説明

歯ブラシ装置

【課題】ブラシ部材のガタつきを抑制することができる歯ブラシ装置を提供する。
【解決手段】ブラシ部材3の取付孔22は、取付用シャフト16先端部における端子板24と接触する接触部Cの反対側部分を支持し、取付孔22の挿入口部分は、シャフト16挿入後の弾性復帰により該シャフト16の側面と係止する係止片32、及びその係止片32と対向する固定部33でシャフト16を挟持可能に構成される。そして、取付孔22の係止片32はシャフト16の軸線Lよりも接触部C側に、固定部33が軸線Lよりも反接触部C側にそれぞれ設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電位傾斜を利用して歯垢の除去効果の向上を図る歯ブラシ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の歯ブラシ装置は、手で持つ部分である歯ブラシ本体と、口内に入れられる部分であるブラシ部材とが着脱可能に連結されて構成されている(例えば特許文献1参照)。歯ブラシ本体の内部には電池が収容され、歯ブラシ本体の先端からは、電池と電気的に接続された取付用シャフトが突出しており、そのシャフトの突出部分はブラシ部材の基端に形成された取付孔に挿入固定される。取付孔は、その入口部分の一部がシャフト挿入後における弾性復帰により該シャフトと係止する係止片となっており、その係止片にてシャフトが取付孔に固定されるようになっている。また、取付孔におけるシャフト先端部を保持する部分は、ブラシ部材内部の端子収容部と繋がっており、シャフト先端部は端子収容部に収容された端子板と接触している。このような歯ブラシ装置では、端子板は、端子収容部と外部とを連通する開口からその一部が露出する一方、歯ブラシ本体の外面には電池と電気的に接続された電極部が設けられている。これにより、歯磨きの際に人体と歯ブラシとで閉回路が構成されて電池からの微弱電流をシャフト及び端子板を介して口内に供給可能となっている。
【0003】
ところで、特許文献1のような歯ブラシ装置では、シャフトの先端面と端子板とが軸方向(ブラシ部材の着脱方向)に弾性的に接触するように構成されている。そのため、ブラシ部材の軸方向の固定が安定せず、ブラシ部材が歯ブラシ本体から外れ易くなってしまう虞があった。そこで、この問題を解消する歯ブラシ装置の構成として、取付孔に挿入されたシャフトの側面で端子板と接触するものが考えられる。このような構成の歯ブラシ装置では、端子収容部と取付孔とはシャフト先端の外周面部分で繋がっており、その繋がった部分で端子板とシャフトの側面とが接触するように構成される。
【特許文献1】特開平9−140453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような歯ブラシ装置では、シャフト先端部の外周面と端子板とを接触させるために取付孔が端子収容部と繋がる構造を有しているため、そのシャフトと端子板との接触部分においてはシャフトの外周面が支持されていない状態となる。また、取付孔のシャフト挿入口には、弾性を有する係止片が設けられており、その挿入口が開く方向への移動が若干許容されている。このため、その係止片が設けられる位置によっては、シャフト先端部が端子板側にずれるようにブラシ部材が傾きやすくなってブラシ部材がガタついてしまうという虞があり、その点においてなお改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ブラシ部材のガタつきを抑制することができる歯ブラシ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、取付孔を有するブラシ部材と、前記取付孔に挿入連結されるシャフトを有する歯ブラシ本体とを備えてなり、前記ブラシ部材の内部には、端子板が収容される端子収容部が形成され、前記取付孔には、前記シャフトの先端部の側面を前記端子収容部に露出させる開口部が形成され、前記開口部で前記端子板と前記シャフトの側面とが接触するように構成されて、前記シャフトから前記端子板に給電可能とした歯ブラシ装置であって、前記取付孔は、前記シャフト先端部における前記端子板と接触する接触部の反対側部分を支持し、前記取付孔の挿入口部分は、前記シャフト挿入後の弾性復帰により該シャフトの側面と係止する係止片、及びその係止片と対向する固定部で前記シャフトを挟持可能に構成され、前記係止片が前記シャフトの軸線よりも前記接触部側に、前記固定部が前記軸線よりも反接触部側にそれぞれ設けられたことをその要旨とする。
【0007】
この発明では、取付孔は、シャフト先端部における端子板と接触する接触部の反対側部分を支持し、取付孔の挿入口部分は、シャフト挿入後の弾性復帰により該シャフトの側面と係止する係止片、及びその係止片と対向する固定部でシャフトを挟持可能に構成される。そして、取付孔の係止片はシャフトの軸線よりも接触部側に、固定部が軸線よりも反接触部側にそれぞれ設けられる。そのため、シャフト先端部が端子板側にずれることを抑制でき、その結果、ブラシ部材のガタつきを抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の歯ブラシ装置において、前記歯ブラシ本体内に前記シャフトを往復運動させる駆動部を備えたことをその要旨とする。
この発明では、電動式の歯ブラシ装置において、ブラシ部材のガタつきを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
従って、上記記載の発明によれば、歯ブラシ装置において、ブラシ部材のガタつきを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す歯ブラシ装置1は、手に持つ部分である歯ブラシ本体2と、その歯ブラシ本体2の先端部に着脱可能に連結されるブラシ部材3とから構成されている。
【0011】
歯ブラシ本体2は有底円筒状のハウジング11を有し、そのハウジング11内の基端部側には電池12が、先端部側にはその電池12からの給電により駆動する駆動部としてのリニアモータ部13がそれぞれ設けられている。リニアモータ部13はハウジング11内に固定された一対の軸受部14によって両端部がそれぞれ支持されたスライドシャフト15を有している。スライドシャフト15の先端には、ハウジング11先端部から突出する取付用シャフト16が同軸固定されており、スライドシャフト15及び取付用シャフト16はリニアモータ部13の駆動により軸方向に高速微細振動するようになっている。尚、スライドシャフト15及び取付用シャフト16はともに導電性を有している。また、ハウジング11外周面には電池12と電気的に接続された電極部17が設けられている。
【0012】
取付用シャフト16は、図2(a)に示すように、その基端部にスライドシャフト15が挿入固定される固定孔16aを有しており、該取付用シャフト16の長手方向中間部にはV字状に凹む係止溝16bが周方向全体に亘って環状に形成されている。取付用シャフト16の先端部は平面部16cと曲面部16dからなる断面D字状をなしており(図2(c)参照)、該取付用シャフト16における係止溝16bから先端側がブラシ部材3に挿入されている。
【0013】
ブラシ部材3は、取付用シャフト16に取り付けられる基端部から先端部3aにかけて若干湾曲するように延びており、その先端部3aにはブラシ21が立設されている。尚、ブラシ部材3は、その断面形状が基端部から長手方向中間部にかけては楕円状をなし、先端部3aでは扁平状をなしている。
【0014】
ブラシ部材3の基端部には、取付用シャフト16が挿入固定される取付孔22が形成されている。尚、取付孔22には取付用シャフト16の平面部16cがブラシ21側を向くように該シャフト16が挿入固定される。ブラシ部材3の内部には取付孔22と繋がる端子収容部23が形成されている。端子収容部23は、取付用シャフト16先端の曲面部16d側で取付孔22と連通されている。また、端子収容部23は取付孔22からブラシ部材3の先端部3a付近まで延びており、該収容部23には長尺状の導電性材からなる端子板24が収容されている。
【0015】
端子板24は、端子収容部23の底面に沿って設けられるとともに、その端子収容部23の長手方向中央部に形成された固定凸部23aにて固定されている。端子板24の基端部には取付用シャフト16側に突出する突出部24aが形成されており、該突出部24aは取付用シャフト16の曲面部16dと弾性的に当接している。尚、取付用シャフト16が取付孔22に装着されていない状態において、端子板24の突出部24aは取付孔22に入り込んだ位置にあり、取付孔22にシャフト16が挿入されることで該シャフト16の側面と弾性的に当接するようになっている。また、端子収容部23の先端部には、ブラシ21側において端子収容部23と外部とを連通する貫通孔25が形成され、該貫通孔25から端子板24の一部が露出するようになっている。
【0016】
また、端子収容部23には、反ブラシ21側に長手方向全体に亘って開口する開口部23bが形成され、該開口部23bから端子板24が収容される。開口部23bは蓋体26にて塞がれ、この蓋体26には端子板24に向かって突出する突出部26aが複数形成されている。この突出部26aにより端子板24は端子収容部23に押し付けられ、該端子板24の浮き上がりが抑制されている。
【0017】
[取付孔の固定構造]
上記取付孔22は、取付用シャフト16の先端部を保持する保持部31と、該取付孔22の挿入口部分に設けられてシャフト16の長手方向中間部を挟持する係止片32及び固定部33とが連続的に形成されてなる。
【0018】
図2(c)に示すように、保持部31は取付用シャフト16の平面部16cと、曲面部16dの両側部分とを接触保持するとともに、該保持部31の上部(端子板24側の部分)には、端子収容部23と繋がる開口部31aが形成されている。この開口部31aから端子収容部23側にシャフト16の曲面部16dが露出しており、該曲面部16dでシャフト16の曲面部16dと端子板24の突出部24aとが接触している。また、保持部31には取付用シャフト16の先端面と当接する段差部31bが形成されている(図2(a)参照)。
【0019】
図2(a)及び(b)に示すように、係止片32は、ブラシ部材3の基端に向かって延出しており、取付用シャフト16の軸線Lよりもシャフト16と端子板24との接触部C側に設けられている。係止片32は取付用シャフト16の外周面に沿った円弧状をなし、該係止片32の延出先端部にはシャフト16側に突出する突起32aが形成されている。この突起32aがシャフト16の係止溝16bに嵌り込むことにより係止片32がシャフト16の外周面と係止されるようになっている。尚、係止片32の基端部(保持部31側端部)において、該係止片32の両端はそれぞれ、外周壁3bから延びる一対の支持部32bに支持されている。この係止片32はその反シャフト16側に形成された空間により弾性的に撓むことが可能となっている。そして、係止片32はシャフト16挿入後の弾性復帰によりシャフト16の係止溝16bと係止されるようになっている。
【0020】
固定部33は、ブラシ部材3の外周壁3bから内側に延びる複数の支持部3cにより支持されている。固定部33はシャフト16の外周面に沿った円弧状をなし、係止片32と対向するように形成されている。
【0021】
本実施形態の歯ブラシ装置1では、取付孔22の係止片32が軸線Lの接触部C側に、固定部33が反接触部側にそれぞれ設けられるため、ブラシ部材3は取付用シャフト16にガタつきなく安定して装着されるようになっている。本実施形態のような取付孔22の構成に対し、仮に係止片32及び固定部33の形成位置を反対とした場合では、係止片32が撓んでブラシ部材3がシャフト16に対して下側(ブラシ21側)に相対的に傾き易くなってしまう。しかしながら、本実施形態の構成では、ブラシ部材3がシャフト16に対して相対的に傾くことが抑制され、その結果、ブラシ部材3のガタつきが抑制されるようになっている。
【0022】
このような歯ブラシ装置1では、歯ブラシ本体2を手に持って歯ブラシ装置1を使用する際、人体と歯ブラシとで閉回路が構成されて電池12からの微弱電流を各シャフト15,16及び端子板24を介して口内に供給可能であり、歯垢の除去効果が向上するようになっている。
【0023】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態の歯ブラシ装置1では、ブラシ部材3の取付孔22は、取付用シャフト16先端部における端子板24と接触する接触部Cの反対側部分を支持し、取付孔22の挿入口部分は、シャフト16挿入後の弾性復帰により該シャフト16の側面と係止する係止片32、及びその係止片32と対向する固定部33でシャフト16を挟持可能に構成される。そして、取付孔22の係止片32はシャフト16の軸線Lよりも接触部C側に、固定部33が軸線Lよりも反接触部C側にそれぞれ設けられる。そのため、シャフト16先端部が端子板24側にずれることを抑制でき、その結果、ブラシ部材3のガタつきを抑制することができる。
【0024】
(2)本実施形態では、歯ブラシ本体内にシャフト16を往復運動させる駆動部を備えた電動式の歯ブラシ装置1において、ブラシ部材3のガタつきを抑制することができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0025】
・上記実施形態では、取付用シャフト16の先端部は断面D字状をなし、その曲面部16dで端子板24と接触するように構成されたが、特にこれに限定されるものではなく、例えばシャフト16をその平面部16cが端子板24と対向するように装着可能に構成し、該平面部16cで端子板24と接触するように構成してもよい。また、取付用シャフト16の先端部を断面D字状以外の例えば断面円状としてもよい。
【0026】
・上記実施形態では、取付用シャフト16はその背面側(反ブラシ21側)で端子板24と接触したが、特にこれに限定されるものではなく、例えば正面側(ブラシ21側)で接触するように構成してもよい。
【0027】
・上記実施形態では、電動式の歯ブラシ装置1に具体化したが、電動式でない歯ブラシ装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】歯ブラシ装置の断面図。
【図2】(a)ブラシ部材を示す断面図、(b)ブラシ部材を基端側から見た模式図、(c)同図(a)におけるブラシ部材のA−A断面の一部を示す模式断面図。
【符号の説明】
【0029】
C…接触部、L…シャフトの軸線、1…歯ブラシ装置、2…歯ブラシ本体、3…ブラシ部材、13…駆動部としてのリニアモータ部、16…取付用シャフト、22…取付孔、23…端子収容部、31a…取付孔の開口部、24…端子板、32…係止片、33…固定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付孔を有するブラシ部材と、前記取付孔に挿入連結されるシャフトを有する歯ブラシ本体とを備えてなり、
前記ブラシ部材の内部には、端子板が収容される端子収容部が形成され、前記取付孔には、前記シャフトの先端部の側面を前記端子収容部に露出させる開口部が形成され、前記開口部で前記端子板と前記シャフトの側面とが接触するように構成されて、前記シャフトから前記端子板に給電可能とした歯ブラシ装置であって、
前記取付孔は、前記シャフト先端部における前記端子板と接触する接触部の反対側部分を支持し、
前記取付孔の挿入口部分は、前記シャフト挿入後の弾性復帰により該シャフトの側面と係止する係止片、及びその係止片と対向する固定部で前記シャフトを挟持可能に構成され、
前記係止片が前記シャフトの軸線よりも前記接触部側に、前記固定部が前記軸線よりも反接触部側にそれぞれ設けられたことを特徴とする歯ブラシ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の歯ブラシ装置において、
前記歯ブラシ本体内に前記シャフトを往復運動させる駆動部を備えたことを特徴とする歯ブラシ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−172316(P2009−172316A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16940(P2008−16940)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】