説明

歯ブラシ

【課題】ブラシ毛に活性炭が練り込まれた歯ブラシを効果的に利用できるようにする。
【解決手段】歯ブラシのブラシ毛に、0.3〜1.5重量%の活性炭粉末と、0.05〜0.4重量%の珪酸を含む石英安山岩ガラス状斑岩又はトルマリンの粉末と、0.1〜0.6重量%のアパタイトの粉末とを練り込んで、歯磨き粉を使用せずにブラッシングできるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯を磨くための人用の歯ブラシであって、歯ブラシ毛に活性炭の粉末を含む歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシ毛に活性炭の粉末を練り込んだ歯ブラシは公知である(特許文献1)。ただし、そこでは歯磨き粉の使用を前提としている。歯ブラシ毛に石英安山岩ガラス状斑岩やトルマリンの粉末を練り込んだ歯ブラシも公知である(特許文献2,3)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−197940号公報
【特許文献2】特開2005−130914号公報
【特許文献1】特開2002−34663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の歯ブラシでは、歯を磨く際には通常の歯ブラシと同じく歯磨き粉を用いてブラッシングする。そのために、活性炭を練り込むことで得られるはずの脱臭効果は歯磨き粉によって阻害され、効果的に発揮できない問題があった。ブラシ毛から抜け出た真っ黒な活性炭の粉末が白い歯磨き粉に混ざって見た目に不快感を生じる問題もあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、練り込んだ活性炭を効果的に利用できる歯ブラシを提供することにある。本発明の目的は、見た目に不快感を与えることのない活性炭入り歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる歯ブラシは、一端に植毛ベースを備えた柄と、植毛ベースに固定された一群のブラシ毛とを備え、ブラシ毛に活性炭粉末と珪酸とを含むことを特徴とする。ここでの歯ブラシには電動式歯ブラシも含まれる。「珪酸」とは二酸化珪素のことであり、珪酸塩の形態も含む概念であり、水に溶解して珪酸イオンを生じるものであればよい。
【0007】
具体的には、ブラシ毛が合成樹脂製であり、活性炭粉末が竹炭の粉末であって、ブラシ毛に対し、0.3〜1.5重量%練り込むことができる。珪酸はブラシ毛に対し、0.05〜0.4重量%含ませることができる。なおここでの重量%は、練り込むブラシ毛の合成樹脂量に対する割合である。
【0008】
詳しくは、石英安山岩ガラス状斑岩又はトルマリンの粉末をブラシ毛に練り込んでブラシ毛に珪酸を含ませるようにすればよい。「石英安山岩ガラス状斑岩」とは、鉱物学上、火成岩類中の石英斑岩に属し、氷河期に火山の爆発によって噴出したマグマが急激に冷却されて結晶化したものであり、天然のミネラル鉱石である。「トルマリン」とは、電気石とも呼ばれ、鉄・アルミニウム・硼素などを含む複雑な珪酸塩鉱物である。マイナスイオンを発生するなど、様々な効能があると言われている。
【0009】
さらには0.1〜0.6重量%のアパタイトの粉末を練り込むようにしてもよい。なお、「アパタイト」とは、リン酸カルシウムを主成分とする鉱物であり、歯の主要構成物である。
【発明の効果】
【0010】
活性炭粉末に加えて珪酸をブラシ毛に含ませた本発明にかかる歯ブラシによれば、歯磨き粉を使用せずに水だけでブラッシングできる。すなわち、ブラシ毛に珪酸を含ませてあると、口腔内に溢れ出た唾液に珪酸が溶け出し、水に溶けてイオン化した珪酸は、歯の表面をイオンコートして口内細菌や歯垢の付着を予防することができる。また珪酸は良質な研磨材でもあることから、歯磨き粉がなくても違和感なく歯を磨くことができるのである。したがって、活性炭の最大の特徴である吸着機能が歯磨き粉によって阻害されることがない。水だけで口腔内をブラッシングすれば、口臭が拡散して不快感を感じ易いが、その口臭の拡散を活性炭の臭気吸着作用によって効果的に抑制することができ、気分爽快にブラッシングできる。
【0011】
しかも、歯磨き粉を使用しないで済むから、活性炭がブラシ毛から抜け出て歯磨き粉と混ざって見た目に不快感を与えることもない。歯磨き粉を使用しないので、真っ黒なブラシ毛に捕捉された歯垢が見易くなって磨きの程度が判りやすいという点でも有利である。
【0012】
合成樹脂製のブラシ毛に、活性炭の粉末を練り込むようにしてあると、ブラシ毛の製造時において、合成樹脂に単に所定量の活性炭の粉末を配合するだけでよく、既存の設備がそのまま利用できるため、余分なコストがかからず簡単につくることができる。竹炭にはミネラル成分が豊富に含まれているため、ミネラルの補給にもなる。
【0013】
ブラシ毛を合成樹脂で成形すれば、簡単確実に適度な弾性と強度とを付与することができる。しかし、そこに活性炭の微粉末を多量に練り込むと、ブラシ毛の弾性と強度が損なうおそれがある。逆に少な過ぎると活性炭の機能を発揮させることができないし、ブラシ毛に特徴的な黒色を付与できない。そこで鋭意検討した結果、線径によっては多少の違いはあるものの、ブラシ毛に対し、活性炭の粉末を0.3〜1.5重量%練り込むのが好ましいことがわかった。
【0014】
表1及び表2に石英安山岩ガラス状斑岩及びトルマリンの主な成分組成を示す。各表から明らかなように、いずれの鉱石にも珪酸が多量に含まれている。したがって、これら天然の鉱石の粉末を練り込むことで、簡単に効率よくブラシ毛に珪酸を含ませることができる。このとき、珪酸がブラシ毛に対して0.05〜0.4重量%含まれるようにするのが好ましい。0.4重量%を上回ると、ブラッシング時に溶け出す珪酸量が過度となって無駄を生じ、0.05重量%を下回ると珪酸量が不足して十分な作用効果が得られないからである。また、この範囲であれば活性炭と共に練り込んでも、ブラシ毛の弾性と強度に影響するおそれがない。
【0015】
【表1】

【0016】
【表2】

【0017】
さらに0.1〜0.6重量%のアパタイトを練り込んであると、アパタイトには研磨作用があるうえ、歯と同質で歯の再石灰化を促進するため、歯磨き粉なしでの歯磨き効果をさらに向上させることができる。なお、アパタイトの添加量を0.1〜0.6重量%としたのは、この範囲であればアパタイトを無駄なく効果を発揮させることができるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1に本発明の歯ブラシの一例を示す。歯ブラシは、棒状の柄1の一端に平板状の植毛ベース2を一体に備えており、その植毛ベース2の片面に合成樹脂製の一群のブラシ毛3が固定されている。そのブラシ毛3に活性炭粉末4と、石英安山岩ガラス状斑岩5と、アパタイト6の粉末とが練り込んである。ブラシ毛3は活性炭4の練り込みによって黒色となっている。
【0019】
歯ブラシの柄1および植毛ベース2は、例えばポリプロピレンやアクリロニトリル・スチレン樹脂などの合成樹脂から適宜選択して成形することができる。ここでは、見た目の一体感を付与するために、黒色顔料を添加して黒色に着色したポリプロピレンを使用した。ブラシ毛3には、一般にはナイロンが使用されることが多いが、活性炭4などを練り込むことで弾性や強度が低下するため、より強靭で弾性、強度に優れたポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)を使用した。
【0020】
活性炭4は、孟宗竹を1000℃以上の高温で焼いて炭化し、微粉砕した食用の竹炭を用いた。その粒度は平均粒子径で、0.5〜6μmである。これをブラシ毛のPBT樹脂に対し0.3〜1.5重量%添加配合した。
【0021】
石英安山岩ガラス状斑岩5は、粒度を平均粒子径で3〜10μmに微粉砕した粉末を使用した。表1に示すように、石英安山岩ガラス状斑岩5には珪酸が約72%含まれているため、珪酸含量として0.05〜0.4重量%添加するために石英安山岩ガラス状斑岩5の粉末をブラシ毛3のPBT樹脂に対し0.1〜0.5重量%添加配合した。
【0022】
アパタイト6も同様に粒度(平均粒子径)0.2〜0.4μmに微粉砕したものを使用した。これをブラシ毛3のPBT樹脂に対し0.1〜0.5重量%添加配合した。かかる条件ではブラシ毛の弾性や強度に影響は認められなかった。
【0023】
活性炭4、石英安山岩ガラス状斑岩5、アパタイト6の各粉末は、所定量づつPBT樹脂に均一に分散配合してブラシ毛3に成形することにより、ブラシ毛3に練り込ませた。
【0024】
(別実施例) 石英安山岩ガラス状斑岩5に代えてトルマリンを使用し、これの粉末(粒度は石英安山岩ガラス状斑岩5と同じ)をブラシ毛3のPBT樹脂に対し0.2〜0.6重量%添加配合した。アパタイトはトルマリンと同じくブラシ毛3のPBT樹脂に対し0.2〜0.6重量%添加配合した。トルマリンには表2に示されるように、珪酸が約44%含まれているため、珪酸含量としては約0.09〜0.3重量%添加したことになる。その他は先の実施例と同じであるため、説明は省略する。
【0025】
いずれの歯ブラシによっても、活性炭による口臭除去作用を最大限発揮させることができ、歯磨き粉なしでも気分爽快に歯磨きできた。歯垢の除去の程度も一目瞭然であるため、ブラッシングの効果が目視で確認できる点でも効果的であった。
【0026】
ブラシ毛には、珪酸そのものを含ませることができる。活性炭粉末や珪酸は、ブラシ毛に練り込むだけでなく、樹脂成形したブラシ毛の外側面に活性炭粉末や珪酸を含むコート層を設けて層状に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の歯ブラシを示す概念図
【符号の説明】
【0028】
1 柄
2 植毛ベース
3 ブラシ毛
4 活性炭粉末
5 石英安山岩ガラス状斑岩の粉末
6 アパタイトの粉末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に植毛ベースを備えた柄と、植毛ベースに固定された一群のブラシ毛とを備えた歯ブラシであって、
ブラシ毛が、活性炭粉末と珪酸とを含むことを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
前記ブラシ毛が合成樹脂製であり、
活性炭粉末が竹炭の粉末であって、ブラシ毛に対し、0.3〜1.5重量%練り込まれている請求項1記載の歯ブラシ。
【請求項3】
珪酸が、ブラシ毛に対し、0.05〜0.4重量%含まれる請求項2記載の歯ブラシ。
【請求項4】
石英安山岩ガラス状斑岩又はトルマリンの粉末をブラシ毛に練り込むことにより、ブラシ毛に珪酸を含ませるようにした請求項3記載の歯ブラシ。
【請求項5】
一端に植毛ベースを備えた柄と、植毛ベースに固定された合成樹脂製の一群のブラシ毛とを備えた歯ブラシであって、
ブラシ毛には、合成樹脂材に対して、
0.3〜1.5重量%の活性炭粉末と、
0.05〜0.4重量%の珪酸を含む石英安山岩ガラス状斑岩又はトルマリンの粉末と、
0.1〜0.6重量%のアパタイトの粉末とが練り込まれている歯ブラシ。

【図1】
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【公開番号】特開2007−82580(P2007−82580A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271563(P2005−271563)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(505239574)有限会社ファースト (1)
【Fターム(参考)】