷も小さい研磨剤が求められており、更には、歯ブラシ用毛材としたとき歯ブラシの基本性能である歯茎へのマッサージ効果や適度な耐毛折れ性はもとより、高い研磨性を備えた歯ブラシ用毛材及び歯ブラシが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−208816号公報
【特許文献2】特開平11−216018号公報
【特許文献3】特許第4008025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の歯ブラシ用毛材に比べて、プラークや歯垢等の除去効果およびマッサージ効果に優れるとともに十分な耐久性を有し、さらには人体への悪影響や環境への負担が少ない歯ブラシ用毛材および歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明によれば、熱可塑性樹脂モノフィラメントのカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材であって、前記熱可塑性樹脂モノフィラメントは、熱可塑性樹脂99.0重量%〜95.0重量%と、米糠および/または麩糠類からなる多孔性炭素剤セラミック粒子を0.1重量%〜5.0重量%との混合物を溶融紡糸してなることを特徴とする歯ブラシ用毛材が提供される。
【0012】
なお本発明の歯ブラシ用毛材においては、
前記多孔性炭素剤の平均粒子径が1.0〜3.0μmの範囲にあること、
前記カットブリッスルの少なくとも一端にテーパー形状が形成されていることが好ましい条件として挙げられ、この条件を満たした場合はより一層優れた効果が得られる。
また、本発明の歯ブラシは、上記歯ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、研磨剤として米糠および/または麩糠類からなる多孔性炭素剤セラミック粒子を使用しているため、従来の歯ブラシ用毛材に比べて、プラークや歯垢等の除去効果およびマッサージ効果に優れるとともに十分な耐久性を有し、さらには人体への悪影響や環境への負担が少ない歯ブラシ用毛材および歯ブラシを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】は本発明の歯ブラシ用毛材の一例を示す側面図である。
【図2】は本発明の歯ブラシ用毛材の長手方向に垂直な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0016】
図1は本発明の歯ブラシ用毛材の側面図を示しており、10は歯ブラシ用毛材、20は熱可塑性樹脂、21は多孔性炭素剤セラミック粒子をそれぞれ示している。
【0017】
また、図2は、同じく長手方向に垂直な断面図であり、同様に10は歯ブラシ用毛材、20は熱可塑性樹脂、21は多孔性炭素剤セラミック粒子をそれぞれ示している。
【0018】
本発明の歯ブラシ用毛材は、図1および図2に示すように、熱可塑性樹脂モノフィラメントのカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材であって、前記熱可塑性樹脂モノフィラメントは、99.0重量%〜95.0重量%の熱可塑性樹脂20と、0.1重量%〜5.0重量%の米糠および/または麩糠類からなる多孔性炭素剤セラミック粒子21との混合物を溶融紡糸してなることを特徴とするものである。
【0019】
なお、本発明で使用する熱可塑性樹脂20としては、特に限定はされず、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン56、ナイロンMDX6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・66共重合体などのポリアミド系樹脂や、さらにはこれらの中から2種以上をブレンドしたものであっても良い。
【0020】
また、ポリアミド系樹脂以外の熱可塑性樹脂20としては、例えばポリエチレンテレフタレート(以下、PETと言う)、ポリブチレンナフタレート(以下、PBTと言う)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂が挙げられ、特にPBTは適度な毛腰を持ち、さらにはアルカリ溶液を使った化学的減量法で、カットブリッスルの一端を容易にテーパー状に加工できることから好ましく使用することができる。
【0021】
さらには、ポリアミド系樹脂やポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂20としては、ポリフェニレンサルファイドや、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・フッ化ビニリデン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンクロライド・テトラフルオロエチレン共重合体、フルオロビニルエーテルなどのフッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらから適宜1種類または2種類以上を選択して使用することも可能である。
【0022】
一方、本発明に使用する多孔性炭素剤セラミック粒子21は、米糠および/または麩糠類からなり、人体への悪影響や環境への負荷も極めて小さい素材であることが最大の特徴である。例えば、多孔性炭素剤セラミック粒子21は脱脂した米糠類とフェノール樹脂との混合物を、真空または不活性ガス中で焼成炭化した後、冷却・粉砕分級することによって製造されたものを使用することができ、市販品として三和油脂株式会社製「RBセラミック」などを入手して使用することも可能である。
【0023】
さらに、多孔性炭素剤セラミック粒子21の製造に関し、米糠/麩糠類とフェノール樹脂との混合物中の麩糠類の割合は、麩糠類の種類によって異なるが、例えば、脱脂後の米糠であれば約5重量%〜80重量%程度、麩であれば約5重量%〜70重量%程度、グルテンフィードであれば約5重量%〜60重量%程度であることが好ましい。
【0024】
また、熱可塑性樹脂モノフィラメント中の多孔性炭素剤セラミック粒子21の含有量は、0.1重量%〜5.0重量%の範囲であることが必要であり、多孔性炭素剤セラミック粒子21の添加量が上記の範囲を下回ると、プラークや歯垢等の除去効果が十分に得られにくくなり、逆に上記の範囲を上回ると、多孔性炭素剤セラミック粒子21が熱可塑性樹脂フィラメント中では異物として存在するために、強度などの物理特性が低下して毛折れ等の原因になり、プラークや歯垢等の除去効果やマッサージ効果の低下が早期に招かれやすくなるため好ましくない。
【0025】
さらに、多孔性炭素剤セラミック粒子21の大きさは、平均粒子径が1.0〜3.0μmであることが、歯ブラシとして使用した際にプラークや歯垢等の除去効果およびマッサージ効果が得られ易く、また毛折れなどの耐久性に優れた歯ブラシ用毛材10が得られ易いことから好ましい。
【0026】
つまり、平均粒子径が上記の範囲を下回ると、プラークや歯垢等の除去効果が得られにくくなり、逆に平均粒子径が上記の範囲を上回ると、触感が悪くなってマッサージ効果が得られにくくなるばかりか、多孔性炭素剤セラミック粒子21は熱可塑性樹脂フィラメント中では異物として存在するために、強度などの物理特性が低下して毛折れ等の原因になり、プラークや歯垢等の除去効果やマッサージ効果の低下が早期に招かれやすい傾向となる。
【0027】
また、カットブリッスルの一端をテーパー状に加工する場合には、多孔性炭素剤セラミック粒子21の平均粒子径は、テーパー先端径よりも小さい方が、整ったテーパー形状を作りやすいため、さらに1.0〜2.0μmであることが好ましい。
【0028】
なお、小麦をひいて粉にしたときに皮屑として発生する麩や、蕎麦、殻、大豆殻、グルテンフィードなどの殻類を加工処理する過程で発生する粉末や皮殻は、これまでは農業用資材としてしか利用方法のなかったものであるが、これを多孔性炭素剤セラミック粒子に加工し、研磨剤として歯ブラシ用毛材に添加せしめた点において、本発明は、これら米糠や麩糠類を再利用できる新たな分野を開拓した新技術であると言える。
【0029】
次に、本発明の歯ブラシ用毛材10の製造方法について説明する。
【0030】
まず、熱可塑性樹脂モノフィラメントの製造方法については、何ら特殊な方法を採用する必要はなく、例えば公知の溶融紡糸機を使用して製造することができる。
【0031】
具体的には、熱可塑性樹脂ペレットと多孔性炭素剤セラミック粒子、あるいは熱可塑性樹脂ペレットと予め多孔性炭素剤セラミック粒子を熱可塑性樹脂に高濃度に練りこんだマスターバッチを、溶融紡糸機に供給し、溶融紡糸機内で溶融混練した後、口金から多孔性炭素剤セラミック粒子と熱可塑性樹脂との混合物を押し出す。
【0032】
そして、押し出された混合物は、冷却浴中で冷却固化された後、延伸および熱セットされて巻き取られ、熱可塑性樹脂モノフィラメントが得られる。
【0033】
次に、巻き取られた熱可塑性樹脂モノフィラメントは束状に束ねられ、その周囲に紙テープなどを巻いて固定され、さらに所望の長さにカットされて歯ブラシ用毛材10となる。
【0034】
もし歯ブラシ用毛材10の一端にテーパー形状を形成させる場合は、この歯ブラシ用毛材10の一端をアルカリ溶液や酸性溶液に浸漬して溶解すれば簡単に作ることができる。
【0035】
なお、本発明の歯ブラシ用毛材10の直径は、使用目的に応じて適宜選ぶことができ、特に限定はされないが、0.10mm〜0.30mmの範囲が一般的である。
【0036】
さらに、目的や効果に影響しない範囲であれば、本発明の歯ブラシ用毛材10には、各種無機粒子、各種金属粒子および架橋高分子粒子などの粒子類、抗酸化剤、耐光剤、耐侯剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐電防止剤、各種着色剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤および各種強化繊維類などを添加することもできる。
【0037】
さらにまた、本発明の歯ブラシ用毛材10の断面形状は特に限定されず、円型以外にも中空、扁平、正方形、半月状、三角形、五角以上の多角形、多葉状、ドックボーン状、および、繭型など必要に応じて任意の形状を選択することができ、長さ方向に捻ったツイスト状のものやクリンプ状のものであってもよい。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の歯ブラシ用毛材について、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明の歯ブラシ用毛材はその要旨を超えない限り以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0039】
なお、実施例および比較例における歯ブラシの実用評価(清掃性、使用感、毛折耐久性)については下記の評価用歯ブラシにて行った。
【0040】
[評価用歯ブラシの作製]
ポリプロピレン製(9mm×22mm)の歯ブラシ用基台に直径1.5mm、深さ3.0mmの植毛孔を34箇加工し、この植毛孔に1孔あたり20本の歯ブラシ用毛材を植毛した。
【0041】
[清掃性]
まず、疑似歯に見立てたステンレス製凹凸板を用意し、この表面に仮想汚れを塗布して質量(A)を測定した。その後、このステンレス製凹凸板に評価用歯ブラシを荷重150gで垂直に押し当てながら、振幅10mm、スピード180往復/分で5000回摺動させ、再びステンレス製凹凸板の質量(B)を測定した。そして、下記(I)式を用いて歯垢除去率(%)を求めた。歯垢除去率が高いほど、プラークや歯垢除去効果の高い歯ブラシであることを示す。
歯垢除去率(%)=(A−B)/A×100・・・(I)
【0042】
[使用感]
成人20名に歯ブラシ1種類につき5日間使用してもらい、歯茎へのあたり心地について下記点数評価の合計点を求めた。合計点が高いほどマッサージ効果の高い歯ブラシであることを示す。
5点:大変心地良かった、
4点:従来の歯ブラシより心地よかった、
3点:従来の歯ブラシと変わらなかった、
2点:あまり心地よくなかった、
1点:全く心地よくなかった。
【0043】
[毛折耐久性]
上記の清掃性評価において、5000回摺動後の歯ブラシ用毛材の状態を下記の基準をもとに評価した。
A: 毛折れ本数0〜5本
B: 毛折れ本数6〜10本
C: 毛折れ本数11〜20本
D: 毛折れ本数20本以上
【0044】
[実施例1]
PBT樹脂ペレット(東レ(株)製 1200S)98.0重量%と、平均粒子径2.0μmの多孔性炭素剤セラミック粒子(三和油脂株式会社製 RBセラミック)2.0重量%とを混合して紡糸機内に供給し、紡糸機内で溶融混練して口金から押し出した。
【0045】
その後、押し出された樹脂溶融物を冷却浴中で冷却固化した後、引き続き温水浴中と乾熱浴中に導き延伸および熱セットを施し、直径0.200mmの熱可塑性樹脂モノフィラメントとし、さらにこの熱可塑性樹脂モノフィラメントを30mmにカットして歯ブラシ用毛材とした。
【0046】
[実施例2]
PBT樹脂ペレットを99.9重量%、多孔性炭素剤セラミック粒子を0.1重量%に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で歯ブラシ用毛材を得た。
【0047】
[実施例3]
PBT樹脂ペレットを95.0重量%、多孔性炭素剤セラミック粒子を5.0重量%に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で歯ブラシ用毛材を得た。
【0048】
[実施例4]
多孔性炭素剤セラミック粒子の平均粒子径を3.5μmに変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で歯ブラシ用毛材を得た。
【0049】
[実施例5]
実施例1で得られた歯ブラシ用毛材を、さらに水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して溶解し、その一端にテーパー形状を形成させた。
【0050】
[比較例1]
多孔性炭素剤セラミック粒子を添加しなかったこと以外は、実施例1と同じ方法で歯ブラシ用毛材を得た。
【0051】
[比較例2]
PBT樹脂ペレットを93.0重量%、多孔性炭素剤セラミック粒子を7.0重量%に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で歯ブラシ用毛材を得た。
【0052】
[比較例3]
多孔性炭素剤セラミック粒子の代わりに、平均粒子径2μmの二酸化珪素を2.0重量%添加したこと以外は、実施例1と同じ方法で歯ブラシ用毛材を得た。
【0053】
【表1】

【0054】
表1の結果から明らかなように、本発明の歯ブラシ用毛材(実施例1〜5)は、多孔性炭素剤セラミック粒子を含まない歯ブラシ用毛材(比較例1)や逆に添加量が多い歯ブラシ用毛材(比較例2)に比べて、プラークや歯垢等の除去効果やマッサージ効果に優れ、毛折れ耐急性の高いものであることが分かる。
【0055】
また、本発明の歯ブラシ用毛材は、米糠および/または麩糠類からなる多孔性炭素剤セラミック粒子を使用しているため、従来の無機化合物粒子を添加した歯ブラシ用毛材(比較例3)とは異なり、粒子が脱落して体内に入っても人体への悪影響が小さく、また使用後の廃棄おいては環境に負荷を与えにくいなど極めて実用性の高い歯ブラシであると言える。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の歯ブラシ用毛材および歯ブラシは、従来の歯ブラシ用毛材に比べて、プラークや歯垢等の除去効果およびマッサージ効果に優れるとともに十分な耐久性を有し、さらには人体への悪影響や環境への負担が少ないことから、当業界への貢献度が極めて大きいものである。
【0057】
また、小麦をひいて粉にしたときに皮屑として発生する麩や、蕎麦、殻、大豆殻、グルテンフィードなどの殻類を加工処理する過程で発生する粉末や皮殻は、これまでは農業用資材としてしか利用方法のなかったものであるが、これを多孔性炭素剤セラミック粒子に加工し、研磨剤として歯ブラシ用毛材に添加せしめた点において、本発明は、これら米糠や麩糠類を再利用できる新たな分野を開拓した新技術であると言える。
【符号の説明】
【0058】
10 歯ブラシ用毛材
20 熱可塑性樹脂モノフィラメント
21 多孔性炭素剤セラミック粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂モノフィラメントのカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材であって、前記熱可塑性樹脂モノフィラメントは、熱可塑性樹脂99.0重量%〜95.0重量%と、米糠および/または麩糠類からなる多孔性炭素剤セラミック粒子0.1重量%〜5.0重量%との混合物を溶融紡糸してなることを特徴とする歯ブラシ用毛材。
【請求項2】
前記多孔性炭素剤の平均粒子径が1.0〜3.0μmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ用毛材。
【請求項3】
前記カットブリッスルの少なくとも一端にテーパー形状が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の歯ブラシ用毛材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とする歯ブラシ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−105744(P2012−105744A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255454(P2010−255454)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000219288)東レ・モノフィラメント株式会社 (239)
【Fターム(参考)】